説明

携帯電話

【課題】ストレートタイプの携帯電話のように、同一面にキー操作部と表示部とを配した携帯電話において、防塵を行うようにすること。
【解決手段】同一面にキー操作部11と表示部12とを配した携帯電話1において、携帯電話1の表示部12表示された表示画像を視認可能な材料により形成されたカバー13を、携帯電話1のキー操作部11を覆う位置と、キー操作部11を開放して表示部12を覆う位置と、を選択的に移動するように、前記携帯電話1の筐体10に回動軸14によって回動自在に軸支して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一面にキー操作部と表示部とを配した携帯電話において、防塵対策を施した携帯電話に関するものであり、特に、防塵のためカバーを携帯電話の筐体に設け、このカバーを、表示部に表示された表示画像を視認可能な材料により形成し、前記キー操作部を覆う位置と該キー操作部を開放して該表示部を覆う位置とを選択的に移動するように携帯電話の筐体に設けた携帯電話に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術の発展に伴い種々の携帯型の情報通信端末装置(以下、携帯端末装置という)が広く普及している。このような携帯端末装置は、利用者が外出先からインターネットなどのネットワークを介して種々サービスを提供する情報配信サーバや所望のウェブサイトに接続して当該サービスを受け、あるいは情報を取得したり、自社のネットワークに接続したりして業務上必要な情報を取得することができる。
【0003】
最近では、携帯電話のハード、ソフト機能が充実し、従来の携帯端末装置の機能を兼ねるようになってきており、携帯電話の普及率の拡大にはめざましいものがある。携帯電話を利用したデータ通信サービスを提供する事業者も増加しており、携帯電話を利用してバンキング、インターネット販売、ナビゲーション、交通機関やコンビニエンスストアなどの代金決済など様々なサービスを受けることができるようになってきている。特に携帯電話においては種々のオプションやアプリケーションが搭載可能であり、利用できるサービスの種類も豊富になってきている。
【0004】
このような携帯電話は、例えば、下記の特許文献1(特開2003−110675号公報)に開示されている。この特許文献1に開示された携帯電話は、テンキーを具えた本体に対し、表示部及びソフトキーを具えた蓋体がスライド可能に配備されたものである。そして、本体と蓋体とはフレキシブル基板によって電気的に接続されている。このような構成の携帯電話は、蓋体をテンキー上にスライドして位置させ、全体を小さくした状態で表示部に現れる情報を見ることができる利点を有する。一方、テンキー操作を行うときには蓋体をスライドしてテンキーを露出させればよい。
【0005】
また、同じくスライド式のカバーを有する従来の他の携帯電話は、下記の特許文献2(特開2001−119467号公報)に開示されている。この特許文献2に開示された携帯電話は、テンキーからなるキー操作部、スクロールキー、表示部等が設けられている筐体にスライドカバーが設けられている。そして、スライドカバーは表示部、スクロールキー等を除くキー操作部を閉じたり開いたりするようにスライドする。
【0006】
スライドカバーの外表面には、通話開始キー、通話終了キー、ワンタッチダイヤルキーのようにキー操作部を用いることなく表示部、スクロールキーとの組み合わせで操作可能なキーが設けられている。また、スライドカバーがキー操作部を開閉したことを検知する手段を設け、スライドカバーが閉じているときに、スライドカバー上のキーを押圧すると直下のテンキーが押圧されて所定の動作結果が得られるようになっている。
【0007】
従って、スライドカバーを閉じて全体を小さくした状態で表示部を見ながらキー操作部を用いない操作を行うことができる。一方、キー操作を必要とするときには、スライドカバーを開いてキー操作部を露出させればよい。
【特許文献1】特開2003−110675号公報(段落[0003]、段落[0004]、段落[0008])
【特許文献2】特開2001−119467号公報(段落[0014]〜段落[0016]、段落[0029])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来技術は、携帯電話の操作面を2分割にして一方の部分でテンキー操作部分を覆うことにより全体の大きさを小さくするものであって、携帯電話の大きさが一定である、いわゆるストレート型に適用されるカバーについての技術は存在しなかった。

そこで、本発明は、ストレート型のように同一面にキー操作部と表示部を配した携帯電話にカバーを設けて防塵を行うようにしたストレート型の携帯電話を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
同一面にキー操作部と表示部とを配した携帯電話において、
前記表示部表示された表示画像を視認可能な材料により形成され、前記キー操作部を覆う位置と、該キー操作部を開放して該表示部を覆う位置と、を選択的に移動するカバーを、前記携帯電話の筐体に設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる携帯電話において、カバーは、一端を前記筐体に回動軸によって回動自在に軸支されていること特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は請求項2にかかる携帯電話において、前記カバーは前記表示部上に位置した状態で該表示部に表示された表示画像を拡大するレンズ面を有することを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れかにかかる携帯電話において、前記カバーは前記表示部上に位置した状態で該表示部表示された表示画像を視認可能なハーフミラーで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上述した解決手段により以下に述べる通りの優れた効果を奏する。
【0014】
請求項1にかかる発明においては、携帯電話のキー操作を行わないときには、前記キー操作部を前記カバーで覆うことにより防塵効果を得ることができる。そして、キー操作を行うときには、前記カバーを前記キー操作部から前記表示部に移動することにより該キー操作部を露出して操作を可能とするので、前記カバーが筐体から突出することがなく携帯電話のキー操作の邪魔にならない。また、前記カバーで覆われた前記表示部は該カバーを通して表示画像を視認できるので表示の内容を監視しながらキー操作を行うことができるようになる。
【0015】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる携帯電話において、前記カバーは回動操作を行うことによって前記キー操作部と前記表示部との間を移動させることができるので取扱いが簡単である。また、その構成は前動軸で軸支するだけの簡単なものとすることができるようになる。
【0016】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1又は請求項2にかかる携帯電話において、前記表示部に表示された表示画像は前記カバーのレンズ面によって拡大されるので、視力の低い者、老眼の度合いの強い者にとって見やすくなる。特に、携帯電話自体が小型化され表示部が小さくなっている趨勢にあり、その効果は著しい。また、前記表示部の表示を拡大してみる必要があるときは、積極的に前記表示部を前記カバーにより覆うことでその目的を達成できる。
【0017】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3のいずれかにかかる携帯電話において、前記カバーは前記キー操作部上にあるときには、不透明であるので該キー操作部が該カバーによって覆われていることが確実に認識できる。一方、前記カバーは前記表示部上にあるときには、該表示部の照明によってハーフミラーを通し表示画像が視認できる。従って、前記キー操作部が覆われていることを認識することができることと、前記表示部が覆われていても表示を視認できることとが、共通のカバーの使い分けにより、達成できるのでコスト的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための携帯電話を例示するものであって、本発明をこの携帯電話に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の携帯電話にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は実施例における携帯電話のテンキーなどを含むキー操作部をカバーで覆った状態を示し、図1Aはその平面図、図1Bはその側面図、図2は実施例における携帯電話のキー操作部を覆った状態から開放して表示部をカバーで覆った状態を示し、図2Aはその平面図、図2Bはその側面図である。
【0020】
携帯電話1は、全体的に長方形の筐体10と、筐体10の平面状の表面100の下方に配されたキー操作部11と、同一平面である表面100の上方に配された表示部12と、キー操作部11を覆うためのカバー13とから形成されている。
【0021】
キー操作部11は、テンキー操作部110と通話開始キー、通話終了キー、ワンタッチダイヤルキー及びスクロールキー等のワンタッチキー操作部111とからなる。
【0022】
カバー13は、一端を筐体10の中央部分における側面101に設けた回動軸14によって回動自在に軸支されている。この回動軸14は、筐体10に設けた支持片140と、支持片140に設けた軸受け孔141と、軸受け孔141に挿入されるカバー13に取り付けた軸142とから形成されている。そして、カバー13は表面100上を回動してキー操作部11を覆う位置と表示部12を覆う位置とを選択的に取り得るようになっている。
【0023】
また、カバー13は全体的に不透明であるが表示部12を覆う部分にハーフミラーのレンズ面130が設けられている。そして、カバー13は表示部12上に位置した状態で表示部12のバックライトの照明によりハーフミラーを通して表示が可視できると同時に、レンズ面130によって拡大されるように構成されている。
【0024】
上述した本発明の実施例による携帯電話の動作を説明する。携帯電話を使用しないときには、図1で示すように、カバー13でキー操作部11を覆っておく。この状態においては、キー操作部11はカバー13が不透明であるので外部からは見えない。表示部12はカバー13で覆われていないので表示内容を直接に見ることができる。
【0025】
キー操作部11を用いてキー操作を行うときには、図2で示すように、カバー13を持ち上げて回動軸14を支点として回動させ、この回動動作によって、カバー13をキー操作部11から表示部12へと移動させる。その結果、キー操作部11はカバー13で覆われている状態から開放され、テンキー操作部110とワンタッチキー操作部111の操作を可能とする。
【0026】
表示部12はカバー13によって覆われるが、表示部12の面がハーフミラーであるためバックライトの照明により外部よりその表示が可視できる。同時に、レンズ面130によって表示部12の文字、記号等が拡大される。
【0027】
上述した本発明の実施例によれば、携帯電話1はキー操作を行わないときにはカバー13でもってキー操作部11を覆っておけばよい。カバー13はキー操作部11を覆うことにより塵埃が付着することや塵埃が間隙から筐体10内に侵入することを防止する。また、カバー13によってキー操作部11が見えないので、キー操作部11が不使用状態になっていることが明確になる。
【0028】
キー操作を行うときには、カバー13を回動して表示部12の方に移動してキー操作部11を開放し操作を可能とする。この場合、カバー13は筐体10から突出することなく筐体10上に収まっているので、携帯電話1のキー操作の邪魔にならない。同時に、カバー13は表示部12に表示された表示画像を拡大して視認可能とするので表示内容が見やすくなる。
【0029】
カバー13のキー操作部11と表示部12との間の移動は、カバー13が回動軸14によって筐体10に軸支されているので、回動操作だけで行うことができる。
【0030】
尚、本発明の実施例においては、カバー13は筐体10に回動軸14によって回動自在に設けられている。しかし、本発明においては、これに限定されることなく、カバー13を筐体10にキー操作部11と表示部12との間を摺動自在にして設けてもよい。
【0031】
尚、本発明の実施例においては、カバー13はキー操作部11を全面的に覆うようにしたが、本発明は、これに限定されることなく、テンキー操作部110のみを覆うようにしてワンタッチキー操作部111を常に開放状態としてもよい。このように使用頻度の多いワッタッチキー操作部111を常に開放しておくことにより操作の便宜を図ることができる。
【0032】
尚、また、本発明の実施例においては、カバー13はレンズ面130を有するが、本発明はレンズ面を省いたものであってもよい。
【0033】
尚、また、本発明の実施例においては、カバー13はハーフミラーで形成したが、本発明はハーフミラーで形成することなくレンズ面を透明な材料で形成したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例における携帯電話のテンキー操作部をカバーで覆った状態を示し、図1Aはその平面図、図1Bはその側面図である。
【図2】本発明の実施例における携帯電話のテンキー操作部を覆った状態から開放して表示部をカバーで覆った状態を示し、図2Aはその平面図、図2Bはその側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 携帯電話
10 筐体
11 キー操作部
12 表示部
13 カバー
14 回動軸
100 表面
101 側面
110 テンキー操作部
111 ワンタッチキー操作部
130 レンズ面
140 支持片
141 軸受け孔
142 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一面にキー操作部と表示部とを配した携帯電話において、
前記表示部に表示された表示画像を視認可能な材料により形成され、前記キー操作部を覆う位置と、該キー操作部を開放して該表示部を覆う位置と、を選択的に移動するカバーを、前記携帯電話の筐体に設けたことを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
前記カバーは、一端を前記筐体に回動軸によって回動自在に軸支されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話。
【請求項3】
前記カバーは前記表示部上に位置した状態で該表示部に表示された表示画像を拡大するレンズ面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電話。
【請求項4】
前記カバーは前記表示部上に位置した状態で該表示部に表示された表示画像を視認可能なハーフミラーで形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の携帯電話。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate