説明

撮像装置およびその制御方法

【課題】撮像素子100を用いて位相差を検出する場合に、該撮像素子からの信号の読出し時間の増加を抑える。
【解決手段】撮像装置は、マイクロレンズ250と該マイクロレンズを通して撮影光学系の射出瞳のうち互いに異なる領域からの光束により形成された2つの被写体像をそれぞれ光電変換する2つの光電変換部201a,201bとを有する画素200が複数配置された撮像素子100と、画素の信号として、2つの光電変換部の信号を加算して読み出す第1の読出し動作および該2つの光電変換部の信号をそれぞれ独立に読み出す第2の読出し動作を行う信号読出し手段108と、第2の読出し動作により2つの被写体像の位相差を検出する位相差検出手段108とを有する。位相差検出が行われる場合には、複数の画素のうち所定の配置周期で配置された画素に対してのみ第2の読出し動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子を用いた位相差検出方式の焦点検出を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
位相差検出方式の焦点検出では、撮影光学系の射出瞳のうち互いに異なる領域からの光束により形成された一対の像の位相差を検出することで、撮影光学系の焦点状態を検出する。このような位相差検出方式の焦点検出を、被写体像を光電変換して画像を生成するための撮像素子を用いて行う撮像装置が特許文献1に開示されている。この撮像装置に用いられる撮像素子は、画素ごとに1つのマイクロレンズと2つの光電変換部とを有している。そして、2つの光電変換部の信号を別々に読み出すことで上記2つの像に対応した一対の像信号を得ることができ、該一対の像信号の位相差の検出を行うことができる。また、2つの光電変換部の信号を加算することで、画像を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−83407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にて開示された撮像装置では、画素ごとに2つの光電変換部から別々に位相差検出用の信号を読み出す必要があるため、1画素当りの信号読出し時間が、1つの光電変換部の信号を読み出す場合に比べて倍増する。
【0005】
そこで、本発明は、撮像素子を用いて位相差を検出する場合に、該撮像素子からの信号の読出し時間の増加を抑えることができるようにした撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての撮像装置は、マイクロレンズと該マイクロレンズを通して撮影光学系の射出瞳のうち互いに異なる領域からの光束により形成された2つの被写体像をそれぞれ光電変換する2つの光電変換部とを有する画素が複数配置された撮像素子と、画素の信号として、2つの光電変換部の信号を加算して読み出す第1の読出し動作および該2つの光電変換部の信号をそれぞれ独立に読み出す第2の読出し動作を行う信号読出し手段と、第2の読出し動作により読み出した画素の信号を用いて2つの被写体像の位相差を検出する位相差検出手段とを有する。位相差検出手段による位相差の検出が行われる場合には、信号読出し手段は、複数の画素のうち所定の配置周期で配置された画素に対してのみ第2の読出し動作を行うことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の一側面としての撮像素子駆動方法は、マイクロレンズと該マイクロレンズを通して撮影光学系の射出瞳のうち互いに異なる領域からの光束により形成された2つの被写体像をそれぞれ光電変換する2つの光電変換部とを有する画素が複数配置された撮像素子を備え、画素の信号として、2つの光電変換部の信号を加算して読み出す第1の読出し動作と、該2つの光電変換部の信号をそれぞれ独立に読み出す第2の読出し動作を行い、該第2の読出し動作により読み出した画素の信号を用いて2つの被写体像の位相差を検出する撮像装置に適用される。該撮像素子駆動方法は、位相差の検出が行われる場合には、複数の画素のうち所定の配置周期で配置された画素に対してのみ第2の読出し動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の画素のうち所定の配置周期で配置された画素に対してのみ第2の読出し動作を行って位相差を検出するので、信号読出し時間の増加を抑えつつ、良好な位相差の検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1である撮像装置の撮像部の構成を示すブロック図。
【図2】上記撮像装置に用いられる撮像素子の画素の構成を示す図。
【図3】上記撮像素子の電気回路を示す図。
【図4】上記撮像素子の加算読出し動作タイミングを示す図。
【図5】上記撮像素子の独立読出し動作タイミングを示す図。
【図6】上記撮像装置において第1の位相差検出モードで独立読出し動作を行う画素を示す図。
【図7】本発明の実施例3である撮像装置の撮像部の構成を示すブロック図。
【図8】上記撮像装置において第2の位相差検出モードで独立読出し動作を行う画素を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1には、本発明の実施例1であるデジタルカメラである撮像装置の構成を示している。この撮像装置は、不図示の撮影光学系が交換可能に又は一体的に設けられる。
【0012】
撮像素子100は、撮影光学系により形成される被写体像を光電変換する光電変換素子である。撮像素子100は、それぞれ2つの光電変換部を有する画素が複数行×複数列で二次元配置された画素部101と、該画素部101のうち1つの画素行を選択する垂直走査回路102と、該画素部101のうち1つの画素列を選択する水平走査回路104とを有する。また、撮像素子100は、垂直走査回路102により選択された画素行から信号(画素信号)を読み出す読出し回路103と、読出し回路103が読み出した画素信号を撮像素子100の外部に出力する出力回路105とを有する。
【0013】
水平走査回路104は、通常読出し用水平走査回路104aと選択読出し用水平走査回路104bとを含み、後述する加算読出し動作と独立読出し動作において使用する回路を切り替える。また、出力回路105は、読出し回路103からの画素信号を増幅するゲインアンプ等を含む。
【0014】
TG(タイミングジェネレータ)107は、撮像素子100を駆動するための制御信号を生成する。該TG107は、信号処理部108からの制御指令に応じて、撮像素子100の駆動を制御するとともに、信号処理部108に基準クロックを供給する。撮像素子100(出力回路105)からの出力信号(アナログ信号)は、AD変換器106によりデジタル信号に変換されて、信号処理部108に転送される。
【0015】
信号処理部108は、外部メモリ109と接続されており、この外部メモリ109を使用して信号処理を行い、画像信号を生成する。信号処理部108によって生成された画像信号は、記録メディア110に書き込まれたり、表示部111に静止画像あるいは動画像として出力されたり、ビデオ信号に変換された上でビデオ出力端子112から出力されたりする。また、信号処理部108は、撮像素子100と接続されており、撮像素子100の駆動を制御するための制御信号を撮像素子100に送る。
【0016】
さらに、信号処理部108は、撮像素子100から読み出した信号を用いて後述する位相差の検出(つまりは、撮影光学系の焦点検出)を行い、該位相差に基づいて不図示の撮影レンズのフォーカス制御を行う。信号処理部108は、水平走査回路104(通常読出し用水平走査回路104aおよび選択読出し用水平走査回路104b)とともに、信号読出し手段を構成する。また、信号処理部108は、位相差検出手段およびフォーカス制御手段に相当する。
【0017】
図2には、撮像素子100の1つの画素を示している。画素200は。1つのマイクロレンズ250と、2つの光電変換部(第1の光電変換部および第2の光電変換部)201a,201bとを有する。マイクロレンズ250は、撮影レンズの射出瞳のうち互いに異なる領域からの光束を、第1の光電変換部201aと第2の光電変換部201bに導く作用を有する。複数の画素200上には、撮影レンズの射出瞳のうち互いに異なる領域からの光束により形成された2つの(一対の)被写体像が形成される。該複数の画素200の第1の光電変換部201aから読み出された信号により一対の被写体像のうち一方の被写体像に対応する像信号が生成され、第2の光電変換部201bから読み出された信号により他方の被写体像に対応する像信号が生成される。これら一対の像信号は、前述した信号処理部108により読み込まれる。
【0018】
図3には、撮像素子100における、例えば1920列×1080行の画素を含む画素部101のうち、2行(第j画素行および第j+1画素行)×2列(第i画素列および第i+1画素列)の画素を示している。以下、第j画素行の画素を例に挙げて説明する。
【0019】
画素200には、前述した第1および第2の光電変換部201a,201bと、転送スイッチ202a,202bと、フローティングディフュージョン(FD)領域203と、リセットスイッチ204とが設けられている。また、画素200には、ソースフォロアアンプ205と、行選択スイッチ206も設けられている。
【0020】
転送スイッチ202aのゲートは、制御信号ΦTXA(j)に接続され、転送スイッチ202bのゲートは、制御信号ΦTXB(j)に接続されている。リセットスイッチ204は、ΦR(j)に接続されている。また、行選択スイッチ206のゲートは、垂直走査回路102からの行選択信号ΦS(j)に接続されている。制御信号ΦTXA(j),ΦTXB(j),ΦR(j)および行選択信号ΦS(j)は、第j画素行の画素に対して接続されている。同様に、制御信号ΦTXA(j+1),ΦTXB(j+1),ΦR(j+1)および行選択信号ΦS(j+1)は、第j+1画素行の画素に対して接続されている。
【0021】
また、画素列ごとに垂直信号線208が用意されており、該垂直信号線208は、読出し回路103内の負荷電流源209および転送スイッチ210a,210bに接続されている。
【0022】
転送スイッチ210aのゲートは、制御信号φTNに接続され、転送スイッチ210bのゲートは、制御信号φTSに接続されている。また、転送スイッチ212aおよび転送スイッチ212bのゲートは、水平走査回路104から出力される制御信号に接続されている。
【0023】
蓄積容量部211aは、転送スイッチ210aがオン状態で転送スイッチ212aがオフ状態にあるときに、垂直信号線208の出力を蓄積することができる。同様に、蓄積容量部211bは、転送スイッチ210bがオン状態で転送スイッチ212bがオフ状態にあるときに、垂直信号線208の出力を蓄積することができる。
【0024】
水平走査回路104の列選択信号ΦPH(i)により第i画素列の転送スイッチ212aおよび転送スイッチ212bをオン状態にすることで、蓄積容量部211aおよび蓄積容量部211bの出力がそれぞれ、別の水平出力線を介して出力回路105に転送される。
【0025】
信号処理部108は、このような構成を有する撮像素子からの信号読出し動作として、加算読出し動作(第1の読出し動作)と独立読出し動作(第2の読出し動作)とを切り替えて行う。
【0026】
まず、加算読出し動作について、図4を用いて説明する。図4には、加算読出し動作における撮像素子100の第j画素行の動作タイミングを示している。時刻T1において、リセット信号ΦR(j)がアクティブになる。次に、時刻T2において、ΦTXA(j)とΦTXB(j)がアクティブになると、第j画素行の画素の第1の光電変換部201aおよび第2の光電変換部201bがリセットされる。
【0027】
次に、時刻T3で制御信号ΦTXA(j)とΦTXB(j)がネゲートされると、第1の光電変換部201aおよび第2の光電変換部201bは電荷蓄積を開始する。
【0028】
続いて、時刻T4で行選択信号ΦS(j)がアクティブとなると、行選択スイッチ206がオン状態となって垂直信号線208に接続され、ソースフォロアアンプ205が動作状態となる。
【0029】
次に、時刻T5でリセット信号ΦR(j)がネゲートされた後、時刻T6で制御信号ΦTNがアクティブになると、転送スイッチ210aがオン状態となり、リセット解除後の信号出力が垂直信号線208に出力されて蓄積容量部211aに現れる。
【0030】
次に、時刻T7でΦTNがネゲートされ、蓄積容量部211aにこの信号出力が保持された後、時刻T8でΦTXA(j)とΦTXB(j)がアクティブになると、第1の光電変換部201aおよび第2の光電変換部201bの電荷が、FD領域203に転送される。このとき、2つの光電変換部201a,201bの電荷が同じFD領域203に転送されるので、該2つの光電変換部201a,201bの電荷が加算された信号が垂直信号線208に出力される。
【0031】
続いて時刻T9でΦTXA(j)とΦTXB(j)がネゲートされた後、時刻T10でΦTSがアクティブになると、転送ゲート210bがオン状態になり、蓄積容量部211bに出力が現れる。
【0032】
次に時刻T11でΦTSがネゲートされ、蓄積容量211bにこの信号出力が保持された後、時刻T12で行選択信号ΦS(j)がネゲートされる。
【0033】
この後、水平走査回路104の列選択信号ΦPH(i)によって第1画素列から最終画素列までの転送スイッチ209a,209bが順にアクティブにされ、蓄積容量部211a,211bの信号がそれぞれ別の水平出力線で出力回路105に転送される。
【0034】
出力回路105では、この2つの水平出力線の差分を算出し、これに所定ゲインを乗じた信号をAD変換器106に出力する。信号処理部108は、この信号を用いて画像を生成する。
【0035】
次に、独立読出し動作について、図5を用いて説明する。図5は、独立読出し動作における撮像素子100の第j画素行の動作タイミングを示している。時刻T1においてリセット信号ΦR(j)がアクティブになる。次に、時刻T2においてΦTXA(j)がアクティブになると、第j画素行の画素の第1の光電変換部201aがリセットされる。
【0036】
次に、時刻T3で制御信号ΦTXA(j)がネゲートされると、第1の光電変換部201aが電荷蓄積を開始する。
【0037】
次に、時刻T4で行選択信号ΦS(j)がアクティブとなると、行選択スイッチ206がオン状態となって垂直信号線208に接続され、ソースフォロアアンプ205が動作状態となる。
【0038】
時刻T5でリセット信号ΦR(j)がネゲートされた後、時刻T6で制御信号ΦTNがアクティブになると、転送スイッチ210aがオン状態となり、リセット解除後の信号出力が垂直信号線208に出力され、蓄積容量部211aに現れる。
【0039】
次に、時刻T7でΦTNがネゲートされた後、時刻T8でΦTXA(j)がアクティブになると、第1の光電変換部201aの電荷がFD領域203に転送される。このとき、2つの光電変換部201a,201bのうち一方(ここでは第1の光電変換部201a)の電荷をFD領域203に転送するので、第1の光電変換部201aの電荷に応じた信号だけが独立して垂直信号線208に出力される。
【0040】
次に、時刻T9でΦTXA(j)がネゲートされた後、時刻T10でΦTSがアクティブになると、転送ゲート210bがオン状態になり、蓄積容量部211bに出力が現れる。
【0041】
続いて、時刻T11でΦTSがネゲートされた後、時刻T12で行選択信号ΦS(j)がネゲートされる。
【0042】
この後、水平走査回路104の列選択信号ΦPH(i)によって、第1画素列から最終画素列までの転送スイッチ209a,209bが順にアクティブにされ、蓄積容量部211a,211bの信号がそれぞれ別の水平出力線で出力回路105に転送される。
【0043】
なお、ここでは第1の光電変換部201aの出力を独立に読み出すための撮像素子100の動作を説明したが、第2の光電変換部201bの出力を独立に読み出してもよい。この場合は、図5において制御信号ΦTXA(j) と制御信号ΦTXB(j)を入れ替えればよい。
【0044】
また、選択された画素行の第1の光電変換部201aの信号を読み出した後、水平走査回路104が再度第1画素列から走査するようにする。この場合には、第2の光電変換部201bの信号を読み出すようにすることで、1回の電荷蓄積動作に対して2つの光電変換部201a,201bの信号を独立して読み出すことが可能となる。
【0045】
こうして、撮像素子100から複数の画素200のそれぞれに設けられた2つの光電変換部201a,201bから独立して信号読出しを行う。これにより、信号処理部108は、一対の被写体像に対応した一対の像信号を得ることができ、該一対の像信号に対して相関演算を行うことにより、これら一対の像信号(つまりは一対の被写体像)間の位相差を検出(算出)することができる。
【0046】
ところで、位相差を検出するには、第1および第2の光電変換部201bのそれぞれに対して独立読出し動作を行わなければならない。しかし、独立読出し動作を行うと、加算読出し動作の約2倍の時間を要する。これにより、位相差検出に長時間がかかることになる。
【0047】
本実施例では、独立読出し動作を行う際に、画素部101においてn列周期で配置された画素のみから信号を読み出す選択読出し方式(撮像素子駆動方法)を採用することにより、位相差検出に要する時間を短縮する。
【0048】
図1において、TG107からの制御信号により、水平走査回路104を構成する通常読出し用水平走査回路104aと選択読出し用水平走査回路104bとの間で、実際に画素からの信号読出しを行う回路が切り替えられる。切り替え方法としては、例えばTG107の制御信号で切り替えられるようにしてもよいし、信号処理部108等の撮像素子100の外部の制御装置からの信号によって切り替えられるようにしてもよい。
【0049】
通常読出し用水平走査回路104aは、画素部101における第1画素列から最終画素列まで1画素列ずつ順に選択する列選択信号を生成する。具体的には、通常読出し用水平走査回路104aは、画像幅に相当するビットを有するシフトレジスタにより構成されており、このシフトレジスタにスタートビットを入力してTG107からクロック信号を入力することで、1画素列ずつ順に選択する列選択信号を生成する。
【0050】
一方、選択読出し用水平走査回路104bは、特定の開始画素列からn列周期(所定の配置周期)の画素列を選択する列選択信号を生成する。開始画素列をm列とすると、TG107は、mを0からn−1までの値とするように制御する。選択読出し用水平走査回路104bは、画像幅に相当するビットを持つシフトレジスタと、該シフトレジスタのビット間をバイパスするバイパス線の接続を切り替えるスイッチ群とにより構成されており、TG107からの制御パルスに応じてn列周期の列選択信号を生成する。このような選択読出し用水平走査回路104bは、シフトレジスタを通常平走査回路104aと共有し、各画素列にトランジスタスイッチを設けることで、簡単に実現することができる。
【0051】
以下、選択読出し用水平走査回路104bを用いた位相差検出を行うモードを第1の位相差検出モードと称する。
【0052】
図6には、第1の位相差検出モードで独立読出し動作を行う画素を例示している。図6では、選択読出し用水平走査回路104bからの列選択信号により選択される画素列が、3列周期の画素列501〜506である場合を示している。独立読出し動作は、これらの画素列501〜506に対してのみ独立読出し動作を行い、他の画素列507〜511に対しては信号読出しを行わない。
【0053】
この場合、位相差検出のために1画素当り2回の(つまりは第1および第2の光電変換部201a,201bに対する)独立読出し動作を行っても、その読み出しに要する全体の時間は、加算読出し動作を行う場合の2/3の時間となる。このため、短時間で画素部101の全体(ただし、3列周期の画素列)から位相差検出のための一対の像信号を得ることができる。
【0054】
このように本実施例によれば、所定の配置周期の画素のみを選択して独立読み出し動作を行うことで、加算読出し動作を行う場合の2/nの時間で画素部101全体(ただし、所定の配置周期の画素)での独立読み出し動作を行うことができる。
【実施例2】
【0055】
以下、本発明の実施例2について説明する。本実施例では、実施例1と同様に、第1の位相差検出モードにおいてn列周期で画素列を選択して独立読み出し動作(選択読出し方式)を行う。ただし、動画撮影中の開始画素列を、動画撮影における画像生成周期であるフレームごとにシフトすることで、開始画素列を固定とする場合に比べて独立読出しを行う画素列を増やす。なお、本実施例の撮像装置の構成は、図1に示した実施例1の撮像装置100と同じである。
【0056】
本実施例では、選択読出し用水平走査回路104bが、TG107からの制御パルスに応じてフレームごとにmを0からn−1の間で順に変更する。これにより、nフレーム周期で開始画素列が1画素列ずつシフトされる動作が繰り返される。
【0057】
本実施例によれば、複数のフレームにおいて独立読み出し動作を行う画素列を変更していくことで、固定された画素列に対してのみ独立読出し動作を行う場合に比べて多くの画素列からの信号を用いて一対の像信号を生成することができる。これにより、より解像度が高い像信号が得られ、位相差検出の精度をより向上させることができる。
【実施例3】
【0058】
以下、本発明の実施例3について説明する。本実施例は、実施例1,2で説明した第1の位相差検出モードに加えて、画素部101のうち一部の領域(部分領域:以下、読出しブロックという)に含まれる全画素列に対して独立読出し動作を行う第2の位相差検出モードを有する。
【0059】
図7には、本実施例の撮像装置の構成を示している。撮像装置は、ブロック読出し用水平走査回路104cを有する。これ以外の構成は、図1に示した実施例1(および実施例2)の撮像装置と同じである。
【0060】
ブロック読出し用水平走査回路104cは、独立読出しを行う後述する読出しブロックを決定するための画素列の範囲を、TG107からの制御信号に応じて指定する。この制御信号は、実施例1,2で説明したTG107から出力される制御パルスに読出しブロックを指定する信号を付加したものに相当する。
【0061】
図8には、本実施例において第2の位相差検出モードで独立読出し動作を行う画素を例示している。図8に示すように、画素部101のうち読出しブロック702に含まれる全画素列に対して独立読出し動作を行う一方、他の領域701,703に含まれる画素については信号読出し動作を行わない。これにより、独立読出し動作を行う画素数の増大を抑制しつつ、位相差検出に必要な像信号を得ることができる。読出しブロック702は、撮像装置のユーザが任意に選択してもよいし、後述するアルゴリズムに従って信号処理部108が選択してもよい。
【0062】
本実施例では、実施例1,2で説明した画素部101の全体にてn列周期の画素列に対して独立読出し動作を行う場合に比べて、独立読出し動作に要する時間がほぼ同じであっても、独立読出し動作を行う画素を密に(小さい配置周期で)選択することができる。独立読出し動作を行う画素を密に選択することで、解像度の高い像信号を得ることができ、位相差検出の精度を向上させることができる。
【0063】
以下、第1の位相差検出モードと第2の位相差検出モードの切り替え(第2の位相差検出モードの選択アルゴリズム)について説明する。この切り替えは、信号処理部108により制御される。
【0064】
信号処理部108は、位相差の検出動作を開始すると、まず第1の位相差検出モードを設定して、n列周期の画素列に対する独立読出し動作を行い、画素部101の全体から一対の像信号を取得する。この第1の位相差検出モードで取得した一対の像信号の位相差から予測される最もデフォーカス量が小さい画素列等、撮影光学系に関する所定の焦点状態に関する情報が得られた場合に、次のフレームにて第2の位相差検出モードに移行する。
【0065】
そして、第2の位相差検出モードでは、信号処理部108は、最もデフォーカス量が小さいと予測された画素列を含む読出しブロックを選択して、この読出しブロック内の全画素列に対して独立読出し動作を行う。これにより、より詳細な一対の像信号を得て、それらの位相差を検出する。
【0066】
第1の位相差検出モードで画素部101の全体で被写体像を捉えることにより、撮像装置の向きの変化によって画素部101に写る被写体像が素早く動いたときや、移動する被写体に対してフォーカス制御を行う際にピントを合わせたい位置を発見し易い。
【0067】
また、第1の位相差検出モードよりも精度が高い位相差検出を行える第2の位相差検出モードを使用できることで、高い合焦精度を得ることができる。
【0068】
なお、第2の位相差検出モードにおいて、読出しブロックに含まれる全画素列ではなく、n列周期よりも小さい列周期の画素列のみに対して独立読出し動作を行うようにしてもよい。これによっても、本実施例において前述したのと同様の作用効果が得られる。
【0069】
なお、第1の位相差検出モードで検出された位相差に基づくフォーカス制御(フォーカスレンズの駆動)は、行ってもよいし、行わなくてもよい。
【0070】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
短時間で良好な位相差検出を行うことができる撮像装置を提供できる。
【符号の説明】
【0072】
100 撮像素子
101 画素部
104a 通常読出し用水平走査回路
104b 選択読出し用水平走査回路
108 信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズと該マイクロレンズを通して撮影光学系の射出瞳のうち互いに異なる領域からの光束により形成された2つの被写体像をそれぞれ光電変換する2つの光電変換部とを有する画素が複数配置された撮像素子と、
前記画素の信号として、前記2つの光電変換部の信号を加算して読み出す第1の読出し動作および該2つの光電変換部の信号をそれぞれ独立に読み出す第2の読出し動作を行う信号読出し手段と、
前記第2の読出し動作により読み出した前記画素の信号を用いて前記2つの被写体像の位相差を検出する位相差検出手段とを有し、
前記位相差検出手段による前記位相差の検出が行われる場合には、前記信号読出し手段は、前記複数の画素のうち所定の配置周期で配置された画素に対してのみ第2の読出し動作を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記信号読出し手段は、前記第2の読出し動作を開始する画素を、動画撮影における画像生成周期ごとに変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記信号読出し手段は、前記複数の画素のうち所定の配置周期で配置された画素に対してのみ第2の読出し動作を行う第1の位相差検出モードと、前記複数の画素のうち選択された部分領域に含まれる全画素または該部分領域にて前記所定の配置周期よりも小さい配置周期で配置された画素に対してのみ前記第2の読出し動作を行う第2の位相差検出モードとを有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記信号読出し手段は、前記第1の位相差検出モードでの前記第2の読出し動作を通じて得られた前記撮影光学系の焦点状態に関する情報に基づいて、前記第2の位相差検出モードでの前記第2の読出し動作を行う前記部分領域を選択することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
マイクロレンズと該マイクロレンズを通して撮影光学系の射出瞳のうち互いに異なる領域からの光束により形成された2つの被写体像をそれぞれ光電変換する2つの光電変換部とを有する画素が複数配置された撮像素子を備え、前記画素の信号として、前記2つの光電変換部の信号を加算して読み出す第1の読出し動作と、該2つの光電変換部の信号をそれぞれ独立に読み出す第2の読出し動作とを行い、該第2の読出し動作により読み出した前記画素の信号を用いて前記2つの被写体像の位相差を検出する撮像装置における撮像素子駆動方法であって、
前記位相差の検出が行われる場合には、前記複数の画素のうち所定の配置周期で配置された画素に対してのみ前記第2の読出し動作を行うことを特徴とする撮像素子駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−68759(P2013−68759A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206789(P2011−206789)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】