説明

放射線画像検出装置

【課題】TFT読取方式を用いた放射線画像検出装置においては、電源から供給される電力には電源ノイズが含まれているため、走査駆動回路からTFTスイッチ素子へと出力される読出信号にもノイズが含まれる。このノイズは、ノイズ信号として信号線に流れ出し、読出回路で読出された電荷に加算されてしまい、放射線画像の粒状性を悪化させてしまう。そこで、本発明は、放射線画像の粒状性を改善した放射線画像検出装置を提供する。
【解決手段】TFTスイッチ素子へ、所定のOFF電圧を供給するOFF電圧源302との間にスイッチSW1を設け、信号変換器671において、少なくともCDSを実施している間は、スイッチSW1をOFFにすることで、OFF電圧源302に発生するノイズを遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を透過した放射線を検出する放射線画像検出装置であるFPD(Flat Panel Detector)に関し、特に画質を向上させたFPDに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野などにおいて、被写体を透過した放射線の照射を受けて被写体に関する放射線画像を記録し、その記録された放射線画像に応じた画像信号を検出する放射線画像検出装置が各種提案、実用化されている。
【0003】
上記放射線画像検出装置としては、例えば、放射線の照射により電荷を発生する半導体材料を利用した放射線画像検出装置があり、そのような放射線画像検出装置として、いわゆるTFT読取方式のものが提案されている。
【0004】
TFT読取方式の放射線画像検出装置としては、例えば、放射線の照射を受けて発光する発光層と、発光した光を電荷に変換して蓄積する検出素子と、蓄積された電荷を読み出すための導通制御手段であるTFTスイッチ素子とを有する撮像部を備えたものが提案されている。
【0005】
該検出素子は直交する方向に2次元状に配列されている。そして、さらに、撮像部は、検出素子の列毎に並列して設けられた多数の信号線と、信号線に直交して、検出素子の行毎に並列して設けられた多数の走査線とを備えている。
【0006】
そして、上記のようにして構成された放射線画像検出装置を用いて放射線画像の記録を行い、放射線画像の読取りを行う際には、走査駆動回路から走査線に選択的に読出信号が出力され、その読出信号に応じて走査線に接続されたTFTスイッチ素子がオンされ、その検出素子に備えた蓄電部としてのコンデンサから信号線に流れ出した電荷は、信号線に接続された読出回路におけるアンプ(例えばチャージアンプ)などにより画像信号として検出され、放射線画像の読取りが行われる。走査駆動回路からTFTスイッチ素子へと出力される読出信号は、走査駆動回路に入力される電源からの電力に基づく。
【0007】
ここで、上記のような放射線画像検出装置においては、走査線と信号線とが絶縁層を介して直交して設けられているため、走査線と信号線との交差点近傍において寄生容量が形成される。
【0008】
そして、電源から供給される電力には電源ノイズが含まれているため、走査駆動回路からTFTスイッチ素子へと出力される読出信号にも電源ノイズが含まれる。この電源ノイズは、ノイズ信号として信号線に流れ出し、このノイズ信号が検出素子の蓄電部から流れ出した電荷に加算されてしまう。
【0009】
この問題を解決するために、例えば、特許文献1においては、蓄電部に蓄積された電荷を一旦読み出した後に、極性を反転させた読出信号を走査線に入力することでノイズを相殺する、という技術が提案されている。
【特許文献1】特開2006−101396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の技術では、極性を反転させることで、オフセット的に生じるノイズを減少させることはできるが、ランダムに発生しているノイズを除去することができない。そのため、読出信号におけるノイズを取りきることができず、得られた放射線画像の粒状性が悪化する。
【0011】
そこで、本発明は、放射線画像の粒状性を改善した放射線画像検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的は、下記に記載する発明により達成される。
【0013】
1.照射された放射線を電荷に変換する複数の検出素子が2次元状に配置された撮像パネルと、
前記検出素子で変換された電荷の保持と出力とを制御し、前記検出素子毎に配置された導通制御手段と、
前記導通制御手段が行毎に接続される走査線と、
前記検出素子で変換された電荷を出力するように、前記導通制御手段を制御するためのON電圧を、前記走査線を通じて前記導通制御手段に供給するON電圧源と、
前記検出素子で変換された電荷を保持するように、前記導通制御手段を制御するためのOFF電圧を、前記走査線を通じて前記導通制御手段に供給するOFF電圧源と、
前記ON電圧源または前記OFF電圧源の一方を選択して前記導通制御手段へ接続する切替手段を前記走査線毎に対応して備える走査駆動回路と、
前記OFF電圧源と前記導通制御手段との間の経路に配置されたスイッチ手段と、
前記スイッチ手段と前記導通制御手段との間の経路に一端が接続され、他端が仮想接地された電荷蓄積手段と、
前記検出素子から出力された電荷を電圧に変換する電荷電圧変換手段と、
前記電荷電圧変換手段により変換された第1の電圧と第2の電圧との差を演算する差分手段と、
前記導通制御手段に前記OFF電圧を印加させるよう前記切替手段を切替えた状態で、前記電荷電圧変換手段により前記第1の電圧を取得し、その後前記導通制御手段に前記ON電圧を印加させるよう前記切替手段を切替え、前記検出素子に保持された電荷を出力させた後、前記電荷電圧変換手段により前記第2の電圧を取得し、前記差分手段に前記第1の電圧と第2電圧との差を演算させ、演算結果に基づいて放射線画像データを生成する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1の電圧を取得する際に、少なくとも一の走査線に対応する前記スイッチ手段をOFF状態とし、前記第2の電圧を取得するまで当該一の走査線に対応する前記スイッチ手段のOFF状態を継続することを特徴とする放射線画像検出装置。
【0014】
2.前記制御部は、前記一の走査線に対して前記スイッチ手段をOFF状態としている間、他の走査線に対応する前記スイッチ手段もOFF状態とすることを特徴とする前記1記載の放射線画像検出装置。
【0015】
3.照射された放射線を電荷に変換する複数の検出素子が2次元状に配置された撮像パネルと、
前記検出素子で変換された電荷の保持と出力とを制御し、前記検出素子毎に配置された導通制御手段と、
前記導通制御手段が行毎に接続される複数の走査線と、
前記検出素子で変換された電荷を出力するように、前記導通制御手段を制御するためのON電圧を、前記走査線を通じて前記導通制御手段に供給するON電圧源と、
前記検出素子で変換された電荷を保持するように、前記導通制御手段を制御するためのOFF電圧を、前記走査線を通じて前記導通制御手段に供給するOFF電圧源と、
前記ON電圧源または前記OFF電圧源の一方を選択して前記導通制御手段へ接続する切替手段を前記走査線毎に対応して備える走査駆動回路と、
を有し、
前記OFF電圧源は、複数のOFF電圧源を含み、
前記複数の走査線のうち少なくとも1つの走査線には、他と異なるOFF電圧源が接続されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【0016】
4.前記複数のOFF電圧源は2つの電圧源からなり、一方の電圧源の出力電圧は、他方の電圧源の出力電圧の変動とは逆の変動を有することを特徴とする前記3記載の放射線画像検出装置。
【0017】
5.前記複数の走査線のうち、半分の走査線は前記一方の電圧源に接続され、残り半分の走査線は前記他方の電圧源に接続されていることを特徴とする前記4に記載の放射線画像検出装置。
【0018】
6.前記他方の電圧源は、一方の電圧源の波形に基づいて当該波形と逆の波形を生成する逆相波形生成手段から構成されることを特徴とする前記4又は5に記載の放射線画像検出装置。
【0019】
7.前記逆相波形生成手段は、前記一方の電圧源の交流成分を抽出するコンデンサ、コンデンサからの出力波形の極性を反転させ振幅を2倍にする乗算器、及び乗算器からの波形と前記一方の電圧源の波形とを加算する加算器を有することを特徴とする前記6に記載の放射線画像検出装置。
【発明の効果】
【0020】
放射線画像検出装置において、導通制御手段へOFF電圧を供給するOFF電圧源に発生する電源ノイズを遮断若しくは相殺し、または、電源ノイズ同士を打ち消し合わせることで、画像信号に電源ノイズが重畳することを低減することができ、粒状性のよい放射線画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。本実施形態における放射線画像検出装置について図1乃至図7に基づいて説明する。図1は、本実施形態における放射線画像撮影システム1の概略構成を示す図である。
【0022】
放射線画像撮影システム1は、図1に示すように、放射線撮影に関する操作を行う撮影操作装置4と、例えば無線LAN(Local Area Network)により無線通信を行うためのアクセスポイント5と、放射線画像検出装置6(以下、単にFPD6と称す)により生成された放射線画像信号に画像処理を行うコンソール7とがネットワークNを通じて接続されて構成されている。なお、ここでは図示してないが、放射線画像撮影システム1は、患者診断情報や会計情報を一元管理するHIS(Hospital Information System)や放射線診療の情報を管理するRIS(Radiology Information System)とネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、当該システム専用の通信回線であってもよいが、システム構成の自由度が低くなってしまう等の理由のため、イーサネット(登録商標)等の既存の回線である方が好ましい。
【0023】
100は撮影室である。撮影室100には放射線照射装置3、撮影操作装置4、無線通信を行うアクセスポイント5、当該アクセスポイントと接続されているルータ9を備えている。
【0024】
放射線照射装置3は、臥位撮影台11に横たわっている被検体である患者12に対して放射線を照射するようになっており、臥位撮影台11の下方には、FPD6を装着する検出装置装着口11aが設けられている。放射線照射装置3は、撮影操作装置4により制御されて所定の撮影条件で放射線撮影を行うようになっている。なお放射線照射装置3と検出装置装着口11aに装着したFPD6との撮影タイミングの同期は、両者間でアクセスポイント5を経由した無線通信により行うようにしてもよい。
【0025】
アクセスポイント5は、放射線照射装置3を備えた撮影室の所定領域内でFPD6とコンソール7とが無線通信する際に、これらの通信を中継する機能をもつ。なお、無線通信としては無線LAN(例えば、IEEE802.11a/b/n準拠の通信方式)により行う例について説明するが、これに限られず、電波(空間波)を用いるものの他に、赤外線や可視光線等(レーザ等)を用いた光無線通信(例えば、IrDA)、音波または超音波を用いた音響通信により無線通信するようにしてもよい。
【0026】
なお、図1の説明においては、アクセスポイント5を経由した無線通信により通信を行う例について説明したが、これに限られず、検出装置装着口11aにネットワークNと接続する通信コネクタを設け、FPD6を当該検出装置装着口11aに装着することにより、ネットワークNと有線通信するようにしてもよい。
【0027】
[ブロック図]
次にFPD6とコンソール7の要部構成について、ブロック図である図2を用いて説明する。FPD6は撮像部6A、制御部60、画像記憶部660、電源部300、及び送受信部65などからなる。撮像部6Aは放射線画像信号を取得する機能を有す。詳しくは後述する。制御部60は、FPD6の各部を統括的に制御する機能を有し、制御プログラムやデータ等を記憶するROM、制御プログラムに従って制御部60の制御を実行するCPU、CPUがワークエリアとして利用するRAM、等から構成されている。画像記憶部660は、撮像部6Aが撮像した画像信号を記憶するRAM、ハードディスク、フラッシュメモリなどからなる。送受信部65は、コンソール7等との通信を行う。電源部300は、FPD6を構成する電気回路、例えば本発明の導通制御手段であるTFTスイッチ素子へ電力を供給する。
【0028】
コンソール7はコンソール制御部70、送受信部75、表示部77、入力操作部78、画像記憶部760を備えて構成されている。コンソール制御部70は、コンソールの各部を統括的に制御する機能を有し、制御プログラムやデータ等を記憶するROM、制御プログラムに従ってコンソール制御部70の制御を実行するCPU、CPUがワークエリアとして利用するRAM、等から構成されている。
【0029】
表示部77は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成され、コンソール制御部70から送られる表示信号の指示に従って、FPD6で撮影した画像信号、撮影条件の情報、患者リスト、各種のメッセージや画像等、各種画面を表示するものである。
【0030】
入力操作部78は、例えば、キーボードやマウス等から構成されており、キーボードで押下操作されたキーの押下信号やマウスによる操作信号を入力信号としてコンソール制御部70に対して出力するものである。なお、入力操作部78は、前記表示部77の表示画面を覆う透明なシートパネルに、指先、または専用のスタイラスペンで触れることにより入力される位置情報を入力信号としてコンソール制御部70に出力する、いわゆる、タッチパネルにより構成されていてもよい。そして当該入力操作部78により撮影条件の情報の入力を行う。ここでいう撮影条件の情報とは、放射線量や放射線検出感度情報等のことである。例えば、放射線照射装置3から照射する放射線量は、撮影部位や患者の条件によって異なる。また放射線検出感度情報は撮影に用いるFPD6に対応しており、当該FPD6に使用されている発光層64の種類(後述のGOS、CSI等)や検出素子620の性能によって異なる放射線検出感度を有することになる。
【0031】
画像記憶部760は、撮像部6Aが撮像した画像信号や、コンソール7が処理を施して得た画像信号などを記憶するハードディスクやフラッシュメモリなどからなる。送受信部75は、FPD6等との通信を行う。
【0032】
[FPD6]
FPD6は、放射線画像信号(以下、単に画像信号という)を取得するものであり、カセッテに撮像パネルが収容されてなる可搬型のカセッテFPD装置である。
【0033】
以下、図3及び図4を用いて、FPD6の構成について説明する。図3は、FPD6の斜視図である。図4は、FPD6の撮像部6Aの回路構成図である。
【0034】
図3に示すように、FPD6は、内部を保護する筐体61を備えており、カセッテとして運搬可能に、すなわち可搬に構成されている。筐体61の内部には、入射された放射線の強度に応じた光強度の発光を行う発光層64が設けられている。発光層64で発光した光を電気信号に変換する撮像パネル62が層を成して形成されている。また撮像パネル全体の大きさは、例えば大角、半切、六切り等の撮影サイズに対応している。入射された放射線を直接電気信号に変換する直接型の撮像パネルを用いても良い。
【0035】
発光層64は、一般にシンチレータ層と呼ばれるものであり、例えば、蛍光体を主たる成分とし、入射した放射線に基づいて、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を出力する。
【0036】
この発光層64で用いられる蛍光体は、例えば、CaWO等を母体とするものや、CsI:TlやGdS:Tb、ZnS:Ag等の母体内に発光中心物質が賦活されたものを用いることができる。また、希土類元素をMとしたとき、(Gd,M,Eu)の一般式で示される蛍光体を用いることができる。特に、放射線吸収及び発光効率が高いことよりセシウムアイオダイドCsI:Tl(以下、CSIと称す)、ガドリニウムオキシサルファイドGdS:Tb(以下、GOSと称す)、が好ましく、これらを用いることで、ノイズの低い高画質の画像を得ることができる。
【0037】
またこれらの蛍光体の発光効率により、FPD6へ照射された放射線量に対する放射線検出感度が異なることになる。当該放射線検出感度情報はそれぞれのFPD6に付与した識別情報により、後述のコンソール7により管理されている。
【0038】
撮像パネル62は、この発光層の放射線が照射される側の面と反対側の面に設けられ、発光層から出力された電磁波(光)を電気エネルギーに変換して蓄積し、蓄積された電気エネルギーに基づく画像信号の出力を行う検出素子がマトリクス状に配列されている。
【0039】
接続端子69は、不図示のクレードル端子と接続するための端子であり、クレードル端子と接続することにより電源部300への充電を行う。
【0040】
60及び65は、各々上記した制御部及び送受信部である。609は走査駆動回路、608は読出回路である。
【0041】
[撮像部6A]
撮像部6Aの回路構成図である図4に示すとおり撮像部6Aは、撮像パネル62、走査駆動回路609、読出回路608、制御部60、電源部300、画像記憶部660などから構成されている。撮像パネル62は光を電気信号に変換する複数の受光素子(以下検出素子と称す)620が2次元配置されており、1つの検出素子620は放射線画像の1画素に対応する。これらの画素は例えば100〜600dpi(dots per inch)の密度で、被検体の撮影領域の大きさに渡って配置されている。
【0042】
また、検出素子620間には走査線(横ライン)623と信号線(縦ライン)624とが配設されており、同図では両者が直交する様に格子状に配設されている。ここで、走査線623と信号線624とで囲まれた1つの区画を1画素とすると、撮像パネル62の画素数は、例えば、一方向にm個、もう一方向にn個配置してなる場合にはm×n個の画素数より構成されている。そして、撮像パネル62には、m×n個の画素数分に対応するフォトダイオード621−(1,1)〜621−(m,n)と導通制御手段であるスイッチ素子のTFT622−(1,1)〜622−(m,n)が配置され、画素間には、走査線623−1〜623−m及び信号線624−1〜624−nが直交する様に配設されることになる。
【0043】
例えば、1つ目の受光素子内では、フォトダイオード621−(1,1)にシリコン積層構造あるいは有機半導体で構成された導通制御手段であるTFT622−(1,1)が接続される。TFT622−(1,1)は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)が使用される。TFT622−(1,1)のドレイン電極あるいはソース電極が検出素子620−(1,1)に接続されるとともに、ゲート電極は走査線623−mと接続される。ドレイン電極が検出素子620−(1,1)と接続する場合はソース電極が信号線624−1と接続し、ソース電極が検出素子620−(1,1)に接続する場合はドレイン電極が信号線624−1と接続する。また、他の画素における検出素子620、フォトダイオード621及びTFT622も同様に走査線623や信号線624と接続する。
【0044】
撮像パネル62では、これらの回路を介して放射線画像を画像信号に変換する。すなわち、制御部60が、走査線623−1〜623−m各々に、走査駆動回路609を介して読出信号RSを供給して画像走査を行い、走査線毎の画像信号を取り込み、放射線画像をデジタルの画像信号に変換する。
【0045】
[電源ノイズ除去の第1処理]
撮像パネル62において放射線画像を画像信号に変換するに際し電源ノイズを除去する第1処理について説明する。
【0046】
走査駆動回路609は主にTFT622のON、OFF動作を制御する。TFT622をONさせるには走査駆動回路609から走査線623を介してTFT622のゲート端子にON電圧を供給し、TFT622をOFFさせるには走査駆動回路609から走査線623を介してTFT622のゲート端子にOFF電圧を供給する。スイッチ素子にTFTを採用した場合、ON電源の電圧は例えば15Vに設定される。また、OFF電源の電圧は例えば−10Vに設定される。ON電圧の供給は、ON電圧源301を用い、OFF電圧の供給にはOFF電圧源302を用いる。ON電圧とOFF電圧の供給を選択させて各走査線へ接続する本発明の切替手段としての後述の切替回路303が用いられる。2入力のいずれかを1出力に選択する切替回路は一般に知られている技術であることからここでの説明を省略する。
【0047】
撮像パネル62の走査線623−1〜623−mは、図4に示すように走査駆動回路609と接続する。走査駆動回路609から走査線623−1〜623−mのうち、任意の走査線623−p(pは1〜mのいずれかの値)に読出信号RSであるON電圧が供給されると、この走査線623−pに接続したTFT622−(p,1)〜622−(p,n)がオン(ON抵抗を持っているが導通)の状態になり、フォトダイオード621−(p,1)〜621−(p,n)とTFT622−(p,1)〜622−(p,n)間に蓄積した電荷を信号線624−1〜624−n上に出力する。
【0048】
信号線624−1〜624−nは、読出回路608の信号変換器671−1〜671−nに接続される。信号変換器は本発明の電荷電圧変換手段として機能する。信号変換器671−1〜671−nはいわゆる相関二重サンプリング(CDSとも称す)を用いた回路で構成する(詳細は後述する)。信号変換器671の出力結果は、マルチプレクサ672に供給される。
【0049】
読出回路608における信号変換器671について図5及び図6を用いて説明する。図5はON電圧源301、OFF電圧源302の二つの電圧源から画素信号をアナログの電圧値に変換するまでの信号変換器671における一部の回路構成を示す図である。図6は前記回路構成における動作を示すタイムチャートである。
【0050】
図5(a)に示す信号変換器671における一部の回路構成について説明する。TFT622のスイッチング動作を実施するための電圧源であるON電圧源301とOFF電圧源302の選択は走査駆動回路609内に設けた切替回路303を用いて行う。切替回路303の切替動作は、制御部60の指示で制御される。OFF電圧源302と切替回路303の間にはスイッチ手段であるスイッチSW1が直列に備えられている。切替回路303とスイッチSW1の間に一端が仮想接地された電荷蓄積手段であるコンデンサC1の他端を接続する。切替回路303によって切替えられた出力はTFT622のゲートに接続される。TFTのソース側には電源304に電力供給されたフォトダイオード621が接続されている。フォトダイオード621に蓄積された電荷はTFT622のスイッチング動作によってドレイン側から出力される。TFT622のドレインはアンプ305の入力端に接続される。アンプ305の入出力端にはコンデンサC2が並列に配置されており、コンデンサC2に蓄積された電荷によって電位差が発生するので、コンデンサC2とアンプ305の組み合わせで本発明の電荷電圧変換手段(以下、CV変換器)307として動作する。コンデンサC2にはリセットスイッチ306が並列に配置されている。
【0051】
アンプ305の出力端には、SW2とコンデンサC3とが出力電圧を保持する保持手段として接続され、また、並列に、SW3とコンデンサC4とが同じく保持手段として接続されている。
【0052】
コンデンサC3及びC4に蓄積された電荷によって電圧を保持し各コンデンサに生じる電位の差を差分回路(差分手段)である差動アンプ308が増幅し、後段のマルチプレクサ608(不図示)を介してAD変換器(不図示)へと出力する。なお、スイッチSW1、SW2、SW3は制御部60が制御する。
【0053】
次に図6を用いて本回路構成の動作について説明する。最初に、リセットスイッチ306をONにして、フォトダイオード621に蓄積された電荷を受ける前に、CV変換器307におけるコンデンサC2に残存する電荷を、消滅させておく。次に、リセットスイッチ306をオフにし、フォトダイオード621に蓄積された電荷を、アンプ305を用いて電圧に変換する段階に備える。
【0054】
次に、導通制御手段であるTFT622とOFF電源302の間に配置したスイッチSW1をOFFにする。ここで、リセットスイッチ306のOFFと順番が入れ替わっても良く、同時でも良い。スイッチSW1をOFFにすることで、その瞬間でのOFF電圧源302のノイズ電圧が加算されたOFF電圧がコンデンサC1の両端に保持される。
【0055】
次に、フォトダイオード621に蓄積された電荷を、コンデンサC2に蓄積する前に、スイッチSW2を所定の時間、オフからオンに切替える。CV変換器におけるアンプ305の出力電圧が保持手段であるコンデンサC3に初期電圧として保持される。初期電圧として、OFF電圧源のノイズとコンデンサC2の熱雑音であるKTCノイズが保持される。KTCノイズとは、リセットスイッチ306をOFFしてコンデンサC2の両端を開放した際に発生するノイズである。KTCノイズによってコンデンサC2に生じたノイズ電圧を、スイッチSW2をONにすることで、コンデンサC3にノイズ電圧として保持しておく。
【0056】
次に切替回路303を切替えてON電圧源301を走査線623に接続し、TFT622のゲート電圧にON電圧を供給し、TFT622をONにする。TFT622をONにすることで撮像によって蓄積された電荷が信号線を介してCV変換器307に出力され、CV変換器307で電圧に変換する。
【0057】
次に、撮像によって蓄積された電荷がTFT622と信号線を介して出力された後で切替回路303を切替えてOFF電圧源302側に接続し、TFT622をOFFにする。
【0058】
次にスイッチSW3をONにすることで、第2の保持手段であるコンデンサC4でCV変換器から出力されている電圧を保持する。コンデンサC4には、撮像時の放射線量に相当する電圧と、スイッチSW1をOFFにした際のOFF電圧源のノイズ電圧と、KTCノイズ電圧が保持される。コンデンサC3、C4には、スイッチSW1をOFFにした際のOFF電圧源のノイズ電圧で、同じ量重畳されている。従って、差動アンプ308の出力にはOFF電圧源のノイズとKTCノイズが相殺され、撮像時の放射線量に相当する画素信号が出力されることとなる。
【0059】
以上のように、コンデンサC3、C4に電圧を各々保持させてKTCノイズを相殺する手法がCDSである。そして、本発明の構成によって、KTCノイズだけでなく、OFF電圧源のノイズを相殺することができる。
【0060】
説明を簡略化するため、一般的なCDSの動作原理の構成を用いたが、第2の保持手段であるスイッチSW3とコンデンサC4を持たずに、アンプ305の出力を差分回路である差動アンプ308の入力に直接接続し、SW3がONからOFFになるタイミングで差分演算して出力してもよく、限定されるものではない。
【0061】
なお、上記のように、走査線623−1上のフォトダイオード621−(1,1)〜621−(1,n)から電荷を読み出しているときには、図6のスイッチSW1−2〜SW1−mのタイムチャート又は図7に示すように、OFF電圧源302から他の走査線を経由しての電源ノイズが画像信号に影響を与えないように、他の走査線に関連するスイッチSW1−2〜SW1−mはOFFしておくことが好ましい。
【0062】
このように、OFF電圧源322のOFF電圧に重畳されているノイズを低減(除去)することができる。
【0063】
読出回路608における動作は制御部60からの指示で行われる。マルチプレクサ672は、信号変換器671より供給された電圧信号を順次選択し、選択された電圧信号は、A/D(アナログ/デジタル)変換器673により、例えば、12ビットのデジタル画像信号に変換される。
【0064】
以上のように、電源ノイズ除去の第1処理によれば、少なくともSW1をOFFした後の初期電圧を保持手段であるコンデンサC3で保持し、蓄積された電荷を電圧に変換して初期電圧と差分を演算し出力するまでSW1のOFFを継続することで、OFF電源に重畳された電圧ノイズを低減(除去)することができ、粒状性のよい放射線画像を得ることができる。
【0065】
SW1とコンデンサC1は走査駆動回路609よりOFF電圧源側に配置しているが、図5(b)に示すように、コンデンサC1のみ走査駆動回路609とTFT622間に配置しても良い。また、図5(c)に示すように、SW1とコンデンサC1を走査駆動回路609とTFT622間に配置しても良いが、これらの場合は、電荷を読み出す走査線のSW1は少なくともOFFにしないで、電荷を読み出さない走査線に対して本発明の制御をする。
【0066】
ノイズの低減効果は小さくなるが、一部の走査線を選択して本発明の制御をしても良い。例えば、走査駆動回路を複数の群から構成し、各群に対してそれぞれSW1とC1を構成し、ONしない走査線のみの群を制御してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、読み出しを行っている走査線に対して、本発明の制御を行う例を示したが、必ずしも読み出しを行っている走査線に対して本発明の制御を行う必要はない。例えば、1行目の読み出しを行っているときに、1行目に対しては本発明の制御を行わず、他の少なくとも1行に対して本発明の制御を行ってもよい。
【0068】
説明を簡略化するために、ON電源は1つで構成しているが、複数のON電源を切替手段で切り替える構成にしても良く、限定されるものではない。
【0069】
[電源ノイズ除去の第2処理]
以下、図8、図9を用いて説明する。図8は撮像パネル62の電源部300の詳細な回路構成の概略図であり、図9は出力電圧の概略説明図である。
【0070】
電源ノイズ除去の第2処理においては、走査駆動回路609を少なくとも2つの走査駆動回路609aと走査駆動回路609bに分割し、走査駆動回路609aに接続するOFF電圧源302aの出力電圧に発生する電圧変動と逆の電圧変動を有する電圧を作り出して、OFF電圧源302bとして走査駆動回路609bに供給することで、該ノイズを相殺し、画質の低下を減じさせる。
【0071】
図8において、走査駆動回路609a内には電圧源を切替える手段である切替回路303−1から切替回路303−xを設け、走査駆動回路609b内には切替回路303−x+1から切替回路303−mとを設ける。切替回路303−1から切替回路303−xはON電圧源301のON電圧とOFF電圧源302aからの第1のOFF電圧とのどちらかを選択する回路である。切替回路303−(x+1)から切替回路303−mはON電圧源301のON電圧とOFF電圧源302aからの第2のOFF電圧とのどちらかを選択する回路である。切替回路303−1から切替回路303−mは制御部60の指示により切替えられる。
【0072】
切替回路303−1から切替回路303−mは各走査線ごとに対応させて設ける。走査駆動回路609においては、切替回路303−xは例えば走査線623−xに接続されている。OFF電圧源302aとOFF電圧源302bに乗ったノイズは、走査線を介して読出回路608に伝達され、画像信号に影響を与える。
【0073】
一般に電圧源の出力電圧には、種々の要因により生じたランダムノイズが乗っている。また、DC/DC変換器を用いて作成した電圧源では出力電圧にリップルノイズが乗っている。図8に示す回路構成においては、これらのノイズは画像信号に重畳されずに相殺される。以下に説明する。
【0074】
図8において、OFF電圧源302aの出力を、ルート703とルート704の2系統に並列に分ける。一方のルート703には、OFF電圧源302aの出力である電圧VAが印加され、走査駆動回路609aに接続すると共に、加算器702に接続される。他方のルート704には、コンデンサC5、入力電圧の極性を反転させ且つ振幅を2倍にする乗算器701、加算器702とが設けられている。加算器702では、OFF電圧源302aの出力と乗算器701の出力とが加算される。加算された出力は走査駆動回路609bに接続される。ここで、コンデンサC5は画像の粒状性の低下が視認される空間周波数に相当する周波数帯域が通過するように値を決めることが好ましく、画素の大きさと演算処理速度等から決めると良い。
【0075】
ルート703における電圧VAは図9(a)に示すように、所定の出力電圧値V0に、OFF電圧源302a内で種々の要因により生じたノイズが重畳された状態にある。なお、出力電圧値とは、OFF電圧源302aの出力電圧として使用者が設定した電圧のことを称す。
【0076】
ルート704における電圧VBは、電圧VAがコンデンサC5に入力されると交流成分のみ出力されるので、図9(b)に示すように、ノイズの成分のみ有する。電圧VCは、図9(c)に示すように、乗算器701により、電圧VBの極性が反転され、振幅が2倍にされて出力される。加算器702では電圧VAと電圧VCとが加算されて、図9(d)に示すような電圧VDが出力される。電圧VDは、電圧VAと同じ電圧値VOを有し、ノイズが反転された位相、すなわち逆のノイズが乗った状態になる。走査駆動回路609a内にはOFF電圧源302aからのOFF電圧が供給され、走査駆動回路609b内にはOFF電圧源302bからのOFF電圧が供給されることとなる。従って、逆の電圧を有するノイズ同士が打ち消しあうので、撮像パネル6A内の画像信号には、OFF電圧源302aで発生するノイズが影響しないこととなる。前記コンデンサC5、乗算器701及び加算器702は、本発明の逆相波形生成手段として機能する。
【0077】
なお、逆のノイズを持つ電圧を生成する回路の例は上記に限定されない。
【0078】
OFF電圧源302aとOFF電圧源302bの各々の数が異なると、画像信号に与える影響が偏るので、ノイズの影響が残ることから、切替回路303−1〜303−xと切替回路303−(x+1)〜303−mの数は同数であることが好ましい。
【0079】
以上のように、電源ノイズ除去の第2処理によれば、OFF電圧源302aの電圧変動を検出することでOFF電圧源302aに発生するノイズと逆に変化する電圧を作り出して、走査駆動回路609aと走査駆動回路609bを介して走査線303−1〜303−mへ伝達させて該ノイズを相殺し、読出回路608への影響を減じることで、粒状性のよい放射線画像を得ることができる。
【0080】
[電源ノイズ除去の第3処理]
電源ノイズ除去の第3処理においては、お互いに独立したランダムノイズを有する複数のOFF電圧源302を設けることで、各々の電圧源で発生するランダムノイズを加算して影響が減じられるようにする。以下、図10を用いて説明する。図10はランダムノイズを加算して減じる方法を説明する図である。
【0081】
最初にランダムノイズを除去する方法について図10(a)を用いて説明する。同図においてはV1、V2とはランダムノイズであり、V3はV1とV2とを加算した場合の電圧である。横軸が時間を表し縦軸は電圧の振幅を表す。V1とV2とは一部のノイズ部分は同じ振幅値であって極性が反転しているとすると、V1とV2とを加算したV3は、同じ振幅値であって極性が反転している部分がうち消しあうこととなる。このようにランダムノイズ同士が打ち消しあった結果、ノイズを減じられる。
【0082】
電圧源の出力電圧におけるランダムノイズの位相は相異なるので、統計的処理を行うと、読出回路608に到達したノイズは、n1/2で除した値に小さくなる。ここでnはOFF電圧源302の数である。従って、ランダムノイズの発生源の数は多いほど、ノイズを減じる効果は大きくなる。
【0083】
図10(b)は、ランダムノイズの発生源であるOFF電圧源を走査線の数と同数用意した電源部300を有する撮像部6Aの一部を示している。例えば、切替回路303−1にはOFF電圧源302aが接続され、切替回路303−2にはOFF電圧源302bが接続され、切替回路303−3にはOFF電圧源302cが接続されている。このように、異なるランダムノイズを発生させるOFF電圧源302を複数個設けて、結果として、ランダムノイズの影響を減少させる。
【0084】
DC/DC変換器を用いたリップルノイズが重畳されている電源では、DC/DC変換器の動作周波数がお互いに異なるように動作させたり、動作周波数は同じでもリップルノイズが重畳されるタイミング(位相)がお互いにずれるように動作させた電源を構成することで、リップルノイズに対しても画質の低下を改善することができる。
【0085】
以上のように、電源ノイズ除去の第3処理によれば、異なるOFF電圧源302を用いることで、各々のOFF電圧源302に発生した位相の異なるランダムノイズを発生させ、走査駆動回路609へ伝達させ、読出回路608への影響を減少させることで、粒状性のよい放射線画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】放射線画像撮影システム1の概略構成を示す図である。
【図2】FPD6とコンソール7の要部構成について、ブロック図である。
【図3】FPD6の斜視図である。
【図4】FPD6の撮像部6Aの回路構成図である。
【図5】ON電圧源301、OFF電圧源302の二つの電圧源から画素信号をアナログの電圧値に変換するまでの回路構成を示す図である。
【図6】回路構成における動作を示すタイムチャートである。
【図7】撮像パネル62の電源部300と走査駆動回路609の概略図である。
【図8】撮像パネル62の電源部300の回路構成の概略図である。
【図9】撮像パネル62の電源部300の出力電圧の概略説明図である。
【図10】ランダムノイズを加算して減じる方法と回路構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0087】
1 放射線画像撮影システム
3 放射線照射装置
4 撮影操作装置
5 アクセスポイント
6 放射線画像検出装置
7 コンソール
9 ルータ
11a 検出装置装着口
11 臥位撮影台
12 患者
60 制御部
61 筐体
62 撮像パネル
64 発光層
65、75 送受信部
70 コンソール制御部
77 表示部
78 入力操作部
100 撮影室
300 電源部
301 ON電圧源
302 OFF電圧源
303 切替回路
304 電源
305 アンプ
306 差動アンプ
306 リセットスイッチ
307 CV変換器
608 読出回路
609 走査駆動回路
620 検出素子
623 走査線
624 信号線
660 画像記憶部
671 信号変換器
672 マルチプレクサ
673 A/D変換器
701 乗算器
702 加算器
703、704 ルート
760 画像記憶部
6A 撮像パネル
C1、C2、C3、C4 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線を電荷に変換する複数の検出素子が2次元状に配置された撮像パネルと、
前記検出素子で変換された電荷の保持と出力とを制御し、前記検出素子毎に配置された導通制御手段と、
前記導通制御手段が行毎に接続される走査線と、
前記検出素子で変換された電荷を出力するように、前記導通制御手段を制御するためのON電圧を、前記走査線を通じて前記導通制御手段に供給するON電圧源と、
前記検出素子で変換された電荷を保持するように、前記導通制御手段を制御するためのOFF電圧を、前記走査線を通じて前記導通制御手段に供給するOFF電圧源と、
前記ON電圧源または前記OFF電圧源の一方を選択して前記導通制御手段へ接続する切替手段を前記走査線毎に対応して備える走査駆動回路と、
前記OFF電圧源と前記導通制御手段との間の経路に配置されたスイッチ手段と、
前記スイッチ手段と前記導通制御手段との間の経路に一端が接続され、他端が仮想接地された電荷蓄積手段と、
前記検出素子から出力された電荷を電圧に変換する電荷電圧変換手段と、
前記電荷電圧変換手段により変換された第1の電圧と第2の電圧との差を演算する差分手段と、
前記導通制御手段に前記OFF電圧を印加させるよう前記切替手段を切替えた状態で、前記電荷電圧変換手段により前記第1の電圧を取得し、その後前記導通制御手段に前記ON電圧を印加させるよう前記切替手段を切替え、前記検出素子に保持された電荷を出力させた後、前記電荷電圧変換手段により前記第2の電圧を取得し、前記差分手段に前記第1の電圧と第2電圧との差を演算させ、演算結果に基づいて放射線画像データを生成する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1の電圧を取得する際に、少なくとも一の走査線に対応する前記スイッチ手段をOFF状態とし、前記第2の電圧を取得するまで当該一の走査線に対応する前記スイッチ手段のOFF状態を継続することを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記一の走査線に対して前記スイッチ手段をOFF状態としている間、他の走査線に対応する前記スイッチ手段もOFF状態とすることを特徴とする請求項1記載の放射線画像検出装置。
【請求項3】
照射された放射線を電荷に変換する複数の検出素子が2次元状に配置された撮像パネルと、
前記検出素子で変換された電荷の保持と出力とを制御し、前記検出素子毎に配置された導通制御手段と、
前記導通制御手段が行毎に接続される複数の走査線と、
前記検出素子で変換された電荷を出力するように、前記導通制御手段を制御するためのON電圧を、前記走査線を通じて前記導通制御手段に供給するON電圧源と、
前記検出素子で変換された電荷を保持するように、前記導通制御手段を制御するためのOFF電圧を、前記走査線を通じて前記導通制御手段に供給するOFF電圧源と、
前記ON電圧源または前記OFF電圧源の一方を選択して前記導通制御手段へ接続する切替手段を前記走査線毎に対応して備える走査駆動回路と、
を有し、
前記OFF電圧源は、複数のOFF電圧源を含み、
前記複数の走査線のうち少なくとも1つの走査線には、他と異なるOFF電圧源が接続されていることを特徴とする放射線画像検出装置。
【請求項4】
前記複数のOFF電圧源は2つの電圧源からなり、一方の電圧源の出力電圧は、他方の電圧源の出力電圧の変動とは逆の変動を有することを特徴とする請求項3記載の放射線画像検出装置。
【請求項5】
前記複数の走査線のうち、半分の走査線は前記一方の電圧源に接続され、残り半分の走査線は前記他方の電圧源に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の放射線画像検出装置。
【請求項6】
前記他方の電圧源は、一方の電圧源の波形に基づいて当該波形と逆の波形を生成する逆相波形生成手段から構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の放射線画像検出装置。
【請求項7】
前記逆相波形生成手段は、前記一方の電圧源の交流成分を抽出するコンデンサ、コンデンサからの出力波形の極性を反転させ振幅を2倍にする乗算器、及び乗算器からの波形と前記一方の電圧源の波形とを加算する加算器を有することを特徴とする請求項6に記載の放射線画像検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−98621(P2010−98621A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269236(P2008−269236)
【出願日】平成20年10月18日(2008.10.18)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】