説明

操作弁

本発明は、圧力調理器の操作弁であって、可動の球状密封要素と、弁座としての円錐状面と、調整可能な圧縮力を球状密封要素に印加する圧縮ばねと、を有する操作弁、に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調理器の操作弁、圧力調理器、および圧力弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧力調理器は、操作弁および安全弁を有する。公知の圧力調理器においては、通常、穏やかな調理段階Iおよび高速調理段階IIに対応する2つの異なる圧力レベルを、調理段階セレクタによって調理器において調整することができる。この場合、操作弁は圧力制御機能を有する。特定の調理段階の圧力を超えると操作弁が開き、したがって蒸気が調理器から逃げることができる。公知の弁においては、例えば、金属の密封部品がプラスチックの上に着座している。このような操作弁は、調理手順の開始時に蒸気を逃がすことのできる一体化された球状弁をさらに備えていることも可能である。この弁は、調理器内の特定の内圧において閉じ、したがって、調理器内に高圧を生じさせることができる。この弁は、同時に、真空保護としても使用することができ、調理器内が真空になった場合に、球状弁が開いて空気が内側に流れ込むことができる。操作弁に加えて設けられている安全弁は、例えば、自動的には逆進しない圧力弁(not self-reversing pressure valve)であり、過圧保護、統合された自動蒸気抜き、統合された真空保護としても機能する。
【0003】
操作弁の応答特性には厳密な国際規格が存在する。調理段階Iにおける漏れ開始圧力(start-to-leak pressure)は、例えば40kPa(0.4bar)であり、調理段階IIにおいては、例えば80kPa(0.8bar)である。この場合、国のいくつかの規定に対応して、±20kPa(±0.2bar)の最大許容差が認められる。公知の弁の応答特性および安定特性は、必ずしも所定の許容差に正確に従うことはできず、したがって、漏れ開始圧力から安定圧力までの大きな圧力差が要求される。
【0004】
公知の操作弁においては、密封面がプラスチックまたはゴムからなり、ゴムやプラスチックは時間とともに劣化するため精度がさらに影響を受け、したがって、これにより十分な応答精度も得ることができない。さらには、大きな密封面では閉弁力が高くなり、したがって、調理器において異なる調理段階に対して設定メカニズムを操作しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この状況を鑑み、本発明の目的は、改善された応答特性および安定化特性を示す操作弁と、そのような操作弁を有する圧力調理器と、圧力弁と、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、この目的は、請求項1、請求項11、および請求項16によって達成される。
【0007】
弁座としての円錐状面と組み合わせて球状密封要素を採用することによって、弁の応答特性を本質的に改善することができる。±20kPa(±0.2bar)未満の許容差を高い信頼性で守ることができる。この場合、球状密封要素とは、密封のため円錐状面の上に着座する1つの球状部分を少なくとも備えている密封要素として定義する。
【0008】
これにより、球状密封要素と弁座との間の密封面が小さくなり、応答特性にプラスに影響する。上述した設計によって、本弁は、漏れ開始圧力に達したときに迅速に開くのみならず、温度が下がった後、再び迅速に閉じる。さらに、本発明による設計のさらなる利点として、逃げる蒸気によって自己クリーニング効果が得られ、したがって、操作弁が汚れたり、べたついたりしない。さらには、滑らかな円錐状の密封面には、公知の弁よりも付着する汚れが少なく、公知の弁は密封領域に縁部および角部を有し、そこに汚れが付着しうるが、食品に関してこの状況は許容されない。
【0009】
調整可能な圧縮力を球状密封要素に印加する圧縮ばねは、トーションバースプリングであることが有利である。したがって、把持部における操作要素から球状密封要素に単純な方法で圧力を伝えることができる。
【0010】
操作弁の設計により環状の密封面が小さいため、従来技術と比較して、閉弁力を明らかに減少させることができる。これによる利点として、操作要素をより容易に作動させることができ、さらには、より柔らかいトーションバースプリングを使用することができる。圧縮力は、例えば、(調理段階IIまで)最大で0〜5Nの範囲内とすることができる。この場合、より柔らかいばねは、例えば、1〜1.4mmのより小さい直径を有することができ、これは有利である。
【0011】
極めて良好な応答特性は、円錐面が、30°〜40°、好ましくは32°〜37°、特に35°の角度αにおいて、円錐状に広がっているときに得られる。この場合、漏れ開始圧力の許容差として±5kPa(±0.05bar)以下を達成することができる。
【0012】
この構造は、球状密封要素および円錐面が金属、特に、ステンレス鋼からなる場合、応答特性に対する特に有利な効果を有する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によると、操作弁は、弁箱と、円錐面を備えているバルブコア(valve core)とを有する。このようなバルブコアの利点として、弁箱とバルブコアとに異なる材料を使用することができる。この場合、バルブコアを弁箱に単純に挿入し、例えば挟み込むことで、または留め具によって、固定することができる。
【0014】
この場合、弁箱は、例えば、可撓性のプラスチック、特にシリコーンから形成することができる。その利点として、弁箱が柔軟性を備え、したがって、例えば弁箱を調理器の蓋体の内側から調理器の蓋体の開口部を通じて容易に押し込んで、開口部自体を密封することができる。例えば、弁箱の可撓性材料がたとえ経年劣化しても、バルブコア(例えば金属からなる)は、最初の密封特性を維持することができる。弁箱の材料としてシリコーンが使用されるならば特に有利であり、なぜなら、シリコーンは食品に対して安全であり、何らの軟化剤(食品化学に関して影響が懸念される)も含んでいないためである。
【0015】
さらに、可撓性の弁箱を透明な材料、特に、透明なシリコーンから形成することが、特に有利であり、なぜなら、このような材料からは食品化学に関して影響が懸念される顔料が漏れ出すことがないためである。さらには、半透明の材料が特に適しており、なぜなら、使用者は弁の内側がひどく汚れているかを一目で確認できるためである。
【0016】
球状密封要素を、密封面として1つの球状要素を少なくとも備えている上側領域と、上側領域に隣接する棒状の延長部と、を有するピン付き弁体(valve pin)、として具体化することは、特に適していることが判明した。
【0017】
この延長部は、弁箱における貫通開口部の中に延びていることができ、したがって、球状面の位置を安定させることができる。さらには、球状密封要素をピン付き弁体の構造とすることによって、球体と比較して、この密封要素の取り扱いを容易にすることができる。球状密封要素を正しく配置することによって、例えば圧縮ばねが押し付けられる上面がつねに弁の長手軸線に垂直に正しく向くようにすることができ、したがって圧力が一様に分布し、これによって応答特性が向上する。
【0018】
貫通開口部が弁箱を貫いて延在しており、バルブコアは少なくとも上部領域に収容されている。弁箱は、本質的に半径方向に外部まで延在しており貫通開口部に連通している少なくとも1つの開口部、を備えていることが有利である。この開口部は、操作弁の下部領域における開口部が食品によって閉じた場合に、蒸気がこれらの開口部を通じて外部に逃げることができるようにする。
【0019】
弁箱の中の棒状の延長部は、浮いていることが有利である。
【0020】
本発明による圧力調理器は、操作弁が挿入される蓋体を備えている。さらには、圧力調理器の蓋体は、圧力弁を備えている。
【0021】
圧力弁は、特に、球体と、圧縮ばねと、弁箱と、弁座としての円錐状面と、外側から弁箱の外周に押し込まれるシールリングと、によって具体化されており、弁箱は上部カラーを備えている。圧力弁は、蓋体がカラーとシールリングとの間に位置しているように、蓋体の開口部内に配置されており、圧力弁は蓋体において垂直方向に動くことができる。
【0022】
すなわち、操作弁の機能が、圧力段階および蒸発の調整に限定されており、圧力弁は、その設計により、自動蒸気抜き、過圧保護(p>150kPa(1.5bar))、および真空防止の機能を果たす。この場合も、球体と、弁座としての円錐面とを有する圧力弁の設計により、圧力弁の応答特性を明らかに改善することができる。球体と、弁座の円錐面は、この場合にも金属からなる。円錐面が広がる角度も、好ましくは30°〜40°、より好ましくは33°〜37°、特に35°である。
【0023】
弁箱には、シールリングの上に少なくとも1つの開口部が半径方向に延在している。
【0024】
以下では、本発明について図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による操作弁の側面図を概略的に示している。
【図2】図1に示した操作弁の縦断面図を概略的に示している。
【図3】本発明による操作弁を斜視図として示している。
【図4】本発明による操作弁の断面斜視図を示している。
【図5】本発明による操作弁の分解図を示している。
【図6】本発明による圧力弁の側面図を概略的に示している。
【図7】図6に示した圧力弁の縦断面図を示している。
【図8】図6および図7に示した圧力弁を斜視図として示している。
【図9】本発明による圧力弁の断面を斜視図として示している。
【図10】本発明による圧力弁の分解図を示している。
【図11】本発明による圧力調理器を概略的に示している。
【図12】図11に示した圧力調理器の蓋体の断面を示している。
【図13】本発明による圧力調理器の蓋体の底面から見た平面図を概略的に示している。
【図14】ピン付き弁体として構成されている球状密封要素の縦断面図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図11は、圧力調理器を概略図として示しており、この圧力調理器は、調理器37と、蓋体34と、上側把持部33aおよび下側把持部33bからなる把持部と、を備えている。この場合、把持部は、スライドの形の操作要素38を備えており、この操作要素によって、トーションバースプリング(図12を参照)を利用して、調理段階に対応する操作弁1の漏れ開始圧力を調整することができ、例えば、調理段階I(20〜30kPa(0.2〜0.3bar)の範囲内の所定の圧力値に対応する)または調理段階II(80〜90kPa(0.8〜0.9bar)の範囲内の所定の圧力値に対応する)である。さらには、操作要素によって蒸気を抜く、および調理器を開くこともできる。
【0027】
図1〜図5は、本発明による操作弁1の可能な実施形態を示している。図から理解できるように、操作弁1は弁箱2を備えており、弁箱2は、好ましくは透明なプラスチック、特に、可撓性のシリコーンから形成されている。シリコーンのショア硬さは、例えば60°±5°である。弁箱2は、透明な材料から形成されていることが有利であり、その利点として、使用者は操作弁1の内側の汚れにすぐに気付くことができる。さらには、シリコーンは、食品化学に関して影響が懸念される何らの物質も備えておらず、半透明な材料には何らの顔料も含まれていない。さらには、シリコーンは、完全な耐熱性である。弁箱2は、中心軸線Lに沿って上部から下部まで延在する貫通開口部12を有する。弁箱は、その外側領域に、環状の溝14と、溝の下に位置している環状リップ部と、溝14の上に配置されている突環部16と、を備えている。溝14ならびにリップ部15および突環部16は、特に図12から理解できるように、弁本体を蓋体34の底面から蓋体の対応する開口部を通じて挿入することができ、そのとき蓋体が溝14に収まり、環部16およびリップ部15によって固定されて密封されるように、設計されている。したがって、操作弁1は、洗浄を目的として容易に挿入および取り外すことができる。
【0028】
特に、図2、図4、および図5から理解できるように、バルブコア3が弁箱2に挿入されており、弁箱2は、中空の設計を有し、その内側に弁座5としての円錐面を有する。バルブコア3は、その上端部および下端部に環状突出部10aおよび10bを備えており、これらの突出部10a,10bによってバルブコア3を可撓性の弁箱2内に固定することができる。バルブコア3は、金属、特に、光沢ステンレス鋼からなることが有利である。バルブコア3は、貫通開口部12の少なくとも上部領域に延在している。弁箱2の上部領域には、貫通開口部12の内側にリブ11が存在しており、このリブ11は、バルブコアの挿入と、蓋体34の中への完成した操作弁1の組立てを容易にする。
【0029】
図2、図4、および図5において理解できるように、矢印の方向に可動である球状密封要素4が、バルブコア3の中に設けられている。球状密封要素4は、球体として具体化することができるが、この実施形態では、特に図14においても明らかであるように、密封のため円錐面5に密着する少なくとも1つの球状部分を備えている。図14は、上側領域において、仮想球体50の断面を示しており、影の付いた部分は密封面7として機能することができる。この実施形態においては、球状密封要素4はピン付き弁体として具体化されており、上側領域8aの横の棒状延長部8bをさらに備えている。球状密封要素4の上端部には円形面6が設けられており、その寸法kは、本質的に仮想球体の直径d±10%に相当する。下側領域8bの高さhは、少なくとも1.5dである。下側領域8bの直径bは、仮想球体50の直径dよりも小さい。下側領域8bは、その下端部に環状突縁部19を備えている。
【0030】
球状密封要素4は、弁箱2に上から挿入することができる。貫通開口部12は、バルブコア3の下にいくつかのリブ13を備えており、これらのリブ13は、貫通開口部12の内周に分布しており、軸線Lに沿った方向に延在しているが、対向するリブ13の距離は、球状密封要素4の下側領域8bの寸法bよりも大きく、したがって、この実施形態では球状密封要素4は浮いている。縦リブ13は、貫通開口部12の下端部まで完全には延在していない。球状密封要素4の突縁部19(その直径は対向する可撓性縦リブ13の間の距離よりも大きい)によって、球状密封要素4は弁箱2の中に保持され、独力で上部から滑り出ることはできない。したがって、球状密封要素4を弁箱の中に正しく配置することができ、したがって、上面6を長手軸線Lに本質的に垂直に向けることができ、トーションバースプリングから面6に一様な圧力をかけることができる。閉じた状態においては、面6はバルブコアの突出部10aを超えて突き出さない。球状密封要素4も、金属、特に、ステンレス鋼からなることが有利である。
【0031】
弁箱2は、バルブコア3の下に少なくとも1つの開口部9を備えており、この開口部9は、本質的に半径方向に外部まで延在しており、貫通開口部12に連通している。したがって、弁箱の下部開口部が食品によって覆われても、蒸気は開口部9を通じて外部に出ることができる。
【0032】
球状密封要素は、金属、特に、光沢ステンレス鋼からなる。
【0033】
操作弁1の設計によって、特に、球状密封要素4と、弁座5としての円錐面とによって、弁の応答特性を明らかに改善することができる。したがって、弁が完全に開くまでの漏れ開始圧力の±0.2barの許容差を達成することができる。円錐面が広がる角度αが、30°〜40°の範囲内、好ましくは33°〜37°または35°±0.5°である場合、特に良好な応答特性が得られる。このような配置構造によって、さらに±5kPa(±0.05bar)の許容差を達成することもできる。
【0034】
球状密封要素の直径dは、6〜9mmの範囲内であることが好ましい。弁座の円錐面の下部の直径は、球体が下縁部70より上の面に着座するように十分に小さく選択されている。環状の密封面7が小さいため、圧縮ばね21に要求される閉弁力が低い。面6を押すトーションバースプリング21(図12を参照)に要求されるのは、段階II、内圧90kPa(0.9bar)において、例えば9.5Nではなく、わずかに4.15Nである。段階Iでは、30kPa(0.3bar)の過圧において閉弁力は例えば1.4Nである。したがって、閉弁力は、最大で約5Nまでの範囲内である。内圧150kPaでは、閉弁力は6.9Nである。このため、トーションバースプリングは、明らかに柔らかく具体化することができ、例えば、好ましくは1〜1.4mmの範囲内の、より小さい直径を有する。トーションバースプリングの長さは、50〜90mmの範囲内(好ましくは75mm)であり、その材料としては、ばね鋼、特に、ばね鋼としての剛性率Gが特に例えば73000N/mmであるニロスタばね鋼(1.4310)が適している。このような柔らかいばねは、例えば、ばね定数、すなわち、ねじり角度に対するねじりモーメントの比として、ねじり角度あたり10Nmm未満、特に、ねじり角度あたり1〜7Nmmを有することができる。
【0035】
閉弁力が低いため、調理器の把持部における操作装置(すなわちスライド38)も、より容易に作動させることができる。円錐面の幾何形状および球状密封要素の結果として、蒸気を逃がすことによるクリーニング効果が得られ、したがって、滑らかな表面に汚れが付着せず、これによって弁が安定的に機能する。
【0036】
すでに前述したように、球状密封要素4にばね力が印加されており、調理器において特定の漏れ開始圧力に達したときに操作弁が開く。
【0037】
図12、図13、および図6〜図10から明らかであるように、圧力調理器は、操作弁とは別に、圧力弁20をさらに備えている。この自動的に逆進する圧力弁は、過圧保護、自動蒸気抜き、および真空防止として機能する。図6から理解できるように、この弁20も、貫通開口部41を有する弁箱24を備えている。弁箱24は、金属、特に、光沢ステンレス鋼からなることが好ましい。圧力弁は、ばね22によって圧力が印加される球体23を備えている。ばね22は、円錐ばねとして具体化されており、熱処理されており、上部に向かって直径がしだいに増していることが好ましい。弁箱24の貫通開口部41は、弁座としての円錐面28を備えている。密封のため球体が円錐面に乗っており、球体の直径(例:4〜6mm)および円錐面の下部の直径は、球体が下縁部71より上の面28に着座するようにされている。
【0038】
円錐領域の端部または下縁部は、丸められている。球体は、金属、特に、光沢ステンレス鋼からなる。
【0039】
弁箱24は、その上端部における環状突縁部27と、例えばシリコーンのシールリング30とを有し、シールリング30は環状溝にすべらせて配置されている。この圧力弁は、蓋体の上面から蓋体における開口部に挿入し(図12)、縁部27によって蓋体に着座させる。次いで、シールリング30を底面から溝に押し込む。したがって、蓋体34がシール30と突縁部27との間に位置する。したがって、図6に矢印によって示したように、圧力弁は蓋体34における蓋孔部(lid bore)内で上下に動くことができる。
【0040】
操作弁と同様に、円錐面28の角度βは、好ましくは30°〜40°、特に、33°〜37°である。応答特性に関する最良の結果は、35°±0.5°において得られる。上部領域には、シールリング30の上に、半径方向に外部まで延在する少なくとも1つの開口部31が設けられている。この横方向の開口部は、誤った取付けおよび通気を防止する。
【0041】
圧力弁の製造および組立てにおいては、最初に、球体23およびばね22を、弁箱24の上側開口部を通じて弁箱24の中に挿入する。このとき、弁箱24の上面において縁部42が上向きに突き出す。球体およびばねを組み立てた後、縁部42は内側に収容され、ばねは張力がかかった状態に保持される。あらかじめ決定されている、球体23に作用するばね力は、一定である。
【0042】
特に図12および図13において理解できるように、操作弁1および圧力弁20は、蓋体の上面の上に延在している把持部33aの底面の凹部に配置されており、この部分には蒸気を放出するための外部に通じる開口部が設けられている。
【0043】
本発明による圧力調理器12は、以下のように機能する。
【0044】
最初に、加熱する食品を、液体(水)と一緒に調理器37に入れ、蓋体を、公知の方法で(例えば、バヨネット固定(bayonet catch)およびロックメカニズム36によって)閉じる。スライド38または操作要素38によって、特定の調理段階を調整し、したがって、その調理段階に対応して、圧力ばね21によって球状密封要素4の面6に対応するばね力がかかる。調理器内の圧力は、調理段階Iにおいては、例えば、20〜30kPaの範囲内の圧力値に相当し、調理段階IIにおいては、80〜90kPaの範囲内の圧力値に相当する。この時点で、ばね21によってばね力が印加されている球状密封要素4は、下側の閉位置にあり、したがって操作弁1が閉じている。
【0045】
調理器内が通常圧力であるため、圧力弁20は、図6に示したように、縁部27が蓋体34に乗っている位置にある。球体23(ばね22によって圧力が印加されており、円錐面28に乗っている)によって、弁20は閉じた状態に維持されている。
【0046】
調理器を加熱することによって、水が蒸発し、調理器内の圧力が上昇する。蒸気は、圧力弁の開口部31と、蓋孔部と圧力弁との間の環状の隙間とを通じて、外部に逃げることができる。調理器内の圧力が特定の圧力(例:4kPa(0.04bar))まで上昇すると、図6に矢印によって示したように、圧力弁が上方に動き、したがってシール30が蓋体の下縁部に密着し、開口部または蓋孔部が密封される。
【0047】
このとき調理器をさらに加熱すると、調理器内の圧力を高めることができる。
【0048】
調理器の中が、選択された漏れ開始圧力(段階IまたはII)に達すると、図2に矢印によって示したように、球状密封要素4が上方に動き、弁1が開く。上述した本発明による設計によって、操作弁は、許容差が±20kPa(0.2bar)未満の極めて良好な応答特性を有する。
【0049】
それにより温度が下がり、したがって圧力が操作弁1の漏れ開始圧力以下に再び下がる。
【0050】
本発明による操作弁1の設計により、応答特性が従来技術よりも良好であるため、漏れ開始圧力に達したときにも弁は再び極めて迅速に閉じることができる。
【0051】
調理器の内側の圧力は、圧力表示器32によって識別することができる。この場合、公知の方法においてシリンダが圧力に応じて上に上昇する。
【0052】
調理器内の圧力が特定の制限値(例:1.5bar)よりも高くなると、圧力弁20が開き、ばね22に対抗して球体が上向きに押され、したがって蒸気が逃げることができる。
【0053】
調理工程を終了するときには、操作要素38およびばね21によって球状密封要素4から圧力を解放することができ、したがって蒸気が操作弁1を通じて逃げることができ、調理器の蓋体を通常の圧力において開くことができる。圧力が下がると、圧力弁20も下向きに沈み、したがって、縁部27が蓋孔部の周囲の蓋体34に乗る。このように、調理器内の真空も防止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力調理器(60)の操作弁であって、
可動の球状密封要素(4)と、
弁座(5)としての円錐状面と、
前記球状密封要素(4)に調整可能な圧縮力を印加する圧縮ばね(21)と、
を有する、操作弁。
【請求項2】
前記圧縮ばね(21)がトーションバースプリングであることを特徴とする、
請求項1に記載の操作弁。
【請求項3】
前記トーションバースプリング(21)の前記圧縮力を、少なくとも2つの圧力段階に調整することができ、0〜5Nの範囲内で調整可能とすることができる、ことを特徴とする、
請求項2に記載の操作弁。
【請求項4】
前記弁座(5)の表面が、30°〜40°、好ましくは33°〜37°、特に35°の角度αにおいて、円錐状に広がっていることを特徴とする、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の操作弁。
【請求項5】
前記球状密封要素(4)および前記弁座(5)が金属からなることを特徴とする、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の操作弁。
【請求項6】
前記操作弁(1)が、前記弁座(5)を備えているバルブコア(3)を有する弁箱(2)、を備えていることを特徴とする、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の操作弁。
【請求項7】
前記弁箱(2)が、可撓性の、好ましくは透明なプラスチック、特に、シリコーン、からなることを特徴とする、
請求項6に記載の操作弁。
【請求項8】
前記球状密封要素(4)が、密封面(7)としての球状部分を備えている上側領域(8a)と、棒状の延長部(8b)と、を有するピン付き弁体、として具体化されていることを特徴とする、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の操作弁。
【請求項9】
前記弁箱(2)が、前記弁箱(2)を貫いて延在している貫通開口部(12)を備えており、前記貫通開口部(12)の中、少なくとも上部領域に、前記バルブコア(5)が受け入れられており、前記弁箱が、本質的に半径方向に外部まで延在しており前記貫通開口部(12)に連通している少なくとも1つの開口部(9)、を備えている、ことを特徴とする、
請求項1から請求項8のいずれかに記載の操作弁。
【請求項10】
前記棒状の延長部(8b)が前記弁箱(2)の中で浮いていることを特徴とする、
請求項1から請求項9のいずれかに記載の操作弁。
【請求項11】
圧力調理器であって、前記圧力調理器の蓋体(34)に、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の操作弁が挿入されており、前記蓋体が、前記圧力調理器内の所定の圧力において開く圧力弁(20)、をさらに備えている、圧力調理器。
【請求項12】
前記圧力弁(20)が、球体(23)と、圧縮ばね(22)と、弁座としての円錐状面(28)を有する弁箱(24)と、を備えており、前記弁箱(24)が上部環状突縁部(27)を備えており、前記圧力弁(20)が、前記蓋体が前記環状突縁部(27)と密封リング(30)との間に位置するように、前記蓋体(34)の開口部の中に配置されており、したがって、前記圧力弁(20)が前記蓋体(34)において垂直方向に動くことができる、ことを特徴とする、
請求項11に記載の圧力調理器。
【請求項13】
前記球体(23)および前記円錐面(28)が金属からなることを特徴とする、請求項12に記載の圧力調理器。
【請求項14】
前記表面(28)が、30°〜40°、好ましくは33°〜37°、特に35°の角度αにおいて、円錐状に広がっていることを特徴とする、
請求項12または請求項13に記載の圧力調理器。
【請求項15】
半径方向に延在する少なくとも1つの開口部(31)が、前記密封リング(30)の上に、前記弁箱(24)に形成されていることを特徴とする、
請求項11から請求項13のいずれかに記載の圧力調理器。
【請求項16】
圧力調理器(60)の圧力弁であって、
球体(23)と、圧縮ばね(21)と、弁座としての円錐状面(28)を有する弁箱(24)であって、上部環状突縁部(27)を備えている、前記弁箱(24)と、を有し、蓋体(34)が前記環状突縁部(27)と密封リング(30)との間に位置するように、前記圧力弁(20)を前記圧力調理器(60)の前記蓋体の開口部の中に配置することができ、したがって、前記圧力弁(20)が前記蓋体(34)において垂直方向に動くことができる、
圧力弁。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−516723(P2012−516723A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548535(P2011−548535)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008726
【国際公開番号】WO2010/088939
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(508112265)シリット‐ヴェルケ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー (4)
【Fターム(参考)】