説明

放熱装置およびそのファンフレーム構造,放熱システム

【課題】気流とファンフレームのフレーム壁部との摩擦によって発生されるノイズを低減し、気流の安定化と集中化を図り、性能を高めることができる滑らかな湾曲状拡大部を有する放熱ファンとそのファンフレーム構造,および放熱システムを提供する。
【解決手段】 本発明における放熱装置のファンフレーム構造は、気流を一方の開口から他方の開口に導く柱状通路216を含み、少なくとも一つの前記開口の側にある前記柱状通路216の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部Fを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱ファンとそのファンフレーム構造,および放熱システムに関し、特に、ノイズを低減できる放熱ファンとそのファンフレーム構造,および放熱システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子装置の性能の発展に伴い、放熱装置または放熱システムは、現在の電子装置の中で不可欠な部品の1つとなった。電子装置から発生される熱を効果的に放散しなければ、電子装置の性能を損ない、破損を招くことになるからである。
【0003】
現在最も広く用いられている放熱装置は、例えば特許文献1に示すようなファンである。図1Aと図1Bを共に参照すると、図1Aは、従来のファンの概略図を表しており、図1Bは、図1のA−A’線に沿った断面図を表している。一般的に用いられている従来の放熱ファン1は、主にファンフレーム11とインペラ12により構成されている。ファンが動作する時、モーター13によって、インペラ12の回転を駆動し、熱を発する電子部品(図示せず)に気流を提供し、それにより当該電子部品からの放熱の目的を達成することができる。ファンフレーム11は、ファンフレーム11の両端に吸気口112と排気口114を形成する貫通孔を有する。吸気口112と排気口114は、中央の柱状通路116でつながれ、インペラ12によって提供された気流を自由に吸入、排出させる。また、ファンフレーム11における4つの隅部は、複数のネジ孔14を有し、それによりファン1を(例えば、コンピュータのような)電子装置のフレームに固定することができる。
【0004】
従来の放熱ファンにおいて、放熱の性能を高めるための構造として、図1C,図1D,および図1Eを参照すると、これらの各図は、従来のファンにおける3種類のファンフレームを改良した概略図を表している。従来のファンは、ファンフレーム11の吸気口112、または排気口114の近傍に、傾斜角C(図1C)、またはリード角D(図1D)を形成して、気流の吸入または排出の面積を増加している。または、図1Eに示すように、ファンフレーム11の排気口114の近傍が一部削られて、凹口Eを形成し、気流の排出の面積を増加している。しかし、ファンフレーム11の排気口114の近傍が一部削られて形成された凹口Eは、気流の排出面積を増加させることができるが、それに相対して気流が容易に分散する欠点を生む。
【0005】
しかし、図1B,図1C,図1D,または図1Eのファンフレームの何れにおいても、気流が排気口114を通過すなわち流れ出る時、柱状通路116(図1B)の内周壁に気流が直接接触し、或いは、傾斜角C,リード角D,または凹口Eの壁部に直接接触し、気流を遮って速度を遅くさせ、風圧を低下させる。更に、気流が遮られる影響によりノイズが発生し、且つ、ファンの回転速度が上がった時、それによって発生されるノイズレベルも対応して上がる。
【特許文献1】特開2002−345199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、上述の問題を解決するために、本発明は、気流とファンフレームのフレーム壁部との摩擦によって発生されるノイズを低減し、気流の安定化と集中化を図り、性能を高めることができる滑らかな湾曲状拡大部を有する放熱ファンとそのファンフレーム構造,および放熱システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的に基づいて、放熱装置のファンフレーム構造を提供する。ファンフレーム構造は、気流を一方の開口から他方の開口に導く柱状通路を有する外フレームを含み、少なくとも一つの前記開口の側にある柱状通路の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する。湾曲状拡大部は、後続の気流が外フレームのフレーム壁に直接接触するのを防ぐために、気流に気流層を形成させる凹部を更に有する。湾曲状拡大部は、柱状通路の軸線に対して上下対称または左右対称に、或いは湾曲状拡大部は、柱状通路の軸線を中心に径方向且つ外向きに拡大し、且つ、外フレームの外側に突出する。また、少なくとも一つの開口の側にある湾曲状拡大部は、リード角,傾斜角,リード傾斜,または円弧角に形成される。
【0008】
本発明のもう一つの目的に基づいて、放熱装置のファンフレーム構造を更に提供する。ファンフレーム構造は、吸気口、排気口と、気流を吸気口から排気口に導く柱状通路を有する外フレームを含み、排気口の側にある柱状通路の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する。湾曲状拡大部は、後続の気流が外フレームのフレーム壁に直接接触するのを防ぐために、気流に気流層を形成させる凹部を更に有する。湾曲状拡大部は、柱状通路の軸線に対して上下対称または左右対称に、或いは湾曲状拡大部は、柱状通路の軸線を中心に径方向且つ外向きに拡大し、且つ、外フレームの外側に突出する。また、排出口側にある湾曲状拡大部は、リード角,傾斜角,リード傾斜,または円弧角に形成される。
【0009】
また、上述のファンフレーム構造において、吸気口側にある柱状通路の内周壁は、更に柱状通路の軸線に対して、上下対称または左右対称に径方向且つ外向きに拡大し、または、吸気口の側にある柱状通路の内周壁は、更に柱状通路の軸線に対して、外フレームから外側に突出し、径方向且つ外向きに拡大するか、または、円形または楕円形に径方向且つ外向きに拡大する。柱状通路の軸線に対して、吸気口側にある柱状通路の内周壁は、リード角,傾斜角,リード傾斜,または円弧角に形成される。
【0010】
本発明のもう一つの目的に基づいて、インペラとファンフレーム構造を有する放熱装置を更に提供する。ファンフレーム構造は、インペラをその中に収容する。ファンフレーム構造は、気流を一方の開口から他方の開口に導く柱状通路を含み、排気口の側にある柱状通路の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する。湾曲状拡大部は、後続の気流がファンフレーム構造のフレーム壁に直接接触するのを防ぐために、気流に気流層を形成させる凹部を更に有する。湾曲状拡大部は、柱状通路の軸線に対して上下対称または左右対称に、或いは排気口の側にある湾曲状拡大部は、柱状通路の軸線に対して径且つ外向きに拡大し、且つ、ファンフレーム構造の外側に突出する。また、排気口の側にある湾曲状拡大部は、リード角,傾斜角,リード傾斜,または円弧角に形成される。
【0011】
上述の放熱装置は、軸流式ファンを備えている。また、インペラの回転翼の長さは、湾曲状拡大部の径方向に沿って増加する。放熱装置は、ファンフレーム構造に設置されたモーターベースを含み、インペラは、モーターベースに設けられ、モーターベースは、気流の吸気または排出の面積を増加するために、径方向に傾斜した側部を有する。側部は、平面状または曲面状の表面を有する。ファンフレーム構造は、ほぼ正方形,円形,楕円形,またはひし形である。
【0012】
本発明のもう一つの目的に基づいて、インペラとファンフレーム構造を含む放熱装置を提供する。ファンフレーム構造は、インペラをその中に収容する。ファンフレーム構造は、吸気口、排気口と、気流を吸気口から排気口に導く柱状通路を含み、少なくとも一つの前記開口の側にある柱状通路の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する。湾曲状拡大部は、後続の気流が外フレームのフレーム壁に直接接触するのを防ぐために、気流に気流層を形成させる凹部を更に有する。湾曲状拡大部は、柱状通路の軸線に対して上下対称または左右対称に、或いは湾曲状拡大部は、柱状通路の軸線を中心に径方向且つ外向きに拡大し、且つ、外フレームの外側に突出する。また、少なくとも一つの開口の側にある湾曲状拡大部は、リード角,傾斜角,リード傾斜,または円弧角に形成される。また、上述のファンフレーム構造において、吸気口の側にある柱状通路の内周壁は、更に柱状通路の軸線に対して、上下対称または左右対称に径方向且つ外向きに拡大し、または、吸気口の側にある柱状通路の内周壁は、更に柱状通路の軸線に対して、外フレームから外側に突出し、径方向且つ外向きに拡大するか、または、円形または楕円形に径方向且つ外向きに拡大する。柱状通路の軸線に対して、吸気口側にある柱状通路の内周壁は、リード角,傾斜角,リード傾斜,または円弧角に形成される。
【0013】
上述の放熱装置は、軸流式ファンを備えている。また、インペラの回転翼の長さは、湾曲状拡大部の径方向に沿って増加する。放熱装置は、ファンフレーム構造に設置されたモーターベースを含み、インペラは、モーターベースに設けられ、モーターベースは、気流の吸気または排出の面積を増加するために、径方向に傾斜した側部を有する。側部は、平面状または曲面状の表面を有する。ファンフレーム構造は、ほぼ正方形,円形,楕円形,またはひし形である。
【0014】
本発明のもう一つの目的に基づいて、システムフレームと、システムフレーム内に設けられた少なくとも一つの電子部品と、放熱装置とを含む放熱システムを提供する。放熱装置は、システムフレームに設けられ、少なくとも一つの電子部品の動作によって発生される熱を放散する。放熱装置は、インペラとインペラを収容するファンフレーム構造を含む。ファンフレーム構造は、気流を一方の開口から他方のに導く柱状通路を含み、且つ、少なくとも一つの開口の側にある前記柱状通路の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する。
【0015】
本発明のもう一つの目的に基づいて、システムフレームと、システムフレーム内に設けられた少なくとも一つの電子部品と、放熱装置とを含む放熱システムを提供する。放熱装置は、システムフレームに設けられ、少なくとも一つの電子部品の動作によって発生される熱を放散する。放熱装置は、インペラとインペラを収容するファンフレーム構造を含む。ファンフレーム構造は、吸気口、排気口と、気流を吸気口から排気口に導く柱状通路を含み、排気口の側にある前記柱状通路の内周壁が、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の放熱ファンおよびそのファンフレーム構造,放熱システムは、湾曲状拡大部を有することで、気流とフレーム壁との間の摩擦によるノイズを減少させ、気流の安定化と集中化を図って、ファンの性能を高めることができる。また、ファンに元より設置されているその他の放熱部品に影響を与えない状態で、ファンフレーム構造の内周壁を外向きに拡大し、その吸気と排出の面積を増加させると共に、気流の集中化を図ることで、ファンの放熱性能を高めることができる。また、システムまたはその他の放熱部品にファンやファンフレーム構造を組立てる時、システムや放熱部品の配置を変える必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明についての目的,特徴,長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照にしながら、詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図2Aと図2Bを共に参照すると、図2Aは、本発明の実施例に基づいたファンの概略図を表しており、図2Bは、図2AのB−B’線に沿った断面図を表している。本発明の放熱装置2は、例えば軸流式ファンであることができ、ファンフレーム構造21と、インペラ22と、モーターベース26とを含む。ファンフレーム構造21は、ほぼ正方形,円形,楕円形,またはひし形などの各種形状のフレーム即ち外フレームからなり、且つ、ファンフレーム構造21は、柱状通路216を含む。ファンフレーム構造21は、ファンフレーム構造21の中に形成した柱状通路216と、ファンフレーム構造21の両端に形成した吸気口212および排気口214とからなる貫通孔を有する。吸気口212と排気口214は、柱状通路216でつながれ、且つ、柱状通路216は、気流を一方の開口(即ち吸気口212)から他方の開口(即ち排気口214)に導き、インペラ22によって発生された気流を、ファンフレーム構造21に自由に吸入,排出させる。また、ファンフレーム構造21における4つの隅部は、複数のネジ孔24を有し、それによりファン2を(例えば、コンピュータのような)電子装置のフレームに固定させる。
【0019】
ファンフレーム構造21は、インペラ22を収容し、且つ、モーターベース26もファンフレーム構造21の中に設置される。インペラ22は、モーターベース26の上に設置され、ファン2が動作する時、モーターベース26の中に設置されたモーター23によってインペラ22の回転を駆動し、熱を発する電子部品(図示せず)に気流を提供し、放熱の目的を達成することができる。
【0020】
続いて、図2Bと図3Aを共に参照すると、図3Aは、図2Bにおける湾曲状拡大部Fの概略図であり、空気の流れの方向を表している。排気口214の柱状通路216の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部Fを有する。湾曲状拡大部Fは、この湾曲状拡大部Fの基端側で気流層を形成させるような、他の部位よりも曲率を意図的に大きくした凹部218を更に有しており、気流が凹部218に流れる時、凹部218に先に気流層を形成し、後続の気流がファンフレーム構造21のフレーム壁に直接接触するのを防ぐ。よって、凹部218の近傍に位置する気流は、エアークッションの働きを提供することができ、後続の気流がファンフレーム構造21のフレーム壁に直接接触しなくなる。よって、元の気体と固体の摩擦は、気体と気体の摩擦に変わり、ノイズを大幅に低下させることができる。また、湾曲状拡大部Fの凹部218が気流に対して十分な空間を更に提供することから、気流を安定化させることができる。また、気流が排気口214から排出される時、凹口Eの形成によって気流の流出面積を増加させる従来のファンフレーム11(図1E)に比べ、本発明では排気口214側にある柱状通路216の内周壁が、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部Fを有しているため、更に気流が集中して排出できる効果を有する。
【0021】
湾曲状拡大部Fは、柱状通路216の軸線に対して左右対称、または上下対称(即ち、吸気口212の柱状通路216の内周壁にも径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな別の湾曲拡大部を有する)にある。また、インペラ22の回転翼の長さを、ファンフレーム構造21の内周壁において、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかに形成された湾曲状拡大部Fの形状に沿って増加させ、インペラ22をファンフレーム構造21に適合させることもできる。好ましくは、排気口214の湾曲状拡大部Fの先端は、よりスムーズに気流を排出するために、内周壁断面が曲線状に変化するリード角219a(図3A),内周壁断面が直線状に変化する傾斜角,内周壁断面が曲線状および直線状に変化するリード傾斜角(lead and sloped angle),内周壁断面が円弧状に変化する円弧角などの面取り部が形成される。
【0022】
また、吸気口212側におけるファンフレーム構造21の内周壁も、傾斜角219b(図2B),リード角,リード傾斜角(lead and sloped angle),円弧角などに形成することができ、吸気口212の面積も増加させることができる。または、上述の吸気口212側におけるファンフレーム構造21の柱状通路216の内周壁は、更に柱状通路216の軸線を中心に、左右対称に径方向且つ外向きに拡大し、または、ファンフレーム構造21の外側に突出して、円形または楕円形に径方向且つ外向きに拡大することができる。
【0023】
上述以外に、使用者の必要に応じて、柱状通路216の軸線を中心に、湾曲状拡大部Fをファンフレーム構造21から外側に突出させ、径方向且つ外向きに拡大させて、気流の吸気または排出の面積を更に拡大させることもできる。
【0024】
図3Bを参照すると、ここには、本発明の実施例に基づいた別なファンフレーム構造の概略図を表している。ここでは、上述の湾曲状拡大部Fと、吸気口212および排気口214のリード角を設けている以外に、気流の吸気または排出の面積を拡大するために、モーターベース26が径方向に傾斜した側部262を備えている。且つ、この径方向に傾斜した側部262は、平面状または曲面状の表面を有する。
【0025】
実際の応用では、本案の放熱装置2は、複数の電子部品が設けられたシステムフレーム3内に配置され、放熱システム5を形成することができる。図4は、電子部品が設けられたシステムフレーム3と、本発明の放熱装置が配置された概略図を表している。システムフレーム3では、熱を発生する熱源、または電子部品が回路板4に実装される。放熱装置2は、適当な位置に設けられ、放熱装置2の動作によって発生した冷気を、熱源または電子部品に提供する。よって、電子部品によって発生された熱は、効果的に放熱され、電子部品が高温によって破損することを防ぐことができる。
【0026】
図5Aと図5Bを共に参照すると、図5Aは、従来のファンにおける音響テストを行って得られた音波の結果であり、図5Bは、本発明のファンにおける音響テストを行って得られた音波の結果である。従来と本発明のファンは、共に約8cmの直径を有するファンを用い、回転速度は5700rpmであった。図5Aと図5Bを比べると明らかなように、従来のファンは、665Hzで明らかなノイズが発生し、本発明のファンはそこでは改善されている。
【0027】
図6Aと図6Bを共に参照すると、図6Aは、従来のファンにおける音響テストを行って得られた音量の結果であり、図6Bは、本発明のファンにおける音響テストを行って得られた音量の結果である。従来と本発明のファンは、共に約8cmの直径を有するファンを用い、回転速度は5700rpmであった。図6Aに見られるように、従来のファンが5700rpmの回転速度で発生するノイズレベルは、49.6dBである。図6Bに見られるように、本発明のファンが同じ回転速度で発生するノイズレベルは、46.7dBである。よって、本発明を用いたファンは、従来のファンに比べ、低減したノイズ特性を提供する。
【0028】
図7を参照すると、ここには従来のファンと本発明のファンとの特性比較を表している。従来と本発明のファンは、共に約8cmの直径を有するファンを用い、回転速度は5700rpmであった。同図に見られるように、本発明を用いたファンは、従来のファンに比べ、風圧と風量が大きい。約40CFMの同じ風量で言えば、従来のファンは、約7.9mmHOの風圧に達するが、本発明のファンは、約12mmHOの風圧に達することができ、風圧が約63%増加される。また、約10mmHOの風圧で言えば、従来のファンは、約28.8CFMの風量に達するが、本発明のファンは、約45CFMの風量に達することができ、風量が約56%増加される。よって、本発明のファンを用いると、風圧と風量を効果的に高めることができ、整流の効果を達成することができる。
【0029】
このように、本発明の放熱ファンおよびそのファンフレーム構造,放熱システムは、湾曲状拡大部Fを有することで、気流とフレーム壁との間の摩擦によるノイズを減少させ、気流の安定化と集中化を図って、ファンの性能を高めることができる。また、ファンに元より設置されているその他の放熱部品に影響を与えない状態で、ファンフレーム構造21の内周壁を外向きに拡大し、その吸気と排出の面積を増加させると共に、気流の集中化を図ることで、ファンの放熱性能を高めることができる。また、システムまたはその他の放熱部品にファンやファンフレーム構造21を組立てる時、システムや放熱部品の配置を変える必要がない。
【0030】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や同様の装置を付加することは可能である。従って、本発明が保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】従来のファンの概略図を表している。
【図1B】図1AのA−A’線に沿った断面図を表している。
【図1C】従来のファンのファンフレームを改良した概略図を表している。
【図1D】従来のファンのファンフレームを改良した概略図を表している。
【図1E】従来のファンのファンフレームを改良した概略図を表している。
【図2A】本発明の実施例に基づいたファンの概略図を表している。
【図2B】図2AのB−B’線に沿った断面図を表している。
【図3A】図2Bにおける湾曲状拡大部Fの概略図であり、気流の方向を表している。
【図3B】本発明の実施例に基づいたもう一つのファンフレーム構造の断面図を表している。
【図4】電子部品を備えたシステムフレームと、本発明の放熱装置が配置された概略図を表している。
【図5A】従来のファンと本発明のファンとの音波比較を表している。
【図5B】従来のファンと本発明のファンとの音波比較を表している。
【図6A】従来のファンと本発明のファンとの音量比較を表している。
【図6B】従来のファンと本発明のファンとの音量比較を表している。
【図7】従来のファンと本発明のファンとの特性比較を表している。
【符号の説明】
【0032】
1,2 ファン
11,21 ファンフレーム構造(外フレーム)
112,212 吸気口
114,214 排気口
116,216 柱状通路
12,22 インペラ
13,23 モーター
14,24 ネジ孔
218 凹部
219a リード角
219b 傾斜角
26 モーターベース
262 側部
3 システムフレーム
4 回路板
5 放熱システム
C 傾斜角
D リード角
E 凹口
F 湾曲状拡大部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を一方の開口から他方の開口に導く柱状通路を含み、
少なくとも一つの前記開口の側にある前記柱状通路の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する外フレームを備えた放熱装置のファンフレーム構造。
【請求項2】
前記湾曲状拡大部は、後続の気流が前記外フレームのフレーム壁に直接接触するのを防ぐために、気流に気流層を形成させる凹部を更に有する請求項1に記載のファンフレーム構造。
【請求項3】
前記開口は、吸気口と排気口からなり、前記柱状通路は、気流を前記吸気口から前記排気口に導くものであり、前記排気口の側にある前記柱状通路の内周壁が、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな前記湾曲状拡大部を有している請求項1に記載のファンフレーム構造。
【請求項4】
インペラ、および
前記インペラを収容するファンフレーム構造を含み、
前記ファンフレーム構造は、気流を一方の開口から他方の開口に導く柱状通路を含み、少なくとも一つの前記開口の側にある前記柱状通路の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する請求項1に記載の放熱装置。
【請求項5】
前記湾曲状拡大部は、後続の気流が前記ファンフレーム構造のフレーム壁に直接接触するのを防ぐために、気流に気流層を形成させる凹部を更に有する請求項4に記載の放熱装置。
【請求項6】
前記開口は、吸気口と排気口からなり、前記柱状通路は、気流を前記吸気口から前記排気口に導くものであり、前記排気口の側にある前記柱状通路の内周壁が、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな前記湾曲状拡大部を有している請求項4に記載の放熱装置。
【請求項7】
前記インペラの回転翼の長さは、前記湾曲状拡大部の径方向に沿って増加する請求項4に記載の放熱装置。
【請求項8】
前記放熱装置は、軸流式ファンである請求項4に記載の放熱装置。
【請求項9】
前記ファンフレーム構造に設けられたモーターベースを更に含み、前記インペラは、前記モーターベースに設けられ、前記モーターベースは、気流の通過面積を増加するために、径方向に傾斜した側部を有する請求項4に記載の放熱装置。
【請求項10】
前記側部は、平面状または曲面状の表面を有する請求項9に記載の放熱装置。
【請求項11】
システムフレームと、
前記システムフレーム内に設けられた少なくとも一つの電子部品と、
前記システムフレームに設けられ、少なくとも一つの前記電子部品の動作によって発生される熱を放散する放熱装置を含み、
前記放熱装置は、インペラと前記インペラを収容するファンフレーム構造を含み、前記ファンフレーム構造は、気流を一方の開口から他方の開口に導く柱状通路を含み、少なくとも一つの前記開口の側にある前記柱状通路の内周壁は、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな湾曲状拡大部を有する放熱システム。
【請求項12】
前記湾曲状拡大部は、後続の気流が前記ファンフレーム構造のフレーム壁に直接接触するのを防ぐために、気流に気流層を形成させる凹部を更に有する請求項11に記載の放熱システム。
【請求項13】
前記開口は、吸気口と排気口からなり、前記柱状通路は、気流を前記吸気口から前記排気口に導くものであり、前記排気口の側にある前記柱状通路の内周壁が、径方向に且つ外向きに拡大する滑らかな前記湾曲状拡大部を有している請求項11に記載の放熱システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−316787(P2006−316787A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117097(P2006−117097)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(596039187)台達電子工業股▲ふん▼有限公司 (192)
【Fターム(参考)】