撮像レンズ、撮像装置および撮像ユニット
【課題】可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせが必要ない撮像レンズを提供すること。
【解決手段】撮像レンズ10は、赤外域の850nmの波長の光線が焦点を結ぶ位置を、可視光域(400nm〜700nm)の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させるホログラム11を備えている。撮像レンズ10は、可視光域の光線の基準波長(500nm)をW1、特定波長(850nm)をW2、基準波長に対する全系の焦点距離をf、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfHとしたときに、下式を満たす。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
【解決手段】撮像レンズ10は、赤外域の850nmの波長の光線が焦点を結ぶ位置を、可視光域(400nm〜700nm)の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させるホログラム11を備えている。撮像レンズ10は、可視光域の光線の基準波長(500nm)をW1、特定波長(850nm)をW2、基準波長に対する全系の焦点距離をf、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfHとしたときに、下式を満たす。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光線下の撮像および赤外線下の撮像の双方に用いる撮像レンズ、撮像装置および撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラや車載カメラの中には、昼間の可視光線下における通常の撮像に加え、夜間の赤外線照明装置を利用した特定波長の赤外線下における撮像が可能なものがある。このような撮像装置では、可視光線と赤外線の波長の相違に起因して、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時で撮像レンズの焦点位置が変化し、ピントずれが発生する。特許文献1には、撮像レンズの焦点位置の変化に合わせて撮像素子を移動させることにより、このピントずれを解消する撮像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−148421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像素子を移動させてピント合わせを行なって可視光線と赤外線の波長の相違に起因するピントずれを解消する構成では、撮像装置内に撮像素子を移動させるための機構を備えなければならないので、撮像装置の構成が複雑化するという問題がある。
【0005】
このような問題点に鑑みて、本発明の課題は、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない撮像レンズを提供することにある。また、このような撮像レンズを搭載する撮像装置および撮像ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の撮像レンズは、
赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置を、可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させるホログラムを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の撮像レンズは、ホログラムによって赤外域の特定波長の光線を屈折させて、この特定波長の光線が焦点を結ぶ位置を可視光域の光線の焦点位置に一致させているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。ここで、本発明において、可視光域の光線とは、波長が400nm以上700nm未満の範囲の光線であり、赤外域の光線とは700nm以上の波長の光線である。
【0008】
本発明において、前記ホログラムは、前記特定波長に最大回折効率を備え、可視光域の光線の基準波長をW1、前記特定波長をW2、前記基準波長に対する全系の焦点距離をf、前記特定波長に対する前記ホログラムの焦点距離をfHとしたときに、下式を満たすことが望ましい。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
【0009】
撮像レンズは、条件式の値が下限を下回る場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置が過剰補正され、像面がマイナス方向にずれる。一方、条件式の値が上限から外れる場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置が補正不足となり、像面がプラス方向にずれて、ピントが甘くなる。
【0010】
本発明において、前記基準波長は、500nmであり、前記特定波長は、800nm以上であることが望ましい。
【0011】
本発明において、撮像レンズは、物体側より順に、負のパワーを持つ前群レンズと正のパワーを持つ後群レンズとから構成され、前記後群レンズは、複数枚のレンズを備えており、前記ホログラムは、前記複数枚のレンズの間に配置されているか、または、前記複数枚のレンズのうちのいずれかのレンズのレンズ面に形成されていることが望ましい。このような位置にホログラムを配置すれば、ホログラムを小さくすることができる。また、赤外域の特定波長の光線の軸方向の収差を、画面全体に補正することが可能となる。
【0012】
この場合において、前記前群レンズは、1枚または2枚の凹レンズからなり、前記後群レンズは、前側レンズと後側レンズとからなり、前記ホログラムは、前記前側レンズと前記後側レンズとの間に配置されているものとすることができる。このようにすれば、3枚または4枚のレンズで、車載カメラや監視カメラに適した広角レンズを構成することができる。また、ホログラムとレンズを別体としているので、レンズ設計の自由度が高い。
【0013】
また、この場合において、前記前群レンズは、1枚または2枚の凹レンズからなり、前記後群レンズは、前側レンズと後側レンズとからなり、前記ホログラムは、前記前側レンズの後側レンズ面、または、前記後側レンズの前側レンズ面のいずれか一方に形成されているものとすることができる。このようにすれば、3枚または4枚のレンズで、車載カメラや監視カメラに適した広角レンズを構成することができる。
【0014】
次に、本発明の撮像装置は、
上記の撮像レンズと、
前記焦点位置に配置された撮像素子とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、撮像素子は、赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置であり、かつ、可視光域の光線の焦点位置に配置されている。従って、本発明の撮像装置によれば、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。
【0016】
また、本発明の撮像装置は、
上記の撮像レンズと、
前記焦点位置に配置された撮像素子と、
可視光域の光線を透過し、可視光域よりも長波長側に隣接する赤外域の第1の波長帯域の光線を遮断する特性を有するとともに、前記第1の波長帯域の内側の一部分である第2の波長帯域の光線を透過する特性を有する光学フィルタとを有し、
前記光学フィルタは、前記撮像レンズの物体側に配置されており、前記第2の波長帯域に前記特定波長を含んでいることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、撮像素子は、赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置であり、かつ、可視光域の光線の焦点位置に配置されている。従って、本発明の撮像装置によれば、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、撮像装置は、光学フィルタによって、撮像に適した波長の光線のみを利用することができるので、ピントぼけを抑制できる。さらに、光学フィルタが第2の波長帯域として、人や物体が放射する特定波長の赤外域の光線(電磁波)を透過させるようにすれば、撮像ユニットを、所謂、遠赤外線(パッシブ赤外線)撮像装置とすることができる。
【0018】
次に、本発明の撮像ユニットは、
上記の撮像装置と、
撮像対象となる対象物に前記特定波長の光線を照射する照明装置とを有することを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、撮像装置は、赤外線下の撮像に際して、撮像に適した特定波長の光線の反射光で対象物を撮像できる。また、撮像ユニットを、撮像対象となる対象物に可視光域に比較的近い波長の赤外域の光線を照射してその反射光で対象物の撮像を行う、所謂、近赤外線(アクティブ赤外線)撮像ユニットとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の撮像レンズは、ホログラムによって、赤外域の特定波長の光線だけを屈折させて、この特定波長の光線が焦点を結ぶ位置を可視光域の光線の焦点位置に一致させているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、本発明の撮像装置および撮像ユニットは、撮像素子が赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置であり、かつ、可視光域の第2波長の光線の焦点位置に配置されているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の撮像レンズの構成図である。
【図2】実施例1の撮像レンズの収差図およびMTFグラフである。
【図3】比較例の撮像レンズの構成図である。
【図4】比較例の撮像レンズの収差図およびMTFグラフである。
【図5】実施例2の撮像レンズの構成図である。
【図6】実施例2の撮像レンズの収差図およびMTFグラフである。
【図7】実施例2の撮像レンズの光学特性を示すグラフである。
【図8】撮像レンズの条件式の値が下限を下回る場合の光学特性を示すグラフである。
【図9】撮像レンズの条件式の値が下限に近い場合の光学特性を示すグラフである。
【図10】撮像レンズの条件式の値が上限を上回る場合の光学特性を示すグラフである。
【図11】撮像レンズの条件式の値が上限の場合の光学特性を示すグラフである。
【図12】変形例1の撮像レンズのMTFグラフである。
【図13】変形例2の撮像レンズのMTFグラフである。
【図14】変形例3の撮像レンズのMTFグラフである。
【図15】実施例3の撮像レンズの構成図である。
【図16】実施例3の撮像レンズの収差図およびMTFグラフである。
【図17】本発明の撮像レンズを搭載する撮像装置の説明図である。
【図18】本発明の撮像レンズを搭載する撮像ユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して、本発明を適用した撮像レンズの各実施例を説明する。
【0023】
(実施例1)
図1は実施例1の撮像レンズの構成図である。本例の撮像レンズ10は、850nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム11によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と850nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要としたものである。
【0024】
撮像レンズ10は画角が172.6°の広角レンズであり、物体側から結像面12に向かって負のパワーを有する前群レンズIと正のパワーを有する後群レンズIIがこの順序に配列された構成となっている。前群レンズIと後群レンズIIは、それぞれ2枚のレンズから構成されている。より具体的には、前群レンズIは第1凹レンズ13と第2凹レンズ14から構成され、これらは物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなっている。後群レンズIIは1枚の前側レンズ15と1枚の後側レンズ16から構成されている。前側レンズ15と後側レンズ16の間には絞り17が配置され、絞り17の結像側近傍にはホログラム11が配置されている。なお、本発明では、物体側から連続して2枚以上の凹レンズが配置されている場合に、物体側から2枚のレンズを前群レンズIとして把握する。物体側から1枚の凹レンズがあり、2枚目は凹レンズではない場合には、この1枚の凹レンズを前群レンズIとして把握する。
【0025】
ホログラム11は、正のパワーを有し、850nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム11としては、体積ホログラムおよびレリーフ型ホログラムのいずれを用いることもできる。後側レンズ16と結像面12の間にはカバーガラス18が配置されている。第1レンズ群Iの第2凹レンズ14の両側のレンズ面14a、14b、第2レンズ群IIの前側レンズ15の両側のレンズ面15a、15b、および、後側レンズ16の両側のレンズ面16a、16bは非球面とされている。
【0026】
撮像レンズ10の全光学系のレンズデータは次の通りである。
Fナンバー:2.4
焦点距離
f :1.4572mm(全系)
fH :22mm(ホログラム11)
f1 :−5.77mm(第1凹レンズ13)
f2 :−2.50mm(第2凹レンズ14)
f3 :2.50mm(前側レンズ15)
f3 :3.10mm(後側レンズ16)
f12:−1.41mm(前群レンズI)
f23:3.07mm(後群レンズII)
画角 :172.6°
本例では、可視光域の光線の基準波長W1を500nmとしており、撮像レンズ10の全系の焦点距離は、基準波長W1に対するものである。また、ホログラム11の焦点距離fHは、850nmの特定波長W2の赤外域の光線に対するものである。
【0027】
表1Aは撮像レンズ10の各レンズ面のレンズデータを示し、表1Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表1Aにおいて、iは物体側より数えたレンズ面の順番を表し、Rはレンズ面の曲率を表し、Dはレンズ面の距離を表し、Ndは各レンズの屈折率を表し、νdは各レンズのアッベ数を表す。また、Sは絞り面、Hはホログラム面、*印はレンズ面が非球面であることを示す。
【0028】
【表1A】
【0029】
【表1B】
【0030】
ここで、レンズ面に採用する非球面形状は、光軸方向の軸をX、光軸に直交する方向の高さをH、円錐係数をK、非球面係数をA、B、C、D、E、F、Gとすると、次式により表すことができる。なお、各記号の意味および非球面形状を表す式は、後述の実施例においても同様である。
【0031】
【数1】
【0032】
撮像レンズ10は、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(850nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(1.4572mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(22mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、撮像レンズ10では、条件式の値は8.9となっている。
【0033】
図2(a)〜(d)は、それぞれ撮像レンズ10における球面収差図、横収差図、白色MTF(Modulation Transfer Function)グラフ、赤外MTFグラフである。図2(a)の球面収差図は、横軸が光線が光軸と交わる位置であり、縦軸が光線が光学系に入射する高さである。図2(a)には赤外域の波長850nmの光線に対する球面収差が補正されていることが示されている。図2(b)は各画角におけるメリジオナル面およびサジタル面における横収差図である。横軸は入射瞳座標であり、縦軸は横収差を示す。図2(a)には各画角において赤外域の波長850nmの光線に対する横収差が補正されていることが示されている。図2(c)、(d)の各MTFグラフは、横軸が空間周波数であり、縦軸がコントラストを示している。図2(d)には赤外域の光線下の撮像時において空間周波数の増加に伴うコントラストの低下が抑制されていることが示されている。
【0034】
ここで、図3は比較例の撮像レンズ10Aの構成図である。比較例の撮像レンズ10Aは、実施例1の撮像レンズ10Aからホログラム11を省略したものであり、撮像レンズ10Aと同様の構成を備えているので、対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、撮像レンズ10Aの全光学系のレンズデータ、各レンズ面のレンズデータおよび非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数は、ホログラム11を省略したことに伴い、変更されている。
【0035】
図4(a)〜(d)は、それぞれ、比較例の撮像レンズ10Aにおける球面収差図、横収差図、白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。図2および図4の収差図に示されるように、実施例1の撮像レンズ10では、比較例の撮像レンズ10Aと比べて、赤外域の光線に対する球面収差および横収差が補正されており、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、図2および図4の各赤外MTFグラフに示されるように、実施例1の撮像レンズ10では、比較例の撮像レンズ10Aと比べて、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0036】
本例の撮像レンズ10は、前群レンズIおよび後群レンズIIのそれぞれが2枚のレンズから構成された広角レンズであるが、前群レンズIおよび後群レンズIIのそれぞれを3枚以上のレンズを用いて構成してもよい。この場合には、ホログラム11を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、小さなホログラムを用いることができる。また、ホログラム11を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、赤外域の特定波長W2の光線の軸方向の収差を、画面全体に補正することが可能となる。
【0037】
また、本例の撮像レンズ10において、下式を満たす場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置がより適切に補正された状態で、かつ、コントラスト低下が抑制された状態となり、好ましい。
7≦|fH/f|/(W2/W1)≦10
【0038】
(実施例2)
図5は実施例2の撮像レンズ20の構成図である。本例の撮像レンズ20は、850nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム21によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と850nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要としたものである。
【0039】
撮像レンズ20は画角が88.8°の広角レンズであり、物体側から結像面22に向かって負のパワーを有する前群レンズIと正のパワーを有する後群レンズIIがこの順序に配列された構成となっている。前群レンズIは1枚の凹レンズ23から構成され、後群レンズIIは前側レンズ24と後側レンズ25の2枚のレンズから構成されている。前側レンズ24と後側レンズ25の間には絞り26が配置され、絞り26の結像側近傍にはホログラム21が配置されている。ホログラム21は正のパワーを有し、850nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム21としては、体積ホログラムおよびレリーフ型ホログラムのいずれを用いることもできる。後側レンズ25と結像面22の間にはカバーガラス27が配置されている。第1レンズ群Iの凹レンズ23の両側のレンズ面23a、23b、第2レンズ群IIの前側レンズ24の両側のレンズ面24a、24b、および、後側レンズ25の両側のレンズ面25a、25bは非球面とされている。
【0040】
撮像レンズ20の全光学系のレンズデータは次の通りである。
Fナンバー:2.8
焦点距離
f :0.964mm(全系)
fH :13.93mm(ホログラム21)
f1 :−2.13mm(凹レンズ23)
f2 :2.44mm(前側レンズ24
f3 :1.36mm(後側レンズ25)
f1 :−2.13mm(前群レンズI)
f23:1.34mm(後群レンズII)
画角 :88.8°
本例では、可視光域の光線の基準波長W1を500nmとしており、撮像レンズ20の全系の焦点距離は、基準波長W1に対するものである。また、ホログラム21の焦点距離fHは、850nmの特定波長W2の赤外域の光線に対するものである。
【0041】
表2Aは撮像レンズ20の各レンズ面のレンズデータを示し、表2Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【0042】
【表2A】
【0043】
【表2B】
【0044】
撮像レンズ20は、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(850nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(0.964mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(13.93mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、撮像レンズ20では、条件式の値は8.5となっている。
【0045】
図6(a)〜(d)は、それぞれ撮像レンズ20における球面収差図、横収差図、白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。図6に示されるように、本例の撮像レンズ20では、赤外域の光線に対する球面収差および横収差が補正されているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、図6の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズ20では赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0046】
なお、本例の撮像レンズ20は、後群レンズIIが2枚のレンズから構成された広角レンズであるが、後群レンズIIを3枚以上のレンズを用いて構成することもできる。この場合には、ホログラム21を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、小さなホログラムを用いることができる。また、ホログラム21を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、赤外域の特定波長W2の光線の軸方向の収差を、画面全体に補正することが可能となる。
【0047】
ここで、図7〜図11を参照して、実施例2の撮像レンズ20のホログラム31の焦点距離をfHを変更して、条件式の値の範囲について検証したデータを説明する。図7〜図11の(a)〜(d)のそれぞれは、撮像レンズ20における球面収差図、横収差図、赤外域の特定波長の光線の像面湾曲収差図、白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。像面湾曲収差図は、横軸が光線が光軸と交わる位置であり、縦軸が光線が光学系に入射する高さである。また、図7〜図11の各グラフは、波長の表示のレンジが±20μmであり、基準波長W1が546nm、特定波長W2が850nmである。なお、図6および後述する図12〜図14、図16は、波長の表示のレンジが±40μmであり、基準波長W1が500nm、特定波長W2が850nmである。図7は条件式の値が8.5の場合であり、図7(a)、(b)、(d)、(e)は、図6(a)〜(d)と同一の特性を示している。図6(c)には、赤外域の特定波長W2の光線の像面湾曲収差の発生が抑えられていることが示されている。
【0048】
図8は条件式の値が5.5の場合である。条件式の値が下限を下回る場合には、赤外域の特定波長W2の光線の焦点位置が過剰補正されており、ピントずれが大きく、像面がマイナス方向に大きくずれている。また、赤外域の特定波長W2の光線の像面湾曲収差が発生しており、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が発生している。図9は、条件式の値が6.7の場合である。条件式の値が6を超える場合には、像面がマイナス方向にずれているが、撮像レンズとして用いることができる許容範囲内となっており、ピントずれも少ない。また、赤外域の特定波長W2の光線の像面湾曲収差は抑制されており、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0049】
図10は、条件式の値が15.3の場合である。条件式の値が上限を上回る場合には、赤外域の特定波長W2の光線の焦点位置が補正不足となり、像面がプラス方向にずれて、ピントが甘くなっている。また、赤外域の特定波長W2の光線の像面湾曲収差が発生しており、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が発生している。図11は、条件式の値が上限の14の場合である。条件式の値が上限となっている場合には、像面はプラス方向にずれているが、撮像レンズとして用いることができる許容範囲内となっている。また、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0050】
なお、本例の撮像レンズ20において、条件式の値の下限を7以上、上限を10以下とした場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置がより適切に補正された状態で、かつ、コントラスト低下が抑制された状態となり、好ましい。
【0051】
(実施例2の変形例1)
ここで、撮像レンズ20の変形例を説明する。変形例1の撮像レンズは、ホログラム21の焦点距離fHを除き、実施例2の撮像レンズ20と同一の構成を備える。本例において、ホログラム21は正のパワーを有する体積ホログラムであり、700nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム21の焦点距離fHは、波長W2が700nmの赤外域の光線に対して、fH=11.5mmとなっている。
【0052】
従って、本例では、700nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム21によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と700nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要にする。
【0053】
また、本例の撮像レンズは、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(700nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(0.964mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(11.5mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、本例の撮像レンズでは、条件式の値は8.5となっている。
【0054】
図12(a)、(b)は、それぞれ本例の撮像レンズにおける白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。本例においても、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要はなく、図12の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズでは赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0055】
(実施例2の変形例2)
変形例2の撮像レンズは、ホログラム21の焦点距離fHを除き、実施例2の撮像レンズ20と同一の構成を備える。本例において、ホログラム21は正のパワーを有する体積ホログラムであり、1000nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム21の焦点距離fHは、波長W2が1000nmの赤外域の光線に対して、fH=16mmとなっている。
【0056】
従って、本例では、1000nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム21によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と1000nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要にする。
【0057】
また、本例の撮像レンズは、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(1000nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(0.964mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(16mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、本例の撮像レンズでは、条件式の値は8.3となっている。
【0058】
図13(a)、(b)は、それぞれ本例の撮像レンズにおける白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。本例においても、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要はなく、図13の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズでは赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0059】
(実施例2の変形例3)
変形例2の撮像レンズは、ホログラム21の焦点距離fHを除き、実施例2の撮像レンズ20と同一の構成を備える。本例において、ホログラム21は正のパワーを有する体積ホログラムであり、1500nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム21の焦点距離fHは、波長W2が1500nmの赤外域の光線に対して、fH=18mmなっている。
【0060】
従って、本例では、1500nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム21によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と1500nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要にする。
【0061】
また、本例の撮像レンズは、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(1500nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(0.964mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(18mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、本例の撮像レンズでは、条件式の値は6.2となっている。
【0062】
図14(a)、(b)は、それぞれ本例の撮像レンズにおける白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。本例においても、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要はなく、図14の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズでは赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0063】
(実施例3)
図15は実施例3の撮像レンズ30の構成図である。本例の撮像レンズ30は、850nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム31によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と850nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要としたものである。
【0064】
撮像レンズ30は画角が81.4°の広角レンズであり、物体側から結像面32に向かって負のパワーを有する前群レンズIと正のパワーを有する後群レンズIIがこの順序に配列された構成となっている。前群レンズIは1枚の凹レンズ33から構成され、後群レンズIIは前側レンズ34と後側レンズ35の2枚のレンズから構成されている。前側レンズ34と後側レンズ35の間には絞り36が配置され、絞り36の結像側近傍にはホログラム31が配置されている。ホログラム31は正のパワーを有し、850nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム31としては、体積ホログラムおよびレリーフ型ホログラムのいずれを用いることもできる。後側レンズ35と結像面32の間にはカバーガラス37が配置されている。第2レンズ群IIの前側レンズ34の両側のレンズ面34a、34b、および、後側レンズ35の両側のレンズ面35a、35bは非球面とされている。
【0065】
撮像レンズ30の全光学系のレンズデータは次の通りである。
Fナンバー:2.83
焦点距離
f :3.56mm(全系)
fH :38.5mm(ホログラム31)
f1 :−6.54mm(凹レンズ33)
f2 :4.01mm(前側レンズ34
f3 :5.86mm(後側レンズ35)
f1 :−6.54mm(前群レンズI)
f23:5.4mm(後群レンズII)
画角 :81.4°
本例では、可視光域の光線の基準波長W1を500nmとしており、撮像レンズ30の全系の焦点距離は、基準波長W1に対するものである。ホログラム31の焦点距離fHは、850nmの特定波長W2の赤外域の光線に対するものである。
【0066】
表3Aは撮像レンズ30の各レンズ面のレンズデータを示し、表3Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【0067】
【表3A】
【0068】
【表3B】
【0069】
撮像レンズ30は、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(850nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(3.56mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(38.5mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、撮像レンズ30では、条件式の値は6.4となっている。
【0070】
図16(a)〜(d)は、それぞれ撮像レンズ30における球面収差図、横収差図、白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。図16に示されるように、本例の撮像レンズ30では、赤外域の光線に対する球面収差および横収差が補正されているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、図16の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズ30では赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0071】
ここで、本例の撮像レンズ30は後群レンズIIが2枚のレンズから構成された広角レンズであるが、後群レンズIIを3枚以上のレンズを用いて構成することもできる。この場合には、ホログラム31を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、小さなホログラムを用いることができる。また、ホログラム31を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、赤外域の特定波長W2の光線の軸方向の収差を、画面全体に補正することが可能となる。
【0072】
なお、本例の撮像レンズ30においても、条件式の値の下限を7以上、上限を10以下とした場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置がより適切に補正された状態で、かつ、コントラスト低下が抑制された状態となり、好ましい。
【0073】
(その他の実施の形態)
各実施例1〜3においてホログラムが正のパワーを有する赤外域の光線の特定波長は850nmに限られるものではなく、実施例2の変形例1〜3に示したように撮像レンズ10〜30が用いられる撮像条件に基づいて特定波長を適宜に決定すればよい。特定波長を変更した場合でも、条件式を満たすことにより、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを不要とすることができる。
【0074】
また、上記の例では、ホログラム11、21、31として、光により記録可能なフォトポリマー材料を利用した体積ホログラム、或いは、表面に回折段差を備えるレリーフ型ホログラムを用いているが、撮像レンズ10〜30を構成しているレンズのレンズ面をフルネル面などとすることにより、レンズ面にホログラムを形成しても上記の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。この場合には、ホログラムは絞りに近いレンズ面に形成しておくことが好ましく、例えば、後群レンズIIの前側レンズ15、24、34の後側レンズ面、または、後側レンズ16、25、35の前側レンズ面のいずれか一方に形成しておくことができる。
【0075】
(撮像装置)
次に、図17を参照して、本発明の撮像レンズを搭載する撮像装置を説明する。図17は撮像レンズを搭載した撮像装置の説明図である。図17(a)に示すように、撮像レンズ10の結像面(焦点位置)12にCCDセンサ或いはCMOSセンサなどの撮像素子40の受光部41を配置することにより、可視光線下の撮像および特定波長の赤外線下の撮像が可能な撮像装置50を構成することができる。勿論、他の実施例の撮像レンズ20、30の結像面22、32にCCDセンサ或いはCMOSセンサなどの撮像素子40の受光部を配置することによっても、可視光線下の撮像および特定波長の赤外線下の撮像が可能な撮像装置を構成することができる。このような撮像装置50によれば、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせの必要がない。
【0076】
また、撮像装置50を利用すれば、図17(b)に示すように、可視光線下の撮像に加えて、人や物体が放射する赤外域の電磁波(光線)を利用した撮像を行うことが可能な撮像装置60を構成することができる。
【0077】
撮像装置60は、所謂、遠赤外線(パッシブ赤外線)撮像装置であり、例えば、人や物体が放射する波長8〜12μmの電磁波を映像化する。このような撮像装置60では、撮像レンズ10に幅広い帯域の電磁波が入射してピントずれが発生しやすくなっているので、可視光域の波長の光線、および、撮像に用いる波長8〜12μmの範囲内の特定波長の電磁波を中心とする一定範囲の帯域の電磁波を透過させる光学フィルタ61を撮像レンズ10の対物側に配置することにより、撮像に適した波長の光線のみを利用することが可能となり、撮像時のピンぼけを防止することができる。一定範囲の帯域としては、光学フィルタ61が特定波長の電磁波を透過させる半値幅の範囲とすることができる。
【0078】
ここで、本例の撮像装置60に搭載する光学フィルタ61は、図17(c)に示すように、可視光域B1の光線を透過し、可視光域よりも長波長側に隣接する第1の波長帯域B2の光線を遮断する特性を有するとともに、第1の波長帯域の内側の一部分である第2の波長帯域B3の光線を透過する特性を有するものとする。また、第2の波長帯域B3を、撮像を行うための特定波長W2を含む帯域とする。なお、このような光学フィルタとしては、特開2006−10764号公報に記載されているものを用いることができる。従って、このような光学フィルタを、撮像装置60に搭載されている撮像レンズのレンズ面へのコーティングによって配置することもできる。ここで、撮像に用いる電磁波の特定波長は8〜12μmの範囲内に限られるものではなく、撮像対象となる対象物を撮像するのに適した波長を適宜に選択すればよい。
【0079】
(撮像ユニット)
さらに、撮像装置50を利用すれば、図18に示すように、可視光線下の撮像に加えて、撮像対象となる対象物に可視光域に比較的近い波長の赤外域の光線を照射してその反射光で対象物の撮像を行う撮像ユニット70を構成することができる。
【0080】
撮像ユニット70は、所謂、近赤外線(アクティブ赤外線)撮像ユニットであり、撮像装置50と、撮像対象となる対象物に赤外域の特定波長の光線を照射する赤外線照明装置71とから構成される。赤外線照明装置71は、例えば、波長0.8〜1.1μmの範囲の赤外域の特定波長の光線を照射するものとし、ホログラムが最大回折効率を備える特定波長W2と、赤外線照明装置71が照射する赤外域の光線のピーク波長を一致させておく。このような撮像ユニット70によれば、赤外線下の撮像に際して、撮像に適した特定波長の光線の反射光で対象物を撮像できるので、ピントぼけが発生しない。
【符号の説明】
【0081】
10・10A・20・30 撮像レンズ
11・21・31 ホログラム
12・22・32 結像面
13 第1凹レンズ
14 第2凹レンズ
15・24・34 前側レンズ
16・25・35 後側レンズ
18・27・37 カバーガラス
23・33 凹レンズ
40 撮像素子
41 受光部
50・60 撮像装置
61 光学フィルタ
70 撮像ユニット
71 赤外線照明装置
I 前群レンズ
II 後群レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光線下の撮像および赤外線下の撮像の双方に用いる撮像レンズ、撮像装置および撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラや車載カメラの中には、昼間の可視光線下における通常の撮像に加え、夜間の赤外線照明装置を利用した特定波長の赤外線下における撮像が可能なものがある。このような撮像装置では、可視光線と赤外線の波長の相違に起因して、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時で撮像レンズの焦点位置が変化し、ピントずれが発生する。特許文献1には、撮像レンズの焦点位置の変化に合わせて撮像素子を移動させることにより、このピントずれを解消する撮像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−148421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像素子を移動させてピント合わせを行なって可視光線と赤外線の波長の相違に起因するピントずれを解消する構成では、撮像装置内に撮像素子を移動させるための機構を備えなければならないので、撮像装置の構成が複雑化するという問題がある。
【0005】
このような問題点に鑑みて、本発明の課題は、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない撮像レンズを提供することにある。また、このような撮像レンズを搭載する撮像装置および撮像ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の撮像レンズは、
赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置を、可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させるホログラムを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の撮像レンズは、ホログラムによって赤外域の特定波長の光線を屈折させて、この特定波長の光線が焦点を結ぶ位置を可視光域の光線の焦点位置に一致させているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。ここで、本発明において、可視光域の光線とは、波長が400nm以上700nm未満の範囲の光線であり、赤外域の光線とは700nm以上の波長の光線である。
【0008】
本発明において、前記ホログラムは、前記特定波長に最大回折効率を備え、可視光域の光線の基準波長をW1、前記特定波長をW2、前記基準波長に対する全系の焦点距離をf、前記特定波長に対する前記ホログラムの焦点距離をfHとしたときに、下式を満たすことが望ましい。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
【0009】
撮像レンズは、条件式の値が下限を下回る場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置が過剰補正され、像面がマイナス方向にずれる。一方、条件式の値が上限から外れる場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置が補正不足となり、像面がプラス方向にずれて、ピントが甘くなる。
【0010】
本発明において、前記基準波長は、500nmであり、前記特定波長は、800nm以上であることが望ましい。
【0011】
本発明において、撮像レンズは、物体側より順に、負のパワーを持つ前群レンズと正のパワーを持つ後群レンズとから構成され、前記後群レンズは、複数枚のレンズを備えており、前記ホログラムは、前記複数枚のレンズの間に配置されているか、または、前記複数枚のレンズのうちのいずれかのレンズのレンズ面に形成されていることが望ましい。このような位置にホログラムを配置すれば、ホログラムを小さくすることができる。また、赤外域の特定波長の光線の軸方向の収差を、画面全体に補正することが可能となる。
【0012】
この場合において、前記前群レンズは、1枚または2枚の凹レンズからなり、前記後群レンズは、前側レンズと後側レンズとからなり、前記ホログラムは、前記前側レンズと前記後側レンズとの間に配置されているものとすることができる。このようにすれば、3枚または4枚のレンズで、車載カメラや監視カメラに適した広角レンズを構成することができる。また、ホログラムとレンズを別体としているので、レンズ設計の自由度が高い。
【0013】
また、この場合において、前記前群レンズは、1枚または2枚の凹レンズからなり、前記後群レンズは、前側レンズと後側レンズとからなり、前記ホログラムは、前記前側レンズの後側レンズ面、または、前記後側レンズの前側レンズ面のいずれか一方に形成されているものとすることができる。このようにすれば、3枚または4枚のレンズで、車載カメラや監視カメラに適した広角レンズを構成することができる。
【0014】
次に、本発明の撮像装置は、
上記の撮像レンズと、
前記焦点位置に配置された撮像素子とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、撮像素子は、赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置であり、かつ、可視光域の光線の焦点位置に配置されている。従って、本発明の撮像装置によれば、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。
【0016】
また、本発明の撮像装置は、
上記の撮像レンズと、
前記焦点位置に配置された撮像素子と、
可視光域の光線を透過し、可視光域よりも長波長側に隣接する赤外域の第1の波長帯域の光線を遮断する特性を有するとともに、前記第1の波長帯域の内側の一部分である第2の波長帯域の光線を透過する特性を有する光学フィルタとを有し、
前記光学フィルタは、前記撮像レンズの物体側に配置されており、前記第2の波長帯域に前記特定波長を含んでいることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、撮像素子は、赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置であり、かつ、可視光域の光線の焦点位置に配置されている。従って、本発明の撮像装置によれば、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、撮像装置は、光学フィルタによって、撮像に適した波長の光線のみを利用することができるので、ピントぼけを抑制できる。さらに、光学フィルタが第2の波長帯域として、人や物体が放射する特定波長の赤外域の光線(電磁波)を透過させるようにすれば、撮像ユニットを、所謂、遠赤外線(パッシブ赤外線)撮像装置とすることができる。
【0018】
次に、本発明の撮像ユニットは、
上記の撮像装置と、
撮像対象となる対象物に前記特定波長の光線を照射する照明装置とを有することを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、撮像装置は、赤外線下の撮像に際して、撮像に適した特定波長の光線の反射光で対象物を撮像できる。また、撮像ユニットを、撮像対象となる対象物に可視光域に比較的近い波長の赤外域の光線を照射してその反射光で対象物の撮像を行う、所謂、近赤外線(アクティブ赤外線)撮像ユニットとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の撮像レンズは、ホログラムによって、赤外域の特定波長の光線だけを屈折させて、この特定波長の光線が焦点を結ぶ位置を可視光域の光線の焦点位置に一致させているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、本発明の撮像装置および撮像ユニットは、撮像素子が赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置であり、かつ、可視光域の第2波長の光線の焦点位置に配置されているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の撮像レンズの構成図である。
【図2】実施例1の撮像レンズの収差図およびMTFグラフである。
【図3】比較例の撮像レンズの構成図である。
【図4】比較例の撮像レンズの収差図およびMTFグラフである。
【図5】実施例2の撮像レンズの構成図である。
【図6】実施例2の撮像レンズの収差図およびMTFグラフである。
【図7】実施例2の撮像レンズの光学特性を示すグラフである。
【図8】撮像レンズの条件式の値が下限を下回る場合の光学特性を示すグラフである。
【図9】撮像レンズの条件式の値が下限に近い場合の光学特性を示すグラフである。
【図10】撮像レンズの条件式の値が上限を上回る場合の光学特性を示すグラフである。
【図11】撮像レンズの条件式の値が上限の場合の光学特性を示すグラフである。
【図12】変形例1の撮像レンズのMTFグラフである。
【図13】変形例2の撮像レンズのMTFグラフである。
【図14】変形例3の撮像レンズのMTFグラフである。
【図15】実施例3の撮像レンズの構成図である。
【図16】実施例3の撮像レンズの収差図およびMTFグラフである。
【図17】本発明の撮像レンズを搭載する撮像装置の説明図である。
【図18】本発明の撮像レンズを搭載する撮像ユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して、本発明を適用した撮像レンズの各実施例を説明する。
【0023】
(実施例1)
図1は実施例1の撮像レンズの構成図である。本例の撮像レンズ10は、850nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム11によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と850nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要としたものである。
【0024】
撮像レンズ10は画角が172.6°の広角レンズであり、物体側から結像面12に向かって負のパワーを有する前群レンズIと正のパワーを有する後群レンズIIがこの順序に配列された構成となっている。前群レンズIと後群レンズIIは、それぞれ2枚のレンズから構成されている。より具体的には、前群レンズIは第1凹レンズ13と第2凹レンズ14から構成され、これらは物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなっている。後群レンズIIは1枚の前側レンズ15と1枚の後側レンズ16から構成されている。前側レンズ15と後側レンズ16の間には絞り17が配置され、絞り17の結像側近傍にはホログラム11が配置されている。なお、本発明では、物体側から連続して2枚以上の凹レンズが配置されている場合に、物体側から2枚のレンズを前群レンズIとして把握する。物体側から1枚の凹レンズがあり、2枚目は凹レンズではない場合には、この1枚の凹レンズを前群レンズIとして把握する。
【0025】
ホログラム11は、正のパワーを有し、850nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム11としては、体積ホログラムおよびレリーフ型ホログラムのいずれを用いることもできる。後側レンズ16と結像面12の間にはカバーガラス18が配置されている。第1レンズ群Iの第2凹レンズ14の両側のレンズ面14a、14b、第2レンズ群IIの前側レンズ15の両側のレンズ面15a、15b、および、後側レンズ16の両側のレンズ面16a、16bは非球面とされている。
【0026】
撮像レンズ10の全光学系のレンズデータは次の通りである。
Fナンバー:2.4
焦点距離
f :1.4572mm(全系)
fH :22mm(ホログラム11)
f1 :−5.77mm(第1凹レンズ13)
f2 :−2.50mm(第2凹レンズ14)
f3 :2.50mm(前側レンズ15)
f3 :3.10mm(後側レンズ16)
f12:−1.41mm(前群レンズI)
f23:3.07mm(後群レンズII)
画角 :172.6°
本例では、可視光域の光線の基準波長W1を500nmとしており、撮像レンズ10の全系の焦点距離は、基準波長W1に対するものである。また、ホログラム11の焦点距離fHは、850nmの特定波長W2の赤外域の光線に対するものである。
【0027】
表1Aは撮像レンズ10の各レンズ面のレンズデータを示し、表1Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表1Aにおいて、iは物体側より数えたレンズ面の順番を表し、Rはレンズ面の曲率を表し、Dはレンズ面の距離を表し、Ndは各レンズの屈折率を表し、νdは各レンズのアッベ数を表す。また、Sは絞り面、Hはホログラム面、*印はレンズ面が非球面であることを示す。
【0028】
【表1A】
【0029】
【表1B】
【0030】
ここで、レンズ面に採用する非球面形状は、光軸方向の軸をX、光軸に直交する方向の高さをH、円錐係数をK、非球面係数をA、B、C、D、E、F、Gとすると、次式により表すことができる。なお、各記号の意味および非球面形状を表す式は、後述の実施例においても同様である。
【0031】
【数1】
【0032】
撮像レンズ10は、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(850nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(1.4572mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(22mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、撮像レンズ10では、条件式の値は8.9となっている。
【0033】
図2(a)〜(d)は、それぞれ撮像レンズ10における球面収差図、横収差図、白色MTF(Modulation Transfer Function)グラフ、赤外MTFグラフである。図2(a)の球面収差図は、横軸が光線が光軸と交わる位置であり、縦軸が光線が光学系に入射する高さである。図2(a)には赤外域の波長850nmの光線に対する球面収差が補正されていることが示されている。図2(b)は各画角におけるメリジオナル面およびサジタル面における横収差図である。横軸は入射瞳座標であり、縦軸は横収差を示す。図2(a)には各画角において赤外域の波長850nmの光線に対する横収差が補正されていることが示されている。図2(c)、(d)の各MTFグラフは、横軸が空間周波数であり、縦軸がコントラストを示している。図2(d)には赤外域の光線下の撮像時において空間周波数の増加に伴うコントラストの低下が抑制されていることが示されている。
【0034】
ここで、図3は比較例の撮像レンズ10Aの構成図である。比較例の撮像レンズ10Aは、実施例1の撮像レンズ10Aからホログラム11を省略したものであり、撮像レンズ10Aと同様の構成を備えているので、対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、撮像レンズ10Aの全光学系のレンズデータ、各レンズ面のレンズデータおよび非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数は、ホログラム11を省略したことに伴い、変更されている。
【0035】
図4(a)〜(d)は、それぞれ、比較例の撮像レンズ10Aにおける球面収差図、横収差図、白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。図2および図4の収差図に示されるように、実施例1の撮像レンズ10では、比較例の撮像レンズ10Aと比べて、赤外域の光線に対する球面収差および横収差が補正されており、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、図2および図4の各赤外MTFグラフに示されるように、実施例1の撮像レンズ10では、比較例の撮像レンズ10Aと比べて、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0036】
本例の撮像レンズ10は、前群レンズIおよび後群レンズIIのそれぞれが2枚のレンズから構成された広角レンズであるが、前群レンズIおよび後群レンズIIのそれぞれを3枚以上のレンズを用いて構成してもよい。この場合には、ホログラム11を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、小さなホログラムを用いることができる。また、ホログラム11を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、赤外域の特定波長W2の光線の軸方向の収差を、画面全体に補正することが可能となる。
【0037】
また、本例の撮像レンズ10において、下式を満たす場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置がより適切に補正された状態で、かつ、コントラスト低下が抑制された状態となり、好ましい。
7≦|fH/f|/(W2/W1)≦10
【0038】
(実施例2)
図5は実施例2の撮像レンズ20の構成図である。本例の撮像レンズ20は、850nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム21によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と850nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要としたものである。
【0039】
撮像レンズ20は画角が88.8°の広角レンズであり、物体側から結像面22に向かって負のパワーを有する前群レンズIと正のパワーを有する後群レンズIIがこの順序に配列された構成となっている。前群レンズIは1枚の凹レンズ23から構成され、後群レンズIIは前側レンズ24と後側レンズ25の2枚のレンズから構成されている。前側レンズ24と後側レンズ25の間には絞り26が配置され、絞り26の結像側近傍にはホログラム21が配置されている。ホログラム21は正のパワーを有し、850nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム21としては、体積ホログラムおよびレリーフ型ホログラムのいずれを用いることもできる。後側レンズ25と結像面22の間にはカバーガラス27が配置されている。第1レンズ群Iの凹レンズ23の両側のレンズ面23a、23b、第2レンズ群IIの前側レンズ24の両側のレンズ面24a、24b、および、後側レンズ25の両側のレンズ面25a、25bは非球面とされている。
【0040】
撮像レンズ20の全光学系のレンズデータは次の通りである。
Fナンバー:2.8
焦点距離
f :0.964mm(全系)
fH :13.93mm(ホログラム21)
f1 :−2.13mm(凹レンズ23)
f2 :2.44mm(前側レンズ24
f3 :1.36mm(後側レンズ25)
f1 :−2.13mm(前群レンズI)
f23:1.34mm(後群レンズII)
画角 :88.8°
本例では、可視光域の光線の基準波長W1を500nmとしており、撮像レンズ20の全系の焦点距離は、基準波長W1に対するものである。また、ホログラム21の焦点距離fHは、850nmの特定波長W2の赤外域の光線に対するものである。
【0041】
表2Aは撮像レンズ20の各レンズ面のレンズデータを示し、表2Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【0042】
【表2A】
【0043】
【表2B】
【0044】
撮像レンズ20は、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(850nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(0.964mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(13.93mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、撮像レンズ20では、条件式の値は8.5となっている。
【0045】
図6(a)〜(d)は、それぞれ撮像レンズ20における球面収差図、横収差図、白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。図6に示されるように、本例の撮像レンズ20では、赤外域の光線に対する球面収差および横収差が補正されているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、図6の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズ20では赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0046】
なお、本例の撮像レンズ20は、後群レンズIIが2枚のレンズから構成された広角レンズであるが、後群レンズIIを3枚以上のレンズを用いて構成することもできる。この場合には、ホログラム21を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、小さなホログラムを用いることができる。また、ホログラム21を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、赤外域の特定波長W2の光線の軸方向の収差を、画面全体に補正することが可能となる。
【0047】
ここで、図7〜図11を参照して、実施例2の撮像レンズ20のホログラム31の焦点距離をfHを変更して、条件式の値の範囲について検証したデータを説明する。図7〜図11の(a)〜(d)のそれぞれは、撮像レンズ20における球面収差図、横収差図、赤外域の特定波長の光線の像面湾曲収差図、白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。像面湾曲収差図は、横軸が光線が光軸と交わる位置であり、縦軸が光線が光学系に入射する高さである。また、図7〜図11の各グラフは、波長の表示のレンジが±20μmであり、基準波長W1が546nm、特定波長W2が850nmである。なお、図6および後述する図12〜図14、図16は、波長の表示のレンジが±40μmであり、基準波長W1が500nm、特定波長W2が850nmである。図7は条件式の値が8.5の場合であり、図7(a)、(b)、(d)、(e)は、図6(a)〜(d)と同一の特性を示している。図6(c)には、赤外域の特定波長W2の光線の像面湾曲収差の発生が抑えられていることが示されている。
【0048】
図8は条件式の値が5.5の場合である。条件式の値が下限を下回る場合には、赤外域の特定波長W2の光線の焦点位置が過剰補正されており、ピントずれが大きく、像面がマイナス方向に大きくずれている。また、赤外域の特定波長W2の光線の像面湾曲収差が発生しており、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が発生している。図9は、条件式の値が6.7の場合である。条件式の値が6を超える場合には、像面がマイナス方向にずれているが、撮像レンズとして用いることができる許容範囲内となっており、ピントずれも少ない。また、赤外域の特定波長W2の光線の像面湾曲収差は抑制されており、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0049】
図10は、条件式の値が15.3の場合である。条件式の値が上限を上回る場合には、赤外域の特定波長W2の光線の焦点位置が補正不足となり、像面がプラス方向にずれて、ピントが甘くなっている。また、赤外域の特定波長W2の光線の像面湾曲収差が発生しており、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が発生している。図11は、条件式の値が上限の14の場合である。条件式の値が上限となっている場合には、像面はプラス方向にずれているが、撮像レンズとして用いることができる許容範囲内となっている。また、赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0050】
なお、本例の撮像レンズ20において、条件式の値の下限を7以上、上限を10以下とした場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置がより適切に補正された状態で、かつ、コントラスト低下が抑制された状態となり、好ましい。
【0051】
(実施例2の変形例1)
ここで、撮像レンズ20の変形例を説明する。変形例1の撮像レンズは、ホログラム21の焦点距離fHを除き、実施例2の撮像レンズ20と同一の構成を備える。本例において、ホログラム21は正のパワーを有する体積ホログラムであり、700nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム21の焦点距離fHは、波長W2が700nmの赤外域の光線に対して、fH=11.5mmとなっている。
【0052】
従って、本例では、700nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム21によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と700nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要にする。
【0053】
また、本例の撮像レンズは、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(700nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(0.964mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(11.5mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、本例の撮像レンズでは、条件式の値は8.5となっている。
【0054】
図12(a)、(b)は、それぞれ本例の撮像レンズにおける白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。本例においても、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要はなく、図12の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズでは赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0055】
(実施例2の変形例2)
変形例2の撮像レンズは、ホログラム21の焦点距離fHを除き、実施例2の撮像レンズ20と同一の構成を備える。本例において、ホログラム21は正のパワーを有する体積ホログラムであり、1000nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム21の焦点距離fHは、波長W2が1000nmの赤外域の光線に対して、fH=16mmとなっている。
【0056】
従って、本例では、1000nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム21によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と1000nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要にする。
【0057】
また、本例の撮像レンズは、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(1000nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(0.964mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(16mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、本例の撮像レンズでは、条件式の値は8.3となっている。
【0058】
図13(a)、(b)は、それぞれ本例の撮像レンズにおける白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。本例においても、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要はなく、図13の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズでは赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0059】
(実施例2の変形例3)
変形例2の撮像レンズは、ホログラム21の焦点距離fHを除き、実施例2の撮像レンズ20と同一の構成を備える。本例において、ホログラム21は正のパワーを有する体積ホログラムであり、1500nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム21の焦点距離fHは、波長W2が1500nmの赤外域の光線に対して、fH=18mmなっている。
【0060】
従って、本例では、1500nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム21によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と1500nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要にする。
【0061】
また、本例の撮像レンズは、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(1500nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(0.964mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(18mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、本例の撮像レンズでは、条件式の値は6.2となっている。
【0062】
図14(a)、(b)は、それぞれ本例の撮像レンズにおける白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。本例においても、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要はなく、図14の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズでは赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0063】
(実施例3)
図15は実施例3の撮像レンズ30の構成図である。本例の撮像レンズ30は、850nmの赤外域の波長の光線が焦点を結ぶ位置を、ホログラム31によって可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させることにより、可視光線下における通常の撮像時と850nmの波長の赤外線下における撮像時でピント合わせを不要としたものである。
【0064】
撮像レンズ30は画角が81.4°の広角レンズであり、物体側から結像面32に向かって負のパワーを有する前群レンズIと正のパワーを有する後群レンズIIがこの順序に配列された構成となっている。前群レンズIは1枚の凹レンズ33から構成され、後群レンズIIは前側レンズ34と後側レンズ35の2枚のレンズから構成されている。前側レンズ34と後側レンズ35の間には絞り36が配置され、絞り36の結像側近傍にはホログラム31が配置されている。ホログラム31は正のパワーを有し、850nmの波長の光線に対して最大回折効率を備える。ホログラム31としては、体積ホログラムおよびレリーフ型ホログラムのいずれを用いることもできる。後側レンズ35と結像面32の間にはカバーガラス37が配置されている。第2レンズ群IIの前側レンズ34の両側のレンズ面34a、34b、および、後側レンズ35の両側のレンズ面35a、35bは非球面とされている。
【0065】
撮像レンズ30の全光学系のレンズデータは次の通りである。
Fナンバー:2.83
焦点距離
f :3.56mm(全系)
fH :38.5mm(ホログラム31)
f1 :−6.54mm(凹レンズ33)
f2 :4.01mm(前側レンズ34
f3 :5.86mm(後側レンズ35)
f1 :−6.54mm(前群レンズI)
f23:5.4mm(後群レンズII)
画角 :81.4°
本例では、可視光域の光線の基準波長W1を500nmとしており、撮像レンズ30の全系の焦点距離は、基準波長W1に対するものである。ホログラム31の焦点距離fHは、850nmの特定波長W2の赤外域の光線に対するものである。
【0066】
表3Aは撮像レンズ30の各レンズ面のレンズデータを示し、表3Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【0067】
【表3A】
【0068】
【表3B】
【0069】
撮像レンズ30は、可視光域の光線の基準波長をW1(500nm)、特定波長をW2(850nm)、基準波長に対する全系の焦点距離をf(3.56mm)、特定波長に対するホログラムの焦点距離をfH(38.5mm)としたときに、下式を満足している。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
すなわち、撮像レンズ30では、条件式の値は6.4となっている。
【0070】
図16(a)〜(d)は、それぞれ撮像レンズ30における球面収差図、横収差図、白色MTFグラフ、赤外MTFグラフである。図16に示されるように、本例の撮像レンズ30では、赤外域の光線に対する球面収差および横収差が補正されているので、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。また、図16の赤外MTFグラフに示されるように、本例の撮像レンズ30では赤外域の光線下の撮像時におけるコントラストの低下が抑制されている。
【0071】
ここで、本例の撮像レンズ30は後群レンズIIが2枚のレンズから構成された広角レンズであるが、後群レンズIIを3枚以上のレンズを用いて構成することもできる。この場合には、ホログラム31を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、小さなホログラムを用いることができる。また、ホログラム31を後群レンズIIを構成している複数枚のレンズの間に配置することにより、赤外域の特定波長W2の光線の軸方向の収差を、画面全体に補正することが可能となる。
【0072】
なお、本例の撮像レンズ30においても、条件式の値の下限を7以上、上限を10以下とした場合には、赤外域の特定波長の光線の焦点位置がより適切に補正された状態で、かつ、コントラスト低下が抑制された状態となり、好ましい。
【0073】
(その他の実施の形態)
各実施例1〜3においてホログラムが正のパワーを有する赤外域の光線の特定波長は850nmに限られるものではなく、実施例2の変形例1〜3に示したように撮像レンズ10〜30が用いられる撮像条件に基づいて特定波長を適宜に決定すればよい。特定波長を変更した場合でも、条件式を満たすことにより、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせを不要とすることができる。
【0074】
また、上記の例では、ホログラム11、21、31として、光により記録可能なフォトポリマー材料を利用した体積ホログラム、或いは、表面に回折段差を備えるレリーフ型ホログラムを用いているが、撮像レンズ10〜30を構成しているレンズのレンズ面をフルネル面などとすることにより、レンズ面にホログラムを形成しても上記の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。この場合には、ホログラムは絞りに近いレンズ面に形成しておくことが好ましく、例えば、後群レンズIIの前側レンズ15、24、34の後側レンズ面、または、後側レンズ16、25、35の前側レンズ面のいずれか一方に形成しておくことができる。
【0075】
(撮像装置)
次に、図17を参照して、本発明の撮像レンズを搭載する撮像装置を説明する。図17は撮像レンズを搭載した撮像装置の説明図である。図17(a)に示すように、撮像レンズ10の結像面(焦点位置)12にCCDセンサ或いはCMOSセンサなどの撮像素子40の受光部41を配置することにより、可視光線下の撮像および特定波長の赤外線下の撮像が可能な撮像装置50を構成することができる。勿論、他の実施例の撮像レンズ20、30の結像面22、32にCCDセンサ或いはCMOSセンサなどの撮像素子40の受光部を配置することによっても、可視光線下の撮像および特定波長の赤外線下の撮像が可能な撮像装置を構成することができる。このような撮像装置50によれば、可視光線下の撮像時と赤外線下の撮像時とでピント合わせの必要がない。
【0076】
また、撮像装置50を利用すれば、図17(b)に示すように、可視光線下の撮像に加えて、人や物体が放射する赤外域の電磁波(光線)を利用した撮像を行うことが可能な撮像装置60を構成することができる。
【0077】
撮像装置60は、所謂、遠赤外線(パッシブ赤外線)撮像装置であり、例えば、人や物体が放射する波長8〜12μmの電磁波を映像化する。このような撮像装置60では、撮像レンズ10に幅広い帯域の電磁波が入射してピントずれが発生しやすくなっているので、可視光域の波長の光線、および、撮像に用いる波長8〜12μmの範囲内の特定波長の電磁波を中心とする一定範囲の帯域の電磁波を透過させる光学フィルタ61を撮像レンズ10の対物側に配置することにより、撮像に適した波長の光線のみを利用することが可能となり、撮像時のピンぼけを防止することができる。一定範囲の帯域としては、光学フィルタ61が特定波長の電磁波を透過させる半値幅の範囲とすることができる。
【0078】
ここで、本例の撮像装置60に搭載する光学フィルタ61は、図17(c)に示すように、可視光域B1の光線を透過し、可視光域よりも長波長側に隣接する第1の波長帯域B2の光線を遮断する特性を有するとともに、第1の波長帯域の内側の一部分である第2の波長帯域B3の光線を透過する特性を有するものとする。また、第2の波長帯域B3を、撮像を行うための特定波長W2を含む帯域とする。なお、このような光学フィルタとしては、特開2006−10764号公報に記載されているものを用いることができる。従って、このような光学フィルタを、撮像装置60に搭載されている撮像レンズのレンズ面へのコーティングによって配置することもできる。ここで、撮像に用いる電磁波の特定波長は8〜12μmの範囲内に限られるものではなく、撮像対象となる対象物を撮像するのに適した波長を適宜に選択すればよい。
【0079】
(撮像ユニット)
さらに、撮像装置50を利用すれば、図18に示すように、可視光線下の撮像に加えて、撮像対象となる対象物に可視光域に比較的近い波長の赤外域の光線を照射してその反射光で対象物の撮像を行う撮像ユニット70を構成することができる。
【0080】
撮像ユニット70は、所謂、近赤外線(アクティブ赤外線)撮像ユニットであり、撮像装置50と、撮像対象となる対象物に赤外域の特定波長の光線を照射する赤外線照明装置71とから構成される。赤外線照明装置71は、例えば、波長0.8〜1.1μmの範囲の赤外域の特定波長の光線を照射するものとし、ホログラムが最大回折効率を備える特定波長W2と、赤外線照明装置71が照射する赤外域の光線のピーク波長を一致させておく。このような撮像ユニット70によれば、赤外線下の撮像に際して、撮像に適した特定波長の光線の反射光で対象物を撮像できるので、ピントぼけが発生しない。
【符号の説明】
【0081】
10・10A・20・30 撮像レンズ
11・21・31 ホログラム
12・22・32 結像面
13 第1凹レンズ
14 第2凹レンズ
15・24・34 前側レンズ
16・25・35 後側レンズ
18・27・37 カバーガラス
23・33 凹レンズ
40 撮像素子
41 受光部
50・60 撮像装置
61 光学フィルタ
70 撮像ユニット
71 赤外線照明装置
I 前群レンズ
II 後群レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置を、可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させるホログラムを備えることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
請求項1において、
前記ホログラムは、前記特定波長に最大回折効率を備え、
可視光域の光線の基準波長をW1、前記特定波長をW2、前記基準波長に対する全系の焦点距離をf、前記特定波長に対する前記ホログラムの焦点距離をfHとしたときに、下式を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
【請求項3】
請求項2において、
前記基準波長は、500nmであり、
前記特定波長は、800nm以上であることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
物体側より順に、負のパワーを持つ前群レンズと正のパワーを持つ後群レンズとから構成され、
前記後群レンズは、複数枚のレンズを備えており、
前記ホログラムは、前記複数枚のレンズの間に配置されているか、または、前記複数枚のレンズのうちのいずれかのレンズのレンズ面に形成されていることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項5】
請求項4において、
前記前群レンズは、1枚または2枚の凹レンズからなり、
前記後群レンズは、前側レンズと後側レンズとからなり、
前記ホログラムは、前記前側レンズと前記後側レンズとの間に配置されていることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項6】
請求項4において、
前記前群レンズは、1枚または2枚の凹レンズからなり、
前記後群レンズは、前側レンズと後側レンズとからなり、
前記ホログラムは、前記前側レンズの後側レンズ面、または、前記後側レンズの前側レンズ面のいずれか一方に形成されていることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の撮像レンズと、
前記焦点位置に配置された撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の撮像レンズと、
前記焦点位置に配置された撮像素子と、
可視光域の光線を透過し、可視光域よりも長波長側に隣接する赤外域の第1の波長帯域の光線を遮断する特性を有するとともに、前記第1の波長帯域の内側の一部分である第2の波長帯域の光線を透過する特性を有する光学フィルタとを有し、
前記光学フィルタは、前記撮像レンズの物体側に配置されており、前記第2の波長帯域に前記特定波長を含んでいることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の撮像装置と、
撮像対象となる対象物に前記特定波長の光線を照射する照明装置とを有することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項1】
赤外域の特定波長の光線が焦点を結ぶ位置を、可視光域の光線が焦点を結ぶ焦点位置に一致させるホログラムを備えることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
請求項1において、
前記ホログラムは、前記特定波長に最大回折効率を備え、
可視光域の光線の基準波長をW1、前記特定波長をW2、前記基準波長に対する全系の焦点距離をf、前記特定波長に対する前記ホログラムの焦点距離をfHとしたときに、下式を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
6<|fH/f|/(W2/W1)≦14
【請求項3】
請求項2において、
前記基準波長は、500nmであり、
前記特定波長は、800nm以上であることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
物体側より順に、負のパワーを持つ前群レンズと正のパワーを持つ後群レンズとから構成され、
前記後群レンズは、複数枚のレンズを備えており、
前記ホログラムは、前記複数枚のレンズの間に配置されているか、または、前記複数枚のレンズのうちのいずれかのレンズのレンズ面に形成されていることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項5】
請求項4において、
前記前群レンズは、1枚または2枚の凹レンズからなり、
前記後群レンズは、前側レンズと後側レンズとからなり、
前記ホログラムは、前記前側レンズと前記後側レンズとの間に配置されていることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項6】
請求項4において、
前記前群レンズは、1枚または2枚の凹レンズからなり、
前記後群レンズは、前側レンズと後側レンズとからなり、
前記ホログラムは、前記前側レンズの後側レンズ面、または、前記後側レンズの前側レンズ面のいずれか一方に形成されていることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の撮像レンズと、
前記焦点位置に配置された撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の撮像レンズと、
前記焦点位置に配置された撮像素子と、
可視光域の光線を透過し、可視光域よりも長波長側に隣接する赤外域の第1の波長帯域の光線を遮断する特性を有するとともに、前記第1の波長帯域の内側の一部分である第2の波長帯域の光線を透過する特性を有する光学フィルタとを有し、
前記光学フィルタは、前記撮像レンズの物体側に配置されており、前記第2の波長帯域に前記特定波長を含んでいることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の撮像装置と、
撮像対象となる対象物に前記特定波長の光線を照射する照明装置とを有することを特徴とする撮像ユニット。
【図1】
【図3】
【図5】
【図15】
【図17】
【図18】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図3】
【図5】
【図15】
【図17】
【図18】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【公開番号】特開2012−98561(P2012−98561A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246850(P2010−246850)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(391002775)マクセルファインテック株式会社 (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(391002775)マクセルファインテック株式会社 (40)
【Fターム(参考)】
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