説明

放射線画像検出装置、及び放射線撮影装置

【課題】簡易な装置構成によって良好なエネルギーサブトラクション画像を得る。
【解決手段】放射線画像検出装置3は、照射される放射線の低エネルギー成分を主として吸収して第1の蛍光を発する第1の蛍光組成物、及び前記放射線の高エネルギー成分を主として吸収して第2の蛍光を発する第2の蛍光組成物を含有してなる蛍光体30と、前記第1の蛍光を検出する第1の画素のアレイ41を有し、前記蛍光体の放射線入射側に配置される第1のセンサパネル32と、前記第2の蛍光を検出する第2の画素のアレイ51を有し、前記蛍光体を挟んで前記第1のセンサパネルと対向して配置される第2のセンサパネル32と、を備え、前記蛍光体における前記第1の蛍光組成物及び前記第2の蛍光組成物の含有率は、前記第1のセンサパネル側においては前記第1の蛍光組成物が高く、前記第2のセンサパネル側では前記第2の蛍光組成物が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像検出装置、及び該放射線画像検出装置を備えた放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放射線像を検出してデジタル画像データを生成する放射線画像検出装置が実用化されており、従来のイメージングプレートに比べて即時に画像を確認できるといった理由から急速に普及が進んでいる。この放射線画像検出装置には種々の方式のものがあり、その一つとして、間接変換方式のものが知られている。
【0003】
間接変換方式の放射線画像検出装置は、放射線露光によって蛍光を発する蛍光組成物によって形成されたシンチレータ(蛍光体)と、シンチレータに生じた蛍光を検出して電気信号に変換する画素のアレイが基板に設けられたセンサパネルとを備えている。被写体を透過した放射線は、シンチレータによって光に変換され、シンチレータの蛍光は、センサパネルの画素によって電気信号に変換され、それにより画像データが生成される。
【0004】
そして、放射線の低エネルギー成分に基づく画像データと、高エネルギー成分に基づく画像データとを取得して、被写体の特定の構造物(例えば、患者の臓器、骨部又は血管)が強調された画像を生成する、所謂エネルギーサブトラクションを行うための間接変換方式の放射線画像検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載された放射線画像検出装置は、2種類の蛍光材料A,Bを均一に混合してなるシンチレータと、シンチレータを間に挟んで対向して配置される2つのセンサパネルと、各センサパネルとシンチレータとの間にそれぞれ介在する2つのフィルタとで構成されている。蛍光材料A,Bは、一方が主として放射線の低エネルギー成分を吸収し、他方が主として放射線の高エネルギー成分を吸収し、放射線を吸収して発する蛍光のピー波長が互いに異なる。そして、一方のフィルタは、蛍光材料Aの蛍光を遮断して他方の蛍光材料Bの蛍光を透過させ、他方のフィルタは、蛍光材料Bの蛍光を遮断して他方の蛍光材料Aの蛍光を透過させるように構成されている。これらのフィルタによって、一方のセンサパネルは、蛍光材料Aの蛍光のみを受光して、放射線の低エネルギー成分に基づく画像データを生成し、他方のセンサパネルは、蛍光材料Bの蛍光のみを受光して、放射線の高エネルギー成分に基づく画像データを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7‐120557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された放射線画像検出装置においては、蛍光材料Aの蛍光と蛍光材料Bの蛍光とを選別するためにフィルタが必要であり、フィルタがないと、蛍光材料Aの蛍光と蛍光材料Bの蛍光とのコンタミネーションが生じ、エネルギーサブトラクション画像の劣化を招く。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、簡易な装置構成によって良好なエネルギーサブトラクション画像を得ることができる放射線画像検出装置及び放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 照射される放射線の低エネルギー成分を主として吸収して第1の蛍光を発する第1の蛍光組成物、及び前記放射線の高エネルギー成分を主として吸収して第2の蛍光を発する第2の蛍光組成物を含有してなる蛍光体と、前記第1の蛍光を検出する第1の画素のアレイを有し、前記蛍光体の放射線入射側に配置される第1のセンサパネルと、前記第2の蛍光を検出する第2の画素のアレイを有し、前記蛍光体を挟んで前記第1のセンサパネルと対向して配置される第2のセンサパネルと、を備え、前記蛍光体における前記第1の蛍光組成物及び前記第2の蛍光組成物の含有率は、前記第1のセンサパネル側においては前記第1の蛍光組成物が高く、前記第2のセンサパネル側では前記第2の蛍光組成物が高い放射線画像検出装置。
(2) 上記(1)の放射線画像検出装置と、前記第1のセンサパネルによって生成される第1の画像データ、及び前記第2のセンサパネルによって生成される第2の画像データを用いて、エネルギーサブトラクション画像を生成する画像処理部と、を備える放射線撮影装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の蛍光組成物の第1の蛍光は、主として蛍光体の第1のセンサパネル側において、また、第2の蛍光組成物の第2の蛍光は、主として蛍光体の第2のセンサパネル側において生じる。第1の蛍光は、第2のセンサパネルに到達するまでの間に、蛍光体自身による吸収等によって減衰され、第2の蛍光は、第1のセンサパネルに到達するまでの間に、同様に減衰される。よって、第1のセンサパネルにおいては、主として第1の蛍光が検出されて放射線の低エネルギー成分に基づく画像データが生成され、第2のセンサパネルにおいては、主として第2の蛍光が検出されて放射線の高エネルギー成分に基づく画像データが生成される。このように、フィルタを用いずとも、各センサパネルにおいて受光される蛍光を選別することができ、簡易な装置構成によって良好なエネルギーサブトラクション画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置及び放射線撮影装置の一例の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の放射線撮影装置の制御ブロック図である。
【図3】図1の放射線画像検出装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】図3の放射線画像検出装置に含まれる蛍光体を形成する第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の含有率の変換を模式的に示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例の構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例の構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置及び放射線撮影装置の一例の構成を示し、図2は、図1の放射線撮影装置の制御ブロックを示す。
【0013】
X線撮影装置1は、被写体(患者)Hを立位状態で撮影するX線診断装置であって、被写体HにコーンビームX線を放射するX線源2と、X線源2に対向配置されてX線源2から被写体Hを透過したX線を検出して画像データを生成するX線画像検出装置3と、操作者の操作に基づいてX線源2の曝射動作やX線画像検出装置3の撮影動作を制御するとともに、X線画像検出装置3により取得された画像データを処理するコンソール4とに大別される。X線源2は、天井から吊り下げられたX線源保持装置5により保持されている。X線画像検出装置3は、床に設置されたスタンド6により保持されている。
【0014】
X線源2は、X線源制御部10の制御に基づき、高電圧発生器11から印加される高電圧に応じてX線を発生するX線管12と、X線管12から発せられたX線のうち、被写体Hの検査領域に寄与しない部分を遮蔽するように照射野を制限する可動式のコリメータ13を有するコリメータユニット14とから構成されている。
【0015】
X線源保持装置5は、天井に設置された天井レール15に沿って水平方向(z方向)に移動自在に構成された台車部16と、互いに連結されて台車部16から下方向に延伸する複数の支柱部17と、台車部16を天井レールに沿って移動させるための駆動機構及び支柱部17を伸縮させるための駆動機構とを備えている。X線源2は、支柱部17の先端部に取り付けられている。X線源保持装置5が天井レール15に沿って移動することにより、X線源2とX線画像検出装置3との間の水平方向に関する距離SIDが変更され、また、支柱部17が伸縮することによって、X線源2の上下方向に関する位置が変更される。両駆動機構は、操作者の設定操作に基づき、コンソール4により制御される。
【0016】
スタンド6は、床に設置された本体18と、本体18に上下方向に移動自在に取り付けられた保持部19と、保持部19を上下移動させるための駆動機構を備えている。X線画像検出装置3は、保持部19に取り付けられている。駆動機構は、操作者の設定操作に基づき、後述するコンソール4の制御装置20により制御される。
【0017】
コンソール4には、CPU、ROM、RAM等からなる制御装置20が設けられている。
制御装置20には、操作者が撮影指示やその指示内容を入力する入力装置21と、X線画像検出装置3により取得された画像データを処理してX線画像を生成する画像処理部22と、X線画像を記憶する画像記憶部23と、X線画像等を表示するモニタ24と、X線撮影装置1の各部と接続されるインターフェース(I/F)25とを備えている。制御装置20、入力装置21、画像処理部22、画像記憶部23、モニタ24、及びI/F25は、バス26を介して接続されている。
【0018】
入力装置21の操作により、X線源2−X線画像検出装置3間距離(撮影距離)SIDや管電圧等のX線撮影条件、撮影タイミング等が入力される。制御装置20は、X線源保持装置5から供給されるX線源2の水平方向位置に基づいて、上記の入力された撮影距離SIDとなる位置にX線源2を移動させるように、X線源保持装置5を駆動する。また、制御装置20は、スタンド6から供給されるX線画像検出装置3の上下方向位置に基づいて、X線画像検出装置3に対向する上下方向位置にX線源2を移動させるようにX線源保持装置5を駆動する。
【0019】
X線画像検出装置3は、X線露光によって蛍光を発する蛍光体組成物を含むシンチレータ(蛍光体)30と、シンチレータ30を間に挟むように配置された第1のセンサパネル31及び第2のセンサパネル32とを備えている。
【0020】
本例のX線画像検出装置3は、第1のセンサパネル31がX線源2側に位置するように保持部19(図1参照)に取り付けられており、X線は、第1のセンサパネル31側からX線画像検出装置3に入射する。X線画像検出装置3に入射したX線(以下、入射X線という)は、第1のセンサパネル31を透過してシンチレータ30に入射し、X線露光されたシンチレータ30において蛍光が生じる。第1のセンサパネル31は、シンチレータ30に生じた蛍光の一部を検出し、検出したX線に応じた画像データを生成する。第2のセンサパネル32もまた、シンチレータ30に生じた蛍光の一部を検出し、検出したX線に応じた画像データを生成する。
【0021】
第1のセンサパネル31及び第2のセンサパネル32によって生成された両画像データは、それぞれコンソール4の画像処理部22(図2参照)に送出される。画像処理部22は、例えば両画像データに適宜な重み付けを行い、一方の画像データから他方の画像データを減算することによって、エネルギーサブトラクション画像を生成する。
【0022】
図3は、X線画像検出装置3の構成を示す。
【0023】
まず、X線画像検出装置3の第1のセンサパネル31及び第2のセンサパネル32について説明する。
【0024】
第1のセンサパネル31は、ガラス基板などの絶縁性基板40と、絶縁性基板40に設けられた第1の画素41のアレイとを有している。第1の画素41の各々は、シンチレータ30の蛍光を受光して電荷を生成する光電変換素子42と、この光電変換素子に生じる電荷を読み出すための読み出し回路部43とで構成されている。
【0025】
本例において、読み出し回路部43は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)からなり、絶縁性基板40上に形成されている。また、光電変換素子42は、一対の電極間に光電変換膜を設けてなる薄膜フォトダイオードであり、絶縁性基板40上に形成されている。光電変換膜には、アモルファスシリコン(a‐Si)が用いられており、a‐Siフォトダイオードの分光感度は、そのピーク波長が550nm〜600nmにあって緑の波長域(495nm〜570nm)にあるが、青の波長域まで広く分布している。なお、本明細書において、青の波長域は、近紫外域まで含むものとし、波長200nm〜495nmの領域をいうものとする。
【0026】
光電変換素子42の各々に生じた電荷は、対応する読み出し回路部43を介して順次読み出され、これらの読み出し回路部43が接続される信号処理部(図示せず)において電気信号に変換され、デジタル画像データが生成される。
【0027】
図示の例において、光電変換素子42と、読み出し回路部43とは互いに異なる層に形成されており、シンチレータ30側に光電変換素子42の層が配置されている。なお、光電変換素子42及び読み出し回路部43が一つの同じ層に形成されていてもよいし、シンチレータ30側から、読み出し回路部43の層、光電変換素子42の層、の順に形成されていてもよいが、図示の例のように、光電変換素子42と読み出し回路部43とが、互いに異なる層に形成されていることによって、光電変換素子42のサイズを大きくすることができる。そして、シンチレータ13側から、光電変換素子42の層、読み出し回路部43の層の順に形成されていることによって、光電変換素子42を、シンチレータ30により近接して配置することができ、感度が向上する。
【0028】
第2のセンサパネル32は、ガラス基板などの絶縁性基板50と、絶縁性基板50に設けられた第2の画素51のアレイとを有している。第2の画素51の各々は、光電変換素子52と、読み出し回路部53とで構成されている。光電変換素子52及び読み出し回路部53の構成は、第1の画素41における光電変換素子42及び読み出し回路部43の構成と同じであり、説明は省略する。
【0029】
次に、シンチレータ30について説明する。
【0030】
シンチレータ30は、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の混合物によって形成されている。第1の蛍光組成物は、K吸収端が比較的低エネルギー域にあって、X線の低エネルギー成分を主として吸収して蛍光を発する。第2の蛍光組成物は、K吸収端が第1のシンチレータ31を形成する蛍光組成物よりも高エネルギー域にあって、X線の高エネルギー成分を第1の蛍光組成物よりも多く吸収して蛍光を発する。
【0031】
本例において、第1の蛍光組成物としてユーロピウム賦活フッ化ハロゲン化バリウム(BaFX:Eu(Xは、ClやBrやIなどのハロゲン))が、第2の蛍光組成物としてタングステン酸カルシウム(CaWO)が用いられている。この場合に、第1の蛍光組成物(BaFX:Eu)が発する蛍光のピーク波長(380nm)、及び第2の蛍光組成物(CaWO)が発する蛍光のピーク波長(425nm)は、いずれも青の波長域にある。
【0032】
図4は、シンチレータ30における第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の含有率を示す。
【0033】
シンチレータ30において、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の含有率は、シンチレータ30の厚み方向(シンチレータ30を間に挟んで対向する第1のセンサパネル31と第2のセンサパネル32との対向方向)に変化している。シンチレータ30におけるX線入射側(第1のセンサパネル31側)においては、第2の蛍光組成物に比べて第1の蛍光組成物の含有率が高く、シンチレータ30におけるX線入射側とは反対側(第2のセンサパネル32側)においては、第1の蛍光組成物に比べて第2の蛍光組成物の含有率が高くなっている。
【0034】
シンチレータ30における上記の第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の含有率の変化は、例えば、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の各々の粒子を光透過性の樹脂に混練し、この樹脂を硬化させてシンチレータを製造するようにし、そこにおいて、第1の蛍光組成物の粒子径と第2の蛍光組成物の粒子径とを異ならせ、適宜な攪拌条件の下でいずれかの蛍光組成物の粒子を相対的に沈降し易くすることによって得ることができる。
【0035】
なお、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の含有率は、シンチレータ30の厚み方向に線形に変化してもよいし、若しくは非線形に変化してもよく、又は、ステップ的に変化してもよい。
【0036】
以上のように構成されたX線画像検出装置3において、入射X線は、第1のセンサパネル31を透過してシンチレータ30に入射する。シンチレータ30のX線入射側、即ち第1のセンサパネル31側においては、X線の低エネルギー成分を主として吸収する第1の蛍光組成物の含有率が相対的に高く、よって、シンチレータ30の第1のセンサパネル31側においては、入射X線の低エネルギー成分が主として吸収される。そして、シンチレータ30の第1のセンサパネル31側には、吸収したX線に応じた蛍光Lb1が生じ、この蛍光Lb1は、第1のセンサパネル31によって検出される。それにより、入射X線の低エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0037】
一方、入射X線の高エネルギー成分は、シンチレータ30において第1の蛍光組成物の含有率が高い第1のセンサパネル31側においては吸収されずに、シンチレータ30の深部、即ち第1の蛍光組成物よりもX線の高エネルギー成分を多く吸収する第2の蛍光組成物の含有率が相対的に高い第2のセンサパネル32側に到達し、そこにおいて吸収される。そして、シンチレータ30の第2のセンサパネル32側には、吸収したX線に応じた蛍光Lb2が生じ、この蛍光Lb2は、第2のセンサパネル32によって検出される。それにより、入射X線の高エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0038】
ここで、第1の蛍光組成物(BaFX:Eu)が発する蛍光のピーク波長(380nm)、及び第2の蛍光組成物(CaWO)が発する蛍光のピーク波長(425nm)は、いずれも青の波長域にあり、入射X線の高エネルギー成分によってシンチレータ30の第2のセンサパネル側32において生じた蛍光Lb2は、第1のセンサパネル31によっても検出され得るが、蛍光Lb2は、第1のセンサパネル31に到達するまでの間にシンチレータ30自身による吸収等によって減衰される。よって、第1のセンサパネル31において、入射X線の低エネルギー成分によってシンチレータ30の第1のセンサパネル31側において生じた蛍光Lb1に蛍光Lb2が混入して検出されることが防止される。それにより、入射X線の低エネルギー成分に基づく画像データにおいて、入射X線の高エネルギー成分の影響が低減される。
【0039】
同様に、蛍光Lb1は、第2のセンサパネル32によっても検出され得るが、蛍光Lb1は、第2のセンサパネル32に到達するまでの間にシンチレータ30自身による吸収等によって減衰される。よって、第2のセンサパネル32において、蛍光Lb2に蛍光Lb1が混入して検出されることが防止される。それにより、入射X線の高エネルギー成分に基づく画像データにおいて、入射X線の低エネルギー成分の影響が低減される。
【0040】
以上、説明したように、第1の蛍光組成物の蛍光Lb1は、主としてシンチレータ30の第1のセンサパネル31側において、また、第2の蛍光組成物の蛍光Lb2は、主としてシンチレータ30の第2のセンサパネル32側において生じる。蛍光Lb1は、第2のセンサパネル32に到達するまでの間に、シンチレータ30自身による吸収等によって減衰され、蛍光Lb2は、第1のセンサパネル31に到達するまでの間に、同様に減衰される。よって、第1のセンサパネル31においては、主として蛍光Lb1が検出されて放射線の低エネルギー成分に基づく画像データが生成され、第2のセンサパネル32においては、主として蛍光Lb2が検出されて放射線の高エネルギー成分に基づく画像データが生成される。このように、フィルタを用いずとも、各センサパネル31,32において受光される蛍光を選別することができ、簡易な装置構成によって良好なエネルギーサブトラクション画像を得ることができる。
【0041】
なお、第1のセンサパネル31及び第2のセンサパネル32に含まれる絶縁性基板40,50としては、ガラス基板に限らず、樹脂材料などからなるフレキシブル基板を用いることができる。また、読み出し回路部43,53を構成するTFTには、典型的には、a‐Siなどの無機半導体材料が用いられるが、有機半導体材料や非晶質酸化物半導体材料を用いることもできる。これらの材料については、後述する。
【0042】
図5は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例を示す。なお、上述したX線画像検出装置3と共通する要素には、共通する符号を付することによって、説明を省略あるいは簡略する。
【0043】
図5に示すX線画像検出装置103は、シンチレータ130と、シンチレータ130を間に挟むように配置された第1のセンサパネル31及び第2のセンサパネル32と、シンチレータ130と第1のセンサパネル31との間に設けられた第1のフィルタ133と、シンチレータ130と第2のセンサパネル32との間に設けられた第2のフィルタ134と、を備えている。
【0044】
シンチレータ130は、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の混合物によって形成されている。第1の蛍光組成物は、K吸収端が比較的低エネルギー域にあって、X線の低エネルギー成分を主として吸収して蛍光を発する。第2の蛍光組成物は、K吸収端が第1のシンチレータ31を形成する蛍光組成物よりも高エネルギー域にあって、X線の高エネルギー成分を第1の蛍光組成物よりも多く吸収して蛍光し、かつ、その蛍光のピーク波長が、第1の蛍光組成物の蛍光のピーク波長がある第1の波長域から外れた第2の波長域にある。
【0045】
本例において、第1の蛍光組成物としてユーロピウム賦活フッ化ハロゲン化バリウム(BaFX:Eu)が、第2の蛍光組成物としてテルビウム賦活酸化ガドリニウム(GdS:Tb)が用いられている。この場合に、第1の蛍光組成物(BaFX:Eu)が発する蛍光のピーク波長(380nm)は青の波長域にあり、第2の蛍光組成物(GdS:Tb)が発する蛍光のピーク波長(545nm)は、緑の波長域にある。
【0046】
そして、シンチレータ130において、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の含有率は、シンチレータ130におけるX線入射側(第1のセンサパネル31側)においては、第2の蛍光組成物に比べて第1の蛍光組成物の含有率が高く、シンチレータ130におけるX線入射側とは反対側(第2のセンサパネル32側)においては、第1の蛍光組成物に比べて第2の蛍光組成物の含有率が高くなっている。
【0047】
第1のフィルタ133は、第2の蛍光組成物(GdS:Tb)の蛍光のピーク波長がある緑の波長域の光を選択的に遮断して、第1の蛍光組成物(BaFX:Eu)の蛍光のピーク波長がある青の波長域の光を透過させるフィルタである。また、第2のフィルタ134は、緑の波長域の光を選択的に遮断して、青の波長域の光を透過させるフィルタである。そのような第1のフィルタ133及び第2のフィルタ134としては、特定の波長域の光を選択的に吸収するカラーフィルタを用いることもできるが、本例においては、特定の波長域の光を選択的に反射するダイクロイックフィルタが用いられている。
【0048】
以上のように構成されたX線画像検出装置103において、入射X線は、第1のセンサパネル31を透過してシンチレータ130に入射する。シンチレータ130のX線入射側、即ち第1のセンサパネル31側においては、X線の低エネルギー成分を主として吸収する第1の蛍光組成物の含有率が相対的に高く、よって、シンチレータ130の第1のセンサパネル31側においては、入射X線の低エネルギー成分が主として吸収される。そして、シンチレータ130の第1のセンサパネル31側には、吸収したX線に応じた青の波長域の蛍光Lbが生じ、この蛍光Lbは、第1のフィルタ133を透過して第1のセンサパネル31によって検出される。それにより、入射X線の低エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0049】
一方、入射X線の高エネルギー成分は、シンチレータ130において第1の蛍光組成物の含有率が高い第1のセンサパネル31側においては吸収されずに、シンチレータ130の深部、即ち第1の蛍光組成物よりもX線の高エネルギー成分を多く吸収する第2の蛍光組成物の含有率が相対的に高い第2のセンサパネル32側に到達し、そこにおいて吸収される。そして、シンチレータ130の第2のセンサパネル32側には、吸収したX線に応じた緑の波長域の蛍光Lgが生じ、この蛍光Lgは、第2のフィルタ134を透過して第2のセンサパネル32によって検出される。それにより、入射X線の高エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0050】
ここで、第1のセンサパネル31の第1の画素41及び第2のセンサパネル32の第2の画素51に各々含まれるa‐Siフォトダイオードからなる光電変換素子は、上述の通り、可視域に広く分光感度を有している。そのため、入射X線の高エネルギー成分によってシンチレータ130の第2のセンサパネル側32において生じた蛍光Lgは、第1のセンサパネル31によっても検出され得るが、蛍光Lgは、第1のセンサパネルに到達するまでの間にシンチレータ130自身による吸収等によって減衰され、更に緑の波長域の光を反射する第1のフィルタ133によって反射される。よって、第1のセンサパネル31において、入射X線の低エネルギー成分によってシンチレータ130の第1のセンサパネル31側において生じた蛍光Lbに蛍光Lgが混入して検出されることが防止される。それにより、入射X線の低エネルギー成分に基づく画像データにおいて、入射X線の高エネルギー成分の影響が低減される。
【0051】
同様に、入射X線の低エネルギー成分によってシンチレータ130の第1のセンサパネル側31において生じた蛍光Lbは、第2のセンサパネル32によっても検出され得るが、蛍光Lbは、第2のセンサパネル32に到達するまでの間にシンチレータ130自身による吸収等によって減衰され、更に青の波長域の光を反射する第2のフィルタ134によって反射される。よって、第2のセンサパネル32において、入射X線の高エネルギー成分によってシンチレータ130の第2のセンサパネル32側において生じた蛍光Lgに蛍光Lbが混入して検出されることが防止される。それにより、入射X線の高エネルギー成分に基づく画像データにおいて、入射X線の低エネルギー成分の影響が低減される。
【0052】
更に、第1のフィルタ133によって反射された蛍光Lgは、第2のセンサパネル32によって検出され、また、第2のフィルタ134によって反射された蛍光Lbは、第1のセンサパネル31によって検出される。それにより、第1のセンサパネル31及び第2のセンサパネル32における感度が向上する。
【0053】
図6は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例を示す。なお、上述したX線画像検出装置3,103と共通する要素には、共通する符号を付することによって、説明を省略あるいは簡略する。
【0054】
図6に示すX線画像検出装置203は、シンチレータ130と、シンチレータ130を間に挟むように配置された第1のセンサパネル231及び第2のセンサパネル232と、を備えている。
【0055】
第1のセンサパネル231は、絶縁性基板40と、絶縁性基板40に設けられた第1の画素241のアレイとを有している。第1の画素241の各々は、光電変換素子242と、この光電変換素子に生じる電荷を読み出すための読み出し回路部43とで構成されている。
【0056】
本例の第1のセンサパネル231において、読み出し回路部43は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)からなり、絶縁性基板40上に形成されている。光電変換素子242は、一対の電極間に光電変換膜を設けてなる薄膜フォトダイオードであり、絶縁性基板40上に形成されている。そして、光電変換膜には、シンチレータ130に含有される第1の蛍光組成物(BaFX:Eu)のピーク波長がある青の波長域の光を吸収して電荷を生成する有機光電変換膜(以下、青吸収OPC(Organic photoelectric conversion)膜という)が用いられている。OPC膜は、一般に、シャープな吸収スペクトルを持つため、光電変換素子242は、実質的に青の波長域にのみ分光感度を有する。また、OPC膜のシャープな吸収スペクトルによって、OPC膜を用いた光電変換素子は、X線を吸収することがほとんどないため、X線耐性に優れ、また、X線を吸収することによって発生するノイズが抑制される。
【0057】
青吸収OPC膜としては、例えば特開2009‐218599号公報に記載されたOPC膜を用いることができる。
【0058】
第2のセンサパネル232は、第1のセンサパネル231と同様に構成されており、絶縁性基板50と、絶縁性基板に設けられた第2の画素251のアレイとを有している。第2の画素251の各々は、光電変換素子252と、読み出し回路部53とで構成されている。光電変換素子252は、一対の電極間に光電変換膜を設けてなる薄膜フォトダイオードであり、絶縁性基板50上に形成されている。そして、光電変換膜には、シンチレータ130に含有される第2の蛍光組成物(GdS:Tb)のピーク波長がある緑の波長域の光を吸収して電荷を生成する有機光電変換膜(以下、緑吸収OPC(Organic photoelectric conversion)膜という)が用いられている。OPC膜は、一般に、シャープな吸収スペクトルを持つため、光電変換素子252は、実質的に緑の波長域にのみ分光感度を有する。
【0059】
緑吸収OPC膜としては、例えば特開2009‐32854号公報に記載されたキナクリドンを用いたOPC膜を用いることができる。
【0060】
以上のように構成されたX線画像検出装置203において、入射X線は、第1のセンサパネル231を透過してシンチレータ130に入射する。シンチレータ130のX線入射側、即ち第1のセンサパネル231側においては、X線の低エネルギー成分を主として吸収する第1の蛍光組成物の含有率が相対的に高く、よって、シンチレータ130の第1のセンサパネル231側においては、入射X線の低エネルギー成分が主として吸収される。そして、シンチレータ130の第1のセンサパネル231側には、吸収したX線に応じた青の波長域の蛍光Lbが生じ、この蛍光Lbは、第1のセンサパネル231によって検出される。それにより、入射X線の低エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0061】
一方、入射X線の高エネルギー成分は、シンチレータ130において第1の蛍光組成物の含有率が高い第1のセンサパネル231側においては吸収されずに、シンチレータ130の深部、即ち第1の蛍光組成物よりもX線の高エネルギー成分を多く吸収する第2の蛍光組成物の含有率が相対的に高い第2のセンサパネル232側に到達し、そこにおいて吸収される。そして、シンチレータ130の第2のセンサパネル232側には、吸収したX線に応じた緑の波長域の蛍光Lgが生じ、この蛍光Lgは、第2のセンサパネル232によって検出される。それにより、入射X線の高エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0062】
ここで、第1のセンサパネル231の第1の画素241に含まれる有機光電変換素子242は、実質的に青の波長域にのみ分光感度を有している。よって、入射X線の高エネルギー成分によってシンチレータ130の第2のセンサパネル側32において生じた緑の波長域の蛍光Lgは、第1のセンサパネル231によって検出されることはない。それにより、入射X線の低エネルギー成分に基づく画像データにおいて、入射X線の高エネルギー成分の影響が低減される。
【0063】
同様に、第2のセンサパネル232の第2の画素251に含まれる有機光電変換素子252は、実質的に緑の波長域にのみ分光感度を有している。入射X線の低エネルギー成分によってシンチレータ130の第1のセンサパネル側231において生じた青の波長域の蛍光Lbは、第2のセンサパネル232によって検出されことはない。それにより、入射X線の高エネルギー成分に基づく画像データにおいて、入射X線の低エネルギー成分の影響が低減される。
【0064】
図7は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例を示す。なお、上述したX線画像検出装置3,103,203と共通する要素には、共通する符号を付することによって、説明を省略あるいは簡略する。
【0065】
図7に示すX線画像検出装置303は、シンチレータ30と、シンチレータ30を間に挟むように配置された第1のセンサパネル331及び第2のセンサパネル332と、を備えている。
【0066】
シンチレータ30は、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の混合物によって形成されており、第1の蛍光組成物としてユーロピウム賦活フッ化ハロゲン化バリウム(BaFX:Eu(Xは、ClやBrやIなどのハロゲン))が、第2の蛍光組成物としてタングステン酸カルシウム(CaWO)が用いられている。この場合に、第1の蛍光組成物(BaFX:Eu)が発する蛍光のピーク波長(380nm)、及び第2の蛍光組成物(CaWO)が発する蛍光のピーク波長(425nm)は、いずれも青の波長域にある。
【0067】
第1のセンサパネル331は、半導体基板340と、半導体基板340に設けられた第1の画素341のアレイとを有している。
【0068】
本例の第1のセンサパネル331において、半導体基板340は、バンドギャップが2.8eV以上の半導体材料によって形成されており、青の波長域の光に対して吸収特性を有する。そのような半導体材料としては、SiC(バンドギャップ:2.8eV)、ZnO(バンドギャップ:3.2eV)、GaN(バンドギャップ:3.4eV)、等を例示することができる。
【0069】
第1の画素341の各々は、シンチレータ30の蛍光を受光して電荷を生成するフォトダイオードなどの光電変換素子342と、光電変換素子343において生成された電荷を読み出すためのCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの読み出し回路部343とで構成されている。第1の画素341を構成する光電変換素子342及び読み出し回路部343は、いずれも半導体基板340に形成されている。このように、青の波長域の光に対する吸収特性を有する半導体基板340に形成された光電変換素子342は、実質的に青の波長域にのみ分光感度を有する。
【0070】
なお、光電変換素子やその読み出し回路部が形成される半導体基板には、典型的には、単結晶Siが用いられるところ、本例において、半導体基板340には、そのバンドギャップが単結晶Siのバンドギャップ1.1eVよりも大きいSiC等の半導体材料が用いられており、半導体基板340に形成される光電変換素子342や読み出し回路部343のX線耐性は、単結晶Si半導体基板に形成されるものに比べて優れる。第1のセンサパネル331は、X線入射側に配置され、入射X線に直接晒されるため、光電変換素子342や読み出し回路部343がX線耐性に優れることは好ましい。半導体基板340に形成されたCCDやCMOSなどの読み出し回路部343は、ガラス基板上に形成されるTFTからなる読み出し回路部に比べて読み出し速度の点でも優れる。
【0071】
第2のセンサパネル332は、第1のセンサパネル331と同様に構成されており、半導体基板350と、半導体基板350に設けられた第2の画素351のアレイとを有している。半導体基板350は、バンドギャップが2.8eV以上の半導体材料によって形成されており、青の波長域の光に対して吸収特性を有する。第2の画素351の各々は、光電変換素子352と、読み出し回路部353とで構成されており、光電変換素子352及び読み出し回路部353は、いずれも半導体基板350に形成されている。青の波長域の光に対する吸収特性を有する半導体基板350に形成された光電変換素子352は、実質的に青の波長域にのみ分光感度を有する。
【0072】
以上のように構成されたX線画像検出装置303において、入射X線は、第1のセンサパネル331を透過してシンチレータ30に入射する。シンチレータ30のX線入射側、即ち第1のセンサパネル31側においては、X線の低エネルギー成分を主として吸収する第1の蛍光組成物の含有率が相対的に高く、よって、シンチレータ30の第1のセンサパネル331側においては、入射X線の低エネルギー成分が主として吸収される。そして、シンチレータ30の第1のセンサパネル31側には、吸収したX線に応じた蛍光Lb1が生じ、この蛍光Lb1は、第1のセンサパネル331によって検出される。それにより、入射X線の低エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0073】
一方、入射X線の高エネルギー成分は、シンチレータ30において第1の蛍光組成物の含有率が高い第1のセンサパネル331側においては吸収されずに、シンチレータ30の深部、即ち第1の蛍光組成物よりもX線の高エネルギー成分を多く吸収する第2の蛍光組成物の含有率が相対的に高い第2のセンサパネル332側に到達し、そこにおいて吸収される。そして、シンチレータ30の第2のセンサパネル332側には、吸収したX線に応じた蛍光Lb2が生じ、この蛍光Lb2は、第2のセンサパネル332によって検出される。それにより、入射X線の高エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0074】
そして、第2のセンサパネル側に向かう蛍光Lb1及び第1のセンサパネル側に向かう蛍光Lb2は、いずれもシンチレータ30自身における吸収等によって減衰される。よって、第1のセンサパネル331において、蛍光Lb1に蛍光Lb2が混入して検出されることが防止され、また、第2のセンサパネル32において、蛍光Lb2に蛍光Lb1が混入して検出されることが防止される。
【0075】
なお、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物としては、上記のBaFX:Eu及びCaWOの組み合わせに限られず、K吸収端を区別し得る限りにおいて、下表に示す蛍光組成物の中から適宜組み合わせて用いることができる。例えば、第1の蛍光組成物としてBaFX:Euを用いる場合に、第2の蛍光組成物として、CaWOに換えて、BaSO4:Eu、HfP2O7、YTaO4、等を用いることもできる。そして、本例のX線画像検出装置303において、第1のセンサパネル331及び第2のセンサパネル332の画素341,351の各々に含まれる光電変換素子342,352は、青の波長域の光に対する吸収特性を有する半導体基板340,350に形成され、実質的に青の波長域にのみ分光感度を有しており、このような場合に、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物としては、下表に示す蛍光組成物の中でも、その蛍光波長が青の波長域(200nm〜495nm)のものを用いることが好ましい。
【0076】
【表1】

【0077】
図8は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の他の例を示す。なお、上述したX線画像検出装置3,103,203,303と共通する要素には、共通する符号を付することによって、説明を省略あるいは簡略する。
【0078】
図8に示すX線画像検出装置403は、シンチレータ130と、シンチレータ130を間に挟むように配置された第1のセンサパネル431及び第2のセンサパネル432と、を備えている。
【0079】
シンチレータ130は、第1の蛍光組成物及び第2の蛍光組成物の混合物によって形成されており、第1の蛍光組成物としてユーロピウム賦活フッ化ハロゲン化バリウム(BaFX:Eu)が、第2の蛍光組成物としてテルビウム賦活酸化ガドリニウム(GdS:Tb)が用いられている。この場合に、第1の蛍光組成物(BaFX:Eu)が発する蛍光のピーク波長(380nm)は青の波長域にあり、第2の蛍光組成物(GdS:Tb)が発する蛍光のピーク波長(545nm)は、緑の波長域にある。
【0080】
第1のセンサパネル431は、バンドギャップが2.8eV以上の半導体材料によって形成された半導体基板340と、半導体基板340に設けられた第1の画素441のアレイとを有している。第1の画素441の各々は、光電変換素子242と、読み出し回路部343とで構成されている。光電変換素子242は、光電変換膜に青吸収OPC膜が用いられた有機光電変換素子であって実質的に青の波長域にのみ分光感度を有しており、半導体基板340上に形成されている。読み出し回路部343は、半導体基板340に形成されている。
【0081】
第2のセンサパネル432は、バンドギャップが2.8eV以上の半導体材料によって形成された半導体基板350と、半導体基板350に設けられた第2の画素451のアレイとを有している。第2の画素451の各々は、光電変換素子252と、読み出し回路部353とで構成されている。光電変換素子252は、光電変換膜に緑吸収OPC膜が用いられた有機光電変換素子であって実質的に緑の波長域にのみ分光感度を有しており、半導体基板350上に形成されている。読み出し回路部353は、半導体基板350に形成されている。
【0082】
以上のように構成されたX線画像検出装置403において、入射X線は、第1のセンサパネル431を透過してシンチレータ130に入射する。シンチレータ130のX線入射側、即ち第1のセンサパネル431側においては、X線の低エネルギー成分を主として吸収する第1の蛍光組成物の含有率が相対的に高く、よって、シンチレータ130の第1のセンサパネル431側においては、入射X線の低エネルギー成分が主として吸収される。そして、シンチレータ130の第1のセンサパネル431側には、吸収したX線に応じた青の波長域の蛍光Lbが生じ、この蛍光Lbは、第1のセンサパネル431によって検出される。それにより、入射X線の低エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0083】
一方、入射X線の高エネルギー成分は、シンチレータ130において第1の蛍光組成物の含有率が高い第1のセンサパネル431側においては吸収されずに、シンチレータ130の深部、即ち第1の蛍光組成物よりもX線の高エネルギー成分を多く吸収する第2の蛍光組成物の含有率が相対的に高い第2のセンサパネル432側に到達し、そこにおいて吸収される。そして、シンチレータ130の第2のセンサパネル432側には、吸収したX線に応じた緑の波長域の蛍光Lgが生じ、この蛍光Lgは、第2のセンサパネル432によって検出される。それにより、入射X線の高エネルギー成分に基づく画像データが生成される。
【0084】
そして、第1のセンサパネル431の第1の画素441に含まれる有機光電変換素子242は、実質的に青の波長域にのみ分光感度を有し、また、第2のセンサパネル432の第2の画素451に含まれる有機光電変換素子252は、実質的に緑の波長域にのみ分光感度を有している。よって、第1のセンサパネル431において、蛍光Lbに蛍光Lgが混入して検出されることが防止され、また、第2のセンサパネル432において、蛍光Lgに蛍光Lbが混入して検出されることが防止される。
【0085】
上述した放射線画像検出装置は、放射線画像を高感度、高精細に検出しうるため、低放射線照射量で鮮鋭な画像を検出することを要求される、マンモグラフィなどの医療診断用のX線撮影装置をはじめ、様々な装置に組み込んで使用することができる。例えば、工業用のX線撮影装置として非破壊検査に用いたり、或いは、電磁波以外の粒子線(α線、β線、γ線)の検出装置として用いたりすることができ、その応用範囲は広い。
【0086】
以下、上述したX線画像検出装置3における読み出し回路部43,53を構成するTFT、及び絶縁性基板40,50に用いることができる材料について説明する。
【0087】
[TFT]
TFTの活性層としては、例えばアモルファスシリコン等の無機半導体材料が使われることが多いが、例えば特開2009−212389号公報に記載されたように、有機材料を使用することができる。有機TFTはいかなるタイプの構造でもよいが、最も好ましいのは電界効果型トランジスタ(FET)構造である。このFET構造は、絶縁性基板上面の一部にゲート電極を設け、更に該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層を設けている。更に絶縁体層の上面に半導体活性層を設け、その上面の一部に透明ソース電極と透明ドレイン電極とを隔離して配置している。なお、この構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、ソース電極とドレイン電極とが半導体活性層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。また、キャリアが有機半導体膜の膜厚方向に流れる縦型トランジスタ構造であってもよい。
【0088】
(活性層)
ここでいう有機半導体材料とは、半導体の特性を示す有機材料のことであり、無機材料からなる半導体と同様に、正孔(ホール)をキャリアとして伝導するp型有機半導体材料(あるいは単にp型材料、正孔輸送材料とも言う。)と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体材料(あるいは単にn型材料、電子輸送材料とも言う。)がある。有機半導体材料は一般にp型材料の方が良好な特性を示すものが多く、また、一般に大気下でのトランジスタ動作安定性もp型トランジスタの方が優れているため、ここでは、p型有機半導体材料について説明する。
【0089】
有機薄膜トランジスタの特性の一つに、有機半導体層中のキャリアの動きやすさを示すキャリア移動度(単に移動度とも言う)μがある。用途によっても異なるが、一般に移動度は高い方がよく、1.0×10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、1.0×10-6cm2/Vs以上であることがより好ましく、1.0×10-5cm2/Vs以上であることが更に好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
【0090】
前記p型有機半導体材料は、低分子材料でも高分子材料でも良いが、好ましくは低分子材料である。低分子材料は、昇華精製や再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの様々な精製法が適用できるため高純度化が容易であること、分子構造が定まっているため秩序の高い結晶構造を取りやすいこと、などの理由から高い特性を示すものが多い。低分子材料の分子量は、好ましくは100以上5000以下、より好ましくは150以上3000以下、更に好ましくは200以上2000以下である。
【0091】
このようなp型有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物又はナフタロシアニン化合物を例示することができ、具体例を以下に示す。なお、Mは金属原子、Buはブチル基、Prはプロピル基、Etはエチル基、Phはフェニル基をそれぞれ表す。
【0092】
【化1】

【0093】
(活性層以外のスイッチ素子の構成要素)
ゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極を構成する材料としては、必要な導電性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ITO(インジウムドープ酸化スズ)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電性酸化物、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)などの透明導電性ポリマー、カーボンナノチューブなどの炭素材料が挙げられる。これらの電極材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
【0094】
絶縁層に用いられる材料としては、必要な絶縁効果を有するものであれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、ポリエステル(PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)など)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ノボラック樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、などの有機材料が挙げられる。これらの絶縁膜材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
上述した有機TFTに関するその他の構成は、例えば、特開2009−212389号公報の記載が参考となる。
【0095】
また、TFTの活性層には、例えば特開2010−186860号公報に記載された非晶質酸化物も使用することができる。ここで、特開2010−186860号に記載された電界効果型トランジスタが有する非晶質酸化物含有の活性層について示す。この活性層は、電子又はホールの移動する電界効果型トランジスタのチャネル層として機能する。
【0096】
活性層は、非晶質酸化物半導体を含んだ構成とされている。この非晶質酸化物半導体は、低温で成膜可能であるために、可撓性のある基板上に好適に形成される。活性層に用いられる非晶質酸化物半導体としては、好ましくはIn、Sn、Zn、又はCdよりなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む非晶質酸化物であり、より好ましくは、In、Sn、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物、更に好ましくは、In、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物である。
【0097】
活性層に用いられる非晶質酸化物としては、具体的には、In、ZnO,SnO、CdO,Indium−Zinc−Oxide(IZO)、Indium−Tin−Oxide(ITO)、Gallium−Zinc−Oxide(GZO)、Indium−Gallium−Oxide(IGO)、Indium−Gallium−Zinc−Oxide(IGZO)が挙げられる。
【0098】
活性層の成膜方法としては、酸化物半導体の多結晶焼結体をターゲットとして、気相成膜法を用いるのが好ましい。気相成膜法の中でも、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)が適している。更に、量産性の観点から、スパッタリング法が好ましい。例えば、RFマグネトロンスパッタリング蒸着法により、真空度及び酸素流量を制御して成膜される。
【0099】
成膜された活性層は、周知のX線回折法によりアモルファス膜であることが確認される。活性層の組成比は、RBS(ラザフォード後方散乱)分析法により求められる。
【0100】
また、この活性層の電気伝導度は、好ましくは10−4Scm−1以上10Scm−1未満であり、より好ましくは10−1Scm−1以上10Scm−1未満である。この活性層の電気伝導度の調整方法としては、公知の酸素欠陥による調整方法や、組成比による調整方法、不純物による調整方法、酸化物半導体材料による調整方法が挙げられる。
上述した非晶質酸化物に関するその他の構成は、例えば、特開2010−186860号公報の記載が参考となる。
【0101】
[絶縁性基板]
絶縁性基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチックフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。また、これらのプラスチックフィルムに、有機あるいは無機のフィラーを含有させてもよい。また、フレキシブルでかつ低熱膨張、高強度といった、既存のガラスやプラスチックでは得られない特性を有するアラミド、バイオナノファイバーなどを用いて形成されたフレキシブル基板も好適に使用しうる。
【0102】
(アラミド)
アラミド材料は、ガラス転移温度315℃という高い耐熱性、ヤング率が10GPaという高い剛性、熱膨張率が−3〜5ppm/℃という高い寸法安定性を有する。このため、アラミド製のフィルムを用いると、一般的な樹脂フィルムを用いる場合と比べて、半導体層の高品質の成膜が容易に行える。また、アラミド材料の高耐熱性により、電極材料を高温硬化させて低抵抗化できる。更に、ハンダのリフロー工程を含むICの自動実装にも対応できる。また更に、ITO(indium tin oxide)やガス・バリア膜、ガラス基板と熱膨張係数が近いために、製造後の反りが少ない。そして、割れにくい。ここで、ハロゲンを含まないハロゲンフリー(JPCA−ES01−2003の規定に適合)なアラミド材料を用いることが環境負荷低減の点で好ましい。アラミドフィルムは、ガラス基板やPET基板と積層されてもよいし、デバイスの筐体に貼り付けられてもよい。
【0103】
アラミドの分子間の凝集力(水素結合力)の高さによる溶媒への低溶解性を分子設計によって解決することにより、無色透明で薄いフィルムへの成形が容易とされたアラミド材料についても、好適に用いることができる。モノマーユニットの秩序性、及び芳香環上の置換基種・位置を制御する分子設計により、アラミド材料の高剛性や寸法安定性に繋がる直線性の高い棒状の分子構造を維持しつつ、溶解性が良い成形の容易さが得られる。この分子設計により、ハロゲンフリーをも実現できる。
【0104】
また、フィルムの面内方向の特性が最適化されたアラミド材料についても、好適に用いることができる。成型中に逐次変化するアラミドフィルムの強度に応じて、溶液キャスト、縦延伸、横延伸の工程ごとに張力条件を制御することにより、直線性の高い棒状分子構造であって物性に異方性が生じやすいアラミドフィルムの面内方向の特性をバランスできる。
【0105】
具体的に、溶液キャスト工程では、溶媒の乾燥速度の制御による面内厚み方向の物性の等方化、溶媒を含んだ状態のフィルムの強度とキャスト・ドラムからの剥離強度の最適化、を図る。縦延伸工程では、延伸中に逐次変化するフィルムの強度、溶媒の残留量に応じた延伸条件を精密に制御する。横延伸工程では、加熱によって変化するフィルム強度の変化に応じた横延伸の条件の制御、フィルムの残留応力を緩和するための横延伸の条件の制御を図る。このようなアラミド材料の使用により、成型後のアラミドフィルムがカールしてしまう問題を解決できる。
【0106】
上記の成形容易さに対する工夫、及びフィルム面内方向の特性のバランスに対する工夫のいずれにおいても、アラミドならではの直線性の高い棒状の分子構造が維持されているので、熱膨張係数を低く維持できる。製膜時の延伸条件の変更などにより、熱膨張係数を更に低減することも可能である。
【0107】
(バイオナノファイバー)
ナノファイバーは、光の波長に対して十分に小さなコンポーネントは光散乱を生じないことから、透明でフレキシブルな樹脂材料の補強として用いることができる。そして、ナノファイバーの中でも、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと、可視光波長に対して約1/10のサイズでかつ、高強度、高弾性、低熱膨である特徴を有しており、このバクテリアセルロースと透明樹脂との複合材料(バイオナノファイバーということがある)を好適に用いることができる。
【0108】
バクテリアセルロースシートにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を約60〜70%と高い比率で含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示す透明バイオナノファイバーが得られる。このバイオナノファイバーにより、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(約3〜7ppm)、鋼鉄並の強度(約460MPa)、及び高弾性(約30GPa)が得られる。
上述したバイオナノファイバーに関する構成は、例えば、特開2008−34556号公報の記載が参考となる。
【0109】
以上説明したとおり、本明細書には、下記(1)から(13)の放射線画像検出装置、及び下記(14)の放射線撮影装置が開示されている。
【0110】
(1) 照射される放射線の低エネルギー成分を主として吸収して第1の蛍光を発する第1の蛍光組成物、及び前記放射線の高エネルギー成分を主として吸収して第2の蛍光を発する第2の蛍光組成物を含有してなる蛍光体と、前記第1の蛍光を検出する第1の画素のアレイを有し、前記蛍光体の放射線入射側に配置される第1のセンサパネルと、前記第2の蛍光を検出する第2の画素のアレイを有し、前記蛍光体を挟んで前記第1のセンサパネルと対向して配置される第2のセンサパネルと、を備え、前記蛍光体における前記第1の蛍光組成物及び前記第2の蛍光組成物の含有率は、前記第1のセンサパネル側においては前記第1の蛍光組成物が高く、前記第2のセンサパネル側では前記第2の蛍光組成物が高い放射線画像検出装置。
(2) 上記(1)の放射線画像検出装置であって、前記第1の蛍光のピーク波長は、第1の波長域にあり、前記第2の蛍光のピーク波長は、前記第1の波長域から外れる第2の波長域にある放射線画像検出装置。
(3) 上記(2)の放射線画像検出装置であって、前記蛍光体と前記第1のセンサパネルとの間に、前記第2の波長域の光を選択的に遮断して前記第1の波長域の光を透過させるフィルタを備える放射線画像検出装置。
(4) 上記(2)又は(3)に記載の放射線画像検出装置であって、蛍光体と前記第2のセンサパネルとの間に、前記第1の波長域の光を選択的に遮断して前記第2の波長域の光を透過させるフィルタを備える放射線画像検出装置。
(5) 上記(3)又は(4)に記載の放射線画像検出装置であって、前記フィルタは、ダイクロイックフィルタである放射線画像検出装置。
(6) 上記(2)の放射線画像検出装置であって、前記第1の画素の分光感度のピーク波長は、前記第1の波長域にあり、前記第2の画素の分光感度のピーク波長は、前記第2の波長域にある放射線画像検出装置。
(7) 上記(1)から(6)のいずれか一つの放射線画像検出装置であって、前記第1のセンサパネルは、前記第1の画素のアレイが設けられる半導体基板を有しており、前記第1の画素は、光電変換素子と、該光電変換素子に生じる電荷を読み出す読み出し回路部を含み、該読出し回路部は前記半導体基板に形成されている放射線画像検出装置。
(8) 上記(7)の放射線画像検出装置であって、前記半導体基板を形成する半導体材料は、単結晶Siよりもバンドギャップが大きい放射線画像検出装置。
(9) 上記(8)の放射線画像検出装置であって、前記半導体材料は、SiC、GaN、ZnO、C(ダイヤモンド)、BN、AlNの群から選ばれるいずれか一つである放射線画像検出装置。
(10) 上記(8)又は(9)の放射線画像検出装置であって、前記第1の画素の前記光電変換素子は、前記半導体基板に形成されており、前記第1の波長域は、青の波長域である放射線画像検出装置。
(11) 上記(1)から(9)のいずれか一つの放射線画像検出装置であって、前記第1の画素は、有機光電変換素子を含む放射線画像検出装置。
(12) 上記(1)から(11)のいずれか一つの放射線画像検出装置であって、前記第1の蛍光組成物は、BaFX:Eu(Xはハロゲン)であり、前記第2の蛍光組成物は、GdS:Tbである放射線画像検出装置。
(13) 上記(1)の放射線画像検出装置であって、前記第1の蛍光組成物は、BaFX:Eu(Xはハロゲン)であり、前記第2の蛍光組成物は、CaWOである放射線画像検出装置。
(14) 上記(1)から(13)のいずれか一つの放射線画像検出装置と、前記第1のセンサパネルによって生成される第1の画像データ、及び前記第2のセンサパネルによって生成される第2の画像データを用いて、エネルギーサブトラクション画像を生成する画像処理部と、を備える放射線撮影装置。
【符号の説明】
【0111】
1 X線撮影装置
2 X線源
3 X線画像検出装置
4 コンソール
5 X線源保持装置
6 スタンド
10 X線源制御部
11 高電圧発生器
12 X線管
13 コリメータ
14 コリメータユニット
15 天井レール
16 台車部
17 支柱部
18 本体
19 保持部
20 制御装置
21 入力装置
22 画像処理部
23 画像記憶部
24 モニタ
25 I/F
26 バス
30 シンチレータ(蛍光体)
31 第1のセンサパネル
32 第2のセンサパネル
40 絶縁性基板
41 第1の画素
42 光電変換素子
43 読み出し回路部
50 絶縁性基板
51 第2の画素
52 光電変換素子
53 読み出し回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射される放射線の低エネルギー成分を主として吸収して第1の蛍光を発する第1の蛍光組成物、及び前記放射線の高エネルギー成分を主として吸収して第2の蛍光を発する第2の蛍光組成物を含有してなる蛍光体と、
前記第1の蛍光を検出する第1の画素のアレイを有し、前記蛍光体の放射線入射側に配置される第1のセンサパネルと、
前記第2の蛍光を検出する第2の画素のアレイを有し、前記蛍光体を挟んで前記第1のセンサパネルと対向して配置される第2のセンサパネルと、
を備え、
前記蛍光体における前記第1の蛍光組成物及び前記第2の蛍光組成物の含有率は、前記第1のセンサパネル側においては前記第1の蛍光組成物が高く、前記第2のセンサパネル側では前記第2の蛍光組成物が高い放射線画像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線画像検出装置であって、
前記第1の蛍光のピーク波長は、第1の波長域にあり、
前記第2の蛍光のピーク波長は、前記第1の波長域から外れる第2の波長域にある放射線画像検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放射線画像検出装置であって、
前記蛍光体と前記第1のセンサパネルとの間に、前記第2の波長域の光を選択的に遮断して前記第1の波長域の光を透過させるフィルタを備える放射線画像検出装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の放射線画像検出装置であって、
蛍光体と前記第2のセンサパネルとの間に、前記第1の波長域の光を選択的に遮断して前記第2の波長域の光を透過させるフィルタを備える放射線画像検出装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の放射線画像検出装置であって、
前記フィルタは、ダイクロイックフィルタである放射線画像検出装置。
【請求項6】
請求項2に記載の放射線画像検出装置であって、
前記第1の画素の分光感度のピーク波長は、前記第1の波長域にあり、
前記第2の画素の分光感度のピーク波長は、前記第2の波長域にある放射線画像検出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記第1のセンサパネルは、前記第1の画素のアレイが設けられる半導体基板を有しており、
前記第1の画素は、光電変換素子と、該光電変換素子に生じる電荷を読み出す読み出し回路部を含み、該読出し回路部は前記半導体基板に形成されている放射線画像検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の放射線画像検出装置であって、
前記半導体基板を形成する半導体材料は、単結晶Siよりもバンドギャップが大きい放射線画像検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の放射線画像検出装置であって、
前記半導体材料は、SiC、GaN、ZnO、C(ダイヤモンド)、BN、AlNの群から選ばれるいずれか一つである放射線画像検出装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の放射線画像検出装置であって、
前記第1の画素の前記光電変換素子は、前記半導体基板に形成されており、
前記第1の波長域は、青の波長域である放射線画像検出装置。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記第1の画素は、有機光電変換素子を含む放射線画像検出装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
前記第1の蛍光組成物は、BaFX:Eu(Xはハロゲン)であり、
前記第2の蛍光組成物は、GdS:Tbである放射線画像検出装置。
【請求項13】
請求項1に記載の放射線画像検出装置であって、
前記第1の蛍光組成物は、BaFX:Eu(Xはハロゲン)であり、
前記第2の蛍光組成物は、CaWOである放射線画像検出装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置と、
前記第1のセンサパネルによって生成される第1の画像データ、及び前記第2のセンサパネルによって生成される第2の画像データを用いて、エネルギーサブトラクション画像を生成する画像処理部と、
を備える放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−233781(P2012−233781A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102263(P2011−102263)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】