説明

撮像装置及び画像生成方法

【課題】簡素な処理で低解像動画から高解像画像を取得できる撮像装置及び画像生成方法等を提供すること。
【解決手段】撮像装置は、画像取得部と、加算画像生成部と、圧縮処理部と、伸張処理部と、推定演算部と、画像出力部を含む。加算画像生成部は、加算単位を順次画素シフトさせながら加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して加算画像A〜Aを取得する。圧縮処理部は、加算画像Aと加算画像A、Aの差分を、差分画像D、Dとして求め、A、D、Dを圧縮する。伸張処理部は、圧縮されたA、D、Dを伸張して加算画像A〜Aを求める。推定演算部は、加算画像A〜Aに基づいて加算画像Aを補間により求め、求めた加算画像Aと加算画像A〜Aに基づいて撮像画像fxの画素値vijを推定する。画像出力部は、推定された画素値vijに基づく高解像画像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び画像生成方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のデジタルカメラやビデオカメラには、静止画撮影モードと動画撮影モードを切り替えて使用できるものがある。例えば、動画撮影中にユーザーがボタン操作をすることで、動画よりも高解像の静止画を撮影できるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−124621号公報
【特許文献2】特開2008−243037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、静止画撮影モードと動画撮影モードを切り替える手法では、ユーザーがシャッターチャンスに気付いたときには既に決定的瞬間を逃していることが多いという課題がある。
【0005】
本発明者は、この決定的瞬間の撮影を実現するために、低解像動画から任意タイミングの高解像静止画を生成することを考えている。例えば、特許文献1、2には、画素シフトにより取得された低解像画像から高解像画像を合成する手法が開示されている。しかしながら、この手法では、画素シフトによる撮像が必要となるためカメラの構成が複雑となってしまう。また、高解像化処理の負荷が大きいことや、画素値の推定が困難な場合があるという課題がある。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、簡素な処理で低解像動画から高解像画像を取得できる撮像装置及び画像生成方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、撮像画像を取得する画像取得部と、加算画素値を取得する単位である加算単位を前記撮像画像の複数の画素毎に設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して前記加算画素値を求め、求めた前記加算画素値による加算画像を取得する加算画像生成部と、前記加算画像を圧縮する圧縮処理部と、圧縮された前記加算画像を伸張する伸張処理部と、伸張された前記加算画像に基づいて前記撮像画像の画素値を推定する推定演算部と、前記推定演算部により推定された画素値に基づく高解像画像を出力する画像出力部と、を含み、前記加算画像生成部は、前記加算単位を順次画素シフトさせて、第1〜第nの加算画像のうちの第1〜第n−1の加算画像を、前記加算画像として取得し、前記圧縮処理部は、前記第1〜第n−1の加算画像のうちの第kの加算画像(kはn−1以下の自然数)と第mの加算画像(mはk以外のn−1以下の自然数)の差分を、第mの差分画像として求め、前記第kの加算画像と前記第mの差分画像を圧縮し、前記伸張処理部は、圧縮された前記第kの加算画像と前記第mの差分画像を伸張して前記第1〜第n−1の加算画像を求め、前記推定演算部は、前記第1〜第n−1の加算画像に基づいて前記第nの加算画像を補間により求め、求めた前記第nの加算画像と前記第1〜第n−1の加算画像に基づいて前記撮像画像の画素値を推定する撮像装置に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、加算単位が順次画素シフトされて第1〜第n−1の加算画像が取得され、第kの加算画像と第mの加算画像の差分が、第mの差分画像として求められ、その第kの加算画像と第mの差分画像が圧縮される。圧縮された第kの加算画像と第mの差分画像が伸張されて第1〜第n−1の加算画像が求められ、その第1〜第n−1の加算画像に基づいて第nの加算画像が補間により求められ、その前記第1〜第nの加算画像に基づいて撮像画像の画素値が推定される。
【0009】
これにより、例えば後述する推定処理を適用することで、簡素な処理で低解像の加算画像から高解像な撮像画像を復元することが可能になる。動画撮影と静止画撮影を切り換えないため、動画データから任意タイミングの高解像静止画を取得できる。また、差分画像を求めることで、高圧縮率で画像データを圧縮できる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記加算画像生成部は、前記加算単位を、水平又は垂直に1画素ずつ順次シフトさせて第1〜第n−1のポジションに設定し、前記第1〜第n−1のポジションにおいてそれぞれ前記第1〜第n−1の加算画像を取得し、第nのポジションの加算単位は、前記第n−1のポジションの加算単位を、水平又は垂直に1画素シフトさせた加算単位であり、前記第1〜第nのポジションのうちの第mのポジションと第m+1のポジションの前記加算単位は、共通の画素を含んでもよい。
【0011】
このようにすれば、共通の画素を含みながら加算単位を順次画素シフトして加算画素値を求め、その加算画素値により第1〜第n−1の加算画像を構成できる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記圧縮処理部は、第kのポジションの前記加算画素値と第mのポジションの前記加算画素値の差分値を、前記第mの差分画像の画素値として求める差分画像生成部を有してもよい。
【0013】
このようにすれば、第kの加算画像の画素値と、第mの加算画像の画素値の差分値により、第mの差分画像の画素値を求めることができる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記圧縮処理部は、前記第mの差分画像をエントロピー符号化により可逆圧縮してもよい。
【0015】
差分画像は、加算画像と加算画像の差分であるため画素値のエントロピーを撮像画像よりも小さくできる。そのため、差分画像をエントロピー符号化することで高圧縮率で圧縮できる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記画像取得部は、前記撮像画像として、複数の色の画素が配列された画像を取得し、前記加算画像生成部は、第1〜第n−1の色配列を有する前記加算単位を設定して第1〜第n−1の加算画素値を取得し、前記推定演算部は、第nの色配列に対応する第nの加算画素値を補間により求め、求めた前記第nの加算画素値と、取得された前記第1〜第n−1の加算画素値とに基づいて、第1の推定画素値を推定する第1の推定部を有し、前記第1の推定部は、前記第1〜第n−1の加算画素値の中の、前記重み付け加算における重み付けと色の対応関係が前記第nの色配列と同一である第sの加算画素値(sはn−1以下の自然数)に基づいて、前記第nの加算画素値を補間してもよい。
【0017】
このようにすれば、重み付けと色の対応関係が第nの加算画像と同一の第sの加算画像に基づいて第nの加算画像を求めることができる。重み付けと色の対応関係が維持された加算画像を用いて、例えば後述の推定処理を行うことで、撮像画像が持つ色情報を高精度に復元できる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記推定演算部は、前記第s、第nの加算画素値を補間により求め、求めた前記第s、第nの加算画素値と、取得された前記第1〜第s−1、第s+1〜第n−1の加算画素値に基づいて、第2の推定画素値を推定する第2の推定部と、前記第1、第2の推定画素値に基づいて最終的な推定画素値を合成する合成部と、を有し、前記第2の推定部は、前記第s、第nの加算画素値を、前記第1〜第s−1、第s+1〜第n−1の加算画素値に基づいて色配列に依らず補間により求めてもよい。
【0019】
このようにすれば、色配列に依らない補間を行うことで、補間対象の画素により近い画素を用いて第s、第nの加算画像を求めることが可能になる。補間対象の画素により近い画素を用いて求められた第s、第nの加算画像を用いて復元推定処理を行うことで、撮像画像が持つ解像情報を高精度に復元できる。
【0020】
また本発明の一態様では、前記撮像画像が、RGBベイヤー配列の画像である場合に、前記第1の推定部は、RGBベイヤー配列の前記第1の推定画素値に対してデモザイキング処理を行い、各画素における第1のRGB画素値を求め、前記第2の推定部は、RGBベイヤー配列の前記第2の推定画素値に対してデモザイキング処理を行い、各画素における第2のRGB画素値を求め、前記合成部は、前記第1のRGB画素値に基づいて、色差値に相当する第1の画素値を求め、前記第2のRGB画素値に基づいて、輝度値に相当する第2の画素値を求め、前記第1、第2の画素値をRGB画素値に変換して最終的なRGB画素値を求めてもよい。
【0021】
このようにすれば、色情報が復元された第1の推定画素値と、解像情報が復元された第2の推定画素値とに基づいて、最終的な推定画素値を合成できる。また、色差値に相当する画素値を求めることで、第1の推定画素値から色情報を取り出すことができ、輝度値に相当する画素値を求めることで、第2の推定画素値から解像情報を取り出すことができる。
【0022】
また本発明の一態様では、第1のポジションに設定された前記加算単位と、前記第1のポジションの次の第2のポジションに設定された前記加算単位が重畳する場合に、前記推定演算部は、前記第1のポジションの加算画素値と、前記第2のポジションの加算画素値の差分値を求め、前記第1のポジションの加算単位から重畳領域を除いた第1の領域の加算画素値である第1の中間画素値と、前記第2のポジションの加算単位から前記重畳領域を除いた第2の領域の加算画素値である第2の中間画素値との関係式を、前記差分値を用いて表し、前記関係式を用いて前記第1、第2の中間画素値を推定し、推定した前記第1の中間画素値を用いて前記加算単位に含まれる各画素の画素値を求めてもよい。
【0023】
このようにすれば、加算単位が重畳しながら順次画素シフトされた第1〜第nの加算画像から中間画素値を推定し、推定した中間画素値から最終的な推定画素値を求めることができる。これにより、簡素な処理で撮像画像を推定できる。
【0024】
また本発明の一態様では、前記推定演算部は、前記第1、第2の中間画素値を含む連続する中間画素値を中間画素値パターンとする場合に、前記中間画素値パターンに含まれる中間画素値間の関係式を前記加算画素値を用いて表し、前記中間画素値間の関係式で表された前記中間画素値パターンと前記加算画素値とを比較して類似性を評価し、前記類似性の評価結果に基づいて、前記類似性が最も高くなるように、前記中間画素値パターンに含まれる中間画素値を決定してもよい。
【0025】
このようにすれば、加算単位が重畳されながら画素シフトされることで取得された複数の加算画素値に基づいて、中間画素値を推定により求めることができる。
【0026】
また本発明の他の態様は、撮像画像を取得し、加算画素値を取得する単位である加算単位を前記撮像画像の複数の画素毎に設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して前記加算画素値を求め、求めた前記加算画素値による加算画像を取得し、前記加算画像を圧縮し、圧縮された前記加算画像を伸張し、伸張された前記加算画像に基づいて前記撮像画像の画素値を推定するとともに、前記推定演算部により推定された画素値に基づく高解像画像を出力する場合に、前記加算単位を順次画素シフトさせて、第1〜第nの加算画像のうちの第1〜第n−1の加算画像を、前記加算画像として取得し、前記第1〜第n−1の加算画像のうちの第kの加算画像(kはn−1以下の自然数)と第mの加算画像(mはk以外のn−1以下の自然数)の差分を、第mの差分画像として求め、前記第kの加算画像と前記第mの差分画像を圧縮し、圧縮された前記第kの加算画像と前記第mの差分画像を伸張して前記第1〜第n−1の加算画像を求め、前記第1〜第n−1の加算画像に基づいて前記第nの加算画像を補間により求め、求めた前記第nの加算画像と前記第1〜第n−1の加算画像に基づいて前記撮像画像の画素値を推定する画像生成方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1のデータ圧縮手法についての説明図。
【図2】第1の補間手法についての説明図。
【図3】色情報復元画像の生成手法についての説明図。
【図4】色情報復元画像の生成手法についての説明図。
【図5】第2の補間手法についての説明図。
【図6】解像情報復元画像の生成手法についての説明図。
【図7】解像情報復元画像の生成手法についての説明図。
【図8】撮像装置の第1の構成例。
【図9】撮像装置の第2の構成例。
【図10】融合画像データの符号割り当て例。
【図11】推定演算部の詳細な構成例。
【図12】推定演算部の変形構成例。
【図13】図13(A)、図13(B)は、推定画素値と中間画素値の説明図。
【図14】復元推定処理についての説明図。
【図15】復元推定処理についての説明図。
【図16】復元推定処理についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0029】
1.本実施形態の概要
デジタルカメラやビデオカメラの製品には、静止画撮影を主とするデジタルカメラに動画撮影機能をもたせたものや、動画撮影を主とするビデオカメラに静止画撮影機能をもたせたものがある。このような機器を使えば、静止画と動画の撮影を一つの機器でまかなえるという利便さがある。
【0030】
しかしながら、この手法では、多くの人が求めるシャッターチャンスを逃さず高品位な静止画を得ることが難しいという課題がある。例えば、動画撮影中に高品位静止画を撮影するモードに瞬時に切り替える方法では、動画が途切れたり、ユーザーが気づいたときには既に決定的瞬間を逃していたりするという課題がある。
【0031】
決定的瞬間の静止画を得るために、高フレームレートの高解像動画を取得し、その高解像動画から任意タイミングの静止画を抜き出す手法が考えられる。しかしながら、この手法では、高解像動画を撮影するためデータ量が増大するという課題がある。
【0032】
そこで本実施形態では、図1に示すように、撮像画像を画素加算して複数の低解像画像A〜Aを取得し、基準画像Aと低解像画像A、Aの差分画像D、Dを求め、その差分画像D、Dを例えばエントロピー符号化により圧縮する。差分画像D、Dでは画素値がゼロ付近に偏在していると考えられるため、圧縮率を向上できる。
【0033】
さて、低解像画像から高解像画像を得る手法として、画素シフトにより撮影した低解像画像に対していわゆる超解像処理を行う手法が考えられる。例えば、この手法では、順次位置ずらししながら加算読み出しを行い、その複数の位置ずれ画像に基づいて高精細化画像を一旦仮定する。そして、仮定した画像を劣化させて低解像画像を生成し、元の低解像画像と比較し、その差異が最小になるように高精細画像を推定する。この超解像処理として、ML(Maximum-Likelihood)法、MAP(Maximum A Posterior)法、POCS(Projection Onto Convex Set)法、IBP(Iterative Back Projection)法等が知られている。
【0034】
例えば上述の特許文献1には、動画撮影時に画素シフトさせた低解像画像を時系列的に順次撮影し、その複数の低解像画像を合成することにより高解像画像を仮定し、その高解像画像に対して上記の超解像処理を施し、尤度の高い高解像画像を推定する手法が開示されている。
【0035】
しかしながら、この手法では、2次元フィルターを多用する繰り返し演算により推定精度を上げていく一般的な超解像処理を用いている。そのため、非常に処理の規模が大きくなったり、処理時間が増大したりしてしまい、例えばデジタルカメラのような処理能力やコストの制限がある機器への適用は困難であるという課題がある。
【0036】
また上述の特許文献2には、画素シフトさせた複数の低解像画像を撮像し、求めたい高解像画像を構成する仮の画素を副画素とおき、その副画素の平均値が、撮影された低解像画像の画素値と一致するように副画素の画素値を推定する手法が開示されている。この手法では、複数の副画素の初期値を設定し、算出したい副画素を除く副画素の画素値を低解像画像の画素値から差し引いて画素値を求め、それを順次隣接する画素に対して適用する。
【0037】
しかしながら、この手法では、初期値の特定が上手くいかないと推定誤差が非常に大きくなるという課題がある。この手法では、初期値を設定するために、所定の条件を満たす領域を画像から見つけ出している。そのため、適当な領域が撮影画像から見つけられないと、初期値の推定が困難になってしまう。また、初期値の設定に適当な領域を探索する処理が必要になってしまう。
【0038】
この点、本実施形態では、図1等で後述するように、基準画像Aと差分画像D、Dから低解像画像A〜Aを再生し、その低解像画像A〜Aに基づいて低解像画像Aを補間により求める。この低解像画像A〜Aの加算画素値a(1)00〜a(4)01は、重畳画素シフトされたものであり、隣接する加算画素値は共通の画素を含んでいる。図13(A)〜図16で後述するように、この重畳画素シフトされた加算画素値を用いることで、高解像画像を推定する処理を簡素化できる。
【0039】
2.第1のデータ圧縮手法
次に、本実施形態について詳細に説明する。まず、撮像画像データの圧縮手法について説明する。なお以下では撮像素子がRGBベイヤー配列である場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、例えば補色フィルターの撮像素子等であってもよい。また以下では4画素加算を行う場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、他の画素数の加算を行ってもよい。また以下ではフレームfxの撮像画像を例に説明するが、他のフレームにおいても同様である。
【0040】
ここで、フレームとは、例えば撮像素子により画像が撮像されるタイミングや、画像処理において1つの撮像画像が処理されるタイミングである。あるいは、画像データにおける1つの画像も適宜フレームと呼ぶ。
【0041】
図1に示すように、フレームfxにおいて全画素読み出しによりRGBベイヤー配列の撮像画像(以下、「高精細フレーム画像fx」と呼ぶ)を取得する。高精細フレーム画像fxに、4画素で構成される加算単位(加算される画素群)を設定し、その加算単位の画素値に対して重み付けを行って加算する。このとき、加算単位を1画素分重畳させながら水平又は垂直にシフトさせ、3枚の画素加算画像A〜Aを生成する。
【0042】
4画素加算値aijは下式(1)で表わされ、画素加算画像A〜Aを構成する加算画素値はそれぞれ{aij、a(i+1)j、a(i+1)(j+1)}である。なお図1に示すように、4画素加算値ai(j+1)で構成される画素加算画像Aは取得しない。
ij=vij+(1/r)v(i+1)j
(1/r)vi(j+1)+(1/r)v(i+1)(j+1) (1)
【0043】
ここで、rは重み付けのパラメータであり、1≦rである。またvijは高精細フレーム画像におけるアドレス(i,j)の画素値である。
【0044】
次に、生成した画素加算画像Aを基準画像とする。画素加算画像A、Aの加算位置を基準画像Aの加算位置に整合した上で、基準画像Aと2枚の画素加算画像A、Aとの差分をそれぞれとり、差分画像D、Dを生成する。具体的には、画素加算画像A〜Aの4画素加算値をそれぞれ{a(1)ij,a(2)(i+1)j,a(3)(i+1)(j+1)}とすると、基準画像Aの4画素加算値{aA2ij}と差分画像D、Dの4画素加算値{aD1ij,aD3ij}は、下式(2)により求められる。基準画像Aと差分画像D、Dを合わせて融合画像データF(M,D〜D)とする。
A2ij=a(2)(i+1)j
D1ij=a(1)ij−aA2ij
D3ij=a(3)(i+1)(j+1)−aA2ij (2)
【0045】
なお、画素加算画像Aを基準画像としたのは、配色と重み付けの関係においてRとBが同一の重み付け(1/r)であり、4画素加算値としてRとBの平均的な値が得られるため、4画素加算値のバラツキの中央値として用いるのが妥当であるからである。
【0046】
このようにして、静止画と動画を融合させた融合画像データF(A,D,D)を生成し、それを記録しておき、その記録されたF(A,D,D)を後段において解凍処理することにより、「高精細静止画データ」又は「動画データ」を適宜生成することが可能となる。
【0047】
3.高精細静止画の再生手法
次に、融合画像データF(A,D,D)から高精細フレーム画像fxを復元推定する手法について説明する。
【0048】
上式(2)を変形すると、下式(3)が得られる。下式(3)に示すように、基準画像Aを構成する4画素加算値{aA2ij}と、差分画像D、Dを構成する4画素加算値{aD1ij,aD3ij}から、画素加算画像A、Aのそれぞれの4画素加算値{a(1)ij,a(3)(i+1)(j+1)}が得られる。また4画素加算値a(2)(i+1)j=aA2ijである。
(1)ij=aA2ij+aD1ij
(3)(i+1)(j+1)=aA2ij+aD3ij (3)
【0049】
本実施形態では、これらの再生された4画素加算値{a(1)ij,a(2)(i+1)j,a(3)(i+1)(j+1)}を用いて、後述する補間手法により4画素加算値{a(4)i(j+1)}を求める。この補間値を加えた4つの4画素加算値は、1枚の高精細フレーム画像fxを水平又は垂直に1画素ずつ重畳シフトした4画素加算値により構成されている画像データである。この4つの4画素加算値に対して、図13(A)等で後述する復元推定処理を適用することにより、元の高精細フレーム画像fxが求められる。
【0050】
4.第2のデータ圧縮手法
次に、上述した基準画像Aの記録データ量を更に削減する第2のデータ圧縮手法について説明する。
【0051】
基準画像Aにおいて、例えば近接する4つの加算画素値{aA2ij,aA2(i+2)j,aA2i(j+2),aA2(i+2)(j+2)}を処理単位とする。これらは近接した同一重み付け加算値なので相関性が比較的高いので差分効果が大きい。
【0052】
加算画素値{aA2ij}を基準画素加算値とする。下式(4)に示すように、残りの加算画素値は、差分値{aD2(i+2)j,aD2i(j+2),aD2(i+2)(j+2)}として表わされる。ここで、i、jは、奇数の画素アドレスを表す。
D2(i+2)j=aA2(i+2)j−aA2ij
D2i(j+2)=aA2i(j+2)−aA2ij
D2(i+2)(j+2)=aA2(i+2)(j+2)−aA2ij (4)
【0053】
これらの基準画素加算値{aA2ij}と差分値{aD2(i+2)j,aD2i(j+2),aD2(i+2)(j+2)}を、基準画像Aの記録データA’とする。差分値は、近接した同一重み付け加算画素値の差分値なので、値がゼロ付近に偏在していると考えられる。そのため、差分値は割り当てデータ量が低減されるので、基準画像Aの記録データ量を縮減可能である。この場合、融合画像データはF(A’,D,D)で与えられる。
【0054】
加算画像A〜Aを再生するときは、まず上式(4)により基準画像Aのデータを再生する。次に、基準画像Aと差分画像D、Dを用いて、上式(3)により加算画像A〜Aを再生する。
【0055】
5.色情報復元画像の生成手法
次に、取得されていない加算画像Aを補間により求める手法と、求めた加算画像Aと加算画像A〜Aにより高精細フレーム画像fxを復元する手法について説明する。本実施形態では、これらの加算画像から色情報復元画像と解像情報復元画像を生成し、この2つの画像を合成することにより高精細フレーム画像fxを復元する。
【0056】
まず、加算画像Aを求める第1の補間手法と、求めた加算画像Aを用いて色情報復元画像を生成する手法について説明する。
【0057】
図2に示すように、4画素加算パターン1〜3の4画素加算値は、加算画像A〜Aの画素値として取得されている。4画素加算パターン4の4画素加算値は、加算画像Aの画素値に対応しており、補間により求める画素値である。これらの4画素加算パターン1〜4は、画素の色の配列と重み付け係数の関係を表している。図2では、例としてr=2の重み付け係数を、画素の横に記載している。
【0058】
加算画像Aの画素値は、色の配列と重み付け係数の関係が同一である加算画像Aの画素値を用いて補間により求められる。即ち、GrとGbを同じG色と捉えれば、4画素加算パターン2、4の重み付け係数は、「G画素:‘1’又は‘1/r2’、R画素:‘1/r’、B画素:‘1/r’」である。これらの加算値にはRGBと重み付けの関係の違いはなく、加算値としては同一として扱えられるので、加算値の補間処理が成り立つのである。
【0059】
例えば、加算画像Aの画素値{a21}は、その斜め周辺の検出加算値{a10,a30,a12,a32}を用いて、下式(5)に示す補間処理により求める。なお、加算画像Aの他の画素値{a(4)i(j+1)}も同様に、その斜め周辺の検出加算値から求められる。
21=w’・a10+w’・a30+w’・a12+w’・a32
(5)
【0060】
ここで、補間係数w’〜w’は、補間精度が最も高くなるよう予め設定されたものである。補間方法は当然従来手法(バイリニア,バイキュービック等)を用いても良いし、最適な補間係数を独自に設定するものであってもよい。また、補間に用いる検出4画素加算値も近接の4つに限らず周辺近傍のより多くのパターンの値を使っても良いことは言うまでもなく、特に限定されるものではない。
【0061】
このようにして、復元推定処理に必要な重畳シフト重み付け4画素加算値{a(1)ij,a(2)(i+1)j,a(3)(i+1)(j+1),a(4)i(j+1)}が全て完備される。
【0062】
次に、色情報復元画像の生成手法について説明する。図3に示すように、完備された4画素加算値に対して、図13(A)等で後述する復元推定処理を適用し、第1の推定画素値{vij}を得る。推定画素値{vij}により構成される復元画像(色情報を復元推定するためのフレーム画像)はベイヤー配列の画像である。
【0063】
図4に示すように、このベイヤー配列の復元画像に対してデモザイキング処理を行い、3板化原色画像の色情報復元画像Fを生成する。得られた各画素の原色成分を(rij,gij,bij)とする。次に、下式(6)に示すように、原色成分(rij,gij,bij)から各画素の色差値{Cbij,Crij}を算出する。
Cbij=η・rij+η・gij+η・bij
Crij=ξ・rij+ξ・gij+ξ・bij (6)
【0064】
ここで、係数{η,η,η}や係数{ξ,ξ,ξ}として、例えば、原色RGB成分値が与えられた場合に色差値を求める場合の一般的に知られている既知係数を適用する。
【0065】
6.解像情報復元画像の生成手法
次に、加算画像Aを求める第2の補間手法と、求めた加算画像Aを用いて解像情報復元画像を生成する手法について説明する。
【0066】
図5に示すように、第2の補間手法では、取得されている加算画像A、Aの画素値を用いて、加算画像A、Aの画素値を求める。加算画像A、Aの画素値は、市松状の4画素サンプリング画像を構成している。4画素加算パターン1、3は、色と重み付け係数の関係が4画素加算パターン2、4と異なっており、第2の補間手法では、色と重み付け係数の関係を無視した補間により加算画像A、Aを求めている。
【0067】
例えば、加算画像Aの画素値{a’12}は、その上下左右に隣接する検出加算値{a02,a22,a11,a13}を用いて、下式(7)に示す補間処理により求める。なお、加算画像Aの他の画素値{a(2)(i+1)j}や加算画像Aの画素値{a(4)i(j+1)}も同様に、その上下左右に隣接する検出加算値から求められる。
a’12=w・a02+w・a22+w・a11+w・a13 (7)
【0068】
ここで、補間係数w〜wは、補間精度が最も高くなるよう予め設定されたものである。補間方法は当然従来手法(バイリニア,バイキュービック等)を用いても良いし、最適な補間係数を独自に設定するものであってもよい。また、補間に用いる検出4画素加算値も近接の4つに限らず周辺近傍のより多くのパターンの値を使っても良いことは言うまでもなく、特に限定されるものではない。
【0069】
補間により得られた画素値{a’12}は、補間に用いた画素値{a02,a22,a11,a13}とは、画素の配色と重み付けの関係が同様ではなく、色の関係が無視された4画素加算値となっている。配色と重み付けの関係を無視した補間では、補間により得られた画素値{a’12}を、補間に用いた画素値{a02,a22}或いは{a11,a13}とあたかも同様の配色と重み付けの関係であるかのように見なしているだけである。
【0070】
このようにして、復元推定処理に必要な重畳シフト重み付け4画素加算値{a(1)ij,a(2)(i+1)j,a(3)(i+1)(j+1),a(4)i(j+1)}が全て完備される。
【0071】
次に、解像情報復元画像の生成手法について説明する。図6に示すように、完備された4画素加算値に対して、図13(A)等で後述する復元推定処理を適用し、推定画素値{vij}を得る。
【0072】
なお、推定画素値{vij}により構成される復元画像(解像情報を復元推定するためのフレーム画像)は、解像度は高いが、色を含めて元の画像を復元しているわけではない。上述の画素値{a’12}のように配色が4画素加算パターン3である場合を例にとり、復元処理によって生成された色成分と画素値{vij}の関係について説明する。
【0073】
説明を簡単にするために、復元された画素値{v12,22,13,23}を1つの処理単位とする。この処理単位は、補間画素値{a’12}の加算単位に対応する。下式(8)に示すように、各画素に対応する色(R,Gr,Gb,B)を括弧付きで表し、配色が明確に識別できるようにする。
22=v22(R),
12=v12(Gr),
23=v23(Gb),
13=v13(B) (8)
【0074】
上式(8)の各画素が成分として持つ原色成分を(r,g,b)とすれば、下式(9)の関係式が成立することが分っている。Gr画素、Gb画素は、原色成分(r,g,b)との関係式が同じである。
22(R) =α・r22+β・g22+γ・b22
12(Gr)=φ・r12+β・g12+φ・b12
23(Gb)=φ・r23+β・g23+φ・b23
13(B) =γ・r13+β・g13+α・b13 (9)
【0075】
ここで、係数α、β、γ、φは、画素の重み付け加算において加算される画素数及び重み付け係数によって一義的に定まる係数である。
【0076】
次に、この推定画素値{vij}から3板化原色画像を生成する。上式(9)において、係数の間にはα>γ、β>φの関係があることが分かっている。そのため、画素値v22(R)はR色成分を主成分としてもっていると見なすことができる。同様に、画素値v12(Gr)、v23(Gb)、v13(B)は、それぞれGr色成分、Gb色成分、B色成分を主成分としてもっていると見なすことができる。即ち、vij(R)≒R色成分、vij(Gr)≒Gr色成分、vij(Gb)≒Gb色成分、vij(B)≒B色成分として、復元画像を近似的にベイヤー配列画像と見なすことができる。
【0077】
図7に示すように、この近似的なベイヤー配列の復元画像に対してデモザイキング処理を行い、3板化原色画像の解像情報復元画像Fを生成する。得られた各画素の原色成分を(rij,gij,bij)とする。次に、下式(10)に示すように、原色成分(rij,gij,bij)を加算した値を解像反映値{Yij}として求める。
ij=rij+gij+bij (10)
【0078】
7.色情報復元画像と解像情報復元画像の合成手法
次に、上述の色情報復元画像と解像情報復元画像を合成して最終的な復元画像を得る手法について説明する。
【0079】
下式(11)に示すように、解像情報復元画像の原色成分(rij,gij,bij)と、色情報復元画像の原色成分(rij,gij,bij)が近似的に等しいとする。ここで、(rij,gij,bij)は、最終復元推定画像F=[F,F]の個々の画素vijの原色成分を表す。
ij=rij≒rij
ij=gij≒gij
ij=bij≒bij (11)
【0080】
上式(11)を用いると、上式(10)に示す解像反映値{Yij}と、上式(6)に示す色差値{Cbij,Crij}は、下式(12)に示す行列式に整理される。下式(12)を解くことにより、最終復元画像Fの画素vijの成分(rij,gij,bij)が求められる。この最終復元画像Fは、解像情報と色情報の両方が復元された画像である。
【数1】

【0081】
以上の実施形態によれば、1フレームの原画像において重み付け重畳シフト加算して得られた加算画像A〜Aから、高精細な原画像の復元推定画像Fが得られる。複数フレームを利用する場合とは異なり、1フレームのみで原画像の復元が可能なので、動きの大きい被写体に対しても像ずれ、色ずれ等による画像劣化要因を排除でき、高画質な高精細画像を得ることができる。
【0082】
8.撮像装置
図8に、上述の画像データ圧縮や復元推定処理を行う撮像装置の構成例を示す。撮像装置は、撮像とデータ圧縮処理を行う撮像部10と、高精細画像の復元処理を行う画像処理部20を含む。画像処理部20は、カメラ本体に内蔵されてもよいし、PC等の外部の情報処理装置により構成されてもよい。
【0083】
具体的には、撮像部10は、レンズ110、撮像素子120(撮像センサー)、加算画像生成部130(重畳シフト重み付け加算画像生成部)、圧縮処理部140、圧縮データ記録部150(融合圧縮データ記録部)を含む。
【0084】
レンズ110は、被写体100を結像させる。撮像素子120は、結像された被写体像を撮像する。撮像により得られたアナログ信号は、図示しないA/D変換部によりデジタル信号に変換される。
【0085】
加算画像生成部130は、上述のように、画素シフトさせつつ撮像画像の画素値を加算し、撮像画像から画素加算画像A〜Aを生成する。
【0086】
圧縮処理部140は、画素加算画像A〜Aから差分画像D、Dを生成し、基準画像Aと差分画像D、Dを圧縮する処理を行う。具体的には圧縮処理部140は、差分画像生成部141、エントロピー符号化部143、データ圧縮部144を含む。
【0087】
差分画像生成部141は、画素加算画像A〜Aから差分画像D、Dを生成する。エントロピー符号化部143は、エントロピー符号化(例えばハフマン符号,LZH等)の可逆圧縮により差分画像D、Dを圧縮する。データ圧縮部144は、例えばM−JPEGやJPEG−XR等の非可逆圧縮により基準画像Aを圧縮する。
【0088】
圧縮データ記録部150は、圧縮された画像データを記録する。具体的には圧縮データ記録部150は、圧縮された差分画像D、Dを記録する差分データ記録部151と、圧縮された基準画像Aを記録する基準画像データ記録部157を含む。
【0089】
画像処理部20は、伸張処理部205、推定演算部230(高精細画像復元推定部)、高精細静止画生成部240、高精細動画生成部250、標準動画生成部260、画像出力部290、画像選択部295を含む。
【0090】
伸張処理部205は、圧縮データを伸張して加算画像A〜Aを再生する。具体的には、伸張処理部205は、圧縮データ伸張部200、加算画像再生部210(重み付け加算画像再生部)を含む。
【0091】
圧縮データ伸張部200は、圧縮された基準画像Aと差分画像D、Dを伸張する処理を行う。加算画像再生部210は、基準画像Aと差分画像D、Dから加算画像A〜Aを再生する処理を行う。
【0092】
推定演算部230は、上述のように、加算画像A〜Aに基づいて色情報復元画像Fや解像情報復元画像Fを求め、これらの画像から復元画像Fを求める。復元された画像は、RGBベイヤー配列の画像である。
【0093】
高精細静止画生成部240は、復元画像Fに対して例えば階調補正処理等の画像処理を行い、高精細静止画を生成する。このとき、画像選択部295により選択されたタイミングの静止画が生成される。タイミングは、ユーザーの指示により選択され、ユーザーは、例えば画像出力部290の出力動画を見てタイミングを選択する。
【0094】
高精細動画生成部250は、復元画像Fによる動画画像に対して例えば階調補正処理等の画像処理を行い、高精細動画を生成する。標準動画生成部260は、高精細動画をダウンサンプリングし、例えばハイビジョン画素数の動画を標準動画として生成する。
【0095】
画像出力部290は、高精細静止画、高精細動画、標準動画を、例えば表示装置やプリンターに出力する。
【0096】
9.撮像装置の変形構成例
上記の実施形態では差分画像D、Dをエントロピー符号化により圧縮する場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されず、融合画像データF(A,D、D)を非可逆圧縮してもよい。
【0097】
図9に、融合画像データF(A,D、D)を非可逆圧縮する場合の撮像装置の変形構成例を示す。この撮像装置は、撮像部10、画像処理部20を含む。なお以下では、図8で上述した構成要素と同一の構成要件については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0098】
撮像部10は、レンズ110、撮像素子120、加算画像生成部130、差分画像生成部141、データ記憶部149、圧縮データ記録部150、データ圧縮部156を含む。画像処理部20の構成要素は、図8の画像処理部20と同様である。
【0099】
データ記憶部149は、融合画像データF(A,D、D)を記憶する。融合画像データF(A,D、D)は、加算画像生成部130からの基準画像Aと、差分画像生成部141からの差分画像D、Dにより構成される画像データである。データ圧縮部156は、例えばM−JPEGやJPEG−XR等の非可逆圧縮により融合画像データF(A,D、D)を圧縮する。圧縮データ記録部150は、圧縮された融合画像データF(A,D、D)を記録する。
【0100】
10.融合画像データの符号割り当て例
図10に、上述の融合画像データF(A,D、D)の符号割り当て例を示す。
【0101】
図10に示すように、融合画像データF(A,D、D)の座標(i,j)の画素値を、3フレーム分で1ユニットにし、その1ユニットに48ビットを割り当てる。具体的には、第k〜第k+2のフレーム(kは自然数)の基準画像Aの画素値a(2)〜a(2)k+2に、それぞれ8ビットを割り当てる。第k〜第k+2のフレームの差分画像D、Dの画素値aD1〜aD1k+2、aD3〜aD3k+2に、それぞれ4ビットを割り当てる。a(2)〜a(2)k+2とaD1〜aD1k+2でそれぞれ12ビットのデータを構成し、aD3〜aD3k+2で12ビットのデータを構成する。
【0102】
例えば撮像画像(原画像)の画素数をN画素とし、画素値データを12ビットとする。この場合、融合画像データF(A,D、D)のデータ量は、撮像画像のデータ量の1/3=(N/4画素×48ビット)/(N画素×12ビット×3フレーム)となる。
【0103】
11.推定演算部
図11に、上述の推定演算部230の詳細な構成例を示す。推定演算部230は、色情報推定部231(第1推定部)、解像情報推定部232(第2推定部)、合成部233を含む。
【0104】
色情報推定部231は、上述した第1の補間手法により、加算画像Aから加算画像Aを補間により求め、求めた加算画像Aと加算画像A〜Aから色情報復元画像Fを生成する。
【0105】
解像情報推定部232は、上述した第2の補間手法により、加算画像A、Aから加算画像A、Aを補間により求め、求めた加算画像A、Aと加算画像A、Aから解像情報復元画像Fを生成する。
【0106】
合成部233は、上述した合成手法により、色情報復元画像Fと解像情報復元画像Fから最終的な復元画像のRGB画素値(rij,gij,bij)を求める。
【0107】
12.推定演算部の変形構成例
上記の実施形態では、色情報復元画像Fと解像情報復元画像Fを合成して最終復元画像を得たが、色情報復元画像Fのみから最終復元画像を得てもよい。図12に、この場合の推定演算部の変形構成例を示す。推定演算部230は、補間処理部235、復元推定処理部236を含む。
【0108】
補間処理部235は、上述した第1の補間手法により、加算画像Aから加算画像Aを補間により求める。復元推定処理部236は、求められた加算画像Aと加算画像A〜Aから色情報復元画像Fを生成し、Fを最終的な復元画像として出力する。なお、色情報復元画像Fに対して画像処理を行った画像を最終的な復元画像として出力してもよい。
【0109】
上記の変形構成例によれば、2画像を合成する場合に比べて処理過程を少なくできるので、高速低負荷な推定演算部を構成できる。
【0110】
以上の実施形態によれば、図8に示すように、撮像装置は、画像取得部(例えば撮像素子120)と、加算画像生成部130と、圧縮処理部140と、伸張処理部205と、推定演算部230と、画像出力部290を含む。
【0111】
図1で説明したように、画像取得部は、撮像画像fx(高精細フレーム画像)を取得する。加算画像生成部130は、加算画素値(例えばa(1)ij)を取得する単位である加算単位を撮像画像fxの複数の画素毎(例えば4画素毎)に設定し、その加算単位に含まれる画素値を重み付け加算(上式(1))して加算画素値を求め、求めた加算画素値による加算画像A〜Aを取得する。圧縮処理部140は、その加算画像A〜Aを圧縮する。伸張処理部205は、圧縮された加算画像A〜Aを伸張する。推定演算部230は、伸張された加算画像A〜Aに基づいて撮像画像fxの画素値vijを推定する。画像出力部290は、推定された画素値vijに基づく高解像画像を出力する。
【0112】
この場合に、加算画像生成部130は、加算単位を順次画素シフトさせて、第1〜第4(広義には第1〜第n)の加算画像A〜Aのうちの第1〜第3の加算画像A〜Aを取得する。圧縮処理部140は、第kの加算画像A(基準画像)と第mの加算画像A(k、mは3以下の自然数、m≠k)の差分を、第mの差分画像Dとして求め、加算画像Aと差分画像Dを圧縮する。伸張処理部205は、圧縮された加算画像Aと差分画像Dを伸張して加算画像A〜Aを求める。推定演算部230は、加算画像A〜Aに基づいて第4(広義には第n)の加算画像Aを補間により求め、求めた加算画像Aと加算画像A〜Aに基づいて撮像画像fxの画素値vijを推定する。
【0113】
このようにすれば、撮像画像fxを効率よく圧縮することが可能になる。即ち、3枚の加算画像A〜Aの合計画素数は撮像画像fxの画素数の3/4であり、画素数が削減される。また、上述のように差分画像Dの画素値はゼロ付近に偏在していると考えられるため、差分画像Dのエントロピーは撮像画像fxよりも小さい。そのため、差分画像Dを例えばエントロピー符号化することで圧縮率を向上できる。これにより、高圧縮率の画像データから撮像画像fxを復元して任意タイミングの高精細静止画を取り出すことが可能になる。また、加算画像A〜Aを1枚の撮像画像fxから生成するため、動体でもブレが少ない時間分解能が高い復元画像を得られる。
【0114】
また本実施形態によれば、簡素な処理で圧縮データから撮像画像fxを再生可能である。即ち、加算画像A〜Aと、補間により得られる加算画像Aは、重畳シフト加算により得られた画像データであり、後述する復元推定処理を適用可能である。この復元推定処理は、低解像画像から高解像画像を推定する処理を、上述の特許文献1、2に比べて簡素化することができる。
【0115】
ここで、第1〜第4の加算画像A〜Aは、撮像画像fxの画素値vijを推定するために必要な画像であり、巡回的な画像のうちの1巡分の画像である。即ち、仮に第5(広義には第n+1)の加算画像Aを重み付け加算により取得するとすれば、その第5の加算画像Aは第1の加算画像Aと同一の画像となり、以降、4画像毎に同じ画像が現れるということである。
【0116】
また本実施形態では、図1に示すように、加算画像生成部130は、加算単位を、水平又は垂直(i軸方向又はj軸方向)に1画素ずつ順次シフトさせて第1〜第3のポジション(例えば座標(0,0)、(1,0)、(1,1))に設定し、その第1〜第3のポジションにおいてそれぞれ加算画像A〜Aを取得する。第mのポジションと第m+1のポジション(例えば(0,0)、(1,0))の加算単位は、共通の画素(v10、v11)を含む。
【0117】
また本実施形態では、図8に示すように、圧縮処理部140は差分画像生成部141を有する。上式(2)に示すように、差分画像生成部141は、第kのポジションの加算画素値a(2)(i+1)jと第mのポジションの加算画素値(例えばa(1)ij)の差分値(aD1ij)を、第mの差分画像Dの画素値として求める。
【0118】
以上のようにすれば、共通の画素を含みながら加算単位を順次画素シフトして加算画素値を求める重畳シフト加算を行うことができる。また、その重畳シフト加算により得られた加算画像A(基準画像)の画素値と、加算画像Aの画素値との差分値により、差分画像Dの画素値を求めることができる。
【0119】
また本実施形態では、図8等で説明したように、圧縮処理部140は、第mの差分画像Dをエントロピー符号化により可逆圧縮する。
【0120】
このようにすれば、上述のようにエントロピーが小さくなった差分画像Dを高圧縮率で圧縮することができるため、画像データの圧縮率を向上できる。これにより、圧縮データを記録するストレージの容量を削減したり、データ通信における通信負荷を軽減できる。
【0121】
また本実施形態では、画像取得部は、撮像画像fxとして、複数の色(例えばR、Gr、Gb、B)の画素が配列された画像(例えばベイヤー配列画像)を取得する。図2に示すように、加算画像生成部130は、第1〜第3の色配列(4画素加算パターン1〜3)を有する加算単位を設定して第1〜第3の加算画素値{a(1)ij,a(2)(i+1)j,a(3)(i+1)(j+1)}を取得する。図11に示すように、推定演算部230は、第1の推定部(色情報推定部231)を有する。図2に示すように、第1の推定部は、第4の色配列(4画素加算パターン4)に対応する第4の加算画素値(例えばa12、広義には{a(4)i(j+1)})を補間により求める。図3に示すように、第1の推定部は、求めた第4の加算画素値と、取得された第1〜第3の加算画素値とに基づいて、第1の推定画素値{vij}を推定する。図2で上述のように、第1の推定部は、第1〜第3の加算画素値の中の、重み付け加算における重み付けと色の対応関係が第4の色配列(4画素加算パターン4)と同一である第2(広義には第s)の加算画素値に基づいて、第4の加算画素値を補間する。
【0122】
このようにすれば、重み付けと色の対応関係が加算画像Aと同一の加算画像Aに基づいて加算画像Aを求めることができる。重み付けと色の対応関係が維持された加算画像Aを用いて復元推定処理を行うことで、撮像画像fxが持つ色情報(色と画素値の対応関係)を高精度に復元できる。
【0123】
また本実施形態では、図11に示すように、推定演算部230は、第2の推定部(解像情報推定部232)と合成部233を有する。図5に示すように、第2の推定部は、第2、第4の加算画素値{a(2)(i+1)j,a(4)i(j+1)}を補間により求める。図8に示すように、第2の推定部は、求めた前記第2、第4の加算画素値と、取得された前記第1、第3の加算画素値に基づいて、第2の推定画素値{vij}を推定する。合成部233は、第1、第2の推定画素値{vij,vij}に基づいて最終的な推定画素値{vij}を合成する。図5で上述のように、第2の推定部は、第2、第4の加算画素値を、前記第1、第3の加算画素値に基づいて色配列に依らず補間により求める。
【0124】
このようにすれば、色配列に依らない補間により加算画像A、Aを求めることができる。この加算画像A、Aを用いて復元推定処理を行うことで、撮像画像fxが持つ解像情報(例えば各画素の輝度値)を高精度に復元できる。即ち、図5に示すように、第1、第3の加算画素値(例えばa11、a22等)は、第2、第4の加算画素値(例えばa12)の上下左右に隣接する。図2の補間手法のように斜め方向に隣接する加算画素を使うよりも、近い加算画素値を用いて補間できるため、より高解像の復元が可能になる。この補間は、色配列を無視して、より近い加算画素値を用いることで可能になる。
【0125】
また本実施形態では、撮像画像fxは、RGBベイヤー配列の画像である。図4に示すように、第1の推定部は、RGBベイヤー配列の第1の推定画素値{vij}に対してデモザイキング処理を行い、各画素における第1のRGB画素値(rij,gij,bij)を求める。図7に示すように、第2の推定部は、(近似的に)RGBベイヤー配列の第2の推定画素値{vij}に対してデモザイキング処理を行い、各画素における第2のRGB画素値(rij,gij,bij)を求める。合成部233は、第1のRGB画素値に基づいて、色差値に相当する第1の画素値(色差値{Cbij,Crij})を求め(上式(6))、第2のRGB画素値に基づいて、輝度値に相当する第2の画素値(解像反映値{Yij})を求める。上式(12)で説明したように、合成部233は、その第1、第2の画素値をRGB画素値に変換して最終的なRGB画素値(rij,gij,bij)を求める。
【0126】
このようにすれば、色情報が復元された第1の推定画素値と、解像情報が復元された第2の推定画素値とに基づいて、最終的な推定画素値を合成できる。また、第1の推定画素値から色差値に相当する画素値を求めることで、第1の推定画素値から色情報を取り出すことができる。また、第2の推定画素値から輝度値に相当する画素値を求めることで、第2の推定画素値から解像情報を取り出すことができる。
【0127】
13.復元推定処理
次に、図8等で上述の推定演算部230が行う推定処理について詳細に説明する。なお以下では、加算画素値{a00、a10、a11、a01}を例に説明する(i,jは0以上の整数)が、他の加算画素値についても同様である。また、加算単位が2×2画素毎に設定される場合を例に説明するが、これに限定されず、例えば3×3画素毎であってもよい。
【0128】
図13(A)、図13(B)に、推定画素値と中間画素値の説明図を示す。図13(A)に示す加算画素値{a00、a10、a11、a01}は、図1で説明した加算画像A〜Aの加算画素値{a(1)00,a(2)10,a(3)11,a(4)01}に対応する。推定処理では、この加算画素値を用いて、最終的な推定画素値v00〜v22を推定する。推定画素値vijは、図1で説明した撮像画像fxの画素値に対応する。
【0129】
図13(B)に示すように、まず加算画素値a00〜a11から中間画素値b00〜b21(中間推定画素値)を推定する。中間画素値は2画素加算値に対応し、例えばb00は画素値v00とv01の加算値に対応する。これらの中間画素値b00〜b21から最終的な画素値v00〜v22を推定する。
【0130】
まず中間画素値を推定する処理について説明する。以下では、水平方向の最初の行の中間画素値b00〜b20を推定する場合を例に説明する。次の行の中間画素値b01〜b21についても同様の手法により推定される。
【0131】
図14に示すように、中間画素値b00〜b20は、水平方向の最初の行の加算画素値a00、a10に基づいて推定される。説明を簡単にするために、例えば重み付け係数r=2とすると、加算画素値a00、a10は下式(13)で表される。
00=v00+(1/2)v01+(1/2)v10+(1/4)v11
10=v10+(1/2)v11+(1/2)v20+(1/4)v21
(13)
【0132】
下式(14)に示すようにb00、b10、b20を定義する。
00=v00+(1/r)v01=v00+(1/2)v01
10=v10+(1/r)v11=v10+(1/2)v11
20=v20+(1/r)v21=v20+(1/2)v21 (14)
【0133】
次に、上式(14)を用いて上式(13)を変形すると、下式(15)が成り立つ。
00=b00+(1/2)b10
10=b10+(1/2)b20 (15)
【0134】
上式(15)において、a00、a10に所定の重み付け係数を掛けて差分δiを取り、上式(14)を使って変形すると、下式(16)が成り立つ。
δi=a10−2a00
=(1/2)b20−2b00 (16)
【0135】
00を未知数(初期変数)とすると、下式(17)に示すように、中間画素値b10、b20をb00の関数として求めることができる。このようにして、b00を未知数として高精細な中間画素値{b00,b10,b20}の組合せパターンが求められる。
00=(未知数),
10=2(a00−b00),
20=4b00+2δi=4b00+2(a10−2a00) (17)
【0136】
次に、未知数b00を求める手法について説明する。図15に示すように、加算画素値のパターン{a00,a10}と中間画素値のパターン{b00,b10,b20}を比較する。そして、その誤差Eが最小になる未知数b00を導出し、中間画素値b00として設定する。
【0137】
具体的には、加算画素値{aij}と中間画素値{bij,b(i+1)j}には、下式(18)の関係が成り立つ。この下式(18)による重み付けを考慮すると、下式(19)に示す評価関数Ejが求められる。そして、この評価関数Ejにより、パターン{a00,a10}とパターン{b00,b10,b20}の類似性評価を行う。
ij=bij+(1/2)b(i+1)j (18)
【数2】

【0138】
図16に示すように、Ejを最小にする未知数b00(=α)を求め、b00の値を決定できる。そして、推定したb00の値を上式(17)に代入し、b10,b20が求められる。
【0139】
次に、求めた中間画素値bijを用いて最終推定画素値vijを求める手法について説明する。以下では、左端垂直列(i=0列)を例に説明する。最終推定画素値vijは、中間画素値bijを求めた手法と同様に求められる。即ち、上式(15)を下式(20)に置き換えれば、以降の処理は同様である。
00=v00+(1/2)v01
01=v01+(1/2)v02 (20)
【0140】
以上の実施形態によれば、図13(A)に示すように、第1のポジションに設定された加算単位(例えばa00)と、第1のポジションの次の第2のポジションに設定された加算単位(例えばa10)は重畳する。上式(16)に示すように、推定演算部230は、第1、第2のポジションの加算画素値a00、a10の差分値δiを求める。図13(B)に示すように、第1の中間画素値b00は、加算単位a00から重畳領域(v10、v11)を除いた第1の領域(v00、v01)の加算画素値である。第2の中間画素値b20は、加算単位a10から重畳領域(v10、v11)を除いた第2の領域(v20、v21)の加算画素値である。上式(17)に示すように、第1、第2の中間画素値b00、b20の関係式を、差分値δiを用いて表す。図15等に示すように、その関係式を用いて第1、第2の中間画素値b00、b20を推定する。推定した第1の中間画素値b00を用いて加算単位に含まれる各画素の画素値(v00、v10、v11、v01)を求める。
【0141】
このようにすれば、重畳シフトされた加算画素値から中間画素値を一旦推定し、その重畳シフトされた中間画素値から推定画素値を求めることで、高解像画像の推定処理を簡素化できる。例えば、2次元フィルターの繰り返し演算(特許文献1)や、初期値の設定に適当な部分を探索(特許文献2)する等の複雑な処理が不要となる。
【0142】
ここで、重畳するとは、加算単位と加算単位が重なった領域を有することであり、例えば図13(A)に示すように、加算単位a00と加算単位a10が、2つの推定画素v10、v11を共有することである。
【0143】
また、加算単位のポジションとは、撮像画像における加算単位の位置や座標のことであり、あるいは、推定処理における推定画素値データ(画像データ)上での加算単位の位置や座標のことである。また、次のポジションとは、元のポジションから画素シフトされたポジションであり、元のポジションと位置や座標が一致しないポジションのことである。
【0144】
また本実施形態では、第1、第2の中間画素値(例えばb00、b20)を含む連続する中間画素値を中間画素値パターン({b00、b10、b20})とする。上式(17)に示すように、推定演算部230は、中間画素値パターンに含まれる中間画素値の間の関係式を加算画素値a00、a10を用いて表す。図15に示すように、中間画素値の間の関係式で表された中間画素値パターンと加算画素値とを比較して類似性を評価する。その類似性の評価結果に基づいて、類似性が最も高くなるように中間画素値パターンに含まれる中間画素値b00、b10、b20を決定する。
【0145】
このようにすれば、加算単位が重畳されながら画素シフトされることで取得された複数の加算画素値に基づいて、中間画素値を推定できる。
【0146】
ここで、中間画素値パターンとは、推定処理に用いられる範囲の中間画素値のデータ列(データの組み)である。また、加算画素値パターンとは、推定処理に用いられる範囲の加算画素値のデータ列である。
【0147】
また本実施形態では、上式(19)に示すように、推定演算部230は、中間画素値の間の関係式で表された中間画素値パターン({b00、b10、b20})と加算画素値(a00、a10)との誤差を表す評価関数Ejを求める。評価関数Ejの値が最小となるように中間画素値パターンに含まれる中間画素値b00、b10、b20を決定する。
【0148】
このようにすれば、誤差を評価関数で表し、その評価関数の極小値に対応する中間画素値を求めることで、中間画素値の値を推定できる。例えば、上述のように最小二乗法を用いて未知数を求めることで、簡素な処理で中間画素推定の初期値を設定できる。例えば、初期値設定に適当な画像部分の探索(特許文献2)が不要である。
【0149】
また本実施形態では、上式(13)に示すように、加算単位の各画素値(例えば、v00、v10、v01、v11)が重み付け加算された加算画素値(a00)を取得する。取得された加算単位の加算画素値(a00、a10)に基づいて、加算単位の各画素の画素値(v00、v10、v01、v11)を推定する。
【0150】
このようにすれば、加算単位の各画素値を重み付け加算して加算画像を取得し、取得した加算画像から高解像画像の画素値を推定できる。これにより、推定処理において、被写体の持つ高周波成分の再現性を向上できる。すなわち、加算単位の画素値を単純加算した場合には、矩形の窓関数を結像にコンボリューションすることになる。一方、加算単位の画素値を重み付け加算した場合には、矩形よりも高周波成分を多く含む窓関数を結像にコンボリューションすることになる。そのため、被写体の持つ高周波成分をより多く含む加算画像を取得でき、推定画像での高周波成分の再現性を向上できる。
【0151】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また撮像部、画像処理部、撮像装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0152】
10 撮像部、20 画像処理部、100 被写体、110 レンズ、
120 撮像素子、130 加算画像生成部、140 圧縮処理部、
141 差分画像生成部、143 エントロピー符号化部、
144 データ圧縮部、149 データ記憶部、150 圧縮データ記録部、
151 差分データ記録部、156 データ圧縮部、
157 基準画像データ記録部、200 圧縮データ伸張部、
205 伸張処理部、210 加算画像再生部、230 推定演算部、
231 色情報推定部、232 解像情報推定部、233 合成部、
235 補間処理部、236 復元推定処理部、240 高精細静止画生成部、
250 高精細動画生成部、260 標準動画生成部、290 画像出力部、
295 画像選択部、
〜A 第1〜第4の加算画像、D,D 第1、第3の差分画像、
Ej 評価関数、F 色情報復元画像、F 解像情報復元画像、
ij 加算画素値、b00 未知数、bij 中間画素値、fx 撮像画像、
r 重み付け係数、vij 画素値、δi 差分値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像を取得する画像取得部と、
加算画素値を取得する単位である加算単位を前記撮像画像の複数の画素毎に設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して前記加算画素値を求め、求めた前記加算画素値による加算画像を取得する加算画像生成部と、
前記加算画像を圧縮する圧縮処理部と、
圧縮された前記加算画像を伸張する伸張処理部と、
伸張された前記加算画像に基づいて前記撮像画像の画素値を推定する推定演算部と、
前記推定演算部により推定された画素値に基づく高解像画像を出力する画像出力部と、
を含み、
前記加算画像生成部は、
前記加算単位を順次画素シフトさせて、第1〜第nの加算画像のうちの第1〜第n−1の加算画像を、前記加算画像として取得し、
前記圧縮処理部は、
前記第1〜第n−1の加算画像のうちの第kの加算画像(kはn−1以下の自然数)と第mの加算画像(mはk以外のn−1以下の自然数)の差分を、第mの差分画像として求め、前記第kの加算画像と前記第mの差分画像を圧縮し、
前記伸張処理部は、
圧縮された前記第kの加算画像と前記第mの差分画像を伸張して前記第1〜第n−1の加算画像を求め、
前記推定演算部は、
前記第1〜第n−1の加算画像に基づいて前記第nの加算画像を補間により求め、求めた前記第nの加算画像と前記第1〜第n−1の加算画像に基づいて前記撮像画像の画素値を推定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記加算画像生成部は、
前記加算単位を、水平又は垂直に1画素ずつ順次シフトさせて第1〜第n−1のポジションに設定し、前記第1〜第n−1のポジションにおいてそれぞれ前記第1〜第n−1の加算画像を取得し、
第nのポジションの加算単位は、
前記第n−1のポジションの加算単位を、水平又は垂直に1画素シフトさせた加算単位であり、
前記第1〜第nのポジションのうちの第mのポジションと第m+1のポジションの前記加算単位は、共通の画素を含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記圧縮処理部は、
第kのポジションの前記加算画素値と第mのポジションの前記加算画素値の差分値を、前記第mの差分画像の画素値として求める差分画像生成部を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記圧縮処理部は、
前記第mの差分画像をエントロピー符号化により可逆圧縮することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記画像取得部は、
前記撮像画像として、複数の色の画素が配列された画像を取得し、
前記加算画像生成部は、
第1〜第n−1の色配列を有する前記加算単位を設定して第1〜第n−1の加算画素値を取得し、
前記推定演算部は、
第nの色配列に対応する第nの加算画素値を補間により求め、求めた前記第nの加算画素値と、取得された前記第1〜第n−1の加算画素値とに基づいて、第1の推定画素値を推定する第1の推定部を有し、
前記第1の推定部は、
前記第1〜第n−1の加算画素値の中の、前記重み付け加算における重み付けと色の対応関係が前記第nの色配列と同一である第sの加算画素値(sはn−1以下の自然数)に基づいて、前記第nの加算画素値を補間することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記推定演算部は、
前記第s、第nの加算画素値を補間により求め、求めた前記第s、第nの加算画素値と、取得された前記第1〜第s−1、第s+1〜第n−1の加算画素値に基づいて、第2の推定画素値を推定する第2の推定部と、
前記第1、第2の推定画素値に基づいて最終的な推定画素値を合成する合成部と、
を有し、
前記第2の推定部は、
前記第s、第nの加算画素値を、前記第1〜第s−1、第s+1〜第n−1の加算画素値に基づいて色配列に依らず補間により求めることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記撮像画像が、RGBベイヤー配列の画像である場合に、
前記第1の推定部は、
RGBベイヤー配列の前記第1の推定画素値に対してデモザイキング処理を行い、各画素における第1のRGB画素値を求め、
前記第2の推定部は、
RGBベイヤー配列の前記第2の推定画素値に対してデモザイキング処理を行い、各画素における第2のRGB画素値を求め、
前記合成部は、
前記第1のRGB画素値に基づいて、色差値に相当する第1の画素値を求め、前記第2のRGB画素値に基づいて、輝度値に相当する第2の画素値を求め、前記第1、第2の画素値をRGB画素値に変換して最終的なRGB画素値を求めることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
第1のポジションに設定された前記加算単位と、前記第1のポジションの次の第2のポジションに設定された前記加算単位が重畳する場合に、
前記推定演算部は、
前記第1のポジションの加算画素値と、前記第2のポジションの加算画素値の差分値を求め、
前記第1のポジションの加算単位から重畳領域を除いた第1の領域の加算画素値である第1の中間画素値と、前記第2のポジションの加算単位から前記重畳領域を除いた第2の領域の加算画素値である第2の中間画素値との関係式を、前記差分値を用いて表し、
前記関係式を用いて前記第1、第2の中間画素値を推定し、推定した前記第1の中間画素値を用いて前記加算単位に含まれる各画素の画素値を求めることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記推定演算部は、
前記第1、第2の中間画素値を含む連続する中間画素値を中間画素値パターンとする場合に、前記中間画素値パターンに含まれる中間画素値間の関係式を前記加算画素値を用いて表し、
前記中間画素値間の関係式で表された前記中間画素値パターンと前記加算画素値とを比較して類似性を評価し、
前記類似性の評価結果に基づいて、前記類似性が最も高くなるように、前記中間画素値パターンに含まれる中間画素値を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
撮像画像を取得し、
加算画素値を取得する単位である加算単位を前記撮像画像の複数の画素毎に設定し、前記加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して前記加算画素値を求め、求めた前記加算画素値による加算画像を取得し、
前記加算画像を圧縮し、
圧縮された前記加算画像を伸張し、
伸張された前記加算画像に基づいて前記撮像画像の画素値を推定するとともに、
前記推定演算部により推定された画素値に基づく高解像画像を出力する場合に、
前記加算単位を順次画素シフトさせて、第1〜第nの加算画像のうちの第1〜第n−1の加算画像を、前記加算画像として取得し、
前記第1〜第n−1の加算画像のうちの第kの加算画像(kはn−1以下の自然数)と第mの加算画像(mはk以外のn−1以下の自然数)の差分を、第mの差分画像として求め、前記第kの加算画像と前記第mの差分画像を圧縮し、
圧縮された前記第kの加算画像と前記第mの差分画像を伸張して前記第1〜第n−1の加算画像を求め、
前記第1〜第n−1の加算画像に基づいて前記第nの加算画像を補間により求め、求めた前記第nの加算画像と前記第1〜第n−1の加算画像に基づいて前記撮像画像の画素値を推定することを特徴とする画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−231378(P2012−231378A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99266(P2011−99266)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】