説明

撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置

【課題】撹拌混合時に共廻り防止機能を有効にし、ソイルセメント内での粘土塊の残留を減少させ、結果的に鋼管の建て込み不良を防止し、建て込み時間を短縮できる撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置を提供する。
【解決手段】オーガロッドの先端側では、内ロッド2Aの露出した先端部には、掘削翼及びこの掘削翼の上方の第1撹拌翼25が設けられ、この第1撹拌翼25は、内ロッド2Aから外周方向に延出して形成され、外ロッド3Aには、その先端部より上方に第2撹拌翼34が設けられ、この第2撹拌翼34は、外ロッド3Aから外周方向に延出して形成され、さらに、第1撹拌翼25から延出した第1補助翼25a〜25dと、この第1補助翼25a〜25dに対向するように第2撹拌翼34から延出した第2補助翼34a,34bとを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現位置の土(Soil)に、セメントミルク、ベントナイト液等の固化液を撹拌混合(Mixing)させて現場造成するソイルセメント造成工事の技術に関し、特にソイルセメント固化液を撹拌混合(Mixing)する際に用いる撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソイルセメントとは、土にセメント系固化材あるいはこれに水を加えて混合したものである。このソイルセメントを利用する工法としては、地盤改良工法、山留め工法、基礎杭工法、埋め戻し工法などがある。
【0003】
なお、これらのソイルセメント造成工法では通常、セメント系固化材(以下、単に「固化材」ともいう。)と水とを事前に混合したセメントミルクを土に添加する。
【0004】
次に、ソイルセメント造成工法のうち、基礎杭工法の概略を説明する。
【0005】
基礎杭工法は、(a)杭の位置出し、(b)機械・プラントの組立て、(c)鋼管の作成、(d)口元管の設置、(e)掘削・撹拌、(f)鋼管の建込み、等の工程により行われる。なお、(b)機械・プラントの組立てでは、杭打ち機を組み立てる作業と、ソイルセメントを作る材料である、セメントミルク、ベントナイト液等の固化液の量を調整するプラントを組み立てる作業を行う。
【0006】
(e)掘削・撹拌工程に用いられるオーガ(掘削撹拌装置)としては、図10に示すものが知られている。
【0007】
すなわち、杭打ち機(掘削撹拌機:図示せず)に回転および昇降自在に配置されたオーガロッド2には、先端(下部)側より上方に所定間隔をおいて掘削翼23及び複数(4本)の撹拌翼24,25,34,35,36がロッド軸方向に対して垂直方向に設けられている。
【0008】
また、オーガロッドは、互に回転可能な内ロッド2Aと外ロッド3Aの二重管ロッドに構成され、前記掘削翼23及び2本の撹拌翼24,25は外ロッド3Aより下方に突出した内ロッド2Aに設けられ、撹拌翼34,35,36は、外ロッド3Aに設けられている。そして、内ロッド2A側に設けられた掘削翼23及び撹拌翼24,25と、外ロッド3A側に設けられた撹拌翼34,35,36とは、互に反対方向に回転する。すなわち、図では、内ロッド2Aは右回り(時計回り)に回転し、外ロッド3Aは左回り(時計回り)に回転する。これは、内ロッド2Aと外ロッド3Aとを互に反対方向に回転させることで、撹拌及び共廻り防止を行うものである。なお、内ロッド2Aにおいて、撹拌翼24のロッド軸に対する取り付け角度は、掘削翼23及び掘削翼25とは、90度異なる位置に設けられている。また、外ロッド3Aにおいて、掘削翼35のロッド軸に対する取り付け角度は、撹拌翼34,36とは、90度異なる位置に設けられている。
【0009】
更に、掘削翼23付近のオーガロッド(内ロッド2A)にセメントミルクなどの固化材の噴出口50が設けられている。
【0010】
そして、(e)掘削・撹拌工程では、杭打ち機がオーガロッドに回転力及び給進力を与え、内ロッド2Aと外ロッド3Aとを互に反対方向に回転させ、掘削翼5で地面を掘削す
ると共に噴出口12よりセメントミルク、ベントナイト液等の固化液を噴出させ、更に現位置の土をセメントミルク、ベントナイト液等の固化液と共に撹拌翼24,25,34,35,36で撹拌していき、鋼管を建込む長さのソイルセメントの柱を作り出す。
【特許文献1】特開平5−33341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来の撹拌翼は、ロッド軸に対して水平方向に設置されているので、地盤が粘性土の場合は内ロッド2Aと外ロッド3Aとを互に反対方向に回転させるだけでは、共廻り防止が有効に機能せず、粘土塊がソイルセメント内に残留し、撹拌混合状態が悪くなり、ソイルセメント柱の強度が不十分となる不都合がある。
【0012】
また、(f)鋼管の建込み工程時に、撹拌不良から建込み(圧入)不良を引き起こす可能性も考えられる。
【0013】
更に、かかる不具合を回避するために従来は、撹拌時間、練り返し時間を増やさねばならなかった。
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みて為されたものであり、その解決しようとする課題は、撹拌混合時に共廻り防止機能を有効にし、ソイルセメント内での粘土塊の残留を減少させ、結果的に鋼管の建て込み不良を防止し、建て込み時間を短縮できる撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本発明の撹拌補助翼を備えたでは下記の手段を採用した。
【0016】
すなわち、本発明の撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置は、杭打ち機により回転および昇降自在に配置され、地中に向けて地盤を掘削するオーガロッドを備え、このオーガロッドの先端部に掘削翼及び固化材の噴出口を設けると共に、前記掘削翼の上方に複数の撹拌翼を設けて、前記掘削翼により掘削した現地土と前記固化剤とを撹拌混合させ、ソイルセメントを現場造成するソイルセメント造成装置において、
前記オーガロッドは、互に逆方向に回転可能な内ロッド及び外ロッドからなる二重管ロッドを含み、前記オーガロッドの先端側では、前記内ロッドが外ロッドの先端から露出し、
前記内ロッドの露出した先端部には、前記掘削翼及びこの掘削翼の上方の第1撹拌翼が設けられ、この第1撹拌翼は、内ロッドから外周方向に延出して形成され、
一方、前記外ロッドには、その先端部より上方に第2撹拌翼が設けられ、この第2撹拌翼は、外ロッドから外周方向に延出して形成され、
さらに、前記第1撹拌翼から延出した第1補助翼と、この第1補助翼に対向するように前記第2撹拌翼から延出した第2補助翼とを備え、
前記第1補助翼及び第2補助翼は、互いに接触しない間隔をおいて設けられ、それぞれの先端部がほぼ同一面の位置(あるいは、オーバーラップする位置)まで延出していることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、内ロッドと外ロッドとが互に反対方向に回転すると、互いの先端が同一面の位置(あるいは、オーバーラップする位置)まで延出している第1補助翼及び第2補助翼により、第1撹拌翼と第2撹拌翼の間に回り込む粘土塊を細かく砕くように作用するので、ソイルセメントの共廻りを防止すると共に粘土塊がソイルセメント内に残留するのを防止することができる。
【0018】
また、本発明の撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置において、前記第1補助翼と第2補助翼は、少なくとも何れかが複数設けられ、第1補助翼と第2補助翼が交互に並列していることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、例えば、前記内ロッド側の第1撹拌翼の片側より延設する第1補助翼が2本で、外ロッド側の第2撹拌翼の片側より延設する第2補助翼が1本で互いの先端がオーバーラップする位置に交互に並列している状態で互に反対方向に回転すると、第1撹拌翼と第2撹拌翼の間に回り込む粘土塊を一層細かく砕くことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、撹拌混合時に共廻り防止機能を有効にし、ソイルセメント内での粘土塊の残留を減少させ、結果的に鋼管の建て込み不良を防止し、建て込み時間を短縮できる撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置に適用した一実施例を示す。
【0023】
撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置は、無限軌道帯を備え、ソイルセメント合成杭を造成する位置まで適宜移動できるようにした可動式のベースマシンAに、多軸駆動装置Dを備えるようにしたものである。
【0024】
多軸駆動装置Dは、多軸駆動装置Dの昇降台本体1をベースマシンAに略鉛直に樹立するようにしたリーダLに昇降可能に支持するようにするとともに、リーダLの頂部に配設したシーブS1と、昇降台本体13に備えたシーブS2間に張架した索条Wの巻き取り、巻き戻し操作にて、昇降台本体13をリーダLに沿って昇降するようにする。
【0025】
そして、この多軸駆動装置Dは、昇降台本体1と、この昇降台本体1に油圧シリンダ等からなる扛上機12を介して接離方向に移動可能に取り付けた昇降フレーム13と、昇降台本体1に配設し、かつ2重管式ロッドの一方を構成する内管2を係止して回転駆動する内管駆動装置20と、昇降フレーム13に搭載支持し、2重管式ロッドの他方を構成し、内管2を挿通する外管3を係止して回転駆動する外管駆動装置30と、昇降フレーム13に搭載支持し、建込みの際に中空の鋼管4を係止して回転駆動する中空管駆動装置40とより構成し、かつ各駆動装置20,30,40の回転方向及び回転速度を、それぞれ独立して任意に設定できるように構成されている。
【0026】
この場合、多軸駆動装置Dの昇降台本体1には、上下方向にガイドレール11を設け、このガイドレール11に対して、ガイドローラ(図示省略)を介して上下方向に昇降可能に昇降フレーム13を支持するとともに、昇降台本体1及び昇降フレーム13間に取り付けた油圧シリンダ等からなる扛上機12を介して、昇降フレーム13をガイドレール11に導かれて所定の範囲、具体的には、500〜800mmの範囲で昇降移動できるようにしている。
【0027】
また、2重管式ロッド(オーガロッド)を構成する内管2及び外管3並びに鋼管4は、順次継ぎ足すことにより、所定深度のソイルセメント造成することができるようにしている。
【0028】
なお、内管2、外管3及び鋼管4の接続部の構造は、所定の回転力を伝達できるものであれば、特に限定されるものではなく、従来公知に任意の接続機構(内管2及び外管3の場合は、接続を解除することができるもの、また、鋼管4の場合は、溶接等の永続的に接続できるもの)を採用することができる。
【0029】
2重管式ロッドを構成する内管2及び外管3には、掘削翼23,第1撹拌翼24,25,第2撹拌翼34,35,36をそれぞれ取り付けて、地盤を掘削しながら、内管2の薬液供給孔50から杭孔内の掘削土に硬化性材料を注入、撹拌することができるようにしている。
[2重管式ロッド(オーガロッド)の説明]
次に、図9に基づき2重管式ロッドについて説明する。
【0030】
2重管式ロッドは、互に逆方向に回転可能な内ロッド2A及び外ロッド3Aからなり、前記2重管式ロッドの先端側では、内ロッド2Aが外ロッド3Aの先端から露出し、内ロッド2Aの露出した先端部には、掘削翼23及びこの掘削翼23の上方の第1撹拌翼24,25が設けられ、この第1撹拌翼24,25は、内ロッド2Aから外周方向に延出して形成されている。
【0031】
掘削翼23は、複数の掘削刃を有している。
【0032】
また、第1撹拌翼24,25は、平板状に形成されると共に、内ロッド2Aとの結合部分では水平位置より5〜10°程度傾斜した状態で結合している。
【0033】
一方、外ロッド3Aには、その先端部より上方に第2撹拌翼34,35,36が設けられ、この第2撹拌翼34,35,36は、外ロッド3Aから外周方向に延出して形成されている。また、第2撹拌翼34,35,36も、平板状に形成されると共に、外ロッド3Aとの結合部分では水平位置より5〜10°程度傾斜した状態で結合している。
【0034】
さらに、第1撹拌翼25から延出した第1補助翼25a〜25dと、この第1補助翼25a〜25dに対向するように第2撹拌翼34から延出した第2補助翼34a,34bとを備えている。そして、第1補助翼25a〜25d及び第2補助翼34a,34bは、互いに接触しない間隔をおいて設けられ、それぞれの先端部がオーバーラップする位置まで延出している。なお、それぞれの先端部は、オーバーラップする構成に限定されるものではなく、それぞれの先端部がほぼ同一面の位置まで延出している構成であればよい。
【0035】
また、この実施の形態では、4本の第1補助翼25a〜25dと2本の第2補助翼34a,34bが交互に並列している。なお、第1補助翼及び第2補助翼の数は4本、2本に限定されるものではなく、第1補助翼と第2補助翼が、少なくとも何れが複数設けられ、第1補助翼と第2補助翼が交互に並列している構成であればよい。
【0036】
また、2重管式ロッドは、図9に示すように、内ロッド2Aが右回り(時計回り)に回転し、外ロッド3Aが左回り(時計回り)に回転する。これは、内ロッド2Aと外ロッド3Aとを互に反対方向に回転させることで、撹拌及び共廻り防止を行うものである。なお、内ロッド2Aにおいて、撹拌翼24のロッド軸に対する取り付け角度は、掘削翼23及び掘削翼25とは、90度異なる位置に設けられている。また、外ロッド3Aにおいて、掘削翼35のロッド軸に対する取り付け角度は、撹拌翼34,36とは、90度異なる位置に設けられている。
【0037】
更に、掘削翼23付近の2重管式ロッド(内ロッド2A)にセメントミルクなどの固化材の噴出口50が設けられている。
【0038】
更に、硬質の中間層及び硬質の支持層でも確実に掘削撹拌することができるように、二重管ロッドのうち外ロッド3Aより下方に突出する内ロッド2Aの下端(先端)を円錐状に形成している。
【0039】
また、ソイルセメント合成杭を造成する際に、昇降台本体1及び昇降フレーム13間に取り付けた油圧シリンダ等からなる扛上機12を駆動することにより、昇降フレーム13を昇降台本体1に対して所定距離だけ降下させることにより、鋼管等からなる中空管4を内管2及び外管3から構成される2重管式ロッドに対して降下させ、中空管4の内径よりも大径に形成された掘削撹拌翼24,25,34を中空管4の下端に当接、揺動させ、2重管式ロッドを中空管4より引き抜いて、地盤中に中空管4を残留させることにより、ソイルセメント合成杭を造成することができるようにしている。
【0040】
昇降台本体1に配設する内管駆動装置20は、1台の油圧モータ21(この場合、内管駆動装置20は、必要に応じて、2台以上の油圧モータで以て構成することができる。)と、この油圧モータ21から歯車等の動力伝達手段(図示省略)を介して接続されるロータリー22とより構成し、このロータリー22に、内管2の上端を保持するチャッキング装置を配設して、内管2(本実施例においては、内管2及び外管3)にかかる軸方向力を昇降台本体1により支持するようにし、これにより、内管2(本実施例においては、内管2及び外管3)を昇降台本体1に吊垂支持された状態で、昇降台本体1と共に昇降できるようにする。
【0041】
また、昇降フレーム13に配設する外管駆動装置30は、図7に示すように、2台の油圧モータ31,31(この場合、外管駆動装置30は、必要に応じて、1台又は3台以上の油圧モータで以て構成することができる。)と、この油圧モータ31,31に取り付けた駆動ギア32,32と、駆動ギア32,32と噛合されて回転する環状のカラー33とより構成する。そして、環状のカラー33は、上部の外周面に形成した外歯33aを、駆動ギア32の歯32aと噛合するようにし、さらに、カラー33の内周面に内歯33bを形成し、この内歯33bに、カラー33に挿通した外管3(外管の延長部材3B)の上部の外周面に形成した外歯3aを噛合するようにすることにより、カラー33と外管3が上下方向に相対的に移動しても、カラーの内歯33bと外管3の外歯3aが常に噛合した状態で、カラー33と外管3が相対的に摺動移動可能とし、これにより、油圧モータ31の回転駆動力を、駆動ギア32及び歯33a,33bを備えたカラー33を介して、外管3に伝達できるようにしている。
【0042】
また、昇降フレーム13に配設する中空管駆動装置40は、図8に示すように、2台の油圧モータ41,41(この場合、中空管駆動装置40は、必要に応じて、1台又は3台以上の油圧モータで以て構成することができる。)と、この油圧モータ41,41に取り付けた駆動ギア42,42と、駆動ギア42の歯42aに噛合する外歯43aを備えた環状のギア43と、この環状のギア43の下部に取り付けてギア43と共に回転するロータリー44と、ロータリー44の下部に固定したホルダー45とより構成する。そして、ロータリー44は、油圧モータ41の回転駆動力を、駆動ギア42及び環状のギア43を介して、ロータリー44の下部に固定したホルダー45に伝達するようにし、ホルダー45に、鋼管4の上端部を係止することにより、回転駆動できるようにするとともに、鋼管4にかかる軸方向力を昇降フレーム13により支持するようにし、これにより、鋼管4を昇降フレーム13に吊垂支持された状態で、昇降フレーム13と共に昇降できるようにする。
【0043】
このように、本実施例においては、昇降フレーム13に、外管駆動装置30を構成する2台の油圧モータ31,31と鋼管駆動装置40を構成する2台の油圧モータ41,41
を互いに干渉しないように配設し、カラー33又は環状のギア43を介してロータリー44側に伝達するようにしているので、所定の大きなトルクを簡易に得ることができるできるとともに、駆動装置のバランスを良好にできる。
【0044】
次に、この補助翼を備えたソイルセメント造成装置を用いて、ソイルセメント合成杭を造成する方法について説明する。
【0045】
多軸駆動装置Dの昇降台本体1をベースマシンAに略鉛直に樹立するようにしたリーダLに昇降可能に支持するようにするとともに、リーダLの頂部に配設したシーブS1と、昇降台本体13に備えたシーブS2間に張架した索条Wの巻き取り、巻き戻し操作にて、昇降台本体13をリーダLに沿って昇降するようにする。3軸駆動装置Dの内管駆動装置20のロータリー22に2重管式ロッド(オーガロッド)の一方を構成する内管2を、また、外管駆動装置30のカラー33に2重管式ロッドの他方を構成する外管3を係止し、2重管式ロッドを構成する内管2及び外管3を同軸上に同心性を維持して設置するようにする。そして、図1に示すように、ベースマシンAを、ソイルセメント合成杭を造成する位置まで移動してセットする。
【0046】
次に、2重管式ロッドを構成する内管2及び外管3の各駆動装置20,30の油圧モータ21,31の回転方向及び回転速度を、地盤の性状等に応じて、それぞれ独立して任意に設定し、掘削翼23,第1撹拌翼24,25,第2撹拌翼34,35,36をそれぞれ取り付けた内管2及び外管3により地盤を掘削しながら、内管2の薬液供給孔50から杭孔内の掘削土に硬化性材料を注入、撹拌するとともに鋼管4を押し込み、所定深度まで掘削した後、地盤中に鋼管4を建て込ませることにより、ソイルセメント合成杭を造成するようにする。
【0047】
そして、この実施の形態の構成によれば、内ロッド2Aと外ロッド3Aとが互に反対方向に回転すると、互いの先端が同一面の位置(あるいは、オーバーラップする位置)まで延出している第1補助翼及び第2補助翼により、第1撹拌翼と第2撹拌翼の間に回り込む粘土塊を細かく砕くように作用するので、ソイルセメントの共廻りを防止すると共に粘土塊がソイルセメント内に残留するのを防止することができる。
【0048】
また、この実施の形態の構成によれば、内ロッド側の第1撹拌翼の片側より延設する第1補助翼が2本で、外ロッド側の第2撹拌翼の片側より延設する第2補助翼が1本で互いの先端がオーバーラップする位置に交互に並列している状態で互に反対方向に回転すると、第1撹拌翼と第2撹拌翼の間に回り込む粘土塊を一層細かく砕くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置に適用した一実施例を示す正面図である。
【図2】多軸駆動装置を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】多軸駆動装置の昇降台本体より昇降フレームが離間した状態を示し、(A)は正面図、(B)はその側面図である。
【図4】多軸駆動装置の昇降台本体に内管を取り付けた状態を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図5】多軸駆動装置の昇降フレームに外管を取り付けた状態を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図6】多軸駆動装置の昇降フレームに中空管を取り付けた状態を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図7】外管駆動装置を示し、(A)は正面図、(B)はB−B線による断面図である。
【図8】中空管駆動装置を示し、(A)は正面図、(B)はC−C線による断面図である。
【図9】撹拌補助翼を備えた2重管式ロッド(オーガロッド)の外形図である。
【図10】従来の2重管式ロッド(オーガロッド)の外形図である。
【符号の説明】
【0050】
A ベースマシン
D 多軸駆動装置
L リーダ
W 索条
1 昇降台本体
12 扛上機
13 昇降フレーム
2 内管
2A 下端部材
2B 延長部材
2C 中間部材
20 内管駆動装置
21 油圧モータ
22 ロータリー(内管チャッキング装置)
23 掘削翼
24,25 第1撹拌翼
25a〜25d 第1補助翼
26 係止具
3 外管
3A 下端部材
3B 延長部材
30 外管駆動装置
31 油圧モータ
32 駆動ギア
33 カラー
34,35,36 第2撹拌翼
34a,34b 第2補助翼
4 鋼管
40 鋼管駆動装置
41 油圧モータ
42 駆動ギア
43 ギア
44 ロータリー
45 ホルダー
50 薬液供給孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭打ち機により回転および昇降自在に配置され、地中に向けて地盤を掘削するオーガロッドを備え、このオーガロッドの先端部に掘削翼及び固化材の噴出口を設けると共に、前記掘削翼の上方に複数の撹拌翼を設けて、前記掘削翼により掘削した現地土と前記固化剤とを撹拌混合させ、ソイルセメントを現場造成するソイルセメント造成装置において、
前記オーガロッドは、互に逆方向に回転可能な内ロッド及び外ロッドからなる二重管ロッドを含み、前記オーガロッドの先端側では、前記内ロッドが外ロッドの先端から露出し、
前記内ロッドの露出した先端部には、前記掘削翼及びこの掘削翼の上方の第1撹拌翼が設けられ、この第1撹拌翼は、内ロッドから外周方向に延出して形成され、
一方、前記外ロッドには、その先端部より上方に第2撹拌翼が設けられ、この第2撹拌翼は、外ロッドから外周方向に延出して形成され、
さらに、前記第1撹拌翼から延出した第1補助翼と、この第1補助翼に対向するように前記第2撹拌翼から延出した第2補助翼とを備え、
前記第1補助翼及び第2補助翼は、互いに接触しない間隔をおいて設けられ、それぞれの先端部がほぼ同一面の位置まで延出していることを特徴とする撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置。
【請求項2】
前記第1補助翼と第2補助翼は、それぞれの先端部がオーバーラップする位置まで延出していることを特徴とする請求項1に記載の撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置。
【請求項3】
前記第1補助翼と第2補助翼は、少なくとも何れかが複数設けられ、第1補助翼と第2補助翼が交互に並列していることを特徴とする請求項1又は2に記載の撹拌補助翼を備えたソイルセメント造成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−255133(P2007−255133A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83341(P2006−83341)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【出願人】(000157289)丸五基礎工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】