攪拌装置及び自動分析装置
【課題】音波の干渉に起因して音波発生手段の圧電基板内や容器壁内で発生した熱を容器から離れた位置へ移動させ、液体試料への熱的影響を抑制することが可能な攪拌装置及び自動分析装置を提供すること。
【解決手段】容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置及び自動分析装置。攪拌装置20は、容器5に設ける圧電基板23a及び圧電基板に形成した電極23bを有し、液体を攪拌する音波を発生させる表面弾性波素子23と、容器又は圧電基板の音響インピーダンスの不連続面23eに設けられ、表面弾性波素子が出射した音波と不連続面で反射した音波との干渉によって発生する熱を容器から離れた位置へ移動させる熱伝導部材24とを備えている。
【解決手段】容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置及び自動分析装置。攪拌装置20は、容器5に設ける圧電基板23a及び圧電基板に形成した電極23bを有し、液体を攪拌する音波を発生させる表面弾性波素子23と、容器又は圧電基板の音響インピーダンスの不連続面23eに設けられ、表面弾性波素子が出射した音波と不連続面で反射した音波との干渉によって発生する熱を容器から離れた位置へ移動させる熱伝導部材24とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌装置及び自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、検体と試薬を含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定することにより、検体中の成分濃度等を分析している。このとき、液体試料を攪拌する攪拌装置は、いわゆるキャリーオーバーを回避すべく検体と試薬を含む液体試料に音波発生手段が発生した音波を照射することによって非接触で攪拌する攪拌装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された攪拌装置で使用する音波発生手段は、圧電基板上に櫛歯状電極(IDT)からなる振動子が形成され、容器の壁面に取り付けて使用され、振動子が音波を発生させる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−90791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の攪拌装置は、音波発生手段が発生した音波を液体試料に照射することによって生ずる音響流による液体試料の発熱や、音波発生手段の圧電基板内や容器壁内を伝搬する音波と圧電基板や容器壁の音響インピーダンスの不連続面で反射した音波との干渉による容器の発熱が生じる。この場合、音響流による液体試料の発熱は回避できないが、圧電基板や容器の壁は、攪拌対象である液体試料と接するか、液体試料に接近した位置にあることから液体試料への熱的影響が大きい。しかも、近年、分析コストの低減や被験者への負担低減から、検体や試薬の微量化が望まれている。しかし、検体や試薬の微量化によって液体試料が微量になる程、液体試料の熱容量が小さくなるため、液体試料の温度上昇が大きくなってしまうという問題があった。特に、生化学分析装置は、血液等の生体試料を分析することから液体試料の温度上昇によって攪拌対象が変性し、検体の正確な分析に支障を生ずる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、音波の干渉に起因して音波発生手段の圧電基板内や容器壁内で発生した熱を容器から離れた位置へ移動させ、液体試料への熱的影響を抑制することが可能な攪拌装置及び自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の攪拌装置は、容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置において、前記容器に設ける圧電基板及び当該圧電基板に形成した電極を有し、前記液体を攪拌する音波を発生させる音波発生手段と、前記容器又は前記圧電基板の音響インピーダンスの不連続面に設けられ、前記音波発生手段が出射した音波と前記不連続面で反射した音波との干渉によって発生する熱を前記容器から離れた位置へ移動させる熱伝導部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の攪拌装置は、上記の発明において、前記音響インピーダンスの不連続面は、前記音波の伝搬方向に交差する前記圧電基板の端面又は前記容器の端面であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の攪拌装置は、上記の発明において、前記容器は、当該容器の壁から突出し、前記壁内を伝搬する音波を音響インピーダンスの境界部によって前記容器から遠ざかる方向へ導く誘導部が設けられ、前記熱伝導部材は、前記誘導部の音響インピーダンスの不連続面に設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、表面弾性波素子又は厚み縦振動子であることを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する自動分析装置であって、前記攪拌装置を用いて検体と試薬とを攪拌し、反応液を光学的に分析することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記熱伝導部材によって前記容器から離れた位置へ移動された熱を放熱する放熱部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の攪拌装置は、容器に設ける圧電基板及び圧電基板に形成した電極を有し、液体を攪拌する音波を発生させる音波発生手段と、容器又は圧電基板の音響インピーダンスの不連続面に設けられ、音波発生手段が出射した音波と不連続面で反射した音波との干渉によって発生する熱を容器から離れた位置へ移動させる熱伝導部材とを備え、本発明の自動分析装置は、前記攪拌装置を用いて検体と試薬とを攪拌し、反応液を光学的に分析するので、音波の干渉に起因して音波発生手段の圧電基板内や容器壁内で発生した熱を容器から離れた位置へ移動させ、容器が保持した液体試料への熱的影響を抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の攪拌装置を備えた実施の形態1の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、実施の形態1の自動分析装置及び攪拌装置の構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態1の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子と、表面弾性波素子を取り付けた反応容器とを示す斜視図である。図4は、表面弾性波素子が取り付けられ、実施の形態1の自動分析装置で使用される反応容器を送電体と共に示す斜視図である。
【0014】
自動分析装置1は、図1及び図2に示すように、試薬テーブル2,3、反応テーブル4、検体容器移送機構8、分析光学系12、洗浄機構13、制御部15及び攪拌装置20を備えている。
【0015】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器2a,3aを保持し、駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。
【0016】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、試薬テーブル2,3の駆動手段とは異なる駆動手段によって正転或いは逆転されて反応容器5を搬送する。反応テーブル4は、例えば、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4周回転し、四周期で(1周−1反応容器)周回転する。
【0017】
反応容器5は、容量が数nL〜数十μLと微量な容器であり、分析光学系12の発光部12aから出射された分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器5は、図3及び図4に示すように、側壁5a,5bと底壁とによって液体を保持する水平断面が四角形の液体保持部が形成され、液体保持部の上部に開口5cを有する四角筒形状のキュベットである。反応容器5は、側壁5aに取り付けられる表面弾性波素子23と共に攪拌装置20を構成している。反応容器5は、表面弾性波素子23を半径方向外方へ向けて反応テーブル4に配置され、反応テーブル4の近傍に設けた試薬分注機構6,7によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。
【0018】
ここで、試薬分注機構6,7は、それぞれ水平面内を矢印方向に回動するアーム6a,7aに試薬を分注するプローブ6b,7bが設けられ、洗浄水によってプローブ6b,7bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0019】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、フィーダ9に配列した複数のラック10を矢印方向に沿って1つずつ移送する移送手段であり、ラック10を歩進させながら移送する。ラック10は、検体を収容した複数の検体容器10aを保持している。ここで、検体容器10aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック10の歩進が停止するごとに、水平方向に回動する駆動アーム11aとプローブ11bとを有する検体分注機構11によって検体が各反応容器5へ分注される。このため、検体分注機構11は、洗浄水によってプローブ11bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0020】
分析光学系12は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体を分析するための分析光(340〜800nm)を出射するもので、図1に示すように、発光部12a,分光部12b及び受光部12cを有している。発光部12aから出射された分析光は、反応容器5内の液体を透過し、分光部12bと対向する位置に設けた受光部12cによって受光される。受光部12cは、制御部15と接続され、受光した分析光の光量信号を制御部15へ出力する。
【0021】
洗浄機構13は、ノズル13aによって反応容器5内の液体を吸引して排出した後、ノズル13aから洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入し、吸引する動作を複数回繰り返すことにより、分析光学系12による測光が終了した反応容器5内を洗浄する。
【0022】
制御部15は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、図1及び図2に示すように、自動分析装置1の各構成部と接続されてこれらの作動を制御すると共に、発光部12aの出射光量と受光部12cが受光した光量に基づく反応容器5内の液体の吸光度に基づいて検体の成分濃度等を分析する。制御部15は、キーボード等の入力部16から入力される分析指令に基づいて自動分析装置1の各構成部の作動を制御しながら分析動作を実行させると共に、分析結果や警告情報の他、入力部16から入力される表示指令に基づく各種情報等をディスプレイパネル等の表示部17に表示する。
【0023】
攪拌装置20は、表面弾性波素子23を駆動して発生する音波によって反応容器5に保持された液体を攪拌するもので、反応容器5の他に、図1及び図2に示すように、送電体21と表面弾性波素子23とを有している。
【0024】
送電体21は、反応テーブル4外周の互いに対向する位置に反応容器5と水平方向に対向させて配置され、数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電源から供給される電力を表面弾性波素子23に送電する。送電体21は、駆動回路とコントローラとを備えており、図4に示すように、表面弾性波素子23の電気端子23dに当接するブラシ状の接触子21aを有している。このとき、送電体21は、図1に示すように、配置決定部材22に支持されており、反応テーブル4の回転が停止したときに接触子21aから電気端子23dに電力を送電する。
【0025】
配置決定部材22は、送電体21から電気端子23dに電力を送電する送電時に、送電体21を移動させて送電体21と電気端子23dとの反応テーブル4の周方向並びに半径方向における相対配置を調整するもので、例えば、2軸ステージが使用される。具体的には、配置決定部材22は、反応テーブル4が回転し、送電体21から電気端子23dに電力を送電していない非送電時は作動を停止し、送電体21と電気端子23dとの間を一定の距離に保持している。
【0026】
そして、反応テーブル4が回転を停止すると、配置決定部材22は、制御部15の制御の下に送電体21を移動させ、送電体21と電気端子23dとが対向するように反応テーブル4の周方向に沿った位置を調整すると共に、相対配置を決定する。これにより、反応テーブル4が回転を停止すると、送電体21は、接触子21aが電気端子23dに接触し、接触子21aから電気端子23dに電力を送電する。
【0027】
表面弾性波素子23は、図3及び図5に示すように、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等からなる圧電基板23aの一方の面に複数の櫛歯状電極(IDT)からなる振動子23bが設けられると共に、バスバー23cの端部に受電手段となる電気端子23dが設けられた音波発生手段である。振動子23bは、送電体21から送電された電力によって音波を発生する。表面弾性波素子23は、振動子23b及び電気端子23dを外側に向け、エポキシ樹脂や紫外線硬化樹脂等の音響整合層を介して反応容器5の側壁5aに取り付けられる。
【0028】
このとき、表面弾性波素子23は、図5に示すように、圧電基板23aの端面23eに熱伝導部材24が設けられている。ここで、端面23eは、圧電基板23a内を伝搬する音波の伝搬方向における音響インピーダンスの不連続面である。
【0029】
熱伝導部材24は、表面弾性波素子23が出射した音波と端面23eで反射した音波との干渉によって発生する熱を反応容器5から離れた位置へ移動させる部材であり、例えば、金属微粒子を混入した合成樹脂が使用される。このとき、熱伝導部材24は、図5に示すように、反応容器5から離れた端部が、自動分析装置1を構成する機体、例えば、反応テーブル4に形成したブラケット4aに接続されている。ブラケット4aは、熱伝導部材24によって反応容器5から離れた位置へ移動された熱を放熱する放熱部材である。
【0030】
以上のように構成される自動分析装置1は、制御部15の制御の下に作動し、回転する反応テーブル4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6,7が試薬容器2a,3aから試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器5は、検体分注機構11によってラック10に保持された複数の検体容器10aから検体が順次分注される。
【0031】
そして、試薬と検体が分注された反応容器5は、反応テーブル4が停止する都度、攪拌装置20によって順次攪拌されて試薬と検体とが反応し、反応テーブル4が再び回転したときに分析光学系12を通過する。このとき、反応容器5内の反応液は、受光部12cで測光され、制御部15によって成分濃度等が分析される。そして、反応液の測光が終了した反応容器5は、洗浄機構13によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0032】
このとき、攪拌装置20は、送電体21から電力を送電して表面弾性波素子23を駆動すると、図6に示すように、振動子23bの発生した音波(バルク波)が圧電基板23a及び側壁5aを伝搬して反応容器5に保持された液体試料Ls中へ入射し、液体試料Ls中に音響流を発生させて液体試料Lsを攪拌する。
【0033】
この場合、振動子23bが発生した音波(バルク波)には、反射しながら圧電基板23a内を伝搬する音波WbA、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbB及び液体試料Ls中へ入射する音波WbCがある。これらの音波のうち、音波WbCのみが液体試料Lsの攪拌に寄与し、音波WbA,WbBは圧電基板23a内及び側壁5a内を多重反射しながら伝搬することで減衰してゆく。なお、図6に示す攪拌装置20は、圧電基板23aと側壁5aとの間に配置される音響整合層を省略しており、以下の説明で使用する他の図面においても音響整合層を省略している。
【0034】
このとき、図6に示すように、振動子23bが発生した音波(バルク波)のうち反射しながら圧電基板23a内を伝搬する音波WbAは、音響インピーダンスの不連続面となる端面23eで反射する。このため、図7に示すように、圧電基板23a内を反射しながら伝搬する音波WbAと端面24eで反射した反射音波WbARとが干渉する結果、音波WbA,WbARの伝搬経路上にある圧電基板23aの領域Aiが発熱する。
【0035】
しかし、本発明の攪拌装置20は、図5〜図7に示すように、圧電基板23aの上下の端面23eに熱伝導部材24が設けられている。このため、攪拌装置20は、図7に示すように、上部の端面23eに近い領域Aiが発熱しても、この熱を熱伝導部材24が、図6及び図7に矢印で示すようにブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させ、反応容器5側へは移動させない。これは、下部の端面23eに近い領域が発熱した場合も同じである。
【0036】
この結果、自動分析装置1は、攪拌装置20を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができるので、温度上昇に伴う液体試料Lsの変性を回避することができ、検体の分析精度が向上する。
【0037】
(変形例1)
ここで、攪拌装置20は、表面弾性波素子23を反応容器5の底壁に取り付けても液体試料を攪拌することができる。この場合、熱伝導部材24は、図8に示すように、圧電基板23aの長手方向両側の端面23eに設ける。
【0038】
このようにしても、攪拌装置20は、圧電基板23a内を伝搬してくる音波WbAと、端面23eで反射した音波との干渉によって生じた熱を熱伝導部材24によって反応容器5から離れた位置へ移動させ、反応容器5が保持した液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0039】
ここで、圧電基板23aは、予め音響インピーダンスの不連続面となる端面23eに薬品による化学的処理やサンドブラスト等の物理的処理を施すことによって乱反射面に加工しておくと、伝搬してくる音波と乱反射した音波との干渉による発熱領域がより端面23eに近くなり、熱伝導部材24による熱の移動、従って液体試料への熱的影響の抑制がより容易になる。これは、反応容器5における音響インピーダンスの不連続面となる側壁5aと底壁の端面に対しても当てはまり、以下に説明する各実施の形態においても同様である。
【0040】
また、実施の形態1の攪拌装置は、表面弾性波素子23が出射する音波としてバルク波を使用する場合について説明した。しかし、攪拌装置は、振動子23bを側壁5aに向けて表面弾性波素子23を反応容器5に取り付け、表面弾性波(SAW)によって反応容器5が保持した液体試料Lsを攪拌すると共に、熱伝導部材24によって音波の干渉に起因した熱を移動させ、反応容器5が保持した液体試料Lsへの熱的影響を抑制してもよい。
【0041】
(実施の形態2)
次に、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態2について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の攪拌装置は、熱伝導部材を表面弾性波素子に設けたが、実施の形態2の攪拌装置は、熱伝導部材を反応容器の外壁に設けている。図9は、実施の形態2の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子、表面弾性波素子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。図10は、図9に示す反応容器に設けた熱伝導部材による熱の移動を説明する要部を拡大して示す断面図である。ここで、以下に説明する各実施の形態の自動分析装置及び攪拌装置は、実施の形態1の自動分析装置1及び攪拌装置20と基本構成が同じのものを使用するので、同じ構成要素には同じ符号を使用し、重複した説明を省略している。
【0042】
実施の形態2の自動分析装置で使用される攪拌装置25は、図9及び図10に示すように、表面弾性波素子23を反応容器5の側壁5aに設けると共に、側壁5aの下部から底壁に亘る範囲に熱伝導部材24を設けている。熱伝導部材24は、図10に示すように、反応容器5から離れた端部が、例えば、反応テーブル4に形成した放熱用のブラケット4aに接続されている。
【0043】
このため、攪拌装置25は、反応容器5の側壁5a内を伝搬してくる音波WbBと、側壁5a下部の端面で反射した音波との干渉によって生じた熱を、熱伝導部材24が図10に矢印で示すようにブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置25を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができるので、温度上昇に伴う液体試料Lsの変性を回避することができ、検体の分析精度が向上する。
【0044】
ここで、攪拌装置25は、表面弾性波素子23を反応容器5の底壁に取り付けても液体試料を攪拌することができる。この場合、熱伝導部材24は、振動子23bの並び方向両側に位置する底壁から側壁5a下部に亘る面に設ける。
【0045】
(変形例1)
ここで、攪拌装置25は、図11及び図12に示すように、圧電基板23aを設けた側壁5aの上部に熱伝導部材24を設けてもよい。この場合、熱伝導部材24は、図11に示すように、反応容器5から離れた端部を放熱用のブラケット4aに接続する。
【0046】
このとき、攪拌装置25は、表面弾性波素子23が出射した音波のうち、図12に示すように、反射しながら側壁5a内を上方へ伝搬する音波WbBが側壁5aの上端面で反射され、反射した音波が上方へ伝搬する音波WbBと干渉して側壁5aの上端面近傍が発熱する。しかし、攪拌装置25は、側壁5aの上部に熱伝導部材24を設けたので、発生した熱を熱伝導部材24が矢印で示すようにブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置25を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0047】
(変形例2)
また、攪拌装置25は、図13に示すように、振動子23bを側壁5aに向けて表面弾性波素子23を反応容器5に取り付け、表面弾性波(SAW)によって反応容器5が保持した液体試料Lsを攪拌してもよい。この場合、攪拌装置25は、反応容器5の側壁5aの上部と下部に熱伝導部材24を設け、熱伝導部材24の端部を放熱用のブラケット4aに接続する。
【0048】
このとき、攪拌装置25は、表面弾性波(SAW)によって液体試料Lsを攪拌する際、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WaBと側壁5aの上下の端面で反射した音波とが干渉して上下の端面近傍で側壁5aが発熱する。しかし、攪拌装置25は、側壁5aの上部と下部に熱伝導部材24を設けたので、発生した熱を熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置25を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0049】
(実施の形態3)
次に、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態3について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態2の攪拌装置は、熱伝導部材を反応容器に直接設けたが、実施の形態3の攪拌装置は、熱伝導部材を反応容器に形成した誘導部に設けている。図14は、実施の形態3の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子、表面弾性波素子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【0050】
実施の形態3の自動分析装置で使用される攪拌装置30は、図14に示す反応容器5Aを使用する。反応容器5Aは、表面弾性波素子23を取り付けた側壁5a下部に側壁5aから外方へ突出する突縁状の誘導部5eが設けられ、誘導部5eの外面に熱伝導部材24が設けられている。熱伝導部材24は、反応容器5Aから離れた端部が放熱用のブラケット4aに接続されている。また、反応容器5Aは、底面部材51によって底壁が形成されている。
【0051】
ここで、誘導部5eは、側壁5a内を伝搬する音波WbB(図15参照)を反応容器5Aから遠ざかる方向へ導く突出部であり、側壁5aと同じ素材から成形されている。底面部材51は、外方に向かって低くなる傾斜面が周囲に形成された四角形状の板材であり、側壁5aの下部に接着層52によって接着されている。
【0052】
このとき、反応容器5Aは、誘導部5e,底面部材51,接着層52の音響インピーダンスをそれぞれZ1,Z2,Z3とし、音波の波長をλ、接着層52の厚さをLとしたとき、音響インピーダンスZ1,Z2,Z3がそれぞれ次式の関係を満たすように設定する。
【0053】
Z3≠(Z1+Z2)/2
Z1<Z2<Z3, 又はZ3<Z1<Z2, 又はZ2<Z1<Z3, 又はZ3<Z2<Z1
L≠(λ/2)・n (nは自然数)
【0054】
但し、誘導部5eと底面部材51は、同一素材であってもよいので、音響インピーダンスZ1,Z2,Z3は以下の式を満たせばよい。
【0055】
Z1=Z2<Z3, 又はZ3<Z1=Z2
【0056】
音響インピーダンスZ1,Z2,Z3を以上のように設定すると、接着層52は、誘導部5eと底面部材51との間で音響インピーダンスが不連続となる音響インピーダンスの境界部となり、側壁5a内を伝搬する音波WbBを反射して反応容器5Aから遠ざかる誘導部5eへと導くことができる。
【0057】
従って、反応容器5Aを使用した攪拌装置30においては、表面弾性波素子23が出射した音波のうち、図15に示すように、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbBは、音響インピーダンスの相違によって接着層52の表面で反射され、反応容器5Aから遠ざかる誘導部5eへと伝搬する。このようにして誘導部5eへ伝搬した音波WbBは、誘導部5eの端面に到達すると反射し、誘導部5eへ伝搬してくる音波WbBと干渉する。これにより、反応容器5Aは、誘導部5e内の端面近傍が発熱する。
【0058】
しかし、攪拌装置30は、誘導部5eの外面に熱伝導部材24が設けられている。このため、攪拌装置30は、発生した熱を熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置30を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0059】
(変形例1)
ここで、攪拌装置30で使用する反応容器は、図16に示す反応容器5Bのように、2つの側壁5aの下部に誘導部53を設け、表面弾性波素子23を設けた側壁5a側に位置する誘導部53の外面に熱伝導部材24を設けてもよい。このとき、熱伝導部材24は、反応容器5Bから離れた端部が放熱用のブラケット4aに接続されている。誘導部53は、側壁5a内を伝搬する音波WbB(図17参照)を反応容器5Bから遠ざかる方向へ導く部材であり、斜めに切断した接着面53aが一方に形成されている。また、反応容器5Bは、底壁5dの側面に接着面53aに対応して傾斜させた傾斜面5fが形成されている。反応容器5Bは、傾斜面5fと接着面53aとの間が接着層54によって接着されている。
【0060】
このとき、反応容器5Bは、側壁5a,誘導部53,接着層54の音響インピーダンスをそれぞれZ1,Z4,Z3とし、音波の波長をλ、接着層54の厚さをLとしたとき、音響インピーダンスZ1,Z2,Z3がそれぞれ次式の関係を満たすように設定する。
【0061】
Z3=(Z1+Z4)/2
L=(λ/2)・n (nは自然数)
【0062】
音響インピーダンスZ1,Z2,Z3を以上のように設定すると、接着層54は、側壁5aと誘導部53との間で音響インピーダンスが不連続となる音響インピーダンスの境界部となり、側壁5a内を伝搬する音波WbBを透過して反応容器5Bから遠ざかる方向へ導くことができる。
【0063】
以上のように設定することにより、反応容器5Bを使用した攪拌装置30においては、表面弾性波素子23が出射した音波のうち、図17に示すように、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbBは、音響インピーダンスの相違によって接着層54を透過し、反応容器5Bから遠ざかる誘導部53へと伝搬する。このようにして誘導部53へ伝搬した音波WbBは、誘導部53の外面に到達すると反射し、誘導部53へ伝搬してくる音波WbBと干渉する。これにより、反応容器5Bは、誘導部53内の端面近傍が発熱する。
【0064】
しかし、反応容器5Bを使用した攪拌装置30は、誘導部53の外面に熱伝導部材24が設けられている。このため、攪拌装置30は、発生した熱を熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置30を使用することによって、反応容器5Bに保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0065】
(変形例2)
また、攪拌装置30で使用する反応容器は、図18に示す反応容器5Cのように、誘導部5eと底壁5dとの間に半円形の溝からなる凹部5gを設けてもよい。反応容器5Cは、凹部5gが音響インピーダンスの境界部となって、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbB(図19参照)を反射して反応容器5Cから遠ざかる誘導部5eへ導く。
【0066】
従って、反応容器5Cを使用した攪拌装置30においては、表面弾性波素子23が出射した音波のうち、図19に示すように、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbBは、音響インピーダンスの相違によって凹部5gで反射し、反応容器5Cから遠ざかる誘導部5eへと伝搬する。このようにして誘導部5eへ伝搬した音波WbBは、誘導部5eの外面に到達すると反射し、誘導部5eへ伝搬してくる音波WbBと干渉する。これにより、反応容器5Aは、誘導部5e内の端面近傍が発熱する。
【0067】
しかし、攪拌装置30は、誘導部5eの外面に熱伝導部材24が設けられている。このため、攪拌装置30は、発生した熱を熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置30を使用することによって、反応容器5Cに保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0068】
ここで、反応容器5Cは、音響インピーダンスの境界部として音波の反射端面となれば、半円形の溝からなる凹部5gに代えて、図20に示すように、誘導部5eと底壁5dとの間に断面形状三角形の溝からなる凹部5hを設けてもよい。この場合、凹部5hの斜面で反射し、反応容器5Cから遠ざかる誘導部5eへ伝搬した音波WbBは、誘導部5eの外面に到達すると反射し、誘導部5eへ伝搬してくる音波WbBと干渉する。これにより、反応容器5Aは、誘導部5e内の端面近傍が発熱する。
【0069】
しかし、この熱は、誘導部5eの外面に設けた熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置30を使用することによって、反応容器5Cに保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0070】
また、実施の形態3の攪拌装置は、表面弾性波素子23が出射する音波としてバルク波を使用する場合について説明したが、振動子23bを側壁5aに向けて表面弾性波素子23を反応容器5に取り付け、表面弾性波(SAW)によって反応容器5が保持した液体試料Lsを攪拌すると共に、熱伝導部材24によって音波を吸収することで反応容器5Cの音波の干渉による発熱を抑制してもよい。
【0071】
(実施の形態4)
次に、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態4について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1〜3の攪拌装置は、音波発生手段として表面弾性波素子を使用したが、実施の形態4の攪拌装置は、音波発生手段として厚み縦振動子を使用している。図21は、実施の形態4の自動分析装置で使用される攪拌装置の厚み縦振動子、厚み縦振動子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【0072】
実施の形態4の自動分析装置で使用される攪拌装置40は、図21に示すように、実施の形態1と同じ反応容器5を使用し、側壁5aの上部に熱伝導部材24を設けると共に、表面弾性波素子23に代えて、側壁5aの下部に楔41を介して厚み縦振動子42を配置している。このとき、熱伝導部材24は、反応容器5から離れた端部が放熱用のブラケット4aに接続されている。
【0073】
従って、攪拌装置40においては、厚み縦振動子42が出射した音波のうち、図示のように、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波Wは、側壁5aの上部に到達すると上端面で反射し、伝搬してくる音波Wと干渉する。これにより、反応容器5は、側壁5aの上端面近傍が発熱する。
【0074】
しかし、この熱は、側壁5aの上部に設けた熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置40を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0075】
なお、本発明の攪拌装置で使用する反応容器は、実施の形態1〜4で説明した各態様を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0076】
また、本発明の攪拌装置は、音波の干渉によって容器や圧電基板に発生した熱を熱伝導部材によって反応テーブル4に形成した放熱用のブラケット4aに移動させたが、自動分析装置1を構成する機体であればブラケット4aに限れるものではなく、例えば、試薬テーブル2,3等の試薬保冷庫やハウジング等に移動させてもよい。
【0077】
更に、本発明の自動分析装置は、2つの試薬テーブル2,3を有するものについて説明したが、試薬テーブルは1つであってもよい。更に、本発明の自動分析装置は、1つの自動分析装置をユニットとして複数ユニット備えたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の攪拌装置を備えた実施の形態1の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態1の自動分析装置及び攪拌装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子と、表面弾性波素子を取り付けた反応容器とを示す斜視図である。
【図4】表面弾性波素子が取り付けられ、実施の形態1の自動分析装置で使用される反応容器を送電体と共に示す斜視図である。
【図5】表面弾性波素子及び熱伝導部材が取り付けられ、実施の形態1の自動分析装置で使用される反応容器を放熱用のブラケットと共に示す正面図である。
【図6】表面弾性波素子が出射した音波の干渉によって発生した熱の熱伝導部材による移動を説明する要部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6のA部拡大図である。
【図8】実施の形態1の攪拌装置の変形例1に関する要部を拡大して示す断面図である。
【図9】実施の形態2の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子、表面弾性波素子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【図10】図9に示す反応容器に設けた熱伝導部材による熱の移動を説明する要部を拡大して示す断面図である。
【図11】実施の形態2の攪拌装置の変形例1に関する反応容器の正面図である。
【図12】図11の要部を拡大して示す断面図である。
【図13】実施の形態2の攪拌装置の変形例2に関する反応容器の断面図である。
【図14】実施の形態3の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子、表面弾性波素子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【図15】表面弾性波素子が出射した音波の干渉によって発生した熱の熱伝導部材による移動を説明する図14の要部を拡大して示す断面図である。
【図16】図14に示す攪拌装置の変形例1の断面図である。
【図17】表面弾性波素子が出射した音波の干渉によって発生した熱の熱伝導部材による移動を説明する図16の要部を拡大して示す断面図である。
【図18】図14に示す攪拌装置の変形例2の断面図である。
【図19】表面弾性波素子が出射した音波の干渉によって発生した熱の熱伝導部材による移動を説明する図18の要部を拡大して示す断面図である。
【図20】変形例2の他の例を示す断面図である。
【図21】実施の形態4の自動分析装置で使用される攪拌装置の厚み縦振動子、厚み縦振動子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
4 反応テーブル
5 反応容器
5e 誘導部
6,7 試薬分注機構
8 検体容器移送機構
9 フィーダ
10 ラック
11 検体分注機構
12 分析光学系
13 洗浄機構
15 制御部
16 入力部
17 表示部
20 攪拌装置
21 送電体
22 配置決定部材
23 表面弾性波素子
24 熱伝導部材
25,30 攪拌装置
40 攪拌装置
41 楔
42 厚み縦振動子
51 底面部材
52 接着層
53 誘導部
54 接着層
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌装置及び自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、検体と試薬を含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定することにより、検体中の成分濃度等を分析している。このとき、液体試料を攪拌する攪拌装置は、いわゆるキャリーオーバーを回避すべく検体と試薬を含む液体試料に音波発生手段が発生した音波を照射することによって非接触で攪拌する攪拌装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された攪拌装置で使用する音波発生手段は、圧電基板上に櫛歯状電極(IDT)からなる振動子が形成され、容器の壁面に取り付けて使用され、振動子が音波を発生させる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−90791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の攪拌装置は、音波発生手段が発生した音波を液体試料に照射することによって生ずる音響流による液体試料の発熱や、音波発生手段の圧電基板内や容器壁内を伝搬する音波と圧電基板や容器壁の音響インピーダンスの不連続面で反射した音波との干渉による容器の発熱が生じる。この場合、音響流による液体試料の発熱は回避できないが、圧電基板や容器の壁は、攪拌対象である液体試料と接するか、液体試料に接近した位置にあることから液体試料への熱的影響が大きい。しかも、近年、分析コストの低減や被験者への負担低減から、検体や試薬の微量化が望まれている。しかし、検体や試薬の微量化によって液体試料が微量になる程、液体試料の熱容量が小さくなるため、液体試料の温度上昇が大きくなってしまうという問題があった。特に、生化学分析装置は、血液等の生体試料を分析することから液体試料の温度上昇によって攪拌対象が変性し、検体の正確な分析に支障を生ずる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、音波の干渉に起因して音波発生手段の圧電基板内や容器壁内で発生した熱を容器から離れた位置へ移動させ、液体試料への熱的影響を抑制することが可能な攪拌装置及び自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の攪拌装置は、容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置において、前記容器に設ける圧電基板及び当該圧電基板に形成した電極を有し、前記液体を攪拌する音波を発生させる音波発生手段と、前記容器又は前記圧電基板の音響インピーダンスの不連続面に設けられ、前記音波発生手段が出射した音波と前記不連続面で反射した音波との干渉によって発生する熱を前記容器から離れた位置へ移動させる熱伝導部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の攪拌装置は、上記の発明において、前記音響インピーダンスの不連続面は、前記音波の伝搬方向に交差する前記圧電基板の端面又は前記容器の端面であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の攪拌装置は、上記の発明において、前記容器は、当該容器の壁から突出し、前記壁内を伝搬する音波を音響インピーダンスの境界部によって前記容器から遠ざかる方向へ導く誘導部が設けられ、前記熱伝導部材は、前記誘導部の音響インピーダンスの不連続面に設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、表面弾性波素子又は厚み縦振動子であることを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する自動分析装置であって、前記攪拌装置を用いて検体と試薬とを攪拌し、反応液を光学的に分析することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記熱伝導部材によって前記容器から離れた位置へ移動された熱を放熱する放熱部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の攪拌装置は、容器に設ける圧電基板及び圧電基板に形成した電極を有し、液体を攪拌する音波を発生させる音波発生手段と、容器又は圧電基板の音響インピーダンスの不連続面に設けられ、音波発生手段が出射した音波と不連続面で反射した音波との干渉によって発生する熱を容器から離れた位置へ移動させる熱伝導部材とを備え、本発明の自動分析装置は、前記攪拌装置を用いて検体と試薬とを攪拌し、反応液を光学的に分析するので、音波の干渉に起因して音波発生手段の圧電基板内や容器壁内で発生した熱を容器から離れた位置へ移動させ、容器が保持した液体試料への熱的影響を抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の攪拌装置を備えた実施の形態1の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、実施の形態1の自動分析装置及び攪拌装置の構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態1の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子と、表面弾性波素子を取り付けた反応容器とを示す斜視図である。図4は、表面弾性波素子が取り付けられ、実施の形態1の自動分析装置で使用される反応容器を送電体と共に示す斜視図である。
【0014】
自動分析装置1は、図1及び図2に示すように、試薬テーブル2,3、反応テーブル4、検体容器移送機構8、分析光学系12、洗浄機構13、制御部15及び攪拌装置20を備えている。
【0015】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器2a,3aを保持し、駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。
【0016】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、試薬テーブル2,3の駆動手段とは異なる駆動手段によって正転或いは逆転されて反応容器5を搬送する。反応テーブル4は、例えば、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4周回転し、四周期で(1周−1反応容器)周回転する。
【0017】
反応容器5は、容量が数nL〜数十μLと微量な容器であり、分析光学系12の発光部12aから出射された分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器5は、図3及び図4に示すように、側壁5a,5bと底壁とによって液体を保持する水平断面が四角形の液体保持部が形成され、液体保持部の上部に開口5cを有する四角筒形状のキュベットである。反応容器5は、側壁5aに取り付けられる表面弾性波素子23と共に攪拌装置20を構成している。反応容器5は、表面弾性波素子23を半径方向外方へ向けて反応テーブル4に配置され、反応テーブル4の近傍に設けた試薬分注機構6,7によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。
【0018】
ここで、試薬分注機構6,7は、それぞれ水平面内を矢印方向に回動するアーム6a,7aに試薬を分注するプローブ6b,7bが設けられ、洗浄水によってプローブ6b,7bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0019】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、フィーダ9に配列した複数のラック10を矢印方向に沿って1つずつ移送する移送手段であり、ラック10を歩進させながら移送する。ラック10は、検体を収容した複数の検体容器10aを保持している。ここで、検体容器10aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック10の歩進が停止するごとに、水平方向に回動する駆動アーム11aとプローブ11bとを有する検体分注機構11によって検体が各反応容器5へ分注される。このため、検体分注機構11は、洗浄水によってプローブ11bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0020】
分析光学系12は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体を分析するための分析光(340〜800nm)を出射するもので、図1に示すように、発光部12a,分光部12b及び受光部12cを有している。発光部12aから出射された分析光は、反応容器5内の液体を透過し、分光部12bと対向する位置に設けた受光部12cによって受光される。受光部12cは、制御部15と接続され、受光した分析光の光量信号を制御部15へ出力する。
【0021】
洗浄機構13は、ノズル13aによって反応容器5内の液体を吸引して排出した後、ノズル13aから洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入し、吸引する動作を複数回繰り返すことにより、分析光学系12による測光が終了した反応容器5内を洗浄する。
【0022】
制御部15は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、図1及び図2に示すように、自動分析装置1の各構成部と接続されてこれらの作動を制御すると共に、発光部12aの出射光量と受光部12cが受光した光量に基づく反応容器5内の液体の吸光度に基づいて検体の成分濃度等を分析する。制御部15は、キーボード等の入力部16から入力される分析指令に基づいて自動分析装置1の各構成部の作動を制御しながら分析動作を実行させると共に、分析結果や警告情報の他、入力部16から入力される表示指令に基づく各種情報等をディスプレイパネル等の表示部17に表示する。
【0023】
攪拌装置20は、表面弾性波素子23を駆動して発生する音波によって反応容器5に保持された液体を攪拌するもので、反応容器5の他に、図1及び図2に示すように、送電体21と表面弾性波素子23とを有している。
【0024】
送電体21は、反応テーブル4外周の互いに対向する位置に反応容器5と水平方向に対向させて配置され、数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電源から供給される電力を表面弾性波素子23に送電する。送電体21は、駆動回路とコントローラとを備えており、図4に示すように、表面弾性波素子23の電気端子23dに当接するブラシ状の接触子21aを有している。このとき、送電体21は、図1に示すように、配置決定部材22に支持されており、反応テーブル4の回転が停止したときに接触子21aから電気端子23dに電力を送電する。
【0025】
配置決定部材22は、送電体21から電気端子23dに電力を送電する送電時に、送電体21を移動させて送電体21と電気端子23dとの反応テーブル4の周方向並びに半径方向における相対配置を調整するもので、例えば、2軸ステージが使用される。具体的には、配置決定部材22は、反応テーブル4が回転し、送電体21から電気端子23dに電力を送電していない非送電時は作動を停止し、送電体21と電気端子23dとの間を一定の距離に保持している。
【0026】
そして、反応テーブル4が回転を停止すると、配置決定部材22は、制御部15の制御の下に送電体21を移動させ、送電体21と電気端子23dとが対向するように反応テーブル4の周方向に沿った位置を調整すると共に、相対配置を決定する。これにより、反応テーブル4が回転を停止すると、送電体21は、接触子21aが電気端子23dに接触し、接触子21aから電気端子23dに電力を送電する。
【0027】
表面弾性波素子23は、図3及び図5に示すように、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等からなる圧電基板23aの一方の面に複数の櫛歯状電極(IDT)からなる振動子23bが設けられると共に、バスバー23cの端部に受電手段となる電気端子23dが設けられた音波発生手段である。振動子23bは、送電体21から送電された電力によって音波を発生する。表面弾性波素子23は、振動子23b及び電気端子23dを外側に向け、エポキシ樹脂や紫外線硬化樹脂等の音響整合層を介して反応容器5の側壁5aに取り付けられる。
【0028】
このとき、表面弾性波素子23は、図5に示すように、圧電基板23aの端面23eに熱伝導部材24が設けられている。ここで、端面23eは、圧電基板23a内を伝搬する音波の伝搬方向における音響インピーダンスの不連続面である。
【0029】
熱伝導部材24は、表面弾性波素子23が出射した音波と端面23eで反射した音波との干渉によって発生する熱を反応容器5から離れた位置へ移動させる部材であり、例えば、金属微粒子を混入した合成樹脂が使用される。このとき、熱伝導部材24は、図5に示すように、反応容器5から離れた端部が、自動分析装置1を構成する機体、例えば、反応テーブル4に形成したブラケット4aに接続されている。ブラケット4aは、熱伝導部材24によって反応容器5から離れた位置へ移動された熱を放熱する放熱部材である。
【0030】
以上のように構成される自動分析装置1は、制御部15の制御の下に作動し、回転する反応テーブル4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6,7が試薬容器2a,3aから試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器5は、検体分注機構11によってラック10に保持された複数の検体容器10aから検体が順次分注される。
【0031】
そして、試薬と検体が分注された反応容器5は、反応テーブル4が停止する都度、攪拌装置20によって順次攪拌されて試薬と検体とが反応し、反応テーブル4が再び回転したときに分析光学系12を通過する。このとき、反応容器5内の反応液は、受光部12cで測光され、制御部15によって成分濃度等が分析される。そして、反応液の測光が終了した反応容器5は、洗浄機構13によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0032】
このとき、攪拌装置20は、送電体21から電力を送電して表面弾性波素子23を駆動すると、図6に示すように、振動子23bの発生した音波(バルク波)が圧電基板23a及び側壁5aを伝搬して反応容器5に保持された液体試料Ls中へ入射し、液体試料Ls中に音響流を発生させて液体試料Lsを攪拌する。
【0033】
この場合、振動子23bが発生した音波(バルク波)には、反射しながら圧電基板23a内を伝搬する音波WbA、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbB及び液体試料Ls中へ入射する音波WbCがある。これらの音波のうち、音波WbCのみが液体試料Lsの攪拌に寄与し、音波WbA,WbBは圧電基板23a内及び側壁5a内を多重反射しながら伝搬することで減衰してゆく。なお、図6に示す攪拌装置20は、圧電基板23aと側壁5aとの間に配置される音響整合層を省略しており、以下の説明で使用する他の図面においても音響整合層を省略している。
【0034】
このとき、図6に示すように、振動子23bが発生した音波(バルク波)のうち反射しながら圧電基板23a内を伝搬する音波WbAは、音響インピーダンスの不連続面となる端面23eで反射する。このため、図7に示すように、圧電基板23a内を反射しながら伝搬する音波WbAと端面24eで反射した反射音波WbARとが干渉する結果、音波WbA,WbARの伝搬経路上にある圧電基板23aの領域Aiが発熱する。
【0035】
しかし、本発明の攪拌装置20は、図5〜図7に示すように、圧電基板23aの上下の端面23eに熱伝導部材24が設けられている。このため、攪拌装置20は、図7に示すように、上部の端面23eに近い領域Aiが発熱しても、この熱を熱伝導部材24が、図6及び図7に矢印で示すようにブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させ、反応容器5側へは移動させない。これは、下部の端面23eに近い領域が発熱した場合も同じである。
【0036】
この結果、自動分析装置1は、攪拌装置20を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができるので、温度上昇に伴う液体試料Lsの変性を回避することができ、検体の分析精度が向上する。
【0037】
(変形例1)
ここで、攪拌装置20は、表面弾性波素子23を反応容器5の底壁に取り付けても液体試料を攪拌することができる。この場合、熱伝導部材24は、図8に示すように、圧電基板23aの長手方向両側の端面23eに設ける。
【0038】
このようにしても、攪拌装置20は、圧電基板23a内を伝搬してくる音波WbAと、端面23eで反射した音波との干渉によって生じた熱を熱伝導部材24によって反応容器5から離れた位置へ移動させ、反応容器5が保持した液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0039】
ここで、圧電基板23aは、予め音響インピーダンスの不連続面となる端面23eに薬品による化学的処理やサンドブラスト等の物理的処理を施すことによって乱反射面に加工しておくと、伝搬してくる音波と乱反射した音波との干渉による発熱領域がより端面23eに近くなり、熱伝導部材24による熱の移動、従って液体試料への熱的影響の抑制がより容易になる。これは、反応容器5における音響インピーダンスの不連続面となる側壁5aと底壁の端面に対しても当てはまり、以下に説明する各実施の形態においても同様である。
【0040】
また、実施の形態1の攪拌装置は、表面弾性波素子23が出射する音波としてバルク波を使用する場合について説明した。しかし、攪拌装置は、振動子23bを側壁5aに向けて表面弾性波素子23を反応容器5に取り付け、表面弾性波(SAW)によって反応容器5が保持した液体試料Lsを攪拌すると共に、熱伝導部材24によって音波の干渉に起因した熱を移動させ、反応容器5が保持した液体試料Lsへの熱的影響を抑制してもよい。
【0041】
(実施の形態2)
次に、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態2について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の攪拌装置は、熱伝導部材を表面弾性波素子に設けたが、実施の形態2の攪拌装置は、熱伝導部材を反応容器の外壁に設けている。図9は、実施の形態2の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子、表面弾性波素子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。図10は、図9に示す反応容器に設けた熱伝導部材による熱の移動を説明する要部を拡大して示す断面図である。ここで、以下に説明する各実施の形態の自動分析装置及び攪拌装置は、実施の形態1の自動分析装置1及び攪拌装置20と基本構成が同じのものを使用するので、同じ構成要素には同じ符号を使用し、重複した説明を省略している。
【0042】
実施の形態2の自動分析装置で使用される攪拌装置25は、図9及び図10に示すように、表面弾性波素子23を反応容器5の側壁5aに設けると共に、側壁5aの下部から底壁に亘る範囲に熱伝導部材24を設けている。熱伝導部材24は、図10に示すように、反応容器5から離れた端部が、例えば、反応テーブル4に形成した放熱用のブラケット4aに接続されている。
【0043】
このため、攪拌装置25は、反応容器5の側壁5a内を伝搬してくる音波WbBと、側壁5a下部の端面で反射した音波との干渉によって生じた熱を、熱伝導部材24が図10に矢印で示すようにブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置25を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができるので、温度上昇に伴う液体試料Lsの変性を回避することができ、検体の分析精度が向上する。
【0044】
ここで、攪拌装置25は、表面弾性波素子23を反応容器5の底壁に取り付けても液体試料を攪拌することができる。この場合、熱伝導部材24は、振動子23bの並び方向両側に位置する底壁から側壁5a下部に亘る面に設ける。
【0045】
(変形例1)
ここで、攪拌装置25は、図11及び図12に示すように、圧電基板23aを設けた側壁5aの上部に熱伝導部材24を設けてもよい。この場合、熱伝導部材24は、図11に示すように、反応容器5から離れた端部を放熱用のブラケット4aに接続する。
【0046】
このとき、攪拌装置25は、表面弾性波素子23が出射した音波のうち、図12に示すように、反射しながら側壁5a内を上方へ伝搬する音波WbBが側壁5aの上端面で反射され、反射した音波が上方へ伝搬する音波WbBと干渉して側壁5aの上端面近傍が発熱する。しかし、攪拌装置25は、側壁5aの上部に熱伝導部材24を設けたので、発生した熱を熱伝導部材24が矢印で示すようにブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置25を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0047】
(変形例2)
また、攪拌装置25は、図13に示すように、振動子23bを側壁5aに向けて表面弾性波素子23を反応容器5に取り付け、表面弾性波(SAW)によって反応容器5が保持した液体試料Lsを攪拌してもよい。この場合、攪拌装置25は、反応容器5の側壁5aの上部と下部に熱伝導部材24を設け、熱伝導部材24の端部を放熱用のブラケット4aに接続する。
【0048】
このとき、攪拌装置25は、表面弾性波(SAW)によって液体試料Lsを攪拌する際、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WaBと側壁5aの上下の端面で反射した音波とが干渉して上下の端面近傍で側壁5aが発熱する。しかし、攪拌装置25は、側壁5aの上部と下部に熱伝導部材24を設けたので、発生した熱を熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置25を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0049】
(実施の形態3)
次に、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態3について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態2の攪拌装置は、熱伝導部材を反応容器に直接設けたが、実施の形態3の攪拌装置は、熱伝導部材を反応容器に形成した誘導部に設けている。図14は、実施の形態3の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子、表面弾性波素子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【0050】
実施の形態3の自動分析装置で使用される攪拌装置30は、図14に示す反応容器5Aを使用する。反応容器5Aは、表面弾性波素子23を取り付けた側壁5a下部に側壁5aから外方へ突出する突縁状の誘導部5eが設けられ、誘導部5eの外面に熱伝導部材24が設けられている。熱伝導部材24は、反応容器5Aから離れた端部が放熱用のブラケット4aに接続されている。また、反応容器5Aは、底面部材51によって底壁が形成されている。
【0051】
ここで、誘導部5eは、側壁5a内を伝搬する音波WbB(図15参照)を反応容器5Aから遠ざかる方向へ導く突出部であり、側壁5aと同じ素材から成形されている。底面部材51は、外方に向かって低くなる傾斜面が周囲に形成された四角形状の板材であり、側壁5aの下部に接着層52によって接着されている。
【0052】
このとき、反応容器5Aは、誘導部5e,底面部材51,接着層52の音響インピーダンスをそれぞれZ1,Z2,Z3とし、音波の波長をλ、接着層52の厚さをLとしたとき、音響インピーダンスZ1,Z2,Z3がそれぞれ次式の関係を満たすように設定する。
【0053】
Z3≠(Z1+Z2)/2
Z1<Z2<Z3, 又はZ3<Z1<Z2, 又はZ2<Z1<Z3, 又はZ3<Z2<Z1
L≠(λ/2)・n (nは自然数)
【0054】
但し、誘導部5eと底面部材51は、同一素材であってもよいので、音響インピーダンスZ1,Z2,Z3は以下の式を満たせばよい。
【0055】
Z1=Z2<Z3, 又はZ3<Z1=Z2
【0056】
音響インピーダンスZ1,Z2,Z3を以上のように設定すると、接着層52は、誘導部5eと底面部材51との間で音響インピーダンスが不連続となる音響インピーダンスの境界部となり、側壁5a内を伝搬する音波WbBを反射して反応容器5Aから遠ざかる誘導部5eへと導くことができる。
【0057】
従って、反応容器5Aを使用した攪拌装置30においては、表面弾性波素子23が出射した音波のうち、図15に示すように、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbBは、音響インピーダンスの相違によって接着層52の表面で反射され、反応容器5Aから遠ざかる誘導部5eへと伝搬する。このようにして誘導部5eへ伝搬した音波WbBは、誘導部5eの端面に到達すると反射し、誘導部5eへ伝搬してくる音波WbBと干渉する。これにより、反応容器5Aは、誘導部5e内の端面近傍が発熱する。
【0058】
しかし、攪拌装置30は、誘導部5eの外面に熱伝導部材24が設けられている。このため、攪拌装置30は、発生した熱を熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置30を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0059】
(変形例1)
ここで、攪拌装置30で使用する反応容器は、図16に示す反応容器5Bのように、2つの側壁5aの下部に誘導部53を設け、表面弾性波素子23を設けた側壁5a側に位置する誘導部53の外面に熱伝導部材24を設けてもよい。このとき、熱伝導部材24は、反応容器5Bから離れた端部が放熱用のブラケット4aに接続されている。誘導部53は、側壁5a内を伝搬する音波WbB(図17参照)を反応容器5Bから遠ざかる方向へ導く部材であり、斜めに切断した接着面53aが一方に形成されている。また、反応容器5Bは、底壁5dの側面に接着面53aに対応して傾斜させた傾斜面5fが形成されている。反応容器5Bは、傾斜面5fと接着面53aとの間が接着層54によって接着されている。
【0060】
このとき、反応容器5Bは、側壁5a,誘導部53,接着層54の音響インピーダンスをそれぞれZ1,Z4,Z3とし、音波の波長をλ、接着層54の厚さをLとしたとき、音響インピーダンスZ1,Z2,Z3がそれぞれ次式の関係を満たすように設定する。
【0061】
Z3=(Z1+Z4)/2
L=(λ/2)・n (nは自然数)
【0062】
音響インピーダンスZ1,Z2,Z3を以上のように設定すると、接着層54は、側壁5aと誘導部53との間で音響インピーダンスが不連続となる音響インピーダンスの境界部となり、側壁5a内を伝搬する音波WbBを透過して反応容器5Bから遠ざかる方向へ導くことができる。
【0063】
以上のように設定することにより、反応容器5Bを使用した攪拌装置30においては、表面弾性波素子23が出射した音波のうち、図17に示すように、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbBは、音響インピーダンスの相違によって接着層54を透過し、反応容器5Bから遠ざかる誘導部53へと伝搬する。このようにして誘導部53へ伝搬した音波WbBは、誘導部53の外面に到達すると反射し、誘導部53へ伝搬してくる音波WbBと干渉する。これにより、反応容器5Bは、誘導部53内の端面近傍が発熱する。
【0064】
しかし、反応容器5Bを使用した攪拌装置30は、誘導部53の外面に熱伝導部材24が設けられている。このため、攪拌装置30は、発生した熱を熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置30を使用することによって、反応容器5Bに保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0065】
(変形例2)
また、攪拌装置30で使用する反応容器は、図18に示す反応容器5Cのように、誘導部5eと底壁5dとの間に半円形の溝からなる凹部5gを設けてもよい。反応容器5Cは、凹部5gが音響インピーダンスの境界部となって、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbB(図19参照)を反射して反応容器5Cから遠ざかる誘導部5eへ導く。
【0066】
従って、反応容器5Cを使用した攪拌装置30においては、表面弾性波素子23が出射した音波のうち、図19に示すように、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波WbBは、音響インピーダンスの相違によって凹部5gで反射し、反応容器5Cから遠ざかる誘導部5eへと伝搬する。このようにして誘導部5eへ伝搬した音波WbBは、誘導部5eの外面に到達すると反射し、誘導部5eへ伝搬してくる音波WbBと干渉する。これにより、反応容器5Aは、誘導部5e内の端面近傍が発熱する。
【0067】
しかし、攪拌装置30は、誘導部5eの外面に熱伝導部材24が設けられている。このため、攪拌装置30は、発生した熱を熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置30を使用することによって、反応容器5Cに保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0068】
ここで、反応容器5Cは、音響インピーダンスの境界部として音波の反射端面となれば、半円形の溝からなる凹部5gに代えて、図20に示すように、誘導部5eと底壁5dとの間に断面形状三角形の溝からなる凹部5hを設けてもよい。この場合、凹部5hの斜面で反射し、反応容器5Cから遠ざかる誘導部5eへ伝搬した音波WbBは、誘導部5eの外面に到達すると反射し、誘導部5eへ伝搬してくる音波WbBと干渉する。これにより、反応容器5Aは、誘導部5e内の端面近傍が発熱する。
【0069】
しかし、この熱は、誘導部5eの外面に設けた熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置30を使用することによって、反応容器5Cに保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0070】
また、実施の形態3の攪拌装置は、表面弾性波素子23が出射する音波としてバルク波を使用する場合について説明したが、振動子23bを側壁5aに向けて表面弾性波素子23を反応容器5に取り付け、表面弾性波(SAW)によって反応容器5が保持した液体試料Lsを攪拌すると共に、熱伝導部材24によって音波を吸収することで反応容器5Cの音波の干渉による発熱を抑制してもよい。
【0071】
(実施の形態4)
次に、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態4について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1〜3の攪拌装置は、音波発生手段として表面弾性波素子を使用したが、実施の形態4の攪拌装置は、音波発生手段として厚み縦振動子を使用している。図21は、実施の形態4の自動分析装置で使用される攪拌装置の厚み縦振動子、厚み縦振動子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【0072】
実施の形態4の自動分析装置で使用される攪拌装置40は、図21に示すように、実施の形態1と同じ反応容器5を使用し、側壁5aの上部に熱伝導部材24を設けると共に、表面弾性波素子23に代えて、側壁5aの下部に楔41を介して厚み縦振動子42を配置している。このとき、熱伝導部材24は、反応容器5から離れた端部が放熱用のブラケット4aに接続されている。
【0073】
従って、攪拌装置40においては、厚み縦振動子42が出射した音波のうち、図示のように、反射しながら側壁5a内を伝搬する音波Wは、側壁5aの上部に到達すると上端面で反射し、伝搬してくる音波Wと干渉する。これにより、反応容器5は、側壁5aの上端面近傍が発熱する。
【0074】
しかし、この熱は、側壁5aの上部に設けた熱伝導部材24がブラケット4aを介して反応テーブル4へ移動させる。この結果、自動分析装置1は、攪拌装置40を使用することによって、反応容器5に保持された液体試料Lsへの熱的影響を抑制することができる。
【0075】
なお、本発明の攪拌装置で使用する反応容器は、実施の形態1〜4で説明した各態様を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0076】
また、本発明の攪拌装置は、音波の干渉によって容器や圧電基板に発生した熱を熱伝導部材によって反応テーブル4に形成した放熱用のブラケット4aに移動させたが、自動分析装置1を構成する機体であればブラケット4aに限れるものではなく、例えば、試薬テーブル2,3等の試薬保冷庫やハウジング等に移動させてもよい。
【0077】
更に、本発明の自動分析装置は、2つの試薬テーブル2,3を有するものについて説明したが、試薬テーブルは1つであってもよい。更に、本発明の自動分析装置は、1つの自動分析装置をユニットとして複数ユニット備えたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の攪拌装置を備えた実施の形態1の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態1の自動分析装置及び攪拌装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子と、表面弾性波素子を取り付けた反応容器とを示す斜視図である。
【図4】表面弾性波素子が取り付けられ、実施の形態1の自動分析装置で使用される反応容器を送電体と共に示す斜視図である。
【図5】表面弾性波素子及び熱伝導部材が取り付けられ、実施の形態1の自動分析装置で使用される反応容器を放熱用のブラケットと共に示す正面図である。
【図6】表面弾性波素子が出射した音波の干渉によって発生した熱の熱伝導部材による移動を説明する要部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6のA部拡大図である。
【図8】実施の形態1の攪拌装置の変形例1に関する要部を拡大して示す断面図である。
【図9】実施の形態2の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子、表面弾性波素子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【図10】図9に示す反応容器に設けた熱伝導部材による熱の移動を説明する要部を拡大して示す断面図である。
【図11】実施の形態2の攪拌装置の変形例1に関する反応容器の正面図である。
【図12】図11の要部を拡大して示す断面図である。
【図13】実施の形態2の攪拌装置の変形例2に関する反応容器の断面図である。
【図14】実施の形態3の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子、表面弾性波素子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【図15】表面弾性波素子が出射した音波の干渉によって発生した熱の熱伝導部材による移動を説明する図14の要部を拡大して示す断面図である。
【図16】図14に示す攪拌装置の変形例1の断面図である。
【図17】表面弾性波素子が出射した音波の干渉によって発生した熱の熱伝導部材による移動を説明する図16の要部を拡大して示す断面図である。
【図18】図14に示す攪拌装置の変形例2の断面図である。
【図19】表面弾性波素子が出射した音波の干渉によって発生した熱の熱伝導部材による移動を説明する図18の要部を拡大して示す断面図である。
【図20】変形例2の他の例を示す断面図である。
【図21】実施の形態4の自動分析装置で使用される攪拌装置の厚み縦振動子、厚み縦振動子を取り付けた反応容器及び熱伝導部材を示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
4 反応テーブル
5 反応容器
5e 誘導部
6,7 試薬分注機構
8 検体容器移送機構
9 フィーダ
10 ラック
11 検体分注機構
12 分析光学系
13 洗浄機構
15 制御部
16 入力部
17 表示部
20 攪拌装置
21 送電体
22 配置決定部材
23 表面弾性波素子
24 熱伝導部材
25,30 攪拌装置
40 攪拌装置
41 楔
42 厚み縦振動子
51 底面部材
52 接着層
53 誘導部
54 接着層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置において、
前記容器に設ける圧電基板及び当該圧電基板に形成した電極を有し、前記液体を攪拌する音波を発生させる音波発生手段と、
前記容器又は前記圧電基板の音響インピーダンスの不連続面に設けられ、前記音波発生手段が出射した音波と前記不連続面で反射した音波との干渉によって発生する熱を前記容器から離れた位置へ移動させる熱伝導部材と、
を備えたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記音響インピーダンスの不連続面は、前記音波の伝搬方向に交差する前記圧電基板の端面又は前記容器の端面であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記容器は、当該容器の壁から突出し、前記壁内を伝搬する音波を音響インピーダンスの境界部によって前記容器から遠ざかる方向へ導く誘導部が設けられ、
前記熱伝導部材は、前記誘導部の音響インピーダンスの不連続面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記音波発生手段は、表面弾性波素子又は厚み縦振動子であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項5】
複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する自動分析装置であって、請求項1〜4のいずれか一つに記載の攪拌装置を用いて検体と試薬とを攪拌し、反応液を光学的に分析することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
前記熱伝導部材によって前記容器から離れた位置へ移動された熱を放熱する放熱部材を有することを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項1】
容器に保持された液体を音波によって攪拌する攪拌装置において、
前記容器に設ける圧電基板及び当該圧電基板に形成した電極を有し、前記液体を攪拌する音波を発生させる音波発生手段と、
前記容器又は前記圧電基板の音響インピーダンスの不連続面に設けられ、前記音波発生手段が出射した音波と前記不連続面で反射した音波との干渉によって発生する熱を前記容器から離れた位置へ移動させる熱伝導部材と、
を備えたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記音響インピーダンスの不連続面は、前記音波の伝搬方向に交差する前記圧電基板の端面又は前記容器の端面であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記容器は、当該容器の壁から突出し、前記壁内を伝搬する音波を音響インピーダンスの境界部によって前記容器から遠ざかる方向へ導く誘導部が設けられ、
前記熱伝導部材は、前記誘導部の音響インピーダンスの不連続面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記音波発生手段は、表面弾性波素子又は厚み縦振動子であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項5】
複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する自動分析装置であって、請求項1〜4のいずれか一つに記載の攪拌装置を用いて検体と試薬とを攪拌し、反応液を光学的に分析することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
前記熱伝導部材によって前記容器から離れた位置へ移動された熱を放熱する放熱部材を有することを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−292315(P2008−292315A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138287(P2007−138287)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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