説明

撮像装置、制御方法、及びプログラム

【課題】絞り値の変化を抑えることで絞り値の変化に伴う深度の変化、音の変化、画面の輝度変化などの操作者が感じる違和感を生じにくくする。
【解決手段】被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子と、撮像素子へ入射する光量を調節する絞りと、ライブビュー表示が可能な画像表示部を備える。被写体の輝度を算出する画像処理回路により算出された輝度が所定輝度を超えたら、絞りの絞り値を変更するシステム制御部を有する。システム制御部は、ライブビュー開始時とライブビュー中とで、前記所定輝度を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビューファインダ機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画モニタ機能を有する撮像装置が知られている。動画モニタ機能とは、撮像装置のモニタ(表示部)に被写体の撮影前の画像を表示する、いわゆるライブビュー機能である。この種の撮像装置では、撮像素子(CMOSイメージセンサ或いはCCDイメージセンサ等)により被写体の光学像を光電変換して得られた映像信号をデータ処理回路等で所定の処理を施した後、モニタに画像(動画)として表示する。
【0003】
撮像装置のモニタに表示される画像の露出は、映像信号が所定値となるように、3つの制御パラメータ(撮像素子に対する電荷の蓄積時間:Tv、絞り:Av、ISO感度:Sv)を切り換えることで制御されている。3つの制御パラメータの組み合わせは、撮像装置に記憶されているプログラム線図に基づき決定される。被写体の輝度Evの値が求まると、3つの制御パラメータの値から明るさBvの値が決まる。以下の式は、Evと、Bv、Tv、Av、Svとの関係式である。
【0004】
Ev = Bv+Sv = Tv + Av
他方、撮像装置で絞りAvを制御することで露光量を制御する絞り駆動において、被写体の輝度Evの変化に対してヒステリシスを設けることで絞り値の変化を抑えるという機能に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで、ライブビュー機能を有する撮像装置において、ライブビュー時のプログラム線図を以下のように決定した場合を考える。即ち、高いISO感度でのノイズの増加、短い蓄積時間(高速Tv)でのフレーム間の連続性が損なわれることによる違和感、絞りAvの変化による画像の露光量や深度の変化、そして、駆動音などの問題を考慮して、図6に示すように決定したとする。
【0006】
図6において、上側の横軸と左側の縦軸は被写体の輝度Ev、下側の横軸は蓄積時間Tv、右側の縦軸は絞りAvを示す。右下向きの「くの字状」矢印は暗くなる変化を示し、左上向きの「くの字状」矢印は明るくなる変化を示す。図6のプログラム線図では、被写体の輝度Evが低輝度から高輝度に変化する場合は実線を選択し、高輝度から低輝度に変化する場合は2点鎖線を選択するものである。
【0007】
即ち、Ev4〜Ev8とEv8〜Ev12の輝度で絞りAvにヒステリシス(低輝度から高輝度に変化する場合に選択する実線と、高輝度から低輝度に変化する場合に選択する2点鎖線の経路が異なる特性)を設けている。
【0008】
例えば、図6において、被写体の輝度Evが低輝度から高輝度に変化する場合にはEv8を超えると絞り値を変更するのに対し、高輝度から低輝度に変化する場合にはEv8を下回っても絞り値を変更せず、Ev4を下回ることで絞り値を変更する。このように、被写体の輝度Evが低輝度から高輝度に変化する場合と高輝度から低輝度に変化する場合とで、絞り値を変化させる変化点となる輝度を異ならせることで、頻繁に絞り値が変化することを抑えることができる。
【0009】
図7は、従来例に係る撮像装置の制御パラメータ演算処理(図6のプログラム線図におけるそれぞれの制御パラメータの値を決めるための概略の制御)を示すフローチャートである。
【0010】
図7において、撮像装置の制御部は、制御パラメータ演算処理を開始すると(ステップS701)、次の値を取得する。即ち、前回の演算処理で算出された絞り値PreAvと、今回の演算処理を行う直前の被写体の輝度Evをそれぞれ取得する(ステップS702、ステップS703)。次に、制御部は、被写体の輝度Evが、前回の絞り値PreAvの連動範囲内にあるかどうかを確認し、絞り値を絞り値PreAvから変更する必要があるか否かを判定する(ステップS704)。ここで、連動範囲とは、図6のプログラム線図で水平方向の太線(太い実線、太い2点鎖線)で示す範囲である。
【0011】
被写体の輝度Evが連動範囲外の場合は、被写体の輝度Evが連動範囲内となるように制御パラメータ演算を行い、制御パラメータ(Tv、Av、Sv)の値を算出する(ステップS705)。被写体の輝度Evが連動範囲内の場合は、前回の絞り値PreAvに基づき制御パラメータ演算を行い、その他の制御パラメータ(Tv、Sv)の値を算出する(ステップS706)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−20358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した従来の撮像装置において、ライブビュー開始時は主被写体に比べ主被写体以外がよりぼける現象を緩和するため、および焦点合わせの精度がはっきり分かるようにするために、絞り制御にヒステリシスのある輝度範囲では、開放側の絞りが選択される。すなわち、従来の撮像装置においてライブビューを開始する場合、絞り値Avは設定可能な最も開放される絞り値(設定可能な最も小さい絞り値)が設定される。
【0014】
しかし、従来は、上記のように開放側の絞りを選択するため、ライブビューを開始する時に例えば図6に示すEv7〜Ev8の輝度ではF1.8の絞りとなる。この場合、被写体の輝度が高輝度側に1段程度変化すると、すぐに絞り値が変化してしまう。その結果、絞り値の変化に伴い、深度の変化、音の変化、画像の輝度変化などが生じてしまい、操作者が違和感を持つという問題があった。
【0015】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、絞り値の変化を抑えることで操作者が感じる違和感を生じにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子へ入射する光量を調節する絞りと、前記撮像素子を用いて得られた画像を逐次表示することで電子ビューファインダとして使用が可能な表示手段とを備える撮像装置であって、前記被写体の輝度を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された輝度が所定輝度を超えたら前記絞りの絞り値を変更する制御手段と、を有し、前記制御手段は、電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を開始する時と電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を行っている間とで、前記所定輝度を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、絞り値の変化に伴う深度の変化、音の変化、画面の輝度変化などの操作者が感じる違和感を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る制御パラメータ演算処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る撮像装置で使用する通常のプログラム線図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る撮像装置で使用するライブビュー開始時用のプログラム線図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る撮像装置で使用する蓄積時間Tvを高速側まで選択可能な場合に使用されるプログラム線図である。
【図6】従来例に係る撮像装置で使用するプログラム線図である。
【図7】従来に係る撮像装置における制御パラメータ演算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1において、撮像装置100は、デジタルカメラとして構成されており、記録媒体200とレンズユニット300が着脱可能に装着されている。撮像装置100は、シャッタ12、撮像素子14、画像処理回路20、画像表示部29、測距制御部42、測光制御部44、システム制御部50等を備えている。記録媒体200は、記録部202等を備えている。レンズユニット300は、撮影レンズ310、絞り312、レンズシステム制御部350等を備えている。尚、図1の構成で本発明の要旨に直接関係しない構成については説明を簡略化または省略する。
【0022】
シャッタ12は、撮像素子14への露光量を制御する。撮像素子14は、被写体の光学像を電気信号に変換する。ミラー130、132は、レンズユニット300の撮影レンズ310に入射した光線を、一眼レフ方式により光学ファインダ104に導く。尚、ミラー130は、クイックリターンミラー、ハーフミラーのどちらの構成でもよい。撮影時においては、撮影レンズ310に入射した光線は、絞り312、レンズマウント306、撮像装置100のレンズマウント106、ミラー130、シャッタ12を介して光学像として撮像素子14に結像される。ミラー130がクイックリターンミラーの場合、撮影時にはミラー130は待避位置に移動するため、撮影レンズ310に入射した光線はミラー130を介することなく撮像素子14に結像される。
【0023】
A/D変換器16は、撮像素子14から出力されるアナログ信号をデジタル信号にA/D変換する。タイミング発生回路18は、メモリ制御回路22及びシステム制御部50により制御され、撮像素子14、 A/D変換器16、システム制御50にクロック信号や制御信号を供給する。
【0024】
画像処理回路20は、 A/D変換器16或いはメモリ制御回路22から出力されるデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20は、連続する2つの画像を使ってフレーム間の相関のズレ量とその方向を求め、必要に応じて、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行う。また、画像処理回路20は、撮像素子14から出力される電気信号をA/D変換器16でA/D変換したデータに基づき被写体の輝度を算出する。
【0025】
また、画像処理回路20は、得られた演算結果に基づいて、システム制御部50がシャッタ制御部40、測距制御部42に対して制御を行うTTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理を行う。更に、画像処理回路20は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行う。
【0026】
尚、本実施の形態では、測距制御部42及び測光制御部44を専用に備える構成としているため、光学ファインダ104の使用時は、測距制御部42及び測光制御部44を用いてAF処理、AE処理、EF(フラッシュ調光)処理の各処理を行う。また、電子ビューファインダ(以下、EVFとする)の使用時は、システム制御部50の制御により画像処理回路20を用いたAF処理、AE処理、EF処理の各処理を行うように自動で切り換える。
【0027】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。タイミング発生回路18の制御信号は、システム制御部50にも入力されている。これにより、システム制御部50は撮像制御のタイミングを知ることができる。A/D変換器16から出力されるデータは、画像処理回路20及びメモリ制御回路22を介して或いは直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれる。
【0028】
画像表示部29は、例えばTFT LCDから構成されており、撮像装置100で撮影した被写体の画像(静止画、動画)の表示を行う。撮像装置100においては、被写体の撮影前画像を画像表示部29或いは画像出力部を介して外部のモニタ(不図示)に逐次表示することで、EVFとして機能させることができる。尚、本実施の形態では、撮像装置100は操作部70への操作によって、画像表示部29或いは外部のモニタをEVFとして使用するライブビュー機能を実行するものとする。
【0029】
メモリ30は、撮影した静止画像や動画像を格納するものであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。また、メモリ30は、システム制御部50の作業領域としても使用することが可能である。圧縮・伸長回路32は、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮/伸長する回路であり、メモリ30に格納された画像データを読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えた画像データをメモリ30に書き込む。
【0030】
シャッタ制御部40は、測光制御部44からの測光情報に基づいて、レンズユニット300の絞り312を制御する絞り制御部340と連携しながらシャッタ12を制御する。測距制御部42は、AF処理を行う。撮影レンズ310に入射した光線を一眼レフ方式により、絞り312、レンズマウント306、106、ミラー130、不図示の測距用サブミラーを介して測距制御部42に入射させることで、光学像として結像された画像の合焦状態を測定する。
【0031】
測光制御部44は、AE処理を行う。撮影レンズ310に入射した光線を一眼レフ方式により、絞り312、レンズマウント306、106、ミラー130、132、不図示の測光用レンズを介して測光制御部44に入射させることで、光学像として結像された画像の露出状態を測定する。
【0032】
尚、EVFの使用時においては、撮像素子14により撮像した画像データを画像処理回路20により演算した演算結果に基づき、システム制御部50が以下の制御を行う。シャッタ制御手段40、絞り制御部340、測距制御部342に対して制御を行うビデオTTL方式を用いて露出制御及びAF制御を行う。
【0033】
この場合、測距制御部42による測定結果と、撮像素子14により撮像した画像データを画像処理回路20により演算した演算結果とを共に用いて、AF制御を行っても構わない。また、測光制御部44による測定結果と、撮像素子14により撮像した画像データを画像処理回路20により演算した演算結果とを共に用いて、露出制御を行っても構わない。
【0034】
システム制御部50は、撮像装置100の全体を制御するものであり、プログラム(画像制御の制御パラメータの値を演算するアルゴリズム)に基づき、図2のフローチャートに示す処理を実行する。システム制御部50は、EVFで表示する被写体の撮影前画像の明るさを制御するための複数のプログラム線図(画像制御の制御パラメータの値を演算するためのアルゴリズム)を格納している。本実施の形態では、複数のプログラム線図としては、図3に示す通常のプログラム線図、図4に示すライブビュー開始時に使用されるプログラム線図、図5に示す短い蓄積時間(高速Tv)まで選択可能な場合に使用されるプログラム線図などがある。詳細は後述する。
【0035】
また、システム制御部50は、画像処理回路20により算出された被写体の輝度を画像制御の制御パラメータの値に変換する。また、システム制御部50は、ライブビュー開始時とライブビュー中とで、画像制御の制御パラメータ演算処理において、レンズユニット300の絞り312を変化させる変化点となる輝度が異なるように制御を行う。また、システム制御部50は、ライブビュー中において、画像処理回路20により被写体の動きを検知した結果に基づき、プログラム線図で設定可能な蓄積時間Tvを切り換える制御を行う。
【0036】
表示部54は、システム制御部50でのプログラムの実行に応じて、動作状態やメッセージ等を文字・画像で表示出力/音声出力する。表示部54は、例えばLCD・LED・発音素子等の組み合わせから構成され、撮像装置100の操作部近辺の視認し易い位置に単数(或いは複数)設置されている。また、表示部54は、その一部の機能が光学ファインダ104内に設置されている。
【0037】
シャッタスイッチSW1・62は、シャッタボタン(不図示)の操作途中でONとなり、AF処理、AE処理、AWB処理、EF処理等の動作開始を指示する。
【0038】
シャッタスイッチSW2・64は、シャッタボタンの操作完了でONとなり、一連の処理(露光処理、現像処理、記録処理)の動作開始を指示する。露光処理では、撮像素子14から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データとして書き込む。現像処理では、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いて行う。記録処理では、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮・伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200に書き込む。
【0039】
操作部70は、メニューボタン、セットボタン、メニュー選択などに用いる十字ボタン、クイックレビューON/OFFスイッチ、圧縮モードスイッチ、再生スイッチ、AFモード設定スイッチ等を備える。また、操作部70は、ライブビュー機能の開始を指示するライブビュースイッチを備えていて、光学ファインダ使用時にライブビュースイッチを操作することでEVFが使用可能となり、ライブビュー機能が実行される。
【0040】
尚、ライブビュー機能の開始を指示するための専用のスイッチを備えるのではなく、他の構成によりライブビュー機能の開始を指示しても構わない。例えば、複数の撮影モードから任意の撮影モードを選択する撮影モード選択スイッチを備え、ライブビューモード或いは動画撮影モードが選択されることでライブビュー機能の開始を指示する構成であってもよい。
【0041】
インタフェース部90は、撮像装置100と記録媒体200との間のインタフェースを司る。コネクタ92は、記録媒体200のコネクタ206と接続され、撮像装置100を記録媒体200に電気的に接続する。
【0042】
光学ファインダ104は、撮影レンズ310に入射した光線を、一眼レフ方式により、絞り312、レンズマウント306、106、ミラー130、132を介して導き、光学像として結像し表示する。これにより、画像表示部29をEVFとして使用せずに、光学ファインダ104のみを用いた撮影が可能である。また、光学ファインダ104内には、表示部54の一部の機能(例えば、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示等)が設置されている。
【0043】
インタフェース部120は、レンズマウント106内において撮像装置100をレンズユニット300に接続する。コネクタ122は、レンズユニット300のコネクタ322と接続され、撮像装置100をレンズユニット300に電気的に接続する。撮像装置100のレンズマウント106及び或いはコネクタ122にレンズユニット300が装着されているか否かは、接続検知部(不図示)で検知する。
【0044】
記録媒体200は、例えばメモリカード或いはハードディスクから構成される。記録媒体200は、半導体メモリ或いは磁気ディスクから構成される記録部202、撮像装置100とのインタフェースを司るインタフェース部204、撮像装置100と接続を行うコネクタ206を備えている。
【0045】
レンズユニット300は、交換レンズタイプであり、撮影レンズ310、絞り312、レンズマウント306、インタフェース部320、コネクタ322、絞り制御部340、測距制御部342、レンズシステム制御部350等を備えている。絞り312は、撮像装置100の撮像素子14に対する光量を調節する。レンズマウント306は、レンズユニット300を撮像装置100に対し機械的に結合するものであり、レンズユニット300を撮像装置100と電気的に接続する各種機能を含む。
【0046】
インタフェース部320は、レンズマウント306内においてレンズユニット300を撮像装置100に接続する。コネクタ322は、レンズユニット300を撮像装置100に電気的に接続する。
【0047】
絞り制御部340は、測光制御部44からの測光情報、または撮像素子14により撮像した画像データを画像処理回路20により演算した演算結果に基づいて、シャッタ制御部40と連携しながら絞り312を制御する。測距制御部342は、撮影レンズ310のフォーカシングを制御する。防振制御部344は、防振ユニット314を制御する。
【0048】
レンズシステム制御部350は、レンズユニット300全体を制御する。レンズシステム制御部350は、動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリ、レンズユニット固有の番号等の識別情報、管理情報、開放絞り値や最小絞り値、焦点距離等の機能情報、現在や過去の各設定値等を保持する不揮発メモリの機能も備える。
【0049】
次に、上記の構成を備える本実施の形態の撮像装置の動作について図2乃至図6を参照しながら説明する。
【0050】
本実施の形態の撮像装置では、画像表示部29をEVFとして使用するライブビュー機能を開始する時に、画像の露出制御を行うために被写体の輝度Evを算出する。更に、算出した被写体の輝度Evに基づき、画像制御の制御パラメータである、蓄積時間:Tv(撮像素子14に対する電荷の蓄積時間)、絞り値:Av、及びISO感度:Sv(撮像素子14から出力される電気信号のゲイン)を決定する必要がある。EVFを使用する時の被写体の輝度Evは、撮像素子14により撮像した画像データを画像処理回路20により演算して求めた値である。
【0051】
図2は、撮像装置100における制御パラメータ演算処理を示すフローチャートである。尚、本実施の形態では、制御パラメータ演算処理はライブビュー機能を開始する時、およびライブビュー中に所定期間が経過するごとに行われるものとする。
【0052】
図2において、撮像装置のシステム制御部50は、制御パラメータ演算処理を開始すると(ステップS201)、次の値を取得する。即ち、前回の演算処理で算出された絞り値PreAvと、今回の演算処理を行う直前の被写体の輝度Evをそれぞれ取得する(ステップS202、ステップS203)。尚、今回の演算処理がライブビュー開始時に行われる演算処理である場合、今回の演算処理以前に演算処理が行われていないものとして、絞り値PreAv=0とする。
【0053】
次に、システム制御部50は、今回の演算処理がライブビュー開始時に行われる演算処理であるかどうかを判定する(ステップS204)。ライブビュー開始時に行われる演算処理でない場合、被写体の輝度Evが、絞り値PreAvの連動範囲内にあるかどうかを確認し、絞り値を絞り値PreAvから変更する必要があるか否かを判定する(ステップS205)。
【0054】
被写体の輝度Evが連動範囲外の場合は、システム制御部50は、被写体の輝度Evが連動範囲内となるように制御パラメータ演算を行い、制御パラメータ(Tv、Av、Sv)の値を算出する(ステップS206)。一方、被写体の輝度Evが連動範囲内の場合は、システム制御部50は、絞り値PreAvに基づき制御パラメータ演算を行い、その他の制御パラメータ(Tv、Sv)の値を算出する(ステップS207)。
【0055】
また、今回の演算処理がライブビュー開始時の演算処理である場合、システム制御部50は絞り値の変化点となる輝度と被写体の輝度Evを比較し、被写体の輝度Evが絞り値の変化点となる輝度を基準とした所定範囲内である否かを判定する(ステップS208)。なお、ここでの絞り値の変化点となる輝度は、後述の図3に示す実線の折り返し点の輝度とする。
【0056】
被写体の輝度Evが所定範囲内である場合は、システム制御部50は、絞り値Avの値がプログラム線図上で設定可能な最も小絞り側の絞り値となるように制御パラメータ演算を行い、制御パラメータ(Tv、Av、Sv)の値を算出する(ステップS209)。尚、プログラム線図上で設定可能な最も小絞り側の絞り値は、プログラム線図上で設定可能な最も大きい値が対応している。
【0057】
被写体の輝度Evが所定範囲外である場合は、システム制御部50は、プログラム線図上で設定可能な最も開放側の絞り値となるように制御パラメータ演算を行い、制御パラメータ(Tv、Av、Sv)の値を算出する(ステップS210)。尚、プログラム線図上で設定可能な最も開放側の絞り値は、プログラム線図上で設定可能な最も小さい値が対応している。
【0058】
次に、撮像装置100の上記制御の具体例について図3乃至図5のプログラム線図を参照しながら説明する。
【0059】
図3は、撮像装置100で使用される通常のプログラム線図である。図4は、撮像装置100でライブビュー開始時に使用されるプログラム線図である。図5は、撮像装置100で蓄積時間Tvを高速側まで選択可能な場合に使用されるプログラム線図である。
【0060】
図3において、上側の横軸および左側の縦軸は被写体の輝度Ev、下側の横軸は撮像素子14に対する電荷の蓄積時間Tv、右側の縦軸は絞り値Avを示す。図3のプログラム線図を使用する撮像装置では、ISO感度:Svは100固定で、蓄積時間Tvは1/8〜1/8000、絞り値AvはF1.8〜F29の間で切り換えることで、被写体の輝度Ev0〜18の範囲内で適正な露出制御を行うことができる。本実施の形態では、被写体の輝度Evが図3の斜線で示す範囲にある場合、絞り値を被写体の輝度Evが変化しても変化しにくい絞り値に変更する点を特徴としている。
【0061】
被写体の輝度Evと比較するための絞り値の変化点となる輝度(所定輝度)は、図3の太い実線の折り返し点(左上向きの矢印に対応する角の変化点)、太い2点鎖線の折り返し点(右下向きの矢印に対応する角の変化点)に相当する。すなわち、絞り値を大きくする変化点となる輝度が太い実線の折り返し点に相当し、絞り値を小さくする変化点となる輝度が太い2点鎖線の折り返し点に相当する。上述した図2のステップS208では、絞り値を大きくする変化点となる輝度が太い実線の折り返し点を絞り値の変化点となる輝度としている。
【0062】
図3に示すように、プログラム線図としては、絞り値をできるだけ一定に維持するように制御するAv優先で、F1.8で輝度Ev0〜8が連動範囲、F7.1で輝度Ev4〜12、F29で輝度Ev8〜18が連動範囲となっている。絞り値AvがF1.8からF7.1に変わるのは、絞り値AvがF1.8で制御されている時に、被写体の輝度がEv8を上回った時(図3の下側の実線の折り返し点)である。
【0063】
また、絞り値AvがF7.1になった後、絞り値AvがF1.8になるのは、被写体の輝度がEv4を下回った時(図3の下側の2点鎖線の折り返し点)である。つまり、図3のプログラム線図では、絞りを絞る時の制御を実線で表し、絞りを開く時の制御を2点鎖線で表している。また、絞り値AvがF7.1からF29に変わる場合、絞り値AvがF29からF7.1に変わる場合も同様である。
【0064】
上記の図2のフローチャートと図3のプログラム線図から、撮像装置においてライブビュー中であれば、上述した通り、絞り値AvがF1.8からF7.1に変わるのは被写体の輝度Evが8を上回った場合である。
【0065】
従来は、ライブビュー開始時は主被写体に比べ主被写体以外がよりぼける現象を緩和するため、および焦点合わせの精度がはっきり分かるようにするために、開放側の絞り値を選択するようにしていた。しかしながら、ライブビュー開始時の被写体の輝度が例えばEv7からEv8の範囲の場合、被写体の輝度が1Evでも明るくなると絞りが変わってしまい、表示画像の深度が変わったり、絞り駆動に伴う不快な音や表示画像の露出の乱れが発生したりする。
【0066】
そこで、本実施の形態では、ライブビュー開始時の被写体の輝度が絞り値を大きくする変化点となる輝度を基準とした所定範囲内であれば、被写体の輝度の変化に対して絞り値がより変化しにくいように制御する。具体的には、ライブビュー開始時の被写体の輝度がEv7からEv8の範囲内、あるいはEv11からEv12の範囲内であれば小絞り側の絞り値を選択し、そうでなければ開放側の絞り値を選択するように制御する。そして、選択された絞り値および被写体の輝度に基づいてその他の制御パラメータの制御値を算出する。
【0067】
これに対し、表示画像のフレーム間の連続性が損なわれないように蓄積時間Tvが長くなるように制御するTV優先の場合は、次のように演算処理を行ってもよい。Av優先の場合とは異なり、ライブビュー開始時の被写体の輝度が絞り値を小さくする変化点となる輝度を基準とした所定範囲内であれば、開放側の絞り値を選択し、そうでなければ小絞り側の絞り値を選択するように制御すればよい。
【0068】
すなわち、被写体の輝度が変化点となる輝度を上回ったら絞り値を大きくする場合、ライブビュー開始時の変化点となる輝度をライブビュー中の変化点の輝度よりも低輝度とする。一方、被写体の輝度が変化点となる輝度を下回ったら絞り値を小さくする場合、ライブビュー開始時の変化点となる輝度をライブビュー中の変化点の輝度よりも高輝度とする。 また、本実施の形態では、説明の便宜上、ライブビュー開始時に絞り値の選択を切り換える段数を1段としたが、これに限定されるものではない。変化点となる輝度を基準とした所定範囲は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更してもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、1つのプログラム線図を用いて、ライブビュー開始時の輝度とプログラム線図の絞り値の変化点となる輝度との差を比較した結果に基づき絞り値を切り換えるが、これに限定されるものではない。撮像装置のシステム制御部50が、図4に示すような、ライブビュー開始時用のプログラム線図を別に装備してもよい。例えば、図2のステップS204においてライブビュー開始時に行われる演算処理であると判定された場合に、プログラム線図を図4に示すプログラム線図に切り換えてそれぞれの制御パラメータの値を算出するようにすればよい。
【0070】
尚、ライブビュー中に表示する撮影前画像のフレーム間の連続性が損なわれるか否かは、ライブビュー中の撮像素子14への電荷の蓄積時間と撮像画面における被写体の動きとに密接に関わってくる。例えば、動きが遅い被写体もしくは動いていない被写体に対しては、蓄積時間を短くしても、フレーム間の連続性が損なわれる可能性は低い。
【0071】
そこで、被写体の動きが所定量以下であれば、図5に示す蓄積時間Tvを高速側まで使用可能なプログラム線図を用いてもよい。図5のプログラム線図では、蓄積時間Tvをより高速側まで使用することができ、その分、絞り値をより一定に維持するように制御することができる。
【0072】
尚、被写体の動きが所定量以下か否かの判定は画像処理回路20で行えばよく、被写体の動き(動き量)或いは被写体が移動する速度を検出する方法としては、以下の方法のいずれを用いてもよい。即ち、連続するフレーム間の相関に基づいて被写体の動き或いは速度を検出する方法、撮像素子14により撮像した画像のコントラスト成分の変化(撮像面AFの評価値の変化量)に基づいて被写体の動き或いは速度を検出する方法のいずれを用いてもよい。
【0073】
ただし、上述したいずれの方法を用いて被写体の動きが所定量以下か否かの判定を行う場合でも、ライブビュー開始時には画像が取得されていないので判定することができない。そのため、図2におけるステップS204で今回の演算処理がライブビュー開始時に行われる演算処理ではないと判定された場合に、ステップS205を行う前に被写体の動きが所定量以下か否かを判定すればよい。
【0074】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、ライブビュー開始時における絞り値をプログラム線図に基づき決定する際に、被写体の輝度の変化があっても絞り値の変化を抑えるように制御している。これにより、絞り変化による深度の変化、音の変化、画面の輝度変化などが生じる頻度を低減することが可能となるため、操作者が感じる違和感を生じにくくすることが可能となる。
【0075】
〔他の実施の形態〕
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することにより達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0076】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0077】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0078】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0079】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理により実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【符号の説明】
【0080】
14 撮像素子
20 画像処理回路
29 画像表示部
50 システム制御部
100 撮像装置
300 レンズユニット
312 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子へ入射する光量を調節する絞りと、前記撮像素子を用いて得られた画像を逐次表示することで電子ビューファインダとして使用が可能な表示手段とを備える撮像装置であって、
前記被写体の輝度を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された輝度が所定輝度を超えたら前記絞りの絞り値を変更する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を開始する時と電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を行っている間とで、前記所定輝度を変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記算出手段により算出された輝度が前記所定輝度を上回ったら前記絞りの絞り値を大きくし、電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を開始する時の前記所定輝度を電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を行っている間の前記所定輝度よりも低輝度とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記算出手段により算出された輝度が前記所定輝度を下回ったら前記絞りの絞り値を小さくし、電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を開始する時の前記所定輝度を電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を行っている間の前記所定輝度よりも高輝度とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像画面における被写体の動きを検出する動き検出手段を有し、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記被写体の動きに応じて前記所定輝度を変更することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、プログラム線図を変更することで前記所定輝度を変更することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子へ入射する光量を調節する絞りと、前記撮像素子を用いて得られた画像を逐次表示することで電子ビューファインダとして使用が可能な表示手段とを備える撮像装置の制御方法であって、
前記被写体の輝度を算出する算出工程と、
前記算出工程で算出された輝度が所定輝度を超えたら前記絞りの絞り値を変更する制御工程と、を有し、
前記制御工程は、電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を開始する時と電子ビューファインダとして前記表示手段の表示を行っている間とで、前記所定輝度を変更することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータで読み取り可能なプログラムコードを有するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−192991(P2010−192991A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32868(P2009−32868)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】