説明

撮像装置、表示制御プログラム及び表示制御方法

【課題】所望する画像部分を含む画像範囲を容易に撮像することができるようにする。
【解決手段】(a)に示すように、通常時のスルー画像範囲を視野拡張率100%とし、カーソルキーの操作に応じて、同図(d)の視野拡張率を横200%、縦200%まで可変自在とする。そして、(b)に示すように、撮影領域内793はカラー表示し、撮影領域外794はモノクロ表示する。撮影領域外794は、スルー表示されるが記録されない表示範囲であり、撮影領域内793をシャッタ操作に伴って、撮影、記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ファインダー等の被写体を表示する手段を備えた撮像装置、この撮像装置の表示制御プログラム及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置としては、下記特許文献1及び2に記載のものが公知である。
特許文献1;正方形の画像を撮影してデジタル画像データに変換し、縦/横切換手段の状態に応じて、正方形の画像データの縦又は横を切り取った一部領域を画像メモリに記録する。
特許文献2;被写体画像上の第1点と第2点とを指定してトリミング位置を指定し、第1点と第2点との縦もしくは横方向の一方の寸法とアスペクト比とに基づいてトリミング範囲を設定する。
【特許文献1】特許第2882391号公報
【特許文献2】特許第3372989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、正方形の画像データの縦又は横を切り取った一部領域を画像メモリに記録することから、切り取られた部分にユーザが所望する画像部分を含まれているか否かを事前に確認することができない。このため、切り取られた部分に所望する画像部分を含まれていない場合が生じ、ユーザが所望する画像部分を含む画像を記憶させることができない。
【0004】
一方、特許文献2記載の技術にあっては、トリミング範囲内にユーザが所望する画像部分を含ませたり、ユーザが所望する形状の画像範囲を記録することが可能となる。しかし、撮影に際して被写体画像上の第1点と第2点とを指定してトリミング位置を指定する操作を行うことは煩雑であり、ユーザが所望する画像部分を含む画像範囲を容易に指定することができない。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、所望する画像部分を含む画像範囲を容易に撮像することのできる撮像装置、この撮像装置の表示制御プログラム及び撮像装置の表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため請求項1記載の発明に係る撮像装置にあっては、被写体を撮像して画像データを出力する撮像手段と、この撮像手段から出力される画像データに基づき前記被写体のスルー画像を画面に表示する表示手段と、記録する画像サイズを設定する画像サイズ設定手段と、この画像サイズ設定手段により設定された前記画像サイズに応じて、前記画像データに基づき前記表示手段に表示するスルー画像の範囲を制御する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記表示制御手段は、前記画像サイズ設定手段により設定された画像サイズよりも広範囲のスルー画像が前記表示手段に表示されるように、前記スルー画像の範囲を制御することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明に係る撮像装置にあっては、視野拡張率を設定する拡張率設定手段を更に備え、前記表示制御手段は、前記拡張率設定手段により設定された視野拡張率に従って、前記画像サイズ設定手段により設定された画像サイズよりも広範囲のスルー画像が前記表示手段に表示されるように、前記スルー画像の範囲を制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記表示制御手段は、前記画像サイズ設定手段により設定された画像サイズに相当するスルー画像部分に枠を表示させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記表示制御手段は、前記画像サイズ設定手段により設定された画像サイズに相当するスルー画像部分と、前記画像サイズを越えるスルー画像部分とを異なる表示態様で前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記表示制御手段は、前記画像サイズに相当するスルー画像部分をカラー表示し、前記画像サイズを越えるスルー画像部分をモノクロ表示することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記表示制御手段は、前記拡張率設定手段により設定された視野拡張率を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8記載の発明に係る撮像装置にあっては、撮影指示に応答して、前記設定手段により設定された画像サイズに相当する画像データを記録手段に記録する記録制御手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記撮像手段に被写体像を結像させる光学系を備え、該光学系は、広角レンズを含むことを特徴とする。
【0015】
また、請求項10記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記撮像手段に被写体像を結像させズームレンズを含む光学系と、前記拡張率設定手段により設定された視野拡張率に応じて、前記光学系を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項11記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記撮像手段から出力される前記画像データを画素加算処理するデジタルズーム手段を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項12記載の発明に係る表示制御プログラムにあっては、被写体を撮像して画像データを出力する撮像手段と、この撮像手段から出力される画像データに基づき前記被写体のスルー画像を画面に表示する表示手段とを備える撮像装置が有するコンピュータを、記録する画像サイズを設定する画像サイズ設定手段と、この画像サイズ設定手段により設定された前記画像サイズに応じて、前記画像データに基づき前記表示手段に表示するスルー画像の範囲を制御する表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
また、請求項13記載の発明に係る撮像装置の表示制御方法にあっては、被写体を撮像して画像データを出力する撮像手段と、この撮像手段から出力される画像データに基づき前記被写体のスルー画像を画面に表示する表示手段とを備える撮像装置における表示制御方法であって、記録する画像サイズを設定する画像サイズ設定工程と、この画像サイズ設定工程により設定された前記画像サイズに応じて、前記画像データに基づき前記表示手段に表示するスルー画像の範囲を制御する表示制御工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所望する画像部分を含むか否かを視認しつつ撮影を行うことができ、その結果、当該所望する画像部分を含む画像範囲を容易に撮像することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1(a)は本発明の一実施の形態に係るデジタルカメラ100の平面図、同図(b)は背面図である。このデジタルカメラ100の本体101には、その前面に、撮像レンズ102が設けられている。また、上面には、電源スイッチ103、シャッタ釦(レリーズ釦)104、ズームレバー105、撮影モードダイアル106、一般ダイアル107が設けられている。背面には、光学ファインダー108、OKキー109、カーソルキー110、DISPLAYキー111、MENUキー112、及び表示部79が設けられている。そして、モードダイアル19の操作により後述するフローチャートに示す各種モードが設定され、各種モードが設定されている状態でカーソルキー110とOKキー109が操作されることにより、当該モードにおける選択肢の選択が可能となる。また、表示部79は、LCDパネルからなり、記録された静止画及び動画を再生表示するモニタとしての機能も兼用する。
【0021】
図2は、デジタルカメラ100の回路構成を示すブロック図である。このデジタルカメラ100は、高速連続撮影機能を備えており、図に示すように、制御回路2を有している。制御回路2には、CPU3とこのCPU3にデータバス4を介して各々接続されたインターフェース5、音声入出力回路6、入力回路7、メモリカードインターフェース8、USBコントローラ9、入出力インターフェース10、入出力ポート12、13、HDDインターフェース14が設けられている。音声入出力回路6には、マイク16がアンプ17及びA/D変換器18を介して接続されているとともに、スピーカ19がアンプ20及びD/A変換器21を介して接続されている。入力回路7には、各種操作キー、スイッチ等が設けられた操作入力部22が接続され、メモリカードインターフェース8には脱着自在に設けられた画像メモリ媒体25が接続されている。USBコントローラ9はUSB端子26に接続されており、入出力インターフェース10はアンテナ27を有する無線LAN送受信部28に通信コントローラ29を介して接続されている。
【0022】
前記入出力ポート12には、焦点レンズ駆動部32、ズームレンズ駆動部33、絞り駆動部34及びシャッタ駆動部35が接続されているとともに、ストロボ36がストロボ駆動回路37を介して接続され、測光/測距センサ38が検出回路39を介して接続されている。前記入出力ポート13には、当該デジタルカメラ100の上下方向のブレを検出する角速度センサ(Y/Pitch)40と、上下方向のブレを検出する角速度センサ(X/Yaw)42とが各々検出回路41、43を介して接続されている。HDDインターフェース14には、HDD記憶装置46が接続されている。HDD記憶装置46は、ディスク媒体47を有するとともに、モータ48、モータドライバ49、マイコン部50、VCモータ51、ヘッドアンプ52、リード/ライトチャンネル+CODEC53、HDD制御部54等を有している。
【0023】
また、制御回路2には、電池44が電源制御部45を介して接続され、電源制御部45は制御回路2により制御されて各部に電池44からの電力を供給する。さらに、前記データバス4には音声CODEC(符号器/復号器)15、プログラムメモリ23及びデータメモリ24が接続されている。音声CODEC15は、音声信号を符号化するとともに音声データを復号化する。プログラムメモリ23は、後述するフローチャートに示す制御回路2が動作するためのプログラムを格納しており、データメモリ24は各種データが予め格納されているとともに画像データ以外の他のデータを格納する。
【0024】
一方、ズームレンズ及び広角レンズを含む撮像光学系55の後方光軸上には、撮像素子56が配置されているとともに、撮像光学系55中には前記絞り駆動部34により駆動される絞り57及び前記シャッタ駆動部35により駆動されるシャッタ58が介挿されている。また、前記焦点レンズ駆動部32は、撮像光学系55中の焦点レンズを駆動し、ズームレンズ駆動部33はズームレンズを駆動するように構成されている。
【0025】
前記撮像素子56は、並列読み出しなどの高速読み出しが可能なものであり、イメージセンサ部59、水平走査部60、垂直走査部61、P/S変換部62を有している。この撮像素子56には、DSP部63が接続されている。DSP部63には、撮像素子56のP/S変換部62から取り込んだ画像信号を処理するためのS/P変換部64、バッファメモリ65、WB補正部66、リサイズ/画素補間部67、カラー補間部68、輪郭補正部69、ガンマ補正部70、マトリクス回路部71を備えているとともに、前記垂直走査部61の周期を制御するためのコントローラ73、前記バッファメモリ65及び画像認識処理ほかデジタル信号処理部72を備えている。
【0026】
前記マトリクス回路部71と画像認識処理ほかデジタル信号処理部72とは、画像データバス74を介してバッファメモリ75、画像CODEC(符号器/復号器)76、動画像CODEC(符号器/復号器)77及び表示駆動回路78に接続され、画像データバス74は前記制御回路2のインターフェース5に接続されている。画像認識処理ほかデジタル信号処理部72は、撮影された複数の画像をデジタル処理して合成し、バッファメモリ75は、画像CODEC76及び動画像CODEC77が符号化及び復号化処理する際の画像データを一時的に格納し、表示駆動回路78は、(ファインダー)表示部79を駆動する。
【0027】
(全体的動作)
図3及び図4は、本実施の形態における処理手順を示す一連のフローチャートである。制御回路2はプログラムメモリ23に格納されているプログラムに基づき、このフローチャートに示すような処理を実行する。先ず、静止画撮影モードが設定されているか否かを判断し(ステップS101)、設定されていない場合には、後述する図4のステップS119に進む。
【0028】
静止画撮影モードが設定されている場合には、ユーザによる操作入力部22での操作に応じて、画像メモリ媒体25に記録する画像のサイズである記録画像サイズ(横:X,縦:Y)、縦横比などを設定する(ステップS102)。次に、撮影モード、撮影条件等を設定した後(ステップS103)、ワイドファインダーの選択、又はファインダー視野拡張率WR(%)を設定する(ステップS104)。
【0029】
図5は、このステップS104での設定動作を示す説明図である。同図(a)に示すように、通常時のスルー画像範囲を視野拡張率100%とし、カーソルキー110の操作に応じて、同図(d)の視野拡張率を横200%、縦200%まで可変自在である。そして、カーソルキー110の操作により、100%〜200%×200%を選択し、OKキー109を操作することにより、ファインダーの視野拡張率WR(%)が設定される。
【0030】
なお、図5(d)の画像がデジタルズーム処理されていない画像、つまりズーム倍率「1」の画像であり、(d)(c)(b)(a)の順にデジタルズーム倍率が大きい画像である。無論、図5(d)最大の視野拡張率200%×200%の画像は、撮像素子56の撮像範囲内において撮像可能な範囲である。
【0031】
このようにして、ファインダー視野拡張率WR(%)が設定されたならば、表示書込画像サイズ(X,Y)と、設定された視野拡張率WR(%)とに応じて、下記式により表示部79に出力する画像のサイズである出力画像サイズ(XOUT,YOUT)を設定する(ステップS105)。
OUT=(WR/100)・X
OUT=(WR/100)・Y
【0032】
ここで、表示書込画像サイズ(X,Y)は、ワイドファインダーが選択されない通常の撮影時にバッファメモリ75に書き込まれて、表示駆動回路78を介し表示部79に転送される画像の縦横サイズ(画素数)であり、出力画像サイズ(XOUT,YOUT)はこのステップS105の処理が実行された後において、バッファメモリ75に書き込まれて、表示駆動回路78を介し表示部79に転送される画像の縦横サイズある。
【0033】
したがって、表示書込画像サイズ(X,Y)を、ユーザにより設定された視野拡張率WR(%)を用いて、(WR/100)倍し、これを出力画像サイズ(XOUT,YOUT)とすることにより、出力画像サイズ(XOUT,YOUT)は、表示書込画像サイズ(X,Y)の(WR/100)倍となる。このときWR≧100であるから、出力画像サイズ(XOUT,YOUT)は、表示書込画像サイズ(X,Y)以上の値となる。つまり、WR=200%であったとすると、
OUT=(200/100)・X=2X
OUT=(200/100)・Y=2Y
となる。
【0034】
次に、撮像フル画像サイズ(X,Y)と前記出力画像サイズ(XOUT,YOUT)とに応じて、下記例示式により、デジタルズーム倍率(DZ)の限界(DZMAX)を設定する(ステップS106)。
(例)DZMAX=X/XOUT
又は DZMAX=Y/YOUT
【0035】
ここで、撮像フル画像サイズ(X,Y)は、撮像素子56により撮像可能な最大の画像サイズである。したがって、デジタルズーム倍率(DZ)の限界(DZMAX)は、出力画像サイズ(XOUT,YOUT)が大きいほど小さな値となる。
【0036】
次に、ズーム操作があったか否かを判断し(ステップS107)、あった場合にはズーム処理(又は、さらに、画質劣化の少ないデジタルズーム処理)を実行する(ステップS108)。なお、このステップS108における画質劣化の少ないデジタルズーム処理にの詳細については、後述のフローチャートにおいて説明する。
【0037】
引き続き、スルー画像サイズ(X′,Y′)に応じて、リサイズ率(IPx=X/X′,IPy=Y/Y′)を設定し、リサイズ/補間処理して、表示書込画像サイズ(X、Y)からなる表示書込画像データに変換する(ステップS109)。
ここで、スルー画像サイズ(X′,Y′)は、表示部79に表示されるスルー画像の縦横サイズである。したがって、表示書込画像サイズ(X、Y)は、表示部79に全画面表示可能なサイズとなる。
【0038】
さらに、表示書込画像サイズ(X,Y)と、ファインダー視野拡張率WR(%)、デジタルズーム倍率(DZ)に従って、スルー画像表示処理(表示RAMに書込み)を実行する。このとき、前記ステップS102で設定された記録画像サイズ(X、Y)に対応する表示領域に枠を表示し、また、視野拡張率を表示するとともに、前記撮影領域内はカラー表示し、撮影領域外はモノクロに変換して表示する(ステップS110)。
【0039】
したがって、このS110での処理により、図5(a)〜(d)に示すように、表示部79には、「100%」「125%×125%」等の視野拡張率791が表示され、記録画像サイズ(X、Y)に対応する表示領域に枠792が表示され、また、撮影領域内793はカラー表示され、撮影領域外794はモノクロ表示される。
【0040】
よって、ユーザは、表示されている視野拡張率791と、表示された撮影領域内793とを撮影領域外794視認することにより、現在設定されている視野拡張率が適切である否か、つまりより大きな視野拡張率を設定すべきであるか、より小さな視野拡張率を設定すべきであるかを判断することができる。
【0041】
また、ユーザは、枠792やカラー表示された撮影領域内793内のスルー画像部分を視認することにより、所望する画像部分を含むか否かを視認しつつ静止画撮影を行うことができる。
【0042】
なお、図5(b)〜(d)に示すように、撮影領域外794のスルー画像部分が表示される場合には、当該撮影領域外794に「※ この枠内が撮影時に記録されます」なる文字列を表示することが好ましい。これにより、初心者であっても、撮影領域内793内のスルー画像部分が記録される画像部分であることを認識して、所望する画像部分を含むか否かを確認しつつ撮影を行うことができる。
【0043】
次に、レリーズ釦104が半押し操作(又は、AF/AEロック操作)されたか否か(又は、AF/AEロック操作)されたか否かを判断し(ステップS111)、操作されない場合にはステップS107に戻る。レリーズ釦104が半押し操作された場合には、測光処理、AF/AEロック処理を実行し(ステップS112)、レリーズ釦104の全押しを待つ(ステップS113)。
【0044】
レリーズ釦104の全押し操作されたならば、露光、撮影処理を実行し、デジタルズーム倍率(DZ)に応じて、領域選択した画像を加算なしで読み出す(ステップS114)。つまり、撮像素子56から、図5に示した撮影領域内793と撮影領域外794と含む画像に相当する画像(領域選択した画像)を画素加算することなく読み出す。したがって、このステップS114で読み出された画像には、撮影領域内793に相当する画像部分と撮影領域外794に相当する画像部分とが含まれている。
【0045】
引き続き、このステップS114で読み出した画像を撮影画像(X″,Y″)として、この撮影画像(X″,Y″)の中央から、ファインダー視野拡張率WR(%)に応じて、下記式により画像サイズ(X2,Y2)の撮影領域内の撮像画像データを抽出する(ステップS115)。
X2=X″÷(WR/100)
Y2=Y″÷(WR/100)
【0046】
また、この画像サイズ(X2,Y2)の抽出画像を、前記ステップS102で設定した記録画像サイズ(X,Y)に応じて、下記リサイズ率(IP,IP)を設定し、記録用のリサイズを行うとともに、必要に応じて補間処理を行う(ステップS116)。
IP=X/X2
IP=Y/Y2
【0047】
そして、このリサイズした撮影画像を表示部79にレビュー表示、又は記録前のプレビュー表示した後(ステップS117)、符号化及び圧縮符号化して、メモリ媒体(画像メモリ媒体25、又はディスク媒体47)に記録する(ステップS118)。すなわち、前記ステップS103で設定された撮影条件に基づいて撮像素子56及びDSP部63を制御して露出及び撮影動作を行い、スチル記録用の高解像度の被写体撮像信号を取得する。そして、画像CODEC(符号器/復号器)76により、JPEG規格等に応じた圧縮符号化データ又はRAWデータなどの非圧縮の符号化データ等に符号化し、画像メモリ媒体25又はディスク媒体47に記録する。
【0048】
このとき、メモリ媒体に記録される画像は、前述のように、ユーザはが枠792やカラー表示された撮影領域内793内のスルー画像部分を視認しつつ、レリーズ釦104を操作して撮影されたものであるから、所望する画像部分が確実に含まれており、よって、所望する画像部分を含む画像範囲を容易に撮像、記録することができる。
【0049】
他方、ステップS101での判断の結果、静止画撮影モードが設定されてない場合には、このステップS101から図4のステップS119に進む。動画撮影モードが設定されたか否かを判断し、設定されていない場合には、その他のモード処理に移行する(ステップS120)。
【0050】
動画撮影モードが設定されている場合には、ユーザによる操作入力部22での操作に応じて、画像メモリ媒体25に記録する動画の1フレームのサイズである記録画像サイズ(横:X,縦:Y)、縦横比などを設定する(ステップS121)。次に、動画撮影の撮影条件を設定した後(ステップS122)、ワイドファインダーの選択、又はファインダー視野拡張率WR(%)を設定する(ステップS123)。このステップS123での設定動作は、図5に基づいて説明した前記ステップS104の場合と同様である。
【0051】
ファインダー視野拡張率WR(%)が設定されたならば、前記ステップS121で設定された記録画像サイズ(X,Y)と、前記ステップS123で設定された視野拡張率WR(%)とに応じて、下記式により表示部79に出力する画像のサイズである出力画像サイズ(XOUT,YOUT)を設定する(ステップS124)。
OUT=(WR/100)・X
OUT=(WR/100)・Y
【0052】
したがって、出力画像サイズ(XOUT,YOUT)は、記録画像サイズ(X,Y)の(WR/100)倍となり、このときWR>100であるから、出力画像サイズ(XOUT,YOUT)は、記録画像サイズ(X,Y)以上の値となる。つまり、WR=200%であったとすると、
OUT=(200/100)・X=2X
OUT=(200/100)・Y=2Y
となる。
【0053】
次に、前述したステップS106の処理と同様に、撮像フル画像サイズ(X,Y)と前記出力画像サイズ(XOUT,YOUT)とに応じて、下記例示式により、デジタルズーム倍率(DZ)の限界(DZMAX)を設定する(ステップS125)。
(例)DZMAX=X/XOUT
又は DZMAX=Y/YOUT
【0054】
また、ズーム操作があったか否かを判断し(ステップS126)、あった場合にはズーム処理(又は、さらに、画質劣化の少ないデジタルズーム処理)を実行する(ステップS127)。なお、このステップS127における画質劣化の少ないデジタルズーム処理にの詳細については、後述のフローチャートにおいて説明する。
【0055】
引き続き、スルー画像/動画像の撮像処理を実行し、デジタルズーム倍率(DZ)に応じて、領域選択した画像を選択された加算モードで読み出す(ステップS128)。つまり、撮像素子56から、図5に示した撮影領域内793と撮影領域外794と含む画像に相当する画像(領域選択した画像)を、予め選択された加算モードで画素加算しながら読み出す。
【0056】
次に、撮影スタートボタン(レリーズ釦104)が押下されたか否か、又は動画撮影中であるか否かを判断し(ステップS129)、この判断がNOである場合にはステップS132に進む。また、撮影スタートボタンが押下されるか動作撮影中である場合には、前記ステップS128で読み出した画像をサイズ(X′,Y′)の撮影画像として、このサイズ(X′,Y′)の撮影画像から、ファインダー視野拡張率WR(%)に応じて、下記式によりサイズ(X2,Y2)の撮影領域の撮像画像データを抽出する(ステップS130)。
X2=X′÷(WR/100)
Y2=Y′÷(WR/100)
【0057】
また、この画像サイズ(X2,Y2)の抽出画像データを、順次動画像CODEC(符号器/復号器)77に出力し、動画像の符号化/圧縮符号化処理、及びメモリ媒体への記録処理を実行する(ステップS131)。すなわち、前記ステップS122で設定された動画撮影の撮影条件に基づいて撮像素子56及びDSP部63を制御して露出及び撮影動作を行い、動画記録用の高解像度の被写体撮像信号を取得する。そして、画像CODEC(符号器/復号器)77により、MPEG4やH.264/AVC等の圧縮方式に対応した圧縮符号化し、AVIやMP4等のファイル形式で画像メモリ媒体25又はディスク媒体47に記録する。
【0058】
さらに、前記画像サイズ(X′,Y′)の撮像フレーム画像を、前記ステップS105で説明した表示書込画像サイズ(X,Y)に応じて、下記リサイズ率(IP,IP)を設定し、記録用のリサイズを行うとともに、表示用のリサイズ/補間処理を行う(ステップS132)。
IP=X/X′
IP=Y/Y′
【0059】
そして、動画用のスルー画像表示処理(表示RAMに書込み)を実行し、このとき、前記ステップS121で設定された記録画像サイズ(X、Y)に対応する撮影領域に枠を表示し、また、視野拡張率を表示するとともに、前記撮影領域内はカラー表示し、撮影領域外はモノクロに変換して表示する(ステップS133)。
【0060】
したがって、このS133での処理により、図5(a)〜(d)に示すように、表示部79には、「100%」「125%×125%」等の視野拡張率791が表示され、記録画像サイズ(X、Y)に対応する表示領域に枠792が表示され、また、撮影領域内793はカラーされ、撮影領域外794はモノクロ表示される。
【0061】
よって、ユーザは、枠792やカラー表示された撮影領域内793内のスルー画像部分を視認することにより、所望する画像部分を含むか否かを視認しつつ動画撮影を行うことができる。
【0062】
(ズーム処理1)
図6(a)は、前記ステップS108及びステップS128で実行されるズーム処理の第1の処理例である光学&デジタル連動のズーム処理(1)を示すフローチャートである。このフローチャートによる処理の開始に際して、静止画に関しては図4、5に示したメインルーチンにおけるステップS105の処理で、図6(b)に示すように、
OUT=(WR/100)・X
OUT=(WR/100)・Y
が設定されており、
動画に関してはステップS124の処理で、
OUT=(WR/100)・X
OUT=(WR/100)・Y
が設定されている。
さらに、前記ステップS106又はステップS125の処理で、下記デジタルズームの限度DZMAXが設定されている。
DZMAX=X/XOUT
又は DZMAX=Y/YOUT
【0063】
この状態において、ズーム操作があったか否かを判断し(ステップS201)、ズーム操作があったならば、ファインダー視野拡張率WR(%)の設定に従い、下記式により総合ズーム倍率Zを換算する(ステップS202)。
Z=OpZ×DZ÷(WR/100)
(但し、OpZ:撮像光学系55の光学ズーム倍率)
したがって、WR=100パーセントのときは、Z=OpZ×DZとなる。
【0064】
次に、ズームレバー105に対するズーム操作(ズーム操作量)ΔZに応じて、下記式により総合ズーム倍率(Z)を増減する(ステップS203)。
Z=Z±ΔZ
【0065】
そして、Z<OpZminであるか否か(OpZmin:光学ズーム倍率最小値)、又はZ<1であるか否かを判断する(ステップS204)。このステップS204の判断がYESであって、総合ズーム倍率ZがOpZmin未満、又は1未満である場合には、デジタルズーム倍率DZ=1、及び光学ズーム倍率OpZ=OpZmin×(WR/100)に設定する(ステップS205)。
【0066】
引き続き、この設定した光学ズーム倍率OpZに従って、光学ズーム処理を実行し、ズームレンズ駆動部33を制御して、ズームレンズを駆動する(ステップS206)。さらに、選択AF枠(AF枠が複数ある場合において予め選択されたAF枠)又は視野中央にて、AF処理を実行し、焦点レンズ駆動部32を制御して、焦点レンズを駆動する(ステップS207)。しかる後に、設定DZに従って後述する(画質劣化の少ない)デジタルズーム処理サブルーチンに移行する(ステップS208)。
【0067】
他方、ステップS204の判断がNOであって、総合ズーム倍率ZがOpZmin以上、又は1以上である場合には、「Z>{OpZmax÷(WR/100)}」であるか否か(OpZmax:光学ズーム倍率最大値)を判断する(ステップS209)。この判断がNOであって、総合ズーム倍率Zが光学ズーム倍率最大値Zmaxを(WR/100)で除した値よりも小さい値である場合には、総合ズーム倍率Zの増減に応じて、光学ズーム倍率(OpZ)を優先して増減するDZ=1及びOpZ=Z×(WR/100)を設定して(ステップS210)、前記ステップS206に進む。
【0068】
また、ステップS209の判断がYESである場合には、OpZ=OpZmaxとして設定する(ステップS211)。次に、デジタルズーム機能がON設定されているか否かを判断し(ステップS212)、ON設定されていないには、DZ=1を設定して(ステップS213)、前記ステップS206に進む。デジタルズーム機能がON設定されている場合には、総合ズーム倍率Zの増減に応じて、デジタルズーム倍率(DZ)を増減するDZ=(WR/100)×Z/OpZmaxを設定する(ステップS214)。
【0069】
そして、このステップS214で設定したDZがデジタルズーム倍率最大値DZmaxを超えるか否かを判断し(ステップS215)、超えない場合に前記ステップS206に進む。しかし、超える場合には、設定したデジタルズーム倍率DZをデジタルズーム倍率最大値DZmaxに制限して(ステップS216)、前記ステップS206に進む。
【0070】
したがって、以上の光学&デジタル連動のズーム処理(1)によれば、総合ズーム倍率(Z)が光学ズーム倍率(OpZ)の動作範囲内の場合(Zmin≦Z≦{OpZmax÷(WR/100)})には、光学ズーム倍率(OpZ)を優先して増減する(DZ=1、及びOpZ=Z×(WR/100)とする)ように制御することができ、OpZをOpZmin〜OpZmaxの範囲内で増減することができる。
【0071】
また、総合ズーム倍率(Z)が視野拡張率(WR)を考慮した光学ズーム倍率(OpZ)の最大値を超える場合(Z>{OpZmax÷(WR/100)})には、光学ズーム倍率(OpZ)を最大値に保持したまま(OpZ>OpZmax)、デジタルズーム機能がONに設定されている場合には、総合ズーム倍率(Z)の増減に応じて、デジタルズーム倍率(DZ)を増減するように制御することができる。そして、DZは1〜OpZmaxの範囲内で増減することになる。
【0072】
これにより、図7に例示するように、光学ズーム(×1〜5倍)、撮像フル画像サイズ(X=2880、Y=2160)、表示書込サイズ(X=640,Y=480)、(動画の場合は、記録画像サイズ(XR=640、YR=480)のときには、図示した数値が得られる。
【0073】
そして、このようにして設定された高額ズーム倍率(OpZ)に従って、ズームレンズを駆動して光学ズーム処理を行い、又は選択AF枠や視野中央にて、当該領域の撮像信号から検出した高周波成分やコントラスト値等の合焦検出情報に基づいて、焦点レンズを駆動してAFを行う。また、前記設定されたデジタルズーム倍率(DZ)に従って、後述する「画質劣化の少ないデジタルズーム処理サブルーチン」により読み出された撮像画像データに基づいて、スルー画像の表示処理を行うのである。
【0074】
(ズーム処理2)
図8(a)は、前記ステップS108及びステップS128で実行されるズーム処理の第1の処理例である光学&デジタル連動のズーム処理(2)を示すフローチャートである。このフローチャートに基づく処理の開始に際しても、静止画に関しては図4、5に示したメインルーチンにおけるステップS105の処理で、図8(b)に示すように、
OUT=(WR/100)・X
OUT=(WR/100)・Y
が設定されており、
動画に関してはステップS124の処理で、
OUT=(WR/100)・X
OUT=(WR/100)・Y
が設定されている。
さらに、前記ステップS106又はステップS125の処理で、下記デジタルズームの限度DZMAXが設定されている。
DZMAX=X/XOUT
又は DZMAX=Y/YOUT
【0075】
この状態において、ズーム操作があったか否かを判断し(ステップS301)、ズーム操作があったならば、ファインダー視野拡張率WR(%)の設定に従い、下記式により総合ズーム倍率Zを換算する(ステップS302)。
Z=OpZ×DZ÷(WR/100)
(但し、OpZ:撮像光学系55の光学ズーム倍率)
したがって、WR=100パーセントのときは、Z=OpZ×DZとなる。
【0076】
次に、ズームレバー105に対するズーム操作(ズーム操作量)ΔZに応じて、下記式により総合ズーム倍率(Z)を増減する(ステップS303)。
Z=Z±ΔZ
【0077】
そして、Z<1であるか否かを判断する(ステップS304)。このステップS304の判断がYESであって、総合ズーム倍率Zが1未満である場合には、光学ズーム倍率OpZ=OpZmin、及びデジタルズーム倍率DZ=1×(WR/100)に設定する(ステップS305)。
【0078】
引き続き、この設定した光学ズーム倍率OpZに従って、光学ズーム処理を実行し、ズームレンズ駆動部33を制御して、ズームレンズを駆動する(ステップS306)。さらに、選択AF枠(AF枠が複数ある場合において予め選択されたAF枠)又は視野中央にて、AF処理を実行し、焦点レンズ駆動部32を制御して、焦点レンズを駆動する(ステップS307)。しかる後に、設定DZに従って後述する(画質劣化の少ない)デジタルズーム処理サブルーチンに移行する(ステップS308)。
【0079】
他方、ステップS304の判断がNOであって、総合ズーム倍率Zが1以上である場合には、Z>DZmaxであるか否かを判断する(ステップS309)。この判断がNOであって、総合ズーム倍率Zが光学ズーム倍率最大値Zmaxよりも小さい値である場合には、総合ズーム倍率Zの増減に応じて、デジタルズーム倍率(DZ)を優先して増減するOpZ=1及びOpZmin、及びDZ=(WR/100)×Z/OpZminを設定して(ステップS310)、前記ステップS306に進む。
【0080】
また、ステップS309の判断がYESである場合には、Zの増減に応じて、光学ズーム倍率(OpZ)を増減するDZ=DZmax、OpZ=(WR/100)×Z/DZmaxを設定する(ステップS311)。そして、このステップS311で設定したOpZが光学ズーム倍率最大値OpZmaxを超えるか否かを判断し(ステップS312)、超えない場合に前記ステップS306に進む。しかし、超える場合には、設定した光学ズーム倍率OpZを光学ズーム倍率最大値OpZmaxに制限して(ステップS313)、前記ステップS306に進む。
【0081】
したがって、以上の光学&デジタル連動のズーム処理(2)によれば、ズーム操作に応じて、総合ズーム倍率(Z)を増減設定し(Z=±ΔZ)、総合ズーム倍率(Z)の増減に応じて、総合ズーム倍率(Z)がデジタルズーム倍率(DZ)の動作範囲内の場合(1≦Z≦DZmax)には、デジタルズーム倍率(DZ)を優先して増減する(OpZ=OpZmin、及びDZ=(WR/100)×Z/DZmaxとする)ように制御することができ、OpZをOpZmin〜OpZmaxの範囲内で増減することができる。
【0082】
これにより、図9に例示するように、光学ズーム(×1〜5倍)、撮像フル画像サイズ(X=2880、Y=2160)、表示書込サイズ(X=640,Y=480)、(動画の場合は、記録画像サイズ(XR=640、YR=480)のときには、図示した数値が得られることとなる。
【0083】
((画質劣化の少ない)ズーム処理)
図10(a)は、前記ステップS208及びステップS308で実行される(画質劣化の少ない)デジタルズーム処理サブルーチンを示すフローチャートである。まず、下記例に示すように、切替ステップ段数(整数)i、及び、初期の加算数(整数)m=m(i)、n=n(i)を設定する(ステップS401)
(例)i=3、m(i)=m、n(i)=nに設定
【0084】
また、デジタルズーム倍率(DZ)と設定された中央位置(X、Y)を読み込む(ステップS402)。そして、撮像素子のフル画サイズ(X,Y)と、出力画像サイズ(XOUT,YOUT)より各段の加算読出しの加算数m(i),n(i)における(画質劣化しない)デジタルズーム倍率DZの限度(切替え倍率)DZL(i)を下記のように設定する(ステップS403)。
DZL(i)=INT{X/m(i)}/XOUT、又は、
DZL(i)=INT{Y/n(i)}/YOUT
【0085】
したがって、図10(b)に示すように、例えばX=2880、Y=2160、XOUT=640、YOUT=480のときは、
=n=1、m=n=2、m=n=3、・・・とすると、
加算数mのときの限度倍率DZLI=INT(2880/1)/640=4.5、
加算数mのときの限度倍率DZL2=INT(2880/2)/640=2.25、
加算数mのときの限度倍率DZL3=INT(2880/3)/640=1.5、
加算数mのときの限度倍率DZL4=INT(2880/4)/640=1.125
・・・となる。
【0086】
次に、デジタルズーム倍率(DZ)が「1≦DZ≦DZL(i)」であるか否かを判断する(ステップS404)。このステップS404の判断がYESである場合には、加算数をm=m(i)、n=n(i)に設定する(ステップS405)。したがって、図10(c)に例示するように、X=2880、Y=2160、XOUT=640、YOUT=480のとき、
初期加算数をi=3、m=n=3から始めたとき、
DZ=1〜1.5倍のとき、m=n=3(3×3の加算読出し)、
DZ=1.5〜2.25倍のとき、m=n=2(2×2加算読出し)、
DZ=2.25〜4.5倍のとき、m=n=1(1×1加算なし読出し)
となる。
【0087】
引き続き、デジタルズーム倍率(DZ)と中央位置(X、Y)に応じてて、選択読出し領域の画像サイズ(X,Y)、読出し範囲(X〜X、Y〜Y)を下記のように設定する(ステップS406)
X=INT(X/DZ)、Y=INT(Y/DZ)、
=X−X/2,X=X+X/2、
=Y−Y/2,Y=Y十Y/2、
ただし、X<0のとき、X=0、X=X、
<0のとき、Y=0、Y=Y、
>Xのとき、X=X−X、X=X
>Yのとき、Y=Y−Y、Y=Y
【0088】
したがって、図10(d)に示すように、例えばX=2880、Y=2160、DZ=1.2倍のときは、
X=INT(X/DZ)=(2880/1.2)=2400
Y=INT(Y/DZ)=(2160/1.2)=1800
となる。
次に、撮像素子から読出し範囲(X〜X,Y〜Y)の画像信号を、加算数(m,n)に従って加算して(又は加算なしで)読出し、画像サイズ(X′,Y′)=(X/m,Y/n)の画像信号をDSP部63に読込む(ステップS407)。そして、前記サイズ(X′,Y′)の画像データを出力する(ステップS408)。
【0089】
したがって、図10(e)に示すように、例えばDZ=1.2倍、加算数m=3,n=3のときは、
X′=X/m=(2400/3)=800
Y′=Y/n=(1800/3)=600
となり、800×600画素の(3×3)加算画像を得る。
【0090】
他方、ステップS404での判断がNOである場合には、「i」の値をデクリメントし(ステップS409)、このデクリメントした「i」の値が「1」以上であるか否かを判断する(ステップS410)。i≧1であって、デクリメントした「i」が正の値である間は、ステップS410から前記ステップS403に戻る。そして、デクリメントされた「i」の値を代入して、ステップS403の処理を実行し、これによりステップS404の判断がYESとなった場合には、前述したステップS405以降の処理を実行する。
【0091】
しかし、ステップS409でのデクリメントにより、「i」の値が「0」となってしまった場合には、ステップS410の判断がNOとなる。この場合には、デジタルズームを終了し、又はエラー処理を行う(ステップS411)。そして、加算数の最小値「1」をm及びnに設定して、前述したステップS406以降の処理を実行する。
【0092】
(撮像素子)
前記撮像素子56を、例えば、CCDイメージセンサで構成した場合には、入射光によってフォトダイオードに発生した信号電荷を増幅せずにそのまま、垂直と水平のCCD転送路によって順繰りに転送され、出力回路で初めてFD(Floating Diffusion)アンプにより信号電圧に増幅されて出力される。CCDから出力された撮像信号は、CDS回路(相関二重サンプル回路)でノイズ除去およびサンプル&ホールド処理され、AGC(自動利得制御)アンプで増幅され、ADC(A/D変換器)でデジタル撮像信号に変換されて、DSP(信号処理回路)に出力される。
【0093】
一方、撮像素子をCMOS(相補型金属一酸化膜半導体)イメージセンサで構成する場合には、図2示したような、一般的なAPS(増幅型画素センサ)型のCMOSセンサでは、フォトダイオードを含む単位画素回路毎に増幅素子(アンプ)が内蔵されており、フォトダイオードで光電変換された信号電荷は画素回路内アンプで一旦増幅され、垂直走査回路からの行アドレス選択信号と水平走査回路からの列選択信号によりXYアドレス方式で選択された画素毎の撮像信号が、出力から順次電圧又は電流として取り出すことができる。CCDのように順番に取り出さなくとも、CMOSセンサでは、任意の画素や領域の撮像信号だけを、任意の順序で取り出しできるので、デジタルズーム処理で所定領域のみを切出して読出す場合には、高速で読み出せる。
【0094】
また、CCDでは、信号電荷をそのまま転送するのでスミアやノイズに弱いが、CMOSセンサでは、画素毎にランダムアクセスで読出せ、各画素回路は電気的に分離しているので伝送ノイズに強く、またCMOS LSI等と同様に、同じ製造プロセスにてイメージセンサ部の周辺に各種のCMOS回路や加算演算回路などデジタル論理回路などを高集積化して比較的容易に一緒に作りこめる利点がある。その反面、CMOSセンサでは、画素毎のアンプの闇値など、個々の素子バラツキによる固定パターンノイズ(FPN)や暗電流、KTC雑音が大きい難点があったが、(CCDと同様に)埋め込みフォトダイオードとFDアンプを用いる構造にして、暗電流とKTC雑音を低減できるようになり、列信号線毎に並列に並んだ列回路に設けたColumn型のCDS/ADC回路等により、フォトダイオードをリセットする前と後の信号を減算して固定パターンノイズを除去できるようになり、列回路毎に積分型や巡回型、逐次型などのAD変換器を組み込んで、デジタル信号での撮像信号出力も容易になった。
【0095】
本実施の形態に係るデジタルカメラ100に用いる撮像素子では、任意のサイズの画像領域を選択して、領域内の画素の撮像信号を読み出す選択読み出しができるように、図11に示す撮像素子200を用いることが好ましい。すなわち、この撮像素子200は、タイミング発生回路201に接続された垂直走査回路202と水平走査回路203及び列回路部204を備えるとともに、並列直列変換部204、符号器205を有している。列回路部204には、CDS回路206、A/D変換回路207、画素加算回路208を一組とする回路が複数設けられて、各々列信号線209が接続されている。一方、垂直走査回路202には、行選択線(アドレス線)210と転送TC線(行読出し線)211及び行リセット線212とが接続されている。また、イメージセンサ部213には、複数の単位画素回路214が設けられており、各単位画素回路214は、前記列信号線209、行選択線(アドレス線)210、転送TC線(行読出し線)211、行リセット線212に接続されたフォトダイオード215等で構成されている。
【0096】
したがって、この撮像素子200においては、列回路部204のCDS回路206、A/D回路207の後段に隣接する同色(フィルタ)の複数の画素の信号同士をデジタル信号で加算する画素加算回路208を設けることにより、デジタルズーム時には、選択領域内の画素データを任意の行列毎に所定の複数画素分加算された撮像信号を読出しできるように構成し、スルー画像や動画撮影において、高速レートでも、画像データ量の小さい撮像信号に変換して出力できるようにしてある。
【0097】
なお、選択読出された選択領域の撮像信号、さらに画素加算された撮像信号は、列回路部204のCDS回路206、A/D回路207から水平走査回路202の列選択信号により選択された列信号が順次出力されるが、このとき、高速クロックに同期させて並列のデジタル信号として出力するか、若しくは、並列のデジタル信号を符号化し、並列/直列変換回路により変換して、直列のデジタル撮像信号として出力して、高解像度の撮像信号を、DSPに高速フレームレートで転送出力することができる。
【0098】
(DSP部)
撮像素子56がCMOSイメージセンサの場合にはCMOSセンサ内蔵のCDS/ADC回路でノイズ除去及びデジタル変換され、同じく内蔵の高速出力回路から並列又は直列のデジタル信号で転送された撮像信号を入力すると、DSP部63は、まずホワイトバランス調整やカラーバランス調整を行った後に、撮像素子56の前面に設けられ、モザイク状の「ベイヤー(Bayer)配列」や、水平/垂直に2画素単位の繰り返し周期で千鳥配列されたGreen市松R/B色差線順次方式など、RGB原色フィルタなどカラーフィルタ配列に従って、画素毎には一つの色成分しか持たないが、他の色差成分の画素値も、近隣周辺の画素値から画素補間(Pixel Signal Interpolation)して求めて(カラー補間処理)、画素毎にRGB色差成分毎の階調値を持つデジタル画像データに変換される。
【0099】
また、カラー補間の前に、必要に応じて、リサイズ/補間処理回路により、撮像画像サイズを異なる画像サイズに変換する解像度変換処理(Resolution Conversion)を行う場合もある。例えば、スルー画像や再生画像をファインダーや画像モニタに表示する為にvideo RAMや表示ドライバ内の表示RAM領域に書込む為に、所定の画像サイズ(VGAサイズなど)に変換するリサイズ(Resize)、若しくは、補間処理(lnterpolation)を行う。あるいは、撮影記録時に、所望の記録画像サイズで記録する為に、設定記録画像サイズの画像に縮小/拡大処理や、リサイズ/補間処理もしくは解像度変換処理を行う。リサイズや補間処理を行った場合に、画像がぽけたり解像感が落ちたりしやすいので、合せて、アンシャープネス・フィルタ(Unsharpness Filtering)など輪郭強調フィルタ演算や画像鮮鋭化フィルタ処理などを行うことが好ましい。さらに、DSP部63では、ガンマ補正回路により階調補正されたRGB系のデジタル画像信号はバッファメモリに一時記憶された後、LCDモニタなど電子ファインダーに再生表示されるか、カラーマトリクス回路でRGB系からYUV系/YCbCr系など所定の色空間の画像信号に変換され、画像CODECにより、JPEG静止画像データやMPEG4やH.264動画像データなどに圧縮/符号化処理される。
【0100】
(広角ズームレンズ)
画素数を落とす場合には、間引きや圧縮補間を行うので、撮影画角は変わらないが、ワイドファインダーの場合は、小さい画角範囲を切り出すことになる。ズームレンズの場合には、撮影できる画角の範囲が狭くなるので、広角撮影がし難く、望遠側に偏ったズーム系になってしまう問題が生ずる。このため、通常使用されるファインダー表示の視野拡張率の範囲を125〜200%の範囲とすると、それに応じて、通常よりも1/1.25〜1/2程度、やや広角側にシフトしたズームレンズ系と組み合わせることにより、前記問題を解決することができる。
【0101】
図12に、ズームレンズ系の構成例と光学ズーム倍率、視野拡張率の関係を示す。最も利用されるのが視野率WR=125%程度なら、例えば、1/2型撮像素子の5倍光学ズーム系において、通常の焦点距離=6.2〜32mm(35mmフィルム換算で約35〜175mm)の場合、W端の焦点距離を6.2mm÷(141/100)=4.4mm以下の広角、すなわち、焦点距離4.4〜22mm(35mmフィルム換算では約24.8〜124mm)のズーム系に設定すればよい。
【0102】
また、この際、実際の焦点距離の代わりに、撮影画角(角度)又は35mmフィルム換算の焦点距離などを算出して、表示部79に表示させる表示制御手段を設けるようにしてもよい。
【0103】
さらに、通常時のズームレンズの動作範囲をやや望遠側に寄った範囲で可動動作させ、ワイドファインダーでは、逆に、ファインダー視野拡張率に応じて、ズームレンズ動作範囲を広角側に寄った範囲で動作させるように制御する制御手段を設けるようにしてもよい。ワイドファインダーにした場合にも、通常時と実質的に略同等な撮影範囲(画角)になるように、ファインダー視野拡張率に応じて、ズーム焦点距離又は光学ズーム倍率を、自動的に設定する設定手段を設けるようにしてもよい。
【0104】
これにより、ファインダー視野拡張率に応じて、適切な光学ズーム倍率を設定することができる。
【0105】
(その他の実施の形態)
なお、本実施の形態においては、表示部79に単一画面でスルー画像を表示するようにしたが。図13及び図14に示す表示形態でスルー画像を表示するようにしてもよい。すなわち、図13の表示形態においては、(a)に示すように、表示部79にスルー画像のフォーカス選択表示を行って、フォーカス位置を選択させ、(b)に示すスルー画像又は撮影画像データのサイズから、(c)に示す表示画像のサイズを切り出すとともに、フォーカス位置を中心とした所定範囲を切り出して拡大させる。そして、(d)に示すように、前記切り出したサイズの表示画像をスルー画像として表示させるとともに、これに重畳させてフォーカス位置の拡大表示によりピント確認用の拡大表示を行う。したがって、ユーザがピント確認用の拡大表示を視認することにより、ピントが合っているか否かを精度よく確認することができる。
【0106】
また、図14(a)に示すように、ユーザによるフォーカス位置の選択を要することなく、画像の中心部を複数の倍率により別画面で表示したり、同図(b)に示すように、非被写体人物を認識して、認識した被写体人物部分を重畳表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデジタルカメラの平面図、(b)は背面図である。
【図2】同実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態における全体的処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図3に続くフローチャートである。
【図5】同実施の形態における表示例を示す図である。
【図6】光学&デジタル連動のズーム処理(1)を示すフローチャートである。
【図7】光学&デジタル連動のズーム処理(1)により得られる具体的数値を示す図である。
【図8】光学&デジタル連動のズーム処理(2)を示すフローチャートである。
【図9】光学&デジタル連動のズーム処理(2)により得られる具体的数値を示す図である。
【図10】画質劣化の少ないデジタルズーム処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】撮像素子の回路構成例を示す図である。
【図12】ズームレンズ系の構成例と光学ズーム倍率、視野拡張率の関係を示す図である。
【図13】その他の表示画面例を示す図である。
【図14】その他の表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
2 制御回路
22 操作入力部
23 プログラムメモリ
24 データメモリ
25 画像メモリ媒体
33 ズームレンズ駆動部
34 駆動部
35 シャッタ駆動部
46 HDD記憶装置
47 ディスク媒体
55 撮像光学系
56 撮像素子
58 シャッタ
59 イメージセンサ部
60 水平走査部
61 垂直走査部
62 P/S変換部
63 DSP
65 バッファメモリ
67 リサイズ/画素補間部
68 カラー補間部
75 バッファメモリ
76 画像CODEC
77 動画像CODEC
78 表示駆動回路
79 表示部
100 デジタルカメラ
105 ズームレバー
106 撮影モードダイアル
109 OKキー
200 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像データを出力する撮像手段と、
この撮像手段から出力される画像データに基づき前記被写体のスルー画像を画面に表示する表示手段と、
記録する画像サイズを設定する画像サイズ設定手段と、
この画像サイズ設定手段により設定された前記画像サイズに応じて、前記画像データに基づき前記表示手段に表示するスルー画像の範囲を制御する表示制御手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記画像サイズ設定手段により設定された画像サイズよりも広範囲のスルー画像が前記表示手段に表示されるように、前記スルー画像の範囲を制御することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
視野拡張率を設定する拡張率設定手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記拡張率設定手段により設定された視野拡張率に従って、前記画像サイズ設定手段により設定された画像サイズよりも広範囲のスルー画像が前記表示手段に表示されるように、前記スルー画像の範囲を制御することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記画像サイズ設定手段により設定された画像サイズに相当するスルー画像部分に枠を表示させることを特徴とする請求項2又は3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記画像サイズ設定手段により設定された画像サイズに相当するスルー画像部分と、前記画像サイズを越えるスルー画像部分とを異なる表示態様で前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2又は3記載の撮像装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記画像サイズに相当するスルー画像部分をカラー表示し、前記画像サイズを越えるスルー画像部分をモノクロ表示することを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記拡張率設定手段により設定された視野拡張率を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3から6にいずれか記載の撮像装置。
【請求項8】
撮影指示に応答して、前記設定手段により設定された画像サイズに相当する画像データを記録手段に記録する記録制御手段を備えることを特徴とする請求項1、2又は3記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像手段に被写体像を結像させる光学系を備え、
該光学系は、広角レンズを含むことを特徴とする請求項1から8にいずれか記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像手段に被写体像を結像させズームレンズを含む光学系と、
前記拡張率設定手段により設定された視野拡張率に応じて、前記光学系を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1から8にいずれか記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像手段から出力される前記画像データを画素加算処理するデジタルズーム手段を備えることを特徴とする請求項1から8にいずれか記載の撮像装置。
【請求項12】
被写体を撮像して画像データを出力する撮像手段と、この撮像手段から出力される画像データに基づき前記被写体のスルー画像を画面に表示する表示手段とを備える撮像装置が有するコンピュータを、
記録する画像サイズを設定する画像サイズ設定手段と、
この画像サイズ設定手段により設定された前記画像サイズに応じて、前記画像データに基づき前記表示手段に表示するスルー画像の範囲を制御する表示制御手段と
して機能させることを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項13】
被写体を撮像して画像データを出力する撮像手段と、この撮像手段から出力される画像データに基づき前記被写体のスルー画像を画面に表示する表示手段とを備える撮像装置における表示制御方法であって、
記録する画像サイズを設定する画像サイズ設定工程と、
この画像サイズ設定工程により設定された前記画像サイズに応じて、前記画像データに基づき前記表示手段に表示するスルー画像の範囲を制御する表示制御工程と
を含むことを特徴とする撮像装置の表示制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−284309(P2009−284309A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135413(P2008−135413)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】