説明

放送波による情報を中継する中継装置及びシステム

【課題】放送波による緊急情報をローカル・エリア・ネットワーク内に中継する中継システムを提供すること。
【解決手段】放送波による緊急情報の中継システムは、中継装置及び少なくとも一つの情報表示部を備えて中継装置が接続される同一のローカル・エリア・ネットワーク内に受信可能に接続している通信機器を含み、中継装置は、デジタル放送を受信する受信部と、受信したデジタル放送を復号する復号部と、復号したデジタル放送を蓄積する蓄積部と、蓄積したデジタル放送から所定の内容を含む情報を抽出する情報抽出部と、抽出した情報を、同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストする情報送信部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送波による情報を中継する中継装置及びシステムに関する。特に、Java(登録商標、以下同じ)データ放送サービスを用いて緊急情報等を受信した場合に、ローカル・エリア・ネットワークに接続しているパーソナル・コンピュータ等に当該緊急情報等を中継して送信する中継装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インターネット等のネットワークを介して災害情報等を中継して提供するサービスが知られている(非特許文献1)。当該サービス等によれば、地震、火山、気象、土砂及び雪氷災害による被害の軽減等を目的として、文字又は画像を含む災害現場の情報、ライブカメラを用いる災害現場の映像又は音声情報等が提供されている。ユーザは自己の端末装置等を用いて当該サービスにアクセスし、これらの情報を知ることができる。
【0003】
また、従来、緊急警報等を受信した際に、予め設定した緊急連絡先に緊急警報等のメッセージを送信することができるデジタル放送受信機が知られている(特許文献1)。当該デジタル放送受信機によれば、受信された緊急警報信号等は当該デジタル放送受信機によりメールのフォーマット形式に変換されてサーバに送信され、サーバは当該メールを通信端末に伝送し、これによりユーザはデジタル放送受信機から離れた場所にいる場合でも、緊急警報信号等を確認できるとしている。
【0004】
また、従来、ラジオ聴取者又はテレビ視聴者が、リアルタイムに受信される放送番組に関連する補足情報にアクセスすることを可能にするシステム等が知られている(特許文献2)。当該システム等によれば、受信機及び送信機の地域時間を、同じ世界時に従って同期させることにより、受信機及び送信機の相対的な位置によらずに、送受信される情報の流れが常に同期され、ユーザはトピックに関連するワールド・ワイド・ウェブからの付加情報にアクセスできるとしている。
【0005】
また、従来、受信した番組を外部の記録機器を用いて予約記録を行なわせる放送受信装置が知られている(特許文献3)。この技術によれば、記録先を指定する情報を予約データに含ませることにより、受信装置と記録装置とを連携可能であるとしている。
【0006】
さらに、近年、符号化したデータを放送波により伝送する手法を用いて、テレビ受信機等をJava仮想マシンとして用いる技術が知られている(非特許文献2)。この技術によれば、放送局はJava仮想マシンとしてのテレビ受信機等にメッセージ又はプログラム等を送信し、テレビ受信機等はJavaアプリケーション・プログラミング・インタフェース(Java API)を用いて、受信したメッセージに対する所定の処理等を実施することができる。デジタル放送を受信可能なテレビ受信機等をJava仮想マシンとして動作させる当技術分野の技術は、参照により全体を本願明細書に取り入れるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−51602号公報
【特許文献2】特開2008−118667号公報
【特許文献3】特開2008−310952号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「防災科学技術研究所」、[online]、独立行政法人防災科学技術研究所、平成18年12月26日、[平成21年1月8日検索]、インターネット、<URL:http://www.bosai.go.jp/>
【非特許文献2】(社)電波産業会、“デジタル放送におけるアプリケーション実行環境標準規格(ARIB STD−B23 1.1版)”、第二部“アプリケーション実行環境”、平成16年2月5日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来は、映像又は音声情報の利用においては、TVやインターネットに接続されたパーソナル・コンピュータを用いた緊急警報放送情報のメッセージを映像や音声情報として受信しようとする場合、パーソナル・コンピュータ等を予め目的の情報の送信元に予め接続しておく必要があった。従って、受信端末から送信元へ予め定められた接続手順に基づいた設定がされていなければ、ユーザは緊急情報等を受信する機会を失ってしまう。また、ブロードバンド・ルータ(以下、単にルータ)等を用いてインターネットに接続する場合には、インターネット側から直接情報を送り込むことはできず、ルータの内側に接続された装置から定期的にサーバに問い合わせ情報を送信するか、又はルータに対して特定のポートを開ける等、定められたポートの設定を行う等の特別な設定を行う必要があり、これらはユーザに専門知識を要求し、パーソナル・コンピュータに高負荷を強いる場合がある。さらに、パーソナル・コンピュータやテレビ等のそれぞれを、目的のサービス提供装置に接続する必要があり、回線の帯域幅等の資源を消費していた。
【0010】
また、従来は、サーバを中継してメールを通信端末に伝送するデジタル放送システムでは、地震発生を知らせる警報等の局地的な緊急情報を、その対象地域に設置された受信装置によって受信する。そして、サーバを中継してメールを通信端末に伝送することにより、伝送先の通信端末が当該対象地域以外に移動している状況であっても、ユーザは情報配信対象となる受信装置から地震情報等の発生を知ることができる。しかしながら、この場合、情報の伝達という役割はあるものの、情報の対象地域とユーザの居所との関連性は特に考慮されず、また通信端末と共に居所が移動するユーザに何らかの行動を喚起することは特に考慮されていなかった。また、インターネットを介して情報を伝達する手法においては、インターネットのトラフィック増加の影響を受けて情報伝達が停滞する場合も考えられる。従って、災害情報の提供元又は情報の対象地域の通信回線へのアクセスが集中するような場合には迅速な情報伝達がされにくいという問題があった。
【0011】
また、リアルタイムに受信される放送番組に関連する補足情報にアクセスするシステム等においては、世界時刻を用いて放送番組と補足情報とを関連づけるものであり、必ずしもユーザの居所又は受信装置の設置場所に基づいてはいないため、当該居所又は設置場所における緊急情報に対応するとは限らなかった。
【0012】
さらに、従来技術に係る、外部機器と連携可能な放送受信装置等においては、予めユーザが指定した予約データに基づく動作開始には、番組表に含まれない情報又は放送開始の直前までキーワードが提示されない情報等の、ユーザが想定していない特定の情報の受信に応答して外部機器が所定の動作を開始することは含まれなかった。
【0013】
本発明は、緊急情報を提供するサービス等をユーザが予め定められた接続手順に基づいて設定する必要なく、放送波による情報をパーソナル・コンピュータ等へ自動的に中継する中継装置を含む中継システムを提供することを目的とする。また、本発明は、ユーザの専門知識を必要とせず、中継先のパーソナル・コンピュータ等の高負荷を避けて、当該情報を中継する中継システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、インターネットのトラフィックの影響を避け、サーバ装置を中継せずに、ユーザに対して緊急情報等を伝達しうる中継システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、ユーザの居所又は受信装置の設置場所における緊急情報に応答して、当該緊急情報又はこれに基づくメッセージを一斉送信しうる中継装置を含む中継システムを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、ユーザが想定していない緊急情報等に応答して、当該情報を中継する中継システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明においては次のような手段を提供する。
【0015】
本発明の第1の態様によると、デジタル放送で放送された情報を中継する中継システムであって、中継システムは中継装置及び少なくとも一つの情報表示部を備えて中継装置が接続される同一のローカル・エリア・ネットワーク内に受信可能に接続している通信機器を含み、中継装置は、デジタル放送を受信する受信部と、受信したデジタル放送を復号する復号部と、復号したデジタル放送を蓄積する蓄積部と、蓄積したデジタル放送から所定の内容を含む情報を抽出する情報抽出部と、抽出した情報を、同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストする情報送信部と、を備えることを特徴とする中継システムが提供される。
【0016】
好適には、本発明に係る中継システムに含まれる中継装置は、当技術分野に公知のJava APIを用いることが可能なJava仮想マシンである。このような中継装置は、放送局からのデジタル放送をJavaデータ放送として受け取ることが可能である。従って、放送局は、Java仮想マシンとしての当該中継装置に対して、画面表示させるための文字列又は所定の処理を実行させるためのプログラム等を、それぞれ所定の仕様に従って送信することができる。本発明に係る中継装置は、所定のAPIを用いて文字列の抽出等の処理を実施することができる。典型的には、本発明に係る中継装置を含むJavaデータ放送の受信機等は、適宜記憶媒体等を用いて、経時的に放送により送られるデータを蓄積し、蓄積したデータから所定の情報又はプログラムを取り出して動作する。
【0017】
一実施形態において、本発明に係る中継システムは、放送により受信した情報を中継して一斉送信する中継装置、一斉送信された情報を受信する端末装置としての通信機器、及びこれらの装置を接続するためのローカル・エリア・ネットワークを含みうる。
【0018】
本発明に係る中継システムに含まれる中継装置が情報を送信する形式であるブロードキャストは、当技術分野に公知であり、ネットワーク内において不特定多数の通信機器に向かって情報を送信することを指す。すなわち、本発明に係る中継システムにおいては、中継装置は情報を受信する通信機器を予め特定することなく、抽出した情報をローカル・エリア・ネットワーク内に一斉送信する。また、当該抽出された情報を受信する通信機器は当該ローカル・エリア・ネットワーク内の同一のルータ等に接続されていればよく、接続の形態は有線でも無線でもよい。本発明に係る中継システムにおいては、中継された緊急情報等は外部のインターネットやサーバ装置等を介することなく、ローカル・エリア・ネットワーク内に送信されるので、インターネットのトラフィックの影響を避けて、緊急情報等を迅速に中継することが可能になる。
【0019】
また、本発明に係る中継システムに含まれる中継装置をディスプレイ装置等と組み合わせ、情報抽出部により抽出した情報をディスプレイ装置の表示領域内に表示してもよい。当該表示の形態は、テレビ放送の画面とのオーバーレイでもよく、ディスプレイ装置の表示領域内に適宜分割された領域への表示でもよい。
【0020】
また、本発明に係る中継システムに含まれる通信機器が備える、少なくとも一つの情報表示部は、文字を表示するものでもよく、画像を表示するものでもよい。あるいは、当該情報表示部は、単に所定の情報を当該通信機器が受信していることを表すものでもよい。例えば、当該通信機器は、自然災害等の緊急情報を受信した場合に点灯する点灯手段を備えて、緊急情報を受信していることを伝達するための情報表示部として扱ってもよい。
【0021】
本発明に係る中継システムに含まれる中継装置の情報抽出部が抽出する所定の情報は、災害情報等の緊急情報を含むが、これに限定しない。所定の情報は、予め定義することが可能である。例えば、中継装置の情報抽出部は、復号したデジタル放送が、予め定められた語句を含むことに応答して当該語句を抽出してもよい。また例えば、情報抽出部は、復号したデジタル放送が、ユーザに対して表示されないメタ情報又はコード番号等の形態で、予め定められた情報を含むことに応答して、当該情報を抽出してもよい。このように抽出される所定の情報には、当該所定の情報の全体又は一部を認証するための認証情報、当該所定の情報の優先度の高さを表す情報、当該所定の情報の更新履歴等の属性情報、当該所定の情報の有効期限を表す情報、当該所定の情報と関連付けられるコンピュータ・プログラム又は実行ライブラリの情報等を任意に含んでもよい。
【0022】
本発明に係る中継システムに含まれる中継装置の蓄積部は、単独の記憶媒体等でもよく、放送以外のコンピュータ・プログラム等を記憶するための記憶媒体等と兼用するものでもよく、適宜設計しうる。
【0023】
本発明に係る中継システムに含まれる中継装置の情報送信部は、前述の情報抽出部により抽出された所定の情報を、ローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストする。ブロードキャストされた情報は、同一のブロードバンド・ルータ等に接続された他の端末装置等において受信されうる。
【0024】
このようにすることで、本発明に係る中継システムにおいては、中継装置が所定の情報を受信することに応答して、当該所定の情報及びこれに関連する情報が同一のローカル・エリア・ネットワーク内に接続している通信機器等に対して、ブロードキャストの形態で一斉送信される。所定の情報が、認証情報、優先度、関連するコンピュータ・プログラム等の情報を含む場合にも、これらは所定の情報の一部として、本発明に係る中継装置によりローカル・エリア・ネットワーク内でブロードキャストされ、中継される。従って、通信機器等は、予め中継装置から特定される必要はなく、中継装置により中継された所定の情報を受け取ることが可能になる。
【0025】
また、中継装置は放送局等が送信した認証情報又は優先度等の情報をそのまま通信機器等に中継し、通信機器等はこれらの情報を用いて認証作業及び優先度の判定を実施することが可能である。従って、本発明に係る中継システムにおいては、ローカル・エリア・ネットワーク内において接続される機器の間での相互の認証を必要としないので、ユーザはネットワーク設定等の専門知識を必要とせずに、本発明に係る中継システムを利用することが可能である。
【0026】
さらに、本発明に係る中継システムにおいて、中継装置は、抽出した情報に基づくメッセージを生成するメッセージ生成部を備え、生成したメッセージを情報送信部からブロードキャストする
【0027】
本発明に係る中継装置のメッセージ生成部は、情報抽出部が抽出した情報に基づいてメッセージを生成する。ここで、メッセージの生成は予め定められたメッセージの選択を含む。メッセージの生成部には、適宜テンプレートを用いてもよい。例えば、所定の情報に含まれる語句又は文字列に、適宜可読性を有する語句等を追加してメッセージを生成してもよい。
【0028】
さらに、本発明に係る中継システムにおいて、通信機器は、情報送信部から送信された情報を情報表示部に表示する。
【0029】
本発明に係る中継システムの通信機器は、中継装置により中継された情報を受信して表示する端末装置として動作しうる。復号されたデジタル放送に含まれる認証情報を用いることにより、通信機器は中継装置の情報送信部から送信された情報が正当であることを認証することが可能である。従って、中継装置以外の何らかの経路を介してローカル・エリア・ネットワーク内に到達した誤報等は、通信機器の情報表示部に表示されないようにしてもよい。
【0030】
また、本発明に係る中継システムにおいて、中継装置からブロードキャストされる情報は、復号したデジタル放送に含まれうる優先度又は中継装置が生成した優先度を含む場合がある。認証情報及び優先度が通信機器に用いられる形態については、本発明に係る実施形態において説明する。
【0031】
通信機器は、中継装置からブロードキャスト送信される情報を受信可能であればよく、本発明に係る中継システムのユーザは、通信機器から中継装置を指定する手順を必要とせず、かつ中継装置から個々の通信機器を指定する手順を必要とせずに、認証情報と共に本発明に係る中継システムを利用できる。
【0032】
さらに、本発明に係る中継システムにおいて、通信機器が所定の内容を含む情報を認証するための認証情報を生成する認証部を備え、生成した認証情報を情報送信部からブロードキャストする。
【0033】
本発明に係る中継システムに含まれる中継装置は、認証部を備えて、通信機器が所定の内容を含む情報を認証するための認証情報を生成してもよい。従って、本発明に係る中継システムにおいては、中継装置と通信機器との間の認証を用いて、より安全に情報を伝達することも可能である。
【0034】
このようにすることで、中継された情報を受信する通信機器は、放送波に認証情報が含まれなかった場合であっても、中継された情報が正当な情報であることを認証しうる。例えば、電波の受信が不安定な状況等において、認証情報が含まれる放送の一部を受信困難な場合が発生しても、中継装置がこのような状況を補って認証情報を生成しうる。
なお、復号したデジタル放送に所定の認証情報が含まれる場合は、中継装置は当該認証情報をそのまま通信機器に中継することができる。
【0035】
本発明に係る中継システムに用いる認証情報は、当技術分野に公知の認証技術を適宜用いてよい。具体的には、放送局から中継装置を経由して通信機器に到達する、一方向の情報通信を認証可能な手法から適宜選択して、本発明に係る中継システムにおける認証情報として用いることが可能である。
【0036】
さらに、本発明に係る中継システムにおいて、中継装置は、中継装置の位置情報を取得する位置情報取得部を備える。
【0037】
本発明に係る中継装置の位置情報は、具体的には地図上の位置情報でありうる。本発明に係る中継システムに含まれる中継装置は、位置情報取得部により取得した中継装置の位置情報により、中継装置が設置されている地図上の場所を表す位置情報を利用することが可能になる。本発明に係る中継装置は、当該位置情報等を記憶するために、適宜、記憶媒体を備えてもよい。
【0038】
さらに、本発明に係る中継システムにおいて、中継装置は、抽出した情報と位置情報とに基づいて優先度を生成する優先度生成部を備え、生成した優先度を抽出した情報及び位置情報と共に情報送信部からブロードキャストする。
【0039】
本発明に係る中継システムに含まれる通信機器が生成する優先度は、復号した放送から抽出された情報と中継装置の位置情報とに基づいて生成されうる。なお、復号したデジタル放送に所定の優先度を表す情報が含まれる場合は、中継装置は当該所定の優先度を表す情報をそのまま通信機器に中継してもよい。
【0040】
一実施形態において、抽出された情報が地震の発生に関する情報であり、当該情報が震源地の推定場所及び地震の規模に関する情報を含む場合に、本発明に係る中継装置は、中継装置の位置情報が当該地震の影響のおそれがある場所であれば、高い優先度を生成しうる。逆に、中継装置の位置情報が当該地震の影響のおそれがないか又は影響が小さいと考えられる場所である場合は、低い優先度を生成しうる。このように生成された優先度は、緊急情報等と共に通信機器に対して送信されうる。抽出された緊急情報と中継装置の位置情報とに基づく優先度の生成には、地図上の両者の直線距離を用いてもよく、両者の間に公共交通機関の路線等が存在することの情報を用いてもよく、適宜設計しうる。
【0041】
このようにすることで、本発明に係る中継装置は、復号したデジタル放送に含まれていない優先度の情報を、中継装置の位置情報を用いて生成することが可能である。従って、例えば衛星放送等の広域放送により放送局から緊急情報が送信された場合においても、本発明に係る中継システムにおいては、中継装置の位置情報を用いて、当該位置情報が表す地図上の場所における当該緊急情報の優先度を生成することが可能である。
【0042】
また、本発明の第2の態様によると、デジタル放送で放送された情報を中継する中継装置であって、中継装置は、少なくとも一つの情報表示部を備えて中継装置が接続される同一のローカル・エリア・ネットワーク内に受信可能に接続している通信機器と接続し、デジタル放送を受信する受信部と、受信したデジタル放送を復号する復号部と、復号したデジタル放送を蓄積する蓄積部と、蓄積したデジタル放送から所定の内容を含む情報を抽出する情報抽出部と、抽出した情報を、同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストする情報送信部と、を備えることを特徴とする中継装置が提供される。
【0043】
本発明に係る中継装置は、上述の構成要素を備える単体の製品の形態で提供されてもよく、パーソナル・コンピュータ等が備える適切なインタフェースを介して着脱可能な形態で提供されてもよく、テレビ受信機等の他の装置に組み込まれて提供されてもよい。映像音声出力部は適切なインタフェース部を備えてもよく、一体化していてもよい。
【0044】
また、本発明の第3の態様によると、デジタル放送で放送された情報を中継させる中継プログラムであって、中継プログラムは、中継装置及び少なくとも一つの情報表示部を備える通信機器が接続される同一のローカル・エリア・ネットワーク内において、デジタル放送を受信する受信手段と、受信したデジタル放送を復号する復号手段と、復号したデジタル放送を蓄積する蓄積手段と、蓄積したデジタル放送から所定の内容を含む情報を抽出する情報抽出手段と、抽出した情報を、同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストする情報送信手段と、を備えるコンピュータを、中継装置として機能させることを特徴とする中継プログラムが提供される。
【0045】
本発明に係る中継プログラムは、メモリカード、読み出し専用メモリ(ROM)等の任意のコンピュータ可読媒体の形態で提供されうる。例えば、テレビ受信機にマイクロプロセッサ及び記憶媒体を備えて、本発明に係る中継プログラムを実行させてもよい。また、本発明に係る中継プログラムは、放送の形態で受信され、中継装置の復号部により復号され、情報抽出部により抽出されてもよい。本発明に係る中継プログラムは、単独で実行可能なバイナリ形式、適切なライブラリを併用するバイナリ・コード、又はスクリプト言語のソースコード等、当技術分野に公知の任意の形態で提供されうる。また、本発明に係る中継プログラムは、デジタルテレビ放送等の受信プログラム、電子メール送信プログラム、予約録画プログラム等の、既存の技術と組み合わせることができ、そのように組み合わせた技術もまた、本発明の技術範囲に含まれる。さらに、本発明の技法は、情報又はメッセージを中継するための諸段階を、FPGA(現場でプログラム可能なゲートアレイ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、これらと同等のハードウェアロジック素子、プログラム可能な集積回路、又はこれらの組み合わせが記憶し得るプログラムの形態、すなわちプログラム製品として提供することができる。具体的には、データ入出力、データバス、メモリバス、システムバス等を備えるカスタムLSI(大規模集積回路)の形態として、本発明に係る中継システムのための中継プログラムを提供でき、そのように集積回路に記憶されたプログラム製品の形態も、本発明の技術範囲に含まれる。
【発明の効果】
【0046】
上述のように構成することにより、本発明に係る中継システムにおいては、緊急情報を提供するサービス等をユーザが予め定められた接続手順に基づいて設定する必要なく、放送波による情報をパーソナル・コンピュータ等へ自動的に中継する中継装置を含む中継システムを提供することが可能となる。また、本発明においては、ユーザの専門知識を必要とせず、中継先のパーソナル・コンピュータ等の高負荷を避けて、当該情報を中継する中継システムを提供することが可能となる。
また、本発明は、サーバ装置を中継せずに、ローカル・エリア・ネットワーク内に接続した通信機器等に緊急情報又はこれに基づくメッセージを一斉送信することにより、当該ローカル・エリア・ネットワークを利用可能なユーザに対して緊急情報等を伝達しうる中継システムを提供することが可能となる。また、本発明は、ローカル・エリア・ネットワーク内で緊急情報等を一斉送信することにより、インターネットのトラフィックの影響を受けずに、通信機器等に当該緊急情報等を即時的に中継することが可能となる。
また、本発明は、ユーザの居所又は受信装置の設置場所における緊急情報に応答して、当該緊急情報又はこれに基づくメッセージを一斉送信しうる中継装置を含む中継システムを提供することが可能となる。
さらに、本発明は、ユーザが想定していない緊急情報等に応答して、当該情報を中継する中継システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る、中継システム100の例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る、中継装置10の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る、中継システム101の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る、中継装置11の構成を示す図である
【図5】本発明の一実施形態に係る、中継装置10又は中継装置11の動作を表すフロー図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る、中継装置10又は中継装置11の動作を表すフロー図の別の例である。
【図7】本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて、中継システム100を構成する例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて、中継システム100を構成する、別の例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る、中継装置11を内蔵するテレビ受信機を用いて、中継システム101を構成する例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて構成される中継システム100が、放送波による情報を中継する例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて構成される中継システム100が、放送波による情報を中継する別の例を示す図である。
【図12】発明の一実施形態に係る中継システム100が、認証情報を伴う緊急情報を含む放送波を受信して中継する例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る中継システム100が、認証情報及び優先度を伴う緊急情報を含む放送波を受信して中継する例を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて構成される中継システム100が、位置情報を伴って放送波による情報を中継する例を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて構成される中継システム100が、位置情報及び優先度を伴って放送波による情報を中継する例を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて構成される中継システム100が、位置情報及び優先度を伴って放送波による情報を中継するさらなる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。なお、これらはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれらに限られるものではない。
【0049】
[中継システム100の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る、中継システム100の例を示す図である。
【0050】
図1の例においては、中継システム100は、中継装置10、PC(パーソナル・コンピュータ)60−1及びPC60−2を備え、これらは同一のブロードバンド・ルータ50にネットワーク接続されてホーム・ネットワーク40を構成している。ブロードバンド・ルータ50は適宜インターネット等の広域ネットワーク30にネットワーク接続してもよい。中継装置10はアンテナ29により受信した放送塔25からのデジタル放送28を受信する。デジタル放送28の送信手段は放送塔25に限らず、放送衛星等でもよい。
【0051】
好適には、デジタル放送28は放送波によるデジタルテレビ放送であるが、これに限らず、デジタルラジオ放送、データ放送等でもよい。
【0052】
好適には、本発明に係る中継システム100に含まれる中継装置10は、当技術分野に公知のJava APIを用いることが可能なJava仮想マシンである。すなわち、中継装置10は、放送局からのデジタル放送をJavaデータ放送として受け取ることが可能である。従って、放送局は、Java仮想マシンとしての当該中継装置に対して、画面表示させるための文字列又は所定の処理を実行させるためのプログラム等を、それぞれ所定の仕様に従って送信することができる。本発明に係る中継装置10は、所定のAPIを用いて文字列の抽出等の処理を実施することができる。典型的には、本発明に係る中継装置10は、適宜記憶媒体等を用いて、経時的に放送により送られるデータを蓄積し、蓄積したデータから所定の情報又はプログラムを取り出して動作することが可能である。
【0053】
ホーム・ネットワーク40は一般的なローカル・エリア・ネットワークでもよい。中継装置10以外のネットワーク端末は、これらに限らず任意の端末装置等をブロードバンド・ルータ50に接続して用いてもよい。例えば、文字を表示可能な表示部を有してネットワーク端末として機能しうる冷蔵庫、ファクシミリ、家電製品等をネットワーク端末としてブロードバンド・ルータ50に接続してもよい。ネットワーク接続の態様は有線接続でも無線接続でもよく、後述する電力線ネットワーク接続でもよい。端末装置としては、当技術分野に公知のローカル・エリア・ネットワーク接続が可能な電子機器を任意にネットワーク端末として用いることが可能である。
【0054】
ブロードバンド・ルータ50は、中継装置10、PC60−1及びPC60−2からなるホーム・ネットワーク40内部の端末装置等を相互にネットワーク通信が可能となるように接続しうる。さらに、ブロードバンド・ルータ50は、端末装置からの送信要求の情報等を、インターネット等の広域ネットワーク30に接続されたサーバ装置等(図示せず)に転送することが可能である。これと逆に、ブロードバンド・ルータ50は、広域ネットワーク30からホーム・ネットワーク40内部の端末装置等への直接のアクセスを遮断しうる。さらに、ブロードバンド・ルータ50は、ホーム・ネットワーク40内部においてブロードキャスト送信の形態で送信された情報を、同一のブロードバンド・ルータ50に接続されたホーム・ネットワーク40内部の端末装置等に一斉送信しうる。
【0055】
図1の例において、中継装置10は、アンテナ29により受信した放送塔25からのデジタル放送28を受信する一方、受信したデジタル放送28に含まれる所定の情報を、同一のブロードバンド・ルータ50に接続しているPC60−1及びPC60−2に送信しうる。具体的には、中継装置10はブロードキャスト送信の形態で所定の情報等を送信しうる。同一のブロードバンド・ルータ50に接続しているPC60−1及びPC60−2は、いずれもブロードキャスト送信された情報を受信可能な状態であれば、中継装置10が送信した所定の情報を受信することができる。
【0056】
なお、図1に示す中継装置10は、単体の製品の形態で提供されてもよく、パーソナル・コンピュータ等が備える適切なインタフェースを介して着脱可能なコンピュータ部品又は周辺機器の形態で提供されてもよく、テレビ受信機等の他の装置に組み込まれて提供されてもよい。
【0057】
図1の例に示すPC60−1及びPC60−2は、本発明に係る中継装置10がブロードキャストした情報に応答してそれぞれの画面に情報又はメッセージ等を表示するための常駐型のコンピュータ・プログラム等を実行してもよい。例えば、このようなコンピュータ・プログラムは、それぞれのコンピュータごとにオペレーティング・システムが起動する際に自動的にメモリに読み込まれてもよく、ブラウザ等の他のアプリケーションの一部として連動するものでもよい。当該コンピュータ・プログラムは、単独で実行可能なバイナリ形式、適切なライブラリを併用するバイナリ・コード、又はスクリプト言語のソースコード等、当技術分野に公知の任意の形態で提供されうる。
【0058】
[中継装置10の構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10の構成を示す図である。一実施形態において、中継装置10は、アンテナ29を介して信号を受信する受信部12、受信した信号から放送を復号する復号部13、復号された放送から所定の情報を抽出する情報抽出部14、他の端末装置等に情報を送信する情報送信部19、ホーム・ネットワーク40と接続するためのネットワークI/F(インタフェース)20、画像表示手段及び音声出力手段(図示せず)に画像及び音声の信号又は情報を出力するための画像音声I/F21、及びこれらの各構成要素のそれぞれの動作を制御するための制御部24、及び記憶部22を備える。さらに、中継装置10は、抽出された所定の情報に基づいてメッセージを生成するメッセージ生成部15、中継装置10の地図上の位置情報を取得する位置情報取得部16、抽出された所定の情報に対して優先度を生成する優先度生成部17、他の端末装置等が中継装置10を認証するための認証情報を生成する認証部18を備えてもよい。
【0059】
受信部12及び復号部13としては、公知のデジタルテレビ受信機等が備える受信回路及び復号回路(集積回路素子の一部を含む)等の構成要素を用いうる。記憶部22は、復号部13により復号されたデジタル放送を蓄積するために用いうるが、これに限らず、情報又は制御部の動作のためのプログラム又は任意の情報を記憶するために用いてもよい。例えば、記憶部22は、中継装置10がJava仮想マシンとして動作するためのプログラム又はAPI等を記憶するために用いられてもよい。
【0060】
情報抽出部14が抽出しうる所定の情報は、デジタル放送28に含むことが可能な任意の情報に含まれる。例えば、デジタル放送28に含まれるデータ放送の一部として受信した情報から、所定の情報を抽出してもよい。情報抽出部14における抽出すべき所定の情報に該当するかどうかの判定は、予め定められた文字列等との一致又は不一致の判定でもよく、受信した情報に関連付けられた識別子等による判定でもよい。例えば、放送局等は緊急情報であることを表す識別子をデータ放送の一部として送信し、本発明に係る中継装置10の情報抽出部14は、復号された放送から、当該識別子と関連付けられた情報を、所定の情報として抽出してもよい。なお、このような識別子自体をデータ放送の一部に含まれる情報として扱ってもよい。
【0061】
メッセージ生成部15は、情報抽出部14が抽出した所定の情報に基づいてメッセージを生成する。ここで、メッセージの生成は予め定められたメッセージの選択を含む。
一実施形態において、メッセージ生成部15は、情報抽出部14が抽出した所定の情報に基づいて、適宜テンプレートを用いてメッセージを生成する。例えば、当該所定の情報が災害の発生を意味する文字列である「災害発生」を含む場合に、メッセージ生成部15は当該文字列を含む「災害が発生しました」等の可読性を有するメッセージを生成してもよい。又は、メッセージ生成部15は、当該メッセージを取り入れることが可能な、タイムスタンプ等の他の情報のためのフィールドを任意に含むテンプレートを用いて、「○○月○○日午前○○時、災害が発生しました」等のメッセージを合成してもよい。
別の実施形態において、情報抽出部14がデータ放送から災害の発生を表すコード番号等の所定の識別子を抽出した場合に、メッセージ生成部15は、当該所定の識別子に基づいて「災害が発生しました」等の可読性を有するメッセージを生成してもよい。
さらに別の実施形態において、メッセージ生成部15は、情報抽出部14がデータ放送から「災害が発生しました」という文字列を抽出した場合に、当該文字列をメッセージとしてもよい。
【0062】
位置情報取得部16は、中継装置10の制御部24が利用可能な地図上の位置情報を取得する。例えば、中継装置10のユーザは、適宜テンキーを備えるリモート・コントローラ(図示せず)等を用いて、中継装置10が設置される地図上の位置に関連付けられた郵便番号を入力してもよい。位置情報取得部16は、当該郵便番号として入力された情報を取得する。中継装置10の制御部24は当該郵便番号に関連付けられた地図上の位置を、中継装置10の位置情報として利用することができる。取得された位置情報は記憶部22に記憶されてもよい。あるいは、磁気媒体又は不揮発性メモリ(図示せず)等を記憶部22として用いて中継装置10の位置情報を記憶させ、位置情報取得部16を介して制御部24が当該位置情報を利用してもよい。
【0063】
優先度生成部17は、情報抽出部14が抽出した所定の情報に対して、優先度を生成する。
一実施形態において、優先度生成部17は、情報抽出部14が抽出した所定の情報が優先度を表す情報又は識別子を含む場合に、当該情報又は識別子を優先度として用いる。
別の実施形態において、優先度生成部17は、情報抽出部14が抽出した所定の情報に含まれる地図上の位置情報と、位置情報取得部16が取得した中継装置10の地図上の位置情報とが、所定の距離の範囲に含まれることに基づいて、優先度を生成する。例えば、当該所定の情報が自然災害及び発生場所の情報であり、中継装置10の位置情報が当該自然災害の影響が及ぶおそれのある場所に含まれる場合に、優先度生成部17は当該所定の情報がユーザに対して重要な情報でありうることを表す優先度を生成してもよい。これとは逆に、中継装置10の位置情報が当該影響のおそれがない場所に含まれる場合は、優先度生成部17は、当該所定の情報の重要さが低いことを表す優先度を生成してもよい。
位置情報に基づく優先度の生成においては、上述のような発生場所からの所定の距離の範囲に限らず、放送局から指定された地図上の位置情報が用いられてもよい。例えば、放送局等は、自然災害等の影響のおそれが想定される場所の情報を含む緊急警報を放送し、優先度生成部17は当該緊急警報に対する優先度を生成してもよい。
【0064】
認証部18は、復号部13が復号したデジタル放送に所定の内容を含む情報を認証するための認証情報の存在に関わらず、中継装置10と、同一のブロードバンド・ルータ50に接続しているPC60−1及びPC60−2等の端末装置との間で、情報通信のための認証情報を生成することが可能である。すなわち、中継装置10は、端末装置との間の認証のための機構を備えて、より安全に情報を伝達してもよい。具体的には、認証部18は、PC60−1及びPC60−2等の端末装置が受信する情報が、中継装置10がブロードキャストしたものであることを認証するための認証情報を生成しうる。認証の形態は、ブロードバンド・ルータ50を含めて中継装置10からPC60−1及びPC60−2等の端末装置への情報通信を認証しうるものであれば何でもよい。一般的には、当該認証の形態は、中継装置10から不特定の端末装置への情報通信を認証しうる公知の技法を任意に用いうる。
例えば、認証部18は、識別情報を含む認証情報を生成してもよい。PC60−1及びPC60−2等の端末装置はこの認証情報を受信し、当該認証情報を含む情報のみを中継装置10に由来する情報として扱ってもよい。当該固有の識別情報は中継装置10の個体を識別する情報でもよく、ブロードバンド・ルータ50の個体を識別する情報でもよく、これらを任意に組み合わせてもよい。このように認証部18が動作することにより、ブロードバンド・ルータ50を介して誤報又は偽情報等がPC60−1及びPC60−2等の端末装置に到達する状況においても、PC60−1及びPC60−2等の端末装置は中継装置10に由来する情報のみを扱うことが可能になる。
【0065】
情報送信部19は、上述の情報抽出部14が抽出した情報、メッセージ生成部15が生成したメッセージ、優先度生成部17が生成した優先度、及び認証部18が生成した認証情報を、適宜、組み合わせて送信する。この組み合わせに対して、それぞれの情報を区別するための識別子、フィールド又はセパレータ等が追加されてもよい。
【0066】
ネットワークI/F20は、中継装置10とブロードバンド・ルータ50とをネットワーク接続し、情報送信部19からブロードバンド・ルータ50に情報をブロードキャストの形態で送信するために用いられる。画像音声I/F21は、復号部13により復号された放送に含まれる画像及び音声の信号又は情報を出力するために用いられる。これらのネットワークI/F20及び画像音声I/F21としては、公知のデジタルテレビ受信機等が備えるインタフェースを任意に用いうる。画像音声I/F21は映像又は音声を出力するための回路部品等を備えてもよく、当該回路部品と一体化していてもよい。
なお、制御部24は、情報送信部19が送信する情報をネットワークI/F20のみから出力してもよく、その一部又は全体をデータ放送のコンテンツとして画像音声I/F21から出力してもよい。
【0067】
制御部24は、上述の受信部12、復号部13、情報抽出部14、メッセージ生成部15、位置情報取得部16、優先度生成部17、認証部18、情報送信部19、ネットワークI/F20、画像音声I/F21、及び記憶部22のそれぞれの動作を制御する。具体的な制御の態様については、フロー図を用いて後述する。制御部24は、例えば、テレビ受信機にマイクロプロセッサ及び記憶媒体を備えて、本発明に係る中継プログラムを実行させるもの等でもよい。
【0068】
このように構成することにより、本発明に係る中継システム100においては、中継装置10はホーム・ネットワーク40に接続され、デジタル放送28に含まれる所定の情報に応答して、当該情報又はこれと関連付けられるメッセージを、中継装置10の位置情報及び認証情報と共に、同一のホーム・ネットワーク40に接続された他の端末装置に一斉送信することが可能である。
【0069】
中継装置10以外の端末装置は、ホーム・ネットワーク40にネットワーク接続され、ブロードキャストされた情報を受信できればよく、予め送信先として指定される必要はない。さらに、中継装置10以外の端末装置は、予め定められた接続手順に基づいた設定による緊急情報等の送信元への接続を必要としない。従って、本発明に係る中継システム100のユーザは、ネットワーク設定等の専門知識を必要とせず、端末装置から緊急情報等の送信元への接続手順を必要とせずに、中継システム100を利用することができる。
【0070】
[中継システム101の構成]
図3は、本発明の一実施形態に係る、中継システム101の例を示す図である。図1と共通する箇所は説明を省略する。
【0071】
図3の例において、中継システム101に含まれる中継装置11は、ホーム・ネットワーク40の内部においてブロードバンド・ルータ50に接続される。中継装置は、インターネット等の広域ネットワーク30を介して放送局26が提供するデジタル放送27を受信するために、ブラウザ又はストリーム受信ソフトウェア(図示せず)等を用いて、所望の番組に係る送信要求を放送局26に送信する。放送局26は、当該送信要求に応答して、デジタル放送27として当該所望の番組を中継装置11に送信する。
【0072】
典型的には、デジタル放送27は広域ネットワーク30等のコンピュータ・ネットワークを介するストリーム形式のデジタルテレビ放送であるが、これに限らず、音楽配信、デジタルラジオ放送等でもよい。
【0073】
図3の例においては、デジタル放送27の受信形態が電波ではなく広域ネットワーク30を用いることが異なるが、図1の例と同様に、中継装置11は、ホーム・ネットワーク40の内部に接続しているPC60−1及びPC60−2等の端末装置に、ブロードキャストの形式で所定の情報を一斉送信することができる。すなわち、デジタル放送27の受信形態以外については、中継装置11は図1に示した中継装置10と同様の動作をすることが可能である。
【0074】
[中継装置11の構成]
図4は、本発明の一実施形態に係る、中継装置11の構成を示す図である。図2と共通する箇所は説明を省略する。図4に示す中継装置11においては、インターネット等の広域ネットワーク30を介してデジタル放送27を受信することが、図2に示した中継装置10とは異なっている。すなわち、デジタル放送27はネットワークI/F20から受信部12に送られる。受信された信号に係る処理は、図2に示した中継装置10と同様である。
【0075】
このように構成することにより、中継装置11は、ブロードバンド・ルータ50を介して広域ネットワーク30からデジタル放送27を受信し、緊急情報等が抽出された場合に、ホーム・ネットワーク40内の他の端末装置等に情報又はメッセージを送信することが可能になる。
【0076】
[中継装置の動作のフロー図]
図5は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10又は中継装置11の動作を表すフロー図である。図5においては、主として中継装置10の動作として、緊急情報を受信して中継する過程を説明する。なお、緊急情報は例示のみであり、中継装置は緊急情報に限らず所定の情報を抽出することが可能である。
【0077】
ステップS130では、中継装置10は、デジタル放送28を受信する。中継装置11の場合にはデジタル放送27を受信する。
【0078】
ステップS140では、中継装置10は、受信信号を復号する。これにより、受信した信号から番組等の放送が復号される。復号された放送は、画像、音声、データ放送等を含みうる。
【0079】
ステップS145では、中継装置10は、復号した放送を蓄積する。蓄積する手段としては、コンピュータ読み書き可能な磁気媒体又は不揮発性メモリ等の記憶媒体を用いうる。例えば、中継装置の記憶部22が用いられる。これにより、中継装置10は、所定の情報を取り出すために、記憶部22に蓄積したデータを参照することが可能になる。以下の諸段階においては、蓄積したデータを含む復号した放送から所定の情報が処理されることを示すが、所定の情報を記憶する手段は中継装置10の記憶部22に限定せず、いずれかの構成要素にバッファメモリ等を備えて、所定の情報を記憶するために用いてもよい。
【0080】
ステップS150では、中継装置10は、復号した放送が緊急情報等の所定の情報を含むかどうかを判定する。判定の結果が真である場合はステップS160に進み、偽である場合はステップS130に戻る。すなわち、中継装置10は、復号した放送に緊急情報が含まれない状況では、ステップS130からステップS150を実施して、信号の受信及び放送の復号を繰り返す。ステップS130からステップS150の実施の周期は何でもよく、中継装置10は一定の時間の間隔でこれらのステップを繰り返してもよく、復号した放送に含まれるデータの量に従ってこれらのステップを繰り返してもよい。
【0081】
ステップS160では、中継装置10は、復号した情報を情報送信部19に送る。すなわち、緊急情報等が情報送信部19に送られる。ここで情報を情報送信部19に送ることは、例えば、記憶部22を用いて、当該情報を送信待ち行列の一部として記憶することを指す。復号した情報の形態は、予め定義されたコード番号等でもよく、可読性のある文字列等でもよい。復号した情報には、緊急放送等の所定の情報を認証するための認証情報、所定の情報の優先度を表す情報等が含まれてもよい。
【0082】
ステップS170では、中継装置10は、復号した情報に関連するメッセージを、適宜、情報送信部19に送る。当該関連するメッセージは、復号した情報に含まれる文字列等に適宜可読性を向上するために追加されうる語句等でもよく、復号した情報に含まれるコード番号又は文字列等を取り入れることが可能なテンプレート等でもよい。あるいは、復号した情報がすでにユーザに十分な可読性を有する場合に、中継装置10はすでに前段のステップS160において当該復号した情報を情報送信部19に送信済みであるため、ステップS170の動作は省略してもよい。
【0083】
ステップS180では、中継装置10は、適宜、付加情報を情報送信部19に送る。この付加情報は、中継装置10が復号した情報と中継装置10の固有の情報とを合成した情報等でもよい。あるいは、ステップS180の動作は、ステップS170と同様に省略してもよい。
一実施形態において、本発明に係る中継装置は認証部18を用いて認証情報を生成し、生成した認証情報を付加情報として情報送信部19に送ってもよい。
【0084】
ステップS190では、中継装置10は、情報送信部19の内容をネットワークI/F20を介してブロードキャストする。これにより、ステップS160において情報送信部19に送られた緊急情報等がブロードキャストされ、さらに、ステップS170において情報送信部19に送られた緊急情報等に関連するメッセージ又はステップS180において情報送信部19に送られた付加情報が適宜ブロードキャストされる。
【0085】
一実施形態において、中継装置10は、ステップS160において情報送信部19に送られた復号した情報を情報送信部19からブロードキャストする。ステップS170及びS180は省略される。例えば、復号した情報は、緊急情報、認証情報、及び優先度を含む。
別の実施形態において、中継装置10は、ステップS160において情報送信部19に送られた復号した情報に加えて、ステップS170において情報送信部19に送られた関連するメッセージを、情報送信部19からブロードキャストする。
【0086】
図6は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10又は中継装置11の動作を表すフロー図の別の例である。図5と同様に、主として中継装置10の動作として諸段階を説明する。以下の説明においては、位置情報取得部16、優先度生成部17及び認証部18を備えた中継装置10の動作を説明するが、これら3つの構成要素のいずれか又は全体を省略しても、本発明に係る中継システム100に含まれる中継装置10を構成することが可能である。
【0087】
ステップS110では、中継装置10は、適宜、位置情報取得部16を用いて位置情報を取得する。具体的には、中継装置10が設置されている地図上の位置情報が取得される。取得される位置情報は、ユーザが適宜テンキーを備えるリモート・コントローラ等を用いて予め郵便番号等の形式で入力したものでもよく、予め位置情報を記憶した媒体等から取得するものでもよい。取得された位置情報は、適宜記憶部22等を用いて記憶されてもよい。
【0088】
ステップS120では、中継装置10は、認証情報を生成する。具体的には、認証部18を用いて、ホーム・ネットワーク40に接続している通信機器等が中継装置10を認証するための情報が生成される。生成した認証情報は情報送信部19に送られる。当該認証情報は、中継装置10から通信機器への一方向の情報通信を認証可能な情報であればよい。例えば、中継装置10に固有の識別情報を備えて、この識別情報を認証情報として通信機器に送信してもよい。
【0089】
ステップS130からステップS170まで、及びステップS190の動作は、図5に示した中継装置10の動作と同様である。
【0090】
ステップS185では、図5を用いて示した諸段階と同様に、中継装置10は、適宜、付加情報を情報送信部19に送る。
一実施形態において、当該付加情報は前述の認証部18が生成しうる認証情報を含む。
別の実施形態において、本発明に係る中継装置は優先度生成部17を用いて優先度を生成し、生成した優先度を付加情報として情報送信部19に送ってもよい。この優先度は、ステップS150における判定の結果が真となった所定の情報と、中継装置10の地図上の位置情報とに基づいて生成されうる。例えば、緊急情報等の所定の情報に場所又は交通機関の路線等の情報が伴い、中継装置10の地図上の位置情報が当該緊急情報の影響が予想される場所に含まれる場合に、中継装置10は、優先度生成部17を用いて高い優先度を表す情報を生成することができる。これと逆に、当該緊急情報の影響が低いか又は無視できる場合には、中継装置10は、優先度生成部17を用いて低い優先度を表す情報を生成することができる。従って、図6に示すステップS110及びステップS185を実施することにより、中継装置10は、中継装置10が設置された場所における緊急情報等の影響の大小に関する情報を用意することが可能になる。
【0091】
ステップS190では、中継装置10は、図5に示した例と同様に、情報送信部19の内容をネットワークI/F20を介してブロードキャストする。これにより、ステップS160において情報送信部19に送られた緊急情報等がブロードキャストされ、さらに、ステップS170において情報送信部19に送られた緊急情報等に関連するメッセージ又はステップS180において情報送信部19に送られた付加情報が適宜ブロードキャストされる。
【0092】
(実施例1:テレビ受信機に中継装置を内蔵する実施例)
図7は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて、中継システム100を構成する例を示す図である。図7に実施形態を示す中継システム100は、本発明に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80、ブロードバンド・ルータ50、端末装置70を含み、アンテナ29により放送塔25からのデジタル放送28を受信する。好適には、端末装置70は、本発明に係る中継装置10がブロードキャストの形態で送信する情報を受信可能な所定のプログラムが動作するパーソナル・コンピュータ等である。
【0093】
このように構成することにより、本発明に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80は、デジタル放送28に含まれる緊急情報等に応答して、同一のブロードバンド・ルータ50に接続している端末装置70に、当該緊急情報を中継して一斉送信することが可能になる。ユーザは、テレビ受信機80及び端末装置70が、ブロードバンド・ルータ50とネットワーク接続するようにケーブル接続等を実施すればよく、それぞれの中継装置10又は端末装置70のネットワーク接続のための機器設定や、送信先となる端末装置70を予め設定しておく手順を行う必要はない、従って、本発明に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80のユーザは、特別な専門知識を必要とせずに、緊急情報等の中継を利用することができる。
【0094】
また、本発明に係る中継システム100に含まれる端末装置70は、緊急情報等を受信するために予め定められた接続手順に基づいた設定をする必要はなく、単にブロードキャストの形態で送信される情報を待機すればよい。従って、端末装置70は、ストリーム受信等の高負荷状態となる必要はない。
【0095】
図8は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて、中継システム100を構成する、別の例を示す図である。図8に示す中継システム100は、本発明に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80、ブロードバンド・ルータ50、端末装置70、電力線接続アダプタ210、屋内電力配線200、及び表示部付き電子機器220を含む。
【0096】
前述の図7に示した中継システム100との相違は、屋内電力配線200を介するネットワーク接続が追加されることである。表示部付き電子機器220は、それぞれ独立して電力線接続アダプタ210を接続又は内蔵して、屋内電力配線200を介して送信された緊急情報等を受信することが可能である。例えば、事務機器又は文房具等の近傍に設置されうる電話機の形態を有する表示部付き電子機器220−1は、その表示部を用いて、地震災害等の発生の際に「机の下に避難する」ことを示唆するメッセージを表示してもよい。また例えば、炊事場等に設置されうる調理器具の形態を有する表示部付き電子機器220−2は、その表示部を用いて、地震災害等の発生の際に「火の元を確認する」ことを示唆するメッセージを表示してもよい。これらに限定せず、端末装置70又は表示部付き電子機器220が表示する緊急情報又は緊急情報に関連するメッセージ等は任意に設定しうる。
【0097】
図9は、本発明の一実施形態に係る、中継装置11を内蔵するテレビ受信機81を用いて、中継システム101を構成する例を示す図である。図9に示す中継システム101は、本発明に係る中継装置11を内蔵するテレビ受信機81、ブロードバンド・ルータ50、端末装置70を含み、インターネット等の広域ネットワーク30を介して放送局26からのデジタル放送27を受信する。
【0098】
例えば、端末装置70は、ネットカフェ等に設置されたパーソナル・コンピュータ等でもよい。これらの端末装置70は、本発明に係る中継装置11と同一のブロードバンド・ルータ50に接続して、中継装置11からブロードキャスト送信された情報を受信できればよく、台数は問わない。
【0099】
このようにすることで、本発明に係る中継システム101においては、個々の端末装置70を指定する必要なく、デジタル放送27に含まれる緊急情報に応答して、それぞれの端末装置70に緊急情報又はこれに関連するメッセージ等を表示することが可能になる。また、端末装置70の台数は任意に増減することが可能である。従って、端末装置70の機器変更等においても、緊急情報等の表示するための端末装置70の指定が不要であることから、メンテナンス・コストの増加を防ぐことができる。
【0100】
(実施例2:情報を中継する例)
図10は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100が、放送波による情報を中継する例を示す図である。中継システム100の構成要素は、図7に示したものと同一である。なお、以下の実施例においては地震が発生したことの情報を中継する例を示すが、これに限定せず、例えば、ユーザの居所の近郊で発生した交通渋滞又は他の自然災害の情報等が、デジタルテレビ放送又はデータ放送等として放送され、本発明に係る中継装置10がこれを受信して端末装置等に中継する状況等においても、本発明に係る中継装置10を含む中継システム100は同様に動作することが可能である。
【0101】
図10は、本発明に係る中継装置10を内蔵したテレビ受信機80が、アンテナ29により放送塔25からのデジタル放送28を受信する状況を示している。さらに、デジタル放送28には地震発生という情報310が含まれる。本発明に係る中継装置10は、このような情報310を受信することに応答して、地震発生という情報320をブロードキャストの形態で送信する。すなわち、情報320はブロードバンド・ルータ50に対して送信され、ブロードバンド・ルータ50を介して接続している全ての端末装置70に対して、情報320が一斉送信される。従って、全ての端末装置70において、この情報320が受信されうる。
【0102】
端末装置70においては、一斉送信された情報320を待ち受けるコンピュータ・プログラムを起動しておくことにより、当該情報320の受信に応答して、それぞれの端末装置70−1及び70−2が備える表示部に「地震です」等の情報330−1及び330−2が表示されうる。好適なコンピュータ・プログラムは、パーソナル・コンピュータのオペレーティング・システムの起動と連動してメモリに常駐する、ガジェットの形態で提供されるプログラム(例えば、公知の「NHKガジェット」と呼称されるプログラム)である。このようなガジェットとして、情報320を待ち受けるプログラムが動作することにより、端末装置70は所定の情報の受信を待ち受けることが可能である。
【0103】
このようにして、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100により、デジタル放送28に含まれる情報310を中継して、端末装置70に表示することが可能になる。
【0104】
図11は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100が、放送波による情報を中継する別の例を示す図である。中継システム100の構成要素は、図7に示したものと同一である。
【0105】
図11においては、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80は、前述の図10に示した例と同様の情報310を受信することに応答して、「地震が発生しました」というメッセージ321をブロードキャストの形態で送信する。すなわち、中継装置10は、受信した情報310に含まれる語句を用いて、メッセージ321を生成してブロードキャストの形態で送信することが可能である。生成されるメッセージ321の形態はこれに限らず、情報310を受信した時点のタイムスタンプ等、他の情報を伴ってもよい。メッセージ321は、前述のようにブロードバンド・ルータ50を介して全ての端末装置70に一斉送信される。
【0106】
端末装置70においては、図10に示した例と同様に、メッセージ321の受信に応答して、それぞれの端末装置70−1及び70−2が備える表示部にメッセージ332−1及び332−2を表示することが可能である。
【0107】
このようにして、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100は、デジタル放送28に含まれる情報310に基づいてメッセージ321を生成し、生成したメッセージを端末装置70に表示することが可能になる。
【0108】
図12は、本発明の一実施形態に係る中継システム100が、認証情報を伴う緊急情報を含む放送波を受信して中継する例を示す図である。中継システム100の構成要素は、図7に示したものと同一である。
【0109】
図12においては、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80は、緊急情報及び認証情報を含む情報312を受信することに応答して、当該緊急情報及び認証情報を含む情報322をブロードキャストの形態で送信する。情報322は、前述のようにブロードバンド・ルータ50を介して全ての端末装置70に一斉送信される。端末装置70においては、図10に示した例と同様に、一斉送信された情報322を受信する。すなわち、認証情報を伴う緊急情報が受信される。
【0110】
このようにして、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100は、デジタル放送28に含まれる緊急情報及び認証情報を含む情報312を中継し、同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストすることが可能である。
【0111】
図13は、本発明の一実施形態に係る中継システム100が、認証情報及び優先度を伴う緊急情報を含む放送波を受信して中継する例を示す図である。中継システム100の構成要素は、図7に示したものと同一である。
【0112】
図13においては、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80は、緊急情報、認証情報及び優先度を含む情報313を受信することに応答して、当該緊急情報、認証情報及び優先度を含む情報323をブロードキャストの形態で送信する。情報323は、前述のようにブロードバンド・ルータ50を介して全ての端末装置70に一斉送信される。端末装置70においては、図10に示した例と同様に、一斉送信された情報323を受信する。すなわち、認証情報及び優先度を伴う緊急情報が受信される。端末装置70においては、適宜、優先度を用いて当該情報323を表示しうる。例えば、優先度の高い情報323を受信した場合に、ユーザの注意を喚起するために、目立つ配色、注意喚起のための追加表示又は装飾等を併用して当該情報323を表示してもよい。
【0113】
このようにして、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100は、デジタル放送28に含まれる緊急情報、認証情報及び優先度を含む情報313を中継し、同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストすることが可能である。
【0114】
(実施例3:位置情報を利用する例)
図14は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて構成される中継システム100が、位置情報を伴って放送波による情報を中継する例を示す図である。中継システム100の構成要素は、図7に示したものと同一である。
【0115】
図14においては、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80は、震源地の場所を表す情報314を受信することに応答して、当該情報314を、中継装置10が設置される場所の位置情報と共に、情報324としてブロードキャストの形態で送信する。すなわち、情報324は、震源地の場所を表す情報314及び中継装置10が設置される場所の位置情報を含む。情報324は、前述のようにブロードバンド・ルータ50を介して全ての端末装置70に一斉送信される。
【0116】
端末装置70においては、一斉送信された情報324を待ち受けるコンピュータ・プログラムを起動しておくことにより、当該情報324の受信に応答して、それぞれの端末装置70−1及び70−2が備える表示部に、震源地の場所を表す情報312に基づく表示及び中継装置10が設置される場所の位置情報に基づく表示が実施されうる。例えば、端末装置70−1及び70−2が備える表示部に、震源地と中継装置10との地図上の場所を表す平面図等が表示されうる。
【0117】
このようにして、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100は、デジタル放送28に含まれる震源地の情報312及び中継装置10が設置される場所の位置情報を含む情報324を生成し、端末装置70に一斉送信することが可能になる。
【0118】
図14に示した実施例においては、デジタル放送28が衛星放送を含む全国放送等の広域サービスであっても、本発明に係る中継装置10が位置情報取得部16を用いて取得した中継装置10の設置場所を表す地図上の位置情報を用いることにより、当該設置場所との関連性を有する情報を利用することができる。従って、本発明に係る中継装置10のユーザは、中継装置10が設置された場所と関連する情報を利用することが可能になる。
【0119】
図15は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて構成される中継システム100が、位置情報及び優先度を伴って放送波による情報を中継する例を示す図である。
【0120】
(実施例4:優先度を利用する例)
図15においては、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80は、前述の図14を用いて示した例と同様に、震源地の場所を表す情報314を受信することに応答して、当該情報314、中継装置10が設置される場所の位置情報、並びに震源地と中継装置の場所との距離に基づいて生成される優先度の情報を、情報325としてブロードキャストの形態で送信する。情報325は、前述のようにブロードバンド・ルータ50を介して全ての端末装置70に一斉送信される。
【0121】
一実施形態において、生成される優先度の情報は、震源地と中継装置の場所との距離等の、放送された情報が表す場所と中継装置10が設置される場所の位置情報との距離に基づいて、当該距離が短いほど高い優先度となるように、当該距離が長いほど低い優先度となるように、定義されうる。この定義は、距離を変数とする任意の関数の形態でもよい。また、優先度の生成に用いる変数は距離に限定せず、例えば地震の震度のような距離以外の変数を追加して含んでもよい。
【0122】
端末装置70においては、一斉送信された情報325を待ち受け、受信した優先度に従って所定のメッセージを選択するコンピュータ・プログラムを起動しておくことにより、当該情報325の受信に応答して、それぞれの端末装置70−1及び70−2が備える表示部に、優先度に基づく付加情報336が追加されて表示される。すなわち、前述の情報330−1及び330−2、メッセージ321−1及び322−2、又は震源地と中継装置10との地図上の場所を表す平面図等に加えて、優先度に基づく付加情報336が表示されうる。優先度に基づく付加情報336は、例えば、端末装置70−2の設置場所がユーザの書斎等である場合に、高い優先度が生成された場合には、ユーザが机の下に避難することを示唆するメッセージ、又は身の回りの落下物に注意することを示唆するメッセージ等を表示してもよい。また、例えば、前述とは逆に低い優先度が生成された場合には、ユーザの行動を示唆するメッセージを空白としてもよい。これらに限定せず、本発明に係る中継装置10が生成する優先度は、端末装置70が表示するメッセージ321を適宜選択するために用いることが可能である。
【0123】
このようにして、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100は、デジタル放送28に含まれる震源地の情報314、中継装置10が設置される場所の位置情報、及び震源地と中継装置の場所との距離に基づいて生成される優先度の情報を含む情報325を生成し、端末装置70に一斉送信することが可能になる。
【0124】
図15に示した実施例においては、デジタル放送28が衛星放送を含む全国放送等の広域サービスであっても、本発明に係る中継装置10が位置情報取得部16を用いて取得した中継装置10の設置場所を表す地図上の位置情報、及び優先度生成部17が生成した優先度を用いることにより、当該設置場所との関連性を有する情報を優先度と組み合わせて利用することができる。従って、本発明に係る中継装置10のユーザは、中継装置10が設置された場所と関連する情報を、当該情報の優先度と共に利用することが可能になる。
【0125】
図16は、本発明の一実施形態に係る、中継装置10を内蔵するテレビ受信機を用いて構成される中継システム100が、位置情報及び優先度を伴って放送波による情報を中継する別の例を示す図である。
【0126】
図16においては、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80は、震源地の場所を表す情報314を受信することに応答して、当該情報314、中継装置10が設置される場所の位置情報、並びに震源地と中継装置の位置との距離に基づいて生成される優先度の情報を、情報328としてブロードキャストの形態で送信する。情報328は、前述のようにブロードバンド・ルータ50を介して全ての端末装置70に一斉送信される。図16の例においては、ブロードバンド・ルータ50は電力線接続アダプタ210と接続し、屋内電力配線200を含むネットワークとも接続することが可能である。従って、情報328は屋内電力配線200を介して一斉送信される。このようにして、中継装置10から一斉送信された情報328は、ブロードバンド・ルータ50に接続している端末装置70、及び屋内電力配線200を介してネットワーク接続している情報家電品230により受信される。
【0127】
端末装置70における情報328の受信は、前述の図15を用いて示した実施例と同様である。例えば、端末装置70は、書斎に設置されている場合に、震源地及び中継装置10の設置場所を含む地図、及び優先度に従って、机の下への避難等のユーザの行動を示唆するメッセージを表示することが可能である。
【0128】
情報家電品230においては、一斉送信された情報328を待ち受け、受信した優先度に従って所定のメッセージを選択するプログラムを起動しておくことにより、当該情報328の受信に応答して、情報家電品230が備える表示部に、優先度に基づく付加情報338が表示される。例えば、情報家電品230の設置場所が炊事場等である場合に、地震の情報と共に高い優先度を受信した場合には、ユーザが落ち着いて火の元を確認することを示唆するメッセージ等を表示してもよい。
【0129】
このようにして、本発明の一実施形態に係る中継装置10を内蔵するテレビ受信機80を用いて構成される中継システム100は、デジタル放送28に含まれる震源地の情報312、中継装置10が設置される場所の位置情報、及び震源地と中継装置の場所との距離に基づいて生成される優先度の情報を含む情報326を生成し、端末装置70及び情報家電品230等に一斉送信することが可能になる。
【0130】
以上、本発明を実施形態に則して説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。例えば、本発明に係る中継装置10又は中継装置11は、単体のセットトップボックスの形態で提供されてもよく、デジタルテレビチューナ等を備える複合機器等に内蔵されてもよく、デジタル放送等を受信可能なパソコン部品の形態で提供されてもよい。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態又は実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0131】
10、11 中継装置
12 受信部
13 復号部
14 情報抽出部
15 メッセージ生成部
16 位置情報取得部
17 優先度生成部
18 認証部
19 情報送信部
20 ネットワークI/F
21 画像音声I/F
22 記憶部
24 制御部
25 放送塔
26 放送局
27、28 デジタル放送
29 アンテナ
30 広域ネットワーク
40 ホーム・ネットワーク
50 ブロードバンド・ルータ
60 PC
70 端末装置
80、81 テレビ受信機
100、101 中継システム
200 屋内電力配線
210 電力線接続アダプタ
220 表示部付き電子機器
230 情報家電品
310、312、313、314、320、321、322、323、324、325、328 情報
322、332、336、338 メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送で放送された情報を中継する中継システムであって、
前記中継システムは中継装置及び少なくとも一つの情報表示部を備えて前記中継装置が接続される同一のローカル・エリア・ネットワーク内に受信可能に接続している通信機器を含み、
前記中継装置は、
前記デジタル放送を受信する受信部と、
前記受信した前記デジタル放送を復号する復号部と、
前記復号した前記デジタル放送を蓄積する蓄積部と、
前記蓄積した前記デジタル放送から所定の内容を含む情報を抽出する情報抽出部と、
前記抽出した前記情報を、前記同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストする情報送信部と、を備えることを特徴とする
前記中継システム。
【請求項2】
さらに、前記中継装置は、前記抽出した前記情報に基づくメッセージを生成するメッセージ生成部を備え、生成した前記メッセージを前記情報送信部からブロードキャストすることを特徴とする、請求項1に記載の中継システム。
【請求項3】
前記通信機器は、前記情報送信部から送信された前記情報を前記情報表示部に表示することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の中継システム。
【請求項4】
さらに、前記中継装置は、前記通信機器が前記所定の内容を含む情報を認証するための認証情報を生成する認証部を備え、生成した認証情報を前記情報送信部からブロードキャストすることを特徴とする、請求項1に記載の中継システム。
【請求項5】
さらに、前記中継装置は、前記中継装置の位置情報を取得する位置情報取得部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の中継システム。
【請求項6】
さらに、前記中継装置は、前記抽出した前記情報と前記位置情報とに基づいて優先度を生成する優先度生成部を備え、生成した前記優先度を前記抽出した前記情報及び前記位置情報と共に前記情報送信部からブロードキャストすることを特徴とする、請求項5に記載の中継システム。
【請求項7】
デジタル放送で放送された情報を中継する中継装置であって、
前記中継装置は、少なくとも一つの情報表示部を備えて前記中継装置が接続される同一のローカル・エリア・ネットワーク内に受信可能に接続している通信機器と接続し、
前記デジタル放送を受信する受信部と、
前記受信した前記デジタル放送を復号する復号部と、
前記復号した前記デジタル放送を蓄積する蓄積部と、
前記蓄積した前記デジタル放送から所定の内容を含む情報を抽出する情報抽出部と、
前記抽出した前記情報を、前記同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストする情報送信部と、を備えることを特徴とする
前記中継装置。
【請求項8】
デジタル放送で放送された情報を中継させる中継プログラムであって、
前記中継プログラムは、中継装置及び少なくとも一つの情報表示部を備える通信機器が接続される同一のローカル・エリア・ネットワーク内において、
前記デジタル放送を受信する受信手段と、
前記受信した前記デジタル放送を復号する復号手段と、
前記復号した前記デジタル放送を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積した前記デジタル放送から所定の内容を含む情報を抽出する情報抽出手段と、
前記抽出した前記情報を、前記同一のローカル・エリア・ネットワーク内にブロードキャストする情報送信手段と、を備えるコンピュータを、前記中継装置として機能させることを特徴とする
前記中継プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−171896(P2010−171896A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14608(P2009−14608)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】