撮像回路、CMOSセンサ、および撮像装置
【課題】画像のノイズを低減させる。
【解決手段】トランジスタ42は、フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力し、参照電圧回路26は、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成する。また、コンパレータ311は、トランジスタ42が出力する画素信号と、参照電圧回路26が出力するランプ信号とを比較する。そして、トランジスタ42が出力する画素信号の基準電位と、参照電圧回路26が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。本発明は、例えば、CMOSセンサに適用できる。
【解決手段】トランジスタ42は、フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力し、参照電圧回路26は、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成する。また、コンパレータ311は、トランジスタ42が出力する画素信号と、参照電圧回路26が出力するランプ信号とを比較する。そして、トランジスタ42が出力する画素信号の基準電位と、参照電圧回路26が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。本発明は、例えば、CMOSセンサに適用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像回路、CMOSセンサ、および撮像装置に関し、特に、画像のノイズを低減させることができるようにした撮像回路、CMOSセンサ、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体撮像素子であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサは、低消費電力や高速性など、例えば、CCD(Charge Coupled Device)に対する優位性を有しており、近年、携帯電話機や、コンパクトディジタルカメラ、高級一眼レフカメラ、カムコーダ、監視カメラ、誘導装置などに、広く搭載されている。
【0003】
また、最近では、画像処理回路などの機能回路ブロックを、CMOSセンサと一緒にオンチップ化し、高画質な画像を出力する高性能なセンサも開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1または2には、CMOSセンサにおける画像信号の処理に、CDS(Correlated Double. Sampling)回路を使用し、画素内のフォトダイオードからの受光信号を、画素の列ごとに配置されたアナログCDS回路に通過させることにより、画像信号に含まれるノイズを除去し、その後、A/D変換を行う技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、このようにCDS回路を使用した場合には、画素の列ごとのCDS回路のばらつきにより、筋状の固定的なパターンのノイズが発生するという問題や、CDS処理後の信号値を保持するための容量素子が必要になるため、回路面積が増大するという問題、アナログ信号をシフトレジスタにより高速で水平走査させるために、スイッチングノイズなどの影響を受け易いという問題などがあった。
【0006】
そこで、例えば、特許文献3では、並列列A/D(Analog/Digital)変換方式(以下、適宜、カラムAD方式と称する)により、これらの問題を解決することが提案されている。
【0007】
カラムAD方式では、画素の列ごとにA/D変換器が設置されており、選択列について各画素のアナログ信号が、各垂直信号線に一括して読み出されて、直接的にA/D変換が行われるため、上述したようなCDS回路を使用した場合に生じる問題が解決され、高精度のノイズ除去を実行することができる。
【0008】
また、カラムAD方式では、画像の水平方向一行ごとの並列処理であるため、水平方向の走査を高速な周波数で駆動する必要がなく、A/D変換は垂直方向の低速な周波数で駆動することができ、高周波帯域で発生するノイズ成分と、信号成分を容易に分離することができるという利点もある。
【0009】
ここで、図1を参照して、カラムAD方式を採用したCMOSセンサの構成について説明する。
【0010】
図1において、CMOSセンサ11は、FD(Floating Diffusion:フローティングディフュージョン)12、トランジスタ13、電流源14、参照電圧回路15、抵抗16、N個のコンパレータ171乃至17N、およびN個のカウンタ181乃至18Nから構成される。
【0011】
なお、図1では、光を検出する複数の画素が格子状に配置されたピクセルアレイを構成する画素のうちの1画素が示されており、他の画素の図示は省略されている。また、その1画素の構成要素のうちの、FD12、および画素信号の検出用のトランジスタ13のみが示されており、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタなどの画素信号の読み出しに必要なトランジスタや、フォトダイオードの図示は省略されている。
【0012】
図1に示すように、FD12の一端は、接地されており、FD12の他端は、トランジスタ13のゲートに接続されている。トランジスタ13のソースは、駆動用の電源電圧VDDに接続されており、トランジスタ13のドレインは、電流源14を介して接地されているとともに、コンパレータ171の一方の入力端子に接続されている。
【0013】
参照電圧回路15の出力端子は、抵抗16を介して駆動用の電源電圧VDDに接続されているとともに、コンパレータ171の他方の入力端子に接続されている。コンパレータ171の出力端子は、カウンタ181に接続されている。また、コンパレータ172乃至17Nも、コンパレータ171と同様に、一方の入力端子が、図示しない画素のトランジスタのドレインに接続され、他方の入力端子が、参照電圧回路15の出力端子に接続されており、出力端子が、カウンタ182乃至18Nにそれぞれ接続されている。
【0014】
FD12には、図示しないフォトダイオードの受光量に応じた電荷が転送されて蓄積され、トランジスタ13は、FD12に蓄積された電荷を増幅して、画像信号Pをコンパレータ171の一方の入力端子に供給する。また、コンパレータ171の他方の入力端子には、参照電圧回路15から出力されるランプ信号Rが入力される。そして、コンパレータ171は、画素信号Pとランプ信号Rを比較した結果を表す比較信号を、カウンタ181に出力し、カウンタ181は、その比較信号に応じて、所定のクロック信号をカウントし、そのカウント値を画素データとして出力する。
【0015】
このように構成されているCMOSセンサ11では、トランジスタ13のゲートに接続されているFD12は、GNDとの寄生容量を持ち、画素信号Pの基準電位がGNDレベルであるのに対し、ランプ信号Rの基準電位は、電源電圧VDDレベルとなっている。従って、例えば、電源電圧VDDにノイズが発生した場合、そのノイズがランプ信号Rに乗り、画素信号Pとランプ信号Rとの比較した結果に、そのノイズの影響が現れる。
【0016】
図2は、このようなノイズが原因となり、画像に発生する横引きノイズを示す例である。横引きノイズは、ランダムに変化するノイズとして見える。
【0017】
【特許文献1】特許第3734717号
【特許文献2】特許第3710361号
【特許文献3】特開2005−328135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、電源電圧のノイズにより、画像にノイズが発生していた。
【0019】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像のノイズを低減させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の側面の撮像回路は、フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段とを備え、前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0021】
本発明の第2の側面のCMOSセンサは、撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOSセンサであって、前記撮像回路は、フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段とを備え、前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0022】
本発明の第3の側面の撮像装置は、撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOSセンサを有する撮像装置であって、前記撮像回路は、フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段とを備え、前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0023】
本発明の第1乃至第3の側面においては、フォトディテクタの受光量に応じた電荷が増幅され、画素信号が出力され、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号が生成され、画素信号とランプ信号とを比較される。そして、画素信号の基準電位と、ランプランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1乃至第3の側面によれば、画像のノイズを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0026】
本発明の第1の側面の撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段(例えば、図5のトランジスタ42)と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段(例えば、図5の参照電圧回路26)と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段(例えば、図5のコンパレータ311乃至31N)と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0027】
また、本発明の第1の側面の撮像回路は、
前記ランプ信号生成手段は、
前記ランプ信号の傾きを変更し、前記撮像回路により撮像される画像のゲインを変更するゲイン変更手段(例えば、図6のゲイン変更回路54)と、
前記ゲイン変更手段とカレントミラー回路を形成するトランジスタ(例えば、図6のトランジスタ53)と
を有することができ、
前記ゲインが最小であるときに、前記ゲイン変更手段のコンダクタンスと前記トランジスタのコンダクタンスの比が同等、例えば1である。
【0028】
また、本発明の第1の側面の撮像回路は、
前記ランプ信号は、第1の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下する第1の区間と、第2の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下する第2の区間と有する形状をしており、
前記ランプ信号生成手段は、
前記第1の初期電圧と前記第2の初期電圧とが同一であるランプ信号を生成する通常ランプ信号生成手段(例えば、図6のランプ生成回路56)と、
前記第1の初期電圧と前記第2の初期電圧とがオフセットするオフセット時に、前記第1の初期電圧を前記第2の初期電圧よりも高くするオフセット成分を、前記ランプ信号に重畳させるオフセット手段(例えば、図6のオフセット回路57)と
をさらに有することができる。
【0029】
本発明の第2の側面のCMOSセンサは、撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOSセンサであって、
前記撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段(例えば、図5のトランジスタ42)と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段(例えば、図5の参照電圧回路26)と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段(例えば、図5のコンパレータ311乃至31N)と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0030】
本発明の第3の側面の撮像装置は、撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOSセンサを有する撮像装置であって、
前記撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段(例えば、図5のトランジスタ42)と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段(例えば、図5の参照電圧回路26)と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段(例えば、図5のコンパレータ311乃至31N)と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0031】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図3は、本発明を適用したCMOSセンサの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0033】
図3において、CMOSセンサ21は、システム制御ユニット22、垂直走査回路23、ピクセルアレイ24、PLL(Phase Locked Loop)25,参照電圧回路26、カラムADC(Analog to Digital Converter)27、水平走査回路28、センスアンプ29から構成される。
【0034】
システム制御ユニット22は、CMOSセンサ21を構成する各ブロックの制御を行う。
【0035】
垂直走査回路23は、システム制御ユニット22の制御に応じて、ピクセルアレイ24の垂直方向に並ぶ画素に、順次、所定のタイミングで、画素信号の出力を制御する信号を供給する。
【0036】
ピクセルアレイ24は、複数の画素が格子状に配置されて構成されており、図3において、画素24P以外の画素の図示は省略されている。ピクセルアレイ24では、垂直走査回路23から供給される制御信号に応じて、垂直方向に配置されている各画素が、画素信号を順次出力する。
【0037】
PLL25は、外部から供給されるクロック信号(CK)に基づいて、CMOSセンサ21の内部の各ブロックの駆動に必要な所定の周波数のクロック信号を生成し、参照電圧回路26およびカラムADC27に供給する。
【0038】
参照電圧回路26は、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号Rを生成し、カラムADC27に供給する。
【0039】
カラムADC27は、コンパレータ31、カウンタ32、およびバス33から構成されている。なお、カラムADC27は、コンパレータ31とカウンタ32との組み合わせが、ピクセルアレイ24の水平方向に配置される画素の数に応じて、水平方向に複数配置されているが、図3においては、1組のコンパレータ31とカウンタ32が示されている。
【0040】
コンパレータ31の一方の入力端子には、ピクセルアレイ24の画素24Pから画素信号Pが供給され、コンパレータ31の他方の入力端子には、参照電圧回路26からランプ信号Rが供給される。コンパレータ31は、画素信号Pとランプ信号Rとを比較し、その結果得られる比較結果信号をカウンタ32に供給する。
【0041】
カウンタ32には、所定の周波数のカウンタクロック信号(CKX)がPLL25から供給され、カウンタ32は、コンパレータ31から供給される比較結果信号と、システム制御ユニット22の制御とに応じて、カウンタクロック信号をカウントすることで、画素24Pが出力するアナログの画素信号Pを、デジタルの画素データに変換して出力する。また、図3において、カウンタ32は、ラッチ(Latch)と、13個のTFF(Toggle Flip-Flop)から構成されており、13ビットの画素データを出力する。
【0042】
バス33は、カウンタ32と、センスアンプ29とを接続する13ビットのバスである。
【0043】
水平走査回路28は、システム制御ユニット22の制御に応じて、カラムADC27の水平方向に並ぶ複数のカウンタ32に、順次、所定のタイミングで、画素データを出力させる信号を供給する。
【0044】
センスアンプ29は、バス33を介して、カラムADC27から並列的に供給される画素データを、直列的な画像データに変換して、外部に出力する。
【0045】
次に、図4を参照して、CMOSセンサ21の動作について説明する。
【0046】
図4には、ピクセルアレイ24の画素が出力する画素信号P、参照電圧回路26が出力するランプ信号R、コンパレータ31が出力する比較結果信号、カウンタ32のカウントアップとカウントダウンを切り替える信号、PLL25が出力するカウンタクロック信号、カウンタ32が出力するカウンタ出力信号が、上から順に示されている。
【0047】
ピクセルアレイ24の画素は、図4の上から1番目に示されているように、垂直走査回路23から供給される制御信号に応じて、リセット信号A/D変換期間の間、所定の基準電位に応じた画素信号P(リセット成分)を出力し、データ信号A/D変換期間の間、図示しないフォトディテクタの受光量に対応する電荷に応じた画素信号P(データ成分)を出力する。
【0048】
参照電圧回路26は、図4の上から2番目に示されているように、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号Rを出力する。ランプ信号Rでは、リセット信号A/D変換期間に対応する電圧が降下する期間よりも、データ信号A/D変換期間に対応する電圧が降下する期間が長くなっている。
【0049】
コンパレータ31は、図4の上から3番目に示されているように、画素信号Pとランプ信号Rとを比較し、画素信号Pがランプ信号R以上であるときには、Hレベルの比較結果信号を出力し、画素信号Pがランプ信号R以下であるときには、Lレベルの比較結果信号を出力する。即ち、コンパレータ31は、ランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下する場合に、ランプ信号Rと画素信号Pとが一致したときに、HレベルからLレベルに遷移する比較結果信号を出力する。
【0050】
カウンタ32には、図4の上から4番目に示されているように、リセット信号A/D変換期間でランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下しているときにはLレベルとなり、データ信号A/D変換期間でランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下しているときにはHレベルとなる、カウントアップとカウントダウンを切り替える信号が、システム制御ユニット22から供給される。
【0051】
PLL25は、図4の上から5番目に示されているような所定の周波数のカウンタクロック信号、例えば、500MHzの高速なカウンタクロック信号を、カウンタ32に供給する。
【0052】
カウンタ32は、図4の上から6番目(一番下)に示されているように、カウンタクロック信号をカウントして、画素データを出力する。
【0053】
即ち、カウンタ32は、カウントアップとカウントダウンを切り替える信号がLレベルである場合、カウントダウンモードとなり、リセット信号A/D変換期間でランプ信号Rの電圧の降下が開始した時刻でダウンカウントを開始し、比較結果信号がHレベルからLレベルに遷移した時刻までカウントしたカウント値(リセット信号カウント)を保持する。その後、カウントアップとカウントダウンを切り替える信号が、LレベルからHレベルに遷移し、カウンタ32は、カウントアップモードとなり、データ信号A/D変換期間でランプ信号Rの電圧の降下が開始した時刻からアップカウントを開始し、比較結果信号がLレベルからHレベルに遷移した時刻までカウントしたカウント値(データ信号カウント)と、リセット信号カウントとの差のカウント値を、画素データとして出力する。
【0054】
次に、図5を参照して、CMOSセンサ21ついてさらに説明する。
【0055】
図5において、CMOSセンサ21は、参照電圧回路26、N個のコンパレータ311乃至31N、N個のカウンタ321乃至32N、FD41、トランジスタ42、電流源43、および抵抗44からなる。
【0056】
FD41およびトランジスタ42は、図3のピクセルアレイ24の画素24Pの構成要素の一部である。FD41には、図示しないフォトダイオードが受光量に応じて出力する電荷が、垂直走査回路23の制御に応じて転送されて、蓄積される。トランジスタ42は、FD41に蓄積された電荷を増幅し、垂直走査回路23の制御に応じて、画素信号Pを出力する。
【0057】
FD41の一端は、接地されており、FD41の他端は、トランジスタ42のゲートに接続されている。トランジスタ42のソースは、電源電圧VDDに接続されており、トランジスタ42のドレインは、電流源43を介して接地されているとともに、コンパレータ311の一方の入力端子に接続されている。また、参照電圧回路26の出力端子は、コンパレータ311の他方の入力端子に接続されているとともに、抵抗44を介して接地されている。
【0058】
このように構成されているCMOSセンサ21では、コンパレータ31に入力される画素信号Pの基準電位は、図示しないフォトダイオードの受光量に応じた電荷が蓄積されるFD41が接地されているので、GNDレベルである。また、コンパレータ31に入力されるランプ信号Rの基準電圧も、参照電圧回路26の出力端子が抵抗44を介して接地されているので、GNDレベルである。このように、画素信号Pとランプ信号Rに生じるノイズのノイズ源としては、GNDで共通化されている。
【0059】
従って、GNDをノイズ源として画素信号Pとランプ信号Rに発生するノイズは、コンパレータ31からみると同位相となり、コンパレータ31が画素信号Pとランプ信号Rとを比較する際には、画素信号Pとランプ信号Rに生じるノイズが打ち消されるので、コンパレータ31が出力する比較結果信号がノイズの影響を受けることはなく、従って、画素データにノイズが発生ことを抑制することができる。
【0060】
また、参照電圧回路26の回路の構成からも、ノイズの発生を抑制することが説明できる。
【0061】
次に、図6は、参照電圧回路26の構成例を示す回路図である。
【0062】
図6において、参照電圧回路26は、定電流生成回路50、3つのトランジスタ51乃至53、ゲイン変更回路54、トランジスタ55、ランプ生成回路56、およびオフセット回路57から構成されている。
【0063】
定電流生成回路50の一端は、接地されており、定電流生成回路50の他端は、トランジスタ51のドレインに接続されている。トランジスタ51のソースは、電源電圧VDDに接続され、トランジスタ51のゲートは、トランジスタ52のゲートに接続されている。また、トランジスタ51のゲートとトランジスタ52のゲートとの接続点は、定電流生成回路50とトランジスタ51のドレインとの接続点に接続されているとともに、オフセット回路57に接続されている。
【0064】
トランジスタ52のソースは、電源電圧VDDに接続されており、トランジスタ52のドレインは、トランジスタ53のドレインに接続されている。
【0065】
トランジスタ53のゲートは、ゲイン変更回路54に接続されており、トランジスタ53のゲートとゲイン変更回路54の接続点と、トランジスタ52のドレインとトランジスタ53のドレインの接続点とが接続されている。
【0066】
ゲイン変更回路54は、CMOSセンサ21で撮像される画像のゲインを変更するときに、例えば、ゲインをアップするときに、後述する図8に示されるゲインアップ時のランプ信号Rが参照電圧回路26から出力されるようにする回路である。また、ゲイン変更回路54とトランジスタ53とは、カレントミラー回路を構成する。
【0067】
トランジスタ55のドレインは、ゲイン変更回路54に接続されており、トランジスタ55のソースは、電源電圧VDDに接続されており、トランジスタ55のゲートは、ランプ生成回路56に接続されている。また、トランジスタ55のドレインとゲイン変更回路54の接続点と、トランジスタ55のゲートとランプ生成回路56の接続点とが接続されている。
【0068】
ランプ生成回路56は、図4に示したようなランプ信号Rを生成するための回路である。
【0069】
オフセット回路57は、例えば、温度変化などによる暗電流に起因する黒基準のずれや回路オフセット成分が、画素データに影響を与えることを回避するために、後述する図9に示されるオフセット時のランプ信号Rが参照電圧回路26から出力されるようにする回路である。
【0070】
このように構成されている参照電圧回路26から出力されるランプ信号Rは、ランプ生成回路56から出力される電流をIr1とし、オフセット回路57から出力される電流をIf1とし、抵抗44の抵抗値をRoutとすると、次の式(1)で表される。
【0071】
ランプ信号R=(Ir1+If1)×Rout
・・・(1)
【0072】
式(1)に示すように、ランプ信号Rには、電源電圧VDDの項がないので、このことからも、電源電圧VDDのノイズが、画素データに影響を与えないことが分かる。
【0073】
即ち、図7は、図1を参照して説明した従来のCMOSセンサ11、即ち、ランプ信号Rの基準電位が、電源電圧VDDであるCMOSセンサ11の参照電圧回路15の一例の構成を示す回路図である。
【0074】
図7において、参照電圧回路15は、2個の定電流回路601および602、トランジスタ61、ゲイン変更回路62、トランジスタ63、ランプ生成回路64、オフセット回路65、およびトランジスタ66乃至68から構成されている。
【0075】
このように構成されている参照電圧回路15から出力されるランプ信号Rは、ランプ生成回路64から出力される電流をIr2とし、オフセット回路65から出力される電流をIf2とし、抵抗16の抵抗値をRoutとすると、次の式(2)で表される。
【0076】
ランプ信号R=VDD−(Ir2+If2)×Rout
・・・(2)
【0077】
このように、ランプ信号Rの基準電位が、電源電圧VDDである場合には、ランプ信号Rには、電源電圧VDDの項があるので、電源電圧VDDにノイズが発生すると、そのノイズがランプ信号Rに乗り、コンパレータ17(図1)が出力する比較結果信号に影響を与え、その結果、図2に示したような横引きノイズが画像に発生する。
【0078】
これに対し、上述したように、図6に示した参照電圧回路26から出力されるランプ信号Rの基準電位は、GNDレベルであるので、このような横引きノイズが画像に発生することを抑制することができる。
【0079】
次に、図8を参照して、ゲインアップ時のランプ信号Rについて説明する。
【0080】
図8において、横軸は、左から右に向かって時間の経過を表しており、縦軸は、ランプ信号Rの電圧を表している。また、図4を参照して説明したリセット信号A/D変換期間内で、ランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下する期間をリセット相(P相)と称し、データ信号A/D変換期間(図4)内で、ランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下する期間をデータ相(D相)と称する。
【0081】
通常時のランプ信号Rは、通常の明るさでCMOSセンサ21により画像を撮像するときの波形を示しており、ゲインアップ時のランプ信号Rは、通常より暗い状態でCMOSセンサ21により画像を撮像するときの波形を表している。即ち、通常より暗い状態では、図5のFD41に蓄積される電荷は少量になるが、ランプ信号Rの電圧が降下する傾きを小さくすることにより、コンパレータ31が出力する比較結果信号(図4)がHレベルからLレベルに遷移するまでの時間を長くすることができ、これにより、カウンタ32が出力する画素データが、ゲインアップされる。
【0082】
ここで、ゲインアップ時に、参照電圧回路26から出力されるランプ信号Rに生じる回路ノイズについて説明する。
【0083】
参照電圧回路26は、図6に示したように構成されており、定電流生成回路50が、ランプ信号Rに与える電圧ノイズVN0は、次の式(3)で表される。
【0084】
VN0=in0×(gm2/gm1)×(gm4/gm3)×(gm6/gm5)×Rout
・・・(3)
【0085】
ただし、式(3)において、in0は、定電流生成回路50の電流ノイズであり、gm1は、トランジスタ51のコンダクタンスであり、gm2は、トランジスタ52のコンダクタンスであり、gm3は、トランジスタ53のコンダクタンスであり、gm4は、ゲイン変更回路54のコンダクタンスであり、gm5は、トランジスタ55のコンダクタンスであり、gm6は、ランプ生成回路56のコンダクタンスであり、gm7は、オフセット回路57のコンダクタンスである。
【0086】
このとき、トランジスタ51の電圧ノイズをvn1とすると、トランジスタ51が、ランプ信号Rに与える電圧ノイズVN1は、次の式(4)で表される。
【0087】
VN1=vn1×gm2×(gm4/gm3)×(gm6/gm5)×Rout
・・・(4)
【0088】
また、ランプ信号Rに生じる合計ノイズVNは、次の式(5)で表される。
【0089】
VN2=VN02+VN12+VN22+VN32+VN42+VN52+VN62+VN72
・・・(5)
【0090】
ただし、式(5)において、VN2は、トランジスタ52がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN3は、トランジスタ53がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN4は、ゲイン変更回路54がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN5は、トランジスタ55がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN6は、ランプ生成回路56がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN7は、オフセット回路57がランプ信号Rに与える電圧ノイズである。
【0091】
ここで、例えば、ゲインが最大であるときには、ゲイン変更回路54とトランジスタ53とのカレントミラー回路での折り返し比(ミラー比=gm4/gm3)を同程度、例えば1とすると、VN0乃至VN3の値がそのままランプ信号Rで見えてしまい、ノイズとして目だってしまう。
【0092】
そこで、ゲインアップ時のノイズの増加を抑制するためには、トランジスタ53のサイズよりゲイン変更回路54のサイズを十分小さくする必要がある。具体的には、図8に示すように、ゲインを2倍に変更するときには、ゲイン変更回路54のサイズを半分にする、即ち、ゲイン変更回路54のコンダクタンスgm4を半分にすることにより、ゲイン変更回路54とトランジスタ53とのカレントミラー回路によって作られる電流を減少させる。この場合、ゲインアップ時のVN0乃至VN3のノイズを、通常時のVN0乃至VN3のノイズに比べて、半分に抑制することができる。
【0093】
なお、低ゲイン時には、VN0乃至VN3のノイズが、そのまま合計ノイズVNに表れてしまうが、このようなノイズは、定電流生成回路50の電流値を増加させたり、容量などにより帯域制限をすることなどにより、ノイズの低減を図ることができる。
【0094】
次に、図9を参照して、オフセット時のランプ信号Rについて説明する。
【0095】
図9において、横軸は、左から右に向かって時間の経過を表しており、縦軸は、ランプ信号Rの電圧を表している。
【0096】
オフセット時のランプ信号Rは、温度変化などによる暗電流に起因する黒基準のずれなどが、画素データに影響を与えることを回避するために、オフセット回路57が出力する電流が、ランプ生成回路56に重畳されて、出力される。即ち、オフセット時には、図9に示すように、オフセット時のリセット相の電圧が、通常時のリセット相の電圧より高くなり、リセット相の基準電圧(一定の傾斜で電圧が降下する前の電圧を基準電圧と称する)が、データ相の基準電圧より、オフセットレベル分だけ高くなる。オフセットレベルは、温度変化などに応じて設定される。
【0097】
このように、リセット相の基準電圧が、データ相の基準電圧よりもオフセットレベル分だけ高くなることにより、温度変化などにより暗電流が増加しても、その増加を打ち消すことができる。このようなリセット相のオフセットは、オフセット回路57がオフセットレベルに応じた電流を出力することにより行われる。
【0098】
従って、オフセット回路57は、オフセット時だけ電流を出力し、通常時には電流を出力しない。これにより、通常時には、オフセット回路57が出力する電圧の電圧ノイズが、ランプ信号Rにノイズを発生させることは抑制される。
【0099】
ここで、オフセット時に、参照電圧回路26から出力されるランプ信号Rに生じる回路ノイズについて説明する。
【0100】
図8を参照して説明したように、ランプ信号Rに生じる合計ノイズVNは、上述の式(5)で表され、オフセット回路57がランプ信号Rに与える電圧ノイズは、VN7である。ここで、オフセット回路57に流れる電流構成が、トランジスタ51のゲートからカレントミラーで電流分配する方式であるとすると、オフセット回路57がランプ信号Rに与える電圧ノイズVN7は、次の式(6)で表される。
【0101】
VN7=in0×(gm7/gm1)×Rout
・・・(6)
【0102】
上述したように、図6に示す参照電圧回路26の回路構成において、通常時には、オフセット回路57がオフセット用の電流を出力しないので、式(6)において、ランプ信号Rに与える電圧ノイズVN7の項は、無視することができ、従来のデータ相にオフセットを追加する構成のCMOSセンサよりも、ノイズの発生を抑制することができる。
【0103】
図10は、特許文献3にある従来のCMOSセンサ11の参照電圧回路15、即ち、図7の参照電圧回路15におけるオフセット時のランプ信号Rを説明する図である。
【0104】
図6の構成である本発明で同様にデータ相にオフセットを追加する構成をとるとすると、オフセットレベルを確保するために、通常時に、オフセット回路57が電流を出力する必要があり、即ち、抵抗44に多くの電流を流す必要がある。そして、オフセット時には、その電流を低下させることにより、データ相の基準電圧が低くなるという構成が必要になる。
【0105】
このように、図10の構成では、通常時に、オフセット回路57が電流を出力しているため、オフセット回路57の電圧ノイズが、ランプ信号Rに影響を与える。
【0106】
これに対し、上述したように、図9の構成では、通常時には、オフセット回路57が電流を出力していないので、ランプ信号Rに発生するノイズを、図10の従来構成よりも低減させることができる。
【0107】
また、参照電圧回路15では、図7に示すように、ゲイン変更回路62用の定電流回路601と、オフセット回路65用の定電流回路602とが、それぞれ独立して必要となる回路構成であったが、参照電圧回路26では、ゲイン変更回路54とオフセット回路57とで、定電流生成回路50を共有することができる。これにより、参照電圧回路26のレイアウト面積を、参照電圧回路15より、小さくすることができ、ひいては、CMOSセンサ21のレイアウト面積を小さくすることができる。さらに、消費電力も低減することができる。
【0108】
また、例えば、従来は、画素信号Pとランプ信号Rの基準電位が異なることにより発生していた横引きノイズを除去するための信号処理回路などが必要であったが、CMOSセンサ21では、ノイズの発生が抑制されるので、このような信号処理回路は必要なくなり、これによっても、CMOSセンサ21のレイアウト面積を小さくすることや、消費電力を低減することができる。
【0109】
なお、本実施の形態においては、NMOSより構成される単位画素で構成されるセンサについて説明したが、本発明は、PMOSより構成される単位画素で構成されるセンサにも適用することができ、その場合には、上述の説明における極性がすべて逆になる、例えば、GNDレベルを基準としていたものは、電源電圧VDDを基準とする。この場合にも、例えば、画素信号Pの基準電位と、ランプ信号Rの基準電位とを同一のレベルとすることで、ノイズの発生を抑制することができる。
【0110】
また、本発明を適用したCMOSセンサ21は、携帯電話機や、コンパクトディジタルカメラ、高級一眼レフカメラ、カムコーダ、監視カメラ、誘導装置などの機器に搭載することができ、それらの機器は、低ノイズの画像を撮像することができる。
【0111】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】従来のCMOSセンサの一例の構成を示す回路図である。
【図2】画像に発生する横引きノイズを示す例である。
【図3】本発明を適用したCMOSセンサの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図4】CMOSセンサ21の動作する図である。
【図5】CMOSセンサ21の構成例を示す回路図である。
【図6】参照電圧回路26の構成例を示す回路図である。
【図7】従来の参照電圧回路15の一例の構成を示す回路図である。
【図8】ゲインアップ時のランプ信号Rを説明する図である。
【図9】オフセット時のランプ信号Rを説明する図である。
【図10】従来のオフセット時のランプ信号Rを説明する図である。
【符号の説明】
【0113】
21 CMOSセンサ, 22 システム制御ユニット, 23 垂直走査回路, 24 ピクセルアレイ, 25 PLL, 26 参照電圧回路, 27 カラムADC, 28 水平走査回路, 29 センスアップ, 31 コンパレータ, 32 カウンタ, 33 バス, 41 FD, 42 トランジスタ, 43 電流源, 44 抵抗, 50 定電流生成回路, 51乃至53 トランジスタ, 54 ゲイン変更回路, 55 トランジスタ, 56 ランプ生成回路, 57 オフセット回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像回路、CMOSセンサ、および撮像装置に関し、特に、画像のノイズを低減させることができるようにした撮像回路、CMOSセンサ、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体撮像素子であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサは、低消費電力や高速性など、例えば、CCD(Charge Coupled Device)に対する優位性を有しており、近年、携帯電話機や、コンパクトディジタルカメラ、高級一眼レフカメラ、カムコーダ、監視カメラ、誘導装置などに、広く搭載されている。
【0003】
また、最近では、画像処理回路などの機能回路ブロックを、CMOSセンサと一緒にオンチップ化し、高画質な画像を出力する高性能なセンサも開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1または2には、CMOSセンサにおける画像信号の処理に、CDS(Correlated Double. Sampling)回路を使用し、画素内のフォトダイオードからの受光信号を、画素の列ごとに配置されたアナログCDS回路に通過させることにより、画像信号に含まれるノイズを除去し、その後、A/D変換を行う技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、このようにCDS回路を使用した場合には、画素の列ごとのCDS回路のばらつきにより、筋状の固定的なパターンのノイズが発生するという問題や、CDS処理後の信号値を保持するための容量素子が必要になるため、回路面積が増大するという問題、アナログ信号をシフトレジスタにより高速で水平走査させるために、スイッチングノイズなどの影響を受け易いという問題などがあった。
【0006】
そこで、例えば、特許文献3では、並列列A/D(Analog/Digital)変換方式(以下、適宜、カラムAD方式と称する)により、これらの問題を解決することが提案されている。
【0007】
カラムAD方式では、画素の列ごとにA/D変換器が設置されており、選択列について各画素のアナログ信号が、各垂直信号線に一括して読み出されて、直接的にA/D変換が行われるため、上述したようなCDS回路を使用した場合に生じる問題が解決され、高精度のノイズ除去を実行することができる。
【0008】
また、カラムAD方式では、画像の水平方向一行ごとの並列処理であるため、水平方向の走査を高速な周波数で駆動する必要がなく、A/D変換は垂直方向の低速な周波数で駆動することができ、高周波帯域で発生するノイズ成分と、信号成分を容易に分離することができるという利点もある。
【0009】
ここで、図1を参照して、カラムAD方式を採用したCMOSセンサの構成について説明する。
【0010】
図1において、CMOSセンサ11は、FD(Floating Diffusion:フローティングディフュージョン)12、トランジスタ13、電流源14、参照電圧回路15、抵抗16、N個のコンパレータ171乃至17N、およびN個のカウンタ181乃至18Nから構成される。
【0011】
なお、図1では、光を検出する複数の画素が格子状に配置されたピクセルアレイを構成する画素のうちの1画素が示されており、他の画素の図示は省略されている。また、その1画素の構成要素のうちの、FD12、および画素信号の検出用のトランジスタ13のみが示されており、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタなどの画素信号の読み出しに必要なトランジスタや、フォトダイオードの図示は省略されている。
【0012】
図1に示すように、FD12の一端は、接地されており、FD12の他端は、トランジスタ13のゲートに接続されている。トランジスタ13のソースは、駆動用の電源電圧VDDに接続されており、トランジスタ13のドレインは、電流源14を介して接地されているとともに、コンパレータ171の一方の入力端子に接続されている。
【0013】
参照電圧回路15の出力端子は、抵抗16を介して駆動用の電源電圧VDDに接続されているとともに、コンパレータ171の他方の入力端子に接続されている。コンパレータ171の出力端子は、カウンタ181に接続されている。また、コンパレータ172乃至17Nも、コンパレータ171と同様に、一方の入力端子が、図示しない画素のトランジスタのドレインに接続され、他方の入力端子が、参照電圧回路15の出力端子に接続されており、出力端子が、カウンタ182乃至18Nにそれぞれ接続されている。
【0014】
FD12には、図示しないフォトダイオードの受光量に応じた電荷が転送されて蓄積され、トランジスタ13は、FD12に蓄積された電荷を増幅して、画像信号Pをコンパレータ171の一方の入力端子に供給する。また、コンパレータ171の他方の入力端子には、参照電圧回路15から出力されるランプ信号Rが入力される。そして、コンパレータ171は、画素信号Pとランプ信号Rを比較した結果を表す比較信号を、カウンタ181に出力し、カウンタ181は、その比較信号に応じて、所定のクロック信号をカウントし、そのカウント値を画素データとして出力する。
【0015】
このように構成されているCMOSセンサ11では、トランジスタ13のゲートに接続されているFD12は、GNDとの寄生容量を持ち、画素信号Pの基準電位がGNDレベルであるのに対し、ランプ信号Rの基準電位は、電源電圧VDDレベルとなっている。従って、例えば、電源電圧VDDにノイズが発生した場合、そのノイズがランプ信号Rに乗り、画素信号Pとランプ信号Rとの比較した結果に、そのノイズの影響が現れる。
【0016】
図2は、このようなノイズが原因となり、画像に発生する横引きノイズを示す例である。横引きノイズは、ランダムに変化するノイズとして見える。
【0017】
【特許文献1】特許第3734717号
【特許文献2】特許第3710361号
【特許文献3】特開2005−328135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、電源電圧のノイズにより、画像にノイズが発生していた。
【0019】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像のノイズを低減させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の側面の撮像回路は、フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段とを備え、前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0021】
本発明の第2の側面のCMOSセンサは、撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOSセンサであって、前記撮像回路は、フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段とを備え、前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0022】
本発明の第3の側面の撮像装置は、撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOSセンサを有する撮像装置であって、前記撮像回路は、フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段とを備え、前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0023】
本発明の第1乃至第3の側面においては、フォトディテクタの受光量に応じた電荷が増幅され、画素信号が出力され、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号が生成され、画素信号とランプ信号とを比較される。そして、画素信号の基準電位と、ランプランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1乃至第3の側面によれば、画像のノイズを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0026】
本発明の第1の側面の撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段(例えば、図5のトランジスタ42)と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段(例えば、図5の参照電圧回路26)と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段(例えば、図5のコンパレータ311乃至31N)と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0027】
また、本発明の第1の側面の撮像回路は、
前記ランプ信号生成手段は、
前記ランプ信号の傾きを変更し、前記撮像回路により撮像される画像のゲインを変更するゲイン変更手段(例えば、図6のゲイン変更回路54)と、
前記ゲイン変更手段とカレントミラー回路を形成するトランジスタ(例えば、図6のトランジスタ53)と
を有することができ、
前記ゲインが最小であるときに、前記ゲイン変更手段のコンダクタンスと前記トランジスタのコンダクタンスの比が同等、例えば1である。
【0028】
また、本発明の第1の側面の撮像回路は、
前記ランプ信号は、第1の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下する第1の区間と、第2の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下する第2の区間と有する形状をしており、
前記ランプ信号生成手段は、
前記第1の初期電圧と前記第2の初期電圧とが同一であるランプ信号を生成する通常ランプ信号生成手段(例えば、図6のランプ生成回路56)と、
前記第1の初期電圧と前記第2の初期電圧とがオフセットするオフセット時に、前記第1の初期電圧を前記第2の初期電圧よりも高くするオフセット成分を、前記ランプ信号に重畳させるオフセット手段(例えば、図6のオフセット回路57)と
をさらに有することができる。
【0029】
本発明の第2の側面のCMOSセンサは、撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOSセンサであって、
前記撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段(例えば、図5のトランジスタ42)と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段(例えば、図5の参照電圧回路26)と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段(例えば、図5のコンパレータ311乃至31N)と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0030】
本発明の第3の側面の撮像装置は、撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOSセンサを有する撮像装置であって、
前記撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段(例えば、図5のトランジスタ42)と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段(例えば、図5の参照電圧回路26)と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段(例えば、図5のコンパレータ311乃至31N)と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである。
【0031】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図3は、本発明を適用したCMOSセンサの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0033】
図3において、CMOSセンサ21は、システム制御ユニット22、垂直走査回路23、ピクセルアレイ24、PLL(Phase Locked Loop)25,参照電圧回路26、カラムADC(Analog to Digital Converter)27、水平走査回路28、センスアンプ29から構成される。
【0034】
システム制御ユニット22は、CMOSセンサ21を構成する各ブロックの制御を行う。
【0035】
垂直走査回路23は、システム制御ユニット22の制御に応じて、ピクセルアレイ24の垂直方向に並ぶ画素に、順次、所定のタイミングで、画素信号の出力を制御する信号を供給する。
【0036】
ピクセルアレイ24は、複数の画素が格子状に配置されて構成されており、図3において、画素24P以外の画素の図示は省略されている。ピクセルアレイ24では、垂直走査回路23から供給される制御信号に応じて、垂直方向に配置されている各画素が、画素信号を順次出力する。
【0037】
PLL25は、外部から供給されるクロック信号(CK)に基づいて、CMOSセンサ21の内部の各ブロックの駆動に必要な所定の周波数のクロック信号を生成し、参照電圧回路26およびカラムADC27に供給する。
【0038】
参照電圧回路26は、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号Rを生成し、カラムADC27に供給する。
【0039】
カラムADC27は、コンパレータ31、カウンタ32、およびバス33から構成されている。なお、カラムADC27は、コンパレータ31とカウンタ32との組み合わせが、ピクセルアレイ24の水平方向に配置される画素の数に応じて、水平方向に複数配置されているが、図3においては、1組のコンパレータ31とカウンタ32が示されている。
【0040】
コンパレータ31の一方の入力端子には、ピクセルアレイ24の画素24Pから画素信号Pが供給され、コンパレータ31の他方の入力端子には、参照電圧回路26からランプ信号Rが供給される。コンパレータ31は、画素信号Pとランプ信号Rとを比較し、その結果得られる比較結果信号をカウンタ32に供給する。
【0041】
カウンタ32には、所定の周波数のカウンタクロック信号(CKX)がPLL25から供給され、カウンタ32は、コンパレータ31から供給される比較結果信号と、システム制御ユニット22の制御とに応じて、カウンタクロック信号をカウントすることで、画素24Pが出力するアナログの画素信号Pを、デジタルの画素データに変換して出力する。また、図3において、カウンタ32は、ラッチ(Latch)と、13個のTFF(Toggle Flip-Flop)から構成されており、13ビットの画素データを出力する。
【0042】
バス33は、カウンタ32と、センスアンプ29とを接続する13ビットのバスである。
【0043】
水平走査回路28は、システム制御ユニット22の制御に応じて、カラムADC27の水平方向に並ぶ複数のカウンタ32に、順次、所定のタイミングで、画素データを出力させる信号を供給する。
【0044】
センスアンプ29は、バス33を介して、カラムADC27から並列的に供給される画素データを、直列的な画像データに変換して、外部に出力する。
【0045】
次に、図4を参照して、CMOSセンサ21の動作について説明する。
【0046】
図4には、ピクセルアレイ24の画素が出力する画素信号P、参照電圧回路26が出力するランプ信号R、コンパレータ31が出力する比較結果信号、カウンタ32のカウントアップとカウントダウンを切り替える信号、PLL25が出力するカウンタクロック信号、カウンタ32が出力するカウンタ出力信号が、上から順に示されている。
【0047】
ピクセルアレイ24の画素は、図4の上から1番目に示されているように、垂直走査回路23から供給される制御信号に応じて、リセット信号A/D変換期間の間、所定の基準電位に応じた画素信号P(リセット成分)を出力し、データ信号A/D変換期間の間、図示しないフォトディテクタの受光量に対応する電荷に応じた画素信号P(データ成分)を出力する。
【0048】
参照電圧回路26は、図4の上から2番目に示されているように、所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号Rを出力する。ランプ信号Rでは、リセット信号A/D変換期間に対応する電圧が降下する期間よりも、データ信号A/D変換期間に対応する電圧が降下する期間が長くなっている。
【0049】
コンパレータ31は、図4の上から3番目に示されているように、画素信号Pとランプ信号Rとを比較し、画素信号Pがランプ信号R以上であるときには、Hレベルの比較結果信号を出力し、画素信号Pがランプ信号R以下であるときには、Lレベルの比較結果信号を出力する。即ち、コンパレータ31は、ランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下する場合に、ランプ信号Rと画素信号Pとが一致したときに、HレベルからLレベルに遷移する比較結果信号を出力する。
【0050】
カウンタ32には、図4の上から4番目に示されているように、リセット信号A/D変換期間でランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下しているときにはLレベルとなり、データ信号A/D変換期間でランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下しているときにはHレベルとなる、カウントアップとカウントダウンを切り替える信号が、システム制御ユニット22から供給される。
【0051】
PLL25は、図4の上から5番目に示されているような所定の周波数のカウンタクロック信号、例えば、500MHzの高速なカウンタクロック信号を、カウンタ32に供給する。
【0052】
カウンタ32は、図4の上から6番目(一番下)に示されているように、カウンタクロック信号をカウントして、画素データを出力する。
【0053】
即ち、カウンタ32は、カウントアップとカウントダウンを切り替える信号がLレベルである場合、カウントダウンモードとなり、リセット信号A/D変換期間でランプ信号Rの電圧の降下が開始した時刻でダウンカウントを開始し、比較結果信号がHレベルからLレベルに遷移した時刻までカウントしたカウント値(リセット信号カウント)を保持する。その後、カウントアップとカウントダウンを切り替える信号が、LレベルからHレベルに遷移し、カウンタ32は、カウントアップモードとなり、データ信号A/D変換期間でランプ信号Rの電圧の降下が開始した時刻からアップカウントを開始し、比較結果信号がLレベルからHレベルに遷移した時刻までカウントしたカウント値(データ信号カウント)と、リセット信号カウントとの差のカウント値を、画素データとして出力する。
【0054】
次に、図5を参照して、CMOSセンサ21ついてさらに説明する。
【0055】
図5において、CMOSセンサ21は、参照電圧回路26、N個のコンパレータ311乃至31N、N個のカウンタ321乃至32N、FD41、トランジスタ42、電流源43、および抵抗44からなる。
【0056】
FD41およびトランジスタ42は、図3のピクセルアレイ24の画素24Pの構成要素の一部である。FD41には、図示しないフォトダイオードが受光量に応じて出力する電荷が、垂直走査回路23の制御に応じて転送されて、蓄積される。トランジスタ42は、FD41に蓄積された電荷を増幅し、垂直走査回路23の制御に応じて、画素信号Pを出力する。
【0057】
FD41の一端は、接地されており、FD41の他端は、トランジスタ42のゲートに接続されている。トランジスタ42のソースは、電源電圧VDDに接続されており、トランジスタ42のドレインは、電流源43を介して接地されているとともに、コンパレータ311の一方の入力端子に接続されている。また、参照電圧回路26の出力端子は、コンパレータ311の他方の入力端子に接続されているとともに、抵抗44を介して接地されている。
【0058】
このように構成されているCMOSセンサ21では、コンパレータ31に入力される画素信号Pの基準電位は、図示しないフォトダイオードの受光量に応じた電荷が蓄積されるFD41が接地されているので、GNDレベルである。また、コンパレータ31に入力されるランプ信号Rの基準電圧も、参照電圧回路26の出力端子が抵抗44を介して接地されているので、GNDレベルである。このように、画素信号Pとランプ信号Rに生じるノイズのノイズ源としては、GNDで共通化されている。
【0059】
従って、GNDをノイズ源として画素信号Pとランプ信号Rに発生するノイズは、コンパレータ31からみると同位相となり、コンパレータ31が画素信号Pとランプ信号Rとを比較する際には、画素信号Pとランプ信号Rに生じるノイズが打ち消されるので、コンパレータ31が出力する比較結果信号がノイズの影響を受けることはなく、従って、画素データにノイズが発生ことを抑制することができる。
【0060】
また、参照電圧回路26の回路の構成からも、ノイズの発生を抑制することが説明できる。
【0061】
次に、図6は、参照電圧回路26の構成例を示す回路図である。
【0062】
図6において、参照電圧回路26は、定電流生成回路50、3つのトランジスタ51乃至53、ゲイン変更回路54、トランジスタ55、ランプ生成回路56、およびオフセット回路57から構成されている。
【0063】
定電流生成回路50の一端は、接地されており、定電流生成回路50の他端は、トランジスタ51のドレインに接続されている。トランジスタ51のソースは、電源電圧VDDに接続され、トランジスタ51のゲートは、トランジスタ52のゲートに接続されている。また、トランジスタ51のゲートとトランジスタ52のゲートとの接続点は、定電流生成回路50とトランジスタ51のドレインとの接続点に接続されているとともに、オフセット回路57に接続されている。
【0064】
トランジスタ52のソースは、電源電圧VDDに接続されており、トランジスタ52のドレインは、トランジスタ53のドレインに接続されている。
【0065】
トランジスタ53のゲートは、ゲイン変更回路54に接続されており、トランジスタ53のゲートとゲイン変更回路54の接続点と、トランジスタ52のドレインとトランジスタ53のドレインの接続点とが接続されている。
【0066】
ゲイン変更回路54は、CMOSセンサ21で撮像される画像のゲインを変更するときに、例えば、ゲインをアップするときに、後述する図8に示されるゲインアップ時のランプ信号Rが参照電圧回路26から出力されるようにする回路である。また、ゲイン変更回路54とトランジスタ53とは、カレントミラー回路を構成する。
【0067】
トランジスタ55のドレインは、ゲイン変更回路54に接続されており、トランジスタ55のソースは、電源電圧VDDに接続されており、トランジスタ55のゲートは、ランプ生成回路56に接続されている。また、トランジスタ55のドレインとゲイン変更回路54の接続点と、トランジスタ55のゲートとランプ生成回路56の接続点とが接続されている。
【0068】
ランプ生成回路56は、図4に示したようなランプ信号Rを生成するための回路である。
【0069】
オフセット回路57は、例えば、温度変化などによる暗電流に起因する黒基準のずれや回路オフセット成分が、画素データに影響を与えることを回避するために、後述する図9に示されるオフセット時のランプ信号Rが参照電圧回路26から出力されるようにする回路である。
【0070】
このように構成されている参照電圧回路26から出力されるランプ信号Rは、ランプ生成回路56から出力される電流をIr1とし、オフセット回路57から出力される電流をIf1とし、抵抗44の抵抗値をRoutとすると、次の式(1)で表される。
【0071】
ランプ信号R=(Ir1+If1)×Rout
・・・(1)
【0072】
式(1)に示すように、ランプ信号Rには、電源電圧VDDの項がないので、このことからも、電源電圧VDDのノイズが、画素データに影響を与えないことが分かる。
【0073】
即ち、図7は、図1を参照して説明した従来のCMOSセンサ11、即ち、ランプ信号Rの基準電位が、電源電圧VDDであるCMOSセンサ11の参照電圧回路15の一例の構成を示す回路図である。
【0074】
図7において、参照電圧回路15は、2個の定電流回路601および602、トランジスタ61、ゲイン変更回路62、トランジスタ63、ランプ生成回路64、オフセット回路65、およびトランジスタ66乃至68から構成されている。
【0075】
このように構成されている参照電圧回路15から出力されるランプ信号Rは、ランプ生成回路64から出力される電流をIr2とし、オフセット回路65から出力される電流をIf2とし、抵抗16の抵抗値をRoutとすると、次の式(2)で表される。
【0076】
ランプ信号R=VDD−(Ir2+If2)×Rout
・・・(2)
【0077】
このように、ランプ信号Rの基準電位が、電源電圧VDDである場合には、ランプ信号Rには、電源電圧VDDの項があるので、電源電圧VDDにノイズが発生すると、そのノイズがランプ信号Rに乗り、コンパレータ17(図1)が出力する比較結果信号に影響を与え、その結果、図2に示したような横引きノイズが画像に発生する。
【0078】
これに対し、上述したように、図6に示した参照電圧回路26から出力されるランプ信号Rの基準電位は、GNDレベルであるので、このような横引きノイズが画像に発生することを抑制することができる。
【0079】
次に、図8を参照して、ゲインアップ時のランプ信号Rについて説明する。
【0080】
図8において、横軸は、左から右に向かって時間の経過を表しており、縦軸は、ランプ信号Rの電圧を表している。また、図4を参照して説明したリセット信号A/D変換期間内で、ランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下する期間をリセット相(P相)と称し、データ信号A/D変換期間(図4)内で、ランプ信号Rの電圧が一定の傾きで降下する期間をデータ相(D相)と称する。
【0081】
通常時のランプ信号Rは、通常の明るさでCMOSセンサ21により画像を撮像するときの波形を示しており、ゲインアップ時のランプ信号Rは、通常より暗い状態でCMOSセンサ21により画像を撮像するときの波形を表している。即ち、通常より暗い状態では、図5のFD41に蓄積される電荷は少量になるが、ランプ信号Rの電圧が降下する傾きを小さくすることにより、コンパレータ31が出力する比較結果信号(図4)がHレベルからLレベルに遷移するまでの時間を長くすることができ、これにより、カウンタ32が出力する画素データが、ゲインアップされる。
【0082】
ここで、ゲインアップ時に、参照電圧回路26から出力されるランプ信号Rに生じる回路ノイズについて説明する。
【0083】
参照電圧回路26は、図6に示したように構成されており、定電流生成回路50が、ランプ信号Rに与える電圧ノイズVN0は、次の式(3)で表される。
【0084】
VN0=in0×(gm2/gm1)×(gm4/gm3)×(gm6/gm5)×Rout
・・・(3)
【0085】
ただし、式(3)において、in0は、定電流生成回路50の電流ノイズであり、gm1は、トランジスタ51のコンダクタンスであり、gm2は、トランジスタ52のコンダクタンスであり、gm3は、トランジスタ53のコンダクタンスであり、gm4は、ゲイン変更回路54のコンダクタンスであり、gm5は、トランジスタ55のコンダクタンスであり、gm6は、ランプ生成回路56のコンダクタンスであり、gm7は、オフセット回路57のコンダクタンスである。
【0086】
このとき、トランジスタ51の電圧ノイズをvn1とすると、トランジスタ51が、ランプ信号Rに与える電圧ノイズVN1は、次の式(4)で表される。
【0087】
VN1=vn1×gm2×(gm4/gm3)×(gm6/gm5)×Rout
・・・(4)
【0088】
また、ランプ信号Rに生じる合計ノイズVNは、次の式(5)で表される。
【0089】
VN2=VN02+VN12+VN22+VN32+VN42+VN52+VN62+VN72
・・・(5)
【0090】
ただし、式(5)において、VN2は、トランジスタ52がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN3は、トランジスタ53がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN4は、ゲイン変更回路54がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN5は、トランジスタ55がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN6は、ランプ生成回路56がランプ信号Rに与える電圧ノイズであり、VN7は、オフセット回路57がランプ信号Rに与える電圧ノイズである。
【0091】
ここで、例えば、ゲインが最大であるときには、ゲイン変更回路54とトランジスタ53とのカレントミラー回路での折り返し比(ミラー比=gm4/gm3)を同程度、例えば1とすると、VN0乃至VN3の値がそのままランプ信号Rで見えてしまい、ノイズとして目だってしまう。
【0092】
そこで、ゲインアップ時のノイズの増加を抑制するためには、トランジスタ53のサイズよりゲイン変更回路54のサイズを十分小さくする必要がある。具体的には、図8に示すように、ゲインを2倍に変更するときには、ゲイン変更回路54のサイズを半分にする、即ち、ゲイン変更回路54のコンダクタンスgm4を半分にすることにより、ゲイン変更回路54とトランジスタ53とのカレントミラー回路によって作られる電流を減少させる。この場合、ゲインアップ時のVN0乃至VN3のノイズを、通常時のVN0乃至VN3のノイズに比べて、半分に抑制することができる。
【0093】
なお、低ゲイン時には、VN0乃至VN3のノイズが、そのまま合計ノイズVNに表れてしまうが、このようなノイズは、定電流生成回路50の電流値を増加させたり、容量などにより帯域制限をすることなどにより、ノイズの低減を図ることができる。
【0094】
次に、図9を参照して、オフセット時のランプ信号Rについて説明する。
【0095】
図9において、横軸は、左から右に向かって時間の経過を表しており、縦軸は、ランプ信号Rの電圧を表している。
【0096】
オフセット時のランプ信号Rは、温度変化などによる暗電流に起因する黒基準のずれなどが、画素データに影響を与えることを回避するために、オフセット回路57が出力する電流が、ランプ生成回路56に重畳されて、出力される。即ち、オフセット時には、図9に示すように、オフセット時のリセット相の電圧が、通常時のリセット相の電圧より高くなり、リセット相の基準電圧(一定の傾斜で電圧が降下する前の電圧を基準電圧と称する)が、データ相の基準電圧より、オフセットレベル分だけ高くなる。オフセットレベルは、温度変化などに応じて設定される。
【0097】
このように、リセット相の基準電圧が、データ相の基準電圧よりもオフセットレベル分だけ高くなることにより、温度変化などにより暗電流が増加しても、その増加を打ち消すことができる。このようなリセット相のオフセットは、オフセット回路57がオフセットレベルに応じた電流を出力することにより行われる。
【0098】
従って、オフセット回路57は、オフセット時だけ電流を出力し、通常時には電流を出力しない。これにより、通常時には、オフセット回路57が出力する電圧の電圧ノイズが、ランプ信号Rにノイズを発生させることは抑制される。
【0099】
ここで、オフセット時に、参照電圧回路26から出力されるランプ信号Rに生じる回路ノイズについて説明する。
【0100】
図8を参照して説明したように、ランプ信号Rに生じる合計ノイズVNは、上述の式(5)で表され、オフセット回路57がランプ信号Rに与える電圧ノイズは、VN7である。ここで、オフセット回路57に流れる電流構成が、トランジスタ51のゲートからカレントミラーで電流分配する方式であるとすると、オフセット回路57がランプ信号Rに与える電圧ノイズVN7は、次の式(6)で表される。
【0101】
VN7=in0×(gm7/gm1)×Rout
・・・(6)
【0102】
上述したように、図6に示す参照電圧回路26の回路構成において、通常時には、オフセット回路57がオフセット用の電流を出力しないので、式(6)において、ランプ信号Rに与える電圧ノイズVN7の項は、無視することができ、従来のデータ相にオフセットを追加する構成のCMOSセンサよりも、ノイズの発生を抑制することができる。
【0103】
図10は、特許文献3にある従来のCMOSセンサ11の参照電圧回路15、即ち、図7の参照電圧回路15におけるオフセット時のランプ信号Rを説明する図である。
【0104】
図6の構成である本発明で同様にデータ相にオフセットを追加する構成をとるとすると、オフセットレベルを確保するために、通常時に、オフセット回路57が電流を出力する必要があり、即ち、抵抗44に多くの電流を流す必要がある。そして、オフセット時には、その電流を低下させることにより、データ相の基準電圧が低くなるという構成が必要になる。
【0105】
このように、図10の構成では、通常時に、オフセット回路57が電流を出力しているため、オフセット回路57の電圧ノイズが、ランプ信号Rに影響を与える。
【0106】
これに対し、上述したように、図9の構成では、通常時には、オフセット回路57が電流を出力していないので、ランプ信号Rに発生するノイズを、図10の従来構成よりも低減させることができる。
【0107】
また、参照電圧回路15では、図7に示すように、ゲイン変更回路62用の定電流回路601と、オフセット回路65用の定電流回路602とが、それぞれ独立して必要となる回路構成であったが、参照電圧回路26では、ゲイン変更回路54とオフセット回路57とで、定電流生成回路50を共有することができる。これにより、参照電圧回路26のレイアウト面積を、参照電圧回路15より、小さくすることができ、ひいては、CMOSセンサ21のレイアウト面積を小さくすることができる。さらに、消費電力も低減することができる。
【0108】
また、例えば、従来は、画素信号Pとランプ信号Rの基準電位が異なることにより発生していた横引きノイズを除去するための信号処理回路などが必要であったが、CMOSセンサ21では、ノイズの発生が抑制されるので、このような信号処理回路は必要なくなり、これによっても、CMOSセンサ21のレイアウト面積を小さくすることや、消費電力を低減することができる。
【0109】
なお、本実施の形態においては、NMOSより構成される単位画素で構成されるセンサについて説明したが、本発明は、PMOSより構成される単位画素で構成されるセンサにも適用することができ、その場合には、上述の説明における極性がすべて逆になる、例えば、GNDレベルを基準としていたものは、電源電圧VDDを基準とする。この場合にも、例えば、画素信号Pの基準電位と、ランプ信号Rの基準電位とを同一のレベルとすることで、ノイズの発生を抑制することができる。
【0110】
また、本発明を適用したCMOSセンサ21は、携帯電話機や、コンパクトディジタルカメラ、高級一眼レフカメラ、カムコーダ、監視カメラ、誘導装置などの機器に搭載することができ、それらの機器は、低ノイズの画像を撮像することができる。
【0111】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】従来のCMOSセンサの一例の構成を示す回路図である。
【図2】画像に発生する横引きノイズを示す例である。
【図3】本発明を適用したCMOSセンサの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図4】CMOSセンサ21の動作する図である。
【図5】CMOSセンサ21の構成例を示す回路図である。
【図6】参照電圧回路26の構成例を示す回路図である。
【図7】従来の参照電圧回路15の一例の構成を示す回路図である。
【図8】ゲインアップ時のランプ信号Rを説明する図である。
【図9】オフセット時のランプ信号Rを説明する図である。
【図10】従来のオフセット時のランプ信号Rを説明する図である。
【符号の説明】
【0113】
21 CMOSセンサ, 22 システム制御ユニット, 23 垂直走査回路, 24 ピクセルアレイ, 25 PLL, 26 参照電圧回路, 27 カラムADC, 28 水平走査回路, 29 センスアップ, 31 コンパレータ, 32 カウンタ, 33 バス, 41 FD, 42 トランジスタ, 43 電流源, 44 抵抗, 50 定電流生成回路, 51乃至53 トランジスタ, 54 ゲイン変更回路, 55 トランジスタ, 56 ランプ生成回路, 57 オフセット回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである
撮像回路。
【請求項2】
前記ランプ信号生成手段は、
前記ランプ信号の傾きを変更し、前記撮像回路により撮像される画像のゲインを変更するゲイン変更手段と、
前記ゲイン変更手段とカレントミラー回路を形成するトランジスタと
を有し、
前記ゲインが最小であるときに、前記ゲイン変更手段のコンダクタンスと前記トランジスタのコンダクタンスの比が同程度である
請求項1に記載の撮像回路。
【請求項3】
前記ゲイン変更手段は、前記トランジスタとのカレントミラー回路によって作られる電流を減少させることにより、前記ゲインを増加させる
請求項2に記載の撮像回路。
【請求項4】
前記ランプ信号は、第1の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下する第1の区間と、第2の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下する第2の区間と有する形状をしており、
前記ランプ信号生成手段は、
前記第1の初期電圧と前記第2の初期電圧とが同一であるランプ信号を生成する通常ランプ信号生成手段と、
前記第1の初期電圧と前記第2の初期電圧とがオフセットするオフセット時に、前記第1の初期電圧を前記第2の初期電圧よりも高くするオフセット成分を、前記ランプ信号に重畳させるオフセット手段と
をさらに有する
請求項1に記載の撮像回路。
【請求項5】
前記ゲイン変更手段と前記オフセット手段とが、共通の定電流回路を使用している
請求項4に記載の撮像回路。
【請求項6】
撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサであって、
前記撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである
CMOSセンサ。
【請求項7】
撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを有する撮像装置であって、
前記撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである
撮像装置。
【請求項1】
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである
撮像回路。
【請求項2】
前記ランプ信号生成手段は、
前記ランプ信号の傾きを変更し、前記撮像回路により撮像される画像のゲインを変更するゲイン変更手段と、
前記ゲイン変更手段とカレントミラー回路を形成するトランジスタと
を有し、
前記ゲインが最小であるときに、前記ゲイン変更手段のコンダクタンスと前記トランジスタのコンダクタンスの比が同程度である
請求項1に記載の撮像回路。
【請求項3】
前記ゲイン変更手段は、前記トランジスタとのカレントミラー回路によって作られる電流を減少させることにより、前記ゲインを増加させる
請求項2に記載の撮像回路。
【請求項4】
前記ランプ信号は、第1の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下する第1の区間と、第2の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下する第2の区間と有する形状をしており、
前記ランプ信号生成手段は、
前記第1の初期電圧と前記第2の初期電圧とが同一であるランプ信号を生成する通常ランプ信号生成手段と、
前記第1の初期電圧と前記第2の初期電圧とがオフセットするオフセット時に、前記第1の初期電圧を前記第2の初期電圧よりも高くするオフセット成分を、前記ランプ信号に重畳させるオフセット手段と
をさらに有する
請求項1に記載の撮像回路。
【請求項5】
前記ゲイン変更手段と前記オフセット手段とが、共通の定電流回路を使用している
請求項4に記載の撮像回路。
【請求項6】
撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサであって、
前記撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである
CMOSセンサ。
【請求項7】
撮像回路が半導体チップ上に配置されて構成されるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを有する撮像装置であって、
前記撮像回路は、
フォトディテクタの受光量に応じた電荷を増幅し、画素信号を出力する増幅手段と、
所定の初期電圧から、一定の傾きで電圧が降下するランプ信号を生成するランプ信号生成手段と、
前記増幅手段が出力する画素信号と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号とを比較する比較手段と
を備え、
前記増幅手段が出力する画素信号の基準電位と、前記ランプ信号生成手段が出力するランプ信号の基準電位とが同一のレベルである
撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−312179(P2008−312179A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178075(P2007−178075)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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