説明

撮像装置

【課題】ピント板の交換が可能な撮像装置において、電子ビューファインダにピント板の表示情報に対応する画像情報を自動的に表示する。
【解決手段】撮像装置は、撮像光学系200aによりピント板46に投影された被写体像を観察するための光学ファインダ22,18を有し、互いに異なる表示情報を有する複数のピント板46A〜46Cを選択的に装着可能である。該撮像装置は、撮像素子33を用いて生成された画像を表示する表示素子19と、装着されたピント板を識別し、該識別されたピント板の表示情報に対応する画像情報を表示するように表示素子19を制御する制御手段100とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピント板の交換が可能な撮像装置に関し、装着されたピント板に対応した表示情報を表示素子に表示できる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフデジタルカメラ等の撮像装置には、光学像としての被写体像を撮像者に観察させるための光学ファインダに加えて、撮像素子を用いて生成した被写体の電子画像を液晶パネル等の表示素子に表示するいわゆる電子ビューファインダを有するものがある。
【0003】
光学ファインダでは、撮像光学系からの光によってピント板上に投影された被写体像をファインダ光学系を通して観察することができる。
【0004】
ピント板には、焦点検出エリアや補助線等の表示情報(以下、ピント板表示情報という)が刻印又は印刷により設けられていることが多い。撮像者は、光学ファインダを通して、被写体像にスーパーインポーズ表示された該ピント板表示情報を観察することで、焦点検出動作が行われた又は行われるエリアを確認したり、撮像構図を容易に決定したりすることができる。
【0005】
光学ファインダを覗く必要がなく、表示素子により被写体像及び構図補助線を確認するものも提案されている。(例えば、特許文献1参照)
特許文献1に記載された銀塩撮影及び電子撮像兼用カメラでは、撮影モードに応じて、表示素子にROMに記憶された構図決定用の補助線パターンをスーパーインポーズ表示されている。
【特許文献1】特開2000−98484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にて開示されたカメラでは、ピント板の表示情報とは無関係に、ROMに記憶された所定の補助線パターンを表示素子に表示するにすぎない。
【0007】
このため、このカメラがピント板の交換が可能なものであったとしても、撮像者が望むピント板表示情報は光学ファインダでしか利用することができない。つまり、電子ビューファインダを、ピント板表示情報を表示可能な光学ファインダと同等に利用することができないという問題がある。
【0008】
したがって、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピント板の交換が可能であり、かつ電子ビューファインダにおいてピント板表示情報に対応する画像情報を表示できるようにした撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、撮像光学系によりピント板に投影された被写体像を観察するための光学ファインダを有し、互いに異なる表示情報を有する複数のピント板を選択的に装着可能な撮像装置であって、撮像素子を用いて生成された画像を表示する表示素子と、装着されたピント板を識別し、該識別されたピント板の表示情報に対応する画像情報を表示するように表示素子を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の側面としての撮像装置の制御方法は、撮像素子を用いて生成された画像を表示する表示素子と、撮像光学系によりピント板に投影された被写体像を観察するための光学ファインダとを有し、互いに異なる表示情報を有する複数のピント板を選択的に装着可能な撮像装置に用いられる。該制御方法は、装着されたピント板を識別するステップと、該識別されたピント板の表示情報に対応する画像情報を表示するように表示素子を制御するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装着されたピント板を識別し、識別されたピント板の表示情報に対応する画像情報を電子ビューファインダに表示することができる。これにより、電子ビューファインダを、光学ファインダと同等に利用して撮像を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1及び図2には、本発明の実施例であるピント板交換タイプの一眼レフデジタルカメラ(撮像装置:以下、カメラという)の外観を示す。図1はカメラを前方から見た斜視図であり、撮像レンズユニットを取り外した状態を示す。図2は、カメラを背面側から見た斜視図である。また、図3には、カメラ及び撮像レンズユニットの構成を示している。
【0014】
図1において、1はカメラ本体であり、使用者がカメラを握る部分であるグリップ部1aが設けられている。2はマウント部であり、撮像レンズユニット(撮像光学系)200(図3参照)をカメラ本体1に着脱可能に固定する。カメラ本体1と撮像レンズユニット200との間では、マウント接点21を介して制御信号、状態信号、データ信号等の通信を行うと共に、カメラ本体1から撮像レンズユニット200への電力供給を行う。また、マウント接点21を介して、電気的通信のみならず、光を用いた通信を行うようにしてもよい。
【0015】
4は撮像レンズユニット200を取り外す際に操作されるレンズロック解除ボタンである。5はカメラ本体1内に配置されたミラーボックスであり、撮像レンズユニット200を通過した光束はここへ導かれる。
【0016】
ミラーボックス5の内部には、メインミラー(クイックリターンミラー)6が配設されている。メインミラー6は、撮像レンズユニット200の光軸に対して45°の角度に保持されるダウン位置と、撮像光路から退避するアップ位置とに移動可能である。メインミラー6がダウン位置にある状態では、撮像レンズユニット200を通過した光束はメインミラー6で反射されてピント板46(図3参照)の方向に導かれる。また、メインミラー6がアップ位置にある状態では、撮像レンズユニット200を通過した光束はシャッタ32及び撮像素子33(図3参照)の方向に導かれる。
【0017】
カメラ本体1の上部グリップ部側には、撮像を開始させる起動スイッチとしてのシャッターボタン7と、撮像モードに応じてシャッタスピードや絞り値を設定するためのメイン操作ダイヤル8とが配置されている。また、撮像モードを設定するためのモード設定ボタン10も配置されている。これらの操作部材の状態は、LCDパネル9に表示される。
【0018】
シャッターボタン7の第1ストローク(半押し)操作によって、図3に示すスイッチSW1(7a)がONし、シャッターボタン7の第2ストローク(全押し)操作によってスイッチSW2(7b)がONする。
【0019】
モード設定ボタン10は、単独撮像モードと連続撮像モードの設定や、セルフ撮像モードの設定等を行うために操作される。
【0020】
カメラ本体1の上部中央には、カメラ本体1に対してポップアップするフラッシュユニット11と、図示しない外付けフラッシュユニットを取り付けるためのフラッシュシュー12とが設けられている。また、フラッシュシュー12内には、外付けフラッシュユニットとの通信を行うためのフラッシュ接点13が配置されている。
【0021】
さらに、カメラ本体1の上部におけるグリップ部1aとは反対側の位置には、撮像モード設定ダイヤル14が配置されている。この撮像モード設定ダイヤル14の操作により、マニュアル撮像モード、オート撮像モード、プログラムAE撮像モード、シャッタスピード優先撮像モード、絞り優先撮像モード等の撮像モードを設定することができる。
【0022】
カメラ本体1の右側面には、開閉可能な外部端子蓋15が配置されている。この外部端子蓋15を開けた内部には、外部インタフェースとしてのビデオ出力ジャック16とUSBコネクタ17が納められている。
【0023】
図2において、カメラ本体1の背面上部には、光学ファインダの接眼部を構成する接眼レンズ18が設けられている。また、カメラ本体1の背面左側には、後述するライブビュー画像や撮像済み画像を表示可能なカラー液晶表示部(表示素子)19が設けられている。
【0024】
20はカラー液晶表示部19の横に配置されたサブ操作ダイヤルであり、メイン操作ダイヤル8の機能の補助的役割を担っている。例えば、プログラムAE撮像モードでは、後述するマイクロコンピュータ100によって算出された露出値に対する補正量を設定するために使用される。また、シャッタスピードや絞り値を撮影者が選択するマニュアル撮像モードにおいては、メイン操作ダイヤル8でシャッタスピードを設定し、サブ操作ダイヤル20で絞り値を設定する。
【0025】
サブ操作ダイヤル20は、撮像済み画像のうちカラー液晶表示部19に表示させる画像の選択やカラー液晶表示部19に表示される後述するスーパーインポーズ表示情報の調整部材としても用いられる。
【0026】
43はカメラの動作を起動及び停止するためのメインスイッチである。
【0027】
44はカメラの動作モードを、電子ビューファインダにおいて後述するピント板表示情報に対応した画像情報の表示状態を調整可能とする調整モードに切り換えるための調整モード操作部材である。
【0028】
45はカメラの動作モードをライブビューモードに切り換えるためのライブビューモード操作部材である。ライブビューモードとは、撮像素子33を用いて生成された被写体の画像(動画像)を、ライブビュー画像としてカラー液晶表示部19に表示するモードであり、これにより電子ビューファインダが実現される。
【0029】
図3において、100はCPUやMPU等により構成される制御手段としてのマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータ100は、カメラ全体の動作制御を司り、カメラ内の各部に対して各種処理の実行を指示する。
【0030】
100aはマイクロコンピュータ100に内蔵された記憶手段としてのEEPROMであり、時刻計測回路109によりカウントされる時刻情報や、交換可能な各ピント板の表示情報に対応した画像情報や、各種の撮像情報を記憶する。
【0031】
マイクロコンピュータ100には、ミラー駆動部101、焦点検出回路102、シャッタ駆動部103、映像信号処理回路104、スイッチセンス回路105及び測光回路106が接続されている。また、マイクロコンピュータ100には、LCD駆動回路107、バッテリチェック回路108、時刻計測回路109、電源供給回路110、圧電素子駆動回路111及び交換ピント板検知回路113が接続されている。これら各部は、マイクロコンピュータ100からの制御信号に応じて動作する。
【0032】
マイクロコンピュータ100は、撮像レンズユニット200内に配置されたレンズ制御回路201と、マウント接点21を介して通信を行う。これにより、マイクロコンピュータ100は、レンズ制御回路201、AF駆動部202及び絞り駆動部203を介して、撮像レンズユニット200内の撮像レンズ200aや絞り204の駆動を制御する。
【0033】
なお、図3には、撮像レンズ200aを1枚のレンズとして示しているが、実際は複数のレンズにより構成されている。
【0034】
AF駆動部202は、ステッピングモータ等のアクチュエータを含み、レンズ制御回路201からの制御信号に応じて撮像レンズ200a内のフォーカスレンズを移動させる。これにより、撮像レンズ200aのピントが被写体に合わせられる。
【0035】
絞り駆動部203は、オートアイリス等によって構成され、レンズ制御回路201からの制御信号に応じて絞り204を駆動する。
【0036】
メインミラー6は、ダウン位置において、撮像レンズ200aからの光束の一部を反射してピント板46に向かわせる。これにより、撮像レンズ200aによって形成される光学像としての被写体像が、ピント板46上に投影される。ピント板46を透過した光束は、ペンタプリズム22に入射する。
【0037】
また、メインミラー6は、ダウン位置において、撮像レンズ200aからの光束の一部を透過させる。メインミラー6を透過した光束は、サブミラー30で反射されて焦点検出センサユニット31へと導かれる。
【0038】
サブミラー30は、メインミラー6とともにダウン位置(メインミラー6の後方にて撮像光路内に配置される位置)とアップ位置(撮像光路外に退避する位置)との間で駆動される。ミラー駆動部101は、DCモータ等のアクチュエータとギヤトレインを含み、マイクロコンピュータ100からの制御信号に応じて動作してメインミラー6及びサブミラー30をダウン位置とアップ位置との間で駆動する。
【0039】
ペンタプリズム22は、ピント板46上に投影された被写体像を正立正像に変換するようピント板46からの光束を複数回反射する。ペンタプリズム22を射出した光束は、接眼レンズ18を通過して不図示の撮影者の眼に達する。これにより、ピント板46上に投影された被写体像(但し、ペンタプリズム22によって変換された正立正像)を撮影者に提示する光学ファインダが構成される。
【0040】
ペンタプリズム22内に入射した光束の一部は測光センサ25に導かれる。106は測光回路であり、撮像画面内の各測光エリアの輝度を検出し、輝度信号をマイクロコンピュータ100に出力する。マイクロコンピュータ100は、輝度信号をA/D変換し、撮像時における撮像素子33の露光量(シャッタスピードや絞り値)を算出する。
【0041】
焦点検出センサユニット31は、フィールドレンズ、反射ミラー、2次結像レンズ及び絞りを含み、複数の受光素子列(ラインセンサ)上に複数の被写体像を形成する。各ラインセンサは被写体像を光電変換し、その出力信号を焦点検出回路102に供給する。
【0042】
焦点検出回路102は、マイクロコンピュータ100からの指示に応じて、ラインセンサの電荷蓄積制御と信号読出し制御を行い、ラインセンサからの信号に基づいて生成した像信号をマイクロコンピュータ100へ出力する。
【0043】
マイクロコンピュータ100は、焦点検出回路102からの複数の像信号の位相差を求め、該位相差に基づいて撮像レンズ200aのデフォーカス量とデフォーカス方向を求める。そして、マイクロコンピュータ100は、デフォーカス量とデフォーカス方向に基づいて合焦状態を得るためのフォーカスレンズの移動量と移動方向を算出し、レンズ制御回路201及びAF駆動部202を介してフォーカスレンズを移動させる。
【0044】
32はフォーカルプレーンシャッタ(以下、単にシャッタという)であり、撮像時における撮像素子33の露光量を制御するために開閉動作する。シャッタ32は、マイクロコンピュータ100からの制御信号に応じて動作するシャッタ駆動部103により駆動される。マイクロコンピュータ100は、光学ファインダを用いて被写体観察を行うOVFモードが撮影者により選択されている場合には、シャッタ駆動部103を通じてシャッタ32を閉状態とする。一方、電子ビューファインダを用いてライブビュー画像を表示するEVFモードが選択されている場合には、シャッタ駆動部103を通じてシャッタ32を開状態とする。
【0045】
撮像素子33は、CCDセンサやCMOSセンサ等の2次元イメージセンサ(光電変換素子)である。
【0046】
34はクランプ/CDS(相関二重サンプリング)回路であり、撮像素子33からの出力信号(アナログ信号)に対して基本的なアナログ処理を行うとともに、マイクロコンピュータ100からの制御信号に応じてクランプレベルを変更する。
【0047】
35はAGC(自動利得調整)回路であり、マイクロコンピュータ100からの制御信号に応じて、クランプ/CDS回路34からの出力信号に対する利得を調整する。36はA/D変換器であり、AGC回路35からのアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0048】
104は映像信号処理回路であり、A/D変換器36からのデジタル信号に対して所定の画像処理を行い、モニタ用画像データ及び記録用画像データを生成する。映像信号処理回路104からのモニタ用画像データは、ライブビュー画像として、カラー液晶駆動回路112を介してカラー液晶表示部19にて表示される。記録用画像データは、メモリコントローラ38を通じて、半導体メモリ等により構成される記録媒体(メモリ)39に記録される。メモリ39は、カメラ本体1に対して取外しが可能である。
【0049】
映像信号処理回路104には、該映像信号処理回路104での処理を待つ又は処理済みの画像データを一時的に格納するバッファメモリ37が接続されている。メモリコントローラ38は、バッファメモリ37に対する画像データの格納と読み出しを制御する。また、メモリコントローラ38は、外部インタフェース40(図1に示したビデオ出力ジャック16やUSBコネクタ17)を介して入力された画像データをメモリ39に記録する。また、メモリコントローラ38は、メモリ39に記録されている画像データを外部インタフェース40を通じて外部に出力することもできる。105はスイッチセンス回路であり、前述したスイッチや操作部材等の状態を検出してマイクロコンピュータ100に通知する。
【0050】
107は液晶表示駆動回路であり、マイクロコンピュータ100からの制御信号に応じて、LCD表示パネル9やファインダ内液晶表示ユニット41を駆動する。
【0051】
108はバッテリチェック回路であり、マイクロコンピュータ100からの指令信号に応じてバッテリチェックを行い、そのチェック結果をマイクロコンピュータ100へ送る。
【0052】
42は電源部であり、カメラ内の各部や撮像レンズユニット200に電源を供給する。
【0053】
410は水晶により形成された複屈折板と位相板を複数枚積層した光学ローパスフィルタであり、430は積層型の圧電素子である。圧電素子430は、マイクロコンピュータ100からの制御信号に応じて圧電素子駆動回路111により駆動され、光学ローパスフィルタ410を振動させる。400は光学ローパスフィルタ410、圧電素子430及び撮像素子33がユニット化された撮像素子ユニットである。
【0054】
図4には、本実施例のカメラにおいて、ピント板46を交換可能に保持するピント板保持機構を示す。また、図5には、ピント板保持機構に対して着脱交換が可能な複数種類のピント板を示す。
【0055】
図4において、47はピント板46A〜46Cを選択的に装着可能なピント板装着部であり、ピント板固定部材49に対して開閉可能(回動可能)に取り付けられている。ピント板固定部材49に対してピント板装着部47を開いた状態で、ピント板装着部47に装着されたピント板を取り外したり、ピント板装着部47に別のピント板を装着したりすることができる。ピント板が装着されたピント板装着部47を閉じ方向に回動させ、ピント板装着部47に設けられた突起部47aをピント板固定部材49に設けられた係止部48に係合させることにより、ピント板を所定位置(撮像レンズ200aの予定結像位置)に配置できる。
【0056】
図5において、ピント板46A〜46Cには、互いに異なる表示情報(ピント板表示情報)DIが刻印又は印刷により設けられている。ピント板46Aには、表示情報DIとして、建築写真や複写に適した方眼補助線と画面中央の焦点検出枠が設けられている。また、ピント板46Bには、接写や顕微鏡写真に適した目盛線と画面中央の焦点検出枠が表示情報DIとして設けられている。さらに、ピント板46Bには、標準タイプの補助線(焦点検出枠)が表示情報DIとして設けられている。
【0057】
また、ピント板46A,46Bには、互いに異なる位置に突起46aが設けられている。一方、ピント板46Cには、そのような突起は設けられていない。
【0058】
交換ピント板検知回路113は、フォトリフレクタやフォトインタラプタ等の検出器を用いて突起46aが設けられている位置及び突起46aが設けられていないことを検出して、ピント板装着部47に装着されたピント板を識別する。交換ピント板検知回路113は、識別結果をマイクロコンピュータ100に送る。
【0059】
なお、図5に示すピント板46A〜46Cは例に過ぎず、他の表示情報を有するピント板を用いてもよい。
【0060】
前述したように、EEPROM100aには、ピント板46A〜46Cの表示情報IDに対応する画像情報(以下、補助線画像という)が記憶されている。マイクロコンピュータ100は、EEPROM100aから、交換ピント板検知回路113で識別された装着ピント板の表示情報DIに対応する補助線画像を読み出して、カラー液晶表示部19に表示させる。これにより、撮像素子33を用いて生成された被写体のライブビュー画像上に、装着ピント板の表示情報DIに対応する補助線画像が表示される。
【0061】
図7には、装着ピント板としてピント板46Aが識別されたときにカラー液晶表示部19に表示されるライブビュー画像と補助線画像を示している。
【0062】
なお、本実施例では、ピント板46A〜46Cの突起46aの位置を検出したり該突起が設けられていないことを検出したりすることで、装着ピント板を識別する場合について説明している。ただし、各ピント板にRFIDタグを設け、該タグとの通信により装着ピント板を識別する等、他の識別方法を採用してもよい。
【0063】
また、本実施例では、ピント板表示情報に対応する補助線画像をEEPROM100aに予め記憶させておき、ピント板の識別結果に応じた補助線画像を読み出してカラー液晶表示部19に表示する場合について説明している。ただし、各ピント板に補助線画像の情報を記憶したRFIDタグを設け、該タグとの通信で得た補助線画像をカラー液晶表示部19に表示するようにしてもよい。
【0064】
図6には、マイクロコンピュータ100による処理の手順を示す。この処理は、マイクロコンピュータ100内に格納されたコンピュータプログラムに従って実行される。
【0065】
マイクロコンピュータ100は、メインスイッチ43がオンされると開始され、まず、ライブビューモード操作部材45が操作されているか否かを判別する(ステップS101)。ライブビューモード操作部材45が操作されていない場合は、ステップS108に進む。
【0066】
ステップS108では、マイクロコンピュータ100は、光学ファインダ(OVF)にて被写体像を観察しながらの撮像を許容する。
【0067】
一方、ライブビューモード操作部材45が操作された場合は、マイクロコンピュータ100は、ステップS102に進み、ライブビュー画像の表示を可能とするためにカラー液晶表示部19を起動する。また、マイクロコンピュータ100は、ミラー駆動部101を制御して、メインミラー6及びサブミラー30をアップ位置に駆動させ、さらにシャッタ駆動部103を制御して、シャッタ32を開状態に設定する。これにより、撮像レンズ200aにより形成された被写体像が撮像素子33上に形成され。撮像素子33を用いたライブビュー画像の生成が可能となる。
【0068】
次に、マイクロコンピュータ100は、ステップS103にて、交換ピント板検知回路113による装着ピント板の識別が可能か否かを判別する。装着ピント板の識別が可能である場合は、マイクロコンピュータ100は、交換ピント板検知回路113からの識別結果を取り込み、ステップS104に進む。装着ピント板の識別ができない場合は、ステップS107に進み、補助線画像を表示せずにカラー液晶表示部19へのライブビュー画像の表示を行う。補助線画像を表示せずにライブビュー画像を表示することにより、撮影者にピント板の装着状態の確認を促す。なお、この場合に、カラー液晶表示部19に警告を表示してもよい。
【0069】
ステップS104では、マイクロコンピュータ100は、交換ピント板検知回路113からの識別結果に応じて、該識別されたピント板の表示情報IDに対応する補助線画像をEEPROM100aから読み出す。そして、ライブビュー画像をカラー液晶表示部19に表示するとともに、補助線画像を表示する。
【0070】
なお、ピント板表示情報IDに対応する補助線画像とは、ピント板表示情報IDと同じ画像であってもよいし、同じとみなせる範囲で多少異なる画像であってもよい。さらに、後述する調整手段によって位置、大きさ、色等の表示状態がピント板表示情報IDと異なるものであってもよい。
【0071】
次に、ステップS105では、マイクロコンピュータ100は、調整モード操作部材44が操作されたか否かを判別する。調整モード操作部材44が操作されていない場合は、ステップS107に進み、そのままライブビュー画像と補助線画像の表示を継続し、電子ビューファインダ(EVF)を用いた撮像を許容する。
【0072】
一方、調整モード操作部材44が操作された場合は、ステップS106に進む。ステップS106では、マイクロコンピュータ100は、サブ操作ダイヤル20の操作に応じて、補助線画像の位置、大きさ、色等の表示状態を変更する。これにより、撮影者が望む表示状態の補助線画像を表示させることができる。調整モード操作部材44とサブ操作ダイヤル20により調整手段が構成される。
【0073】
そして、ステップS107に進み、マイクロコンピュータ100は、電子ビューファインダ(EVF)を用いた撮像を許容する。
【0074】
撮像が行われた場合はステップS109に進み、マイクロコンピュータ100は、本処理を終了する。
【0075】
以上説明したように本実施例によれば、ピント板の交換が可能なカメラにおいて、装着されたピント板の表示情報に対応した補助線画像をライブビュー画像上に自動的に表示することができる。したがって、電子ビューファインダを、ピント板表示情報が表示される光学ファインダと同等に利用して撮像を行うことができる。
【0076】
以上説明した実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、上記実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例である一眼レフデジタルカメラを前方から見たときの外観斜視図。
【図2】実施例のカメラを背面側から見たときの外観斜視図。
【図3】実施例のカメラの電気的構成を示すブロック図。
【図4】実施例のカメラにおけるピント板装着機構を示す斜視図。
【図5】実施例のカメラに装着可能な複数種類のピント板を示す図。
【図6】実施例のカメラ(マイクロコンピュータ)の処理を示すフローチャート。
【図7】実施例のカメラにおいて、補助線画像がライブビュー画像に表示された様子を示す図。
【符号の説明】
【0078】
1 カメラ本体
6 メインミラー
7 シャッターボタン
18 接眼レンズ
19 カラー液晶表示部
20 サブ操作ダイヤル
32 シャッタ
33 撮像素子
44 調整モード操作部材
100 マイクロコンピュータ
113 交換ピント板検知回路
DI ピント板表示情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系によりピント板に投影された被写体像を観察するための光学ファインダを有し、互いに異なる表示情報を有する複数のピント板を選択的に装着可能な撮像装置であって、
撮像素子を用いて生成された画像を表示する表示素子と、
装着された前記ピント板を識別し、該識別されたピント板の表示情報に対応する画像情報を表示するように前記表示素子を制御する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記各ピント板の表示情報に対応する画像情報を記憶した記憶手段を有し、
前記制御手段は、装着された前記ピント板の識別結果に応じた前記画像情報を前記記憶手段から読み出して前記表示素子に表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表示素子における前記画像情報の表示状態を調整するために操作される調整手段を有し、
前記制御手段は、前記調整手段の操作に応じて前記画像情報の表示状態を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像素子を用いて生成された画像を表示する表示素子と、撮像光学系によりピント板に投影された被写体像を観察するための光学ファインダとを有し、互いに異なる表示情報を有する複数のピント板を選択的に装着可能な撮像装置の制御方法であって、
装着された前記ピント板を識別するステップと、
該識別されたピント板の表示情報に対応する画像情報を表示するように前記表示素子を制御するステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−33576(P2009−33576A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196746(P2007−196746)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】