説明

撮影装置

【課題】補助光の照射による眩しさを緩和し、安全性がより高い撮影装置を提供する。
【解決手段】動画および静止画を選択的に撮影するデジタルカメラ100において、LEDLED160a〜168aを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部160と、被写体までの被写体距離を測定する測距部110,120と、動画撮影時および静止画撮影時の双方で発光部160に光を照射させる発光制御部110,120とを備え、発光制御部110,120は、動画撮影時には、測距部110,120により測定された被写体距離が所定の距離よりも小さいことを条件として、発光部160に照射させる光の輝度を、静止画撮影時の輝度よりも低い輝度に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白色発光ダイオードの出現により、撮影装置の撮影補助光を発光ダイオード(LED)で生成することが可能となっている。LEDは、いままで撮影補助光用に用いられていたキセノン管に比べ駆動電圧が低く、動画撮影時やピント調整時のように長時間継続して発光させることが容易であり、このため、撮影装置にキセノン管の代わりにLEDを搭載する動きが活発になってきている。
【0003】
LEDには、発熱による破壊を避ける目的で最大許容電流が定められているが、ここで、静止画撮影時での撮影補助光のような瞬間的な発光では発熱量が小さいことに着目し、静止画撮影時での発光で最大許容電流を超える電流を供給して、LEDに定格以上の能力を発揮させようとする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−307771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、LEDの最大許容電流は、LED製造技術の進歩に伴い上昇しており、継続して流せる最大許容電流以下の電流によっても、補助光として輝度が十分高い光を照射できるようになってきている。
【0005】
しかしながら、撮影装置で人を撮影する場合にこのように輝度が高い光を人に向けて照射すると強度の眩しさを感じさせてしまう。特に、長時間の継続発光が容易なLEDによる補助光ではこの問題が顕著となる。また、将来、LEDにより照射可能な輝度はさらに増大することが予想されるため、照射を受ける人の目に影響を与えないよう安全性をさらに高めることが求められている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、補助光の照射による眩しさを緩和し、安全性がより高められた撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置は、動画および静止画を選択的に撮影する撮影装置であって、
LEDを備え、このLEDを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部と、
被写体までの被写体距離を測定する測距部と、
動画撮影時および静止画撮影時の双方で上記発光部に光を照射させる発光制御部とを備え、
上記発光制御部は、動画撮影時には、上記発光部に照射させる光の輝度を、上記測距部により測定された被写体距離が所定の距離よりも小さいことを条件として、静止画撮影時に上記発光部に照射させる光の輝度よりも低い輝度に制限するものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の撮影装置によれば、動画撮影時で、かつ被写体距離が所定の距離よりも小さいときに照射する光の輝度が、静止画撮影時に照射する光の輝度よりも低く制限されるので、被写体が人である場合に感じさせる眩しさを緩和することができ、被写体距離が所定の距離以上のときには制限のない高い輝度の光により遠くの被写体に対しても十分な照度を与えて撮影することができる。また、LEDにより発光可能な光の輝度が増大しても、照射を受ける人の目に対する影響を低減し安全性を高めることができる。また、本発明の第1の撮影装置によれば、光の輝度を低く制限しても被写体距離が小さいため適正露出を得ることができ、被写体距離が大きい場合には制限のない輝度の光を照射して適正露出を得ることができる。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置は、撮像素子を備え、この撮像素子上に被写体像を結像して画像信号を生成することにより動画および静止画を選択的に撮影する撮影装置であって、
LEDを備え、このLEDを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部と、
上記画像信号を画像処理することにより顔位置を認識する顔認識部と、
動画撮影時および静止画撮影時の双方で、上記発光部に光を照射させる発光制御部とを備え、
上記発光制御部は、動画撮影時には、上記発光部に照射させる光の輝度を、上記顔認識部により顔位置が認識されたことを条件として、静止画撮影時に上記発光部に照射させる光の輝度よりも低い輝度に制限するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の撮影装置によれば、動画撮影時で、かつ顔位置が認識されたときに照射する光の輝度が、静止画撮影時に照射する光の輝度よりも低く制限されるので、人を撮影する場合に眩しさを緩和することができる。また、LEDにより発光可能な光の輝度が増大しても、照射を受ける人の目に対する影響を低減し安全性を高めることができる。
【0011】
また、上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第3の撮影装置は、撮像素子を備え、この撮像素子上に被写体像を結像して画像信号を生成するとともに、撮影に先だって被写体に対するピント調整を行う撮影装置であって、
LEDを備え、このLEDを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部と、
撮影時およびピント調整時の双方で、上記発光部に光を照射させる発光制御部とを備え、
上記発光制御部は、ピント調整時には、上記発光部に照射させる光の輝度を、撮影時に上記発光部に照射させる光の輝度よりも低い輝度に制限するものであることを特徴とする。
【0012】
ピント調整のための補助光は静止画撮影時の撮影補助光と異なり、レンズを駆動してピント調整を行う期間継続して照射されるため、人に向かって照射されると、照射された人により強度の眩しさを感じさせる。本発明の第3の撮影装置によれば、ピント調整時に照射する光の輝度が、撮影時に照射する光の輝度よりも低く制限されるので、人を撮影する場合に眩しさを緩和することができる。また、LEDにより発光可能な光の輝度が増大しても、光の照射を受ける人の目に対する影響を低減し安全性を高めることができる。
【0013】
ここで、上記本発明の第3の撮影装置は、上記画像信号を画像処理することにより顔位置を認識する顔認識部を備え、
上記発光制御部は、ピント調整時には、上記発光部に照射させる光の輝度を、上記顔認識部により顔位置が認識されたことを条件として、上記撮影時に上記発光部に照射させる光の輝度よりも低い輝度に制限するものであることが好ましい。
【0014】
顔位置を認識することにより光が人に照射されるのか否かを判別し、人に照射される場合には輝度を制限して眩しさを緩和するとともに人の目への影響を低減する一方、その他の場合には制限のない高い輝度の光を照射してピント調整を行い易くすることができる。
【0015】
また、上記本発明の第3の撮影装置において、上記発光部は、撮影画角内が二次元的に分割された複数の照射領域それぞれに向けて独立に制御された光を照射するものであり、
上記発光制御部は、上記発光部に、ピント調整時には、上記複数の照射領域のうちの上記顔認識部により認識された顔位置に対応する照射領域への照射光の輝度を、この照射領域を除く照射領域への照射光の輝度よりも低い輝度に制限した光を照射させるものであることが好ましい。
【0016】
人を撮影する場合に顔位置に対応する領域への光の輝度を抑えて眩しさを緩和し、また人の目に対する安全性を高めると同時に、その他の領域には制限のない高い輝度の光を照射してピント調整を行い易くすることができる。
【0017】
また、上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第4の撮影装置は、撮像素子を備え、この撮像素子上に被写体像を結像して画像信号を生成するとともに、撮影に先だって被写体に対するピント調整を行う撮影装置であって、
LEDを備え、このLEDを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部と、
この撮影装置の撮影条件を人物の撮影に適した状態に設定する人物撮影モードを含む複数の撮影モードから任意の撮影モードを選択する撮影モード選択部と、
撮影時およびピント調整時の双方で、上記発光部に光を照射させる発光制御部とを備え、
上記発光制御部は、ピント調整時には、上記発光部に照射させる光の輝度を、このモード選択部により上記人物撮影モードが選択されたことを条件として、上記撮影時に上記発光部に照射させる光の輝度よりも低く制限するものであることを特徴とする。
【0018】
ピント調整のための補助光は静止画撮影時の撮影補助光と異なり、レンズを駆動してピント調整を行う期間継続して照射されるため、人に向かって照射されると、照射された人により強度の眩しさを感じさせる。本発明の第4の撮影装置によれば、人物撮影モードが選択される場合、ピント調整時に照射する光の輝度が撮影時に照射する光の輝度よりも低く制限されるため、簡易な構成で眩しさを緩和することができる。また、LEDにより発光可能な光の輝度が増大しても、光の照射を受ける人の目に対する影響を低減し安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明によれば、補助光の照射による眩しさを緩和し、安全性がより高い撮影装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1および図2は本発明の第1実施形態であるデジタルカメラを示す図である。図1は正面斜め上方から見た図であり、図2は背面斜め上方から見た図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のデジタルカメラ100ではレンズ鏡胴170内に内蔵された撮影レンズを通してデジタルカメラ100内部に配備されているCCD固体撮像素子まで被写体の像が導かれる。このデジタルカメラ100では、後述するCCD固体撮像素子でスルー画や撮影画像を表す画像信号が生成される他、その画像信号に基づいてTTL測距およびTTL測光が後述するメインCPUにより行われて被写体距離や被写体輝度が検出されるようにもなっている。TTL測距においては、撮影画角内が二次元的に分割された複数の測距領域それぞれについて測距すなわち被写体距離の測定を行ない、TTL測光においても、撮影画角内が二次元的に分割された複数の測光領域それぞれについて測光を行う。
【0023】
図1に示すデジタルカメラ100のレンズ鏡胴170上方には、ファインダ105および発光部160が配備されている。発光部160は9個のLED160a〜168aを備え、これらのLED160a〜168aを発光することにより被写体に向けて補助光を照射する。
【0024】
また、図2に示すようにデジタルカメラ100の背面および上面には、ユーザがこのデジタルカメラ100を使用するときにいろいろな操作を行うための操作スイッチ群101が設けられている。
【0025】
この操作スイッチ群101の中には、デジタルカメラ100を作動させるための電源・撮影再生切替スイッチ101aの他、十字キー101b、メニュー/OKキー101c、キャンセルキー101d、撮影モードレバー101eなどがあり、電源・撮影再生切替スイッチ101aによって再生モードと撮影モードの切替が行われる。電源・撮影再生切替スイッチ101aが撮影側に切り替えられるとスルー画が表示されてそのスルー画を見ながらレリーズ釦102が押されると被写体の撮影が行われ、再生側に切り替えられると既撮影画像の再生表示がLCDパネル150上に行われる。
【0026】
なお、レリーズ釦102は半押しと全押しの2つの操作態様を有しており、半押しされたときにTTL測光とTTL測距との双方が行われ測光値に応じた開口を持つ絞りが光軸にセットされ、またピント領域内の測距結果に応じた位置にフォーカスレンズが配置された後、全押し操作に応じて撮像素子に電子シャッタが設定され露光が行われて撮影が行われる。
【0027】
デジタルカメラ100には、多様な撮影シーンに対応して条件を設定する複数の撮影モードが搭載されており、撮影モード選択部としての撮影モードレバー101eがユーザに操作されることによって任意の撮影モードが選択される。これら複数の撮影モードの中には、動画を撮影する動画撮影モードと静止画を撮影する静止画撮影モードとがある。これによりデジタルカメラ100は動画および静止画を選択的に撮影することができる。具体的な静止画撮影モードとしては、通常の撮影全般に適応できるオートモード以外に、撮影条件を人物の撮影に適する人物撮影モードとしてのポートレートモードおよびスローシンクロモード、その他のモードがある。例えば、ポートレートモードでは背景をぼかし人物を引き立たせるよう低い絞り値が採用され、スローシンクロモードでは撮影補助光を発光しつつ長いシャッター秒時が採用されて人物と背景とをバランス良く撮影できる。
【0028】
また、デジタルカメラ100には、エリア選択AFモードやオートエリアAFモード等の多彩なAFモードが搭載されている。例えば、AFモード選択状態で、ユーザのメニュー/OKキー101cの操作によってAFモードのうちのエリア選択AFモードが選択されると、図2に示すように撮影画角内を複数に分割する分割補助線1500がスルー画とともにLCDパネル150上に表示される。この状態にあるときに分割された領域1501の中のいずれかの領域がユーザの十字キー101bの操作により選択されると、選択された領域がピントを合わせる測距領域、すなわちAFエリアとして設定される。
【0029】
図3は、図1および図2のデジタルカメラ100の内部に配備された信号処理部の構成ブロック図である。
【0030】
図3を参照してデジタルカメラ100内にある信号処理部の構成を説明する。
【0031】
デジタルカメラ100ではすべての処理がメインCPU110によって制御されていて、このメインCPU110の入力部には図2に示した操作部の操作スイッチ群101からの操作信号がそれぞれ供給されている。メインCPU110はEEPROM110aを有しており、このEEPROM110aの中にはデジタルカメラ100として動作するために必要なプログラムが書き込まれている。このような構成を持つデジタルカメラ100において、電源・撮影再生切替スイッチ101aが切り替えられて信号処理部に電源が投入されると、EEPROM110a内のプログラムの手順にしたがってCPU110によりこのデジタルカメラ100全体の動作が統括的に制御される。
【0032】
画像信号の流れを、図3を参照して説明する。
【0033】
電源・撮影再生切替スイッチ101a(図1参照)が撮影側または再生側に切り替えられると、メインCPU110により電源・撮影再生切替スイッチ101aが切り替えられたことが検知され、電源130からメインCPU110、測光・測距CPU120などの各ブロックに電力が供給される。電源・撮影再生切替スイッチ101a(図1参照)が撮影側に切り替えられた場合には、まずCCD固体撮像素子112に結像された被写体像が画像信号として所定の間隔ごとに間引かれて出力され、その出力された画像信号に基づく被写体像が画像表示LCD15のLCDパネル150上に表示される。このCCD固体撮像素子112にはクロックジェネレータ(以下、CGという)1121からタイミング信号が供給されており、このタイミング信号によって所定の間隔ごとに、画像信号が間引かれて出力される。このCG1121はCPU110からの指示に基づいてタイミング信号を出力しており、そのタイミング信号は、CCD固体撮像素子112の他、後段のA/D部113、およびホワイトバランス調整・γ処理部114にも供給されている。したがって、CCD固体撮像素子112、A/D部113、ホワイトバランス・γ処理部114ではそのタイミング信号に同期して順序良く画像信号の処理が流れるように行われる。
【0034】
このようにCPU110の指示に応じてCG1121から出力されるタイミング信号に同期してA/D部113、ホワイトバランスγ処理部114で順序良く処理が行われた後、ホワイトバランス処理部からYC処理部へと画像信号がバスを通して供給される。このバスを通して画像信号を供給するにあたって、ホワイトバランスγ処理部で順次処理されて出力されてくる画像信号をそのままバスを通してYC処理部へ転送するようにしてしまうと、ホワイトバランスγ処理部114とYC処理部116との双方の処理タイミングにずれが生じてしまうことがあるため、後段にバッファメモリ115を設けて、YC処理部116への供給タイミングを調整することができるようにしている。そのバッファメモリ115からは古い時刻に記憶された画像信号から先にYC処理部116へ供給される。そのYC処理部116に供給された画像信号は、RGB信号からYC信号に変換され、その後バス121を経由してその変換されたYC信号が画像表示LCD15側に供給される。この画像表示LCD15の前段にはYC信号をRGB信号に変換するYC→RGB変換部151があり、このYC→RGB変換部151でYC信号が再びRGB信号に変換され、その変換されたRGB信号がドライバ152を経由して画像表示LCD15に供給される。この供給されたRGB信号に基づいて画像表示LCD15のLCDパネル150上に被写体像の画像表示が行われる。前述したCG1121から出力されるタイミング信号に同期してCCD固体撮像素子112、A/D部113、ホワイトバランスγ処理部114が動作して、所定の間隔ごとにCCD固体撮像素子112で生成された画像信号が処理されている訳であるから、この画像表示LCD15のLCDパネル150上には撮影レンズが向けられた方向の被写体が被写体像として常に表示され続ける。この表示され続けている被写体像を視認しながら、シャッタチャンスにレリーズ釦102が押されると、レリーズ釦102の押下タイミングを起点として所定の時間を経た後、CCD固体撮像素子112に結像された画像信号すべてがRGB信号となって出力される。このRGB信号はYC処理部116でYC信号に変換されてさらに圧縮・伸張部117でYC信号が圧縮され、その圧縮された画像信号がメモリカード119に記録される。この圧縮・伸張部117では静止画についてはJPEG規格に準拠した圧縮方法で圧縮が行われてメモリカード119に画像信号がファイルとして記録される。動画についてはJPEG規格に準拠したモーションJPEG方式に基づき圧縮が行われる。記録されたファイルのヘッダ部には圧縮情報や撮影情報などが書き込まれており、デジタルカメラ100の電源・撮影再生切替スイッチ101aが再生側に切り替えられると、メモリカード119からそのファイルのヘッダがまず読み出され、そのヘッダ内の圧縮情報に基づいてファイル内の圧縮画像信号が伸張されて画像信号が元に復元された後、その画像信号に基づく被写体像がLCDパネル150上に表示される。
【0035】
また、この実施形態のデジタルカメラ100には、メインCPU110の他にピント調整および露出調整を行うための測光・測距CPU120が設けられており、この測光・測距CPU120によって、フォーカスレンズ1110の位置制御、および絞りの制御が行われている。
【0036】
ピント調整すなわち焦点調整の場合は、例えばAFモードのうちの中央一点固定モードが指定されていた場合には、中央の領域がピントを合わせる測距領域すなわちAFエリアとして選択され、この選択された測距領域内の測距結果に応じてフォーカスレンズ1110が駆動される。またオートエリアAFモードが指定されていた場合には図2に示した分割補助線1500で分割された複数の測距領域ごとに被写体コントラストが検出されて最も被写体コントラストの大きくなる領域がピントを合わせる測距領域すなわちAFエリアとされ、フォーカスレンズはAFエリア内の測距結果に応じた位置に駆動される。前述したAFエリア選択モードが指定されていた場合には、操作に応じて選択されたAFエリア内での測距が行われ、この測距結果に応じた位置にフォーカスレンズ1110が駆動されピントが合わせられる。
【0037】
露出を調整する場合には、上記AFエリア(領域)の測光結果およびその他の領域の測光結果がメインCPU110から測光・測距CPU120に伝えられ、測光・測距CPU120によって例えば平均的な輝度が算出され算出された輝度に応じて絞り値すなわち絞り1112の開口の大きさが調節されることによりCCD固体撮像素子112の撮影面に与えられる輝度が調節される。
【0038】
また、メインCPU110は、測光・測距CPU120に指示を送信し発光部160に補助光を照射させている。補助光には、静止画撮影時および動画撮影時の双方で照射させる撮影補助光とピント調節時に照射させるAF補助光とがある。照射される補助光の輝度はメインCPU110により制御される。具体的には、メインCPU110が測光・測距CPU120に指示を送信すると、測光・測距CPU120は、発光部160のLED発光制御部16aを指示に応じて制御することによりLED160a〜168aのそれぞれに供給する電流の量ならびに供給開始または停止タイミングを制御させて、LED160a〜168aの発光輝度を制御させる。なお、撮影補助光の照射タイミングを画像フレームの処理タイミングに合わせるため、撮影補助光(フラッシュ)発光タイミング制御部140が設けられている。なお本実施形態のデジタルカメラ100において、発光部160に発光可能な最大輝度で発光させることをフル発光と呼ぶ。
【0039】
図4には、発光部160が備える9個のLED160a〜168aの配列と、それぞれのLEDに対応する9個の照射領域1601a〜1681aの配列それぞれの対応関係が示されている。LED160a〜168aのそれぞれからは、撮影画角内が二次元的に分割された複数の照射領域1601a〜1681aのうちの対応する照射領域に向けて独立に制御された補助光が照射される。これにより、メインCPU110は、照射領域1601a〜1681aのうちの一部の照射領域への光の輝度を、他の照射領域への光と異ならせて配分することができる。
【0040】
ここで、図3に示すEERPOM110a内に記述されているプログラム中のメイン処理を説明して、次にそのメイン処理内の、露光・記録処理についてその詳細を説明する。
【0041】
まず、メインCPU110が行うメイン処理を、図6を参照して説明する。
【0042】
図5は、撮影を行うときの、メインCPU110が行うメイン処理の手順を示すフローチャートである。
【0043】
メインCPU110は、まずステップS401でレリーズ釦102が半押しされたら、AE処理つまりTTL測光を行ってその結果を測光・測距CPU120に伝えて結果に応じて、測光・測距CPU120に絞り112の開口を調節させる。
【0044】
次のステップS402で、メインCPU110は撮影に先だってAF処理すなわち被写体に対するピント調整の処理を行う。本実施形態のデジタルカメラ100は、中央一点固定AFモードや選択エリアAFモードやオートエリアAFモードといった多彩なAFモードを有しているので、このステップS402のAF処理により、各領域ごとに輝度のサンプリングを行って各領域ごとに被写体コントラストを求めて各領域内それぞれで最適な合焦点を検出したり、選択されたエリアに関してのみ合焦点を検出したり、中央の領域のみ合焦点を検出したりすることができる。
【0045】
ここでは、AF処理を行うにあたって、いずれのAFモードであっても測光・測距CPU120にフォーカスレンズを移動させることを指示し、そのフォーカスレンズを移動させている最中に所定の測距領域の被写体コントラストをサンプリングすることにより合焦点を検出することにより被写体距離を測定し、この被写体距離を測光・測距CPU120に通知するようにして、それらのAF情報に応じて測光・測距CPU120にフォーカスレンズ1110の合焦点位置への移動を行わせている。また、このAF処理では、先のAE処理でAF補助光の照射が必要であると判別された場合には、測光・測距CPU120に指令を送信して、発光部160にAF補助光を照射させる。
【0046】
次のステップS403でレリーズ釦102の全押し操作タイミングを検知したら、メインCPU110は露光・記録処理を行う。具体的には、CCD112に露光を開始させて画像信号を出力させ、A/D部113、ホワイトバランスγ処理部114、バッファメモリ115、YC処理部116および圧縮・伸張部117に画像信号を処理させて、I/F118に媒体であるメモリカード119への記録を行わせる。静止画撮影の場合には、1画面分の画像信号に対して露光・記録処理を行う。動画撮影の場合には、予め設定された時間が経過するか、またはレリーズ釦102が再び全押しされたことを検知するまで、連続する画面の画像信号に対して処理を繰り返し行う。撮影補助光を発光させる必要がある場合には、露光の間、発光部160に撮影補助光を照射させる。
【0047】
ステップS403の処理の後、フローの処理を終了する。
【0048】
ここで、本実施形態のデジタルカメラ100では、動画撮影時で、かつ被写体距離が所定の距離よりも小さいときに照射する光の輝度が、静止画撮影時に照射する光の輝度よりも低く制限されるように制御を行っているので、ステップS403の露光・記録処理の詳細を説明する。
【0049】
図6は、ステップS403の露光・記録処理の詳細を示すフローチャートである。
【0050】
メインCPU110は、まずステップS4031で、撮影モードレバー101eの状態から撮影モードを判別する。ここで、静止画撮影モードであると判別された場合には、ステップS4035の処理に進み、動画撮影モードであると判別された場合には、ステップS4033の処理に進む。
【0051】
ステップS4033では、ステップS402のAF処理で測定された被写体距離を所定の距離の値としての規定値Lと比較する。規定値Lは、例えば国際規格であるIEC60825−1において、発光部160をフル発光させたときの輝度に対して推奨される最小の距離とする。本ステップで、被写体距離が規定値Lを超える、すなわち発光部160をフル発光させても被写体距離での照度が国際規格の基準よりも低く、この被写体距離にいる人が感じる眩しさが抑えられていると判別された場合には、ステップS4035の処理に進み、被写体距離が規定値Lより小さい、すなわち発光部160をフル発光させると被写体距離での照度が国際規格の基準よりも高く、この被写体距離にいる人が感じる眩しさが抑えられていないと判別された場合には、ステップS4034の処理に進む。
【0052】
ステップS4034は、動画撮影時でかつ被写体距離が規定値Lよりも小さいときに実行される。動画撮影時では、静止画撮影時に比べより長時間継続して撮影補助光が照射されるため、より強度の眩しさを感じさせ易い。このステップでは、発光部160に照射させる光の輝度をフル発光での光の輝度よりも低く制限された輝度に設定する。具体的には、例えば国際規格IEC60825−1において、測定された被写体距離に対して推奨される最大の輝度を設定する。設定した後、ステップS4036の処理に進む。
【0053】
ステップS4035では、発光部160に照射させる光の輝度を、フル発光での光の輝度に設定し、ステップS4036の処理に進む。
【0054】
ステップS4036では、ステップS4034またはステップS4035のステップで設定された輝度で発光部160に照射させる。具体的には、測光・測距CPU120に設定された輝度の情報を送信して、LED発光制御部16aを制御することにより、LED160a〜168aに、設定された輝度に対応する電流を供給させる。これによりED160a〜168aが発光して発光部160からAF補助光が照射される。
【0055】
次のステップS4037では、CCD112に露光を開始させて画像信号をA/D部113へと出力させ、A/D部113にアナログの画像信号からデジタルの画像信号への変換を行わせてホワイトバランスγ処理部114へ供給させ、ホワイトバランスγ処理部114に画像処理を行わせて画像処理を行わせた画像信号をバッファメモリ115に出力させる。また、バッファメモリ115に出力させた画像信号を、タイミングを計ってYC処理部116に供給させてYC処理部116に画像処理を行わせ、圧縮・伸張部117に画像圧縮させ、I/F118に媒体であるメモリカード119への記録を行わせる。静止画撮影の場合には、1画面分の画像信号に対して露光・記録処理を行う。動画撮影の場合には、予め設定された時間が経過するか、レリーズ釦102が再び全押しされたことを検知するまで、画像信号の処理を連続的に行う。このステップの後、ステップS4038の処理に進む。
【0056】
ステップS4038では、発光停止の処理を行う。具体的には、測光・測距CPU120に発光停止の指令を送信してLED発光制御部16aを制御することにより、LED160a〜168aへの電流の供給を停止させる。これにより発光部160からAF補助光の照射が停止する。この後、露光・記録処理を終了する。
【0057】
動画撮影時での補助光は、静止画撮影時での補助光に比べより長時間継続して照射されるため、人に向かって照射されると、照射された人により強度の眩しさを感じさせる。ここで、眩しさは光の照度が高いほど強く、光の照度は、発光部から被写体までの距離が小さくなるほど高い。本実施形態のデジタルカメラ100では、動画撮影時で、かつ被写体距離が規定値Lよりも小さいときに発光部160より照射する光の輝度が、静止画撮影時に照射するフル発光での光の輝度よりも低く制限されるので、被写体での照度が制限され、被写体が人である場合にこの人が感じる眩しさを緩和することができる。
【0058】
ここで、第1実施形態は本発明の第1の撮影装置の一実施形態に相当する。
【0059】
また、図5に示すステップS402のAF処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および測光・測距CPU120等のハードウェアとステップS402の処理との組合せが、本発明の第1の撮影装置にいう測距部の一実施形態に相当する。
【0060】
また、図6に示すステップS4031からステップS4038までの処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および測光・測距CPU120等のハードウェアとステップS4031からステップS4038までの処理との組合せが、本発明の第1の撮影装置にいう発光制御部の一実施形態に相当する。
【0061】
なお、本実施形態では、被写体距離を比較する基準としての規定値Lおよび制限された輝度を国際規格IEC60825−1に基づいて定めたが、本発明はこれに限るものではなく、眩しさを低減するための基準であれば、他の規格や仕様に基づいて定めるものであってよい。
【0062】
また、本実施形態では、制限のない輝度としてフル発光の輝度で説明したが、本発明はこれに限るものではなく、制限のない輝度としては、制限された輝度よりも相対的に高い輝度であれば他の輝度を採用してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、撮影装置の例としてCCD固体撮像素子112を備えるデジタルカメラ100を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、撮影機能が組み込まれた携帯電話機等であってもよく、また写真フイルムを装填するタイプのカメラであってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、発光部160が9個のLED160a〜168aを備えるとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、発光部が備えるLEDは何個であってもよく、例えば1個であってもよい。
【0065】
[第2実施形態]
図7、図8、図9および図10は、本発明の第2実施形態を説明する図である。
【0066】
図7は、第2実施形態のデジタルカメラの内部に配備された信号処理部の構成ブロック図である。本実施形態のデジタルカメラは、図3に示す第1実施形態のデジタルカメラに対し、画像処理によって顔位置を検出する顔認識部1105を備えている点が異なる。ここで、顔認識部1105は、バス121を経由してバッファメモリ115から画像信号を読み出し、この画像信号を画像処理することにより被写体像の中に含まれる顔および顔位置を認識するものである。また、顔認識部1105は、認識した顔位置の情報をメインCPU110に供給する。
【0067】
図8には、本実施形態のデジタルカメラにおける撮影画角内が3×3の二次元的に分割された、複数の測距領域15011,15012,15013,15014,15015,15016,15017,15018,15019が示されている。図8は一例として、複数の測距領域15011〜15019のうちの測距領域15015で顔位置が認識されている状態を示す。顔認識部1105はメインCPU110に、測距領域15015に対応する顔位置の情報を供給する。
【0068】
本実施形態のデジタルカメラの信号処理部の他の構成および外観は、図3、図1および図2に示す第1実施形態のデジタルカメラのものと同様であるので、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
図9は、本実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行う撮影処理のメイン処理を示すフローチャートである。
【0070】
本実施形態のデジタルカメラのメインCPU110は、まずステップS1400で顔認識処理を行う。具体的には、顔認識部1105に画像信号の画像処理により顔位置を認識させる。顔認識部1105が顔位置を認識した場合には、顔位置の情報を読み出す。続いてステップS401のAE処理、およびステップS402のAF処理、およびステップS1403の露光・記録処理を実行する。ここで、本実施形態のメインCPU110が行うステップS401およびステップS402の処理は、図5に示す第1実施形態のメイン処理と同様であるので同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図10は、本実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行うステップS1403の露光・記録処理の詳細を示すフローチャートである。
【0072】
メインCPU110は、まずステップS4031で、撮影モードレバー101eの状態から撮影モードを判別する。ここで、静止画撮影モードであると判別された場合には、ステップS4035の処理に進み、動画撮影モードであると判別された場合には、ステップS14032の処理に進む。
【0073】
ステップS14032では、ステップS1400の顔認識処理での顔認識処理結果を判別する。顔認識部1105で顔位置が認識されなかったと判別された場合にはステップS4035の処理に進み、発光部160にフル発光の輝度で撮影補助光を照射させる。一方、顔が認識されたと判別された場合には、ステップS4034の処理に進み、フル発光での輝度よりも低い輝度で撮影補助光を照射させる。
【0074】
ステップS4034およびステップS4035以降のステップの処理は、図6に示す第1実施形態の露光・記録処理と同様であるので同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
動画撮影時での補助光は、人に向かって照射されると、照射された人により強度の眩しさを感じさせ易いが、本実施形態のデジタルカメラによれば、動画撮影時で、かつ顔位置が認識されたときに照射する光の輝度が、静止画撮影時に照射するフル発光の光の輝度よりも低く制限されるので、人を撮影する場合に眩しさを緩和することができる。一方、人以外のものを撮影する場合には顔位置が認識されないので、フル発光によってより遠くの被写体にも十分な小どの撮影補助光を照射することができる。このように撮影補助光の輝度を、人を撮影するか否かに適切に対応させることができる。また、LEDにより発光可能な光の輝度が増大しても、照射を受ける人の目に対する影響を低減することができる。
【0076】
ここで、第2実施形態は本発明の第3の撮影装置の一実施形態に相当する。
【0077】
また、図9に示すステップS1400の顔認識処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および顔認識部1105等のハードウェアとステップS1400の処理との組合せが、本発明の第2の撮影装置にいう顔認識部の一実施形態に相当する。
【0078】
また、図10に示すステップS4031からステップS4038までの処理およびステップS14032の処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および測光・測距CPU120等のハードウェアとステップS4031からステップS4038までの処理およびステップS14032との組合せが、本発明の第2の撮影装置にいう発光制御部の一実施形態に相当する。
【0079】
なお、本実施形態では、撮影装置の例としてデジタルカメラを説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば撮影機能が組み込まれた携帯電話機等であってもよい。
【0080】
[変形例]
なお、本発明は、以上説明した実施形態や以降に説明する実施形態の組合せによっても実現できるが、組合せの一例として、上記第2実施形態に上記第1実施形態の要素を組み合せた変形例を説明する。
【0081】
図11は、この変形例のデジタルカメラのメインCPU110が行う露光・記録処理の詳細を示すフローチャートである。この変形例のデジタルカメラの外観、信号処理部の構成および撮影処理のメイン処理は、第2実施形態と同様であるので省略する。
【0082】
この変形例で、メインCPU110は、まずステップS4031で、撮影モードレバー101eの状態から撮影モードを判別する。ここで、静止画撮影モードであると判別された場合には、ステップS4035の処理に進み、動画撮影モードであると判別された場合には、ステップS14032の処理に進む。
【0083】
ステップS24032では、顔認識処理での顔認識処理結果を判別する。ここで、顔認識部1105により顔が認識されなかったと判別された場合にはステップS4035の処理に進み発光部によりフル発光の輝度で撮影補助光を照射させる。一方、顔が認識されたと判別された場合には、ステップS24033の処理に進む。
【0084】
ステップS24033では、AF処理で測定された被写体距離を所定の値である規定値Lと比較し、被写体距離が規定値Lを超えると判別された場合にはステップS4035の処理に進み、被写体距離が規定値Lより小さいと判別された場合には、ステップS4034の処理に進み、フル発光の輝度よりも低い輝度で撮影補助光を照射させる。ステップS4034およびステップS4035以降のステップの処理は、図10に示す第1実施形態の露光・記録処理と同様である。
【0085】
この変形例のデジタルカメラによれば、第1実施形態および第2実施形態の双方の効果が得られる。
【0086】
[第3実施形態]
図12および図13は、本発明の第3実施形態を説明する図である。
【0087】
図12は、第3実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行う撮影処理のメイン処理を示すフローチャートであり、図13は本実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行うステップS3402のAF処理の詳細を示すフローチャートである。なお、本実施形態のデジタルカメラでの撮影処理のメイン処理は、ステップS3402のAF処理を除き、図9に示す第2実施形態のデジタルカメラのものと同様である。また信号処理部の構成は、図7に示す第2実施形態のデジタルカメラのものと同様であり、外観は図1および図2に示す第1実施形態のデジタルカメラのものと同様であるので同一の符号を付し、説明を省略する。
【0088】
図13を参照して、ステップS3402AF処理すなわちピント調整の処理を説明する。
【0089】
本実施形態のデジタルカメラのメインCPU110は、まずステップS34021で、測光・測距CPU120に指示を送信し、フォーカスレンズ1110を初期位置へ移動させる。フォーカスレンズ1110の初期位置は、例えば撮影レンズのピントが無限遠に合う位置である。
【0090】
次のステップS34022で、図12に示すステップS401のAE処理の結果から、AF補助光を発光する必要があるか否かを判別する。具体的には、ステップS401のAE処理でのTTL測光の結果、撮影補助光を発光する必要がある場合には、AF補助光も発光する必要があると判断する。ここで、被写体が十分に明るくAF補助光を発光する必要がないと判別された場合には、ステップS34026に進み、AF補助光を発光しないようにする。AF補助光を発光する必要があると判別された場合には、ステップS34023に進み、ステップS1400の顔認識処理での顔認識処理結果を判別する。ここで、顔認識部1105により顔位置が認識されなかったと判別された場合にはステップS34025の処理に進み、発光部160に静止画撮影の撮影補助光のと同様にフル発光の輝度でAF補助光を照射させる。一方、顔が認識されたと判別された場合には、ステップS34024の処理に進み、フル発光の輝度よりも低い輝度でAF補助光を照射させる。このようにして、顔位置が認識されたことを条件として、撮影補助光の輝度よりも低い輝度に制限された輝度でAF補助光を照射させる。
【0091】
次のステップS34026では、フォーカスレンズ1110を駆動し、初期位置から移動しながら被写体コントラストをサンプリングすることにより、被写体コントラストのピークを検出する。ピークが検出された位置では被写体にピントが合っているとし、フォーカスレンズ1110をこの位置に固定する。フォーカスレンズ1110の駆動は、測光・測距CPU120に指示を送信することにより行う。この後ステップS34027で、測光・測距CPU120に指示を送信することによりAF補助光の照射を停止し、フローの処理を終了する。
【0092】
ピント調整のための補助光は静止画撮影時の撮影補助光と異なり、レンズを駆動してピント調整を行う期間継続して照射されるため、人に向かって照射されると、照射された人により強度の眩しさを感じさせる。本実施形態のデジタルカメラによれば、ピント調整時に照射するAF補助光の輝度が、撮影時に照射するフル発光の光の輝度よりも低く制限されるので、人を撮影する場合に眩しさを緩和することができる。また、LEDにより発光可能な光の輝度が増大しても、光の照射を受ける人の目に対する影響を低減することができる。また、顔位置を認識することにより人を撮影するか否かを確実に判別し、人を撮影する場合には眩しさを緩和する一方、その他の場合には制限のないフル発光の輝度を照射してピント調整を行い易くすることができる。
【0093】
ここで、第3実施形態は本発明の第3の撮影装置の一実施形態に相当する。
【0094】
また、図13に示すステップS34022からステップS34025までの処理および図13に示すステップS403の処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および測光・測距CPU120等のハードウェアとステップS34022からステップS34025までの処理およびステップS403の処理との組合せが、本発明の第3の撮影装置にいう発光制御部の一実施形態に相当する。
【0095】
また、図12に示すステップS1400の顔認識処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および顔認識部1105等のハードウェアとステップS1400の処理との組合せが、本発明の第3の撮影装置にいう顔認識部の一実施形態に相当する。
【0096】
また、図13に示すステップS34021およびステップS34026の処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および測光・測距CPU120等のハードウェアとステップS34021およびステップS34026の処理との組合せは、ピント調整部の機能を実現する。
【0097】
なお、本実施形態では、顔認識結果を判定するものとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、構成をより簡潔にする場合には、顔認識および顔認識結果の判定を行わないこととしてよい。
【0098】
また、本実施形態では、撮影装置の例としてデジタルカメラを説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば撮影機能が組み込まれた携帯電話機等であってもよい。
【0099】
[第4実施形態]
図14および図15は、本発明の第4実施形態を説明する図である。
【0100】
図14は、第4実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行うAF処理の詳細を示すフローチャートである。本実施形態のデジタルカメラは、図14に示すAF処理のうち、ステップS44024の処理およびS44025の処理が、図13に示す第3実施形態のデジタルカメラのAF処理に比べて異なり、これらの他の処理、並びに構成は同様であるので同一の符号を付し説明を省略する。
【0101】
図15には、本実施形態のデジタルカメラにおける撮影画角内が3×3の二次元的に分割された領域として、9個の測距領域15011,15012,15013,15014,15015,15016,15017,15018,15019が示されている。ここで、9個の測距領域15011〜15019のそれぞれは、図4に示す、9個の照射領域1601aから1681aにそれぞれに対応付けられている。図15は、複数の測距領域15011〜15019のうちの測距領域15016で顔位置が認識されている場合の例を示す。この場合に顔認識部1105は、測距領域15016に対応する顔位置の情報をメインCPU110に供給する。
【0102】
図14のフローチャートに戻ると、顔位置が認識されたとして実行されるステップS44024で、メインCPU110は、例えば図15に示す顔位置の場合、顔位置に対応する照射領域を除く他の照射領域1601a、1611a、1621a、1641a、1651a、1661a、1671a、1681a(図4参照)に対し、フル発光を行う場合の輝度に相当する輝度でAF補助光を照射させ、顔位置に対応する照射領域1631aに対し、フル発光の場合の輝度よりも低い輝度に制限した輝度でAF補助光を照射させる。具体的には、顔認識部1105により認識された顔位置が含まれる測距領域15016に対応する照射領域1631aに向けて発光するLED163aの輝度を、フル発光時の輝度よりも低い輝度で発光させる。
【0103】
本実施形態のデジタルカメラによれば、人を撮影する場合に、顔位置に対応する照射領域1631aへのAF補助光の輝度を抑えて眩しさを緩和すると同時に、その他の照射領域1601a〜1621aおよびLED1641a〜1681aには制限のない輝度の光を照射してピント調整を行い易くすることができる。
【0104】
ここで、第4実施形態は本発明の第3の撮影装置の一実施形態に相当する。
【0105】
また、図9に示すステップS1400の顔認識処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および顔認識部1105等のハードウェアとステップS1400の処理との組合せが、本発明の第2の撮影装置にいう顔認識部の一実施形態に相当する。
【0106】
また、図14に示すステップS34022、S34023、S44024およびS44025の処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および測光・測距CPU120等のハードウェアとステップS34022、S34023、S44024およびS44025の処理との組合せが、本発明の第3の撮影装置にいう発光制御部の一実施形態に相当する。
【0107】
なお、本実施形態では、9個の照射領域がそれぞれ9個の測距領域に対応するとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、認識される顔位置がいずれかの照射領域に対応するものであればよい。例えば照射領域と測距領域とは一意に対応していなくてもよい。
【0108】
また、本実施形態では、撮影装置の例としてデジタルカメラを説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば撮影機能が組み込まれた携帯電話機等であってもよい。
【0109】
[第5実施形態]
図16は、本発明の第5実施形態を説明する図である。
【0110】
図16は、第5実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行うAF処理の詳細を示すフローチャートである。本実施形態のデジタルカメラは、図16に示すAF処理のうち、ステップS54023の処理が、図13に示す第3実施形態のデジタルカメラのAF処理と比べて異なり、この他の処理および構成は同様であるので同一の符号を付し説明を省略する。
【0111】
図16のステップS54023で、メインCPU110は、撮影モードを判定する。具体的には、操作スイッチ群101のうちの、撮影モードレバー101eにより、人物撮影モードとしてのポートレートモードおよびスローシンクロモードのいずれかが選択されているか否かを判別する。ここで、ポートレートモードまたはスローシンクロモードが選択されている場合には、被写体が人であると推定してステップS34024の処理に進み、フル発光の輝度よりも低い輝度でAF補助光を照射させる。ポートレートモードまたはスローシンクロモード以外のモードが選択されている場合には、ステップS34025の処理に進み発光部によりフル発光の輝度でAF補助光を照射させる。
【0112】
本実施形態のデジタルカメラによれば、人物撮影モードが選択される場合にピント調整時に照射する光の輝度が撮影時に照射する光の輝度よりも低く制限されるため、簡易な構成で眩しさを緩和することができる。
【0113】
ここで、図16に示すステップS34022からS34025およびS54023の処理が図3に示すメインCPU110で実行されたときの、メインCPU110および測光・測距CPU120等のハードウェアとステップS34022からS34025およびS54023の処理との組合せが、本発明の第4の撮影装置にいう発光制御部の一実施形態に相当する。
【0114】
なお、本実施形態では、撮影装置の例としてデジタルカメラを説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば撮影機能が組み込まれた携帯電話機等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1実施形態であるデジタルカメラを正面斜め上方から見た図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるデジタルカメラを背面斜め上方から見た図である。
【図3】図1のデジタルカメラ100の内部に配備された信号処理部の構成ブロック図である。
【図4】発光部160が備える9つのLED160a〜168aの配列と、それぞれのLEDに対応する照射領域1601a〜1681aの配列それぞれの対応関係が示す図である。
【図5】メインCPU110が行うメイン処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】ステップS403の露光・記録処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態のデジタルカメラの内部に配備された信号処理部の構成ブロック図である。
【図8】撮影画角内が二次元的に分割された、複数の測距領域を示す図である。
【図9】第2実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行う撮影処理のメイン処理を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行うステップS1403の露光・記録処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態の変形例のデジタルカメラのメインCPU110が行う露光・記録処理の詳細を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行う撮影処理のメイン処理を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行うステップS3402のAF処理の詳細を示すフローチャートである。
【図14】第4実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行うAF処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15】第4実施形態のデジタルカメラにおける撮影画角内が3×3の二次元的に分割された、9個の測距領域を示す図である。
【図16】第5実施形態のデジタルカメラのメインCPU110が行うAF処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
100 デジタルカメラ
101e 撮影モードレバー(撮影モード選択部)
110 メインCPU
120 測光・測距CPU
160 発光部
160a〜168a LED
1105 顔認識部
15011〜15018 測距領域
1601a〜1681a 照射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画および静止画を選択的に撮影する撮影装置であって、
LEDを備え、該LEDを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部と、
被写体までの被写体距離を測定する測距部と、
動画撮影時および静止画撮影時の双方で前記発光部に光を照射させる発光制御部とを備え、
前記発光制御部は、動画撮影時には、前記発光部に照射させる光の輝度を、前記測距部により測定された被写体距離が所定の距離よりも小さいことを条件として、静止画撮影時に前記発光部に照射させる光の輝度よりも低い輝度に制限するものであることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
撮像素子を備え、該撮像素子上に被写体像を結像して画像信号を生成することにより動画および静止画を選択的に撮影する撮影装置であって、
LEDを備え、該LEDを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部と、
前記画像信号を画像処理することにより顔位置を認識する顔認識部と、
動画撮影時および静止画撮影時の双方で、前記発光部に光を照射させる発光制御部とを備え、
前記発光制御部は、動画撮影時には、前記発光部に照射させる光の輝度を、前記顔認識部により顔位置が認識されたことを条件として、静止画撮影時に前記発光部に照射させる光の輝度よりも低い輝度に制限するものであることを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
撮像素子を備え、該撮像素子上に被写体像を結像して画像信号を生成するとともに、撮影に先だって被写体に対するピント調整を行う撮影装置であって、
LEDを備え、該LEDを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部と、
撮影時およびピント調整時の双方で、前記発光部に光を照射させる発光制御部とを備え、
前記発光制御部は、ピント調整時には、前記発光部に照射させる光の輝度を、撮影時に前記発光部に照射させる光の輝度よりも低い輝度に制限するものであることを特徴とする撮影装置。
【請求項4】
前記画像信号を画像処理することにより顔位置を認識する顔認識部を備え、
前記発光制御部は、ピント調整時には、前記発光部に照射させる光の輝度を、前記顔認識部により顔位置が認識されたことを条件として、前記撮影時に前記発光部に照射させる光の輝度よりも低い輝度に制限するものであることを特徴とする請求項3記載の撮影装置。
【請求項5】
前記発光部は、撮影画角内が二次元的に分割された複数の照射領域それぞれに向けて独立に制御された光を照射するものであり、
前記発光制御部は、前記発光部に、ピント調整時には、前記複数の照射領域のうちの前記顔認識部により認識された顔位置に対応する照射領域への照射光の輝度を、該照射領域を除く照射領域への照射光の輝度よりも低い輝度に制限した光を照射させるものであることを特徴とする請求項4記載の撮影装置。
【請求項6】
撮像素子を備え、該撮像素子上に被写体像を結像して画像信号を生成するとともに、撮影に先だって被写体に対するピント調整を行う撮影装置であって、
LEDを備え、該LEDを発光することにより被写体に向けて光を照射する発光部と、
この撮影装置の撮影条件を人物の撮影に適する人物撮影モードを含む複数の撮影モードから任意の撮影モードを選択する撮影モード選択部と、
撮影時およびピント調整時の双方で、前記発光部に光を照射させる発光制御部とを備え、
前記発光制御部は、ピント調整時には、前記発光部に照射させる光の輝度を、該モード選択部により前記人物撮影モードが選択されたことを条件として、前記撮影時に前記発光部に照射させる光の輝度よりも低く制限するものであることを特徴とする撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−49572(P2007−49572A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233656(P2005−233656)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】