改良したFc融合タンパク質
本発明は、少なくとも1つの第1ドメイン及び定常部のFc免疫グロブリンドメインから選択された第2のドメインを含有する融合タンパク質に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの生物活性のあるポリペプチドドメインと、定常部の免疫グロブリンから選択された第2のドメインとを含有する融合タンパク質に関する。
【0002】
免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖二量体、又は免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖四量体を含有する融合タンパク質はEP−A−0526452に記載されていて、前記融合タンパク質中ではレセプター、担体タンパク質、ホルモン、成長因子、又は酵素である、リガンド結合パートナーのアミノ酸配列により、少なくとも1つの免疫グロブリン鎖の可変領域は置換されている。免疫グロブリンFcフラグメントに融合した、デスレセプターCD95(APO−1;Fas)の細胞外ドメインを含有する融合タンパク質は、WO95/27735に記載されている。免疫グロブリンFcフラグメントに場合によって融合した、APO−1分子のN末端で切断された誘導体はEP−A−0965637に開示されている。可溶性のIL−15RαとFcフラグメントとを含む融合タンパク質はWO98/36768に開示されている。アンタゴニストIL−15変異体とFc IgG2aフラグメントとを含む融合タンパク質は、Kim et al. (J. Immunol. 160 (1998)、 5742−5748)によって開示されている。前記文献は引用によって本発明に組み込まれる。
【0003】
上記した融合タンパク質は高い生物活性をin vitro及びin vivoにおいて有することが示されてきたが、前記分子の免疫原性の可能性に関しては、懸念がある。というのも異なる起源の2つのタンパク質ドメインの間には、非自然発生的なアミノ配列を含有する融合領域があり、これは融合タンパク質が投与される有機体において、好ましくない免疫反応を誘発する可能性があるからである。
【0004】
WO02/066514は人工融合タンパク質を記載し、これはin vivoにおいて種に暴露する場合に、親の非改変分子に比較して減少した免疫原性を有する。前記タンパク質はほぼ免疫グロブリン分子又はそのフラグメントからなり、そのC末端を介して共有結合的に、生物活性のある非免疫グロブリン分子、有利にはそのポリペプチド又はタンパク質又は生物活性のあるフラグメントのN末端に融合している。前記分子は、1つ以上のアミノ酸残基の位置において変更されたアミノ酸配列を有するが、しかし原則として非変更分子と比較して同様の生物活性を有する。変更は、T細胞エピトープとして同定される、前記分子の領域においてなされ、前記エピトープは生きた宿主において免疫反応に寄与する。前記方法の不利な点は、しかし、全てのエピトープ、特にB細胞エピトープが確実に除去され得ないことである。更に、非自然発生的なアミノ酸配列の導入は、新生エピトープの発生を生じる可能性がある。
【0005】
従って本発明の課題は、異なる起源の少なくとも2つのドメインを有する、減少した免疫原性の可能性を有する融合タンパク質を提供することである。
【0006】
従って、本発明は、
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメインと
(ii)定常部の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する、異種の第2ドメイン
とを含有し、その際融合領域中には第1ドメインと第2ドメインとの間に少なくとも1つのアミノ酸の重なりがある、融合タンパク質に関する。
【0007】
融合タンパク質は単量体タンパク質又は多量体タンパク質、例えば二量体タンパク質又は四量体タンパク質であってよく、前記多量体タンパク質は定常部の免疫グロブリンドメインを介した多量化によって形成されてよい。
【0008】
本発明によれば、融合タンパク質の設計は、i)少なくとも1つの第1ドメイン及び、第1ドメインとは異種である第2ドメインの選択、かつii)第1ドメイン及び第2ドメインに共通な、少なくとも1つの末端アミノ酸の選択を有し、例えば第1ドメインの最後のアミノ酸の1つ又は複数は、これが第2ドメインの最初のアミノ酸の1つ又は複数と同一であるように選択される。有利には、重なりはアミノ酸1つ、2つ、又は3つの長さを有する。従って、一つのドメインの最後のアミノ酸と、もう一つドメインの最初のアミノ酸との間に非自然発生的な移行部のない融合タンパク質が得られる。
【0009】
本発明の実施態様において、1つ又は複数の第1ドメインは融合タンパク質のN末端に位置し、その一方で第2ドメインはC末端に位置する。従ってこの実施態様において、第1ドメインのカルボキシ末端アミノ酸の少なくとも1つは、第2ドメインのアミノ末端酸の少なくとも1つと重なっている。
【0010】
本発明の更なる実施態様において、第2ドメインは融合タンパク質のN末端に位置し、かつ1つ又は複数の第1ドメインはC末端に位置する。従ってこの実施態様において、第2ドメインの少なくとも1つのカルボキシ末端アミノ酸は、第1ドメインの少なくとも1つのアミノ末端酸と重なっている。
【0011】
融合タンパク質が1つより多い、例えば2つ又は3つの第1ドメインを含有する場合には、前記ドメインは有利には融合タンパク質のN末端又はC末端に連続的に位置し、かつ第2ドメインはそれぞれ、C末端又はN末端に位置する。前記タンパク質における第1ドメインは同一又は異なっていてよいことに留意されたい。個々の第1ドメインの間の移行部は有利には、個々の第1ドメインの間に、少なくとも1つのアミノ酸の重なり(及び従って一つのドメインの最後のアミノ酸ともう一つのドメインの最初のアミノ酸との間には非自然発生的でない移行部)も存在するように設計されている。複数の第1ドメインを含有する融合タンパク質はWO00/18932に開示されていて、これは引用によって本発明に組み込まれる。
【0012】
融合タンパク質の第1ドメインは生物活性のあるポリペプチド、例えば細胞又は有機体中のその天然の環境において、相互作用することが可能な、例えば、結合パートナー(例えば別のポリペプチド)に結合することが可能なポリペプチドで、かつ有利には薬理活性を示すことが可能なポリペプチドを含有する。第1ドメインは有利には非免疫グロブリンポリペプチドである。第1ドメインは所望の、例えば上昇した又は減少した生物活性を有する自然発生的なポリペプチド又はその変異体、又は自然発生的なポリペプチド又はその変異体のフラグメントであってよい。第1ドメインは有利には、レセプターのリガンド結合ドメイン及びリガンドのレセプター結合ドメインから選択されてよい。「リガンド」及び「レセプター」という用語は、本発明に関連して、リガンドはレセプター分子に特異的に結合する働きをすることが公知であるタンパク質と定義されていると理解される。「レセプター」という用語は、疎水性膜貫通領域又はリン脂質アンカーを有する、可溶性レセプタータンパク質又は膜結合型レセプタータンパク質を含む。更に、「レセプター」という用語は、ホルモン、細胞接着タンパク質、レクチン、成長因子、酵素、その他と同様に担体タンパク質を含む。
【0013】
本発明の有利な実施態様において、第1ドメインは、膜結合型レセプターの細胞外ドメイン又はそのリガンド結合フラグメントを含有する、リガンド結合レセプタードメインである。レセプターは有利には、デスレセプター、成長因子レセプター及びサイトカインレセプターから選択される。より有利には、レセプターはCD95(APO−1;Fas)、TRAILレセプター、TNFレセプター、VEGFレセプター、インターロイキンレセプター、例えばIL−15Rαから選択される。最も有利にはレセプターは、CD95、TRAILレセプター、例えばTRAILレセプター−1、TRAILレセプター−2、TRAILレセプター−3、又はTRAILレセプター−4又はTNFレセプター、例えばTNFレセプター−1又はTNFレセプター−2である。
【0014】
更なる実施態様において、第1ドメインはレセプター結合リガンドドメインである。リガンドは有利には、デスリガンド、例えばCD95リガンド、TRAIL、TNF、例えばTNF−α、又はTNF−β、成長因子、例えばVEGF及びサイトカイン、例えばインターフェロン又はインターロイキン、例えばIL−15又はこれらの変異体から選択される。
【0015】
更なる実施態様において、融合タンパク質は同一であるか又は異なっていてよい複数の第1ドメインを含有する。そのような複数の融合タンパク質の有利な例は、VEGF トラップ(VEGF Trap)融合タンパク質であり、これはVEGFレセプター1(Flt−1)の第2細胞外ドメインを、VEGFレセプター2(KDR/FIK−1)の第3ドメイン及びIgG定常領域と共に含有する。
【0016】
第1ドメインタンパク質は有利には哺乳類のタンパク質であり、より有利にはヒトのタンパク質である。治療の目的のためには、特にヒトのタンパク質の使用が有利である。
【0017】
融合タンパク質の第2ドメインは、定常部の免疫グロブリンドメイン、例えば定常部の重鎖の免疫グロブリンドメイン又は定常部の軽鎖の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する。有利には、第2ドメインは定常部の重鎖の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する。定常部の重鎖の免疫グロブリンドメインは有利には、CH2ドメインとCH3ドメインと、場合によって少なくとも一部のヒンジ領域とを含有するFcフラグメントである。免疫グロブリンドメインはIgG、IgM、IgD、又はIgE免疫グロブリンドメイン又は、前記ドメイン由来の改変された免疫グロブリンドメインであってよい。有利には、第2ドメインは、定常部のIgG免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する。IgG免疫グロブリンドメインは、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4ドメインから、又は例えばUS5925734に記載された改変したドメインから選択されてよい。免疫グロブリンドメインはエフェクター機能、特にADCC及び/又はCDCから選択されたエフェクター機能を示してよい。いくつかの実施態様においてはしかし、改変されたエフェクター機能、例えば少なくとも部分的に欠如したエフェクター機能を有する、改変された免疫グロブリンドメインが使用される。
【0018】
本発明の融合タンパク質の設計には、第1ドメイン及び第2ドメインの1つ又は複数の末端アミノ酸の選択を含み、これは両方のドメインの間にアミノ酸の重なりを少なくとも1つ作成するためである。前記目的を達するために、第1ドメイン及び/又は第2ドメインから1つ又は複数のアミノ酸を欠失させること、及び/又は、自然発生的な隣接ドメインからの1つ又は複数のアミノ酸を第1ドメイン及び/又は第2ドメインへ付加することが通常は必要である。例えば、自然発生的なドメイン境界部からの、有利には10つまでの、より有利には6つまでのアミノ酸、例えば1、2、3、4、5又は6つのアミノ酸の欠失を有する第1ドメインを提供することが必要である可能性がある。その一方で、自然発生的な隣接ドメインからの、有利には10つまでの、より有利には6つまでのアミノ酸、例えば1、2、3、4、5又は6つのアミノ酸を第1及び/又は第2ドメインに付加することが必要である可能性がある。アミノ酸を欠失及び/又は付加させる場合には、しかし、第1ドメイン及び/又は第2ドメインの生物活性が不利に影響されないように配慮しなくてはならない。
【0019】
本発明の融合タンパク質は、N末端のシグナル配列を有してよく、前記シグナル配列は組み換え発現後の宿主細胞からの分泌を可能にする。シグナル配列は、融合タンパク質の第1ドメインと相同的なシグナル配列であってもよい。又は、シグナル配列は非相同シグナル配列、例えばIgκ又はIgλシグナルペプチド配列であってよい。異なる実施態様においては、融合タンパク質はN末端配列がなく、従って融合タンパク質の成熟した状態を表す。
【0020】
第1ドメインと第2ドメインとの間の重なり、又は2つの第1ドメインの間の重なりは、有利にはアミノ酸1、2又は3つの長さを有する。より有利には、重なりはアミノ酸1つの長さを有する。重なりアミノ酸の例は、S、E、K、H、T、P及びDである。
【0021】
本発明は、複数の特定の有利な実施態様に関して、以下に詳細に説明される。しかし、本発明の更なる融合タンパク質は、類似の方法により製造されてよいことに留意されたい。
【0022】
第1の有利な実施態様において、第1ドメインはヒトCD95の細胞外ドメインである。融合タンパク質の細胞外ドメインは有利には、ヒトCD95の、アミノ酸170、171、172又は173までのアミノ酸配列を含有する。有利には、CD95の細胞外ドメインはヒトIgG Fcフラグメント、例えばヒトIgG1 Fcフラグメントに融合している。ヒトCD95分子のアミノ酸配列は図1に示されている。ヒトIgG1鎖の定常部のドメインのアミノ酸配列は図2に示されている。特に有利には、図3A及び図3Bに示されたアミノ酸配列を含有する融合タンパク質であり、その際重なりアミノ酸配列はSである。
【0023】
更に特に有利な実施態様において、第1ドメインはヒトTRAILレセプター、例えばヒトTRAILレセプター−1、ヒトTRAILレセプター−2、ヒトTRAILレセプター−3、及びヒトTRAILレセプター−4の細胞外ドメインである。細胞外ドメインは有利には、アミノ酸232、233、234、235、236、237、238、239(TRAILR−1)、204、205、206、207、208、209、210(TRAILR−2 長い)、185、186、187、188、189、190、191(TRAILR−2 長い−反復なし)、179、180、181、182、183、184(TRAILR−2 短い)、228、229、230、231、232、233、234、235、236、(TRAILR−3)、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161(TRAILR−3 反復なし)及び201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211(TRAILR−4)までのアミノ酸配列を含有する。特に有利にはヒトTRAILレセプター−2である。細胞外ヒトTRAILレセプタードメインはヒトIgG−1 Fcフラグメントと融合していてよい。ヒトTRAILレセプターのアミノ酸配列は図4(TRAILR−1)、図6(TRAILR−2 長い)、図9(TRAILR−2 短い)、図11(TRAIL−3)及び図14(TRAILR−4)に示されている。有利な融合タンパク質の具体的な例は、図5、図7、図8、図10、図12、図13及び図15に示されたアミノ酸配列を含有する。
【0024】
更なる有利な実施態様において、融合タンパク質は第1ドメインを含有し、これはヒトTNFレセプター、例えばヒトTNFレセプター−1又はヒトTNFレセプター−2の細胞外ドメインである。細胞外ドメインは有利には、アミノ酸203、204、205、206、207、208、209、210、211(TNF−R1)又は248、249、250、251、252、253、254、255、256、257(TNF−R2)までのアミノ酸配列を含有する。ヒトTNFレセプターの細胞外ドメインは、ヒトIgG−1 Fcフラグメントに融合していてよい。ヒトTNFレセプターのアミノ酸配列は、図16(TNF−R1)及び図18(TNF−R2)に示されている。有利な融合タンパク質の具体的な例は、図17及び図19に示されたアミノ酸配列を含有する。
【0025】
本発明の更なる観点は、上記した融合タンパク質をエンコードする核酸分子に関する。核酸分子はDNA分子、例えば二本鎖又は一本鎖の、DNA分子又はRNA分子であってよい。核酸分子は、融合タンパク質又はその前駆体、例えば融合タンパク質のプレプロ型又はプロプロ型(pro− or pre−proform)をエンコードしてよく、これは分泌又は精製のためのシグナル配列又はその他の異種のアミノ酸部分を含有してよく、これらは有利には融合タンパク質のN末端及び/又はC末端に位置する。異種のアミノ酸部分は、第1ドメイン及び/又は第2ドメインに、プロテアーゼ分断部位、例えば第Xa因子、トロンビン又はIgAプロテアーゼ分断部位を介して、結合していてよい。
【0026】
核酸分子は、発現制御配列、例えば所望の宿主細胞において核酸分子の発現を可能にする発現制御配列に、操作により(operatively)、連結していてよい。核酸分子は、ベクター、例えばプラスミド、バクテリオファージ、ウィルスベクター、染色体組込みベクター、その他に位置していてよい。適した発現制御配列及びベクターの例は、例えばSambrook et al.(1989) Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、及びAusubel et al. (1989)、 Current Protocols in Molecular Biology、 John Wiley & Sonsによって説明されている。
【0027】
様々な発現ベクター/宿主細胞系を本発明の融合タンパク質をエンコードする核酸配列を発現するために使用してよい。適した宿主細胞は、原核細胞、例えば細菌、例えばE.coli、真核宿主細胞、例えば酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞又は動物細胞、有利には哺乳類の細胞及び、より有利にはヒト細胞を含むが、前記細胞に限定されない。
【0028】
更に本発明は、上記した核酸分子で形質転換又はトランスフェクションした非ヒトの有機体にも関する。前記トランスジェニック有機体を、相同組換えを含む遺伝的伝達の公知の方法によって発生させてよい。
【0029】
本発明の更なる観点は、上記した、少なくとも1つの、融合タンパク質又は前記タンパク質をコードする核酸分子を活性剤として含有する医薬組成物に関連する。更に有利な実施態様において、第1ドメインは、アポトーシスに関連した疾患の予防及び/又は治療における使用のための、可溶性デスレセプター、例えば上記したデスレセプターの細胞外ドメインである。最も有利には、第1ドメインは細胞外CD95ドメインである。
【0030】
本発明の実施態様において、組成物は、自己免疫疾患、AIDS、心疾患、例えば心筋梗塞、移植片対宿主疾患、移植拒絶、脳損傷、例えば脳卒中、脊髄損傷、例えば対麻痺、敗血症、肝炎、炎症に関連した疾患、虚血性再灌流傷害、及び腎疾患から選択される疾患の予防及び/又は治療において使用されてよい。前記疾患及び更なる疾患は、デスレセプター融合タンパク質、特にCD95融合タンパク質の投与によって治療されてよく、これはWO95/27735、WO99/50413、WO01/41803、EP−A−0965637及びEP−A−0992243に記載されていて、これは本発明に引用によって組み込まれる。
【0031】
融合タンパク質は、これを必要とする被験体、特にヒト患者に、特定の症状の治療のために十分な用量において、適した方法によって投与される。例えば、融合タンパク質は薬剤学的に許容可能なキャリアー、希釈剤及び/又は佐剤と共に、医薬組成物として処方されてよい。治療の効能及び毒性は標準的なプロトコルに従って決定されてよい。医薬組成物は全身に、例えば腹腔内に、筋肉内に、又は静脈内に、又は局所的に、例えば鼻腔内に、皮下に又は髄腔内投与されてよい。有利には、静脈内投与である。
【0032】
特に有利には、デスリガンドレセプター阻害剤、例えばFcフラグメントに融合した、可溶性の細胞外CD95又はTRAILレセプターのドメインである。
【0033】
投与される融合タンパク質の用量は勿論、治療される被験体、被験体の重量、損傷のタイプ及び重傷度、投与の方法、及び処方する医師の判断に依存する。CD95又はTRAIL−R融合タンパク質の投与のためには、0.001〜100mg/kgの一日量が適している。
【0034】
更に本発明は、
(i)生物活性のあるタンパク質を含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)減少した免疫原性の可能性を有する定常部の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する第2ドメインとを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際第1ドメインが、少なくとも1つのアミノ酸の重なりによって第2ドメインに融合している、融合タンパク質の製造方法に関する。
【0035】
また更に本発明の観点は:
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)融合タンパク質を多量化することが可能である異種の第2ドメインとを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際融合領域中には第1ドメインと第2ドメインとの間に少なくとも1つのアミノ酸の重なりがある、融合タンパク質に関する。
【0036】
第3のタンパク質の非存在下で融合タンパク質を多量化することが可能である異種の第2ドメインを含有する融合タンパク質は、例えばWO01/49866及びWO02/090553に記載されていて、これらは引用によって本発明に組み込まれる。融合タンパク質中の第1ドメインと第2ドメインとの間の少なくとも1つのアミノ酸の重なり、例えば1つ、2つ又は3つのアミノ酸の重なりの存在により、−上記に説明したように−、減少した免疫原性の可能性を有する融合タンパク質が生じる。
【0037】
前記の多量化する融合タンパク質中の第1ドメインは、前述のように定義される。有利には、第1ドメインは、膜結合型レセプターの細胞外ドメイン、又はそのリガンド結合フラグメントである。特に有利には、レセプターはCD95、TRAILレセプター、特にTRAILレセプター−2及びTNFレセプター、特にTNFレセプター−2から選択される。又は、第1ドメインは、レセプター結合リガンドドメインであってよく、その際リガンドは有利にはCD95リガンド、TRAIL及びTNFから選択される。有利な第1ドメインの具体例は上記の通りである。
【0038】
融合タンパク質の第2ドメインは、タンパク質の多量化部を含有する。有利には、第2ドメインは、融合タンパク質を二量化、三量化、四量化又は五量化することが可能である。これに関連して、特にWO01/49866及びWO02/090553の開示が参照され、これは本発明に引用によって組み込まれる。第2ドメインの有利な例は、C1q、MBP(マンノース結合タンパク質)、SP−A(肺サーファクタントタンパク質−A)、SP−D(肺サーファクタントタンパク質−D)、BC(ウシ血清コングルチニン)、CL43(ウシコレクチン−43)、ACRP−30(C1q ファミリーからのタンパク質)及びCOMP (軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質)、又はEDAのコラーゲンドメイン、又は機能的に活性のあるこれらの誘導体である。特に有利には、ACRP−30の一部、特にヒトACRP−30タンパク質の一部、例えばCOMPのアミノ酸18〜108、又は18〜110である。
【0039】
前述したように、融合タンパク質の第1ドメインの1個又は複数は、N末端又はC末端に、かつ第2ドメインはC末端又はN末端に位置してよい。更に、第1及び第2ドメインの両方は、有利には同じ種から、より有利にはヒト起源からであってよい。更に、免疫グロブリンをベースとした融合タンパク質の有利な実施態様に関する特徴は、多量化する融合タンパク質にも当てはまる。
【0040】
融合タンパク質の減少した免疫原性の可能性は、融合タンパク質中の第1ドメインと第2ドメインとの間の、非自然発生的な移行部がないことに起因し、これは次に、2つの異種ポリペプチド間の融合に起因する新生エピトープの形成に対して減少した可能性を生じる。
【0041】
本発明は以下の図及び実施例によって更に説明される。
【0042】
図の説明
図1:ヒトCD95(APO−1;Fas)タンパク質のアミノ酸配列;
図2:ヒトIgG−1鎖のC領域のアミノ酸配列;
図3A及び3B:重なりアミノ酸を有するCD95−Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図4:ヒトTRAILレセプター−1のアミノ酸配列;
図5:重なりアミノ酸を有するTRAILR−1 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図6:ヒトTRAILレセプター−2(長い形)のアミノ酸配列;
図7:反復配列を含む、重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(長い)Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図8:重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(長い形)Fc融合タンパク質の有利な例(反復配列なし);
図9:ヒトTRAILR−2(短い形)のアミノ酸配列;
図10:重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(短い)Fc IgG1融合タンパク質の有利な例
図11:ヒトTRAILレセプターR−3のアミノ酸配列;
図12:重なりアミノ酸を有するTRAILR−3 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例(反復含む);
図13:重なりアミノ酸を有するTRAILR−3 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例(反復含めない);
図14:ヒトTRAILレセプター−4のアミノ酸配列;
図15:重なりアミノ酸を有するTRAILR−4 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図16:ヒト腫瘍壊死因子レセプター−1のアミノ酸配列;
図17:重なりアミノ酸を有するTNFR−1 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図18:ヒト腫瘍壊死因子レセプター−2のアミノ酸配列;
図19:重なりアミノ酸を有するTNF−R−2 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例。
【0043】
実施例1
重なりアミノ酸を有する、ヒトCD95細胞外ドメインとヒトIgG1 Fcドメインとを含む融合タンパク質。
【0044】
ヒトCD95細胞外ドメイン
ヒトCD95(Genbank Acc.No.X63717)の塩基221〜736。Oehm、A.「Purification and Molecular Cloning of the APO−1 Cell Surface Antigen、a Member of the Tumour Necrosis Factor/Nerve Growth Factor Receptor Superfamily」、Journal of Biological Chemistry 267巻、15号、10709〜10715頁、1992から利用した配列。cDNAを、ドナー血液からの末梢血リンパ球(PBL)から単離した全RNAから、RT−PCRによってオリゴdTプライマーを用いて作成した。PCRをCD95の細胞外ドメインのcDNAを増幅させるために使用し、制限HindIII部位及びコザック配列を細胞外ドメインの5′に、及び3′にBgl II部位(細胞外ドメインの末端)を含めた
Taqポリメラーゼを用いた、CD95 cDNAの増幅のためのPCRプライマー:
センス huCD95−HindIII:
TATA AAGCTT GCC ACC ATG CTG GGC ATC TG (SEQ ID NO:21)
アンチセンス huCD95−Bgl II:TATA AGATCT GGA TCC TTC CTC TTT GC (SEQ ID NO:2)。
【0045】
ヒトIgG1 Fcドメイン
配列:2050〜2745bp。Ellison、J.、「The nucleotide sequence of human immunoglobulin C gene」、Nucleic Acid Research、 10巻 13号、1982から使用した配列。cDNAを、ドナー血液からの末梢血リンパ球(PBL)から単離した全RNAから、RT−PCRによってオリゴdTプライマーを用いて作成した。プライマーの5′に制限Bgl II部位及び、プライマーの3′に停止コドンの後にXho I部位を含めて、ヒトIgG Fc(一部のヒンジ−CH3)のcDNAを増幅させるためにPCRを用いた。
【0046】
Taqポリメラーゼを用いた、IgG1 Fc cDNAの増幅のためのPCRプライマー:
センス huIgGFc−BgllI TATA AGATCT TGT GAC AAA ACT CAC ACA TG(SEQ ID NO: 3)
アンチセンス huIgG1Fc−Xhol:TATA CTCGAG TCA TTT ACC CGG AGA CAG GG(SEQ ID NO: 4)
クローニング方法:
増幅後、IgG1 Fc PCR産物を、Bgl II及びXho Iで消化した。CD95 PCR産物をHindIII及びBgl IIで、及びpcDNA3.1(CMVプロモーターを有する)をHindIII及びXho Iで消化した。前記産物をゲル抽出(Qiagen kit)によって精製した。
huIgG1FcとCD95フラグメントとを、T4リガーゼを用いてpcDNA3.1中に連結した。One Shot Top 10、chemically competent cells(E.Coli)(Invitrogenから#C4040−10発注)のトランスフェクション及び増幅後、プラスミド調整をQiagen Plasmid Prep Kitで実施した。
【0047】
pcDNA3.1をHindIII及びXhoIで、CD95ECをHindIII及びBglIIで、hulIgG1FcをBglII及びXhoIで消化することで、3点連結を実施した。pcDNA3.1中のCD95−huIgG1挿入の存在は、塩基配列決定法及び制限酵素法により確認した。挿入を含有するベクターをHindIII及びXbalで消化し、挿入をEF−1プロモーターを含有するpcDNA3.1に連結した。
【0048】
もともとのCD95−Fcコンストラクトのコザック配列構造を、GCCACCATGCからGCCGCCACCATGGへと、プライマーSEQID5及びSEQID6での全CD95−Fc産物の増幅によって変化させた。
【0049】
GCCACCATGCからGCCGCCACCATGGへコザック配列を変更するためのプライマー:
ShuCD95EC_altKozak TATA AAGCTT GCC GCC ACC ATG GTG GGC ATC(SEQ ID NO.5)
AS698 huIgG1Fc−Xho1 TATA CTCGAG TCA TTT ACC CGG AGA CAG GG (SEQ ID NO:6)
クローニング方法:
PCR産物をInvitrogen(発注#K4800−01)からのpcDNA3.1/V5 His Topoベクターにおいてクローン化し、pEFプロモーターを含有するpcDNA3.1と同様にHind III及びXba Iで消化し、T4リガーゼで連結した。
【0050】
発現及び単離
最終産物をエンコードするコンストラクトをタンパク質発現に適した細胞系中にトランスフェクションした。トランスフェクションを、この分野における当業者に公知の、全ての標準的な方法によって実施してよい。例には、エレクトロポレーション、リポソームにより媒介された伝達、リン酸カルシウムのトランスフェクションを含む。発現に適した細胞系には293T細胞、COS−1、COS−7、及びCHO細胞を含む。その他の細胞系も使用してよい。
【0051】
前記例において、293T細胞をリン酸カルシウム法により一過的にトランスフェクションした。又は、CHO細胞をFuGene6を利用してトランスフェクションし、安定なクローンを選択した。
【0052】
所望のタンパク質は、細胞培養培地から、クロマトグラフィー法によって精製されてよい。方法には、プロテインG又はプロテインAカラムに対するアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、又は前記方法の組み合わせを含むが、これらに限定はされない。
実施例においては、上清をIgGカラム(Amersham Pharmacia)において、製造者の指示に従って精製し、これにより単一の工程において高度に精製された産物が生じた。
【0053】
実施例2.
重なりアミノ酸を有する、TRAILレセプター−2とヒトIgG1 Fcドメインとを含有する融合タンパク質
ヒトIgG1Fcドメイン:
Ellison、 J.、「The nucleotide sequence of human immunoglobulin C gene」、Nucleic Acid Research、10巻 13号、1982.から使用した配列。cDNAをドナー血液からの末梢血リンパ球(PBL)から単離した全RNAから、RT−PCRにより、オリゴdTプライマーを用いて作成した。TRAILR2に対する重なり配列を5′末端に及び3′末端に停止コドン後にEcoRI部位を有するヒトIgG1Fc(部分的なヒンジ−CH3)のcDNAを増幅するためにPCRを使用した。
【0054】
I.プライマー:センス_huIgG1 (SEQ ID NO: 7)
cca ggg act cct gcc TCT TGT GAC AAA ACT CAC ACA TG (大文字=>huIgG1の一部)
II.プライマー:アンチセンス_ERIhuIgG1 (SEQ ID NO: 8)
TATA gaa ttc tca ttt acc cgg aga cag gg
TRAILR2:
Walczak H.、「TRAIL−R2: a novel apoptosis−mediating receptor for TRAIL」 The EMBO Journal 16巻、17号、5386−5397ページ、1997.(受け入れ番号DDBJ/EMBL/GenBank:AF016849)cDNAを、ドナー血液からの末梢血リンパ球(PBL)から単離した全RNAから、RT−PCRによってオリゴdTプライマーを用いて作成した。制限部位HindIII及びコザック配列を5′末端に及び3′末端にヒトIgG1に対する重なり配列を含有させて、TRAILR2のcDNAを増幅するためにPCRを使用した。
【0055】
III.プライマー:センス_HIII_TRAILR2 (SEQ ID NO:9)
TATA aag ctt gcc gcc acc atg gaa caa cgg gga cag aac
IV.プライマー:アンチセンス_TRAILR2 (SEQ ID NO:10)
gtg agt ttt gtc aca aga GGC AGG AGT CCC TGG (大文字=>huTRAIL−R2の一部、逆に)
クローニング方法:
増幅後、改変した挿入を単離するためにゲル抽出を実施した。次に、両方のフラグメントを使用する第3のPCRを実施した。両方のフラグメントの重なり及び末端のプライマーのために、前記PCRは1つの産物へと連結する。その後で、産物をHindIII及びEcoRIで消化し、適した発現ベクター、例えばpcDNA3.1(Invitrogen)中に連結した。
【0056】
III.プライマー:センス_HIII_TRAILR2 (SEQ ID NO:11)
TATA aag ctt gcc gcc acc atg gaa caa cgg gga cag aac
II.プライマー:アンチセンス_ERIhuIgG1 (SEQ ID NO:12)
TATA gaa ttc tca ttt acc cgg aga cag gg
発現
コンストラクトをクローン化し、適した宿主細胞において、実施例1に記載したように発現させた。
【0057】
実施例3.
脊髄損傷後の再生及び機能回復のための、CD95−Fcコンストラクトの使用。
【0058】
実施例1に記載した、アミノ酸の重なりを有するCD95−Fcコンストラクトを、Demjen et al.、 Nat Med.(March 7、 2004)によって記載されたマウスモデルにおいて、脊髄損傷の治療のために使用した。コンストラクトの投与は、脊髄損傷後の再生及び機能回復を促進することが見出された。
【0059】
実施例4.
脳卒中における脳損傷を弱めるための、CD95−Fcコンストラクトの使用。
【0060】
重なりアミノ酸を有するCD95−Fcコンストラクトを、第一次性虚血性死及び第二次性炎症損傷におけるその影響について、マウスモデルにおいてMartin−Villalba et al.(Cell Death Differ. 8 (2001)、 679−686)によって記載されたように検討した。CD95−Fcコンストラクトの投与は、梗塞の体積及び死亡率において、顕著な減少を生じた。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1はヒトCD95(APO−1;Fas)タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】図2はヒトIgG−1鎖のC領域のアミノ酸配列を示す図である。
【図3】図3A及び3Bは重なりアミノ酸を有するCD95−Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図4】図4はヒトTRAILレセプター−1のアミノ酸配列を示す図である。
【図5】図5は重なりアミノ酸を有するTRAILR−1 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図6】図6はヒトTRAILレセプター−2(長い形)のアミノ酸配列を示す図である。
【図7】図7は反復配列を含む、重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(長い)Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図8】図8は重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(長い形)Fc融合タンパク質の有利な例(反復配列なし)を示す図である。
【図9】図9はヒトTRAILR−2(短い形)のアミノ酸配列を示す図である。
【図10】図10は重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(短い)Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図11】図1はヒトTRAILレセプターR−3のアミノ酸配列を示す図である。
【図12】図12は重なりアミノ酸を有するTRAILR−3 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例(反復含む)を示す図である。
【図13】図13は重なりアミノ酸を有するTRAILR−3 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例(反復含めない)を示す図である。
【図14】図14:ヒトTRAILレセプター−4のアミノ酸配列を示す図である。
【図15】図15は重なりアミノ酸を有するTRAILR−4 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図16】図16はヒト腫瘍壊死因子レセプター−1のアミノ酸配列を示す図である。
【図17】図17は重なりアミノ酸を有するTNFR−1 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図18】図18はヒト腫瘍壊死因子レセプター−2のアミノ酸配列を示す図である。
【図19】図19は重なりアミノ酸を有するTNF−R−2 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの生物活性のあるポリペプチドドメインと、定常部の免疫グロブリンから選択された第2のドメインとを含有する融合タンパク質に関する。
【0002】
免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖二量体、又は免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖四量体を含有する融合タンパク質はEP−A−0526452に記載されていて、前記融合タンパク質中ではレセプター、担体タンパク質、ホルモン、成長因子、又は酵素である、リガンド結合パートナーのアミノ酸配列により、少なくとも1つの免疫グロブリン鎖の可変領域は置換されている。免疫グロブリンFcフラグメントに融合した、デスレセプターCD95(APO−1;Fas)の細胞外ドメインを含有する融合タンパク質は、WO95/27735に記載されている。免疫グロブリンFcフラグメントに場合によって融合した、APO−1分子のN末端で切断された誘導体はEP−A−0965637に開示されている。可溶性のIL−15RαとFcフラグメントとを含む融合タンパク質はWO98/36768に開示されている。アンタゴニストIL−15変異体とFc IgG2aフラグメントとを含む融合タンパク質は、Kim et al. (J. Immunol. 160 (1998)、 5742−5748)によって開示されている。前記文献は引用によって本発明に組み込まれる。
【0003】
上記した融合タンパク質は高い生物活性をin vitro及びin vivoにおいて有することが示されてきたが、前記分子の免疫原性の可能性に関しては、懸念がある。というのも異なる起源の2つのタンパク質ドメインの間には、非自然発生的なアミノ配列を含有する融合領域があり、これは融合タンパク質が投与される有機体において、好ましくない免疫反応を誘発する可能性があるからである。
【0004】
WO02/066514は人工融合タンパク質を記載し、これはin vivoにおいて種に暴露する場合に、親の非改変分子に比較して減少した免疫原性を有する。前記タンパク質はほぼ免疫グロブリン分子又はそのフラグメントからなり、そのC末端を介して共有結合的に、生物活性のある非免疫グロブリン分子、有利にはそのポリペプチド又はタンパク質又は生物活性のあるフラグメントのN末端に融合している。前記分子は、1つ以上のアミノ酸残基の位置において変更されたアミノ酸配列を有するが、しかし原則として非変更分子と比較して同様の生物活性を有する。変更は、T細胞エピトープとして同定される、前記分子の領域においてなされ、前記エピトープは生きた宿主において免疫反応に寄与する。前記方法の不利な点は、しかし、全てのエピトープ、特にB細胞エピトープが確実に除去され得ないことである。更に、非自然発生的なアミノ酸配列の導入は、新生エピトープの発生を生じる可能性がある。
【0005】
従って本発明の課題は、異なる起源の少なくとも2つのドメインを有する、減少した免疫原性の可能性を有する融合タンパク質を提供することである。
【0006】
従って、本発明は、
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメインと
(ii)定常部の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する、異種の第2ドメイン
とを含有し、その際融合領域中には第1ドメインと第2ドメインとの間に少なくとも1つのアミノ酸の重なりがある、融合タンパク質に関する。
【0007】
融合タンパク質は単量体タンパク質又は多量体タンパク質、例えば二量体タンパク質又は四量体タンパク質であってよく、前記多量体タンパク質は定常部の免疫グロブリンドメインを介した多量化によって形成されてよい。
【0008】
本発明によれば、融合タンパク質の設計は、i)少なくとも1つの第1ドメイン及び、第1ドメインとは異種である第2ドメインの選択、かつii)第1ドメイン及び第2ドメインに共通な、少なくとも1つの末端アミノ酸の選択を有し、例えば第1ドメインの最後のアミノ酸の1つ又は複数は、これが第2ドメインの最初のアミノ酸の1つ又は複数と同一であるように選択される。有利には、重なりはアミノ酸1つ、2つ、又は3つの長さを有する。従って、一つのドメインの最後のアミノ酸と、もう一つドメインの最初のアミノ酸との間に非自然発生的な移行部のない融合タンパク質が得られる。
【0009】
本発明の実施態様において、1つ又は複数の第1ドメインは融合タンパク質のN末端に位置し、その一方で第2ドメインはC末端に位置する。従ってこの実施態様において、第1ドメインのカルボキシ末端アミノ酸の少なくとも1つは、第2ドメインのアミノ末端酸の少なくとも1つと重なっている。
【0010】
本発明の更なる実施態様において、第2ドメインは融合タンパク質のN末端に位置し、かつ1つ又は複数の第1ドメインはC末端に位置する。従ってこの実施態様において、第2ドメインの少なくとも1つのカルボキシ末端アミノ酸は、第1ドメインの少なくとも1つのアミノ末端酸と重なっている。
【0011】
融合タンパク質が1つより多い、例えば2つ又は3つの第1ドメインを含有する場合には、前記ドメインは有利には融合タンパク質のN末端又はC末端に連続的に位置し、かつ第2ドメインはそれぞれ、C末端又はN末端に位置する。前記タンパク質における第1ドメインは同一又は異なっていてよいことに留意されたい。個々の第1ドメインの間の移行部は有利には、個々の第1ドメインの間に、少なくとも1つのアミノ酸の重なり(及び従って一つのドメインの最後のアミノ酸ともう一つのドメインの最初のアミノ酸との間には非自然発生的でない移行部)も存在するように設計されている。複数の第1ドメインを含有する融合タンパク質はWO00/18932に開示されていて、これは引用によって本発明に組み込まれる。
【0012】
融合タンパク質の第1ドメインは生物活性のあるポリペプチド、例えば細胞又は有機体中のその天然の環境において、相互作用することが可能な、例えば、結合パートナー(例えば別のポリペプチド)に結合することが可能なポリペプチドで、かつ有利には薬理活性を示すことが可能なポリペプチドを含有する。第1ドメインは有利には非免疫グロブリンポリペプチドである。第1ドメインは所望の、例えば上昇した又は減少した生物活性を有する自然発生的なポリペプチド又はその変異体、又は自然発生的なポリペプチド又はその変異体のフラグメントであってよい。第1ドメインは有利には、レセプターのリガンド結合ドメイン及びリガンドのレセプター結合ドメインから選択されてよい。「リガンド」及び「レセプター」という用語は、本発明に関連して、リガンドはレセプター分子に特異的に結合する働きをすることが公知であるタンパク質と定義されていると理解される。「レセプター」という用語は、疎水性膜貫通領域又はリン脂質アンカーを有する、可溶性レセプタータンパク質又は膜結合型レセプタータンパク質を含む。更に、「レセプター」という用語は、ホルモン、細胞接着タンパク質、レクチン、成長因子、酵素、その他と同様に担体タンパク質を含む。
【0013】
本発明の有利な実施態様において、第1ドメインは、膜結合型レセプターの細胞外ドメイン又はそのリガンド結合フラグメントを含有する、リガンド結合レセプタードメインである。レセプターは有利には、デスレセプター、成長因子レセプター及びサイトカインレセプターから選択される。より有利には、レセプターはCD95(APO−1;Fas)、TRAILレセプター、TNFレセプター、VEGFレセプター、インターロイキンレセプター、例えばIL−15Rαから選択される。最も有利にはレセプターは、CD95、TRAILレセプター、例えばTRAILレセプター−1、TRAILレセプター−2、TRAILレセプター−3、又はTRAILレセプター−4又はTNFレセプター、例えばTNFレセプター−1又はTNFレセプター−2である。
【0014】
更なる実施態様において、第1ドメインはレセプター結合リガンドドメインである。リガンドは有利には、デスリガンド、例えばCD95リガンド、TRAIL、TNF、例えばTNF−α、又はTNF−β、成長因子、例えばVEGF及びサイトカイン、例えばインターフェロン又はインターロイキン、例えばIL−15又はこれらの変異体から選択される。
【0015】
更なる実施態様において、融合タンパク質は同一であるか又は異なっていてよい複数の第1ドメインを含有する。そのような複数の融合タンパク質の有利な例は、VEGF トラップ(VEGF Trap)融合タンパク質であり、これはVEGFレセプター1(Flt−1)の第2細胞外ドメインを、VEGFレセプター2(KDR/FIK−1)の第3ドメイン及びIgG定常領域と共に含有する。
【0016】
第1ドメインタンパク質は有利には哺乳類のタンパク質であり、より有利にはヒトのタンパク質である。治療の目的のためには、特にヒトのタンパク質の使用が有利である。
【0017】
融合タンパク質の第2ドメインは、定常部の免疫グロブリンドメイン、例えば定常部の重鎖の免疫グロブリンドメイン又は定常部の軽鎖の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する。有利には、第2ドメインは定常部の重鎖の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する。定常部の重鎖の免疫グロブリンドメインは有利には、CH2ドメインとCH3ドメインと、場合によって少なくとも一部のヒンジ領域とを含有するFcフラグメントである。免疫グロブリンドメインはIgG、IgM、IgD、又はIgE免疫グロブリンドメイン又は、前記ドメイン由来の改変された免疫グロブリンドメインであってよい。有利には、第2ドメインは、定常部のIgG免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する。IgG免疫グロブリンドメインは、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4ドメインから、又は例えばUS5925734に記載された改変したドメインから選択されてよい。免疫グロブリンドメインはエフェクター機能、特にADCC及び/又はCDCから選択されたエフェクター機能を示してよい。いくつかの実施態様においてはしかし、改変されたエフェクター機能、例えば少なくとも部分的に欠如したエフェクター機能を有する、改変された免疫グロブリンドメインが使用される。
【0018】
本発明の融合タンパク質の設計には、第1ドメイン及び第2ドメインの1つ又は複数の末端アミノ酸の選択を含み、これは両方のドメインの間にアミノ酸の重なりを少なくとも1つ作成するためである。前記目的を達するために、第1ドメイン及び/又は第2ドメインから1つ又は複数のアミノ酸を欠失させること、及び/又は、自然発生的な隣接ドメインからの1つ又は複数のアミノ酸を第1ドメイン及び/又は第2ドメインへ付加することが通常は必要である。例えば、自然発生的なドメイン境界部からの、有利には10つまでの、より有利には6つまでのアミノ酸、例えば1、2、3、4、5又は6つのアミノ酸の欠失を有する第1ドメインを提供することが必要である可能性がある。その一方で、自然発生的な隣接ドメインからの、有利には10つまでの、より有利には6つまでのアミノ酸、例えば1、2、3、4、5又は6つのアミノ酸を第1及び/又は第2ドメインに付加することが必要である可能性がある。アミノ酸を欠失及び/又は付加させる場合には、しかし、第1ドメイン及び/又は第2ドメインの生物活性が不利に影響されないように配慮しなくてはならない。
【0019】
本発明の融合タンパク質は、N末端のシグナル配列を有してよく、前記シグナル配列は組み換え発現後の宿主細胞からの分泌を可能にする。シグナル配列は、融合タンパク質の第1ドメインと相同的なシグナル配列であってもよい。又は、シグナル配列は非相同シグナル配列、例えばIgκ又はIgλシグナルペプチド配列であってよい。異なる実施態様においては、融合タンパク質はN末端配列がなく、従って融合タンパク質の成熟した状態を表す。
【0020】
第1ドメインと第2ドメインとの間の重なり、又は2つの第1ドメインの間の重なりは、有利にはアミノ酸1、2又は3つの長さを有する。より有利には、重なりはアミノ酸1つの長さを有する。重なりアミノ酸の例は、S、E、K、H、T、P及びDである。
【0021】
本発明は、複数の特定の有利な実施態様に関して、以下に詳細に説明される。しかし、本発明の更なる融合タンパク質は、類似の方法により製造されてよいことに留意されたい。
【0022】
第1の有利な実施態様において、第1ドメインはヒトCD95の細胞外ドメインである。融合タンパク質の細胞外ドメインは有利には、ヒトCD95の、アミノ酸170、171、172又は173までのアミノ酸配列を含有する。有利には、CD95の細胞外ドメインはヒトIgG Fcフラグメント、例えばヒトIgG1 Fcフラグメントに融合している。ヒトCD95分子のアミノ酸配列は図1に示されている。ヒトIgG1鎖の定常部のドメインのアミノ酸配列は図2に示されている。特に有利には、図3A及び図3Bに示されたアミノ酸配列を含有する融合タンパク質であり、その際重なりアミノ酸配列はSである。
【0023】
更に特に有利な実施態様において、第1ドメインはヒトTRAILレセプター、例えばヒトTRAILレセプター−1、ヒトTRAILレセプター−2、ヒトTRAILレセプター−3、及びヒトTRAILレセプター−4の細胞外ドメインである。細胞外ドメインは有利には、アミノ酸232、233、234、235、236、237、238、239(TRAILR−1)、204、205、206、207、208、209、210(TRAILR−2 長い)、185、186、187、188、189、190、191(TRAILR−2 長い−反復なし)、179、180、181、182、183、184(TRAILR−2 短い)、228、229、230、231、232、233、234、235、236、(TRAILR−3)、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161(TRAILR−3 反復なし)及び201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211(TRAILR−4)までのアミノ酸配列を含有する。特に有利にはヒトTRAILレセプター−2である。細胞外ヒトTRAILレセプタードメインはヒトIgG−1 Fcフラグメントと融合していてよい。ヒトTRAILレセプターのアミノ酸配列は図4(TRAILR−1)、図6(TRAILR−2 長い)、図9(TRAILR−2 短い)、図11(TRAIL−3)及び図14(TRAILR−4)に示されている。有利な融合タンパク質の具体的な例は、図5、図7、図8、図10、図12、図13及び図15に示されたアミノ酸配列を含有する。
【0024】
更なる有利な実施態様において、融合タンパク質は第1ドメインを含有し、これはヒトTNFレセプター、例えばヒトTNFレセプター−1又はヒトTNFレセプター−2の細胞外ドメインである。細胞外ドメインは有利には、アミノ酸203、204、205、206、207、208、209、210、211(TNF−R1)又は248、249、250、251、252、253、254、255、256、257(TNF−R2)までのアミノ酸配列を含有する。ヒトTNFレセプターの細胞外ドメインは、ヒトIgG−1 Fcフラグメントに融合していてよい。ヒトTNFレセプターのアミノ酸配列は、図16(TNF−R1)及び図18(TNF−R2)に示されている。有利な融合タンパク質の具体的な例は、図17及び図19に示されたアミノ酸配列を含有する。
【0025】
本発明の更なる観点は、上記した融合タンパク質をエンコードする核酸分子に関する。核酸分子はDNA分子、例えば二本鎖又は一本鎖の、DNA分子又はRNA分子であってよい。核酸分子は、融合タンパク質又はその前駆体、例えば融合タンパク質のプレプロ型又はプロプロ型(pro− or pre−proform)をエンコードしてよく、これは分泌又は精製のためのシグナル配列又はその他の異種のアミノ酸部分を含有してよく、これらは有利には融合タンパク質のN末端及び/又はC末端に位置する。異種のアミノ酸部分は、第1ドメイン及び/又は第2ドメインに、プロテアーゼ分断部位、例えば第Xa因子、トロンビン又はIgAプロテアーゼ分断部位を介して、結合していてよい。
【0026】
核酸分子は、発現制御配列、例えば所望の宿主細胞において核酸分子の発現を可能にする発現制御配列に、操作により(operatively)、連結していてよい。核酸分子は、ベクター、例えばプラスミド、バクテリオファージ、ウィルスベクター、染色体組込みベクター、その他に位置していてよい。適した発現制御配列及びベクターの例は、例えばSambrook et al.(1989) Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、及びAusubel et al. (1989)、 Current Protocols in Molecular Biology、 John Wiley & Sonsによって説明されている。
【0027】
様々な発現ベクター/宿主細胞系を本発明の融合タンパク質をエンコードする核酸配列を発現するために使用してよい。適した宿主細胞は、原核細胞、例えば細菌、例えばE.coli、真核宿主細胞、例えば酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞又は動物細胞、有利には哺乳類の細胞及び、より有利にはヒト細胞を含むが、前記細胞に限定されない。
【0028】
更に本発明は、上記した核酸分子で形質転換又はトランスフェクションした非ヒトの有機体にも関する。前記トランスジェニック有機体を、相同組換えを含む遺伝的伝達の公知の方法によって発生させてよい。
【0029】
本発明の更なる観点は、上記した、少なくとも1つの、融合タンパク質又は前記タンパク質をコードする核酸分子を活性剤として含有する医薬組成物に関連する。更に有利な実施態様において、第1ドメインは、アポトーシスに関連した疾患の予防及び/又は治療における使用のための、可溶性デスレセプター、例えば上記したデスレセプターの細胞外ドメインである。最も有利には、第1ドメインは細胞外CD95ドメインである。
【0030】
本発明の実施態様において、組成物は、自己免疫疾患、AIDS、心疾患、例えば心筋梗塞、移植片対宿主疾患、移植拒絶、脳損傷、例えば脳卒中、脊髄損傷、例えば対麻痺、敗血症、肝炎、炎症に関連した疾患、虚血性再灌流傷害、及び腎疾患から選択される疾患の予防及び/又は治療において使用されてよい。前記疾患及び更なる疾患は、デスレセプター融合タンパク質、特にCD95融合タンパク質の投与によって治療されてよく、これはWO95/27735、WO99/50413、WO01/41803、EP−A−0965637及びEP−A−0992243に記載されていて、これは本発明に引用によって組み込まれる。
【0031】
融合タンパク質は、これを必要とする被験体、特にヒト患者に、特定の症状の治療のために十分な用量において、適した方法によって投与される。例えば、融合タンパク質は薬剤学的に許容可能なキャリアー、希釈剤及び/又は佐剤と共に、医薬組成物として処方されてよい。治療の効能及び毒性は標準的なプロトコルに従って決定されてよい。医薬組成物は全身に、例えば腹腔内に、筋肉内に、又は静脈内に、又は局所的に、例えば鼻腔内に、皮下に又は髄腔内投与されてよい。有利には、静脈内投与である。
【0032】
特に有利には、デスリガンドレセプター阻害剤、例えばFcフラグメントに融合した、可溶性の細胞外CD95又はTRAILレセプターのドメインである。
【0033】
投与される融合タンパク質の用量は勿論、治療される被験体、被験体の重量、損傷のタイプ及び重傷度、投与の方法、及び処方する医師の判断に依存する。CD95又はTRAIL−R融合タンパク質の投与のためには、0.001〜100mg/kgの一日量が適している。
【0034】
更に本発明は、
(i)生物活性のあるタンパク質を含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)減少した免疫原性の可能性を有する定常部の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する第2ドメインとを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際第1ドメインが、少なくとも1つのアミノ酸の重なりによって第2ドメインに融合している、融合タンパク質の製造方法に関する。
【0035】
また更に本発明の観点は:
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)融合タンパク質を多量化することが可能である異種の第2ドメインとを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際融合領域中には第1ドメインと第2ドメインとの間に少なくとも1つのアミノ酸の重なりがある、融合タンパク質に関する。
【0036】
第3のタンパク質の非存在下で融合タンパク質を多量化することが可能である異種の第2ドメインを含有する融合タンパク質は、例えばWO01/49866及びWO02/090553に記載されていて、これらは引用によって本発明に組み込まれる。融合タンパク質中の第1ドメインと第2ドメインとの間の少なくとも1つのアミノ酸の重なり、例えば1つ、2つ又は3つのアミノ酸の重なりの存在により、−上記に説明したように−、減少した免疫原性の可能性を有する融合タンパク質が生じる。
【0037】
前記の多量化する融合タンパク質中の第1ドメインは、前述のように定義される。有利には、第1ドメインは、膜結合型レセプターの細胞外ドメイン、又はそのリガンド結合フラグメントである。特に有利には、レセプターはCD95、TRAILレセプター、特にTRAILレセプター−2及びTNFレセプター、特にTNFレセプター−2から選択される。又は、第1ドメインは、レセプター結合リガンドドメインであってよく、その際リガンドは有利にはCD95リガンド、TRAIL及びTNFから選択される。有利な第1ドメインの具体例は上記の通りである。
【0038】
融合タンパク質の第2ドメインは、タンパク質の多量化部を含有する。有利には、第2ドメインは、融合タンパク質を二量化、三量化、四量化又は五量化することが可能である。これに関連して、特にWO01/49866及びWO02/090553の開示が参照され、これは本発明に引用によって組み込まれる。第2ドメインの有利な例は、C1q、MBP(マンノース結合タンパク質)、SP−A(肺サーファクタントタンパク質−A)、SP−D(肺サーファクタントタンパク質−D)、BC(ウシ血清コングルチニン)、CL43(ウシコレクチン−43)、ACRP−30(C1q ファミリーからのタンパク質)及びCOMP (軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質)、又はEDAのコラーゲンドメイン、又は機能的に活性のあるこれらの誘導体である。特に有利には、ACRP−30の一部、特にヒトACRP−30タンパク質の一部、例えばCOMPのアミノ酸18〜108、又は18〜110である。
【0039】
前述したように、融合タンパク質の第1ドメインの1個又は複数は、N末端又はC末端に、かつ第2ドメインはC末端又はN末端に位置してよい。更に、第1及び第2ドメインの両方は、有利には同じ種から、より有利にはヒト起源からであってよい。更に、免疫グロブリンをベースとした融合タンパク質の有利な実施態様に関する特徴は、多量化する融合タンパク質にも当てはまる。
【0040】
融合タンパク質の減少した免疫原性の可能性は、融合タンパク質中の第1ドメインと第2ドメインとの間の、非自然発生的な移行部がないことに起因し、これは次に、2つの異種ポリペプチド間の融合に起因する新生エピトープの形成に対して減少した可能性を生じる。
【0041】
本発明は以下の図及び実施例によって更に説明される。
【0042】
図の説明
図1:ヒトCD95(APO−1;Fas)タンパク質のアミノ酸配列;
図2:ヒトIgG−1鎖のC領域のアミノ酸配列;
図3A及び3B:重なりアミノ酸を有するCD95−Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図4:ヒトTRAILレセプター−1のアミノ酸配列;
図5:重なりアミノ酸を有するTRAILR−1 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図6:ヒトTRAILレセプター−2(長い形)のアミノ酸配列;
図7:反復配列を含む、重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(長い)Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図8:重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(長い形)Fc融合タンパク質の有利な例(反復配列なし);
図9:ヒトTRAILR−2(短い形)のアミノ酸配列;
図10:重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(短い)Fc IgG1融合タンパク質の有利な例
図11:ヒトTRAILレセプターR−3のアミノ酸配列;
図12:重なりアミノ酸を有するTRAILR−3 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例(反復含む);
図13:重なりアミノ酸を有するTRAILR−3 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例(反復含めない);
図14:ヒトTRAILレセプター−4のアミノ酸配列;
図15:重なりアミノ酸を有するTRAILR−4 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図16:ヒト腫瘍壊死因子レセプター−1のアミノ酸配列;
図17:重なりアミノ酸を有するTNFR−1 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例;
図18:ヒト腫瘍壊死因子レセプター−2のアミノ酸配列;
図19:重なりアミノ酸を有するTNF−R−2 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例。
【0043】
実施例1
重なりアミノ酸を有する、ヒトCD95細胞外ドメインとヒトIgG1 Fcドメインとを含む融合タンパク質。
【0044】
ヒトCD95細胞外ドメイン
ヒトCD95(Genbank Acc.No.X63717)の塩基221〜736。Oehm、A.「Purification and Molecular Cloning of the APO−1 Cell Surface Antigen、a Member of the Tumour Necrosis Factor/Nerve Growth Factor Receptor Superfamily」、Journal of Biological Chemistry 267巻、15号、10709〜10715頁、1992から利用した配列。cDNAを、ドナー血液からの末梢血リンパ球(PBL)から単離した全RNAから、RT−PCRによってオリゴdTプライマーを用いて作成した。PCRをCD95の細胞外ドメインのcDNAを増幅させるために使用し、制限HindIII部位及びコザック配列を細胞外ドメインの5′に、及び3′にBgl II部位(細胞外ドメインの末端)を含めた
Taqポリメラーゼを用いた、CD95 cDNAの増幅のためのPCRプライマー:
センス huCD95−HindIII:
TATA AAGCTT GCC ACC ATG CTG GGC ATC TG (SEQ ID NO:21)
アンチセンス huCD95−Bgl II:TATA AGATCT GGA TCC TTC CTC TTT GC (SEQ ID NO:2)。
【0045】
ヒトIgG1 Fcドメイン
配列:2050〜2745bp。Ellison、J.、「The nucleotide sequence of human immunoglobulin C gene」、Nucleic Acid Research、 10巻 13号、1982から使用した配列。cDNAを、ドナー血液からの末梢血リンパ球(PBL)から単離した全RNAから、RT−PCRによってオリゴdTプライマーを用いて作成した。プライマーの5′に制限Bgl II部位及び、プライマーの3′に停止コドンの後にXho I部位を含めて、ヒトIgG Fc(一部のヒンジ−CH3)のcDNAを増幅させるためにPCRを用いた。
【0046】
Taqポリメラーゼを用いた、IgG1 Fc cDNAの増幅のためのPCRプライマー:
センス huIgGFc−BgllI TATA AGATCT TGT GAC AAA ACT CAC ACA TG(SEQ ID NO: 3)
アンチセンス huIgG1Fc−Xhol:TATA CTCGAG TCA TTT ACC CGG AGA CAG GG(SEQ ID NO: 4)
クローニング方法:
増幅後、IgG1 Fc PCR産物を、Bgl II及びXho Iで消化した。CD95 PCR産物をHindIII及びBgl IIで、及びpcDNA3.1(CMVプロモーターを有する)をHindIII及びXho Iで消化した。前記産物をゲル抽出(Qiagen kit)によって精製した。
huIgG1FcとCD95フラグメントとを、T4リガーゼを用いてpcDNA3.1中に連結した。One Shot Top 10、chemically competent cells(E.Coli)(Invitrogenから#C4040−10発注)のトランスフェクション及び増幅後、プラスミド調整をQiagen Plasmid Prep Kitで実施した。
【0047】
pcDNA3.1をHindIII及びXhoIで、CD95ECをHindIII及びBglIIで、hulIgG1FcをBglII及びXhoIで消化することで、3点連結を実施した。pcDNA3.1中のCD95−huIgG1挿入の存在は、塩基配列決定法及び制限酵素法により確認した。挿入を含有するベクターをHindIII及びXbalで消化し、挿入をEF−1プロモーターを含有するpcDNA3.1に連結した。
【0048】
もともとのCD95−Fcコンストラクトのコザック配列構造を、GCCACCATGCからGCCGCCACCATGGへと、プライマーSEQID5及びSEQID6での全CD95−Fc産物の増幅によって変化させた。
【0049】
GCCACCATGCからGCCGCCACCATGGへコザック配列を変更するためのプライマー:
ShuCD95EC_altKozak TATA AAGCTT GCC GCC ACC ATG GTG GGC ATC(SEQ ID NO.5)
AS698 huIgG1Fc−Xho1 TATA CTCGAG TCA TTT ACC CGG AGA CAG GG (SEQ ID NO:6)
クローニング方法:
PCR産物をInvitrogen(発注#K4800−01)からのpcDNA3.1/V5 His Topoベクターにおいてクローン化し、pEFプロモーターを含有するpcDNA3.1と同様にHind III及びXba Iで消化し、T4リガーゼで連結した。
【0050】
発現及び単離
最終産物をエンコードするコンストラクトをタンパク質発現に適した細胞系中にトランスフェクションした。トランスフェクションを、この分野における当業者に公知の、全ての標準的な方法によって実施してよい。例には、エレクトロポレーション、リポソームにより媒介された伝達、リン酸カルシウムのトランスフェクションを含む。発現に適した細胞系には293T細胞、COS−1、COS−7、及びCHO細胞を含む。その他の細胞系も使用してよい。
【0051】
前記例において、293T細胞をリン酸カルシウム法により一過的にトランスフェクションした。又は、CHO細胞をFuGene6を利用してトランスフェクションし、安定なクローンを選択した。
【0052】
所望のタンパク質は、細胞培養培地から、クロマトグラフィー法によって精製されてよい。方法には、プロテインG又はプロテインAカラムに対するアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、又は前記方法の組み合わせを含むが、これらに限定はされない。
実施例においては、上清をIgGカラム(Amersham Pharmacia)において、製造者の指示に従って精製し、これにより単一の工程において高度に精製された産物が生じた。
【0053】
実施例2.
重なりアミノ酸を有する、TRAILレセプター−2とヒトIgG1 Fcドメインとを含有する融合タンパク質
ヒトIgG1Fcドメイン:
Ellison、 J.、「The nucleotide sequence of human immunoglobulin C gene」、Nucleic Acid Research、10巻 13号、1982.から使用した配列。cDNAをドナー血液からの末梢血リンパ球(PBL)から単離した全RNAから、RT−PCRにより、オリゴdTプライマーを用いて作成した。TRAILR2に対する重なり配列を5′末端に及び3′末端に停止コドン後にEcoRI部位を有するヒトIgG1Fc(部分的なヒンジ−CH3)のcDNAを増幅するためにPCRを使用した。
【0054】
I.プライマー:センス_huIgG1 (SEQ ID NO: 7)
cca ggg act cct gcc TCT TGT GAC AAA ACT CAC ACA TG (大文字=>huIgG1の一部)
II.プライマー:アンチセンス_ERIhuIgG1 (SEQ ID NO: 8)
TATA gaa ttc tca ttt acc cgg aga cag gg
TRAILR2:
Walczak H.、「TRAIL−R2: a novel apoptosis−mediating receptor for TRAIL」 The EMBO Journal 16巻、17号、5386−5397ページ、1997.(受け入れ番号DDBJ/EMBL/GenBank:AF016849)cDNAを、ドナー血液からの末梢血リンパ球(PBL)から単離した全RNAから、RT−PCRによってオリゴdTプライマーを用いて作成した。制限部位HindIII及びコザック配列を5′末端に及び3′末端にヒトIgG1に対する重なり配列を含有させて、TRAILR2のcDNAを増幅するためにPCRを使用した。
【0055】
III.プライマー:センス_HIII_TRAILR2 (SEQ ID NO:9)
TATA aag ctt gcc gcc acc atg gaa caa cgg gga cag aac
IV.プライマー:アンチセンス_TRAILR2 (SEQ ID NO:10)
gtg agt ttt gtc aca aga GGC AGG AGT CCC TGG (大文字=>huTRAIL−R2の一部、逆に)
クローニング方法:
増幅後、改変した挿入を単離するためにゲル抽出を実施した。次に、両方のフラグメントを使用する第3のPCRを実施した。両方のフラグメントの重なり及び末端のプライマーのために、前記PCRは1つの産物へと連結する。その後で、産物をHindIII及びEcoRIで消化し、適した発現ベクター、例えばpcDNA3.1(Invitrogen)中に連結した。
【0056】
III.プライマー:センス_HIII_TRAILR2 (SEQ ID NO:11)
TATA aag ctt gcc gcc acc atg gaa caa cgg gga cag aac
II.プライマー:アンチセンス_ERIhuIgG1 (SEQ ID NO:12)
TATA gaa ttc tca ttt acc cgg aga cag gg
発現
コンストラクトをクローン化し、適した宿主細胞において、実施例1に記載したように発現させた。
【0057】
実施例3.
脊髄損傷後の再生及び機能回復のための、CD95−Fcコンストラクトの使用。
【0058】
実施例1に記載した、アミノ酸の重なりを有するCD95−Fcコンストラクトを、Demjen et al.、 Nat Med.(March 7、 2004)によって記載されたマウスモデルにおいて、脊髄損傷の治療のために使用した。コンストラクトの投与は、脊髄損傷後の再生及び機能回復を促進することが見出された。
【0059】
実施例4.
脳卒中における脳損傷を弱めるための、CD95−Fcコンストラクトの使用。
【0060】
重なりアミノ酸を有するCD95−Fcコンストラクトを、第一次性虚血性死及び第二次性炎症損傷におけるその影響について、マウスモデルにおいてMartin−Villalba et al.(Cell Death Differ. 8 (2001)、 679−686)によって記載されたように検討した。CD95−Fcコンストラクトの投与は、梗塞の体積及び死亡率において、顕著な減少を生じた。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1はヒトCD95(APO−1;Fas)タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】図2はヒトIgG−1鎖のC領域のアミノ酸配列を示す図である。
【図3】図3A及び3Bは重なりアミノ酸を有するCD95−Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図4】図4はヒトTRAILレセプター−1のアミノ酸配列を示す図である。
【図5】図5は重なりアミノ酸を有するTRAILR−1 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図6】図6はヒトTRAILレセプター−2(長い形)のアミノ酸配列を示す図である。
【図7】図7は反復配列を含む、重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(長い)Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図8】図8は重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(長い形)Fc融合タンパク質の有利な例(反復配列なし)を示す図である。
【図9】図9はヒトTRAILR−2(短い形)のアミノ酸配列を示す図である。
【図10】図10は重なりアミノ酸を有するTRAILR−2(短い)Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図11】図1はヒトTRAILレセプターR−3のアミノ酸配列を示す図である。
【図12】図12は重なりアミノ酸を有するTRAILR−3 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例(反復含む)を示す図である。
【図13】図13は重なりアミノ酸を有するTRAILR−3 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例(反復含めない)を示す図である。
【図14】図14:ヒトTRAILレセプター−4のアミノ酸配列を示す図である。
【図15】図15は重なりアミノ酸を有するTRAILR−4 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図16】図16はヒト腫瘍壊死因子レセプター−1のアミノ酸配列を示す図である。
【図17】図17は重なりアミノ酸を有するTNFR−1 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【図18】図18はヒト腫瘍壊死因子レセプター−2のアミノ酸配列を示す図である。
【図19】図19は重なりアミノ酸を有するTNF−R−2 Fc IgG1融合タンパク質の有利な例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)定常部の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する、異種の第2ドメイン
とを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際融合領域中には第1ドメインと第2ドメインとの間に少なくとも1つのアミノ酸の重なりがある、融合タンパク質。
【請求項2】
第1ドメインは、レセプターのリガンド結合ドメイン及びリガンドのレセプター結合ドメインから選択される、請求項1記載の融合タンパク質。
【請求項3】
第1ドメインは、膜結合型レセプターの細胞外ドメイン又はそのリガンド結合フラグメントを含有する、リガンド結合レセプタードメインである、請求項1又は2記載の融合タンパク質。
【請求項4】
レセプターは、デスレセプター、成長因子レセプター及びサイトカインレセプターから選択される、請求項2又は3記載の融合タンパク質。
【請求項5】
レセプターはCD95、TRAILレセプター、TNFレセプター及びVEGFレセプターから選択される、請求項4記載の融合タンパク質。
【請求項6】
第1ドメインはレセプター結合リガンドドメインである、請求項1又は2記載の融合タンパク質。
【請求項7】
リガンドは、デスリガンド、成長因子及びサイトカインから選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項8】
リガンドはCD95リガンド、TRAIL、TNF、VEGF及びIL−15から選択される、請求項7記載の融合タンパク質。
【請求項9】
少なくとも1つの第1ドメインはヒトのタンパク質に由来する、請求項1から8までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項10】
第2ドメインは、定常部の重鎖の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項11】
第2ドメインは、CH2ドメインと、CH3ドメインと、場合によって少なくとも一部のヒンジ領域とを含有する、定常部の重鎖の免疫グロブリンドメインのFcフラグメントである、請求項1から9までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項12】
第2ドメインは、定常部のIgG免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項13】
第2ドメインは、定常部のIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4免疫グロブリンドメイン又はその変異体の少なくとも一部を含有する、請求項1から12までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項14】
免疫グロブリンドメインはエフェクター機能、特にADCC及び/又はCDCから選択されたエフェクター機能を示す、請求項1から13までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項15】
第2ドメインはヒトの免疫グロブリンに由来する、請求項1から14までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項16】
重なりは、アミノ酸1、2又は3つの長さを有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項17】
第1ドメインのカルボキシ末端のアミノ酸の少なくとも1つが、第2ドメインのアミノ末端のアミノ酸の少なくとも1つと重なる、請求項1から16までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項18】
融合領域には、一つのドメインの最後のアミノ酸と、もう一つのドメインの最初のアミノ酸との間に非自然発生的な移行部がない、請求項1から17までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項19】
第1ドメイン及び/又は第2ドメインは、有利には6つまでのアミノ酸の欠失を有する、請求項1から18までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項20】
第1ドメイン及び/又は第2ドメインは、有利には6つまでのアミノ酸の付加を有する、請求項1から19までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項21】
N末端のシグナル配列を含有する、請求項1から20までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項22】
N末端のシグナル配列を有しない、請求項1から20までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項23】
重なりアミノ酸配列は、S、E、K、H、T、P及びDから選択される、請求項1から22までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項24】
第1ドメインはヒトCD95の細胞外ドメインである、請求項1から23までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項25】
CD95の細胞外ドメインは、ヒトCD95の、アミノ酸170、171、172又は173までのアミノ酸配列を含有する、請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項26】
図3A及び図3Bに示されたアミノ酸配列を含有する、請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項27】
第1ドメインはヒトTRAILレセプターの細胞外ドメインである、請求項1から23までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項28】
ヒトTRAILレセプターは、ヒトTRAILレセプター−1、ヒトTRAILレセプター−2、ヒトTRAILレセプター−3及びヒトTRAILレセプター−4から選択される、請求項22記載の融合タンパク質。
【請求項29】
図5、図7、図8、図10、図12、図13又は図15に示されたアミノ酸配列を含有する、請求項28記載の融合タンパク質。
【請求項30】
第1ドメインはヒトTNFレセプターの細胞外ドメインである、請求項1から23までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項31】
ヒトTNFレセプターは、ヒトTNFレセプター−1及びヒトTNFレセプター−2から選択される、請求項30記載の融合タンパク質。
【請求項32】
図17又は図19に示されたアミノ酸配列を含有する、請求項31記載の融合タンパク質。
【請求項33】
請求項1から32までのいずれか1項記載の融合タンパク質又はその前駆体をエンコードする核酸分子。
【請求項34】
操作により、発現制御配列に連結した、請求項33記載の核酸分子。
【請求項35】
ベクターに位置する、請求項33又は34記載の核酸分子。
【請求項36】
請求項33から35までのいずれか1項記載の核酸分子で形質転換又はトランスフェクションされた細胞。
【請求項37】
原核細胞である、請求項36記載の細胞。
【請求項38】
真核細胞、有利には哺乳類の細胞、より有利にはヒト細胞である、請求項37記載の細胞。
【請求項39】
請求項33から35までのいずれか1項記載の核酸分子で形質転換又はトランスフェクションした、非ヒトの有機体。
【請求項40】
請求項1から32までのいずれか1項記載の融合タンパク質、又は請求項33から35までのいずれか1項記載の核酸分子を活性剤として含有する、医薬組成物。
【請求項41】
第1ドメインは、アポトーシスに関連した疾患の予防及び/又は治療における使用のための可溶性デスレセプターである、請求項40記載の組成物。
【請求項42】
第1ドメインは細胞外CD95ドメインである、請求項41記載の組成物。
【請求項43】
自己免疫疾患、AIDS、心疾患、例えば心筋梗塞、移植片対宿主疾患、例えば移植拒絶、脊髄損傷、例えば対麻痺、敗血症、肝炎、炎症に関連した疾患、虚血性再灌流傷害、及び腎疾患から選択される疾患の予防及び/又は治療における使用のための請求項41又は42記載の組成物。
【請求項44】
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)減少した免疫原性の可能性を有する定常部の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する第2ドメイン
とを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際第1ドメインが、少なくとも1つのアミノ酸の重なりによって第2ドメインに融合している、融合タンパク質の製造方法。
【請求項45】
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)融合タンパク質を多量化することが可能である異種の第2ドメイン
とを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際融合領域中には第1ドメインと第2ドメインとの間に少なくとも1つのアミノ酸の重なりがある、融合タンパク質。
【請求項46】
第1ドメインは、膜結合型レセプターの細胞外ドメイン又はそのリガンド結合フラグメントである、請求項45記載の融合タンパク質。
【請求項47】
レセプターは、CD95、TRAILレセプター、及びTNFレセプターから選択される、請求項46記載の融合タンパク質。
【請求項48】
第1ドメインはレセプター結合リガンドドメインである、請求項48記載の融合タンパク質。
【請求項49】
リガンドはCD95リガンド、TRAIL、及びTNFから選択される、請求項48記載の融合タンパク質。
【請求項50】
第2ドメインは、C1q、MBP、SP−A、SP−D、BC、CL43及びACRP30及びCOMP又はEDAのコラーゲンドメイン、又は機能的に活性のあるこれらの誘導体から選択されるタンパク質の、多量化部を含有する、請求項45から49までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項51】
第2ドメインは、融合タンパク質を二量化、三量化、四量化又は五量化することが可能である、請求項45から50までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項1】
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)定常部の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する、異種の第2ドメイン
とを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際融合領域中には第1ドメインと第2ドメインとの間に少なくとも1つのアミノ酸の重なりがある、融合タンパク質。
【請求項2】
第1ドメインは、レセプターのリガンド結合ドメイン及びリガンドのレセプター結合ドメインから選択される、請求項1記載の融合タンパク質。
【請求項3】
第1ドメインは、膜結合型レセプターの細胞外ドメイン又はそのリガンド結合フラグメントを含有する、リガンド結合レセプタードメインである、請求項1又は2記載の融合タンパク質。
【請求項4】
レセプターは、デスレセプター、成長因子レセプター及びサイトカインレセプターから選択される、請求項2又は3記載の融合タンパク質。
【請求項5】
レセプターはCD95、TRAILレセプター、TNFレセプター及びVEGFレセプターから選択される、請求項4記載の融合タンパク質。
【請求項6】
第1ドメインはレセプター結合リガンドドメインである、請求項1又は2記載の融合タンパク質。
【請求項7】
リガンドは、デスリガンド、成長因子及びサイトカインから選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項8】
リガンドはCD95リガンド、TRAIL、TNF、VEGF及びIL−15から選択される、請求項7記載の融合タンパク質。
【請求項9】
少なくとも1つの第1ドメインはヒトのタンパク質に由来する、請求項1から8までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項10】
第2ドメインは、定常部の重鎖の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項11】
第2ドメインは、CH2ドメインと、CH3ドメインと、場合によって少なくとも一部のヒンジ領域とを含有する、定常部の重鎖の免疫グロブリンドメインのFcフラグメントである、請求項1から9までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項12】
第2ドメインは、定常部のIgG免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項13】
第2ドメインは、定常部のIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4免疫グロブリンドメイン又はその変異体の少なくとも一部を含有する、請求項1から12までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項14】
免疫グロブリンドメインはエフェクター機能、特にADCC及び/又はCDCから選択されたエフェクター機能を示す、請求項1から13までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項15】
第2ドメインはヒトの免疫グロブリンに由来する、請求項1から14までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項16】
重なりは、アミノ酸1、2又は3つの長さを有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項17】
第1ドメインのカルボキシ末端のアミノ酸の少なくとも1つが、第2ドメインのアミノ末端のアミノ酸の少なくとも1つと重なる、請求項1から16までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項18】
融合領域には、一つのドメインの最後のアミノ酸と、もう一つのドメインの最初のアミノ酸との間に非自然発生的な移行部がない、請求項1から17までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項19】
第1ドメイン及び/又は第2ドメインは、有利には6つまでのアミノ酸の欠失を有する、請求項1から18までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項20】
第1ドメイン及び/又は第2ドメインは、有利には6つまでのアミノ酸の付加を有する、請求項1から19までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項21】
N末端のシグナル配列を含有する、請求項1から20までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項22】
N末端のシグナル配列を有しない、請求項1から20までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項23】
重なりアミノ酸配列は、S、E、K、H、T、P及びDから選択される、請求項1から22までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項24】
第1ドメインはヒトCD95の細胞外ドメインである、請求項1から23までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項25】
CD95の細胞外ドメインは、ヒトCD95の、アミノ酸170、171、172又は173までのアミノ酸配列を含有する、請求項24記載の融合タンパク質。
【請求項26】
図3A及び図3Bに示されたアミノ酸配列を含有する、請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項27】
第1ドメインはヒトTRAILレセプターの細胞外ドメインである、請求項1から23までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項28】
ヒトTRAILレセプターは、ヒトTRAILレセプター−1、ヒトTRAILレセプター−2、ヒトTRAILレセプター−3及びヒトTRAILレセプター−4から選択される、請求項22記載の融合タンパク質。
【請求項29】
図5、図7、図8、図10、図12、図13又は図15に示されたアミノ酸配列を含有する、請求項28記載の融合タンパク質。
【請求項30】
第1ドメインはヒトTNFレセプターの細胞外ドメインである、請求項1から23までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項31】
ヒトTNFレセプターは、ヒトTNFレセプター−1及びヒトTNFレセプター−2から選択される、請求項30記載の融合タンパク質。
【請求項32】
図17又は図19に示されたアミノ酸配列を含有する、請求項31記載の融合タンパク質。
【請求項33】
請求項1から32までのいずれか1項記載の融合タンパク質又はその前駆体をエンコードする核酸分子。
【請求項34】
操作により、発現制御配列に連結した、請求項33記載の核酸分子。
【請求項35】
ベクターに位置する、請求項33又は34記載の核酸分子。
【請求項36】
請求項33から35までのいずれか1項記載の核酸分子で形質転換又はトランスフェクションされた細胞。
【請求項37】
原核細胞である、請求項36記載の細胞。
【請求項38】
真核細胞、有利には哺乳類の細胞、より有利にはヒト細胞である、請求項37記載の細胞。
【請求項39】
請求項33から35までのいずれか1項記載の核酸分子で形質転換又はトランスフェクションした、非ヒトの有機体。
【請求項40】
請求項1から32までのいずれか1項記載の融合タンパク質、又は請求項33から35までのいずれか1項記載の核酸分子を活性剤として含有する、医薬組成物。
【請求項41】
第1ドメインは、アポトーシスに関連した疾患の予防及び/又は治療における使用のための可溶性デスレセプターである、請求項40記載の組成物。
【請求項42】
第1ドメインは細胞外CD95ドメインである、請求項41記載の組成物。
【請求項43】
自己免疫疾患、AIDS、心疾患、例えば心筋梗塞、移植片対宿主疾患、例えば移植拒絶、脊髄損傷、例えば対麻痺、敗血症、肝炎、炎症に関連した疾患、虚血性再灌流傷害、及び腎疾患から選択される疾患の予防及び/又は治療における使用のための請求項41又は42記載の組成物。
【請求項44】
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)減少した免疫原性の可能性を有する定常部の免疫グロブリンドメインの少なくとも一部を含有する第2ドメイン
とを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際第1ドメインが、少なくとも1つのアミノ酸の重なりによって第2ドメインに融合している、融合タンパク質の製造方法。
【請求項45】
(i)生物活性のあるポリペプチドを含有する、少なくとも1つの第1ドメイン
と
(ii)融合タンパク質を多量化することが可能である異種の第2ドメイン
とを含有し、前記(i)及び(ii)は融合していて、その際融合領域中には第1ドメインと第2ドメインとの間に少なくとも1つのアミノ酸の重なりがある、融合タンパク質。
【請求項46】
第1ドメインは、膜結合型レセプターの細胞外ドメイン又はそのリガンド結合フラグメントである、請求項45記載の融合タンパク質。
【請求項47】
レセプターは、CD95、TRAILレセプター、及びTNFレセプターから選択される、請求項46記載の融合タンパク質。
【請求項48】
第1ドメインはレセプター結合リガンドドメインである、請求項48記載の融合タンパク質。
【請求項49】
リガンドはCD95リガンド、TRAIL、及びTNFから選択される、請求項48記載の融合タンパク質。
【請求項50】
第2ドメインは、C1q、MBP、SP−A、SP−D、BC、CL43及びACRP30及びCOMP又はEDAのコラーゲンドメイン、又は機能的に活性のあるこれらの誘導体から選択されるタンパク質の、多量化部を含有する、請求項45から49までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【請求項51】
第2ドメインは、融合タンパク質を二量化、三量化、四量化又は五量化することが可能である、請求項45から50までのいずれか1項記載の融合タンパク質。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−524365(P2007−524365A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504877(P2006−504877)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003239
【国際公開番号】WO2004/085478
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505360362)アポゲニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【出願人】(500349247)
【氏名又は名称原語表記】Deutsches Krebsforschungszentrum Stiftung des oeffentlichen Rechts
【住所又は居所原語表記】Im Neuenheimer Feld 280,D−69120 Heidelberg,Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003239
【国際公開番号】WO2004/085478
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505360362)アポゲニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【出願人】(500349247)
【氏名又は名称原語表記】Deutsches Krebsforschungszentrum Stiftung des oeffentlichen Rechts
【住所又は居所原語表記】Im Neuenheimer Feld 280,D−69120 Heidelberg,Germany
【Fターム(参考)】
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