撮像装置及び撮像方法
【課題】簡素な構成、構造を有し、1台の撮像装置によって被写体を立体画像として撮像し得る撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、第1偏光手段130;レンズ系20;第2偏光手段150を有する撮像素子アレイ40を具備し、第1偏光手段130は、第1の方向に沿って配列された第1領域131及び第2領域132を有し、第2偏光手段150は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域151及び第4領域152を有し、第1領域131を通過した第1領域通過光は第3領域151を通過して撮像素子に到達し、第2領域132を通過した第2領域通過光は第4領域152を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域131の重心点BC1と第2領域132の重心点BC2との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【解決手段】撮像装置は、第1偏光手段130;レンズ系20;第2偏光手段150を有する撮像素子アレイ40を具備し、第1偏光手段130は、第1の方向に沿って配列された第1領域131及び第2領域132を有し、第2偏光手段150は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域151及び第4領域152を有し、第1領域131を通過した第1領域通過光は第3領域151を通過して撮像素子に到達し、第2領域132を通過した第2領域通過光は第4領域152を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域131の重心点BC1と第2領域132の重心点BC2との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び撮像方法に関し、より具体的には、被写体を立体画像として撮像する撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共通の被写体を左右に配置した2台のビデオカメラによって同時に撮像し、得られた2種類の画像(右眼用画像及び左眼用画像)を同時に出力することによって立体画像を表示するシステムが提案されている。しかしながら、このような2台のビデオカメラを用いた場合、装置が大型化してしまい、実用的ではない。また、2台のビデオカメラの間の基線長(ベースライン)、即ち、立体カメラとしての両眼間距離は、レンズのズーム比に拘わらず、人間の両眼の距離に相当する65mm程度とされることが多い。そして、このような場合、ズームアップされた画像においては両眼視差が大きくなってしまい、観察者の視覚系に日常と異なる情報処理を強制することになり、視覚疲労の原因となる。また、移動する被写体を2台のビデオカメラで撮像することは、2台のビデオカメラの精密な同期制御を必要とし、非常に困難であるし、輻輳角の正確な制御もまた、非常に困難である。
【0003】
立体撮影を行うためのレンズ系の調整を容易にするために、互いに直交関係となるように偏光させる偏光フィルタを組み合わせることによって、光学系を共通化させる立体撮影装置が提案されている(例えば、特公平6−054991号公報参照)。
【0004】
また、2つのレンズと1つの撮像手段から構成された撮像装置で立体撮影を行う方式が提案されている(例えば、特開2004−309868参照)。この特許公開公報に開示された撮像装置は、
所定数の走査線の整数倍に相当する画素が撮像面に設けられた撮像手段と、
被写体からの第1の映像光における水平成分だけを透過する第1の水平成分偏光手段と、
上記第1の水平成分偏光手段とは所定距離だけ離隔された位置に配置され、上記被写体からの第2の映像光における垂直成分だけを透過する第1の垂直成分偏光手段、
とを具え、
上記第1の水平成分偏光手段により透過した上記水平成分を上記撮像面における所定範囲の画素に集光させ、
上記第1の垂直成分偏光手段によって透過された上記垂直成分を上記所定範囲を除く残余範囲の画素に集光させる。具体的には、CCDの撮像面に対して所定距離だけ離れた位置に、人間の視差に応じた間隔だけ離間して配置された水平成分偏光フィルタ及び垂直成分偏光フィルタが、2つのレンズと共に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−054991号公報
【特許文献2】特開2004−309868
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特公平6−054991号に開示された技術にあっては、2つの偏光フィルタの出力を重ねて光路を一系統とすることによって、レンズ系を共通化させている。しかしながら、後段で右眼用画像及び左眼用画像を抽出するために更に偏光フィルタを設け、光路自体を再度分けて別々の偏光フィルタに入光させなければならず、レンズ系において光の損失が発生し、また、装置の小型化が困難であるなどの問題がある。特開2004−309868に開示された技術にあっては、レンズ及び偏光フィルタの組合せを2組、必要とし、装置の複雑化、大型化が免れない。また、これらの撮像装置を用いて、立体画像を撮影するだけでなく、通常の2次元画像を撮影することは、装置が複雑になり、現実的ではない。
【0007】
従って、本開示の目的は、簡素な構成、構造を有し、1台の撮像装置によって被写体を立体画像として撮像し得る撮像装置、及び、係る撮像装置を用いた撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る撮像装置は、
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る撮像方法は、上記の本開示の第1の態様に係る撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第2領域通過光によって、左眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する。尚、これらの電気信号を、同時に出力してもよいし、時系列に交互に出力してもよい。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る撮像装置は、
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【0011】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る撮像方法は、上記の本開示の第2の態様に係る撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る撮像装置あるいは撮像方法においては、1組の第1偏光手段及び第2偏光手段並びに1つのレンズ系から撮像装置が構成されているので、単眼で、簡素な構成、構造を有する、小型の撮像装置を提供することができる。また、レンズ及び偏光フィルタの組合せを2組、必要としないので、ズーム、絞り部、フォーカス、輻輳角等にズレや差異が生じることもない。しかも、両眼視差の基線長さが比較的短いので、自然な立体感を得ることができる。更には、第1偏光手段の脱着によって、容易に、2次元画像及び3次元画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例1の撮像装置の概念図、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の撮像装置において、第1偏光手段における第1領域及び第2偏光手段における第3領域を通過し、撮像素子アレイに到達する光の概念図、及び、第1偏光手段における第2領域及び第2偏光手段における第4領域を通過し、撮像素子アレイに到達する光の概念図であり、図2の(C)及び(D)は、図2の(A)及び(B)に示した光によって撮像素子アレイに結像した画像を模式的に示す図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の撮像装置における撮像素子の模式的な一部断面図、及び、ワイヤグリッド偏光子の配列状態を模式的に示す図である。
【図4】図4は、実施例1の撮像装置におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図5】図5は、撮像素子から得られた電気信号に対するデモザイク処理を行い、信号値を得る画像処理を説明するためのベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例2の撮像装置に備えられた第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図7】図7は、実施例2の撮像装置におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図8】図8の(A)〜(D)は、実施例3の撮像装置に備えられた第1偏光手段の模式図である。
【図9】図9は、実施例4の撮像装置の概念図である。
【図10】図10の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例5の撮像装置の概念図、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図11】図11の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例7において、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤのピッチと入射光の波長と消光比の関係、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの高さと入射光の波長と消光比の関係、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの(幅/ピッチ)と入射光の波長と消光比の関係を求めた結果を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例7において、ワイヤグリッド偏光子を構成する2本のワイヤの長さと入射光の波長と消光比の関係を求めた結果を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例8の撮像装置におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図14】図14は、実施例8の撮像装置の変形例1におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図15】図15の(A)、(B)、(C)及び(D)は、それぞれ、実施例9の撮像装置の概念図、四分の一波長板の概念図、第1偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図、及び、偏光手段(第2偏光手段)における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図16】図16の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例9の撮像装置における四分の一波長板の概念図、第1偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図、偏光手段(第2偏光手段)における偏光の状態を模式的に示す図であり、図16の(D)及び(E)は、実施例10の撮像装置における四分の一波長板の概念図である。
【図17】図17の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例11の撮像装置の概念図、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図18】図18の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例12及び実施例13におけるレンズ系等の模式的な一部断面図である。
【図19】図19の(A)及び(B)は、それぞれ、撮像素子の変形例の模式的な一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様〜第2の態様に係る撮像装置及び撮像方法、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様に係る撮像装置及び撮像方法)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の別の変形)
6.実施例5(実施例1の別の変形)
7.実施例6(実施例1の別の変形)
8.実施例7(実施例1の別の変形)
9.実施例8(実施例1の別の変形)
10.実施例9(実施例1の別の変形)
11.実施例10(実施例9の変形)
12.実施例11(本開示の第2の態様に係る撮像装置及び撮像方法)
13.実施例12(実施例1〜実施例11の変形)
14.実施例13(実施例12の変形)、その他
【0015】
[本開示の第1の態様〜第2の態様に係る撮像装置及び撮像方法、全般に関する説明]
以下の説明において、本開示の第1の態様に係る撮像装置あるいは本開示の第1の態様に係る撮像方法での使用に適した撮像装置を、総称して、『本開示の第1の態様に係る撮像装置等』と呼び、本開示の第2の態様に係る撮像装置あるいは本開示の第2の態様に係る撮像方法での使用に適した撮像装置を、総称して、『本開示の第2の態様に係る撮像装置等』と呼び、本開示の第1の態様及び第2の態様に係る撮像装置あるいは本開示の第1の態様及び第2の態様に係る本開示の撮像方法での使用に適した撮像装置を、総称して、『本開示の撮像装置等』と呼ぶ場合がある。
【0016】
本開示の撮像装置等において、第1偏光手段はレンズ系の絞り部近傍に配置されている形態とすることが好ましい。あるいは又、レンズ系に入射した光が、一旦、平行光とされ、最終的に撮像素子上に集光(結像)されるとき、平行光の状態にあるレンズ系の部分に第1偏光手段を配置する形態とすることが好ましい。これらの形態にあっては、一般に、レンズ系の光学系を新たに設計し直す必要はなく、既存のレンズ系に第1偏光手段を、固定して、あるいは又、脱着自在に取り付けられるように、機械的(物理的)な設計変更を施せばよい。尚、レンズ系に第1偏光手段を脱着自在に取り付けるには、例えば、第1偏光手段をレンズの絞り羽根に類似した構成、構造とし、レンズ系内に配置すればよい。あるいは又、レンズ系において、第1偏光手段と開口部とが併設された部材を、レンズ系の光軸と平行な回動軸を中心として回動可能にこの回動軸に取り付け、係る部材を回動軸を中心として回動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、第1偏光手段を通過する構成、構造を挙げることができる。あるいは又、レンズ系において、第1偏光手段と開口部とが併設された部材を、例えばレンズ系の光軸と直交する方向に滑動自在にレンズ系に取り付け、係る部材を滑動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、第1偏光手段を通過する構成、構造を挙げることができ、この場合、第1偏光手段と開口部とが併設された部材は、1つの部材から構成されていてもよいし、複数の部材片から構成されていてもよい。
【0017】
あるいは又、レンズ系を、1つの単焦点レンズ、及び、単焦点レンズの前面あるいは前方(物体側)に配置された絞り部から構成し、即ち、前絞り型の単焦点レンズから構成し、第1偏光手段はレンズ系の絞り部近傍に配置されている形態とすることが好ましい。そして、第1偏光手段は、レンズ系に脱着自在に取り付けられていることが望ましい。また、1つの単焦点レンズは、例えば、撮像レンズ群から成る構成とすることができるし、1つの単焦点レンズは、全体として撮像素子アレイに対して前後に移動可能であり、これによってオートフォーカス機能を発現するものであることが望ましい。更には、第1偏光手段と1つの単焦点レンズとの間の最短距離は0.6mm以下、好ましくは、0.05mm乃至0.6mmであることが望ましい。
【0018】
上記の好ましい形態を含む本開示の撮像装置等にあっては、第1偏光手段において、第1領域と第2領域との間に中央領域が設けられており、中央領域を通過した中央領域通過光の偏光状態は、中央領域入射前と変化しない形態とすることができる。即ち、中央領域は、偏光に関して素通し状態とすることができる。第1偏光手段の中央領域にあっては、光強度が強いが、視差量は少ない。従って、このような形態とすることで、撮像素子アレイが受ける光強度を大きくしながら、十分な長さの両眼視差の基線長さを確保することが可能となる。第1偏光手段の外形形状を円形としたとき、中央領域を円形とし、第1領域及び第2領域を、中央領域を囲む中心角180度の扇形とすることができるし、中央領域を正方形や菱形とし、第1領域及び第2領域を、中央領域を囲む中心角180度の扇形に類似した形状とすることができる。あるいは又、第1領域、中央領域及び第2領域を、第2の方向に沿って延びる帯状の形状とすることができる。
【0019】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の撮像装置等において、第1領域及び第2領域は偏光子から成り、第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している構成とすることができる。そして、このような構成を含む本開示の撮像装置等において、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行である構成とすることができるし、あるいは又、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す構成とすることができるし、あるいは又、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と任意の角度(β)を成す構成とすることができる。更には、これらの構成の任意の組合せを含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である構成とすることができるし、これらの構成の任意の組合せを含む本開示の第2の態様に係る撮像装置等において、第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行である構成とすることができる。更には、これらの構成の任意の組合せを含む本開示の撮像装置等において、偏光子の消光比は、3以上、好ましくは10以上であることが望ましい。
【0020】
ここで、『偏光状態』とは、電場及び磁場が特定の方向にのみ振動する光の状態を指し、『非偏光状態』とは、光の偏光に規則性が無く、直交している電場成分の位相関係が無秩序な光の状態をを指す。また、『偏光子』とは、自然光(非偏光)や円偏光から直線偏光を作り出すものを指し、第1領域及び第2領域を構成する偏光子、それ自体は、周知の構成、構造の偏光子(偏光板)とすればよい。また、例えば、第1領域通過光及び第2領域通過光の一方の偏光成分を主としてS波(TE波)とし、第1領域通過光及び第2領域通過光の他方の偏光成分を主としてP波(TM波)とすればよい。第1領域通過光及び第2領域通過光の偏光状態は、直線偏光であってもよいし、円偏光(但し、回転方向が相互に逆の関係にある)であってもよい。一般に、振動方向が或る特定の向きだけの横波を偏光した波と呼び、この振動方向を偏光方向あるいは偏光軸と呼ぶ。光の電場の向きは偏光方向と一致する。消光比とは、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と平行である構成とする場合、第1領域にあっては、第1領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向である光の成分と電場の向きが第2の方向である光の成分の割合であり、第2領域にあっては、第2領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第2の方向である光の成分と電場の向きが第1の方向である光の成分の割合である。また、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と45度の角度を成す構成とする場合、第1領域にあっては、第1領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向と45度の角度を成す光の成分と135度の角度を成す光の成分の割合であり、第2領域にあっては、第2領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向と135度の角度を成す光の成分と45度の角度を成す光の成分の割合である。また、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と任意の角度(β)を成す構成とする場合、第1領域にあっては、第1領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向とβ度の角度を成す光の成分と(β+90)度の角度を成す光の成分の割合であり、第2領域にあっては、第2領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向と(β+90)度の角度を成す光の成分とβ度の角度を成す光の成分の割合である。あるいは又、例えば、第1領域通過光の偏光成分が主としてP波であり、第2領域通過光の偏光成分が主としてS波である場合、第1領域にあっては、第1領域通過光に含まれるP偏光成分とS偏光成分の割合であり、第2領域にあっては、第2領域通過光に含まれるS偏光成分とP偏光成分の割合である。
【0021】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、撮像素子は、光電変換素子、並びに、その上あるいは上方に、カラーフィルタ、オンチップレンズ、及び、ワイヤグリッド偏光子が積層されて成り、ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する形態とすることができる。あるいは又、撮像素子は、光電変換素子、並びに、その上あるいは上方に、ワイヤグリッド偏光子、カラーフィルタ、及び、オンチップレンズが積層されて成り、ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する形態とすることができる。あるいは又、撮像素子は、光電変換素子、並びに、その上あるいは上方に、オンチップレンズ、カラーフィルタ、及び、ワイヤグリッド偏光子が積層されて成り、ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する形態とすることができる。但し、オンチップレンズ、カラーフィルタ、及び、ワイヤグリッド偏光子の積層順は、適宜、変更することができる。そして、これらの形態にあっては、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と平行である構成とする場合、ワイヤグリッド偏光子を構成する複数のワイヤの延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と平行である形態とすることができる。具体的には、第3領域を構成するワイヤグリッド偏光子にあっては、ワイヤの延びる方向は第2の方向と平行であり、第4領域を構成するワイヤグリッド偏光子にあっては、ワイヤの延びる方向は第1の方向と平行である。あるいは又、これらの形態にあっては、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と45度の角度を成す構成とする場合、ワイヤグリッド偏光子を構成する複数のワイヤの延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と45度を成す形態とすることができる。具体的には、第3領域を構成するワイヤグリッド偏光子にあっては、ワイヤの延びる方向は第1の方向と135度の角度を成し、第4領域を構成するワイヤグリッド偏光子にあっては、ワイヤの延びる方向は第1の方向と45度の角度を成す。ワイヤの延びる方向がワイヤグリッド偏光子における光吸収軸となり、ワイヤの延びる方向と直交する方向がワイヤグリッド偏光子における光透過軸となる。以上の説明は、基本的に、本開示の第2の態様に係る撮像装置に対しても、第4領域に関する説明を除き、適用することができる。
【0022】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、所謂視野闘争の発生を回避するために、第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板(λ/4波長板)が配置されていることが望ましい。四分の一波長板を、常時、配置してもよいし、所望に応じて配置してもよい。具体的には、四分の一波長板を、レンズ系に設けられたフィルタ取付部に着脱自在に取り付ければよい。ここで、視野闘争とは、例えば、P波成分は反射するがS波成分は吸収する水面や窓等の被写体を撮像するとき、P波成分から得られた画像とS波成分から得られた画像を両眼へ提示したとき、融像が起こらず、一方の画像だけが優越して交互に見えたり、重なった領域で互いに抑制しあったりする現象を指す。四分の一波長板を通過した光は偏光方向が揃った状態となり、このような光が第1領域及び第3領域を通過して撮像素子アレイに到達して得られた画像と、第2領域及び第4領域を通過して撮像素子アレイに到達して得られた画像との間であって、P波成分は反射するがS波成分は吸収する被写体の部分の画像の間に、大きな相違が生じなくなり、視野闘争の発生を回避することができる。尚、四分の一波長板速軸は、第1領域通過光の電場の向きと45度の角度あるいは45度±10度の角度を成すことが好ましい。
【0023】
あるいは又、上述したように、本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、第1領域及び第2領域は偏光子から成り、第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交しており、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行である構成、あるいは又、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す構成にあっては、
第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されており、
四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成す形態とすることができるし、あるいは又、
四分の一波長板は、第1の方向あるいは第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成り、
第1の四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成し、
第2の四分の一波長板の速軸は、第1の四分の一波長板の速軸と直交している(云い換えれば、第1の四分の一波長板の遅軸と平行である)形態とすることができ、これらの形態において、所定の角度は45度あるいは45度±10度である形態とすることができ、更には、これらの形態にあっては、
第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である形態とすることができる。更には、これらの形態において、
第1偏光手段はレンズ系に脱着自在に取り付けられており、
四分の一波長板はレンズ系に脱着自在に取り付けられている形態とすることができる。そして、更には、これらの形態において、四分の一波長板は第1偏光手段に隣接して、例えば第1偏光手段の光入射側に配設されている形態とすることができる。
【0024】
尚、四分の一波長板をレンズ系に脱着自在に取り付けるには、例えば、四分の一波長板をレンズの絞り羽根に類似した構成、構造とし、レンズ系内に配置すればよい。あるいは又、レンズ系において、四分の一波長板と開口部とが併設された部材を、レンズ系の光軸と平行な回動軸を中心として回動可能にこの回動軸に取り付け、係る部材を回動軸を中心として回動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、四分の一波長板を通過する構成、構造を挙げることができる。あるいは又、レンズ系において、四分の一波長板と開口部とが併設された部材を、例えばレンズ系の光軸と直交する方向に滑動自在にレンズ系に取り付け、係る部材を滑動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、四分の一波長板を通過する構成、構造を挙げることができる。尚、この場合、四分の一波長板を複数の部材から構成し、各部材をレンズ系の光軸と直交する方向に滑動自在とする構成を採用してもよい。
【0025】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、所謂視野闘争の発生を回避するために、
第1偏光手段の光入射側には、α度の偏光軸を有する偏光板が配置されており、
第1領域は第1波長板から成り、第2領域は第2波長板から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している構成とすることができる。そして、この場合、具体的には、
αの値は45度であり、
第1波長板は半波長板(+λ/2波長板)から成り、
第2波長板は、第1波長板を構成する半波長板とは位相差の異なる半波長板(−λ/2波長板)から成る構成とすることができる。尚、この場合、α度の偏光軸を有する偏光板はレンズ系に固定しておく。
【0026】
本開示の第2の態様に係る撮像方法にあっては、第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号(便宜上、『第1電気信号』と呼ぶ場合がある)を撮像素子において生成し、第4領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号(便宜上、『第2電気信号』と呼ぶ場合がある)を撮像素子において生成するが、撮像装置にあっては、第1電気信号及び第2電気信号に基づき得られた、右眼用及び左眼用の画像データ(あるいは、左眼用及び右眼用の画像データ)において輝度調整を行い、右眼用画像の輝度と左眼用画像の輝度を最適化することが望ましい。
【0027】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、撮像素子アレイはベイヤ配列を有し、1画素は4つの撮像素子から構成されており、1画素に対して、1つの第3領域及び/又は第4領域が配されている形態とすることができる。また、このような形態を含む以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、第1の方向に沿ってN個の画素(但し、例えば、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する形態とすることもできる。但し、撮像素子アレイの配列は、ベイヤ配列に限定されず、その他、インターライン配列、GストライプRB市松配列、GストライプRB完全市松配列、市松補色配列、ストライプ配列、斜めストライプ配列、原色色差配列、フィールド色差順次配列、フレーム色差順次配列、MOS型配列、改良MOS型配列、フレームインターリーブ配列、フィールドインターリーブ配列を挙げることができる。以上の説明は、基本的に、本開示の第2の態様に係る撮像装置に対しても適用することができる。
【0028】
また、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置等を用いた本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る撮像方法においては、第1の方向に沿ってN個の画素(但し、例えば、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する構成とすることができ、この場合、第3領域を通過した第1領域通過光によって得られる電気信号、及び、第4領域を通過した第2領域通過光によって得られる電気信号(本開示の第1の態様に係る撮像方法)、あるいは、第4領域を通過した第1領域通過光及び第2領域通過光によって得られる電気信号(本開示の第2の態様に係る撮像方法)から生成されたデプスマップ(奥行き情報)、並びに、撮像素子アレイを構成する全撮像素子からの電気信号に基づき、右眼用画像を得るための画像データ(右眼用画像データ)、及び、左眼用画像を得るための画像データ(左眼用画像データ)を得る構成とすることができる。
【0029】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置等にあっては、撮像素子アレイの配列をベイヤ配列としたとき、赤色を受光する赤色撮像素子及び青色を受光する青色撮像素子には第3領域及び第4領域を配置せず、緑色を受光する2つの緑色撮像素子の一方に第3領域を配し、他方に第4領域を配してもよい。あるいは又、撮像素子アレイの配列をベイヤ配列としたとき、赤色を受光する1つ赤色撮像素子、青色を受光する1つの青色撮像素子、及び、緑色を受光する2つの緑色撮像素子の内の第1の方向に隣接する2つの撮像素子(例えば、赤色を受光する赤色撮像素子及び緑色を受光する一方の緑色撮像素子)には第3領域あるいは第4領域を配し、残りの2つの撮像素子(例えば、青色を受光する青色撮像素子及び緑色を受光する他方の緑色撮像素子)には第4領域あるいは第3領域を配してもよい。あるいは又、撮像素子アレイの配列をベイヤ配列としたとき、赤色を受光する1つ赤色撮像素子、青色を受光する1つの青色撮像素子、及び、緑色を受光する2つの緑色撮像素子の内のいずれか1つの撮像素子(例えば、赤色を受光する1つ赤色撮像素子あるいは青色を受光する1つの青色撮像素子)には第3領域あるいは第4領域を配し、この撮像素子に第1の方向に隣接する撮像素子(例えば、緑色撮像素子)には第4領域あるいは第3領域を配してもよい。尚、これらの場合にも、第2の方向に沿ってN個の画素に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する構成とすることができるし、第1の方向に沿ってM個の画素に対して1つの第3領域あるいは1つの第4領域を配する構成とすることができる。以上の説明は、基本的に、本開示の第2の態様に係る撮像装置に対しても適用することができる。
【0030】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る撮像装置あるいは本開示の撮像方法(以下、これらを総称して、単に、『本開示』と呼ぶ場合がある)において、第1の方向を水平方向、第2の方向を垂直方向とすることができる。第2の方向に沿った第3領域及び第4領域の単位長さは、例えば、撮像素子の第2の方向に沿った長さと等しくすればよく(第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と平行である場合)、あるいは又、1撮像素子分の長さと等しくすればよい(第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と45度の角度を成す場合)。レンズ系は、単焦点レンズとしてもよいし、所謂ズームレンズとしてもよく、レンズやレンズ系の構成、構造は、レンズ系に要求される仕様に基づき決定すればよい。撮像素子として、CCDセンサー、CMOSセンサー、CMD(Charge Modulation Device)型の信号増幅型イメージセンサーを挙げることができる。また、撮像装置として、表面照射型の固体撮像装置あるいは裏面照射型の固体撮像装置を挙げることができる。更には、第1の態様あるいは第2の態様に係る撮像装置から、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダ、所謂カメラ付きの携帯電話を構成することができる。
【0031】
本開示の第1の態様に係る撮像装置等において第3領域及び第4領域をワイヤグリッド偏光子から構成する場合、あるいは又、本開示の第2の態様に係る撮像装置等において第3領域をワイヤグリッド偏光子から構成する場合、
ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤは、限定するものではないが、アルミニウム(Al)あるいはアルミニウム合金から成り、
ワイヤの幅とワイヤのピッチとの比[(ワイヤの幅)/(ワイヤのピッチ)]の値は0.33以上であり、
ワイヤの高さは5×10-8m以上であり、
ワイヤは10本以上である構成とすることが好ましい。
【0032】
本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、第1領域の重心点とは、第1領域の外形形状に基づき求められた重心点を指し、第2領域の重心点とは、第2領域の外形形状に基づき求められた重心点を指す。第1偏光手段の外形形状(入射瞳径)を半径rの円形とし、第1領域及び第2領域を、それぞれ、第1偏光手段の半分を占める半月状としたとき、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離は、簡単な計算から、[(8r)/(3π)]で求めることができる。また、本開示の第2の態様に係る撮像装置等において、第1領域の重心点とは、第1領域の外形形状に基づき求められた重心点を指し、第1偏光手段の重心点とは、第1偏光手段の外形形状(入射瞳径)に基づき求められた重心点を指す。第1偏光手段の外形形状(入射瞳径)を半径rの円形とし、第1領域及び第2領域を、それぞれ、第1偏光手段の半分を占める半月状としたとき、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離は、簡単な計算から、[(4r)/(3π)]で求めることができる。
【実施例1】
【0033】
実施例1は、本開示の第1の態様に係る撮像装置及び撮像方法に関し、より具体的には、被写体を立体画像として撮像する撮像装置及び撮像方法に関する。
【0034】
実施例1の撮像装置の概念図を図1の(A)に示し、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に図1の(B)及び(C)に示し、レンズ系、第1偏光手段における第1領域及び第2偏光手段における第3領域を通過し、撮像素子アレイに到達する光の概念図を図2の(A)に示し、第1偏光手段における第2領域及び第2偏光手段における第4領域を通過し、撮像素子アレイに到達する光の概念図を図2の(B)に示し、図2の(A)及び(B)に示した光によって撮像素子アレイに結像した画像を模式的に図2の(C)及び(D)に示す。尚、以下の説明において、光の進行方向をZ軸方向、第1の方向を水平方向(X軸方向)、第2の方向を垂直方向(Y軸方向)とする。
【0035】
実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例10の撮像装置は、
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段130,230,330,430,530,930、
(B)第1偏光手段130,230,330,430,530,930からの光を集光するレンズ系20、並びに、
(C)第1の方向(水平方向、X軸方向)、及び、第1の方向と直交する第2の方向(垂直方向、Y軸方向)の2次元マトリクス状に撮像素子41が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段150,250を有し、レンズ系20によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ40、
を具備している。
【0036】
そして、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例10の撮像装置において、
第1偏光手段130,230,330,430,530,930は、第1の方向(水平方向、X軸方向)に沿って配列された第1領域131,231,331,531,931及び第2領域132,232,332,532,932を有し、
第1領域131,231,331,531,931を通過した第1領域通過光L1の偏光状態と、第2領域132,232,332,532,932を通過した第2領域通過光L2の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段150,250は、第1の方向(水平方向、X軸方向)に沿って交互に配置され、第2の方向(垂直方向、Y軸方向)に延びる複数の第3領域151,251及び第4領域152,252を有し、
第3領域151,251を通過した第3領域通過光L3の偏光状態と、第4領域152,252を通過した第4領域通過光L4の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光L1は第3領域151,251を通過して撮像素子41に到達し、第2領域通過光L2は第4領域152,252を通過して撮像素子41に到達し、以て、第1領域131,231,331,531,931の重心点BC1と第2領域132,232,332,532,932の重心点BC2との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【0037】
ここで、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例11の撮像装置において、レンズ系20は、例えば、撮影レンズ21、絞り部22及び結像レンズ23を備えており、ズームレンズとして機能する。撮影レンズ21は、被写体からの入射光を集光するためのレンズである。撮影レンズ21は、焦点を合わせるためのフォーカスレンズや、被写体を拡大するためのズームレンズ等を含み、一般に、色収差等を補正するために複数枚のレンズの組合せによって実現されている。絞り部22は、集光された光の量を調整するために絞り込む機能を有するものであり、一般に、複数枚の板状の羽根を組み合わせて構成されている。少なくとも絞り部22の位置において、被写体の1点からの光は平行光となる。結像レンズ23は、第1偏光手段130,230,330,430,530,930,1130を通過した光を撮像素子アレイ40上に結像する。撮像素子アレイ40は、カメラ本体部11の内部に配置されている。以上の構成において、入射瞳は、結像レンズ23よりもカメラ本体部側に位置する。撮像装置から、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダが構成される。
【0038】
カメラ本体部11は、撮像素子アレイ40の他に、例えば、画像処理手段12及び画像記憶部13を備えている。そして、撮像素子アレイ40によって変換された電気信号に基づき右眼用画像データ及び左眼用画像データが形成される。撮像素子アレイ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー等によって実現される。画像処理手段12は、撮像素子アレイ40から出力された電気信号を、右眼用画像データ及び左眼用画像データに変換して、画像記憶部13に記録する。
【0039】
第1偏光手段130,230,330,430,530,930,1130は、レンズ系20の絞り部22の近傍に配置されている。具体的には、第1偏光手段130,230,330,430,530,930,1130は、絞り部22の作動に支障を来さない限り、出来るだけ絞り部22に近い位置に配置されている。尚、第1偏光手段130,230,330,430,530,930,1130は、上述したとおり、レンズ系20に入射した光が、一旦、平行光とされ、最終的に撮像素子41上に集光(結像)されるとき、平行光の状態にあるレンズ系20の部分に配置されている。
【0040】
実施例1の撮像装置110において、第1偏光手段130は第1領域131及び第2領域132から構成されている。具体的には、第1偏光手段130の外形形状は円形であり、第1領域131及び第2領域132は、それぞれ、第1偏光手段130の半分を占める半月状の外形形状を有する。第1領域131と第2領域132との境界線は、第2の方向に沿って延びている。2つの偏光フィルタの組合せから成る第1偏光手段130は、入射した光を2つの異なる偏光状態に分離する。第1偏光手段130は、上述したとおり、左右対称の偏光子から構成されており、カメラの正立状態に対する左右2つの位置において、互いに直交する直線方向の偏光、又は、互いに逆方向となる回転方向の偏光を生成する。第1領域131は、被写体を右眼で見るであろう像(右眼が受けるであろう光)に対して偏光を施すフィルタである。一方、第2領域132は、被写体を左眼で見るであろう像(左眼が受けるであろう光)に対して偏光を施すフィルタである。
【0041】
ここで、実施例1の撮像装置110において、第1領域131及び第2領域132は偏光子から成る。そして、第1領域通過光L1の電場の向き(白抜きの矢印で示す)と第2領域通過光L2の電場の向き(白抜きの矢印で示す)とは直交している(図1の(B)参照)。ここで、実施例1において、第1領域通過光L1の電場の向きは第1の方向と平行である。具体的には、例えば、第1領域通過光L1は主としてP波(TM波)を偏光成分として有し、第2領域通過光L2は主としてS波(TE波)を偏光成分として有する。更には、第1領域通過光L1の電場の向きと第3領域通過光L3の電場の向き(白抜きの矢印で示す)とは平行であり、第2領域通過光L2の電場の向きと第4領域通過光L4の電場の向き(白抜きの矢印で示す)とは平行である(図1の(C)参照)。また、各偏光子の消光比は、3以上、より具体的には10以上である。
【0042】
実施例1の撮像装置110にあっては、第1偏光手段130の外形形状を半径r=10mmの円形とした。そして、第1領域131及び第2領域132を、第1偏光手段130の半分を占める半月状とした。従って、第1領域131の重心点BC1と第2領域132の重心点BC2との間の距離は、[(8r)/(3π)]=8.5mmである。
【0043】
模式的な一部断面図を図3の(A)に示し、ワイヤグリッド偏光子67の配列状態を模式的に図3の(B)に示すように、撮像素子41は、例えば、シリコン半導体基板60に設けられた光電変換素子61、並びに、その上に、第1平坦化膜62、カラーフィルタ63、オンチップレンズ64、第2平坦化膜65、無機絶縁下地層66、及び、ワイヤグリッド偏光子67が積層されて成る。そして、ワイヤグリッド偏光子67が、第3領域151及び第4領域152のそれぞれを構成する。尚、図3の(B)においては、画素の境界領域を実線で示した。ワイヤグリッド偏光子67を構成する複数のワイヤ68の延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と平行である。具体的には、第3領域151を構成するワイヤグリッド偏光子67Aにあっては、ワイヤ68Aの延びる方向は第2の方向と平行であり、第4領域152を構成するワイヤグリッド偏光子67Bにあっては、ワイヤ68Bの延びる方向は第1の方向と平行である。ワイヤ68の延びる方向がワイヤグリッド偏光子67における光吸収軸となり、ワイヤ68の延びる方向と直交する方向がワイヤグリッド偏光子67における光透過軸となる。
【0044】
そして、実施例1の撮像方法にあっては、第3領域151を通過して撮像素子41に到達した第1領域通過光L1によって、右眼用画像データを得るための電気信号を撮像素子41において生成する。また、第4領域152を通過して撮像素子41に到達した第2領域通過光L2によって、左眼用画像データを得るための電気信号を撮像素子41において生成する。そして、これらの電気信号を、同時に、又は、時系列に交互に、出力する。出力された電気信号(撮像素子アレイ40から出力された右眼用画像データ及び左眼用画像データを得るための電気信号)に対して、画像処理手段12によって画像処理が施され、右眼用画像データ及び左眼用画像データとして画像記憶部13に記録される。
【0045】
図2の(A)及び(B)に模式的に示すように、四角い形状の物体Aにレンズ系20のピントが合っているとする。また、丸い形状の物体Bが、物体Aよりもレンズ系20に近く位置しているとする。四角い物体Aの像が、ピントが合った状態で撮像素子アレイ40上に結像する。また、丸い物体B像は、ピントが合っていない状態で撮像素子アレイ40上に結像する。そして、図2の(A)に示す例にあっては、撮像素子アレイ40上では、物体Bは、物体Aの右手側に距離(+ΔX)だけ離れた位置に像を結ぶ。一方、図2の(B)に示す例にあっては、撮像素子アレイ40上では、物体Bは、物体Aの左手側に距離(−ΔX)だけ離れた位置に像を結ぶ。従って、距離(2×ΔX)が物体Bの奥行きに関する情報となる。即ち、物体Aよりも撮像装置に近い側に位置する物体のボケ量及びボケ方向は、撮像装置に遠い側に位置する物体のボケ量及びボケ方向と異なるし、物体Aと物体Bとの距離によって物体Bのボケ量は異なる。そして、第1偏光手段130における第1領域131及び第2領域132の形状の重心位置の間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得ることができる。即ち、このようにして得られた右眼用画像(図2の(C)の模式図参照)及び左眼用画像(図2の(D)の模式図参照)から、周知の方法に基づき立体画像を得ることができる。尚、右眼用画像データと左眼用画像データとを混合すれば、立体画像ではない、通常の2次元(平面)画像を得ることができる。
【0046】
図4に概念図を示すように、実施例1にあっては、撮像素子アレイ40はベイヤ配列を有し、1画素は4つの撮像素子(赤色を受光する1つの赤色撮像素子R、青色を受光する1つの青色撮像素子B、及び、緑色を受光する2つの緑色撮像素子G)から構成されている。そして、第2の方向に延びる1列の画素群に対して第3領域151が配置されており、同様に、この画素群に第1の方向において隣接し、第2の方向に延びる1列の画素群に対して第4領域152が配置されている。第3領域151と第4領域152とは、第1の方向に沿って交互に配置されている。尚、第3領域151及び第4領域152は全体として第2の方向に延びているが、第3領域151及び第4領域152の第1の方向及び第2の方向に沿った単位長さは、撮像素子41の第1の方向及び第2の方向に沿った長さと等しい。そして、このような構成とすることで、主としてP波成分を有する光に基づく第2の方向に延びる帯状の画像(右眼用画像)、及び、主としてS波成分を有する光に基づく第2の方向に延びる帯状の画像(左眼用画像)が、第1の方向に沿って交互に生成される。尚、図4において、第3領域151の内部に縦線を付し、第4領域152の内部に横線を付しているが、これらは、ワイヤグリッド偏光子67A,67Bのワイヤを模式的に表している。
【0047】
右眼用画像データ及び左眼用画像データのための電気信号は、上述したとおり、第1の方向に沿って、一種、歯抜け状態となって生成される。そこで、画像処理手段12は、右眼用画像データ及び左眼用画像データ作成のために、電気信号に対してデモザイク処理を施すと共に、例えば、超解像処理に基づく補間処理を行うことにより、最終的に右眼用画像データ及び左眼用画像データを生成、作成する。また、例えば、左眼用画像データと右眼用画像データからステレオマッチングによりデイスパリティ・マップ(Disparity Map)を作成するといった視差検出技術、及び、デイスパリティ・マップを基に視差を制御する視差制御技術により、視差を強調したり、適切化を図ることもできる。
【0048】
図5に、撮像素子から得られた電気信号に対するデモザイク処理を行い、信号値を得る画像処理(モザイク処理)を説明するためのベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図を示す。尚、図5には、左眼用画像における緑色撮像素子に関する信号値を生成する例について示している。通常のデモザイク処理では、近傍の同一色の撮像素子の電気信号の平均値が用いられるのが一般的である。しかしながら、実施例1のように右眼用画像データを得るための画素群(画素列)と左眼用画像データを得るための画素群(画素列)とが交互に繰り返されている場合、そのまま、近傍の値を用いると本来の画像データが得られなくなる虞がある。そこで、参照される撮像素子の電気信号が右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れに相当するものであるかを考慮した上で、デモザイク処理を行う。
【0049】
ベイヤ配列において、位置(4,2)には赤色撮像素子Rが配置されているものとする。このとき、位置(4,2)に相当する緑色撮像素子信号値g’を生成するためには、次式によって表される演算を行う。
【0050】
g’4,2=(g4,1+g4,3+g5,2+g4,5×W3)/(3.0+W3)
【0051】
ここで、左辺のg’i,jは、位置(i,j)における緑色撮像素子信号値である。また、右辺のgi,jは、位置(i,j)における緑色撮像素子の電気信号の値である。更には、「3.0」は、注目撮像素子G4,2に対する隣接撮像素子G4,1,G4,3,G5,2への距離(W1)をそれぞれ例えば「1.0」としたとき、その逆数を重みとして、それら重みの総和に対応するものである。W3は、同様に、3撮像素子分だけ離れた撮像素子G4,5の電気信号の値に対する重みであり、この場合、「1/3」である。上式を一般化すると、次式のようになる。
【0052】
iが偶数の場合(赤色撮像素子Rの位置に相当する緑色撮像素子Gの信号値);
g’i,j=(gi,j-1×W1+gi,j+1×W1+gi+1,j×W1+gi,j+3×W3)/(W1×3.0+W3)
iが奇数の場合(青色撮像素子Bの位置に相当する緑色撮像素子Gの信号値);
g’i,j=(gi,j-1×W1+gi,j+1×W1+gi-1,j×W1+gi,j-3×W3)/(W1×3.0+W3)
ここで、W1=1.0,W3=1/3である。
【0053】
赤色撮像素子R及び青色撮像素子Bについても、同様の考え方によりデモザイク処理を行うことができる。
【0054】
デモザイク処理により各撮像素子位置における撮像素子信号値を得ることができるが、この段階では、上述したとおり、一種、歯抜け状態となっている。そのため、撮像素子信号値が存在しない領域に対して、撮像素子信号値を補間により生成する必要がある。補間の手法としては、近傍の値の加算平均値を利用する方法等、周知の方法を挙げることができる。尚、この補間処理は、デモザイク処理と並行して行ってもよい。第2の方向においては画質は完全に保持されているので、画像全体の解像度低下等の画質劣化は比較的少ない。
【0055】
実施例1においては、1組の第1偏光手段130及び第2偏光手段150並びに1つのレンズ系20から撮像装置110が構成されているので、例えば左右に分離された2つの異なる画像を同時に生成させることができ、単眼で、簡素な構成、構造を有し、構成部品の少ない、小型の撮像装置を提供することができる。また、レンズ及び偏光フィルタの組合せを2組、必要としないので、ズーム、絞り部、フォーカス、輻輳角等にズレや差異が生じることもない。しかも、両眼視差の基線長さが比較的短いので、自然な立体感を得ることができる。更には、第1偏光手段130を脱着させ得る構造とすれば、容易に、2次元画像及び3次元画像を得ることができる。
【実施例2】
【0056】
実施例2は実施例1の変形である。実施例1にあっては、第1領域通過光L1の電場の向きを第1の方向と平行とした。一方、実施例2にあっては、第1領域通過光L1の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す。実施例2の撮像装置に備えられた第1偏光手段230及び第2偏光手段250における偏光の状態を、模式的に図6の(A)及び(B)に示す。
【0057】
ベイヤ配列を有する撮像素子アレイ40の概念図を図7に示す。実施例2にあっても、撮像素子アレイ40は、1画素は4つの撮像素子(赤色を受光する1つの赤色撮像素子R、青色を受光する1つの青色撮像素子B、及び、緑色を受光する2つの緑色撮像素子G)から構成されている。そして、第2の方向に延びる1列の画素群に対して第3領域251が配置されており、同様に、この画素群に第1の方向に隣接し、第2の方向に延びる1列の画素群に対して第4領域252が配置されている。第3領域251と第4領域252とは、第1の方向に沿って交互に配置されている。尚、第3領域251及び第4領域252は全体として第2の方向に延びているが、第3領域251及び第4領域252の単位長さは、1撮像素子分の長さと等しい。そして、このような構成とすることで、主としてP波成分を有する光に基づく第2の方向に延びる帯状の画像(右眼用画像)、及び、主としてS波成分を有する光に基づく第2の方向に延びる帯状の画像(左眼用画像)が、第1の方向に沿って交互に生成される。尚、図7において、第3領域251及び第4領域252の内部に斜め線を付しているが、これらは、ワイヤグリッド偏光子のワイヤを模式的に表している。
【0058】
これらの点を除き、実施例2の撮像装置の構成、構造は、実施例1にて説明した撮像装置110の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。実施例2における撮像装置の構成、構造を、後述する実施例3〜実施例11における撮像装置に対して適用することができる。
【実施例3】
【0059】
実施例3も実施例1の変形である。実施例3の撮像装置にあっては、第1偏光手段330において、第1領域331と第2領域332との間に中央領域333が設けられており、中央領域333を通過した中央領域通過光の偏光状態は、中央領域333への入射前と変化しない。即ち、中央領域333は、偏光に関して素通し状態である。
【0060】
ところで、入射した光が第1偏光手段を通過する際に、その光量は分光特性と消光比に比例して減少し、暗くなる。ここで、消光比とは、偏光子が選択して通過する光の量と、偏光子が選択せず、反射又は吸収する光の漏れこみ量の比である。具体的には、例えば、消光比10のP波成分を通過させる偏光子の場合、
P波成分:S波成分=50:50
の入射自然光の強度100に対して、この偏光子は、P波成分を50、S波成分を5の割合で透過する。また、消光比∞のP波成分を通過させる偏光子の場合、P波成分を100%透過し、S波成分を全反射し、又は、完全に吸収し、透過させないので、平均的な自然光が入射した場合、約1/2の明るさになる。図1の(B)及び(C)に示した第1偏光手段130及び第2偏光手段150を通過した光の光量は、透過損失がゼロとしても、第1偏光手段130に入射する前の光の光量の約25%となってしまう。また、第1領域及び第2領域を通過した光が、混ざった状態になり、分離できない状態で撮像素子アレイ40に入射した場合、混ざった割合に比例して両眼視差の基線長さが短くなり、完全に混ざった状態では左眼用画像と右眼用画像が同一の画像となり、視差が取れず、立体視することができなくなる。
【0061】
第1偏光手段330の中央領域333にあっては、光強度が強いが、視差量は少ない。従って、実施例3の第1偏光手段330を採用することで、撮像素子アレイ40が受ける光強度を大きくしながら、十分な長さの両眼視差の基線長さを確保することが可能となる。図8の(A)に第1偏光手段330の模式図を示すように、第1偏光手段330の外形形状を円形としたとき、中央領域333を円形とし、第1領域331及び第2領域332を、中央領域333を囲む中心角180度の扇形とすることができる。あるいは又、図8の(B)、(C)に第1偏光手段330の模式図を示すように、中央領域333を菱形や正方形とし、第1領域331及び第2領域332を、中央領域333を囲む中心角180度の扇形に類似した形状とすることができる。あるいは又、図8の(D)に第1偏光手段330の模式図を示すように、第1領域331、中央領域333及び第2領域332を、第2の方向に沿って延びる帯状の形状とすることができる。
【0062】
これらの点を除き、実施例3の撮像装置の構成、構造は、実施例1にて説明した撮像装置110の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。実施例3における撮像装置の構成、構造を、後述する実施例4〜実施例11における撮像装置に対して適用することができる。
【実施例4】
【0063】
実施例4も実施例1の変形である。実施例4の撮像装置410の概念図を図9に示す。実施例4の撮像装置410にあっては、第1偏光手段430の光入射側に、四分の一波長板(λ/4波長板)433が配置されており、これによって、所謂視野闘争の発生を回避することができる。四分の一波長板433は、レンズ系に設けられたフィルタ取付部に、着脱自在に取り付ければよい。四分の一波長板433を通過した光は偏光方向が揃った状態(直線偏光の状態)となる。そして、このような光が第1領域131及び第3領域151を通過して撮像素子アレイ40に到達して得られた画像と、第2領域132及び第4領域152を通過して撮像素子アレイ40に到達して得られた画像とにあっては、P波成分は反射するがS波成分は吸収する被写体の部分の画像の間に大きな相違が生じなくなり、視野闘争の発生を回避することができる。尚、実施例4における撮像装置410の構成、構造を、後述する実施例6〜実施例8における撮像装置に対して適用することができる。また、四分の一波長板433の速軸は、実施例1あるいは実施例2において説明した撮像装置において、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度(具体的には、45度の角度あるいは45度±10度の角度)を成すことが好ましい。
【実施例5】
【0064】
実施例5も実施例1の変形である。実施例5の撮像装置510の概念図を図10の(A)に示し、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に図10の(B)及び(C)に示す。実施例5の撮像装置510においては、視野闘争の発生を回避するために、第1偏光手段530の光入射側には、α度の偏光軸を有する偏光板534が配置されている。また、第1領域531は第1波長板から成り、第2領域532は第2波長板から成り、第1領域通過光L1の電場の向きと第2領域通過光L2の電場の向きとは直交している。より具体的には、αの値は45度であり、第1領域531を構成する第1波長板は半波長板(+λ/2波長板)から成り、第2領域532を構成する第2波長板は、第1波長板を構成する半波長板とは位相差の異なる半波長板(−λ/2波長板)から成る。これによって、第1領域通過光L1の電場の向きは第1の方向と平行となり、第2領域通過光L2の電場の向きは第2の方向と平行となる。尚、偏光板534はレンズ系に固定しておく。実施例5における撮像装置510においても、効果的に視野闘争の発生を回避することができる。また、実施例5における撮像装置510の構成、構造を、後述する実施例6〜実施例11における撮像装置に対して適用することができる。
【実施例6】
【0065】
実施例6も実施例1の変形である。実施例6にあっては、消光比と視差の関係を調べた。即ち、左右分離した画像が混ざりあった場合、どこまで混ざれば視差がなくなるか、即ち、立体視できなくなるかを、消光比=∞(0%クロストークであり、完全に、左眼用画像と右眼用画像が分離された状態)から、消光比=1(50%クロストークであり、左眼用画像と右眼用画像とが完全に混ざり合った状態であり、左眼用画像と右眼用画像とは同じ画像である)まで、消光比を変えて合成画像シミュレーションを行った。その結果、消光比=∞の場合から、消光比=3(25%クロストーク)、消光比10(10%クロストーク)となるに従い、左眼用画像と右眼用画像の相違が少なくなり、消光比=1にあっては左眼用画像と右眼用画像とでは同じとなった。そして、試験の結果から、偏光子の消光比は3以上であることが望ましいことが判った。
【実施例7】
【0066】
実施例7も実施例1の変形である。実施例7にあっては、ワイヤグリッド偏光子の諸元と消光比の関係を計算から求めた。具体的には、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤのピッチと入射光の波長(λ)と消光比の関係を図11の(A)に示す。尚、ワイヤの幅をワイヤのピッチの1/3とし、ワイヤの高さを150nmとし、ワイヤの長さを無限大とした。図11の(A)において、曲線「A」はピッチ150nmの場合のデータであり、曲線「B」はピッチ175nmの場合のデータであり、曲線「C」はピッチ200nmの場合のデータであり、曲線「D」はピッチ250nmの場合のデータであり、曲線「E」はピッチ300nmの場合のデータである。また、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの高さと入射光の波長(λ)と消光比の関係を図11の(B)に示す。尚、ワイヤの幅を50nmとし、ワイヤの長さを無限大とし、ワイヤのピッチを150nmとした。図11の(B)において、曲線「A」は高さ250nmの場合のデータであり、曲線「B」は高さ200nmの場合のデータであり、曲線「C」は高さ150nmの場合のデータであり、曲線「D」は高さ100nmの場合のデータである。更に、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの(幅/ピッチ)と入射光の波長(λ)と消光比の関係を図11の(C)に示す。尚、ワイヤの幅を50nmとし、ワイヤの高さを150nmとし、ワイヤの長さを無限大とした。図11の(C)において、曲線「A」は(幅/ピッチ)の値が0.50の場合のデータであり、曲線「B」は(幅/ピッチ)の値が0.33の場合のデータである。
【0067】
図11の(A)から、例えば、消光比を10以上とするためには、ワイヤのピッチは200nm以下であることが望ましく、ワイヤの高さは5×10-8m(50nm)以上であることが望ましく、ワイヤの(幅/ピッチ)の値は0.33以上であることが望ましいことが判った。更には、ワイヤは10本以上である構成とすることが好ましい。
【0068】
また、2本のワイヤの長さと入射光の波長(λ)と消光比の関係を図12に示す。尚、ワイヤの幅を50nmとし、ワイヤの高さを150nmとし、ワイヤのピッチをワイヤの幅の3倍とした。図12において、「A」は長さ1μmの場合のデータであり、「B」は長さ2μmの場合のデータであり、「C」は長さ3μmの場合のデータであり、「D」は長さ4μmの場合のデータであり、「E」は長さ5μmの場合のデータであり、「F」は長さ6μmの場合のデータであり、「G」は長さ無限大の場合のデータである。図12から、消光比を10以上とするためには、ワイヤの長さを2μm以上、好ましくは3μm以上とすることが望ましいことが判った。更には、加工のし易さから、ワイヤを構成する材料を、アルミニウムあるいはアルミニウム合金とすることが望ましいことが判った。
【実施例8】
【0069】
実施例8も実施例1の変形である。図13に、ベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図を示すように、実施例8の撮像装置にあっては、第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数であり、実施例8にあっては、具体的には、n=3)に対して1つの第3領域151及び1つの第4領域152が配されている。そして、第3領域151を通過した第1領域通過光によって得られる電気信号及び第4領域152を通過した第2領域通過光によって得られる電気信号から生成された視差量に基づくデプスマップ(奥行き情報)、並びに、撮像素子アレイ40を構成する全撮像素子41からの電気信号に基づき、右眼用画像を得るための電気信号及び左眼用画像を得るための電気信号を得るが、係る方法それ自体は周知の方法とすることができる。尚、第3領域及び第4領域を配置した撮像素子と配置していない撮像素子の全てを含む全電気信号に基づきデモザイク処理を行ってもよいし、第3領域及び第4領域を配置した撮像素子群の列を間引いた部分を超解像処理により補間して画像データを生成することも可能である。また、画像の画質・画素数に対して、デプスマップの画質・画素数は、1:1である必要はない。これは、殆どの撮影場面において、個々の被写体は、画素分解能に比べて十分大きく、個々の被写体に、画素分解能と同じ細かさの距離差がない限り、画像の画素分解能と同じ距離情報分解能が必要になることはないためである。
【0070】
あるいは又、実施例8の撮像装置の変形例におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図を図14に示すが、第2の方向に沿って2個の画素に対して1つの第3領域151及び1つの第4領域152を配する構成とすることができる。尚、図14に示す例にあっては、第3領域151及び第4領域152は千鳥状(市松模様状)に配置されている。即ち、第1の方向に沿って、第3領域151の一方の境界において第4領域152と隣接しているが、第3領域151の他方の境界においては第4領域152と隣接していない。
【実施例9】
【0071】
実施例9は、実施例1〜実施例3、実施例5〜実施例8の撮像装置の変形である。実施例9の撮像装置の概念図を図15の(A)に示し、四分の一波長板の概念図を図15の(B)に示し、第1偏光手段における偏光の状態を模式的に図15の(C)に示し、偏光手段(第2偏光手段)における偏光の状態を模式的に図15の(D)に示す。
【0072】
実施例9の撮像装置910にあっては、第1偏光手段930の光入射側に、四分の一波長板933が備えられている。そして、四分の一波長板933の速軸(図15の(B)、図16の(A)、(D)、(E)にあっては、黒色の矢印で示す)は、第1領域通過光L1の電場の向きと所定の角度を成す。尚、第1領域通過光L1の電場の向きと第3領域通過光L3の電場の向きとは平行であり、第2領域通過光L2の電場の向きと第4領域通過光L4の電場の向きとは平行である。ここで、所定の角度は45度あるいは45度±10度である。以下においても同様である。また、第3領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは直交している。第3領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行であり(図15の(D)参照)、あるいは又、第3領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す(図16の(C)参照)。四分の一波長板933は、レンズの絞り羽根に類似した構成、構造を有し、レンズ系20内に配置されている。
【0073】
第1偏光手段930はレンズ系20に脱着自在に取り付けられており、四分の一波長板933もレンズ系20に脱着自在に取り付けられている。四分の一波長板933は第1偏光手段930に隣接して配設されている。図15の(A)にあっては、光入射側から、四分の一波長板933及び第1偏光手段930の順に図示したが、場合によっては、第1偏光手段930及び四分の一波長板933の順に配置してもよい。光入射側から四分の一波長板933及び第1偏光手段930の順に配置し、四分の一波長板933及び第1偏光手段930をレンズ系に配することで3次元画像(立体画像)を撮像することができるし、あるいは又、第1偏光手段930をレンズ系に配し、且つ、四分の一波長板933をレンズ系から外すことで3次元画像(立体画像)を撮像することができるし、四分の一波長板933をレンズ系に配し、第1偏光手段930をレンズ系から外すことで2次元画像を撮像することができる。一方、光入射側から第1偏光手段930及び四分の一波長板933の順に配置し、第1偏光手段930をレンズ系に配し、四分の一波長板933をレンズ系から外すことで3次元画像(立体画像)を撮像することができるし、四分の一波長板933をレンズ系に配し、第1偏光手段930をレンズ系から外すことで2次元画像を撮像することができる。図15の(B)に右上45度方向に延びる黒色の矢印で示した四分の一波長板933の速軸は、このような方向に限定するものではなく、左上45度方向に延びていてもよい。また、図16の(A)、(B)及び(C)のそれぞれに、実施例9の撮像装置における四分の一波長板の概念図、第1偏光手段における偏光の状態、偏光手段(第2偏光手段)における偏光の状態の変形例を図示するが、この例は、図6に示した実施例2の変形である。
【0074】
第1偏光手段930をレンズ系20から外し、通常の2次元画像の撮影を試みた場合、撮像装置に入射する光が直線偏光を含んでいると、第3領域151,251を通過した光の強度と、第4領域152,252を通過した光の強度との間に、差が生じ、得られた2次元画像には、縞状の光の濃淡が生じる場合がある。実施例9の撮像装置にあっては、速軸が、第3領域通過光の電場の向きと所定の角度(具体的には、45度あるいは45度±10度)を成す四分の一波長板933が組み込まれるので、四分の一波長板933に入射した直線偏光の光は円偏光状態の光となって四分の一波長板933から出射される。従って、第3領域151,251を通過した光の強度と、第4領域152,252を通過した光の強度との間に、差が生じ難く、得られた2次元画像には、縞状の光の濃淡が生じる虞が無い。
【実施例10】
【0075】
実施例10は、実施例9の変形である。実施例10の撮像装置における四分の一波長板の概念図を図16の(D)あるいは図16の(E)に示すように、実施例10において、四分の一波長板933は、第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板933A及び第2の四分の一波長板933Bから成る。第1の四分の一波長板933Aと第2の四分の一波長板933Bとは一体化されている。そして、第1の四分の一波長板933Aの速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成し、第2の四分の一波長板933Bの速軸は、第1の四分の一波長板933Aの速軸と直交している。云い換えれば、第1の四分の一波長板933Aの遅軸と平行である。ここで、所定の角度は45度あるいは45度±10度である。尚、図16の(D)に示した例は、図15の(B)に示した例の変形であり、図16の(E)に示した例は、図16の(B)に示した例の変形である。以上の点を除き、実施例10の撮像装置は、実施例9の撮像装置と同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。四分の一波長板933を第1の四分の一波長板933A及び第2の四分の一波長板933Bから構成することで、第3領域151,251を通過した光の強度と、第4領域152,252を通過した光の強度との間に、より差が生じ難くなる。尚、図16の(D)及び(E)に示した例では、四分の一波長板は、第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成るが、代替的に、四分の一波長板は、第1の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成る構成とすることもできる。
【実施例11】
【0076】
実施例11は、本開示の第2の態様に係る撮像装置及び撮像方法に関し、より具体的には、被写体を立体画像として撮像する撮像装置及び撮像方法に関する。実施例11の撮像装置の概念図を図17の(A)に示し、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に図17の(B)及び(C)に示す。
【0077】
実施例11の撮像装置1110は、
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段1130、
(B)第1偏光手段1130からの光を集光するレンズ系20、並びに、
(C)第1の方向(水平方向、X軸方向)、及び、第1の方向と直交する第2の方向(垂直方向、Y軸方向)の2次元マトリクス状に撮像素子41が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段1150を有し、レンズ系20によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ40、
を具備している。
【0078】
そして、第1偏光手段1130は、第1の方向(水平方向、X軸方向)に沿って配列された第1領域1131及び第2領域1132を有し、
第1領域1131を通過した第1領域通過光L1の偏光状態と、第2領域1132を通過した第2領域通過光L2の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段1150は、第1の方向(水平方向、X軸方向)に沿って交互に配置され、第2の方向(垂直方向、Y軸方向)に延びる複数の第3領域1151及び第4領域1152を有し、
第3領域1151を通過した第3領域通過光L3は偏光状態にあり、第4領域1152を通過した第4領域通過光L4は非偏光状態にあり(即ち、第1領域通過光L1及び第2領域通過光L2が混合された状態にあり)、
第1領域通過光L1は第3領域1151を通過して撮像素子41に到達し、第1領域通過光L1及び第2領域通過光L2は第4領域1152を通過して撮像素子41に到達し、以て、第1領域1131の重心点BC1’と第1偏光手段1130の重心点BC0’との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【0079】
実施例11の撮像装置1110においても、第1偏光手段1130は第1領域1131及び第2領域1132から構成されている。具体的には、第1偏光手段1130の外形形状は円形であり、第1領域1131及び第2領域1132は、それぞれ、第1偏光手段1130の半分を占める半月状の外形形状を有する。第1領域1131と第2領域1132との境界線は、第2の方向に沿って延びている。2つの偏光フィルタの組合せから成る第1偏光手段1130は、入射した光を2つの異なる偏光状態に分離する。第1偏光手段1130は、上述したとおり、左右対称の偏光子から構成されており、カメラの正立状態に対する左右2つの位置において、互いに直交する直線方向の偏光、又は、互いに逆方向となる回転方向の偏光を生成する。第1領域1131は、被写体を右眼で見るであろう像(右眼が受けるであろう光)に対して偏光を施すフィルタである。また、第1領域1131及び第2領域1132は、被写体を左眼で見るであろう像(左眼が受けるであろう光)に対して偏光を施すフィルタである。尚、第1偏光手段1130は、実質的に、実施例1において説明した第1偏光手段130と同様とすることができる。
【0080】
第3領域1151は、実質的に、実施例1において説明したと同様の構成、構造を有し、第3領域1151を通過した第3領域通過光L3は偏光状態にあり、第1領域通過光L1の電場の向きと第3領域通過光L3の電場の向き(白抜きの矢印で示す)とは平行である。偏光子の消光比は、3以上、より具体的には10以上である。第3領域1151は、ワイヤグリッド偏光子から成り、ワイヤの延びる方向は第2の方向と平行である。従って、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの長さの最大値は、第2の方向に配列された画素の長さである。ところで、ワイヤグリッド偏光子の長さと消光比との関係は、実施例7において説明したとおりである。このように実施例11にあっては、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの長さを十分に長くすることができるので、消光比の値を高くすることができ、左眼用画像と右眼用画像の高い分離能を達成することが可能となる。一方、第4領域1152には、偏光子は配されていない。
【0081】
実施例11の撮像装置1110にあっては、第1偏光手段1130の外形形状を半径r=10mmの円形とした。そして、第1領域1131及び第2領域1132を、第1偏光手段130の半分を占める半月状とした。従って、第1領域131の重心点BC1’と第1偏光手段1130の重心点BC0’との間の距離は、[(4r)/(3π)]=4.2mmである。
【0082】
そして、実施例11の撮像方法にあっては、第3領域1151を通過して撮像素子41に到達した第1領域通過光L1によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像(実施例11にあっては、具体的には、右眼用画像。右眼用画像データ)を得るための電気信号(第1電気信号)を撮像素子41において生成する。また、第4領域1152を通過して撮像素子41に到達した第1領域通過光L1及び第2領域通過光L2によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像(実施例11にあっては、具体的には、左眼用画像。左眼用画像データ)を得るための電気信号(第2電気信号)を撮像素子41において生成する。そして、これらの電気信号(第1電気信号及び第2電気信号)を、同時に、又は、時系列に交互に、出力する。出力された電気信号(撮像素子アレイ40から出力された右眼用画像データ及び左眼用画像データを得るための電気信号)に対して、画像処理手段12によって画像処理が施され、右眼用画像データ及び左眼用画像データとして画像記憶部13に記録される。尚、右眼用画像データと左眼用画像データとを混合すれば、立体画像ではない、通常の2次元(平面)画像を得ることができる。
【0083】
撮像素子アレイ40は、各実施例において説明したと同様のベイヤ配列を有していればよいし、画像処理手段12における右眼用画像データ及び左眼用画像データ作成も、例えば、実施例1において説明したと同様とすればよい。また、実施例2〜実施例10にて説明した構成、構造を、実施例11に適用することもできる。
【0084】
実施例11においても、1組の第1偏光手段1130及び第2偏光手段1150並びに1つのレンズ系20から撮像装置1110が構成されているので、例えば左右に分離された2つの異なる画像を同時に生成させることができ、単眼で、簡素な構成、構造を有し、構成部品の少ない、小型の撮像装置を提供することができる。また、レンズ及び偏光フィルタの組合せを2組、必要としないので、ズーム、絞り部、フォーカス、輻輳角等にズレや差異が生じることもない。しかも、両眼視差の基線長さが比較的短いので、自然な立体感を得ることができる。更には、第1偏光手段1130を脱着させ得る構造とすれば、容易に、2次元画像及び3次元画像を得ることができる。
【実施例12】
【0085】
実施例12あるいは次に述べる実施例13は、レンズ系に関する。実施例12あるいは実施例13において、模式的な一部断面図を図18の(A)及び(B)に示すように、レンズ系は、1つの単焦点レンズ80,90、及び、単焦点レンズ80,90の前面あるいは前方(物体側)に配置された絞り部86,96から構成されている。絞り部86,96は、具体的には、単焦点レンズ80,90の前面上(物体側)に配置されている。即ち、前絞り型の単焦点レンズから構成されている。そして、第1偏光手段130はレンズ系80,90の絞り部86,96の近傍に配置されており、第1偏光手段130は、レンズ系80,90に脱着自在に取り付けられている。また、1つの単焦点レンズ80,90は、全体として撮像素子アレイ40に対して前後に移動可能であり、即ち、全群繰り出し機構を備えており、これによってオートフォーカス機能を発現する。絞り部86,96よりも物体側に配置される第1偏光手段130と1つの単焦点レンズ80,90との間の最短距離Dminは0.6mm以下、具体的には、0.05mm以上、0.6mm以下である。
【0086】
実施例12あるいは後述する実施例13にあっては、第2偏光手段150(図18の(A)及び(B)には図示せず)を有する撮像素子アレイ40は、ベース70に取り付けられている。また、第1偏光手段130と開口部とが併設された部材(図18の(A)及び(B)においては、第1偏光手段130のみを図示した)は、回動・支持部材71に取り付けられ、回動・支持部材71はベース70に取り付けられている。第1偏光手段130と開口部とが併設された部材を、レンズ系の光軸と平行な回動軸(回動・支持部材71に含まれているが、図示せず)を中心として回動可能にこの回動軸に取り付け、係る部材を回動軸を中心として回動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、第1偏光手段130を通過する。このような構成によって、第1偏光手段130は、レンズ系に対して脱着自在に取り付けられている。あるいは又、レンズ系において、第1偏光手段130と開口部とが併設された部材を、例えばレンズ系の光軸と直交する方向に滑動自在にレンズ系に取り付け、係る部材を滑動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、第1偏光手段を通過する構成、構造を挙げることができる。尚、この場合、第1偏光手段130と開口部とが併設された部材は、1つの部材から構成されていてもよいし、複数の部材片から構成されていてもよい。
【0087】
実施例12にあっては、1/3.2サイズ、1.12μmピッチの13メガピクセルのCMOSイメージセンサーを用いた。そして、第1偏光手段130の脱着によって、容易に、2次元画像及び3次元画像を得ることができる。
【0088】
実施例12にあっては、単焦点レンズ80を、Fno=2.8、焦点距離=4.21mm、水平画角56度、光学全長5.0mmの4群4枚構成とした。ここで、単焦点レンズ80は、物体側から、順に、第1レンズ81、第2レンズ82、第3レンズ83、第4レンズ84の撮像レンズ群から構成され、第1レンズ81、第2レンズ82及び第3レンズ83によって正パワー/負パワー/正パワーのトリプレット構成とされ、像面及び撮像素子アレイ40に入射する光線入射角を最適化する第4レンズ84が加わり、小型高解像度レンズとして最適な機能を有する。MTFは220(lps/mm)で約50%あり、このような高解像度レンズを実現するためには、レンズ群の偏芯精度を3μm程度に抑える必要がある。そのためには、精度1μm程度に抑えた一体の鏡筒74において、高い精度のレンズ群を精度良く組み立てる必要がある。このため、オートフォーカス方式としては、撮像レンズ群の部分繰り出し方式よりも、全群繰り出し方式が最適である。それ故、実施例12あるいは実施例13にあっては、ボイスコイル式の駆動方式のオートフォーカス機構を採用した。具体的には、単焦点レンズ80,90の鏡筒の周りにフォーカスコイル76を巻き、その周囲にマグネット75を配置し、フォーカスコイル76に電流を流すことで、単焦点レンズ80,90は、全体として撮像素子アレイ40に対して前後に移動可能である。尚、鏡筒74は板バネ73を介して支持部材72に取り付けられ、支持部材72はベース70に取り付けられている。
【0089】
第1レンズ81の物体側のレンズ面と、第1偏光手段130との間の最短距離Dminが長いと、撮像素子アレイ40の周辺での光量が少なくなる。それ故、この最短距離Dminは、上述したとおり、0.6mm以下であることが望ましい。実施例12にあっては、この最短距離Dminを0.50mmに設定した。このような最短距離Dminとするために、第1偏光手段130を脱着させる機構、具体的には、第1偏光手段130と開口部とが併設された部材(図示せず)の単焦点レンズ80,90側の光線有効径近傍を切り欠くことが望ましい。また、第1偏光手段130を脱着させる機構と単焦点レンズ80,90とが接触しないように、即ち、第1偏光手段130を支持する回動・支持部材71の部分の下面と、この下面に対向する鏡筒74の部分の上面とが接したとき、第1偏光手段130あるいは第1偏光手段130と開口部とが併設された部材の下面と、鏡筒74の最前面とが接しないように、より具体的には、図示するように、D0>D1を満足するように、回動・支持部材71と鏡筒74、支持部材72等を設計することが望ましい。
【0090】
このように、実施例12あるいは後述する実施例13にあっては、レンズ系は、偏芯精度の高い高解像度レンズであって、全群繰り出しのオートフォーカス機構を有し、しかも、第1偏光手段がレンズ系に脱着自在に取り付けられている。そして、第1偏光手段及びレンズ系の組立てが容易であり、レンズ群を封止することができるためにゴミ等が侵入するといった問題の発生が無く、小型の立体カメラシステムを容易に実現できるし、オートフォーカス機構を容易に達成することができ、また、低コストで高いマクロ性能を得ることができる。しかも、前絞り型で、瞳位置が前方に位置するので、撮像素子アレイへの主光線入射角を抑えることができる。また、第1偏光手段と撮像素子アレイとの間の距離が長いので、僅かに発生する両者の反射光によって発生するフレアが少ない。更には、2次元画像を得るときの光量に損失が発生しない。
【実施例13】
【0091】
実施例13の単焦点レンズ90は、1/3.2サイズ、1.12μmの撮像素子アレイに対応したものであり、Fno=1.7、焦点距離4.49mm、水平画角53.8度、光学全長5.7mmの5群5枚構成である。Fnoが明るいために、瞳径が大きく、両眼視差の基線長をより長く取れるため、より良い立体画像を得ることができる。ここで、単焦点レンズ90は、物体側から、順に、第1レンズ91、第2レンズ92、第3レンズ93、第4レンズ94、第5レンズ95から構成され、第1レンズ91、第2レンズ92及び第3レンズ93によって正パワー/負パワー/正パワーのトリプレット構成とされ、第4レンズ94及び第5レンズ95は正パワー及び負パワーを有し、光学歪を補正しながら、諸収差を良く補正する。また、第5レンズ95は、像面及び撮像素子アレイ40に入射する光線入射角を最適にする機能も有する。これらにより、小型高解像度レンズを達成することができる。
【0092】
尚、以上に説明した実施例12あるいは実施例13におけるレンズ系を、実施例1〜実施例11に適用することができる。
【0093】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した撮像装置、撮像素子の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。例えば、図19の(A)に模式的な一部断面図を図示するように、撮像素子41を、シリコン半導体基板60に設けられた光電変換素子61、並びに、その上に、第1平坦化膜62、無機絶縁下地層66、ワイヤグリッド偏光子67、第2平坦化膜65、カラーフィルタ63、及び、オンチップレンズ64が積層されて成る構成とすることもできる。あるいは又、図19の(B)に模式的な一部断面図を図示するように、撮像素子41を、シリコン半導体基板60に設けられた光電変換素子61、並びに、その上に、第1平坦化膜62、オンチップレンズ64、第2平坦化膜65、カラーフィルタ63、無機絶縁下地層66、及び、ワイヤグリッド偏光子67が積層されて成る構成とすることもできる。また、撮像素子を、図示したような表面照射型としてもよいし、図示しないが、裏面照射型としてもよい。
【0094】
右眼用画像データ及び左眼用画像データに基づき立体画像を表示するが、係る表示方式として、例えば、2台のプロジェクタに円偏光又は直線偏光フィルタを取り付けて左右眼用の画像をそれぞれ表示し、表示に対応した円偏光又は直線偏光眼鏡で画像を観察する方式、レンチキュラーレンズ方式、パララックスバリア方式を挙げることができる。尚、円偏光又は直線偏光眼鏡を使用することなく画像を観察すると、通常の2次元(平面)画像を観察することができる。また、以上に説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムあるいはプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))等を用いることができる。
【0095】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]《撮像装置:第1の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
[2]第1偏光手段はレンズ系の絞り部近傍に配置されている[1]に記載の撮像装置。
[3]第1偏光手段において、第1領域と第2領域との間には中央領域が設けられており、
中央領域を通過した中央領域通過光の偏光状態は、中央領域入射前と変化しない[1]又は[2]に記載の撮像装置。
[4]第1領域及び第2領域は偏光子から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[5]第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行である[4]に記載の撮像装置。
[6]第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す[4]に記載の撮像装置。
[7]第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である[4]乃至[6]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[8]偏光子の消光比は3以上である[4]乃至[7]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[9]撮像素子は、カラーフィルタ、オンチップレンズ、及び、ワイヤグリッド偏光子が積層されて成り、
ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する[4]乃至[8]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[10]撮像素子は、ワイヤグリッド偏光子、カラーフィルタ、及び、オンチップレンズが積層されて成り、
ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する[4]乃至[8]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[11]ワイヤグリッド偏光子を構成する複数のワイヤの延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と平行である[9]又は[10]に記載の撮像装置。
[12]第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されている[1]乃至[11]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[13]第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されており、
四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成す[5]又は[6]に記載の撮像装置。
[14]四分の一波長板は、第1の方向あるいは第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成り、
第1の四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成し、
第2の四分の一波長板の速軸は、第1の四分の一波長板の速軸と直交している[5]又は[6]に記載の撮像装置。
[15]所定の角度は45度である[13]又は[14]に記載の撮像装置。
[16]第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である[13]乃至[15]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[17]第1偏光手段はレンズ系に脱着自在に取り付けられており、
四分の一波長板はレンズ系に脱着自在に取り付けられている[13]乃至[16]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[18]四分の一波長板は第1偏光手段に隣接して配設されている[13]乃至[17]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[19]第1偏光手段の光入射側には、α度の偏光軸を有する偏光板が配置されており、
第1領域は第1波長板から成り、第2領域は第2波長板から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[20]αの値は45度であり、
第1波長板は半波長板から成り、
第2波長板は、第1波長板を構成する半波長板とは位相差の異なる半波長板から成る[19]に記載の撮像装置。
[21]撮像素子アレイはベイヤ配列を有し、1画素は4つの撮像素子から構成されており、
1画素に対して、1つの第3領域又は第4領域が配されている[1]乃至[20]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[22]第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する[1]乃至[21]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[23]《撮像方法:第1の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第2領域通過光によって、左眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
[24]第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する[23]に記載の撮像方法。
[25]第3領域を通過した第1領域通過光によって得られる電気信号及び第4領域を通過した第2領域通過光によって得られる電気信号から生成されたデプスマップ、並びに、撮像素子アレイを構成する全撮像素子からの電気信号に基づき、右眼用画像を得るための画像データ、及び、左眼用画像を得るための画像データを得る[24]に記載の撮像方法。
[26]《撮像装置:第2の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
[27]《撮像方法:第2の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
【0096】
尚、上記[26]に記載の本開示の第2の態様に係る撮像装置、及び、上記[27]に記載の本開示の第2の態様に係る撮像方法は、以下のようにも表現することができる。
即ち、
[26’]《撮像装置:第2の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って離間して配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過した光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は、第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
[27’]《撮像方法:第2の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って離間して配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過した光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は、第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
【符号の説明】
【0097】
110,410,510,910,1110・・・撮像装置、11・・・カメラ本体部、12・・・画像処理手段、13・・・画像記憶部、20・・・レンズ系、21・・・撮影レンズ、22・・・絞り部、23・・・結像レンズ、130,230,330,430,530,930,1130・・・第1偏光手段、131,231,331,531,931,1131・・・第1領域、132,232,332,532,932,1132・・・第2領域、333・・・中央領域、433,933・・・四分の一波長板(λ/4波長板)、933A・・・第1の四分の一波長板(λ/4波長板)、933B・・・第2の四分の一波長板(λ/4波長板)、534・・・偏光板、40・・・撮像素子アレイ、41・・・撮像素子、150,250,1150・・・第2偏光手段(偏光手段)、151,251,1151・・・第3領域、152,252,1152・・・第4領域、60・・・シリコン半導体基板、61・・・光電変換素子、62・・・第1平坦化膜、63・・・カラーフィルタ、64・・・オンチップレンズ、65・・・第2平坦化膜、66・・・無機絶縁下地層、67,67A,67B・・・ワイヤグリッド偏光子、68,68A,68B・・・ワイヤ、70・・・ベース、71・・・回動・支持部材、72・・・支持部材、73・・・板バネ、74・・・鏡筒、75・・・マグネット、76・・・フォーカスコイル、80,90・・・80,90、81,91・・・第1レンズ、82,92・・・第2レンズ、83,93・・・第3レンズ、84,94・・・第4レンズ、95・・・第5レンズ、86,96・・・絞り部
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び撮像方法に関し、より具体的には、被写体を立体画像として撮像する撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共通の被写体を左右に配置した2台のビデオカメラによって同時に撮像し、得られた2種類の画像(右眼用画像及び左眼用画像)を同時に出力することによって立体画像を表示するシステムが提案されている。しかしながら、このような2台のビデオカメラを用いた場合、装置が大型化してしまい、実用的ではない。また、2台のビデオカメラの間の基線長(ベースライン)、即ち、立体カメラとしての両眼間距離は、レンズのズーム比に拘わらず、人間の両眼の距離に相当する65mm程度とされることが多い。そして、このような場合、ズームアップされた画像においては両眼視差が大きくなってしまい、観察者の視覚系に日常と異なる情報処理を強制することになり、視覚疲労の原因となる。また、移動する被写体を2台のビデオカメラで撮像することは、2台のビデオカメラの精密な同期制御を必要とし、非常に困難であるし、輻輳角の正確な制御もまた、非常に困難である。
【0003】
立体撮影を行うためのレンズ系の調整を容易にするために、互いに直交関係となるように偏光させる偏光フィルタを組み合わせることによって、光学系を共通化させる立体撮影装置が提案されている(例えば、特公平6−054991号公報参照)。
【0004】
また、2つのレンズと1つの撮像手段から構成された撮像装置で立体撮影を行う方式が提案されている(例えば、特開2004−309868参照)。この特許公開公報に開示された撮像装置は、
所定数の走査線の整数倍に相当する画素が撮像面に設けられた撮像手段と、
被写体からの第1の映像光における水平成分だけを透過する第1の水平成分偏光手段と、
上記第1の水平成分偏光手段とは所定距離だけ離隔された位置に配置され、上記被写体からの第2の映像光における垂直成分だけを透過する第1の垂直成分偏光手段、
とを具え、
上記第1の水平成分偏光手段により透過した上記水平成分を上記撮像面における所定範囲の画素に集光させ、
上記第1の垂直成分偏光手段によって透過された上記垂直成分を上記所定範囲を除く残余範囲の画素に集光させる。具体的には、CCDの撮像面に対して所定距離だけ離れた位置に、人間の視差に応じた間隔だけ離間して配置された水平成分偏光フィルタ及び垂直成分偏光フィルタが、2つのレンズと共に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−054991号公報
【特許文献2】特開2004−309868
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特公平6−054991号に開示された技術にあっては、2つの偏光フィルタの出力を重ねて光路を一系統とすることによって、レンズ系を共通化させている。しかしながら、後段で右眼用画像及び左眼用画像を抽出するために更に偏光フィルタを設け、光路自体を再度分けて別々の偏光フィルタに入光させなければならず、レンズ系において光の損失が発生し、また、装置の小型化が困難であるなどの問題がある。特開2004−309868に開示された技術にあっては、レンズ及び偏光フィルタの組合せを2組、必要とし、装置の複雑化、大型化が免れない。また、これらの撮像装置を用いて、立体画像を撮影するだけでなく、通常の2次元画像を撮影することは、装置が複雑になり、現実的ではない。
【0007】
従って、本開示の目的は、簡素な構成、構造を有し、1台の撮像装置によって被写体を立体画像として撮像し得る撮像装置、及び、係る撮像装置を用いた撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る撮像装置は、
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る撮像方法は、上記の本開示の第1の態様に係る撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第2領域通過光によって、左眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する。尚、これらの電気信号を、同時に出力してもよいし、時系列に交互に出力してもよい。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る撮像装置は、
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【0011】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る撮像方法は、上記の本開示の第2の態様に係る撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る撮像装置あるいは撮像方法においては、1組の第1偏光手段及び第2偏光手段並びに1つのレンズ系から撮像装置が構成されているので、単眼で、簡素な構成、構造を有する、小型の撮像装置を提供することができる。また、レンズ及び偏光フィルタの組合せを2組、必要としないので、ズーム、絞り部、フォーカス、輻輳角等にズレや差異が生じることもない。しかも、両眼視差の基線長さが比較的短いので、自然な立体感を得ることができる。更には、第1偏光手段の脱着によって、容易に、2次元画像及び3次元画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例1の撮像装置の概念図、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の撮像装置において、第1偏光手段における第1領域及び第2偏光手段における第3領域を通過し、撮像素子アレイに到達する光の概念図、及び、第1偏光手段における第2領域及び第2偏光手段における第4領域を通過し、撮像素子アレイに到達する光の概念図であり、図2の(C)及び(D)は、図2の(A)及び(B)に示した光によって撮像素子アレイに結像した画像を模式的に示す図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の撮像装置における撮像素子の模式的な一部断面図、及び、ワイヤグリッド偏光子の配列状態を模式的に示す図である。
【図4】図4は、実施例1の撮像装置におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図5】図5は、撮像素子から得られた電気信号に対するデモザイク処理を行い、信号値を得る画像処理を説明するためのベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例2の撮像装置に備えられた第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図7】図7は、実施例2の撮像装置におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図8】図8の(A)〜(D)は、実施例3の撮像装置に備えられた第1偏光手段の模式図である。
【図9】図9は、実施例4の撮像装置の概念図である。
【図10】図10の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例5の撮像装置の概念図、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図11】図11の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例7において、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤのピッチと入射光の波長と消光比の関係、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの高さと入射光の波長と消光比の関係、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの(幅/ピッチ)と入射光の波長と消光比の関係を求めた結果を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例7において、ワイヤグリッド偏光子を構成する2本のワイヤの長さと入射光の波長と消光比の関係を求めた結果を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例8の撮像装置におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図14】図14は、実施例8の撮像装置の変形例1におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図である。
【図15】図15の(A)、(B)、(C)及び(D)は、それぞれ、実施例9の撮像装置の概念図、四分の一波長板の概念図、第1偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図、及び、偏光手段(第2偏光手段)における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図16】図16の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例9の撮像装置における四分の一波長板の概念図、第1偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図、偏光手段(第2偏光手段)における偏光の状態を模式的に示す図であり、図16の(D)及び(E)は、実施例10の撮像装置における四分の一波長板の概念図である。
【図17】図17の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例11の撮像装置の概念図、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に示す図である。
【図18】図18の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例12及び実施例13におけるレンズ系等の模式的な一部断面図である。
【図19】図19の(A)及び(B)は、それぞれ、撮像素子の変形例の模式的な一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様〜第2の態様に係る撮像装置及び撮像方法、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様に係る撮像装置及び撮像方法)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の別の変形)
6.実施例5(実施例1の別の変形)
7.実施例6(実施例1の別の変形)
8.実施例7(実施例1の別の変形)
9.実施例8(実施例1の別の変形)
10.実施例9(実施例1の別の変形)
11.実施例10(実施例9の変形)
12.実施例11(本開示の第2の態様に係る撮像装置及び撮像方法)
13.実施例12(実施例1〜実施例11の変形)
14.実施例13(実施例12の変形)、その他
【0015】
[本開示の第1の態様〜第2の態様に係る撮像装置及び撮像方法、全般に関する説明]
以下の説明において、本開示の第1の態様に係る撮像装置あるいは本開示の第1の態様に係る撮像方法での使用に適した撮像装置を、総称して、『本開示の第1の態様に係る撮像装置等』と呼び、本開示の第2の態様に係る撮像装置あるいは本開示の第2の態様に係る撮像方法での使用に適した撮像装置を、総称して、『本開示の第2の態様に係る撮像装置等』と呼び、本開示の第1の態様及び第2の態様に係る撮像装置あるいは本開示の第1の態様及び第2の態様に係る本開示の撮像方法での使用に適した撮像装置を、総称して、『本開示の撮像装置等』と呼ぶ場合がある。
【0016】
本開示の撮像装置等において、第1偏光手段はレンズ系の絞り部近傍に配置されている形態とすることが好ましい。あるいは又、レンズ系に入射した光が、一旦、平行光とされ、最終的に撮像素子上に集光(結像)されるとき、平行光の状態にあるレンズ系の部分に第1偏光手段を配置する形態とすることが好ましい。これらの形態にあっては、一般に、レンズ系の光学系を新たに設計し直す必要はなく、既存のレンズ系に第1偏光手段を、固定して、あるいは又、脱着自在に取り付けられるように、機械的(物理的)な設計変更を施せばよい。尚、レンズ系に第1偏光手段を脱着自在に取り付けるには、例えば、第1偏光手段をレンズの絞り羽根に類似した構成、構造とし、レンズ系内に配置すればよい。あるいは又、レンズ系において、第1偏光手段と開口部とが併設された部材を、レンズ系の光軸と平行な回動軸を中心として回動可能にこの回動軸に取り付け、係る部材を回動軸を中心として回動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、第1偏光手段を通過する構成、構造を挙げることができる。あるいは又、レンズ系において、第1偏光手段と開口部とが併設された部材を、例えばレンズ系の光軸と直交する方向に滑動自在にレンズ系に取り付け、係る部材を滑動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、第1偏光手段を通過する構成、構造を挙げることができ、この場合、第1偏光手段と開口部とが併設された部材は、1つの部材から構成されていてもよいし、複数の部材片から構成されていてもよい。
【0017】
あるいは又、レンズ系を、1つの単焦点レンズ、及び、単焦点レンズの前面あるいは前方(物体側)に配置された絞り部から構成し、即ち、前絞り型の単焦点レンズから構成し、第1偏光手段はレンズ系の絞り部近傍に配置されている形態とすることが好ましい。そして、第1偏光手段は、レンズ系に脱着自在に取り付けられていることが望ましい。また、1つの単焦点レンズは、例えば、撮像レンズ群から成る構成とすることができるし、1つの単焦点レンズは、全体として撮像素子アレイに対して前後に移動可能であり、これによってオートフォーカス機能を発現するものであることが望ましい。更には、第1偏光手段と1つの単焦点レンズとの間の最短距離は0.6mm以下、好ましくは、0.05mm乃至0.6mmであることが望ましい。
【0018】
上記の好ましい形態を含む本開示の撮像装置等にあっては、第1偏光手段において、第1領域と第2領域との間に中央領域が設けられており、中央領域を通過した中央領域通過光の偏光状態は、中央領域入射前と変化しない形態とすることができる。即ち、中央領域は、偏光に関して素通し状態とすることができる。第1偏光手段の中央領域にあっては、光強度が強いが、視差量は少ない。従って、このような形態とすることで、撮像素子アレイが受ける光強度を大きくしながら、十分な長さの両眼視差の基線長さを確保することが可能となる。第1偏光手段の外形形状を円形としたとき、中央領域を円形とし、第1領域及び第2領域を、中央領域を囲む中心角180度の扇形とすることができるし、中央領域を正方形や菱形とし、第1領域及び第2領域を、中央領域を囲む中心角180度の扇形に類似した形状とすることができる。あるいは又、第1領域、中央領域及び第2領域を、第2の方向に沿って延びる帯状の形状とすることができる。
【0019】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の撮像装置等において、第1領域及び第2領域は偏光子から成り、第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している構成とすることができる。そして、このような構成を含む本開示の撮像装置等において、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行である構成とすることができるし、あるいは又、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す構成とすることができるし、あるいは又、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と任意の角度(β)を成す構成とすることができる。更には、これらの構成の任意の組合せを含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である構成とすることができるし、これらの構成の任意の組合せを含む本開示の第2の態様に係る撮像装置等において、第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行である構成とすることができる。更には、これらの構成の任意の組合せを含む本開示の撮像装置等において、偏光子の消光比は、3以上、好ましくは10以上であることが望ましい。
【0020】
ここで、『偏光状態』とは、電場及び磁場が特定の方向にのみ振動する光の状態を指し、『非偏光状態』とは、光の偏光に規則性が無く、直交している電場成分の位相関係が無秩序な光の状態をを指す。また、『偏光子』とは、自然光(非偏光)や円偏光から直線偏光を作り出すものを指し、第1領域及び第2領域を構成する偏光子、それ自体は、周知の構成、構造の偏光子(偏光板)とすればよい。また、例えば、第1領域通過光及び第2領域通過光の一方の偏光成分を主としてS波(TE波)とし、第1領域通過光及び第2領域通過光の他方の偏光成分を主としてP波(TM波)とすればよい。第1領域通過光及び第2領域通過光の偏光状態は、直線偏光であってもよいし、円偏光(但し、回転方向が相互に逆の関係にある)であってもよい。一般に、振動方向が或る特定の向きだけの横波を偏光した波と呼び、この振動方向を偏光方向あるいは偏光軸と呼ぶ。光の電場の向きは偏光方向と一致する。消光比とは、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と平行である構成とする場合、第1領域にあっては、第1領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向である光の成分と電場の向きが第2の方向である光の成分の割合であり、第2領域にあっては、第2領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第2の方向である光の成分と電場の向きが第1の方向である光の成分の割合である。また、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と45度の角度を成す構成とする場合、第1領域にあっては、第1領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向と45度の角度を成す光の成分と135度の角度を成す光の成分の割合であり、第2領域にあっては、第2領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向と135度の角度を成す光の成分と45度の角度を成す光の成分の割合である。また、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と任意の角度(β)を成す構成とする場合、第1領域にあっては、第1領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向とβ度の角度を成す光の成分と(β+90)度の角度を成す光の成分の割合であり、第2領域にあっては、第2領域を通過する光に含まれる、電場の向きが第1の方向と(β+90)度の角度を成す光の成分とβ度の角度を成す光の成分の割合である。あるいは又、例えば、第1領域通過光の偏光成分が主としてP波であり、第2領域通過光の偏光成分が主としてS波である場合、第1領域にあっては、第1領域通過光に含まれるP偏光成分とS偏光成分の割合であり、第2領域にあっては、第2領域通過光に含まれるS偏光成分とP偏光成分の割合である。
【0021】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、撮像素子は、光電変換素子、並びに、その上あるいは上方に、カラーフィルタ、オンチップレンズ、及び、ワイヤグリッド偏光子が積層されて成り、ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する形態とすることができる。あるいは又、撮像素子は、光電変換素子、並びに、その上あるいは上方に、ワイヤグリッド偏光子、カラーフィルタ、及び、オンチップレンズが積層されて成り、ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する形態とすることができる。あるいは又、撮像素子は、光電変換素子、並びに、その上あるいは上方に、オンチップレンズ、カラーフィルタ、及び、ワイヤグリッド偏光子が積層されて成り、ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する形態とすることができる。但し、オンチップレンズ、カラーフィルタ、及び、ワイヤグリッド偏光子の積層順は、適宜、変更することができる。そして、これらの形態にあっては、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と平行である構成とする場合、ワイヤグリッド偏光子を構成する複数のワイヤの延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と平行である形態とすることができる。具体的には、第3領域を構成するワイヤグリッド偏光子にあっては、ワイヤの延びる方向は第2の方向と平行であり、第4領域を構成するワイヤグリッド偏光子にあっては、ワイヤの延びる方向は第1の方向と平行である。あるいは又、これらの形態にあっては、第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と45度の角度を成す構成とする場合、ワイヤグリッド偏光子を構成する複数のワイヤの延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と45度を成す形態とすることができる。具体的には、第3領域を構成するワイヤグリッド偏光子にあっては、ワイヤの延びる方向は第1の方向と135度の角度を成し、第4領域を構成するワイヤグリッド偏光子にあっては、ワイヤの延びる方向は第1の方向と45度の角度を成す。ワイヤの延びる方向がワイヤグリッド偏光子における光吸収軸となり、ワイヤの延びる方向と直交する方向がワイヤグリッド偏光子における光透過軸となる。以上の説明は、基本的に、本開示の第2の態様に係る撮像装置に対しても、第4領域に関する説明を除き、適用することができる。
【0022】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、所謂視野闘争の発生を回避するために、第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板(λ/4波長板)が配置されていることが望ましい。四分の一波長板を、常時、配置してもよいし、所望に応じて配置してもよい。具体的には、四分の一波長板を、レンズ系に設けられたフィルタ取付部に着脱自在に取り付ければよい。ここで、視野闘争とは、例えば、P波成分は反射するがS波成分は吸収する水面や窓等の被写体を撮像するとき、P波成分から得られた画像とS波成分から得られた画像を両眼へ提示したとき、融像が起こらず、一方の画像だけが優越して交互に見えたり、重なった領域で互いに抑制しあったりする現象を指す。四分の一波長板を通過した光は偏光方向が揃った状態となり、このような光が第1領域及び第3領域を通過して撮像素子アレイに到達して得られた画像と、第2領域及び第4領域を通過して撮像素子アレイに到達して得られた画像との間であって、P波成分は反射するがS波成分は吸収する被写体の部分の画像の間に、大きな相違が生じなくなり、視野闘争の発生を回避することができる。尚、四分の一波長板速軸は、第1領域通過光の電場の向きと45度の角度あるいは45度±10度の角度を成すことが好ましい。
【0023】
あるいは又、上述したように、本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、第1領域及び第2領域は偏光子から成り、第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交しており、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行である構成、あるいは又、第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す構成にあっては、
第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されており、
四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成す形態とすることができるし、あるいは又、
四分の一波長板は、第1の方向あるいは第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成り、
第1の四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成し、
第2の四分の一波長板の速軸は、第1の四分の一波長板の速軸と直交している(云い換えれば、第1の四分の一波長板の遅軸と平行である)形態とすることができ、これらの形態において、所定の角度は45度あるいは45度±10度である形態とすることができ、更には、これらの形態にあっては、
第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である形態とすることができる。更には、これらの形態において、
第1偏光手段はレンズ系に脱着自在に取り付けられており、
四分の一波長板はレンズ系に脱着自在に取り付けられている形態とすることができる。そして、更には、これらの形態において、四分の一波長板は第1偏光手段に隣接して、例えば第1偏光手段の光入射側に配設されている形態とすることができる。
【0024】
尚、四分の一波長板をレンズ系に脱着自在に取り付けるには、例えば、四分の一波長板をレンズの絞り羽根に類似した構成、構造とし、レンズ系内に配置すればよい。あるいは又、レンズ系において、四分の一波長板と開口部とが併設された部材を、レンズ系の光軸と平行な回動軸を中心として回動可能にこの回動軸に取り付け、係る部材を回動軸を中心として回動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、四分の一波長板を通過する構成、構造を挙げることができる。あるいは又、レンズ系において、四分の一波長板と開口部とが併設された部材を、例えばレンズ系の光軸と直交する方向に滑動自在にレンズ系に取り付け、係る部材を滑動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、四分の一波長板を通過する構成、構造を挙げることができる。尚、この場合、四分の一波長板を複数の部材から構成し、各部材をレンズ系の光軸と直交する方向に滑動自在とする構成を採用してもよい。
【0025】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、所謂視野闘争の発生を回避するために、
第1偏光手段の光入射側には、α度の偏光軸を有する偏光板が配置されており、
第1領域は第1波長板から成り、第2領域は第2波長板から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している構成とすることができる。そして、この場合、具体的には、
αの値は45度であり、
第1波長板は半波長板(+λ/2波長板)から成り、
第2波長板は、第1波長板を構成する半波長板とは位相差の異なる半波長板(−λ/2波長板)から成る構成とすることができる。尚、この場合、α度の偏光軸を有する偏光板はレンズ系に固定しておく。
【0026】
本開示の第2の態様に係る撮像方法にあっては、第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号(便宜上、『第1電気信号』と呼ぶ場合がある)を撮像素子において生成し、第4領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号(便宜上、『第2電気信号』と呼ぶ場合がある)を撮像素子において生成するが、撮像装置にあっては、第1電気信号及び第2電気信号に基づき得られた、右眼用及び左眼用の画像データ(あるいは、左眼用及び右眼用の画像データ)において輝度調整を行い、右眼用画像の輝度と左眼用画像の輝度を最適化することが望ましい。
【0027】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、撮像素子アレイはベイヤ配列を有し、1画素は4つの撮像素子から構成されており、1画素に対して、1つの第3領域及び/又は第4領域が配されている形態とすることができる。また、このような形態を含む以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、第1の方向に沿ってN個の画素(但し、例えば、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する形態とすることもできる。但し、撮像素子アレイの配列は、ベイヤ配列に限定されず、その他、インターライン配列、GストライプRB市松配列、GストライプRB完全市松配列、市松補色配列、ストライプ配列、斜めストライプ配列、原色色差配列、フィールド色差順次配列、フレーム色差順次配列、MOS型配列、改良MOS型配列、フレームインターリーブ配列、フィールドインターリーブ配列を挙げることができる。以上の説明は、基本的に、本開示の第2の態様に係る撮像装置に対しても適用することができる。
【0028】
また、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置等を用いた本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る撮像方法においては、第1の方向に沿ってN個の画素(但し、例えば、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する構成とすることができ、この場合、第3領域を通過した第1領域通過光によって得られる電気信号、及び、第4領域を通過した第2領域通過光によって得られる電気信号(本開示の第1の態様に係る撮像方法)、あるいは、第4領域を通過した第1領域通過光及び第2領域通過光によって得られる電気信号(本開示の第2の態様に係る撮像方法)から生成されたデプスマップ(奥行き情報)、並びに、撮像素子アレイを構成する全撮像素子からの電気信号に基づき、右眼用画像を得るための画像データ(右眼用画像データ)、及び、左眼用画像を得るための画像データ(左眼用画像データ)を得る構成とすることができる。
【0029】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置等にあっては、撮像素子アレイの配列をベイヤ配列としたとき、赤色を受光する赤色撮像素子及び青色を受光する青色撮像素子には第3領域及び第4領域を配置せず、緑色を受光する2つの緑色撮像素子の一方に第3領域を配し、他方に第4領域を配してもよい。あるいは又、撮像素子アレイの配列をベイヤ配列としたとき、赤色を受光する1つ赤色撮像素子、青色を受光する1つの青色撮像素子、及び、緑色を受光する2つの緑色撮像素子の内の第1の方向に隣接する2つの撮像素子(例えば、赤色を受光する赤色撮像素子及び緑色を受光する一方の緑色撮像素子)には第3領域あるいは第4領域を配し、残りの2つの撮像素子(例えば、青色を受光する青色撮像素子及び緑色を受光する他方の緑色撮像素子)には第4領域あるいは第3領域を配してもよい。あるいは又、撮像素子アレイの配列をベイヤ配列としたとき、赤色を受光する1つ赤色撮像素子、青色を受光する1つの青色撮像素子、及び、緑色を受光する2つの緑色撮像素子の内のいずれか1つの撮像素子(例えば、赤色を受光する1つ赤色撮像素子あるいは青色を受光する1つの青色撮像素子)には第3領域あるいは第4領域を配し、この撮像素子に第1の方向に隣接する撮像素子(例えば、緑色撮像素子)には第4領域あるいは第3領域を配してもよい。尚、これらの場合にも、第2の方向に沿ってN個の画素に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する構成とすることができるし、第1の方向に沿ってM個の画素に対して1つの第3領域あるいは1つの第4領域を配する構成とすることができる。以上の説明は、基本的に、本開示の第2の態様に係る撮像装置に対しても適用することができる。
【0030】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る撮像装置あるいは本開示の撮像方法(以下、これらを総称して、単に、『本開示』と呼ぶ場合がある)において、第1の方向を水平方向、第2の方向を垂直方向とすることができる。第2の方向に沿った第3領域及び第4領域の単位長さは、例えば、撮像素子の第2の方向に沿った長さと等しくすればよく(第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と平行である場合)、あるいは又、1撮像素子分の長さと等しくすればよい(第1領域通過光の電場の向きが第1の方向と45度の角度を成す場合)。レンズ系は、単焦点レンズとしてもよいし、所謂ズームレンズとしてもよく、レンズやレンズ系の構成、構造は、レンズ系に要求される仕様に基づき決定すればよい。撮像素子として、CCDセンサー、CMOSセンサー、CMD(Charge Modulation Device)型の信号増幅型イメージセンサーを挙げることができる。また、撮像装置として、表面照射型の固体撮像装置あるいは裏面照射型の固体撮像装置を挙げることができる。更には、第1の態様あるいは第2の態様に係る撮像装置から、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダ、所謂カメラ付きの携帯電話を構成することができる。
【0031】
本開示の第1の態様に係る撮像装置等において第3領域及び第4領域をワイヤグリッド偏光子から構成する場合、あるいは又、本開示の第2の態様に係る撮像装置等において第3領域をワイヤグリッド偏光子から構成する場合、
ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤは、限定するものではないが、アルミニウム(Al)あるいはアルミニウム合金から成り、
ワイヤの幅とワイヤのピッチとの比[(ワイヤの幅)/(ワイヤのピッチ)]の値は0.33以上であり、
ワイヤの高さは5×10-8m以上であり、
ワイヤは10本以上である構成とすることが好ましい。
【0032】
本開示の第1の態様に係る撮像装置等において、第1領域の重心点とは、第1領域の外形形状に基づき求められた重心点を指し、第2領域の重心点とは、第2領域の外形形状に基づき求められた重心点を指す。第1偏光手段の外形形状(入射瞳径)を半径rの円形とし、第1領域及び第2領域を、それぞれ、第1偏光手段の半分を占める半月状としたとき、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離は、簡単な計算から、[(8r)/(3π)]で求めることができる。また、本開示の第2の態様に係る撮像装置等において、第1領域の重心点とは、第1領域の外形形状に基づき求められた重心点を指し、第1偏光手段の重心点とは、第1偏光手段の外形形状(入射瞳径)に基づき求められた重心点を指す。第1偏光手段の外形形状(入射瞳径)を半径rの円形とし、第1領域及び第2領域を、それぞれ、第1偏光手段の半分を占める半月状としたとき、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離は、簡単な計算から、[(4r)/(3π)]で求めることができる。
【実施例1】
【0033】
実施例1は、本開示の第1の態様に係る撮像装置及び撮像方法に関し、より具体的には、被写体を立体画像として撮像する撮像装置及び撮像方法に関する。
【0034】
実施例1の撮像装置の概念図を図1の(A)に示し、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に図1の(B)及び(C)に示し、レンズ系、第1偏光手段における第1領域及び第2偏光手段における第3領域を通過し、撮像素子アレイに到達する光の概念図を図2の(A)に示し、第1偏光手段における第2領域及び第2偏光手段における第4領域を通過し、撮像素子アレイに到達する光の概念図を図2の(B)に示し、図2の(A)及び(B)に示した光によって撮像素子アレイに結像した画像を模式的に図2の(C)及び(D)に示す。尚、以下の説明において、光の進行方向をZ軸方向、第1の方向を水平方向(X軸方向)、第2の方向を垂直方向(Y軸方向)とする。
【0035】
実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例10の撮像装置は、
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段130,230,330,430,530,930、
(B)第1偏光手段130,230,330,430,530,930からの光を集光するレンズ系20、並びに、
(C)第1の方向(水平方向、X軸方向)、及び、第1の方向と直交する第2の方向(垂直方向、Y軸方向)の2次元マトリクス状に撮像素子41が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段150,250を有し、レンズ系20によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ40、
を具備している。
【0036】
そして、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例10の撮像装置において、
第1偏光手段130,230,330,430,530,930は、第1の方向(水平方向、X軸方向)に沿って配列された第1領域131,231,331,531,931及び第2領域132,232,332,532,932を有し、
第1領域131,231,331,531,931を通過した第1領域通過光L1の偏光状態と、第2領域132,232,332,532,932を通過した第2領域通過光L2の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段150,250は、第1の方向(水平方向、X軸方向)に沿って交互に配置され、第2の方向(垂直方向、Y軸方向)に延びる複数の第3領域151,251及び第4領域152,252を有し、
第3領域151,251を通過した第3領域通過光L3の偏光状態と、第4領域152,252を通過した第4領域通過光L4の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光L1は第3領域151,251を通過して撮像素子41に到達し、第2領域通過光L2は第4領域152,252を通過して撮像素子41に到達し、以て、第1領域131,231,331,531,931の重心点BC1と第2領域132,232,332,532,932の重心点BC2との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【0037】
ここで、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例11の撮像装置において、レンズ系20は、例えば、撮影レンズ21、絞り部22及び結像レンズ23を備えており、ズームレンズとして機能する。撮影レンズ21は、被写体からの入射光を集光するためのレンズである。撮影レンズ21は、焦点を合わせるためのフォーカスレンズや、被写体を拡大するためのズームレンズ等を含み、一般に、色収差等を補正するために複数枚のレンズの組合せによって実現されている。絞り部22は、集光された光の量を調整するために絞り込む機能を有するものであり、一般に、複数枚の板状の羽根を組み合わせて構成されている。少なくとも絞り部22の位置において、被写体の1点からの光は平行光となる。結像レンズ23は、第1偏光手段130,230,330,430,530,930,1130を通過した光を撮像素子アレイ40上に結像する。撮像素子アレイ40は、カメラ本体部11の内部に配置されている。以上の構成において、入射瞳は、結像レンズ23よりもカメラ本体部側に位置する。撮像装置から、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダが構成される。
【0038】
カメラ本体部11は、撮像素子アレイ40の他に、例えば、画像処理手段12及び画像記憶部13を備えている。そして、撮像素子アレイ40によって変換された電気信号に基づき右眼用画像データ及び左眼用画像データが形成される。撮像素子アレイ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー等によって実現される。画像処理手段12は、撮像素子アレイ40から出力された電気信号を、右眼用画像データ及び左眼用画像データに変換して、画像記憶部13に記録する。
【0039】
第1偏光手段130,230,330,430,530,930,1130は、レンズ系20の絞り部22の近傍に配置されている。具体的には、第1偏光手段130,230,330,430,530,930,1130は、絞り部22の作動に支障を来さない限り、出来るだけ絞り部22に近い位置に配置されている。尚、第1偏光手段130,230,330,430,530,930,1130は、上述したとおり、レンズ系20に入射した光が、一旦、平行光とされ、最終的に撮像素子41上に集光(結像)されるとき、平行光の状態にあるレンズ系20の部分に配置されている。
【0040】
実施例1の撮像装置110において、第1偏光手段130は第1領域131及び第2領域132から構成されている。具体的には、第1偏光手段130の外形形状は円形であり、第1領域131及び第2領域132は、それぞれ、第1偏光手段130の半分を占める半月状の外形形状を有する。第1領域131と第2領域132との境界線は、第2の方向に沿って延びている。2つの偏光フィルタの組合せから成る第1偏光手段130は、入射した光を2つの異なる偏光状態に分離する。第1偏光手段130は、上述したとおり、左右対称の偏光子から構成されており、カメラの正立状態に対する左右2つの位置において、互いに直交する直線方向の偏光、又は、互いに逆方向となる回転方向の偏光を生成する。第1領域131は、被写体を右眼で見るであろう像(右眼が受けるであろう光)に対して偏光を施すフィルタである。一方、第2領域132は、被写体を左眼で見るであろう像(左眼が受けるであろう光)に対して偏光を施すフィルタである。
【0041】
ここで、実施例1の撮像装置110において、第1領域131及び第2領域132は偏光子から成る。そして、第1領域通過光L1の電場の向き(白抜きの矢印で示す)と第2領域通過光L2の電場の向き(白抜きの矢印で示す)とは直交している(図1の(B)参照)。ここで、実施例1において、第1領域通過光L1の電場の向きは第1の方向と平行である。具体的には、例えば、第1領域通過光L1は主としてP波(TM波)を偏光成分として有し、第2領域通過光L2は主としてS波(TE波)を偏光成分として有する。更には、第1領域通過光L1の電場の向きと第3領域通過光L3の電場の向き(白抜きの矢印で示す)とは平行であり、第2領域通過光L2の電場の向きと第4領域通過光L4の電場の向き(白抜きの矢印で示す)とは平行である(図1の(C)参照)。また、各偏光子の消光比は、3以上、より具体的には10以上である。
【0042】
実施例1の撮像装置110にあっては、第1偏光手段130の外形形状を半径r=10mmの円形とした。そして、第1領域131及び第2領域132を、第1偏光手段130の半分を占める半月状とした。従って、第1領域131の重心点BC1と第2領域132の重心点BC2との間の距離は、[(8r)/(3π)]=8.5mmである。
【0043】
模式的な一部断面図を図3の(A)に示し、ワイヤグリッド偏光子67の配列状態を模式的に図3の(B)に示すように、撮像素子41は、例えば、シリコン半導体基板60に設けられた光電変換素子61、並びに、その上に、第1平坦化膜62、カラーフィルタ63、オンチップレンズ64、第2平坦化膜65、無機絶縁下地層66、及び、ワイヤグリッド偏光子67が積層されて成る。そして、ワイヤグリッド偏光子67が、第3領域151及び第4領域152のそれぞれを構成する。尚、図3の(B)においては、画素の境界領域を実線で示した。ワイヤグリッド偏光子67を構成する複数のワイヤ68の延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と平行である。具体的には、第3領域151を構成するワイヤグリッド偏光子67Aにあっては、ワイヤ68Aの延びる方向は第2の方向と平行であり、第4領域152を構成するワイヤグリッド偏光子67Bにあっては、ワイヤ68Bの延びる方向は第1の方向と平行である。ワイヤ68の延びる方向がワイヤグリッド偏光子67における光吸収軸となり、ワイヤ68の延びる方向と直交する方向がワイヤグリッド偏光子67における光透過軸となる。
【0044】
そして、実施例1の撮像方法にあっては、第3領域151を通過して撮像素子41に到達した第1領域通過光L1によって、右眼用画像データを得るための電気信号を撮像素子41において生成する。また、第4領域152を通過して撮像素子41に到達した第2領域通過光L2によって、左眼用画像データを得るための電気信号を撮像素子41において生成する。そして、これらの電気信号を、同時に、又は、時系列に交互に、出力する。出力された電気信号(撮像素子アレイ40から出力された右眼用画像データ及び左眼用画像データを得るための電気信号)に対して、画像処理手段12によって画像処理が施され、右眼用画像データ及び左眼用画像データとして画像記憶部13に記録される。
【0045】
図2の(A)及び(B)に模式的に示すように、四角い形状の物体Aにレンズ系20のピントが合っているとする。また、丸い形状の物体Bが、物体Aよりもレンズ系20に近く位置しているとする。四角い物体Aの像が、ピントが合った状態で撮像素子アレイ40上に結像する。また、丸い物体B像は、ピントが合っていない状態で撮像素子アレイ40上に結像する。そして、図2の(A)に示す例にあっては、撮像素子アレイ40上では、物体Bは、物体Aの右手側に距離(+ΔX)だけ離れた位置に像を結ぶ。一方、図2の(B)に示す例にあっては、撮像素子アレイ40上では、物体Bは、物体Aの左手側に距離(−ΔX)だけ離れた位置に像を結ぶ。従って、距離(2×ΔX)が物体Bの奥行きに関する情報となる。即ち、物体Aよりも撮像装置に近い側に位置する物体のボケ量及びボケ方向は、撮像装置に遠い側に位置する物体のボケ量及びボケ方向と異なるし、物体Aと物体Bとの距離によって物体Bのボケ量は異なる。そして、第1偏光手段130における第1領域131及び第2領域132の形状の重心位置の間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得ることができる。即ち、このようにして得られた右眼用画像(図2の(C)の模式図参照)及び左眼用画像(図2の(D)の模式図参照)から、周知の方法に基づき立体画像を得ることができる。尚、右眼用画像データと左眼用画像データとを混合すれば、立体画像ではない、通常の2次元(平面)画像を得ることができる。
【0046】
図4に概念図を示すように、実施例1にあっては、撮像素子アレイ40はベイヤ配列を有し、1画素は4つの撮像素子(赤色を受光する1つの赤色撮像素子R、青色を受光する1つの青色撮像素子B、及び、緑色を受光する2つの緑色撮像素子G)から構成されている。そして、第2の方向に延びる1列の画素群に対して第3領域151が配置されており、同様に、この画素群に第1の方向において隣接し、第2の方向に延びる1列の画素群に対して第4領域152が配置されている。第3領域151と第4領域152とは、第1の方向に沿って交互に配置されている。尚、第3領域151及び第4領域152は全体として第2の方向に延びているが、第3領域151及び第4領域152の第1の方向及び第2の方向に沿った単位長さは、撮像素子41の第1の方向及び第2の方向に沿った長さと等しい。そして、このような構成とすることで、主としてP波成分を有する光に基づく第2の方向に延びる帯状の画像(右眼用画像)、及び、主としてS波成分を有する光に基づく第2の方向に延びる帯状の画像(左眼用画像)が、第1の方向に沿って交互に生成される。尚、図4において、第3領域151の内部に縦線を付し、第4領域152の内部に横線を付しているが、これらは、ワイヤグリッド偏光子67A,67Bのワイヤを模式的に表している。
【0047】
右眼用画像データ及び左眼用画像データのための電気信号は、上述したとおり、第1の方向に沿って、一種、歯抜け状態となって生成される。そこで、画像処理手段12は、右眼用画像データ及び左眼用画像データ作成のために、電気信号に対してデモザイク処理を施すと共に、例えば、超解像処理に基づく補間処理を行うことにより、最終的に右眼用画像データ及び左眼用画像データを生成、作成する。また、例えば、左眼用画像データと右眼用画像データからステレオマッチングによりデイスパリティ・マップ(Disparity Map)を作成するといった視差検出技術、及び、デイスパリティ・マップを基に視差を制御する視差制御技術により、視差を強調したり、適切化を図ることもできる。
【0048】
図5に、撮像素子から得られた電気信号に対するデモザイク処理を行い、信号値を得る画像処理(モザイク処理)を説明するためのベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図を示す。尚、図5には、左眼用画像における緑色撮像素子に関する信号値を生成する例について示している。通常のデモザイク処理では、近傍の同一色の撮像素子の電気信号の平均値が用いられるのが一般的である。しかしながら、実施例1のように右眼用画像データを得るための画素群(画素列)と左眼用画像データを得るための画素群(画素列)とが交互に繰り返されている場合、そのまま、近傍の値を用いると本来の画像データが得られなくなる虞がある。そこで、参照される撮像素子の電気信号が右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れに相当するものであるかを考慮した上で、デモザイク処理を行う。
【0049】
ベイヤ配列において、位置(4,2)には赤色撮像素子Rが配置されているものとする。このとき、位置(4,2)に相当する緑色撮像素子信号値g’を生成するためには、次式によって表される演算を行う。
【0050】
g’4,2=(g4,1+g4,3+g5,2+g4,5×W3)/(3.0+W3)
【0051】
ここで、左辺のg’i,jは、位置(i,j)における緑色撮像素子信号値である。また、右辺のgi,jは、位置(i,j)における緑色撮像素子の電気信号の値である。更には、「3.0」は、注目撮像素子G4,2に対する隣接撮像素子G4,1,G4,3,G5,2への距離(W1)をそれぞれ例えば「1.0」としたとき、その逆数を重みとして、それら重みの総和に対応するものである。W3は、同様に、3撮像素子分だけ離れた撮像素子G4,5の電気信号の値に対する重みであり、この場合、「1/3」である。上式を一般化すると、次式のようになる。
【0052】
iが偶数の場合(赤色撮像素子Rの位置に相当する緑色撮像素子Gの信号値);
g’i,j=(gi,j-1×W1+gi,j+1×W1+gi+1,j×W1+gi,j+3×W3)/(W1×3.0+W3)
iが奇数の場合(青色撮像素子Bの位置に相当する緑色撮像素子Gの信号値);
g’i,j=(gi,j-1×W1+gi,j+1×W1+gi-1,j×W1+gi,j-3×W3)/(W1×3.0+W3)
ここで、W1=1.0,W3=1/3である。
【0053】
赤色撮像素子R及び青色撮像素子Bについても、同様の考え方によりデモザイク処理を行うことができる。
【0054】
デモザイク処理により各撮像素子位置における撮像素子信号値を得ることができるが、この段階では、上述したとおり、一種、歯抜け状態となっている。そのため、撮像素子信号値が存在しない領域に対して、撮像素子信号値を補間により生成する必要がある。補間の手法としては、近傍の値の加算平均値を利用する方法等、周知の方法を挙げることができる。尚、この補間処理は、デモザイク処理と並行して行ってもよい。第2の方向においては画質は完全に保持されているので、画像全体の解像度低下等の画質劣化は比較的少ない。
【0055】
実施例1においては、1組の第1偏光手段130及び第2偏光手段150並びに1つのレンズ系20から撮像装置110が構成されているので、例えば左右に分離された2つの異なる画像を同時に生成させることができ、単眼で、簡素な構成、構造を有し、構成部品の少ない、小型の撮像装置を提供することができる。また、レンズ及び偏光フィルタの組合せを2組、必要としないので、ズーム、絞り部、フォーカス、輻輳角等にズレや差異が生じることもない。しかも、両眼視差の基線長さが比較的短いので、自然な立体感を得ることができる。更には、第1偏光手段130を脱着させ得る構造とすれば、容易に、2次元画像及び3次元画像を得ることができる。
【実施例2】
【0056】
実施例2は実施例1の変形である。実施例1にあっては、第1領域通過光L1の電場の向きを第1の方向と平行とした。一方、実施例2にあっては、第1領域通過光L1の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す。実施例2の撮像装置に備えられた第1偏光手段230及び第2偏光手段250における偏光の状態を、模式的に図6の(A)及び(B)に示す。
【0057】
ベイヤ配列を有する撮像素子アレイ40の概念図を図7に示す。実施例2にあっても、撮像素子アレイ40は、1画素は4つの撮像素子(赤色を受光する1つの赤色撮像素子R、青色を受光する1つの青色撮像素子B、及び、緑色を受光する2つの緑色撮像素子G)から構成されている。そして、第2の方向に延びる1列の画素群に対して第3領域251が配置されており、同様に、この画素群に第1の方向に隣接し、第2の方向に延びる1列の画素群に対して第4領域252が配置されている。第3領域251と第4領域252とは、第1の方向に沿って交互に配置されている。尚、第3領域251及び第4領域252は全体として第2の方向に延びているが、第3領域251及び第4領域252の単位長さは、1撮像素子分の長さと等しい。そして、このような構成とすることで、主としてP波成分を有する光に基づく第2の方向に延びる帯状の画像(右眼用画像)、及び、主としてS波成分を有する光に基づく第2の方向に延びる帯状の画像(左眼用画像)が、第1の方向に沿って交互に生成される。尚、図7において、第3領域251及び第4領域252の内部に斜め線を付しているが、これらは、ワイヤグリッド偏光子のワイヤを模式的に表している。
【0058】
これらの点を除き、実施例2の撮像装置の構成、構造は、実施例1にて説明した撮像装置110の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。実施例2における撮像装置の構成、構造を、後述する実施例3〜実施例11における撮像装置に対して適用することができる。
【実施例3】
【0059】
実施例3も実施例1の変形である。実施例3の撮像装置にあっては、第1偏光手段330において、第1領域331と第2領域332との間に中央領域333が設けられており、中央領域333を通過した中央領域通過光の偏光状態は、中央領域333への入射前と変化しない。即ち、中央領域333は、偏光に関して素通し状態である。
【0060】
ところで、入射した光が第1偏光手段を通過する際に、その光量は分光特性と消光比に比例して減少し、暗くなる。ここで、消光比とは、偏光子が選択して通過する光の量と、偏光子が選択せず、反射又は吸収する光の漏れこみ量の比である。具体的には、例えば、消光比10のP波成分を通過させる偏光子の場合、
P波成分:S波成分=50:50
の入射自然光の強度100に対して、この偏光子は、P波成分を50、S波成分を5の割合で透過する。また、消光比∞のP波成分を通過させる偏光子の場合、P波成分を100%透過し、S波成分を全反射し、又は、完全に吸収し、透過させないので、平均的な自然光が入射した場合、約1/2の明るさになる。図1の(B)及び(C)に示した第1偏光手段130及び第2偏光手段150を通過した光の光量は、透過損失がゼロとしても、第1偏光手段130に入射する前の光の光量の約25%となってしまう。また、第1領域及び第2領域を通過した光が、混ざった状態になり、分離できない状態で撮像素子アレイ40に入射した場合、混ざった割合に比例して両眼視差の基線長さが短くなり、完全に混ざった状態では左眼用画像と右眼用画像が同一の画像となり、視差が取れず、立体視することができなくなる。
【0061】
第1偏光手段330の中央領域333にあっては、光強度が強いが、視差量は少ない。従って、実施例3の第1偏光手段330を採用することで、撮像素子アレイ40が受ける光強度を大きくしながら、十分な長さの両眼視差の基線長さを確保することが可能となる。図8の(A)に第1偏光手段330の模式図を示すように、第1偏光手段330の外形形状を円形としたとき、中央領域333を円形とし、第1領域331及び第2領域332を、中央領域333を囲む中心角180度の扇形とすることができる。あるいは又、図8の(B)、(C)に第1偏光手段330の模式図を示すように、中央領域333を菱形や正方形とし、第1領域331及び第2領域332を、中央領域333を囲む中心角180度の扇形に類似した形状とすることができる。あるいは又、図8の(D)に第1偏光手段330の模式図を示すように、第1領域331、中央領域333及び第2領域332を、第2の方向に沿って延びる帯状の形状とすることができる。
【0062】
これらの点を除き、実施例3の撮像装置の構成、構造は、実施例1にて説明した撮像装置110の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。実施例3における撮像装置の構成、構造を、後述する実施例4〜実施例11における撮像装置に対して適用することができる。
【実施例4】
【0063】
実施例4も実施例1の変形である。実施例4の撮像装置410の概念図を図9に示す。実施例4の撮像装置410にあっては、第1偏光手段430の光入射側に、四分の一波長板(λ/4波長板)433が配置されており、これによって、所謂視野闘争の発生を回避することができる。四分の一波長板433は、レンズ系に設けられたフィルタ取付部に、着脱自在に取り付ければよい。四分の一波長板433を通過した光は偏光方向が揃った状態(直線偏光の状態)となる。そして、このような光が第1領域131及び第3領域151を通過して撮像素子アレイ40に到達して得られた画像と、第2領域132及び第4領域152を通過して撮像素子アレイ40に到達して得られた画像とにあっては、P波成分は反射するがS波成分は吸収する被写体の部分の画像の間に大きな相違が生じなくなり、視野闘争の発生を回避することができる。尚、実施例4における撮像装置410の構成、構造を、後述する実施例6〜実施例8における撮像装置に対して適用することができる。また、四分の一波長板433の速軸は、実施例1あるいは実施例2において説明した撮像装置において、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度(具体的には、45度の角度あるいは45度±10度の角度)を成すことが好ましい。
【実施例5】
【0064】
実施例5も実施例1の変形である。実施例5の撮像装置510の概念図を図10の(A)に示し、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に図10の(B)及び(C)に示す。実施例5の撮像装置510においては、視野闘争の発生を回避するために、第1偏光手段530の光入射側には、α度の偏光軸を有する偏光板534が配置されている。また、第1領域531は第1波長板から成り、第2領域532は第2波長板から成り、第1領域通過光L1の電場の向きと第2領域通過光L2の電場の向きとは直交している。より具体的には、αの値は45度であり、第1領域531を構成する第1波長板は半波長板(+λ/2波長板)から成り、第2領域532を構成する第2波長板は、第1波長板を構成する半波長板とは位相差の異なる半波長板(−λ/2波長板)から成る。これによって、第1領域通過光L1の電場の向きは第1の方向と平行となり、第2領域通過光L2の電場の向きは第2の方向と平行となる。尚、偏光板534はレンズ系に固定しておく。実施例5における撮像装置510においても、効果的に視野闘争の発生を回避することができる。また、実施例5における撮像装置510の構成、構造を、後述する実施例6〜実施例11における撮像装置に対して適用することができる。
【実施例6】
【0065】
実施例6も実施例1の変形である。実施例6にあっては、消光比と視差の関係を調べた。即ち、左右分離した画像が混ざりあった場合、どこまで混ざれば視差がなくなるか、即ち、立体視できなくなるかを、消光比=∞(0%クロストークであり、完全に、左眼用画像と右眼用画像が分離された状態)から、消光比=1(50%クロストークであり、左眼用画像と右眼用画像とが完全に混ざり合った状態であり、左眼用画像と右眼用画像とは同じ画像である)まで、消光比を変えて合成画像シミュレーションを行った。その結果、消光比=∞の場合から、消光比=3(25%クロストーク)、消光比10(10%クロストーク)となるに従い、左眼用画像と右眼用画像の相違が少なくなり、消光比=1にあっては左眼用画像と右眼用画像とでは同じとなった。そして、試験の結果から、偏光子の消光比は3以上であることが望ましいことが判った。
【実施例7】
【0066】
実施例7も実施例1の変形である。実施例7にあっては、ワイヤグリッド偏光子の諸元と消光比の関係を計算から求めた。具体的には、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤのピッチと入射光の波長(λ)と消光比の関係を図11の(A)に示す。尚、ワイヤの幅をワイヤのピッチの1/3とし、ワイヤの高さを150nmとし、ワイヤの長さを無限大とした。図11の(A)において、曲線「A」はピッチ150nmの場合のデータであり、曲線「B」はピッチ175nmの場合のデータであり、曲線「C」はピッチ200nmの場合のデータであり、曲線「D」はピッチ250nmの場合のデータであり、曲線「E」はピッチ300nmの場合のデータである。また、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの高さと入射光の波長(λ)と消光比の関係を図11の(B)に示す。尚、ワイヤの幅を50nmとし、ワイヤの長さを無限大とし、ワイヤのピッチを150nmとした。図11の(B)において、曲線「A」は高さ250nmの場合のデータであり、曲線「B」は高さ200nmの場合のデータであり、曲線「C」は高さ150nmの場合のデータであり、曲線「D」は高さ100nmの場合のデータである。更に、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの(幅/ピッチ)と入射光の波長(λ)と消光比の関係を図11の(C)に示す。尚、ワイヤの幅を50nmとし、ワイヤの高さを150nmとし、ワイヤの長さを無限大とした。図11の(C)において、曲線「A」は(幅/ピッチ)の値が0.50の場合のデータであり、曲線「B」は(幅/ピッチ)の値が0.33の場合のデータである。
【0067】
図11の(A)から、例えば、消光比を10以上とするためには、ワイヤのピッチは200nm以下であることが望ましく、ワイヤの高さは5×10-8m(50nm)以上であることが望ましく、ワイヤの(幅/ピッチ)の値は0.33以上であることが望ましいことが判った。更には、ワイヤは10本以上である構成とすることが好ましい。
【0068】
また、2本のワイヤの長さと入射光の波長(λ)と消光比の関係を図12に示す。尚、ワイヤの幅を50nmとし、ワイヤの高さを150nmとし、ワイヤのピッチをワイヤの幅の3倍とした。図12において、「A」は長さ1μmの場合のデータであり、「B」は長さ2μmの場合のデータであり、「C」は長さ3μmの場合のデータであり、「D」は長さ4μmの場合のデータであり、「E」は長さ5μmの場合のデータであり、「F」は長さ6μmの場合のデータであり、「G」は長さ無限大の場合のデータである。図12から、消光比を10以上とするためには、ワイヤの長さを2μm以上、好ましくは3μm以上とすることが望ましいことが判った。更には、加工のし易さから、ワイヤを構成する材料を、アルミニウムあるいはアルミニウム合金とすることが望ましいことが判った。
【実施例8】
【0069】
実施例8も実施例1の変形である。図13に、ベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図を示すように、実施例8の撮像装置にあっては、第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数であり、実施例8にあっては、具体的には、n=3)に対して1つの第3領域151及び1つの第4領域152が配されている。そして、第3領域151を通過した第1領域通過光によって得られる電気信号及び第4領域152を通過した第2領域通過光によって得られる電気信号から生成された視差量に基づくデプスマップ(奥行き情報)、並びに、撮像素子アレイ40を構成する全撮像素子41からの電気信号に基づき、右眼用画像を得るための電気信号及び左眼用画像を得るための電気信号を得るが、係る方法それ自体は周知の方法とすることができる。尚、第3領域及び第4領域を配置した撮像素子と配置していない撮像素子の全てを含む全電気信号に基づきデモザイク処理を行ってもよいし、第3領域及び第4領域を配置した撮像素子群の列を間引いた部分を超解像処理により補間して画像データを生成することも可能である。また、画像の画質・画素数に対して、デプスマップの画質・画素数は、1:1である必要はない。これは、殆どの撮影場面において、個々の被写体は、画素分解能に比べて十分大きく、個々の被写体に、画素分解能と同じ細かさの距離差がない限り、画像の画素分解能と同じ距離情報分解能が必要になることはないためである。
【0070】
あるいは又、実施例8の撮像装置の変形例におけるベイヤ配列を有する撮像素子アレイの概念図を図14に示すが、第2の方向に沿って2個の画素に対して1つの第3領域151及び1つの第4領域152を配する構成とすることができる。尚、図14に示す例にあっては、第3領域151及び第4領域152は千鳥状(市松模様状)に配置されている。即ち、第1の方向に沿って、第3領域151の一方の境界において第4領域152と隣接しているが、第3領域151の他方の境界においては第4領域152と隣接していない。
【実施例9】
【0071】
実施例9は、実施例1〜実施例3、実施例5〜実施例8の撮像装置の変形である。実施例9の撮像装置の概念図を図15の(A)に示し、四分の一波長板の概念図を図15の(B)に示し、第1偏光手段における偏光の状態を模式的に図15の(C)に示し、偏光手段(第2偏光手段)における偏光の状態を模式的に図15の(D)に示す。
【0072】
実施例9の撮像装置910にあっては、第1偏光手段930の光入射側に、四分の一波長板933が備えられている。そして、四分の一波長板933の速軸(図15の(B)、図16の(A)、(D)、(E)にあっては、黒色の矢印で示す)は、第1領域通過光L1の電場の向きと所定の角度を成す。尚、第1領域通過光L1の電場の向きと第3領域通過光L3の電場の向きとは平行であり、第2領域通過光L2の電場の向きと第4領域通過光L4の電場の向きとは平行である。ここで、所定の角度は45度あるいは45度±10度である。以下においても同様である。また、第3領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは直交している。第3領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行であり(図15の(D)参照)、あるいは又、第3領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す(図16の(C)参照)。四分の一波長板933は、レンズの絞り羽根に類似した構成、構造を有し、レンズ系20内に配置されている。
【0073】
第1偏光手段930はレンズ系20に脱着自在に取り付けられており、四分の一波長板933もレンズ系20に脱着自在に取り付けられている。四分の一波長板933は第1偏光手段930に隣接して配設されている。図15の(A)にあっては、光入射側から、四分の一波長板933及び第1偏光手段930の順に図示したが、場合によっては、第1偏光手段930及び四分の一波長板933の順に配置してもよい。光入射側から四分の一波長板933及び第1偏光手段930の順に配置し、四分の一波長板933及び第1偏光手段930をレンズ系に配することで3次元画像(立体画像)を撮像することができるし、あるいは又、第1偏光手段930をレンズ系に配し、且つ、四分の一波長板933をレンズ系から外すことで3次元画像(立体画像)を撮像することができるし、四分の一波長板933をレンズ系に配し、第1偏光手段930をレンズ系から外すことで2次元画像を撮像することができる。一方、光入射側から第1偏光手段930及び四分の一波長板933の順に配置し、第1偏光手段930をレンズ系に配し、四分の一波長板933をレンズ系から外すことで3次元画像(立体画像)を撮像することができるし、四分の一波長板933をレンズ系に配し、第1偏光手段930をレンズ系から外すことで2次元画像を撮像することができる。図15の(B)に右上45度方向に延びる黒色の矢印で示した四分の一波長板933の速軸は、このような方向に限定するものではなく、左上45度方向に延びていてもよい。また、図16の(A)、(B)及び(C)のそれぞれに、実施例9の撮像装置における四分の一波長板の概念図、第1偏光手段における偏光の状態、偏光手段(第2偏光手段)における偏光の状態の変形例を図示するが、この例は、図6に示した実施例2の変形である。
【0074】
第1偏光手段930をレンズ系20から外し、通常の2次元画像の撮影を試みた場合、撮像装置に入射する光が直線偏光を含んでいると、第3領域151,251を通過した光の強度と、第4領域152,252を通過した光の強度との間に、差が生じ、得られた2次元画像には、縞状の光の濃淡が生じる場合がある。実施例9の撮像装置にあっては、速軸が、第3領域通過光の電場の向きと所定の角度(具体的には、45度あるいは45度±10度)を成す四分の一波長板933が組み込まれるので、四分の一波長板933に入射した直線偏光の光は円偏光状態の光となって四分の一波長板933から出射される。従って、第3領域151,251を通過した光の強度と、第4領域152,252を通過した光の強度との間に、差が生じ難く、得られた2次元画像には、縞状の光の濃淡が生じる虞が無い。
【実施例10】
【0075】
実施例10は、実施例9の変形である。実施例10の撮像装置における四分の一波長板の概念図を図16の(D)あるいは図16の(E)に示すように、実施例10において、四分の一波長板933は、第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板933A及び第2の四分の一波長板933Bから成る。第1の四分の一波長板933Aと第2の四分の一波長板933Bとは一体化されている。そして、第1の四分の一波長板933Aの速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成し、第2の四分の一波長板933Bの速軸は、第1の四分の一波長板933Aの速軸と直交している。云い換えれば、第1の四分の一波長板933Aの遅軸と平行である。ここで、所定の角度は45度あるいは45度±10度である。尚、図16の(D)に示した例は、図15の(B)に示した例の変形であり、図16の(E)に示した例は、図16の(B)に示した例の変形である。以上の点を除き、実施例10の撮像装置は、実施例9の撮像装置と同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。四分の一波長板933を第1の四分の一波長板933A及び第2の四分の一波長板933Bから構成することで、第3領域151,251を通過した光の強度と、第4領域152,252を通過した光の強度との間に、より差が生じ難くなる。尚、図16の(D)及び(E)に示した例では、四分の一波長板は、第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成るが、代替的に、四分の一波長板は、第1の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成る構成とすることもできる。
【実施例11】
【0076】
実施例11は、本開示の第2の態様に係る撮像装置及び撮像方法に関し、より具体的には、被写体を立体画像として撮像する撮像装置及び撮像方法に関する。実施例11の撮像装置の概念図を図17の(A)に示し、第1偏光手段及び第2偏光手段における偏光の状態を模式的に図17の(B)及び(C)に示す。
【0077】
実施例11の撮像装置1110は、
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段1130、
(B)第1偏光手段1130からの光を集光するレンズ系20、並びに、
(C)第1の方向(水平方向、X軸方向)、及び、第1の方向と直交する第2の方向(垂直方向、Y軸方向)の2次元マトリクス状に撮像素子41が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段1150を有し、レンズ系20によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ40、
を具備している。
【0078】
そして、第1偏光手段1130は、第1の方向(水平方向、X軸方向)に沿って配列された第1領域1131及び第2領域1132を有し、
第1領域1131を通過した第1領域通過光L1の偏光状態と、第2領域1132を通過した第2領域通過光L2の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段1150は、第1の方向(水平方向、X軸方向)に沿って交互に配置され、第2の方向(垂直方向、Y軸方向)に延びる複数の第3領域1151及び第4領域1152を有し、
第3領域1151を通過した第3領域通過光L3は偏光状態にあり、第4領域1152を通過した第4領域通過光L4は非偏光状態にあり(即ち、第1領域通過光L1及び第2領域通過光L2が混合された状態にあり)、
第1領域通過光L1は第3領域1151を通過して撮像素子41に到達し、第1領域通過光L1及び第2領域通過光L2は第4領域1152を通過して撮像素子41に到達し、以て、第1領域1131の重心点BC1’と第1偏光手段1130の重心点BC0’との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する。
【0079】
実施例11の撮像装置1110においても、第1偏光手段1130は第1領域1131及び第2領域1132から構成されている。具体的には、第1偏光手段1130の外形形状は円形であり、第1領域1131及び第2領域1132は、それぞれ、第1偏光手段1130の半分を占める半月状の外形形状を有する。第1領域1131と第2領域1132との境界線は、第2の方向に沿って延びている。2つの偏光フィルタの組合せから成る第1偏光手段1130は、入射した光を2つの異なる偏光状態に分離する。第1偏光手段1130は、上述したとおり、左右対称の偏光子から構成されており、カメラの正立状態に対する左右2つの位置において、互いに直交する直線方向の偏光、又は、互いに逆方向となる回転方向の偏光を生成する。第1領域1131は、被写体を右眼で見るであろう像(右眼が受けるであろう光)に対して偏光を施すフィルタである。また、第1領域1131及び第2領域1132は、被写体を左眼で見るであろう像(左眼が受けるであろう光)に対して偏光を施すフィルタである。尚、第1偏光手段1130は、実質的に、実施例1において説明した第1偏光手段130と同様とすることができる。
【0080】
第3領域1151は、実質的に、実施例1において説明したと同様の構成、構造を有し、第3領域1151を通過した第3領域通過光L3は偏光状態にあり、第1領域通過光L1の電場の向きと第3領域通過光L3の電場の向き(白抜きの矢印で示す)とは平行である。偏光子の消光比は、3以上、より具体的には10以上である。第3領域1151は、ワイヤグリッド偏光子から成り、ワイヤの延びる方向は第2の方向と平行である。従って、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの長さの最大値は、第2の方向に配列された画素の長さである。ところで、ワイヤグリッド偏光子の長さと消光比との関係は、実施例7において説明したとおりである。このように実施例11にあっては、ワイヤグリッド偏光子を構成するワイヤの長さを十分に長くすることができるので、消光比の値を高くすることができ、左眼用画像と右眼用画像の高い分離能を達成することが可能となる。一方、第4領域1152には、偏光子は配されていない。
【0081】
実施例11の撮像装置1110にあっては、第1偏光手段1130の外形形状を半径r=10mmの円形とした。そして、第1領域1131及び第2領域1132を、第1偏光手段130の半分を占める半月状とした。従って、第1領域131の重心点BC1’と第1偏光手段1130の重心点BC0’との間の距離は、[(4r)/(3π)]=4.2mmである。
【0082】
そして、実施例11の撮像方法にあっては、第3領域1151を通過して撮像素子41に到達した第1領域通過光L1によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像(実施例11にあっては、具体的には、右眼用画像。右眼用画像データ)を得るための電気信号(第1電気信号)を撮像素子41において生成する。また、第4領域1152を通過して撮像素子41に到達した第1領域通過光L1及び第2領域通過光L2によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像(実施例11にあっては、具体的には、左眼用画像。左眼用画像データ)を得るための電気信号(第2電気信号)を撮像素子41において生成する。そして、これらの電気信号(第1電気信号及び第2電気信号)を、同時に、又は、時系列に交互に、出力する。出力された電気信号(撮像素子アレイ40から出力された右眼用画像データ及び左眼用画像データを得るための電気信号)に対して、画像処理手段12によって画像処理が施され、右眼用画像データ及び左眼用画像データとして画像記憶部13に記録される。尚、右眼用画像データと左眼用画像データとを混合すれば、立体画像ではない、通常の2次元(平面)画像を得ることができる。
【0083】
撮像素子アレイ40は、各実施例において説明したと同様のベイヤ配列を有していればよいし、画像処理手段12における右眼用画像データ及び左眼用画像データ作成も、例えば、実施例1において説明したと同様とすればよい。また、実施例2〜実施例10にて説明した構成、構造を、実施例11に適用することもできる。
【0084】
実施例11においても、1組の第1偏光手段1130及び第2偏光手段1150並びに1つのレンズ系20から撮像装置1110が構成されているので、例えば左右に分離された2つの異なる画像を同時に生成させることができ、単眼で、簡素な構成、構造を有し、構成部品の少ない、小型の撮像装置を提供することができる。また、レンズ及び偏光フィルタの組合せを2組、必要としないので、ズーム、絞り部、フォーカス、輻輳角等にズレや差異が生じることもない。しかも、両眼視差の基線長さが比較的短いので、自然な立体感を得ることができる。更には、第1偏光手段1130を脱着させ得る構造とすれば、容易に、2次元画像及び3次元画像を得ることができる。
【実施例12】
【0085】
実施例12あるいは次に述べる実施例13は、レンズ系に関する。実施例12あるいは実施例13において、模式的な一部断面図を図18の(A)及び(B)に示すように、レンズ系は、1つの単焦点レンズ80,90、及び、単焦点レンズ80,90の前面あるいは前方(物体側)に配置された絞り部86,96から構成されている。絞り部86,96は、具体的には、単焦点レンズ80,90の前面上(物体側)に配置されている。即ち、前絞り型の単焦点レンズから構成されている。そして、第1偏光手段130はレンズ系80,90の絞り部86,96の近傍に配置されており、第1偏光手段130は、レンズ系80,90に脱着自在に取り付けられている。また、1つの単焦点レンズ80,90は、全体として撮像素子アレイ40に対して前後に移動可能であり、即ち、全群繰り出し機構を備えており、これによってオートフォーカス機能を発現する。絞り部86,96よりも物体側に配置される第1偏光手段130と1つの単焦点レンズ80,90との間の最短距離Dminは0.6mm以下、具体的には、0.05mm以上、0.6mm以下である。
【0086】
実施例12あるいは後述する実施例13にあっては、第2偏光手段150(図18の(A)及び(B)には図示せず)を有する撮像素子アレイ40は、ベース70に取り付けられている。また、第1偏光手段130と開口部とが併設された部材(図18の(A)及び(B)においては、第1偏光手段130のみを図示した)は、回動・支持部材71に取り付けられ、回動・支持部材71はベース70に取り付けられている。第1偏光手段130と開口部とが併設された部材を、レンズ系の光軸と平行な回動軸(回動・支持部材71に含まれているが、図示せず)を中心として回動可能にこの回動軸に取り付け、係る部材を回動軸を中心として回動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、第1偏光手段130を通過する。このような構成によって、第1偏光手段130は、レンズ系に対して脱着自在に取り付けられている。あるいは又、レンズ系において、第1偏光手段130と開口部とが併設された部材を、例えばレンズ系の光軸と直交する方向に滑動自在にレンズ系に取り付け、係る部材を滑動させることで、レンズ系を通過する光線が開口部を通過し、あるいは、第1偏光手段を通過する構成、構造を挙げることができる。尚、この場合、第1偏光手段130と開口部とが併設された部材は、1つの部材から構成されていてもよいし、複数の部材片から構成されていてもよい。
【0087】
実施例12にあっては、1/3.2サイズ、1.12μmピッチの13メガピクセルのCMOSイメージセンサーを用いた。そして、第1偏光手段130の脱着によって、容易に、2次元画像及び3次元画像を得ることができる。
【0088】
実施例12にあっては、単焦点レンズ80を、Fno=2.8、焦点距離=4.21mm、水平画角56度、光学全長5.0mmの4群4枚構成とした。ここで、単焦点レンズ80は、物体側から、順に、第1レンズ81、第2レンズ82、第3レンズ83、第4レンズ84の撮像レンズ群から構成され、第1レンズ81、第2レンズ82及び第3レンズ83によって正パワー/負パワー/正パワーのトリプレット構成とされ、像面及び撮像素子アレイ40に入射する光線入射角を最適化する第4レンズ84が加わり、小型高解像度レンズとして最適な機能を有する。MTFは220(lps/mm)で約50%あり、このような高解像度レンズを実現するためには、レンズ群の偏芯精度を3μm程度に抑える必要がある。そのためには、精度1μm程度に抑えた一体の鏡筒74において、高い精度のレンズ群を精度良く組み立てる必要がある。このため、オートフォーカス方式としては、撮像レンズ群の部分繰り出し方式よりも、全群繰り出し方式が最適である。それ故、実施例12あるいは実施例13にあっては、ボイスコイル式の駆動方式のオートフォーカス機構を採用した。具体的には、単焦点レンズ80,90の鏡筒の周りにフォーカスコイル76を巻き、その周囲にマグネット75を配置し、フォーカスコイル76に電流を流すことで、単焦点レンズ80,90は、全体として撮像素子アレイ40に対して前後に移動可能である。尚、鏡筒74は板バネ73を介して支持部材72に取り付けられ、支持部材72はベース70に取り付けられている。
【0089】
第1レンズ81の物体側のレンズ面と、第1偏光手段130との間の最短距離Dminが長いと、撮像素子アレイ40の周辺での光量が少なくなる。それ故、この最短距離Dminは、上述したとおり、0.6mm以下であることが望ましい。実施例12にあっては、この最短距離Dminを0.50mmに設定した。このような最短距離Dminとするために、第1偏光手段130を脱着させる機構、具体的には、第1偏光手段130と開口部とが併設された部材(図示せず)の単焦点レンズ80,90側の光線有効径近傍を切り欠くことが望ましい。また、第1偏光手段130を脱着させる機構と単焦点レンズ80,90とが接触しないように、即ち、第1偏光手段130を支持する回動・支持部材71の部分の下面と、この下面に対向する鏡筒74の部分の上面とが接したとき、第1偏光手段130あるいは第1偏光手段130と開口部とが併設された部材の下面と、鏡筒74の最前面とが接しないように、より具体的には、図示するように、D0>D1を満足するように、回動・支持部材71と鏡筒74、支持部材72等を設計することが望ましい。
【0090】
このように、実施例12あるいは後述する実施例13にあっては、レンズ系は、偏芯精度の高い高解像度レンズであって、全群繰り出しのオートフォーカス機構を有し、しかも、第1偏光手段がレンズ系に脱着自在に取り付けられている。そして、第1偏光手段及びレンズ系の組立てが容易であり、レンズ群を封止することができるためにゴミ等が侵入するといった問題の発生が無く、小型の立体カメラシステムを容易に実現できるし、オートフォーカス機構を容易に達成することができ、また、低コストで高いマクロ性能を得ることができる。しかも、前絞り型で、瞳位置が前方に位置するので、撮像素子アレイへの主光線入射角を抑えることができる。また、第1偏光手段と撮像素子アレイとの間の距離が長いので、僅かに発生する両者の反射光によって発生するフレアが少ない。更には、2次元画像を得るときの光量に損失が発生しない。
【実施例13】
【0091】
実施例13の単焦点レンズ90は、1/3.2サイズ、1.12μmの撮像素子アレイに対応したものであり、Fno=1.7、焦点距離4.49mm、水平画角53.8度、光学全長5.7mmの5群5枚構成である。Fnoが明るいために、瞳径が大きく、両眼視差の基線長をより長く取れるため、より良い立体画像を得ることができる。ここで、単焦点レンズ90は、物体側から、順に、第1レンズ91、第2レンズ92、第3レンズ93、第4レンズ94、第5レンズ95から構成され、第1レンズ91、第2レンズ92及び第3レンズ93によって正パワー/負パワー/正パワーのトリプレット構成とされ、第4レンズ94及び第5レンズ95は正パワー及び負パワーを有し、光学歪を補正しながら、諸収差を良く補正する。また、第5レンズ95は、像面及び撮像素子アレイ40に入射する光線入射角を最適にする機能も有する。これらにより、小型高解像度レンズを達成することができる。
【0092】
尚、以上に説明した実施例12あるいは実施例13におけるレンズ系を、実施例1〜実施例11に適用することができる。
【0093】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した撮像装置、撮像素子の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。例えば、図19の(A)に模式的な一部断面図を図示するように、撮像素子41を、シリコン半導体基板60に設けられた光電変換素子61、並びに、その上に、第1平坦化膜62、無機絶縁下地層66、ワイヤグリッド偏光子67、第2平坦化膜65、カラーフィルタ63、及び、オンチップレンズ64が積層されて成る構成とすることもできる。あるいは又、図19の(B)に模式的な一部断面図を図示するように、撮像素子41を、シリコン半導体基板60に設けられた光電変換素子61、並びに、その上に、第1平坦化膜62、オンチップレンズ64、第2平坦化膜65、カラーフィルタ63、無機絶縁下地層66、及び、ワイヤグリッド偏光子67が積層されて成る構成とすることもできる。また、撮像素子を、図示したような表面照射型としてもよいし、図示しないが、裏面照射型としてもよい。
【0094】
右眼用画像データ及び左眼用画像データに基づき立体画像を表示するが、係る表示方式として、例えば、2台のプロジェクタに円偏光又は直線偏光フィルタを取り付けて左右眼用の画像をそれぞれ表示し、表示に対応した円偏光又は直線偏光眼鏡で画像を観察する方式、レンチキュラーレンズ方式、パララックスバリア方式を挙げることができる。尚、円偏光又は直線偏光眼鏡を使用することなく画像を観察すると、通常の2次元(平面)画像を観察することができる。また、以上に説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムあるいはプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))等を用いることができる。
【0095】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]《撮像装置:第1の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
[2]第1偏光手段はレンズ系の絞り部近傍に配置されている[1]に記載の撮像装置。
[3]第1偏光手段において、第1領域と第2領域との間には中央領域が設けられており、
中央領域を通過した中央領域通過光の偏光状態は、中央領域入射前と変化しない[1]又は[2]に記載の撮像装置。
[4]第1領域及び第2領域は偏光子から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[5]第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行である[4]に記載の撮像装置。
[6]第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す[4]に記載の撮像装置。
[7]第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である[4]乃至[6]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[8]偏光子の消光比は3以上である[4]乃至[7]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[9]撮像素子は、カラーフィルタ、オンチップレンズ、及び、ワイヤグリッド偏光子が積層されて成り、
ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する[4]乃至[8]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[10]撮像素子は、ワイヤグリッド偏光子、カラーフィルタ、及び、オンチップレンズが積層されて成り、
ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する[4]乃至[8]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[11]ワイヤグリッド偏光子を構成する複数のワイヤの延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と平行である[9]又は[10]に記載の撮像装置。
[12]第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されている[1]乃至[11]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[13]第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されており、
四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成す[5]又は[6]に記載の撮像装置。
[14]四分の一波長板は、第1の方向あるいは第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成り、
第1の四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成し、
第2の四分の一波長板の速軸は、第1の四分の一波長板の速軸と直交している[5]又は[6]に記載の撮像装置。
[15]所定の角度は45度である[13]又は[14]に記載の撮像装置。
[16]第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である[13]乃至[15]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[17]第1偏光手段はレンズ系に脱着自在に取り付けられており、
四分の一波長板はレンズ系に脱着自在に取り付けられている[13]乃至[16]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[18]四分の一波長板は第1偏光手段に隣接して配設されている[13]乃至[17]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[19]第1偏光手段の光入射側には、α度の偏光軸を有する偏光板が配置されており、
第1領域は第1波長板から成り、第2領域は第2波長板から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[20]αの値は45度であり、
第1波長板は半波長板から成り、
第2波長板は、第1波長板を構成する半波長板とは位相差の異なる半波長板から成る[19]に記載の撮像装置。
[21]撮像素子アレイはベイヤ配列を有し、1画素は4つの撮像素子から構成されており、
1画素に対して、1つの第3領域又は第4領域が配されている[1]乃至[20]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[22]第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する[1]乃至[21]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[23]《撮像方法:第1の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第2領域通過光によって、左眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
[24]第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する[23]に記載の撮像方法。
[25]第3領域を通過した第1領域通過光によって得られる電気信号及び第4領域を通過した第2領域通過光によって得られる電気信号から生成されたデプスマップ、並びに、撮像素子アレイを構成する全撮像素子からの電気信号に基づき、右眼用画像を得るための画像データ、及び、左眼用画像を得るための画像データを得る[24]に記載の撮像方法。
[26]《撮像装置:第2の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
[27]《撮像方法:第2の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
【0096】
尚、上記[26]に記載の本開示の第2の態様に係る撮像装置、及び、上記[27]に記載の本開示の第2の態様に係る撮像方法は、以下のようにも表現することができる。
即ち、
[26’]《撮像装置:第2の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って離間して配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過した光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は、第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
[27’]《撮像方法:第2の態様》
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って離間して配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過した光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は、第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第2偏光手段において第3領域以外の領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
【符号の説明】
【0097】
110,410,510,910,1110・・・撮像装置、11・・・カメラ本体部、12・・・画像処理手段、13・・・画像記憶部、20・・・レンズ系、21・・・撮影レンズ、22・・・絞り部、23・・・結像レンズ、130,230,330,430,530,930,1130・・・第1偏光手段、131,231,331,531,931,1131・・・第1領域、132,232,332,532,932,1132・・・第2領域、333・・・中央領域、433,933・・・四分の一波長板(λ/4波長板)、933A・・・第1の四分の一波長板(λ/4波長板)、933B・・・第2の四分の一波長板(λ/4波長板)、534・・・偏光板、40・・・撮像素子アレイ、41・・・撮像素子、150,250,1150・・・第2偏光手段(偏光手段)、151,251,1151・・・第3領域、152,252,1152・・・第4領域、60・・・シリコン半導体基板、61・・・光電変換素子、62・・・第1平坦化膜、63・・・カラーフィルタ、64・・・オンチップレンズ、65・・・第2平坦化膜、66・・・無機絶縁下地層、67,67A,67B・・・ワイヤグリッド偏光子、68,68A,68B・・・ワイヤ、70・・・ベース、71・・・回動・支持部材、72・・・支持部材、73・・・板バネ、74・・・鏡筒、75・・・マグネット、76・・・フォーカスコイル、80,90・・・80,90、81,91・・・第1レンズ、82,92・・・第2レンズ、83,93・・・第3レンズ、84,94・・・第4レンズ、95・・・第5レンズ、86,96・・・絞り部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
【請求項2】
第1偏光手段はレンズ系の絞り部近傍に配置されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
第1偏光手段において、第1領域と第2領域との間には中央領域が設けられており、
中央領域を通過した中央領域通過光の偏光状態は、中央領域入射前と変化しない請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
第1領域及び第2領域は偏光子から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行である請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
偏光子の消光比は3以上である請求項4に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像素子は、カラーフィルタ、オンチップレンズ、及び、ワイヤグリッド偏光子が積層されて成り、
ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項10】
撮像素子は、ワイヤグリッド偏光子、カラーフィルタ、及び、オンチップレンズが積層されて成り、
ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項11】
ワイヤグリッド偏光子を構成する複数のワイヤの延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と平行である請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されており、
四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成す請求項5に記載の撮像装置。
【請求項14】
四分の一波長板は、第1の方向あるいは第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成り、
第1の四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成し、
第2の四分の一波長板の速軸は、第1の四分の一波長板の速軸と直交している請求項5に記載の撮像装置。
【請求項15】
所定の角度は45度である請求項13に記載の撮像装置。
【請求項16】
第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である請求項13に記載の撮像装置。
【請求項17】
第1偏光手段はレンズ系に脱着自在に取り付けられており、
四分の一波長板はレンズ系に脱着自在に取り付けられている請求項13に記載の撮像装置。
【請求項18】
四分の一波長板は第1偏光手段に隣接して配設されている請求項13に記載の撮像装置。
【請求項19】
第1偏光手段の光入射側には、α度の偏光軸を有する偏光板が配置されており、
第1領域は第1波長板から成り、第2領域は第2波長板から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している請求項1に記載の撮像装置。
【請求項20】
αの値は45度であり、
第1波長板は半波長板から成り、
第2波長板は、第1波長板を構成する半波長板とは位相差の異なる半波長板から成る請求項19に記載の撮像装置。
【請求項21】
撮像素子アレイはベイヤ配列を有し、1画素は4つの撮像素子から構成されており、
1画素に対して、1つの第3領域又は第4領域が配されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項22】
第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項23】
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第2領域通過光によって、左眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
【請求項24】
第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する請求項23に記載の撮像方法。
【請求項25】
第3領域を通過した第1領域通過光によって得られる電気信号及び第4領域を通過した第2領域通過光によって得られる電気信号から生成されたデプスマップ、並びに、撮像素子アレイを構成する全撮像素子からの電気信号に基づき、右眼用画像を得るための画像データ、及び、左眼用画像を得るための画像データを得る請求項24に記載の撮像方法。
【請求項26】
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
【請求項27】
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
【請求項1】
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
【請求項2】
第1偏光手段はレンズ系の絞り部近傍に配置されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
第1偏光手段において、第1領域と第2領域との間には中央領域が設けられており、
中央領域を通過した中央領域通過光の偏光状態は、中央領域入射前と変化しない請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
第1領域及び第2領域は偏光子から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と平行である請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
第1領域通過光の電場の向きは第1の方向と45度の角度を成す請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
偏光子の消光比は3以上である請求項4に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像素子は、カラーフィルタ、オンチップレンズ、及び、ワイヤグリッド偏光子が積層されて成り、
ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項10】
撮像素子は、ワイヤグリッド偏光子、カラーフィルタ、及び、オンチップレンズが積層されて成り、
ワイヤグリッド偏光子が第3領域又は第4領域を構成する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項11】
ワイヤグリッド偏光子を構成する複数のワイヤの延びる方向は、第1の方向あるいは第2の方向と平行である請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
第1偏光手段の光入射側には、四分の一波長板が配置されており、
四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成す請求項5に記載の撮像装置。
【請求項14】
四分の一波長板は、第1の方向あるいは第2の方向に沿って配列された第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板から成り、
第1の四分の一波長板の速軸は、第1領域通過光の電場の向きと所定の角度を成し、
第2の四分の一波長板の速軸は、第1の四分の一波長板の速軸と直交している請求項5に記載の撮像装置。
【請求項15】
所定の角度は45度である請求項13に記載の撮像装置。
【請求項16】
第1領域通過光の電場の向きと第3領域通過光の電場の向きとは平行であり、
第2領域通過光の電場の向きと第4領域通過光の電場の向きとは平行である請求項13に記載の撮像装置。
【請求項17】
第1偏光手段はレンズ系に脱着自在に取り付けられており、
四分の一波長板はレンズ系に脱着自在に取り付けられている請求項13に記載の撮像装置。
【請求項18】
四分の一波長板は第1偏光手段に隣接して配設されている請求項13に記載の撮像装置。
【請求項19】
第1偏光手段の光入射側には、α度の偏光軸を有する偏光板が配置されており、
第1領域は第1波長板から成り、第2領域は第2波長板から成り、
第1領域通過光の電場の向きと第2領域通過光の電場の向きとは直交している請求項1に記載の撮像装置。
【請求項20】
αの値は45度であり、
第1波長板は半波長板から成り、
第2波長板は、第1波長板を構成する半波長板とは位相差の異なる半波長板から成る請求項19に記載の撮像装置。
【請求項21】
撮像素子アレイはベイヤ配列を有し、1画素は4つの撮像素子から構成されており、
1画素に対して、1つの第3領域又は第4領域が配されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項22】
第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項23】
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光の偏光状態と、第4領域を通過した第4領域通過光の偏光状態とは異なり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第2領域の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第2領域通過光によって、左眼用画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
【請求項24】
第1の方向に沿ってN個の画素(但し、N=2nであり、nは1乃至5の自然数)に対して1つの第3領域及び1つの第4領域を配する請求項23に記載の撮像方法。
【請求項25】
第3領域を通過した第1領域通過光によって得られる電気信号及び第4領域を通過した第2領域通過光によって得られる電気信号から生成されたデプスマップ、並びに、撮像素子アレイを構成する全撮像素子からの電気信号に基づき、右眼用画像を得るための画像データ、及び、左眼用画像を得るための画像データを得る請求項24に記載の撮像方法。
【請求項26】
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置。
【請求項27】
(A)被写体からの光を偏光させる第1偏光手段、
(B)第1偏光手段からの光を集光するレンズ系、並びに、
(C)第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向の2次元マトリクス状に撮像素子が配列されて成り、光入射側に第2偏光手段を有し、レンズ系によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子アレイ、
を具備し、
第1偏光手段は、第1の方向に沿って配列された第1領域及び第2領域を有し、
第1領域を通過した第1領域通過光の偏光状態と、第2領域を通過した第2領域通過光の偏光状態とは異なり、
第2偏光手段は、第1の方向に沿って交互に配置され、第2の方向に延びる複数の第3領域及び第4領域を有し、
第3領域を通過した第3領域通過光は偏光状態にあり、第4領域を通過した第4領域通過光は非偏光状態にあり、
第1領域通過光は第3領域を通過して撮像素子に到達し、第1領域通過光及び第2領域通過光は第4領域を通過して撮像素子に到達し、以て、第1領域の重心点と第1偏光手段の重心点との間の距離を両眼視差の基線長さとした立体画像を得るための画像を撮像する撮像装置を用いた撮像方法であって、
第3領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか一方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
第4領域を通過して撮像素子に到達した第1領域通過光及び第2領域通過光によって、右眼用及び左眼用のいずれか他方の画像を得るための電気信号を撮像素子において生成し、
これらの電気信号を出力する撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−77935(P2013−77935A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215895(P2011−215895)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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