説明

撮像装置

【課題】本発明は、光学系を収容するケースの内部に侵入あるいは発生した塵埃を光学系の光路から離れた位置で捕集することのできる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置10は、プリズム光学系4と撮像素子51と基板52とケース3とプリズムホルダ6と切換機構7とトラップTとを備える。プリズム光学系は、自由曲面形状の反射面412,422,423を有する。撮像素子は、射出光軸λoと垂直に受光面51aが配置される。ケースは、基板を保持し、プリズム光学系を囲う。プリズムホルダは、ケースの内部で撮像素子に対してプリズム光学系の姿勢を保持する。切換機構は、反射面422の背部とケースとの間に配置され、プリズムホルダを射出光軸λoに沿って変位させる。トラップTは、切換機構7が配置される第1の領域A1とプリズム光学系4および撮像素子51が配置される第2の領域A2との間で塵埃を捕集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自由曲面形状の光学面を少なくとも2つ含むプリズム光学系を内蔵し、このプリズム光学系を撮像素子に対して変位させる可動部を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子を備えて画像を読み取る装置の光学系の光路内部に塵埃が侵入あるいは発生すると、この塵埃に光が反射してゴーストやフレアを発生させる原因となる。撮像素子に写り込む塵埃の大きさは、受光面から塵埃までの距離の2乗に反比例する。したがって、適度に距離を開けて撮像素子の受光面の上に保護用のカバーガラスが載せられる。
【0003】
受光面からカバーガラスまでの距離が離れていると、例えカバーガラスに小さな埃がついてもそれが撮像素子で読み取った画像に写り込むことがほとんどない。しかし、撮像装置が小型化・薄型化されるにつれて、レンズのバックフォーカスをできるだけ小さくする必要がある。そのため、撮像素子の受光面からカバーガラスまでの距離も近くなる。
【0004】
また、撮像素子自体の画素数が飛躍的に向上し、今やピクセルサイズは、数μm台である。したがって、数μmの微細な塵埃であっても画質に大きな影響を及ぼすこととなる。そのため、塵埃を捕集するための対策が必須要件となりつつある。
【0005】
特許文献1に記載の画像読取装置は、投影レンズを装着するための孔部が筐体に設けられている。孔部は、投影レンズが組み込まれたのち、粘着テープで塞がれる。粘着テープは、不織布を基材とし片面に粘着層が形成されている。粘着テープの粘着層は、投影系の内部に露出する。また、筐体の内面に粘着テープを貼り付ける場合も同じ効果が得られると記載されている。
【0006】
特許文献2に記載のカバー付内視鏡は、先端構成部に観察用および証明用のカバーレンズを備える。先端構成部は、内視鏡カバーで覆われ、それぞれのカバーレンズには、レンズカバーがさらに装着されている。レンズカバーは、内側面に帯電防止剤がコーティングされている。また、内視鏡カバーの先端の内面において内視鏡の先端構成部が接触しない部位には、粘着剤がコーティングされる。製造組立時に内視鏡カバーと先端構成部との間に混入する塵埃がカバーレンズやレンズカバーに付着することを防止している。
【0007】
特許文献3に記載の画像読取装置は、筐体の上部に設けられるプラテンガラスに載置される原稿に、筐体の内部から光を照射してその透過光または反射光を固体撮像素子で読み取る。この画像読取装置は、光源からの光を偏向するミラーを搭載し原稿に沿って移動する第1のキャリッジと、この第1のキャリッジに同期して移動し第1のキャリッジから届く光を固体撮像素子へ案内するミラーを搭載する第2のキャリッジとを筐体の中に有する。第1のキャリッジおよび第2のキャリッジも含めて、筐体の内部において、少しでも上方に向けられた面には、粘着性部材が貼り付けられ、内部を浮遊、流動する塵埃を粘着保持する。
【0008】
また、特許文献4に記載のカメラは、沈胴式のレンズ鏡筒を備える。レンズ鏡筒は、カメラボディに固定された固定筒と、カメラボディに引込んだ収納位置からカメラボディから突出した撮影可能位置に移動する移動筒を有する。レンズ鏡筒とカメラボディとを電気的に接続するフレキシブル基板を通す孔が、固定筒に設けられている。孔は、弁が取り付けられている。この弁は、移動筒が収納位置から撮影可能位置に移動する場合、外気とともに塵を鏡筒内に吸い込まないようにこの孔を塞ぎ、移動筒が撮影可能位置から収納位置へ移動する場合、開放されて鏡筒内部の空気を流出させる。
【0009】
また、特許文献4には、移動筒の途中に設けられた孔と、この孔の内側からCCDユニットの脇まで案内されたチューブとを備えるカメラが記載されている。CCDユニットを隔ててチューブと反対側には、両面に粘着剤が塗布された粘着シートが貼り付けられている。利用者は、CCDから出力される画像を見て、塵埃が写り込んでいる場合は、ブロワーで孔から空気を送り、CCDについた塵埃を吹き飛ばす。吹き飛ばされた塵埃は、粘着シートに回収される。
【特許文献1】特開平7−77745号公報
【特許文献2】特開平7−178039号公報
【特許文献3】特開平11−177769号公報
【特許文献4】特開2005−62552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが特許文献1の場合、投影レンズを組み込むための孔部を塞ぐように粘着テープを取り付けたものは、投影レンズによって筐体の内部に露出する面積が限られてしまうとともに、筐体の中の空気が常に循環しているわけではないので、塵埃を効果的に捕集できるとは限らない。また、筐体の内面に取り付ける実施形態の場合、光路の外周に粘着テープが貼り付けている。したがって、繊維状の埃の場合、埃の一端を捕えても他端が光路に干渉してしまうこともありうる。
【0011】
特許文献2の場合、レンズカバーの内側面に帯電防止コーティングを施しているが、特許文献1と同様にカバーレンズとレンズカバーとの間の空気は淀んでおり、対流することがほとんど無いため、視野に写り込んだ塵埃が粘着剤に付着するまでに時間がかかる。また、レンズの外周に設けられた粘着剤に付着した場合、塵埃が粘着剤に付着してもレンズの視野に写り込む可能性がある。
【0012】
特許文献3の場合、筐体の内部を移動する第1および第2のキャリッジに粘着性部材が塗布されるので、筐体の中に浮遊流動する塵埃を積極的に捕えることが可能である。しかし、プラテンガラスを冷却するために外気を取り入れるファンが設けられているため、新たな塵埃を取り込んでしまう。
【0013】
特許文献4の場合、レンズ鏡筒が繰出される時に鏡筒の内部に通じる孔を塞ぐように弁を設けているが、レンズ鏡筒が伸びるためには、代わりにどこからか外気を吸い込むこととなる。また、CCDの脇に案内されているチューブで塵埃を吹き飛ばすものは、レンズ鏡筒が伸びる際に外気を真っ先にCCDに吹き付けることとなり、CCDに埃がつきやすく、ブロワーで度々埃を除去しなければならなくなる。
【0014】
また、CCDを内蔵する近年の撮像装置は、小型化が進み、一度組み立てられたらレンズ周りおよびCCD周辺を開放されることがない。したがって、筐体の内部を浮遊する塵埃を光路と干渉するような箇所で吸着することは避けなければならない。
【0015】
そこで、本発明は、光学系を収容するケースの内部に侵入あるいは発生した塵埃を光学系の光路から離れた位置で捕集することのできる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る撮像装置は、プリズム光学系と、撮像素子と、基板と、ケースと、プリズムホルダと、切換機構と、トラップとを備える。プリズム光学系は、自由曲面形状の反射面を少なくとも2つ有する。本明細書中において自由曲面形状とは、光学系の光軸を中心に回転非対称、かつ、光軸に沿って1つの対称面を有する曲面形状を意味し、この光学系においては、入射光軸と射出光軸とが倣う仮想平面について鏡像に形成された曲面である。プリズム光学系は、物体から入射光軸に沿って入射された光束を、入射光軸とほぼ平行に偏心させて配置された射出光軸に沿って射出し、物体像を形成する。撮像素子は、射出光軸と垂直に受光面が配置され、物体像を電気信号に変換する。基板は、撮像素子を実装する。ケースは、基板を保持し、プリズム光学系を囲う。プリズムホルダは、ケースの内部で撮像素子に対してプリズム光学系の姿勢を保持する。切換機構は、反射面の背部とケースとの間に配置され、プリズムホルダを射出光軸に沿って変位させる。トラップは、第1の領域と第2の領域との間で塵埃を捕集する。第1の領域には、切換機構が配置されている。第2の領域には、プリズム光学系および撮像素子が配置されている。
【0017】
この場合、トラップは、隔壁と盾部とを有する。隔壁は、第1の領域から第2の領域へ跨がるプリズムホルダの支持部が干渉しない大きさに開口された連通孔を有し、ケースの内部を第1の領域と第2の領域とに区画する。盾部は、隔壁に沿って支持部から連通孔の縁に重なる位置まで延びる大きさを有している。
【0018】
また、トラップは、隔壁と盾部とが対峙する範囲で少なくとも一方に塗布される粘着剤か、隔壁と盾部とが対峙する範囲で少なくとも一方に貼り付けられる粘着シートか、隔壁と盾部との間に充填されるゲルを有する。
【0019】
また、ケースの外部に取り付けられるモータによって切換機構を駆動し、ケースは、第1の領域と第2の領域を外部に対して密閉することも好ましい。また、隔壁と盾部とのいずれか一方から延びて他方へ摺接するシール膜をさらに設けることも好ましい。
【0020】
本発明に係る他の形態の撮像装置は、プリズム光学系と、撮像素子と、基板と、ケースと、シャフトと、プリズムホルダと、レバー部材と、スロットと、盾部と、トラップとを備える。プリズム光学系、撮像素子、基板、ケースは、上述のものと同様の構成である。シャフトは、反射面の背部とケースとの間で受光面に対して垂直に配置する。プリズムホルダは、ケースの内部で撮像素子に対してプリズム光学系の姿勢を保持し、シャフトに外嵌する支持部を有する。レバー部材は、カム部とアーム部とを有する。カム部は、支持部に形成される位置決面に摺接してシャフトに外嵌し、プリズムホルダをシャフトに沿って変位させる。アーム部は、シャフトから遠心方向へケースの外まで延びる。スロットは、アーム部の回動範囲にケースに開口される。盾部は、アーム部に設けられ、このアーム部の回動範囲内においてスロットを覆う。トラップは、ケースと盾部との間を通過する塵埃を捕集する。
【0021】
この場合、トラップは、ケースおよび盾部の少なくとも一方に塗布される粘着剤か、ケースおよび盾部の少なくとも一方に貼り付けられる粘着シートか、ケースと盾部との間に充填されるゲルを有することも好ましい。また、ケースは、カム部を覆う円筒壁を有し、盾部は、円筒壁の外面に沿って配置され、円筒壁に貼り付けられてケースの外側から盾部に覆い被さる柔軟性を有したリップシートをさらに備えることも好ましい。
【0022】
また、レバー部材は、プリズムホルダを第1の位置と第2の位置のどちらか一方に選択的に位置決めする。第1の位置は、撮像素子の受光面に近い位置であり、第2の位置は、第1の位置に比べて撮像素子の受光面から遠い位置である。
【0023】
上述の基板の一例は、プリズム光学系から射出される光束を通過させる窓部を有して、プリズム光学系と反対側から窓部に撮像素子を実装し、窓部の外周に沿って表面に粘着性を有したダストコレクタを配置する。
【0024】
この場合、ダストコレクタは、表面に粘着剤が塗布されたテープ状のものか、畝形に盛り上げたゲル状の粘着剤であることも好ましい。また、ダストコレクタは、プリズム光学系に向かって基板から立ち上がるリブと、基板に向かってプリズムホルダから延びてリブと遊嵌するフィンとで構成し、リブとフィンとは、切換機構によるプリズムホルダの移動範囲内で互にオーバーラップさせることも好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る撮像装置は、ケースの中でプリズム光学系を支持するプリズムホルダを、プリズム光学系の反射面の背部とケースとの間に配置された切換機構によってプリズム光学系ごと変位させる。ケースの中において、切換機構が配置される第1の領域とプリズム光学系が配置される第2の領域との間に設けられるトラップによって塵埃を捕集する。
【0026】
また、本発明に係る他の形態の撮像装置は、プリズム光学系の反射面の背部とケースとの間に撮像素子の受光面に対して垂直に配置されるシャフトに、プリズムホルダの支持部が外嵌している。プリズムホルダは、レバー部材によってシャフトに沿う方向へ変位される。ケースの外部に延出したレバー部材のアーム部に設けられる盾部とケースとの間に設けられるトラップによって塵埃を捕集する。
【0027】
つまり、撮像装置は、プリズム光学系の光路から離れた位置となる反射面の背部にトラップが設けられ、このトラップでケース内部に浮遊する塵埃を捕えるので、トラップに捕集された塵埃が光路に干渉することもない。また、プリズムホルダが切換機構やレバー部材によって変位されることで、ケースの中の空気が積極的に攪拌され、トラップに塵埃が捕集される確率が増す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る第1の実施形態の撮像装置10を内蔵するデジタルカメラ100について、図1から図9を参照して説明する。図1に示すデジタルカメラ100は、撮像用機器の一例であり、レリーズボタン21、ストロボ22、入射窓23がカメラハウジング2の外に面して設けられている。カバーガラス24が入射窓23に取り付けられている。カメラハウジング2の入射窓23の内側には、撮像装置10が組み込まれている。
【0029】
デジタルカメラ100の内部も含めた全体の概略構成のブロック図を図2に示す。デジタルカメラ100は、上記に加えて図2に示すように、システムコントローラ25、電源ボタン26、表示ユニット27、記録部28、ストロボ駆動回路29等を備えている。システムコントローラ25は、電源ボタン26、レリーズボタン21、撮像装置10、表示ユニット27、記録部28、ストロボ駆動回路29のそれぞれに接続されている。システムコントローラ25は、撮像動作に係る制御手段および取り込んだ画像情報の処理手段の一例であり、本実施形態のように一体に設けられたCPUであっても良いし、機能毎に細分化されていても良い。
【0030】
電源ボタン26およびレリーズボタン21は、操作ボタンの1つである。操作ボタンとして、これらのほかに、表示切換ボタン、撮像モード切換ボタン、ズームコントロールボタン、フラッシュ作動ボタンなど、撮影する際に使用されるボタンの他、撮影した画像を編集するための各種編集ボタンなどが設けられる。レリーズボタン21は、二段階に操作することができる。
【0031】
表示ユニット27は、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの薄型ディスプレイである。表示ユニット27は、撮影時のファインダーとして利用されるとともに、撮影した画像や記録部28に保存されている画像の確認、並びに編集や、カメラ機能の各種設定などを行うために使用される。
【0032】
システムコントローラ25は、撮像装置10によって得られる画像に関する電気信号に、設定された電気的プロセス、例えば色調補正、ホワイトバランス、自動露光、出力信号のフォーマットなどを施し、画像データを得る機能を担っている。システムコントローラ25は、レリーズボタン21が1段目まで押されたことを検出し、表示ユニット27やストロボ駆動回路29を起動させるとともに、撮像装置10から取り込まれる電気信号を仮に保存するためのバッファの初期化などを行う。
【0033】
また、レリーズボタン21が2段目まで押されたことをシステムコントローラ25が検出すると、撮像装置10によって得られる電気信号を読み込み画像データを作成する。得られた画像データは、表示ユニット27に表示されるとともに、記録部28に保存される。記録部28は、画像データを適用される記録媒体28aに画像データを記録するための情報記録手段である。適用される記録媒体28aとは、カメラハウジング2内に組み込まれるフラッシュメモリや、カメラハウジング2に設けられたハッチ28bを通じて取り出し可能に装着されるメモリカード等を意味する。
【0034】
撮像装置10は、組み上がった状態で図3に示すような箱型の外形を有している。撮像装置10は、ケース3と、プリズム光学系4と、撮像素子51と、基板52と、プリズムホルダ6と、切換機構7と、トラップTと、モータ78とを備える。
【0035】
ケース3は、図3に示すように撮像装置10の外殻を構成し、プリズム光学系4および切換機構7を収納する。ケース3は、切換機構7の近くに外側から凹部3aが形成され、駆動部となるモータ78が取り付けられている。ケース3は、図4に示すようにフロントカバー31と固定枠32とギアハウジング33とバックカバー34とで構成されプリズム光学系4を外部に対して密閉する。
【0036】
フロントカバー31は、入射光軸λiに沿ってプリズム光学系4に入射される光束が通過する開口部311が設けられ、カバーガラス312が嵌め込まれる。固定枠32は、入射側にフロントカバー31と嵌り合うリブ321とネジ孔322とが入射側に形成されている。リブ321は、固定枠32の内面寄りに設けられ、ネジ孔322は、リブ321よりも外側になる位置に設けられている。フロントカバー31は、ネジ孔322に対応する位置に設けられた固定孔313を通して螺着されるビスによって固定枠32に取り付けられる。
【0037】
ギアハウジング33は、固定枠32に対してフロントカバー31と反対側から取り付けられる。ギアハウジング33は、固定枠32との間に後で詳述する切換機構7を挟み込む。ギアハウジング33は、固定枠32とネジ止めされ、外周部で接着固定される。
【0038】
バックカバー34は、基板52を挟んで固定枠32に装着される。なお、撮像素子51の受光面51aをプリズム光学系4の射出光軸λoに対して精度良く位置決めするため、撮像素子51の受光面51aと反対側の面は、バックカバー34に設けられるセンサ押え部341に接着剤で予め固定される。撮像素子51と基板52とバックカバー34とが一体になった状態で、固定枠32にネジ止めされる。
【0039】
プリズム光学系4は、入射光軸λiと射出光軸λoとがほぼ平行に偏心させて配置された偏心光学系の一例である。特に、このプリズム光学系4は、自由曲面形状の光学面となる反射面を少なくとも2つ有している反射光学系である。「自由曲面形状の光学面」とは、反射される光束の光軸に沿う唯一の対称面を有した回転非対称な曲面形状の光学面を意味する。
【0040】
本実施形態において、プリズム光学系4は、図5に示すように第1のプリズム41と第2のプリズム42と絞部材43とで構成される。第1のプリズム41および第2のプリズム42は、反射光学系を構成する光学要素の一つである。第1のプリズム41と第2のプリズム42とは、入射光軸λiと射出光軸λoとが偏心している方向に沿って並べて配置されている。第1のプリズム41は、入射側に配置され、第2のプリズム42は、射出側に配置されている。
【0041】
図7に示すように第1のプリズム41は、第1の入射面411と第1の反射面412と第1の射出面413を有している。第2のプリズム42は、第2の入射面421と2つの第2の反射面422,423と第2の射出面424とを有している。第1の反射面412および第2の反射面422,423は、自由曲面形状の光学面であり、物体から入射される光束の入射光軸λiおよびこのプリズム光学系4から射出される光束の射出光軸λoが倣う共通の仮想平面に対して鏡像となる向きに配置される。
【0042】
図5に示すように、第1のプリズム41の非光学面となる側面414には、入射光軸λiと射出光軸λoとが倣う仮想平面に対して直交する方向に第1の保持ピース415が設けられている。第2のプリズム42の非光学面となる側面425には、上記仮想平面に対して直交する方向に第2の保持ピース426が設けられている。絞部材43は、第1のプリズム41および第2のプリズム42の光学面の有効面積に合せて作られた開口部431を有している。絞部材43は、第1のプリズム41と第2のプリズム42との間に挟まれ、これらの相対位置関係を維持する保持部材としても機能している。
【0043】
絞部材43の開口部431は、第1のプリズム41から第2のプリズム42に向かって射出される光束の光軸に対して直角に設けられる。なお、開口部431を閉じるシャッタ、あるいは、開口部431の口径を縮小させる絞羽根を絞部材43に組み込んでも良い。
【0044】
被写体となる物体からカメラハウジング2の入射窓23に取り付けられたカバーガラス24を通して入射される光束は、図7に示すように、第1の入射面411に入射し、第1の反射面412で全反射されたのち、第1の射出面413から射出される。第1のプリズム41から射出される光束は、第2の入射面421から入射し、2つの第2の反射面422,423でそれぞれ全反射されたのち、第2の射出面424から射出される。第2のプリズム42から射出された光束は、射出光軸λoに対して垂直に配置される撮像素子51の受光面51aにおいて物体像を形成する。
【0045】
撮像素子51は、図7に示すように基板52に対してプリズム光学系4と反対側から実装されている。基板52は、第2のプリズム42から射出される光束が通過する十分な大きさの窓部52aを有している。プリズム光学系4に面した側から窓部52aにカバーガラス53が取り付けられている。撮像素子51は、例えばフォトダイオードなど光を電気信号に変換する半導体素子が多数並べられたCCD(Charged-Coupled Device)である。基板52には、撮像素子51とシステムコントローラ25との間の連係を取るインターフェイス回路などを構成する電子部品54が実装されている。
【0046】
プリズムホルダ6は、図4および図5に示されたように、第1の反射面412と側面414,425と第2の反射面422とを囲う環状に形成され、中央部において第1のプリズム41と基板52との間を横切るように桟69が設けられている。プリズムホルダ6は、ケース3の内部において撮像素子51の受光面51aに対してプリズム光学系4の姿勢を保持する。プリズムホルダ6は、第1の受部61と第2の受部62と凸条63と固定ボス64と位置検出片65と支持部66と盾部67とガイドボス68とを備える。
【0047】
第1の受部61は、第1の保持ピース415を支持し、第1のプリズム41を入射光軸λiに沿う方向へ位置決めする。第2の受部62は、第2の保持ピース426を支持し、第2のプリズム42を射出光軸λoに沿う方向へ位置決めする。凸条63は、入射光軸λiおよび射出光軸λoに沿う方向に設けられている。第1の保持ピース415および第2の保持ピース426に対して、第1のプリズム41と第2のプリズム42とが並ぶ方向に両側から当接する凸条63と、第1のプリズム41および第2のプリズム42の側面に当接する凸条63とがある。凸条63は、第1のプリズム41を入射光軸λiと直交する面に沿って、第2のプリズム42を射出光軸λoと直交する面に沿って、それぞれ位置決めする。
【0048】
固定ボス64は、第1の受部61と第2の受部62との中間に設けられ、絞部材43の側面から延びる固定タブ432に設けられた固定孔433と嵌合する。絞部材43は、第1のプリズム41と第2のプリズム42と組み合わされた状態でプリズムホルダ6に装填された後、固定ボス64が超音波カシメされることによって、プリズムホルダ6に固定される。
【0049】
位置検出片65は、図5に示すように第2のプリズム42側からプリズムホルダ6の外側に向かって延びている。位置検出片65は、撮像装置10が組み上がった状態で、図3および図6に示すように固定枠32の内側に取り付けられる検出センサ55の間に差し入れられる。位置検出片65と検出センサ55は、撮像素子51に対するプリズムホルダ6の位置を検出する。
【0050】
支持部66は、第2のプリズム42側からプリズムホルダ6の外側に向かって延びており、切換機構7と連結される。盾部67は、第2のプリズム42と切換機構7との間の支持部66に設けられている。ガイドボス68は、第1のプリズム41側のプリズムホルダ6から支持部66と反対方向へ向かって延びており、固定枠32の内面に設けられたガイド溝323に嵌合する。ガイド溝323は、撮像素子51の受光面51aと垂直な方向に延びている。
【0051】
切換機構7は、図3に示すように第2のプリズム42の第2の反射面422の背部とケース3との間に配置されている。切換機構7は、図6に示すように、ガイドシャフト71と、リードネジ72と、カムギア73と、ナット74と、アイドルギア75と、ピニオンギア76と、スプリング77とを備える。ガイドシャフト71とリードネジ72は、固定枠32とギアハウジング33とに支持されている。
【0052】
ガイドシャフト71は、図7に示すように撮像素子51の受光面51aに対して垂直に配置され、支持部66に設けられたガイド孔661に通されている。また、支持部66と固定枠32との間でガイド孔661の外周に、スプリング77が装着されている。このスプリング77は、プリズムホルダ6を撮像素子51側に付勢する。
【0053】
リードネジ72は、図6に示すようにガイドシャフト71と平行に配置され、ガイド孔に661隣り合って設けられた挿通孔662に通されている。リードネジ72は、カムギア73と嵌合しており一体に回転する。ナット74は、支持部66の挿通孔662に対して撮像素子51側でリードネジ72に螺合している。ナット74の外周に回り止めピース741が突出しており、固定枠32に設けられた案内溝に嵌合している。リードネジ72が回転することで、ナット74は、支持部66を変位させる。
【0054】
アイドルギア75は、固定枠32から延びてギアハウジング33に刺さる係合ピンを兼ねるギア軸324に外挿しており、ピニオンギア76およびカムギア73にそれぞれ噛合している。ピニオンギア76は、固定枠32の外側からガイドシャフト71と平行に差し込まれたモータ78の駆動軸781に嵌着されている。モータ78が回転すると、ピニオンギア76、アイドルギア75、カムギア73を介してリードネジ72が回転される。
【0055】
リードネジ72のネジ部が右ネジの場合、入射側から見て時計回りにリードネジ72を回転させる方向へモータ78が駆動することで、プリズムホルダ6が撮像素子51から離れる方向へ変位される。また、モータ78を逆転させると、プリズムホルダ6が撮像素子51へ近づく方向へ変位される。本実施形態において、切換機構7は、作動することによって、プリズムホルダ6を第1の位置P1と第2の位置P2とのどちらか一方へ二値的に変位させる。
【0056】
第1の位置P1は、撮像素子51の受光面51aに対してプリズムホルダ6を近づけた位置であり、撮像対象となる物体までの距離が、ある一定の距離から無限遠までの間にある場合に対応してピントが合うように設定された標準撮像位置である。第2の位置P2は、第1の位置P1に比べて撮像素子51の受光面51aから遠い位置であり、撮像対象となる物体までの距離がある一定の距離よりも近い場合に対応してピントが合うように設定されたマクロ撮像位置である。
【0057】
トラップTは、隔壁35と盾部67と粘着剤G1とで構成される。隔壁35は、固定枠32およびギアハウジング33の双方から延びて形成され、ケース3内において、切換機構7が配置される第1の領域A1と、プリズム光学系4が配置される第2の領域A2とを区画するように設けられている。隔壁35は、切換機構7によって変位するプリズムホルダ6の支持部66と干渉しない程度の大きさに開口された連通孔351を有している。盾部67は、第2の領域A2側で隔壁35に沿って支持部66から連通孔351の縁に重なる位置まで広がっている。粘着剤G1は、隔壁35と盾部67とが対峙する範囲にわたって、隔壁35と盾部67との表面に塗布されている。
【0058】
また、基板52の窓部52aに取り付けられたカバーガラス53の周囲には、ダストコレクタCが設けられている。本実施形態において、ダストコレクタCは、畝形に盛り上げられたゲル状の粘着剤である。
【0059】
以上のように構成された10において、トラップTは、第2の反射面422の背部に設けられている。図8に示す第1の位置(標準撮像位置)P1においても図9に示す第2の位置(マクロ撮像位置)P2においても、連通孔351を盾部67が覆っており、第1の領域A1と第2の領域A2とが直線的に連通されていない。また、本実施形態において、ケース3は、外部に対して密閉されており、プリズムホルダ6は、モータ78によって動かされる。
【0060】
プリズムホルダ6が図8に示す第1の位置P1から図9に示す第2の位置P2へ、あるいは、第2の位置P2から第1の位置P1へ切換機構7によって変位されると、ケース3の内部に閉じ込められた空気が攪拌される。このときケース3の内部の空気は、プリズムホルダ6の外周とケース3との間、プリズムホルダ6の支持部66とケース3との間を流れる。また、その一部は、トラップTを通過して、第1の領域A1と第2の領域A2との間を移動する。
【0061】
トラップTは、狭く入り組んだ形状であるため、空気の流れは、乱される。したがって、空気中に塵埃等の浮遊物があると、トラップT内の角部で淀んだり、隔壁35や盾部67の壁面に衝突したりする。粘着剤G1がトラップTの範囲に塗布されているので、空気中の塵埃は、トラップTにおいて捕集されることとなる。トラップTは、第2のプリズム42の第2の反射面422の背部に設けられているため、捕集された塵埃が光路と干渉することがない。つまり、撮像素子51によって取得される画像に塵埃が写り込むことがない。
【0062】
プリズムホルダ6が第1の位置(標準撮像位置)P1から第2の位置(マクロ撮像位置)P2に切り換えられた場合、第2の領域A2にある空気は、プリズムホルダ6の外周から第2のプリズム42とカバーガラス53との間に巻きこまれる。本実施形態において、撮像素子51と第2のプリズム42の第2の射出面424との間に配置されるカバーガラス53の回りに、畝形に粘着剤が盛り上げられたダストコレクタCが設けられている。したがって、第2の領域A2中に漂う塵埃をカバーガラス53に乗る前にダストコレクタCで捕集することができる。
【0063】
次に、本発明に係る第2の実施形態の撮像装置10Aについて、図10および図11を参照して説明する。この実施形態の撮像装置10Aは、第1の領域A1と第2の領域A2の間に設けられるトラップT、および、基板52の窓部52aの外周に沿って設けられるダストコレクタCの構成が異なっている。それ以外の構成は、図3から図6に示した第1の実施形態の撮像装置10と同じ機能を有するので、トラップTおよびダストコレクタC以外の詳細部については、ここでの説明を省略し、図3から図6およびこれらに該当する説明を参照するものとする。また、第1の実施形態の撮像装置10と同じ機能を有する構成は、図10および図11において同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
トラップTは、隔壁35と盾部67との間に、粘着性のゲルG2が充填されている。充填されるゲルG2の量は、図10に示す第1の位置(標準撮像位置)P1と、図11に示す第2の位置(マクロ撮像位置)P2のいずれにおいても、トラップTからはみ出さずかつ第1の領域A1と第2の領域A2とを完全に隔離できる十分な量である。
【0065】
また、ダストコレクタCは、それぞれ表面に粘着性を有したリブ81とフィン82とで構成されており、基板52の窓部52aに装着されたカバーガラス53の外周に沿って配置されている。なお、リブ81とフィン82とは、そのものが表面に粘着性を有していても良いし、芯材の表面に粘着テープを貼り付けて作られていても良い。
【0066】
リブ81は、第2のプリズム42に向かって基板52から立ち上がっている。フィン82は、基板52に向かってプリズムホルダ6から延びており、リブ81の外側に外嵌する。特に、リブ81とフィン82とは、切換機構7によってプリズムホルダ6が図10に示す第1の位置(標準撮像位置)P1と図11に示す第2の位置(マクロ撮像位置)P2とに変位される移動範囲内において、一部が必ず互いにオーバーラップしている長さをそれぞれ有している。
【0067】
以上のように構成された撮像装置10Aにおいて、第1の領域A1と第2の領域A2とが、トラップTによって、完全に遮断される。また、トラップTに充填された粘着性のゲルG2は、塵埃が付着しても、プリズムホルダ6が変位されることによって攪拌され、表面の粘着性を維持しやすい。また、切換機構7の作動部から新たに発生する塵埃が第2の領域A2に侵入することを防ぐことができる。
【0068】
また、リブ81とフィン82とで構成されるダストコレクタCは、第2の射出面424とカバーガラス53との間に、第2の領域A2の空気が直線的に流入することを阻止している。第1の位置(標準撮像位置)P1から第2の位置(マクロ撮像位置)P2にプリズムホルダ6が移動すると、ダストコレクタCの外から第2のプリズム42とカバーガラス53との間に第2の領域A2の空気が吸い込まれる。リブ81とフィン82との間を通過する空気は、攪拌されるので、その中に浮遊する塵埃は、リブ81およびフィン82に衝突し、捕集される。
【0069】
本発明に係る第3の実施形態の撮像装置10Bについて、図12および図13を参照して説明する。この実施形態の撮像装置10Bは、隔壁35と盾部67との間にシール膜83を有していることが、第1および第2の実施形態の撮像装置10,10Aと異なる。また、粘着剤G1やゲルG2およびダストコレクタCを備えていない。それ以外の構成は、図3から図6に示す第1の実施形態の撮像装置10と同じ機能を有する。したがって、これらの詳細は、図3から図6およびこれらに該当する説明箇所を参照するものとし、ここでの記載を省略する。また図12および図13に示される構成において、第1の実施形態と同じ機能を有する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0070】
シール膜83は、外周縁が隔壁35に貼り付けられて内周縁が隔壁35に面した盾部67と摺接する。このシール膜83は、ゴム製やシリコーン樹脂製などの柔軟性を有した膜である。プリズムホルダ6が図12に示す第1の位置(標準撮像位置)P1から図13に示す第2の位置(マクロ撮像位置)P2まで移動する範囲内において、シール膜83は、盾部67の形状に追従して変形し、第1の領域A1と第2の領域A2との間の空気の流れを抑制する。
【0071】
シール膜83の内周縁が隔壁35と盾部67との間に入り込んでいるので、空気は、第2の領域A2から第1の領域A1に流れやすく、逆に第1の領域A1から第2の領域A2に流れにくい。そのため、第2の領域A2に浮遊する塵埃は、シール膜83を通り抜けてひとたび第1の領域A1側に移動すると、シール膜83によってトラップTに捕集され、第2の領域A2に戻り難くなる。したがって、第2の領域A2の塵埃が徐々に減少する。
【0072】
また、静電気を帯電しやすい材質でシール膜83を形成すると、ケース3内部に浮遊する塵埃をクーロン力によって積極的に吸着しやすいので好ましい。特に、第1の位置(標準撮像位置)P1と第2の位置(マクロ撮像位置)P2とにプリズムホルダ6が変位する操作が繰り返されると、シール膜83と盾部67とが擦れて、静電気を帯びやすくなる。
【0073】
なお、第1の実施形態におけるダストコレクタCや、第2の実施形態におけるダストコレクタCを第3の実施形態に設けても良い。また、第1の実施形態において、隔壁35と盾部67とに粘着剤G1を塗布する代わりに、表面に粘着性を有した粘着シートを隔壁35と盾部67とが対峙する範囲の少なくとも一方に貼り付けても良い。さらに、第1の実施形態におけるダストコレクタCの代わりに、表面に粘着性を有した粘着シートをカバーガラス53の回りに貼り付けても良い。
【0074】
本発明に係る第4の実施形態の撮像装置10Cを内蔵するカメラ付携帯電話200について、図14から図18を参照して説明する。なお、先の実施形態と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。図14に示すカメラ付携帯電話200は、撮像装置10Cを内蔵する電子機器の一例である。カメラ付携帯電話200は、2つの筐体201,202のそれぞれ一方の端がヒンジ203で連結された中折れ式の携帯電話である。
【0075】
折畳まれた状態で撮像装置10Cへの入射窓223とマニュアル操作部209とが外側に面して設けられている。このマニュアル操作部209は、図15に示すように撮像装置10Cのレバー部材93と係合している。このカメラ付携帯電話200は、一方の筐体201に撮像装置10C、スピーカおよび表示ユニット27が内蔵され、ヒンジ203で連結された他方の筐体202にシステムコントローラ25、記録部28、キー入力部204、マイク等を内蔵する。
【0076】
表示ユニット27は、2つの筐体201,202を折畳んだ状態で隠れる側に設けられており、ドライブ回路271を介してヒンジ203に通された配線251によりシステムコントローラ25に接続されている。
【0077】
撮像装置10Cは、図15および図18に示すように、プリズム光学系4と、プリズムホルダ6と、撮像素子51と、基板52と、ケース3と、切換機構9と、盾部91と、トラップT1とを備える。基板52とシステムコントローラ25とを接続する配線252は、ヒンジ203に通される。撮像装置10Cのプリズム光学系4、撮像素子51、基板52、およびプリズムホルダ6に係る構成のうち、先の実施形態の撮像装置10,10A,10Bと同じ機能を有する構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0078】
ケース3は、図16に示すように撮像装置10Cの外殻を構成し、入射側ケース36と射出側ケース37とに二分割されており、接着剤で張り合わされる。ケース3は、プリズム光学系4および切換機構9を内蔵する。切換機構9は、ケース3の第2のプリズム42の第2の反射面422の背部とケース3との間に配置され、シャフト92と、レバー部材93と、スロット309とを含む。
【0079】
シャフト92は、撮像素子51の受光面51aに対して垂直に配置される。レバー部材93は、図17に示すように、カム部94とアーム部95とで構成される。カム部94は、シャフト92に外嵌し、ケース3の第2のプリズム42側に設けられる円筒壁38に囲われている。アーム部95は、カム部94からシャフト92を中心とする遠心方向へケース3の外まで延びている。
【0080】
円筒壁38には、図17に示すようにシャフト92を中心とするアーム部95の回動範囲に沿ってスロット309が開口されており、アーム部95が通される。アーム部95の回動先端部は、マニュアル操作部209の係合ピン295の間に挟まれる。マニュアル操作部209をカメラ付携帯電話200の外部からスライド操作すると、レバー部材93がシャフト92を中心に回動される。
【0081】
レバー部材93のカム部94は、プリズムホルダ6の支持部66と隣り合わせにシャフト92に外嵌している。カム部94に面した支持部66には、位置決面663が設けられている。カム部94は、位置決面663側に切換カム面941を有し、これと反対側に摺動面942を有する。摺動面942側のシャフト92には、図18に示すように調整リング96が外挿されている。切換カム面941は、シャフト92を中心に回動した位置が撮像素子51の受光面51aと直交する方向に異なる第1の面と第2の面とを有する。
【0082】
第1の面は、レバー部材93をどちらか一方に回動させた場合に支持部66の位置決面663と当接し、プリズムホルダ6を撮像素子51に近い第1の位置(標準撮像位置)P1に保持する。第2の面は、レバー部材93を先ほどと反対に回動させた場合に支持部66の位置決面663と当接し、プリズムホルダ6を撮像素子51から離れた第2の位置(マクロ撮像位置)P2に保持する。
【0083】
調整リング96は、カム部94の摺動面942と接する摺動面961と反対側に微調カム面962を有している。微調カム面962は、シャフト92を中心とする周方向に移動するにしたがって、シャフト92の中心線に沿う方向へ位置が一定の傾斜でなだらかに変位する螺旋状の面である。この微調カム面962は、入射側ケース36の内面に設けられた受部361と接触している。
【0084】
また、調整リング96は、シャフト92の中心線に対して円弧形状に入射側ケース36に設けられた貫通孔362から操作部963を覗かせている。操作部963にピンや専用治具などを刺し込み、貫通孔362に沿って動かすと、調整リング96がシャフト92を中心に回動する。その結果、カム部94および支持部66がシャフト92に沿って変位される。つまり、プリズムホルダ6が撮像素子51の受光面51aと垂直な方向へ変位する。
【0085】
盾部91は、アーム部95から一体に設けられ、円筒壁38の外面に沿って湾曲している。また、盾部91は、アーム部95の回動範囲においてスロット309を覆う大きさに形成されている。シャフト92の中心線に沿う方向に盾部91より外側の円筒壁38の縁部381は、シャフト92の中心線に対して盾部91の外周面と面一に設けられている。
【0086】
トラップT1は、円筒壁38および盾部91の間と、円筒壁38と盾部91とが対峙する範囲にわたって互いの表面に塗布された粘着剤G1とによって構成される。この撮像装置10Cは、円筒壁38と盾部91とがシャフト92の半径方向に見て互にオーバーラップしており、ケース3の外部から内部へ直線的に空気が流入しない。つまり、円筒壁38と盾部91との間を通ってケース3の中に流入、もしくはケース3から流出する空気は、円筒壁38と盾部91のそれぞれに衝突する。
【0087】
上記の構成を有する撮像装置10Cは、レバー部材93がマニュアル操作部209によって回動されると、プリズムホルダ6が撮像素子51に近い第1の位置(標準撮像位置)P1と撮像素子51から遠い第2の位置(マクロ撮像位置)P2との間で変位する。このとき、トラップT1を通過して、ケース3の内部の空気とケース3の外部の空気とが換気されることがある。トラップT1は、入り組んだ形状であるため空気の流れを乱す。
【0088】
空気中に塵埃等の浮遊物があると、トラップT1内の角部で淀んだり、円筒壁38や盾部91の壁面に衝突したりする。トラップT1の範囲に粘着剤G1が塗布されているので、空気中の塵埃は、トラップT1を通過する間に捕集される。なお、本実施形態の撮像装置10Cに、第1から第3の実施形態に記載の撮像装置10,10A,10Bに設けられたダストコレクタCのいずれかを設けることも好ましい。
【0089】
トラップT1は、プリズム光学系4の反射面のうちの第2のプリズム42の第2の反射面422の背部で、ケース3の内側と外側とを唯一連通する部分、ケース3の円筒壁38と切換機構9のレバー部材93に取り付けられた盾部91との間に設けられる。したがって、ケース3の外部から塵埃が侵入しにくく、また、塵埃がこのトラップT1に捕集された場合にも、光路から逸れているので、写真に塵埃が写り込む心配が無い。
【0090】
本発明に係る第5の実施形態の撮像装置10Dについて、図19および図20を参照して説明する。この撮像装置10Dは、トラップT1の構成が第4の実施形態の撮像装置10Cと異なる。それ以外の構成は、第4の実施形態の撮像装置10Cと同じ構成であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。なお、プリズム光学系4、撮像素子51、基板52は、第1の実施形態における記載を参照するものとする。また、先の実施形態に記載の構成と同じ機能を有する構成については、同一の符号を付す。
【0091】
本実施形態の撮像装置10Dに設けられるトラップT1は、図19および図20に示すように円筒壁38と盾部91との間に、粘着性のゲルG2が充填されている。充填されるゲルG2の量は、図19において、レバー部材93がシャフト92を中心に回動された場合にも、トラップT1からはみ出さずにかつケース3の内と外との間で空気の流れを完全に遮断できる十分な量である。
【0092】
上記構成を備える撮像装置10Dは、トラップT1において完全にケース3の内部と外部との空気の流れをゲルG2で遮断している。したがって、撮像装置10Dは、塵埃がケース3の内部へ侵入することを防ぐことができる。
【0093】
本発明に係る第6の実施形態の撮像装置10Eについて、図21から図23を参照して説明する。この撮像装置10Eは、トラップT1の構成が第4および第5の実施形態の撮像装置10C,10Dと異なる。それ以外の構成は、第4の実施形態の撮像装置10Cと同じ構成であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。なお、プリズム光学系4、撮像素子51、基板52は、第1の実施形態における記載を参照するものとする。また、先の実施形態に記載の構成と同じ機能を有する構成については、同一の符号を付す。
【0094】
本実施形態の撮像装置10Eに設けられるトラップT1は、円筒壁38に貼り付けられたリップシート84を備える。このリップシート84は、図23に示すようにアーム部95が通される孔841が設けられており、ケース3の外側から盾部91に覆い被さる。また、リップシート84は、柔軟性を有したゴム製あるいはシリコーンゴム製であり、円筒壁38と盾部91との間の段差や隙間の形状に倣うとともに、プリズムホルダ6が第1の位置(標準撮像位置)P1もしくは第2の位置(マクロ撮像位置)P2となるようにレバー部材93を回動させた場合にアーム部95と孔841とが迫あっても変形することで、円筒壁38と盾部91との間を密閉する。
【0095】
また、撮像装置10Eは、図21および図22に示すように、ケース3の内側において切換機構9が配置される第1の領域A1とプリズム光学系4が配置される第2の領域A2とを仕切る隔壁35と同様に、切換機構9の外周を囲う円筒隔壁39が入射側ケース36の内側に設けられている。円筒隔壁39には、シール膜85が貼り付けられている。シール膜85は、円筒隔壁39から第2のプリズム42側のプリズムホルダ6の内周面に垂れ下がり、この間を封止する。
【0096】
シール膜85は、プリズムホルダ6が第1の位置(標準撮像位置)P1と第2の位置(マクロ撮像位置)P2のいずれに保持されていても、プリズムホルダ6の形状に倣う十分な柔軟性を有している。第2の反射面422に面したシール膜85の表面や、第1の反射面412の背部側に位置するプリズムホルダ6、第2の反射面423の背部側となる入射側ケース36の内面にそれぞれ粘着剤を塗布することも好ましい。
【0097】
以上のように構成された撮像装置10Eは、空気とともに塵埃がケース3の内部へ侵入することをリップシート84およびシール膜85によって防止する。また、接着剤を反射面の背部に位置するプリズムホルダ6およびケース3の内面に塗布することによって、ケース3内に浮遊する塵埃を捕集した場合にも、塵埃が撮像素子51で取得される写真に写り込むことが無い。
【0098】
本発明に係る第7の実施形態の撮像装置10Fについて、図24を参照して説明する。この撮像装置10Fは、円筒壁38に取り付けられるリップシート84の形状が、第6の実施形態の撮像装置10Eにおけるリップシート84の形状と異なる。それ以外の構成については、第4の実施形態の撮像装置10CのトラップT1を除く各部の構成と同じであるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0099】
本実施形態におけるリップシート84は、レバー部材93のアーム部95を通す孔841が切り込みによって作られた多数の短冊片842によって構成されている。短冊片842は、図24に示すように、アーム部95の回動方向に一筋と、これと直交する方向へ多数設けられた切り込みによって作られている。リップシート84は、アーム部95が在る部分の短冊片842のみが折れ曲ることで、開口部が最小となる。
【0100】
以上のようにリップシート84を設けることで、ケース3の内部へ塵埃が入る開口部を小さくすることができる。また、第6の実施形態のように、ケース3の内側で切換機構9の外周を覆う円筒隔壁39を有し、ここにシール膜85を貼り付けて、プリズムホルダ6と円筒隔壁39との間の隙間を封止すると、さらに、塵埃が侵入することを防止することができる。また、プリズム光学系4の各反射面の背部に位置するケース3の内面およびプリズムホルダ6、特に、撮像素子51を覆うカバーガラス53の周囲に、粘着剤G1を塗布したり、表面に粘着性を有した粘着シートや粘着テープを貼り付けることで、ケース3の内部に浮遊する塵埃を捕集するとよい。
【0101】
本発明に係る第8の実施形態の撮像装置10Gについて、図25を参照して説明する。本実施形態の撮像装置10Gは、他の実施形態と比べてプリズム光学系4Gが大きく異なっている。プリズム光学系4Gは、第1の入射面441、第1の反射面442、第1の射出面443を有する第1のプリズム44と、第2の入射面451、二つの第2の反射面452,453、第2の射出面454を有する第2のプリズム45とで構成されている。特に第2のプリズム45は、第2の反射面452と第2の射出面454とが一続きに形成されている。各光学面は、それぞれ形状が異なる自由曲面形状である。
【0102】
その結果、図25中に矢印付の一点鎖線で示すように、入射光軸λiと射出光軸λoとは、平行でありながら、それぞれのベクトルは、互に反対方向を向いている。つまり、入射窓23に隣合って、撮像素子51が配置されている。したがって、撮像装置10Gの全体の大きさは、入射光軸λiおよび射出光軸λoに沿う方向に小さくすることができる。この他の構成は、撮像素子51の配置に伴って基板52の配置および形状が必然的に異なっている以外、おおまかに第4から第7の実施形態と同じ構成であるのでその説明を省略する。
【0103】
本発明に係る第9の実施形態の撮像装置10Hについて、図26を参照して説明する。本実施形態の撮像装置10Hは、他の実施形態と比べてプリズム光学系4Hが大きく異なっている。このプリズム光学系4Hは、入射面となる第1面461、反射部となる第2面462、第3面463、第4面464、第5面465、第6面466、射出面となる第7面467が全て自由曲面形状に構成されている1つのプリズム46である。光束が第1面461に入射する手前に絞部材43Bが設けられる。
【0104】
図26中に矢印付の一点鎖線で示すように、入射光軸λiのベクトルに対して射出光軸λoのベクトルは、平行でかつ反対向きである。この結果、第8の実施形態の撮像装置10Gと同じく、入射窓23と隣合って撮像素子51が配置される。プリズム光学系4Hに第1面461から入射された光束は、第2面462、第3面463、第4面464、第5面465、第6面466と順に全反射され、第7面467から撮像素子51へ向けて射出される。
【0105】
この撮像装置10Hは、プリズム光学系4Hが一体に設けられているので、組立による製造誤差によって、光軸がずれることは無い。また、第8の実施形態と同様に入射窓23に隣合って撮像素子51が配置されるので、撮像装置10Hの全体の大きさは、入射光軸λiおよび射出光軸λoに沿う方向に小さくすることができる。
【0106】
本発明に係る第10の実施形態の撮像装置10Iについて、図27を参照して説明する。本実施形態の撮像装置10Iは、他の実施形態と比べてプリズム光学系4Iが大きく異なっている。プリズム光学系4Iは、第1の入射面471、二つの第1の反射面472,473、第1の射出面474を備える第1のプリズム47と、第2の入射面481、二つの第2の反射面482,483、第2の射出面484を備える第2のプリズム48とで構成されている。絞部材43は、第1のプリズム47と第2のプリズム48との間に配置される。
【0107】
このプリズム光学系4Iは、各光学面が自由曲面形状に形成され、図27中に矢印付の一点鎖線で示すように、入射光軸λiのベクトルと射出光軸λoのベクトルとが平行でかつ同じ向きに揃っている。第1の入射面471に入射した光束は、2つの第1の反射面472,473でそれぞれ全反射されたのち、第1の射出面474から射出される。第1の射出面474から射出された光束は、絞部材43を通過し、第2の入射面481から入射され、2つの第2の反射面482,483で全反射されたのち、第2の射出面484から射出される。この撮像装置10Iは、各反射面における入射角と反射角とを小さく設定することができるので、画像の歪が少ない。
【0108】
第8から第10の実施形態の撮像装置10G,10H,10Iは、いずれも切換機構9のレバー部材93にマニュアル操作部209が連結されており、第1の位置(標準撮像位置)P1と第2の位置(マクロ撮像位置)P2とのいずれかにプリズム光学系4G,4H,4Iの位置を切換えることができる。また、円筒壁38と盾部91との間に構成されるトラップT1に、第4または第5の実施形態のいずれかのトラップT1が適用される。さらに、第6もしくは第7の実施形態のリップシート84、および第6の実施形態のシール膜85を備えたり、第1または第2の実施形態におけるダストコレクタCを備えることも好ましい。
【0109】
また、第1から第3の実施形態における撮像装置10,10A,10Bは、モータ78によって切換機構7が駆動され、プリズム光学系4の位置を変位させたことに対し、第4から第10の実施形態における撮像装置10C,10D,10E,10F,10G,10H,10Iは、レバー部材93によるマニュアル操作によって切換機構9が駆動され、プリズム光学系4,4G,4H,4Iの位置を変位させている。第8から第10の実施形態の撮像装置10G,10H,10Iのプリズム光学系4G,4H,4Iを第1から第3の実施形態の撮像装置10,10A,10Bのように、モータ78によって切換えることも可能である。
【0110】
デジタルカメラ100に内蔵される撮像装置10は、第2から第10の実施形態に記載の撮像装置10A〜10Iのいずれかであっても良いし、カメラ付携帯電話200に内蔵される撮像装置10Cは、第1から第3の実施形態に記載の撮像装置10,10A,10B、および第5から第10の実施形態に記載の撮像装置10D〜10Iのいずれかであっても良い。
【0111】
上述の説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各事項の組合せも可能である。
[付記]
(付記項1) 自由曲面形状の反射面を少なくとも2つ有し、物体から入射光軸に沿って入射された光束を、前記入射光軸とほぼ平行に偏心させて配置された射出光軸に沿って射出して物体像を形成するプリズム光学系と、
前記射出光軸と垂直に受光面が配置され前記物体像を電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子を実装する基板と、
前記基板を保持し前記プリズム光学系を囲うケースと、
前記ケースの内部で前記撮像素子に対して前記プリズム光学系の姿勢を保持するプリズムホルダと、
前記プリズムホルダを前記射出光軸に沿って変位させる切換機構と、
前記切換機構が配置されている第1の領域と前記プリズム光学系および撮像素子が配置されている第2の領域との間で塵埃を捕集するトラップと
を備えることを特徴とする撮像装置。
【0112】
(付記項2) 前記切換機構は、前記プリズムホルダを前記撮像素子の受光面に近い第1の位置、および、この第1の位置に比べて前記撮像素子の受光面から遠い第2の位置、のどちらか一方に選択的に位置決めすることを特徴とする付記項1に記載の撮像装置。
【0113】
(付記項3) 前記第1の位置は、撮像対象となる物体の位置が所定の位置から無限遠までの間にある場合に対応して撮像を行うための標準撮像位置であり、
前記第2の位置は、撮像対象となる物体の位置が所定の位置よりも近い場合に対応して撮像を行うためのマクロ撮像位置であることを特徴とする付記項2に記載の撮像装置。
【0114】
(付記項4) 前記プリズム光学系は、2つのプリズムとこれらの間に配置される絞部材とを有し、各プリズムは、それぞれ自由曲面形状の少なくとも1つの反射面と、屈折力を有する光入射面と、屈折力を有する光射出面とを有することを特徴とする付記項1に記載の撮像装置。
【0115】
(付記項5) 前記切換機構は、前記射出光軸と平行に配置される軸と、この軸を中心に回動するカムとを有し、前記カムは、前記軸を中心に回動する方向に前記受光面に直交する方向の位置が異なる第1の面部および第2の面部を含むカム面を有することを特徴とする付記項2に記載の撮像装置。
【0116】
(付記項6) 前記プリズムホルダは、前記切換機構の前記軸に外嵌する支持部に前記カムと当接する当接部が形成されていることを特徴とする付記項5に記載の撮像装置。
【0117】
(付記項7) 前記切換機構は、前記カムと連動して前記プリズムホルダを前記第1の位置と前記第2の位置とに切換えるレバー部材をさらに有することを特徴とする付記項2に記載の撮像装置。
【0118】
(付記項8) 前記プリズムホルダが位置決される前記第1の位置および前記第2の位置の少なくともどちらか一方を前記撮像素子の受光面と直交する方向に微調整するための微調機構をさらに有することを特徴とする付記項2に記載の撮像装置。
【0119】
(付記項9) 前記微調機構は、前記軸を中心として回動可能でありその回転する方向において前記受光面と直交する方向の位置が異なる傾斜面を有し、前記切換機構は、前記微調機構の前記斜面が当接する受部を有し、この微調機構の回動位置を変えることによってプリズムホルダの設定位置を微調整することを特徴とする付記項8に記載の撮像装置。
【0120】
(付記項10) 前記切換機構の前記受部は、前記カムの前記カム面と反対の面に形成されていることを特徴とする付記項9に記載の撮像装置。
【0121】
(付記項11) 前記切換機構の前記受部は、前記微調機構の前記傾斜面の形状に倣う螺旋斜面形状となっていることを特徴とする付記項9に記載の撮像装置。
【0122】
(付記項12) 前記微調機構は、前記切換機構が前記軸を中心として前記傾斜面が回動する方向の移動限界位置を規制するための規制部材を有し、この規制部材の位置を前記軸を中心として前記傾斜面が回動する方向に関して微調整することを特徴とする付記項9に記載の撮像装置。
【0123】
(付記項13) 前記マニュアル操作部と前記ケースとの間を、テープ状の粘着材、シリコーンゲル材、エラストマの少なくともいずれか1つで覆うことを特徴とする付記項7に記載の撮像装置。
【0124】
(付記項14) 前記ケースは、前記第1の領域と前記第2の領域とに跨る前記プリズムホルダの支持部に干渉しない大きさの貫通口が開口され前記第1の領域と前記第2の領域とを区画する隔壁を有し、
前記トラップは、前記隔壁と前記支持部との間に充填されたシリコーンゲルであることを特徴とする付記項1に記載の撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の撮像装置を内蔵するデジタルカメラを示す斜視図。
【図2】図1中のF2−F2線に沿って模式的に示すデジタルカメラの断面図。
【図3】図1に示した撮像装置の斜視図。
【図4】図3に示した撮像装置の分解斜視図。
【図5】図3に示したプリズム光学系およびプリズムホルダの分解斜視図。
【図6】図3に示した固定枠とプリズムホルダとギアハウジングと切換機構とをシャフト及びリードネジを通る位置で断面にした斜視図。
【図7】図3中のF7−F7線に沿って示す撮像装置の断面図。
【図8】図7におけるプリズムホルダとケースとの嵌合部を拡大して示す断面図。
【図9】図8に示した状態からプリズムホルダが第2の位置に変位した状態を示す断面図。
【図10】本発明に係る第2の実施形態の撮像装置のプリズムホルダとケースとの嵌合部を拡大して示す断面図。
【図11】図10に示した状態からプリズムホルダが第2の位置に変位した状態を示す断面図。
【図12】本発明に係る第3の実施形態の撮像装置のプリズムホルダとケースとの嵌合部を拡大して示す断面図。
【図13】図12に示した状態からプリズムホルダが第2の位置に変位した状態を示す断面図。
【図14】本発明に係る第4の実施形態の撮像装置を内蔵するカメラ付携帯電話を示す斜視図。
【図15】図14のカメラ付携帯電話を模式的に示す断面図。
【図16】図14に示した撮像装置の斜視図。
【図17】図16中のF17−F17線に沿って示す撮像装置の断面図。
【図18】図16中のF18−F18線に沿って示す撮像装置の断面図。
【図19】本発明に係る第5の実施形態の撮像装置を示す断面図。
【図20】図19中のF20−F20線に沿って示す撮像装置の断面図。
【図21】本発明に係る第6の実施形態の撮像装置を示す断面図。
【図22】図21中のF22−F22線に沿って示す撮像装置の断面図。
【図23】図21に示した撮像装置における切換機構の外観の斜視図。
【図24】本発明に係る第7の実施形態の撮像装置の切換機構に取り付けられるリップシートを示す斜視図。
【図25】本発明に係る第8の実施形態の撮像装置を示す断面図。
【図26】本発明に係る第9の実施形態の撮像装置を示す断面図。
【図27】本発明に係る第10の実施形態の撮像装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0126】
3…ケース、4,4G,4H,4I…プリズム光学系、6…プリズムホルダ、7,9…切換機構、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I…撮像装置、35…隔壁、351…連通孔、38…円筒壁、51…撮像素子、51a…受光面、52…基板、52a…窓部、66…支持部、67…盾部、78…モータ、81…リブ、82…フィン、83,85…シール膜、84…リップシート、91…盾部、92…シャフト、93…レバー部材、94…カム部、95…アーム部、309…スロット、λi…入射光軸、λo…射出光軸、P1…第1の位置、P2…第2の位置、A1…第1の領域、A2…第2の領域、T,T1…トラップ、C…ダストコレクタ、G1…粘着剤、G2…ゲル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由曲面形状の反射面を少なくとも2つ有し、物体から入射光軸に沿って入射された光束を、前記入射光軸とほぼ平行に偏心させて配置された射出光軸に沿って射出して物体像を形成するプリズム光学系と、
前記射出光軸と垂直に受光面が配置され前記物体像を電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子を実装する基板と、
前記基板を保持し前記プリズム光学系を囲うケースと、
前記ケースの内部で前記撮像素子に対して前記プリズム光学系の姿勢を保持するプリズムホルダと、
前記反射面の背部と前記ケースとの間に配置され、前記プリズムホルダを前記射出光軸に沿って変位させる切換機構と、
前記切換機構が配置されている第1の領域と前記プリズム光学系および撮像素子が配置されている第2の領域との間で塵埃を捕集するトラップと
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記トラップは、
前記第1の領域から前記第2の領域へ跨がる前記プリズムホルダの支持部が干渉しない大きさに開口された連通孔を有し、前記ケースの内部を前記第1の領域と前記第2の領域とに分ける隔壁と、
前記隔壁に沿って前記支持部から前記連通孔の縁に重なる位置まで延びる盾部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記トラップは、前記隔壁と前記盾部とが対峙する範囲で少なくとも一方に塗布される粘着剤を有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記トラップは、前記隔壁と前記盾部とが対峙する範囲で少なくとも一方に貼り付けられる粘着シートを有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記トラップは、前記隔壁と前記盾部との間に充填されるゲルを有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記切換機構は、前記ケースの外部に取り付けられるモータによって駆動され、
前記ケースは、前記第1の領域と前記第2の領域を外部に対して密閉することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記隔壁と前記盾部とのいずれか一方から延びて他方へ摺接するシール膜をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
自由曲面形状の反射面を少なくとも2つ有し、物体から入射光軸に沿って入射された光束を、前記入射光軸とほぼ平行に偏心させて配置された射出光軸に沿って射出して物体像を形成するプリズム光学系と、
前記射出光軸と垂直に受光面が配置され前記物体像を電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子を実装する基板と、
前記基板を保持し前記プリズム光学系を囲うケースと、
前記反射面の背部と前記ケースとの間で前記受光面に対して垂直に配置されるシャフトと、
前記ケースの内部で前記撮像素子に対して前記プリズム光学系の姿勢を保持し前記シャフトに外嵌する支持部を有したプリズムホルダと、
前記支持部に形成される位置決面に摺接して前記シャフトに外嵌し前記プリズムホルダを前記シャフトに沿って変位させるカム部、および、前記シャフトから遠心方向へ前記ケースの外まで延びるアーム部を有するレバー部材と、
前記アーム部の回動範囲に前記ケースに開口されたスロットと、
前記アーム部に設けられこのアーム部の回動範囲内で前記スロットを覆う盾部と、
前記ケースと前記盾部との間を通過する塵埃を捕集するトラップと
を設けることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記トラップは、前記ケースおよび前記盾部の少なくとも一方に塗布される粘着剤を有することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記トラップは、前記ケースおよび前記盾部の少なくとも一方に貼り付けられる粘着シートを有することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記トラップは、前記ケースおよび前記盾部の間に充填されるゲルを有することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記ケースは、前記カム部を覆う円筒壁を有し、
前記盾部は、前記円筒壁の外面に沿って配置され、
前記円筒壁に貼り付けられて前記ケースの外側から前記盾部に覆い被さる柔軟性を有したリップシートをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記レバー部材は、前記撮像素子の受光面に近い第1の位置、および、この第1の位置に比べて前記撮像素子の受光面から遠い第2の位置、のどちらか一方に選択的に前記プリズムホルダを位置決めすることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記基板は、
前記プリズム光学系から射出される光束を通過させる窓部を有し、
前記プリズム光学系と反対側から前記窓部に前記撮像素子を実装し、
前記窓部の外周に沿って表面に粘着性を有したダストコレクタが配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記ダストコレクタは、表面に粘着剤が塗布されたテープ状のものであることを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記ダストコレクタは、畝形に盛り上げたゲル状の粘着剤であることを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記ダストコレクタは、
前記プリズム光学系に向かって前記基板から立ち上がるリブと、
前記基板に向かって前記プリズムホルダから延びて前記リブと遊嵌するフィンと
で構成され、
前記リブとフィンとは、前記切換機構による前記プリズムホルダの移動範囲内で互にオーバーラップしていることを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記切換機構は、前記撮像素子の受光面に近い第1の位置、および、この第1の位置に比べて前記撮像素子の受光面から遠い第2の位置、のどちらか一方に選択的に前記プリズムホルダを位置決めする請求項14に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−183418(P2007−183418A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1543(P2006−1543)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】