説明

改良された発熱性化粧品組成物

本発明は、非カプセル化およびカプセル化カタラーゼの組み合わせと、過酸化物と、の間の発熱反応の結果として、皮膚で感じられる熱の速度を持続させる方法を提供する。カタラーゼ成分は持続的な熱の放出を提供し、他の非カタラーゼ発熱剤と組み合わせた場合、皮膚で放出され感じられる温熱の速度をさらに制御することができる。本発明の組成物はまた、皮膚を軟化させ、皮膚表面の酸素フリーラジカルの存在量を減少させることにより皮膚の健康状態に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱反応によって発生した熱を操作するための、カタラーゼに基づいた系を含有する化粧品組成物に関する。より具体的には、本発明は、局所適用後の皮膚表面での熱の放出および熱の感覚を持続させるための、カプセル化されたカタラーゼ酵素および他の発熱剤を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱組成物は、皮膚の上で温かくそして心地よい感覚を感じさせることから望ましい。温熱感覚は一般に、身体や顔の皮膚に塗布した場合に冷たく感じる組成物よりも魅力的である。マッサージ製品を身体に使用する場合は特にそうである。マッサージのくつろぎと楽しみは、通常の体温を有する身体に冷たい製品が塗布される予感とショックにより、不意に妨げられる。また、毛髪用製品やハンドクレンジング製品は、冷水で使用しながらも水温より温かく感じることができる。これらの製品を加熱した水槽で温めることもできるが、製品に熱を加えることは、例えば相分離または製品中の活性成分の破壊により、その製品を劣化させかねない。その上、製品を加熱するという工程は時間がかかり、水槽など余分な器具を必要とする。
【0003】
皮膚上で温熱感覚を生み出す別の方法は、発熱剤を用いることである。当技術分野で公知の発熱剤の例としては、限定するものではないが、尿素、ゼオライト、鉄粉末、シリカゲルおよび活性アルミナが挙げられる。熱を発生させる別の公知の方法は、カタラーゼによる過酸化水素の水と酸素への変換に基づく発熱反応の条件を、製品中に内在的に確立させることである。EP第1050313号に開示されているように、カタラーゼの使用に基づいた温熱系は、コンタクトレンズに使用されるタイプの消毒剤や洗浄剤である。カタラーゼは天然に広く分布しており、ほぼ全てのヒトおよび動物組織中に様々な量で存在している。しかしながら、安定性の問題ゆえに医薬品中での使用は制限されてきた。カタラーゼは、熱にさらされた場合に分解し、また低温にも敏感であることが知られている。さらに、カタラーゼは光に極めて敏感である。これらの問題は、溶液として存在するか、固体として貯蔵されるかにかかわらず、カタラーゼの安定性を脅かす。スキンケア組成物もまた公知であり、WO 01/19331に記載されている。しかしながら、カタラーゼは熱を発生させるための系では使用されておらず、むしろ太陽光に曝露された皮膚を処置し洗浄するために使用されている。
【0004】
カタラーゼは、動物源からも非哺乳動物源からも得ることができる。ウシカタラーゼは、例えばカビから得られるカタラーゼのような他の供給源のものほど活性ではない。具体的には、米国特許第2635069号と第5360732号が黒コウジカビ(Aspergillus niger)から得られるカタラーゼを開示している。カタラーゼは、微生物を発酵させ、細胞体を破壊し、粗抽出物を精製する慣用の方法により調製される。酵素カタラーゼの安定化ゲルと過酸化水素とを一緒に用いて、酸素を供給するために皮膚上で酸素および水を生成させることもまた、公知である。例えば、Agera(登録商標)により公表された製品情報によると、追加量の酸素を供給して皮膚を軟化させるためには、Catalyse Enzyme Gelという名称の製品を、Aerobic Infusionという名称の別の製品と併用する必要がある。さらに、活性物質をカプセル化することは公知であるが、カプセル化された非哺乳動物由来のカタラーゼの使用は先行技術では知られておらず、また、カタラーゼをカプセル化させた結果得られる、熱を持続させる能力は先行技術では認識されていない。
【0005】
同様に、発熱速度を操作し制御するために、発熱系において、カプセル化されたカタラーゼと、遊離のカタラーゼおよび他の既知の発熱剤とを併用することは知られていない。典型的には、使用する発熱剤にかかわりなく、発熱反応の間、熱の強さが一定となるように熱が放出される。皮膚上での経時的な温度変化は比較的小さく、熱はわずかであるために皮膚が時間経過とともに熱を感じるのは難しい。さらに、熱を再度発生させるためには、次の発熱反応のための条件を整えなければならない。このことから、皮膚上の温熱感覚を持続させるためには、製品全体の再適用が必要である。しかしながら、熱に対する皮膚の感受性は減少し、熱の感覚は前ほど効果的でなくなる。こうしたことから、皮膚の上に滑らかで継続的な速度で熱の感覚をもたらすために、熱に対する皮膚の感受性により作用する製品が必要とされている。本発明は、温度-時間曲線が作成されるほどの持続した熱放出の考え方を導入するものであり、熱は皮膚表面で感知されやすくなり、しかも実質的に非刺激性である。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、少なくとも1種のカプセル化されていない発熱剤と少なくとも1種のカプセル化されたカタラーゼよりなる発熱に有効な量のカタラーゼ成分、および、カタラーゼ成分と一緒にした場合には反応して熱を生ずる過酸化物成分、を含んでなる組成物に関する。2つの反応成分は、発熱反応(一般には過酸化物が水と酸素に変換される反応)による熱の持続的放出をもたらす。カプセル化されていない発熱剤はカタラーゼ物質であってよく、これもまた過酸化物成分と一緒にされたときに発熱反応を行う。放出される熱の速度は、遊離カタラーゼ単独やカタラーゼ以外のものに基づく発熱剤単独の場合と比較して、温度(℃)の負の変化を示す。カタラーゼ成分は他の補完的な非カタラーゼ物質と組み合わされてもよく、特に熱が放出される持続時間を延長させるための水分吸収に基づく物質(すなわち、発熱的に水を吸収することができる物質)と組み合わせることができる。非カタラーゼ物質はカプセル化されていても、カプセル化されていなくてもよい。
【0007】
さらに、本発明には、発熱反応を引き起こし、それにより持続的熱曲線および熱感覚を皮膚にもたらすために、前記組成物の成分を皮膚に局所適用する方法が含まれる。本発明の方法にはまた、皮膚の軟化、皮膚への酸素供給、およびフリーラジカルの存在によって引き起こされるバリア機能に対する損傷からの皮膚の保護が含まれる。本発明の組成物は、実質的に同時に局所適用組成物を分配するための、単一のパッケージに保有される。該パッケージは、少なくとも2つの異なる反応成分、すなわちカタラーゼ成分および過酸化物成分それぞれのために、少なくとも2つの別個の連絡していないチャンバーを含んでなる。それぞれのチャンバーは異なる反応成分を保有し、各々の成分を分配するための開口部を有し、それにより、それらの成分は、分配時にまたは別々の流れとして混ざり合ったときに互いに反応するが、分離したチャンバーに保持されている間は不活性なままである。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、その種々の実施形態において、少なくとも1種のカプセル化カタラーゼを含む発熱に有効な量のカタラーゼ成分が、過酸化物成分と組み合わせて皮膚に局所適用された場合、皮膚に適用後約3分間にわたる温度低下の持続(すなわち制御された熱の放出)を示し、皮膚上で有利な効果を奏する、という驚くべき知見に基づく。本明細書の文脈で用いる「制御された」または「持続的な」放出とは、℃で測定された温度の1分あたりのパーセント差が、最初の3分のそれぞれについて負となるような速度で、発熱反応(過酸化物が水と酸素に変換される反応)によって熱が発生または放出されることを意味する。さらに、本発明の組成物を皮膚に約5分間にわたり局所適用した後の、℃で測定された温度の1分あたりのパーセント差は、好ましくは最初の2分間のそれぞれについて負であり、より好ましくは最初の1分間について負である。本発明の組成物により発生した初期温度は、30秒後に測定した場合、約35℃よりも高く、5分間にわたる温度の平均パーセント差は、2よりも大きく、好ましくは3よりも大きく、さらに好ましくは4よりも大きい。
【0009】
動物組織、植物または微生物から得たあらゆる形態のカタラーゼを、本発明のカタラーゼ成分として使用することができる。こうして、カタラーゼは、例えば、ミクロコッカス変異株または菌類から得ることができる。菌類カタラーゼは好ましくは黒コウジカビ(A. niger)カタラーゼである。カタラーゼ[過酸化水素:過酸化水素オキシドレダクターゼ(EC 1.11.1.6)]は、2分子の過酸化水素(H2O2)の、1分子の酸素(O2)と2分子の水(H2O)への変換を触媒する酵素である。カタラーゼ酵素は至る所に存在し、ほぼ全ての形態のカタラーゼ酵素は4つのポリペプチドサブユニットを特徴とすることが知られているが、各サブユニットは約50,000〜60,000の分子量を有し、1サブユニット当たり1つのプロトヘミン補欠分子族を含有する。例えば、黒コウジカビ(A. niger)カタラーゼRの産生が米国特許第5,360,732号に発表されており、参照によりその内容を本明細書に組み入れる。糸状菌由来のカタラーゼ同士は、同様のサブユニット数およびヘム含量を有するが、菌類カタラーゼは、哺乳動物由来のカタラーゼ(例えばウシカタラーゼ)と区別できるいくつかの特徴を有する。菌類カタラーゼは80,000〜97,000の範囲の分子量のサブユニットを有し、そのため他の生物由来のカタラーゼよりもかなり大きな分子である。さらに、黒コウジカビ(A. niger)などの菌類のカタラーゼは、ウシカタラーゼと比較して、タンパク質分解およびグルタルアルデヒド、SDSによる不活性化に耐性であり、またカタラーゼ阻害剤に対する親和性が低い。黒コウジカビ(A. niger)カタラーゼは、pH、過酸化水素、および温度の極端な条件に供しても安定である。菌類カタラーゼとウシカタラーゼとの安定性の違いは、タンパク質の構造的特徴および組成の違いによるものであろう。菌類カタラーゼのウシカタラーゼと比較した場合のトレードオフは、過酸化水素を不活性化する速度が、黒コウジカビ(A. niger)カタラーゼについては、ウシカタラーゼより少なくとも一桁低いことが見出されていることである。
【0010】
黒コウジカビ(A. niger)由来のカタラーゼ製剤は、以下の用途のために市販されている。すなわち診断用酵素キットのため、グルコースからのグルコン酸ナトリウムの酵素的生産のため、過酸化水素廃棄物を中和するため、ならびに食品および飲料中の過酸化水素の除去および/または酸素の生成のため。その上、ウシカタラーゼは、診断目的のための、またコンタクトレンズの洗浄と消毒および過酸化水素中和などの製薬関連用途のための、好ましい酵素とされてきた。さらに、カタラーゼ含有組成物と過酸化水素クリームとの組み合わせを皮膚に局所的に適用して酸素と水を生成させること、また、Biosyn, Inc.(Harahan, Louisiana)のAgera(登録商標)という商用名で市販されている製品の組み合わせを用いて過酸化物を破壊することも知られている。しかしながら、持続的発熱性の局所組成物にカプセル化されたカタラーゼを使用できることは、これまで知られていない。
【0011】
ミクロコッカスカタラーゼは好ましくはミクロコッカス溶解液(Micrococcus lysate)であり、非カプセル化およびカプセル化形態の組成物として存在する。本発明のカタラーゼ成分は、少なくとも1種のカプセル化カタラーゼを含む。カプセル化カタラーゼは、例えば米国特許第5395620号および第5811114号(参照によりその内容を本明細書に組み入れる)に開示されている手法を用いて、小胞(マイクロカプセルとしても知られている)中に含有される。一般に、カプセル化は、カタラーゼの存在下にグリコサミノグリカンとアテロコラーゲンを含有する溶液とを組み合わせることにより行われる。アテロコラーゲンは、一般的なコラーゲンを架橋するテロペプチドが取り除かれたタイプのコラーゲンである。グリコサミノグリカンの使用は当技術分野で周知であり、本発明については、例えばコンドロイチン4-硫酸、コンドロイチン6-硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、およびこれらの誘導体から選択することができ、好ましくはこれらの化粧品用または医薬品用として許容される塩、例えばカルシウムまたはナトリウム塩(例えばコンドロイチン硫酸ナトリウム)を使用する。架橋試薬はこれらの小胞を調製するのに有用であり、限定するものではないが、例えばシリカジメチルシリレートが挙げられる。本発明の使用に適したカプセル化カタラーゼは、Bioetica, Inc.(Northport, NY)のColeticaからCELA279AまたはBとして市販されている。
【0012】
カプセル化カタラーゼは、発熱に有効な量で存在し、最終的な小胞内のカタラーゼは、カプセル化カタラーゼの重量に基づき約0.1〜10%、好ましくは約1〜6%の範囲である。本明細書中で用いる「発熱に有効な量」という用語は、上述の持続的な熱の放出をもたらすカタラーゼ成分中のカプセル化カタラーゼの量を意味する。従って、本発明のカタラーゼ成分中の適当なカプセル化カタラーゼの量は、前記組成物の重量に基づき約0.2〜約8.0%、好ましくは約0.5〜約5.0%である。非カプセル化カタラーゼは、前記組成物の重量に基づき約0.1〜約4.0%、好ましくは約0.2〜約2.0%の量で存在する。
【0013】
本発明のカプセル化カタラーゼは、過酸化物成分の存在下で発生する、予期せぬ持続的な熱の放出を提供する。熱量は、一定の温度によってもたらされるのではなく、むしろある期間にわたる緩やかで連続的な温度の低下によって供給される。過酸化水素は、殺菌、洗浄、漂白および消毒活性を有するもので、コンタクトレンズを消毒するために、また繊維材料や毛髪用の漂白剤として、広く利用されている。しかしながら、過酸化水素は、反応性の強い遊離酸素を生成することが知られている。遊離酸素ラジカルの生成は、タンパク質の変性を引き起こす。それゆえ、過酸化水素の分解は、特に皮膚に対しては、重要である。この目的のためのカタラーゼの使用は、一般に廃棄物処理、コンタクトレンズ洗浄、および他の用途に有効な手法と認識されてきたが、発熱曲線を改変すること、および皮膚で感じられる熱の感覚を微調整することについては認識されていない。好ましくは過酸化物成分は過酸化水素であり、より好ましくは過酸化尿素である。過酸化物成分中の過酸化物は、過酸化物成分の重量に基づき、約0.1〜5.0%の量で存在する。過酸化物成分は、カタラーゼ成分とは別個の溶液として、または同時に適用することができる。
【0014】
本発明の好適な実施形態において、持続的な熱の放出は、カタラーゼ以外の少なくとも1種の発熱剤(カプセル化されていない(遊離の)、またはカプセル化されたもの)を含む非カタラーゼ性発熱剤をカタラーゼ成分に追加することにより増強される。非カタラーゼ発熱剤には、例えば、カオリン、硫酸マグネシウム、尿素、シリカゲル、鉄粉末、活性アルミナ、当技術分野で公知の発熱的に水を吸収することができる固形吸収剤、例えば未処理、処理済み、もしくは合成ゼオライト(アルミノ珪酸のアルカリ金属塩、例えばシリコアルミン酸ナトリウム)ならびにこれらの組み合わせが含まれる。補完的な非カタラーゼ発熱剤は、例えば水などの触媒の存在を必要とする場合がある。これらの他の発熱剤の組み合わせは、熱の持続時間を引き延ばすことができ、そのため温度-時間曲線および皮膚での熱感覚をさらに微調整できるようにする。特に、発熱反応により放出される熱の速度は、カプセル化カタラーゼ、遊離カタラーゼおよび補完的な発熱剤を組み合わせることにより、より早期から始まりかつ/またはより遅い時期におさまるよう改変される。
【0015】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、補完的な発熱剤は少なくとも2種の発熱剤を有する。好ましくは、補完的成分中の発熱剤の少なくとも1つはゼオライトであり、より好ましくは補完的発熱剤は未処理(すなわちカプセル化されていない)および処理済み(すなわちカプセル化された)ゼオライトの組み合わせを含有する。好適な未処理および処理済みゼオライトは、Kobo Products, Inc.(South Plainfield, NJ)から市販されている。処理済みゼオライトは、例えば約3%のトリイソステアリン酸イソプロピルチタンが表面に吸収されている、表面処理されたゼオライトであってもよく、KoboからAbscents SH1-54Bの名称で市販されている。この発熱剤の組み合わせは、特定の理論に拘束されることを望まないが、以下の理由により有益である。すなわち第一の熱源としてカタラーゼと過酸化水素が反応して水と酸素を生じ、最初の熱源から生じた水が補完的発熱剤と反応して、水分吸収の結果として第二の熱源を生じさせるために利用される。
【0016】
熱の順序は、遊離カタラーゼ(すなわち非カプセル化カタラーゼ)、カプセル化カタラーゼ、未処理および処理済みゼオライトによる熱の放出であると考えられる。カプセル化カタラーゼを用いる本発明の数々の効果は、カプセル化カタラーゼ成分および追加の補完的な発熱成分と適合する、局所適用のためのあらゆるタイプの化粧品用または医薬品用の許容されるビヒクル中に、実現することができる。その例としては、ゲル、クリーム、ローション、軟膏、ムース、スプレー、固形のスティック、粉末、懸濁液、および分散液などが挙げられる。一方、好ましくは、製品は、身体用マッサージクリームまたはローションであり、特に手または脚用マッサージ製品、ボディ用オイルおよびボディ用製品のようなスパ製品;シェービングクリームおよびシェービング用製品;洗浄料;美顔用パック;ならびに頭皮トリートメント剤、シャンプーおよびコンディショナーなどの毛髪用製品である。
【0017】
本発明の組成物は、用いる容器の種類に応じて、2つの別個のステップで、または同時に、適用することができる。2つの反応性成分は、物理的に分かれたパッケージから、またはチャンバーを有する単一パッケージから分配することができる。パッケージの例としては、限定するものではないが、ポーチ内のポーチ、および缶内の二重袋システムが挙げられる。いずれの種類のパッケージの内容物も、皮膚に同時にまたは実質的に同時に適用することができ、そこで混ざり合って反応する。本明細書において「実質的に同時」とは、最初に適用した成分の安定性が持続するうちに、互いに時間的に接近させて各成分を適用することを意味する。言い換えると、2つの反応成分を適用するのに、2つのステップがあってもよい。最初のステップで1つの成分を皮膚に適用し、第二のステップで他の成分を最初の成分が安定である時間内に第一の成分の上に適用する。このようにして、第二の成分を第一の成分の上に適用したときに混ざり合うよう、各成分を実質的に同時に適用する。例えば、一方のパッケージは、皮膚に適用される保湿剤の形態の、カタラーゼ成分含有化粧用組成物を含んでいてよい。他方のパッケージは、先に塗布した保湿剤の上に塗布されるファンデーションの形態の、別の過酸化物成分含有化粧用組成物を含有してもよい。皮膚の上でファンデーションを保湿剤の層の上に塗布したときに混合が起こる。
【0018】
本発明の組成物は、発熱に関して意図される所望の最終的結果に適した様式で、皮膚に適用する。好ましくは、豆粒大(pea size)のカタラーゼ成分を皮膚に最初に塗布する。皮膚にカタラーゼ成分を塗りつけた後、5セント玉大(nickel size)の過酸化物成分を皮膚に塗布する。当技術分野において、豆粒大は皮膚の上で約0.4cm2であり、5セント玉大は皮膚の上で約4cm2である。結果として、カタラーゼ成分と過酸化物成分は約10:1の比率で塗布される。本発明の別の利点は、カタラーゼ成分で覆われている部分の皮膚に単純に過酸化物成分のみを再度適用することだけで、発熱を再活発化させられることである。
【0019】
他の発熱剤は、組み合わせた効果が、皮膚で感じる熱の感覚が安定しかつ長く持続するように発熱反応による熱の発生を改変するという意味で、カプセル化カタラーゼと補完的である。本発明はまた、カプセル化カタラーゼを含有する組成物を皮膚に適用することにより皮膚の角質を除き軟化させる方法に関するが、こうした利点はカタラーゼについては知られているものの、カプセル化カタラーゼについては知られておらず、他の発熱剤と組み合わせたカプセル化カタラーゼについても知られていない。別の実施形態では、本発明の組成物の適用は、皮膚のかさつきを軽減する。本発明を以下の非制限的実施例によってさらに詳述する。
【実施例】
【0020】
実施例1
以下に本発明に従った組成物を示す:
カタラーゼ基剤
グリセリン 45.0
メチルグルセス-20(methyl gluceth-20) 4.0
グリセレス-26(glycereth-26) 1.0
遊離カタラーゼ 1.0
カプセル化カタラーゼ 2.0
ゼオライト 5.0
処理済みゼオライト 2.0
ケルトロール(1%溶液) 39.0
メチルパラベン 0.5
イミダゾリジニル尿素 0.5
【0021】
過酸化尿素相
セチルアルコール 2.0
グリセリルステアレート/PEG-100ステアレート 8.0
セテアリールアルコール 1.0
トリグリセリド 8.0
ジメチコーン 0.5
ポリソルベート40 1.0
ソルビタンパルミテート 0.5
水 60.9
ブチレングリコール 5.0
EDTA三ナトリウム 0.1
カプリリルグリコール 1.0
過酸化尿素 12.0
【0022】
実施例2
この実施例は、本発明の組成物が皮膚上に経時的に直線的な温度変化を生み出す能力を例証し、持続的な熱の放出を実証する。既知の発熱剤を用いたいくつかの製品との比較研究を行った。組成物1のBiore(登録商標)セルフヒーティングマスク(Self Heating Mask)は、ブチレングリコール、シリコアルミン酸ナトリウムおよびカオリンの組み合わせを用いる。組成物2のCosmenceマスクサウナ(Masque Sauna)は、グリセリンとカオリンの組み合わせを含有する。組成物3のAvonディープクレンジング・ウォーミングマスク(Deep Cleansing Warming Mask)は、ジプロピレングリコール、硫酸マグネシウムおよびカオリンの組み合わせを含有する。本発明の組成物を上述の実施例1に従って調製し、二重反復的に試験した。
【0023】
地肌の温度を基準測定値としたが、その測定は、豆粒大の皮膚領域について、皮膚の温度のばらつきを補償するために円運動をさせながらデジタル熱電対を皮膚の表面にあてて行った。各組成物を、製品パッケージに記載されている指示に従って適用し、皮膚上の「高温点」を明らかにするために円運動をさせながら皮膚の表面にあてたデジタル熱電対を用いて、皮膚の温度を測定した。
【0024】
その結果、適用後30秒間では、本発明の組成物を用いた皮膚の温度は、それぞれのサンプルについて約35℃、約39℃よりも高く、本発明の組成物についての、初期基準皮膚温度に基づいた1分あたりの温度のパーセント差は、適用後最初の3分間のそれぞれについて徐々に減少することが示された(すなわち、1分間では-7.69と-10.26、2分間では-11.11と-5.71、3分間では-12.50と-6.06)。組成物1、2および3は、適用後30秒間でそれぞれ約35℃またはそれより低く、適用後の最初の3分間それぞれについて、初期基準皮膚温度に基づいた1分あたりの温度のパーセント差は、以下の通りであった。組成物1は、1分あたりのパーセント差が1分間および2分間で0.00、3分間で-5.71であった。組成物2については、1分間で3.23であり、2分間で-1.56であり、3分間で-1.59であった。組成物3については、1分間で3.13、2分間で0.00、3分間で-3.03であった。
【0025】
実施例3
本発明の組成物を局所適用したときの皮膚の温熱の速度および量を測定するために一回盲検試験を行った。試験では10人の女性のパネルを用いたが、彼女らは全身性疾患にかかっておらず、試験に使用する部位に皮膚病をもたず、妊娠しておらず、全身または局所用レチノイド、抗ヒスタミン剤などを使用していない。参加者には試験中保湿剤を使用しないよう指示した。各参加者に、豆粒大の量の本発明のカタラーゼ成分を前腕の内側に塗布し、次いでその上に5セント玉大の量の本発明の過酸化物相を塗布した。2分後、本発明の組成物を冷水で洗い落とす。参加者に、本発明の発熱組成物の様々な特性、例えば赤み、痒み、刺すような痛み、そして全体としての製品の性能に関するアンケートを行った。いずれの参加者も刺すような痛みを感じなかったと答え、参加者の90%は赤みも痒みも生じなかったと報告した。熱の速度は、明らかに、刺すような痛みを感じさせることなく、そして実質的に赤みや痒みを生じさせることなく達成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のカプセル化されていない発熱剤と少なくとも1種のカプセル化されたカタラーゼからなる発熱に有効な量のカタラーゼ成分、および過酸化物成分を含んでなる、皮膚に局所適用するための組成物。
【請求項2】
前記組成物を皮膚に適用した後、約3分間にわたる温度低下の持続を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物を皮膚に適用した後、温度低下が約5分間で少なくとも約2℃である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
カプセル化されていない発熱剤が、カタラーゼ物質または非カタラーゼ物質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
カプセル化されたカタラーゼが、前記組成物の重量に基づき約0.2〜約8.0%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
カプセル化されたカタラーゼが、前記組成物の重量に基づき約1.0〜約5.0%の量で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
カプセル化されていない非カタラーゼ物質が、ゼオライト、カオリン、硫酸マグネシウム、尿素、シリカゲル、鉄粉末および活性アルミナよりなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
カプセル化されていない非カタラーゼ物質がゼオライトである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
カプセル化されたゼオライトをさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
カプセル化されていないカタラーゼが、約0.1〜約4%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
皮膚上での温熱感覚を持続させる方法であって、少なくとも1種のカプセル化カタラーゼと少なくとも1種の非カプセル化カタラーゼを含む発熱に有効な量のカタラーゼ成分、および過酸化物成分を、皮膚に局所適用することを含んでなる前記方法。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を局所適用するステップを含んでなる、皮膚に酸素を供給する方法。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物を局所適用するステップを含んでなる、皮膚を軟化させる方法。
【請求項14】
局所適用の化粧品用または医薬品用の発熱系を分配するための単一パッケージであって、前記パッケージは、少なくとも2つの別個の連絡していないチャンバーおよび少なくとも2つの反応成分を含んでなり、前記反応成分の少なくとも1つは、少なくとも1種のカプセル化カタラーゼ、少なくとも1種の非カプセル化カタラーゼ、および少なくとも1種の非カタラーゼ発熱剤からなる発熱剤の組み合わせであり、前記反応成分の少なくとも1つは過酸化物であり、前記チャンバーのそれぞれは異なる反応成分を含有し、かつ前記成分を分配するための開口部を有するものであり、前記成分は互いと反応して温度を徐々に低下させることができるが、別個のチャンバーに含有される間は不活性なままである、前記パッケージ。
【請求項15】
カプセル化カタラーゼが、ミクロコッカス溶解液(micrococcus lysate)由来である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
非カプセル化カタラーゼが、ミクロコッカス溶解液由来である、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
カプセル化カタラーゼおよび非カプセル化カタラーゼがミクロコッカス溶解液由来である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
カプセル化カタラーゼおよび非カプセル化カタラーゼが、ミクロコッカス溶解液由来である、請求項14に記載のパッケージ。

【公表番号】特表2006−525956(P2006−525956A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501228(P2006−501228)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/007279
【国際公開番号】WO2004/082603
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(598173764)カラー アクセス,インコーポレイティド (14)
【Fターム(参考)】