説明

改良されたインヒビター核酸

本発明は、イン・ビボでの標的遺伝子の発現を減衰させるための方法及び組成物を提供する。一般に、この方法は、RNAi構築物(例えば、特定のmRNA配列を標的とする小型の干渉性RNA(即ち、siRNA)、又は細胞内でsiRNAを生成することのできる核酸物質)を、標的遺伝子の発現をRNA干渉機構によって減衰させるのに十分な量で投与することを含む。特に、これらのRNAi構築物は、血清安定性及び細胞取り込みを改良するため及び非特異的効果を回避するために少なくとも一つの改変を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細胞の構造と生物学的挙動は、所定の時間における、その細胞内の遺伝子発現のパターンによって決定される。遺伝子発現の動揺は、多くの種類の癌、血管の病気、神経及び内分泌の病気を含む莫大な数の病気を説明するということが長い間認められてきた。増幅、欠失、遺伝子再配列、及び機能喪失又は獲得変異の形態での異常な発現パターンは、今や、病気の細胞の異常な挙動へと導くことが知られている。異所的遺伝子発現も又、病原体の脅威を避けるためのある種の生物の防御機構として注目されてきた。
【0002】
医学の主たる挑戦の一つは、多様な生理学的応答に関係する標的遺伝子の発現を調節することであった。外因的に導入された導入遺伝子の真核細胞における過剰発現が比較的簡単であるのに対して、特定の遺伝子の標的を定めた阻害は、達成するのが一層困難である。遺伝子発現を抑制する伝統的なアプローチ(位置指定遺伝子破壊、アンチセンスRNA又は同時抑制又はインジェクションを含む)は、複雑な遺伝子操作又はサプレッサーの大量投与(しばしば、宿主細胞の毒性許容レベルを超える)を必要とする。
【0003】
RNA干渉(RNAi)は、二本鎖(ds)RNA依存性の遺伝子特異的転写後サイレンシングを指す現象である。この現象を哺乳動物細胞の実験操作に利用する初期の試みは、長いdsRNA分子に応答して活性化される強い非特異的な抗ウイルス防御機構によってくじかれた。Gil等、Appoptosis 2000, 5:107-114。この分野は、合成の21ヌクレオチドの二本鎖RNAが哺乳動物細胞における遺伝子特異的なRNAiを、一般的な抗ウイルス防御機構を呼び出すことなく、媒介することができることが示されたことにより、有意に進歩した。Elbashir等、Nature 2001, 411:494-498;Caplen等、Proc.Natl.Acad.Sci.2001, 98:9742-9747。結果として、小型の干渉性RNA(siRNA)が、遺伝子機能を詳細に分析するための強力な道具となった。小型RNAの化学合成は、将来有望な結果を生成してきた一本の道である。
【0004】
RNAi核酸をイン・ビボで送達するための方法は、開発するのが困難であった。臨床的状況においてRNAi分子の投与のための改良された方法及び組成物を有することは望ましいであろう。一層詳細には、望ましくない非特異的な副作用を誘発しない改良されたsiRNA分子を有することは望ましいであろうし、改良された血清中での安定性及び動物細胞による取込みを有するsiRNA分子を有することも又、望ましいであろう。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
この発明は、部分的に、新規なRNAi構築物を提供する。ある面において、この発明は、DNA:RNA構築物(適宜、一つ以上の改変を含む)を提供する。ある面において、これらのここに開示した新規な構築物は、伝統的なRNA:RNA RNAi構築物と比較して少なくとも一つの改良された特性を有している。ここに開示したある構築物は、改良された血清安定性を有している。ここに開示したある構築物は、改良された細胞取込みを有している。尚更なる面において、ここに開示したDNA:RNA構築物は、ミスマッチ又は変性剤などの成分(二本鎖の融点を下げる)を含むことができる。
【0006】
この発明は、部分的に、構築物の血清安定性及び細胞による取込みを増大させる少なくとも一つの化学的改変を含むRNAi構築物を提供する。ある具体例において、ここに開示したRNAi構築物は、未改変RNAi構築物と比較して改良された細胞によるイン・ビボでの取込みを有する。ある具体例において、ここに開示したRNAi構築物は、未改変RNAi構築物と比較して一層長い血清半減期を有している。ある面において、これらの化学的改変は、RNAi構築物と一種以上のタンパク質との非共有結合を増大させるように選択することができる。一般に、RNAi構築物の全体的陰性電荷を減少させ及び/又は疎水性を増大させる改変は、タンパク質との非共有結合を増大させる傾向がある。好適具体例において、これらの改変は、二本鎖RNAi構築物のセンス鎖(例えば、二本鎖DNA:RNAハイブリッドRNAi構築物のDNAセンス鎖)に組み込まれる。
【0007】
ある具体例において、この発明は、標的遺伝子の発現をRNAi機構によって阻害するために示された配列を有する二本鎖核酸であって、少なくとも一つの改変を有するDNAセンスポリヌクレオチド鎖及び、標的遺伝子の転写物の少なくとも一部にハイブリダイズして標的遺伝子のサイレンシングに十分である示された配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む当該二本鎖核酸を提供する。このセンス鎖の少なくとも一つの改変は、二本鎖核酸の少なくとも一種のタンパク質との非共有結合を、同じ示された配列を有する未改変の二本鎖核酸と比べて増大させる。改変は、糖リン酸主鎖の改変であってよい。改変は又、ヌクレオシド部分の改変であってもよい。適宜、このセンス鎖は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の改変されたヌクレオチドを含むDNA鎖又はRNA鎖である。好ましくは、このセンスポリヌクレオチドは、少なくとも一つの改変デオキシリボヌクレオチドを含むDNA鎖である。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、複数の改変リボヌクレオチドを含むRNA鎖である。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、XNA鎖、例えばペプチド核酸(PNA)鎖又はロックされた核酸(LNA)鎖である。適宜、このRNAアンチセンス鎖は、少なくとも一つの改変を含む。例えば、このRNAアンチセンス鎖は、10%、20%、30%、40%、50%又は75%以下の改変ヌクレオチドを含むことができる。これらの少なくとも一つの改変は、二本鎖核酸の疎水性を、生理的条件下で、同じ示された配列を有する未改変の二本鎖核酸と比べて増大させるように選択することができる。ある具体例において、この少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同じである未改変RNAi構築物のlogP値より少なくとも0.5logP単位小さいlogP値を有し、好ましくは、少なくとも1、2、3又は4logP単位さえ小さいlogP値を有する。少なくとも一つの改変を、二本鎖核酸の正の電荷を、生理的条件下で、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比べて増大させる(又は、陰性電荷を増大させる)ように選択することができる。ある具体例において、少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同一の未改変RNAi構築物より少なくとも0.25単位高い等電pH(pI)を有し、好ましくは、少なくとも0.5、1単位又は2単位さえ高い等電pH(pI)を有する。適宜、センスポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート部分、ホスホルアミデート部分、ホスホジチオエート部分、PNA部分、LNA部分、2’−O−メチル部分及び2’−デオキシ−2’−フルオリド部分よりなる群から選択するリン酸糖主鎖への改変を含む。ある具体例において、このRNAi構築物は、ヘアピン分子であり、それは、細胞内でプロセッシングを受けてsiRNAになる。適宜、二本鎖核酸の各鎖は、19〜100塩基対長であり、好ましくは、19〜50又は19〜30塩基対長である。
【0008】
ある具体例において、ここに開示した二本鎖RNAi構築物は、10%血清の存在下で、培養細胞によって、同じ示された配列を有する未改変の二本鎖核酸の少なくとも2倍の定常状態レベルまで内在化され、好ましくは、内在化された改変RNAi構築物のレベルは、未改変型の少なくとも3、5倍又は約10倍高い。
【0009】
ある具体例において、ここに開示した二本鎖RNAi構築物は、ヒト又はマウスにおいて、同じ示した配列を有する未改変の二本鎖核酸の少なくとも2倍の血清半減期を有しており、適宜、少なくとも3倍又は5倍の血清半減期を有している。
【0010】
ある具体例において、この少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、選択したタンパク質に対して、他の点では同じである未改変RNAi構築物のKDより少なくとも0.2log単位少ないKDを有しており、好ましくは、少なくとも0.5又は1.0単位少ないKDを有している。換言すれば、このRNAi構築物は、選択したタンパク質に対する増大した親和性を有するようにデザインすることができる。
【0011】
ある具体例において、少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、臨床応答の生成に対して、他の点では同じである未改変のRNAi構築物のED50より少なくとも2倍少ないED50を有し、尚一層好ましくは、少なくとも5又は10倍少ないED50を有している。換言すれば、この少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、一層少ない投薬量レベルで治療効果を有しうるということである。
【0012】
好適具体例において、この発明は、二本鎖核酸を含むRNAi構築物を提供し、そのセンス鎖は、DNA鎖であって、少なくとも一つの改変を含み、アンチセンス鎖は、RNA鎖である。このDNA鎖の改変は、RNAi構築物の血清安定性及び/又は細胞による取込みを増大させるように選択することができる。ある具体例において、このDNA:RNA二本鎖核酸は、ミスマッチの塩基対を含む。ある具体例において、このDNA:RNAハイブリッドRNAi核酸は、完全にマッチしたDNAセンス鎖が相補的に対合した同じRNAアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸より低いTmを有する。このTmの比較は、同じイオン強度(好ましくは、生理的イオン強度)での核酸のTmに基づいている。このTmは、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、10℃、15℃又は20℃だけ低くてよい。
【0013】
ある面において、この発明は、少なくとも一つの改変核酸を有するRNAi構築物を含む、患者への送達のための医薬製剤を提供する。幾つかの具体例において、医薬製剤は、標的遺伝子の発現をRNAi機構によって阻害するための示された配列を有する二本鎖核酸であって、少なくとも一つの改変を有するDNAセンスポリヌクレオチド鎖;及び標的遺伝子の転写物の少なくとも一部にハイブリダイズして該標的遺伝子のサイレンシングを生じるのに十分である示された配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む当該二本鎖核酸を含む。このセンス鎖の少なくとも一つの改変は、二本鎖核酸の、少なくとも一種のタンパク質との非共有結合を、同じ示された配列を有する未改変の二本鎖核酸と比べて、増大させる。改変は、糖リン酸主鎖の改変であってよい。改変は又、ヌクレオシド部分の改変であってもよい。適宜、このセンス鎖は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の改変ヌクレオチドを含むDNA又はRNA鎖である。好ましくは、このセンスポリヌクレオチドは、少なくとも一つの改変デオキシリボヌクレオチドを含むDNA鎖である。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、複数の改変リボヌクレオチドを含むRNA鎖である。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、XNA鎖例えばペプチド核酸(PNA)鎖又はロックされた核酸(LNA)鎖である。適宜、このRNAアンチセンス鎖は、少なくとも一つの改変を含む。例えば、このRNAアンチセンス鎖は、10%、20%、30%、40%、50%又は75%以下の改変ヌクレオチドを含むことができる。少なくとも一つの改変は、生理的条件下での、二本鎖核酸の疎水性を、同じ示された配列を有する未改変の二本鎖核酸と比較して増大させるように選択することができる。
【0014】
ある具体例において、この少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同じである未改変RNAi構築物のlogP値より、少なくとも0.5logP単位少ない、好ましくは、少なくとも1、2、3又は4logP単位さえ少ないlogP値を有する。これらの少なくとも一つの改変は、生理的条件下での、同じ示された配列を有する未改変二本鎖核酸と比較しての二本鎖核酸の陽性電荷を増大させる(又は、陰性電荷を増大させる)ように選択することができる。ある具体例において、少なくとも一つの改変を含むこのRNAi構築物は、他の点では同じである未改変RNAi構築物より、少なくとも0.25単位、好ましくは、少なくとも0.5、1又は2単位さえ高い等電pH(pI)を有する。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート部分、ホスホルアミデート部分、ホスホジチオエート部分、PNA部分、LNA部分、及び2’−O−メチル部分よりなる群から選択するリン酸糖主鎖に対する改変を含む。ある具体例において、このRNAi構築物は、細胞内でsiRNAへのプロセッシングを受けるヘアピン核酸である。適宜、この二本鎖核酸の各鎖は、19〜100塩基対長であってよく、好ましくは、19〜50又は19〜30塩基対長であってよい。
【0015】
ある具体例において、この医薬製剤は、更に、ポリペプチド例えば血清ポリペプチド、細胞ターゲティング用ポリペプチド及び内在化用ポリペプチドから選択するポリペプチドを含む。細胞ターゲティングポリペプチドの例には、肝細胞に対するターゲティングのための複数のガラクトース部分を含むポリペプチド、新生物細胞に対するターゲティングのためのトランスフェリンポリペプチド及び関心ある細胞に選択的に結合する抗体が含まれる。
【0016】
好適具体例において、この発明の医薬製剤は、二本鎖核酸であって、そのセンス鎖は、DNA鎖であり且つ少なくとも一つの改変を含み、アンチセンス鎖がRNA鎖である、当該二本鎖核酸を含むRNAi構築物を含む。このDNA鎖の改変は、RNAi構築物の血清安定性及び/又は細胞による取込みを増大させるように選択することができる。ある具体例において、このDNA:RNA二本鎖核酸は、ミスマッチ塩基対を含む。ある具体例において、このDNA:RNAハイブリッドRNAi核酸は、生理的イオン強度下で、完全にマッチしたDNAセンス鎖が生理的イオン強度下で相補的に対合した同じRNAアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸のTmより低いTmを有する。
【0017】
ある具体例において、患者への送達のための医薬製剤は、この発明のRNAi構築物及び製薬上許容しうるキャリアーを含むことができる。適宜、製薬上許容しうるキャリアーは、製薬上許容しうる塩、エステル及びかかるエステルの塩から選択される。医薬製剤は、ヒト又は他の動物患者への使用のための指示書と共にパッケージ化することができる。
【0018】
ある具体例において、この開示は、細胞における標的遺伝子の発現を減少させる方法であって、該細胞を二本鎖核酸を含む組成物と接触させることを含み、該二本鎖核酸が、少なくとも一つの改変を含むセンスポリヌクレオチド鎖及び標的遺伝子の転写物の少なくとも一部にハイブリダイズして標的遺伝子のサイレンシグを引き起こすのに十分である示された配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含み、少なくとも一つの改変が、示された配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、RNAi構築物の血清安定性及び/又は細胞による取込みを増大させる、当該方法を提供する。
【0019】
適宜、この細胞を、二本鎖核酸と、少なくとも0.1ミリグラム/ミリリットルのタンパク質の、好ましくは少なくとも0.5、1、2又は3ミリグラム/ミリリットルタンパク質の存在下で接触させる。適宜、この細胞を、二本鎖核酸と、血清例えば少なくとも1%、5%、10%又は15%の血清の存在下で接触させる。適宜、この細胞を、二本鎖核酸と、生理的濃度を真似たタンパク質濃度の存在下で接触させる。
【0020】
ある具体例において、この開示は、患者の少なくとも一つの細胞における標的遺伝子の発現を減少させる方法であって、該患者に、少なくとも一つの改変を含むDNAセンスポリヌクレオチド鎖及び標的遺伝子の転写物の少なくとも一部分にハイブリダイズして該標的遺伝子のサイレンシングを引き起こすのに十分である示された配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む二本鎖核酸を含む組成物を投与することを含み、該少なくとも一つの改変が、RNAi構築物の血清安定性及び/又は細胞による取込みを、該示された配列を有する未改変の二本鎖核酸と比較して増大させる、当該方法を提供する。ある具体例において、二本鎖DNA:RNA核酸は、ミスマッチの塩基対を含む。ある具体例においては、この二本鎖DNA:RNA核酸は、生理的イオン強度下で、完全にマッチしたDNAセンス鎖が相補的に結合する同じRNAアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸のTmより低いTmを有する。
【0021】
幾つかの具体例において、ここに開示した方法は、標的遺伝子の発現をRNAi機構によって阻害するために、示した配列を有する二本鎖核酸を利用し、該核酸は、少なくとも一つの改変を有するDNAセンスポリヌクレオチド鎖、及び標的遺伝子の転写物の少なくとも一部分にハイブリダイズしてその標的遺伝子のサイレンシングを引き起こすのに十分である示した配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む。このセンス鎖の少なくとも一つの改変は、二本鎖核酸の少なくとも一種のタンパク質との非共有結合を、同じ示した配列を有する未改変の二本鎖核酸と比較して、増大させるように選択することができる。改変は、経験的に、或は細胞による取り込み及び/又は血清安定性を増進させるように選択することができる。改変は、糖リン酸主鎖の改変であってよい。改変は又、ヌクレオシド部分の改変であってもよい。適宜、このセンス鎖は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の改変ヌクレオチドを含むDNA又はRNA鎖である。好ましくは、このセンスポリヌクレオチドは、少なくとも一つの改変デオキシリボヌクレオチドを含むDNA鎖である。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、複数の改変リボヌクレオチドを含むRNA鎖である。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)鎖又はロックされた核酸(LNA)鎖などのXNA鎖である。適宜、このRNAアンチセンス鎖は、少なくとも一つの改変を含む。例えば、このRNAアンチセンス鎖は、10%、20%、30%、40%、50%又は75%以下の改変ヌクレオチドを含むことができる。この少なくとも一つの改変は、生理的条件下で、二本鎖核酸の疎水性を、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、増大させるように選択することができる。
【0022】
ある具体例において、少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同じである未改変RNAi構築物のlogP値より少なくとも0.5logP単位少ないlogP値を有し、好ましくは、少なくとも1、2、3又は4logP単位さえ少ないlogP値を有する。この少なくとも一つの改変は、二本鎖核酸の正電荷を、生理的条件下で、同じ示した配列を有する未改変の二本鎖核酸と比較して、増大させる(又は負の電荷を増大させる)ように選択することができる。ある具体例において、この少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同じである未改変RNAi構築物より少なくとも0.25単位高い、好ましくは少なくとも0.5、1又は2単位さえ高い等電pH(pI)を有する。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート部分、ホスホルアミデート部分、ホスホジチオエート部分、PNA部分、LNA部分、及び2’−O−メチル部分よりなる群から選択する、リン酸糖主鎖に対する改変を含む。ある具体例において、このRNAi構築物は、ヘアピン核酸であり、それは細胞内部でプロセッシングを受けてsiRNAになる。適宜、二本鎖核酸の各鎖は、19〜100塩基対長であってよく、好ましくは、19〜50又は19〜30塩基対長である。
【0023】
ある具体例において、開示した方法で使用する組成物は、更に、ポリペプチド例えば血清ポリペプチド、細胞ターゲティング用ポリペプチド及び内在化用ポリペプチドから選択するポリペプチドを含む。細胞ターゲティング用ポリペプチドの例には、肝細胞に対するターゲティングのための複数のガラクトース部分を含むポリペプチド、新生物細胞に対するターゲティングのためのトランスフェリンポリペプチド及び関心ある細胞に選択的に結合する抗体が含まれる。
【0024】
ある具体例において、この開示は、医用デバイスの表面での利用のためのコーティングを提供する。コーティングは、RNAi構築物を内部に分散させて有するポリマーマトリクスを含むことができ、該RNAi構築物は、患者の身体内の部位に移植された際に、マトリクスから溶出されて、該移植されたデバイスの近くの細胞の成長、生存又は分化を変更する。
【0025】
ある具体例において、少なくとも一つのRNAi構築物は、二本鎖核酸であり、該二本鎖核酸は、少なくとも一つの改変を含むDNAセンスポリヌクレオチド鎖、及び標的遺伝子の転写物の少なくとも一部分にハイブリダイズして該標的遺伝子のサイレンシングを引き起こすのに十分である示した配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含み、これらの少なくとも一つの改変は、RNAi構築物の血清安定性及び/又は細胞による取込みを、該示した配列を有する未改変の二本鎖核酸と比較して、増大させる。コーティングは、更に、ポリペプチドを含むことができる。コーティングは、例えば、スクリュー、プレート、ウォッシャー、縫合糸、プロテーゼアンカー、タック、ステープル、導線、弁、膜、カテーテル、移植可能な血管アクセスポート、血液貯蔵用バッグ、血液チューブ、中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、血管移植片、大動脈内バルーンポンプ、心臓弁、心臓血管用縫合糸、人工心臓、ペースメーカー、心室補助ポンプ、身体外デバイス、血液フィルター、血液透析ユニット、血液潅流ユニット、血漿搬出ユニット及び血管内配備に適合されたフィルターを含む様々な医用デバイスの表面に置くことができる。
【0026】
幾つかの具体例において、ここに開示したコーティングは、標的遺伝子の発現をRNAi機構によって阻害するための示した配列を有する二本鎖核酸を含み、該二本鎖核酸は、少なくとも一つの改変を有するDNAセンスポリヌクレオチド鎖、及び標的遺伝子の転写物の少なくとも一部分にハイブリダイズして該標的遺伝子のサイレンシングを引き起こすのに十分である示した配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む。センス鎖の少なくとも一つの改変は、二本鎖核酸の少なくとも一種のタンパク質との非共有結合を、同じ示した配列を有する未改変の二本鎖核酸と比較して、増大させる。改変は、血清安定性及び/又は細胞による取込みを増大させるように選択することができる。改変は、糖リン酸主鎖の改変であってよい。改変は又、ヌクレオシド部分の改変であってもよい。適宜、このセンス鎖は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の改変ヌクレオチドを含むDNA又はRNA鎖である。好ましくは、このセンスポリヌクレオチドは、少なくとも一つの改変デオキシリボヌクレオチドを含むDNA鎖である。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、複数の改変リボヌクレオチドを含むRNA鎖である。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)鎖又はロックされた核酸(LNA)鎖などのXNA鎖である。適宜、このRNAアンチセンス鎖は、少なくとも一つの改変を含む。例えば、このRNAアンチセンス鎖は、10%、20%、30%、40%、50%又は75%以下の改変ヌクレオチドを含むことができる。この少なくとも一つの改変は、二本鎖核酸の疎水性を、生理的条件下で、同じ示した配列を有する未改変の二本鎖核酸と比較して、増大させるように選択することができる。ある具体例において、この少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同じである未改変のRNAi構築物のlogP値より、少なくとも0.5logP単位低いlogP値を有し、好ましくは、少なくとも1、2、3又は4logP単位さえ低いlogP値を有する。この少なくとも一つの改変は、二本鎖核酸の正電荷を、生理的条件下で、同じ示した配列を有する未改変の二本鎖核酸と比較して、増大させる(又は、負の電荷を増大させる)ように選択することができる。ある具体例において、この少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同じである未改変RNAi構築物より、少なくとも0.25単位、好ましくは少なくとも0.5、1又は2単位さえ高い等電pH(pI)を有する。適宜、このセンスポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート部分、ホスホルアミデート部分、ホスホジチオエート部分、PNA部分、LNA部分及び2’−O−メチル部分よりなる群から選択する、リン酸糖主鎖に対する改変を含む。ある具体例において、このRNAi構築物は、細胞内部でプロセッシングを受けてsiRNAになるヘアピン核酸である。適宜、この二本鎖核酸の各鎖は、19〜100塩基対長であってよく、好ましくは19〜50又は19〜30塩基対長である。
【0027】
ある具体例において、ここに開示したコーティングは、RNAi構築物と会合するポリペプチド例えば血清ポリペプチド、細胞ターゲティング用ポリペプチド及び内在化用ポリペプチドから選択するポリペプチドを含むことができる。細胞ターゲティング用ポリペプチドの例には、肝細胞に対するターゲティングのための複数のガラクトース部分を含むポリペプチド、新生物細胞に対するターゲティングのためのトランスフェリンポリペプチド及び関心ある細胞に特異的に結合する抗体が含まれる。
【0028】
ある面において、この開示は、RNAi構築物を医薬用途のために最適化する方法であって、少なくとも一つの改変核酸を含むRNAi構築物の細胞による取込み及び/又は薬物速度論的特性(例えば、血清半減期)の評価を含む当該方法を提供する。ある具体例において、RNAi構築物を医薬用途のために最適化する方法は、イン・ビボで標的遺伝子の発現を阻害して病気の影響を減少させる示した配列を有するRNAi構築物を同定し;示した配列を有し且つ少なくとも一つの改変核酸を含む少なくとも一つの改変RNAi構築物をデザインし;少なくとも一つの改変RNAi構築物を細胞内への取込み及び/又は血清半減期につき試験し;該改変及び/又は未改変RNAi構築物の治療プロファイリングを、動物における効力及び毒性について実施し;望ましい取込み特性及び望ましい治療特性を有する少なくとも一つの改変RNAi構築物を選択することを含む。ある具体例において、この方法は、同定されたRNAi構築物のセンス鎖をDNAセンス鎖と置き換えることを含む。このDNAセンス鎖は、少なくとも一つの改変又は改変ヌクレオチドを含むことができる。ある具体例において、RNAi構築物を医薬用途につき最適化する方法は、二本鎖DNA:RNAハイブリッド核酸を含む複数の試験RNAi構築物を生成し、これらの試験構築物による遺伝子サイレンシング効果について試験することを含む。このハイブリッド核酸のDNAセンス鎖は、少なくとも一つの改変又は改変ヌクレオチドを含むことができる。この二本鎖核酸は、少なくとも一つのミスマッチ塩基対を含むことができる。この方法は、更に、試験RNAi構築物の血清安定性及び/又は細胞による取込みを測定すること及び試験RNAi構築物の治療プロファイリングを行なうことを含むことができる。
【0029】
RNAi構築物を医薬用途のために最適化する方法は、更に、少なくとも一つの選択したRNAi構築物を含む医薬製剤を配合することを含むことができる。適宜、これらの方法は、更に、次の何れかを含むことができる:販売のために医薬製剤を分配するための分配システムを確立すること、分配を達成するために、他の会社と組むこと、医薬製剤のマーケティングのための販売グループを確立すること、及び民間及び国の健康保険業者に対する有利な返済プログラムを確立すること。
【0030】
図面の簡単な説明
図1は、以下に示した条件下での核酸の量を示すゲルの写真である:
レーン1 siFAS2、H2O
レーン2 siFAS2、血清(t=0)
レーン3 siFAS2、血清(t=4h)
レーン4 CDP/siFAS2 5 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸なし
レーン5 CDP/siFAS2 5 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸
レーン6 [ハイブリッド]、H2O
レーン7 [ハイブリッド]、血清(t=0)
レーン8 [ハイブリッド]、血清(t=4h)
レーン9 CDP/[ハイブリッド]5 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸なし
レーン10 CDP/[ハイブリッド]5 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸
(ここに、[ハイブリッド]=JH−1:EGFPb−アンチ
=DNA(PS)−3’TAMRAs:RNAa)
図2は、以下に示した条件下での核酸の量を示すゲルの写真である:
レーン1 10bpDNAのラダー
レーン2 siFAS2、血清 H2O
レーン3 siFAS2、血清(t=0)
レーン4 siFAS2、血清(t=4h)
レーン5 CDP/siFAS2 5 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸なし
レーン6 CDP/siFAS2 5 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸
レーン7 CDP/siFAS2 10 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸なし
レーン8 CDP/siFAS2 10 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸
レーン9 CDP/siFAS2 20 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸なし
レーン10 CDP/siFAS2 20 +/−、血清(t=4h)、ヘパラン硫酸
図3A〜Dは、核酸構築物のイン・ビボでの取込みを示す共焦点顕微鏡観察の結果を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
発明の詳細な説明
I.概観
ある面において、本発明は、ある改変が、RNAi構築物の血清安定性を改善し且つ細胞による取込みを促進するという発見に関係している。本発明の他の面は、RNAi構築物の、非特異的「オフ・ターゲット」効果(例えば、RNA:RNA siRNA分子のセンスRNA鎖によって誘発される効果、又はおそらくRNA活性化プロテインキナーゼ(「PKR」)及びインターフェロン応答に関係する効果)を回避するための最適化に関係している。従って、ある面において、この発明は、特に、イン・ビボで、細胞における標的遺伝子の発現を減少させるのに利用するための改変された二本鎖RNAi構築物を提供する。伝統的な、裸のアンチセンス分子は、効果的に、動物及びヒトに投与することができる。しかしながら、典型的なRNAi構築物例えば短い二本鎖RNAは、それほど容易には投与されない。加えて、イン・ビトロ実験とイン・ビボ実験で、細胞へのRNAi送達の効力の間で不一致が認められている。ここに示したように、RNAi構築物の化学的又は生物学的改変は、該RNAi構築物の血清安定性を改善する。これらの改変は、更に、RNAi構築物の細胞による取込みを容易にする。部分的に、本願の開示は、未改変のRNAi構築物が、乏しい血清安定性を有し且つ取込みが乏しい傾向があることを示している。添付の実施例に示したように、この発明のDNA:RNAハイブリッド構築物は、増大した血清安定性及び改善されたイン・ビボ取込みを示す。如何なる特定の理論に拘束されることも望まないが、二本鎖RNA:RNA siRNAを伴わない改善されたRNAi構築物は、二本鎖RNA:RNA siRNAにより誘発される非特異的効果、例えばRNA:RNA siRNA分子のセンス鎖RNAにより誘発されるオフ・ターゲット効果を回避することができる。それ故、本発明は、ミスマッチの塩基対を有するDNA:RNAハイブリッド核酸を含む二本鎖核酸RNAi構築物を提供する。
【0032】
従って、この発明は、部分的に、血清安定性及び/又は細胞による取込みを増大させるように改変された核酸を含むRNAi構築物を提供する。この核酸は、更に、非特異的効果を回避するように改良することができる。
【0033】
II.定義
便宜のために、この明細書、実施例及び添付の請求の範囲で用いたある幾つかの用語を、ここに集めた。
【0034】
開示した方法により処置される「患者」又は「被験者」は、ヒト又は非ヒト動物の何れをも意味しうる。
【0035】
遺伝子配列に関して、用語「発現」は、該遺伝子の転写、及び、適宜、その結果生成したmRNA転写物のタンパク質への翻訳を指す。従って、文脈から明らかとなるであろうが、タンパク質をコードする配列の発現は、コード配列の転写及び翻訳から生じる。遺伝子の発現を減少させる方法は、様々な方法(相互に排他的でない)で行なうことができ、例えば、遺伝子の転写を阻害すること、mRNAの安定性を低下させること及びmRNAの翻訳を減少させることによって行なうことができる。特定の機構に拘束されることは望まないが、一般に、siRNA技術は、遺伝子発現を、標的mRNA種の分解を刺激することによって減少させると考えられている。
【0036】
標的遺伝子の「サイレンシング」とは、ここでは、該標的遺伝子の発現を減少させ又は減衰させることを意味する。
【0037】
ここで用いる場合、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドを指す。この用語は又、記載した具体例に適用可能であれば、一本鎖(センス又はアンチセンスなど)及び二本鎖ポリヌクレオチドも包含することは理解されるべきである。「標準的」ヌクレオチドは、アデノシン(A)、グアノシン(G)、シトシン(C)、チミン(T)及びウラシル(U)であり、リボース−リン酸主鎖を含むが、用語核酸は、標準的ヌクレオチドのみを含むポリヌクレオチド並びに糖リン酸主鎖又はヌクレオシドに対する少なくとも一つの改変を含むポリヌクレオチドを包含することを意図している。DNAとRNAは、リボースの2’位にヒドロキシル基がないかあるかによって、化学的に異なっている。容易にDNA又はRNAと呼ぶことのできない改変された核酸(例えば、2’位に完全に異なる成分が位置しているもの)及びリボースベースの主鎖を含まない核酸は、XNAと呼ぶことができる。XNAの例は、主鎖がペプチド主鎖であるペプチド核酸(PNA)、及びリボースの2’位と4’位の間にメチレン結合を含むロックされた核酸(LNA)である。「未改変の」核酸は、標準的ヌクレオチド及びDNA又はRNA主鎖のみを含む核酸である。
【0038】
用語「製薬上許容しうる塩」は、この発明の化合物の、生理学的に及び製薬上許容しうる塩、即ち、親化合物の所望の生物学的活性を保持していて且つ望ましくない毒理学的効果を与えない塩を指す。
【0039】
用語「肺送達」及び「呼吸送達」は、口からの及び肺への吸入による、RNAi構築物の患者への全身送達を指す。
【0040】
ここで用いる場合、用語「RNAi構築物」は、この明細書中で用いる包括的用語であって、小型の干渉性RNA(siRNA)、ヘアピンRNA、及び他のイン・ビボで開裂されてsiRNAを形成することのできるRNA種を包含する。適宜、このsiRNAは、一本鎖又は二本鎖(DNA:RNA、RNA:RNA及びXNA:RNA二本鎖核酸を含む)を含む。
【0041】
用語「小型の干渉性RNA」即ち「siRNA」は、凡そ19〜30ヌクレオチド長の、一層好ましくは、凡そ21〜23ヌクレオチド長の核酸を指す。これらのsiRNAは、二本鎖であり、各末端に短いオーバーハングを含むことができる。siRNAのアンチセンス鎖は、好ましくはRNAであるが、センス鎖は、RNA、DNA又はXNA並びに改変物及びその混合物であってよい。好ましくは、これらのオーバーハングは、3’末端で1〜6ヌクレオチド長である。当分野では、これらのsiRNAは、化学合成することができ、又は一層長い二本鎖RNA又はヘアピンRNAから誘導することができるということが知られている。これらのsiRNAは、標的RNAに対する有意の配列類似性を有しており、それで、これらのsiRNAは、標的RNAと対合して、該標的RNAの配列特異的な分解をRNA干渉機構によって生じることができる。適宜、これらのsiRNA分子は、3’ヒドロキシル基を含む。
【0042】
III.典型的なRNAi構築物
ある具体例において、この開示は、改善された細胞取込みを有するように、少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物を提供する。ここに開示したRNAi構築物は、望ましい薬物速度論的特性例えば低下したクリアランス速度及び一層長い血清半減期を有することができる。これらの改変は、血清安定性及び/又は細胞取込みを増大させるように選択することができる。これらの改変は、RNAi構築物のタンパク質との非共有結合を増大させるように選択することができる。例えば、RNAi構築物の全体的な負電荷を減少させ及び/又は疎水性を増大させる改変は、タンパク質との非共有結合を増大させる傾向があろう。
【0043】
RNAi構築物は、阻害すべき遺伝子(即ち、「標的」遺伝子)のmRNA転写物の少なくとも一部分のヌクレオチド配列に細胞の生理的条件下でハイブリダイズして該標的遺伝子のサイレンシングを生じるのに十分であるヌクレオチド配列を含むようにデザインすることができる。このRNAi構築物は、それがRNAiを媒介する能力を有する天然のRNAに十分に類似してさえいればよい。従って、遺伝子変異、系統多型又は進化的分岐により予想されうる配列変化は、許容されうる。適宜、この標的配列とRNAi構築物配列との間の許容されるヌクレオチドミスマッチの数は、5塩基対中1つ、又は10塩基対中1つ、又は20塩基対中1つ、又は50塩基対中1つである。二本鎖siRNAの中心でのミスマッチは、最も臨界的であり、標的RNAの開裂を実質的に完全に廃止することができる。対照的に、標的RNAに相補的であるsiRNA鎖の3’末端のヌクレオチドは、標的認識の特異性に有意に寄与していない。
【0044】
配列同一性は、当分野で公知の配列比較とアラインメントアルゴリズム(Gribskov 及びDevereux, Sequence Analysis Primer, Stockton Press, 1991及びその中で引用されている文献参照)及び例えばBESTFITソフトウェアプログラムにおいてデフォルトパラメーターを利用して実行されるスミス−ウォーターマンアルゴリズムによってヌクレオチド配列間の差異パーセントを計算することによって最適化されうる(例えば、ウィスコンシン大学のGenetic Computingグループ)。阻害性RNAと標的遺伝子の部分との間の90%より大きい配列同一性が(又は、100%同一性さえ)好ましい。或は、このRNAの二本鎖領域は、標的遺伝子転写物の一部とハイブリダイズすることのできるヌクレオチド配列として機能的に定義することができる(例えば、400mM NaCl、40mM PIPES pH6.4、1mM EDTA、50℃又は70℃で12〜16時間にわたるハイブリダイゼーションと;その後の洗浄)。
【0045】
ある具体例において、二本鎖RNAi構築物は、ミスマッチの塩基対を含むことができる。ある具体例において、このDNA:RNAハイブリッドRNAi核酸は、完全にマッチしたDNAセンス鎖により相補的に対合される同じRNAアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸のTmより低いTmを有する。このTm比較は、同じイオン強度下での、好ましくは生理的(例えば、約150mM NaClに等しい)イオン強度下での核酸のTmに基づいている。このTmは、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、10℃、15℃、又は20℃だけ一層低くてよい。生理的塩溶液の例には、カエルリンゲル、クレブス、タイロード、リンゲル−ロック、ド・ジャレン、及び人工脳脊髄液が含まれる(GlaxoWellcome Pharmacology Guide参照)。Tmは、認められた式によって計算することができる。例えば:
Tmの計算のための式
Tm=81.5+16.6×Log10[Na+]+0.41(GC%)−600/サイズ
[Na+]は、100mMにセットする。[Na+]については、最大で0.4M。
例:5'-ATGCATGCATGCATGCATG3' 20量体;GC=50%;AT=50%
Tm=81.5+16.6×Log10[0.100]+0.41×50−600/20
Tm=81.5−16.6+0.41×50−600/20=55.4℃
同じオリゴについての2(A+T)+4(C+G)を利用したTm=60℃
(25bpより短い同じオリゴのTm=2(A+T)+4(C+G))
【0046】
ミスマッチは、二本鎖核酸を不安定化させることが当分野で公知である。ミスマッチは、二本鎖のある種の化学的改変(例えば、各鎖の柔軟性及びスペースを必要とする改変)の受け易さを測定することを含む様々な方法によって検出することができる(例えば、John及びWeeks, Biochemistry (2002) 41:6866-74参照)。DNA:RNAハイブリッド二本鎖におけるミスマッチは、RNアーゼA分析を利用して測定することもできる(何故なら、RNアーゼAは、RNAを、DNA:RNAハイブリッド中の単一塩基対ミスマッチ部位で分解するから)。
【0047】
如何なる特定の理論に拘束されることも望まないが、二本鎖RNAi構築物は、二本鎖RNAi構築物が誘発しうる非特異的効果を誘発しない2つの一本鎖ポリヌクレオチドに似るように二本鎖の分離を誘導することができる。
【0048】
ある具体例において、二本鎖RNAi構築物は、DNA:RNA構築物、RNA:RNA構築物又はXNA:RNA構築物であってよい。DNA:RNA構築物は、センス鎖が少なくとも50%のデオキシリボ核酸又はその改変物を含み、他方、アンチセンス鎖が、少なくとも50%のリボ核酸又はその改変物を含むものである。RNA:RNA構築物は、センス鎖とアンチセンス鎖の両方が、少なくとも50%のリボ核酸又はその改変物を含むものである。ここに記載のように、二本鎖核酸は、一本の核酸の2つの部分がハイブリダイズして二重らせんのセンス鎖及びアンチセンス鎖を形成するようにヘアピン又は他の折り畳みコンホメーションをとる一本の核酸鎖から形成することができる。DNA:RNA及びRNA:RNA構築物の両方とも、ヘアピン又は他の折り畳まれた一本鎖形態にて配合することができる。用語デオキシリボ核酸及びリボ核酸は、特別なリボースベースの主鎖を包含する化学名である。ある種の改変核酸例えばペプチド核酸(PNA)は、リボースベースの主鎖を有しない。他の改変核酸は、リボースの2’位を改変されており、それで、RNA又はDNAとしての分類ができない。これらの種類の核酸は、「XNA」と呼ぶことができる。ある具体例において、その開示は、XNA:RNA構築物を包含することを意図しており、「XNA」は、センス鎖の優勢のヌクレオチドが、DNA又はRNAの主鎖を有しないものであることを示している。例えば、もしセンス鎖が、50%を超えるペプチド核酸又はその改変物を含むならば、その二本鎖構築物は、PNA:RNA構築物と呼ばれうる。DNA、RNA及びXNAの混合ポリマーを考えることができ(例えば、30%のDNA、30%のRNA及び40%のPNAを含む核酸)、それは、上記の定義により、DNA、RNA又はXNAと呼ばれないということは理解される。かかる混合核酸鎖は、明確に、用語「核酸」に包含され、核酸が、0、5、10、20、25、30、40又は50%以上のDNA;0、5、10、20、25、30、40、又は50%以上のRNA;及び0、5、10、20、25、30、40又は50%以上のXNAを含むことができるということは理解される。50%のRNAと50%のDNA又はXNAを含む核酸は、RNA鎖と考え、50%のDNAと50%のXNAを含む核酸は、DNA鎖と考える。
【0049】
RNAi構築物の製造は、化学合成法により又は組換え核酸技術によって行なうことができる。処理した細胞の内因性RNAポリメラーゼは、イン・ビボ転写を媒介することができ、又はクローン化RNAポリメラーゼをイン・ビトロ転写に利用することができる。
【0050】
RNAi構築物の一本又は二本の鎖は、リン酸−糖主鎖及び/又はヌクレオシドに改変を含むであろう。一般に、センス鎖は、導入されうる改変の量及び種類において殆ど束縛を受けない。センス鎖は、アンチセンス鎖とハイブリダイズする能力を保持すべきであり、一層長い核酸の場合には、一層長い二本鎖構築物を開裂して一層小さい活性なsiRNAを生じることに関係するRNアーゼ例えばDicerの活性を邪魔すべきでない。このアンチセンス鎖は、センス鎖と標的転写物の両方とハイブリダイズする能力、及びRNAi誘導されたサイレンシング複合体(RISC)を形成する能力を保持すべきである。ある好適具体例において、センス鎖は、完全に改変された核酸を含むが、アンチセンス鎖は、0%、10%、20%、30%、40%又は50%以下の改変核酸を含むRNAである。好適具体例において、RNAi構築物は、DNA(センス):RNA(アンチセンス)構築物であり、このDNA部分は、少なくとも一つの改変を含む。適宜、このRNA部分も又、少なくとも一つの改変を含む。改変は、構築物の取込みを改善し及び/又は一層長い血清半減期を与えるのに有用であろう。更に、同じ改変、又は更なる改変は、更なる利益例えば細胞性ヌクレアーゼに対する減少した感受性、改善されたバイオアベイラビリティー、改善された配合物特性及び/又は変化した薬物速度論的特性を与えることができる。
【0051】
この明細書の故に、RNAi構築物の負電荷を減じ及び/又は疎水性を増大させる改変の多くの例は、明らかとなろう。例えば、天然のRNAのホスホジエステル結合は、少なくとも一つの窒素又は硫黄ヘテロ原子を含むように改変することができる。改変は、イン・ビボでの使用の前に、イン・ビトロで、細胞に対する毒性作用について評価することができる。例えば、センス又はアンチセンス鎖における50%を超えるホスホロチオエート改変は、毒性作用を有しうる。RNA構造における改変は、dsRNAに対する一般的応答を回避しつつ特異的な遺伝子阻害を与えるように作ることができる。同様に、塩基を改変して、アデノシンデアミナーゼの活性をブロックすることができる。このRNAi構築物は、酵素により又は部分的/全体的に有機合成によって生成することができ、任意の改変リボヌクレオチドを、イン・ビトロで、酵素的に又は有機合成によって導入することができる。疎水性は、logPの分析によって評価することができる。「logP」は、P(分配係数)の対数を指す。Pは、物質が、脂質(油)と水の間で、どれ程よく分配するかの尺度である。P自身は、定数である。それは、水相中の化合物の濃度の、中性分子としての不混和性溶媒中の化合物の濃度に対する比として定義される。
分配係数、P=[有機相]/[水相] (式中、[]=濃度)
LogP=log10(分配係数)=log10
【0052】
実際には、LogP値は、それを測定する条件及び分配用溶媒の選択によって変化する。LogP値1は、化合物の濃度が、有機相において、水相より10倍大きいことを意味する。logP値の1の増加は、有機相における化合物の濃度の水相と比較しての10倍増を示している。従って、logP値3を有する化合物は、水中で、logP値4の化合物の10倍可溶性であり、logP値5の化合物の100倍水溶性である。一般に、7〜10のlogP値を有する化合物は、低溶解度の化合物であると考えられる。
【0053】
ある具体例において、少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同一である未改変のRNAi構築物のlogP値より少なくとも1log単位少ないlogP値を有し、好ましくは、少なくとも2、3又は4logP単位さえ少ないlogP値を有する。
【0054】
帯電は、RNAi構築物の等電点(pI)を測定することにより測定することができ、それは、例えば、等電集束法分析を行なうことによって行なうことができる。ある具体例において、少なくとも一つの改変を含むRNAi構築物は、他の点では同一である未改変のRNAi構築物より少なくとも0.25単位高い等電pH(pI)を有し、好ましくは、少なくとも0.5、1又は2単位さえ高い等電pHを有する。
【0055】
RNA分子を化学的に改変する方法は、RNAi構築物の改変に適合させることができる(例えば、Heidenreich等、(1997) Nucleic Acids Res. 25:776-780;Wilson等、(1994) J Mol Recog 7:89-98;Chen等、(1995) Nucleic Acids Res 23:2661-2668;Hirschbein等、(1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev 7:55-61参照)。単に説明のために、RNAi構築物の主鎖は、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、ホスホジチオエート、キメラのメチルホスホネート−ホスホジエステル、ペプチド核酸、5−プロピニルピリミジン含有オリゴマー又は糖改変物(例えば、2’−置換されたリボヌクレオシド、a−コンフィギュレーション)によって改変することができる。更なる改変ヌクレオチドは、次の通りである(この一覧は、主鎖若しくはヌクレオシド又は両方に改変を有する形態を含み、且つこれですべてではない):2’−O−メチル−2−アミノアデノシン;2’−O−メチル−5−メチルウリジン;2’−O−メチルアデノシン;2’−O−メチルシチジン;2’−O−メチルグアノシン;2’−O−メチルウリジン;2−アミノ−2’−デオキシアデノシン;2−アミノアデノシン;2−アミノプリン−2’−デオキシリボシド;4−チオチミジン;4−チオウリジン;5−メチル−2’−デオキシシチジン;5−メチルチチジン;5−メチルウリジン;5−プロピオニル−2’−デオキシシチジン;5−プロピオニル−2’−デオキシウリジン;N1−メチルアデノシン;N1−メチルグアノシン;N2−メチル−2’−デオキシグアノシン;N6−メチル−2’−デオキシアデノシン;N6−メチルアデノシン;O6−メチル−2’−デオキシグアノシン;及びO6−メチルグアノシン。
【0056】
二本鎖構造は、一本の自己相補的核酸鎖又は二本の相補的核酸鎖から形成することができる。二本鎖形成は、細胞の内側又は外側から開始することができる。このRNAi構築物は、少なくとも細胞当たり1コピーの送達を与える量で、導入することができる。二本鎖物質の一層高い投与量(例えば、細胞当たり少なくとも5、10、100、500又は1000コピー)は、一層効果的な阻害を生じうるが、他方、一層低い投与量も又、特別な応用に対して有用でありうる。ここに開示した改変RNAi核酸の一層大きい取込みがあれば、伝統的なRNAi構築物に対して一般に用いられるよりも一層低い投与量を用いることができるということは理解される。阻害は、RNAの二本鎖領域に対応するヌクレオチド配列が、遺伝子阻害のための標的とされる点において、配列特異的である。
【0057】
ある具体例において、主題のRNAi構築物は、「小型の干渉性RNA」又は「siRNA」である。これらの核酸は、凡そ19〜30ヌクレオチド長、尚一層好ましくは21〜23ヌクレオチド長のアンチセンスRNA鎖を含み、これは、例えば、長さにおいて、長い二本鎖RNAのヌクレアーゼ「ダイシング」によって生成される断片に相当する。siRNAは、ヌクレアーゼ複合体をリクルートして、それらの複合体を、特異的配列と対合することによって標的mRNAに導くと理解されている。結果として、標的mRNAは、タンパク質複合体中でヌクレアーゼによって分解される。特定の具体例において、21〜23ヌクレオチドのsiRNAアンチセンス分子は、3’ヒドロキシル基を含む。適宜、センス鎖は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又は100%の改変核酸を含むが、アンチセンス鎖は、未改変RNAである。適宜、このセンス鎖は、100%改変核酸(例えば、ホスホロチオエート改変をあらゆる可能な位置に有するDNA又はRNA)を含むが、アンチセンス鎖は、改変核酸を含まないか又は10%、20%、30%、40%若しくは50%以下の改変RNA核酸を含むRNA鎖である。
【0058】
本発明のsiRNA分子は、当業者に公知の多くの技術を利用して得ることができる。例えば、このsiRNAは、当分野で公知の方法を利用して、化学合成し又は組換えによって生成することができる。例えば、短いセンス及びアンチセンスRNA、DNA又はXNAオリゴマーを合成して、アニールして、各末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有する二本鎖構造を形成することができる(Caplen等、(2001) Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 98:9742-9747;Elbashir等、(2001) EMBO J, 20:6877-88)。これらの二本鎖siRNA構造は、その後、細胞に、受動的な取込み又は選んだ送達システム(下記)によって、導入することができる。
【0059】
ある具体例において、siRNA構築物は、一層長い二本鎖RNAの、例えば酵素ダイサーの存在下でのプロセッシングによって生成することができる。一具体例においては、キイロショウジョウバエのイン・ビトロ系を利用する。この具体例では、dsRNAを、キイロショウジョウバエ胚由来の可溶性の抽出物と合わせ、それにより、結合物を生じる。この結合物を、dsRNAがプロセッシングを受けて約21〜23ヌクレオチドのRNA分子になる条件下に維持する。この具体例では、改変は、RNアーゼの活性を邪魔しないように選択すべきである。
【0060】
このsiRNA分子は、当業者に公知の多くの技術を利用して精製することができる。例えば、ゲル電気泳動を利用して、siRNAを精製することができる。或は、非変性法例えば非変性カラムクロマトグラフィーを利用して、siRNAを精製することができる。加えて、クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)、グリセロール勾配遠心分離、抗体によるアフィニティー精製を利用して、siRNAを精製することができる。
【0061】
ある好適具体例において、siRNA分子の少なくとも一方の鎖は、約1〜6ヌクレオチド長の3’オーバーハングを有する(2〜4ヌクレオチド長でもよいが)。一層好ましくは、3’オーバーハングは、1〜3ヌクレオチド長である。ある具体例では、一方の鎖は3’オーバーハングを有し、他の鎖は、鈍端であるか又はやはりオーバーハングを有する。オーバーハングの長さは、各鎖について同じであっても異なってもよい。siRNAの安定性を更に増進するために、3’オーバーハングを、分解に対して安定化することができる。一具体例において、このRNAアンチセンス鎖は、プリンヌクレオチド例えばアデノシン又はグアノシンヌクレオチドを含有することにより安定化される。或は、ピリミジンヌクレオチドの改変類似体による置換例えばウリジンヌクレオチド3’オーバーハングの2’−デオキシチミジンによる置換は許容され、RNAiの効率に影響しない。2’ヒドロキシルの非存在は、オーバーハングの組織培養培地におけるヌクレアーゼ耐性を有意に増進させ、イン・ビボで有益でありうる。
【0062】
他の具体例において、RNAi構築物は、長い二本鎖RNA:RNA又はDNA:RNAハイブリッド又はXNA:RNAの形態である。ある具体例において、RNAi構築物は、少なくとも25、50、100、200、300又は400塩基である。ある具体例において、RNAi構築物は、400〜800塩基長である。これらの二本鎖核酸は、細胞内で消化され、例えば、細胞内でsiRNA配列を生成する。しかしながら、長い二本鎖核酸のイン・ビボでの利用は、おそらく、配列非依存性dsRNA応答により引き起こされうる有害作用のために、常に実際的である訳ではない。かかる具体例において、インターフェロン又はPKRの影響を減少させる局所的送達システム及び/又は薬剤の利用は、好ましい。
【0063】
ある具体例において、RNAi構築物は、ヘアピン構造の形態である。このヘアピンは、外因的に合成することもできるし、イン・ビボで、RNAポリメラーゼIIIプロモーターからの転写によって形成することもできる。かかるヘアピンRNAを哺乳動物細胞における遺伝子サイレンシングのために作成して利用する例は、例えば、Paddison等、Genes Dev, 2002, 16:948-58;McCaffrey等、Nature, 2002, 418:38-9;McManus等、RNA, 2002, 8:842-50;Yu等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 2002, 99:6047-52に記載されている。好ましくは、かかるヘアピンRNAは、細胞中又は動物中で、工作して、所望の遺伝子の連続的で安定な抑制を確実にする。当分野では、siRNAは、ヘアピンRNAの細胞内でのプロセッシングによって生成することができるということが知られている。ヘアピンは、センス鎖がRNA、DNA又はXNAを含むが、アンチセンス鎖はRNAを含むように、化学合成することができる。かかる具体例において、センス及びアンチセンス部分を繋ぐ一本鎖部分は、ヌクレアーゼによりイン・ビボで開裂できるようにデザインすべきであり、任意の二本鎖部分は、ダイサーなどのヌクレアーゼによるプロセッシングに対して感受性であるべきである。
【0064】
IV.典型的な配合物
この発明のRNAi構築物は又、他の分子、分子構造又は化合物の混合物と、例えばリポソーム、ポリマー、レセプター標的分子、取込み、分配及び/又は吸収を助成するための経口、直腸、局所投与用その他の配合物と混合し、カプセル封入し、結合体化し或は会合させることもできる。主題のRNAi構築物は、浸透増進剤、キャリアー化合物及び/又はトランスフェクション剤をも含む配合物にて与えることもできる。
【0065】
ある具体例においては、ここに開示したRNAi構築物の増大した会合を利用して、RNAi構築物及びタンパク質を含む予備会合混合物を生成することができる。例えば、患者への送達のための組成物は、少なくとも一種のタンパク質例えばアルブミン(好ましくは、送達する種にマッチしたもの、例えば、ヒトへの送達のためのヒト血清アルブミン)及びRNAi構築物を含むことができる。従って、RNAi構築物のかなりのパーセンテージは、患者への送達時にタンパク質と会合する。タンパク質は、送達方法に適するように選択することができる。血清タンパク質は、特に、血液が潅流する身体の如何なる部分への送達にも適しており、特に静脈投与に適している。ムコイドタンパク質又はプロテオグリカンは、気道、直腸、眼又は生殖器などの粘膜表面への投与に望ましいであろう。
【0066】
タンパク質は、RNAi構築物の特定の組織又は細胞型へのターゲティングのために選択することができる。例えば、トランスフェリンタンパク質は、RNAi構築物の、新生物の細胞(「新生物細胞」)へのターゲティングのために利用することができる。他の例としては、少なくとも一のガラクトース部分を有するタンパク質を、RNAi構築物の、肝細胞へのターゲティングに利用することができる。RNAi構築物は、標的の細胞又は組織型に対する親和性を有する抗体と予備混合することができる。ターゲティング用抗体を生成する方法は、当分野で周知である。抗体は、例えば、モノクローナル若しくはポリクローナル抗体、一本鎖抗体、Fv断片、Fc断片(例えば、Fc結合細胞へのターゲティング用)、キメラ若しくはヒト化抗体、完全にヒトの抗体、任意の種類の抗体例えばIgG、IgM、IgE若しくはIgD又はこれらの一部分を含むポリペプチドであってよい。
【0067】
【表1】

【0068】
ポリペプチドは又、細胞内への取込みを特異的に促進するために選択される内在化用ポリペプチドであってもよい。一具体例において、内在化ペプチドは、キイロショウジョウバエのアンテペンネペディアタンパク質又はその同族体から誘導される。ホメオタンパク質のアンテペンネペディアの60アミノ酸長のホメオドメインは、生物の膜を通って移行すること及びそれが結合した異質ポリペプチドの移行を促進することができることが示されている。例えば、Derossi等(1994) J Biol Chem 269:10444-10450;及びPerez等(1992) J Cell Sci 102:717-722を参照されたい。最近、このタンパク質の16アミノ酸長の断片が、内在化を駆動するのに十分であるということが示された。Derossi等(1996)J Biol Chem 271:18188-18193参照。内在化用ペプチドの他の例は、HIVトランスアクチベーター(TAT)タンパク質である。このタンパク質は、4つのドメインに分割されるようである(Kuppuswamy等(1989) Nucl. Acids Res. 17:3551-3561)。精製TATタンパク質は、組織培養において細胞によって取り込まれ(Frankel及びPabo,(1989) Cell 55:1189-1193)、ペプチド例えばTATの残基37〜62に相当する断片は、イン・ビトロで、細胞によって急速に取り込まれる(Green及びLoewenstein, (1989) Cell 55:1179-1188)。高度に塩基性の領域は、内在化及び内在化用部分の核へのターゲティングを媒介する(Ruben等(1989) J. Viol. 63:1-8)。高度に塩基性の領域に存在する配列を含むペプチド又は類似体(例えば、CFITKALGISYGRKKRRQRRRPPQGS)は、内在化を助成するためにポリマーに結合体化され、それらの複合体を細胞内ミレアウに標的を定める。他の典型的な細胞透過ポリペプチドは、マストパランの十分な部分を含むように生成して(T. Higashijima等、(1990) J.Biol.Chem. 265:14176)RNAi複合体の膜貫通輸送を増大させることができる。
【0069】
他の適当な内在化用ペプチドを、例えば、ヒストン、インスリン、トランスフェリン、塩基性アルブミン、プロラクチン及びインスリン様成長因子I(IGF−I)、インスリン様成長因子II(IGF−II)又は他の成長因子の全部又は一部を利用して生成することができる。例えば、毛細血管細胞上のインスリンレセプターに対する親和性を示すが、血糖低下においてインスリンより効果が低いインスリンの断片は、レセプター媒介のトランスサイトーシスによって膜貫通輸送が可能であり、それ故、主題の細胞浸透ポリペプチドに対する内在化用ペプチドとして役立ちうるということが見出されている。好適な成長因子由来の内在化ペプチドには、EGF(内皮成長因子)由来のペプチド例えばCMHIESLDSYTC及びCMYIEALDKYAC;TGF−ベータ(トランスフォーミング成長因子ベータ)由来のペプチド;PDGF(血小板由来成長因子)由来のペプチド又はPDGF−2;IGF−I(インスリン様成長因子)又はIGF−II由来のペプチド;及びFGF(繊維芽細胞成長因子)由来のペプチドが含まれる。
【0070】
更に別の好適な内在化用ペプチドには、アポリポタンパク質A−1及びBのペプチド;ペプチド毒素例えばメチリン、ボンボリチン、デルタヘモリシン及びパルダキシン;抗体ペプチド例えばアラメチシン;ペプチドホルモン例えばカルシトニン、コルチコトロフィン放出因子、ベータエンドルフィン、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、多くの分泌タンパク質のシグナル配列に対応するペプチドが含まれる。加えて、典型的な内在化用ペプチドは、酸性pHで内在化ペプチドのアルファらせん特性を増大させる置換基の結合によって改変することができる。
【0071】
ポリペプチドは又、RNAi構築物との相互作用のために選択され又はデザインされる第一のドメイン及びターゲティング、内在化又は他の所望の機能性のために選択され又はデザインされる第二のドメインを含む融合タンパク質であってもよい。
【0072】
RNAi構築物は、適宜幾つかの異なる種類の複数のポリペプチド種(例えば、血清タンパク質及びターゲティングタンパク質)と予備混合することができる。下記のような、更なる物質も又、含むことができる。
【0073】
RNAi構築物の送達に適合させることのできる、取込み、分配及び/又は吸収助成用配合物の調製を教示する代表的な米国特許には、米国特許第5,108,921号;5,354,844号;5,416,016号;5,459,127号;5,521,291号;51543,158号;5,547,932号;5,583,020号;5,591,721号;4,426,330号;4,534,899号;5,013,556号;5,108,921号;5,213,804号;5,227,170号;5,264,221号;5,356,633号;5,395,619号;5,416,016号;5,417,978号;5,462,854号;5,469,854号;5,512,295号;5,527,528号;5,534,259号;5,543,152号;5,556,948号;5,580,575号;及び5,595,756号が含まれるが、これらに限られない。
【0074】
この発明のRNAi構築物は又、任意の製薬上許容しうる塩、エステル若しくはかかるエステルの塩、又はヒトを含む動物への投与に際して、(直接又は間接に)生物学的に活性な代謝産物若しくはその残留物を与えることのできる任意の他の化合物をも包含する。従って、例えば、この開示は又、RNAi構築物及びRNAiの製薬上許容しうる塩、かかるRNAi構築物の製薬上許容しうる塩、及び他の生物学的同等物にも向けられている。
【0075】
製薬上許容しうる塩基付加塩は、金属又はアミン例えばアルカリ及びアルカリ土類金属又は有機アミンによって形成される。カチオンとして利用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどである。適当なアミンの例は、N,NI−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、及びプロカインである(例えば、Berge等、「Pharmaceutical Salts」J. of Pharma Sci., 1977, 66, 1-19参照)。該酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を十分量の所望の塩基と接触させて、慣用の方法で塩を生成することにより製造する。遊離酸形態は、塩形態を酸と接触させて、遊離酸を慣用の方法で分離することによって再生することができる。遊離酸形態は、それらの各塩形態と、ある種の物理的特性例えば極性溶媒中の溶解度において幾分異なるが、他の点では、塩は、それらの各遊離酸と本発明の目的に関して同等である。ここで用いる場合、「製薬的付加塩」は、この発明の組成物の成分の一つの酸形態の製薬上許容しうる塩を包含する。これらは、アミンの有機又は無機酸性塩を包含する。好適な酸性塩は、塩酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩及びリン酸塩である。他の適当な製薬上許容しうる塩は、当業者に周知であり、様々な無機及び有機酸の塩基性塩を包含する。
【0076】
siRNAオリゴヌクレオチドについては、製薬上許容しうる塩の好適な例には、(a)カチオン例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、ポリアミン例えばスペルミン及びスペルミジンなどにより形成された塩;(b)無機酸例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などにより形成された酸付加塩;(c)有機酸例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などにより形成された塩;及び(d)塩素、臭素、及びヨウ素などの元素のアニオンから形成された塩が含まれるが、これらに限られない。
【0077】
この発明の他の面は、RNAi構築物の気道への送達のためのエアゾルを提供する。気道には、口腔咽頭及び喉頭を含む上気道と、それに続く、気管を含む下気道(気管は、その後、気管気管支及び細気管支に分岐)が含まれる。これらの上気道及び下気道は、通道気道と呼ばれる。末端の細気管支は、その後、呼吸細気管支に分岐し、これは、その後、最終的な呼吸ゾーンである肺胞、即ち肺深部へと導く。
【0078】
ここに、吸入による投与は、経口及び/又は鼻内投与であってよい。エアゾル送達のための医薬用デバイスの例には、自動計量吸入器(MDI)、乾燥粉末吸入器(DPI)及びエアジェット噴霧器が含まれる。主題のRNAi構築物の送達用に容易に適合させることのできる吸入による典型的な核酸送達システムは、例えば、米国特許第5,756,353号;5,858,784号;及びPCT出願WO98/31346;WO98/10796;WO00/27359;WO01/54664;WO02/060412に記載されている。二本鎖RNAの送達に利用することのできる他のエアゾル配合物は、米国特許第6,294,153号;6,344,194号;6,071,497号、及びPCT出願WO02/066078;WO02/053190;WO01/60420;WO00/66206に記載されている。更に、RNAi構築物を送達する方法は、他のオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を、例えば、Templin等、Antisense Nucleic Acid Drug Dev, 2000, 10:359-68;Sandrasagra等、Expert Opin Biol Ther, 2001, 1:979-83;Sandrasagra等、Antisense Nucleic Acid Drug Dev, 2002, 12:177-81に記載されている、吸入によって送達するのに利用されているものを適合させることができる。
【0079】
ヒトの肺は、加水分解により開裂できる付着したエアゾルを数分から数時間の期間で除去し又は迅速に分解することができる。上気道において、繊毛上皮は、粒子を気道から口へ掃き出す「粘膜繊毛除去装置」に寄与している。Pavia, D.,「Lung Mucociliary Clearance」(Aerosols and the Lung: Clinical and Experimental Aspects, Clarke, S.W.及びPavia, D.,編、Butterworths, London, 1984中)。肺深部においては、肺胞マクロファージは、粒子をそれらの付着後間もなくファゴサイトーシスにより取り込むことができる。Warheit等、Microscopy Res. Tech., 26:412-422(1993);及びBrain, J.D.「Physiology and Pathophysiology of Pulmonary Macrophages」(The Reticuloendothelial System, S.M. Reichard and J. Filkins, 編、Plenum, New. York., 315-327頁、1985中)。肺深部即ち肺胞は、RNAi構築物の全身送達のための治療用吸入エアゾルの主たる標的である。
【0080】
好適具体例において、特に、RNAi構築物の全身投与が望まれる場合には、エアゾルRNAi構築物を、微粒子として配合する。0.5〜10ミクロンの直径を有する微粒子は、肺を透過することができ、殆どの天然のバリヤーを通過する。10ミクロン未満の直径が、咽喉をバイパスするために必要とされ、0.5ミクロン以上の直径が、吐き出されるのを回避するのに必要とされる。
【0081】
この発明の他の面は、被覆された医用デバイスに関係する。例えば、ある具体例では、主題の発明は、少なくとも一面に付着された被覆を有する医用デバイスを提供し、ここに、この被覆は、主題のポリマーマトリクス及びここに開示した改変を含むRNAi構築物を含むものである。適宜、この被覆は、更に、RNAi構築物と非共有結合した(又は、被覆からの放出の際にRNAi構築物と相互作用するように選択された)タンパク質を含む。かかる被覆は、スクリュー、プレート、ウォッシャー、縫合糸、プロテーゼアンカー、タック、ステープル、導線、弁、膜などの外科用器具に適用することができる。これらのデバイスは、カテーテル、移植可能な血管アクセスポート、血液貯蔵用バッグ、血液チューブ、中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、血管移植片、大動脈内バルーンポンプ、心臓弁、心臓血管用縫合糸、人工心臓、ペースメーカー、心室補助ポンプ、身体外デバイス、血液フィルター、血液透析ユニット、血液潅流ユニット、血漿搬出ユニット及び血管配備に適合されたフィルターであってよい。
【0082】
本発明による幾つかの具体例において、ポリマーを形成するためのモノマーは、RNAi構築物と結合されて、モノマー溶液中のRNAi構築物の均質な分散を作るように混合される。この分散を、次いで、慣用の被覆工程によって、ステント又は他のデバイスに塗布し、その後、架橋工程を、慣用の開始剤例えばUV光によって開始する。本発明の他の具体例において、ポリマー組成物は、RNAi構築物と合せられて、分散を形成する。この分散は、次いで、医用デバイスの表面に適用され、このポリマーは、架橋して、固体の被覆を形成する。本発明の他の具体例においては、ポリマー及びRNAi構築物を、適当な溶媒と合わせて分散を形成し、次いで、それを、ステントに慣用の方法で塗布する。その後、この溶媒を、慣用の工程例えば加熱蒸発によって除去し、その結果、このポリマー及びRNAi構築物(一緒に、持続的放出用薬物送達システムを形成する)は、ステント上に被覆として残る。RNAi構築物をポリマー組成物に溶解させる類似の方法を利用することができる。RNAiをタンパク質と予備混合する場合は、溶媒は、好ましくは、タンパク質の3次構造を保存するように選択される。
【0083】
この発明の幾つかの具体例において、このシステムは、比較的硬いポリマーを含む。他の具体例においては、このシステムは、軟質で且つ展性のポリマーを含む。更に別の具体例においては、このシステムは、粘着性を有するポリマーを含む。このポリマーの強度、弾性、粘着性、及び他の特性は、下記で一層詳細に論じるように、システムの特定の最終的な物理的形態によって、広範囲で変化しうる。
【0084】
本発明のシステムの具体例は、多くの異なる形態をとる。幾つかの具体例においては、このシステムは、ポリマー中に懸濁又は分散されたRNAi構築物からなる。ある別の具体例においては、このシステムは、RNAi構築物及び半固体又はゲル状ポリマーよりなり、注射器によって身体内に注射されるように適合されている。本発明の他の具体例においては、このシステムは、RNAi構築物及び軟質の可撓性ポリマーよりなり、適当な外科的方法によって身体に挿入又は移植されるように適合されている。本発明の尚更に別の具体例においては、このシステムは、硬い、固体ポリマーよりなり、適当な外科的方法によって身体に挿入又は移植されるように適合されている。更なる具体例において、このシステムは、RNAi構築物を内部に懸濁又は分散して有するポリマーを含み、該RNAi構築物及びポリマーの混合物は、スクリュー、ステント、ペースメーカーなどの外科用器具上に被覆を形成する。本発明の特定の具体例において、デバイスは、硬い、固体ポリマーよりなり、外科用スクリュー、プレート、ステントなどの外科用器具又はそれらのある部分の形状をしている。本発明の他の具体例において、このシステムは、RNAi構築物を内部に分散又は懸濁して有する縫合糸の形態のポリマーを含む。
【0085】
本発明の幾つかの具体例において、表面(例えば外表面)及び外表面上の被覆を有する基材を含む医用デバイスを提供する。この被覆は、ポリマー及び該ポリマー中に分散されたRNAi構築物を含み、該ポリマーは、RNAi構築物に対して透過性であり、生物分解してRNAi構築物を放出する。適宜、この被覆は、更に、RNAi構築物と会合するタンパク質を含む。本発明のある具体例において、デバイスは、RNAi構築物を適当なポリマー中に懸濁又は分散させて含み、該RNAi構築物及びポリマーは、全基材(例えば、外科用器具)の上を被覆する。かかる被覆は、噴霧被覆又は浸漬被覆によって達成することができる。
【0086】
本発明の他の具体例において、デバイスは、RNAi構築物及びポリマーの懸濁液又は分散を含み、該ポリマーは、硬く、身体に挿入又は移植されるべきデバイスの構成部分を形成する。適宜、この懸濁液又は分散は、更に、RNAi構築物と非共有結合により相互作用するポリペプチドを含む。例えば、本発明の特定の具体例において、デバイスは、ポリマー中に懸濁又は分散されたRNAi構築物により被覆された外科用スクリュー、ステント、ペースメーカーなどである。本発明の他の特定の具体例において、このRNAi構築物が懸濁されるポリマーは、外科用スクリューのチップ又はヘッド或はそれらの部分を形成する。本発明の他の具体例において、このRNAiが懸濁又は分散されるポリマーは、外科用器具例えば外科用管類(例えば、人工肛門形成、腹腔洗浄、カテーテル、及び静脈内用管類)上に被覆される。本発明の尚更に別の具体例においては、デバイスは、被覆されたポリマー及びRNAi構築物を有する静脈内用針である。
【0087】
上で論じたように、本発明の被覆は、生物腐食性のポリマー又は生物腐食性でないポリマーを含む。生物腐食性か非生物腐食性かの選択は、システム又はデバイスの意図する最終目的に基づいて行われる。本発明の幾つかの具体例においては、このポリマーは、有利に、生物腐食性である。例えば、システムが外科的に移植されるデバイス例えばスクリュー、ステント、ペースメーカーなどの上の被覆である場合、このポリマーは、有利に、生物腐食性である。ポリマーが有利に生物腐食性である本発明の他の具体例は、移植可能な、吸入可能な、又は注射可能な、RNAi構築物の、ポリマー中の懸濁液又は分散であるデバイスを含むが、更なるエレメント(スクリュー又はアンカーなど)は、用いられない。
【0088】
ポリマーが透過性及び生物腐食性に乏しいものである本発明の幾つかの具体例において、該ポリマーの生物腐食の速度は、有利に、RNAi構築物の放出速度より十分に遅く、それで、該ポリマーは、RNAi構築物が放出された後もかなりの期間にわたって適所に残っているが、最終的には、生物腐食を受けて周囲の組織に再吸収される。例えば、デバイスが、生物腐食性ポリマーに懸濁又は分散されたRNAi構築物を含む生物腐食性縫合糸である場合、該ポリマーの生物腐食の速度は、有利に、十分遅く、それで、RNAi構築物は、約3〜14日の期間にわたって直線的様式で放出されるが、該縫合糸は、約3週間から約6ヶ月の期間にわたって存続する。本発明の類似のデバイスは、生物腐食性ポリマーに懸濁又は分散されたRNAi構築物を含む外科用ステープルを含む。
【0089】
本発明の他の具体例において、ポリマーの生物腐食速度は、有利に、RNAi構築物の放出速度と同じオーダーである。例えば、システムが、外科用器具(例えば、整形外科用スクリュー、ステント、ペースメーカー、又は非生物腐食性縫合糸)上に被覆されるポリマーに懸濁又は分散されたRNAi構築物を含む場合、該ポリマーは、有利には、周囲の身体組織に直接さらされるRNAi構築物の表面積が、経時的に、実質的に一定のままであるような速度で、生物腐食される。
【0090】
本発明の他の具体例において、ポリマービヒクルは、周囲の組織(例えば、血漿)において水透過性である。かかる場合には、水溶液は、ポリマーを透過することができ、それにより、RNAi構築物と接触する。分離速度は、生理学的液体の、ポリマーの透過性、RNAi構築物の溶解度、pH、イオン強度、及びタンパク質組成などの変数の複合セットによって支配されうる。
【0091】
本発明の幾つかの具体例において、ポリマーは、非生物腐食性である。非生物腐食性ポリマーは、システムが、永久に又は半永久的に身体に挿入され又は移植されるために適合されている外科用器具を被覆する(又は、その構成部分を形成する)ことを意図するポリマーを含む場合に、特に有用である。このポリマーが外科用器具上に有利に永久的被覆を形成する典型的なデバイスには、整形外科用スクリュー、ステント、プロテーゼジョイント、人工弁、永久的縫合糸、ペースメーカーなどが含まれる。
【0092】
経皮経管冠状動脈拡張術の後に利用されうる非常に多数の異なるステントがある。幾つのステントでも本発明によって利用することができるが、簡単のために、限られた数のステントを、本発明の典型的具体例において記載する。当業者は、如何なる数のステントでも、本発明と共に利用することができることを認めよう。加えて、上記のように、他の医用デバイスも利用することができる。
【0093】
ステントは、一般に、閉塞を救済するために、管の内腔に残す管状構造として用いられる。一般に、ステントは、広げてない形態で内腔に挿入して、その後、自律的に又は第二のデバイスの助成によりイン・シトゥーで広げられる。拡張の典型的な方法は、カテーテルマウントした血管形成バルーンの利用にあり、該バルーンは、血管の壁成分と関係する閉塞を摘み取って崩壊させ及び拡大された内腔を得るために、狭窄した血管内又は身体内の通路内でふくらませる。
【0094】
本発明のステントは、任意の数の方法を利用して製作することができる。例えば、このステントは、中空の又は形成されたステンレス鋼のチューブから製作することができ、該チューブは、レーザー、放電削り、化学的エッチング又は他の手段を利用して、機械で作ることができる。このステントを、身体に挿入して、未拡張形態で所望の部位に位置させる。一つの典型的具体例において、拡張を、血管内で、バルーンカテーテルによって行なうことができ、該ステントの最終的直径は、用いたバルーンカテーテルの直径の関数である。
【0095】
本発明のステントは、形状記憶材料(例えば、適当なニッケルとチタン又はステンレス鋼の合金)によって具現化されうるということは認められるべきである。
【0096】
ステンレス鋼から形成される構造は、該ステンレス鋼を予め決めた仕方で配置する(例えば、それを編んだ配置にねじる)ことにより、自己拡張性にすることができる。この具体例では、ステントを形成した後で、それを、血管又は他の組織に、挿入手段(適当なカテーテル又は可撓性ロッドを包含する)によって挿入することを可能にするだけ十分に小さい空間を占めるように圧縮することができる。
【0097】
カテーテルからの出現に際して、このステントは、所望の配置に拡張するように配置することができ、該拡張は、自動的に起き又は圧力、温度の変化又は電気刺激によって引き金を引かれる。
【0098】
このステントのデザインにかかわらず、有効投薬量を病変領域に与えるのに十分な特異性及び十分な濃度で適用されるRNAi構築物及びタンパク質(適用可能な場合)を有することは、好ましい。この点において、この被覆における「貯蔵サイズ」は、好ましくは、RNAi構築物を所望の位置で且つ所望の量で、十分に適用するようなサイズである。
【0099】
別の典型的具体例において、ステントのすべての内面及び外面を、RNAi構築物及び適宜タンパク質で、治療的投薬量で、被覆することができ、しかしながら、被覆技術は、RNAi構築物及び任意の含有タンパク質に依って変化しうることに注意することは重要である。やはり、これらの被覆技術は、ステント又は他の内腔内医用デバイスを構成する材料によって変化しうる。
【0100】
この内腔内医用デバイスは、持続的放出用の薬物送達用被覆を含む。RNAi構築物の被覆は、慣用の被覆工程例えば浸漬被覆、噴霧被覆及び浸漬被覆によってステントに塗布することができる。
【0101】
一具体例において、内腔内医用デバイスは、縦のステント軸に沿って伸びる内腔内面及び反対側の外表面を有する細長い半径方向に拡張しうる管状ステントを含む。このステントは、永久的移植用ステント、移植可能なグラフテッドステント、又は一時的ステントを包含することができ、この一時的ステントは、血管内で拡張することができ、その後、血管から回収することのできるステントとして定義される。ステントの配置は、コイル配置、記憶コイル配置、ニチノールステント、メッシュステント、足場ステント、スリーブステント、透過性ステント、温度センサーを有するステント、多孔性ステントなどを包含することができる。このステントは、慣用の方法によって、例えばふくらませることのできるバルーンカテーテルにより、自己展開機構により(カテーテルから放出後)、又は他の適当な手段によって配備することができる。細長い半径方向に拡張しうる管状ステントは、グラフテッドステントであってよく、これは、移植片の内側又は外側にステントを有する複合デバイスである。この移植片は、血管移植片例えばePTFE移植片、生物学的移植片、又は編んだ移植片であってよい。
【0102】
このRNAi構築物及び任意の会合したタンパク質は、多くの方法で、ステント上に組み込み又は加えることができる。典型的具体例において、このRNAi構築物は、直接、ポリマーマトリクスに組み込まれ、ステントの外表面に噴霧される。このRNAi構築物は、ポリマーマトリクスから経時的に溶出して、周囲の組織に入る。このRNAi構築物は、好ましくは、少なくとも3日間、最長で6ヶ月間、一層好ましくは、7〜13日間ステント上に残る。
【0103】
ある具体例において、本発明のポリマーは、RNAi構築物に対して透過性である任意の生物学的に許容されるポリマー、及び透過性を有するがそれがポリマーからのRNAi構築物の放出速度の主たる速度決定因子でないようなポリマーを含む。
【0104】
本発明の幾つかの具体例において、このポリマーは、非生物腐食性である。本発明で有用な非生物腐食性ポリマーの例には、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)(EVA)、ポリビニルアルコール及びポリウレタン例えばポリカーボネートベースのポリウレタンが含まれる。本発明の他の具体例において、ポリマーは、生物腐食性である。本発明で有用な生物腐食性ポリマーの例には、ポリ無水物、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリアルキルシアノアクリレート又はこれらの誘導体及びコポリマーが含まれる。当業者は、ポリマーの生物腐食性か非生物腐食性かの選択は、以下で大いに詳しく説明するように、システムの最終的な物理的形態に依存することを認めよう。他の典型的ポリマーには、ポリシリコーン及びヒアルロン酸から導かれるポリマーが含まれる。当業者は、本発明のポリマーが、RNAi構築物のポリマーからの放出における主たる速度決定因子でないように透過性を与えるのに適した条件下で製造されることを理解しよう。
【0105】
その上、適当なポリマーには、生物学的に体液及び哺乳動物組織と適合性であって、本質的に、接触する体液に不溶性の天然(コラーゲン、ヒアルロン酸など)又は合成の材料が含まれる。加えて、これらの適当なポリマーは、本質的に、ポリマーに分散/懸濁されたRNAi構築物と体液中のタンパク質様成分との間の相互作用を防止する。迅速に溶解するポリマー又は体液に高度に溶解性の若しくはRNAi構築物と内因性タンパク質様成分との相互作用を可能にするポリマーの利用は、ポリマーの溶解又はタンパク質様成分との相互作用は、薬物放出の恒常性に影響しうるので、ある場合には避けるべきである。ポリマーの選択は、RNAi構築物を被覆中でタンパク質と予備会合させる場合には、異なるものとなりうる。
【0106】
他の適当なポリマーには、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンビニルアセテート(PVA又はEVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリカルボン酸、ポリアルキルアクリレート、セルロースエーテル、シリコーン、ポリ(dl−ラクチド−コグリコリド)、様々なユードラグリット(例えば、NE30D、RS PO及びRL PO)、ポリアルキル−アルキアクリレートコポリマー、ポリエステル−ポリウレタンブロックコポリマー、ポリエーテル−ポリウレタンブロックコポリマー、ポリジオキサノン、ポリ−(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、及びPEO−PLAコポリマーが含まれる。
【0107】
本発明の被覆は、少なくとも一種の適当なモノマーと適当なRNAi構築物を混合し、その後、該モノマーを重合させてポリマーシステムを形成することによって形成することができる。この方法において、RNAi構築物、及び任意の会合タンパク質は、ポリマー中に溶解又は分散される。他の具体例において、このRNAi構築物及び任意の会合タンパク質は、液体ポリマー又はポリマー分散中に混合され、その後、該ポリマーは、更に処理されて、この発明の被覆を形成する。適当な更なる処理は、適当な架橋RNAi構築物と架橋すること、液体ポリマー又はポリマー分散の更なる重合、適当なポリマーブロックとのブロック共重合などを包含する。この更なる処理は、RNAi構築物をポリマー中に捕捉し、それで、このRNAi構築物は、ポリマービヒクル中に懸濁又は分散される。
【0108】
非腐食性ポリマーを幾つでも、RNAi構築物と共に利用することができる。この出願中の被覆に利用することのできるフィルム形成性ポリマーは、吸収性であっても非吸収性であってもよく、血管壁に対する刺激を最小にするように生体適合性でなければならない。このポリマーは、所望の放出速度又は所望のポリマー安定性の程度によって、生体内で安定であっても生体吸収性であってもよいが、生体吸収性ポリマーが、生体内で安定なポリマーと異なり、移植後長く存在して何らかの有害な、慢性的な局所応答を引き起こすことがないので、好適である。その上、生体吸収性ポリマーは、長期にわたって、ステントが組織に封入された後でさえ被覆を取り払って更なる問題を導入することのできる生物学的環境ストレスにより引き起こされるステントと被覆との間の接着が失われる危険を与えない。
【0109】
使用することのできる適当なフィルム形成性の生体吸収性ポリマーには、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカルボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミノ基含有ポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、生態分子及びこれらのブレンドよりなる群から選択するポリマーが含まれる。この発明の目的に関して、脂肪族ポリエステルには、ラクチド(乳酸、d−、l−及びメゾラクチドを含む)、ε−カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカルボネート(及びそのアルキル誘導体)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン及びこれらのポリマーブレンドのホモポリマー及びコポリマーが含まれる。この発明の目的に関して、ポリ(イミノカルボネート)は、Kemnitzer及びKohn(Handbook of Biodegradable Polymers, Domb, Kost及びWisemen編、Hardwood Academic Press, 1997, 251-272頁中)により記載されたように、含む。この発明の目的に関して、コポリ(エーテル−エステル)は、Cohn及びYounes, Journal of Biomaterials Research, Vol.22, 993-1009頁, 1988及びCohn, Polymer Preprints (ACS Division of Polymer Chemistry) Vol. 30(1), 498頁, 1989に記載されたようなコポリエステル−エーテル(例えば、PEO/PLA)を包含する。ポリアルキレンオキサレートは、この発明の目的に関して、米国特許第4,208,511号;4,141,087号;4,130,639号;4,140,678号;4,105,034号;及び4,205,399号(参考として、本明細書中に援用する)を包含する。ポリホスファゼン、コ、ター、及び一層高次の混合モノマーベースのポリマー(L−ラクチド、D,L−ラクチド、乳酸、グリコリド、グリコール酸、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカルボネート及びε−カプロラクトンより作られたものなど)は、Allclock(The Encyclopedia of Polymer Science, Vol. 13, 31-41頁、Wiley Intersciences, John Wiley & Sons, 1988中)により及びVandorpe, Schacht, Dejardin及びLemmouchi (Handbook of Biodegradable Polymers, Domb, Kost及びWiseman編、Hardwood Academic Press, 1997, 161-182頁(参考として、本明細書中に援用する)中)により記載されている。HOOC-C6H4-O-(CH2)m−O-C6H4-COOH型の二酸からのポリ無水物(式中、mは、2〜8の範囲の整数である)及びその脂肪族アルファ−オメガ二酸(最大12炭素)とのコポリマー。アミン及び/又はアミド基を含むポリオキサエステル ポリオキサアミド及びポリオキサエステルは、次の米国特許第5,464,929号;5,595,751号;5,597,579号;5,607,687号;5,618,552号;5,620,698号;5,645,850号;5,648,088号;5,698,213号及び5,700,583号(これらを、参考として、本明細書中に援用する)の少なくとも一つに記載されている。ポリオルトエステル、例えば、Heller (Handbook of Biodegradable Polymers, Domb, Kost及びWisemen編、Hardwood, Academic Press, 1977, 99-118頁中)(参考として、本明細書中に援用する)により記載されたようなもの。この発明の目的に関して、フィルム形成性ポリマーの生体分子は、ヒトの身体中で酵素により分解することができ又はヒトの身体中で加水分解に不安定である天然の物質例えばフィブリン、フィブリノーゲン、コラーゲン、エラスチン、及び吸収可能な生体適合性の多糖類例えばキトサン、澱粉、脂肪酸(及びそのエステル)、グルコソ−グリカン及びヒアルロン酸を包含する。
【0110】
比較的低い慢性組織応答を有する適当なフィルム形成性の生体安定性ポリマー例えばポリウレタン、シリコーン、ポリ(meth)アクリレート、ポリエステル、ポリアルキルオキシド(ポリエチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドン、並びにヒドロゲル例えば架橋されたポリビニルピロリドン及びポリエステルから形成されるものも又、利用することができる。他のポリマーも又、ステント上で溶解させ、硬化させ又は重合させることができるならば、利用することができる。これらには、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィンコポリマー;アクリル酸ポリマー(メタクリレート)及びコポリマー、ビニルハリドポリマー及びコポリマー例えばポリビニルクロリド;ポリビニルエーテル例えばポリビニルメチルエーテル;ポリビニリデンハリド例えばポリビニリデンフルオリド及びポリビニリデンクロリド;ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族例えばポリスチレン;ポリビニルエステル例えばポリビニルアセテート;ビニルモノマーの相互の及びオレフィンとのコポリマー例えばエチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂及びエチレン−ビニルアセテートコポリマー;ポリアミド例えばナイロン66及びポリカプロラクタム;アルキド樹脂;ポリカルボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂、ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート;セロハン;セルロースニトレート;セルロースプロピオネート;セルロースエーテル(即ち、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース);及びこれらの結合が含まれる。この出願の目的に関して、ポリアミドには又、-NH-(CH2)n-CO-及びNH-(CH2)x-NH-CO-(CH2)y-CO型のポリアミド(式中、nは、好ましくは、6〜13の整数であり;xは、6〜12の範囲の整数であり;そしてyは、4〜16の範囲の整数である)も包含されよう。上に与えた一覧は、説明のためのものであり、制限するものではない。
【0111】
被覆に用いられるポリマーは、蝋質又は粘着性でないだけ十分高い分子量を有するフィルム形成性ポリマーであってよい。これらのポリマーも又、ステントに付着すべきであり且つステント上に付着した後は、血流力学的ストレスによってはずされうることに関して、あまり容易に変形されるべきでない。これらのポリマーの分子量は、十分な丈夫さを与えるのに十分なだけ高いので、これらのポリマーは、ステントの操作及び配備中に、すり落とされないであろうし、ステントの拡張時にひび割れないであろう。ある具体例において、このポリマーは、40℃より高い、好ましくは約45℃より高い、一層好ましくは、50℃より高い、最も好ましくは、55℃より高い融点を有する。
【0112】
被覆は、少なくとも一種の治療用RNAi構築物を被覆混合物中で被覆用ポリマーと混合することによって配合することができる。このRNAi構築物は、液体、微粉固体、又は任意の他の適当な物理的形態として存在してよい。適宜、この混合物は、RNAi構築物と会合する少なくとも一種のタンパク質を含むことができる。適宜、この混合物は、少なくとも一種の添加剤例えば無毒性の補助物質例えば希釈剤、キャリアー、賦形剤、安定剤などを含むことができる。他の適当な添加剤を、これらのポリマー及びRNAi構築物と配合することができる。例えば、前に記載した生体適合性のフィルム形成性ポリマーの一覧から選択する親水性ポリマーを生体適合性の疎水性被覆に加えて、放出プロフィルを改変することができる(或は、疎水性ポリマーを、親水性被覆に加えて、放出プロフィルを改変することもできる)。一例は、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びこれらの組合せよりなる群から選択する親水性ポリマーを脂肪族ポリエステル被覆に添加して、放出プロフィルを改変することである。適当な放出量は、イン・ビトロ及び/イン・ビボ放出プロフィルを治療用RNAi構築物についてモニターすることにより測定することができる。
【0113】
被覆の厚みは、RNAi構築物がマトリクスから溶出する速度を決定することができる。本質的に、RNAi構築物は、マトリクスから、ポリマーマトリクスを通る拡散によって溶出する。ポリマーは、透過性であり、それにより、固体、液体及び気体がそれから漏出することを可能にする。このポリマーマトリクスの全厚は、約1ミクロンから約20ミクロンであり又はそれより厚い。ポリマーマトリクスを医用デバイスに加える前に、下塗り層及び金属表面の処理を利用することができることに注意することは重要である。例えば、酸洗浄、アルカリ(塩基)洗浄、塩処理及びパリレン付着を、記載した全工程の部分として利用することができる。
【0114】
更なる説明のために、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリブチルメタクリレート及びRNAi構築物溶液を、ステント中へ又はステント上へ、多くの方法にて組み込むことができる。例えば、この溶液は、ステント上に噴霧することができ、又はステントを該溶液に浸すこともできる。他の方法には、スピンコーティング及びRFプラズマ重合が含まれる。一つの典型的具体例においては、この溶液を、ステント上に噴霧してから、乾燥させる。他の典型的具体例においては、この溶液を、一極性に帯電させて、ステントを反対の極性に帯電させる。この方法では、この溶液とステントは、互いに引き合う。この型の噴霧工程の利用においては、浪費を減少できて、被覆の厚みの一層正確な制御を達成することができる。
【0115】
他の典型的具体例において、このRNAi構築物を、重合したビニリデンフルオリド及び重合したテトラフルオロエチレンよりなる群から選択するある量の第一成分、及び第一成分と異なる成分であって第一成分と共重合してポリフルオロコポリマーを生成する第二成分(該第二成分は、該ポリフルオロコポリマーにえ丈夫さ又は弾力性を与えることができる)を含むフィルム形成性ポリフルオロコポリマーであって、第一成分と第二成分の相対量が、それから生成された被覆及びフィルムに、移植可能な医用デバイスの処理に用いるのに有効な特性を与えるのに効果的である、当該フィルム形成性ポリフルオロコポリマー中に組み込むことができる。
【0116】
本発明の一具体例において、本発明の内腔内医用デバイスの拡張可能な管状ステントの外表面は、本発明の被覆を含む。被覆を有するステントの外表面は、組織と接触する表面であり、生体適合性である。この「持続的放出用RNAi構築物送達システムで被覆した表面」は、「被覆した表面」と同義語であり、この表面は、本発明の持続的放出用RNAi構築物送達システムで被覆され、覆われ又は該システムを含浸されている。
【0117】
別の具体例においては、本発明の内腔内医用デバイスの細長い急速に拡張しうる管状ステントの内腔内表面又は全面(即ち、内表面と外表面の両方)は、この被覆した表面を有する。この発明の持続的放出用RNAi構築物送達システムの被覆を有する内腔内表面は又、液体と接触する表面でもあり、生体適合性であり且つ血液適合性である。
【0118】
V.典型的な用途
一般に、RNAiは、本質的に、ヒトを含む殆どの生物の任意の遺伝子の発現を捜査するための有効な技術として認可されてきた。従って、ここに開示するRNAi構築物及び配合物は、発現の減少が所望の結果例えば病気(原因因子及び症状を含む)の改善又は病気の危険にある個人におけるその予防を与えると予想される場合に、本質的に、任意の標的遺伝子の発現を減少させるために利用することができる。所望の標的遺伝子を選択して、適当なRNAi構築物を、この明細書及び当分野に一般的に与えられた指針に従ってデザインすることが必要なだけである。かかる構築物は、生きた患者に投与する前に、イン・ビトロ細胞培養及び組織培養にて試験することができる。構築物は又、患者種に密接に関係する生物において試験することもできる(例えば、サルモデルは、構築物をヒトで使用する前に試験することができる)。
【0119】
一面において、この主題の方法は、イン・ビボで、細胞の望ましくない成長、特にトランスフォームされた細胞の成長を阻害し又は少なくとも減少させるために利用される。ある具体例において、主題の方法は、RNAiを利用して、増殖調節タンパク質をコードする遺伝子の発現を選択的に阻害する。例えば、主題の方法を利用して、標的細胞における有糸分裂に必須である遺伝子産物及び/又は標的細胞のアポトーシスの防止に必須である遺伝子産物の発現を阻害することができる。本発明のRNAi構築物は、標的の増殖調節タンパク質をコードするmRNAのコード配列又は他の部分に対応するようにデザインすることができる。RNAi構築物で処理した場合、標的細胞で生じる発現喪失表現型は、その細胞を休止させ又はアポトーシスを受けさせる。
【0120】
ある具体例において、主題のRNAi構築物は、細胞の成長及び有糸分裂を刺激する遺伝子産物の発現を阻害するように選択する。本発明の方法により標的とすることのできる遺伝子のクラスには、発癌遺伝子として知られるものがある。ここで用いる場合、用語「発癌遺伝子」は、細胞の成長を刺激し、細胞におけるその発現レベルが低下すると、細胞の成長速度が休止する遺伝子を指す。本発明のコンテキストにおいて、発癌遺伝子は、細胞内タンパク質並びにオートクリン又はパラクリン機能により細胞増殖を刺激することのできる細胞外成長因子を包含する。発癌遺伝子に対してRNAi構築物をデザインすることのできるヒトの発癌遺伝子の例には、c−myc、c−myb、mdm2、PKA−I(I型プロテインキナーゼA)、Abl−1、Bcl2、Ras、c−Rafキナーゼ、CDC25ホスファターゼ、サイクリン、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)、テロメラーゼ、PDGF/sis、erb−B、fos、jun、mos、及びsrcが含まれる(これらは、ほんの少数例である)。本発明のコンテキストにおいて、発癌遺伝子は又、染色体転座から生じた融合遺伝子例えばBcr/Abl融合発癌遺伝子をも包含する。
【0121】
ある好適具体例において、主題のRNAi構築物は、それらの、トランスフォームされた細胞、特に腫瘍細胞の増殖に必須の遺伝子の発現を阻害する能力によって選択される。かかるRNAi構築物は、新生物、未分化及び/又は過形成細胞のイン・ビボ成長の治療又は予防の部分として利用することができる(腫瘍の治療の部分としての利用を含む)。c−mycタンパク質は、多くの型の癌において調節解除されており、その結果、増大した発現を生じている。c−mycRNAレベルのイン・ビトロでの低下は、アポトーシスの誘導を生じる。それ故、c−mycに相補的なsiRNAは、潜在的に、抗癌治療剤として利用されうる。好ましくは、主題のRNAi構築物は、慢性リンパ性白血病の治療において利用することができる。慢性リンパ性白血病は、しばしば、Bcr/Abl融合産物を生じる第9染色体と第12染色体の転座により引き起こされる。その結果生成した融合タンパク質は、発癌遺伝子として作用し;それ故、Bcr/Abl融合mRNAの特異的排除は、白血病細胞の細胞死を生じうる。実際、Bcr/Abl融合mRNAに特異的なsiRNA分子の、培養白血病細胞へのトランスフェクションは、該融合mRNA及び対応する発癌タンパク質を減じただけでなく、これらの細胞のアポトーシスをも誘導した(例えば、Wilda等、Oncogene, 2002, 21:5716-5724参照)。
【0122】
他の具体例において、主題のRNAi構築物は、それらの、リンパ球の活性化例えばB細胞又はT細胞の増殖、特にリンパ球の抗原媒介の活性化に必須の遺伝子の発現を阻害する能力によって選択される。かかるRNAi構築物は、免疫抑制剤として、例えば免疫媒介の炎症性疾患の治療又は予防の部分として利用することができる。
【0123】
ある具体例において、ここに記載した方法は、自己免疫疾患の治療のために用いることができる。例えば、主題のRNAi構築物は、それらの、サイトカインをコードし又はその発現を調節する遺伝子の発現を阻害する能力によって選択される。従って、サイトカイン例えばTHFα、IL−1α、IL−6若しくはIL−12又はこれらの組合せの阻害された又は減少した発現を引き起こす構築物は、リウマチ様関接炎の治療又は予防の部分として利用することができる。同様に、炎症に関係するサイトカインの阻害された又は減少した発現を引き起こす構築物は、炎症及び炎症関連疾患例えば多発性硬化症の治療又は予防において利用することができる。
【0124】
他の具体例において、主題のRNAi構築物は、それらの、糖尿病の開始又は進行に関係する遺伝子の発現を阻害する能力によって選択される。例えば、実験的真性糖尿病は、p21WAF1/CIP1(p21)の発現の増大と関係することが見出され、及びTGF−β1は、腎糸球体肥大と関係付けられてきた(例えば、Al-Douahji等、Kidney Int. 56:1691-1699参照)。従って、これらのタンパク質の阻害された又は減少した発現を引き起こす構築物は、糖尿病の治療又は予防において利用することができる。
【0125】
他の具体例において、主題のRNAi構築物は、それらの、ICAM−1(細胞内接着分子)の発現を阻害する能力によって選択される。ICAM−1の発現を阻害するアンチセンス核酸は、Isis pharmaceuticsによって、乾癬用に開発されている。加えて、ICAM−1遺伝子に対するアンチセンス核酸は、急性腎不全及び再潅流障害を防止すること及び同系腎臓移植片の生存を延長することが示唆されている(例えば、Haller等(1996) Kidney Int. 50:473-80;Dragun等(1998) Kidney Int. 54:590-602;Dragun等(1998) Kidney Int. 54:2113-22参照)。従って、本発明は、RNAi構築物の上記の疾患における利用を企図している。
【0126】
他の具体例において、主題のRNAi構築物は、それらの、平滑筋細胞又は血管内皮細胞の増殖例えば新内膜形成に関係する細胞の増殖に必須の遺伝子の発現を阻害する能力によって選択される。かかる具体例において、主題の方法は、再狭窄の治療又は予防の部分として利用することができる。
【0127】
単に説明のために、血管形成術後に、血管内皮細胞に適用されたRNAi構築物は、これらの細胞の増殖を、該手順後に減少させることができる。単に説明のために、特別の例は、c−myc(発癌遺伝子)に相補的なsiRNAである。c−mycのダウンレギュレーションは、細胞成長を阻害する。それ故、siRNAは、下記のオリゴヌクレオチドを合成することにより製造することができる:
【化1】

【0128】
すべての塩基は、太字で示したデオキシリボース核酸(一層安定のため)であるチミジン以外は、リボ核酸である。二本鎖RNAは、オリゴヌクレオチドを、10mM トリス−Cl(pH7.0)及び20mM NaCl中で、等モル濃度で混合して、95℃まで加熱し、次いで、37℃までゆっくり冷却することにより調製することができる。その結果生成したsiRNAは、次いで、アガロースゲル電気泳動によって精製することができ、細胞に、遊離状態で又は送達システム(シクロデキストリンベースのポリマーなど)と複合体化して送達することができる。イン・ビトロ実験のために、このsiRNAの効果は、成長曲線分析、RT−PCR又はc−mycタンパク質についてのウエスタンブロット分析によって、モニターすることができる。
【0129】
c−myc遺伝子に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、冠状動脈ステント移植の直後に、局所送達により与えられた場合に、再狭窄を阻止するということが示されている(例えば、Kutryk等(2002) J Am Coll Cardiol. 39:281-287;Kipshidze等(2002) J Am Coll Cardiol. 39:1686-1691参照)。それ故、本発明は、c−Myc遺伝子に対するRNAi構築物(即ち、c−Myc RNAi構築物)を、ステント移植部位に、浸透送達システム(Interventional Technologies, カリフォルニア、San Diego在)によって送達することを企図する。好ましくは、このc−myc RNAi構築物は、再狭窄を阻止するために、直接、ステント上に被覆する。同様に、このc−Myc RNAi構築物は、経皮経管冠状動脈拡張術(PTCA)後の筋内膜過形成を阻止するために、局所的に送達することができ、かかる局所的送達の典型的方法は、例えば、Kipshidze等(2001) Catheter Cardiovasc Interv. 54:247-56に見出すことができる。好ましくは、これらのRNAi構築物は、例えば、ホスホロチオエート又はホスホルアミデートによって、化学的に改変される。
【0130】
初期成長応答因子1(即ち、Egr−1)は、機械的傷害時に活性化されて、細胞増殖及び移動に関係する多くの遺伝子の転写を調節する転写因子である。それ故、このタンパク質のダウンレギュレーションも又、再狭窄を防ぐアプローチでありうる。Egr−1遺伝子に対するsiRNAは、下記のオリゴヌクレオチドの合成により調製することができる:
【化2】

【0131】
再び、すべての塩基は、太字で示したデオキシリボース核酸であるチミジン以外は、リボ核酸である。siRNAを、これらのオリゴヌクレオチドから調製して、ここに記載したように細胞に導入することができる。
【実施例】
【0132】
典型的具体例
この発明は、今や、一般的に説明されたが、それは、下記の実施例を参照することにより、一層容易に理解されよう(該実施例は、単に、本発明のある面及び具体例を説明する目的で含まれており、この発明を制限することを意図するものではない)。
【0133】
実施例1. 改変DNA:RNA構築物の増大した血清安定性
材料:
予備形成した二本鎖(すべてDharmaconから入手):
siFAS[MW13317.2g/モル]
【化3】

siFAS2[MW13475.1g/モル]
【化4】

(式中、P=リン酸基)
siEGFPb[MW13323.1g/モル]
【化5】

FL−pGL2[MW13838.55g/モル]
【化6】

(式中、X=フルオレセイン)
一本鎖
EGFPb−ss−センス(Dharmacon)[MW6719.2g/モル]
RNA、ホスホジエステル
【化7】

EGFPb−ss−アンチセンス(Dharmacon)
RNA、ホスホジエステル
【化8】

JH−1(Caltech Oligo Synthesis Facility)
DNA、ホスホロチオエート
【化9】

(式中、X=TAMRA)
jhDNAs−1(Caltech Oligo Synthesis Facility)
DNA、ホスホジエステル
【化10】

jhDNAs−2(Caltech Oligo Synthesis Facility)
DNA、ホスホジエステル
【化11】

(式中、X=TAMRA)
【0134】
二本鎖形成(アニーリング):
二本鎖を、Dharmaconの勧めるプロトコールに従って形成した。要するに、1容のセンス鎖(50μM)を、1容のアンチセンス鎖(50μM)及び1.5容の5x反応用緩衝液(100mM KCl、30mM HEPES−KOH pH7.5、1.0mM MgCl2)と合わせた。この反応用混合物を、90℃まで1分間加熱して、鎖を変性させ、37℃で1時間インキュベートして、アニーリングさせ、その後、−20℃に貯蔵した。アニールした二本鎖を、ゲル電気泳動(15% TBBゲル)により確認した。
【0135】
イン・ビトロのマウス血清安定性の結果
二本鎖をマウスの血清(熱不活化してないもの)にさらした場合の安定性を、ゲル電気泳動により試験した。10マイクロリットルの5μM 二本鎖を、等容のDNアーゼ、DNアーゼフリーの水及び活性なマウス血清(Sigma)に加えて、37℃で4時間インキュベートした。このインキュベーション後に、半分の容積(10μL)を、等容の5mg/mLヘパラン硫酸(Sigma, 水中)に加えて、室温で5分間インキュベートした。4マイクロリットルのローディング用緩衝液を各20μLの溶液に加えて、その結果の24μLの溶液を10ウェル、15%TBEゲルのウェルにロードして、100Vで75分間、電気泳動した。電気泳動後に、ゲルを、50mLの0.5μg/mLエチジウムブロミド(1xTBE緩衝液)中で、室温で30分間インキュベートし、その後、写真撮影した。
【0136】
我々の結果は、90%マウス血清中での4時間の接触によって、siFAS2が、ほぼ完全な分解を示すことを示したが、他方、ハイブリッドJH−1:EFGPb−ss−アンチセンスは、本質的に、分解を示していない。図1及び図2を参照されたい。
【0137】
実施例2. DNA:RNA構築物の改良されたイン・ビトロでの取込み
4匹のマウスの各々に、下記のように、2.5mg/kgの二本鎖を、HPTVから注射した:
ID 二本鎖
F1 siFAS2(未標識)、naked
G1 FL−pGL2(5’フルオレセイン)、naked
M1 JH−1:EGFPb−アンチ(3’TAMRA)、naked
N1 JH−1:EGFPb−アンチ(3’TAMRA)、CDP-Imid、20:80
【0138】
AdPEGLac:AdPEG
注射の24時間後にマウスを犠牲にして、肝臓を採取し、O.C.T.低温保存用コンパウンドに浸して、−80℃に貯蔵した。Morgan(Triche研究所)は、親切に、薄い切片(固定剤又は対比染色なし)を作成し、それを、直ちに、共焦点顕微鏡観察により検査した。
【0139】
注射の24時間後に、F1及びG1の何れの注射からも、肝臓において蛍光はないが、M1の注射からの肝臓においては、有意の蛍光が認められる。図3A〜Dを参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】核酸の量を示すゲルの写真である。
【図2】核酸の量を示すゲルの写真である。
【図3A】核酸構築物のイン・ビボでの取込みを示す共焦点顕微鏡観察の結果を示している図である。
【図3B】核酸構築物のイン・ビボでの取込みを示す共焦点顕微鏡観察の結果を示している図である。
【図3C】核酸構築物のイン・ビボでの取込みを示す共焦点顕微鏡観察の結果を示している図である。
【図3D】核酸構築物のイン・ビボでの取込みを示す共焦点顕微鏡観察の結果を示している図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的遺伝子の発現をRNA干渉機構によって阻害するための二本鎖核酸であって、下記を含む当該二本鎖核酸:
a)少なくとも一つの改変又は改変ヌクレオチドを含むDNAセンスポリヌクレオチド鎖;及び
b)標的遺伝子の転写物の少なくとも一部にハイブリダイズして該標的遺伝子の発現を阻害するのに十分である示した配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖。
【請求項2】
DNAセンスポリヌクレオチドが、ホスホロチオエート部分を含む、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項3】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の等電pH(pI)を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、少なくとも0.5単位増大させる、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項4】
DNA鎖が、少なくとも50%の改変ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項5】
DNA鎖が、100%の改変ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項6】
少なくとも一つのミスマッチ塩基対を含む、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項7】
生理的イオン強度下での二本鎖核酸のTmが、生理的イオン強度下で完全にマッチしたDNAセンスポリヌクレオチド鎖が相補的に対合した同じRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む核酸のTmより低い、請求項6に記載の二本鎖核酸。
【請求項8】
アンチセンスポリヌクレオチドの50%以下のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドである、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項9】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の疎水性を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、増大させる、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項10】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の疎水性を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、少なくとも1logP単位増大させる、請求項9に記載の二本鎖核酸。
【請求項11】
二本鎖核酸が、細胞内部でプロセッシングを受けてsiRNAになるヘアピン核酸である、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項12】
二本鎖核酸が、19〜100塩基対長である、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項13】
二本鎖核酸が、培養細胞によって、10%血清の存在下で、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸の少なくとも2倍の定常状態レベルまで内在化される、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項14】
二本鎖核酸が、ヒト又はマウスにおいて、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸の少なくとも2倍の血清半減期を有する、請求項1に記載の二本鎖核酸。
【請求項15】
RNAi核酸の生物への送達のための医薬製剤であって、その組成は、製薬上許容しうるキャリアーと二本鎖核酸を含み、該核酸が下記を含む当該医薬製剤:
a)少なくとも一つの改変又は改変ヌクレオチドを含むDNAセンスポリヌクレオチド鎖;及び
b)標的遺伝子の転写物の少なくとも一部にハイブリダイズして該標的遺伝子の発現を阻害するのに十分である示した配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖。
【請求項16】
ポリペプチドを、更に含む、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
ポリペプチドが、血清ポリペプチドである、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
ポリペプチドが、細胞ターゲティング用ポリペプチドである、請求項16に記載の製剤。
【請求項19】
細胞ターゲティング用ポリペプチドが、肝細胞に対するターゲティングのための複数のガラクトース部分を含むポリペプチドである、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
細胞ターゲティング用ポリペプチドが、新生物細胞に対するターゲティングのためのトランスフェリンポリペプチドである、請求項18に記載の製剤。
【請求項21】
細胞ターゲティング用ポリペプチドが、関心ある細胞に選択的に結合する抗体である、請求項18に記載の製剤。
【請求項22】
二本鎖核酸が、少なくとも一つのミスマッチ塩基対を含む、請求項15に記載の製剤。
【請求項23】
二本鎖核酸が、生理的イオン強度下で、生理的イオン強度下で完全にマッチしたDNAセンスポリヌクレオチド鎖が相補的に対合した同じRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む核酸のTmより低いTmを有する、請求項23に記載の製剤。
【請求項24】
DNA鎖が、少なくとも50%の改変ヌクレオチドを含む、請求項15に記載の製剤。
【請求項25】
DNA鎖が、100%の改変ヌクレオチドを含む、請求項15に記載の製剤。
【請求項26】
DNAセンスポリヌクレオチドが、ホスホロチオエート部分を含む、請求項15に記載の製剤。
【請求項27】
アンチセンスポリヌクレオチドの50%以下のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドである、請求項15に記載の製剤。
【請求項28】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の疎水性を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、増大させる、請求項15に記載の製剤。
【請求項29】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の疎水性を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、少なくとも1logP単位増大させる、請求項15に記載の製剤。
【請求項30】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の等電pH(pI)を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、少なくとも0.5単位増大させる、請求項15に記載の製剤。
【請求項31】
二本鎖核酸が、細胞内部でプロセッシングを受けてsiRNAになるヘアピン核酸である、請求項15に記載の製剤。
【請求項32】
二本鎖核酸が、19〜100塩基対長である、請求項15に記載の製剤。
【請求項33】
二本鎖核酸が、培養細胞によって、10%血清の存在下で、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸の少なくとも2倍の定常状態レベルまで内在化される、請求項15に記載の製剤。
【請求項34】
二本鎖核酸が、ヒト又はマウスにおいて、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸の少なくとも2倍の血清半減期を有する、請求項15に記載の製剤。
【請求項35】
製薬上許容しうるキャリアーを、製薬上許容しうる塩、エステル、及びかかるエステルの塩から選択する、請求項15に記載の製剤。
【請求項36】
請求項15に記載の医薬製剤を、該製剤のヒト患者への投与のための指示書と共に含む医薬パッケージ。
【請求項37】
細胞における標的遺伝子の発現を減少させる方法であって、該細胞を二本鎖核酸を含む組成物と接触させることを含み、該二本鎖核酸が下記を含む当該方法:
a)少なくとも一つの改変又は改変ヌクレオチドを含むDNAセンスポリヌクレオチド鎖;及び
b)標的遺伝子の転写物の少なくとも一部にハイブリダイズして該標的遺伝子の発現を阻害するのに十分である示した配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖。
【請求項38】
患者の少なくとも一つの細胞における標的遺伝子の発現を減少させる方法であって、該患者に、二本鎖核酸を含む組成物を投与することを含み、該二本鎖核酸が、下記を含む当該方法:
a)少なくとも一つの改変又は改変ヌクレオチドを含むDNAセンスポリヌクレオチド鎖;及び
b)標的遺伝子の転写物の少なくとも一部にハイブリダイズして該標的遺伝子の発現を阻害するのに十分である示した配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖。
【請求項39】
DNAセンスポリヌクレオチドが、ホスホロチオエート部分を含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
DNA鎖が、少なくとも50%の改変ヌクレオチドを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項41】
DNA鎖が、100%の改変ヌクレオチドを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項42】
二本鎖核酸が、少なくとも一つのミスマッチ塩基対を含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項43】
二本鎖核酸が、完全にマッチしたDNAセンスポリヌクレオチド鎖が相補的に対合した同じRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む核酸のTmより低いTmを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
アンチセンスポリヌクレオチドの50%以下のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドである、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の疎水性を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、増大させる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の疎水性を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、少なくとも1logP単位増大させる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の等電pH(pI)を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、少なくとも0.5単位増大させる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項48】
二本鎖核酸が、細胞内部でプロセッシングを受けてsiRNAになるヘアピン核酸である、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項49】
二本鎖核酸が、19〜100塩基対長である、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項50】
二本鎖核酸が、培養細胞によって、10%血清の存在下で、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸の少なくとも2倍の定常状態レベルまで内在化される、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項51】
二本鎖核酸が、ヒト又はマウスにおいて、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸の少なくとも2倍の血清半減期を有する、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項52】
細胞を、二本鎖核酸と、少なくとも0.1ミリグラム/ミリリットルのタンパク質の存在下で接触させる、請求項37に記載の方法。
【請求項53】
細胞を、二本鎖核酸と、少なくとも10%の血清の存在下で接触させる、請求項37に記載の方法。
【請求項54】
細胞を、二本鎖核酸と、生理的濃度のタンパク質の存在下で接触させる、請求項37に記載の方法。
【請求項55】
組成物が、更に、タンパク質を含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項56】
タンパク質が、血清タンパク質である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
タンパク質が、内在化用タンパク質及び/又はターゲティング用タンパク質である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
医用デバイスの表面上での使用のための被覆であって、該被覆は、RNAi構築物を中に分散して有するポリマーマトリクスを含み、該RNAi構築物は、該マトリクスが患者の身体内に移植された場合にそれから溶出されて、移植されたデバイスの近くの細胞の成長、生存又は分化を変化させ、該RNAi構築物の少なくとも一種が、下記を含む二本鎖核酸である、当該被覆:
a)少なくとも一つの改変又は改変ヌクレオチドを含むDNAセンスポリヌクレオチド鎖;及び
b)標的遺伝子の転写物の少なくとも一部にハイブリダイズして該標的遺伝子の発現を阻害するのに十分である示した配列を有するRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖。
【請求項59】
医用デバイスを、スクリュー、プレート、ウォッシャー、縫合糸、プロテーゼアンカー、タック、ステープル、導線、弁、膜、カテーテル、移植可能な血管アクセスポート、血液貯蔵用バッグ、血液チューブ、中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、血管移植片、大動脈内バルーンポンプ、心臓弁、心臓血管用縫合糸、人工心臓、ペースメーカー、心室補助ポンプ、身体外デバイス、血液フィルター、血液透析ユニット、血液潅流ユニット、血漿搬出ユニット及び血管内配備に適合されたフィルターから選択する、請求項58に記載の被覆。
【請求項60】
医用デバイスが、ステントである、請求項58に記載の被覆。
【請求項61】
二本鎖核酸と会合するタンパク質を、更に含む、請求項58に記載の被覆。
【請求項62】
DNAセンスポリヌクレオチドが、ホスホロチオエートを含む、請求項58に記載の被覆。
【請求項63】
DNAセンスポリヌクレオチドが、少なくとも50%の改変ヌクレオチドを含む、請求項58に記載の被覆。
【請求項64】
DNAセンスポリヌクレオチドが、100%の改変ヌクレオチドを含む、請求項58に記載の被覆。
【請求項65】
二本鎖核酸が、少なくとも一つのミスマッチ塩基対を含む、請求項58に記載の被覆。
【請求項66】
二本鎖核酸が、生理的イオン強度下で、生理的イオン強度下で完全にマッチしたDNAセンスポリヌクレオチド鎖が相補的に対合した同じRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む核酸のTmより低いTmを有する、請求項65に記載の被覆。
【請求項67】
二本鎖核酸のアンチセンスポリヌクレオチドの50%以下のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドである、請求項58に記載の被覆。
【請求項68】
二本鎖核酸の少なくとも一つの改変が、該二本鎖核酸の疎水性を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、増大させる、請求項58に記載の被覆。
【請求項69】
少なくとも一つの改変が、二本鎖核酸の疎水性を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、少なくとも1logP単位増大させる、請求項58に記載の被覆。
【請求項70】
二本鎖核酸の少なくとも一つの改変が、該二本鎖核酸の等電pH(pI)を、示した配列を有する未改変二本鎖核酸と比較して、少なくとも0.5単位増大させる、請求項58に記載の被覆。
【請求項71】
二本鎖核酸が、細胞内部でプロセッシングを受けてsiRNAになるヘアピン核酸である、請求項58に記載の被覆。
【請求項72】
二本鎖核酸が、19〜100塩基対長である、請求項58に記載の被覆。
【請求項73】
二本鎖核酸が、ヒト又はマウスにおいて、同じ示した配列を有する未改変二本鎖核酸の少なくとも2倍の血清半減期を有する、請求項58に記載の被覆。
【請求項74】
RNAi構築物を、医薬用途のために最適化する方法であって、下記を含む当該方法:
a)イン・ビボで標的遺伝子の発現を阻害する示した配列を有するRNAi構築物を同定し;
b)示した配列を有し且つ少なくとも一つの改変核酸を含む少なくとも一つの改変RNAi構築物をデザインし;
c)b)の少なくとも一つの改変RNAi構築物を、細胞内への取込み及び/又は血清半減期について試験し;
d)a)及びb)のRNAi構築物の治療プロファイリングを、動物における効力及び毒性について実施し;
e)望ましい取込み特性及び望ましい治療特性を有する少なくとも一つの改変RNAi構築物を選択し;そして
f)ステップe)で選択した少なくとも一つのRNAi構築物を含む医薬製剤を配合する。
【請求項75】
RNAi構築物を、医薬用途のために最適化する方法であって、下記を含む当該方法:
a)イン・ビボで標的遺伝子の発現を阻害する示した配列を有するsiRNA構築物を同定し;
b)a)のsiRNA構築物のセンスRNAポリヌクレオチド鎖を、a)のアンチセンスRNA鎖とハイブリダイズするセンスDNAポリヌクレオチド鎖で置き換えることによってRNAi構築物を作成し;
c)b)のRNAi構築物を、細胞内への取込み及び/又は血清半減期について試験し;
d)b)のRNAi構築物の治療プロファイリングを、動物における効力及び毒性について実施し;
e)望ましい取込み特性及び望ましい治療特性を有する少なくとも一つの改変RNAi構築物を、ステップa)〜d)を反復することにより選択し;そして
f)ステップe)で選択した少なくとも一つのRNAi構築物を含む医薬製剤を配合する。
【請求項76】
販売のために医薬製剤を分配するための分配システムを確立する追加のステップ、及び(適宜)医薬製剤のマーケティングのための販売グループを確立する追加のステップを含む、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項77】
RNAi構築物を最適化する方法であって、下記を含む当該方法:
a)複数の試験RNAi構築物を生成し、該構築物の各々は、下記を含む二本鎖核酸を含み:
i)少なくとも一つの改変又は改変ヌクレオチドを含むDNAセンスポリヌクレオチド鎖;
ii)RNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖
b)試験RNAi構築物の遺伝子サイレンシング効果を測定する。
【請求項78】
二本鎖核酸が、ミスマッチ塩基対を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
二本鎖核酸が、生理的イオン強度下で、生理的イオン強度下で完全にマッチしたDNAセンス鎖が相補的に対合した同じRNAアンチセンスポリヌクレオチド鎖を含む二本鎖核酸のTmより低いTmを有する、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
試験RNAi構築物の血清安定性を測定すること及び所望の遺伝子サイレンシング効果及び血清安定性を有する少なくとも一つの試験RNAi構築物を選択することを更に含む、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
試験RNAi構築物の細胞による取込みを測定すること及び、所望の遺伝子サイレンシング効果及び細胞取込み特性を有する少なくとも一つの試験RNAi構築物を選択することを更に含む、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
選択した試験RNAi構築物を含む医薬製剤を構成し、配合することを更に含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項83】
販売のために医薬製剤を分配するための分配システムを確立する追加のステップ、及び(適宜)医薬製剤のマーケティングのための販売グループを確立する追加のステップを含む、請求項80に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公表番号】特表2006−528492(P2006−528492A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523845(P2006−523845)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022683
【国際公開番号】WO2006/001810
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(305053547)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (18)
【Fターム(参考)】