説明

撮像素子

【課題】読み出し部の構造の複雑化を抑制しながら、読み出し電圧の低減や読み出し時間の短縮を実現する撮像素子を提供する。
【解決手段】アレイ状に配置される各受光センサ部101が、読み出し用電極103側が長く、対向する側が短い非対称形状を有し、前記アレイ状の配置において、各行は、互いに同一の方向を向く前記受光センサ部101により構成され、前記受光センサ部101の向きが互いに逆の2種類の行が垂直方向に交互に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子に関し、特に、読み出し電圧の低減や読み出し時間の短縮を実現することができるようにした撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子のセンサの形状は、読み出し部とチャネルストップの長さが同一となる、所謂左右対称型が一般的であった。
【0003】
しかしながら、この形状の場合、センサ重心を読み出し部に寄せるにはインプラント追加に頼る面が大きく、読み出し電圧の低減には限界が存在した。
【0004】
そこで、電荷転送効率の向上及び読み出し電圧の抑制を目的として、各転送電極において、互いに隣接する転送電極同士の電荷転送に寄与する実効的領域の境界の長さが、信号電荷の転送方向に垂直な方向の実効的領域の幅よりも長くなっている電荷転送素子が考えられた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この構造において左右非対称の形状を取っているのはセンサではなく転送電極となるため、センサ重心への影響は弱く読み出し部へ寄せることはできないため、読み出し電圧を大きく低減することは困難であった。
【0006】
そこで、センサ形状を略三角形とすることで、画素サイズが縮小されても高い読み出し効率を確保することが考えられた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−72471号公報
【特許文献2】特開2004−253740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の方法の場合、対向センサに蓄積した信号電荷を垂直レジスタで混合したり、別々に読み出したりするため、それぞれに電気的に独立した読み出し電極を設置する必要があった。その影響でプロセスの難易度が上がり、歩留の低下及びコストアップにつながる可能性があった。
【0009】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、読み出し部の構造の複雑化を抑制しながら、読み出し電圧の低減や読み出し時間の短縮を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面は、行列状に配置される各受光センサ部が、読み出し用電極側が長く、対向する側が短い非対称形状を有し、前記行列の各行において各受光センサ部は互いに同一の方向に電荷を転送し、前記行列の各列において各受光センサ部は交互に逆の方向に電荷を転送する撮像素子である。
【0011】
前記受光センサ部の形状は、読み出し用電極側を1辺とし、対向する側を頂点とする三角形であるようにすることができる。
【0012】
前記受光センサ部の形状は、読み出し用電極側が、対向する側よりも長い台形であるようにすることができる。
【0013】
前記受光センサ部の形状を反映した形状のオンチップレンズをさらに有することができる。
【0014】
各受光センサ部の形状を反映した形状のカラーフィルタをさらに有することができる。
【0015】
前記カラーフィルタの配色パターンは、各垂直転送レジスタの一方の側の受光センサ部から電荷を読み出すことにより、フィールド毎の画素値の読み出しが実現可能なパターンであるようにすることができる。
【0016】
前記カラーフィルタの配色パターンは、行方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンであるようにすることができる。
【0017】
前記カラーフィルタの配色パターンは、列方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンであるようにすることができる。
【0018】
前記カラーフィルタの配色パターンは、行方向および列方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンであるようにすることができる。
【0019】
本開示の一側面においては、行列状に配置される各受光センサ部の形状が、読み出し用電極側が長く、対向する側が短い非対称形状とされ、その行列の各行において各受光センサ部から互いに同一の方向に電荷が転送され、その行列の各列において各受光センサ部から交互に逆の方向に電荷が転送される。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、光電変換素子の読み出し電圧の低減や読み出し時間の短縮を実現することができる。特に、読み出し部の構造の複雑化を抑制しながら、光電変換素子の読み出し電圧の低減や読み出し時間の短縮を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】撮像素子の主な構成例を示す図である。
【図2】センサのポテンシャルのイメージの例を示す図である。
【図3】特許文献2に記載の読み出し部の構成例を説明する図である。
【図4】読み出し電極の他の例を示す図である。
【図5】オンチップレンズの例を示す図である。
【図6】カラーフィルタの配色パターンの、他の例を示す図である。
【図7】画素を間引く例を示す図である。
【図8】画素加算の例を示す図である。
【図9】カラーフィルタの配色パターンの、さらに他の例を示す図である。
【図10】第1フィールドの読み出し例を示す図である。
【図11】第2フィールドの読み出し例を示す図である。
【図12】画素水平方向加算の例を示す図である。
【図13】画素垂直方向加算の例を示す図である。
【図14】画素水平垂直方向加算の例を示す図である。
【図15】センサ形状の他の例を示す図である。
【図16】電極配線の例を説明する図である。
【図17】CMOSセンサの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(撮像素子)
【0023】
<1.第1の実施の形態>
[撮像素子の構成]
図1は、本技術を適用した撮像素子の構成例を示す図である。図1に示される撮像素子100は、フォト・ダイオード等の光電変換素子を有し、入射光を電気信号に変換する。撮像素子100は、例えば、光電変換素子が光から発生した電荷を読み出すために電荷結合素子(CCD(Charge Coupled Device)と呼ばれる回路素子を用いて転送を行うCCDイメージセンサである。
【0024】
撮像素子100は、図1に示されるように、行列状に配置された受光センサ部101−00乃至受光センサ部101−XY(X、Yはそれぞれ0乃至9の整数)を有する。各受光センサ部を互いに区別して説明する必要が無い場合、単に、受光センサ部101と称する。
【0025】
受光センサ部101の各列の間および両端には、列方向に延伸し、隣接する受光センサ部101に蓄積された電荷をその列(延伸)方向に転送する垂直転送レジスタ102が1本ずつ設けられる(垂直転送レジスタ102−0乃至垂直転送レジスタ102−(Y+1))。
【0026】
また、各受光センサ部101に対して1つずつ、その受光センサ部101に蓄積された電荷が読み出される読み出し用電極103が設けられる(読み出し用電極103−00乃至読み出し用電極103−XY)。各読み出し用電極103は、自身が対応する受光センサ部101に蓄積された電荷を転送する垂直転送レジスタ102の、自身が対応する受光センサ部101に隣接する位置に重畳するように設けられる。受光センサ部101に蓄積された電荷は、その受光センサ部101が対応する読み出し用電極103を介して、垂直転送レジスタ102に転送される。
【0027】
また、撮像素子100は、図中上から(列方向において)奇数番目の読み出し用電極103を水平方向に繋ぐ制御用の電極配線104−1乃至104−(X/2)と、図中上から(列方向において)偶数番目の読み出し用電極103を水平方向に繋ぐ制御用の電極配線105−1乃至105−(X/2)とを有する。電極配線104−1乃至104−(X/2)を互いに区別して説明する必要が無い場合、単に、電極配線104と称する。また、電極配線105−1乃至105−(X/2)を互いに区別して説明する必要が無い場合、単に、電極配線105と称する。
【0028】
図1には、撮像素子100の有効画素の一部の回路構成が示されている。ただし、図1に示されない画素についても同様に構成されている。
【0029】
図1に示されるように、行列状に配置される各受光センサ部101は、読み出し用電極103側を1辺(底辺)とし、それに対向する側(チャネルストップ側)を頂点とする三角形の形状を有する。つまり、受光センサ部101は、読み出し用電極側が長く、それに対向する側(チャネルストップ側)が短い、所謂非対称形状を有する。なお、図1に示されるように、上下に隣接する他の受光センサ部101との分離領域(チャネルストップ領域)は、それぞれ、受光センサ部101の三角形の1辺をなしている(このチャネルストップ領域が読み出し用電極側に比べて短いわけではない)。
【0030】
以上のように、各受光センサ部101は、読み出し用電極側が長く、それに対向する側(チャネルストップ側)が短い非対称形状を有するので、センサ重心を読み出し側へ寄せ、読み出し電圧の低減や、読み出し時間の短縮などが期待される。また、読み出し部側と逆側のチャネルストップ側を短くすることで、相隣画素へのブルーミングも防ぐことができる。
【0031】
図2は、センサのポテンシャルのイメージの例を示す図である。点線121は、対称形状の受光センサ部のポテンシャルを示し、実線122は、受光センサ部101のポテンシャルを示す。図2では従来の対称型センサのポテンシャルから三角形にすることでのセンサ幅の変化を反映し、三角関数を用いて概算している。
【0032】
また、図1に示されるように、各行において各受光センサ部101は、互いに同一の方向に電荷を転送するように設置される。また、各列において受光センサ部101は、交互に逆方向に電荷を転送するように設置される。
【0033】
つまり、各行において各受光センサ部101は、互いに同一の方向(自身の左または右)の垂直転送レジスタ102に電荷を転送する。すなわち、各行において各受光センサ部101は、互いに同一の方向(自身の左または右)に、自身が対応する読み出し用電極103を有する。これに対して、各列において各受光センサ部101は、交互に逆方向(自身の左または右)の垂直転送レジスタ102に電荷を転送する。すなわち、各列において各受光センサ部101は、交互に逆方向(自身の左または右)に、自身が対応する読み出し用電極103を有する。
【0034】
例えば、図1の例の場合、受光センサ部101−00の読み出し用電極103−00は、受光センサ部101−00の図中左側(垂直転送レジスタ102−0)に設けられ、受光センサ部101−00の下の受光センサ部101−10の読み出し用電極103−02は、受光センサ部101−10の図中右側(垂直転送レジスタ102−1)に設けられている。また、受光センサ部101−00の右の受光センサ部101−01の読み出し用電極103−01は、受光センサ部101−01の図中左側(垂直転送レジスタ102−1)に設けられている。
【0035】
これに対して、特許文献2に記載の固体撮像素子の場合、特許文献2の図1に示されるように、互いに逆方向を向く受光センサ部が行方向に隣接するように配置されている。したがって、互いに同一の垂直転送レジスタに読み出し用電極を持つ受光センサ部が行方向に隣接する。つまり、垂直転送レジスタの延伸(列)方向の同じ位置に、その垂直転送レジスタの左右の受光センサ部の読み出し用電極が存在する。したがって、読み出し用電極の構造が、図3に示される断面図のように複雑になってしまい、その分、プロセスの難易度が上がり、歩留まりの向上や、コストの低減が困難になる可能性があった。
【0036】
これに対して、撮像素子100の場合、行方向に並ぶ受光センサ部101は、互いに同じ側に読み出し用電極を持つ。そして、列方向に並ぶ受光センサ部101は、交互に逆の側に読み出し用電極を持つ。
【0037】
したがって、垂直転送レジスタ102には、その延伸方向に、その垂直転送レジスタ102の右に位置する受光センサ部101の読み出し用電極と、その垂直転送レジスタ102の左に位置する受光センサ部101の読み出し用電極とが交互に並ぶ。つまり、左右の受光センサ部101に対応する読み出し用電極の位置が互いに1行ずつずれて同じ位置にならないので、読み出し用電極の構造を、従来の対称形状の受光センサ部の場合と同様の簡易な構造で実現することができる。したがって、従来と同様のプロセス難易度で実現することができ、歩留まりの低減を抑制し、コストの増大を抑制することができる。
【0038】
なお、図中、各受光センサ部101には、R、G、Bの文字が示されているが、これらの文字は、その受光センサ部101に設けられるカラーフィルタの色を示しており、説明の便宜上付したものであって、実際にその文字が受光センサ部101に描かれているわけではない。なお、図1に示されるように、各受光センサ部101に重畳されるカラーフィルタも、受光センサ部101の形状を反映し、読み出し用電極側が長く、対向する側が短い非対称形状である。
【0039】
なお、読み出し用電極103の形状は、任意であり、例えば、図4に示される読み出し用電極153−00乃至読み出し用電極153−XYのように三角形にすることもできる。以下において、読み出し用電極153−00乃至読み出し用電極153−XYを互いに区別して説明する必要が無い場合、単に読み出し用電極153と称する。
【0040】
つまり、図4の例の場合、垂直転送レジスタ102には、互いに異なる方向を向く読み出し用電極153が延伸(列)方向に交互に並べられる。このようにすることにより、各読み出し用電極153をより大きくすることができる。これにより、受光センサ部101の読み出し部では、さらなる、読み出し電圧の低減、読み出し時間の短縮などが期待される。なお、図4に示される例のように、読み出し用電極153の形状を三角形にすることにより、簡易な構造で、各画素に1つずつ独立した電極を設ける(1画素1電極構造を実現する)ことができる。これにより、配線構造をより簡単なものにすることができる。また、上下画素への逆読みを有効に抑制することもできる。
【0041】
上層構造では、センサ形状に合わせた左右非対称な形状を取るカラーフィルタが必要となり、集光には図5に示されるような、センサ形状を反映したオンチップレンズ161を用いることが望ましい。
【0042】
従来のオンチップレンズ形状(半球状)では入射光を精度よく略三角形のセンサに投射することは難しく、垂直レジスタに漏れた光がスミアの原因になり得るため、底面が三角形のレンズ形状が望ましい。またプロセスの難易度を考慮し、センサ形状を反映した図5のようなオンチップレンズ161の採用が望ましい。以下においては、各受光センサ部101上には、このようなオンチップレンズと、カラーフィルタのいずれかの色のフィルタが配置されるものとする。すなわち、各オンチップレンズ、および、カラーフィルタの各色のフィルタは、受光センサ部101の形状に合わせた左右非対称な形状を有する。
【0043】
カラーフィルタの各色の配置パターンは任意であり、図1に示される例以外であってもよい。図6は、カラーフィルタの配色パターンの他の例を示す図である。図6に示されるように、点線171において囲まれる部分の2行8列の配色パターンが繰り返される。
【0044】
つまり、図6に示されるように、図中上から、緑(G)と赤(R)のフィルタがこの順に交互に配置される列と、青(B)と緑(G)のフィルタがこの順に交互に配置される列と、赤(R)と緑(G)のフィルタがこの順に交互に配置される列と、緑(G)と青(B)のフィルタがこの順に交互に配置される列とが、行方向に、それぞれ2列ずつ並べられる。
【0045】
このような配色パターンの場合、例えば、図7に示される矢印のように、各垂直転送レジスタ102のいずれか一方の側の受光センサ部101からのみ読み出しを行うだけで、容易に1行(1水平ライン)おきの読み出しを実現することができる。つまり、図7の例のように読み出しを行った場合、画像の垂直方向の画素数を半分にすることができる。
【0046】
また、行方向に同色のカラーフィルタが2列ずつ並べられているので、行方向に1画素おきにデータを間引く(同色の行方向相隣画素の内の一方を破棄する)等の処理も容易に行うことができる。すなわち、画像の水平方向の画素数も容易に半分にすることができる。さらに、図8に点線で示されるように、読み出された画像データにおいて、水平方向相隣画素(同色の画素同士)の加算を行えば、従来画素同等以上の蓄積信号量を得ることができる。すなわち、各画素のダイナミックレンジを拡張することができる。
【0047】
図9は、カラーフィルタの配色パターンの、さらに他の例を示す図である。図9の例の場合、繰り返しパターンは、2×8画素であり、図中上から順に緑(G)、赤(R)、緑(G)、赤(R)、青(B)、緑(G)、青(B)、緑(G)のフィルタが並ぶ列が2列連続する。
【0048】
行方向には、この繰り返しパターンと、この繰り返しパターンの赤(R)と青(B)を入れ替えたパターンとが交互に配置される。列方向も同様に、この繰り返しパターンと、この繰り返しパターンの赤(R)と青(B)を入れ替えたパターンとが交互に配置される。
【0049】
この場合も、図10や図11に示されるように、垂直転送レジスタの一方の側の受光センサ部101からのみ読み出しを行うだけで容易に、1行(1水平ライン)間隔での読み出し、すなわち、フィールド毎の読み出しを実現することができる。
【0050】
図10は、第1フィールドの読み出しの様子の例を示している。図10に示されるように、この場合、受光センサ部101−00、受光センサ部101−01、受光センサ部101−20、受光センサ部101−21、受光センサ部101−40、受光センサ部101−41、受光センサ部101−60、および受光センサ部101−61の電荷がそれぞれの読み出し用電極103に読み出されている。残りの受光センサ部101は、露光中の状態(電荷が蓄積された状態)である。
【0051】
つまり、例えば、読み出し用電極103−01、読み出し用電極103−21、読み出し用電極103−41、読み出し用電極103−61のように、奇数ラインの電荷、すなわち、第1フィールドの電荷のみが読み出されている。
【0052】
図11は、第2フィールドの読み出しの様子の例を示している。図11に示されるように、この場合、受光センサ部101−10、受光センサ部101−11、受光センサ部101−30、受光センサ部101−31、受光センサ部101−50、受光センサ部101−51、受光センサ部101−70、および受光センサ部101−71の電荷がそれぞれの読み出し用電極103に読み出されている。残りの受光センサ部101は、露光中の状態(電荷が蓄積された状態)である。
【0053】
つまり、例えば、読み出し用電極103−11、読み出し用電極103−31、読み出し用電極103−51、読み出し用電極103−71のように、偶数ラインの電荷、すなわち、第2フィールドの電荷のみが読み出されている。
【0054】
以上のように、図10と図11に示される読み出しを交互に繰り返すだけで容易に、フィールド毎の読み出しが可能になる。
【0055】
さらに、図10の点線191に示されるような行方向に隣接する同色の画素値の加算や、点線192に示されるような列方向に隣接する同色の画素値の加算も、容易に行うことができる。
【0056】
図12は、行方向2画素加算により蓄積電荷量を確保している例を示す図である。図12においては、点線201乃至点線204に示されるように、行方向に並ぶ同色の2画素の画素値が加算されている。この場合、撮像により得られる画像データの垂直方向の解像度は、受光センサ部の形状が従来の対称型の場合の2倍となり、水平方向の解像度は、この加算により、受光センサ部の形状が従来の対称型の場合と同等となる。
【0057】
図13は、列方向2画素加算により蓄積電荷量を確保している例を示す図である。図13においては、点線211乃至点線214に示されるように、列方向に並ぶ同色の2画素の画素値が加算されている。この場合、撮像により得られる画像データの水平方向の解像度は、受光センサ部の形状が従来の対称型の場合の2倍となり、垂直方向の解像度は、この加算により、受光センサ部の形状が従来の対称型の場合と同等となる。
【0058】
図14は、行方向・列方向2画素加算により蓄積電荷量を確保している例を示す図である。図14においては、点線221および点線222に示されるように、行方向・列方向に並ぶ同色の2×2画素の画素値が加算されている。この場合、この加算により、撮像により得られる画像データの垂直方向の解像度と水平方向の解像度の両方とも、受光センサ部の形状が従来の対称型の場合と同等となる。
【0059】
ただし、いずれの場合も、加算後の各画素の蓄積信号量は、受光センサ部の形状が従来の対称型の場合以上となる。すなわち、各画素のダイナミックレンジを拡張することができる。
【0060】
つまり、本技術では画素加算方式の自由度が高く、蓄積信号量を確保する目的で行方向・垂直方向の加算が駆動タイミング変更により簡単に制御することができ、任意の方向で画素を間引くことも容易である。また、加算を行わず全画素読み出しを行えば、従来の固体撮像素子に比べ、より多くの画素数を実現することができる。
【0061】
また、行方向の画素加算を水平レジスタで行うことができ、尚且つ1画素当たりの蓄積電荷量は従来の矩形センサ(対称形状のセンサ)に比べ少ないため、垂直レジスタ取り扱い電荷量への要求は従来ほど厳しくなく、垂直レジスタの細線化も可能と考えられる。
【0062】
なお、カラーフィルタの配置パターンは任意であり、上述した以外であってもよい。
【0063】
以上においては、受光センサ部101の形状が三角形であるように説明したが、受光センサ部101の形状は、読み出し用電極側が長く、それに対向するチャネルストップ側が短い、所謂非対称形状であればよく、三角形以外であってもよい。
【0064】
例えば、受光センサ部101の形状は、図15Aに示されるような三角形以外にも、図15Bに示されるような台形であってもよいし、図15Cに示されるような直角三角形であってもよい。また、図15Dや図15Eに示されるような多角形であってもよい。
【0065】
なお、図16に示されるように、受光センサ部101の形状が三角形の場合(図16A)よりも、受光センサ部101の形状が台形の場合(図16B)の方が、チャネルストップと垂直レジスタの間(図16Bの点線円251部分)でより多くスペースを取ることができ、配線工程の難易度及び対向センサへの信号逆読みを、より抑制することができる。
【0066】
また、図17に示されるように、本技術は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにも適用することができる。図17に示されるようにCMOSイメージセンサ300は、行列状に配置され、各画素を形成するセル301−00乃至セル301−XYを有する。セル301−00乃至セル301−XYを互いに区別して説明する必要が無い場合、単にセル301と称する。
【0067】
図17に示されるように、各セル301の形状は、三角形(読み出し用電極側が長く、それに対向するチャネルストップ側が短い、所謂非対称形状)であり、互いに同一の方向に電荷を転送するセルが行方向に並べられ、列方向には、互いに異なる方向に電荷を転送するセルが交互に並べられている。図17に示される範囲は、CMOSイメージセンサ300の有効画素の一部である。
【0068】
図17の例において、セル301−00とセル301−20が配線302−0に接続され、セル301−01、セル301−10、セル301−21、およびセル301−30が配線302−1に接続され、セル301−11とセル301−21とが配線302−2に接続されている。なお、配線302−0乃至配線302−3を互いに区別して説明する必要が無い場合、単に配線302とも称する。
【0069】
各セル301は、フォト・ダイオード(PD)311、読み出しゲート(TG)312、および増幅器(Amp)313を有する。フォト・ダイオード311に蓄積された電荷は、読み出しゲート312を介して読み出され、増幅器313において増幅された後、配線302に供給され、伝送される。
【0070】
図17に示されるように、このフォト・ダイオード311の形状を、三角形(読み出し用電極側が長く、それに対向するチャネルストップ側が短い、所謂非対称形状)とすることで、上述した撮像素子100の場合と同様に、読み出し電圧の低減を期待することができる。
【0071】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成が、複数の装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成が、まとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成が付加されるようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部が他の装置(または他の処理部)の構成に含まれるようにしてもよい。つまり、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0072】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 行列状に配置される各受光センサ部が、読み出し用電極側が長く、対向する側が短い非対称形状を有し、
前記行列の各行において各受光センサ部は互いに同一の方向に電荷を転送し、前記行列の各列において各受光センサ部は交互に逆の方向に電荷を転送する
撮像素子。
(2) 前記受光センサ部の形状は、読み出し用電極側を1辺とし、対向する側を頂点とする三角形である
前記(1)に記載の撮像素子。
(3) 前記受光センサ部の形状は、読み出し用電極側が、対向する側よりも長い台形である
前記(1)に記載の撮像素子。
(4) 前記受光センサ部の形状を反映した形状のオンチップレンズをさらに有する
前記(1)乃至前記(3)のいずれかに記載の撮像素子。
(5) 各受光センサ部の形状を反映した形状のカラーフィルタをさらに有する
前記(1)乃至前記(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6) 前記カラーフィルタの配色パターンは、各垂直転送レジスタの一方の側の受光センサ部から電荷を読み出すことにより、フィールド毎の画素値の読み出しが実現可能なパターンである
前記(5)のいずれかに記載の撮像素子。
(7) 前記カラーフィルタの配色パターンは、行方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンである
前記(5)または前記(6)に記載の撮像素子。
(8) 前記カラーフィルタの配色パターンは、列方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンである
前記(5)または前記(6)に記載の撮像素子。
(9) 前記カラーフィルタの配色パターンは、行方向および列方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンである
前記(5)に記載の撮像素子。
【符号の説明】
【0073】
100 撮像素子, 101 受光センサ部, 102 垂直転送レジスタ, 103 読み出し用電極, 104 電極配線, 105 電極配線, 153 読み出し用電極, 161 オンチップレンズ, 300 CMOSイメージセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置される各受光センサ部が、読み出し用電極側が長く、対向する側が短い非対称形状を有し、
前記行列の各行において各受光センサ部は互いに同一の方向に電荷を転送し、前記行列の各列において各受光センサ部は交互に逆の方向に電荷を転送する
撮像素子。
【請求項2】
前記受光センサ部の形状は、読み出し用電極側を1辺とし、対向する側を頂点とする三角形である
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記受光センサ部の形状は、読み出し用電極側が、対向する側よりも長い台形である
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記受光センサ部の形状を反映した形状のオンチップレンズをさらに有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
各受光センサ部の形状を反映した形状のカラーフィルタをさらに有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記カラーフィルタの配色パターンは、各垂直転送レジスタの一方の側の受光センサ部から電荷を読み出すことにより、フィールド毎の画素値の読み出しが実現可能なパターンである
請求項5に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記カラーフィルタの配色パターンは、行方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンである
請求項5に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記カラーフィルタの配色パターンは、列方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンである
請求項5に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記カラーフィルタの配色パターンは、行方向および列方向に隣接する複数の受光センサ部から読み出した電荷同士を加算可能なパターンである
請求項5に記載の撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−26423(P2013−26423A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159484(P2011−159484)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】