説明

撮像装置、撮像方法

【課題】簡易な操作で迅速に立体画像を撮像することが可能な、新規かつ改良された撮像装置、及び撮像方法を提供する。
【解決手段】立体撮影モードを含む複数の撮影モードを有する撮像装置であって、第1筐体と、第1筐体に対して相対移動可能に連結され、移動に伴い第1位置、第2位置、第3位置に位置する第2筐体と、第2筐体に設けられ、第2筐体が第1位置、第2位置、第3位置のいずれかの位置に位置する際に被写体を撮像する撮像部と、第2筐体の位置を検出する位置検出部と、位置検出部が第2位置と第3位置のうちの一方の位置を検出した状態で撮像部によって撮像された場合には、撮影モードを立体撮影モードに設定し、第2筐体を第2位置と第3位置のうちの他方の位置に移動させた状態で撮像部に撮像させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置として、例えば、撮像素子を有し、人や風景等の被写体を撮像するデジタルカメラやデジタルビデオカメラが知られている。この撮像装置の中には、立体画像を撮影するものがある。
【0003】
立体画像を撮影する方式として、視差があるように設けられた複眼レンズを用いて、異なる視点の画像を取得することで立体画像を撮影する方式がある。しかし、かかる方式の場合には、部品点数が増え、コストが高くなる。別の方式として、単眼レンズを有する撮像装置を回転させて、立体画像を撮影する方式も知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−229290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した二つの方式のいずれにおいても、立体画像を撮影する際には、ユーザーがメニュー画面等で撮影モードを立体撮影モードに変更する必要がある。このため、ユーザーにとっては、モード設定操作が煩雑で、立体画像の撮影チャンスを逃すという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、簡易な操作で迅速に立体画像を撮像することが可能な、新規かつ改良された撮像装置、及び撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、立体撮影モードを含む複数の撮影モードを有する撮像装置であって、第1筐体と、前記第1筐体に対して相対移動可能に連結され、移動に伴い第1位置、第2位置、第3位置に位置する第2筐体と、前記第2筐体に設けられ、前記第2筐体が前記第1位置、前記第2位置、前記第3位置のいずれかの位置に位置する際に被写体を撮像する撮像部と、前記第2筐体の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部が前記第2位置と前記第3位置のうちの一方の位置を検出した状態で前記撮像部によって撮像された場合には、前記撮影モードを前記立体撮影モードに設定し、前記第2筐体を前記第2位置と前記第3位置のうちの他方の位置に移動させた状態で前記撮像部に撮像させる制御部とを備える、撮像装置が提供される。
【0008】
かかる撮像装置の場合には、メニュー画面等でユーザーが撮影モードを選択しなくても、1枚目の画像の撮影時の第2筐体の位置に応じて撮影モードを立体撮影モードに設定するので、迅速にモードの設定がなされると共に、立体画像を撮影するシャッターチャンスを逃がすことも防止でき、この結果撮像装置の利便性が高まる。また、立体撮影モードの設定後に2枚目の画像の撮影のために第2筐体が移動するので、単眼レンズであっても容易に立体画像を撮影することができる。
【0009】
また、撮像装置は、前記撮像部が撮像して得られた画像を処理する画像処理部を更に備え、前記画像処理部は、前記立体撮影モードの設定前に前記一方の位置で撮像して得られた第1画像と、前記立体撮影モードの設定後に前記他方の位置で撮像して得られた第2画像とを、立体画像を構成する画像として処理する。
かかる構成の場合には、モード設定前後に第2筐体の第2位置で撮像された画像と第3位置で撮像された画像とを立体画像として処理するので、モード設定前の画像も有効に活用できると共に、その後に2つの画像を合成して立体画像を生成できる。
【0010】
また、前記画像処理部は、前記第1画像と前記第2画像の相関関係を抽出し、抽出された前記第1画像と前記第2画像の相関関係の度合いが大きい場合には、前記第1画像と前記第2画像とを立体画像を構成する画像として処理し、抽出された前記第1画像と前記第2画像の相関関係の度合いが小さい場合には、前記第1画像と前記第2画像とを立体画像を構成しない画像として処理する。
かかる構成の場合には、第1画像と第2画像の相関関係の度合いに応じて処理を変更することにより、第2筐体の第2位置で撮像した被写体と第3位置で撮像した被写体が異なる場合に、誤って立体画像として処理されることを防止できる。
【0011】
また、前記制御部は、前記位置検出部が前記一方の位置を検出した状態で前記撮像部によって撮像された場合には、前記撮影モードを前記立体撮影モードに設定し、前記第2筐体を前記他方の位置に移動させた際に前記撮像部に連続撮像を実行させ、前記画像処理部は、連続撮像して得られた複数の画像のうちの一つの画像を前記第2画像とする。
かかる構成の場合には、第2筐体が他方の位置に移動した際の振動等に起因して第2画像の撮影状態が悪化しても、他方の位置に移動させた際に連続撮像を行い、連続撮像して得られた複数の画像のうちの一つの画像を第2画像として扱うことで、適切な状態で撮像された第2画像を取得できる。
【0012】
また、撮像装置は、前記第2筐体を前記第1筐体に対して回転させて、前記第1位置、前記第2位置、前記第3位置のいずれかの位置に位置させる回転機構を更に備え、前記制御部は、前記位置検出部が前記一方の位置を検出した状態で前記撮像部によって撮像された場合には、前記撮影モードを前記立体撮影モードに設定し、前記回転機構を制御して前記第2筐体を前記他方の位置に回転させる。
かかる構成の場合には、回転機構によって第2筐体が自動的に回転して2枚目の画像が撮影されるので、ユーザーによる第2筐体の回転操作が不要となり、撮像装置の利便性が高まる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、立体撮影モードを含む複数の撮影モードを有する撮像装置であって、被写体を撮像する撮像部を有する装置本体と、前記装置本体の第1姿勢と、前記第1姿勢を上下左右反転させた第2姿勢を検出する姿勢検出部と、前記姿勢検出部が前記第2姿勢を検出した状態で前記撮像部によって撮像された場合には、前記撮影モードを前記立体撮影モードに設定する制御部と、前記立体撮影モードの設定前に前記第2姿勢で撮像して得られた第1画像と、前記立体撮影モードの設定後に前記第1姿勢で撮像して得られた第2画像とを、立体画像を構成する画像として処理する画像処理部とを備える、撮像装置が提供される。
【0014】
かかる撮像装置の場合には、通常の撮影状態である第1姿勢を上下左右反転させた特殊状態である第2姿勢を検出すると撮影モードが立体撮影モードに設定されるので、メニュー画面等でユーザーが撮影モードを選択しなくても、迅速にモードの設定がなされると共に、立体画像を撮影するシャッターチャンスを逃がすことも防止できる。また、モード設定後に第1姿勢で第2画像を撮影するだけで、立体画像として処理される二つの画像を取得できるので、迅速に立体画像を撮影できる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、被写体を撮像する撮像部を有する筐体と、前記筐体の姿勢を検出する姿勢検出部と、前記姿勢検出部によって前記筐体の第1姿勢が検出された状態で前記撮像部によって1枚目の第1画像が得られた後に、前記姿勢検出部によって前記第1姿勢とは異なる第2姿勢が検出された状態で前記撮像部によって2枚目の第2画像が得られた場合には、前記第1画像と前記第2画像を比較する画像処理部とを備え、前記画像処理部は、比較された前記第1画像と前記第2画像の相関関係の度合いが大きい場合には、前記第1画像と前記第2画像とを立体画像を構成する画像として処理し、比較された前記第1画像と前記第2画像の相関関係の度合いが小さい場合には、前記第1画像と前記第2画像とを立体画像を構成しない画像として処理する、撮像装置が提供される。
【0016】
かかる撮像装置の場合には、異なる姿勢で撮影された2枚の画像を比較して立体画像を処理するか否かを判定するので、撮影モードを立体撮影モードに設定しなくても、筐体の姿勢を変更して撮影するだけで迅速に立体画像を撮影できる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、撮像部を有し、前記第1筐体に対して移動可能な第2筐体が、第1位置、第2位置、第3位置のいずれの位置に位置するかを検出するステップと、前記第2筐体が前記第2位置と前記第3位置のうちの一方に位置すると検出された状態で、前記撮像部によって撮像された場合には、撮影モードを立体撮影モードに設定するステップと、前記立体撮影モードの設定後に、前記第2筐体を前記第2位置と前記第3位置のうちの他方の位置に移動させて、前記撮像部に撮像させるステップとを有する、撮像方法が提供される。
【0018】
かかる撮像方法の場合にも、メニュー画面等でユーザーが撮影モードを選択しなくても、1枚目の画像の撮影時の第2筐体の位置に応じて撮影モードを立体撮影モードに設定するので、迅速にモードの設定がなされると共に、立体画像を撮影するシャッターチャンスを逃がすことも防止でき、この結果撮像装置の利便性が高まる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、簡易な操作で迅速に立体画像を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る撮像装置100の内部構成を示すブロック図である。
【図2】撮像装置100の外観を示す図である。
【図3】撮像装置100の通常撮影状態を示す図である。
【図4】撮像装置100の立体撮影状態を示す図である。
【図5】立体撮影モード時の撮像装置100の回転を示す図である。
【図6】立体撮影モードで撮影された2つの画像の処理を示す図である。
【図7】立体撮影モードで撮影された2つの画像の相関関係を説明するための図である。
【図8】撮影時の撮像装置100の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る撮像装置200の外観を示す図である。
【図10】撮像装置200の立体撮影状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<第1実施形態>
(撮像装置の内部構成)
図1を参照しながら、撮像装置100の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る撮像装置100の内部構成を示すブロック図である。
【0023】
撮像装置100は、例えば静止画像を撮影できるデジタルカメラ、又は動画像を撮影できるビデオカメラである。もちろん、デジタルカメラが、静止画像と動画像を両方撮影することとしても良い。
【0024】
撮像装置100は、図1に示すように、レンズ112と、シャッター114と、撮像部の一例である撮像素子116と、画像処理部の一例である画像信号処理部120と、圧縮処理部130と、制御部の一例であるCPU140と、メモリ142と、モニター150と、記録メディア160と、操作部170と、検出部180と、回転機構190と、回転制御部192等を有する。
【0025】
レンズ112は、外部の光情報を撮像素子116に結像させる光学系システムであり、被写体からの光を撮像素子116まで透過させる。レンズ112は、図示しないが、例えばズームレンズ、絞り、フォーカスレンズなどからなる。ズームレンズは、焦点距離を変化させて画角を変えるレンズである。絞りは、透過する光量を調節する。フォーカスレンズは、光軸方向に移動することで撮像素子116の撮像面に被写体像を合焦させる。
【0026】
シャッター114は、撮像素子116の露光を制御するためのものである。シャッター114は、例えばメカニカルシャッターであり、非撮影時に光を遮って撮影時のみ撮像素子116に光が当たるように構成されている。なお、シャッター114は、メカニカルシャッターに限定されず、電子シャッターであっても良い。
【0027】
撮像素子116は、光電変換素子の一例であり、レンズ112を透過して入射した光情報を電気信号に変換する光電変換が可能な複数の素子から構成される。各素子は受光した光量に応じた電気信号を生成する。撮像素子116として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー等を適用することができる。
【0028】
撮像素子116は、更にCDS/AMP部、A/D変換部を有する。CDS/AMP部(相関二重サンプリング回路(Correlated Double Sampling)/増幅器(Amplifier))は、撮像素子116から出力された電気信号に含まれるリセットノイズとアンプノイズを除去すると共に、電気信号を任意のレベルまで増幅する。A/D変換部は、CDS/AMP部から出力された電気信号をデジタル変換してデジタル信号を生成する。A/D変換部は、生成したデジタル信号を画像信号処理部120に出力する。
【0029】
画像信号処理部120は、撮像素子116から得られる画像の生データに対して、光量のゲイン補正やホワイトバランスを調整する。なお、画像信号処理部120は、撮像素子116の画素欠陥補正、黒レベル補正、シェーディング補正などの処理も行う。
【0030】
圧縮処理部130は、画像信号処理部120で光量のゲイン補正やホワイトバランスの調整が行われた画像を、適切な形式の画像データに圧縮する。圧縮処理部130は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)規格などの静止画像の符号化方式で圧縮符号化処理を行う。また、圧縮処理部130は、例えばMPEG形式などで符号化処理をして、複数の画像フレームが一つのファイルとして纏められたストリームデータを生成する。
【0031】
CPU140は、プログラムによって演算処理装置及び制御装置として機能し、撮像装置100内に設けられた各構成要素の処理を制御する。メモリ142は、CPU140が実行するプログラムや、各種データ(例えば画像データ)等を記憶する。
【0032】
モニター150は、画像を表示する。モニター150が表示する画像は、例えば、メモリ142から読み出された撮影前の画像(ライブビュー表示)、撮像装置100の各種設定画面や、撮像して記録された画像などである。モニター150は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。
【0033】
記録メディア160は、本実施形態ではメモリカードであり、撮影された画像データを記録する。記録メディア160は、撮像装置100から着脱可能に構成されている。なお、記録メディア160は、メモリカードに限定されず、光ディスク(CD、DVD、ブルーレイディスク等)、光磁気ディスクなどでもよい。
【0034】
操作部170は、撮像装置100の操作を行ったり、撮影時の各種の設定を行ったりするためのものである。操作部170は、電源ボタン、撮影モードを選択する選択ボタン、被写体の撮影動作を開始するシャッターボタン、十字キー等を含む。
【0035】
検出部180は、撮像装置100の位置や姿勢を検出する。このため、検出部180は、位置検出部や姿勢検出部に該当する。撮像装置100の位置や姿勢の詳細については、後述する。
【0036】
回転機構190は、撮像装置100の第2筐体102を第1筐体101に対して自動的に回転させるためのものである(図5参照)。回転制御部192は、回転機構190の動作を制御するためのものである。第2筐体102の第1筐体101に対する回転についても、詳細は後述する。
【0037】
(撮像装置の外部構成)
図2を参照しながら、撮像装置100の外部構成について説明する。図2は、撮像装置100の外観を示す図である。
【0038】
第1実施形態に係る撮像装置100は、第1筐体101と、第2筐体102と、ヒンジ部103を有する。
【0039】
第1筐体101には、上述した操作部170(図2には不図示)等が設けられている。第2筐体102は、ヒンジ部103を介して第1筐体101に対して回転(相対移動)可能である。第2筐体102には、カメラ110(上述したレンズ112や撮像素子116を含む)等が設けられている。なお、図2に示すように第2筐体102が第1筐体101と重なった状態(閉状態)では、カメラ110による撮影ができず、第2筐体102が第1筐体101と重なっていない状態(開状態)では、カメラ110による撮影が可能である。
【0040】
(第2筐体の位置と撮影モードとの関係)
撮像装置100においては、開状態の第2筐体102の第1筐体101に対する位置に応じて、通常撮影モードと立体撮影モードとを切り替え可能な構成となっている。以下において、図3〜図5を参照しながら、第2筐体102の位置と撮影モードとの関係について説明する。
【0041】
図3は、撮像装置100の通常撮影状態を示す図である。図3には、図2に示す状態から第2筐体102が第1筐体101に対して時計方向に約180度回転した際の撮像装置100が示されている。なお、図3の上図には、上下方向に沿って第1筐体101と第2筐体102が並んでいる状態(開状態1A)が示され、図3の下図には、水平方向に沿って第1筐体101と第2筐体102が並んでいる状態(開状態1B)が示されている。開状態1A、1Bが通常撮影状態であり、撮像装置100は通常の静止画を撮影できる。
【0042】
図4は、撮像装置100の立体撮影状態を示す図である。図4の上図には、図2に示す状態から第2筐体102が第1筐体101に対して時計方向に約90度回転した状態(開状態2)が示され、図4の下図には、図2に示す状態から第2筐体102が時計方向に約270度回転した状態(開状態3)が示されている。開状態2、3が立体撮像状態であり、撮像装置100は、開状態2で撮像して得られた画像(第1画像に相当する)と、開状態3で撮像して得られた画像(第2画像に相当する)を、立体画像を構成する画像として処理する。第1画像と第2画像は、例えば両眼視差に対応する左眼用画像と右眼用画像である。
【0043】
第2筐体102が閉状態、開状態1A、1B、開状態2、開状態3に位置するかは、検出部180(図1)によって検出される。そして、検出部180が開状態1A、1Bを検出した状態で撮像素子116が撮像すると、通常撮影モードと判断される。一方で、検出部180が開状態2、3の一方を検出した状態で撮像素子116が撮像すると、立体撮影モードと判断される。つまり、本実施形態では、メニュー画面等で撮影モードを選択しなくても、第2筐体102に状態に応じて、撮影モードが判断(設定)される。このため、ユーザーによるモードの選択等の煩雑な操作が不要となり、また、シャッターチャンスを逃すことも防止できる。
【0044】
ところで、撮影モードとして立体撮影モードが設定されると、撮像装置100は、モード設定前に撮像された画像を立体画像を構成する1枚目の画像と判断し、2枚目の画像を取得するために、第2筐体102を自動的に回転させる。第2筐体102の回転は、上述した回転機構190(図1)と回転制御部192によって実行される。なお、第2筐体102の回転は、ユーザーによって手動で行われても良い。
【0045】
立体撮影モード時の第2筐体102の回転態様について、図5を参照しながら説明する。図5は、立体撮影モード時の撮像装置100の回転を示す図である。ここでは、立体画像を構成する1枚目の画像が、図5の上図に示す開状態2で撮像されるものとする。開状態2で撮像素子116が被写体を撮像すると、立体撮影モードに設定され、回転制御部192は、回転機構190を制御して第2筐体102を時計方向に180度回転させる。この結果、図5の下図に示すように、第2筐体102は開状態3に位置する。そして、開状態3に位置した状態で、2枚目の画像を取得すべく、撮像素子116が被写体を撮像する。
【0046】
本実施形態では、2枚目の画像を取得する際に、本実施形態においては連続撮像が行われる。これは、回転した第2筐体102が開状態3にて停止する際に発生する第2筐体102の振動等によって撮影状態が悪化することを防止するためである。撮像装置100は、複数回撮像した画像の中で画質の最も良い画像を、2枚目の画像として扱う。なお、ユーザーが手動で第2筐体102を回転する際も手振れ等を考慮して、連続撮像することが望ましい。
【0047】
上記では、開状態2が閉状態から90度回転させた状態であり、開状態3が閉状態から270度回転させた状態であることとしたが、これに限定されず、開状態1A、1Bとは異なる状態であれば良い。例えば、開状態2が閉状態から135度回転させた状態であり、開状態3が閉状態から225度回転させた状態であることとしても良い。かかる場合には、開状態2から開状態3への回転角度が小さくなり、より迅速に2枚目の画像を撮影できる。また、135度や225度は、通常の使用形態とは想定され難いため、誤って撮影モードが立体撮影モードに設定されることを防止できる。
【0048】
(開状態2、3で撮影された2つの画像の処理)
開状態2と開状態3では、第2筐体102の向きが異なるので、撮像された画像の向きを変更する処理が必要となる。図6は、立体撮影モードで撮影された2つの画像の処理を示す図である。図6の左側には1枚目の画像の処理が示され、右側には2枚目の画像の処理が示されている。1枚目の画像の撮影向きは適切なので、画像の向きを変えないのに対して、2枚目の画像の撮影向きが不適切なので、画像を上下左右反転する処理を行う。
【0049】
上述したように、撮像装置100は、開状態2で撮影された1枚目の画像と、立体撮影モード設定後に開状態3で撮影された2枚目の画像とを、立体画像を構成する画像として処理するとしたが、より詳しくは、2つの画像の相関関係の度合いが大きい場合に、2つの画像を立体画像を構成する画像として処理する。
【0050】
図7は、立体撮影モードで撮影された2つの画像の相関関係を説明するための図である。図7の上側に示すように2つの画像は、似た被写体が含まれているため、相関関係の度合いが大きいと判断され、この結果2つの画像が立体画像を構成する画像として処理される。一方で、図7の下側に示す2つの画像は、異なる被写体で構成されているため、相関関係の度合いが小さいと判断され、この結果2つの画像が独立した画像として処理される。
【0051】
(撮像装置の動作)
次に、撮影時の撮像装置100の動作例を、図8を参照しながら説明する。図8は、撮影時の撮像装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【0052】
撮像装置100の動作は、CPU140がメモリ142に記憶された所定のプログラムを実行することにより、実現される。図8のフローチャートは、撮像装置100が図2に示す閉状態から開状態に移行して、撮影可能な状態にあるところから開始される。
【0053】
まず、操作部170のシャッターボタンが押下されて、撮像素子116により1枚目の画像が撮影されると(ステップS2)、検出部180は撮像装置100の状態を検出する(ステップS4)。撮像装置100が図3に示す開状態1A又は開状態1Bの場合には、撮像された画像は通常写真としてメモリ142や記録メディア160に記録される(ステップS6)。
【0054】
一方で、撮像装置100が図4に示す開状態2又は開状態3の場合には、ステップS2で撮影された画像が、立体画像用を構成する画像として撮影されたとしてバッファに保存される(ステップS8)。ここでは、開状態2で1枚目の画像(図6の左側の画像)が撮影されたものとする。撮像装置100は、撮影モードを立体撮影モードに設定する(ステップS10)。つまり、ユーザーによるモード設定操作が無くても、撮影モードが自動的に設定される。このため、迅速に立体撮影モードに移行されることになる。
【0055】
次に、撮像装置100は、第2筐体102を図5に示すように第1筐体101に対して回転させる(ステップS12)。すなわち、回転制御部192が、回転機構190を制御して、第2筐体102を自動的に回転させる。第2筐体102が180度回転して開状態3に移行すると(ステップS14:Yes)、撮像素子116により2枚目の画像が撮影される(ステップS16)。すなわち、操作部170のシャッターボタンが押下されなくても、開状態3で2枚目の画像(図6の右側の画像)が撮影される。一方で、第2筐体102が180度回転する前に(ステップS14:No)、例えばユーザーが第2筐体102を閉状態に戻して処理が中断した場合には(ステップS28:Yes)、1枚目の画像は通常写真として記録される(ステップS6)。
【0056】
ステップS16で2枚目の画像を撮影する際には、上述した第2筐体102の回転停止時の振動の影響等を考慮して連続撮影が行われる。撮像装置100は、連続撮影された画像データの中から例えば画質が最も良い画像データを、2枚目の画像として採用する。なお、連続撮影を行わずに、一枚のみを撮影することとしても良い。
【0057】
次に、撮像装置100は、図6に示すように2枚目の画像について上下左右反転する処理を行った後に、1枚目の画像と2枚目の画像の相関関係の度合いを判別する(ステップS18)。具体的には、撮像装置100は、2つの画像をヒストグラムによって類似を調べる。2つの画像の相関関係の度合いが小さい場合には(ステップS20:No)、2つの画像は、独立した画像として記録される(ステップS6)。
【0058】
一方で、2つの画像の相関関係の度合いが大きい場合には(ステップS20:Yes)、撮像装置100は、例えばプロマッチング法により画像の移動距離を調べる(ステップS22)。2つの画像の相関関係を判定する手法は、プロマッチング法以外であっても当然良い。画像の移動距離が大きいため2つの画像が立体画像として適用不可能であれば(ステップS24:No)、2つの画像は、独立した画像として記録される(ステップS6)。
【0059】
一方で、画像の移動距離が小さく2つの画像が立体画像として適用可能であれば(ステップS24:Yes)、撮像装置100は、2つの画像の左右の視差を考慮して画像の切り抜き範囲を決定し、決定された切り抜き範囲の部分を切り抜き、立体写真として記録する(ステップS26)。これにより、一連の処理が終了する。
【0060】
なお、更に続けて立体画像を撮影する場合には、1枚目の画像を撮影することで、上述した処理(ステップS2〜S26)が繰り返される。すなわち、第2筐体102が回転を繰り返しながら、立体画像が撮影されることとなる。
【0061】
上述した第1実施形態に係る撮像装置100の場合には、メニュー画面等でユーザーが撮影モードを選択しなくても、1枚目の画像の撮影時の第2筐体102の位置に応じて撮影モードを立体撮影モードに設定するので、迅速にモードの設定がなされる。また、立体画像を撮影するシャッターチャンスを逃がすことも防止でき、この結果撮像装置100の利便性が高まる。また、立体撮影モードの設定後に2枚目の画像の撮影のために第2筐体102が移動するので、単眼レンズであっても容易に立体画像を撮影することができる。
【0062】
<第2実施形態>
上述した撮像装置100は第1筐体101と第2筐体102を有し、カメラ110を有する第2筐体102が第1筐体102に対して回転可能である。これに対して、以下に説明する第2実施形態に係る撮像装置200は、一つの筐体のみを有する。
【0063】
図9は、第2実施形態に係る撮像装置200の外観を示す図である。撮像装置200は、デジタルカメラであり、装置本体としての筐体201と、筐体201の中央側に位置するカメラ110等を有する。
【0064】
撮像装置100は、開状態の第2筐体102の第1筐体101に対する位置に応じて、撮影モードを設定することとした。これに対して、撮像装置200は、筐体201の姿勢に応じて、撮影モードを設定することが可能である。
【0065】
図10は、撮像装置200の立体撮影状態を示す図である。なお、筐体201の姿勢については、図9に示す状態を第1姿勢とし、図10の上図に示す状態(第1姿勢を上下左右反転させた状態)を第2姿勢とする。筐体201の姿勢は、前述した検出部180(図1)によって検出される。
【0066】
第2姿勢で撮像素子116が撮像すると、撮像装置200は、撮影モードとして立体撮影モードに設定する。ここで、第2姿勢が検出されると立体撮影モードに設定する理由は、第1姿勢が撮像装置100の通常の使用形態であり、第2姿勢での使用形態は稀であることを鑑み、第2姿勢で意図して撮影する場合には特殊な使用形態と判断して立体撮影モードに設定している。
【0067】
モード設定後に第1姿勢で撮像素子116が撮像すると、撮像装置200は、第2姿勢で撮像して得られた画像(第1画像)と、第1姿勢で撮像して得られた画像(第2画像)を、立体画像を構成する画像として処理する。
【0068】
上述した撮像装置200の場合には、通常の撮影状態である第1姿勢を上下左右反転させた特殊状態である第2姿勢を検出すると撮影モードが立体撮影モードに設定されるので、メニュー画面等でユーザーが撮影モードを選択しなくても、迅速にモードの設定がなされると共に、立体画像を撮影するシャッターチャンスを逃がすことも防止できる。また、モード設定後に第1姿勢で第2画像を撮影するだけで、立体画像として処理される二つの画像を取得できるので、迅速に立体画像を撮影できる。
【0069】
上述した実施形態では、1枚目の画像を撮影した際の第2筐体102の第1筐体101に対する位置や筐体201の姿勢に応じて、撮影モードを立体撮影モードに設定し、その後に撮影された2枚目の画像を、1枚目の画像と共に立体画像を構成する画像として処理することとしたが、これに限定されない。
【0070】
例えば、1枚目に撮影された画像と、2枚目に撮影された画像とを判別し、2つの画像の相関関係の度合いが大きい場合に、撮影モードを立体撮影モードに設定し、2つの画像の立体画像を構成する画像として処理することとしても良い。かかる場合には、異なる姿勢で撮影された2枚の画像を比較して立体画像を処理するか否かを判定するので、撮影モードを立体撮影モードに設定しなくても、筐体201の姿勢を変更して撮影するだけで迅速に立体画像を撮影できる。
【0071】
<その他の実施形態>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
また、上記の実施形態で撮像装置としてデジタルカメラを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、撮像装置は、撮像素子を有する携帯電話機、PDA、ゲーム機、電子辞書、ノートパソコン等であっても良い。
【0073】
また、上記の実施形態で説明した一連の処理は、専用のハードウエアにより実行させてもよいが、ソフトウエア(アプリケーション)により実行させてもよい。一連の処理をソフトウエアにより行う場合、汎用又は専用のコンピュータにプログラムを実行させることにより、上記の一連の処理を実現することができる。
【0074】
また、上記の実施形態のフローチャートに示されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0075】
100 撮像装置
101 第1筐体
102 第2筐体
103 ヒンジ部
110 カメラ
112 レンズ
114 シャッター
116 撮像素子
120 画像信号処理部
130 圧縮処理部
140 CPU
142 メモリ
150 モニター
160 記録メディア
170 操作部
180 検出部
190 回転機構
192 回転制御部
200 撮像装置
201 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体撮影モードを含む複数の撮影モードを有する撮像装置であって、
第1筐体と、
前記第1筐体に対して相対移動可能に連結され、移動に伴い第1位置、第2位置、第3位置に位置する第2筐体と、
前記第2筐体に設けられ、前記第2筐体が前記第1位置、前記第2位置、前記第3位置のいずれかの位置に位置する際に被写体を撮像する撮像部と、
前記第2筐体の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部が前記第2位置と前記第3位置のうちの一方の位置を検出した状態で前記撮像部によって撮像された場合には、前記撮影モードを前記立体撮影モードに設定し、前記第2筐体を前記第2位置と前記第3位置のうちの他方の位置に移動させた状態で前記撮像部に撮像させる制御部と
を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部が撮像して得られた画像を処理する画像処理部を更に備え、
前記画像処理部は、前記立体撮影モードの設定前に前記一方の位置で撮像して得られた第1画像と、前記立体撮影モードの設定後に前記他方の位置で撮像して得られた第2画像とを、立体画像を構成する画像として処理する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、
前記第1画像と前記第2画像の相関関係を抽出し、
抽出された前記第1画像と前記第2画像の相関関係の度合いが大きい場合には、前記第1画像と前記第2画像とを立体画像を構成する画像として処理し、
抽出された前記第1画像と前記第2画像の相関関係の度合いが小さい場合には、前記第1画像と前記第2画像とを立体画像を構成しない画像として処理する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置検出部が前記一方の位置を検出した状態で前記撮像部によって撮像された場合には、前記撮影モードを前記立体撮影モードに設定し、前記第2筐体を前記他方の位置に移動させた際に前記撮像部に連続撮像を実行させ、
前記画像処理部は、連続撮像して得られた複数の画像のうちの一つの画像を前記第2画像とする、請求項2又は3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2筐体を前記第1筐体に対して回転させて、前記第1位置、前記第2位置、前記第3位置のいずれかの位置に位置させる回転機構を更に備え、
前記制御部は、前記位置検出部が前記一方の位置を検出した状態で前記撮像部によって撮像された場合には、前記撮影モードを前記立体撮影モードに設定し、前記回転機構を制御して前記第2筐体を前記他方の位置に回転させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
立体撮影モードを含む複数の撮影モードを有する撮像装置であって、
被写体を撮像する撮像部を有する装置本体と、
前記装置本体の第1姿勢と、前記第1姿勢を上下左右反転させた第2姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記姿勢検出部が前記第2姿勢を検出した状態で前記撮像部によって撮像された場合には、前記撮影モードを前記立体撮影モードに設定する制御部と、
前記立体撮影モードの設定前に前記第2姿勢で撮像して得られた第1画像と、前記立体撮影モードの設定後に前記第1姿勢で撮像して得られた第2画像とを、立体画像を構成する画像として処理する画像処理部と
を備える、撮像装置。
【請求項7】
被写体を撮像する撮像部を有する筐体と、
前記筐体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記姿勢検出部によって前記筐体の第1姿勢が検出された状態で前記撮像部によって1枚目の第1画像が得られた後に、前記姿勢検出部によって前記第1姿勢とは異なる第2姿勢が検出された状態で前記撮像部によって2枚目の第2画像が得られた場合には、前記第1画像と前記第2画像を比較する画像処理部と
を備え、
前記画像処理部は、
比較された前記第1画像と前記第2画像の相関関係の度合いが大きい場合には、前記第1画像と前記第2画像とを立体画像を構成する画像として処理し、
比較された前記第1画像と前記第2画像の相関関係の度合いが小さい場合には、前記第1画像と前記第2画像とを立体画像を構成しない画像として処理する、撮像装置。
【請求項8】
撮像部を有し、前記第1筐体に対して移動可能な第2筐体が、第1位置、第2位置、第3位置のいずれの位置に位置するかを検出するステップと、
前記第2筐体が前記第2位置と前記第3位置のうちの一方に位置すると検出された状態で、前記撮像部によって撮像された場合には、撮影モードを立体撮影モードに設定するステップと、
前記立体撮影モードの設定後に、前記第2筐体を前記第2位置と前記第3位置のうちの他方の位置に移動させて、前記撮像部に撮像させるステップと
を有する、撮像方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−134675(P2012−134675A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283822(P2010−283822)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】