説明

撮像装置

【課題】撮像装置の表面を清浄にする。
【解決手段】撮像装置であって、被写体像を撮像する撮像部と、撮像部を収容する筐体と、筐体に配され、筐体に紫外線を照射する紫外線光源とを備える。上記撮像装置において、筐体における紫外線が照射される領域には、光触媒がコーティングされていてもよい。また、上記撮像装置において、紫外線光源は、筐体における他の部分よりも突出した突出部に配されてもよい。更に、上記撮像装置において、突出部は、被写体像を目視するファインダであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置は素手で保持して操作する場合が多く、外装が汚れやすい。そこで、筐体等を形成する樹脂に抗菌剤を含有させることが提案されている(特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開平09−146169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
抗菌剤は、皮脂の付着等、外見に影響する汚れに関しては何等対策にならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決すべく、本発明の一態様として、被写体像を撮像する撮像部と、撮像部を収容する筐体と、筐体に配され、筐体に紫外線を照射する紫外線光源とを備えた撮像装置が提供される。
【0005】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これら特徴群のサブコンビネーションも発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一眼レフカメラ300の模式的断面図である。
【図2】カメラボディ100の斜視図である。
【図3】カメラボディ100の斜視図である。
【図4】紫外線照射部170の部分断面図である。
【図5】紫外線照射部170の部分断面図である。
【図6】アイピースシャッタ166の見え掛かりを示す図である。
【図7】紫外線照射部170の制御手順を示す流れ図である。
【図8】紫外線照射部170の制御手順を示す流れ図である。
【図9】カメラボディ100の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、撮像装置である一眼レフカメラ300の模式的断面図である。一眼レフカメラ300は、カメラボディ100およびレンズユニット200を含む。
【0009】
レンズユニット200は、固定筒210、レンズ220、230、240およびレンズマウント250を有する。固定筒210の一端は、レンズマウント250を介して、カメラボディ100のボディマウント350に結合される。レンズマウント250およびボディマウント350の結合は特定の操作により解除できる。これにより、カメラボディ100には、同じ規格のレンズマウント250を有する他のレンズユニット200を装着できる。
【0010】
レンズユニット200において、レンズ220は、固定筒210から直接に支持される。他のレンズ230、240は、固定筒210から支持されつつも、固定筒210対して光軸X方向に移動する。これにより、レンズユニット200の光学系は変倍または合焦する。
【0011】
例えば、レンズ230は、レンズユニット200の倍率を変化させる場合に移動するズームレンズのひとつとなる。また、レンズ240は、レンズユニット200の焦点位置を変化させる場合に移動するフォーカシングレンズのひとつとなる。
【0012】
カメラボディ100は、レンズユニット200に対してボディマウント350の背後にミラーユニット380を備える。ミラーユニット380の下方には合焦部360が配される。ミラーユニット380の上方にはフォーカシングスクリーン330が配される。
【0013】
フォーカシングスクリーン330の更に上方にはペンタプリズム340が、ペンタプリズム340の後方にはファインダ光学系164がそれぞれ配される。ペンタプリズム340およびファインダ光学系164は、カメラボディ100の筐体110から突出した共通のハウジング部161に収容される。
【0014】
ハウジング部161には、測光センサ342も収容される。ファインダ光学系164の後端は、ユーザがファインダ160をのぞき込む接眼窓162としてハウジング部161の後端に露出する。なお、ユーザが接眼窓162をのぞきやすいように、ハウジング部161は、筐体110の背面よりも更に後方に突出している。
【0015】
ミラーユニット380の後方には、フォーカルプレンシャッタ370、ローパスフィルタ322および撮像素子320が順次配される。撮像素子320の更に背後には、制御部312および画像処理部314が実装された主基板310が配される。更に、カメラボディ100の背面には表示部150が配される。表示部150は、例えば液晶表示板により形成できる。
【0016】
ミラーユニット380は、サブミラー383およびメインミラー384を含む。サブミラー383およびメインミラー384は、それぞれ、回動軸385、386により軸支された保持枠381、382に保持される。サブミラー383の回動軸385は、メインミラー384の保持枠382に支持される。よって、サブミラー383は、メインミラー384に対して回動する。
【0017】
メインミラー384は、レンズユニット200を通じて入射した被写体光束上に斜めに配される状態と被写体光束の光路から退避した状態との間を回動する。メインミラー384が被写体光束上に位置する場合、被写体光束の多くは、メインミラー384に反射されてフォーカシングスクリーン330に導かれる。フォーカシングスクリーン330は、撮像素子320と光学的に共役な位置に配され、レンズユニット200の光学系が合焦した場合に被写体像を形成する。
【0018】
フォーカシングスクリーン330に形成された被写体像は、ペンタプリズム340およびファインダ光学系164を通じて接眼窓162から観察される。ペンタプリズム340を通じた被写体像は、接眼窓162から正立正像として観察される。
【0019】
ペンタプリズム340から射出された光束の一部は、測光センサ342に入射する。測光センサ342は、被写体輝度を検出して、検出結果を制御部312に参照させる。これにより、制御部312は、撮影する場合の露光条件を算出する。
【0020】
メインミラー384は、入射光束の一部を透過するハーフミラー領域を有する。ハーフミラー領域においてメインミラー384を透過した入射光束は、サブミラー383で反射されて合焦部360に入射する。合焦部360は、合焦センサ362により、レンズユニット200を合焦させる場合のレンズ230の目標位置を決定できる。
【0021】
上記のような一眼レフカメラ300においては、レリーズボタンが半押しされると、合焦センサ362および測光センサ342が有効になり撮影条件が算出される。次いで、レリーズボタンが全押しされると、メインミラー384およびサブミラー383が退避位置に移動して、フォーカルプレンシャッタ370が開く。
【0022】
これにより、撮像素子320が被写体光束に露光され、被写体に応じた電気信号が生成される。撮像素子320から出力された電気信号は画像処理部314において画像データに変換される。制御部312は、これら撮影に係る一連の動作に加え、カメラボディ100に係る動作前半を包括的に制御する。
【0023】
なお、カメラボディ100は、筐体110の底部近傍に加速度センサ112を備える。加速度センサ112は、カメラボディ100に生じた変位、振動、衝撃等を検出する。よって、制御部312は、加速度センサ112の出力を参照することにより、カメラボディ100に対してユーザが何らかの操作をしたことを検知することができる。
【0024】
図2は、カメラボディ100の表面を背面側から見上げた様子を示す斜視図である。カメラボディ100は、筐体110の背面には、ダイヤル120、押しボタン130、レバー140、表示部150が配される。また、筐体110の上部に配されたハウジング部161には、接眼窓162が配される。
【0025】
更に、カメラボディ100は、アイセンサ163を接眼窓162の近傍に備える。アイセンサ163は、ユーザの顔が接近したことを検出して制御部312に通知する。これにより、制御部312は、ユーザが接眼窓162をのぞき込んでいる間は、表示部150の表示を消して電力を節約する。
【0026】
また更に、カメラボディ100は、ハウジング部161の後端部下面に、複数の照射窓171、173、175を含む紫外線照射部170を備える。ハウジング部161が筐体110の後方に突出しているので、照射窓171、173、175の各々も、筐体110の背面よりも後方に位置している。これにより、照射窓171、173、175の各々も、筐体110の背面よりも更に後方に位置している。
【0027】
カメラボディ100において、ダイヤル120、押しボタン130およびレバー140は、ユーザが回転あるいは押し込む操作をする被操作部であり、ユーザが触れる機会が多い。また、接眼窓162は、これをのぞく場合にユーザの瞼等が触れることがある。更に、表示部150は、接眼窓162をのぞくユーザの鼻が触れる。このため、カメラボディ100の背面各部には、手垢、皮脂等が付着しやすい。
【0028】
図3は、カメラボディ100を背面側から見上げた様子を示す斜視図であり、紫外線照射部170が点灯された状態を示す。図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0029】
図中左側の照射窓171から射出された紫外線は、筐体110の背面において、表示部150の図中左側に位置する押しボタン130に向かって照射される。上記のように、照射窓171は、筐体110背面よりも更に後方に位置しているので、照射された紫外線は、押しボタン130の押圧面に照射される。
【0030】
図中中央の紫外線照射窓173から射出された紫外線は、筐体110の背面において、表示部150に向かって照射される。既に説明した通り、上記のように、照射窓173は、筐体110背面よりも更に後方に位置しているので、照射窓173から射出された紫外線は、表示部150の表面に付着した皮脂等に対して照射される。
【0031】
図中右側の紫外線照射窓175から射出された紫外線は、筐体110の背面において、表示部150の図中右側に位置するダイヤル120、押しボタン130およびレバー140等に向かって照射される。上記のように、照射窓175は筐体110背面よりも更に後方に位置しているので、照射された紫外線は、筐体110の表面から多少突出したダイヤル120、押しボタン130およびレバー140の表面にも照射される。
【0032】
カメラボディ100において、照射窓171、173、175から射出された紫外線を照射される領域では、筐体110、ダイヤル120、押しボタン130、レバー140およびハウジング部161の表面が、酸化チタン等の光触媒層により被覆されている。また、表示部150および接眼窓162の表面も、透明な光触媒層により被覆されている。
【0033】
なお、下地となる部品に耐熱性がある場合は、チタンアルコキシド、チタニアゾル等を高温で付着させることにより透明で強固な酸化チタン層を形成できる。また、下地となる部品が樹脂等の場合は、過酸化チタン溶液の塗布および乾燥により、略常温で酸化チタン層を形成できる。
【0034】
酸化チタン等の光触媒は、照射された紫外線を吸収して強い酸化力を有する正孔を生成する。これにより、光触媒層の表面においては有機物が二酸化炭素と水に酸化分解される。従って、光触媒層により被覆された筐体110、ダイヤル120、押しボタン130、レバー140および表示部150は、紫外線の照射を受けることにより汚れを分解し、更に殺菌する。ただし、光触媒層の下地が酸化力の影響を受ける場合は、光触媒層と下地層の間にバッファ層を設けることが好ましい。
【0035】
なお、光触媒は、自然光(太陽光)に含まれる紫外線を照射された場合にも光触媒としての作用を発揮する。しかしながら、使用していないカメラボディ100は、ケース、保管庫等に収容されるので、使用していないカメラボディ100に自然光が照射される機会は少ない。よって、自然光による紫外線照射を当てにして光触媒層を設けても、汚れが十分に分解されない場合がある。
【0036】
また、カメラボディ100において、照射窓171、173、175から射出された紫外線を照射される領域において、筐体110、ダイヤル120、押しボタン130、レバー140およびハウジング部161の表面に、ブラックライトインク、蓄光インク等、紫外線照射によりユーザが視認できる印刷材料で形成したレタリング、アイコン等を設けてもよい。ブラックライトインクは、照射された紫外線を、可視帯域に変換して反射する。また、蓄光インクは、照射された紫外線のエネルギを蓄積して蛍光を発生する。これにより、紫外線照射部170を照明部としても使用できる。
【0037】
図4は、カメラボディ100における紫外線照射部170付近の部分断面図である。紫外線照射部170は、ハウジング部161の内部においてファインダ光学系164の下方に配された、発光ダイオード172および光学部品174、176を含む。なお、ハウジング部161の内部には、接眼窓162を光学的に封鎖するアイピースシャッタ166も配される。
【0038】
発光ダイオード172は、駆動電流を供給された場合に、カメラボディ100の後方に向かって略水平に紫外線を射出する。発光ダイオード172の点灯または消灯は、後述するように、制御部312により制御される。光学部品174、176は、紫外線に対して光学的に透明な材料、例えばポリメチルメタアクリレートにより形成され、発光ダイオード172から射出された紫外線の光路上に順次配される。
【0039】
発光ダイオード172に隣接して配される光学部品174は、紫外線の光軸に対して下向きに傾斜した半透明の反射面と、ハウジング部161の下面を貫通して照射窓173を形成する下端面とを有する。よって、発光ダイオード172から射出された紫外線は、光学部品174において一部が反射され、照射窓173を通じて筐体110の背面に向かって照射される。
【0040】
なお、図4に示した状態では、アイピースシャッタ166の一部が、一対の光学部品174、176の間に位置している。よって、光学部品174を透過した紫外線が光学部品176に到達することはない。このように、アイピースシャッタ166が開いている状態では、接眼窓162に紫外線が照射されることはない。
【0041】
上記のように、図4に示した状態で発光ダイオード172を点灯させた場合、図中に点線で示すように、紫外線は筐体110の表面に照射される。よって、筐体110、ダイヤル120、押しボタン130、レバー140の表面にブラックライトインクで形成したレタリング、アイコン等を照明する目的で発光ダイオード172を点灯させる照明モードでは、図4に示した通り、アイピースシャッタ166を開いた状態で発光ダイオード172を点灯してもよい。
【0042】
図5は、カメラボディ100における紫外線照射部170付近の部分断面図である。図4と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0043】
図示の状態では、アイピースシャッタ166が閉じた状態で発光ダイオード172が点灯している。この場合、発光ダイオード172から射出された紫外線は、まず、光学部品174において一部が反射され、照射窓173を通じて筐体110の背面に向かって照射される。
【0044】
また、接眼窓162を遮蔽したアイピースシャッタ166は、光学部品174、176の間から退避しているので、光学部品174を透過して直進した紫外線は、光学部品176に到達する。光学部品176は、紫外線の光軸に対して上向きに傾斜した全反射面を有する。よって、光学部品174を透過して光学部品176に到達した紫外線は、接眼窓162に向かって照射される。
【0045】
こうして、発光ダイオード172が発生した紫外線は、筐体110の背面と、接眼窓162の双方に照射される。これにより、筐体110背面のダイヤル120、押しボタン130、レバー140等と、接眼窓162とに付着したユーザの皮脂等が、紫外線および光触媒の作用により分解される。
【0046】
このように、カメラボディ100の汚れを分解する目的で発光ダイオード172を発光させる防汚モードでは、接眼窓162がアイピースシャッタ166により閉鎖される。また、防汚作用を向上させる目的で、発光ダイオード172による紫外線の照射強度をより高くしてもよい。
【0047】
図6は、接眼窓162に対して紫外線を照射している場合の、アイピースシャッタ166の見え掛かりを示す図である。図示のように、接眼窓162を通じてファインダ光学系164を覗き込もうとした場合、接眼窓162のすぐ内側は、アイピースシャッタ166により封鎖される。
【0048】
更に、接眼窓162を封鎖したアイピースシャッタ166には、警告を意味する警告表示167が設けられている。これにより、裏側から紫外線を照射している接眼窓162をユーザが覗き込むことを防止している。警告表示167は、ブラックライトインクの印刷により形成してもよい。これにより、紫外線を照射せずに、通常のアイピースシャッタとして用いる場合には警告表示167が現れない。
【0049】
なお、警告表示の形態は、上記のアイピースシャッタ166を用いたものに限られない。即ち、発光ダイオード172が紫外線を照射中に点灯または点滅するパイロットランプ等を設けてもよいし、表示部150に、発光ダイオード172が紫外線を照射中である旨を表示させてもよい。
【0050】
更に、加速度センサ112によりカメラボディ100に対するユーザの操作が検出された場合、発光ダイオード172の点灯状態を、防汚モードから照明モードに切り替えてもよい。また、アイセンサ163によりユーザの目がファインダに接近したことが検出された場合に、発光ダイオード172の点灯状態を、防汚モードから照明モードに切り替えてもよい。
【0051】
図7は、制御部312による紫外線照射部170の制御手順を示す流れ図である。図示の手順は、カメラボディ100の電源スイッチがオンになった時点で実行される。
【0052】
カメラボディ100の電源がオンになると(ステップS101)、制御部312は、カメラボディ100に対して照明点灯の指示があるか否かを監視し(ステップS102)、照明の点灯が指示されるまで待機する(ステップS102:NO)。
【0053】
照明点灯が指示された場合(ステップS102:YES)、制御部312は、発光ダイオード172を照明モードで点灯させる(ステップS103)。照明モードでは、発光ダイオード172の発光強度は低く、駆動電流による電力消費も然程大きくはない。
【0054】
なお、照明モードは、カメラボディ100の表面に配されたレタリング、アイコン等を照明する。よって照明モードを指示したユーザは、カメラボディ100の表面を見ており、ファインダをのぞいていないと判断できる。そこで、制御部312は、アイセンサ163の出力を参照して、ユーザが接眼窓162をのぞいていないことを確認する(ステップS104)。
【0055】
ここで、アイセンサ163がユーザの目を検出した場合(ステップS:YES)、ユーザの目に紫外線が入射することを防止する目的で、制御部312は、発光ダイオード172を消灯する(ステップS108)。一方、アイセンサ163がユーザの目を検出しなかった場合(ステップS104:YES)、制御部312は、カメラボディ100が搭載するバッテリの残り容量を調べる(ステップS105)。
【0056】
バッテリの残り容量が少ない場合(ステップS105:NO)、電力を節約する目的で、制御部312は発光ダイオード172を消灯させる。一方、バッテリの残り容量が十分にある場合(ステップS105:YES)、制御部312は、発光ダイオード172を防汚モードで発光させる。
【0057】
ここで、図5に示したように、カメラボディ100にアイピースシャッタ166が設けられている場合は、アイピースシャッタ166を閉鎖する。また、発光ダイオード172が防汚モードで発光していることを警告する他の機能を有する場合は、その警告機能を有効にする。
【0058】
続いて、制御部312は、加速度センサ112の出力を参照して、ユーザのカメラボディ100に対する操作の発生を監視する(ステップS107)。また、制御部312は、発光ダイオード172の点灯時間を計測する(ステップS108)。ユーザの操作が生じていない場合(ステップS107:NO)、および、点灯時間が経過していない場合(ステップS108:NO)、制御部312は、発光ダイオード172の点灯状態を維持する。
【0059】
しかしながら、カメラボディ100に対してユーザが何らかの操作をしたことが加速度センサ112により検出された場合(ステップS107:YES)、制御部312は、発光ダイオード172を消灯する(ステップS109)。また、点灯時間が経過した場合(ステップS108:YES)、制御部312は、発光ダイオード172を消灯する(ステップS109)。
【0060】
これにより、ユーザに対して、特にユーザの目に対して紫外線が照射されることが防止される。また、発光ダイオード172が長時間にわたって点灯して電力を消耗することが防止される。こうして、制御部312による発光ダイオード172に対する制御手順が完了する。
【0061】
なお、発光ダイオード172が防汚モードで点灯した後に、ステップS104においてユーザの目が検出された場合(ステップS104:NO)、または、ステップS105においてバッテリ残量が少なくなったことが検出された場合(ステップS105:NO)であって、点灯時間がまだ経過していない場合(ステップS108:NO)、制御部312は、発光ダイオード172を消灯させるのではなく、照明モードまで減光させてもよい。また、ステップS105においてバッテリ残量が少なくなったことが検出された場合(ステップS105:NO)、制御部312は、バッテリ残量に応じて発光ダイオード172の照射強度を変化させてもよい。
【0062】
図8は、制御部312による紫外線照射部170の制御手順を示す流れ図である。図示の手順は、カメラボディ100の電源スイッチがオフになった時点で実行される。
【0063】
カメラボディ100の電源がオフになると(ステップS201)、制御部312は、電源がオフにされた時点から、予め定められた待機時間の計測を開始して(ステップS202)、当該待機時間が経過するまで待機する(ステップS202:NO)。待機時間内に、カメラボディ100に対する操作が生じた場合は、再びオフにされるのを待って、待機時間の計測を改めて開始する。
【0064】
カメラボディ100に対する操作が無いままに待機時間が経過した場合(ステップS202:YES)、制御部312は、カメラボディ100が搭載するバッテリの残り容量を調べる(ステップS203)。バッテリの残り容量が少ない場合(ステップS203:NO)、制御部312は制御を終了する。よって、カメラボディ100は、内部的にも電源を遮断される。
【0065】
一方、バッテリの残り容量が十分にある場合(ステップS203:YES)、制御部312は、発光ダイオード172を防汚モードで発光させる。ここで、図5に示したように、カメラボディ100にアイピースシャッタ166が設けられている場合は、アイピースシャッタ166を閉鎖する。また、発光ダイオード172が防汚モードで発光していることを警告する他の機能を有する場合は、その警告機能を有効にする。
【0066】
続いて、制御部312は、加速度センサ112の出力を参照して、ユーザのカメラボディ100に対する操作の発生を監視する(ステップS205)。また、制御部312は、発光ダイオード172の点灯時間を計測する(ステップS206)。ユーザの操作が生じていない場合(ステップS205:NO)、および、点灯時間が経過していない場合(ステップS206:NO)、制御部312は発光ダイオード172の点灯状態を維持する。
【0067】
しかしながら、カメラボディ100に対してユーザが何らかの操作をしたことが加速度センサ112により検出された場合(ステップS205:YES)、制御部312は、発光ダイオード172を消灯する(ステップS207)。また、点灯時間が経過した場合(ステップS206:YES)、制御部312は、発光ダイオード172を消灯する(ステップS207)。
【0068】
これにより、使用によりカメラボディ100に付着した皮脂等の汚れを、使用直後に除去することができる。また、発光ダイオードが防汚モードで点灯中にカメラボディ100の使用が再開された場合は、ユーザに対して紫外線が照射されることが防止される。こうして、制御部312による発光ダイオード172に対する制御手順が完了する。
【0069】
なお、制御部312は、ステップS203において検出したバッテリの残量に応じて、残量が少ないほど発光ダイオード172の発光強度を低くし、発光時間を短くしてもよい。これにより、次にカメラボディ100を使用する場合に、発光ダイオードの点灯により電力が枯渇していることを防止できる。
【0070】
また、制御部312は、電源がオフにされる前にカメラボディ100がオンになっていた時間を参照して、電源がオンになっていた時間が長いほど紫外線の照射強度を強く、照射時間を長くするように制御してもよい。これにより、カメラボディ100の使用時間に応じた防汚作用が得られる。
【0071】
図9は、カメラボディ100を前面側から見下ろした様子を示す斜視図であり、筐体110の前面を見易くする目的で、レンズユニットをはずした状態で描かれる。他の図と同じ要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0072】
カメラボディ100は、筐体110の前面にも、ダイヤル120、押しボタン130、レバー140等の操作部材を備える。これらダイヤル120、押しボタン130、レバー140もユーザの手で操作されるので有機物により汚染される。
【0073】
一方、カメラボディ100は、前面にも、筐体110の前面から更に前方に突出した部分を備える。図示の例では、図中左側において筐体110から前方に突出するグリップ部180が、筐体110よりも前方に突出している。また、カメラボディ100において、筐体110の上部に突出するハウジング部161の前側に位置する発光部カバー190も、筐体110から更に前方に突出している。
【0074】
よって、グリップ部180の側面および発光部カバー190の下面にも照射窓181、191を配置して、筐体110およびその表面に配されたダイヤル120、押しボタン130、レバー140に紫外線を照射できる。なお、紫外線光源としての発光ダイオード172は、図4および図5に示したものと別に設けてもよいし、発光ダイオード172が射出した紫外線を、ガラス光ファイバ等の光導波路により、照射窓181、191に導いてもよい。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0076】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0077】
100 カメラボディ、110 筐体、112 加速度センサ、120 ダイヤル、130 押しボタン、140 レバー、150 表示部、160 ファインダ、161 ハウジング部、162 接眼窓、163 アイセンサ、164 ファインダ光学系、166 アイピースシャッタ、167 警告表示、170 紫外線照射部、171、173、175、181、191 照射窓、172 発光ダイオード、174、176 光学部品、180 グリップ部、190 発光部カバー、200 レンズユニット、210 固定筒、220、230、240 レンズ、250 レンズマウント、300 一眼レフカメラ、310 主基板、312 制御部、314 画像処理部、320 撮像素子、322 ローパスフィルタ、330 フォーカシングスクリーン、340 ペンタプリズム、342 測光センサ、350 ボディマウント、360 合焦部、362 合焦センサ、370 シャッタ、380 ミラーユニット、381、382 保持枠、383 サブミラー、384 メインミラー、385、386 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像部と、
前記撮像部を収容する筐体と、
前記筐体に配され、前記筐体に紫外線を照射する紫外線光源と
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記筐体における前記紫外線が照射される領域には、光触媒がコーティングされている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記紫外線光源は、前記筐体における他の部分よりも突出した突出部に配される請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記突出部は、被写体像を目視するファインダである請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ファインダの近傍に、画像を表示する画像表示部をさらに備え、
前記紫外線光源は、前記画像表示部に紫外線を照射する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記紫外線光源は、前記ファインダにも紫外線を照射する請求項4または5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記ファインダに紫外線を照射する場合に、前記ファインダを目視した状態で認識できる警告を表示する警告表示部をさらに備える請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記筐体における紫外線が照射される領域には、紫外線の照射により蛍光または蓄光を発する印刷が設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記筐体は、ユーザによって握られるグリップ部を有し、
前記紫外線光源は、前記グリップ部に紫外線を照射する請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
ユーザによる操作を検知した場合に、前記紫外線光源から照射する紫外線の光量を減少させるまたは照射を停止させる光量制御部をさらに備える請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像部を駆動するバッテリの残量を取得し、残量が少ないほど紫外線の光量を減らす光量制御部を有する請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
直前の電源投入時間が長いほど紫外線の光量を増やす光量制御部を有する請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−220534(P2012−220534A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82902(P2011−82902)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】