説明

操作装置

本発明は、電子機器用の操作装置であって、2つの操作位置を持つジョイスティックタイプの操作装置に関する。1つの位置では操作装置がジョイスティックとして突出し、第2の位置では操作装置はローカーキーとして機能するように収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用の操作装置であって、2つの操作位置を持つジョイスティックタイプの操作装置に関する。1つの位置では操作装置がジョイスティックとして突出し、第2の位置では操作装置はローカーキーとして機能するように収納される。
【背景技術】
【0002】
多くの電子機器には、操作装置の作動に応じた信号を入力することで、当該機器の動作をコントロールするための操作装置が設けられている。例えば、多くの携帯電話には、メニューやゲームの操作等のためにショートジョイスティックやロッカーキーの形態の操作装置が設けられている。携帯電話に類する小型電子機器は、ポケットに入れておくことがよくあるので、当該機器から突き出ていないのが望ましい。そのため、携帯電話を小型に保つために、操作装置は一般的にできるだけ小型に作られている。
【0003】
一方で、操作の正確さが要求されるゲームや他のプログラムが次々と電話に搭載されている。そこには、電話をできるだけ小型に作ることと、良い感触や握りを持つ有用な操作装置を作ることとの間に矛盾が生じる。特にユーザの指が大きい場合、容易に操作することが非常に難しく、ユーザが操作自体に過剰に集中する必要があるため、ユーザがミスを起こしたり、余計なストレスを感じるといった結果を招く。
【0004】
ビデオゲーム機用のゲームコントローラでは、一般的に1つ又は複数のジョイスティックが使用されている。例えば、米国特許第5963196号明細書を参照されたい。図11〜14には、ジョイスティック機構のデザインが例示されている。そのようなジョイスティックは、ゲームを行うのと同時にメニュー等の操作に好適であるが、余計な場所をとるので小型携帯機器には不適である。
【0005】
本発明の目的は、1つの操作位置では突出せず、良い感触や握りを付与するもう1つの突出した操作位置を有する操作装置を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
概して、本発明は、比較的大きい方の操作レバーとなる操作状態に突出し、比較的短い方の操作レバーとなる他の操作状態に収納される操作装置を提供する。
【0007】
1つの観点によれば、本発明は、電子機器用の操作装置であって、前記電子機器へ信号を入力するために複数の方向への動きを可能にするサスペンション機構により保持されるレバーと、前記レバーにより印加された圧力に応じて信号を出力可能な複数の感圧スイッチと、を備え、前記レバーは、2つの操作位置の間で変位可能であり、第1の操作位置では前記レバーは相対的に長い操作レバーとなって作動し、第2の操作位置では前記レバーは相対的に短い操作レバーとなって作動する操作装置を提供する。
【0008】
1つの実施形態では、一組のスイッチが、ガイド部材における前記レバーの一端部又はその近くに配設されている。
【0009】
前記スイッチは、アナログスイッチである。
【0010】
更なる実施形態では、操作装置は、操作位置の検出器を更に備え、前記スイッチは、前記第1の操作位置においてより大きな範囲を持つ第1の感圧範囲と、前記第2の操作位置においてより小さな範囲を持つ第2の感圧範囲とにおいて動作がコントロールされる。
【0011】
更なる実施形態では、前記感圧範囲は、前記電子機器の現在の操作モードに応じて、2つのデジタル値に定量化される。
【0012】
適切には、前記第2の感圧範囲は、2つのデジタル値で定量化される。
【0013】
適切には、前記スイッチから出力される信号は、前記レバーの等しい4方向の動きに対して定量化される。
【0014】
また、更なる実施形態では、第1のスイッチの組が、ガイド部材における前記レバーの一端部又はその近くに配設され、第2のスイッチの組が、前記レバーの第2の対向する端部又はその近くに配設されている。
【0015】
前記第2のスイッチの組は、前記レバーの第2の端部に取り付けられ、又は一体化されている支持体及びプレートに配設されている。
【0016】
1つの実施形態では、前記第1のスイッチの組はアナログスイッチを備え、前記第2のスイッチの組はデジタルスイッチを備える。
【0017】
前記サスペンション機構は、スプリングにより付勢されたバイオネット機構を備える。
【0018】
前記サスペンション機構は、押し操作により前記第1及び第2の操作位置の間に前記操作装置を変位させるために配設された、スプリングにより付勢された押しボタン機構を備える。
【0019】
前記サスペンション機構は、ラッチボタンを作動させて前記操作装置を前記第1の操作位置に変位させると共に、前記操作装置を押し込むことで前記操作装置を前記第2の操作位置に変位させる、スプリングにより付勢された前記ラッチボタンを備える。
【0020】
第2の観点によれば、本発明は、上述した操作装置を備える電子機器を提供する。
【0021】
前記電子機器は、携帯電話、ポケットベル、通信機、電子手帳、スマートフォン、デジタルカメラ、音声若しくは映像再生機、又はゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の更なる目的、特徴、利点は、以下に詳述される本発明の実施形態から明らかになり、本発明の実施形態は添付の図面を参照してより詳細に記述される。
【図1】本発明に係る操作装置が突出した位置にある携帯電話の斜視図である。
【図2】操作装置が収納位置にある図1の携帯電話の斜視図である。
【図3】本発明に係る一実施形態の突出位置にある操作装置の概略図である。
【図4】収納位置にある図3の操作装置の概略図である。
【図5】本発明に係る実施形態のマイクロスイッチを持つレバー部材を示す概略図である。
【図6】ガイド部材に配設されたレバーが突出位置にある本発明に係る実施形態の概略図である。
【図7】収納位置にある図6の操作装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は操作装置であって、特に携帯電話、ポケットベル、通信機、電子手帳、スマートフォン、デジタルカメラ、音声及び映像再生機、ゲーム機のような小型携帯電子機器への組み込みに好適な操作装置に関する。この操作装置は、電子機器をコントロールするために使用されるユーザインタフェースの一部を構成する。このユーザインタフェースや電子機器の操作やデザインは従来からある。
【0024】
本発明の基本的な思想は、レバー部材にサスペンション機構を使用し、2つの操作状態又は位置を可能としていることである。図1及び図2は、本発明の実施形態に係る操作装置2が設けられた電子機器1の外観を例示している。
【0025】
図1に示すような第1の操作位置では、操作装置は突出しており、後述するように大きな操作レバーを作り出している。図2では、操作装置2は収納又は押し込まれ、相対的に小さな操作レバーを作り出している。この位置では、操作装置2の外観は、従来の操作装置と類似している。
【0026】
操作装置2の動きを検出するために、操作装置には感圧スイッチが設けられている。これらのスイッチは、たった2つの信号である、オン又はオフのいずれかが出力可能なデジタルスイッチ、或いは出力信号がスイッチに印加される圧力又は力と略比例しているアナログスイッチになりうる。このようなスイッチはこの分野では周知の構成である。
【0027】
従来の携帯電話では、操作装置は両方の操作位置で同様の機能を有する、センターキー15(図1)を備えうる。
【0028】
図3はレバー部材3及びサスペンション機構5を備える操作装置2の実施形態を示している。図示の突出位置では、操作装置は、操作装置2の上部とサスペンション機構5の支点又は旋回部6との間の操作レバー4で作動する。図4に示す操作装置4の収納位置では、操作レバー4が相対的に小さいことがわかる。
【0029】
サスペンション機構5は、全方向への動きを可能にする、ヒンジ、レバー及び/又はボールジョイントを備える。
【0030】
図5は、操作装置2の実施形態を示している。ここでは、操作装置には、レバー部材3の一端部9に配設された、一組のスイッチ7が設けられている。本実施形態の変形例では、サスペンション機構の旋回部がレバー3の下端部9に代わり、一組のマイクロスイッチ7’がレバー部材3の略中間に配設されている。後述するスイッチへの力は7と7’の両方の位置に加わる。
【0031】
図6及び図7に示す実施形態では、レバー部材3はガイド部材13に挿入されている。ガイド部材13は、ユーザが操作装置2の上部10を動かしたときに、スイッチに反力を付与する。
【0032】
図6に示す突出位置では、旋回部6上方の大きい方の操作レバー4と、旋回部6下方の相対的に小さい方の操作レバー4’とは、操作装置の上部10に印加される力が、スイッチに対して相対的に大きな力を生じるという結果を引き起こす。
【0033】
図7では、操作装置2は収納された操作位置で示されている。この場合、旋回部6上方の小さい方の操作レバー4と、旋回部6下方の大きい方の操作レバー4’とは、ユーザが操作装置2の上部に同じ力を付与すると、スイッチに比較的低い力が印加されるという結果を引き起こす。
【0034】
特定の実施形態では、操作装置2は、操作位置検出器、即ちガイド部材13の1つの位置で、操作装置2に現在の操作状態を検知させる信号を出力するスイッチを備える。図6に示す第1の操作位置では、スイッチに対する圧力は、長い方の操作レバー4に適応した第1の範囲を用いて変換される。公称圧力の尺度が0〜100であると仮定すると、ユーザは、50の値が標準(中間の力)と考えられる、全ての範囲内で圧力を簡単にコントロールできる。
【0035】
図7に示す第2の操作位置では、短い方の操作レバー4は、ユーザにより印加される最大の力が、標準の値で10(中間の力)のところ、同じ圧力の尺度0〜100でもって略20の値になるという結果を引き起こす。そのため、第2の操作位置では、範囲0〜20だけが用いられる。よって、第1の操作位置での圧力値100が、第2の操作位置での圧力値20と同じ操作で発生するという結果をもたらす。
【0036】
尺度0〜100の代わりの更なる実施形態では、操作装置の出力信号は、2つのデジタル値、適切には図6に示す第1の操作モードにおいて、50未満の値をオフ又はゼロ、50を超える値を1又はオンとして定量化(デジタル化)される。図7に示す収納位置では、区切りの点が標準の値である10となる。
【0037】
また更なる実施形態では、操作装置の出力信号は、この操作モードが大まかな操作により適しているので、収納位置においてのみ定量化される。
【0038】
これらの定量化された操作モードは、いくつかの適用分野や電子機器のユーザインタフェースの機能に適している。適切には、電子機器のユーザインタフェースは、アナログ又は定量化されたデジタル値のいずれかが印加されるべき操作装置2をコントロール可能である。
【0039】
図3に示す更なる実施形態では、操作装置2には、操作装置の上部に配設された圧力プレート11の下部の支持体12に設けられた、スイッチ8の第2の組が設けられている。スイッチ8の組は、(スイッチがプレート11で隠されている)図4に示すように、操作装置の収納位置で操作可能である。そのため、この操作状態では、スイッチ7又は7’の第1の組は使用されない。スイッチ8の第2の組は、収納位置において、例えば代表的な上、下、左、右の4方向への操作だけが必要ならば、アナログスイッチ又はデジタルスイッチとなりうる。
【0040】
アナログスイッチでは、4つの主要な方向である上、下、左、右の中間の方向における操作が可能なように、多数のスイッチの出力信号が結合される。
【0041】
全範囲のアナログ出力信号や方向を持つジョイスティック操作モードは、例えばゲームを行うときや、携帯電話の電話モードにおいて便利である。例えば、映像/音楽の再生モードにおいて早送りする際に、リストやメニューの操作が、操作装置に印加される圧力に精度良く応じることができる。
【0042】
概して、操作装置のサスペンション機構は、突出位置及び収納位置において装置をロックすることが可能である。本発明の範囲内で多くの異なった機構が可能である。限定されない例を挙げ、以下に言及する。
【0043】
一実施形態では、操作装置2は、操作位置の間で変位するネジ山を備える。
【0044】
他の実施形態では、サスペンション機構5には、スプリングにより付勢されたバイオネット式の係止部材が設けられている。操作装置の上部を、収納位置から係止部材を解除する小さな角度回転させると、スプリングにより操作装置を突出位置へ押し上げる。操作装置をスプリングに抗して押し、下部の収納位置においてバイオネット式の係止部材を作動させるように装置を回転することによって、操作装置は収納される。
【0045】
更なる実施形態では、サスペンション機構は、押しボタン機構を備える。1回の押し操作で、操作装置を下部の位置から突出位置へ解除する。次の押し操作で、ボールペンの機構と同様にして、操作装置を収納位置にロックする。
【0046】
また更なる実施形態では、サスペンション機構は、ラッチボタン14(図1)により作動する係止部材を備える。ラッチボタン14を作動させて係止部材を解除し、スプリングにより操作装置を突出位置に押し出すことができる。操作装置へのただの押し下げ操作で、係止部材が再度下部の位置へ作動される。
【0047】
本発明の様々な実施形態が上記にて概略説明され、特定の例が添付の図面を参照して詳述されている。なお、本発明はこれらの特定の例に限定されないが、以下の特許請求の範囲により特徴付けられた範囲内で変形可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器用の操作装置であって、
前記電子機器へ信号を入力するために複数の方向への動きを可能にするサスペンション機構により保持されるレバーと、
前記レバーにより印加された圧力に応じて信号を出力可能な複数の感圧スイッチと、を備え、
前記レバーは、2つの操作位置の間で変位可能であり、第1の操作位置では前記レバーは相対的に長い操作レバーとなって作動し、第2の操作位置では前記レバーは相対的に短い操作レバーとなって作動する操作装置。
【請求項2】
一組のスイッチが、ガイド部材における前記レバーの一端部又はその近くに配設されている請求項1の操作装置。
【請求項3】
前記スイッチは、アナログスイッチである請求項2の操作装置。
【請求項4】
操作位置の検出器を更に備え、前記スイッチは、前記第1の操作位置においてより大きな範囲を持つ第1の感圧範囲と、前記第2の操作位置においてより小さな範囲を持つ第2の感圧範囲とにおいて動作がコントロールされる請求項3の操作装置。
【請求項5】
前記感圧範囲は、前記電子機器の現在の操作モードに応じて、2つのデジタル値に定量化される請求項4の操作装置。
【請求項6】
前記第2の感圧範囲は、2つのデジタル値で定量化される請求項4の操作装置。
【請求項7】
前記スイッチから出力される信号は、前記レバーの等しい4方向の動きに対して定量化される請求項5又は6の操作装置。
【請求項8】
第1のスイッチの組が、ガイド部材における前記レバーの一端部又はその近くに配設され、第2のスイッチの組が、前記レバーの第2の対向する端部又はその近くに配設されている請求項1の操作装置。
【請求項9】
前記第2のスイッチの組は、前記レバーの第2の端部に取り付けられ、又は一体化されている支持体及びプレートに配設されている請求項8の操作装置。
【請求項10】
前記第1のスイッチの組はアナログスイッチを備え、前記第2のスイッチの組はデジタルスイッチを備える請求項8の操作装置。
【請求項11】
前記サスペンション機構は、スプリングにより付勢されたバイオネット機構を備える請求項1の操作装置。
【請求項12】
前記サスペンション機構は、押し操作により前記第1及び第2の操作位置の間で前記操作装置を変位させるために配設された、スプリングにより付勢された押しボタン機構を備える請求項1の操作装置。
【請求項13】
前記サスペンション機構は、ラッチボタンを作動させて前記操作装置を前記第1の操作位置に変位させると共に、前記操作装置を押し込むことで前記操作装置を前記第2の操作位置に変位させる、スプリングにより付勢された前記ラッチボタンを備える請求項1の操作装置。
【請求項14】
請求項1の操作装置を備える電子機器。
【請求項15】
前記電子機器は、携帯電話、ポケットベル、通信機、電子手帳、スマートフォン、デジタルカメラ、音声若しくは映像再生機、又はゲーム機である請求項14の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−522388(P2010−522388A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500084(P2010−500084)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058936
【国際公開番号】WO2008/116504
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】