説明

撮像装置

【課題】予め基準データを用意せずとも焦点検出の精度を向上させる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、射出瞳の異なる領域からの一対の光束をマイクロレンズを通じて受光する焦点検出センサと、該射出瞳からの光束をマイクロレンズを介して受光する撮像センサとを有する撮像素子と、一対の光束それぞれに対応し焦点検出センサが出力する第1信号及び第2信号が示す像と、光束に対応し焦点検出センサの近傍に配置された撮像センサが出力する第3信号が示す像とのズレを示す像ズレ量を算出するズレ量算出部と、像ズレ量と、第3信号と、第1信号及び第2信号とから第1信号及び第2信号の信号レベルを第3信号に基づいた信号レベルに補正する補正値を算出する信号補正部と、算出した補正値に基づいて第1信号及び第2信号を補正した第1補正信号及び第2補正信号を用いてデフォーカス量を算出するAF制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロレンズを用いた瞳分割方式で焦点検出を行う撮像装置では、光電変換部が受光すべき焦点検出光束に光学系の口径食が発生し、瞳分割によりえられる一対の画像出力が不均一になることがある。この一対の画像出力が不均一になると相関演算により算出される位相差の精度が低下し、正確な焦点検出が困難になる。
そこで、特許文献1には、均一輝度面を同光学系で撮像した場合の一対の画像出力を基準データとして予め用意しておき、撮像した一対の画像出力を基準データに基づいて補正を行い、補正した一対の画像出力を用いて焦点位置の検出を行う撮像装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−131623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮像レンズの射出瞳位置、瞳形状、収差、及び撮影時の絞りと、マイクロレンズの形状、及び収差との影響により撮影時の光学系の状態に応じて基準データが異なるので、撮影時の状態ごとに基準データを複数用意する必要がある。例えば、レンズ交換方式の撮像装置の場合、取り付けるレンズに応じて予め基準データを用意する必要がある。また、対応する基準データがないレンズを用いて撮影した場合には、正確な焦点検出を行うことが困難になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、予め基準データを用意せずとも焦点検出の精度を向上させる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記問題を解決するために、本発明は、射出瞳の異なる領域からの一対の光束をマイクロレンズを通じて受光する焦点検出センサと、該射出瞳からの光束をマイクロレンズを介して受光する撮像センサとを有する撮像素子と、前記一対の光束それぞれに対応し前記焦点検出センサが出力する第1信号及び第2信号が示す像と、前記光束に対応し前記焦点検出センサの近傍に配置された前記撮像センサが出力する第3信号が示す像とのズレを示す像ズレ量を算出するズレ量算出部と、前記像ズレ量と、前記第3信号と、前記第1信号及び前記第2信号とから前記第1信号及び前記第2信号の信号レベルを前記第3信号に基づいた信号レベルに補正する補正値を算出する信号補正部と、前記算出した補正値に基づいて前記第1信号及び前記第2信号を補正した第1補正信号及び第2補正信号を用いてデフォーカス量を算出するAF制御部とを備えることを特徴とする撮像装置である。
[2]また、本発明は、上記に記載の撮像装置であって、前記信号補正部は、前記第1信号及び前記第2信号のうちいずれか一方と、前記像ズレ量と、前記第3信号とを用いて前記補正値を算出することを特徴とする。
[3]また、本発明は、上記に記載の撮像装置であって、前記信号補正部は、第1補正値と第2補正値とを含む前記補正値を算出し、前記第1補正値は、前記像ズレ量、前記第3信号、及び前記第1信号から算出され、前記第1信号の補正に用いられ、前記第2補正値は、前記像ズレ量、前記第3信号、及び前記第2信号から算出され、前記第2信号の補正に用いられることを特徴とする。
[4]また、本発明は、上記に記載の撮像装置であって、前記AF制御部は、前記ズレ量算出部が算出した前記像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出することを特徴とする。
[5]また、本発明は、上記に記載の撮像装置であって、前記信号補正部は、前記第1信号及び前記第2信号の画素ごとに前記補正値を算出することを特徴とする。
[6]また、本発明は、上記に記載の撮像装置であって、前記信号補正部は、前記第1信号及び前記第2信号の複数の画素からなる領域ごとに前記補正値を算出することを特徴とする。
[7]また、本発明は、上記に記載の撮像装置であって、前記焦点検出センサは、前記一対の光束を受光する一対の光電変換素子を有し、該一対の光電変換素子のうち一方の信号より前記第1信号が生成され、他方の光電変換素子の信号より前記第2信号が生成されることを特徴とする。
[8]また、本発明は、上記に記載の撮像装置であって、前記第3信号は、前記撮像センサの分光感度に応じて補正された信号により生成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、予め基準データを用意せずとも焦点検出の制度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】同実施形態における撮像装置201の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態における撮像装置201の焦点検出位置の配置例を示す図である。
【図3】同実施形態における撮像素子212の構成例を示す概略図である。
【図4】同実施形態における撮像センサ310の一構成例の断面図である。
【図5】同実施形態における焦点検出センサ311の一構成例の断面図である。
【図6】同実施形態における撮像センサ310と射出瞳の関係を示す図である。
【図7】同実施形態における焦点検出センサ311と射出瞳の関係を示す図である。
【図8】同実施形態における撮像素子212の撮像センサ310が受光する光束内の光線分布を示す図である。
【図9】同実施形態における撮像素子212の焦点検出センサ311が受光する光束内の光線分布を示す図である。
【図10】同実施形態における一様輝度の被写体を撮像した際の焦点検出センサ311の出力例を示す図である。
【図11】同実施形態における撮像素子212における撮像センサ310と焦点検出センサ311との配置の一例を示す図である。
【図12】同実施形態における撮像センサ310及び焦点検出センサ311それぞれの分光感度特性を示すグラフである。
【図13】同実施形態におけるケラレが発生していない状態における撮像センサ310による基準信号と、焦点検出センサ311による一対の第1信号及び第2信号との一例を示す図である。
【図14】同実施形態におけるケラレが発生している状態における基準信号、第1信号及び第2信号の一例を示す図である。
【図15】図14に示した基準信号と第1信号との出力比を算出する領域を示した図である。
【図16】図15に示した基準信号1401と第1信号1402とそれぞれの出力比、及び基準信号1401と第2信号1403との出力比を示す図である。
【図17】同実施形態における撮像装置201の焦点検出処理を示すフローチャートである。
【図18】変形例における撮像素子212上の焦点検出センサ311の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態による撮像装置を図面を参照して説明する。
図1は、同実施形態における撮像装置201の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態では、レンズ交換式の撮像装置の場合について説明する。図示するように、撮像装置201には、交換レンズ202がマウント部204を介してカメラボディ203に取り付けられている。
【0010】
交換レンズ202は、レンズ209と、ズーミング用レンズ208と、フォーカシング用レンズ210と、絞り211と、レンズ駆動制御部206とを備えている。レンズ駆動制御部206は、マウント部204の電気接点213を介してカメラボディ203から送信されるレンズ駆動信号に応じて、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210及び絞り211を駆動する。また、駆動制御部206は、レンズ駆動信号に含まれるフォーカシング用レンズ210の駆動量を示す情報に基づいてフォーカシング用レンズ210を合焦点に移動させる。
【0011】
カメラボディ203は、撮像素子212と、ボディ制御部214と、表示装置駆動部215と、表示装置216と、接眼レンズ217と、画像情報メモリ218とを備えている。
撮像素子212は、交換レンズ202を介して入射する被写体からの光束が結像する予定結像面に配置され、結像した像の光量に応じた電気信号を出力する光電変換を行う。また、撮像素子212には、マイクロレンズ方式の撮像センサがマトリックス状に配置されると共に、複数の焦点検出位置に対応した領域にマイクロレンズ方式の焦点検出センサが配置されている。
【0012】
ボディ制御部214は、撮像装置201全体の制御を行うと共に、撮像素子212から光電変換された信号を読み出し、読み出した信号に基づいて交換レンズ202の焦点調節状態(デフォーカス量)を算出し、検出したデフォーカス量に応じたレンズ駆動信号をマウント部204の電気接点213を介してレンズ駆動制御部206に送信して、レンズ駆動制御部206にオートフォーカス制御を行わせる。このレンズ駆動信号は、フォーカシング用レンズ210を合焦点に移動させるための駆動量を示す情報が含まれている。また、フォーカシング用レンズ210を合焦点に移動させることにより、交換レンズ202を介して入射する被写体からの光束が撮像素子212において結像する。
また、ボディ制御部214は、撮像素子212から光電変換された信号を読み出し、読み出した信号に基づく画像データを表示装置駆動部215に出力すると共に、当該画像データを画像情報メモリ218に記憶させる。
【0013】
また、ボディ制御部214は、画像データ生成部241と、ズレ量算出部242と、信号補正部243と、AF(Auto Focus;自動焦点)制御部244とを有している。
画像データ生成部241は、撮像素子212が有する撮像センサから読み出す信号から基準信号(第3信号)を生成すると共に、撮像素子212が有する焦点検出センサから読み出す信号から焦点検出に用いる第1信号及び第2信号を出力する。また、画像データ生成部241は、撮像素子212の撮像センサの信号に基づく画像データを表示装置駆動部215に出力すると共に、当該画像データを画像情報メモリ218に記憶させる。
【0014】
ズレ量算出部242は、第1信号が示す像と、基準信号が示す像との相対的なズレ量(位相差)を示す像ズレ量s1(第1像ズレ量)を相関演算により算出する。また、ズレ量算出部242は、第1信号と同様に、第2信号の像ズレ量s2(第2像ズレ量)を算出し、算出した像ズレ量s2を用いて第2信号を補正した第2ズレ補正画像データを算出する。この像ズレ量s1及び像ズレ量s2の算出は、具体的には、2つの像を画素単位で相対的に移動させながら、2つの像の相関値を求め、相関値が最も高くなる移動量をズレ量とする。このとき、ズレ量算出部242は、像全体を画素単位で移動させるのではなく、像を予め定められた領域に分割し、分割した領域ごとに相関値を算出し、演算量を削減させる。
【0015】
信号補正部243は、ズレ量算出部242が算出した像ズレ量s1と、第1信号と、基準信号とを用いて、第1信号に生じているケラレを補正する第1補正値を算出する。そして、信号補正部243は、算出した第1補正値により第1信号を補正した第1補正信号を算出する。
また、信号補正部243は、像ズレ量s2と、第2信号と、基準信号とを用いて、第2信号に生じているケラレを補正する第2補正値を算出する。そして、信号補正部243は、算出した第2補正値により第2信号を補正し第2補正値を算出する。
【0016】
ここで、ケラレとは、本明細書において、交換レンズ202の射出瞳の位置、形状、及びレンズ収差と、撮像素子212に設けられているマイクロレンズの形状、レンズ収差及び投影特性などにより、焦点検出センサの光電変換素子が受光する光束に口径食により光量が減少することをいう。そして、ケラレの補正とは、ケラレにより光電変換素子が出力する信号レベルの低下を第1補正値及び第2補正値により補正して基準信号の信号レベルに近づけることでケラレの影響を低減させることである。
【0017】
AF制御部244は、第1補正信号が示す像と、第2補正信号が示す像との像ズレ量s3を算出し、算出した像ズレ量s3に予め定められた係数を乗じてデフォーカス量を算出する。また、AF制御部244は、算出したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、算出したレンズ駆動量を示す情報を含むレンズ駆動信号をレンズ駆動制御部206に送信する。
ここで、デフォーカス量を算出する際に用いる係数は、シミュレーション、実測により予め算出された像ズレ量s3とデフォーカス量との相関を示す値である。
【0018】
表示装置駆動部215は、ボディ制御部21から入力された画像データを電気的ビューファインダの表示装置216に表示させて、被写体像などを接眼レンズ217を介して出力する。撮影者は、接眼レンズ217を通して表示装置216に表示される被写体を視認する。
【0019】
図2は、同実施形態における撮像装置201の焦点検出位置の配置例を示す図である。図示するように、撮像装置201は、撮影画面300に5つの焦点検出位置を有している。撮像装置201は、撮影画面300の中央に焦点検出位置301を有し、上下周辺部に焦点検出位置302、303を有し、左右周辺部に焦点検出位置304、305を有している。
【0020】
図3は、同実施形態における撮像素子212の構成例を示す概略図である。撮像素子212には、撮像センサ310がマトリックス状に配置され、図2において示した焦点検出位置301〜305には、焦点検出センサ311が列状に配置されている。撮像センサ310は、マイクロレンズ10と光電変換素子11とを備えている。焦点検出センサ311は、マイクロレンズ10と一対の光電変換素子12、13とを備えている。
撮像センサ310は、例えば、撮像装置201が撮像する画像の各画素と対応する。なお、焦点検出センサ311が配置されている画素には、近傍の撮像センサ310から読み出す信号に基づいて補間された値が用いられる。
【0021】
図4は、同実施形態における撮像センサ310の一構成例の断面図である。撮像センサ310において、マイクロレンズ10は、撮像用の光電変換素子11の前方(被写体側)に配置されている。
図5は、同実施形態における焦点検出センサ311の一構成例の断面図である。焦点検出センサ311において、マイクロレンズ10は、焦点検出用の光電変換素子12、13の前方に配置されている。
【0022】
図6は、同実施形態における撮像センサ310と射出瞳の関係を示す図である。交換レンズ202の光軸91上に配置され、マイクロレンズ50(10)及び光電変換素子51(11)を有する撮像センサ310と、光軸91から外れて配置され、マイクロレンズ60(10)及び光電変換素子61(11)を有する撮像センサ310とを模式的に例示して説明する。
【0023】
仮想の射出瞳90は、マイクロレンズ(50、60)の前方d4の距離に設定されている。この距離d4は、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換素子51、61(11)との間の距離などに応じて定められる距離である。
領域94は、マイクロレンズ50が光電変換素子51を投影方向57に仮想の射出瞳90上に投影した領域であり、且つ、マイクロレンズ60が光電変換素子61を投影方向67に仮想の射出瞳90上に投影した領域である。なお、投影方向57と光軸91の方向とは、同じ方向である。
【0024】
光電変換素子51は、仮想の射出瞳90上の領域94を通過し、マイクロレンズ50に向かう撮像光束71によりマイクロレンズ50上に結像する像の強度(光量)に応じた信号を出力する。同様に、光電変換素子61は、仮想の射出瞳90上の領域94を通過し、マイクロレンズ60に向かう撮像光束81によりマイクロレンズ60上に結像する像の強度に応じた信号を出力する。ここで、像の強度とは、光電変換素子に入射する光束の光量であり、光電変換素子51、61は、入射する光量の増加に伴って出力する信号のレベルを高くする。
【0025】
また、光軸91上から外れた位置に配置される撮像センサ310それぞれのマイクロレンズ60の投影方向67は、撮像センサ310の光電変換素子61を仮想の射出瞳90上に投影した領域が、光電変換素子51を投影した領域94と一致するように決定される。
【0026】
図7は、同実施形態における焦点検出センサ311と射出瞳の関係を示す図である。交換レンズ202の光軸91上に配置され、マイクロレンズ50(10)及び一対の光電変換素子52、53(12、13)を有する焦点検出センサ311と、光軸91外に配置され、マイクロレンズ60(10)及び一対の光電変換素子62、63(12、13)を有する焦点検出センサ311とを模式的に例示して説明する。なお、焦点検出センサ311の配列方向は、一対の光電変換素子52、53、62、63の並び方向と同じ方向である。
仮想の射出瞳90は、図6の場合と同様に、マイクロレンズ(50、60)の前方d4の距離に設定されている。
【0027】
領域92は、マイクロレンズ50が光電変換素子52を投影方向57に仮想の射出瞳90上に投影した領域であり、且つ、マイクロレンズ60が光電変換素子62を投影方向67に仮想の射出瞳90上に投影した領域である。
領域93は、マイクロレンズ50が光電変換素子53を投影方向57に仮想の射出瞳90上に投影した領域であり、且つ、マイクロレンズ60が光電変換素子63を投影方向67に仮想の射出瞳90上に投影した領域である。
【0028】
光電変換素子52は、仮想の射出瞳90上の領域92を通過し、マイクロレンズ50に向かう焦点検出光束72によりマイクロレンズ50上に結像する像の強度に応じた信号を出力する。光電変換素子53は、仮想の射出瞳90上の領域93を通過し、マイクロレンズ50に向かう焦点検出光束73によりマイクロレンズ50上に結像する像の強度に応じた信号を出力する。
光電変換素子62は、仮想の射出瞳90上の領域92を通過し、マイクロレンズ60に向かう焦点検出光束82によりマイクロレンズ60上に結像する像の強度に応じた信号を出力する。光電変換素子63は、仮想の射出瞳90上の領域93を通過し、マイクロレンズ60に向かう焦点検出光束83によりマイクロレンズ60上に結像する像の強度に応じた信号を出力する。
【0029】
また、光軸91上から外れた位置に配置される焦点検出センサ311それぞれのマイクロレンズ60の投影方向67は、光電変換素子62を仮想の射出瞳90上に投影した領域が、光電変換素子52を投影した領域92と一致し、且つ、光電変換素子62を仮想の射出瞳90上に投影した領域が、光電変換素子53を投影した領域93と一致するように決定される。
【0030】
撮像素子212において焦点検出センサ311を焦点検出位置301〜305に列を成して配置するようにしている。そして、画像データ生成部241は、焦点検出センサ311がマイクロレンズを通じて射出瞳上の異なる領域(92、93)からの一対の光束を受光して出力する信号を読み出して、焦点検出に用いる一対の信号を出力する。具体的には、画像データ生成部241は、焦点検出位置301〜305いずれかに並べられた焦点検出センサ311の光電変換素子12から読み出した信号を順に並べた第1信号と、光電変換素子13から読み出した信号を順に並べた第2信号とを出力する。
【0031】
この第1信号は、仮想の射出瞳90上の領域92を通過する焦点検出光束が焦点検出センサ311の列上に結像する像の強度の分布を示す。また、第2信号は、仮想の射出瞳90上の領域93を通過する焦点検出光束が焦点検出センサ311の列上に結像する像の強度の分布を示す。
【0032】
図8は、同実施形態における撮像素子212の撮像センサ310が受光する光束内の光線分布を示す図である。また、この図8は、仮想の射出瞳面における光学系の射出瞳47と、撮像センサ310の光電変換素子11を投影した領域33との関係を示している。なお、光学系の射出瞳47は、仮想の射出瞳面に一致している場合について説明する。光学系の光軸から外れて位置する撮像センサ310には、射出瞳47が光軸に対する角度に応じて円形から楕円形に変形して映される。領域33は、撮像センサ310の光電変換素子11をマイクロレンズ10を介して仮想の射出瞳面に投影したものである。
【0033】
領域33における光量の分布は、一様でなく、マイクロレンズ10の回折や収差により中心から周辺部に向かって光量が減少する。図8では、領域33における光量を濃淡により示してあり、中心部の光量が最も多く、周辺部に向かって光量が減少する。
なお、撮像センサ310の光電変換素子11を投影した領域33と、光学系の射出瞳47とがほぼ一致するようにマイクロレンズ10と光電変換素子11との位置が調節されている。
【0034】
図9は、同実施形態における撮像素子212の焦点検出センサ311が受光する光束内の光線分布を示す図である。また、この図9は、仮想の射出瞳面における光学系の射出瞳48と、焦点検出センサ311の光電変換素子12、13を投影した領域28、29との関係を示している。光学系の光軸から外れて位置する焦点検出センサ311において、光学系の絞りの射出瞳以外に、レンズ外形に対応する射出瞳が焦点検出センサ311に入射する光束を規制(遮光)する要因となり得る。
【0035】
光学系の光軸から外れて位置する焦点検出センサ311には、射出瞳48が、光軸に対する角度に応じて変形し、更に、レンズの外形等による口径食により変形して映される。また、一対の光電変換素子12、13をマイクロレンズにより仮想の射出瞳面に投影した投影領域28、29は、マイクロレンズの回折や収差によりその領域内において一様の光線分布とならず、中心から周辺部に向かって光量が減少する。
【0036】
また、図9では、投影領域28、29における光量を濃淡により示してあり、中心部の光量が最も多く、周辺部に向かって減少する。なお、焦点検出センサ311の光電変換素子12、13は、投影領域28、29と、光学系の射出瞳48との重なりが大きくなるように、光電変換素子12、13の位置及びマイクロレンズ10の位置が調節されている。また、焦点検出センサ311において、光電変換素子12、13は、撮像センサ310の光電変換素子11に比べ、面積が小さいためにケラレの影響を受けやすいので、出力レベルが低下しやすい。
【0037】
図10は、同実施形態における一様輝度の被写体を撮像した際の焦点検出センサ311の出力例を示す図である。横軸は焦点検出センサの位置を示し、縦軸は光電変換素子の出力レベルを示している。符号1601で示す出力例は、ケラレが生じていない場合の焦点検出センサ311列の出力を示している。一方、符号1602で示す出力例は、ケラレが生じている場合の焦点検出センサ311列の出力を示している。ここで、焦点検出センサ311の出力レベルは、図9において示した射出瞳48と、光電変換素子を仮想の射出瞳面に投影した領域28、29との重なる割合に正比例し、光学系の光軸から離れるほど低下する。
【0038】
図11は、同実施形態における撮像素子212における撮像センサ310と焦点検出センサ311との配置の一例を示す図である。R、G、及びBそれぞれは、赤色フィルタ(R)、緑色フィルタ(G)、及び青色フィルタ(B)が設けられた撮像センサ310の配置を示している。撮像素子212には、R、G、及びBの色フィルタが設けられた撮像センサ310がベイヤー配列を成している。Aは、焦点検出センサ311の配置を示している。
ライン1007は、焦点検出用の焦点検出センサ311の列を示している。ライン1005、1006は、ライン1007の近傍に配置された撮像センサ310の列を示している。ここで、ライン1007の近傍に配置された撮像センサ310は、ライン1007に含まれる焦点検出センサ311に対応する基準信号を算出する際に基となる信号が読み出されるものである。この撮像センサ310は、対応する焦点検出センサ311に最も近いものでもよいし、シミュレーションや計測などの結果に基づいて予め定めておいてもよい。
【0039】
このライン1005、1006の撮像センサ310それぞれの信号は、焦点検出の際に用いる基準信号(第3信号)の基になる。このように、ライン1005とライン1006と2つのラインを用いることにより、R、G、及びBそれぞれ色フィルタを有する撮像センサ310の信号を用いて基準信号を生成する。例えば、ライン1007の焦点検出センサ311に対して、それぞれの焦点検出センサ311に最も近いR、G、及びBの撮像センサ310が出力する信号を加算して、焦点検出センサ311に対応する基準信号を算出する。
【0040】
なお、ベイヤー配列の色フィルタの場合における基準信号の算出を示したが、色フィルタ構成や配列はこれに限定されることなく、例えば、補色フィルタ(G:緑色、Y:黄色、Mg:マゼンダ、Cy:シアン)を用いてもよい。この場合、それぞれの色フィルタが設けられた撮像センサ310が検出する波長に応じて組み合わせを予め定めておき、組み合わされた撮像センサ310の出力を用いて基準信号を算出する。
【0041】
図12は、同実施形態における撮像センサ310及び焦点検出センサ311それぞれの分光感度特性を示すグラフである。図12(a)は、R、G、及びBのフィルタが設けられた撮像センサ310の分光感度を示している。図12(b)は、焦点検出センサ311の分光感度を示している。焦点検出センサ311は、受光する光量の減少を避けるために撮像センサ310のように色フィルタは設けられておらず、分光感度が撮像センサ310の分光感度特性を合成した特性を有している。
なお、撮像センサ310が出力する信号を用いて基準信号を生成するとき、撮像センサ310に設けられている色フィルタによる光量の減少分を図12に示す分光感度特性に応じて補正する。
【0042】
図13は、同実施形態におけるケラレが発生していない状態における撮像センサ310による基準信号と、焦点検出センサ311による一対の第1信号及び第2信号との一例を示す図である。
画像データ生成部241は、ライン1005、1006の撮像センサ310の光電変換素子11から読み出す信号に基づいて基準信号1701を出力し、ライン1007の焦点検出センサ311の光電変換素子12から読み出す信号に基づいて第1信号1702を出力し、ライン1007の焦点検出センサ311の光電変換素子13から読み出す信号に基づいて第2信号1703を出力する。
【0043】
第1信号1702と、第2信号1703とは、予定結像面において合焦しているとき基準信号1701と一致する。焦点検出におけるデフォーカス量は、基準信号1701と第2信号1703とのズレ量s1と、基準信号1701と第1信号1702とのズレ量s2との和で表される。
このとき、光電変換素子12は、投影領域28(図9)を通過する光束を受光し、光電変換素子13は、投影領域29(図9)を通過した光束を受光している。
【0044】
図14は、同実施形態におけるケラレが発生している状態における基準信号、第1信号及び第2信号の一例を示す図である。横軸は撮像センサ310及び焦点検出センサ311に対応する画素を示し、縦軸は光電変換素子の出力レベルを示している。符号1401で示されるグラフは基準信号であり、符号1402で示されるグラフは第1信号であり、符号1403で示されるグラフは第2信号である。第1信号1402及び第2信号1403は、中央(光学系の光軸)から遠ざかるとケラレの影響により出力レベルが低下する。
【0045】
図15は、図14に示した基準信号と第1信号との出力比を算出する領域を示した図である。ズレ量算出部242は、基準信号1401と第1信号1402との相関演算を行うことにより、基準信号1401の領域Asに対して相関値が最も高い第1信号1402の領域A1を検出すると共にその像ズレ量s1を算出する。
このとき、信号補正部243は、領域Asにおける基準信号1401の出力平均値Esと、領域A1における第1信号1402の出力平均値E1とを算出する。
【0046】
基準信号の出力平均値Esと、第1信号の出力平均値E1とは、それぞれ以下の式(1)〜(2)により算出される。また、出力平均値Es、E1の比である出力比V1は、式(3)で表される。
【0047】
【数1】

【0048】
ここで、As及びA1は、相関演算処理により検出された領域に含まれる画素の集合を示し、jは、画素の位置を示し、画素位置jは、出力平均値を算出する対象の領域As、A1に含まれる。ds[i]は、画素位置iの基準信号の出力レベルを示し、d1[i]は、画素位置iの第1信号の出力レベルを示し、nは、相関演算処理により検出された領域に含まれる画素数を示している。s1は、相関演算処理により算出された基準信号と第1信号とのズレ量を示している。
【0049】
また、ズレ量算出部242は、第2信号に対して、第1信号と同様に、基準信号との相関演算処理により相関値の高い領域を検出すると共にズレ量を算出する。また、信号補正部243は、ズレ量算出部242が基準信号と第2信号との検出した領域と、ズレ量とに基づいて基準信号及び第2信号の出力平均値Es、E2を算出し、算出した出力平均値Es、E2の比である出力比V2を算出する。
【0050】
なお、図15では、基準信号と第1信号との相関値が高い領域の組み合わせを1つ示したが、実際の処理においては、複数の領域の組み合わせが検出され、それぞれ領域の組み合わせごとに出力平均値及び出力比を算出する。また、基準信号と第2信号とにおいても、複数の領域の組み合わせが検出され、それぞれの領域の組み合わせごとに出力平均値及び出力比を算出する。
また、信号補正部243は、第1信号及び第2信号の全ての領域に渡って出力比を算出せずに、少なくとも3つの領域において出力比を算出し、算出した出力比を用いてスプライン補間、ラグランジュ補間、最小二乗近似などにより他の領域の出力比を補完してもよい。
【0051】
図16は、図15に示した基準信号1401と第1信号1402とそれぞれの出力比、及び基準信号1401と第2信号1403との出力比を示す図である。なお、信号補正部243は、出力比V1、V2の逆数が示す補正値を用いて第1信号及び第2信号それぞれが示す像の強度を補正した第1分布補正信号及び第2分布補正信号を算出する。具体的には、焦点検出センサ311においてケラレにより低下した出力レベルを、補正値を乗じて基準信号と同様の出力レベルに補正する。
【0052】
図17は、同実施形態における撮像装置201の焦点検出処理を示すフローチャートである。
まず、撮像装置201に電源が供給されることにより焦点検出処理が開始され(ステップS100)、画像データ生成部241がライン1007に含まれる焦点検出センサ311が有する光電変換素子12、13の信号を読み出して第1信号及び第2信号を出力し(ステップS101)、ライン1005、1006に含まれる撮像センサ310の光電変換素子11から信号を読み出して(ステップS102)、ケラレの少ない基準信号を算出する(ステップS103)。
【0053】
ズレ量算出部242は、画像データ生成部241が出力した第1信号が示す像の強度と、基準信号が示す像の強度とのズレを示す像ズレ量s1と、領域As、A1の組み合わせを相関演算処理により算出する(ステップS104)。信号補正部243は、ズレ量算出部242が算出した像ズレ量s1及び領域As、A1の組み合わせを用いて、式(1)〜(3)により出力平均値Es、E1及び出力比V1を算出する(ステップS105)。
【0054】
また、ズレ量算出部242は、画像データ生成部241が出力した第2信号が示す像の強度と、基準信号が示す像の強度とのズレを示す像ズレ量s2と、領域As、A2の組み合わせを相関演算処理により算出する(ステップS106)。信号補正部243は、ズレ量算出部242が算出した像ズレ量s2及び領域As、A2の組み合わせを用いて、第1信号と同様に、出力平均値Es、E2及び出力比V2を算出する(ステップS107)。
信号補正部243は、算出した出力比V1を用いて第1信号が示す像の強度を補正した第1補正信号を算出すると共に、算出した出力比V2を用いて第2信号が示す像の強度を補正した第2補正信号を算出する。
【0055】
AF制御部244は、第1補正信号が示す像と、第2補正信号が示す像とのズレ量s3を公知の相関演算処理により算出し(ステップS108)、算出した像ズレ量s3に応じたデフォーカス量を算出し(ステップS109)、算出したデフォーカス量に応じたフォーカシング用レンズ210のレンズ駆動量を算出し(ステップS110)、算出したレンズ駆動量を含む制御信号をレンズ駆動制御部206に送信する。
レンズ駆動制御部206は、受信した制御信号に含まれるレンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を駆動して(ステップS111)、被写体を撮像素子212のマイクロレンズ10上に合焦させる。
以降、撮像装置201は、ステップS101〜S111までの動作を繰り返して行う。
【0056】
上述のように、本実施形態における撮像装置201は、焦点検出センサ311の近傍に配置されている撮像センサ310の出力に基づいて基準信号を算出するようにし、基準信号を用いて焦点検出センサ311から出力される第1信号及び第2信号を補正する補正値を算出するようにした。これにより、光学系及びマイクロレンズによる口径食(ケラレ)による光量の減少に伴う信号レベルの低下を補正に用いる補正データを予め用意せずとも、第1信号及び第2信号の信号レベルの低下を補正することができる。そして、ケラレの影響が低減された、第1補正信号と第2補正信号との像ズレ量(位相差)を検出することによりデフォーカス量の算出及び焦点検出の精度を向上させることができる。また、交換レンズ202を通過した光束によりケラレの補正を行うようにしたので、予め補正データが用意されていない交換レンズを撮像装置201に取り付けてもデフォーカス量の算出及び焦点検出を行うことができ、交換レンズの選択の幅を広げることができる。
【0057】
また、撮像装置201は、焦点検出センサ311の光電変換素子12、13の出力レベルがケラレにより低下しても、基準信号と同様の出力レベルに補正するようにしたので、出力レベルが補正された第1補正信号及び第2補正信号からケラレによる信号強度の変化を低減することができ、相関演算による第1補正信号と第2補正信号との像ズレ量の算出精度を向上させることができる。
【0058】
また、撮像装置201において、信号補正部243は、出力比V1、V2を算出する際に、出力の平均値を用いて算出するようにしたので、焦点検出センサ311の出力がノイズなどにより局所的に出力が変動した場合、ノイズによる補正値への影響を低減することができ、第1信号及び第2信号に対するケラレの補正を安定して行いデフォーカス量の算出及び焦点検出の精度を向上させることができる。
【0059】
<一実施形態の変形例>
図18は、一実施形態の変形例における撮像素子212上の焦点検出センサ311の配置を示す図である。焦点検出センサ311は、符号A1で示されるライン1101と、符号A2で示されるライン1102とに配置されている。ライン1101に配置された焦点検出センサ311は、図9に示した投影領域28を通過する光束を検出する。一方、ライン1102に配置された焦点検出センサ311は、投影領域29(図9)を通過する光束を検出する。この場合、画像データ生成部241は、ライン1101に含まれる焦点検出センサ311の出力を読み出して第1信号を出力し、ライン1102に含まれる焦点検出センサ311の出力を読み出して第2信号を出力する。
【0060】
これにより、焦点検出センサ311は、一対の光束のいずれか一方を受光すればよいので、2つの光電変換素子を有する必要がなく、第1実施形態に比べ光電変換素子を大きくすることができる。そして、第1信号及び第2信号と基準信号との出力レベルの差を少なくすることができ、ズレ量算出部242が算出する像ズレ量などの誤差を低下させることができる。その結果、撮像装置201は、デフォーカス量の算出及び焦点検出の精度を向上させることができる。
【0061】
なお、上述の一実施形態及びその変形例において、AF制御部244は、ステップS109において、デフォーカス量を算出する際に、像ズレ量s3とデフォーカス量とが対応付けられたルックアップテーブルを設け、当該ルックアップテーブルを用いてデフォーカス量を算出するようにしてもよい。また、このルックアップテーブルは、取り付けられる交換レンズ202ごとに設けてもよい。これにより、AF制御部244の計算量を削減することができ、焦点検出及び合焦までに要する時間を短縮することができる。
【0062】
また、図17において示した焦点検出処理において、ステップS104〜S105と、ステップS106〜S107との順序を入れ替えて処理してもよい。また、ステップS104〜S105と、ステップS106〜S107との処理を並列に処理するようにしてもよい。これにより、ズレ量算出部242及び信号補正部243が処理に要する時間を削減することができ、焦点検出及び合焦までに要する時間を短縮することができる。
【0063】
また、AF制御部244は、ステップS104及びS106でズレ量算出部242が算出した像ズレ量s1、s2に基づいて像ズレ量s3を算出するようにしてもよい。第1補正信号と第2補正信号との像ズレ量s3は、像ズレ量s1、s2の和に近い値であるので、像ズレ量s1、s2の和の近傍に対して相関演算を行うことで、相関演算処理に要する時間を削減することができ、焦点検出及び合焦までに要する時間を短縮することができる。
【0064】
また、信号補正部243は、ズレ量算出部242が算出した領域ごとに出力平均値及び出力比を算出する構成としたが、出力平均値を求めずに画素ごとに出力平均を算出してもよい。それにより、信号補正部243計算量を削減することができ、デフォーカス量の算出及び焦点検出に要する時間を短縮することができる。
【0065】
また、信号補正部243は、基準信号と第1信号との出力比と、基準信号と第2信号との出力比とを算出する構成としたが、ケラレによる出力レベルの低下が光学系の光軸に対して対称であると近似を行い、2つの出力比のうちいずれか一方を算出し、第1信号及び第2信号に対する補正に用いてもよい。これにより、信号補正部243が出力平均値及び出力比の算出に要する時間を削減することができ、焦点検出及び合焦までに要する時間を短縮することができる。
【0066】
上述のボディ制御部214は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、上述した焦点検出処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0067】
10、50、60…マイクロレンズ、12、13、52、53、62、63…光電変換素子、92、93…領域、201…撮像装置、212…撮像素子、242…ズレ量算出部、243…信号補正部、244…AF制御部、310…撮像センサ、311…焦点検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出瞳の異なる領域からの一対の光束をマイクロレンズを通じて受光する焦点検出センサと、該射出瞳からの光束をマイクロレンズを介して受光する撮像センサとを有する撮像素子と、
前記一対の光束それぞれに対応し前記焦点検出センサが出力する第1信号及び第2信号が示す像と、前記光束に対応し前記焦点検出センサの近傍に配置された前記撮像センサが出力する第3信号が示す像とのズレを示す像ズレ量を算出するズレ量算出部と、
前記像ズレ量と、前記第3信号と、前記第1信号及び前記第2信号とから前記第1信号及び前記第2信号の信号レベルを前記第3信号に基づいた信号レベルに補正する補正値を算出する信号補正部と、
前記算出した補正値に基づいて前記第1信号及び前記第2信号を補正した第1補正信号及び第2補正信号を用いてデフォーカス量を算出するAF制御部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記信号補正部は、前記第1信号及び前記第2信号のうちいずれか一方と、前記像ズレ量と、前記第3信号とを用いて前記補正値を算出する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記信号補正部は、第1補正値と第2補正値とを含む前記補正値を算出し、
前記第1補正値は、前記像ズレ量、前記第3信号、及び前記第1信号から算出され、前記第1信号の補正に用いられ、
前記第2補正値は、前記像ズレ量、前記第3信号、及び前記第2信号から算出され、前記第2信号の補正に用いられる
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記AF制御部は、前記ズレ量算出部が算出した前記像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記信号補正部は、前記第1信号及び前記第2信号の画素ごとに前記補正値を算出する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記信号補正部は、前記第1信号及び前記第2信号の複数の画素からなる領域ごとに前記補正値を算出する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記焦点検出センサは、前記一対の光束を受光する一対の光電変換素子を有し、該一対の光電変換素子のうち一方の信号より前記第1信号が生成され、他方の光電変換素子の信号より前記第2信号が生成される
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記第3信号は、前記撮像センサの分光感度に応じて補正された信号により生成される
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−114553(P2011−114553A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268788(P2009−268788)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】