説明

放熱器に埋め込んだヒートパイプ蒸発部の平坦化法とヒートパイプ付き放熱器

【課題】電気機器と熱的に接触するのを確実にする。
【解決手段】放熱器に埋め込んだヒートパイプ蒸発部110の平坦化法は以下の段階を含む。(a)少なくとも一つのヒートパイプ11とこのヒートパイプと熱的に連結した放熱器基部10を提供し、この基部はその中にヒートパイプを埋め込むための少なくとも一つの溝を規定し、(b)ヒートパイプ蒸発部を基部の溝上に配置し、(c)ヒートパイプ蒸発部を押圧して、蒸発部を基部から突き出た蒸発部の部分的に凸凹な表面を有する基部溝に埋め込み、且つ(d)蒸発部の突き出た凸凹表面を研磨により平坦化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放熱器の製造法に関し、特にヒートパイプ付き放熱器とそのヒートパイプ蒸発部の平坦化法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器操作時に、常に多量の熱が発生する。電子機器が不安定になったり、損傷するのを防止するために電子機器から素早く熱を除去する必要がある。通常放熱器は電子機器の外面に取り付け、電気機器の熱を吸収する。放熱器が吸収した熱は、次いで外気に散逸する。
【0003】
従来放熱器は、電気機器に取り付けた固い金属基部と、この基部上に配列した複数のフィンを含む。基部は電子機器に密に取り付けて、電子機器が発生する熱を吸収する。基部に蓄積する熱の大部分は、先ずフィンに伝熱し、次いでフィンから散逸する。しかしエレクトロニクス技術は進歩し続けるので、電子機器の発熱量は非常に増加する。多くの在来の放熱器では、これらの電子機器から熱を最早有効に除去できない。
【0004】
上記の放熱器の欠点を克服するために、電子機器に用いる一つの形の放熱器としては、放熱器基部に埋め込まれたヒートパイプが挙げられ、熱を放熱器の一つの場所から別の場所へ迅速に伝熱できる。ヒートパイプは相変化型流体、通常水、アルコール、アセトンなどのような液体を充填した真空密封パイプであり、毛管形状でそれを覆う内壁を有する。電子機器が熱くなると、電子機器の近くに位置する通常ヒートパイプ蒸発部と呼ばれる高温部が又熱くなる。ヒートパイプ蒸発部内の液体が蒸発し、生成気体は通常ヒートパイプ凝縮部と呼ばれる低温部に到達し、そこで凝縮する。次いで凝縮液体は、毛管形状のヒートパイプに沿って蒸発部に向かって流れる。この蒸発/凝縮サイクルが繰り返され、ヒートパイプにより効率よく伝熱するので、この蒸発部はヒートパイプ凝縮部と同一温度か近くに維持される。その結果このヒートパイプを含む放熱器の熱伝導能は大きく改良される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒートパイプ蒸発部が表面対表面の形で電子機器と熱的に関与するためには、蒸発部を平坦にし、放熱器の基部底面と同一平面にする必要がある。しかしヒートパイプを基部に埋め込むと、ヒートパイプ蒸発部を放熱器の基部底面と同一平面になるように平坦化するのは困難である。その結果この放熱器を電子機器に用いると、ヒートパイプ蒸発部と放熱器基部のいずれかが、電気機器と熱的に接触するのを確実にするのは困難である。
【0006】
それ故必要なことは、上記の問題を克服できるヒートパイプ付き放熱器である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は放熱器に埋め込んだヒートパイプ蒸発部の平坦化法と、ヒートパイプ付き放熱器を提供する。この方法ではヒートパイプ蒸発部を放熱器基部から突き出させる。これにより放熱器が電子器具と接触したときに、ヒートパイプ蒸発部が熱直接接触部として機能できる。従って高熱伝導性のヒートパイプが有効に利用できる。その結果基部の熱伝導性の重要性が減少する。その結果高熱伝導性材料の使用が必要でなくなる。それ故放熱器のコストが削減される。
【0008】
放熱器に埋め込んだヒートパイプ蒸発部の平坦化法は以下の段階を含む。(a)少なくとも一つのヒートパイプと、このヒートパイプと熱的に連結した放熱器基部を提供し、この基部はその中にヒートパイプ埋め込むための少なくとも一つの溝を規定し、(b)ヒートパイプ蒸発部を基部の溝上に配置し、(c)ヒートパイプ蒸発部を押圧して、蒸発部を基部から突き出た蒸発部の部分的に凸凹な表面を有する基部溝に埋め込み、且つ(d)蒸発部の突出した凸凹表面を研磨して平坦化する。
【0009】
ヒートパイプ付き放熱器は、その中に規定された溝を有し、ヒートパイプは蒸発部と凝縮部を有し、蒸発部は基部溝に埋め込まれ、基部から突きだした平坦化表面を有し、多数のフィンはそのうちに少なくとも一つの通路を協調的に規定し、ヒートパイプ凝縮部はフィン通路に受け入れられ、通路先端でフィンと熱的に連携する。
【0010】
本ハンドル構造の他の目的、特性及び利点は、本ハンドル構造の実施形態で開示した更なる技術的特性により更に理解され、本ハンドル構造の好ましい実施形態を示し説明するが、本発明実施にもっとも適する様態を示すためにしか過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここに開示の種々の実施形態のこれらと他の特性と利点は、以下の説明と図面に関してより良く理解され、類似番号は全体を通して類似部品を意味する。
【0012】
図1を参照して、典型的実施形態に従うヒートパイプ付き放熱器の概略等角図を示す。放熱器1は基部10、少なくとも一つのヒートパイプ11及び多数のフィン12を含む。
【0013】
基部10によりヒートパイプ11がその中に埋め込まれた基部底面101に少なくとも一つの溝100を規定する。
【0014】
各ヒートパイプ11は、熱蒸発部110と凝縮部111を含む。本発明のこの実施形態では、各ヒートパイプ11はU型構造を有する。ここで熱蒸発部110はU型ヒートパイプ11の中間部分に配置し、凝縮部111はU型ヒートパイプ11両端のそれぞれに配置する。ヒートパイプ11の熱蒸発部110は基部10の対応溝100に埋め込まれる。
【0015】
フィン12は互いに間隔を開け、その中の少なくとも一つの通路(標識を付けていない)を協調的に規定する。ヒートパイプ11の凝縮部111はフィン12通路に受け入れ、通路先端でフィン12と熱的に連携する。
【0016】
図2を参照して、放熱器1のヒートパイプ11蒸発部110の平坦化法は、以下の段階を含む。
【0017】
段階S1(図2参照):少なくとも一つのヒートパイプ11と、ヒートパイプ11と熱的に連結するように配置した基部10を提供する。基部10はその中にヒートパイプ11を埋め込むための基部底面101に規定された溝100を有する。
【0018】
段階S2(図2と図3参照):ヒートパイプ11蒸発部110を基部10の溝100上に配置する。溝100内壁に熱伝導ペーストのような熱伝導媒体を塗布しても良く、ヒートパイプ11を押圧して変形し溝100内に埋め込むとき、ヒートパイプ11と溝100内壁間の熱的接触を増強しても良い。溝100はそこからヒートパイプ11を埋め込むように配置した開口部102を有する。ヒートパイプ11の直径は溝100の深さと溝100の開口部幅より僅かに大きい。
【0019】
段階S3(図2と図4参照):プレス金型13によりヒートパイプ11の蒸発部110を押圧し、ヒートパイプ11の蒸発部110を基部10の溝100に埋め込む。ヒートパイプ11の直径が、溝100の開口部幅と溝100の深さより大きいことにより、ヒートパイプ11を溝100内に押圧後、蒸発部110の部分的に凸凹な表面112が、基部10の底面101から突き出る。
【0020】
段階S4:研磨により蒸発部110の突出した凸凹表面112を平坦化する。図5を参照して、本実施形態では平坦化段階を研磨機2により実施する。研磨機2は作業台20、固定台21及び平坦化装置22を含む。
【0021】
作業台20は、固定台21をそこから作業台20に滑らせるように配置した滑り溝200を規定する。受け入れ溝210は固定台21で規定される。凹部211は、その上にある放熱器1を固定するように配置した受け入れ溝210で規定する。平坦化装置22の位置を合わすように、放熱器1を反転向きに凹部211上に固定する。即ち放熱器1の基部10を凹部211上に固定する。組み立て時に、反転放熱器1を先ず固定台21の受け入れ溝210により凹部211上に配置する。固定台21の上に固定した反転放熱器1有りの固定台を、滑り溝200により作業台20に滑り入れる。その結果ヒートパイプ11蒸発部110の突出した凸凹表面112が、平坦化装置22と向かい合うように配置される。
【0022】
図6を参照して、支持表面部201は滑り溝200内に規定され、固定台21の底面212に対して傾斜する。これにより固定台21は、幅の広い側から狭い側へ、徐々に適切に作業台20に滑り込む。
【0023】
図7を参照して、取り付けバー21が作業台20に入り固定されると、ヒートパイプ11蒸発部110の突出した凸凹表面112は、平坦化装置22の研磨ストリップ220と接触する。次いでヒートパイプ11蒸発部110の凸凹表面112を、平坦化装置22の研磨ストリップ220により平坦面になるように研磨する。
【0024】
図8と図9を参照して、ヒートパイプ11蒸発部110の平坦化表面112を、基部10底面101から押し出す。換言すると、ヒートパイプ11蒸発部110の平坦化表面112と、基部10の底面101とは同一平面ではない。従って放熱器1が電子機器と接触すると、ヒートパイプ11蒸発部110は、熱との直接接触部分として作用できる。それ故ヒートパイプ11の高熱伝導性が有効に利用される。従って基部10の熱伝導の重要性が減少する。更に基部10を高熱伝導材料で作製する必要もない。それ故放熱器のコストも削減する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】典型的実施形態に従うヒートパイプ付き放熱器の概略等角図である。
【図2】図1のヒートパイプ蒸発部の平坦化法のフローチャートある。
【図3】図2の方法の段階S2を示す概略図である。
【図4】図2の方法の段階S3を示す概略図である。
【図5】典型的実施形態に従う研磨の概略等角図である。
【図6】典型的実施形態に従う研磨の概略組み立て図である。
【図7】線VII―VIIに沿って切断した図6の研磨断面図である。
【図8】平坦化後の図1のヒートパイプ付き放熱器の部分概略図である。
【図9】別角度で平坦化後の図1のヒートパイプ付き放熱器の部分概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱器1に埋め込んだヒートパイプ11蒸発部110の平坦化法であって、その方法が以下の
少なくとも一つのヒートパイプ11と、この前記ヒートパイプ11と熱的に連結した前記放熱器1の基部10を提供し、この前記基部10がその中に前記ヒートパイプ11を埋め込むための少なくとも一つの溝100を規定し、
前記ヒートパイプ11の蒸発部110を前記基部の前記溝100上に配置し、
前記ヒートパイプ11の前記蒸発部110を押圧して、前記蒸発部110を前記基部10から突き出た前記蒸発部110の部分的に凸凹な表面112を有する前記基部10の前記溝100に埋め込み、
前記ヒートパイプ11の前記蒸発部110の突出した前記凸凹表面112を研磨により平坦化する
段階を含む方法。
【請求項2】
前記ヒートパイプ11の前記蒸発部110を前記基部10の前記溝100上に配置する前に、前記基部10の前記溝100内の壁上に熱伝導性媒体の塗布を更に含む請求項1の方法。
【請求項3】
前記熱伝導性媒体が熱伝導性ペーストである請求項2の方法。
【請求項4】
前記平坦化段階を研磨装置2で実施する請求項1の方法。
【請求項5】
前記研磨装置2が作業台20、固定台21及び平坦化装置22を含み、この前記作業台20が、前記固定台21をそこから前記作業台20に滑らすように配置した滑り溝200を規定し、この前記固定台21が、受け入れ溝210と、前記放熱器1の前記基部10を固定するように配置した前記受け入れ溝210で規定される凹部211を規定し、その方法が更に
前記固定台21の前記受け入れ溝210により、前記放熱器1の前記基部10を前記凹部211上に配置し、
その上に固定した前記放熱器1の基部10付きの前記固定台21を、前記滑り溝200により前記作業台20に滑らせ、前記ヒートパイプ11の前記蒸発部110の突き出た前記凸凹表面112を前記平坦化装置22と向かい合わすことを含む
請求項4の方法。
【請求項6】
支持表面部201が前記滑り溝200内に規定され、前記固定台21底面101に対し傾斜して、前記固定台21を幅の広い側から狭い側に徐々に前記作業台20に滑らせる請求項5の方法。
【請求項7】
ヒートパイプ11付き放熱器1であって、
基部10は底面101を有し、前記底面101内に溝100を規定し、
ヒートパイプ11は、蒸発部110と凝縮部111を有し、その前記蒸発部110は、前記基部10の前記溝100に埋め込まれ、前記ヒートパイプ11の前記蒸発部110は、前記基部から押し出された平坦化表面を含み、前記平坦化表面112と前記基部10の前記底面101は異なる面にあり、且つ
複数のフィン12がその中に少なくとも一つの通路を規定し、前記ヒートパイプ11の前記凝縮部111は、前記フィン12の通路に受け入れられ、前記通路の前記フィン12と熱的に連携することを含む
放熱器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−270750(P2009−270750A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120803(P2008−120803)
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【出願人】(508104891)ゴールデン サン ニューズ テクニックズ カンパニー リミテッド (2)
【出願人】(508104905)シーピーユーメイト インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】