説明

撮影制御システム、制御装置及び撮影装置の制御方法、並びにプログラム

【課題】パン・チルト駆動機構、更にはローテーション駆動機構を持つ撮像装置を制御する際に、所望の撮像方向にわかりやすく操作できるようにする。
【解決手段】クライアント装置130の表示装置170には、ネットワークカメラ110から受信した撮像画像が表示されるエリア400と、エリア400の傍にパン・チルト操作部及びローテーション操作部が表示される。クライアント装置130は、ローテーション駆動機構の駆動に応じて、パン移動方向を示す矢印410、チルト移動方向を示す矢印420を回転させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン・チルト駆動機構、更にはローテーション駆動機構を持つ撮像装置を制御するのに好適な撮影制御システム、撮像装置の制御装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークカメラと、ネットワークカメラを制御するクライアント装置とを有する撮影制御システムがある。撮影制御システムでは、クライアント装置での操作により、ネットワークカメラのパン・チルト駆動機構を制御することができる。また、カメラそのもの或いはカメラが有する撮像ユニットを光軸まわりに回転させる光軸回転駆動機構(ローテーション駆動機構)を制御することができる。ネットワークカメラを壁掛設置した場合には(図3の304を参照)、パン・チルトを所望の撮像方向に合わせたときに、クライアント装置の表示装置に表示される撮像画像で被写体が斜めの状態となることがあるが、ローテーション駆動機構を持つことにより、これを正立状態に補正することができる。
【0003】
例えば特許文献1では、雲台のパン駆動およびチルト駆動、ならびに撮像装置または撮像素子を光軸回りに回転させる光軸回転駆動を可能とする技術が開示されている。そして、特許文献1では、パン駆動およびチルト駆動を制御する雲台操作モードと、光軸回転駆動を制御する光軸回転操作モードとが選択可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−114503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示された従来技術では、雲台のパン駆動およびチルト駆動と、撮像装置または撮像素子のローテーション駆動との制御に際する煩雑な操作を解消して、操作性の向上を図ることを目的として、パン・チルト駆動とローテーション駆動とを別々に制御するようにしたものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1には、パン・チルト駆動機構及びローテーション駆動機構を持つネットワークカメラにおいて、撮像画像を見ながら所望のパン・チルト角度、ローテーション角度に合わせる操作に関しては開示されていない。
【0007】
図10を参照して、ローテーション駆動機構を駆動させたときのパン移動方向及びチルト移動方向について説明を行う。図10(a)において、1000は撮像画像、1010はパン移動方向、1020はチルト移動方向を示す。ローテーション駆動機構がセンター角度(0度角度)にあるときには、図10(a)に示すようにパン移動方向1010は水平であり、チルト移動方向1020は垂直である。
【0008】
ところが、ローテーション駆動機構がセンター角度でなく、いずれかの方向に回転された状態になると、図10(b)に示すように、パン移動方向1010は水平方向でなくなり、ローテーション角度に応じてある角度を持った方向に移動する。同様に、チルト移動方向1020も垂直方向でなくなり、ローテーション角度に応じてある角度を持った方向に移動する。
【0009】
このようにローテーション駆動機構により、撮像画像を回転させることが可能となる。この状態では、パン駆動機構及びチルト駆動機構によるパン移動方向及びチルト移動方向がそれぞれ水平方向及び垂直方向ではなくなり、ローテーション角度に応じて斜め方向に変化することになる。この結果、パン、チルト、ローテーションの各駆動機構を使用して所望の撮像方向にセットしようとしたときに、パン・チルト駆動機構を動作させると、思った方向とは違う方向にカメラが動いてしまうことになる。特にローテーション角度が90度のときには、パン移動方向とチルト移動方向とが入れ変ってしまう。また、ローテーション角度が180度に近いときには、パン移動方向が左右反対方向、チルト移動方向が上下反対方向となってしまう。
【0010】
ここまで説明したように、パン・チルト駆動機構及びローテーション駆動機構を持つネットワークカメラにおいて撮像画像を見ながら所望の撮像方向に合わせようとしたときに、ユーザがパン移動方向やチルト移動方向を混乱してしまうおそれがある。例えば図10(b)に示す撮像画像1000で被写体が正立状態にあるような場合、パン移動方向及びチルト移動方向がそれぞれ水平方向及び垂直方向であると錯覚してしまうようなことが想定される。その結果、ユーザは思った方向にカメラを移動させることができずに、所望の撮像方向に合わせることができない、という問題があった。
【0011】
上述の特許文献1に開示された従来技術では、雲台のパン・チルト駆動と光軸回転駆動を別々に制御することにより、煩雑な操作を解消して、操作性の向上を図るようにしたものであるが、撮像画像を見ながら操作をする際の操作性に関しては言及されていない。
【0012】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、所望の撮像方向にわかりやすく操作できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の撮影制御システムは、撮像装置、及び、前記撮像装置を制御する制御手段を有する撮影制御システムであって、前記撮像装置は、パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段と、前記撮像装置そのもの或いは前記撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備え、前記制御手段は、前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、前記ローテーション駆動手段を操作するためのローテーション操作手段と、前記ローテーション駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向及び前記チルト駆動手段によるチルト移動方向を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ローテーション駆動手段の駆動に応じてパン移動方向及びチルト移動方向が表示されたり、チルト駆動手段の駆動に応じてパン移動方向が表示されたりするので、所望の撮像方向にわかりやすく操作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る撮影制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】パン・チルト駆動機構及びローテーション駆動機構を持つネットワークカメラを示す図である。
【図3】ネットワークカメラの設置状態を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態においてクライアント装置の表示装置に表示されるパン、チルト、ローテーション設定画面を説明する図である。
【図5】第1の実施形態においてクライアント装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態においてネットワークカメラが実行する処理を示すフローチャートである。
【図7】クライアント装置の表示装置に表示されるパン、チルト、ローテーション設定画面の他の例を説明する図である。
【図8】第2の実施形態においてクライアント装置の表示装置に表示されるパン、チルト設定画面を説明する図である。
【図9】第2の実施形態においてクライアント装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図10】ローテーション駆動機構を駆動させたときのパン移動方向及びチルト移動方向について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮影制御システムの構成を示すブロック図である。110は撮像装置(ネットワークカメラ)である。190はLAN等のネットワークである。130は制御手段であるクライアント装置であり、ネットワークカメラ110の設定(操作)、撮像画像の表示、録画を制御する。クライアント装置130には、入力装置150、表示装置170が接続されている。
【0017】
ネットワークカメラ110は、クライアント装置130との間でネットワーク190を介して通信を行い、受取ったコマンドに従ってCPU115により制御される。パン制御部112、チルト制御部113、ローテーション制御部114は、CPU115の指示に基づいてパン、チルト、ローテーションの各駆動機構を動作させて撮影部111の撮像方向を制御する。撮影部111により撮像された映像信号は、映像処理部116により映像信号処理されてメモリ117に一旦記憶される。また、映像処理部116により映像信号処理された撮像画像は、CPU115の制御の下、通信部118からネットワーク190を介してクライアント装置130に送信される。
【0018】
クライアント装置130は、CPU137の制御の下、ネットワークカメラ110から送信された撮像画像を通信部131で受信し、メモリ132に一旦記憶した後に映像表示制御部133に送り、表示装置170に表示する。更に、パン、チルト、ローテーションを所望の角度(位置)に制御するためのパン、チルト、ローテーション設定UI制御部136により表示装置170上に操作ボタン等のユーザインターフェースを表示するとともに、入力装置150よりパン、チルト、ローテーション駆動の操作を受け付ける。入力装置150より入力されたパン、チルト、ローテーション駆動の指示はパン、チルト、ローテーション設定UI制御部136に入力される。そして、CPU137の制御の下、通信部131からパン・チルト駆動機構及びローテーション駆動機構を制御するコマンドとしてネットワークカメラ110に送信される。
【0019】
図2は、パン・チルト駆動機構及びローテーション駆動機構を持つネットワークカメラ110を示す図である。図2(a)はカメラ110を側面側から見た図であり、パン駆動機構はボトムケース201とターンテーブル202で構成され、パン回転軸203を中心にターンテーブル202が回転する構造である。図2(b)はカメラ110を正面側から見た図であり、チルト駆動機構はレンズ支柱204とケース206で構成され、チルト回転軸205を中心にケース206が回転する構造である。ローテーション駆動機構はケース206と撮像ユニット207で構成され、ローテーション回転軸(光軸)208を中心に撮像ユニット207が回転する構造である。
【0020】
図3は、ネットワークカメラ110の設置状態(正立設置、天井設置、壁掛設置)を説明するための図である。302はネットワークカメラ110の正立設置を示し、303は天井設置を示し、304は壁掛設置を示す。図3に示すようにネットワークカメラ110を様々な場所に設置しても、パン、チルト、ローテーションの3つの駆動機構によって所望の撮影アングルに変更し、被写体を正立状態とすることが可能となる。
【0021】
正立設置302では、撮像画像305のように、被写体301は正立状態で撮影される。天井設置303では、撮像画像306のように、被写体301が倒立状態で撮影されるが、映像信号の読み出し順を天地逆に変更することにより容易に正立状態の映像に変換することが可能である。壁掛設置304では、撮像画像307のように、パン・チルトを所望の撮像方向に合わせたときに被写体301が斜めの状態で撮影される。この斜めの状態で撮影された被写体301をローテーション駆動機構による撮像ユニット207の回転によって撮像画像308のように正立状態の映像に調整することが可能である。このように様々な設置状態において、特に壁掛設置304の際に上述したようにパン・チルトを所望の撮像方向に合わせたときに、撮像画像が画像307のように被写体が斜めの状態で撮影されてしまうために、これを補正するためにローテーション駆動機構を持っている。
【0022】
図4は、クライアント装置130の表示装置170に表示されるパン、チルト、ローテーション設定(操作)画面を説明する図である。図4(a)において、400はネットワークカメラ110から受信した撮像画像が表示されるエリアである。
【0023】
エリア400の傍には、パン・チルト操作部及びローテーション操作部が表示される。410はパン移動方向及び可動範囲を示す矢印、412はパン駆動機構の現在の位置を示すマーカー、414はパンを左側に駆動させるための操作ボタン、416はパンを右側に駆動させるための操作ボタンである。420はチルト移動方向及び可動範囲を示す矢印、422はチルト駆動機構の現在の位置を示すマーカー、424はチルトを上側に駆動させるための操作ボタン、426はチルトを下側に駆動させるための操作ボタンである。430はローテーション移動方向及び可動範囲を示す矢印、432はローテーション駆動機構の現在の位置を示すマーカー、434はローテーションを右回転に駆動させるための操作ボタン、436はローテーションを左回転に駆動させるための操作ボタンである。
【0024】
図4(a)は、パン、チルト、ローテーションの各駆動機構がそれぞれ原点にいるときの設定画面を示す。例えば操作ボタン414を操作すると、パンを左側に駆動させるようにネットワークカメラ110にコマンドが送出され、ネットワークカメラ110ではコマンドに合わせてパン駆動機構が駆動し、左側に移動する。このパン駆動機構の移動に合わせてパン駆動機構の現在の位置を示すマーカー412が左側に移動して表示されるとともに、左側に移動して撮像された画像が撮像画像エリア400に表示される。同様に、パンの右側駆動操作、チルトの上側、下側駆動操作、ローテーションの右回転、左回転駆動操作を行うと、操作に合わせたコマンドがネットワークカメラ110に送出され、ネットワークカメラ110ではコマンドに合わせて各駆動機構が駆動する。ネットワークカメラ110の各駆動機構が駆動すると、各駆動機構の駆動に合わせて、現在の位置を示すマーカーが移動して表示されるとともに、移動して撮像された撮像画像が撮像画像エリア400に表示される。
【0025】
図4(b)は、パン・チルト駆動機構、及び、ローテーション駆動機構が駆動したときの設定画面の例を示す。図4(a)において、ローテーションを左回転方向に駆動させると、その駆動に合わせて撮像画像が左に回転する。この状態では、パン駆動、及び、チルト駆動を行ったときに撮像画像が移動する方向も左に回転する。すなわち、図4(b)に示すように、パン移動方向及びチルト移動方向はそれぞれ矢印410、420の方向に変化する。そこで、パン、チルト、ローテーション設定画面上で、ローテーション駆動機構の駆動に応じて、パン移動方向を示す矢印410、チルト移動方向を示す矢印420を図4(b)のように回転させて表示する。矢印410、420の回転に伴い、パン・チルト駆動機構の現在の位置を示すマーカー412、422、パンを駆動させるための操作ボタン414、416、チルトを駆動させるための操作ボタン424、426も図4(b)のように表示する。
【0026】
また、パンを例えば右側に駆動させると、パン駆動機構の回転により、ローテーション駆動の回転角度領域が一緒に回転する。そこで、パン、チルト、ローテーション設定画面上で、パン駆動機構の駆動に応じて、ローテーション移動方向及び可動範囲を示す矢印430を図4(b)のように回転させて表示する。矢印430の回転に伴い、ローテーション駆動機構の現在の位置を示すマーカー432、ローテーションを駆動させるための操作ボタン434、436も図4(b)のように表示する。
【0027】
図5は、クライアント装置130が実行する処理を示すフローチャートである。図5において、パン、チルト、ローテーションの各駆動機構の設定(操作)を行うPTR設定モードに入る(ステップS100)。PTR設定では、図4に示したようなパン、チルト、ローテーション設定画面を表示し、ネットワークカメラ110に対するコマンド指示を行う。
【0028】
次に、現在のローテーション角度に合わせてパン・チルト移動方向(矢印410、420)、パン・チルト位置(マーカー412、422)、操作ボタン(操作ボタン414、416、424、426)の表示を行う(ステップS110)。次に、ローテーション移動方向及び可動範囲(矢印430)、ローテーション位置(マーカー432)、操作ボタン(434、436)の表示を行う(ステップS120)。
【0029】
次に、ローテーション操作があるか否かのチェックを行う(ステップS130)。ステップS130においてローテーション操作が行われた場合、ローテーション操作に合わせてネットワークカメラ110に駆動コマンドを送出した後(ステップS140)、ステップS110に戻る。すなわち、駆動したローテーション角度に合わせて、パン・チルト移動方向、パン・チルト位置、操作ボタンの表示を行い(ステップS110)、ローテーション移動方向、ローテーション位置、操作ボタンの表示を行って(ステップS120)、ユーザの操作待ちとなる(ステップS130)。
【0030】
また、ステップS130においてローテーション操作が行われなかった場合、パン・チルト操作があるか否かのチェックを行う(ステップS150)。ステップS150においてパン・チルト操作が行われなかった場合、ステップS130に戻り、ユーザの操作待ちとなる。
【0031】
ステップS150においてパン・チルト操作が行われた場合、パン・チルト操作に合わせてネットワークカメラ110に駆動コマンドを送出する(ステップS160)。そして、パン・チルト操作に合わせてパン・チルト位置の表示を行う(ステップS170)。次に、パン角度に合わせて、ローテーション移動方向及び可動範囲、ローテーション位置、操作ボタンの表示を行って(ステップS180)、ユーザの操作待ちとなる(ステップS130)。
【0032】
図6は、ネットワークカメラ110が実行する処理を示すフローチャートである。図6において、ネットワークカメラ110は初期化を行う(ステップS200)。この初期化には、パン、チルト、ローテーションの各駆動機構の初期化を含み、パン、チルト、ローテーションの各駆動機構の原点だし、及び、現在の位置を検出する。次に、パン、チルト、ローテーションの各駆動機構の現在の位置の情報をクライアント装置130に送信する(ステップS210)。
【0033】
次に、撮像画像をクライアント装置130に送信開始する(ステップS220)。この状態で、ネットワークカメラ110はクライアント装置130からのコマンド受信待ちとなる(ステップS230)。クライアント装置130からコマンドが受信されると、コマンドに合わせてパン、チルト、ローテーションの駆動を行う(ステップS140)。パン、チルト、ローテーションの駆動を行った後、現在の位置をステータスとして送信する(ステップS250)。その後、ステップS230に戻り、コマンド受信待ちとなる。
【0034】
以上述べたように、ローテーション回転によりパン移動方向及びチルト移動方向が変化することから、この移動方向を明示するようにした。これにより、ユーザがパン、チルト操作を行う際に、どちらの方向に撮像画像が移動するかが直感的に理解することが可能となる。したがって、より簡単に、スピーディに所望の方向に設定することが可能になる。更に、パン、チルトの移動を指示するための操作系をパン、チルトの移動方向に合わせて表示することにより、ユーザの操作と撮像画面の移動がより密接につながり、わかりやすい設定画面となった。また、パン角度に応じてローテンションの移動可能な回転角度領域を表示することにより、パン駆動機構の駆動により撮像画像が移動する中で、ローテーションの回転角度領域をユーザが理解することができる。これにより、左右いずれかの方向に回転させてローテーション角度を調整すればよいかを理解することが可能となり、より簡単にローテーション角度を調整可能とした。
【0035】
パン、チルト、ローテーションの移動方向、及び、操作ボタンの表示方法は、図4に示した形態に限るものではない。例えば、図7(a)の例では、撮像画像が表示されるエリア400においてパン操作方向を示す矢印510及びチルト操作方向を示す矢印520を撮像画像に重畳させて表示するものである。
【0036】
また、図7(b)の例では、撮像画像が表示されるエリア400の傍に、パン移動方向及び可動範囲を示すバー560、並びに、チルト移動方向及び可動範囲を示すバー570が配置、表示される例である。これらバー560、570の中にそれぞれの現在の位置を示すマーカー562、572が表示される。また、バー560、570のそれぞれ両端に操作ボタンが配置される。なお、バー560、570の両端ではなく、バーの内側の任意の位置を指定して指示することも可能である。
【0037】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、ネットワークカメラが少なくともパン、チルトの各駆動機構を持つ場合を説明する。なお、カメラ撮影制御システムの構成は図1に示したものと同様であり、ここではその説明を省略する。
【0038】
パン、チルトの各駆動機構を持つネットワークカメラでは、図2に示したように、チルト回転軸205を中心としてケース206が回転する。また、パン回転軸203を中心としてターンテーブル202が回転する。チルト角度が0度(水平)のときにパン回転を行うと、撮像画像は水平方向に移動する。また、チルト角度が90度(垂直上向き)のときにパン回転を行うと、撮像画像は画像のセンターを中心にして回転する。すなわち、ローテーションによる光軸回転と同様の動きとなる。チルト角度がこれらの間の角度、すなわち0〜90度の間の場合には、パン回転を行うと光軸がチルト角度に応じた円錐の側面を回るために、撮像画像の動きは円弧状の動きとなる。
【0039】
図8は、クライアント装置130の表示装置170に表示されるパン、チルト設定(操作)画面を説明する図であり、チルト角度に応じてパン移動方向を示すようになっている。上述したように、パン駆動機構が駆動したときの撮像画像の動き(移動方向)は、チルト角度に依存する。そこで、本実施形態では、パン移動方向を表示する際に、このチルト角度によってパン移動方向を表示するようにしたものである。
【0040】
図8(a)は、チルト角度が0度のときの設定画面の図であり、800はパン移動方向及び可動範囲を示す矢印、802はパン駆動機構の現在の位置を示すマーカー、804はパンを左側に駆動させるための操作ボタン、806はパンを右側に駆動させるための操作ボタンである。チルト角度が0度のときには、パン回転は水平方向に移動することから、パン移動方向を示す矢印800は直線状に表示される。操作ボタン804、806は直線状に表示したパン移動方向を示す矢印800の両端に配置される。
【0041】
図8(d)は、チルト角度が90度のときの設定画面の図であり、パン回転は光軸を中心に円状に移動することから、パン移動方向を示す矢印800は略円状の円弧状に表示される。
【0042】
図8(b)、(c)は、チルト角度が0度と90度との間のとき(例えば30度と60度のとき)の設定画面の図である。チルト角度が30度、60度のときには、パン回転時の移動方向は円弧状となることから、パン移動方向を示す矢印800は円弧状に表示される。また、チルト駆動機構の可動範囲が0〜90度を超えて、マイナス側に駆動可能な構造である場合、パン回転時の移動方向は図8(b)〜(d)とは逆の円弧状となることから、パン移動方向を示す矢印800は図8(e)のように表示される。
【0043】
図9は、クライアント装置130が実行する処理を示すフローチャートである。図9において、パン、チルト、ローテーションの各駆動機構の設定(操作)を行うPTR設定モードに入る(ステップS300)。PTR設定では、パン、チルト、ローテーション設定画面を表示し、ネットワークカメラ110に対するコマンド指示を行う。
【0044】
次に、現在のチルト角度に合わせてパン移動方向(直線状または円弧状の矢印800)、パン位置(マーカー802)、操作ボタン(804、806)の表示を行う(ステップS310)。
【0045】
次に、チルト操作があるか否かのチェックを行う(ステップS320)。ステップS320においてチルト操作が行われた場合、チルト操作に合わせてネットワークカメラ110に駆動コマンドを送出する(ステップS330)。その後、ステップS310に戻り、チルト角度に合わせてパン移動方向、パン位置、操作ボタンの表示を行う。
【0046】
以上説明したように、チルト角度によってパン移動方向を直線状、円弧状に表示するので、ユーザがよりわかりやすく、より実感的に操作をすることが可能となった。
【0047】
本実施形態では、パン・チルト設定画面上で、チルト角度に応じて、実際の撮像画像の移動に合わせてパン移動方向を直線状又は円弧状に明示するようにしたものである。更に、ローテーションと組み合わせて、第1の実施形態で説明を行ったローテーション角度に応じてパン移動方向を変化させるものと組み合わせて、ユーザに表示を行うことも可能である。これにより、ユーザがよりわかりやすく、より実感的に操作をすることが可能となる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明のパン、チルト、ローテーションの移動方向の表示形態、更には現在の位置の表示形態、操作系の表示形態、移動可能範囲の表示形態等は上記説明した方法に限るものではないことはいうまでもないことである。
【0049】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0050】
110:ネットワークカメラ、111撮影部、112:パン制御部、113:チルト制御部、114:ローテーション制御部、115:CPU、116:映像処理部、117:メモリ、118:通信部、130:クライアント装置、131:通信部、132:メモリ、133:映像表示制御部、136:パン、チルト、ローテーション設定UI制御部、137:CPU、190:ネットワーク、150:入力装置、170:表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置、及び、前記撮像装置を制御する制御手段を有する撮影制御システムであって、
前記撮像装置は、
パン駆動するパン駆動手段と、
チルト駆動するチルト駆動手段と、
前記撮像装置そのもの或いは前記撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備え、
前記制御手段は、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記ローテーション駆動手段を操作するためのローテーション操作手段と、
前記ローテーション駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向及び前記チルト駆動手段によるチルト移動方向を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする撮影制御システム。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記撮像装置による撮像画像の傍に、又は、前記撮像装置による撮像画像に重畳させて、前記パン駆動手段によるパン移動方向及び前記チルト駆動手段によるチルト移動方向を表示することを特徴とする請求項1に記載の撮影制御システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記パン駆動手段によるパン移動方向及び前記チルト駆動手段によるチルト移動方向をそれぞれ矢印又はバーで示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影制御システム。
【請求項4】
撮像装置、及び、前記撮像装置を制御する制御手段を有する撮影制御システムであって、
前記撮像装置は、
パン駆動するパン駆動手段と、
チルト駆動するチルト駆動手段と、
前記撮像装置そのもの或いは前記撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備え、
前記制御手段は、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記ローテーション駆動手段を操作するためのローテーション操作手段と、
前記パン駆動手段の駆動に応じて、前記ローテーション駆動手段によるローテーションの可動範囲を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする撮影制御システム。
【請求項5】
撮像装置、及び、前記撮像装置を制御する制御手段を有する撮影制御システムであって、
前記撮像装置は、
パン駆動するパン駆動手段と、
チルト駆動するチルト駆動手段とを備え、
前記制御手段は、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記チルト駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする撮影制御システム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記パン駆動手段によるパン移動方向を矢印又はバーで示すとともに、前記チルト駆動手段の駆動に応じて前記矢印又は前記バーを直線状又は円弧状に表示することを特徴とする請求項5に記載の撮影制御システム。
【請求項7】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段と、当該撮像装置そのもの或いは当該撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備えた撮像装置の制御装置であって、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記ローテーション駆動手段を操作するためのローテーション操作手段と、
前記ローテーション駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向及び前記チルト駆動手段によるチルト移動方向を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする撮影装置の制御装置。
【請求項8】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段と、当該撮像装置そのもの或いは当該撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備えた撮像装置の制御装置であって、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記ローテーション駆動手段を操作するためのローテーション操作手段と、
前記パン駆動手段の駆動に応じて、前記ローテーション駆動手段によるローテーションの可動範囲を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする撮影装置の制御装置。
【請求項9】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段とを備えた撮像装置の制御装置であって、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記チルト駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする撮影装置の制御装置。
【請求項10】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段と、当該撮像装置そのもの或いは当該撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記ローテーション駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向及び前記チルト駆動手段によるチルト移動方向を表示するステップを有することを特徴とする撮影装置の制御方法。
【請求項11】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段と、当該撮像装置そのもの或いは当該撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記パン駆動手段の駆動に応じて、前記ローテーション駆動手段によるローテーションの可動範囲を表示するステップを有することを特徴とする撮影装置の制御方法。
【請求項12】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記チルト駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向を表示することを特徴とする撮影装置の制御方法。
【請求項13】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段と、当該撮像装置そのもの或いは当該撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備えた撮像装置を制御するためのプログラムであって、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記ローテーション駆動手段を操作するためのローテーション操作手段と、
前記ローテーション駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向及び前記チルト駆動手段によるチルト移動方向を表示する表示制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項14】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段と、当該撮像装置そのもの或いは当該撮像装置が有する撮像手段を光軸まわりに回転させるローテーション駆動手段とを備えた撮像装置を制御するためのプログラムであって、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記ローテーション駆動手段を操作するためのローテーション操作手段と、
前記パン駆動手段の駆動に応じて、前記ローテーション駆動手段によるローテーションの可動範囲を表示する表示制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項15】
パン駆動するパン駆動手段と、チルト駆動するチルト駆動手段とを備えた撮像装置を制御するためのプログラムであって、
前記パン駆動手段を操作するためのパン操作手段と、
前記チルト駆動手段を操作するためのチルト操作手段と、
前記チルト駆動手段の駆動に応じて、前記パン駆動手段によるパン移動方向を表示する表示制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−23434(P2012−23434A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157715(P2010−157715)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】