説明

操作装置

【課題】操作部材の内部に配置されたクリック部材への埃等の付着を防止すると共にクリック部材からの音の発生を抑制する。
【解決手段】外装カバー3上に設けられた操作装置12であって、内部に空間を有する操作部材30と、前記操作部材の前記空間に配置されたクリック部材34と、前記クリック部材が配置された前記空間への埃の侵入を防止すると共に、前記クリック部材を前記外装カバーに押圧する防塵部材32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作時にクリック感を有する操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ、ビデオカメラなどの電子機器には、ダイヤル部材を回転操作することによりモードの選択やコマンドの入力を行なうダイヤル装置が備えられている。このようなダイヤル装置においては、操作性を向上させるためにダイヤル部材の回転操作時にクリック感を持たせているものが存在する。例えば、特許文献1に開示されているダイヤルユニットにおいては、ダイヤル部材の内部にクリック部材を配置することにより、ダイヤル部材の回転操作時にクリック感を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−242520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上述のダイヤルユニットにおいては外装カバーとダイヤル部材の隙間からダイヤル部材の内部に埃等が侵入してクリック部材に付着し、良好なクリック感が得られなくなる場合があった。また、クリック部材により発生する音が操作者などに不快感を与える場合があった。
【0005】
本発明の目的は、操作部材の内部に配置されたクリック部材への埃等の付着を防止すると共にクリック部材からの音の発生を抑制する操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のような解決手段により上記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施の形態に対応する符号を付して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
本発明の操作装置は、外装カバー(3)上に設けられた操作装置(12)であって、内部に空間を有する操作部材(30)と、前記操作部材の前記空間に配置されたクリック部材(34)と、前記クリック部材が配置された前記空間への埃の侵入を防止すると共に、前記クリック部材を前記外装カバーに押圧する防塵部材(32)とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作部材の内部に配置されたクリック部材への埃等の付着を防止すると共にクリック部材からの音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態に係るカメラの背面の構成を示す背面図である。
【図2】実施の形態に係るカメラの背面の部分斜視図である。
【図3】実施の形態に係るダイヤル装置の縦断面図である。
【図4】実施の形態に係るダイヤル装置の表側から視た分解斜視図である。
【図5】実施の形態に係るダイヤル装置の裏側から視た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るモードダイヤルを備えるデジタルカメラ(以下、カメラという。)について説明する。図1は実施の形態に係るカメラの背面図であり、図2はカメラの背面の部分斜視図である。図1及び図2に示すように、カメラ2の外装カバー3の背面4には、撮影画像や各種の情報を表示するLCD表示部10、撮影モードを選択するモードダイヤル12、メニュー項目の選択や再生画像の選択を行うマルチセレクタ14、撮影時や再生時にLCD表示部10に表示する情報の切り替えを行うディスプレイボタン16、画像の再生指示を行う再生ボタン18、画像の削除を行う削除ボタン20及びメニュー画面を表示させるメニューボタン22が設けられている。
【0011】
次に、図3〜図5を参照して、モードダイヤルの構成について説明する。図3は実施の形態に係るモードダイヤルの縦断面図、図4は実施の形態に係るモードダイヤルの表側から視た分解斜視図、図5は実施の形態に係るモードダイヤルの裏側から視た分解斜視図である。
【0012】
図3〜図5に示すように、モードダイヤル12は、外装カバー3上に順次配置されるダイヤル部材30、防塵・防音ゴム部材32及びクリック板金34、外装カバー3内に配置される接点バネ板金36及び留めビス38を備えて構成されている。
【0013】
ダイヤル部材30は、円盤状の形状を有し上板部30a及び側壁部30bにより内部に空間を形成している。ここでダイヤル部材30の裏面側にはビス穴30c及び位置決めピン30dを有する軸部30eが設けられていることから空間は円環形状を有する。また軸部30eの周囲には放射状に複数の溝部30fが形成されている。
【0014】
防塵・防音ゴム部材32は、硬度の低いシリコンゴム(KE9410U:硬度Hs(JIS_A)=40°±5°)により形成された中央部に開口を有する部材であり、クリック板金34の突起部形成部34aが配置される2つの半円環状の開口部32a及びクリック板金34を押圧する2つの押圧部32bがそれぞれ中央部の開口を挟んで形成されている。ここで押圧部32bにはそれぞれ外装カバー3に設けられている2つの位置決めピン3aが挿入される位置決め穴32cが形成されている。また防塵・防音ゴム部材32の外装カバー3に対向する側の周縁部に鍔部32dが形成されている。
【0015】
クリック板金34は、金属により形成された中央部に開口を有する部材であり、防塵・防音ゴム部材32の半円環状の開口部32aに配置される2つの突起部形成部34aが中央部の開口を挟んで形成されている。そして突起部形成部34aには、それぞれダイヤル部材30の内部に複数形成されている溝部30fに順次嵌ることによりクリック感を発生させる突起部34bが形成されている。また外装カバー3に設けられている2つの位置決めピン3aがそれぞれ挿入される2つの位置決め穴34cが中央部の開口を挟んで形成されている。
【0016】
接点バネ板金36は、接点36aを有する板状の部材であり、中央部に形成されている開口を挟んで2つの位置決め穴36bが形成されている。
【0017】
モードダイヤル12は、外装カバー3上にクリック板金34、防塵・防音ゴム部材32及びダイヤル部材30を順番に重ね、外装カバー3の内側に接点バネ板金36を配置して留めビス38をダイヤル部材30のビス穴30cに対して締付けることにより組み立てられる。この場合に、防塵・防音ゴム部材32の位置決め穴32c及びクリック板金34の位置決め穴34cに外装カバー3の位置決めピン3aが挿入されるため、外装カバー3に対する防塵・防音ゴム部材32及びクリック板金34の中心軸Xを中心とする回転方向の位置決めが行なわれる。
【0018】
またダイヤル部材30の位置決めピン30dが接点バネ板金36の位置決め穴36bに挿入されるため、ダイヤル部材30の回転に伴い接点バネ板金36が中心軸Xを中心として回転する。
【0019】
クリック板金34の位置決め穴34cが形成されている領域は防塵・防音ゴム部材32の押圧部32bにより外装カバー3に対して押圧される。即ち、押圧部32bにより位置決め穴34cが形成されている領域を面で外装カバー3に対して押圧する。従って、クリック板金34を外装カバー3に対してビスで固定する場合やボスを溶解させて圧着する場合に比較して、クリック板金34を広い領域で外装カバー3に対して固定することができるため、ダイヤル部材30が回転操作されクリック板金34の突起部34bがダイヤル部材30の内部に複数形成されている溝部30fに順次嵌りクリック感を発生させる場合において、操作者に不快感を与える音の発生を抑制することができる。
【0020】
また、防塵・防音ゴム部材32の鍔部32dがダイヤル部材30を構成する側壁部30bの内周縁部と外装カバー3に側壁部30bの内周縁部に対向するように形成された突出部3bとで挟まれることにより、ダイヤル部材30のクリック板金34が収容されている円環形状の空間を密閉空間にすることができる。ここで防塵・防音ゴム部材32は、硬度の低いシリコンゴムにより形成されているため、円環形状の空間を確実に密閉空間にすることができる。従って、ダイヤル部材30の円環形状の空間に埃が侵入しクリック板金34に付着するのを防止することができ、モードダイヤル12の操作時におけるクリック感の悪化を防止することができる。またダイヤル部材30のクリック板金34が収容されている円環形状の空間を密閉空間にしているため、モードダイヤル12の操作時にクリック板金34から音が発生した場合においても、音漏れの量を少なくすることができる。
【0021】
本実施の形態に係るモードダイヤルによれば、ダイヤル部材の内部に配置されたクリック板金への埃等の付着を防止すると共にクリック板金からの音の発生を抑制することができる。またクリック板金から音が発生した場合においても、音漏れの量を少なくすることができる。
【0022】
なお、上述の実施の形態においては、回転操作を行なうダイヤル装置について説明したが、外装カバー上に形成されたスライド操作部材であるスライドレバー等に本発明を適用しても良い。即ち、スライド操作を行なう操作部材の内部空間にクリック部材を収容し、防塵・防音ゴム部材によりクリック部材が収容されている内部空間を密閉空間とすると共に、クリック部材を外装カバーに対して押圧する。これによりクリック部材が収容されている内部空間への埃の侵入を防止することができ、クリック部材への埃の付着によるクリック感の低下を防止することができる。また防塵・防音ゴム部材によりクリック部材を押圧することにより操作者などに不快感を与える音の発生を抑制することができる。更に、防塵・防音ゴム部材によりクリック部材が収容されている内部空間を密閉空間としているため、クリック部材から音が発生した場合に音の漏れ量を少なくすることができる。
【0023】
また上述の実施の形態においては、ダイヤル部材30と防塵・防音ゴム部材32を別々の部材として成形しているが、二色成形により一体の部材として成形してもよい。この場合には、部品点数が削減されることから組み立て時の工数を少なくすることができるため製造コストの削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0024】
2…カメラ、3…外装カバー、10…LCD表示部、12…モードダイヤル、14…マルチセレクタ、30…ダイヤル部材、32…防塵・防音ゴム部材、32b…押圧部、32d…鍔部、34…クリック板金、36…接点バネ板金、38…留めビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装カバー上に設けられた操作装置であって、
内部に空間を有する操作部材と、
前記操作部材の前記空間に配置されたクリック部材と、
前記クリック部材が配置された前記空間への埃の侵入を防止すると共に、前記クリック部材を前記外装カバーに押圧する防塵部材と
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記操作部材の操作時に、前記クリック部材に設けられた凸部が前記操作部材の内部に設けられた複数の凹部に順次嵌ることによりクリック感を発生させることを特徴とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記防塵部材は、硬度が低いシリコンゴムにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記防塵部材は、周縁部に鍔部を有し、前記鍔部が前記操作部材の側壁の内周縁部と前記外装カバーに前記内周縁部に対向するように形成された突出部とで挟まれることにより前記空間を密閉空間とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作部材は、回転操作部材であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記操作部材は、スライド操作部材であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−12432(P2013−12432A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145473(P2011−145473)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】