説明

操作画面制御装置、画像形成装置、およびコンピュータプログラム

【課題】どの操作画面を表示した状態からでも、ユーザに手間をかけることなくかつ短時間で目的の操作画面に音声によって遷移できること。
【解決手段】音声入力部24、音声を認識して音声コマンドSWを生成するコマンド認識部44、複数の操作画面GMを記憶する操作画面記憶部40、操作画面GMのそれぞれに対応して設けられ、音声コマンドSWとリンク情報KWとを対応付けて登録する辞書テーブルTB、音声コマンドが生成されたときに表示されている操作画面に対応した辞書テーブルTBを参照して音声コマンドに対応する操作画面に遷移させる画面表示制御部42、および、特定の操作画面GMに遷移させるための音声コマンドを辞書テーブルに追加登録する旨の指令があったときに、追加登録する音声コマンドSWおよびリンク情報KWを、対象となる全ての辞書テーブルに追加登録する一括登録部45を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルの表示面に表示される操作画面を音声によって操作するための操作画面制御装置、画像形成装置、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の高性能化にともなって、画像形成装置の操作パネルに表示される操作画面(設定画面)の内容が多岐に渡るようになり、操作画面の数が増大している。また、操作画面についてのツリー構造の階層も深くなる傾向があり、ユーザにとっては自分の好きなページまたはよく使う操作画面を探すのが困難となってきている。
【0003】
したがって、例えば、現に表示されている操作画面から系列の異なる別の操作画面へ遷移させたい場合に、遷移途中の多くの画面を表示させる必要があり、なかなか目的の操作画面に移ることができない。このように、目的の操作画面を表示させることがユーザにとって手間がかかり、そのための操作時間が増大している。
【0004】
また、画像形成装置に音声認識機能を持たせることが提案されている。音声認識機能を持った画像形成装置においては、ユーザは音声によって操作画面における操作を行うことができる。例えば、ある操作画面を表示した状態で、その操作画面に表示されたキーを押すことに代えて、音声コマンドによってそのキーを押したと同じ操作を行うことができる。
【0005】
また、音声認識装置において、単語音声が機器の持つ特定のモードにかかわらず全てのモードで認識対象となることを示すクラスター情報を登録することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−35291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
音声認識機能を持った画像形成装置では、音声によって操作画面における操作を行うことができるので、目的の操作画面に遷移するための音声コマンドをそれぞれの操作画面ごとに登録しておけば便利である。
【0008】
しかし、その場合には、ユーザは多数の音声コマンドを記憶しておかなければならず、音声コマンドを忘れてしまって操作できなくなることもある。
【0009】
また、目的の操作画面に直接に遷移するためのキーをお気に入り画面として操作画面上に表示しておくことが考えられる。しかし、この場合に、画面のサイズには限りがあるので、お気に入り画面が多数あるような場合に、それらの全部を1つの操作画面に表示させることができないことがある。
【0010】
また、上に述べた特許文献1に記載の音声認識装置では、そのようなクラスター情報を登録することによって、登録された単語音声を全てのモードで認識することはできても、どの画面からでも手間をかけることなく短時間でユーザの希望する操作画面に遷移することはできない。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑み、操作パネルの表示面に表示される操作画面を音声によって操作する際に、どの操作画面を表示した状態からでも、ユーザに手間をかけることなくかつ短時間で目的の操作画面に遷移できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態に係る操作画面制御装置は、ユーザに音声を入力させるための音声入力手段と、入力された音声を認識して音声コマンドを生成する音声認識部と、前記操作パネルの表示面に表示するために準備された複数の操作画面を記憶する操作画面記憶手段と、前記操作画面のそれぞれに対応して設けられ、音声コマンドと各音声コマンドによって遷移すべき操作画面へのリンク情報とを対応付けて登録する辞書テーブルと、ユーザの音声によって音声コマンドが生成されたときに、そのときに表示されている操作画面に対応した前記辞書テーブルを参照することにより、生成された音声コマンドに対応する操作画面に遷移させる画面切り替え手段と、特定の操作画面に遷移させるための音声コマンドを前記辞書テーブルに追加登録する旨の指令があったときに、追加登録する音声コマンドおよび前記特定の操作画面へのリンク情報を、対象となる全ての前記辞書テーブルに追加登録する一括登録手段と、を有する。
【0013】
好ましくは、前記辞書テーブルには、前記リンク情報として、その操作がなされたときに前記特定の操作画面に遷移するように設定されたキーについてのキー情報が登録されている。
【0014】
好ましくは、前記操作画面に表示されるキーについてのキー情報と、当該キーの操作がなされたときに遷移する遷移先の操作画面の操作画面情報とを対応付けて記憶する操作画面選択テーブルが設けられており、前記辞書テーブルには、前記リンク情報として、いずれかの前記操作画面に表示されるキーについてのキー情報が登録されており、前記画面切り替え手段は、前記辞書テーブルを参照することによって得られた前記キー情報を用い、前記操作画面選択テーブルを参照することにより、入力された音声コマンドに対応する操作画面に遷移させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、操作パネルの表示面に表示される操作画面を音声によって操作する際に、どの操作画面を表示した状態からでも、ユーザに手間をかけることなくかつ短時間で目的の操作画面に遷移できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を含むネットワークシステムの例を示す図である。
【図2】一実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】操作パネルの例を示す図である。
【図4】画像形成装置の構成の例を示す図である。
【図5】音声認識機能関連のモジュールの構成の例を示す図である。
【図6】操作画面制御部の機能的な構成の例を示す図である。
【図7】各画面に対応して辞書テーブルが設けられている例を示す図である。
【図8】基本設定画面に対応した辞書テーブルの例を示す図である。
【図9】倍率画面に対応した辞書テーブルの例を示す図である。
【図10】画面/ページ集約画面に対応した辞書テーブルの例を示す図である。
【図11】操作画面選択テーブルの例を示す図である。
【図12】縮小画面を含む操作画面の遷移状態の例を示す図である。
【図13】コマンド情報が追加登録された辞書テーブルの例を示す図である。
【図14】お気に入り画面を登録する場合における画像形成装置全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【図15】音声コマンドが入力された場合における画像形成装置全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【図16】操作画面の階層構造の例を示す図である。
【図17】各操作画面での設定操作の状態を示す最上位の階層の操作画面の例を示す図である。
【図18】設定操作の途中の状態の操作画面をお気に入り画面と同様に登録する場合における画像形成装置全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【図19】第2実施形態の画像形成装置における操作画面制御部の機能的な構成の例を示す図である。
【図20】専用辞書テーブルの例を示す図である。
【図21】第2実施形態における画像形成装置全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
図1に示すネットワークシステムSYSは、本発明の一実施形態の画像形成装置1を含むネットワークシステムである。
【0018】
図1に示すように、ネットワークシステムSYSは、画像形成装置1、ファイルサーバ2a、端末装置3a、および通信回線NT1などによって構成される。
【0019】
画像形成装置1、ファイルサーバ2a、および端末装置3aは、それぞれ、通信回線NT1を介して互いに接続されている。通信回線NT1として、LAN、WAN、イントラネット、または専用線などが用いられる。
【0020】
ファイルサーバ2aは、電子文書(電子データ)を管理するためのファイルサーバである。
【0021】
端末装置3は、ネットワークシステムSYSのユーザが用いる端末装置である。各ユーザは、この端末装置3を用いて、後で説明する画像形成装置1の「PCプリント機能」を利用することができる。
【0022】
ファックス端末4aは、通信回線NT2を介して画像形成装置1または他のファックス端末との間でファクシミリによるデータの送受信を行う。なお、通信回線NT2として、公衆回線などが用いられる。
【0023】
画像形成装置1は、コピー機能、PCプリント機能、ファックス送信機能、電子メール送信機能、SMB送信機能、FTP送信機能、およびボックス(Box)機能などの様々なアプリケーション機能を集約した画像形成装置である。複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれることもある。
【0024】
本実施形態の画像形成装置1には、上記のコピー機能などの基本的な機能のほかに、音声実行機能が備えられている。音声実行機能は、音声認識処理(VN)を実行し、その音声認識処理の結果に基づいて所定の処理を実行する機能である。音声認識処理は、図1に示す画像形成装置1の操作パネル10fに備えられているマイクMKから入力される音声を、記憶媒体に記憶されている認識辞書(グラマー)に基づいて認識するための処理である。
【0025】
図2に示すように、画像形成装置1は、CPU10a、RAM10b、ROM10c、ハードディスク10d、制御用回路10e、操作パネル10f、スキャナ部10g、プリンタ部10h、ファックス部10j、およびネットワークインタフェース10kなどによって構成される。
【0026】
スキャナ部10gは、原稿の用紙(以下、単に「原稿」と記載する。)に描かれている写真、文字、絵、図表などの画像を光学的に読み取って電子データ化する装置である。原稿として、紙、紙以外の種々のシート、物などを用いることが可能である。
【0027】
プリンタ部10hは、スキャナ部10gが読み取った画像データまたは他の装置から送信されてきた画像データを、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの4色のトナーを使用して用紙に印刷する。
【0028】
ファックス部10jは、スキャナ部10gが読み取った画像データを、通信回線を介してファックス端末に送信しまたはファックス端末から送信されてくる画像データを受信する。
【0029】
ネットワークインタフェース10kは、NIC(Network Interface Card)であって、LANまたはインターネットなどを介して他の装置への接続を行い、電子データの送受信などを行う。
【0030】
制御用回路10eは、ハードディスク10d、操作パネル10f、スキャナ部10g、プリンタ部10h、ファックス部10j、およびネットワークインタフェース10kなどの装置を制御する。
【0031】
操作パネル10fは、ユーザが画像形成装置1に指示を与えまたは画像形成装置1からユーザにメッセージを通知するために用いられる。
【0032】
これら各部または各装置の一部が連携することによって、前述のアプリケーション機能が実現される。
【0033】
「コピー機能」は、スキャナ部10gによって原稿の画像を読み取り、それによって得た画像データをプリンタ部10hによって用紙に印刷する機能である。
【0034】
「PCプリント機能」は、ネットワークインタフェース10kによって通信回線を介して画像形成装置1と互いに接続されている端末装置(以下、単に「端末装置」と記載する)などから画像データなどを受信し、プリンタ部10hによってその画像データなどを用紙に印刷する機能である。この機能は、「ネットワークプリンティング」と呼ばれることもある。
【0035】
「ファックス送信機能」は、スキャナ部10gで読み取った画像データなどをファックス部10jからファックス端末などに送信する機能である。
【0036】
「ファックス受信機能」は、ファックス部10jによってファックス端末などから画像データを受信し、プリンタ部10hによってその画像データを用紙に印刷する機能である。
【0037】
「電子メール送信機能」は、スキャナ部10gで読み取った画像データなどを電子メールに添付してネットワークインタフェース10kから送信する機能である。
【0038】
「SMB送信機能」は、スキャナ部10gで読み取った画像データなどを、SMB(Server Message Block)に基づいて、IPアドレスなどで指定される送信先に直接送信する機能である。
【0039】
「FTP送信機能」は、スキャナ部10gで読み取った画像データなどをFTP(File Transfer Protocol)に基づいて送信する機能である。
【0040】
「ボックス機能」は、ユーザごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる、パーソナルコンピュータにおけるフォルダまたはディレクトリなどに相当する記憶領域をハードディスク10dに設けておき、ユーザがスキャナ部10gを操作するなどして得た画像データなどを自分の記憶領域に保存できるようにする機能である。「ドキュメントサーバ機能」と呼ばれることもある。
【0041】
PCプリント機能を利用する際に端末装置において予めボックスを指定しておくことによって、プリントを行いつつプリントする画像データをそのボックス内に保存させることができる。ボックスの指定は、例えば、端末装置にインストールされている画像形成装置1のドライバの機能を用いて行うことができる。
【0042】
図3に示すように操作パネル10fには、タッチパネルTP、マイクMK、操作部TK、および音声認識ボタンKB、コピーボタンMB、スキャンFAXボタンSB、およびBOXボタンXBなどが設けられている。
【0043】
タッチパネルTPは、画像形成装置1からユーザに通知するメッセージまたは各種機能を利用するための画面(操作画面GM)などを表示する表示装置である。タッチパネルの機能によって入力装置としての役割も果たす。
【0044】
マイク(マイクロフォン)MKは、ユーザが音声(音声コマンド)を入力するための装置であり、入力された音声をアナログの音声データ(アナログ音声データANDT)に変換する。
【0045】
操作部TKは、プリントの枚数またはファックス番号などを入力するためのボタン群を含む。
【0046】
音声認識ボタンKBは、音声認識モード(音声認識を行うためのモード)への切替えを行うためのボタンである。このボタンが押されると、画像形成装置1は、音声認識処理を実行し、音声認識の結果に基づいて所定の処理を実行する。
【0047】
コピーボタンMBは、印刷モード(画像データなどを用紙に印刷するためのモード)への切り替えを行うためのボタンである。このボタンが押されると、コピーについての設定を行う画面(コピー設定画面)がタッチパネルTPに表示される。
【0048】
スキャンFAXボタンSBは、送信モード(画像データなどを他の装置に送信するためのモード)への切り替えを行うためのボタンである。このボタンが押されると、画像データなどの送信先の設定を行うための画面がタッチパネルTPに表示される。
【0049】
BOXボタンXBは、ボックスモード(ボックスへの画像データの保存またはボックスに保存されている画像データなどの参照を行うためのモード)への切り替えを行うためのボタンである。このボタンが押されると、画像データなどの保存先となるボックスまたは参照したいボックスの指定を行うための画面がタッチパネルTPに表示される。
【0050】
図4には、画像形成装置1の構成が機能的に整理して示されている。
【0051】
図4において、スキャナ部10gで読み取られた画像データに対し、入力画像処理部22において、色補正処理、解像度変換処理などの画像処理が必要に応じて実施され、その後にメモリ10bに記憶される。画像データは、必要に応じてメモリ10bから読み出され、出力画像処理部23において、色変換処理、スクリーン制御処理、スムージング処理、濃度補正処理などが必要に応じて施され、プリンタ部10hに送られる。プリンタ部10hにおいて、用紙に印刷される。
【0052】
操作パネル10fに設けられたマイクMKから入力されたユーザの音声は、音声入力部24によって音声データに変換され、システムIF21を経てCPU10aに入力され、処理される。
【0053】
ハードディスク10dには、画像形成装置1の操作のための複数の操作画面GMが予め格納されており、その中から、ユーザの操作に応じて、またユーザの音声の入力に応じて、必要な操作画面GMが読み出され、操作パネル10fのタッチパネルTPに表示される。
【0054】
CPU10aは、入力された音声に基づいて音声認識処理および操作画面制御を行う他、画像形成装置1の全体を制御する。
【0055】
例えば、操作画面制御において、ユーザの音声によって音声コマンドが生成されたときに、そのときに表示されている操作画面に対応した辞書テーブルを参照することにより、生成された音声コマンドに対応する操作画面に遷移させる画面切り替え処理、および、特定の操作画面に遷移させるための音声コマンドを辞書テーブルに追加登録する旨の指令があったときに、追加登録する音声コマンドおよび特定の操作画面へのリンク情報を、対象となる全ての辞書テーブルに追加登録する一括登録処理、などを実行する。詳しくは後で述べる。
【0056】
これらの機能または処理を実現するためのコンピュータプログラムは、CD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体MS1および半導体メモリMS2などの可搬型の記録媒体MS(図2参照)に記録しておき、それらからインストールすることが可能である。また、ネットワークを介してサーバからダウンロードすることも可能である。
【0057】
これらの機能を実現するためのコンピュータプログラムおよびデータは、ハードディスク1gにインストールされ、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。なお、CPU10aはコンピュータとして動作することが可能である。また、外部のコンピュータとLANなどを介して接続するようにしてもよい。また、画像形成装置1の一部または全部の機能をデジタルプロセッサまたはハードウェア回路によって実現するように構成してもよい。
【0058】
図5において、画像形成装置1には、音声認識処理を実行するための音声認識アプリケーション31が設けられる。すなわち、音声入力装置(マイク)MKから入力された音声は、音声データに変換された後、音声入力ドライバ34により、OS(Operating System) 33を経由して音声認識アプリケーション31に入力される。
【0059】
音声認識アプリケーション31は、音声認識ライブラリ32を管理し、ユーザの発した音声を認識して音声コマンド(文字列)を生成する。また、音声コマンドに対応した内部動作に変換する。
【0060】
声紋判別部35において、音声コマンドの波形などが解析され、声紋判別が行われる。声紋判別によって、声紋情報である音声IDが生成される。音声IDは、音声コマンドを発したユーザを特定するために用いられる。
【0061】
登録のために生成された音声コマンドは、音声認識ライブラリ32の辞書テーブルTBに追加登録される。また、音声コマンドが制御のために生成された場合には、生成された音声コマンドに基づいて、操作画面制御、その他の制御が行われる。システムIF36は、各種の設定情報の保存および読み出しなどを行う。
【0062】
以下において、操作画面制御部SSの処理および動作について、図6〜図18を参照して説明する。なお、ここでは、ユーザがよく使う画面(以下、「お気に入り画面」と記載することがある)を、「縮小画面GM33」および「ページ集約画面GM34」とした場合を例にあげて説明する。
【0063】
図6は画像形成装置1における操作画面制御部SSの機能的な構成の例を示す図、図7は各画面に対応して辞書テーブルが設けられている例を示す図、図8は基本設定画面GM30に対応した辞書テーブルTB30の例を示す図、図9は倍率画面GM31に対応した辞書テーブルTB31の例を示す図、図10は画面/ページ集約画面GM32に対応した辞書テーブルTB32の例を示す図、図11は操作画面選択テーブルTB50の例を示す図、図12は縮小画面GM33およびページ集約画面GM34を含む操作画面の遷移状態の例を示す図、図13はお気に入り画面についての新たなコマンド情報DTが追加登録された辞書テーブルTBの例を示す図、図14はお気に入り画面を登録する場合における画像形成装置1全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャート、図15は音声コマンドが入力された場合における画像形成装置1全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャート、図16は操作画面の階層が深くかつ複雑な状態の例を示す図、図17は各操作画面での設定操作の状態を示す最上位の階層の操作画面の例を示す図、図18は設定操作の途中の状態の操作画面をお気に入り画面と同様に登録する場合における画像形成装置1全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【0064】
図6において、操作画面制御部SSは、操作画面記憶部40、音声認識ライブラリ41、画面表示制御部42、声紋判別部43、コマンド認識部44、一括登録部45、総合制御部46、および画像処理部47などを有する。
【0065】
なお、以下に述べる音声認識処理(VD)は、主に音声認識ライブラリ41、声紋判別部43、コマンド認識部44、および音声入力部24によって実行される。音声入力部24も操作画面制御部SSの機能的な構成の一つである。
【0066】
図6において、操作画面記憶部40は、ユーザが画像形成装置1に指示を与えまたは画像形成装置1からユーザにメッセージを通知するための操作画面GMを記憶する。操作画面GMのそれぞれには、他の操作画面GMと識別するための画面番号が付されている。
【0067】
音声認識ライブラリ41は、辞書テーブルTB(TB30、31、32、…)を記憶し管理する。辞書テーブルTBは、図7に示すように、それぞれの操作画面GMに対応付けて設けられる。
【0068】
ここで、辞書テーブルTBについて詳細に説明する。図8〜図10に、図7に示す基本設定画面GM30、倍率画面GM31、画面/ページ集約画面GM32のそれぞれに対応した辞書テーブルTB30、TB31、TB32の例を示す。辞書テーブルTB30、TB31、TB32は、その構成は互いに同一であり、内容の一部が互いに異なる。
【0069】
つまり、辞書テーブルTB30には、図8に示すように、音声コマンドに関する情報であるコマンド情報DT30が、記憶され管理されている。なお、辞書テーブルTB31、32では、コマンド情報DT31、32がそれぞれ記憶され管理されている。
【0070】
コマンド情報DT30には、入力された音声コマンドに応じて操作画面GMを遷移させる場合における遷移先の操作画面に関するリンク情報(キー情報)KW、画面番号GRNに示される画面番号の画面に表示される操作キーの名称(操作キー名)または操作項目名を示す備考GW、および音声により入力される音声コマンドSWが、互いに対応付けて記録される。画面番号GRNには、その辞書テーブルTBと対応付けられている操作画面の画面番号が記録される。
【0071】
つまり、音声コマンドSWとして、備考GWに示される操作キー名と同じ語句またはその操作キー名に対してユーザが発声する言葉(語句)のゆらぎを考慮して変更が加えられた語句(コマンド語句)が、記録されている。1つのリンク情報KWに対応して複数の音声コマンドSWを記録することが可能である。
【0072】
また、リンク情報KWとして、図7に示す基本設定画面GM30に表示された操作キーのキー情報Y21〜Y27が記録されている。
【0073】
したがって、例えば、入力された音声コマンドが、辞書テーブルTB30に記録された音声コマンドSWのいずれかと一致する場合に、リンク情報KWに示されるキー情報Yに対応付けられた画面番号の操作画面へ遷移するための処理が実行される。つまり、その音声コマンドSWに対応付けられた備考GWに示される操作キー名の操作キーが押下されたものとして処理が実行される。
【0074】
図6に戻って、画面表示制御部42は、音声が入力されたタイミングまたは操作パネル10fに備えられたボタンが押されたタイミングで、所定の操作画面を操作パネル10fに表示させるための処理を行う。また、画面表示制御部42は、操作画面選択テーブルTB50を管理しており、総合制御部46からの制御信号に基づいて操作画面選択テーブルTB50を参照することにより、現在表示されている操作画面を入力された音声コマンドに対応する操作画面に遷移させるための処理を行う。
【0075】
操作画面選択テーブルTB50には、遷移先画面情報DT50が記憶され管理されている。遷移先画面情報DT50は、図11に示すように、リンク情報KWと遷移先画面番号RWとを対応付けて示すものである。リンク情報KWとして、操作キーのキー情報Yが記録される。遷移先画面番号RWは、キー情報Yで示されたキーが押されたときの遷移先の操作画面GMの画面番号である。
【0076】
したがって、ユーザから音声が入力されると、コマンド認識部44は、その音声を認識して音声コマンドSWを生成した後、辞書テーブルTB30を参照し、生成した音声コマンドSWに対応したキー情報Yを取得する。取得したキー情報Yは総合制御部46に送られる。総合制御部46は、そのキー情報Yを、制御信号SN1として画面表示制御部42に送る。
【0077】
画面表示制御部42は、キー情報Yに基づいて操作画面選択テーブルTB50を検索し、そのキー情報Yに対応する遷移先画面番号RWを取得する。そして、取得した遷移先画面番号RWの操作画面GMをタッチパネルTPに表示する。
【0078】
例えば、図11の遷移先画面情報DT50において、リンク情報KWの1つであるキー情報Y24には、画面番号10G09000が対応付けられている。画面表示制御部42は、キー情報Y24を制御信号SN1として受け取ると、画面番号10G09000の操作画面GMである倍率画面GM31を操作画面記憶部40から抽出し、表示する。
【0079】
また、他の例として、画面表示制御部42がキー情報Y25を制御信号SN1として受け取ると、画面番号10G12000の画面/ページ集約画面GM32を操作画面記憶部40から抽出し、表示する。
【0080】
図6に戻って、声紋判別部43は、ユーザの声紋を判別して声紋情報を生成する。つまり、声紋判別部43は、音声コマンドを入力したユーザの声紋を判別するための処理を行う。例えば、ユーザが音声コマンドを発声したときの発声が開始されてから終了するまでの時間(発声時間)、音声の周波数スペクトル、および音声のボリュームなどを測定し解析することによって、音声コマンドを入力したユーザがいずれのユーザであるかを判別するための処理を行う。そして、音声コマンドを入力したユーザがいずれのユーザであるかを示す判別結果信号SN2を、コマンド認識部44へ送る。
【0081】
コマンド認識部44は、ユーザから音声が入力されたときに、その音声を認識して音声コマンドSWを生成する。そして、辞書テーブルTB30を参照し、生成した音声コマンドSWに対応したキー情報Yを取得する。辞書テーブルTB30を参照する際に、判別結果信号SN2をも用い、音声コマンドSWおよび声紋情報の両方が一致するキー情報Yを取得する。取得したキー情報Yは、認識結果信号SN3として総合制御部46に送られる。総合制御部46は、そのキー情報Yを、制御信号SN1として画面表示制御部42に送る。
【0082】
なお、コマンド認識部44は、音声認識に際して、まず、音声入力部24から取得した音声データDGDTを文字列(以下、「認識対象語句」と記載することがある)に変換し、辞書テーブルTB30に記録されている音声コマンドSWの中から、認識対象語句と一致するものを抽出する。そして、認識対象語句と一致する音声コマンドSWが抽出されると、その音声コマンドSWに対応付けられたリンク情報KWを読み出す。
【0083】
一括登録部45は、特定の操作画面GMに遷移させるための音声コマンドを辞書テーブルTBに追加登録する旨の指令があったときに、追加登録する音声コマンドおよび特定の操作画面GMへのリンク情報KWを、音声認識ライブラリ41に記憶されている全ての辞書テーブルTBに追加登録するための処理(コマンド登録処理)を行う。
【0084】
次に、コマンド登録処理について、ユーザの操作手順とともに説明する。
【0085】
コマンド登録処理は、ユーザによるお気に入り画面登録操作によって開始される。
【0086】
ユーザは、まず、お気に入り画面を決定する。第1実施形態では、縮小画面GM33およびページ集約画面GM34がユーザのお気に入り画面である。縮小画面GM33およびページ集約画面GM34へ遷移するための例が図12に示されている。
【0087】
図12において、例えば基本設定画面GM30において、倍率キー(ボタン)BTN10が押下された場合、または音声により倍率キーBTN10に対応する音声コマンドが入力された場合に、倍率画面GM31に遷移する。そして、倍率画面GM31において、縮小キーBTN12が押下された場合、または音声により縮小キーBTN12に対応する音声コマンドが入力された場合は、縮小画面GM33に遷移する。
【0088】
また、基本設定画面GM30において、画面/ページ集約キーBTN11が押下された場合、または音声により画面/ページ集約キーBTN11に対応する音声コマンドが入力された場合は、画面/ページ集約画面GM32に遷移する。そして、画面/ページ集約画面GM32において、ページ集約キーBTN13が押下された場合または音声によりページ集約キーBTN13に対応する音声コマンドが入力された場合は、ページ集約画面GM34に遷移する。
【0089】
お気に入り画面登録操作としては、2つの操作方法がある。1つは、お気に入り画面へ遷移するための操作キー(お気に入り画面の1つ前の操作画面に表示される操作キー)を指定し、指定した操作キーに任意の語句からなる音声コマンドを登録する方法である。
【0090】
この方法を採用する場合は、ユーザは、まず操作パネル10fに設けられている音声認識ボタンKBを長く押す。これにより、画像形成装置1では、特定の操作画面に遷移させるための音声コマンドを辞書テーブルTBに追加登録する旨の指令があったと判断し、音声登録モードに移行する。
【0091】
ユーザは、お気に入り画面へ遷移するための操作キーが表示された操作画面GMを表示させるための操作を行う。例えば、お気に入り画面が「縮小画面GM33」である場合は、その1つ前の画面である倍率画面GM31を表示させる。そして、倍率画面GM31において、縮小画面GM33へ遷移するための操作キーつまり縮小キーBTN12を押下して指定する。お気に入り画面が「ページ集約画面GM34」である場合は、画面/ページ集約画面GM32を表示させ、ページ集約画面GM34に遷移するための操作キーつまりページ集約キーBTN13を押下して指定する。
【0092】
操作キーが指定されると、操作画面制御部SSは、ユーザに対し、登録する音声コマンドを発声するためのメッセージ(発声メッセージ)を示す画面を表示する。または、画像形成装置1に備えられているスピーカー(図示せず)から予め登録されている音声ガイドを流して、ユーザに音声を発声するよう促す。
【0093】
ユーザは、発声メッセージが示された画面が表示されまたは音声ガイドが流れると、音声認識ボタンKBを今度は軽く押して、音声を発声し入力する。
【0094】
音声が入力されると、声紋判別部43は声紋情報を生成する。声紋情報は、例えば音声ID情報VDとして一括登録部45に送られる。
【0095】
また、声紋判別部43による処理にともなって、コマンド認識部44では、入力された音声に対応する音声コマンドSWを生成する。生成した音声コマンドSWは、一括登録部45に送られる。
【0096】
一括登録部45では、音声コマンドSWおよび音声ID情報VDを取得すると、音声認識ライブラリ41に記憶されているすべての辞書テーブルTBに登録するための処理を実行する。このとき、音声コマンドSWおよび音声ID情報VDの他、ユーザが指定した操作キーに対応するリンク情報KWも登録される。
【0097】
リンク情報KWについては、ユーザが指定した操作キーに対応付けられているリンク情報KWを、例えば、その操作キーが表示されている操作画面に対応付けられている辞書テーブルTBから検索する。例えば、ユーザが縮小キーBTN12を指定した場合は、縮小キーBTN12が表示されている倍率画面GM31に対応付けられている辞書テーブルTB31(図9参照)から、当該キーに対応付けられているリンク情報KWである「Y33」を検索し抽出する(図7参照)。
【0098】
そして、音声コマンドSW、音声ID情報VD、抽出したリンク情報KW、およびユーザが指定した操作キーの操作項目名を、お気に入り画面についての新たなコマンド情報DTとして音声認識ライブラリ41に記憶されているすべての辞書テーブルTBに追加登録する(図13参照)。
【0099】
お気に入り画面登録操作の2つ目の操作方法は、お気に入り画面として登録したい画面を表示させて操作する方法である。
【0100】
この方法を採用する場合は、ユーザは、お気に入り画面として登録したい操作画面を表示させ、その操作画面の画面名称部分を押下する。例えば、縮小画面GM33の場合は、図12に示す縮小画面GM33の画面名称部分MSを押下する。
【0101】
すると、操作画面制御部SSでは、画面名称部分MSが押下された操作画面(お気に入り画面)の1つ前の操作画面を操作画面記憶部40から検索する。そして、検索した操作画面に表示される操作キーの中からお気に入り画面に遷移するための操作キーを検索し、上述の1つ目の操作方法のように、ユーザによってお気に入り画面の1つ前の操作画面に表示される操作キーが指定された場合の処理と同様の処理を実行する。
【0102】
いずれの操作方法を採用するかは、ユーザが選択することができる。
【0103】
図6に戻って、総合制御部46は、画像処理部47を制御するとともに、操作画面制御部SSの全体をも制御する。また、総合制御部46は、コマンド認識部44から認識結果信号SN3を受け取ると、認識結果信号SN3が操作画面を遷移するための信号であるのかまたは画像形成装置1が備えている機能に関する設定を示す信号であるのかを判別する。その判別の結果に応じて、各部に制御信号を送る。認識結果信号SN3は、操作画面を遷移するための信号であるので、認識結果信号SN3を受け取ると、画面表示制御部42に対して現在表示されている操作画面を遷移すべき旨および遷移先の操作画面のリンク情報KWを示す制御信号SN1を送る。
【0104】
画像処理部47は、総合制御部46からの制御信号に応じて、スキャナ部10gが読み取った画像データまたは他の装置から送信されてきた画像データなどに対し、種々の画像処理を施す。
【0105】
次に、コマンド登録処理を実行する場合における画像形成装置1全体の処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0106】
ユーザは、操作パネル10fに設けられている音声認識ボタンKBを長く押す(#71)。これにより、画像形成装置1では、お気に入り画面を登録するための処理(コマンド登録処理)が開始される(#72)。
【0107】
次に、ユーザは、操作キーを指定することによってお気に入り画面を登録するための処理を実行させるか、お気に入り画面を表示させて処理を実行させるかを選択する。操作キーを指定することによってお気に入り画面を登録するための処理を実行させる場合(#73で1が選択された場合)は、ユーザはお気に入り画面の1つ前の操作画面を表示させ、お気に入り画面に遷移するための操作キーを押下して指定する(#74)。
【0108】
お気に入り画面として登録したい画面を表示させて処理を実行させる場合(#73で2が選択された場合)は、ユーザは、お気に入り画面として登録したい操作画面を表示させ(#82)、その操作画面の画面名称部分MSを押下する(#83)。
【0109】
操作画面制御部SSは、お気に入り画面の画面名称部分MSが押下された場合は、お気に入り画面の1つ前の操作画面を操作画面記憶部40から検索する。そして、検索した操作画面に表示される操作キーの中からお気に入り画面に遷移するための操作キーを抽出し、抽出した操作キーが指定されたものとして、処理を実行する。
【0110】
操作キーが指定されると、画像形成装置1は、発声メッセージを表示しまたは音声出力し、ユーザの発声を促す(#75)。
【0111】
ユーザは、音声認識ボタンKBを軽く押して(#76)、登録したい音声コマンドを発声し入力する(#77)。音声コマンドが入力されると、音声IDが生成され保存される(#78)。また、音声認識によって音声コマンドSWが生成される(#79、#80)。そして、音声コマンドSW、音声ID、リンク情報KW、および操作項目名を、お気に入り画面についての新たなコマンド情報DTとして、すべての辞書テーブルTBに追加登録する(#81)。
【0112】
次に、コマンド認識処理における画像形成装置1全体の処理について、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0113】
ユーザは、操作パネル10fに設けられている音声認識ボタンKBを(軽く)押す(#91)。これにより、画像形成装置1では、コマンド認識処理を開始する指令があったと判断する(#92)。ユーザは、音声を入力する(#93)。
【0114】
画像形成装置1は、入力された音声に対する音声認識処理を実行し、音声コマンドSWを生成する(#94)。そして、生成された音声コマンドSWを、辞書テーブルTBに記憶されている音声コマンドSWと照合する(#96)。また、入力された音声に対して声紋情報を生成する(#95)。
【0115】
辞書テーブルTBにおいて一致する音声コマンドSWが複数あった場合には(#97でYes)、声紋情報を参照し、声紋情報が一致する音声コマンドSWを特定し、1つのリンク情報KWを抽出する(#98)。そして、操作画面選択テーブルTB50を参照して、入力された音声に対応した操作画面GMを抽出して表示する(#99)。なお、ステップ#99においては、入力された音声が辞書テーブルTBに音声コマンドSWとして記録されていなかった場合には、入力された音声に対応した処理を行う。
【0116】
このように、第1実施形態では、お気に入り画面についてのコマンド情報DTが音声認識ライブラリ41に記憶されているすべての辞書テーブルTBに一括して追加登録されるので、ユーザは、どの操作画面からでもお気に入り画面を遷移させるための音声コマンドを発声することによって、お気に入り画面を表示させることができる。
【0117】
したがって、ユーザにとっては、画面操作の簡略化および迅速化を図ることができる。例えば、図16に示すように操作画面の階層が深くかつ複雑になっている場合でも、お気に入り画面を容易に表示させることができる。
【0118】
また、追加登録されるお気に入り画面についてのコマンド情報DTには音声IDも含まれるので、複数のユーザによって同一の音声コマンドが登録されていても、その音声コマンドを登録したユーザを区別することができる。
〔お気に入り画面登録操作の変形例〕
第1実施形態では、ユーザが設定操作を行う前の操作画面をお気に入り画面として登録する場合を例に説明したが、ユーザは設定操作の途中の状態の操作画面をお気に入り画面と同様に登録することもできる。
【0119】
例えば、図12に示す縮小画面GM33は、コピーの倍率を93.0%とする設定を行った状態を示す。また、同図に示すページ集約画面GM34は、印刷の出力形態をツーインワン(分割)とする設定を行った状態を示す。この状態で操作画面における設定操作を一時中断する場合に、ユーザは設定操作の途中の縮小画面GM33またはページ集約画面GN34について設定状態を保持しつつ、お気に入り画面のように登録するための操作を行う。これにより、いずれの操作画面からでも、設定操作の途中の操作画面を呼び出して続きの設定操作を再開することができる。また、ユーザが設定操作を再開する場合に、図17に示すように、各操作画面での設定操作の状態を最上位の階層の操作画面(本実施形態では基本設定画面GM30)に表示させることもできる。音声ガイドで報知してもよい。
【0120】
次に、設定操作の途中の状態の操作画面(以下、「設定途中画面」と記載する)をお気に入り画面と同様に登録する場合における画像形成装置1全体の処理について、フローチャートを参照して説明する。
【0121】
図18は設定操作の途中の状態の操作画面をお気に入り画面と同様に登録する場合における画像形成装置1全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【0122】
図18において、ユーザは、各操作画面において所定の設定操作を行う(#111)。このとき、設定操作を一時中断する場合に、操作パネル10fに設けられている音声認識ボタンKBを長く押す(#112)。ここで、ユーザは、設定状態を保持せずに、表示されている操作画面を第1実施形態で説明したようにお気に入り画面として登録する場合は(#113で1が選択された場合)、操作キーを指定するかまたはお気に入り画面の画面名称部分MSを押下するなどして、お気に入り画面登録操作を開始させる(#114)。
【0123】
現在表示されている設定途中画面の設定状態を保持させたい場合は(#113で2が選択された場合)、ユーザは、設定途中画面の設定状態をメモリ10b(ハードディスク10d)などに保存するための操作を行う。すると、画像形成装置1は、設定途中画面についてお気に入り画面登録操作が開始されたものとして、上述の第1実施形態で説明したコマンド登録処理と同様の処理を実行する。この場合のコマンド登録処理は、お気に入り画面の画面名称部分MSが押下された場合の処理と同一である。つまり、画像形成装置1は、設定途中画面の1つ前の操作画面を操作画面記憶部40から検索する。そして、検索した操作画面に表示される操作キーの中から設定途中画面に遷移するための操作キーを検索し、検索した操作キーが押下され指定されたものとして、第1実施形態におけるコマンド登録処理と同様の処理(図14の#75〜#80)を実行する(#116〜#120)。そして、コマンド語句情報STおよび抽出したリンク情報KWを、お気に入り画面についての新たなコマンド情報DTとして音声認識ライブラリ41に記憶されているすべての辞書テーブルTBに追加登録する(#121)。なお、コマンド語句情報STおよび抽出したリンク情報KW以外に音声IDまたは操作キーの操作項目名なども登録するようにしてもよい。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について、図19〜図21を参照して説明する。なお、第2実施形態については、第1実施形態におけるネットワークシステムSYSおよび画像形成装置1と異なる部分についてのみ説明する。また、図19〜図21において、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0124】
図19は第2実施形態の画像形成装置1における操作画面制御部SSBの機能的な構成の例を示す図、図20は専用辞書テーブルTB60の例を示す図、図21は第2実施形態における画像形成装置1全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【0125】
第1実施形態では、お気に入り画面についての新たなコマンド情報DTを、音声認識ライブラリ41に記憶されている全ての辞書テーブルTB(操作画面記憶部40に記憶されているすべての操作画面GMに対応付けて設けられている辞書テーブルTB)に追加登録するようにしたが、それに代えて、操作画面GMに対応付けて設けられている辞書テーブルTBとは別の専用辞書テーブルTB60(図19参照)に、お気に入り画面についての新たなコマンド情報DTを追加登録するようにしてもよい。
【0126】
図19において、音声認識ライブラリ41Bは、辞書テーブルTB(TB30、31、32、…)および専用辞書テーブルTB60を記憶し管理している。
【0127】
登録部45Bは、音声ID情報VD、音声コマンドSW、およびリンク情報KWを取得すると、それらをお気に入り画面についての新たなコマンド情報DT(コマンド情報DT60)として、音声認識ライブラリ41Bに記憶されている専用辞書テーブルTB60(図20参照)に登録する。
【0128】
コマンド認識部44Bは、基本的には第1実施形態のコマンド認識処理と同様の処理を実行する。第1実施形態のコマンド認識処理と異なる点は、コマンド認識処理を実行する際、まず、図20に示す専用辞書テーブルTB60に記憶されているコマンド情報DT60を参照して、入力された音声コマンドと一致する音声コマンドSWを検索する。そして、入力された音声コマンドと一致する音声コマンドSWが検索されなかった場合に、現在表示されている操作画面に対応付けられている辞書テーブルTBに記憶されているコマンド情報DTを参照する。
【0129】
専用辞書テーブルTB60にはお気に入り画面についての新たなコマンド情報DT(コマンド情報DT60)しか登録されない。したがって、お気に入り画面へ遷移するための音声コマンドが入力された場合は、各操作画面についての辞書テーブルTBを参照するよりも短時間で入力された音声コマンドと一致する音声コマンドSWを検索することができ、コマンド認識処理をより早く完了させることができる。
【0130】
図20は第2実施形態における画像形成装置1全体の処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【0131】
次に、第2実施形態における画像形成装置1全体の処理について、図20のフローチャートを参照して説明する。
【0132】
ステップ#131〜134の処理は、第1実施形態の図16のステップ#91〜94と同じである。画像形成装置1は、入力された音声コマンドに対して音声認識処理を実行し、専用辞書テーブルTB60に記憶されているコマンド情報DT60の音声コマンドSWと照合する(#136)。
【0133】
専用辞書テーブル60から認識対象語句と一致する音声コマンドSWを検索することができなかった場合は、次に、現在表示されている操作画面GMに対応する辞書テーブルTBを参照する。
【0134】
ステップ#135、137〜139については、図16のステップ#95、97〜99と同じである。
【0135】
なお、第2の実施形態では、専門辞書テーブルTB60または辞書テーブルTBに登録されている音声コマンドSWのうち、入力された音声コマンドと一致する音声コマンドSWを音声認識処理の結果として採用する(#138)。
【0136】
上述の実施形態において、操作画面制御部SSは本発明における「操作画面制御装置」に相当し、音声入力部24は本発明における「音声入力手段」に相当する。音声認識ライブラリ41、声紋判別部43、およびコマンド認識部44は、本発明の「音声認識部」に相当する。画面表示制御部42は本発明における「画面切り替え手段」に相当し、一括登録部45は本発明における「一括登録手段」に相当する。
【0137】
また、音声ID情報VDは本発明における「声紋情報」に相当し、声紋判別部43は本発明における「声紋判別部」に相当する。また、メモリ10b(ハードディスク10d)は本発明における記憶装置に相当する。
【0138】
その他、操作画面制御部SS、画像形成装置1、およびネットワークシステムSYSの構成、機能、各データが示す内容、テーブルの内容、処理の内容または順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0139】
1 画像形成装置
24 音声入力部(音声入力手段、音声認識部)
41、41B 音声認識ライブラリ(音声認識部)
42 画面表示制御部(画面切り替え手段)
43 声紋判別部(音声認識部、声紋判別部)
44、44B コマンド認識部(音声認識部)
45 一括登録部(一括登録手段)
45B 登録部
DT30、31、32、60 コマンド情報
KW リンク情報(キー情報)
Y21〜Y27 キー情報
SS,SSB 操作画面制御部(操作画面制御装置)
SW 音声コマンド
TB30、31、32 辞書テーブル
TB50 操作画面選択テーブル
TB60 専用辞書テーブル
VD 音声ID情報(声紋情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネルの表示面に表示される操作画面を音声によって操作するための操作画面制御装置であって、
ユーザに音声を入力させるための音声入力手段と、
入力された音声を認識して音声コマンドを生成する音声認識部と、
前記操作パネルの表示面に表示するために準備された複数の操作画面を記憶する操作画面記憶手段と、
前記操作画面のそれぞれに対応して設けられ、音声コマンドと各音声コマンドによって遷移すべき操作画面へのリンク情報とを対応付けて登録する辞書テーブルと、
ユーザの音声によって音声コマンドが生成されたときに、そのときに表示されている操作画面に対応した前記辞書テーブルを参照することにより、生成された音声コマンドに対応する操作画面に遷移させる画面切り替え手段と、
特定の操作画面に遷移させるための音声コマンドを前記辞書テーブルに追加登録する旨の指令があったときに、追加登録する音声コマンドおよび前記特定の操作画面へのリンク情報を、対象となる全ての前記辞書テーブルに追加登録する一括登録手段と、
を有することを特徴とする操作画面制御装置。
【請求項2】
前記辞書テーブルには、前記リンク情報として、その操作がなされたときに前記特定の操作画面に遷移するように設定されたキーについてのキー情報が登録されている、
請求項1記載の操作画面制御装置。
【請求項3】
前記操作画面に表示されるキーについてのキー情報と、当該キーの操作がなされたときに遷移する遷移先の操作画面の操作画面情報とを対応付けて記憶する操作画面選択テーブルが設けられており、
前記辞書テーブルには、前記リンク情報として、いずれかの前記操作画面に表示されるキーについてのキー情報が登録されており、
前記画面切り替え手段は、前記辞書テーブルを参照することによって得られた前記キー情報を用い、前記操作画面選択テーブルを参照することにより、入力された音声コマンドに対応する操作画面に遷移させる、
請求項1記載の操作画面制御装置。
【請求項4】
前記辞書テーブルには、1つの前記リンク情報に対応して複数の前記音声コマンドを登録可能である、
請求項2または3記載の操作画面制御装置。
【請求項5】
前記音声認識部は、ユーザの声紋を判別して声紋情報を生成する声紋判別部を有しており、
前記辞書テーブルには、前記音声コマンドとともに前記声紋情報が登録されており、
前記画面切り替え手段は、前記辞書テーブルに登録された音声コマンドおよび声紋情報が一致するリンク情報を抽出し、抽出されたリンク情報に基づいて前記操作画面を遷移させる、
請求項4記載の操作画面制御装置。
【請求項6】
前記一括登録手段は、前記操作画面に対応して設けられたすべての前記辞書テーブルを対象として追加登録する、
請求項1ないし5のいずれかに記載の操作画面制御装置。
【請求項7】
前記一括登録手段は、追加登録の処理過程において処理の中断の指令があったときに、そのときの状態を記憶装置に記憶して保持する、
請求項1ないし6のいずれかに記載の操作画面制御装置。
【請求項8】
操作パネルの表示面に表示される操作画面を音声によって操作するための操作画面制御装置であって、
ユーザに音声を入力させるための音声入力手段と、
入力された音声を認識して音声コマンドを生成する音声認識部と、
前記操作パネルの表示面に表示するために準備された複数の操作画面を記憶する操作画面記憶手段と、
前記操作画面のそれぞれに対応して設けられ、音声コマンドと各音声コマンドによって遷移すべき操作画面へのリンク情報とを対応付けて登録する辞書テーブルと、
追加登録のためにユーザの音声によって生成された音声コマンドと各音声コマンドによって遷移すべき操作画面へのリンク情報とを対応付けて登録する専用辞書テーブルと、
ユーザの音声によって音声コマンドが生成されたときに、最初に前記専用辞書テーブルを参照することにより、また前記専用辞書テーブルに当該音声コマンドが登録されていない場合には前記音声コマンドが生成されたときに表示されている操作画面に対応した前記辞書テーブルを参照することにより、生成された音声コマンドに対応する操作画面に遷移させる画面切り替え手段と、
を有することを特徴とする操作画面制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の操作画面制御装置を備えた画像形成装置。
【請求項10】
操作パネルの表示面に表示される操作画面を音声によって操作することが可能な画像形成装置に設けられたコンピュータのためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータにより実行されたときに、前記画像形成装置に、
ユーザに音声を入力させるための音声入力手段と、
入力された音声を認識して音声コマンドを生成する音声認識部と、
前記操作パネルの表示面に表示するために準備された複数の操作画面を記憶する操作画面記憶手段と、
前記操作画面のそれぞれに対応して設けられ、音声コマンドと各音声コマンドによって遷移すべき操作画面へのリンク情報とを対応付けて登録する辞書テーブルと、
ユーザの音声によって音声コマンドが生成されたときに、そのときに表示されている操作画面に対応した前記辞書テーブルを参照することにより、生成された音声コマンドに対応する操作画面に遷移させる画面切り替え手段と、
特定の操作画面に遷移させるための音声コマンドを前記辞書テーブルに追加登録する旨の指令があったときに、追加登録する音声コマンドおよび前記特定の操作画面へのリンク情報を、対象となる全ての前記辞書テーブルに追加登録する一括登録手段と、
を実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−224890(P2010−224890A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71719(P2009−71719)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】