説明

放出確認メータ

材料放出システムの放出操作(例えば、実際の放出量)を測定し、確認するための放出確認メータ。この放出確認メータは好ましくは自動的にゼロオフセットドリフトを補正し、好ましくは十分に大きなサンプル率で放出された材料の流速をサンプルし、所望の放出操作がなされたか否かを確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の放出、特に、放出操作の確認に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の分野では、ガス、流体及びスラリ(以下材料と総称する)の放出を正確に行なう必要がある。例えば、半導体業界においてはシリコンチップの製造においてホトマスキング、エッチング、ポリッシング、クリーニング及びウエハの化学的修正等の種々の課題を実行するため半導体ウエハに種々の材料を加える複数の複雑な処理ステップが必要である。これら処理ステップは材料の正確な量の放出に依存する。他の例として生物薬化学工業における薬品製造及び試験プロダクト(例えば 血液 テスト ストリップ)では材料の正確な量の放出がしばしば要求される。
【0003】
材料の正確な放出を制御するため放出ポンプがしばしば用いられる。例えば、ダイヤフラム ポンプのダイヤフラムの移動距離と、ポンプの弁の正確な開閉時間を制御することによってダイヤフラムポンプによる放出操作を制御できる。然しながら、ポンプの正確な制御のみでは必要とする正確な放出を得ることはできない。ポンプシステムの正確な放出には他のファクタも影響を及ぼす。例えば、ポンプシステムは、実際に放出される材料をどの程度変更できるかは回りの環境の種々の特徴によって影響を受ける。これら環境のファクタとしては、ポンプの入口側の材料圧、ポンプの操作を制御するために用いるタイミング信号の正確度、材料が放出される場所の環境の圧力、放出される材料の粘土、及びポンプの入口及び出口の両方に用いるチューブを流れる材料に対する抵抗を含む。材料に泡が入っているとき、システムにこれを閉鎖する物が入ったとき、または、材料が使い果たされたとき(例えば、材料容器が空になったとき)、放出システムの動作は信頼できないものとなる。放出ポンプの精度に影響する他のファクタは、弁の表面にダメージを与えたり、または、弁の正しい開閉に干渉する物質が材料に入っているときである。更に放出ポンプは、正確な放出が干渉を受ける種々の環境の下では正確な量の材料を放出できたか否か確認することはできない。
【0004】
放出ポンプと同様に、材料の量または流速を測定するために用いられるシステム及び装置の精度もまた材料の温度や圧力、湿度、ライト(Light)レベル、システムの電力レベル、測定システムの使用年数等の環境及び他の環境ファクタまたは変化等の影響を受ける。従って、放出システムに用いる測定装置も影響を受ける。例えば、時間オーバー、測定装置のゼロオフセット エラー値は、初期計算値からずれる(以下ゼロオフセットドリフトと称する。)これら測定装置の使用者は、ゼロオフセットドリフトエラーを再計算する。代表的なゼロオフセットエラーの計算は測定装置によって為されるが、実際の流速がゼロであることを示す入力が必要である。流速がゼロとなるとき使用者はこれをボタン/スイッチで示す。このプロセスは能率が悪く、人的エラーを伴なう。
【0005】
従って、放出システムによる実際の放出量を確認するための測定装置が必要である。また、測定装置のためのゼロオフセットドリフトを自動的に補正するためのシステムと方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は材料の放出操作(例えば実際の放出量)を測定し確認するための放出確認メータを提供する。この放出確認メータは、好ましくは自動的にゼロオフセットドリフトを補正し、好ましくは十分に高いサンプル率で放出される材料の流速をサンプルし、所望の放出操作がなされたか否かを確認する。
【0007】
本発明の放出確認メータは、ゼロオフセットドリフトを自動的に補正する。また、放出確認メータは、放出操作の間のアイドル期間にアイドル流速をくり返し測定する。また、放出確認メータは、これら測定値の平均値を計算し、ゼロオフセットドリフトを決定し、決定されたゼロオフセットドリフトをベースとして、次の流速測定値を補正する。
【0008】
また、本発明の放出確認メータは、放出操作を確認する。放出確認メータは、所望の放出操作のためのデスクリプタ(descriptor)または記述を受け取る。放出操作の間複数回材料の流速を測定し、複数回の測定流速値をベースとして材料の放出量を計算する。放出確認メータは計算した放出量をベースとして放出操作を確認する。
【0009】
また、本発明の放出システムは、材料放出ライン、放出ポンプ、放出確認メータ及び制御システムを含む。放出確認メータは流量計と内蔵(embeded)制御器を有する。放出ポンプは材料放出ラインを介して材料を放出する。放出確認メータは所望の放出操作のためデスクリプタを受け取り、アイドル期間に材料のアイドル流速を計測し、放出操作の間材料の流速を複数回測定する。放出確認メータは複数の流速測定値とアイドル流速測定値とをベースとして材料の放出量を計算する。また、計算した放出量をベースとして放出操作を確認する。
【0010】
本発明はソフトウエア、システム、構成部品、及びこれらに対応する方法及び他の目的のための適用を含む。
【0011】
本発明の実施例を添付図面に基づいて説明するがこれに限定されるものではない。図面中、同一部分には同一符号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の一実施例を示す放出システムのブロック線図である。
【図2】図2は放出操作の間に放出される材料の流速と時間の関係を示すグラフである。
【図3】図3は本発明の一実施例における図2に示す流速値の一部と同一の時間内に測定した流速の測定値を示すグラフである。
【図4A】図4Aは本発明の一実施例における放出システムのための流速を測定する放出確認メータの放出タイミングシナリオの説明図である。
【図4B】図4Bは本発明の一実施例における放出システムのための流速を測定する放出確認メータの放出タイミングシナリオの説明図である。
【図4C】図4Cは本発明の一実施例における放出システムのための流速を測定する放出確認メータの放出タイミングシナリオの説明図である。
【図4D】図4Dは本発明の一実施例における放出システムのための流速を測定する放出確認メータの放出タイミングシナリオの説明図である。
【図5】図5は本発明の一実施例における放出システムの放出操作を測定し、確認するためゼロオフセットドリフトを補正するための放出確認メータによる確認方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面によって材料放出システムの放出操作の測定及び確認のための放出確認メータ(及び対応する方法、システム及びコンピュータ プログラム プロダクト)を説明する。この放出確認メータは、放出操作の間放出材料の流速を測定し、放出操作による実際の放出量を計算し、確認する。この放出確認メータはゼロオフセットドリフトを自動的に補正し、放出操作の間のアイドル期間の流速を測定し、この測定値をゼロオフセットドリフトの補正のために用いる。
【0014】
以下の記載における材料としてはガス、流体(例えば液体、半固体材料及びスラッヂ)、固体(例えば砂等の粒状体)、またはこれらの混合物(例えばスラリー等の不溶性材料の水混合物を総称する。
【0015】
放出システム
【0016】
図1は本発明の一実施例における計量した材料放出システム100の構成説明図である。この放出システム100は放出ポンプ110と、放出確認メータ120と、材料放出ライン160と、制御システム130とを含む。放出ポンプ110と放出確認メータ120は放出ライン160に接続する。放出ポンプ110と放出確認メータ120は、この例では相互連結ライン140を介して制御システム130に連結する。放出システム100は材料を正確に繰り返して放出する。
【0017】
放出ポンプ110は、制御システム130によって制御された方法によって所定量の材料を繰り返し放出する。本発明の一実施例においては、放出ポンプ110は制御システム130から放出信号(即ちトリガ信号)を受け取り、放出信号をベースとして(例えばシステムのスタットまたはストップ時)放出操作を行なう。放出ポンプ110は、材料を引き出す、または、提供するための供給管は160A(材料管または入口管)と、材料を放出または釈放または供給するための放出管160B(または出口管)とを有する。以下供給管、放出管及び相互連結ラインは材料放出ライン160として示す。
【0018】
放出ポンプ110は、材料の引き出し及びまたは放出を制御するために種々の技術を用いることができる。例えば、放出ポンプ110の出口には、制御システム130によって制御される弁を設けることができる。材料を放出するためこの弁を制御された期間開き、材料を出口から放出管160Bを介して放出する。例えば放出ポンプ110としては蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ、加圧弁ポンプ、カートリッジ圧力弁ポンプを用いることができる。
【0019】
放出確認メータ120は、放出ポンプ110によって放出された材料の流速を測定し、放出操作(例えば放出量が許容範囲内か否か)を例えば制御システム130から受け取った、または放出確認メータ120に手動で入力された所望の放出操作のデスクリプタをベースとして確認する。本発明の一実施例においては、放出確認メータ120は放出管160Bの近くに配置し、放出管160Bを流れる材料の流速を測定し、測定値(例えば数値的に集積した値)をベースとして放出量を計算する。放出確認メータ120は制御システム130から制御信号を受け取る。
【0020】
本発明の一実施例においては、放出確認メータ120はフローメータ及び内蔵制御器を有する。この放出確認メータ120は制御システム130からトリガ信号を受け取る。放出操作開始のため制御システム130は放出ポンプ110に対し放出信号を送る。トリガ信号の例を図4A〜図4Dに示す。放出確認メータ120は、制御システムに確認結果(例えば、放出量が制御システム)から受け取った、または放出確認メータ120に手動で入力されたデスクリプタによって定められた許容範囲内であったか否か)を送る。本発明の一実施例においては、放出確認メータ120は、放出操作間のアイドル期間に行なった測定値をベースとしてゼロオフセットドリフトを自動的に補正する。放出確認メータ120内に配置された流量計は例えば超音波流量計、タービン/外車流量計、差圧流量計、歯車流量計、正変位流量計、電磁流量計、ドップラ流量計、渦流量計、熱量流量計及びコリオリ流量計を含む。
【0021】
制御システム130は材料を放出するとき放出ポンプ110を指揮し、放出操作のタイミングを示す制御信号を放出確認メータ120に送る。本発明の一実施例においては、制御システム130は一般自的コンピュータ、プログラム可能なロジック コンピュータ(PLC)または集積回路を含む。制御システム130は放出ポンプ110に放出信号を送り(例えば放水ポンプ110を200ms回転し)、また、放出確認メータ120に放出信号を送る。本発明の一実施例においては制御システム130は放出確認メータ120から測定されたデータを受け取り、(例えば放出信号の時刻と期間)を示す信号を作り、これを放出ポンプ110に送る。この場合、放出確認メータ120によって成された測定値は次に放出される材料の量に影響する。本発明の他の実施例においては、制御システム130は放出確認メータ120からの測定されたデータ及びまたは確認結果を受け取り、これを記録または使用者に理解せしめるため(例えば確認結果をスクリーンに表示するため)出力する。
【0022】
相互連結ライン140により放出ポンプ110、放出確認メータ120及び制御システム130間を相互連結せしめる。この相互連結ライン140は、簡単なワイヤ、より高度なワイヤまたは無線ネットワークとする。ネットワークの例としては、CANバス、フィールドバス、MODバス、プロファイバス、インターネット、WiFi ネットワーク、WiMAX ネットワーク、自動車電話ネットワーク、またはこれらの組み合せとする。
【0023】
図2は、代表転記な放出操作の間に放出管160を介して放出される材料の流速と時間の関係を示すグラフである。代表的な放出操作は、放出がなされない期間(“初期アイドル相”として知られるT0とT1の間)、放出がなされている間(“放出相”として知られるT1とT2間)、及び材料放出操作の後の放出されない期間(“次のアイドル相”として知られるT2の後の期間)を含む。アイドル相の間流速は零となる。放出相の間、材料は放出ライン160を介して放出され、流速は一般的に零にはならない。
【0024】
図2に示すように(T1とT2間)の放出相においては、放出ポンプ110によるアイドルスピードからフルスピードに至るスタートランプ(ramp)210と、フルスピードからアイドルスピードに至るストップランプ230とを有する。スタートランプ210とストップランプ230間の流速変化は大きい。2つのランプ210と230間には安定期間220がある。この安定期間220間では流速が変化することもある。この安定期間では放出ポンプ110は全速で回転され、流速は一定である。この実施例では、スタートランプ210とストップランプ230内では流速変化は非直線である。スタートランプ210からストップランプ230に移る間及びストップランプ230からこれに連なるアイドル相間にはオーバーシュート変動がある。これはポンプの構造等によるファクタと、キャビテーション等の他の原因によって発生する。
【0025】
本発明の一実施例においては、制御システム130は時刻T1で放出操作を開始する。図2に示すように放出ポンプ110は時刻T1で直ちに放出操作を開始する。他の例としては放出相をある時間遅れて開始せしめる。例えば、制御システム130は時刻T1より前に制御システム130から放出信号を発生せしめ、放出ポンプ110による放出開始を所定時間遅れるようにする。この遅延時間の間には材料は放出されない。放出操作のタイミングと測定の例を図4A〜図4Dに詳細に示す。
【0026】
放出操作のための測定と計算
【0027】
放出ポンプ110によって送られる材料の量は、ポンプ作動期間、材料圧、ポンプ速度及び放出ポンプ110の型に依存する他のファクタによって影響を受けるため、放出ポンプ110に対し送られる、または放出ポンプ110からの情報をベースとして材料の放出量を正確に計算することは制御システム130にとって困難である。従って、放出操作の間に測定された放出材料の流速をベースとして放出確認メータ120によって放出量を計算することが好ましい。
【0028】
図3に示すように、放出確認メータ120により放出相差の間に流速を周期的に測定し測定した流速を積算(または合算)し、放出相差の間に放出した材料の量を決定する。図3は、図2に示す流速の一部と、同一期間に測定された流速と時間との関係説明図である。
【0029】
図3に示すように、放出確認メータ120は、放出相間に材料放出ライン160を通る材料の流速を測定する。本発明の一実施例においては、放出確認メータ120は制御システム130から放出信号を受け取った直後に流速測定を開始する。例えば放出確認メータ120は流速を時刻t1、t2、t3・・・・tnにおいて測定する。図4A〜図4Dによって以下述べるように放出確認メータ120は放出相の間に異なる放出タイミングのシナリオで流速を測定する。本発明の一実施例においては放出確認メータ120は放出操作の前後を含めて連続的に流速を測定する。
【0030】
図2と図3に示すように放出操作の間実際の流速は時間により変化する。スタートランプ210ストップランプ230の間ポンプ回転数は上昇または下降し、この結果、流速の増加または減少をもたらす。キャビテーション等の影響により流速もまた変動する。材料の放出量は放出相の間の流速の集積値に等しい。従って、図2に示す流速の曲線で囲まれる面積の値は放出量に等しい。放出確認メータ120は、放出相で測定された流速の集積値(例えば棒状パターンで示される図3のリーマン積分)によって放出量を推定できる。
【0031】
本発明の一実施例においては、放出確認メータ120は放出相の間の実際の流速変化を正確に測定するため十分に高い頻度(frequency)で流速をサンプルする。例えば、放出確認メータ120は、放出操作の間流速の最大頻度成分の固有のサンプル頻度(ナイキスト頻度)よりも高い頻度で流速を測定する。これにより放出量をより正確に測定できる。本発明の一実施例においては同一頻度(例えば測定の間同一時間間隔)で測定を行なう。他の例としては放出確認メータ120は放出操作の間に測定頻度を変えるようにする。
【0032】
例えば、流速が一定のとき、より少ない頻度でサンプルし、流速がより急速に変化するとき、より大きい頻度でサンプルする。本発明の一実施例においては、放出確認メータ120は、測定がなされたとき測定した流速値を集積する。他の例においては、放出確認メータ120は始めに総べての測定値を集め、次いで放出相の後数値的に集積する。
【0033】
ゼロオフセットドリフト補正
【0034】
上述のように環境ファクタ(例えば材料の温度及び圧力、環境の温度、湿度、ライトレベル、システムのパワーレベル、測定システムの経年変化)が放出確認メータ120のゼロオフセットドリフトの原因となる。例えば、放出システム100の温度が上昇したとき、放出確認メータ120のゼロオフセットが初めに計算したゼロオフセットからドリフトし、このゼロオフセットドリフトが放出確認メータと測定精度及び計算された放出量の精度に直接影響を及ぼす。
【0035】
ゼロオフセットドリフトの効果を以下の例で説明する。以下の例では放出確認メータ120は、流速を毎秒100回測定(100ms毎に1回測定)することをベースとする。この計測の範囲は0〜100ml/(10ms)である。放出ポンプ110はアイドルからフルスピードに50msランプアップし、フルスピードからアイドル迄50msランプダウンする。フルスピードにおける流速は20ml/(10ms)である。制御システム130は放出信号を発し、ポンプを時刻0で200ms駆動する。
【0036】
表1はゼロオフセットドリフトの効果を示す。表1の2欄と3欄は、種々の時刻における実際の流速と、対応する積算合計(即ち放出量)を示す。測定された放出操作の間に400mlの材料が放出されている。
【0037】
【表1】

【0038】
4欄と5欄は測定された流速と、対応する推定放出量を示し、ここで放出確認メータ20は0.2ml/(10ms)の補正されないゼロオフセットドリフトを有している。放出確認メータ120は、実際の放出量が400mlのところゼロオフセットドリフトによりこれより6.6ml多い406.6mlを放出量として計算している。
【0039】
放出システム100は放出操作の間のみ材料を放出するため、放出操作の間のアイドル期間では実際の流速は零となる。放出操作が放出信号によって開始されるのであれば放出信号が発生する前後の実際の流速は零となる。従って、放出操作の直前に測定された流速はオフセットエラーによるものであり、放出確認メータ120はゼロオフセット ドリフトにおける実際の測定値を決定できる。表1に示すように、放出ポンプ110にスタート信号を発する時刻0の直前のアイドル期間のゼロオフセット ドリフトは0.2ml(10ms)ある。従って、放出確認メータ120は、ゼロオフセットドリフトが0.2ml/(10ms)であることを決定できる。
【0040】
放出確認メータ120はアイドル流速を測定するため放出操作の間のアイドル期間を利用し、計算された放出量に対する影響を補正(訂正)するため測定したドリフト値を用いる。放出確認メータ120は次に測定された流速を補正するためドリフト値を用い、より正確な流速と放出量を測定できるようにする。ゼロオフセットドリフトの原因となる環境効果は、アイドル期間と放出操作の間に比べ比較的に長く且つ遅い。従って、数10分続くドリフトは、放出操作の数秒前または放出操作の間は安定した値と考えることができる。アイドル時間(例えば初期アイドル相)の間のゼロオフセットドリフトの原因となる環境効果は、アイドル時間直後の放出操作の間のゼロオフセットに対し同一(または略同一)の効果となる。ゼロオフセットドリフト値を推定できれば、放出確認メータ120は続く放出積分計算上のドリフトを補正でき、従って集積結果を補正でき、放出量をより正確に推定できる。例えば、表1に示すように測定された放出操作のため放出確認メータ120は、(0.2ml/10ms)のドリフト値をとることができ、これに放出操作の間の測定回数33を乗じて正確な集積エラー値0.2×33=6.6mlを得ることができる。従って、放出確認メータ120は400ml(406.6ml−6.6ml=400ml)の補正された放出量を計算できる。
【0041】
測定にはノイズが伴なう。測定した流速も例外ではない。本発明の一実施例においては放出確認メータ120は、放出操作のアイドル期間内で複数回測定し、アイドル流速測定値の平均値をベースとしてゼロオフセットドリフトを計算することによってノイズの影響を少なくする。上述のように、環境効果はゼロオフセットをゆっくりとドリフトせしめ、2つの放出操作の間のドリフトを一定ならしめる。従って、測定数が多くなれば計算値の平均に含まれるノイズの影響はより減少する。ガウス分布(共通の場面)のノイズに対しては測定数の平方根を用れば平均スケールが改良される。例えば、9つの測定値の平均がノイズの効果を(3=√9)と1/3に減少し、100の測定値の平均がノイズの効果を(10=√100)と1/10に減少する。
【0042】
放出操作の間のアイドル期間は放出確認メータ120には知られていない。放出確認メータ120にて得られる唯一の信号は、アイドル流速を測定するにはあまりにも遅いポイントで放出操作が開始されるということを示す放出信号である。この問題を解決するため、放出確認メータ120はアイドル期間に作られる総べての測定値を無差別平均する。然しながら、このアイドル期間は、例えば、材料容器が空であり、充填が必要なときは長くなる。ゼロオフセットは、このような放出の間の長い遅延の間にドリフトする。長い遅延の間の総べての測定流速値をベースとする平均値はより速いゼロオフセットドリフト値を無差別的に与える。計算された平均値は続く放出操作を定めるために用いられるため、より新しいゼロオフセットドリフト値が代表値となる。以下の記載は考えられる幾つかのアプローチである。
【0043】
(1)リング バッファ アプローチ
【0044】
このアプローチでは、放出確認メータ120が、連続的に更新されるアイドル流速測定値のリング バッファ(即ち、第1アウトバッファ内の第1)を維持する。従って、リング バッファは最も新しい流速測定値Nを貯蔵する。このNの選択は適用次第である。これは、ノイズ効果を減少するため多数の測定値を平均するという望みと、あまりも古く、もはや最新のゼロオフセットの代表とは成し得ない測定値を捨てるという望みと、より以上の貯蔵に必要とする付加的コスト(例えば金額、エネルギー消費)との間の取引きである。例えば、測定が10ms毎になされ、リングバッファが長さ100素子(N=100)のものであれば、リングバッファは1秒毎のアイドル流速測定値を記録する。
【0045】
始めにリングバッファを空にする。放出確認メータ120がアイドル流速を測定したとき、この測定値を順次にリングバッファ内に貯え、若しバッファが満たされているときは、放出確認メータ120は最新のものを最も古い(または最も最初の)測定値に重ね書きせしめる。リングバッファは、測定値が有効なものか、測定エラーが検出されたときの測定値であるか、リングバッファが満たされているか、及びリングバッファ内の最も早い測定の位置等を共に記録する特徴を有する。
【0046】
上述の実施例(10ms毎の測定、N=100)を続行し、放出確認メータ120がアイドル流速を500ms毎に測定したときは、リングバッファ内の初めの50の位置に50の測定値が貯えられる。残りの50の位置には有効なデータは貯えられていない。また、放出確認メータ120がアイドル流速を1500ms毎に測定したときは150の測定値が得られる。最も新しい50の測定値がより最初に貯えられた50の測定値に重ね書きされる。リングバッファ内の100の測定値が最も新しい測定値となる。最も新しい測定値のリングバッファ内の位置が50番目の位置となり最も古い測定値が51番目の位置となる。以下はリングバッファ アプローチのもとで平均値(“平均値1”)を定めるための1つのプロセスの要約である。
リングバッファが少なくとも100の測定値を貯えていたとき
平均値1=SUM(リングバッファからの最も新しい100の測定値)/100
または、平均値1=SUM(リングバッファ内の有効な測定値)/(リングバッファ内の有効な測定回数
【0047】
(2)遅延アプローチ
【0048】
本発明の一実施例においては、放出操作を開始するため放出信号を放出ポンプ110に送り、それから実際にポンプが始動する迄の間には一定の遅延がある。この遅延の間の流速は零であり、これはゼロオフセットドリフトの平均値のために用いることができる。以下は遅延アプローチのもとで平均値(“平均値2”)を定めるためのプロセスの要約である。
平均値2=SUM(放出スタート信号からポンプスタート迄の測定値)/(測定回数)
【0049】
(3)リングバッファ アプローチの繰り返し
【0050】
このアプローチのもとでは、放出確認メータ120は前の放出ゼロオフセットドリフトを繰り返し平均するため測定のブロック(例えばリングバッファ)を用いる。リングバッファ アプローチとは異なり、放出確認メータ120がリングバッファ内に対する測定値の記録を停止する迄(例えば、放出ポンプがスタートするか、または放出信号を受け取る迄)計算はできないが、後述の方法でブロックの平均を迅速に計算できる。放出操作の間のアイドル期間に放出確認メータ120は、リングバッファが満たされたとき、放出確認メータ120はブロック平均値を計算し、これを最も新しいブロック平均値として貯える。このリングバッファは次いで休みとし、新たな測定と計算ラウンドをスタートせしめる。放出操作のスタート前にリングバッファが再び満たされたときは、得られた平均値を最も新しいブロック平均値として先に貯えた平均値と交換する。放出操作が開始されたとき、放出確認メータ120は、ゼロオフセットドリフトとして貯えた最も新しいブロック平均値を用いるか、または(必要に応じて)リングバッファ内に最近記録した測定値を用い、改良された平均値を計算する。例えば、容量Nのリングバッファ内に35の測定値が貯えられているときは、平均値(“平均値3”)は以下で計算できる。
平均値3=(実際の平均値3)×N+SUM(最近の35の測定値)/(35+N)
【0051】
(4)繰り返される蓄積アプローチ
【0052】
このアプローチのもとで、放出確認メータ120は、先の放出ゼロオフセットドリフトを繰り返し平均するため測定のブロックを用いる。このブロックの平均値は以下の方法で迅速に計算できる。放出操作の間のアイドル期間に放出確認メータ120は所望の数Nの測定値を蓄積する迄蓄積器内に連続する測定値を蓄積せしめる。蓄積が完了したとき、放出確認メータ120は蓄積器内の測定値の数(N)によって蓄積値を分割し、ブロック平均値を計算し、これを最も新しいブロック平均値として貯える。この蓄積器は次いで休みとし、測定と蓄積の新しいラウンドをスタートせしめる。
【0053】
以下は繰り返される蓄積アプローチのもとで平均値(“平均値4”)を定めるための方法の要約である。
平均値4=SUM(放出スターと信号に先立つNの測定値)/(N)
【0054】
放出操作のスタート前に次の蓄積プロセスが完了したときは、得られた平均値を最も新しいブロック平均値として先に貯えた平均値と交換する。放出操作が開始されたとき、放出確認メータ120は、ゼロオフセットドリフトとして貯えた最も新しいブロック平均値を用いるか、または、(必要に応じて)蓄積器内に最近記録した測定値を用い改良された平均値を計算する。例えば、蓄積器内に35の測定値が貯えられており、実際の平均値4が既に計算されているときは、改良された平均値4は以下で計算できる。
平均値4=(実際の平均値4)×N+SUM(最近の35の測定値)/(35+N)
【0055】
本発明の他の実施例においては、放出確認メータ120は、例えば、より新しい流速測定値に対しより重みづけしたアイドル流測定値の重みづけられた平均値または始動平均を計算する。変形としては、放出確認メータ120は、より新しく測定した多数の流速値の単純な移動平均、重みづけした移動平均、または指数移動平均を計算する。
【0056】
本発明の一実施例においては、放出確認メータ120は、一定の頻度(例えば測定間の同一時間間隔)ではアイドル流速を測定しない。放出確認メータ120はアイドル期間が消滅したとき測定頻度を増大せしめ、例えばより多くの測定を実際の放出相のスタートにより近づけて行なうようにする。
【0057】
タイミング シナリオ
【0058】
図4A〜図4Dは、放出確認メータ120が流速測定とアイドル流速測定を行なうことができるとき制御のためどのようにトリガ信号を使用できるかを示す4つの例を示す。他のタイミング シナリオを作ることはこれらの例をガイドとして当業者にとって自明であり、これら4つの例によってタイミング シナリオが制限されるものではない。
【0059】
図4Aにおいて、タイミング信号410または412のレベルは放出操作の発生を示す。例えば信号410は高レベルの放出相を示す。放出作業は、トリガ信号410が低レベルから高レベルに移った後にスタートし、トリガ信号410が高レベルから低レベルに移る前に終了する。トリガ信号412は放出相が低レベルで示されることを除いて上記と同様である。
【0060】
このアプローチでは、放出確認メータ120はトリガ信号(例えば高レベル信号410)が出たときこの期間で流速測定を行なう。例えば、トリガ信号410が高レベルの期間に放出する材料の放出量を定めるため放出確認信号120は流速を測定する。
【0061】
ゼロオフセットドリフトを定めるため信号410が低レベルから高レベルになる前の低レベルで放出確認メータ120はアイドル流速を測定する。ゼロオフセットドリフトを推定するため放出確認メータ120は期間420でアイドル流速を測定し、平均値(例えば平均値1)を計算する。変形としては、(または追加として)放出確認メータ120は期間424と426の期間にアイドル流速を測定し、リングバッファ アプローチの繰り返しまたは蓄積アプローチの繰り返しに続いて平均値(例えば平均値3または平均値4)を計算する。期間426は、最も新しいブロック平均値が計算されたときの時刻と放出操作が始まった時の時刻との間の不規則な遅延を示す。本発明の一実施例においては、期間424は2つの連続する放出操作間の遅延の半分以下とし、従って1つの放出サイクルの終わりと次の放出サイクルのスタート間で少なくとも1つのブロック平均値が作られるようにする。
【0062】
図4Bに示すように、トリガ信号430と432のレベルは放出操作の開始を示す。放出操作は、図4Aに示す前の例におけるように最初の変化の後に開始されるが、放出操作はトリガ信号の第2の変化(変化の終了)を越えて続けられる。従って、トリガ信号430が低レベルから高レベルに変った後にのみ積極的な材料放出がスタートし、トリガ信号430が高レベルから低レベルに変った後で、割り増しのバッファ期間が終わる前に積極的な材料放出が終了される。例えば、トリガ信号430は放出ポンプ110を制御するために用いられる信号と同一であり、放出ポンプ110はトリガ信号が終了した後に或る設定期間駆動される。その結果、割り増しの測定期間434が用いられる。
【0063】
このアプローチでは、トリガ信号(例えば信号430)が高レベルのとき及び付加的測定期間434で放出確認メータ120が流速の測定を行なう。例えば、トリガ信号430が高レベルのときの期間及び付加的測定期間434で放出確認メータ120は、上記期間に放出される材料の量を計算するため流速を測定する。放出確認メータ120は、ゼロオフセットドリフトを定めるため残りの時間でアイドル流速を測定できる。図4Aのシナリオと同様、放出確認メータ120はリングバッファ アプローチに続いて期間440でアイドル流速を測定し、平均値(平均値1)を計算し、及びまたは繰り返しのリングバッファ アプローチまたは繰り返しの蓄積アプローチに続いて期間444と446でアイドル流速を測定し、平均値(例えば平均値3または平均値4)を計算できる。
【0064】
図4Cに示すようにトリガ信号450、452、454、456は放出操作の開始を示し、所定の期間458迄続く。例えば、トリガ信号450の立ち上がりは放出操作の始まりを示し、トリガ信号450は速やかに低レベルに戻り、殆んどの時間このままとなる。トリガ信号452の立ち上がりは放出操作の始まりを示し、殆んどの時間この高レベルのままとなる。従って、トリガすることは低レベルから高レベルにすることであり、信号が主として低レベルか高レベルであるかには無関係である。
【0065】
信号454と456はその立ち下がりが放出操作の開始を示す例である。
【0066】
このシナリオでは、トリガ信号が期間458に続く要望された変化をしたとき、放出確認メータ120は期間開始時に流速を測定する。放出確認メータ120は他の時刻でアイドル流速を測定できる。
【0067】
図4Dは図4Cと同様トリガ信号470、472、474、476の特別な変化は放出操作の開始を示す。トリガ信号470、472、474、476におけるレベル変化は、先端の立ち上がりと、後端の立ち上がりと、先端の立ち下がりと、後端の立ち下がりとを示す。図4A〜図4Cのシナリオとは異なり、変化と放出操作の開始間に一定の遅延480を有する。図4Cと同様、放出操作の期間を期間478で示す。
【0068】
このシナリオでは、放出確認メータ120は期間478に流速を測定する。放出確認メータ120は、期間480を含む他の時刻でアイドル流速を測定できる。
【0069】
放出確認メータ操作
【0070】
図5はゼロオフセットドリフトと確認放出量を訂正する放出確認メータ120のための方法説明用フローチャートである。上記方法の1つ以上の部分はハードウエア及びまたはソフトウエアまたはその組み合せの実施例である。例えば、この方法はここで記載した行為を実行するための指令を通して実施され、かかる指令はコンピュータ内の読み取り可能な媒体(例えば読み取り専用メモリ)に貯蔵でき、コンピュータ プロセッサまたは内蔵プロセッサによって再現できる。更に、当業者は異なる順序のステップによる他の方法を用いることができる。更に、他の実施例においては、ここで示すものと異なる及びまたは付加的ステップを含むものとすることができる。
【0071】
始めに放出確認メータ120は、所望の放出操作のためのデスクリプタ(記述)500を受け取る。例えば、許容できる最小及び最大の放出量を受け取り、図4A〜図4Dに示すような時間間隔434、458、480及び478を受け取り、及びまたは放出操作間の時間間隔を受け取る。放出確認メータ120は放出操作の間のアイドル期間にアイドル流速510を測定する。アイドル期間では流れがないため、これらの測定はゼロオフセットドリフトを推定するために用い得る。放出確認メータ120は測定流速をベースとして520でゼロオフセットドリフトを計算する。放出確認メータ120はゼロオフセットドリフトとして最新の測定値を用い、測定値の平均を計算する。
【0072】
放出確認メータ120は放出操作の発生を示すトリガ信号を530で受け取る。図4A〜図4Dに示すように異なるタイプのトリガ信号を用いることができ、実際の操作に応じて異なるタイミングのシナリオを用いることができる。材料放出を、トリガ信号発生の直後またはある時間遅延の後スタートせしめる。放出確認メータ120は、放出操作において材料の放出速度を540で繰り返し測定する。放出操作の間、流速は連続的に変化するため放出確認メータ120は、流速変化を正確に知るため十分に短い時間間隔で流速をサンプルするのが好ましい。この流速は、アイドル流速をサンプルするための間隔とは異なる間隔でサンプルできる。
【0073】
放出確認メータ120は、放出操作間に測定した流速をベースとして及び計算されたゼロオフセットドリフトをベースとして550で放出量を計算する。本発明の一実施例においては、放出確認メータ120が調節された流速を得るためゼロオフセットドリフトによって各流速測定値を相殺せしめ、次いで放出量を計算するためこれら数値を550で数値的に集積する。
【0074】
放出確認メータ120は、放出量を500で受け取った値と比較することによって560で確認する。例えば、放出確認メータ120は、最小放出量と最大放出量で定められた、放出量のための許容範囲を制御システム130から受け取る。放出確認メータ120は、計算された放出量を560で最小及び最大値と比較する。計算された放出量が許容範囲内であれば、放出確認メータ120は560で放出操作を順次に確認する。または560で確認は失敗する。
【0075】
放出確認メータ120は、測定した流速、計算された結果(例えば放出量とゼロオフセットドリフト)及びまたは確認結果を570で出力する。この出力は、オーディオ/ビデオ/振動による(例えば確認失敗のための)警報、(例えば先の放出操作を無効とするため制御システム130に対する)制御信号、(例えば記録のためのデータベースまたは管理部に対する)データメッセージのような任意のフォーマットとなし得る。放出確認メータ120は、計算されたゼロオフセット ドリフトをベースとして他の指令を送り出すことができる。例えば、ゼロオフセット ドリフトがあるしきい値を越えているときは、放出確認メータ120は、放出システムの作業環境を調節すべきであるという知らせ、及びまたは、放出システムの構成を交換(例えば放出ポンプ110または弁を交換)すべきであるということを知らせる報告及びまたは警報を出し得るようにする。
【0076】
放出確認メータ120は、確認放出操作の後のアイドル期間のアイドル流速を510で測定することによってプロセスを繰り返し、予定されている放出操作のための順次の工程を実行する。
【0077】
放出操作確認メカニズム(または機能)と、ゼロオフセットドリフト訂正メカニズム(または機能)は別個のメカニズムである。放出メータは、2つのメカニズムの何れか一方または双方の機構を有する。例えば、放出確認メータ120はゼロオフセットドリフト訂正メカニズムを用いることなく放出操作を確認できる。
【0078】
他の実施例
【0079】
本発明の一実施例においては、ゼロオフセット ドリフトを定めるための放出操作の前にアイドル流速を測定することの代りにまたはこれに加えて放出確認メータ120は、放出操作の後にアイドル流速を測定できる。
【0080】
本発明の一実施例においては、放出確認メータ120は、放出操作のスタート及びまたは終了を示すトリガ信号を用いない。放出確認メータ120は、更なる放出操作のためのスタート時刻及び期間を(例えば機械習得アルゴリズムを用いて)定めるため過去の測定データを用いる。
【0081】
本発明の一実施例においては、放出ポンプ110による放出に影響せしめるため放出システム100のフィードバックパスにおいて放出確認メータ120を用いる。例えば、放出確認メータ120は、放出ポンプ110が所望量以上の量を放出したこと示したとき、所望の放出量と測定された放出量との差を放出ポンプ110によって放出される量を調節するために用いることができる。またより多くの材料を放出したこと、または、確認失敗を放出ポンプ110を制御するためフィードバックとして用いる。
【0082】
本発明の一実施例においては、放出システム100は、温度センサ等の他のセンサを有し、制御システム130はこれを報告し、及びまたは測定した環境ファクタ(例えば温度)を制御する。
【0083】
本発明の一実施例においては、放出確認メータ120を、流体(例えば液体、半固体及びスラッジ)及びスラリ(例えば不溶物質の水混合物)の放出操作を測定し及び確認するために用いる。他の実施例においては放出確認メータ120をガスや固体のような他の材料の放出操作を測定し、確認するために用いる。
【0084】
放出確認メータ120は、材料放出システムのための正確な測定と確認を行なう。放出確認メータ120はゼロオフセットドリフトを自動的に訂正し、材料放出量測定と確認の精度を改良せしめる能力を有する。
【0085】
材料放出量とゼロオフセットドリフトの計算は放出確認メータ120により急速且つ正確に行なうことができる。正確な確認は放出システムの制御をより良いものとするものであり、従って、放出確認メータ120により正確な材料放出をもたらすことができる。
【0086】
以上の説明から多くの特定な事例を完全に理解することができる。然しながら、当業者によっては上記特定な例によることなしに本発明を実施できることは勿論である。他の例は、不明瞭な説明を避けるためブロック線図で示す。
【0087】
明細書中の記載“一実施例”とは明細書中の少なくとも1つの実施例における特定の目的、構成または特徴を有するものである。明細書の種々の部分に示した“一実施例”は総べて同一である必要はない。
【0088】
本発明の説明は操作を実行するための装置に関するものである。この装置は、望まれた目的のための特定の構成のもの(内蔵プロセッサ)とするか、または、コンピュータ内に貯えられたコンピュータ プログラムによって選択的に達成される一般的目的のコンピュータとする。このようなコンピュータ プログラムは、コンピュータによって読み得る貯蔵メディア内に貯蔵する。例えばこれに限定されないがフロッピィディスク、光ディスク、CDROM及び磁気−光ディスク等を含む任意のタイプのディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、FLASH、磁気または光カード、または電子指令を貯蔵するのに好ましい、コンピュータまたは内蔵プロセッサシステムバスに結合される任意のタイプのメディア内に貯蔵する。
【0089】
ここで示すアルゴリズムとディスプレイは特別なコンピュータまたは他の装置に本質的には関連しない。種々の一般目的のシステムをプログラムと共に用いるか、または、望まれる方法を実行するためより特別な装置と共に用いる。これら種々のシステムのために望まれる構成は明細書に記載されている。更に明細書の記載は特別なプログラム語に関するものではない。種々のプログラム語は明細書記載の技術を実施するために用いたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
望まれる放出操作のためのデスクリプタを受け取り、
放出操作の開始を示すトリガ信号に応答し、放出操作の間に複数回放出される材料の流速を測定し、
複数の測定流速値をベースとして材料の放出量を計算し、及び
計算された放出量と受け取ったデスクリプタをベースとして放出操作を確認する
工程より成る放出確認メータによる放出操作の確認方法。
【請求項2】
上記トリガ信号は、材料の放出を所定の遅延の後にスタートすることを示すものである請求項1記載の方法。
【請求項3】
放出操作の間の材料の流速測定サンプル頻度より大きい頻度で流速が測定されることを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
所望の放出操作のためのデスクリプタが最小放出量と最大放出量とを含み、放出操作の確認が、計算された放出量が最小放出量と最大放出量間にあるか否かを定めること、及び計算した量が最小放出量と最大放出量間に無いときは確認失敗を示す警報信号を発することを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
確認が成功か失敗かを示す確認結果を伝送することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
所望の放出操作のため受け取ったデスクリプタと比較した、計算された放出量をベースとして次の放出操作を調節することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
確認が成功か失敗かをベースとして次の放出操作を調節することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
放出操作の間のアイドル期間に1または複数回数材料のアイドル流速を測定することを更に含み、複数の測定流速値をベースとする材料の放出量計算が、複数の測定流速値とアイドル流速測定値とをベースとして材料の放出量を計算することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
材料の放出量の計算が、アイドル流速測定値をベースとしてゼロオフセットドリフトを計算し、計算されたゼロオフセットドリフトを考慮して複数の流速測定値を数値的に集積することを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
計算されたゼロオフセットドリフトを考慮した複数の流速測定値の数値的集積が、放出操作の間になされる各流速測定値のためゼロオフセットドリフトをオフセットすることによって調節された流速測定値計算し、複数の調節された流速測定値を数値的に集積することを含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
ゼロオフセットドリフトの計算が、アイドル期間に流速測定値の平均値をベースとしてゼロオフセットドリフトを計算することを含む請求項9記載の方法。
【請求項12】
アイドル流速測定値の平均値が、直前の放出操作の終了時以後に測定されたアイドル流速値の平均値である請求項11記載の方法。
【請求項13】
複数回のアイドル流速の測定が、材料の放出開始前でトリガ信号受け取り後になされることを含む請求項11記載の方法。
【請求項14】
トリガ信号が、材料の放出が所定の遅延の後にスタートすることを示す請求項8記載の方法。
【請求項15】
放出操作の間の材料の流速測定が、放出操作のサンプル頻度よりも大きい頻度でなされることを含む請求項8記載の方法。
【請求項16】
所望の放出操作のためのデスクリプタが、最小放出量と最大放出量とを含み、放出操作の確認が、計算された放出量が最小放出量と最大放出量との間にあるか否かを定めること、及び計算した放出量が最小放出量と最大放出量間に無いときは確認失敗を示す警報信号を発することを含む請求項8記載の方法。
【請求項17】
確認が成功か失敗かを示す確認結果を伝送することを更に含む請求項8記載の方法。
【請求項18】
所望の放出操作のため受け取ったデスクリプタと比較した、計算された放出量をベースとして次の放出操作を調節することを更に含む請求項8の方法。
【請求項19】
確認の成功または失敗をベースとして続く放出操作を調節することを更に含む請求項8記載の方法。
【請求項20】
材料放出ラインと、
材料放出ラインに接続されこのラインを介して材料を放出する放出ポンプと、
材料放出ラインに接続され、所望の放出操作のためのデスクリプタを受け取り、放出操作の開始を示すトリガ信号に応答し、放出操作の間複数回材料の流速を測定し、複数の測定流速値をベースとして材料の放出量を計算し、計算した放出量をベースとして放出操作を確認する放出確認メータと、
放出ポンプと放出確認メータに連通され、放出確認メータからの確認を受け取り、放出ポンプを制御する制御システムとを有する放出システム。
【請求項21】
放出確認メータが材料のアイドル流速を測定し、複数の流速測定値をベースとする放出量計算が、複数の測定流速値とアイドル流速測定値とをベースとして材料の放出量を計算することを含む請求項20記載の放出システム。
【請求項22】
デスクリプタが制御システムによって送られるかまたは手動で入力される請求項20記載の放出システム。
【請求項23】
放出確認メータに接続される材料放出ラインを通る材料の流速を測定する流量計と、及び
上記流量計に連通され、所望の放出操作のためのデスクリプタを受け取り、放出操作の開始を示すトリガ信号に応答し、放出操作の間に複数回材料放出ラインを通る材料の流速を測定する流量計を制御し、測定された複数の流速値をベースとして材料の放出量を計算し、計算された放出量と受け取ったデスクリプタをベースとして放出操作を確認する内蔵制御器と、
より成る放出確認メータ。
【請求項24】
内蔵制御器が、材料放出ラインを通る材料のアイドル流速を測定するための流量計を制御し、複数の測定流速値をベースとして材料の放出量を計算することが、複数の流速測定値とアイドル流速測定値をベースとすることを含む請求項23記載の放出確認メータ。
【請求項25】
所望の放出操作のためのデスクリプタを受け取り、
放出操作の開始を示すトリガ信号に応答し、放出操作の間複数回放出される材料の流速を測定し、
測定された複数の流速値をベースとして材料の放出量を計算し、及び
計算された放出量と受け取ったデスクリプタをベースとして放出操作を確認する方法を
実行するためのコンピュータ プログラムを有するコンピュータによって読み取り得るメディアを有する、放出操作を確認するため放出確認メータのためのコンピュータ プログラム プロダクト。
【請求項26】
放出操作の間のアイドル期間において1または複数回材料のアイドル流速を測定することを含み、複数の流速測定をベースとする材料の放出量計算が、複数の流速測定値とアイドル流速測定値をベースとして材料の放出量を計算することを含む請求項25記載のコンピュータ プログラム プロダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−511971(P2011−511971A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540776(P2010−540776)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/086892
【国際公開番号】WO2009/085711
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510179283)マレマ エンジニアリング コーポレーション (1)
【氏名又は名称原語表記】MALEMA ENGINEERING CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1060 South Rogers Circle,Boca Raton,FL 33487 (US)
【Fターム(参考)】