説明

撮像装置

【課題】1つのイメージセンサで画角の異なる画像を同時に記録する撮像装置を提供する。
【解決手段】固体撮像素子(イメージセンサ)1の1つの受光面を少なくとも2つに分け、撮像レンズ部101からの光学像を各々の受光面に結像し、1つの受光面の読み出しを画素混合読み出しで、他方の読み出しを全画素読み出しでそれぞれ読み出すように駆動を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置に関する。詳しくは、広角撮影と高倍率撮影との同時記録可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置の光電変換素子アレイについては、半導体技術の発展により画素数の飛躍的な増加が実現されている。
【0003】
静止画撮影においては、光電変換素子アレイの全画素の画素データを利用する形態で撮影を行う。これが全画素読み出しモードであり、光電変換素子アレイから読み出した画素データを1画素分ずつ順次に全画素分出力する。これにより、高精細な静止画撮影が可能となっている。
【0004】
一方、静止画撮影と動画記録との両モードを切り替え可能に構成した撮像装置もある。現状ではデジタル信号処理回路の動作速度に一定の限界があり、また消費電力の面からも、動画記録においては、静止画撮影と同様の全画素読み出しモードでの撮影は難しい。そこで、動画記録時には画素間引きを行い、単位時間当たりのフレーム枚数を増やして画素データ処理を行うのが一般的である。これが垂直水平画素混合読み出しモードである。
【0005】
光電変換素子アレイから読み出した画素データにつき、アレイの垂直方向と水平方向とで複数画素分を混合した上で、その混合画素データを1単位の画素データとして出力する。これにより、単位時間当たりのフレーム枚数が増え、高画素の光電変換素子アレイを搭載した撮像装置においても、滑らかで高速な動画像撮影が可能となっている。
【0006】
上記のような画素間引き・画素混合読み出しの切り替えは、特にMOS(Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが得意とするものである。MOSイメージセンサは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサのようなポテンシャル井戸の移動による電荷の転送を必要とせず、信号ライン(ワイヤ)を利用して任意ラインの画素データ読み出しが自在であるからである。また、MOSイメージセンサの利点として、低電圧動作、少ないリーク電流、CCDと同じサイズでのより大きい開口率、高い感度、データ読み出しがCCDより簡単等を挙げることができる。特に、任意画素抽出読み出し、画素混合の利点が大きい。
【0007】
しかしながら、高精細な静止画と単位時間あたりのフレーム枚数を確保する動画との同時記録は、読み出し方法が異なるため時分割の処理となり、両方を実現するためにはより高速な装置が必要である。
【0008】
また、同時記録が可能な撮像装置においても動画記録中の注目領域の静止画、あるいは動画記録をする場合、通常デジタルズームが用いられるため、倍率が高くなると解像度が低下する。
【0009】
例えば、特許文献1では、第1及び第2のイメージセンサを有し、かつ第2のイメージセンサにズームレンズを備え、光反射部材を用いて第1、第2のイメージセンサそれぞれ交互に光を入射することで、第1のイメージセンサで広角な撮影を、第2のイメージセンサで高倍率の撮影をそれぞれ行うことを可能にしている。
【0010】
特許文献2には、9画素混合における動画記録が示されている。
【0011】
特許文献3には、垂直列(カラム)毎にAD変換回路やその他の信号処理を行う信号処理部を配置したMOSイメージセンサが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−016659号公報
【特許文献2】特開2005−107252号公報
【特許文献3】特開2006−033454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1では、広角と高倍率の撮影をするために2つのイメージセンサ、反射部材、機械的なズームレンズ制御機構、機械的な第2のイメージセンサ制御機構が必要で高コストである。また、反射部材により光を2つのセンサに交互に入力するため各々の露光時間が個別記録に比べて1/2と短くなり、かつ純粋な同時記録はできない。また、同時記録を可能にするため、反射部材を光変調素子としても、どちらかの光量は低下する。
【0014】
特許文献2においても同様で、当然ながら、動画撮影と静止画撮影との両者において、固体撮像素子の読み出しタイミングが異なっている。つまり、露光タイミングが異なっているため、動画と静止画とで同一の被写体像を捉えることができなかった。
【0015】
本発明の目的は、1つのイメージセンサで画角の異なる画像を同時に記録する撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の撮像装置では、1つの受光面を持つイメージセンサと、1つの被写体の光学像を少なくとも2つ結像する光学系を備えた撮像レンズ部とを備え、1つの受光面を少なくとも2つに分け、撮像レンズ部からの光学像を各々の受光面に結像し、1つの受光面の読み出しを画素混合読み出しで、他方の読み出しを全画素読み出しでそれぞれ読み出すように駆動を切り替える。
【0017】
この撮像装置においては、画素混合読み出しで撮像した画像で、単位時間当たりのフレームを確保できる動画が記録可能で、全画素読み出しで撮像した画像で、高精細な静止画記録が可能である。
【0018】
また、全画素読み出し側から任意の領域を切り取って出力する撮像装置を提供する。この撮像装置においては、画素混合読み出しで撮像した画像とは異なる解像度の画像を、単位時間当たりのフレームを確保できる動画として記録が可能である。
【0019】
また、更に動体検知手段を備え、全画素読み出し側の任意の領域指定は、動体検知の情報に基づいて指定する。この撮像装置においては、例えば監視カメラ等で記録画像内で動きがあった物体に注視して同時記録が可能である。
【0020】
また、更に人物認識手段を備え、全画素読み出し側の任意の領域指定は、人物認識手段の情報に基づいて指定する。この撮像装置においては、指定された人物に注視して同時記録が可能である。
【0021】
また、更に全画素読み出しと画素混合読み出しとの読み出しの駆動の出力系統を個別に持つ構成とする。この撮像装置においては、平行して読み出し可能になることから更に単位時間あたりのフレームを確保できる動画を記録することが可能である。
【0022】
また、画素混合読み出し画像と全画素読み出し画像との同時記録に加えて、動体検知や人物認識手段の情報に基づいて画像符号化を切り替える手段を持つ構成とする。この撮像装置においては、2つの画像を1つの動画符号化データとして記録が可能である。
【発明の効果】
【0023】
以上より、本発明は同時刻、同期間の露光を確保した上で、1つのイメージセンサで少なくとも2つの異なる解像度の画像を同時に記録することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1における撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1中の固体撮像素子(イメージセンサ)の外観図である。
【図3】図1中のイメージセンサの詳細構成例を示すブロック図である。
【図4】図3のイメージセンサの動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図4に続くタイミングチャートである。
【図6】図5に続くタイミングチャートである。
【図7】図3のイメージセンサにおける画素混合読み出しによる出力画像の説明図である。
【図8】図3のイメージセンサにおける全画素読み出しによる出力画像の説明図である。
【図9】図3中のH加算制御部の構成例を示すブロック図である。
【図10】図3中のV駆動制御部の構成例を示すブロック図である。
【図11】図1中のカメラ信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【図12】図2のイメージセンサの変形例に係る外観図である。
【図13】図1中のイメージセンサの他の詳細構成例を示すブロック図である。
【図14】図13中の領域Bの読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【図15】図14に続くタイミングチャートである。
【図16】図15に続くタイミングチャートである。
【図17】図13中の領域Aの読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【図18】図17に続くタイミングチャートである。
【図19】図18に続くタイミングチャートである。
【図20】本発明の実施形態2におけるイメージセンサの詳細構成を示すブロック図である。
【図21】図20のイメージセンサにおける通常全画素読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【図22】図20のイメージセンサにおける任意指定読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【図23】図20のイメージセンサに動体検知部を追加した構成を示すブロック図である。
【図24】図23中の動体検知部の制御フローチャートである。
【図25】図20のイメージセンサに人物認識部を追加した構成を示すブロック図である。
【図26】本発明の実施形態3におけるイメージセンサの詳細構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の実施形態4における撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図28】図27中の動体検知部の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施形態や各変形例の説明は例示を目的としており、本発明がこれらに限定されることを意図しない。また一度説明した構成要素と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1における撮像装置の構成を示すブロック図である。図1の撮像装置は、撮像レンズ部101と、画像信号処理部100と、記憶部102と、記録保存部103とを備える。画像信号処理部100は、固体撮像素子(イメージセンサ)1と、制御部2と、カメラ信号処理部3と、解像度変換部4と、画像符号化部5とを備える。
【0027】
撮像レンズ部101は、図2に示すように、入射される被写体の同じ光学像を固体撮像素子1の受光面の領域A、領域Bに結像する。領域A,Bはイメージサークル1011内の領域で、互いのイメージサークル1011の光学像の影響を受けない領域である。領域Cは領域A,Bに結像する光学像が重なる部分のため後段の画像処理に使用されない領域である。
【0028】
固体撮像素子1は、図3に示すように、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のカラーフィルタをベイヤ配列にもつ固体撮像素子(gは、R列のGを表す)であって、複数の光電変換素子からなる画素201が水平、垂直のアレイ状(行列状)に配列されており受光面を形成している。更に垂直列毎にAD変換回路202、V加算器203及びラインメモリ204が構成されている。
【0029】
画素201において発生した画素信号は、垂直駆動回路205により行単位で順次出力され、AD変換回路202によってAD変換が実行され、水平駆動回路206により、順次、H加算器207を通じて、固体撮像素子1から出力される。このとき、垂直駆動回路205は、V駆動制御部209により、画素201の読み出し及びAD変換回路202、V加算器203を垂直単位で制御する。一方、H加算器207は、H加算制御部208により、水平加算されるかどうかが水平転送画素単位で決定される。
【0030】
次に、図3に示す構成図と、図4、図5及び図6に示すタイミングチャートとを用いて、固体撮像素子1の駆動について説明する。ここでは領域Aを画素混合読み出し、領域Bを全画素読み出しとし、画素混合読み出しは水平2画素、垂直2画素混合を例として説明する。
【0031】
まず、図4の水平期間2’では、垂直転送パルスに同期して、AD変換回路202によってV0行の画素信号がAD変換される(AD0部)。V0行の全画素のAD変換が完了すると、ラインメモリ204がクリアされた後(CLR部)、AD変換結果はラインメモリ204へ転送される(MEM部)。
【0032】
続く、図5の水平期間1では、垂直転送パルスに同期して、V2行の画素信号がAD変換される(AD2部)。このとき、CLR動作は領域B,Cに付属するラインメモリ204に対して施され、領域Aのラインメモリ204のクリアはされない。同時にラインメモリ204内のV0行の画素信号データが水平転送され、H加算器207へ入力される。H加算器207は、H加算制御部208内の水平転送パルスカウンタに則り、水平転送パルスカウンタが領域Bの数まで画像データが出力されず、領域Bのカウンタ数に到達するとH加算制御信号に基づき‘L’のため入力信号をそのまま出力する。この動作により、図8の領域Bの全画素データV0行が出力される。V2行の全画素のAD変換(AD2部)が完了すると、V2行のAD変換結果はラインメモリ204内部へ転送されるが、領域Aについてはクリアされていないためデータ加算されることとなる(MEM部)。
【0033】
続く、図6の水平期間2では、垂直転送パルスに同期して、V1行の画素信号がAD変換される(AD1部)。このとき、CLR動作は全領域のラインメモリ204に対して施される。同時にラインメモリ204内の領域AについてはV0行とV2行の画素混合信号データが、領域BについてはV2行の画素信号データが水平転送され、H加算器207へ入力される。H加算器207は、水平転送パルスカウンタに則りH加算制御信号として‘H’を出力し、領域Aの画素信号については2画素毎に加算しながら固体撮像素子1から出力する。
【0034】
この動作により、図7のV0’行の画素混合信号が出力される。その後、領域Bについては入力信号がそのまま出力され、図8の領域Bの全画素データV2行が出力される。引き続き水平期間1と2とを垂直奇数列に対して繰り返すことで図7のV1’行、及び図8のV1,V3行を得ることができる。以下繰り返すことで、領域Aの画素混合データと領域Bの全画素データとのR,G,g,B全色を得ることができる。
【0035】
図4、図5及び図6のタイミングチャートのとおり、V駆動制御部209は垂直駆動回路205に対して、偶数行、奇数行をそれぞれ2回ずつ繰り返し変更する制御を行い、ラインメモリ204のクリア制御は領域Aについては2水平期間毎に、領域B,Cについては毎水平期間クリアする制御を行う。
【0036】
領域Cの画素信号についてはH加算器207から出力しなくてもよいし、出力した場合、カメラ信号処理部3で破棄してもよい。
【0037】
図9は、H加算制御部208の構成例を示すブロック図である。まず、領域判定部2081にアレイ状に配置された画素で構成された受光面においての領域A及び領域Bの水平位置が設定される。例えば図3で左下画素位置B00を0として右に1つ進むにつれ1カウントするとして、領域Aの水平開始位置は0で、領域Bの水平開始位置は12となり、また領域Cの水平開始位置は8となる。
【0038】
水平カウンタ部2082は、図4、図5及び図6に示す水平転送パルスが発生する度に1カウントアップし垂直転送パルス毎にリセットされる。垂直カウンタ部2083は、図4、図5及び図6に示す垂直転送パルスが発生する度に1カウントアップし、1フレーム分カウントされた時点でリセットされる。
【0039】
領域判定部2081には、水平カウンタ部2082からの水平カウント値と垂直カウンタ部2083からの垂直カウント値とが入力される。領域判定部2081は、垂直カウント値0を除く偶数ライン時の水平カウント値0から7までの間のみH加算制御信号2084を‘H’にしH加算器207の動作を有効にする。それ以外は‘L’を出力しH加算器207の動作を無効(スルー動作:入力信号をそのまま出力する)にする。また、別に領域Cの位置である水平カウント値が8から次の領域Bのカウント値12になるまでH加算器207を停止させるためのH加算停止信号2085を出力し、H加算器207の動作を停止することができる。H加算器207は停止信号2085を受けている間は出力しない。
【0040】
図10は、V駆動制御部209の構成例を示すブロック図である。まず、領域判定部2091に、アレイ状に配置された画素で構成された受光面においての領域A及び領域Bの水平位置が設定される。例えば図3で左下画素位置B00を0として右に1つ進むにつれ1カウントするとして、領域Aの水平開始位置は0で、領域Bの水平開始位置は12となり、また領域Cの水平開始位置は8となる。
【0041】
垂直カウンタ部2093は、図4、図5及び図6に示す垂直転送パルスが発生する度に1カウントアップし、1フレーム分カウントされた時点でリセットされる。
【0042】
領域判定部2091には、垂直カウンタ部2093から垂直カウント値が入力される。そして、垂直4ラインを1セットとして(0〜3ラインをセット1、4〜7ラインをセット2)、垂直カウント値が4更新する度に次の対象セットに更新し、垂直カウント値が1更新する度にセット内の0→2→1→3ライン目を駆動するV駆動制御信号2094を出力する。垂直駆動回路205は、V駆動制御信号2094の値と同じラインの画素201をAD変換回路202に読み出す。
【0043】
また、領域判定部2091は領域Aとして設定された水平位置0から領域Bとして設定された水平位置12の手前の水平位置11までのAD変換回路202とV加算器203とラインメモリ204とを制御する制御信号2095と、領域Bとして指定された水平位置12から右端位置19までのAD変換回路202とV加算器203とラインメモリ204とを制御する制御信号2096とを出力する。領域Aの制御信号2095は偶数ライン毎にV加算器203を有効にし同時にラインメモリ204をクリアする。領域Bを制御する制御信号2096は1ライン毎にV加算器203を無効にし、ラインメモリ204をクリアする。
【0044】
さて、図1中の制御部2は、固体撮像素子1、カメラ信号処理部3、解像度変換部4、画像符号化部5の動作を制御する。結像された被写体は、固体撮像素子1によって電気信号(以下、画素信号)に変換され、カメラ信号処理部3に入力される。
【0045】
図11は、カメラ信号処理部3の構成例を示すブロック図である。一般的には、カメラ信号処理部3は、画像並び替え回路720と、ホワイトバランス処理回路(図中ではWBと略記)721と、輝度信号生成回路722と、色分離回路723と、アパーチャ補正処理回路(図中ではAPと略記)724と、マトリクス処理回路725とを備えている。画像並び替え回路720は、固体撮像素子1からの領域Bの全画素読み出しデータが偶数2ライン、奇数2ライン交互に出力されるため、画像イメージどおりに偶数、奇数、偶数、奇数に並べ替える機能を有する。ホワイトバランス処理回路721は、白い被写体がどのような光源下でも白く撮影されるように、固体撮像素子1のカラーフィルタによる色成分を正しい割合で補正することにより補正信号731を生成する。輝度信号生成回路722は、補正信号(RAWデータ)731から輝度信号(Y信号)732を生成する。色分離回路723は、補正信号(RAWデータ)731から色差信号(Cr/Cb信号)733を生成する。アパーチャ補正処理回路724は、輝度信号生成回路722が生成した輝度信号732に高周波数成分を足し合わせて解像度を高く見せる処理を行う。マトリクス処理回路725は、固体撮像素子1の分光特性や画像処理で崩れた色相バランスの調整を、色分離回路723が生成した色差信号733に対して行う。
【0046】
解像度変換部4は、画像の拡大及び縮小処理を行う。画像符号化部5は、記憶部102に記憶されるデータをJPEG等の所定の規格で圧縮変換することにより画像データを生成し、生成した画像データを記録保存部103に出力する。
【0047】
なお、ここでは画像並び替え回路720にて並べ替えたが、固体撮像素子1からの出力データを一旦記憶部102に保持する場合は、記憶部102への書き込みを図8の順に並べ替える機能を有してもよい。その場合、画像並び替え回路720は不要となる。
【0048】
また、ここでは画素混合方式を、AD変換回路202とV加算器203とラインメモリ204とで構成したが、特許文献3にあるようなカウンタ方式のAD変換回路であっても、同様に構成できる。本発明の特徴は、画素混合読み出しと全画素読み出しとを任意の位置から変更することにあり、AD変換方式やラインメモリの構成には依存しないで実現可能なものである。
【0049】
また、図3では領域A,Bのそれぞれの各色を水平4画素、垂直4画素で示しているが、当然これに限られるものではない。
【0050】
また、領域Aと領域Bとの読み出しは、領域Aを画素混合読み出し、領域Bを全画素読み出しとしたが、これに限定されない。
【0051】
また、画素混合読み出しは特許文献2で示されているような9画素混合であってもよい。
【0052】
図12に示すように、領域A,Bを垂直方向に配置してもかまわない。この場合の固体撮像素子1の駆動について、図13と図14〜図19とを用いて説明する。ただし、図13において、領域Aと領域Bとの間の領域Cは省略する。
【0053】
まず、領域Bの転送について説明する。図14の水平期間2B’では、垂直転送パルスに同期して、AD変換回路202によってV0行の画素信号がAD変換される(AD0部)。V0行の全画素のAD変換が完了すると、ラインメモリ204がクリアされた後(CLR部)、AD変換結果はラインメモリ204へ転送される(MEM部)。
【0054】
続く、図15の水平期間1Bでは、垂直転送パルスに同期して、V1行の画素信号がAD変換される(AD1部)。V1行の全画素のAD変換が完了すると、ラインメモリ204がクリアされた後(CLR部)、AD変換結果はラインメモリ204へ転送される(MEM部)。同時にラインメモリ204内のV0行の画素信号データが水平転送され、H加算器207へ入力され入力信号をそのまま出力する。この動作により、全画素データV0行が出力される。
【0055】
続く、図16の水平期間2Bは水平期間1Bと同じ動作が繰り返され、V2行のAD変換、及びV1行の水平出力が実施される。
【0056】
次に、領域Aの転送について説明する。図17の水平期間2A’では、垂直転送パルスに同期して、AD変換回路202によってV4行の画素信号がAD変換される(AD4部)。V4行の全画素のAD変換が完了すると、ラインメモリ204がクリアされた後(CLR部)、AD変換結果はラインメモリ204へ転送される(MEM部)。
【0057】
続く、図18の水平期間1Aでは、垂直転送パルスに同期して、V5行の画素信号がAD変換される(AD5部)。V5行の全画素のAD変換が完了すると、V5行のAD変換結果はラインメモリ204内部へ転送されるが、クリアされていないためV4行とV5行とデータ加算されることとなる(MEM部)。
【0058】
続く、図19の水平期間2Aでは、垂直転送パルスに同期して、V6行の画素信号がAD変換される(AD6部)。このとき、CLR動作は全領域のラインメモリ204に対して施される。同時にラインメモリ204内のV4行とV5行との画素混合信号データが水平転送され、H加算器207へ入力される。H加算器207は、水平転送パルスカウンタに則りH加算制御信号として‘H’を出力し、全画素信号については2画素毎に加算しながら、固体撮像素子1から出力する。この動作により、画素混合信号が出力される。
【0059】
以下繰り返すことで、領域Aと領域Bとの画素混合データと全画素データのR,G,g,B全色を得ることができる。
【0060】
上記のとおり、V駆動制御部209は垂直駆動回路205に対して、領域Bのライン時、毎行変更し、領域Aのライン時は偶数行、奇数行をそれぞれ2回ずつ繰り返し変更する制御を行い、ラインメモリ204のクリア制御は領域Aについては2水平期間毎に、領域Bについては毎水平期間クリアする制御を行う。
【0061】
H加算制御部208は、領域Aについては2水平期間毎にH加算制御信号として‘H’を出力し、H加算器207にて画素加算を制御し、領域BについてはH加算制御信号として‘L’を出力し、加算動作せず、そのまま出力する。
【0062】
領域Cの画素信号についてはH加算器207から出力しなくてもよいし、出力した場合、カメラ信号処理部3で破棄してもよい。
【0063】
《実施形態2》
図20に、実施形態2のブロック図を示す。図20に示すように新たに領域指定部210を備える。領域指定部210は、例えば全画素読み出し側の領域Dを指定する。
【0064】
領域Dの指定により、V駆動制御部209は領域Dに該当しないV0、1、6、7行目の時はAD変換及びラインメモリ転送を行わない。また、図21及び図22に示すとおり、水平駆動回路206は通常はHB0からカウントするが(図21)、指定領域読み出し時は指定されたカウント値HB2からカウントし、HB2に該当する画素から読み出す(図22)。
【0065】
以上の構成にすることで、全画素読み出しより高速に読み出すことが可能である。
【0066】
なお、領域指定部210は固体撮像素子1側に配置したが、図1の制御部2に内包してもよい。
【0067】
また、図23に示すように動体検知部211を備えてもよい。動体検知については種々先行例があるが、例えば動画符号化(MPEG)で使用されているフレーム間差分による動き検出を用いて動きが大きいところを領域指定とする。
【0068】
図24のフローチャートを用いて動作を説明する。開始時、任意の初期領域Dを設定する(S101)と同時に取得フレーム数カウンタを初期化する(S102)。まず全体の被写体を記録する領域Aの第nフレーム画像と第n+1画像とを取得する(S103,S104)。第n+1と第nとの画像のフレーム間差分を取得し(S105)、差分最大領域Dnewを取得する(S106)。差分が全くなかったり、初期設定領域Dとの間に差分がなかったりする場合は領域を更新せず、異なる場合には更新する(S107,S108)。取得フレーム数カウンタを更新し(S109)、動体検知が終了するまで繰り返される。
【0069】
また、図25に示すように人物認識部212を備えてもよい。人物認識についても種々先行例があるが、例えば顔検出による特徴抽出機能を使用し、取得特徴を保持しておき、以降顔検出の度に取得しておいた特徴と比較し合致した場合、領域を更新する。
【0070】
以上の構成にすることで、使用者が選択せずとも自動で領域を指定することが可能になる。
【0071】
《実施形態3》
図26に、実施形態3のブロック図を示す。図26に示すように新たに、第2垂直駆動回路215、第2水平駆動回路216、第2H加算器217、第2H加算制御部218、第2V駆動制御部219を有する。
【0072】
第2垂直駆動回路215、第2水平駆動回路216、第2H加算器217、第2H加算制御部218、第2V駆動制御部219にて領域Bの駆動を制御することで、領域Aと同時に読み出すことが可能になる。読み出しタイミングは図4、図5及び図6の領域A、領域Bを各々独立タイミングで駆動する。
【0073】
《実施形態4》
図27に、実施形態4のブロック図を示す。図27の撮像装置において、画像符号化部5は動体検知部211の情報に基づいて画像符号化する対象画像を切り替える。
【0074】
図28のフローチャートを用いて動作を説明する。開始時、領域Aを画像符号化対象と設定する(S201)と同時に取得フレーム数カウンタを初期化する(S202)。まず全体の被写体を記録する領域Aの第nフレーム画像と第n+1画像とを取得する(S203,204)。第n+1と第nとの画像のフレーム間差分を取得し(S205)、差分最大領域Dnewを取得する(S206)。差分が任意の設定閾値以上の場合(S207)、画像符号化対象を領域Bの画像に切り替える(S208)。差分が全くなく閾値以下の場合、領域Aを記録する(S210)。取得フレーム数カウンタを更新し(S209)、動体検知が終了するまで繰り返される。
【0075】
以上の構成とすることで、画像符号化部5が1つのシステムでも、注視したい画像を自動で記録することが可能である。
【0076】
なお、上記では動体検知としたが、人物認識部212と置き換えてもよい。また、使用者が任意で記録画像を切り替えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、一体型ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、ムービーカメラ等のモバイルカメラに適用できる撮像装置であって、読み出しの画素数を減数しても高解像度の画像を取得することができる撮像装置として、特に、監視カメラ、WEBカメラ等のネットワークカメラや、車載カメラ、ドライブレコーダ等の自動車搭載用カメラに利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 固体撮像素子(イメージセンサ)
2 制御部
3 カメラ信号処理部
4 解像度変換部
5 画像符号化部
100 画像信号処理部
101 撮像レンズ部
102 記憶部
103 記録保存部
201 画素
202 AD変換回路
203 V加算器
204 ラインメモリ
205 垂直駆動回路
206 水平駆動回路
207 H加算器
208 H加算制御部
209 V駆動制御部
210 領域指定部
211 動体検知部
212 人物認識部
215 第2垂直駆動回路
216 第2水平駆動回路
217 第2H加算器
218 第2H加算制御部
219 第2V駆動制御部
720 画像並び替え回路
721 ホワイトバランス処理回路
722 輝度信号生成回路
723 色分離回路
724 アパーチャ補正処理回路
725 マトリクス処理回路
731 補正信号
732 輝度信号
733 色差信号
1011 イメージサークル
2081 領域判定部
2082 水平カウンタ部
2083 垂直カウンタ部
2084 H加算制御信号
2085 H加算停止信号
2091 領域判定部
2093 垂直カウンタ部
2094 V駆動制御信号
2095 領域AのAD変換回路及びラインメモリの制御信号
2096 領域BのAD変換回路及びラインメモリの制御信号
A 任意駆動の領域
B 任意駆動の領域
C 光学像重複部
D 指定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの受光面を持つ複数の画素を備えたイメージセンサと、
1つの被写体の光学像を少なくとも2つ結像する光学系を備えた撮像レンズ部とを備え、
前記イメージセンサの受光面を少なくとも2つに分け、前記撮像レンズ部からの光学像を前記各々の受光面に結像し、
前記各々の受光面の画像データの読み出し駆動を各々個別に切り替える読み出し駆動部を更に備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置において、
前記読み出し駆動部は、画素混合読み出しと全画素読み出しとを切り替えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像装置において、
前記読み出し駆動部は、水平加算制御部及び垂直駆動制御部を有し、
前記水平加算制御部は、垂直カウンタ部及び水平カウンタ部と、これらのカウンタ部からの出力カウント値を受け取る領域判定部とを有し、
前記垂直駆動制御部は、垂直カウンタと、その出力カウント値を受け取る領域判定部とを有し、
前記両領域判定部が指定する前記受光面の領域を表す位置情報に従って駆動を切り替えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記読み出し駆動部を前記イメージセンサ内に備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記全画素読み出しの読み出し領域を指定する手段を更に備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の撮像装置において、
前記読み出し領域指定は動体検知の情報に基づいて指定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項5記載の撮像装置において、
前記読み出し領域指定は人物認識情報に基づいて指定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記読み出し駆動部を読み出し駆動別に持つことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の撮像装置において、
カメラ信号処理部と、解像度変換部と、画像符号化部とを更に備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項9記載の撮像装置において、
前記画像符号化部は、前記各々の受光面の画像データを個別に記録することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項9記載の撮像装置において、
前記画像符号化部は、前記動体検知の情報に基づいて、記録する前記受光面の画像を選択することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項9記載の撮像装置において、
前記画像符号化部は、前記人物認識情報に基づいて、記録する前記受光面の画像を選択することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−105059(P2012−105059A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251767(P2010−251767)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】