撮像装置及びその制御方法
【課題】 焦点検出用画素が配置された撮像素子を有する撮像装置において、AF枠位置に応じて最適なAF方法を選択し、スルー画像への影響を抑えつつAF処理時間を短縮する。
【解決手段】 撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素、及び、撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段を有する撮像装置は、撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、第1の領域より狭い領域について第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える。撮像画面内に設定されたAF枠に焦点検出画素が含まれていない場合、第2のモードに設定してコントラスト検出方式によるAFを行い、AF枠に焦点検出画素が含まれている場合、第1のモードに設定するとともに、焦点検出画素からの信号に基づいてAFを行い、当該焦点検出結果に基づいてコントラスト検出方式によるAFを行う。
【解決手段】 撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素、及び、撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段を有する撮像装置は、撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、第1の領域より狭い領域について第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える。撮像画面内に設定されたAF枠に焦点検出画素が含まれていない場合、第2のモードに設定してコントラスト検出方式によるAFを行い、AF枠に焦点検出画素が含まれている場合、第1のモードに設定するとともに、焦点検出画素からの信号に基づいてAFを行い、当該焦点検出結果に基づいてコントラスト検出方式によるAFを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に関し、特に自動焦点検出(AF)を行う撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOSセンサといった固体撮像素子を有する撮像装置には、ライブビュー機能を有するものがある。ライブビュー機能とは、撮像素子から連続的に読み出された画像信号を、カメラの背面などに設置された液晶ディスプレイなどの表示装置に順次出力することによって、被写体像の確認を行うことができる機能である。また、撮像装置の自動焦点検出・調節方法で撮影レンズを通過した光束を用いる一般的な方式として、コントラスト検出方式(ぼけ方式と呼ばれる)と位相差検出方式(ずれ方式と呼ばれる)とがある。
【0003】
コントラスト検出方式は動画撮影用ビデオムービー機器(カムコーダー)や電子スチルカメラで多く用いられる方式で、撮像素子が焦点検出用センサとして用いられるものである。撮像素子の出力信号、特に高周波成分の情報(コントラスト情報)に基づいて評価値を生成し、その評価値が最も大きくなる撮影レンズの位置を合焦位置とする方式である。コントラスト検出方式のうち山登り方式と呼ばれる手法においては、撮影レンズを微少量動かしながら評価値を求め、その評価値が結果的に最大であったとわかるまで撮影レンズを動かすことが必要である。そのため、高速なAF動作には不向きとされている。
【0004】
また、コントラスト検出方式によるAF動作中に撮像素子の一部の領域の画素のみを読み出すことにより、フレームレートを上げて高速なAFを行う方法がある(特許文献1)。
【0005】
一方、位相差検出方式は、一眼レフカメラに多く用いられる技術である。位相差検出方式では、撮影レンズの射出瞳を通過した光束を2分割し、2分割した光束を一対の焦点検出用センサによりそれぞれ受光する。そして、その受光量に応じて出力される信号のずれ量、すなわち、光束の分割方向の相対的位置ずれ量を検出することで撮影レンズのピント方向のずれ量を直接求めるものである。従って、焦点検出用センサにより一度蓄積動作を行えばピントずれの量と方向が得られ、高速な焦点調節動作が可能となっている。但し、撮影レンズの射出瞳を通過した光束を2分割し、それぞれの光束に対応する信号を得るためには、撮像光路中にクイックリターンミラーやハーフミラー等の光路分割手段を設け、その先に焦点検出用光学系とAFセンサを設けるのが一般的である。そのため、装置が大型、かつ高価となる欠点がある。また、ライブビューを行う際は、通常クイックリターンミラーが退避しているため、位相差検出方式による焦点検出を行うことができないといった問題もある。
【0006】
上記問題を解決するために、撮像素子に位相差検出機能を付与し、専用のAFセンサを不要とし、かつ高速の位相差AFを実現するための技術が提案されている。例えば、特許文献2では、撮像素子の一部の受光素子(画素)において、オンチップマイクロレンズの光軸に対して受光部の感度領域を偏心させることで瞳分割機能を付与している。そしてこれらの画素を焦点検出用画素とし、撮像用画素群の間に所定の間隔で配置することで、位相差式焦点検出を行う。また、焦点検出用画素が配置された箇所は撮像画素の欠損部に相当するため、周辺の撮像画素情報から補間して画像情報を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−72254号公報
【特許文献2】特開2000−156823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述の特許文献1に開示された従来技術では、AF動作中に撮像素子の一部の領域しか読み出していないため、被写体のスルー画像が表示できなくなる。そのため表示がブラックアウトしたり、一部領域が更新されなくなってしまい、ユーザがAF動作中のスルー画像を確認できない。
【0009】
また、上述の特許文献2に開示された従来技術では、焦点検出用画素が配置された箇所は周辺の撮影画素情報から補間して画像情報を創生する処理に時間がかかるため、焦点検出用画素は撮像素子の一部にしか配置できない。
【0010】
本発明の目的は、焦点検出用画素が配置された撮像素子を有する撮像装置において、AF枠位置に応じて最適なAF方法を選択し、スルー画像への影響を抑えつつAF処理時間を短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、撮像光学系を備えた交換レンズを着脱可能な撮像装置であって、撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素、及び、前記撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段と、前記焦点検出画素からの信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第1の焦点検出手段と、前記撮像手段からの信号の高周波成分に基づいて焦点信号を算出し、該焦点信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第2の焦点検出手段と、前記撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、前記第1の領域より狭い領域について前記第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える制御手段とを有し、撮像画面内に設定された焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれていない場合、前記制御手段により前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、前記焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれている場合、前記制御手段により前記第1のモードに設定するとともに、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行うことを特徴とする。
【0012】
第2の本発明は、撮像光学系を備えた交換レンズを着脱可能で、撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素及び前記撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、前記焦点検出画素からの信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第1の焦点検出ステップと、前記撮像手段からの信号の高周波成分に基づいて焦点信号を算出し、該焦点信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第2の焦点検出ステップと、前記撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、前記第1の領域より狭い領域について前記第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える制御ステップとを有し、撮像画面内に設定された焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれていない場合、前記制御ステップにより前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行い、前記焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれている場合、前記制御ステップにより前記第1のモードに設定するとともに、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、焦点検出用画素が配置された撮像素子を有する撮像装置において、AF枠位置に応じて最適なAF方法を選択し、スルー画像への影響を抑えつつAF処理時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1であるカメラの断面図。
【図2】撮像素子における撮像画素の配置を示す正面図と断面図。
【図3】撮像素子における焦点検出画素の配置を示す正面図と断面図。
【図4】撮像素子における撮像画素及び焦点検出画素の配置例を示す正面図。
【図5】撮像素子における撮像画素及び焦点検出画素の他の配置例を示す正面図。
【図6】実施例1のカメラに用いられる撮像素子における撮像画素及び焦点検出画素の配置を示す正面図。
【図7】実施例1のカメラにおける焦点検出画素の出力を平均化する処理を説明する図。
【図8】実施例1のカメラの電気的構成を示すブロック図。
【図9】実施例1のカメラの動作を示すフローチャート。
【図10】実施例1のカメラにおける焦点検出画素の配置領域とAF枠の位置関係を示す図。
【図11】実施例1のカメラにおけるフレームレート切り替えによる読み出し領域の変化を示す図。
【図12】実施例2のカメラの動作を示すフローチャート。
【図13】実施例3のカメラの動作を示すフローチャート。
【図14】実施例4のカメラの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
図1には、本発明の撮像装置としての一眼レフデジタルカメラの構成を示している。図1(a)は光学ファインダモードの状態を、(b)はライブビューモード及び記録用画像の撮像動作時の状態を示している。図1において、カメラ本体101の前面には、撮像光学系を備えた交換レンズ102が着脱可能に装着される。カメラ本体101と交換レンズ102は、マウント接点群112を介して電気的に接続される。交換レンズ102の中には、撮影光学系として、撮影レンズ群119と、絞り113が設けられている。撮影レンズ群119は、図1では1枚のレンズで図示されているが、実際には複数のレンズから構成される。また、撮影レンズ群119には、焦点調節を行うためのフォーカスレンズが含まれる。絞り113は、カメラ本体101内に取り込む光量を調節することができる。
【0017】
メインミラー103は、ハーフミラーにより構成されている。メインミラー103は、光学ファインダモードでは、撮影光学系からの光路(以下、撮像光路という)上に斜めに配置され、撮影光学系からの光束の一部を反射してファインダ光学系に導く。また、光学ファインダモードでは、メインミラー103を透過した光束は、メインミラー103の背後に配置されたサブミラー104で反射されてAFセンサ105へと導かれる。ライブビューモードでは、メインミラー103及びサブミラー104は、撮像光路外に退避する。
【0018】
AFセンサ105は、後述する撮像素子とは別体として設けられ、センサ別体型位相差検出方式のAFを実現するための受光素子である。AFセンサ105は、サブミラー104を介した撮影光学系からの光束を2分割し、該分割された2つの光束に2像を形成させる二次結像レンズ(図示せず)を含む。また、AFセンサ105は、該2像を光電変換する対のラインセンサ(以下、ラインセンサ対という)を含む。各ラインセンサは、複数の光電変換素子が一列に並べられることで構成されている。ラインセンサ対は、2像を光電変換して該2像に対応する2つの像信号を出力する。
【0019】
2つの像信号は、図8にて後述する撮影制御回路202に送られる。撮影制御回路202は、2つの像信号に対して相関演算を行い、該2つの像信号のずれ量(方向を含む)としての位相差(以下、AFセンサ位相差という)を算出する。そして、撮影制御回路202は、該AFセンサ位相差に基づいて、撮影光学系の焦点状態を示すデフォーカス量(方向を含む)を算出する。なお、実際には、ラインセンサ対は1つだけでなく、撮像画面内に複数設けられた焦点検出領域に対応するよう複数設けられている。複数の焦点検出領域のうち、撮影制御回路202により自動的に又は撮影者により選択された1つの焦点検出領域に対応するラインセンサ対からの2つの像信号に基づいて上記デフォーカス量が算出される。この場合、AFセンサ105及び撮影制御回路202は第3の焦点検出手段として機能する。
【0020】
撮影制御回路202は、該デフォーカス量に基づいて、交換レンズ102内のフォーカスレンズの合焦状態を得るための駆動量(方向を含む)を算出する。フォーカスレンズを該駆動量だけ移動させることで、光学ファインダモードにおいて、センサ別体型位相差検出方式のAF(フォーカス制御)による合焦状態が得られる。
【0021】
撮像素子108は、CCDセンサやCMOSセンサ等により構成される。撮像素子108の前面には、ローパスフィルタ106と、フォーカルプレーンシャッタ107が設けられている。
【0022】
背景技術で説明したように、コントラスト検出方式のAFは、撮像素子108の出力信号の高周波成分の情報(コントラスト情報)に基づいてAFを行う方法である。撮影制御回路202は、撮像素子108の出力信号の高周波成分の情報を用いて評価値(焦点信号)を生成し、その評価値が最も大きくなるフォーカスレンズの位置を合焦位置とする。この場合、撮影制御回路202は第2の焦点検出手段として機能する。
【0023】
ピント板109は、撮影光学系の予定結像面に配置されている。ペンタプリズム110は、ファインダ光路を変更するための部材である。撮影者はアイピース114を通してピント板109を見ることによって、被写体を観察することができる。ピント板109、ペンタプリズム110及びアイピース114によってファインダ光学系が構成される。
【0024】
AEセンサ111は、ペンタプリズム110からの光束の一部を用いて測光を行う。
【0025】
レリーズボタン115は、半押し(第1ストローク)操作及び全押し(第2ストローク)操作が可能である。レリーズボタン115が半押し操作されると、AEやAF等の撮像準備処理が行われ、全押し操作されると、撮像素子108が露光されて記録用画像を取得するための撮像処理が行われる。以下の説明では、レリーズボタン115が半押し操作されることをSW1−ONといい、全押し操作されることをSW2−ONという。
【0026】
ライブビュー開始/終了ボタン116は、操作されるごとに、光学ファインダモードとライブビューモードとが切り替えるためのボタンである。光学ファインダモードでは、図1(a)のようにメインミラー103が下がった状態で、前述したようにAFセンサ105を用いてセンサ別体型位相差検出方式のAFが行われる。一方、ライブビューモードでは、図1(b)のようにメインミラー103が上がった状態で、撮影光学系からの光束がダイレクトに撮像素子108に導かれる。そして、撮像素子108からの出力信号に基づいて生成されたライブビュー画像(画像データ)がカメラ本体101の背面に設けられた液晶ディスプレイ等の表示素子117に表示される。これにより、撮影者はファインダ光学系を介さずに被写体を観察することができる。
【0027】
ライブビューモードでは、撮影光学系からの光束はAFセンサ105には導かれない。しかし、後述するように、撮像素子108の一部の画素からの出力信号を用いた位相差検出方式(以下、センサ一体型位相差検出方式という)によるAFを行うことができる。
【0028】
センサ一体型位相差検出方式によるAFについて説明する。本実施例では、撮像素子108は、撮影光学系からの光束により形成された被写体像を光電変換して、ライブビュー画像や記録用画像を生成するために用いられる撮像信号を出力する撮像画素群を有する。また、撮像素子108は、撮影光学系からの光束のうち、後述する瞳分割機能によって2分割された光束により形成された2像を光電変換する焦点検出画素群を有する。
【0029】
図2を用いて撮像画素群と焦点検出画素群について説明する。図2(a)は、2行×2列の撮像画素群を示している。本実施例では、撮像素子108として、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の原色カラーフィルタがベイヤー配列された2次元単板CMOSカラーイメージセンサが用いられている。ベイヤー配列では2行×2列の4画素のうち対角方向にG画素が配置され、他の2画素としてRとBの画素が配置される。撮像素子108の全体にこの2行×2列の画素配置が繰り返されている。
【0030】
図2(a)に示した撮像画素の断面A−Aを図2(b)に示す。MLは各画素の前面に配置されたマイクロレンズであり、CFRはRのカラーフィルタ、CFGはGのカラーフィルタである。PDは、CMOSセンサの光電変換部を模式的に示している。CLは、CMOSセンサ内の各種信号を伝達する信号線を形成するための配線層である。TLは、撮像光学系を模式的に示している。
【0031】
撮像画素のマイクロレンズMLと光電変換部PDは、撮像光学系TLを通過した光束を可能な限り有効に取り込むように構成されている。すなわち、撮像光学系TLの射出瞳EPと光電変換部PDとはマイクロレンズMLにより共役関係に置かれ、かつ光電変換部PDの有効面積が大きく設定されている。
【0032】
また、図2(b)では、R画素への入射光束を示しているが、G画素及びB画素へも同様に撮像光学系TLを通過した光束が入射する。したがって、RGBの各撮像画素に対応した射出瞳EPの径は大きくなり、被写体からの光束を効率良く取り込むことができる。これにより、ライブビュー画像や記録用画像を生成するために用いられる撮像信号のS/Nを向上させることができる。
【0033】
図3(a)は、水平方向(横方向)に撮像光学系の瞳分割を行う焦点検出画素群を含む2行×2列の画素群の平面図である。G画素は、輝度情報の主成分となるG撮像信号を出力する。人間の画像認識特性は輝度情報に敏感であるため、G画素が欠損すると画質劣化が認められやすい。逆に、R、B画素は、主として色情報を取得する画素であるが、人間は色情報には鈍感であるため、色情報を取得する画素に多少の欠損が生じても画質劣化が認識されにくい。このため、本実施例では、図2(a)に示した2行×2列の撮像画素のうち、G画素は撮像画素として残し、RとBの画素の一部を焦点検出画素に置き換えている。図3(a)において、焦点検出画素をSA,SBで示す。
【0034】
図3(a)に示した焦点検出画素の断面B−Bを図3(b)に示す。焦点検出画素におけるマイクロレンズMLと光電変換部PDは、図2(b)に示した撮像画素のマイクロレンズMLと光電変換部PDと同じである。
【0035】
本実施例では、焦点検出画素からの画素信号は、ライブビュー画像や記録用画像を生成するためには用いないため、焦点検出画素にはカラーフィルタの代わりに、透明膜CFW(White)が配置されている。また、焦点検出画素に瞳分割機能を持たせるために、配線層CLの開口部(以下、絞り開口部という)OPHA、OPHBが、マイクロレンズMLの中心線に対して一方向に偏って配置されている。
【0036】
具体的には、焦点検出画素SAにおいては、絞り開口部OPHAは右側に偏って配置されており、撮像光学系TLの射出瞳のうち左側の射出瞳領域EPHAを通過した光束を受光する。一方、焦点検出画素SBの絞り開口部OPHBは左側(つまりは絞り開口部OPHAとは逆側)に偏って配置されており、撮像光学系TLの射出瞳のうち右側の射出瞳領域EPHBを通過した光束を受光する。これにより、焦点検出画素SA及びSBは、同一被写体の2像を受光し、これらを光電変換することができる。
【0037】
複数の焦点検出画素SAを水平方向に規則的に配列し、該2像のうちこれらの焦点検出画素群SA上に形成される一方の像をA像とする。また、複数の焦点検出画素群SBを水平方向に規則的に配列し、該2像のうちこれらの焦点検出画素群SB上に形成される他方の像をB像とする。焦点検出画素群SAとSBによってA像とB像を光電変換し、撮影制御回路202は、該焦点検出画素群SA及びSBから出力される像信号のずれ量(方向を含む)としての位相差(以下、焦点検出画素位相差という)を算出する。そして、該焦点検出画素位相差に基づいて、撮影光学系の焦点状態を示すデフォーカス量(方向を含む)を求めることができる。この場合、撮影制御回路202は第1の焦点検出手段として機能する。
【0038】
垂直方向(縦方向)でのA像とB像の位相差を検出する場合には、焦点検出画素SAの絞り開口部OPHAを上側に、焦点検出画素SBの絞り開口部OPHBを下側にそれぞれ偏らせて配置すればよい。つまり、図3(a)に示した焦点検出画素SAおよびSBを90度回転させ配置すればよい。
【0039】
図4には、撮像素子上での撮像画素群及び焦点検出用画素群の配置例を示している。本実施例のカメラでは、ライブビューモードにおいて表示素子117に画像を表示するフレームレートを高くするため、H(水平)方向及びV(垂直)方向のそれぞれでの読み出し画素数が各方向の全画素の1/3になるように間引きされる。図中にG、R、Bを付した撮像画素は、間引きされたときに画素信号が読み出される画素である。記号の書かれていない白抜き画素は、間引きされたときには画素信号が読み出されない画素であるが、これらの画素の画素信号も全画素読み出し(例えば、記録用画像の取得時)には読み出される。
【0040】
また、焦点検出画素群SA及びSBは、このように間引きされた状態でも画素信号が読み出せるように、撮像画素の間引き周期にかからないように配置されている。焦点検出画素群SA、SBが画像生成に使用されないことを考慮して、本実施例では、焦点検出画素群SA及びSBを、H及びV方向に間隔を空けて離散的に配置している。また、焦点検出画素群SA及びSBによる画像上での画素欠損(つまりは画像の劣化)が目立ちにくくなるように、焦点検出画素はG画素の位置に配置しないことが望ましい。
【0041】
本実施例では、図4中に太い黒枠で示された間引き時の4行×列の4画素(間引きしない場合の画素配置では、12行×12列の画素)を含む1ブロック内に、一対の焦点検出画素SA、SBを配置している。図中のBLOC_H(i,j)はブロック名を表している。また、4×4ブロックが1つの画素ユニットとして扱われる。
【0042】
1つの画素ユニットにおいて、X方向にて同一位置にあり、Y方向に位置が異なるブロックでは、焦点検出画素SA、SBを水平方向に間引き時にて1画素(間引きしない場合は3画素)ごとにシフトさせている。これを図中に矢印で示している。これは、離散的に配置された焦点検出画素群のサンプリング特性を改善するためである。すなわち、焦点検出画素SA,SBはX方向に瞳分割された画素であるため、X方向にはサンプリングが密になるようにシフト量を1画素単位で行っている。また、同様の理由から、Y方向にて同一位置にあり、X方向にて位置が異なるブロックでは、焦点検出画素SA,SBを垂直方向に間引き時にて1画素(間引きしない場合は3画素)ごとにシフトさせている。
【0043】
そして、複数の画素ユニットが撮像素子の全面における複数の焦点検出領域に対応する位置に配置される。前述したように選択された焦点検出領域に対応する焦点検出画素SA及びSBからの画素信号(つまりは2つの像信号)を読み出す。なお、図4は水平方向における像信号を取得してAFに用いる場合の例であるが、垂直方向における像信号を取得する場合は、図4での水平及び垂直方向を転置した図5に示すような画素配置とすればよい。
【0044】
さらに、焦点検出画素を、図4に示した配置と図5に示した配置とを組み合わせた市松状に配置すると、図6に示すような配置となり、水平方向と垂直方向でそれぞれ像信号を得ることができる。
【0045】
なお、実際のAF演算においては、図7に示すように、1つの画素ユニット内の複数の焦点検出画素を1つの画素として扱い、該複数の焦点検出画素からの画素信号を加算平均することによって該1つの画素からの出力のS/N比を向上させることができる。図7の例では、2つの焦点検出画素からの画素信号を平均化して1つの画素としての出力を得る場合を示しているが、平均化する焦点検出画素数は任意である。本実施例の撮像素子108は、図6に示す画素配置を持ち、センサ一体型位相差検出方式によるAFを行うことができる。
【0046】
以上説明したように、本実施例のカメラでは、光学ファインダモードではセンサ別体型位相差検出方式によるAFを行い、ライブビューモードではセンサ一体型位相差検出方式によるAFを行うことができる。
【0047】
次に、本実施例のカメラにおける電気的構成について、図8を用いて説明する。なお、図1に示した構成要素には、図8に同符号を用いて示している。
【0048】
図8において、撮影光学系から入射した光束は、絞り113を通過してメインミラー103に到達する。図8では、サブミラー104の図示を省略している。メインミラー103は、入射光束を反射光束と透過光束とに分離してそれぞれをAEセンサ111及びAFセンサ105に導く光学ファインダモードと、メインミラー103(及びサブミラー104)を撮像光路外に退避させるライブビューモードとで切り替えられる。
【0049】
ライブビューモードにおいては、シャッタ107を開く。このため、入射光束はそのまま撮像素子108に到達する。撮像素子108から出力されたアナログ撮像信号は、A/D変換器207によりデジタル信号に変換されて画像生成手段としての信号処理回路208に入力される。信号処理回路208は、撮像信号に対して各種信号処理を行うことでカラー画像信号を生成する。カラー画像信号は表示回路209に所定の周期で送られる。これにより、図1に示した表示素子117に、ライブビュー画像(動画像)が表示される。
【0050】
なお、撮像時には、SW2−ONに応じて、ライブビューモードと同様にして(但し、ライブビュー画像よりも多い画素数で)生成された記録用画像(静止画像)としてのカラー画像信号が記録回路210に送られる。これにより、記録用画像が不図示の記録媒体(半導体メモリ、光ディスク等)に記録される。また、記録用画像としてのカラー画像信号は、表示回路209を介して表示素子117に所定時間の間、表示される。
【0051】
ライブビューモードでは、信号処理回路208は、撮像信号に対してコントラスト評価値を算出し撮影制御回路202に送る。撮影制御回路202は、レンズ駆動回路206を介して交換レンズ102に含まれるフォーカスレンズを駆動しながらコントラスト評価値がピークとなる位置を探し、ピーク値となるレンズ位置にフォーカスレンズを駆動する。
【0052】
また、ライブビューモードにおいて、信号処理回路208は、撮像素子108上の焦点検出画素群により得られた2つの像信号を撮影制御回路202に送る。撮影制御回路202は、焦点検出画素群からの2つの像信号に対して相関演算を行い、該2つの像信号の焦点検出画素位相差を算出する。そして、撮影制御回路202は、該焦点検出画素位相差に基づいて、フォーカスレンズのデフォーカス量を算出し、該デフォーカス量に基づいて、レンズ駆動回路206を介してフォーカスレンズを駆動する。
【0053】
光学ファインダモードでは、AEセンサ111は測光信号を撮影制御回路202に送る。また、AFセンサ105は、ラインセンサ対により得られた2つの像信号を撮影制御回路202に送る。
【0054】
撮影制御回路202は、AEセンサ111から得られた測光信号に基づいて、撮像動作時における絞り113の開口径やシャッタスピードを決定する。撮影制御回路202は、撮像時には、SW2−ONに応じて、絞り駆動回路205及びシャッタ(SH)駆動回路203を介して絞り113とシャッタ107を、決定した開口径やシャッタスピードに基づいて制御する。なお、絞り駆動回路205は、交換レンズ102内に設けられている。
【0055】
また、光学ファインダモードにおいて、撮影制御回路202は、SW1−ONに応じて、前述したようにAFセンサ105からの2つの像信号に対して相関演算を行い、該2つの像信号のAFセンサ位相差を算出する。そして、撮影制御回路202は、該AFセンサ位相差に基づいてフォーカスレンズのデフォーカス量を算出し、該デフォーカス量に基づいて、レンズ駆動回路206を介してフォーカスレンズを駆動する。なお、レンズ駆動回路206は、交換レンズ102に設けられている。
【0056】
また、撮影制御回路202は、第1の焦点情報算出手段、第2の焦点情報算出手段、補正値算出手段及び制御手段として機能する。
【0057】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、本実施例のライブビューモードにおけるカメラの動作について説明する。該動作は、撮影制御回路202に格納されたコンピュータプログラムに従って実行される。
【0058】
ステップS901では、撮影制御回路202は、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれるかどうかを判定し、含まれていなければステップS902に進む。
【0059】
図10は、焦点検出画素の配置について示しており、ライブビューの撮像領域の水平方向に50%、垂直方向に50%の幅に焦点検出画素が配置されている場合を示している。図10(a)は、AF枠が中央にあり、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれている。一方、図10(b)のようにAF枠が周辺にある場合は焦点検出画素が含まれていない。
【0060】
ステップS902では、撮影制御回路202は、フレームレートの切り替えを行う。例えば60fpsで駆動している状態から120fpsに切り替えを行う。その際、高速フレームレートに切り替えると読み出し時間が間に合わず、全領域の画像を読み出せず一部の領域のみを読み出すことになる。その場合はAF枠の位置を含むようにして読み出しを行う。図11にフレームレートを切り替えた際の読み出し領域について示す。図11(a)では全領域(第1の領域)を読み出している(第1のモード)が、高速フレームレートに切り替えた図11(b)では一部の領域しか読み出していない状態(第2のモード)である。そのため、高速フレームレートに切り替えている期間はライブビュー表示を全領域で行うことはできず、その期間は表示のブラックアウトや一部領域のみ更新したりすることになる。ここで、高速フレームレートに切り替わっていることにより、コントラスト評価値を早い周期で取得できるためコントラストAFの処理時間の短縮が可能となる。
【0061】
ステップS903では、撮影制御回路202は、レンズ駆動回路206を制御して所定量のレンズ駆動を行い、コントラスト評価値を取得し、ステップS904でコントラスト評価値がピークとなっているかどうかを判定する。最大となっていない場合はコントラスト評価値がピークとなるまでステップS903とステップS904を繰り返す。コントラストピークが検出された場合はステップS905に進む。
【0062】
ステップS905では、撮影制御回路202は、コントラスト評価値がピークとなっているレンズ位置へレンズ駆動を行うようレンズ駆動回路206を制御し、ステップS906に進む。
【0063】
ステップS906では、撮影制御回路202は、AFが終了したため高速フレームレートをライブビューの通常フレームレートに戻し、全領域の表示を行う。
【0064】
一方、ステップS901でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれていると判定し、ステップS907に進んだ場合は、前述した焦点検出画素の2つの像信号の相関演算で得られるデフォーカス量からデフォーカスの方向を取得しステップS908に進む。
【0065】
ここで、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれている場合は、デフォーカス量とデフォーカスの方向(焦点検出結果)があらかじめ分かっている状態でコントラストAFを行うため、高速フレームレートに切り替えなくても高速なAFを行うことが可能である。また、メインミラーを103をアップさせた状態で焦点検出を行うことができるため、ライブビュー表示がブラックアウトしたり、一部領域のみ更新するといったことは生じない。
【0066】
ステップS908では、撮影制御回路202は、レンズ駆動回路206を制御してS907で取得したデフォーカス方向へレンズを駆動し、S908でコントラスト評価値がピークとなっているかどうかを判定する。最大となっていない場合はコントラスト評価値がピークとなるまでステップS908とステップS909を繰り返す。コントラストピークが検出された場合はステップS910に進む。
【0067】
ステップS910では、撮影制御回路202は、コントラスト評価値がピークとなっているレンズ位置へレンズ駆動を行うようレンズ駆動回路206を制御し、AF動作を終了する。
【0068】
本実施例によれば、AF枠位置に焦点検出用画素が含まれている場合は、高速フレームレートに切り替えないので、ライブビュー表示を行いながら撮影を行うことが出来る。この場合、センサ一体型位相差検出方式によるAFを行うことでAFを高速化することができる。一方、AF枠位置に焦点検出用画素が含まれていない場合は、高速フレームレートに切り替えるので、コントラスト検出方式によるAFをより高速に行うことが出来る。
【0069】
以上説明したように、本実施例では、焦点検出用画素が一部に配置された撮像素子を有する撮像装置において、AF枠位置に焦点検出用画素が含まれているか否かを判定することによって最適なAF方法を選択し、AF処理時間を短縮することが可能となる。
【実施例2】
【0070】
以下、図12示すフローチャートを用いて、本発明の第2の実施例のライブビューモードにおけるカメラの動作について説明する。なお、基本的な構成は実施例1と同じなので、以下では異なる部分を説明する。
【0071】
図12のステップS1201では、撮影制御回路202は、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれるかどうかを判定し、含まれていなければ、ステップS1202に進む。この場合の動作は実施例1のステップS902〜S906の動作と同じになるため、説明は省略する。
【0072】
ステップS1201で、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれていると判定した場合は、ステップS1207に進む。ステップS1207では、撮影制御回路202は、焦点検出画素から取得したデフォーカス量の信頼度がある閾値より高いか否かを判定する。
【0073】
ここで、デフォーカス量の信頼度に関しては、定量化するのに様々な方式が提案されているが、本実施例においては、A像とB像の像信号の形状の一致度が高いほど信頼性が高いと判定する。ここでは、全部でn個(複数個)の光電変換素子により構成されるラインセンサによりAF後に得られるA像及びB像の像信号をそれぞれAi,Bi(i=1,2,3,…,n)とする。信頼度Rは、
【0074】
【数1】
【0075】
により算出される。A像の像信号とB像の像信号の一致度が高いほどRの値は小さくなるため、実際の信頼性は、Rの値が小さいほど高くなる。
【0076】
ステップS1207において、信頼度Rがある閾値Rthより小さい場合(第1の場合)、デフォーカス量および方向は信頼性が高いとしてステップS1208に進む。一方、信頼度Rがある閾値Rthより大きい場合(第2の場合)、デフォーカス量および方向は信頼性が低いとしてステップS1202に進む。
【0077】
ステップS1208に進んだ場合、ステップS1208〜S1211の動作は実施例1のステップS907〜S910の動作と同じになるため、説明は省略する。
【0078】
以上説明したように、本実施例では、AF枠位置に焦点検出用画素が含まれている場合において、デフォーカス量の信頼性が高い(Rが閾値より小さい)場合(Rが閾値より小さい)のみセンサ一体型位相差検出方式によるAFを行う。そのため、信頼性が低い(Rが閾値より大きい)場合に誤った方向へレンズ駆動するのを防ぐことが可能となる。また、信頼性が低い場合は、高速フレームレートに切り替えてコントラスト検出方式によるAFを行うため、AF処理時間を短縮することが可能となる。
【実施例3】
【0079】
以下、本発明の第3の実施例のカメラの動作について説明する。基本的な動作は実施例1および実施例2と同様であるが、本実施例ではフレームレート切り替えをAF枠領域の画像の輝度に応じて切り替えるか否かを判定する。
【0080】
本実施例のフローチャートを図13に示す。ステップS1301では、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いか否かを判定し、ある閾値より高いと判定したらステップS1302に進み高速フレームレートへの切り替えを行い、閾値より高いと判定しなかった場合フレームレート切り替えは行わない。
【0081】
高速フレームレートに切り替えると、撮像素子の最長蓄積時間が短くなり、低輝度の場合に露出アンダー画像になってしまう。その結果、画像のコントラスト評価値が低くなり、正確に合焦できなくなる可能性が高くなってしまう。本実施例では、ある一定輝度以上の場合のみフレームレートを切り替えるようにすることで、合焦精度の低下を防ぐことができる。
【0082】
以上のようなフレームレート切り替え制御を実施例1に適用する場合、図9のステップS901でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれないと判定したら(ステップ901でNO)、図13のステップS1301に進むようにする。ここで、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いと判定した場合、ステップ902〜S906の処理を行う。一方、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いと判定しなかった場合、ステップS902のフレームレート切替えは行わずにステップS903〜S905の処理を行う。この場合、フレームレートを高速に切り替えていないので、ステップS906のフレームレート切り替えも行わない。
【0083】
また、上記フレームレート切り替え制御を実施例2に適用する場合、図12のステップS1201でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれないと判定したら(ステップ1201でNO)、図13のステップS1301に進むようにする。ここで、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いと判定した場合、ステップ1202〜S1206の処理を行う。一方、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いと判定しなかった場合、ステップS1202のフレームレート切替えは行わずにステップS1203〜S1205の処理を行う。この場合、フレームレートを高速に切り替えていないので、ステップS1206のフレームレート切り替えも行わない。
【実施例4】
【0084】
以下、本発明の第4の実施例のカメラの動作について説明する。基本的な動作は実施例1および実施例2と同様であるが、本実施例ではフレームレート切り替えを装着された交換レンズに応じて切り替えるか否かを判定する。
【0085】
本実施例のフローチャートを図14に示す。ステップS1401では、装着された交換レンズが高速に駆動することが可能なレンズかどうかを、交換レンズ102から取得した情報により判定する。高速に駆動可能なレンズであると判定した場合はステップS1302に進みフレームレート切り替えを行い、高速に駆動可能なレンズでないと判定した場合、フレームレート切り替えは行わない。
【0086】
高速フレームレートに切り替えると、その期間はスルー画像表示のブラックアウトや一部領域のみ更新したりすることになる。高速に駆動可能なレンズである場合は、合焦までの時間が短くなるため、表示されない期間も短くて済む。しかし、高速に駆動可能ではないレンズの場合は高速フレームレートでも合焦までの時間が長くなってしまう。そのため、画像が表示されない期間が長くなってしまうため、ユーザがAF動作中の被写体の変化を知ることができなくなる。それに対して、本実施例では、装着レンズが高速に駆動可能ではない場合はフレームレート切り替えを行わず、スルー画像表示が更新されるようにしている。
【0087】
以上のようなフレームレート切り替え制御を実施例1に適用する場合、図9のステップS901でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれないと判定したら(ステップ901でNO)、図14のステップS1401に進むようにする。ここで、高速に駆動可能なレンズであると判定した場合、ステップ902〜S906の処理を行う。一方、高速に駆動可能なレンズでないと判定した場合、ステップS902のフレームレート切替えは行わずにステップS903〜S905の処理を行う。この場合、フレームレートを高速に切り替えていないので、ステップS906のフレームレート切り替えも行わない。
【0088】
また、上記フレームレート切り替え制御を実施例2に適用する場合、図12のステップS1201でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれないと判定したら(ステップ1201でNO)、図14のステップS1401に進むようにする。ここで、高速に駆動可能なレンズであると判定した場合、ステップ1202〜S1206の処理を行う。一方、高速に駆動可能なレンズでないと判定した場合、ステップS1202のフレームレート切替えは行わずにステップS1203〜S1205の処理を行う。この場合、フレームレートを高速に切り替えていないので、ステップS1206のフレームレート切り替えも行わない。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
101 カメラ本体
102 交換レンズ
105 AFセンサ
108 撮像素子
117 表示素子
119 撮影光学系
202 撮影制御回路
208 信号処理回路
SA 焦点検出画素
SB 焦点検出画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に関し、特に自動焦点検出(AF)を行う撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOSセンサといった固体撮像素子を有する撮像装置には、ライブビュー機能を有するものがある。ライブビュー機能とは、撮像素子から連続的に読み出された画像信号を、カメラの背面などに設置された液晶ディスプレイなどの表示装置に順次出力することによって、被写体像の確認を行うことができる機能である。また、撮像装置の自動焦点検出・調節方法で撮影レンズを通過した光束を用いる一般的な方式として、コントラスト検出方式(ぼけ方式と呼ばれる)と位相差検出方式(ずれ方式と呼ばれる)とがある。
【0003】
コントラスト検出方式は動画撮影用ビデオムービー機器(カムコーダー)や電子スチルカメラで多く用いられる方式で、撮像素子が焦点検出用センサとして用いられるものである。撮像素子の出力信号、特に高周波成分の情報(コントラスト情報)に基づいて評価値を生成し、その評価値が最も大きくなる撮影レンズの位置を合焦位置とする方式である。コントラスト検出方式のうち山登り方式と呼ばれる手法においては、撮影レンズを微少量動かしながら評価値を求め、その評価値が結果的に最大であったとわかるまで撮影レンズを動かすことが必要である。そのため、高速なAF動作には不向きとされている。
【0004】
また、コントラスト検出方式によるAF動作中に撮像素子の一部の領域の画素のみを読み出すことにより、フレームレートを上げて高速なAFを行う方法がある(特許文献1)。
【0005】
一方、位相差検出方式は、一眼レフカメラに多く用いられる技術である。位相差検出方式では、撮影レンズの射出瞳を通過した光束を2分割し、2分割した光束を一対の焦点検出用センサによりそれぞれ受光する。そして、その受光量に応じて出力される信号のずれ量、すなわち、光束の分割方向の相対的位置ずれ量を検出することで撮影レンズのピント方向のずれ量を直接求めるものである。従って、焦点検出用センサにより一度蓄積動作を行えばピントずれの量と方向が得られ、高速な焦点調節動作が可能となっている。但し、撮影レンズの射出瞳を通過した光束を2分割し、それぞれの光束に対応する信号を得るためには、撮像光路中にクイックリターンミラーやハーフミラー等の光路分割手段を設け、その先に焦点検出用光学系とAFセンサを設けるのが一般的である。そのため、装置が大型、かつ高価となる欠点がある。また、ライブビューを行う際は、通常クイックリターンミラーが退避しているため、位相差検出方式による焦点検出を行うことができないといった問題もある。
【0006】
上記問題を解決するために、撮像素子に位相差検出機能を付与し、専用のAFセンサを不要とし、かつ高速の位相差AFを実現するための技術が提案されている。例えば、特許文献2では、撮像素子の一部の受光素子(画素)において、オンチップマイクロレンズの光軸に対して受光部の感度領域を偏心させることで瞳分割機能を付与している。そしてこれらの画素を焦点検出用画素とし、撮像用画素群の間に所定の間隔で配置することで、位相差式焦点検出を行う。また、焦点検出用画素が配置された箇所は撮像画素の欠損部に相当するため、周辺の撮像画素情報から補間して画像情報を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−72254号公報
【特許文献2】特開2000−156823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述の特許文献1に開示された従来技術では、AF動作中に撮像素子の一部の領域しか読み出していないため、被写体のスルー画像が表示できなくなる。そのため表示がブラックアウトしたり、一部領域が更新されなくなってしまい、ユーザがAF動作中のスルー画像を確認できない。
【0009】
また、上述の特許文献2に開示された従来技術では、焦点検出用画素が配置された箇所は周辺の撮影画素情報から補間して画像情報を創生する処理に時間がかかるため、焦点検出用画素は撮像素子の一部にしか配置できない。
【0010】
本発明の目的は、焦点検出用画素が配置された撮像素子を有する撮像装置において、AF枠位置に応じて最適なAF方法を選択し、スルー画像への影響を抑えつつAF処理時間を短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、撮像光学系を備えた交換レンズを着脱可能な撮像装置であって、撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素、及び、前記撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段と、前記焦点検出画素からの信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第1の焦点検出手段と、前記撮像手段からの信号の高周波成分に基づいて焦点信号を算出し、該焦点信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第2の焦点検出手段と、前記撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、前記第1の領域より狭い領域について前記第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える制御手段とを有し、撮像画面内に設定された焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれていない場合、前記制御手段により前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、前記焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれている場合、前記制御手段により前記第1のモードに設定するとともに、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行うことを特徴とする。
【0012】
第2の本発明は、撮像光学系を備えた交換レンズを着脱可能で、撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素及び前記撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、前記焦点検出画素からの信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第1の焦点検出ステップと、前記撮像手段からの信号の高周波成分に基づいて焦点信号を算出し、該焦点信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第2の焦点検出ステップと、前記撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、前記第1の領域より狭い領域について前記第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える制御ステップとを有し、撮像画面内に設定された焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれていない場合、前記制御ステップにより前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行い、前記焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれている場合、前記制御ステップにより前記第1のモードに設定するとともに、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、焦点検出用画素が配置された撮像素子を有する撮像装置において、AF枠位置に応じて最適なAF方法を選択し、スルー画像への影響を抑えつつAF処理時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1であるカメラの断面図。
【図2】撮像素子における撮像画素の配置を示す正面図と断面図。
【図3】撮像素子における焦点検出画素の配置を示す正面図と断面図。
【図4】撮像素子における撮像画素及び焦点検出画素の配置例を示す正面図。
【図5】撮像素子における撮像画素及び焦点検出画素の他の配置例を示す正面図。
【図6】実施例1のカメラに用いられる撮像素子における撮像画素及び焦点検出画素の配置を示す正面図。
【図7】実施例1のカメラにおける焦点検出画素の出力を平均化する処理を説明する図。
【図8】実施例1のカメラの電気的構成を示すブロック図。
【図9】実施例1のカメラの動作を示すフローチャート。
【図10】実施例1のカメラにおける焦点検出画素の配置領域とAF枠の位置関係を示す図。
【図11】実施例1のカメラにおけるフレームレート切り替えによる読み出し領域の変化を示す図。
【図12】実施例2のカメラの動作を示すフローチャート。
【図13】実施例3のカメラの動作を示すフローチャート。
【図14】実施例4のカメラの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
図1には、本発明の撮像装置としての一眼レフデジタルカメラの構成を示している。図1(a)は光学ファインダモードの状態を、(b)はライブビューモード及び記録用画像の撮像動作時の状態を示している。図1において、カメラ本体101の前面には、撮像光学系を備えた交換レンズ102が着脱可能に装着される。カメラ本体101と交換レンズ102は、マウント接点群112を介して電気的に接続される。交換レンズ102の中には、撮影光学系として、撮影レンズ群119と、絞り113が設けられている。撮影レンズ群119は、図1では1枚のレンズで図示されているが、実際には複数のレンズから構成される。また、撮影レンズ群119には、焦点調節を行うためのフォーカスレンズが含まれる。絞り113は、カメラ本体101内に取り込む光量を調節することができる。
【0017】
メインミラー103は、ハーフミラーにより構成されている。メインミラー103は、光学ファインダモードでは、撮影光学系からの光路(以下、撮像光路という)上に斜めに配置され、撮影光学系からの光束の一部を反射してファインダ光学系に導く。また、光学ファインダモードでは、メインミラー103を透過した光束は、メインミラー103の背後に配置されたサブミラー104で反射されてAFセンサ105へと導かれる。ライブビューモードでは、メインミラー103及びサブミラー104は、撮像光路外に退避する。
【0018】
AFセンサ105は、後述する撮像素子とは別体として設けられ、センサ別体型位相差検出方式のAFを実現するための受光素子である。AFセンサ105は、サブミラー104を介した撮影光学系からの光束を2分割し、該分割された2つの光束に2像を形成させる二次結像レンズ(図示せず)を含む。また、AFセンサ105は、該2像を光電変換する対のラインセンサ(以下、ラインセンサ対という)を含む。各ラインセンサは、複数の光電変換素子が一列に並べられることで構成されている。ラインセンサ対は、2像を光電変換して該2像に対応する2つの像信号を出力する。
【0019】
2つの像信号は、図8にて後述する撮影制御回路202に送られる。撮影制御回路202は、2つの像信号に対して相関演算を行い、該2つの像信号のずれ量(方向を含む)としての位相差(以下、AFセンサ位相差という)を算出する。そして、撮影制御回路202は、該AFセンサ位相差に基づいて、撮影光学系の焦点状態を示すデフォーカス量(方向を含む)を算出する。なお、実際には、ラインセンサ対は1つだけでなく、撮像画面内に複数設けられた焦点検出領域に対応するよう複数設けられている。複数の焦点検出領域のうち、撮影制御回路202により自動的に又は撮影者により選択された1つの焦点検出領域に対応するラインセンサ対からの2つの像信号に基づいて上記デフォーカス量が算出される。この場合、AFセンサ105及び撮影制御回路202は第3の焦点検出手段として機能する。
【0020】
撮影制御回路202は、該デフォーカス量に基づいて、交換レンズ102内のフォーカスレンズの合焦状態を得るための駆動量(方向を含む)を算出する。フォーカスレンズを該駆動量だけ移動させることで、光学ファインダモードにおいて、センサ別体型位相差検出方式のAF(フォーカス制御)による合焦状態が得られる。
【0021】
撮像素子108は、CCDセンサやCMOSセンサ等により構成される。撮像素子108の前面には、ローパスフィルタ106と、フォーカルプレーンシャッタ107が設けられている。
【0022】
背景技術で説明したように、コントラスト検出方式のAFは、撮像素子108の出力信号の高周波成分の情報(コントラスト情報)に基づいてAFを行う方法である。撮影制御回路202は、撮像素子108の出力信号の高周波成分の情報を用いて評価値(焦点信号)を生成し、その評価値が最も大きくなるフォーカスレンズの位置を合焦位置とする。この場合、撮影制御回路202は第2の焦点検出手段として機能する。
【0023】
ピント板109は、撮影光学系の予定結像面に配置されている。ペンタプリズム110は、ファインダ光路を変更するための部材である。撮影者はアイピース114を通してピント板109を見ることによって、被写体を観察することができる。ピント板109、ペンタプリズム110及びアイピース114によってファインダ光学系が構成される。
【0024】
AEセンサ111は、ペンタプリズム110からの光束の一部を用いて測光を行う。
【0025】
レリーズボタン115は、半押し(第1ストローク)操作及び全押し(第2ストローク)操作が可能である。レリーズボタン115が半押し操作されると、AEやAF等の撮像準備処理が行われ、全押し操作されると、撮像素子108が露光されて記録用画像を取得するための撮像処理が行われる。以下の説明では、レリーズボタン115が半押し操作されることをSW1−ONといい、全押し操作されることをSW2−ONという。
【0026】
ライブビュー開始/終了ボタン116は、操作されるごとに、光学ファインダモードとライブビューモードとが切り替えるためのボタンである。光学ファインダモードでは、図1(a)のようにメインミラー103が下がった状態で、前述したようにAFセンサ105を用いてセンサ別体型位相差検出方式のAFが行われる。一方、ライブビューモードでは、図1(b)のようにメインミラー103が上がった状態で、撮影光学系からの光束がダイレクトに撮像素子108に導かれる。そして、撮像素子108からの出力信号に基づいて生成されたライブビュー画像(画像データ)がカメラ本体101の背面に設けられた液晶ディスプレイ等の表示素子117に表示される。これにより、撮影者はファインダ光学系を介さずに被写体を観察することができる。
【0027】
ライブビューモードでは、撮影光学系からの光束はAFセンサ105には導かれない。しかし、後述するように、撮像素子108の一部の画素からの出力信号を用いた位相差検出方式(以下、センサ一体型位相差検出方式という)によるAFを行うことができる。
【0028】
センサ一体型位相差検出方式によるAFについて説明する。本実施例では、撮像素子108は、撮影光学系からの光束により形成された被写体像を光電変換して、ライブビュー画像や記録用画像を生成するために用いられる撮像信号を出力する撮像画素群を有する。また、撮像素子108は、撮影光学系からの光束のうち、後述する瞳分割機能によって2分割された光束により形成された2像を光電変換する焦点検出画素群を有する。
【0029】
図2を用いて撮像画素群と焦点検出画素群について説明する。図2(a)は、2行×2列の撮像画素群を示している。本実施例では、撮像素子108として、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の原色カラーフィルタがベイヤー配列された2次元単板CMOSカラーイメージセンサが用いられている。ベイヤー配列では2行×2列の4画素のうち対角方向にG画素が配置され、他の2画素としてRとBの画素が配置される。撮像素子108の全体にこの2行×2列の画素配置が繰り返されている。
【0030】
図2(a)に示した撮像画素の断面A−Aを図2(b)に示す。MLは各画素の前面に配置されたマイクロレンズであり、CFRはRのカラーフィルタ、CFGはGのカラーフィルタである。PDは、CMOSセンサの光電変換部を模式的に示している。CLは、CMOSセンサ内の各種信号を伝達する信号線を形成するための配線層である。TLは、撮像光学系を模式的に示している。
【0031】
撮像画素のマイクロレンズMLと光電変換部PDは、撮像光学系TLを通過した光束を可能な限り有効に取り込むように構成されている。すなわち、撮像光学系TLの射出瞳EPと光電変換部PDとはマイクロレンズMLにより共役関係に置かれ、かつ光電変換部PDの有効面積が大きく設定されている。
【0032】
また、図2(b)では、R画素への入射光束を示しているが、G画素及びB画素へも同様に撮像光学系TLを通過した光束が入射する。したがって、RGBの各撮像画素に対応した射出瞳EPの径は大きくなり、被写体からの光束を効率良く取り込むことができる。これにより、ライブビュー画像や記録用画像を生成するために用いられる撮像信号のS/Nを向上させることができる。
【0033】
図3(a)は、水平方向(横方向)に撮像光学系の瞳分割を行う焦点検出画素群を含む2行×2列の画素群の平面図である。G画素は、輝度情報の主成分となるG撮像信号を出力する。人間の画像認識特性は輝度情報に敏感であるため、G画素が欠損すると画質劣化が認められやすい。逆に、R、B画素は、主として色情報を取得する画素であるが、人間は色情報には鈍感であるため、色情報を取得する画素に多少の欠損が生じても画質劣化が認識されにくい。このため、本実施例では、図2(a)に示した2行×2列の撮像画素のうち、G画素は撮像画素として残し、RとBの画素の一部を焦点検出画素に置き換えている。図3(a)において、焦点検出画素をSA,SBで示す。
【0034】
図3(a)に示した焦点検出画素の断面B−Bを図3(b)に示す。焦点検出画素におけるマイクロレンズMLと光電変換部PDは、図2(b)に示した撮像画素のマイクロレンズMLと光電変換部PDと同じである。
【0035】
本実施例では、焦点検出画素からの画素信号は、ライブビュー画像や記録用画像を生成するためには用いないため、焦点検出画素にはカラーフィルタの代わりに、透明膜CFW(White)が配置されている。また、焦点検出画素に瞳分割機能を持たせるために、配線層CLの開口部(以下、絞り開口部という)OPHA、OPHBが、マイクロレンズMLの中心線に対して一方向に偏って配置されている。
【0036】
具体的には、焦点検出画素SAにおいては、絞り開口部OPHAは右側に偏って配置されており、撮像光学系TLの射出瞳のうち左側の射出瞳領域EPHAを通過した光束を受光する。一方、焦点検出画素SBの絞り開口部OPHBは左側(つまりは絞り開口部OPHAとは逆側)に偏って配置されており、撮像光学系TLの射出瞳のうち右側の射出瞳領域EPHBを通過した光束を受光する。これにより、焦点検出画素SA及びSBは、同一被写体の2像を受光し、これらを光電変換することができる。
【0037】
複数の焦点検出画素SAを水平方向に規則的に配列し、該2像のうちこれらの焦点検出画素群SA上に形成される一方の像をA像とする。また、複数の焦点検出画素群SBを水平方向に規則的に配列し、該2像のうちこれらの焦点検出画素群SB上に形成される他方の像をB像とする。焦点検出画素群SAとSBによってA像とB像を光電変換し、撮影制御回路202は、該焦点検出画素群SA及びSBから出力される像信号のずれ量(方向を含む)としての位相差(以下、焦点検出画素位相差という)を算出する。そして、該焦点検出画素位相差に基づいて、撮影光学系の焦点状態を示すデフォーカス量(方向を含む)を求めることができる。この場合、撮影制御回路202は第1の焦点検出手段として機能する。
【0038】
垂直方向(縦方向)でのA像とB像の位相差を検出する場合には、焦点検出画素SAの絞り開口部OPHAを上側に、焦点検出画素SBの絞り開口部OPHBを下側にそれぞれ偏らせて配置すればよい。つまり、図3(a)に示した焦点検出画素SAおよびSBを90度回転させ配置すればよい。
【0039】
図4には、撮像素子上での撮像画素群及び焦点検出用画素群の配置例を示している。本実施例のカメラでは、ライブビューモードにおいて表示素子117に画像を表示するフレームレートを高くするため、H(水平)方向及びV(垂直)方向のそれぞれでの読み出し画素数が各方向の全画素の1/3になるように間引きされる。図中にG、R、Bを付した撮像画素は、間引きされたときに画素信号が読み出される画素である。記号の書かれていない白抜き画素は、間引きされたときには画素信号が読み出されない画素であるが、これらの画素の画素信号も全画素読み出し(例えば、記録用画像の取得時)には読み出される。
【0040】
また、焦点検出画素群SA及びSBは、このように間引きされた状態でも画素信号が読み出せるように、撮像画素の間引き周期にかからないように配置されている。焦点検出画素群SA、SBが画像生成に使用されないことを考慮して、本実施例では、焦点検出画素群SA及びSBを、H及びV方向に間隔を空けて離散的に配置している。また、焦点検出画素群SA及びSBによる画像上での画素欠損(つまりは画像の劣化)が目立ちにくくなるように、焦点検出画素はG画素の位置に配置しないことが望ましい。
【0041】
本実施例では、図4中に太い黒枠で示された間引き時の4行×列の4画素(間引きしない場合の画素配置では、12行×12列の画素)を含む1ブロック内に、一対の焦点検出画素SA、SBを配置している。図中のBLOC_H(i,j)はブロック名を表している。また、4×4ブロックが1つの画素ユニットとして扱われる。
【0042】
1つの画素ユニットにおいて、X方向にて同一位置にあり、Y方向に位置が異なるブロックでは、焦点検出画素SA、SBを水平方向に間引き時にて1画素(間引きしない場合は3画素)ごとにシフトさせている。これを図中に矢印で示している。これは、離散的に配置された焦点検出画素群のサンプリング特性を改善するためである。すなわち、焦点検出画素SA,SBはX方向に瞳分割された画素であるため、X方向にはサンプリングが密になるようにシフト量を1画素単位で行っている。また、同様の理由から、Y方向にて同一位置にあり、X方向にて位置が異なるブロックでは、焦点検出画素SA,SBを垂直方向に間引き時にて1画素(間引きしない場合は3画素)ごとにシフトさせている。
【0043】
そして、複数の画素ユニットが撮像素子の全面における複数の焦点検出領域に対応する位置に配置される。前述したように選択された焦点検出領域に対応する焦点検出画素SA及びSBからの画素信号(つまりは2つの像信号)を読み出す。なお、図4は水平方向における像信号を取得してAFに用いる場合の例であるが、垂直方向における像信号を取得する場合は、図4での水平及び垂直方向を転置した図5に示すような画素配置とすればよい。
【0044】
さらに、焦点検出画素を、図4に示した配置と図5に示した配置とを組み合わせた市松状に配置すると、図6に示すような配置となり、水平方向と垂直方向でそれぞれ像信号を得ることができる。
【0045】
なお、実際のAF演算においては、図7に示すように、1つの画素ユニット内の複数の焦点検出画素を1つの画素として扱い、該複数の焦点検出画素からの画素信号を加算平均することによって該1つの画素からの出力のS/N比を向上させることができる。図7の例では、2つの焦点検出画素からの画素信号を平均化して1つの画素としての出力を得る場合を示しているが、平均化する焦点検出画素数は任意である。本実施例の撮像素子108は、図6に示す画素配置を持ち、センサ一体型位相差検出方式によるAFを行うことができる。
【0046】
以上説明したように、本実施例のカメラでは、光学ファインダモードではセンサ別体型位相差検出方式によるAFを行い、ライブビューモードではセンサ一体型位相差検出方式によるAFを行うことができる。
【0047】
次に、本実施例のカメラにおける電気的構成について、図8を用いて説明する。なお、図1に示した構成要素には、図8に同符号を用いて示している。
【0048】
図8において、撮影光学系から入射した光束は、絞り113を通過してメインミラー103に到達する。図8では、サブミラー104の図示を省略している。メインミラー103は、入射光束を反射光束と透過光束とに分離してそれぞれをAEセンサ111及びAFセンサ105に導く光学ファインダモードと、メインミラー103(及びサブミラー104)を撮像光路外に退避させるライブビューモードとで切り替えられる。
【0049】
ライブビューモードにおいては、シャッタ107を開く。このため、入射光束はそのまま撮像素子108に到達する。撮像素子108から出力されたアナログ撮像信号は、A/D変換器207によりデジタル信号に変換されて画像生成手段としての信号処理回路208に入力される。信号処理回路208は、撮像信号に対して各種信号処理を行うことでカラー画像信号を生成する。カラー画像信号は表示回路209に所定の周期で送られる。これにより、図1に示した表示素子117に、ライブビュー画像(動画像)が表示される。
【0050】
なお、撮像時には、SW2−ONに応じて、ライブビューモードと同様にして(但し、ライブビュー画像よりも多い画素数で)生成された記録用画像(静止画像)としてのカラー画像信号が記録回路210に送られる。これにより、記録用画像が不図示の記録媒体(半導体メモリ、光ディスク等)に記録される。また、記録用画像としてのカラー画像信号は、表示回路209を介して表示素子117に所定時間の間、表示される。
【0051】
ライブビューモードでは、信号処理回路208は、撮像信号に対してコントラスト評価値を算出し撮影制御回路202に送る。撮影制御回路202は、レンズ駆動回路206を介して交換レンズ102に含まれるフォーカスレンズを駆動しながらコントラスト評価値がピークとなる位置を探し、ピーク値となるレンズ位置にフォーカスレンズを駆動する。
【0052】
また、ライブビューモードにおいて、信号処理回路208は、撮像素子108上の焦点検出画素群により得られた2つの像信号を撮影制御回路202に送る。撮影制御回路202は、焦点検出画素群からの2つの像信号に対して相関演算を行い、該2つの像信号の焦点検出画素位相差を算出する。そして、撮影制御回路202は、該焦点検出画素位相差に基づいて、フォーカスレンズのデフォーカス量を算出し、該デフォーカス量に基づいて、レンズ駆動回路206を介してフォーカスレンズを駆動する。
【0053】
光学ファインダモードでは、AEセンサ111は測光信号を撮影制御回路202に送る。また、AFセンサ105は、ラインセンサ対により得られた2つの像信号を撮影制御回路202に送る。
【0054】
撮影制御回路202は、AEセンサ111から得られた測光信号に基づいて、撮像動作時における絞り113の開口径やシャッタスピードを決定する。撮影制御回路202は、撮像時には、SW2−ONに応じて、絞り駆動回路205及びシャッタ(SH)駆動回路203を介して絞り113とシャッタ107を、決定した開口径やシャッタスピードに基づいて制御する。なお、絞り駆動回路205は、交換レンズ102内に設けられている。
【0055】
また、光学ファインダモードにおいて、撮影制御回路202は、SW1−ONに応じて、前述したようにAFセンサ105からの2つの像信号に対して相関演算を行い、該2つの像信号のAFセンサ位相差を算出する。そして、撮影制御回路202は、該AFセンサ位相差に基づいてフォーカスレンズのデフォーカス量を算出し、該デフォーカス量に基づいて、レンズ駆動回路206を介してフォーカスレンズを駆動する。なお、レンズ駆動回路206は、交換レンズ102に設けられている。
【0056】
また、撮影制御回路202は、第1の焦点情報算出手段、第2の焦点情報算出手段、補正値算出手段及び制御手段として機能する。
【0057】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、本実施例のライブビューモードにおけるカメラの動作について説明する。該動作は、撮影制御回路202に格納されたコンピュータプログラムに従って実行される。
【0058】
ステップS901では、撮影制御回路202は、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれるかどうかを判定し、含まれていなければステップS902に進む。
【0059】
図10は、焦点検出画素の配置について示しており、ライブビューの撮像領域の水平方向に50%、垂直方向に50%の幅に焦点検出画素が配置されている場合を示している。図10(a)は、AF枠が中央にあり、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれている。一方、図10(b)のようにAF枠が周辺にある場合は焦点検出画素が含まれていない。
【0060】
ステップS902では、撮影制御回路202は、フレームレートの切り替えを行う。例えば60fpsで駆動している状態から120fpsに切り替えを行う。その際、高速フレームレートに切り替えると読み出し時間が間に合わず、全領域の画像を読み出せず一部の領域のみを読み出すことになる。その場合はAF枠の位置を含むようにして読み出しを行う。図11にフレームレートを切り替えた際の読み出し領域について示す。図11(a)では全領域(第1の領域)を読み出している(第1のモード)が、高速フレームレートに切り替えた図11(b)では一部の領域しか読み出していない状態(第2のモード)である。そのため、高速フレームレートに切り替えている期間はライブビュー表示を全領域で行うことはできず、その期間は表示のブラックアウトや一部領域のみ更新したりすることになる。ここで、高速フレームレートに切り替わっていることにより、コントラスト評価値を早い周期で取得できるためコントラストAFの処理時間の短縮が可能となる。
【0061】
ステップS903では、撮影制御回路202は、レンズ駆動回路206を制御して所定量のレンズ駆動を行い、コントラスト評価値を取得し、ステップS904でコントラスト評価値がピークとなっているかどうかを判定する。最大となっていない場合はコントラスト評価値がピークとなるまでステップS903とステップS904を繰り返す。コントラストピークが検出された場合はステップS905に進む。
【0062】
ステップS905では、撮影制御回路202は、コントラスト評価値がピークとなっているレンズ位置へレンズ駆動を行うようレンズ駆動回路206を制御し、ステップS906に進む。
【0063】
ステップS906では、撮影制御回路202は、AFが終了したため高速フレームレートをライブビューの通常フレームレートに戻し、全領域の表示を行う。
【0064】
一方、ステップS901でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれていると判定し、ステップS907に進んだ場合は、前述した焦点検出画素の2つの像信号の相関演算で得られるデフォーカス量からデフォーカスの方向を取得しステップS908に進む。
【0065】
ここで、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれている場合は、デフォーカス量とデフォーカスの方向(焦点検出結果)があらかじめ分かっている状態でコントラストAFを行うため、高速フレームレートに切り替えなくても高速なAFを行うことが可能である。また、メインミラーを103をアップさせた状態で焦点検出を行うことができるため、ライブビュー表示がブラックアウトしたり、一部領域のみ更新するといったことは生じない。
【0066】
ステップS908では、撮影制御回路202は、レンズ駆動回路206を制御してS907で取得したデフォーカス方向へレンズを駆動し、S908でコントラスト評価値がピークとなっているかどうかを判定する。最大となっていない場合はコントラスト評価値がピークとなるまでステップS908とステップS909を繰り返す。コントラストピークが検出された場合はステップS910に進む。
【0067】
ステップS910では、撮影制御回路202は、コントラスト評価値がピークとなっているレンズ位置へレンズ駆動を行うようレンズ駆動回路206を制御し、AF動作を終了する。
【0068】
本実施例によれば、AF枠位置に焦点検出用画素が含まれている場合は、高速フレームレートに切り替えないので、ライブビュー表示を行いながら撮影を行うことが出来る。この場合、センサ一体型位相差検出方式によるAFを行うことでAFを高速化することができる。一方、AF枠位置に焦点検出用画素が含まれていない場合は、高速フレームレートに切り替えるので、コントラスト検出方式によるAFをより高速に行うことが出来る。
【0069】
以上説明したように、本実施例では、焦点検出用画素が一部に配置された撮像素子を有する撮像装置において、AF枠位置に焦点検出用画素が含まれているか否かを判定することによって最適なAF方法を選択し、AF処理時間を短縮することが可能となる。
【実施例2】
【0070】
以下、図12示すフローチャートを用いて、本発明の第2の実施例のライブビューモードにおけるカメラの動作について説明する。なお、基本的な構成は実施例1と同じなので、以下では異なる部分を説明する。
【0071】
図12のステップS1201では、撮影制御回路202は、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれるかどうかを判定し、含まれていなければ、ステップS1202に進む。この場合の動作は実施例1のステップS902〜S906の動作と同じになるため、説明は省略する。
【0072】
ステップS1201で、AF枠の位置に焦点検出画素が含まれていると判定した場合は、ステップS1207に進む。ステップS1207では、撮影制御回路202は、焦点検出画素から取得したデフォーカス量の信頼度がある閾値より高いか否かを判定する。
【0073】
ここで、デフォーカス量の信頼度に関しては、定量化するのに様々な方式が提案されているが、本実施例においては、A像とB像の像信号の形状の一致度が高いほど信頼性が高いと判定する。ここでは、全部でn個(複数個)の光電変換素子により構成されるラインセンサによりAF後に得られるA像及びB像の像信号をそれぞれAi,Bi(i=1,2,3,…,n)とする。信頼度Rは、
【0074】
【数1】
【0075】
により算出される。A像の像信号とB像の像信号の一致度が高いほどRの値は小さくなるため、実際の信頼性は、Rの値が小さいほど高くなる。
【0076】
ステップS1207において、信頼度Rがある閾値Rthより小さい場合(第1の場合)、デフォーカス量および方向は信頼性が高いとしてステップS1208に進む。一方、信頼度Rがある閾値Rthより大きい場合(第2の場合)、デフォーカス量および方向は信頼性が低いとしてステップS1202に進む。
【0077】
ステップS1208に進んだ場合、ステップS1208〜S1211の動作は実施例1のステップS907〜S910の動作と同じになるため、説明は省略する。
【0078】
以上説明したように、本実施例では、AF枠位置に焦点検出用画素が含まれている場合において、デフォーカス量の信頼性が高い(Rが閾値より小さい)場合(Rが閾値より小さい)のみセンサ一体型位相差検出方式によるAFを行う。そのため、信頼性が低い(Rが閾値より大きい)場合に誤った方向へレンズ駆動するのを防ぐことが可能となる。また、信頼性が低い場合は、高速フレームレートに切り替えてコントラスト検出方式によるAFを行うため、AF処理時間を短縮することが可能となる。
【実施例3】
【0079】
以下、本発明の第3の実施例のカメラの動作について説明する。基本的な動作は実施例1および実施例2と同様であるが、本実施例ではフレームレート切り替えをAF枠領域の画像の輝度に応じて切り替えるか否かを判定する。
【0080】
本実施例のフローチャートを図13に示す。ステップS1301では、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いか否かを判定し、ある閾値より高いと判定したらステップS1302に進み高速フレームレートへの切り替えを行い、閾値より高いと判定しなかった場合フレームレート切り替えは行わない。
【0081】
高速フレームレートに切り替えると、撮像素子の最長蓄積時間が短くなり、低輝度の場合に露出アンダー画像になってしまう。その結果、画像のコントラスト評価値が低くなり、正確に合焦できなくなる可能性が高くなってしまう。本実施例では、ある一定輝度以上の場合のみフレームレートを切り替えるようにすることで、合焦精度の低下を防ぐことができる。
【0082】
以上のようなフレームレート切り替え制御を実施例1に適用する場合、図9のステップS901でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれないと判定したら(ステップ901でNO)、図13のステップS1301に進むようにする。ここで、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いと判定した場合、ステップ902〜S906の処理を行う。一方、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いと判定しなかった場合、ステップS902のフレームレート切替えは行わずにステップS903〜S905の処理を行う。この場合、フレームレートを高速に切り替えていないので、ステップS906のフレームレート切り替えも行わない。
【0083】
また、上記フレームレート切り替え制御を実施例2に適用する場合、図12のステップS1201でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれないと判定したら(ステップ1201でNO)、図13のステップS1301に進むようにする。ここで、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いと判定した場合、ステップ1202〜S1206の処理を行う。一方、AF枠領域の画像の輝度が閾値より高いと判定しなかった場合、ステップS1202のフレームレート切替えは行わずにステップS1203〜S1205の処理を行う。この場合、フレームレートを高速に切り替えていないので、ステップS1206のフレームレート切り替えも行わない。
【実施例4】
【0084】
以下、本発明の第4の実施例のカメラの動作について説明する。基本的な動作は実施例1および実施例2と同様であるが、本実施例ではフレームレート切り替えを装着された交換レンズに応じて切り替えるか否かを判定する。
【0085】
本実施例のフローチャートを図14に示す。ステップS1401では、装着された交換レンズが高速に駆動することが可能なレンズかどうかを、交換レンズ102から取得した情報により判定する。高速に駆動可能なレンズであると判定した場合はステップS1302に進みフレームレート切り替えを行い、高速に駆動可能なレンズでないと判定した場合、フレームレート切り替えは行わない。
【0086】
高速フレームレートに切り替えると、その期間はスルー画像表示のブラックアウトや一部領域のみ更新したりすることになる。高速に駆動可能なレンズである場合は、合焦までの時間が短くなるため、表示されない期間も短くて済む。しかし、高速に駆動可能ではないレンズの場合は高速フレームレートでも合焦までの時間が長くなってしまう。そのため、画像が表示されない期間が長くなってしまうため、ユーザがAF動作中の被写体の変化を知ることができなくなる。それに対して、本実施例では、装着レンズが高速に駆動可能ではない場合はフレームレート切り替えを行わず、スルー画像表示が更新されるようにしている。
【0087】
以上のようなフレームレート切り替え制御を実施例1に適用する場合、図9のステップS901でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれないと判定したら(ステップ901でNO)、図14のステップS1401に進むようにする。ここで、高速に駆動可能なレンズであると判定した場合、ステップ902〜S906の処理を行う。一方、高速に駆動可能なレンズでないと判定した場合、ステップS902のフレームレート切替えは行わずにステップS903〜S905の処理を行う。この場合、フレームレートを高速に切り替えていないので、ステップS906のフレームレート切り替えも行わない。
【0088】
また、上記フレームレート切り替え制御を実施例2に適用する場合、図12のステップS1201でAF枠の位置に焦点検出画素が含まれないと判定したら(ステップ1201でNO)、図14のステップS1401に進むようにする。ここで、高速に駆動可能なレンズであると判定した場合、ステップ1202〜S1206の処理を行う。一方、高速に駆動可能なレンズでないと判定した場合、ステップS1202のフレームレート切替えは行わずにステップS1203〜S1205の処理を行う。この場合、フレームレートを高速に切り替えていないので、ステップS1206のフレームレート切り替えも行わない。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
101 カメラ本体
102 交換レンズ
105 AFセンサ
108 撮像素子
117 表示素子
119 撮影光学系
202 撮影制御回路
208 信号処理回路
SA 焦点検出画素
SB 焦点検出画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系を備えた交換レンズを着脱可能な撮像装置であって、
撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素、及び、前記撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段と、
前記焦点検出画素からの信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第1の焦点検出手段と、
前記撮像手段からの信号の高周波成分に基づいて焦点信号を算出し、該焦点信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第2の焦点検出手段と、
前記撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、前記第1の領域より狭い領域について前記第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える制御手段とを有し、
撮像画面内に設定された焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれていない場合、前記制御手段により前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、
前記焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれている場合、前記制御手段により前記第1のモードに設定するとともに、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果の信頼性が第1の場合より低い第2の場合、前記制御手段により前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果の信頼性が前記第1の場合、前記制御手段により前記第1のモードに設定するとともに、前記第1の焦点検出手段による焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記焦点検出領域に対応する画像データの輝度に基づいて前記第1のモードと前記第2のモードの切り替えを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、装着された交換レンズが高速に駆動可能なレンズであるかどうかの情報に基づいて前記第1のモードと前記第2のモードの切り替えを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像手段からの信号に基づく画像データを表示する表示手段をさらに有し、
前記表示手段に画像データを表示した状態で撮影を行う場合、前記制御手段は、前記第2のモードに設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像光学系を備えた交換レンズを着脱可能で、撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素及び前記撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、
前記焦点検出画素からの信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第1の焦点検出ステップと、
前記撮像手段からの信号の高周波成分に基づいて焦点信号を算出し、該焦点信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第2の焦点検出ステップと、
前記撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、前記第1の領域より狭い領域について前記第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える制御ステップとを有し、
撮像画面内に設定された焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれていない場合、前記制御ステップにより前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行い、
前記焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれている場合、前記制御ステップにより前記第1のモードに設定するとともに、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行うことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項1】
撮像光学系を備えた交換レンズを着脱可能な撮像装置であって、
撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素、及び、前記撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段と、
前記焦点検出画素からの信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第1の焦点検出手段と、
前記撮像手段からの信号の高周波成分に基づいて焦点信号を算出し、該焦点信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第2の焦点検出手段と、
前記撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、前記第1の領域より狭い領域について前記第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える制御手段とを有し、
撮像画面内に設定された焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれていない場合、前記制御手段により前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、
前記焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれている場合、前記制御手段により前記第1のモードに設定するとともに、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果の信頼性が第1の場合より低い第2の場合、前記制御手段により前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行い、前記第1の焦点検出手段による焦点検出結果の信頼性が前記第1の場合、前記制御手段により前記第1のモードに設定するとともに、前記第1の焦点検出手段による焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出手段による焦点検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記焦点検出領域に対応する画像データの輝度に基づいて前記第1のモードと前記第2のモードの切り替えを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、装着された交換レンズが高速に駆動可能なレンズであるかどうかの情報に基づいて前記第1のモードと前記第2のモードの切り替えを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像手段からの信号に基づく画像データを表示する表示手段をさらに有し、
前記表示手段に画像データを表示した状態で撮影を行う場合、前記制御手段は、前記第2のモードに設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像光学系を備えた交換レンズを着脱可能で、撮像光学系からの光を光電変換して被写体像を生成する撮像画素及び前記撮影光学系の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する焦点検出画素を備えた撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、
前記焦点検出画素からの信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第1の焦点検出ステップと、
前記撮像手段からの信号の高周波成分に基づいて焦点信号を算出し、該焦点信号に基づいて前記撮像光学系の焦点検出を行う第2の焦点検出ステップと、
前記撮像手段の第1の領域について読み出しを行う第1のモードと、前記第1の領域より狭い領域について前記第1のモードより高速に読み出しを行う第2のモードとを切り替える制御ステップとを有し、
撮像画面内に設定された焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれていない場合、前記制御ステップにより前記第2のモードに設定して、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行い、
前記焦点検出領域に前記焦点検出画素が含まれている場合、前記制御ステップにより前記第1のモードに設定するとともに、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行い、当該焦点検出結果に基づいて、前記第2の焦点検出ステップによる焦点検出を行うことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−113857(P2013−113857A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256745(P2011−256745)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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