説明

撮像装置および撮像装置の制御プログラム

【課題】大きな撮像素子を備えるカメラに、当該大きさに対応するイメージサークルを持つ交換レンズを装着したときと、当該撮像素子に対して四隅が欠ける小さなイメージサークルを持つ交換レンズを装着したときとでは、出力を画像信号として利用できる有効画素が異なる。したがって、装着されるレンズに依存して、生成される画像データの画素数が異なるという問題があった。
【解決手段】上記課題を解決するために、撮像装置は、2次元的に画素が配列された撮像素子と、撮像素子の画素配列に対して規定される複数の画素範囲から一つの画素範囲を選択する選択部と、選択部によっていずれの画素範囲が選択された場合であっても、画像信号として出力する画素数を予め定められた画素数に調整する画素調整部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および撮像装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、レンズ交換式カメラにおいても静止画撮影に加えて動画撮影が行えるようになってきた。静止画撮影においては、撮像素子の全画素の出力を利用して静止画像データを生成し、動画撮影においては、間引き処理により一部の画素の出力を利用して動画像データを生成する(例えば特許文献1)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2009−77065
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
同じレンズマウントを備えるカメラであっても、大きさ、有効画素数等において様々な種類の撮像素子が採用され、これら様々な種類の撮像素子に適応させるべく、イメージサークルの異なる複数種類の交換レンズが用意されている。大きな撮像素子を備えるカメラに、当該大きさに対応するイメージサークルを持つ交換レンズを装着したときと、当該撮像素子に対して四隅が欠ける小さなイメージサークルを持つ交換レンズを装着したときとでは、出力を画像信号として利用できる有効画素が異なる。したがって、装着されるレンズに依存して、生成される画像データの画素数が異なるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様における撮像装置は、2次元的に画素が配列された撮像素子と、撮像素子の画素配列に対して規定される複数の画素範囲から一つの画素範囲を選択する選択部と、選択部によっていずれの画素範囲が選択された場合であっても、画像信号として出力する画素数を予め定められた画素数に調整する画素調整部とを備える。
【0005】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様における撮像装置の制御プログラムは、2次元的に画素が配列された撮像素子の画素配列に対して規定される複数の画素範囲から一つの画素範囲を選択する選択ステップと、選択ステップによっていずれの画素範囲が選択された場合であっても、画像信号として出力する画素数を予め定められた画素数に調整する画素調整ステップとをコンピュータに実行させる。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係る交換レンズとカメラ本体の外観斜視図である。
【図2】本実施形態に係るカメラ本体の背面図である。
【図3】本実施形態に係る一眼レフカメラのシステム構成図である。
【図4】撮像素子とイメージサークルの関係を説明する説明図である。
【図5】選択され得る画素範囲と、画像信号の出力対象となる画素の概念図である。
【図6】動画撮影モードにおける処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る一眼レフカメラ10の交換レンズ20とカメラ本体30の外観斜視図である。交換レンズ20は、レンズマウント21を備え、カメラ本体30は、カメラマウント31を備える。レンズマウント21とカメラマウント31が係合して交換レンズ20とカメラ本体30が一体化されると、交換レンズ20とカメラ本体30は一眼レフカメラ10として機能する。
【0010】
光軸11と平行な矢印12に沿って、レンズマウント21をカメラマウント31へ接近させ、レンズ指標22とボディ指標32が対向するように両者を接触させる。更に、レンズマウント21のマウント面とカメラマウント31のマウント面の接触を保ったまま、交換レンズ20を矢印13の方向へ回転させる。すると、ロックピン33によるロック機構が作動し、交換レンズ20はカメラ本体30に固定される。この状態において、交換レンズ20側の通信端子とカメラ本体30側の通信端子は接続が確立され、互いに制御信号等の通信を行うことができる。
【0011】
交換レンズ20をカメラ本体30から分離するときには、ユーザは、着脱ボタン34を押し下げることにより、着脱ボタン34に連動するロックピン33をカメラマウント31のマウント面から退避させてロックを解除する。そして、装着と逆の手順で交換レンズ20を回転させてから引き離す。
【0012】
交換レンズ20は、被写体光束をカメラ本体30に配設された撮像素子の受光面に結像させる。交換レンズ20は、撮像素子の受光面におけるイメージサークルの大きさ、焦点距離、開放F値などが異なる様々な仕様の製品として、複数用意されている。これらの交換レンズ20は、いずれもカメラマウント31と係合するレンズマウント21を備えており、カメラマウント31が採用されたカメラ本体30であれば、異なるカメラ本体30であっても装着することができる。
【0013】
図2は、本実施形態に係るカメラ本体30の背面図である。図示するように、表示部35の近傍には操作部材としての十字キー36が設けられており、ユーザは十字キー36を操作することで、表示部35に表示されたメニュー項目の選択範囲を上下左右に移動させることができる。十字キー36の中央には決定ボタン37が設けられており、ユーザは決定ボタン37を押下げることにより十字キー36による選択を確定させる。
【0014】
例えば、図のように動画撮影画像サイズのメニュー設定画面が表示されている状態で、ユーザは、十字キー36を上下に操作することにより、アクティブフレーム38をメニュー項目中で移動させることができる。メニュー項目としては、複数の画像サイズが選択可能に提示されている。そして、ユーザは、意図する場所にアクティブフレーム38を移動させたら決定ボタン37を押し下げて選択したメニュー項目の設定を指示する。決定ボタン37の押し下げに伴ってラジオボタン39がオンとなり、ユーザは自らの選択を視認することができる。
【0015】
ライブビューボタン40は、撮像素子の受光面に結像する被写体画像を逐次光電変換して表示用の画像データを生成し、これを液晶表示部35に連続的に表示させるライブビューを開始させるボタンである。ユーザは、ライブビューボタン40を押し下げることにより、光学ファインダによる被写体観察から、ライブビューによる被写体観察に切り替えることができる。さらに、再度ライブビューボタン40を押し下げれば、光学ファインダによる被写体観察に戻すことができる。
【0016】
ライブビューは、動画撮影前の準備段階における被写体観察に利用できる。ユーザがメニュー項目から動画撮影モードを選択すると、被写体を観察する初期設定としてライブビューが開始される。ユーザは、動画撮影の準備が整い、撮影を開始したいタイミングで決定ボタン37を押し下げると、動画撮影が開始される。動画撮影中においてもライブビューは動作し、ユーザは被写体像を確認しながら撮影を続けることができる。そして、再度決定ボタン37を押し下げると、撮影が終了する。
【0017】
図3は、本実施形態に係る一眼レフカメラのシステム構成図である。被写体像は、光軸11に沿って光学系を透過し、撮像素子133の受光面に結像する。光学系は、フォーカスレンズ23、ズームレンズ24、絞り25等を含む。光学系は、レンズシステム制御部120によって制御される。例えば、レンズシステム制御部120は、モータ駆動回路122を介してフォーカスレンズ23を移動させるモータを制御し、絞り駆動回路123を介して絞り25を駆動する。
【0018】
レンズシステム制御部120は、レンズマウント接点121およびカメラマウント接点131を介してカメラシステム制御部130と接続され、相互に通信を実行しつつ協働して交換レンズ20とカメラ本体30を制御する。なお、レンズマウント接点121およびカメラマウント接点131は、それぞれ上述の交換レンズ20側の通信端子およびカメラ本体30側の通信端子を含む。
【0019】
撮像素子133は、光学系を透過して入射する被写体像である光学像を光電変換する素子であり、例えば、CCD、CMOSセンサが用いられる。撮像素子133で光電変換された被写体像は、A/D変換器135でアナログ信号からデジタル信号に変換される。撮像素子133の電荷読み出し制御およびA/D変換器135の変換制御は、カメラシステム制御部130の同期制御を受けたタイミング発生部134が供給するクロック信号により同期が計られる。カメラシステム制御部130、タイミング発生部134、およびA/D変換器135は協働して、撮像素子133の定められた画素範囲内において特定画素の出力を選択的にデジタル信号に変換することもできる。
【0020】
デジタル信号に変換された被写体像は、画像データとして順次処理される。A/D変換器135によりデジタル信号に変換された画像データは、画像処理部136へ引き渡される。画像処理部136は、設定されている撮影モード、ユーザからの指示に従って、画像データを規格化された画像フォーマットの画像データに変換する。例えば、静止画像としてJPEGファイルを生成する場合、色変換処理、ガンマ処理、ホワイトバランス処理等の画像処理を行った後に適応離散コサイン変換等を施して圧縮処理を行う。また、動画像としてMPEGファイルを生成する場合、生成された連続する静止画としてのフレーム画像に対して、フレーム内符号化、フレーム間符号化を施して圧縮処理を行う。
【0021】
A/D変換器135から画像処理部136へ入力される画像データ量が、画像処理部136の処理能力を上回る場合は、未処理の画像データは、メモリ制御部137の制御により一旦内部メモリ138へ記憶される。つまり、内部メモリ138は、連写撮影、動画撮影において高速に連続して画像データが生成される場合に、画像処理の順番を待つバッファメモリとしての役割を担う。内部メモリ138は、高速で読み書きのできるランダムアクセスメモリであり、例えばDRAM、SRAMなどが用いられる。また、内部メモリ138は、画像処理部136が行う画像処理、圧縮処理において、ワークメモリとしての役割も担う。内部メモリ138は、これらの役割を担うに相当する十分なメモリ容量を備える。メモリ制御部137は、いかなる作業にどれくらいのメモリ容量を割り当てるかを制御する。
【0022】
画像処理部136によって処理された静止画像データ、動画像データは、メモリ制御部137の制御により、内部メモリ138から記録媒体IF140を介して、記録媒体の記録部141に記録される。記録媒体は、フラッシュメモリ等により構成される、カメラ本体30に対して着脱可能な不揮発性メモリである。
【0023】
画像処理部136は、記録用の画像データの処理に並行して、表示用の画像データを生成する。生成された表示用の画像データは、表示制御部139の制御に従って、表示部35に表示される。記録の有無に関わらず、逐次表示用の画像データを生成して表示部35に表示すれば、電子ファインダ機能としてライブビューを実現できる。また、画像の表示と共に、もしくは画像を表示することなく、一眼レフカメラ10の各種設定に関する様々なメニュー項目も、表示制御部139の制御により表示部35に表示することができる。
【0024】
一眼レフカメラ10は、上記の画像処理における各々の要素も含めて、カメラシステム制御部130により直接的または間接的に制御される。カメラシステム制御部130は、システムメモリ132を備える。システムメモリ132は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(登録商標)等により構成される。システムメモリ132は、一眼レフカメラ10の動作時に必要な定数、変数、プログラム等を、一眼レフカメラ10の非動作時にも失われないように記録している。カメラシステム制御部130は、定数、変数、プログラム等を適宜内部メモリ138に展開して、一眼レフカメラ10の制御に利用する。
【0025】
カメラ本体30は、ユーザからの操作を受け付ける十字キー36等の操作部材を複数備えているが、操作検出部144は、これら操作部材が操作されたことを検知してカメラシステム制御部130へ検出結果を出力する。カメラシステム制御部130は、検出された操作に応じた動作を実行する。
【0026】
カメラ本体30は、電源143から電力供給を受ける。電源制御部142は、電源143と通信して残電力の検出、電力供給の監視、給電を行う。電源143は、2次電池、家庭用AC電源等により構成される。また、交換レンズ20への給電は、カメラマウント接点131、レンズマウント接点121を介して行われる。
【0027】
フォーカス制御部145は、ユーザの設定により、位相差AF方式またはコントラストAF方式を切り替えてオートフォーカスの制御を実行する。例えば、動画撮影モードの初期設定としてのコントラストAF方式によれば、画像処理部136等と協働して、連続して取得される画像データの空間周波数から合焦評価値を算出する。そして、合焦評価値が極値となる位置までフォーカスレンズ23を駆動するように、カメラシステム制御部130を介してレンズシステム制御部120へ制御信号を出力する。
【0028】
露光制御部146は、画像処理部136が処理した画像データまたは測光センサの出力を解析して露出値を算出する。露光制御部146は、算出した露出値に従って、絞り25の制御信号を出力し、さらに、撮像素子133の電荷リセットおよび読み出しタイミング、読み出しゲイン等に対する制御信号を出力する。
【0029】
図4は、撮像素子133とイメージサークルの関係を説明する説明図であり、カメラマウント31側から光軸11に沿って撮像素子133を臨む図である。ここでは撮像素子133として、それぞれ異なる大きさである撮像素子Aと撮像素子Bを例に説明する。
【0030】
撮像素子Aの有効画素領域は、APS版フィルムのCサイズと同程度の大きさである16mm×24mmの大きさである。撮像素子Aの有効画素の全領域で被写体像を捉えるには、この対角線長である約29mmの直径を持つイメージサークルAを必要とする。一方、撮像素子Bの有効画素領域は、35mm版フィルムと同程度の大きさである24mm×36mmの大きさである。撮像素子Bの有効画素の全領域で被写体像を捉えるには、同様に約43mmの直径を持つイメージサークルBを必要とする。
【0031】
したがって、撮像素子Aを備えるカメラ本体30に対しては、イメージサークルAを持つ交換レンズ20およびイメージサークルBを持つ交換レンズ20のいずれを装着しても、撮像素子Aの有効画素の全領域に被写体像を結像させることができる。一方、撮像素子Bを備えるカメラ本体30に対しては、イメージサークルBを持つ交換レンズ20であれば撮像素子Bの有効画素の全領域に被写体像を結像させることができるが、イメージサークルAを持つ交換レンズ20を装着すると撮像素子Bの四隅が欠けることになる。すなわち、撮像素子Bのうち、イメージサークルAの直径である約29mmより外周部分は被写体像が到達せず、影となる。
【0032】
撮像素子Aを採用するカメラ本体30および撮像素子Bを採用するカメラ本体30がいずれも同一規格のカメラマウント31を採用し、イメージサークルAを持つ交換レンズ20およびイメージサークルBを持つ交換レンズ20がいずれも同一規格のレンズマウント21を採用する場合、任意の組み合わせにより一眼レフカメラ10を構成することができる。しかし、組み合わせによっては、上記の関係から、画像信号を出力させる画素範囲に制約を受ける。
【0033】
撮像素子Aを採用するカメラ本体30であれば、イメージサークルAを持つ交換レンズ20を装着した場合も、イメージサークルBをもつ交換レンズ20を装着した場合も、撮像素子Aの全有効画素領域またはそれより小さい領域を出力画素範囲とすることもできるが、そもそも画素が存在しない撮像素子Bの範囲に出力画素範囲を設定することはできない。
【0034】
撮像素子Bを採用するカメラ本体30であれば、イメージサークルAを持つ交換レンズ20を装着した場合も、イメージサークルBを持つ交換レンズ20を装着した場合も、全有効画素領域を出力画素範囲とすることもできるし、撮像素子Aに相当する領域またはそれより小さい領域を出力画素範囲とすることもできる。ただし、撮像素子Bを採用するカメラ本体30にイメージサークルAを持つ交換レンズ20を装着した場合、撮像素子Bの全有効画素領域を出力画素範囲とすることを禁止してもよい。
【0035】
したがって、撮像素子Bを採用するカメラ本体30の場合、被写体像を受光して画像信号として出力される画素数が、装着する交換レンズ20の種類に依存する。つまり、出力画素範囲として設定できる範囲に含まれる画素の出力を余すことなく利用して生成される画像データは、装着した交換レンズ20の種類によって、互いに画素数が異なる画像データとなる。この問題は、特に動画撮影において顕著である。すなわち、動画像データにおける各フレームの画素数は、多くの場合規格によって定められており、装着する交換レンズ20の種類に関わらず、または、ユーザが設定する画素範囲に関わらず、出力される各フレームの画素数を一定にしたいという要請がある。そこで、本実施形態においては、出力画素範囲がいずれに設定された場合であっても、画像信号として出力する画素数を定められた画素数に調整する。
【0036】
図5は、選択され得る画素範囲と、画像信号の出力対象となる画素の概念図である。
【0037】
図5(a)は、図4で説明した撮像素子Aに対して選択し得る画素範囲を示す。第1画素範囲212は、撮像素子Aの有効画素領域全てを包含する範囲である。したがって、第1画素範囲212は、イメージサークルAと持つ交換レンズ20であっても、イメージサークルBを持つ交換レンズ20であっても、被写体像が欠けることはない。第2画素範囲213は、第1画素範囲212よりも更に小さく設定された範囲である。
【0038】
撮像素子Aを備えるカメラ本体30においては、ユーザは、表示部35に表示されたメニュー項目としての第1画素範囲212、第2画素範囲213からいずれかを選択することができる。撮像素子Aを備えるカメラ本体30に同じ交換レンズを装着している場合であっても、第2画素範囲213を選択したときは、第1画素範囲212を選択したときと比べて、被写体画角を小さくする効果を得ることができる。すなわち、ユーザは、あたかも望遠レンズを装着したように撮影を行うことができる。したがって、表示部35に表示するユーザインタフェース画面における選択項目名は、撮像素子Aにおける実寸法であっても、被写体画角であっても、見かけ上の焦点距離倍率であっても良い。
【0039】
図5(b)は、図4で説明した撮像素子Bに対して選択し得る画素範囲を示す。第3画素範囲221は、撮像素子Bの有効画素領域全てを包含する範囲である。また、第4画素範囲222は、イメージサークルBを持つ交換レンズ20を装着した場合の出力画素範囲であり、撮像素子Bの有効画素領域に相当する。つまり、第1画素範囲と同じ範囲である。第5画素範囲223は、第4画素範囲222よりも更に小さく設定された範囲であり、第2画素範囲と同じ範囲である。
【0040】
撮像素子Bを備えるカメラ本体30においては、ユーザは、表示部35に表示されたメニュー項目としての第3画素範囲221、第4画素範囲222、第5画素範囲223のいずれかを選択することができる。撮像素子Bを備えるカメラ本体30に同じ交換レンズを装着している場合であっても、第4画素範囲222を選択したときは、第3画素範囲221を選択したときに比べて被写体画角を小さくする効果を得ることができる。同様に、撮像素子Bを備えるカメラ本体30に同じ交換レンズを装着している場合であっても、第5画素範囲223を選択したときは、第4画素範囲222を選択したときに比べて被写体画角を小さくする効果を得ることができる。ただし、カメラシステム制御部130がイメージサークルAを持つ交換レンズ20が装着されていることを検知した場合は、第3画素範囲221の選択を禁止する。
【0041】
次に、動画撮影時における画像サイズとの関係について説明する。上述のように、ユーザは、動画撮影時における画像サイズとして、動画像データの各フレームの画素数を選択することができる。例えば、ハイビジョン放送の規格に準じた1920画素×1080画素、標準画質としての640画素×480画素などが選択可能に用意されている。
【0042】
これらの画素数は、静止画撮影に求められる画素数よりも少ないので、動画撮影時においては全ての画素の蓄積電荷を出力させるのではなく、タイミング発生部134の作用により、一定間隔ごとの特定画素の蓄積電荷を出力させる。
【0043】
図5(c)は、撮像素子Aに対して、特定画素の蓄積電荷を出力させる概念を示す図である。ここでは、出力画素範囲として第1画素範囲212が選択されている場合を示す。なお、第1画素範囲212を構成する画素数は、実際よりも少なく表している。
【0044】
ある画像サイズが設定されると、斜線で図示するように、第1画素範囲212に対して均等となるように蓄積電荷を出力する特定画素を決定する。これにより、ユーザによって選択された画素範囲に対応する被写体画角を維持しつつ、規格化されたフレーム画素数に対応する画像信号を出力することができる。具体的には、タイミング発生部134の同期信号により、特定画素の蓄積電荷のみを選択的に読み出して、A/D変換器135によってデジタル信号に変換する。そして、デジタル信号に変換された画像信号を画像処理部136が1フレームの画像データとして構築する。
【0045】
本実施形態においては、出力画素範囲がいずれに設定された場合であっても、画像信号として出力する画素数を選択された画像サイズに対応する画素数に調整する。したがって、画像サイズの設定が変更されないまま、出力画素範囲として第2画素範囲213が選択されると、第2画素範囲213に対して均等となるように特定画素を再決定する。
【0046】
図5(d)は、撮像素子Bに対して、特定画素の蓄積電荷を出力させる概念を示す図である。ここでは、出力画素範囲として第3画素範囲221が選択されている場合を示す。図5(c)と同様に、第3画素範囲221を構成する画素数は、実際よりも少なく表している。
【0047】
ここで、図5(c)で示す画像サイズと同じ画像サイズが設定されているとすれば、第3画素範囲221に対して均等となる特定画素は、斜線で示す画素となる。つまり、全体の画素に対する特定画素の密度を変更すれば、画素範囲が変更されても画像サイズを同一に保つことができることを示す。撮像素子Bにおいて第4画素範囲222を選択すれば、図5(c)の斜線で示す特定画素に対応する画素を特定画素と決定すれば良い。
【0048】
なお、ここでは、選択できる画素範囲として、より小さな範囲である第2画素範囲213および第5画素範囲223を用意した。設定され得る画像サイズのうち最大の画像サイズの画素数は、これらの画素範囲に含まれる画素数以下に定められることが好ましい。この範囲においては、上述のように、カメラシステム制御部130が、タイミング発生部134、A/D変換器135と協働して、撮像素子133の特定画素のみを選択的に読み出すことにより画素数を調整することができる。
【0049】
ただし、この制約を設けずに、設定され得る画像サイズのうち最大の画像サイズの画素数を下回る画素範囲の設定を許容する場合は、画素補間処理等により画像データの画素数を水増しすれば良い。この場合は、画素補間処理を施さない場合に比べて画質が劣化するので、ユーザに対して例えば電子音を発するなどの警告を行う警告部を設けると良い。
【0050】
図6は、動画撮影モードにおける処理フロー図である。フローは、例えば、カメラ本体30の電源がオンにされたときに開始される。また、本フロー図においては、特に断わらない限りカメラシステム制御部130が主体となって動作する。
【0051】
処理フローが開始されると、まずステップS101で、装着されている交換レンズ20に関する情報を確認する。カメラシステム制御部130は、少なくともイメージサークルの大きさを判断する。交換レンズ20の情報を確認したら、ステップS102へ進み、ユーザから出力画素範囲の選択を受け付ける。ただし、装着された交換レンズ20のイメージサークルの大きさにより、選択を許容する出力画素範囲の制限を行う。続いて、ステップS103で、出力画像サイズの選択を受け付ける。以上の動画撮影準備段階で項目選択を受け付けている間は、録画を開始する撮影指示の有無を常に監視する(ステップS104)。
【0052】
ステップS104で撮影指示の信号を操作検出部144から受け取ると、ステップS105で設定された条件に従った蓄積電荷読み出しを実行する。カメラシステム制御部130は、画像処理部136に、読み出した画像信号を動画像データへと処理させる。そして、ステップS107で撮影終了の指示を操作検出部144から受け取るまでは、ステップS105、ステップS106の動作を継続する。撮影終了の指示を受信すれば、一連の撮影動作を終了する。
【0053】
なお、上記の実施形態においては、特にカラーフィルター配列との関係については述べていないが、例えば撮像素子133がいわゆるベイヤー配列のカラーフィルターを備える場合、間引いて読み出される特定画素を並べたときのカラーフィルター配列もベイヤー配列となるように、隣接する画素のカラーフィルターを考慮して特定画素の選択を調整しても良い。また、同じ色のフィルターを持つ周辺画素の蓄積電荷を加算して読み出しても良い。
【0054】
上記の実施形態によれば、選択された画素範囲によらず画像信号として出力する画素数を設定された画像サイズの画素数にする調整は、カメラシステム制御部130、タイミング発生部134およびA/D変換器135の協調動作により、特定画素の選択的な電荷読み出しを行うことで実現した。しかし、選択的な電荷読み出しに依らず、読み出し自体は全画素に対して行い、画像処理部136により、設定された画像サイズの画素数になるように加算処理、廃棄処理等を行うように構成しても良い。
【0055】
また、上記の実施形態によれば、画素範囲をユーザが選択できるように構成したが、装着される交換レンズ20のイメージサークルにより、画素範囲が自動的に切替わるように構成しても良い。このように構成すれば、ユーザは画素範囲を意識することなく、望遠効果を享受でき、かつ、交換レンズ20の種類に依らず常に設定した画像サイズの動画像データを取得することができる。
【0056】
また、上記の実施形態では、動画撮影モードを中心に説明したが、静止画撮影モードにも同様の概念を適用することができる。すなわち、装着する交換レンズ20のイメージサークルの大きさに関わらず、出力する静止画像データの画素数を選択された画素数に調整することができる。
【0057】
以上の実施形態においては、出力画素範囲がいずれに設定された場合であっても、画像信号として出力する画素数を選択された画像サイズに対応する画素数に調整した。すなわち、図2を用いて説明したように、画像サイズを複数の候補からユーザに選択させる例を説明した。しかし、画像サイズは、このようにユーザによって定められる場合に限らず、予めシステムメモリ132に記録された固定値(例えば1920画素×1080画素)によって定められても良い。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0060】
10 一眼レフカメラ、11 光軸、12、13 矢印、20 交換レンズ、21 レンズマウント、22 レンズ指標、23 フォーカスレンズ、24 ズームレンズ、25 絞り、30 カメラ本体、31 カメラマウント、32 ボディ指標、33 ロックピン、34 着脱ボタン、35 表示部、36 十字キー、37 決定ボタン、38 アクティブフレーム、39 ラジオボタン、40 ライブビューボタン、120 レンズシステム制御部、121 レンズマウント接点、122 モータ駆動回路、123 絞り駆動回路、130 カメラシステム制御部、131 カメラマウント接点、132 システムメモリ、133 撮像素子、134 タイミング発生部、135 A/D変換器、136 画像処理部、137 メモリ制御部、138 内部メモリ、139 表示制御部、140 記録媒体IF、141 記録部、142 電源制御部、143 電源、144 操作検出部、145 フォーカス制御部、146 露光制御部、212 第1画素範囲、213 第2画素範囲、221 第3画素範囲、222 第4画素範囲、223 第5画素範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元的に画素が配列された撮像素子と、
前記撮像素子の画素配列に対して規定される複数の画素範囲から一つの画素範囲を選択する選択部と、
前記選択部によっていずれの画素範囲が選択された場合であっても、画像信号として出力する画素数を予め定められた画素数に調整する画素調整部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記予め定められた画素数は、前記選択部が選択できる前記複数の画素範囲のうち最も小さな画素範囲に含まれる画素数以下に定められる請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画素調整部は、前記撮像素子の電荷読出し部に設けられて、選択的に画素の電荷読出しを行うことにより、出力する画素数を前記予め定められた画素数に調整する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記選択部により選択された画素範囲に含まれる画素数が、前記予め定められた画素数よりも小さい場合は警告を行う警告部を備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
イメージサークルの大きさが異なる複数の交換レンズを装着できるマウントを備える請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
被写体画像を連続的に出力する動画モードを設定する動画モード設定部を備え、
前記画素調整部は、前記動画モードが設定された場合に、画像信号として出力する画素数を予め定められた画素数に調整する請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
2次元的に画素が配列された撮像素子の画素配列に対して規定される複数の画素範囲から一つの画素範囲を選択する選択ステップと、
前記選択ステップによっていずれの画素範囲が選択された場合であっても、画像信号として出力する画素数を予め定められた画素数に調整する画素調整ステップと
をコンピュータに実行させる撮像装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106167(P2013−106167A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248195(P2011−248195)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】