説明

攪拌乾燥装置

【課題】
外部から供給される乾燥用気体を容器内に噴出して同容器内に投入した被処理物となる被乾燥物を乾燥する際に、被乾燥物をしっかりと乾燥でき、かつ乾燥作業における作業効率およびエネルギー効率を向上できる攪拌乾燥装置を提供する。
【解決手段】
ケーシング1内を、隔壁を介して上下2段に構成した上部攪拌通路2および下部攪拌通路8にそれぞれ攪拌手段3、10を設け、上部攪拌通路2内に投入した被乾燥物を連通開口5方向に移動させながら羽根3で攪拌してほぐし、かつ下部攪拌通路8内から案内される過熱高温蒸気19によって適宜に乾燥(初期乾燥)し、次いで、前記連通開口5より下部攪拌通路8内に移した被乾燥物を排出口12方向に移動させながら羽根10で攪拌し、下部攪拌通路8内に露出する固定導管9の噴射口9aから噴射される前記過熱高温蒸気19を噴射して被乾燥物を乾燥する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に投入した被乾燥物に対し、外部から供給する高温蒸気や空気等の乾燥用気体を容器内に備える噴射手段から噴射しながら攪拌して、被乾燥物の乾燥や殺菌を行う攪拌乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から供給される蒸気を容器内の攪拌手段から噴射して、被攪拌物である例えば植物栽培に用いる植栽土壌の乾燥や殺菌等を行う攪拌装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この攪拌装置は、外部から供給される乾燥や殺菌等に用いる蒸気を、被攪拌物を攪拌するための攪拌羽根を取り付けている水平軸、また水平軸および攪拌羽根から被攪拌物に対し噴射して攪拌乾燥を行っている。
【0004】
しかしながら、蒸気の噴射方向が水平軸や攪拌羽根の回転とともに常に変化しているので、攪拌羽根により攪拌される被攪拌物は、攪拌羽根の通過前後における位置によって同攪拌羽根から噴射された蒸気が多く当たる被攪拌物と少ししか当たらない被攪拌物があり、ムラが生じてしまう可能性がないとはいえなかった。
【0005】
したがって、蒸気を噴射している時間、すなわち被攪拌物を殺菌するための殺菌時間が短い場合には、被攪拌物の中に殺菌が不充分なものが存在する恐れがあり、十分に殺菌を行おうとして過剰に蒸気を噴射すると、エネルギーのロスに繋がる可能性がないとはいえなかった。
また、攪拌室が一段の構成の攪拌乾燥装置では、余剰の乾燥用気体は、乾燥に十分な状態であってもそのまま放出されてしまい、エネルギーを十分に活用しているとは言い切れないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3673813号公報(第1〜8頁、図1〜7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、外部から供給した高温蒸気や空気等の乾燥用気体を容器内に噴出して同容器内に投入した被乾燥物を乾燥・殺菌する場合に、被乾燥物を効率よく乾燥・殺菌できて乾燥や殺菌作業における作業効率を向上できる攪拌乾燥装置を提供できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る攪拌乾燥装置は、被乾燥物の投入口と同排出口を有するケーシング内に、それぞれ回転軸まわりに螺旋羽根を有する攪拌手段を備える上部攪拌通路と下部攪拌通路の少なくとも2段の攪拌通路を備え、前記下部攪拌通路には乾燥用気体の供給手段を設け、前記投入口に供給される被乾燥物が、上部攪拌通路、連通開口、下部攪拌通路を経て前記排出口から外部に排出されるように構成されていて、前記上部攪拌通路は、同上部攪拌通路の攪拌手段の下半部を軸周りに囲む隔壁にて前記下部攪拌通路と区画してあるが、前記攪拌手段の回転軸と平行をなす隔壁の側辺部のうち少なくとも一方の側辺を前記ケーシングの内壁と離間して上下の攪拌通路間を、前記攪拌手段の回転軸に略直交する方向に連通する空気流通路を設けたものとしてある。
【0009】
また、前記隔壁の下方に、前記下部攪拌通路内の空気を隔壁の外周に沿って誘導し、前記空気流通路に導く案内板を設けたものとしてある。
【0010】
そして、前記乾燥用気体を高温のものとし、前記上部攪拌通路と下部攪拌通路間に生じる温度差によって前記隔壁外面に、前記下部攪拌通路の被乾燥物から水分を奪った空気中の水分を結露させ、この結露によって絶対湿度が低下した空気を前記空気流通路を介して前記上部攪拌通路に供給するように構成したものとしてある。
【0011】
また、前記乾燥用気体を高温空気とし、前記上部攪拌通路と下部攪拌通路間に生じる温度差によって前記隔壁外面に、前記下部攪拌通路の被乾燥物から水分を奪った空気中の水分を結露させ、この結露によって絶対湿度が低下した空気を前記空気流通路を介して前記上部攪拌通路に供給するように構成し、前記結露によって生じた水分を前記案内板をドレンパンとして兼用してケーシング外に排出できるように構成したものとしてある。
【0012】
また、前記案内板を前記上部攪拌通路における隔壁の底部外面に沿う形状に構成したものとしてある。
【0013】
そして、前記下部攪拌通路における攪拌手段に、外部から乾燥用気体を供給し、攪拌手段に設けた複数の噴射口から乾燥用気体を噴射するように構成したものとしてある。
【0014】
また、前記攪拌手段の回転軸を筒状に構成し、同回転軸内に、周囲に複数の噴射口を有し、外部から乾燥用気体が供給されて噴射口に導く固定導管を設け、前記回転軸の一部に形成した連通部を通して下部攪拌通路内に乾燥用気体を噴射するよう構成したものとしてある。
【0015】
また、前記回転軸の前記下部攪拌通路内に位置する部位の少なくとも一部を切り欠いて前記連通部を構成し、前記固定導管をこの連通部から下部攪拌通路内に露出させ、前記乾燥用気体を、固定導管の任意の方向に向けた噴射口より直接下部攪拌通路内に噴射するよう構成したものとしてある。
【0016】
また、前記乾燥用気体を、回転軸に略直交する方向に、かつ略下方に向けて噴射するよう構成したものとしてある。
【0017】
そして、前記固定導管の下半分を断面略V字状に構成し、このV字状部分に噴射口を設けたものとしてある。
【0018】
また、前記乾燥用気体が、過熱高温蒸気であるものとしてある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る攪拌乾燥装置によれば、ケーシング内に上部攪拌通路と下部攪拌通路の少なくとも2段の攪拌通路を備え、まず被乾燥物を上部攪拌通路内に投入して初期乾燥し、次いで、この被乾燥物を下部攪拌通路内に移して本乾燥を行うようにしているため、被乾燥物の乾燥・殺菌を効率よく、かつ充分に行うことができ、また、下部攪拌通路で使用された余剰の乾燥用気体を、上部攪拌通路に送り二次利用することによってエネルギーを無駄なく利用できる。
【0020】
すなわち、投入口から上部攪拌通路内に投入された被乾燥物は、上部攪拌通路内における回転軸まわりに有する螺旋状の攪拌用羽根によって攪拌されながら上部攪拌通路内を移動して行く中でほぐされ、また下部攪拌通路内に噴射した乾燥用気体たる過熱高温蒸気を外部に排出する途中で上部攪拌通路内を経由させ、この過熱高温蒸気を、上部攪拌通路内を移動している被乾燥物に接触させながら排出しているので、被乾燥物を上部攪拌通路内にて適宜に乾燥(初期乾燥)できる。
【0021】
そして、前述する過熱高温蒸気を下部攪拌通路内から上部攪拌通路内に案内する空気流通路を設けていて、同空気流通路は、前記上部攪拌通路と下部攪拌通路内を区画する同上部攪拌通路の攪拌手段の下半部を軸周りに囲む隔壁の少なくとも一方の側辺部を前記ケーシングの内壁と離間して上下の攪拌通路間を、前記攪拌手段の回転軸に略直交する方向に連通するよう設けられ、また、前記隔壁の下方に、下部攪拌通路内の過熱高温蒸気を隔壁の外周に沿って誘導し、空気流通路に導く案内板を設けているので、過熱高温蒸気を上部攪拌通路内に効率よく案内できる。
【0022】
また、空気通路内で、上部攪拌通路と下部攪拌通路間に生じる温度差によって前記隔壁外面に、下部攪拌通路の被乾燥物から水分を奪った空気中の水分を結露させ、この結露によって絶対湿度が低下した過熱高温蒸気を空気通路を介して上部攪拌通路に供給するように構成してあるので、上部攪拌通路における被乾燥物の湿気を効果的に除去することができる。
【0023】
そして、前記結露によって生じた水分を前記案内板をドレンパンとして兼用してケーシング外に排出できるように構成しているので、上部攪拌通路の隔壁外面に結露した水分の下部攪拌通路内への滴下を防ぐことができ、上下の攪拌通路における被乾燥物の乾燥をさらに効果的に行うことができる。
【0024】
そして、被乾燥物は上部攪拌通路内と下部攪拌通路内とをつなぐ連通開口より下部攪拌通路内に移され、この下部攪拌通路内において、回転軸のまわりに有する螺旋状の攪拌用羽根によって攪拌されながら下部攪拌通路内を移動して行く中で、攪拌羽根の回転軸内に配している固定導管の噴射口から噴射した乾燥用気体たる過熱高温蒸気を、回転軸の一部に形成した連通部を通して被乾燥物に対して噴射しているので、被乾燥物がこの過熱高温蒸気によって回転軸の周囲から回転軸の遠心方向に向かって順次乾燥・殺菌されて行き、かつ被乾燥物は上部攪拌通路内にて適宜に乾燥(初期乾燥)されていることから、下部攪拌通路内における乾燥・殺菌を効率よく、かつ充分に行える。
【0025】
また、下部攪拌通路内の回転軸において、前記下部攪拌通路内に位置する部位の少なくとも一部を切り欠いて、回転軸内に配した固定導管を直接下部攪拌通路内に露出させて、被乾燥物を乾燥・殺菌するための乾燥用気体たる過熱高温蒸気を固定導管の噴射口より直接下部攪拌通路内に噴射する場合もあり、この場合は、過熱高温蒸気を直接下部攪拌通路内の被乾燥物に噴射できるので、過熱高温蒸気による被乾燥物の乾燥・殺菌を短時間で行うことができる。
【0026】
そして、下部攪拌通路における攪拌手段の下半部を軸周りに囲む隔壁にて区画された下部攪拌通路の湾曲する底部内面と攪拌用羽根との間に小なる隙間が空くようにしているので、同攪拌用羽根により下部攪拌通路内が回転軸の軸方向に対し複数の小スペース区に区切られ、したがって被処理物となる被乾燥物を乾燥・殺菌する際、回転軸位置より被乾燥物に対し一定方向に噴射している過熱高温蒸気をこの小スペース区内に留め置くことができて、被乾燥物の乾燥・殺菌を効率よく、かつ充分に行うことができる。
【0027】
以上のことから、本攪拌乾燥装置は、上部攪拌通路内に投入された被乾燥物が、上部攪拌通路内における攪拌羽根の回転により、被乾燥物の投入口を設けた上部攪拌通路の同内上流から下流へ移動する過程においてこの攪拌羽根によってほぐされ、かつ上部攪拌通路内に送られて二次利用される過熱高温蒸気によって適宜に乾燥(初期乾燥)され、次いで、上部攪拌通路内の下流端における上部攪拌通路内と下部攪拌通路内とを結ぶ連通開口より順次下部攪拌通路内の上流端に投入され、この下部攪拌通路内の上流端に投入された被乾燥物が、下部攪拌通路内における攪拌羽根の回転により、下部攪拌通路内の上流から下流へ移動する過程においてこの攪拌羽根により区切られた複数の小スペース区内で、この攪拌羽根の回転軸位置より被乾燥物に対し一定方向に噴射している過熱高温蒸気により、かつ攪拌羽根で攪拌されながら本乾燥が行われ、次いで、下部攪拌通路内の下流端に設けた被乾燥物の排出口から乾燥や殺菌を終了した被乾燥物を順次排出することができる。
【0028】
また本攪拌乾燥装置は、従来のように、高温蒸気や空気等の乾燥用気体を供給する外部導管を攪拌羽根の回転軸に接続するのではなく、外部導管を、固定導管に接続するので、回転継手等に複雑かつ高価な接続部材を必要とせず、したがって、従来よりも高温の蒸気を供給して、被乾燥物の乾燥・殺菌を極めて効率よく行うことができ、また、従来では漏洩防止シール等を劣化させるなどの理由で使用できなかった混合物も使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る攪拌乾燥装置の側面図。
【図2】本発明に係る攪拌乾燥装置の平面図。
【図3】上下攪拌通路の断面図。
【図4】上下攪拌通路の断面図。
【図5】図1に示した攪拌乾燥装置の内部を透視した一部拡大側面図。
【図6】図5中のA−A断面図。
【図7】固定導管の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る攪拌乾燥装置を、以下、添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0031】
本攪拌乾燥装置は、図1に示すように、ケーシング1内に、上部攪拌通路2と下部攪拌通路8との上下2段の攪拌通路を備え、それぞれの攪拌通路内に被乾燥物を攪拌するための羽根3、10を有する回転軸4、11と、この回転軸4、11を回転もしくは所望により回動させるためのモータ6、13を備えている(モータ6、13の電気配線は図示を省略)。
【0032】
またケーシング1は、図2に示すように、ケーシング1の上部を覆う天井部分の一端に被乾燥物を上部攪拌通路2内に投入するための上部攪拌通路2内と続く投入口1aと、下部攪拌通路8内に噴射される被乾燥物を乾燥・殺菌するための乾燥用気体たる、例えば300℃程度の高温水蒸気よりなる過熱高温蒸気19(図4参照)を上部攪拌通路2内から外部に排出するための排気口1bを設けている。
【0033】
さらに、図3に示すように、上部攪拌通路2は、同上部攪拌通路2の攪拌手段の下半部を軸周りに囲む隔壁22にて前記下部攪拌通路8と区画してあり、前記それぞれの羽根3、10の回転軸4、11と平行をなす隔壁の側辺部のうち少なくとも一方の側辺を前記ケーシング1の内壁と離間して上下の攪拌通路2、8間を、前記羽根3、10の回転軸4、11に略直交する方向に連通する空気流通路15を設けていて、この空気流通路15は、前述の下部攪拌通路8内に噴射される被乾燥物を乾燥・殺菌するための過熱高温蒸気19(図4参照)を、下部攪拌通路8内から上部攪拌通路2に案内するためのものである。
【0034】
そして、上部攪拌通路2内および下部攪拌通路8内の底部は、図3に示すように、内側に湾曲していて(内底部2a、内底部8a)、また上部攪拌通路2および下部攪拌通路8に配設する回転軸4、11は、上部攪拌通路2および下部攪拌通路8における底部内面(内底部2a、内底部8a)の湾曲方向に対し直交させて配置している。
【0035】
また回転軸4、11は、この回転軸4、11が回転した際に、回転軸4、11に設けた羽根3、10の先端と上部攪拌通路2、下部攪拌通路8の湾曲する底部内面(内底部2a、内底部8a)との間に小なる隙間を有して羽根3、10が回転できるように配設している。
【0036】
そして下部攪拌通路8内における回転軸11は、同両端を残し中間部位を切り欠いていて連通部を構成し、回転軸11内の空間11a(図6を参照)に回転軸11外部より案内している外部から供給される被乾燥物の乾燥・殺菌を行うための過熱高温蒸気19(図4参照)を、回転軸11に略直交する方向に、かつ略下方に向けて噴射するための噴射口9aを適数設けた固定導管9を下部攪拌通路8内に露出させている。
【0037】
また噴射口9aから回転軸11の略直交する方向に、かつ略下方に噴射される被乾燥物の乾燥・殺菌を行うための過熱高温蒸気19(図4参照)は、図7中(a)に示したように、固定導管9の略下側に配した噴射口9aから過熱高温蒸気19を放射状に噴射したり、また図7中(b)に示すように、固定導管9の下半部を断面略V字状にし、このV字面に多数配した噴射口9aから過熱高温蒸気19を略平行に噴射する場合がある。
【0038】
上述のように、前記過熱高温蒸気を、回転軸11に略直交する方向に、かつ略下方に向けて噴射する場合は、被乾燥物中に下向きに入っていく前記過熱高温蒸気が、特に底部中心より側方に入って行くものが、底部内面の湾曲部分に当たり同過熱高温蒸気の進行方向がスムースに上向に方向を変えられて被乾燥物中から外部に放出されるので、これにより、被乾燥物は過熱高温蒸気によって下から上に持ち上げられながら攪拌されるため余剰の過熱高温蒸気や湿気等の放出性がよく、したがって、被乾燥物の乾燥・殺菌を短時間で効率よく行うことができる。
【0039】
また、前記噴射口9aは、外部の供給装置(図示は省略)から供給される過熱高温蒸気19の供給圧力に対応する開口にしている。
【0040】
そして前記羽根3、10を、螺旋状(オーガ状)にしてあって、上部攪拌通路2においては、投入口1aより投入した被乾燥物を、投入口1a側たる上流から下部攪拌通路8内に続く連通開口5側たる下流に向けて被乾燥物を攪拌しながら移送できるようにしてある。
【0041】
また下部攪拌通路8においては、被乾燥物を乾燥・殺菌する際、図5に示すように、回転軸11内の空間11aに回転軸11外部から案内して攪拌容器1の下部攪拌通路8内に露出する固定導管9の噴射口9aから回転軸11に略直交する方向に、かつ略下方に向けて噴射される過熱高温蒸気19を、回転軸11の軸方向に対し前後の羽根10で挟まれた小スペース区20に留め置くことができ、かつ上部攪拌通路2内に続く連通開口5側たる上流から攪拌容器1の外部に続く排出口12側たる下流に向けて被乾燥物を攪拌しながら移送できるようにしている。
【0042】
そして、下部攪拌通路8内に噴射した過熱高温蒸気19は、図4に示すように、下部攪拌通路8内の上方と上部攪拌通路2内の上方を結ぶ空気流通路15を通過して上部攪拌通路2内に案内され、上部攪拌通路2内において、羽根3によって上部攪拌通路2内を攪拌されながら移動している被乾燥物(図示は省略)に接触しながら攪拌容器1の上部を覆う天井部分に設けた排気口1bから外部に排出している。
【0043】
また過熱高温蒸気19を、空気流通路15内において、過熱高温蒸気19を噴射していないため比較的低温になっている上部攪拌通路2との温度差を利用して、同上部攪拌通路2における隔壁22の底部外面たる外底部2bに接触させて、下部攪拌通路8内にて被乾燥物を乾燥・殺菌して湿気を含んでいる過熱高温蒸気19内の湿気たる水分をこの外底部2bに結露(水滴21)させている。
したがって、空気流通路15内にて絶対湿度を下げられた過熱高温蒸気が上部攪拌通路2に送られ、上部攪拌通路2内にて過熱高温蒸気19が被乾燥物に接触した際、被乾燥物の湿気を除去することができる。
【0044】
そして、案内板16の内底部16aは内側に湾曲していて、この湾曲している部分を外底部2bに結露して滴下する水滴21を受ける受け皿、すなわち前記案内板16をドレンパンとして兼用し、水滴21を排水口17よりケーシング1外に排出できるようにしている。
【0045】
また案内板16は回転軸4の軸方向に延設しているが、同軸方向に、例えば、断続的に配設する場合もある。
【0046】
本実施例に示す攪拌乾燥装置は、上部攪拌通路2内に投入した被処理物となる被乾燥物(図示は省略)を、上部攪拌通路2内に有する被乾燥物(図示は省略)を一方回転させている回転軸4に設けた羽根3で、上部攪拌通路2内と下部攪拌通路8内とを結ぶ連通開口5方向に移動させながら同羽根3で攪拌してほぐし、かつ上部攪拌通路2内を経由させて二次利用してから外部に排出している下部攪拌通路8内より案内する過熱高温蒸気19によって適宜に乾燥(初期乾燥)し、次いで、上部攪拌通路2内と下部攪拌通路8内とを結ぶ同連通開口5より被乾燥物(図示は省略)を順次下部攪拌通路8内の上流端に投入し、この被乾燥物(図示は省略)を、下部攪拌通路8内の被乾燥物(図示は省略)を一方回転させている回転軸11に設けた羽根10で、排出口12方向に移動させながら同羽根10で攪拌し、かつ被乾燥物(図示は省略)が排出口12に到達する間に下部攪拌通路8内に露出する固定導管9の噴射口9aより噴射している過熱高温蒸気19で被乾燥物(図示は省略)を乾燥・殺菌して、この被乾燥物(図示は省略)を排出口12から排出できるようにした攪拌乾燥装置の一例である。
【0047】
また、ケーシング1の下部攪拌通路8の排出口12にも開閉蓋(図示は省略)を設ける場合もある。
【0048】
実施例における図中の符号7、14は、それぞれ回転軸4、11の軸受、符号9bは、固定導管9の固定具、符号9cは、外部の供給装置(図示は省略)から供給される過熱高温蒸気19の供給用導管を接続する接続口、符号18は、設置場所を変更する際の移動手段たるキャスタである。
【0049】
なお、本実施例では回転軸11の中間部位を切り欠いて固定導管9を露出する連通部の構成としてあるが、この切り欠きに代え、多数に通孔を回転軸に開けて連通部を構成し、これら通孔を通して固定導管からの過熱高温蒸気を噴射するようにする場合もある。
また、乾燥用気体として、過熱高温蒸気ではなく高温乾燥空気を使用する場合もある。
【符号の説明】
【0050】
1 ケーシング
1a 投入口
1b 排気口
2 上部攪拌通路
2a 内底部
2b 外底部
3 羽根
4 回転軸
5 連通開口
6 モータ
7 軸受
8 下部攪拌通路
8a 内底部
9 固定導管
9a 噴射口
9b 固定具
9c 接続口
10 羽根
11 回転軸
11a 空間
12 排出口
13 モータ
14 軸受
15 空気流通路
16 案内板
16a 内底部
17 排水口
18 キャスタ
19 過熱高温蒸気
20 小スペース区
21 水滴
22 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物の投入口と同排出口を有するケーシング内に、それぞれ回転軸まわりに螺旋羽根を有する攪拌手段を備える上部攪拌通路と下部攪拌通路の少なくとも2段の攪拌通路を備え、前記下部攪拌通路には乾燥用気体の供給手段を設け、前記投入口に供給される被乾燥物が、上部攪拌通路、連通開口、下部攪拌通路を経て前記排出口から外部に排出されるように構成されていて、前記上部攪拌通路は、同上部攪拌通路の攪拌手段の下半部を軸周りに囲む隔壁にて前記下部攪拌通路と区画してあるが、前記攪拌手段の回転軸と平行をなす隔壁の側辺部のうち少なくとも一方の側辺を前記ケーシングの内壁と離間して上下の攪拌通路間を、前記攪拌手段の回転軸に略直交する方向に連通する空気流通路を設けてなる攪拌乾燥装置。
【請求項2】
前記隔壁の下方に、前記下部攪拌通路内の空気を隔壁の外周に沿って誘導し、前記空気流通路に導く案内板を設けてなる請求項1に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥用気体を高温空気とし、前記上部攪拌通路と下部攪拌通路間に生じる温度差によって前記隔壁外面に、前記下部攪拌通路の被乾燥物から水分を奪った空気中の水分を結露させ、この結露によって絶対湿度が低下した空気を前記空気流通路を介して前記上部攪拌通路に供給するように構成してなる請求項1に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項4】
前記乾燥用気体を高温空気とし、前記上部攪拌通路と下部攪拌通路間に生じる温度差によって前記隔壁外面に、前記下部攪拌通路の被乾燥物から水分を奪った空気中の水分を結露させ、この結露によって絶対湿度が低下した空気を前記空気流通路を介して前記上部攪拌通路に供給するように構成し、前記結露によって生じた水分を前記案内板をドレンパンとして兼用してケーシング外に排出できるように構成してなる請求項2に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項5】
前記案内板を前記上部攪拌通路における隔壁の底部外面に沿う形状に構成してなる請求項2または4に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項6】
前記下部攪拌通路における攪拌手段に、外部から乾燥用気体を供給し、攪拌手段に設けた複数の噴射口から乾燥用気体を噴射するように構成してなる請求項1乃至5に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項7】
前記攪拌手段の回転軸を筒状に構成し、同回転軸内に、周囲に複数の噴射口を有し、外部から乾燥用気体が供給されて噴射口に導く固定導管を設け、前記回転軸の一部に形成した連通部を通して下部攪拌通路内に乾燥用気体を噴射するよう構成してなる請求項6に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項8】
前記回転軸の前記下部攪拌通路内に位置する部位の少なくとも一部を切り欠いて前記連通部を構成し、前記固定導管をこの連通部から下部攪拌通路内に露出させ、前記乾燥用気体を、固定導管の任意の方向に向けた噴射口より直接下部攪拌通路内に噴射するよう構成してなる請求項7に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項9】
前記乾燥用気体を、回転軸に略直交する方向に、かつ略下方に向けて噴射するよう構成してなる請求項6乃至8に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項10】
前記固定導管の下半分を断面略V字状に構成し、このV字状部分に噴射口を設けてなる請求項7または8に記載の攪拌乾燥装置。
【請求項11】
前記乾燥用気体が、過熱高温蒸気である請求項1乃至10に記載の攪拌乾燥装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−223504(P2010−223504A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71435(P2009−71435)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(390027454)協全商事株式会社 (13)
【Fターム(参考)】