放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、及び、放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法
【課題】パネル収容ユニットの内壁に接触することなく放射線変換パネルを出し入れし、一方で、簡易な構造で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性を高める。
【解決手段】放射線画像撮影装置(20)は、放射線(16)を放射線画像に変換する放射線変換パネル(92)と、該放射線変換パネル(92)を収容するパネル収容ユニット(30)と、少なくとも放射線(16)が照射される撮影時には、パネル収容ユニット(30)の内壁(296)に放射線変換パネル(92)を押付可能な押付機構(298)とを有する。
【解決手段】放射線画像撮影装置(20)は、放射線(16)を放射線画像に変換する放射線変換パネル(92)と、該放射線変換パネル(92)を収容するパネル収容ユニット(30)と、少なくとも放射線(16)が照射される撮影時には、パネル収容ユニット(30)の内壁(296)に放射線変換パネル(92)を押付可能な押付機構(298)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを有する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置及び該放射線画像撮影装置を制御する制御装置を備えた放射線画像撮影システムと、前記放射線画像撮影装置における前記放射線変換パネルの固定方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。前記放射線変換パネルとしては、前記放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、前記放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を電気信号に直接変換する固体検出素子を用いた直接変換型の放射線変換パネル、あるいは、放射線を可視光に一旦変換するシンチレータと、前記可視光を電気信号に変換する固体検出素子とを用いた間接変換型の放射線変換パネルが開発されている。そして、上述した直接変換型又は間接変換型の放射線変換パネルがパネル収容ユニットに収容されることにより、電子カセッテと呼称される放射線画像撮影装置が構成される。
【0004】
ところで、被写体を介してパネル収容ユニットに放射線が照射されることにより該被写体に対する撮影が行われる場合、該パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを隙間なく配置することができれば、該放射線変換パネルを前記被写体に近づけて、放射線画像の画像ボケを低減することができると共に、電子カセッテの薄型化も可能となる。また、前記放射線変換パネルのリワーク(製品再生)やメンテナンスを考えると、前記内壁に前記放射線変換パネルを貼り付けるのではなく、押し付けて固定することが好ましい。さらに、前記パネル収容ユニットについても、外光の侵入を阻止して内部の遮光性を確保するために、一体成形により形成された継目のない構造であることが好ましい。
【0005】
特許文献1には、放射線変換パネルを含むユニット部品を、筐体の内壁に設けられたレールに沿って、該筐体の一側面から出し入れ可能にすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−311526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、パネル収容ユニットの耐荷重性の向上及び軽量化を図るために、例えば、該パネル収容ユニットをCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等で構成した場合、前記パネル収容ユニットの内壁と放射線変換パネルとを接触させた状態で該放射線変換パネルを出し入れすると、前記CFRPを構成する炭素繊維の一部が切れて、ささくれ状となり、該炭素繊維のささくれが放射線画像を劣化させる原因となるおそれがある。また、前記内壁と前記放射線変換パネルとを接触させた状態で該放射線変換パネルを出し入れすると、前記放射線変換パネルの表面(例えば、シンチレータの表面)を傷つけることになり、この場合には、放射線画像の劣化に加え、前記放射線画像を読み出すための制御信号が供給される制御線や該放射線画像の信号を外部に出力するための信号線が断線するおそれもある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたものであり、パネル収容ユニットの内壁に接触することなく放射線変換パネルを出し入れすることが可能であり、一方で、簡易な構造で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性を高めることができる放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、及び、放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る放射線画像撮影装置は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルと、前記放射線変換パネルを収容するパネル収容ユニットと、少なくとも前記放射線が照射される撮影時には、前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能な押付機構とを有することを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムは、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネル、前記放射線変換パネルを収容するパネル収容ユニット、及び、少なくとも前記放射線が照射される撮影時には、前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能な押付機構を有する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置とを備えることを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明に係る放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルをパネル収容ユニットに収容し、少なくとも前記放射線が照射される撮影時に、押付機構により前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能にすることを特徴としている。
【0012】
これらの発明によれば、少なくとも放射線が照射される撮影時に、押付機構によりパネル収容ユニットの内壁に放射線変換パネルを押付可能にしている。そのため、非撮影時である前記パネル収容ユニットに対する前記放射線変換パネルの出し入れ時には、前記内壁と接触することなく、前記パネル収容ユニットに対して前記放射線変換パネルを出し入れすることが可能になるので、該パネル収容ユニットをCFRP等で構成した場合に、該CFRPを構成する炭素繊維が切れて、該炭素繊維のささくれが放射線画像の劣化原因となったり、あるいは、前記内壁と前記放射線変換パネルとの接触によって該放射線変換パネルの表面が傷ついて放射線画像が劣化したり、制御線や信号線が断線することを防止することができる。
【0013】
また、撮影時には、前記押付機構によって自然な形で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性を高めることができると共に、前記内壁に対して前記放射線変換パネルを容易に位置決め固定することができる。この結果、簡易な構造で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性が高まるので、前記放射線画像撮影装置の耐荷重性や耐衝撃性が向上し、前記放射線変換パネルのがたつき等を効果的に抑制することができる。また、前記内壁に対して前記放射線変換パネルを容易に近づけることができるので、放射線画像の画像ボケの低減や、前記放射線画像撮影装置の薄型化も実現することが可能となる。
【0014】
このように、前記放射線変換パネルを前記内壁に貼り付ける必要がなく、且つ、前記パネル収容ユニットに対して該放射線変換パネルを容易に出し入れすることができるので、前記放射線変換パネルのリワーク性やメンテナンス性も向上する。
【0015】
ここで、前記パネル収容ユニットに対して少なくとも前記放射線変換パネルを出し入れする際に、前記押付機構が前記内壁への押付から前記放射線変換パネルを解放可能な状態に変化することにより、前記出し入れ時には、前記内壁と前記放射線変換パネルとの接触を確実に回避しながら、前記パネル収容ユニットに対して前記放射線変換パネルを容易に出し入れすることが可能となる。
【0016】
また、前記放射線変換パネルは、前記放射線を可視光に変換するシンチレータと、前記可視光を前記放射線画像に変換する光電変換層とを有し、前記押付機構は、前記シンチレータ及び前記光電変換層のうち、少なくとも一方を前記内壁に押付可能である。これにより、前記シンチレータ又は前記光電変換層と前記内壁との密着性を容易に高めることができる。
【0017】
この場合、前記パネル収容ユニットは、前記放射線変換パネル及び前記押付機構を収容し、且つ、前記放射線を透過可能な略矩形状の筐体を有し、前記押付機構は、前記シンチレータ及び前記光電変換層のうち、少なくとも一方を前記筐体における前記放射線が照射される撮影面側の内壁に押付可能である。前記撮影面側の内壁に前記シンチレータ又は前記光電変換層を押し付けることで、被写体と前記シンチレータ又は前記光電変換層との距離を容易に縮めることができる。
【0018】
ここで、前記押付機構の具体的な構成と、その効果とについて説明する。
【0019】
(1)前記押付機構は、液状の前記シンチレータが充填されるシンチレータ収容袋であり、前記液状のシンチレータが前記シンチレータ収容袋に充填された状態で、該シンチレータ収容袋が前記光電変換層を前記撮影面側の内壁に押し付ける。これにより、前記シンチレータ収容袋を介して前記液状のシンチレータと前記光電変換層との密着性を高めることができると共に、前記液状のシンチレータと前記光電変換層とを前記撮影面側の内壁に確実に近づけることができる。また、前記シンチレータ収容袋が前記パネル収容ユニットの緩衝材としても機能するので、前記パネル収容ユニットの耐荷重性や耐衝撃性も向上する。
【0020】
(2)前記押付機構は、流体又は発泡物が注入される押付物質収容袋であり、前記流体又は前記発泡物が前記押付物質収容袋に注入された状態で、該押付物質収容袋が前記放射線変換パネルを前記撮影面側の内壁に押し付ける。この場合でも、前記シンチレータと前記光電変換層との密着性を高めることができると共に、前記シンチレータと前記光電変換層とを前記撮影面側の内壁に確実に近づけることができる。また、前記押付物質収容袋が前記パネル収容ユニットの緩衝材としても機能するので、この場合でも、前記パネル収容ユニットの耐荷重性や耐衝撃性を向上することができる。
【0021】
(2)の場合、前記筐体内には、基台が該筐体の底面側に配設され、前記基台上に前記押付物質収容袋及び前記放射線変換パネルを順に積層してもよい。
【0022】
(3)前記筐体内には、基台が配設され、前記押付機構は、前記基台を機械的に前記撮影面側に移動させることにより前記放射線変換パネルを前記撮影面側の内壁に押し付ける。これにより、前記シンチレータ及び前記光電変換層を確実且つ容易に前記撮影面側の内壁に押し付けて密着性を確保することができる。
【0023】
(3)の場合、カム部材又はリンク機構を前記押付機構として前記基台と前記筐体の底面との間に配設すれば、より簡易な構成で前記シンチレータと前記光電変換層との密着性や、前記放射線変換パネルと前記内壁との密着性を高めることができる。
【0024】
また、上記(1)又は(2)の場合において、前記袋は、樹脂製の袋であることが望ましい。これにより、前記液状のシンチレータ、前記流体又は前記発泡物を充填したときには膨張して、前記シンチレータと前記光電変換層との密着性や、前記放射線変換パネルと前記内壁との密着性を確保することができると共に、該放射線変換パネルを確実に位置決め固定することができる。一方、前記液状のシンチレータ、前記流体又は前記発泡物を取り除いたときには、押付方向の厚みが小さくなって、前記放射線変換パネルを位置決め状態から解放することができるので、前記内壁に接触させることなく、前記放射線変換パネルを出し入れすることが可能となる。
【0025】
さらに、上記の(2)又は(3)の場合において、前記基台と前記筐体の底面との間には、前記放射線変換パネルを制御する制御部が配置され、前記基台は、前記放射線を遮蔽する物質で構成されていればよい。これにより、前記制御部を前記放射線の劣化から保護することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、少なくとも放射線が照射される撮影時に、押付機構によりパネル収容ユニットの内壁に放射線変換パネルを押付可能にしている。そのため、非撮影時である前記パネル収容ユニットに対する前記放射線変換パネルの出し入れ時には、前記内壁と接触することなく、前記パネル収容ユニットに対して前記放射線変換パネルを出し入れすることが可能になるので、該パネル収容ユニットをCFRP等で構成した場合に、該CFRPを構成する炭素繊維が切れて、該炭素繊維のささくれが放射線画像の劣化原因となったり、あるいは、前記内壁と前記放射線変換パネルとの接触によって該放射線変換パネルの表面が傷ついて放射線画像が劣化したり、制御線や信号線が断線することを防止することができる。
【0027】
また、撮影時には、前記押付機構によって自然な形で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性を高めることができると共に、前記内壁に対して前記放射線変換パネルを容易に位置決め固定することができる。この結果、簡易な構造で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性が高まるので、前記放射線画像撮影装置の耐荷重性や耐衝撃性が向上し、前記放射線変換パネルのがたつき等を効果的に抑制することができる。また、前記内壁に対して前記放射線変換パネルを容易に近づけることができるので、放射線画像の画像ボケの低減や、前記放射線画像撮影装置の薄型化も実現することが可能となる。
【0028】
このように、前記放射線変換パネルを前記内壁に貼り付ける必要がなく、且つ、前記パネル収容ユニットに対して該放射線変換パネルを容易に出し入れすることができるので、前記放射線変換パネルのリワーク性やメンテナンス性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態に係るカセッテが適用される放射線画像撮影システムの構成図である。
【図2】図1のカセッテの斜視図である。
【図3】カセッテに対する放射線変換パネルの出し入れを図示した斜視図である。
【図4】カセッテの一部を破断して図示した平面図である。
【図5】図5A及び図5Bは、図2のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図6A及び図6Bは、図2のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図1のカセッテのブロック図である。
【図8】筐体への各部の組込みからカセッテの封止までの工程を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1の放射線画像撮影システムによる被写体の撮影を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1のカセッテに対する充電処理の状態を示す斜視図である。
【図11】図11A及び図11Bは、第1変形例に係るカセッテの断面図である。
【図12】図12A及び図12Bは、第1変形例に係るカセッテの断面図である。
【図13】図13A及び図13Bは、第2変形例に係るカセッテの断面図である。
【図14】図14A及び図14Bは、第2変形例に係るカセッテの断面図である。
【図15】図15A及び図15Bは、第3変形例に係るカセッテを模式的に示す説明図である。
【図16】図16A及び図16Bは、第4変形例に係るカセッテの断面図である。
【図17】図17A及び図17Bは、第4変形例に係るカセッテの断面図である。
【図18】図18A及び図18Bは、第5変形例に係るカセッテの断面図である。
【図19】図19A及び図19Bは、第6変形例に係るカセッテの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムについて、放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法との関連で、好適な実施形態を、図1〜図19Bを参照しながら以下詳細に説明する。
【0031】
図1に示すように、放射線画像撮影システム10は、ベッド等の撮影台12に横臥した患者等の被写体14に対して、撮影条件に従った線量からなる放射線16を照射する放射線源18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20と、放射線源18及び電子カセッテ20を制御するコンソール(制御装置)22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。
【0032】
コンソール22と、放射線源18、電子カセッテ20及び表示装置24との間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/g/n等の無線LAN(Local Area Network)又はミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよいことは勿論である。
【0033】
また、コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、また、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続される。
【0034】
電子カセッテ20は、撮影台12と被写体14との間に配置されたパネル収容ユニット30を備える可搬型の電子カセッテである。
【0035】
図2〜図4に示すように、パネル収容ユニット30は、放射線16を透過可能な材料からなる略矩形状の筐体40を有し、被写体14が横臥する筐体40の上面は、放射線16が照射される撮影面(照射面)42とされている。該撮影面42の略中央部には、被写体14の撮影位置の指標となるガイド線44が形成されている。この場合、外枠を示すガイド線44が放射線16の照射可能領域を示す撮影領域46になる。また、ガイド線44の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線44の交点)は、該撮影領域46の中心位置である。
【0036】
撮影面42における撮影領域46外であって、矢印X2方向側の箇所には、各種の情報を表示するための表示部82が配設されている。また、筐体40の矢印X2方向の側面には、医師又は放射線技師が把持するための取っ手80が設けられている。さらに、筐体40の矢印Y2方向の側面には、外部の電源から電源部52に対して充電を行なうためのACアダプタの入力端子72と、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子74と、PCカード等のメモリカード76を装填するためのカードスロット78と、電子カセッテ20の電源スイッチ86とが配置されている。
【0037】
図1〜図4に示すように、筐体40の矢印X1方向の側面には側板320が固着されている。側板320は、筐体40内の各部のリワークやメンテナンスを行う際に、取り外し可能であることが望ましく、例えば、解体性接着剤により筐体40に固着されている。従って、筐体40は、図3に示すように、筐体40内の各部を出し入れ可能とするために、矢印X1方向の側面のみが外部に対して開口し、一方で、他の側面、上面及び底面には継目がない、CFRPや樹脂等の材料を用いて一体成形により形成された構造であることが望ましい。
【0038】
図4〜図6Bに示す筐体40の内部(室326)において、矢印X2方向側(表示部82側)には、電子カセッテ20全体を制御するカセッテ制御部50と、電子カセッテ20内の各部に電力を供給するバッテリ等の電源部52と、コンソール22との間で無線による信号の送受信が可能な通信部54とが配置されている。
【0039】
また、室326において、矢印Y1方向の側壁314aと、矢印Y2方向の側壁314bとには、矢印X方向に沿って延在するレール324a、324bがそれぞれ設けられている。この場合、レール324a、324bは、同じ高さに設定され、筐体40の矢印X1方向の側面(側板320)からカセッテ制御部50、電源部52及び通信部54近傍の箇所にまで延在している。
【0040】
そして、レール324a、324bと撮影面42側の内壁296との間の空間には、被写体14を透過した放射線16を検出する放射線変換パネル92が配置され、一方で、該内壁296に対向する底面側の内壁328には、樹脂製の押付物質収容袋298(押付機構)が配置されている。
【0041】
放射線変換パネル92は、側壁314a、314bに接触すると共に、レール324a、324b上に載置可能な基板194と、基板194に形成された信号出力層200と、信号出力層200に積層された光電変換層202と、光電変換層202に積層された柱状結晶のCsI等からなる固体のシンチレータ206bとから構成される。信号出力層200、光電変換層202及びシンチレータ206bにより放射線変換層196が構成される。なお、平面視で、放射線変換層196の面積は、撮影領域46と略同じ面積とされている(図4参照)。
【0042】
放射線変換パネル92は、前述したように、被写体14を透過した放射線16をシンチレータ206bにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光をアモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO(InGaZnOx))や有機光電変換材料(OPC)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう。)により電気信号に変換する間接変換型の放射線変換パネルである。
【0043】
基板194は、可撓性を有する略矩形状の基板であり、電子カセッテ20全体の軽量化を図るために、プラスチック樹脂からなる。
【0044】
光電変換層202は、アモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO)やOPCの物質からなる画素により可視光を放射線画像の電気信号に変換する。信号出力層200は、基板194上にアモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO)を用いて室温プロセスにより形成されたTFT(薄膜トランジスタ)のアレイ等から構成され、光電変換層202から前記電気信号を読み出して出力する。
【0045】
押付物質収容袋298には、開口部300を介して、液体、気体(例えば、空気、ヘリウムガス、窒素ガス)等の流動体(流体)や、発泡物(例えば、パンク修理剤)等の充填物330が充填され、充填後は開口部300にキャップ302が装着されて密封される。従って、少なくとも放射線16が照射される撮影時には、充填物330が充填されて膨張状態にある押付物質収容袋298により、放射線変換パネル92は、内壁296に押し付けられて、該内壁296に対し位置決め固定される(図5B及び図6B参照)。なお、図5B及び図6Bでは、液体を充填物330として押付物質収容袋298に充填した場合を図示している。
【0046】
ところで、室326のリワーク又はメンテナンスを行う際、あるいは、電子カセッテ20を製造する際の非撮影時において、室326に配置された各部を出し入れするためには、筐体40と側板320とを分離して該筐体40の矢印X1方向の側面を開口させ、且つ、押付物質収容袋298から充填物330を抜いた状態で、レール324a、324b及び側壁314a、314bに沿って基板194を矢印X方向に移動させればよい(図3、図5A及び図6A参照)。
【0047】
この場合、放射線変換パネル92は、押付物質収容袋298による押付から解放された状態にあると共に、該放射線変換パネル92の厚みは、レール324a、324bの上面と内壁296との間の距離よりも薄い。従って、基板192をレール324a、324bに沿って矢印X方向に移動させれば、放射線変換層196(のシンチレータ206b)と内壁296とを接触させることなく、該放射線変換パネル92を筐体40に対して容易に出し入れすることができる。
【0048】
次に、間接変換型の放射線変換パネル92を採用した場合の電子カセッテ20の回路構成及びブロック図に関し、図7を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
図7で模式的に示すように、放射線変換パネル92では、光電変換層202(図5A〜図6B参照)を構成する多数の画素100が信号出力層200上に配列され、さらに、これらの画素100に対して駆動回路部210から制御信号を供給する多数のゲート線(制御線)102と、多数の画素100から出力される電気信号を読み出して読出回路部214に出力する多数の信号線104とが配列されている。すなわち、各画素100が形成された光電変換層202は、信号出力層200を構成する行列状のTFT106のアレイの上に配置した構造を有する。
【0050】
この場合、駆動回路部210を構成するバイアス回路108からバイアス電圧が供給される各画素100では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各列毎にTFT106を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
【0051】
各画素100に接続されるTFT106には、列方向と平行に延びるゲート線102と、行方向と平行に延びる信号線104とが接続される。各ゲート線102は、ゲート駆動回路110に接続され、各信号線104は、読出回路部214のマルチプレクサ112に接続される。ゲート線102には、列方向に配列されたTFT106をオンオフ制御する制御信号がゲート駆動回路110から供給される。この場合、ゲート駆動回路110には、カセッテ制御部50からアドレス信号が供給される。
【0052】
また、信号線104には、行方向に配列されたTFT106を介して各画素100に保持されている電荷が流出する。この電荷は、読出回路部214の増幅器114によって増幅される。増幅器114には、サンプルホールド回路116を介してマルチプレクサ112が接続される。マルチプレクサ112は、信号線104を切り替えるFET(電界効果トランジスタ)スイッチ118と、1つのFETスイッチ118をオンにする選択信号を出力するマルチプレクサ駆動回路120とを備える。マルチプレクサ駆動回路120には、カセッテ制御部50からアドレス信号が供給される。FETスイッチ118には、A/D変換器122が接続され、A/D変換器122によってデジタル信号に変換された放射線画像がカセッテ制御部50に供給される。
【0053】
なお、スイッチング素子として機能するTFT106は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【0054】
カセッテ制御部50は、アドレス信号発生部130と、画像メモリ132と、カセッテIDメモリ134とを備える。
【0055】
アドレス信号発生部130は、ゲート駆動回路110及びマルチプレクサ駆動回路120に対してアドレス信号を供給する。画像メモリ132は、放射線変換パネル92によって検出された放射線画像を記憶する。カセッテIDメモリ134は、電子カセッテ20を特定するためのカセッテID情報を記憶する。
【0056】
本実施形態に係る電子カセッテ20を含む放射線画像撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものである。次に、筐体40への各部の組込みから筐体40の封止までの工程と、電子カセッテ20及び放射線画像撮影システム10の動作とについて、図8及び図9のフローチャートを参照しながら、それぞれ説明する。なお、図8及び図9の説明では、必要に応じて、図1〜図7も参照しながら説明する。
【0057】
図8のフローチャートは、電子カセッテ20の製造時、リワーク時又はメンテナンス時の非撮影時に実行され、図9のフローチャートは、被写体14に対する撮影時に実行される。
【0058】
先ず、射出成形機により筐体40が製造される場合、該射出成形機で成形された筐体40の矢印X1方向の側面は、外部に連通する開口部とされている。そこで、電子カセッテ20の製造業者(の作業員)、又は、リワーク若しくはメンテナンスの作業員は、図8のステップS1において、開口部を介して、例えば、(1)カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54、(2)収縮状態(充填前)の押付物質収容袋298、(3)放射線変換パネル92、の順に筐体40内に組み込む。
【0059】
その際、作業員は、基板194の矢印Y方向の両側部を側壁314a、314b及びレール324a、324bに沿わせた状態で、放射線変換パネル92を前記開口部を介して矢印X2方向に移動させる。これにより、放射線変換パネル92のシンチレータ206bを内壁296に接触させることなく、該放射線変換パネル92を筐体40内に挿入することができる(図5A及び図6A参照)。この場合、作業員は、放射線変換層196と撮影領域46とが略一致する位置にまで放射線変換パネル92を挿入する。
【0060】
ステップS2において、作業員は、開口部300を介して押付物質収容袋298内に充填物330を充填する。押付物質収容袋298は、充填物330の充填によって図5A〜図6Bの上下方向に膨張する。押付物質収容袋298の膨張によって、放射線変換パネル92は、撮影面42側の内壁296に押し付けられる(図5B及び図6B参照)。
【0061】
ステップS3において、作業員は、押付物質収容袋298に対する充填物330の充填完了を確認した後に、キャップ302を開口部300に装着して押付物質収容袋298を密封する。これによって、放射線変換層196は、平面視で、撮影領域46と重なるように位置決め固定される。次に、作業員は、筐体40の前記開口部に、該開口部と同じ大きさで且つ筐体40と同じ材質の側板320を解体性接着剤等を用いて前記開口部に固着することにより、筐体40を封止する。
【0062】
ステップS1〜S3の工程を経て、電子カセッテ20が製造され、又は、電子カセッテ20のリワーク若しくはメンテナンス(例えば、放射線変換パネル92の交換)が完了する。
【0063】
次に、被写体14に対する撮影について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0064】
ステップS4において、医師又は放射線技師は、取っ手80を把持して電子カセッテ20を所定の保管場所から撮影台12にまで運搬した後に、放射線源18と放射線変換パネル92との間の撮影間距離をSID(線源受像画間距離)に調整する一方で、撮影面42に被写体14を配置させて、被写体14の撮影部位が撮影領域46に入り、且つ、該撮影部位の中心位置が撮影領域46の中心位置と略一致するように、該被写体14の位置決め(ポジショニング)を行う。また、医師又は放射線技師は、コンソール22を操作することにより、撮影対象である被写体14に関わる被写体情報等の撮影条件(例えば、放射線源18の管電圧や管電流、放射線16の曝射時間)を登録する。撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件も登録しておく。
【0065】
次に、医師又は放射線技師が電源スイッチ86を投入すると、電源部52は、電源スイッチ86の投入に起因して、筐体40内の各部に対する電力供給を開始する。これにより、通信部54は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能な状態となり、該コンソール22にて登録された撮影条件を無線通信により受信し、カセッテ制御部50に出力する。また、表示部82は、各種の情報を表示可能な状態に至る。さらに、駆動回路部210は、電源部52からの電力供給によって起動し、バイアス回路108は、バイアス電圧を各画素100に供給して、該各画素100を電荷蓄積が可能な状態に至らせる。さらにまた、読出回路部214は、電源部52からの電力供給によって起動し、該各画素100からの電荷の読み出しが可能な状態に至る。従って、電子カセッテ20は、電源スイッチ86の投入に起因して、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。
【0066】
ステップS4の撮影準備が完了した後のステップS5において、医師又は放射線技師がコンソール22又は放射線源18に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。コンソール22に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、コンソール22は、無線通信によって撮影条件を放射線源18に送信する。また、放射線源18に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、放射線源18から無線通信によりコンソール22に対して撮影条件の送信が要求され、該コンソール22は、放射線源18からの送信要求に応じて、前記撮影条件を無線通信により放射線源18に送信する。
【0067】
放射線源18は、撮影条件を受信すると、該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線16は、被写体14を透過してパネル収容ユニット30内の放射線変換パネル92に至る。
【0068】
ステップS6において、放射線変換パネル92を構成するシンチレータ206bは、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層202を構成する各画素100は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素100に保持された被写体14の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部50を構成するアドレス信号発生部130からゲート駆動回路110及びマルチプレクサ駆動回路120に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0069】
すなわち、ゲート駆動回路110は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に対応するゲート線102に接続されたTFT106のゲートに制御信号を供給する。一方、マルチプレクサ駆動回路120は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に従って、選択信号を出力してFETスイッチ118を順次切り替え(順次オンオフして)、ゲート駆動回路110によって選択されたゲート線102に接続される各画素100に保持された電荷情報としての放射線画像を信号線104を介して順次読み出す。
【0070】
選択されたゲート線102に接続された各画素100から読み出された放射線画像は、各増幅器114によって増幅された後、各サンプルホールド回路116によってサンプリングされ、FETスイッチ118を介してA/D変換器122に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、カセッテ制御部50の画像メモリ132に一旦記憶される(ステップS7)。
【0071】
同様にして、ゲート駆動回路110は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に従って、制御信号を出力するゲート線102を順次切り替え、各ゲート線102に接続されている各画素100に保持された電荷情報である放射線画像を信号線104を介して読み出し、FETスイッチ118及びA/D変換器122を介してカセッテ制御部50の画像メモリ132に記憶させる(ステップS7)。
【0072】
画像メモリ132に記憶された放射線画像は、カセッテIDメモリ134に記憶されたカセッテID情報と共に、通信部54を介して無線通信によりコンソール22に送信される。コンソール22は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置24に送信する。表示装置24は、受信した放射線画像を表示する(ステップS8)。
【0073】
なお、ステップS8において、電子カセッテ20には、表示部82が備わっているので、該表示部82に放射線画像(のローデータ又は間引きデータ)を表示させてもよい。
【0074】
医師又は放射線技師が表示装置24又は表示部82に表示された放射線画像を視認して、適切な被写体14の放射線画像が得られたことを確認した後、医師又は放射線技師は、被写体14を解放して撮影を完了させると共に、電源スイッチ86を押して、電子カセッテ20を停止させる。これにより、電源部52は、筐体40内の各部に対する電力供給を停止する。この結果、電子カセッテ20は、アクティブ状態からスリープ状態に移行する。そして、医師又は放射線技師は、取っ手80を把持して、電子カセッテ20を所定の保管場所にまで運搬する。
【0075】
なお、電子カセッテ20のリワーク時又はメンテナンス時に、筐体40内から放射線変換パネル92を取り出したい場合には、筐体40と側板320とを分離させた後に、押付物質収容袋298から充填物330を抜き取って該押付物質収容袋298を収縮状態とする。これにより、放射線変換パネル92が押付状態から解放され、レール324a、324b及び側壁314a、314bに沿わせて矢印X1方向に放射線変換パネル92を移動させれば、前記開口部から該放射線変換パネル92を取り出すことができる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る電子カセッテ20及び放射線画像撮影システム10では、少なくとも放射線16が照射される撮影時に、押付機構としての押付物質収容袋298によりパネル収容ユニット30の筐体40の内壁296に放射線変換パネル92を押付可能にしている。そのため、非撮影時であるパネル収容ユニット30の筐体40に対する放射線変換パネル92の出し入れ時には、押付物質収容袋298による内壁296への押付から放射線変換パネル92を解除(解放)した状態で、筐体40に対して該放射線変換パネル92を出し入れすることができる。従って、出し入れ時には、内壁296と接触することなく、筐体40に対して放射線変換パネル92を出し入れすることが可能になるので、該筐体40をCFRPで構成した場合に、該CFRPを構成する炭素繊維が切れて、該炭素繊維のささくれが放射線画像の劣化原因となったり、あるいは、内壁296と放射線変換パネル92との接触によって放射線変換パネル92が傷ついて放射線画像が劣化したり、ゲート線102や信号線104が断線することを防止することができる。
【0077】
また、少なくとも撮影時には、押付物質収容袋298によって自然な形で内壁296と放射線変換パネル92との密着性を高めることができると共に、内壁296に対して放射線変換パネル92を容易に位置決め固定することができる。この結果、簡易な構造で内壁296と放射線変換パネル92との密着性が高まるので、電子カセッテ20の耐荷重性や耐衝撃性が向上し、放射線変換パネル92のがたつき等を効果的に抑制することができる。また、撮影面42側の内壁296に対して放射線変換パネル92を容易に近づけることができるので、被写体14とシンチレータ206b及び光電変換層202との距離を容易に縮めることができ、放射線画像の画像ボケの低減や、電子カセッテ20の薄型化も実現することが可能となる。
【0078】
このように、放射線変換パネル92を内壁296に貼り付ける必要がなく、且つ、筐体40に対して放射線変換パネル92を容易に出し入れすることができるので、放射線変換パネル92のリワーク性やメンテナンス性も向上する。
【0079】
また、出し入れ時に、押付物質収容袋298から充填物330を抜き取ると、放射線変換パネル92は、内壁296への押付状態から解放状態に変化するので、内壁296と放射線変換パネル92との接触を確実に回避しながら、筐体40に対して放射線変換パネル92を容易に出し入れすることが可能となる。その一方、撮影時に、押付物質収容袋298に充填物330を注入して膨張させることにより、放射線変換パネル92を内壁296に押し付けて、放射線変換パネル92を構成するシンチレータ206bと光電変換層202との密着性や、シンチレータ206bと内壁296との密着性を容易に高めることができる。
【0080】
また、シンチレータ206bが柱状結晶のCsIからなるので、押付物質収容袋298により放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることで、放射線変換パネル92の平面性が確保され、この結果、基板194に対する該柱状結晶の垂直性が維持されて、鮮鋭度の高い放射線画像を容易に得ることができる。
【0081】
さらに、押付物質収容袋298がパネル収容ユニット30の緩衝材としても機能するので、パネル収容ユニット30の耐荷重性や耐衝撃性も向上する。また、押付物質収容袋298が樹脂製の袋であるため、充填物330を充填したときには膨張して、放射線変換パネル92を確実に位置決め固定することができる。
【0082】
また、押付物質収容袋298は、開口部300を取り外し可能なキャップ302で密封した構造であるため、例えば、電子カセッテ20のリワーク時、メンテナンス時、あるいは、修理時には、充填物330を容易に押付物質収容袋298から抜き取ることができる。
【0083】
これにより、経年使用に伴う放射線16による劣化が想定されるシンチレータ206bを含めた放射線変換パネル92の交換が一層容易なものとなり、リワーク性やメンテナンス性をさらに向上することができる。
【0084】
なお、本実施形態では、キャップ302により押付物質収容袋298を密封する場合について説明したが、この説明に限定されることはなく、逆止弁を用いて、あるいは、逆止弁を併用して、開口部300から充填物330が外部に漏洩することを阻止する一方で、押付物質収容袋298内の圧力が低下した場合には、前記逆止弁及び開口部300を介して充填物330を補充してもよい。
【0085】
また、本実施形態では、押付物質収容袋298に充填物330を一旦充填した後は、電子カセッテ20のリワーク時、メンテナンス時又は交換時や、電子カセッテ20の廃棄時までは、押付物質収容袋298に同じ充填物330が充填される状態となるが、例えば、撮影時にのみ充填物330を充填して押付動作を行い(図9のステップS9)、撮影後に、押付物質収容袋298から充填物330を抜き取って、放射線変換パネル92を位置決め状態から解放してもよい(図9のステップS10)。この場合、経年使用に伴う放射線16による劣化が想定されるシンチレータ206bを含めた放射線変換パネル92の交換が一層容易なものとなり、リワーク性やメンテナンス性をさらに向上することができる。
【0086】
本実施形態に係る電子カセッテ20は、上述した説明に限定されることはなく、図10〜図19Bに示す実施形態も実現可能である。
【0087】
図10は、医療機関内の必要な箇所に配置されたクレードル140による電源部52(図4及び図6A〜図7参照)の充電処理を示す斜視図である。
【0088】
この場合、電子カセッテ20とクレードル140との間をコネクタ142、144を有するUSBケーブル146で電気的に接続する。
【0089】
クレードル140は、電源部52の充電だけでなく、クレードル140の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、医療機関内のコンソール22やRIS26との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、電子カセッテ20の画像メモリ132(図7参照)に記録された放射線画像を含めることができる。
【0090】
また、クレードル140に表示部148を配設し、この表示部148に対して、電子カセッテ20の充電状態や、電子カセッテ20から取得した放射線画像を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
【0091】
さらに、複数のクレードル140をネットワークに接続し、各クレードル140に接続されている電子カセッテ20の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ20の所在を確認できるように構成することもできる。
【0092】
次に、本実施形態に係る電子カセッテ20の変形例(以下、第1〜第6変形例ともいう。)について、図11A〜図19Bを参照しながら説明する。
【0093】
先ず、図11A〜12Bに示す第1変形例の電子カセッテ20では、放射線変換パネル92を上下反転させて、シンチレータ206b等を基板194よりも下方に配置している。すなわち、図1〜図10の電子カセッテ20は、放射線16の照射方向に対してシンチレータ206bが前方に配置され、且つ、光電変換層202が後方に配置された、いわゆる表面照射型の放射線変換パネル92を用いたカセッテであり、一方で、第1変形例の電子カセッテ20は、放射線16の照射方向に対して光電変換層202が前方に配置され、且つ、シンチレータ206bが後方に配置された、裏面照射型の放射線変換パネル92を用いたカセッテである。
【0094】
この場合でも、押付物質収容袋298が放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることにより、放射線変換パネル92の各部の密着性や、放射線変換パネル92と内壁296との密着性を容易に高めることができるので、押付物質収容袋298を用いたことによる各効果を容易に得ることができる。
【0095】
図13A〜図14Bに示す第2変形例の電子カセッテ20では、内壁328にカセッテ制御部50、バッテリ等の電源部52及び通信部54が配置され、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54を覆うように、放射線16を遮蔽する物質(鉛等の重金属含有物)からなる基台190が固定され、該基台190の上面に押付物質収容袋298が載置されている。この場合、基台190の上面における矢印Y方向の両端に突起部332が設けられると共に、矢印X方向の両端に突起部334が設けられ、押付物質収容袋298は、2つの突起部332間及び2つの突起部334間に収まるように載置(固定)されている。
【0096】
この場合でも、押付物質収容袋298が放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることにより、放射線変換パネル92の各部間の密着性や、放射線変換パネル92と内壁296との密着性を容易に高めることができるので、押付物質収容袋298を用いたことによる各効果を容易に得ることができる。
【0097】
また、放射線変換パネル92と、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54との間に、放射線16を遮蔽する物質から構成される基台190が配置されているので、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54を放射線16の劣化から保護することができる。
【0098】
図15A及び図15Bに模式的に示すように、第3変形例に係る電子カセッテ20では、押付物質収容袋298による放射線変換パネル92の押付が行われていない状態では、撮影面42の中央部分が下方に向かって凹状(下方に凸)に湾曲し、一方で、押付物質収容袋298により放射線変換パネル92が内壁296に押し付けられた状態では、撮影面42が平坦に維持されている。この場合、一体成形により撮影面42の中央部分が凹状とされた筐体40が製造されても、押付物質収容袋298を用いて放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることにより撮影面42が平坦に維持されるので、上述した各効果を容易に得ることができる。
【0099】
図16A〜図17Bに示す第4変形例の電子カセッテ20では、押付物質収容袋298及び固体のシンチレータ206bに代替して、基台190の上面に、液状のシンチレータ206a(以下、液体シンチレータ206aともいう。)が充填されたシンチレータ収容袋290(押付機構)を載置した構成としている。
【0100】
液体シンチレータ206aは、被写体14を透過した放射線16を可視光に変換する。なお、液体シンチレータ206aとしては、例えば、サンゴバン社製品(BC−517H等)を用いることができる(詳細は、http://www.detectors.saint−gobain.com/Liquid−Scintillator.aspxを参照。)。また、液体シンチレータ206aの具体的な成分については、例えば、http://www.jrias.or.jp/public/hakarou/sintinani.htmを参照されたい。
【0101】
シンチレータ収容袋290は、前記可視光を透過可能な樹脂製の袋であって、開口部292を介して液体シンチレータ206aを充填すれば膨張する一方で、充填された液体シンチレータ206aを開口部292を介して排出すれば図16A〜図17Bの上下方向に収縮する。なお、液体シンチレータ206aが充填されたシンチレータ収容袋290は、開口部292に装着された取り外し可能なキャップ294により密封される。
【0102】
従って、図16A〜図17Bの第4変形例に係る電子カセッテ20は、裏面照射型の放射線変換パネル92を採用している。
【0103】
第4変形例において、基板194、信号出力層200及び光電変換層202は、液体シンチレータ206aが充填されて膨張状態にあるシンチレータ収容袋290によって内壁296に押し付けられることにより、該内壁296に対して位置決め固定され、一方で、シンチレータ収容袋290から液体シンチレータ206aが抜き取られると、基板194、信号出力層200及び光電変換層202は、押圧状態から解放される。
【0104】
この第4変形例においても、シンチレータ収容袋290に液体シンチレータ206aを充填することにより、基板194、信号出力層200及び光電変換層202を内壁296に押し付けることができるので、放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることによる各効果や、液体シンチレータ206aをシンチレータ収容袋290から抜き取って放射線変換パネル92の押付状態を解除したことによる各効果を容易に得ることができる。
【0105】
また、シンチレータ収容袋290は、開口部292を取り外し可能なキャップ294で密封した構造であるため、放射線16の照射等に起因して液体シンチレータ206aが劣化した場合には、例えば、電子カセッテ20のリワーク時、メンテナンス時、あるいは、修理時に、液体シンチレータ206aをシンチレータ収容袋290から抜き取って、新たな液体シンチレータ206aを充填し直せばよい。これにより、経年使用に伴う放射線16による劣化が想定される液体シンチレータ206aを含めた放射線変換パネル92の交換が一層容易なものとなり、リワーク性やメンテナンス性をさらに向上することができる。
【0106】
図18A及び図18Bに示す第5変形例の電子カセッテ20では、筐体40の内壁328側に、回転軸310a、310bに連結された板カム部材312a、312b(押付機構)がそれぞれ配設され、回転軸310a、310bを中心として、板カム部材312a、312bを、図18Aに示す角度と図18Bに示す角度との間で回転させる。すなわち、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び平面状の基台190は、非撮影時には図18Aのように内壁296から離間し、一方で、撮影時には図18Bのように内壁296に押し付けられる(図9のステップS9)。また、基板194及び基台190の両側部は、側壁314a、314bに接触している。
【0107】
なお、回転軸310a、310bは、図18A及び図18Bの紙面に直交する方向(矢印X方向)に延在しており、実際には、該方向に沿って複数の板カム部材312a、312bが回転軸310a、310bにそれぞれ連結されている。また、板カム部材312a、312bの大きさは、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54と、基台190とが接触しない程度の大きさとされている。
【0108】
このように、第5変形例では、板カム部材312a、312bを用いて、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び平面状の基台190を一体的に撮影面42側の内壁296に押し付けるので、より簡易な構成で、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び基台190の密着性や、放射線変換パネル92及び内壁296の密着性を確保することができる。
【0109】
図19A及び図19Bに示す第6変形例の電子カセッテ20では、筐体40の内壁328に、基台190を含めた四節リンク機構316を構成し、非撮影時には、図19Aのように基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び基台190を内壁296から離間し、一方で、撮影時には図19Bのように内壁296に押し付けるものである(図9のステップS9)。なお、四節リンク機構316の大きさは、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54と、基台190とが接触しない程度の大きさとされている。
【0110】
このように、第6変形例では、四節リンク機構316を用いて、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び基台190を一体的に撮影面42側の内壁296に押し付けるので、第5変形例と同様に、より簡易な構成で、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び基台190の密着性や、放射線変換パネル92及び内壁296の密着性を確保することができる。
【0111】
なお、本実施形態及び第1〜第6変形例では、表面照射型又は裏面照射型のいずれかの放射線変換パネル92を用いた放射線画像撮影装置10を図示しているが(図1〜図19B参照)、これらの図面の内容に限定されることはなく、表面照射型の放射線変換パネル92を裏面照射型の放射線変換パネル92に変更し、あるいは、裏面照射型の放射線変換パネル92を表面照射型の放射線変換パネル92に変更しても、上述した各効果が得られることは勿論である。
【0112】
具体的に、図13A〜図14B及び図18A〜図19Bの第2、第5及び第6変形例では、表面照射型の放射線変換パネル92を図示しているが、裏面照射型の放射線変換パネル92に変更してもよい。また、図15A及び図15Bの第3変形例では、表面照射型又は裏面照射型のいずれの放射線変換パネル92を用いてもよい。さらに、図16A〜図17Bの第4変形例では、放射線変換パネル92を上下反転させて、シンチレータ収容袋290を内壁296側に配置した表面照射型の放射線変換パネル92としてもよい。
【0113】
さらに、本実施形態では、液体シンチレータ206aが充填されたシンチレータ収容袋290と、固体のシンチレータ206bとを併用した放射線変換パネル92も採用することができる。この場合、放射線変換パネル92の構成としては、(1)放射線変換パネル92の表面に一方のシンチレータを配置し、裏面に他方のシンチレータを配置して両面照射型としたもの、(2)放射線変換パネル92の表面にシンチレータ収容袋290及びシンチレータ206bを配置したもの、(3)放射線変換パネル92の裏面にシンチレータ収容袋290及びシンチレータ206bを配置したもの、いずれの構成も実現可能である。また、固体のシンチレータ206bがCsIからなる場合、例えば、上記(1)の構成では、表面にシンチレータ206bを配置すると共に、裏面にシンチレータ収容袋290を配置すればよい。
【0114】
なお、本実施形態では、間接変換型の放射線変換パネル92を用いた電子カセッテ20について説明したが、放射線16の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線変換パネルを用いた電子カセッテに適用しても、当該放射線変換パネル内の各部の密着性を向上することが可能である。
【0115】
また、本実施形態では、結露を防止するために、筐体40の内部(室326)を負圧状態にしてもよい。この場合、外部との圧力差に起因して、第3変形例(図15A及び図15B参照)と同様に、撮影面42の中央部分が下方に向かって凹状となる可能性もあるが、押付物質収容袋298、シンチレータ収容袋290、板カム部材312a、312b、又は、四節リンク機構316を用いて放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることにより、撮影面42が平坦に維持されるので、室326を負圧状態にしても、本実施形態の各効果が容易に得られる。
【0116】
また、本実施形態は、光読出方式の放射線変換パネルを利用して放射線画像を取得する場合にも適用することが可能である。この光読出方式の放射線変換パネルでは、各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線変換パネルに読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像として取得する。なお、放射線変換パネルは、消去光を放射線変換パネルに照射することで、残存する静電潜像である放射線画像を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0117】
また、電子カセッテ20では、血液やその他の雑菌が付着するおそれを防止するために、例えば、装置全体を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ20を繰り返し続けて使用することができる。
【0118】
また、本実施形態は、医療機関内での放射線画像の撮影に限らず、災害現場、在宅看護の現場、さらには、検診車に搭載して、健康診断における被写体の撮影にも適用することが可能である。さらに、本実施形態は、このような医療関連の放射線画像の撮影に限定されるものではなく、例えば、各種の非破壊検査における放射線画像の撮影にも適用可能であることは勿論である。
【0119】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0120】
10…放射線画像撮影システム
14…被写体
16…放射線
18…放射線源
20…電子カセッテ
22…コンソール
30…パネル収容ユニット
40…筐体
50…カセッテ制御部
92…放射線変換パネル
194…基板
196…放射線変換層
200…信号出力層
202…光電変換層
206a…液体シンチレータ
206b…シンチレータ
290…シンチレータ収容袋
296、328…内壁
298…押付物質収容袋
312a、312b…板カム部材
314a、314b…側壁
316…四節リンク機構
324a、324b…レール
326…室
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを有する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置及び該放射線画像撮影装置を制御する制御装置を備えた放射線画像撮影システムと、前記放射線画像撮影装置における前記放射線変換パネルの固定方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。前記放射線変換パネルとしては、前記放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、前記放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を電気信号に直接変換する固体検出素子を用いた直接変換型の放射線変換パネル、あるいは、放射線を可視光に一旦変換するシンチレータと、前記可視光を電気信号に変換する固体検出素子とを用いた間接変換型の放射線変換パネルが開発されている。そして、上述した直接変換型又は間接変換型の放射線変換パネルがパネル収容ユニットに収容されることにより、電子カセッテと呼称される放射線画像撮影装置が構成される。
【0004】
ところで、被写体を介してパネル収容ユニットに放射線が照射されることにより該被写体に対する撮影が行われる場合、該パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを隙間なく配置することができれば、該放射線変換パネルを前記被写体に近づけて、放射線画像の画像ボケを低減することができると共に、電子カセッテの薄型化も可能となる。また、前記放射線変換パネルのリワーク(製品再生)やメンテナンスを考えると、前記内壁に前記放射線変換パネルを貼り付けるのではなく、押し付けて固定することが好ましい。さらに、前記パネル収容ユニットについても、外光の侵入を阻止して内部の遮光性を確保するために、一体成形により形成された継目のない構造であることが好ましい。
【0005】
特許文献1には、放射線変換パネルを含むユニット部品を、筐体の内壁に設けられたレールに沿って、該筐体の一側面から出し入れ可能にすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−311526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、パネル収容ユニットの耐荷重性の向上及び軽量化を図るために、例えば、該パネル収容ユニットをCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等で構成した場合、前記パネル収容ユニットの内壁と放射線変換パネルとを接触させた状態で該放射線変換パネルを出し入れすると、前記CFRPを構成する炭素繊維の一部が切れて、ささくれ状となり、該炭素繊維のささくれが放射線画像を劣化させる原因となるおそれがある。また、前記内壁と前記放射線変換パネルとを接触させた状態で該放射線変換パネルを出し入れすると、前記放射線変換パネルの表面(例えば、シンチレータの表面)を傷つけることになり、この場合には、放射線画像の劣化に加え、前記放射線画像を読み出すための制御信号が供給される制御線や該放射線画像の信号を外部に出力するための信号線が断線するおそれもある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたものであり、パネル収容ユニットの内壁に接触することなく放射線変換パネルを出し入れすることが可能であり、一方で、簡易な構造で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性を高めることができる放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、及び、放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る放射線画像撮影装置は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルと、前記放射線変換パネルを収容するパネル収容ユニットと、少なくとも前記放射線が照射される撮影時には、前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能な押付機構とを有することを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムは、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネル、前記放射線変換パネルを収容するパネル収容ユニット、及び、少なくとも前記放射線が照射される撮影時には、前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能な押付機構を有する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置とを備えることを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明に係る放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルをパネル収容ユニットに収容し、少なくとも前記放射線が照射される撮影時に、押付機構により前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能にすることを特徴としている。
【0012】
これらの発明によれば、少なくとも放射線が照射される撮影時に、押付機構によりパネル収容ユニットの内壁に放射線変換パネルを押付可能にしている。そのため、非撮影時である前記パネル収容ユニットに対する前記放射線変換パネルの出し入れ時には、前記内壁と接触することなく、前記パネル収容ユニットに対して前記放射線変換パネルを出し入れすることが可能になるので、該パネル収容ユニットをCFRP等で構成した場合に、該CFRPを構成する炭素繊維が切れて、該炭素繊維のささくれが放射線画像の劣化原因となったり、あるいは、前記内壁と前記放射線変換パネルとの接触によって該放射線変換パネルの表面が傷ついて放射線画像が劣化したり、制御線や信号線が断線することを防止することができる。
【0013】
また、撮影時には、前記押付機構によって自然な形で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性を高めることができると共に、前記内壁に対して前記放射線変換パネルを容易に位置決め固定することができる。この結果、簡易な構造で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性が高まるので、前記放射線画像撮影装置の耐荷重性や耐衝撃性が向上し、前記放射線変換パネルのがたつき等を効果的に抑制することができる。また、前記内壁に対して前記放射線変換パネルを容易に近づけることができるので、放射線画像の画像ボケの低減や、前記放射線画像撮影装置の薄型化も実現することが可能となる。
【0014】
このように、前記放射線変換パネルを前記内壁に貼り付ける必要がなく、且つ、前記パネル収容ユニットに対して該放射線変換パネルを容易に出し入れすることができるので、前記放射線変換パネルのリワーク性やメンテナンス性も向上する。
【0015】
ここで、前記パネル収容ユニットに対して少なくとも前記放射線変換パネルを出し入れする際に、前記押付機構が前記内壁への押付から前記放射線変換パネルを解放可能な状態に変化することにより、前記出し入れ時には、前記内壁と前記放射線変換パネルとの接触を確実に回避しながら、前記パネル収容ユニットに対して前記放射線変換パネルを容易に出し入れすることが可能となる。
【0016】
また、前記放射線変換パネルは、前記放射線を可視光に変換するシンチレータと、前記可視光を前記放射線画像に変換する光電変換層とを有し、前記押付機構は、前記シンチレータ及び前記光電変換層のうち、少なくとも一方を前記内壁に押付可能である。これにより、前記シンチレータ又は前記光電変換層と前記内壁との密着性を容易に高めることができる。
【0017】
この場合、前記パネル収容ユニットは、前記放射線変換パネル及び前記押付機構を収容し、且つ、前記放射線を透過可能な略矩形状の筐体を有し、前記押付機構は、前記シンチレータ及び前記光電変換層のうち、少なくとも一方を前記筐体における前記放射線が照射される撮影面側の内壁に押付可能である。前記撮影面側の内壁に前記シンチレータ又は前記光電変換層を押し付けることで、被写体と前記シンチレータ又は前記光電変換層との距離を容易に縮めることができる。
【0018】
ここで、前記押付機構の具体的な構成と、その効果とについて説明する。
【0019】
(1)前記押付機構は、液状の前記シンチレータが充填されるシンチレータ収容袋であり、前記液状のシンチレータが前記シンチレータ収容袋に充填された状態で、該シンチレータ収容袋が前記光電変換層を前記撮影面側の内壁に押し付ける。これにより、前記シンチレータ収容袋を介して前記液状のシンチレータと前記光電変換層との密着性を高めることができると共に、前記液状のシンチレータと前記光電変換層とを前記撮影面側の内壁に確実に近づけることができる。また、前記シンチレータ収容袋が前記パネル収容ユニットの緩衝材としても機能するので、前記パネル収容ユニットの耐荷重性や耐衝撃性も向上する。
【0020】
(2)前記押付機構は、流体又は発泡物が注入される押付物質収容袋であり、前記流体又は前記発泡物が前記押付物質収容袋に注入された状態で、該押付物質収容袋が前記放射線変換パネルを前記撮影面側の内壁に押し付ける。この場合でも、前記シンチレータと前記光電変換層との密着性を高めることができると共に、前記シンチレータと前記光電変換層とを前記撮影面側の内壁に確実に近づけることができる。また、前記押付物質収容袋が前記パネル収容ユニットの緩衝材としても機能するので、この場合でも、前記パネル収容ユニットの耐荷重性や耐衝撃性を向上することができる。
【0021】
(2)の場合、前記筐体内には、基台が該筐体の底面側に配設され、前記基台上に前記押付物質収容袋及び前記放射線変換パネルを順に積層してもよい。
【0022】
(3)前記筐体内には、基台が配設され、前記押付機構は、前記基台を機械的に前記撮影面側に移動させることにより前記放射線変換パネルを前記撮影面側の内壁に押し付ける。これにより、前記シンチレータ及び前記光電変換層を確実且つ容易に前記撮影面側の内壁に押し付けて密着性を確保することができる。
【0023】
(3)の場合、カム部材又はリンク機構を前記押付機構として前記基台と前記筐体の底面との間に配設すれば、より簡易な構成で前記シンチレータと前記光電変換層との密着性や、前記放射線変換パネルと前記内壁との密着性を高めることができる。
【0024】
また、上記(1)又は(2)の場合において、前記袋は、樹脂製の袋であることが望ましい。これにより、前記液状のシンチレータ、前記流体又は前記発泡物を充填したときには膨張して、前記シンチレータと前記光電変換層との密着性や、前記放射線変換パネルと前記内壁との密着性を確保することができると共に、該放射線変換パネルを確実に位置決め固定することができる。一方、前記液状のシンチレータ、前記流体又は前記発泡物を取り除いたときには、押付方向の厚みが小さくなって、前記放射線変換パネルを位置決め状態から解放することができるので、前記内壁に接触させることなく、前記放射線変換パネルを出し入れすることが可能となる。
【0025】
さらに、上記の(2)又は(3)の場合において、前記基台と前記筐体の底面との間には、前記放射線変換パネルを制御する制御部が配置され、前記基台は、前記放射線を遮蔽する物質で構成されていればよい。これにより、前記制御部を前記放射線の劣化から保護することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、少なくとも放射線が照射される撮影時に、押付機構によりパネル収容ユニットの内壁に放射線変換パネルを押付可能にしている。そのため、非撮影時である前記パネル収容ユニットに対する前記放射線変換パネルの出し入れ時には、前記内壁と接触することなく、前記パネル収容ユニットに対して前記放射線変換パネルを出し入れすることが可能になるので、該パネル収容ユニットをCFRP等で構成した場合に、該CFRPを構成する炭素繊維が切れて、該炭素繊維のささくれが放射線画像の劣化原因となったり、あるいは、前記内壁と前記放射線変換パネルとの接触によって該放射線変換パネルの表面が傷ついて放射線画像が劣化したり、制御線や信号線が断線することを防止することができる。
【0027】
また、撮影時には、前記押付機構によって自然な形で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性を高めることができると共に、前記内壁に対して前記放射線変換パネルを容易に位置決め固定することができる。この結果、簡易な構造で前記内壁と前記放射線変換パネルとの密着性が高まるので、前記放射線画像撮影装置の耐荷重性や耐衝撃性が向上し、前記放射線変換パネルのがたつき等を効果的に抑制することができる。また、前記内壁に対して前記放射線変換パネルを容易に近づけることができるので、放射線画像の画像ボケの低減や、前記放射線画像撮影装置の薄型化も実現することが可能となる。
【0028】
このように、前記放射線変換パネルを前記内壁に貼り付ける必要がなく、且つ、前記パネル収容ユニットに対して該放射線変換パネルを容易に出し入れすることができるので、前記放射線変換パネルのリワーク性やメンテナンス性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態に係るカセッテが適用される放射線画像撮影システムの構成図である。
【図2】図1のカセッテの斜視図である。
【図3】カセッテに対する放射線変換パネルの出し入れを図示した斜視図である。
【図4】カセッテの一部を破断して図示した平面図である。
【図5】図5A及び図5Bは、図2のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図6A及び図6Bは、図2のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図1のカセッテのブロック図である。
【図8】筐体への各部の組込みからカセッテの封止までの工程を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1の放射線画像撮影システムによる被写体の撮影を説明するためのフローチャートである。
【図10】図1のカセッテに対する充電処理の状態を示す斜視図である。
【図11】図11A及び図11Bは、第1変形例に係るカセッテの断面図である。
【図12】図12A及び図12Bは、第1変形例に係るカセッテの断面図である。
【図13】図13A及び図13Bは、第2変形例に係るカセッテの断面図である。
【図14】図14A及び図14Bは、第2変形例に係るカセッテの断面図である。
【図15】図15A及び図15Bは、第3変形例に係るカセッテを模式的に示す説明図である。
【図16】図16A及び図16Bは、第4変形例に係るカセッテの断面図である。
【図17】図17A及び図17Bは、第4変形例に係るカセッテの断面図である。
【図18】図18A及び図18Bは、第5変形例に係るカセッテの断面図である。
【図19】図19A及び図19Bは、第6変形例に係るカセッテの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムについて、放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法との関連で、好適な実施形態を、図1〜図19Bを参照しながら以下詳細に説明する。
【0031】
図1に示すように、放射線画像撮影システム10は、ベッド等の撮影台12に横臥した患者等の被写体14に対して、撮影条件に従った線量からなる放射線16を照射する放射線源18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20と、放射線源18及び電子カセッテ20を制御するコンソール(制御装置)22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。
【0032】
コンソール22と、放射線源18、電子カセッテ20及び表示装置24との間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/g/n等の無線LAN(Local Area Network)又はミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよいことは勿論である。
【0033】
また、コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、また、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続される。
【0034】
電子カセッテ20は、撮影台12と被写体14との間に配置されたパネル収容ユニット30を備える可搬型の電子カセッテである。
【0035】
図2〜図4に示すように、パネル収容ユニット30は、放射線16を透過可能な材料からなる略矩形状の筐体40を有し、被写体14が横臥する筐体40の上面は、放射線16が照射される撮影面(照射面)42とされている。該撮影面42の略中央部には、被写体14の撮影位置の指標となるガイド線44が形成されている。この場合、外枠を示すガイド線44が放射線16の照射可能領域を示す撮影領域46になる。また、ガイド線44の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線44の交点)は、該撮影領域46の中心位置である。
【0036】
撮影面42における撮影領域46外であって、矢印X2方向側の箇所には、各種の情報を表示するための表示部82が配設されている。また、筐体40の矢印X2方向の側面には、医師又は放射線技師が把持するための取っ手80が設けられている。さらに、筐体40の矢印Y2方向の側面には、外部の電源から電源部52に対して充電を行なうためのACアダプタの入力端子72と、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子74と、PCカード等のメモリカード76を装填するためのカードスロット78と、電子カセッテ20の電源スイッチ86とが配置されている。
【0037】
図1〜図4に示すように、筐体40の矢印X1方向の側面には側板320が固着されている。側板320は、筐体40内の各部のリワークやメンテナンスを行う際に、取り外し可能であることが望ましく、例えば、解体性接着剤により筐体40に固着されている。従って、筐体40は、図3に示すように、筐体40内の各部を出し入れ可能とするために、矢印X1方向の側面のみが外部に対して開口し、一方で、他の側面、上面及び底面には継目がない、CFRPや樹脂等の材料を用いて一体成形により形成された構造であることが望ましい。
【0038】
図4〜図6Bに示す筐体40の内部(室326)において、矢印X2方向側(表示部82側)には、電子カセッテ20全体を制御するカセッテ制御部50と、電子カセッテ20内の各部に電力を供給するバッテリ等の電源部52と、コンソール22との間で無線による信号の送受信が可能な通信部54とが配置されている。
【0039】
また、室326において、矢印Y1方向の側壁314aと、矢印Y2方向の側壁314bとには、矢印X方向に沿って延在するレール324a、324bがそれぞれ設けられている。この場合、レール324a、324bは、同じ高さに設定され、筐体40の矢印X1方向の側面(側板320)からカセッテ制御部50、電源部52及び通信部54近傍の箇所にまで延在している。
【0040】
そして、レール324a、324bと撮影面42側の内壁296との間の空間には、被写体14を透過した放射線16を検出する放射線変換パネル92が配置され、一方で、該内壁296に対向する底面側の内壁328には、樹脂製の押付物質収容袋298(押付機構)が配置されている。
【0041】
放射線変換パネル92は、側壁314a、314bに接触すると共に、レール324a、324b上に載置可能な基板194と、基板194に形成された信号出力層200と、信号出力層200に積層された光電変換層202と、光電変換層202に積層された柱状結晶のCsI等からなる固体のシンチレータ206bとから構成される。信号出力層200、光電変換層202及びシンチレータ206bにより放射線変換層196が構成される。なお、平面視で、放射線変換層196の面積は、撮影領域46と略同じ面積とされている(図4参照)。
【0042】
放射線変換パネル92は、前述したように、被写体14を透過した放射線16をシンチレータ206bにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光をアモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO(InGaZnOx))や有機光電変換材料(OPC)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう。)により電気信号に変換する間接変換型の放射線変換パネルである。
【0043】
基板194は、可撓性を有する略矩形状の基板であり、電子カセッテ20全体の軽量化を図るために、プラスチック樹脂からなる。
【0044】
光電変換層202は、アモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO)やOPCの物質からなる画素により可視光を放射線画像の電気信号に変換する。信号出力層200は、基板194上にアモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO)を用いて室温プロセスにより形成されたTFT(薄膜トランジスタ)のアレイ等から構成され、光電変換層202から前記電気信号を読み出して出力する。
【0045】
押付物質収容袋298には、開口部300を介して、液体、気体(例えば、空気、ヘリウムガス、窒素ガス)等の流動体(流体)や、発泡物(例えば、パンク修理剤)等の充填物330が充填され、充填後は開口部300にキャップ302が装着されて密封される。従って、少なくとも放射線16が照射される撮影時には、充填物330が充填されて膨張状態にある押付物質収容袋298により、放射線変換パネル92は、内壁296に押し付けられて、該内壁296に対し位置決め固定される(図5B及び図6B参照)。なお、図5B及び図6Bでは、液体を充填物330として押付物質収容袋298に充填した場合を図示している。
【0046】
ところで、室326のリワーク又はメンテナンスを行う際、あるいは、電子カセッテ20を製造する際の非撮影時において、室326に配置された各部を出し入れするためには、筐体40と側板320とを分離して該筐体40の矢印X1方向の側面を開口させ、且つ、押付物質収容袋298から充填物330を抜いた状態で、レール324a、324b及び側壁314a、314bに沿って基板194を矢印X方向に移動させればよい(図3、図5A及び図6A参照)。
【0047】
この場合、放射線変換パネル92は、押付物質収容袋298による押付から解放された状態にあると共に、該放射線変換パネル92の厚みは、レール324a、324bの上面と内壁296との間の距離よりも薄い。従って、基板192をレール324a、324bに沿って矢印X方向に移動させれば、放射線変換層196(のシンチレータ206b)と内壁296とを接触させることなく、該放射線変換パネル92を筐体40に対して容易に出し入れすることができる。
【0048】
次に、間接変換型の放射線変換パネル92を採用した場合の電子カセッテ20の回路構成及びブロック図に関し、図7を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
図7で模式的に示すように、放射線変換パネル92では、光電変換層202(図5A〜図6B参照)を構成する多数の画素100が信号出力層200上に配列され、さらに、これらの画素100に対して駆動回路部210から制御信号を供給する多数のゲート線(制御線)102と、多数の画素100から出力される電気信号を読み出して読出回路部214に出力する多数の信号線104とが配列されている。すなわち、各画素100が形成された光電変換層202は、信号出力層200を構成する行列状のTFT106のアレイの上に配置した構造を有する。
【0050】
この場合、駆動回路部210を構成するバイアス回路108からバイアス電圧が供給される各画素100では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各列毎にTFT106を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
【0051】
各画素100に接続されるTFT106には、列方向と平行に延びるゲート線102と、行方向と平行に延びる信号線104とが接続される。各ゲート線102は、ゲート駆動回路110に接続され、各信号線104は、読出回路部214のマルチプレクサ112に接続される。ゲート線102には、列方向に配列されたTFT106をオンオフ制御する制御信号がゲート駆動回路110から供給される。この場合、ゲート駆動回路110には、カセッテ制御部50からアドレス信号が供給される。
【0052】
また、信号線104には、行方向に配列されたTFT106を介して各画素100に保持されている電荷が流出する。この電荷は、読出回路部214の増幅器114によって増幅される。増幅器114には、サンプルホールド回路116を介してマルチプレクサ112が接続される。マルチプレクサ112は、信号線104を切り替えるFET(電界効果トランジスタ)スイッチ118と、1つのFETスイッチ118をオンにする選択信号を出力するマルチプレクサ駆動回路120とを備える。マルチプレクサ駆動回路120には、カセッテ制御部50からアドレス信号が供給される。FETスイッチ118には、A/D変換器122が接続され、A/D変換器122によってデジタル信号に変換された放射線画像がカセッテ制御部50に供給される。
【0053】
なお、スイッチング素子として機能するTFT106は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【0054】
カセッテ制御部50は、アドレス信号発生部130と、画像メモリ132と、カセッテIDメモリ134とを備える。
【0055】
アドレス信号発生部130は、ゲート駆動回路110及びマルチプレクサ駆動回路120に対してアドレス信号を供給する。画像メモリ132は、放射線変換パネル92によって検出された放射線画像を記憶する。カセッテIDメモリ134は、電子カセッテ20を特定するためのカセッテID情報を記憶する。
【0056】
本実施形態に係る電子カセッテ20を含む放射線画像撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものである。次に、筐体40への各部の組込みから筐体40の封止までの工程と、電子カセッテ20及び放射線画像撮影システム10の動作とについて、図8及び図9のフローチャートを参照しながら、それぞれ説明する。なお、図8及び図9の説明では、必要に応じて、図1〜図7も参照しながら説明する。
【0057】
図8のフローチャートは、電子カセッテ20の製造時、リワーク時又はメンテナンス時の非撮影時に実行され、図9のフローチャートは、被写体14に対する撮影時に実行される。
【0058】
先ず、射出成形機により筐体40が製造される場合、該射出成形機で成形された筐体40の矢印X1方向の側面は、外部に連通する開口部とされている。そこで、電子カセッテ20の製造業者(の作業員)、又は、リワーク若しくはメンテナンスの作業員は、図8のステップS1において、開口部を介して、例えば、(1)カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54、(2)収縮状態(充填前)の押付物質収容袋298、(3)放射線変換パネル92、の順に筐体40内に組み込む。
【0059】
その際、作業員は、基板194の矢印Y方向の両側部を側壁314a、314b及びレール324a、324bに沿わせた状態で、放射線変換パネル92を前記開口部を介して矢印X2方向に移動させる。これにより、放射線変換パネル92のシンチレータ206bを内壁296に接触させることなく、該放射線変換パネル92を筐体40内に挿入することができる(図5A及び図6A参照)。この場合、作業員は、放射線変換層196と撮影領域46とが略一致する位置にまで放射線変換パネル92を挿入する。
【0060】
ステップS2において、作業員は、開口部300を介して押付物質収容袋298内に充填物330を充填する。押付物質収容袋298は、充填物330の充填によって図5A〜図6Bの上下方向に膨張する。押付物質収容袋298の膨張によって、放射線変換パネル92は、撮影面42側の内壁296に押し付けられる(図5B及び図6B参照)。
【0061】
ステップS3において、作業員は、押付物質収容袋298に対する充填物330の充填完了を確認した後に、キャップ302を開口部300に装着して押付物質収容袋298を密封する。これによって、放射線変換層196は、平面視で、撮影領域46と重なるように位置決め固定される。次に、作業員は、筐体40の前記開口部に、該開口部と同じ大きさで且つ筐体40と同じ材質の側板320を解体性接着剤等を用いて前記開口部に固着することにより、筐体40を封止する。
【0062】
ステップS1〜S3の工程を経て、電子カセッテ20が製造され、又は、電子カセッテ20のリワーク若しくはメンテナンス(例えば、放射線変換パネル92の交換)が完了する。
【0063】
次に、被写体14に対する撮影について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0064】
ステップS4において、医師又は放射線技師は、取っ手80を把持して電子カセッテ20を所定の保管場所から撮影台12にまで運搬した後に、放射線源18と放射線変換パネル92との間の撮影間距離をSID(線源受像画間距離)に調整する一方で、撮影面42に被写体14を配置させて、被写体14の撮影部位が撮影領域46に入り、且つ、該撮影部位の中心位置が撮影領域46の中心位置と略一致するように、該被写体14の位置決め(ポジショニング)を行う。また、医師又は放射線技師は、コンソール22を操作することにより、撮影対象である被写体14に関わる被写体情報等の撮影条件(例えば、放射線源18の管電圧や管電流、放射線16の曝射時間)を登録する。撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件も登録しておく。
【0065】
次に、医師又は放射線技師が電源スイッチ86を投入すると、電源部52は、電源スイッチ86の投入に起因して、筐体40内の各部に対する電力供給を開始する。これにより、通信部54は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能な状態となり、該コンソール22にて登録された撮影条件を無線通信により受信し、カセッテ制御部50に出力する。また、表示部82は、各種の情報を表示可能な状態に至る。さらに、駆動回路部210は、電源部52からの電力供給によって起動し、バイアス回路108は、バイアス電圧を各画素100に供給して、該各画素100を電荷蓄積が可能な状態に至らせる。さらにまた、読出回路部214は、電源部52からの電力供給によって起動し、該各画素100からの電荷の読み出しが可能な状態に至る。従って、電子カセッテ20は、電源スイッチ86の投入に起因して、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。
【0066】
ステップS4の撮影準備が完了した後のステップS5において、医師又は放射線技師がコンソール22又は放射線源18に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。コンソール22に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、コンソール22は、無線通信によって撮影条件を放射線源18に送信する。また、放射線源18に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、放射線源18から無線通信によりコンソール22に対して撮影条件の送信が要求され、該コンソール22は、放射線源18からの送信要求に応じて、前記撮影条件を無線通信により放射線源18に送信する。
【0067】
放射線源18は、撮影条件を受信すると、該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線16は、被写体14を透過してパネル収容ユニット30内の放射線変換パネル92に至る。
【0068】
ステップS6において、放射線変換パネル92を構成するシンチレータ206bは、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層202を構成する各画素100は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素100に保持された被写体14の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部50を構成するアドレス信号発生部130からゲート駆動回路110及びマルチプレクサ駆動回路120に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0069】
すなわち、ゲート駆動回路110は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に対応するゲート線102に接続されたTFT106のゲートに制御信号を供給する。一方、マルチプレクサ駆動回路120は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に従って、選択信号を出力してFETスイッチ118を順次切り替え(順次オンオフして)、ゲート駆動回路110によって選択されたゲート線102に接続される各画素100に保持された電荷情報としての放射線画像を信号線104を介して順次読み出す。
【0070】
選択されたゲート線102に接続された各画素100から読み出された放射線画像は、各増幅器114によって増幅された後、各サンプルホールド回路116によってサンプリングされ、FETスイッチ118を介してA/D変換器122に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、カセッテ制御部50の画像メモリ132に一旦記憶される(ステップS7)。
【0071】
同様にして、ゲート駆動回路110は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に従って、制御信号を出力するゲート線102を順次切り替え、各ゲート線102に接続されている各画素100に保持された電荷情報である放射線画像を信号線104を介して読み出し、FETスイッチ118及びA/D変換器122を介してカセッテ制御部50の画像メモリ132に記憶させる(ステップS7)。
【0072】
画像メモリ132に記憶された放射線画像は、カセッテIDメモリ134に記憶されたカセッテID情報と共に、通信部54を介して無線通信によりコンソール22に送信される。コンソール22は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置24に送信する。表示装置24は、受信した放射線画像を表示する(ステップS8)。
【0073】
なお、ステップS8において、電子カセッテ20には、表示部82が備わっているので、該表示部82に放射線画像(のローデータ又は間引きデータ)を表示させてもよい。
【0074】
医師又は放射線技師が表示装置24又は表示部82に表示された放射線画像を視認して、適切な被写体14の放射線画像が得られたことを確認した後、医師又は放射線技師は、被写体14を解放して撮影を完了させると共に、電源スイッチ86を押して、電子カセッテ20を停止させる。これにより、電源部52は、筐体40内の各部に対する電力供給を停止する。この結果、電子カセッテ20は、アクティブ状態からスリープ状態に移行する。そして、医師又は放射線技師は、取っ手80を把持して、電子カセッテ20を所定の保管場所にまで運搬する。
【0075】
なお、電子カセッテ20のリワーク時又はメンテナンス時に、筐体40内から放射線変換パネル92を取り出したい場合には、筐体40と側板320とを分離させた後に、押付物質収容袋298から充填物330を抜き取って該押付物質収容袋298を収縮状態とする。これにより、放射線変換パネル92が押付状態から解放され、レール324a、324b及び側壁314a、314bに沿わせて矢印X1方向に放射線変換パネル92を移動させれば、前記開口部から該放射線変換パネル92を取り出すことができる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る電子カセッテ20及び放射線画像撮影システム10では、少なくとも放射線16が照射される撮影時に、押付機構としての押付物質収容袋298によりパネル収容ユニット30の筐体40の内壁296に放射線変換パネル92を押付可能にしている。そのため、非撮影時であるパネル収容ユニット30の筐体40に対する放射線変換パネル92の出し入れ時には、押付物質収容袋298による内壁296への押付から放射線変換パネル92を解除(解放)した状態で、筐体40に対して該放射線変換パネル92を出し入れすることができる。従って、出し入れ時には、内壁296と接触することなく、筐体40に対して放射線変換パネル92を出し入れすることが可能になるので、該筐体40をCFRPで構成した場合に、該CFRPを構成する炭素繊維が切れて、該炭素繊維のささくれが放射線画像の劣化原因となったり、あるいは、内壁296と放射線変換パネル92との接触によって放射線変換パネル92が傷ついて放射線画像が劣化したり、ゲート線102や信号線104が断線することを防止することができる。
【0077】
また、少なくとも撮影時には、押付物質収容袋298によって自然な形で内壁296と放射線変換パネル92との密着性を高めることができると共に、内壁296に対して放射線変換パネル92を容易に位置決め固定することができる。この結果、簡易な構造で内壁296と放射線変換パネル92との密着性が高まるので、電子カセッテ20の耐荷重性や耐衝撃性が向上し、放射線変換パネル92のがたつき等を効果的に抑制することができる。また、撮影面42側の内壁296に対して放射線変換パネル92を容易に近づけることができるので、被写体14とシンチレータ206b及び光電変換層202との距離を容易に縮めることができ、放射線画像の画像ボケの低減や、電子カセッテ20の薄型化も実現することが可能となる。
【0078】
このように、放射線変換パネル92を内壁296に貼り付ける必要がなく、且つ、筐体40に対して放射線変換パネル92を容易に出し入れすることができるので、放射線変換パネル92のリワーク性やメンテナンス性も向上する。
【0079】
また、出し入れ時に、押付物質収容袋298から充填物330を抜き取ると、放射線変換パネル92は、内壁296への押付状態から解放状態に変化するので、内壁296と放射線変換パネル92との接触を確実に回避しながら、筐体40に対して放射線変換パネル92を容易に出し入れすることが可能となる。その一方、撮影時に、押付物質収容袋298に充填物330を注入して膨張させることにより、放射線変換パネル92を内壁296に押し付けて、放射線変換パネル92を構成するシンチレータ206bと光電変換層202との密着性や、シンチレータ206bと内壁296との密着性を容易に高めることができる。
【0080】
また、シンチレータ206bが柱状結晶のCsIからなるので、押付物質収容袋298により放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることで、放射線変換パネル92の平面性が確保され、この結果、基板194に対する該柱状結晶の垂直性が維持されて、鮮鋭度の高い放射線画像を容易に得ることができる。
【0081】
さらに、押付物質収容袋298がパネル収容ユニット30の緩衝材としても機能するので、パネル収容ユニット30の耐荷重性や耐衝撃性も向上する。また、押付物質収容袋298が樹脂製の袋であるため、充填物330を充填したときには膨張して、放射線変換パネル92を確実に位置決め固定することができる。
【0082】
また、押付物質収容袋298は、開口部300を取り外し可能なキャップ302で密封した構造であるため、例えば、電子カセッテ20のリワーク時、メンテナンス時、あるいは、修理時には、充填物330を容易に押付物質収容袋298から抜き取ることができる。
【0083】
これにより、経年使用に伴う放射線16による劣化が想定されるシンチレータ206bを含めた放射線変換パネル92の交換が一層容易なものとなり、リワーク性やメンテナンス性をさらに向上することができる。
【0084】
なお、本実施形態では、キャップ302により押付物質収容袋298を密封する場合について説明したが、この説明に限定されることはなく、逆止弁を用いて、あるいは、逆止弁を併用して、開口部300から充填物330が外部に漏洩することを阻止する一方で、押付物質収容袋298内の圧力が低下した場合には、前記逆止弁及び開口部300を介して充填物330を補充してもよい。
【0085】
また、本実施形態では、押付物質収容袋298に充填物330を一旦充填した後は、電子カセッテ20のリワーク時、メンテナンス時又は交換時や、電子カセッテ20の廃棄時までは、押付物質収容袋298に同じ充填物330が充填される状態となるが、例えば、撮影時にのみ充填物330を充填して押付動作を行い(図9のステップS9)、撮影後に、押付物質収容袋298から充填物330を抜き取って、放射線変換パネル92を位置決め状態から解放してもよい(図9のステップS10)。この場合、経年使用に伴う放射線16による劣化が想定されるシンチレータ206bを含めた放射線変換パネル92の交換が一層容易なものとなり、リワーク性やメンテナンス性をさらに向上することができる。
【0086】
本実施形態に係る電子カセッテ20は、上述した説明に限定されることはなく、図10〜図19Bに示す実施形態も実現可能である。
【0087】
図10は、医療機関内の必要な箇所に配置されたクレードル140による電源部52(図4及び図6A〜図7参照)の充電処理を示す斜視図である。
【0088】
この場合、電子カセッテ20とクレードル140との間をコネクタ142、144を有するUSBケーブル146で電気的に接続する。
【0089】
クレードル140は、電源部52の充電だけでなく、クレードル140の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、医療機関内のコンソール22やRIS26との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、電子カセッテ20の画像メモリ132(図7参照)に記録された放射線画像を含めることができる。
【0090】
また、クレードル140に表示部148を配設し、この表示部148に対して、電子カセッテ20の充電状態や、電子カセッテ20から取得した放射線画像を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
【0091】
さらに、複数のクレードル140をネットワークに接続し、各クレードル140に接続されている電子カセッテ20の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ20の所在を確認できるように構成することもできる。
【0092】
次に、本実施形態に係る電子カセッテ20の変形例(以下、第1〜第6変形例ともいう。)について、図11A〜図19Bを参照しながら説明する。
【0093】
先ず、図11A〜12Bに示す第1変形例の電子カセッテ20では、放射線変換パネル92を上下反転させて、シンチレータ206b等を基板194よりも下方に配置している。すなわち、図1〜図10の電子カセッテ20は、放射線16の照射方向に対してシンチレータ206bが前方に配置され、且つ、光電変換層202が後方に配置された、いわゆる表面照射型の放射線変換パネル92を用いたカセッテであり、一方で、第1変形例の電子カセッテ20は、放射線16の照射方向に対して光電変換層202が前方に配置され、且つ、シンチレータ206bが後方に配置された、裏面照射型の放射線変換パネル92を用いたカセッテである。
【0094】
この場合でも、押付物質収容袋298が放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることにより、放射線変換パネル92の各部の密着性や、放射線変換パネル92と内壁296との密着性を容易に高めることができるので、押付物質収容袋298を用いたことによる各効果を容易に得ることができる。
【0095】
図13A〜図14Bに示す第2変形例の電子カセッテ20では、内壁328にカセッテ制御部50、バッテリ等の電源部52及び通信部54が配置され、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54を覆うように、放射線16を遮蔽する物質(鉛等の重金属含有物)からなる基台190が固定され、該基台190の上面に押付物質収容袋298が載置されている。この場合、基台190の上面における矢印Y方向の両端に突起部332が設けられると共に、矢印X方向の両端に突起部334が設けられ、押付物質収容袋298は、2つの突起部332間及び2つの突起部334間に収まるように載置(固定)されている。
【0096】
この場合でも、押付物質収容袋298が放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることにより、放射線変換パネル92の各部間の密着性や、放射線変換パネル92と内壁296との密着性を容易に高めることができるので、押付物質収容袋298を用いたことによる各効果を容易に得ることができる。
【0097】
また、放射線変換パネル92と、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54との間に、放射線16を遮蔽する物質から構成される基台190が配置されているので、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54を放射線16の劣化から保護することができる。
【0098】
図15A及び図15Bに模式的に示すように、第3変形例に係る電子カセッテ20では、押付物質収容袋298による放射線変換パネル92の押付が行われていない状態では、撮影面42の中央部分が下方に向かって凹状(下方に凸)に湾曲し、一方で、押付物質収容袋298により放射線変換パネル92が内壁296に押し付けられた状態では、撮影面42が平坦に維持されている。この場合、一体成形により撮影面42の中央部分が凹状とされた筐体40が製造されても、押付物質収容袋298を用いて放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることにより撮影面42が平坦に維持されるので、上述した各効果を容易に得ることができる。
【0099】
図16A〜図17Bに示す第4変形例の電子カセッテ20では、押付物質収容袋298及び固体のシンチレータ206bに代替して、基台190の上面に、液状のシンチレータ206a(以下、液体シンチレータ206aともいう。)が充填されたシンチレータ収容袋290(押付機構)を載置した構成としている。
【0100】
液体シンチレータ206aは、被写体14を透過した放射線16を可視光に変換する。なお、液体シンチレータ206aとしては、例えば、サンゴバン社製品(BC−517H等)を用いることができる(詳細は、http://www.detectors.saint−gobain.com/Liquid−Scintillator.aspxを参照。)。また、液体シンチレータ206aの具体的な成分については、例えば、http://www.jrias.or.jp/public/hakarou/sintinani.htmを参照されたい。
【0101】
シンチレータ収容袋290は、前記可視光を透過可能な樹脂製の袋であって、開口部292を介して液体シンチレータ206aを充填すれば膨張する一方で、充填された液体シンチレータ206aを開口部292を介して排出すれば図16A〜図17Bの上下方向に収縮する。なお、液体シンチレータ206aが充填されたシンチレータ収容袋290は、開口部292に装着された取り外し可能なキャップ294により密封される。
【0102】
従って、図16A〜図17Bの第4変形例に係る電子カセッテ20は、裏面照射型の放射線変換パネル92を採用している。
【0103】
第4変形例において、基板194、信号出力層200及び光電変換層202は、液体シンチレータ206aが充填されて膨張状態にあるシンチレータ収容袋290によって内壁296に押し付けられることにより、該内壁296に対して位置決め固定され、一方で、シンチレータ収容袋290から液体シンチレータ206aが抜き取られると、基板194、信号出力層200及び光電変換層202は、押圧状態から解放される。
【0104】
この第4変形例においても、シンチレータ収容袋290に液体シンチレータ206aを充填することにより、基板194、信号出力層200及び光電変換層202を内壁296に押し付けることができるので、放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることによる各効果や、液体シンチレータ206aをシンチレータ収容袋290から抜き取って放射線変換パネル92の押付状態を解除したことによる各効果を容易に得ることができる。
【0105】
また、シンチレータ収容袋290は、開口部292を取り外し可能なキャップ294で密封した構造であるため、放射線16の照射等に起因して液体シンチレータ206aが劣化した場合には、例えば、電子カセッテ20のリワーク時、メンテナンス時、あるいは、修理時に、液体シンチレータ206aをシンチレータ収容袋290から抜き取って、新たな液体シンチレータ206aを充填し直せばよい。これにより、経年使用に伴う放射線16による劣化が想定される液体シンチレータ206aを含めた放射線変換パネル92の交換が一層容易なものとなり、リワーク性やメンテナンス性をさらに向上することができる。
【0106】
図18A及び図18Bに示す第5変形例の電子カセッテ20では、筐体40の内壁328側に、回転軸310a、310bに連結された板カム部材312a、312b(押付機構)がそれぞれ配設され、回転軸310a、310bを中心として、板カム部材312a、312bを、図18Aに示す角度と図18Bに示す角度との間で回転させる。すなわち、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び平面状の基台190は、非撮影時には図18Aのように内壁296から離間し、一方で、撮影時には図18Bのように内壁296に押し付けられる(図9のステップS9)。また、基板194及び基台190の両側部は、側壁314a、314bに接触している。
【0107】
なお、回転軸310a、310bは、図18A及び図18Bの紙面に直交する方向(矢印X方向)に延在しており、実際には、該方向に沿って複数の板カム部材312a、312bが回転軸310a、310bにそれぞれ連結されている。また、板カム部材312a、312bの大きさは、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54と、基台190とが接触しない程度の大きさとされている。
【0108】
このように、第5変形例では、板カム部材312a、312bを用いて、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び平面状の基台190を一体的に撮影面42側の内壁296に押し付けるので、より簡易な構成で、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び基台190の密着性や、放射線変換パネル92及び内壁296の密着性を確保することができる。
【0109】
図19A及び図19Bに示す第6変形例の電子カセッテ20では、筐体40の内壁328に、基台190を含めた四節リンク機構316を構成し、非撮影時には、図19Aのように基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び基台190を内壁296から離間し、一方で、撮影時には図19Bのように内壁296に押し付けるものである(図9のステップS9)。なお、四節リンク機構316の大きさは、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54と、基台190とが接触しない程度の大きさとされている。
【0110】
このように、第6変形例では、四節リンク機構316を用いて、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び基台190を一体的に撮影面42側の内壁296に押し付けるので、第5変形例と同様に、より簡易な構成で、基板194、信号出力層200、光電変換層202、シンチレータ206b及び基台190の密着性や、放射線変換パネル92及び内壁296の密着性を確保することができる。
【0111】
なお、本実施形態及び第1〜第6変形例では、表面照射型又は裏面照射型のいずれかの放射線変換パネル92を用いた放射線画像撮影装置10を図示しているが(図1〜図19B参照)、これらの図面の内容に限定されることはなく、表面照射型の放射線変換パネル92を裏面照射型の放射線変換パネル92に変更し、あるいは、裏面照射型の放射線変換パネル92を表面照射型の放射線変換パネル92に変更しても、上述した各効果が得られることは勿論である。
【0112】
具体的に、図13A〜図14B及び図18A〜図19Bの第2、第5及び第6変形例では、表面照射型の放射線変換パネル92を図示しているが、裏面照射型の放射線変換パネル92に変更してもよい。また、図15A及び図15Bの第3変形例では、表面照射型又は裏面照射型のいずれの放射線変換パネル92を用いてもよい。さらに、図16A〜図17Bの第4変形例では、放射線変換パネル92を上下反転させて、シンチレータ収容袋290を内壁296側に配置した表面照射型の放射線変換パネル92としてもよい。
【0113】
さらに、本実施形態では、液体シンチレータ206aが充填されたシンチレータ収容袋290と、固体のシンチレータ206bとを併用した放射線変換パネル92も採用することができる。この場合、放射線変換パネル92の構成としては、(1)放射線変換パネル92の表面に一方のシンチレータを配置し、裏面に他方のシンチレータを配置して両面照射型としたもの、(2)放射線変換パネル92の表面にシンチレータ収容袋290及びシンチレータ206bを配置したもの、(3)放射線変換パネル92の裏面にシンチレータ収容袋290及びシンチレータ206bを配置したもの、いずれの構成も実現可能である。また、固体のシンチレータ206bがCsIからなる場合、例えば、上記(1)の構成では、表面にシンチレータ206bを配置すると共に、裏面にシンチレータ収容袋290を配置すればよい。
【0114】
なお、本実施形態では、間接変換型の放射線変換パネル92を用いた電子カセッテ20について説明したが、放射線16の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線変換パネルを用いた電子カセッテに適用しても、当該放射線変換パネル内の各部の密着性を向上することが可能である。
【0115】
また、本実施形態では、結露を防止するために、筐体40の内部(室326)を負圧状態にしてもよい。この場合、外部との圧力差に起因して、第3変形例(図15A及び図15B参照)と同様に、撮影面42の中央部分が下方に向かって凹状となる可能性もあるが、押付物質収容袋298、シンチレータ収容袋290、板カム部材312a、312b、又は、四節リンク機構316を用いて放射線変換パネル92を内壁296に押し付けることにより、撮影面42が平坦に維持されるので、室326を負圧状態にしても、本実施形態の各効果が容易に得られる。
【0116】
また、本実施形態は、光読出方式の放射線変換パネルを利用して放射線画像を取得する場合にも適用することが可能である。この光読出方式の放射線変換パネルでは、各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線変換パネルに読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像として取得する。なお、放射線変換パネルは、消去光を放射線変換パネルに照射することで、残存する静電潜像である放射線画像を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0117】
また、電子カセッテ20では、血液やその他の雑菌が付着するおそれを防止するために、例えば、装置全体を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ20を繰り返し続けて使用することができる。
【0118】
また、本実施形態は、医療機関内での放射線画像の撮影に限らず、災害現場、在宅看護の現場、さらには、検診車に搭載して、健康診断における被写体の撮影にも適用することが可能である。さらに、本実施形態は、このような医療関連の放射線画像の撮影に限定されるものではなく、例えば、各種の非破壊検査における放射線画像の撮影にも適用可能であることは勿論である。
【0119】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0120】
10…放射線画像撮影システム
14…被写体
16…放射線
18…放射線源
20…電子カセッテ
22…コンソール
30…パネル収容ユニット
40…筐体
50…カセッテ制御部
92…放射線変換パネル
194…基板
196…放射線変換層
200…信号出力層
202…光電変換層
206a…液体シンチレータ
206b…シンチレータ
290…シンチレータ収容袋
296、328…内壁
298…押付物質収容袋
312a、312b…板カム部材
314a、314b…側壁
316…四節リンク機構
324a、324b…レール
326…室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルと、
前記放射線変換パネルを収容するパネル収容ユニットと、
少なくとも前記放射線が照射される撮影時には、前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能な押付機構と、
を有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記放射線変換パネルは、前記放射線を可視光に変換するシンチレータと、前記可視光を前記放射線画像に変換する光電変換層とを有し、
前記押付機構は、前記シンチレータ及び前記光電変換層のうち、少なくとも一方を前記内壁に押付可能であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記パネル収容ユニットは、前記放射線変換パネル及び前記押付機構を収容し、且つ、前記放射線を透過可能な略矩形状の筐体を有し、
前記押付機構は、前記シンチレータ及び前記光電変換層のうち、少なくとも一方を前記筐体における前記放射線が照射される撮影面側の内壁に押付可能であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記押付機構は、液状の前記シンチレータが充填されるシンチレータ収容袋であり、
前記液状のシンチレータが前記シンチレータ収容袋に充填された状態で、該シンチレータ収容袋が前記光電変換層を前記撮影面側の内壁に押し付けることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項5】
請求項3記載の装置において、
前記押付機構は、流体又は発泡物が注入される押付物質収容袋であり、
前記流体又は前記発泡物が前記押付物質収容袋に注入された状態で、該押付物質収容袋が前記放射線変換パネルを前記撮影面側の内壁に押し付けることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記筐体内には、基台が該筐体の底面側に配設され、
前記基台上に前記押付物質収容袋及び前記放射線変換パネルが順に積層されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の装置において、
前記袋は、樹脂製の袋であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
請求項3記載の装置において、
前記筐体内には、基台が配設され、
前記押付機構は、前記基台を機械的に前記撮影面側に移動させることにより前記放射線変換パネルを前記撮影面側の内壁に押し付けることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
前記押付機構は、前記基台と前記筐体の底面との間に配設されたカム部材又はリンク機構であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項10】
請求項6、8、9のいずれか1項に記載の装置において、
前記基台と前記筐体の底面との間には、前記放射線変換パネルを制御する制御部が配置され、
前記基台は、前記放射線を遮蔽する物質で構成されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置において、
前記パネル収容ユニットに対して少なくとも前記放射線変換パネルを出し入れする際に、前記押付機構は、前記内壁への押付から前記放射線変換パネルを解放可能な状態に変化することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項12】
放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネル、前記放射線変換パネルを収容するパネル収容ユニット、及び、少なくとも前記放射線が照射される撮影時には、前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能な押付機構を有する放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項13】
放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルをパネル収容ユニットに収容し、
少なくとも前記放射線が照射される撮影時に、押付機構により前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能にすることを特徴とする放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法。
【請求項1】
放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルと、
前記放射線変換パネルを収容するパネル収容ユニットと、
少なくとも前記放射線が照射される撮影時には、前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能な押付機構と、
を有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記放射線変換パネルは、前記放射線を可視光に変換するシンチレータと、前記可視光を前記放射線画像に変換する光電変換層とを有し、
前記押付機構は、前記シンチレータ及び前記光電変換層のうち、少なくとも一方を前記内壁に押付可能であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記パネル収容ユニットは、前記放射線変換パネル及び前記押付機構を収容し、且つ、前記放射線を透過可能な略矩形状の筐体を有し、
前記押付機構は、前記シンチレータ及び前記光電変換層のうち、少なくとも一方を前記筐体における前記放射線が照射される撮影面側の内壁に押付可能であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記押付機構は、液状の前記シンチレータが充填されるシンチレータ収容袋であり、
前記液状のシンチレータが前記シンチレータ収容袋に充填された状態で、該シンチレータ収容袋が前記光電変換層を前記撮影面側の内壁に押し付けることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項5】
請求項3記載の装置において、
前記押付機構は、流体又は発泡物が注入される押付物質収容袋であり、
前記流体又は前記発泡物が前記押付物質収容袋に注入された状態で、該押付物質収容袋が前記放射線変換パネルを前記撮影面側の内壁に押し付けることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記筐体内には、基台が該筐体の底面側に配設され、
前記基台上に前記押付物質収容袋及び前記放射線変換パネルが順に積層されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の装置において、
前記袋は、樹脂製の袋であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
請求項3記載の装置において、
前記筐体内には、基台が配設され、
前記押付機構は、前記基台を機械的に前記撮影面側に移動させることにより前記放射線変換パネルを前記撮影面側の内壁に押し付けることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
前記押付機構は、前記基台と前記筐体の底面との間に配設されたカム部材又はリンク機構であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項10】
請求項6、8、9のいずれか1項に記載の装置において、
前記基台と前記筐体の底面との間には、前記放射線変換パネルを制御する制御部が配置され、
前記基台は、前記放射線を遮蔽する物質で構成されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置において、
前記パネル収容ユニットに対して少なくとも前記放射線変換パネルを出し入れする際に、前記押付機構は、前記内壁への押付から前記放射線変換パネルを解放可能な状態に変化することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項12】
放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネル、前記放射線変換パネルを収容するパネル収容ユニット、及び、少なくとも前記放射線が照射される撮影時には、前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能な押付機構を有する放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項13】
放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルをパネル収容ユニットに収容し、
少なくとも前記放射線が照射される撮影時に、押付機構により前記パネル収容ユニットの内壁に前記放射線変換パネルを押付可能にすることを特徴とする放射線画像撮影装置における放射線変換パネルの固定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−247685(P2011−247685A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119553(P2010−119553)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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