放電灯点灯装置、バックライト装置
【課題】液晶表示装置の蛍光ランプを点灯させるインバータ回路で電源変動に起因するちらつきを除去する制御を確実に行う。液晶表示装置の画像表示性能を損なわずに安価で高効率な放電灯点灯装置を提供する。
【解決手段】平滑回路の出力VDCを入力して放電ランプLamp1を駆動するインバータ回路HB1と、周期的にランプ点灯状態とランプ消灯または調光状態を繰り返すタイミング信号を与える点灯制御器Dimと、平滑回路の出力電圧VDCを検知して光出力を所望の値に制御するフィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御回路FF1の制御利得または制御目標値を切り替える制御変更手段FC1を備え、制御変更手段FC1は点灯制御器Dimの出力信号または放電ランプLamp1の点灯状態に応じてフィードフォワード制御回路FF1を設定変更する。
【解決手段】平滑回路の出力VDCを入力して放電ランプLamp1を駆動するインバータ回路HB1と、周期的にランプ点灯状態とランプ消灯または調光状態を繰り返すタイミング信号を与える点灯制御器Dimと、平滑回路の出力電圧VDCを検知して光出力を所望の値に制御するフィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御回路FF1の制御利得または制御目標値を切り替える制御変更手段FC1を備え、制御変更手段FC1は点灯制御器Dimの出力信号または放電ランプLamp1の点灯状態に応じてフィードフォワード制御回路FF1を設定変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置などに用いられる蛍光ランプの点灯回路に関し、特に光のちらつき低減と回路の効率改善に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は一般的に冷陰極ランプなど蛍光ランプを複数点灯させたバックライト装置の光を用いて画像表示を行っている。そして蛍光ランプの点灯回路にはインバータ回路が一般的に用いられる。高周波でランプを点灯させることによりランプ発光効率が向上し、トランスなど電子部品の小型化が可能となっている。
【0003】
しかし、液晶表示装置においては普及に伴い更なる機器の高効率化が求められており、液晶表示装置の大部分の電力を消費するバックライト装置において高効率化は重要な課題となっている。この要請に応えるために放電灯点灯回路においては、ゼロ電圧スイッチングなどのソフトスイッチング手法を採用することでインバータ回路のスイッチング損失を低減したり、インバータ回路に入力する直流電源を高電圧化して昇圧トランスのロスを低減することが提案されている。
【0004】
しかしながら、バックライト装置の点灯回路の電力変換効率は、一般照明用の点灯回路と比べると低いものとなる。その理由は、一般照明用の点灯回路よりもちらつきを抑えるための電源の安定化を必要とすることと、ノイズや安全性の観点から絶縁回路が必要だからである。
【0005】
ちらつきに関しては、液晶表示装置をテレビのように動画表示に利用した場合は画像が随時更新されるので目立たないが、静止画の表示などを行った場合は、光源である蛍光ランプのちらつきがそのまま画面のちらつきとなって現れるので、問題である。
【0006】
さらにちらつきが問題となりやすい理由としては、液晶表示パネルの画像更新周波数との干渉が挙げられる。これは、商用電源の周波数が50Hzか60Hzであるのに対し、画像更新周波数もそれと近い周波数(60Hzから120Hz)であるため、光変動の周波数干渉が起こりやすいのである。
【0007】
たとえば、商用電源50Hzによってインバータの入力の直流電圧に100Hzのリップル電圧が生じているとする。このリップル電圧を除去せずにインバータ回路でランプを点灯させると光に100Hzの周波数成分で変動が生じる。一般照明用のインバータ回路のリップル電圧のレベルは10%以下である。この光を直視してもちらつきはほとんど感じない。これは光変化の周波数が100Hzと高いからである。
【0008】
しかし液晶フィルタを通過した光ではちらつきが発生する。つまり液晶フィルタで100Hzの光を画像更新周波数60Hzで変調すると、光には100Hzと60Hzの周波数成分の変動が混在し、その周波数差成分100Hz−60Hz=40Hzが生じてしまう。これがちらつきとして感じられるのである。個人差はあるが、光変動の周波数が50Hz以下となると数%程度の変動があってもちらつきは感じることとなる。よって、リップル電圧10%のちらつきは周波数が40Hzともなると大きいちらつきとなるのである。
【0009】
そこで一般的な液晶表示装置では、商用電源に起因する直流電源のリップル電圧を除去する安定化電源回路を備えている。その回路損失が発生するため、光への変換効率が低下するのである。
【0010】
点灯回路の効率改善とちらつきの低減を両立する方法として考えられるのは、インバータ回路に電源リップル除去機能を付加するということである。たとえばランプ電流をフィードバック制御すればよい。フィードバック制御を行えばランプ電流は略一定となり、リップル電圧による光の変動を除去できる。
【0011】
しかし実際には絶縁機能もインバータ回路に必要となるので、フィードバック制御は容易ではない。なぜならランプ電流は絶縁された2次側回路での検出となり、これを非絶縁である1次側スイッチング回路ヘ伝達する必要があり、その伝達回路を含めたフィードバック制御設計が困難だからである。
【0012】
そこで、もうひとつの手法として、フィードフォワード制御を行うことが考えられる。つまり、リップル電圧に応じてインバータ出力を増減させれば、その制御回路は非絶縁の1次側で構成することができるので、絶縁回路の設計は容易である。また、リップル電圧は比較的安定に発生するので、フィードフォワード制御には適している。
【0013】
この放電灯点灯装置のフィードフォワード制御についても従来から様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1(特開2002−330591号公報)では、インバータの入力電圧を検知し、電圧変動によるランプ電流変化を抑制するように、スイッチの駆動周波数またはスイッチオン時間比を変化させる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−330591号公報
【特許文献2】特開平7−272889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のフィードフォワード制御技術を用いた場合、液晶表示装置の画像表現が低下してしまう問題がある。従来技術はランプを連続的に点灯する場合には問題ないが、液晶表示装置で用いられるランプの点灯制御(バースト調光制御)のように点滅を繰り返す調光においてはちらつきが発生するのである。
【0015】
液晶表示装置には、一般的に冷陰極ランプなど放電ランプを点灯させて画像を表示させている。その放電ランプの調光の方法としては、ランプの点灯・消灯を周期的に繰り返してその時間比率を可変する調光手法(いわゆるバースト調光)が一般的に用いられている。
【0016】
例えば、特許文献2(特開平7−272889号公報)では、蛍光ランプに高周波電圧を印加する期間と印加しない期間を周期的に繰り返すことで、蛍光ランプの調光を行っている。このような調光では、光出力が点灯と消灯の時間比率から求まるので、ランプ電流を連続的に可変する方式に比ベて、光出力が直線的に変化する特徴がある。また、点滅することで液晶表示装置の動画ボケを改善することができるという利点もある。すなわち液晶表示装置においては、ランプをインパルス発光させることで鮮明な画像が得られるのである。
【0017】
従来技術では、ランプを急峻に点灯させたり消灯させたりすると、始動電圧が不安定となるという問題がある。これは、インバータ回路の始動時と点灯時で共振回路の特性が大きく異なることに起因する。一般的にインバータ回路では、ランプ電流の安定化と、ランプに高電圧を加えて始動させるためにLC共振回路を用いている。ランプが点灯した状態では、ランプが負荷抵抗として存在するためLC共振回路のQは低い。通常この状態において最良の結果となるようにフィードフォワード制御回路のゲインは設定されている。
【0018】
しかしランプが点灯していない状態では、負荷抵抗がない状態に等しいためLC共振回路は高いQとなっている。この状態では、インバータのスイッチング時間または動作周波数がわずかに変動してもランプ電圧が大きく変動する。したがって、フィードフォワードのゲインが高くなりすぎるので、電源リップルによりランプ始動電圧の変動が増加する。
【0019】
ランプを連続的に点灯させる場合においては、始動は起動時のみであるからランプ始動電圧が多少変動しても、とくに問題は無い。しかし、バースト調光では、このランプ始動の電圧の変動により、ランプが始動するタイミングがばらつくのである。すなわち共振電圧が高いとランプは早く始動し、逆に共振電圧が低いとランプの始動は遅くなる。
【0020】
ランプが早く始動すればランプ点灯時間が長くなり、ランプの光出力が多くなり、ランプが遅く始動すればランプ点灯時間が短くなり、ランプの光出力が少なくなるので、ちらつきが発生するのである。
【0021】
本発明は、このような従来技術の課題を解決すベくなされたものであり、液晶表示装置の蛍光ランプを点灯させるインバータ回路で電源変動に起因するちらつきを除去する制御を確実に行うことにより、液晶表示装置の画像表示性能を損なわずに安価で高効率な放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1の発明は、上記の課題を解決するために、図1に示すように、商用電源Vinを整流する整流器DBと、前記整流器DBの出力を平滑する少なくとも1つの平滑回路(力率改善回路PFC)と、前記平滑回路の出力VDCを入力して放電ランプLamp1を駆動する点灯回路(インバータ回路HB1)と、前記点灯回路に周期的にランプ点灯状態とランプ消灯または調光状態を繰り返すタイミング信号を与える点灯制御器Dimと、前記点灯回路の入力電圧VDCもしくは平滑回路の入力電圧を検知して点灯回路の出力を所望の値に制御するフィードフォワード制御回路FF1と、前記フィードフォワード制御回路FF1の制御利得または制御目標値を切り替える制御変更手段FC1を備え、前記制御変更手段FC1は前記点灯制御器Dimの出力信号または放電ランプLamp1の点灯状態に応じて前記フィードフォワード制御回路FF1を設定変更することを特徴とするものである。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記フィードフォワード制御回路FF1の設定変更は、放電ランプLamp1の電力増加方向で、前記フィードフォワード制御回路FF1の制御利得を増加させることを特徴とする。
【0024】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記フィードフォワード制御回路FF1の出力する制御量は、前記点灯回路の発振周波数であることを特徴とする。
【0025】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図1または図3に示すように、放電ランプLamp1の電流に応じて動作することを特徴とする。
【0026】
請求項5の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図5に示すように、放電ランプLamp1の電圧に応じて動作することを特徴とする。
【0027】
請求項6の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図7に示すように、前記点灯回路の入力電力に応じて動作することを特徴とする。
【0028】
請求項7の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図8に示すように、タイマ回路Tim1を備え、前記点灯制御器Dimの点灯タイミング信号を基準として、前記タイマ回路Tim1で設定された時間Td後に前記フィードフォワード制御回路FF1の設定を変更することを特徴とする。
【0029】
請求項8の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図10に示すように、積分回路Int1を備え、前記点灯制御器Dimの点灯タイミング信号を基準として、前記積分回路Int1は積分動作を開始し、その積分結果に応じて前記フィードフォワード制御回路FF1の設定を変更することを特徴とする。
【0030】
請求項9の発明は、請求項1〜3の発明において、図12に示すように、前記点灯回路(インバータ回路HB1)は、入力電流または入力電流に相当する電流を一定に制御するフィードバック制御回路FB1を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、図12に示すように、前記制御変更手段FC1は、前記フィードバック制御回路FB1の状態変数Fs1に応じて動作することを特徴とする。
【0032】
請求項11の発明は、請求項1〜10の発明において、前記フィードフォワード制御回路FF1は、商用電源周波数の2倍の周波数近傍で利得のピークを持つことを特徴とする。
【0033】
請求項12の発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の放電灯点灯装置と放電ランプを備えるバックライト装置である。
【発明の効果】
【0034】
本発明による放電灯点灯装置は、放電ランプの供給電力を一定に制御するフィードフォワード制御回路に放電ランプの点灯状態によってゲインを可変する手段を設けたものであり、放電ランプの実際の点灯状態に応じてフィードフォワード制御を行うことにより、ランプが点灯している期間でフィードフォワード制御のゲインが正確に設定され、安定した点灯制御が行われる。よって、フィードフォワード制御がランプ始動電圧の制御ヘ影響を与えないようにすることが可能となり、電源リップルによるちらつきを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(実施形態1)
本発明の上記および他の目的、特徴および利点を明確にすベく、以下添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明の一実施の形態としての放電灯点灯回路が示されている。本放電灯点灯回路は、商用電源Vinを整流する整流回路DBとその出力を昇圧して平滑する力率改善回路PFCを有する。
【0036】
力率改善回路PFCの構成は、周知の昇圧チョッパ回路であり、整流回路DBの整流出力端に並列接続された小容量のコンデンサCs2と、整流回路DBの整流出力端に接続されたインダクタL1とスイッチング素子Q3の直列回路と、スイッチング素子Q3の両端にダイオードD1を介して並列接続された平滑用の電解コンデンサCs1と、スイッチング素子Q3を高周波でオン・オフ制御するための発振部OSC4よりなる。その動作については周知であるので、詳しい説明は省略するが、スイッチング素子Q3が商用周波数よりも高周波でオン・オフされることにより、商用電源Vinからの入力電流の休止期間を少なくして、入力力率を改善するものである。平滑用の電解コンデンサCs1には昇圧された直流電圧が充電されるが、商用電源Vinの谷部ではコンデンサCs1への充電エネルギーが不足することになるから、商用電源Vinの2倍の周波数成分のリップル電圧が重畳することになる。商用電源Vinが100V、50Hzである場合には100Hzのリップル電圧が力率改善回路PFCの出力電圧VDCに重畳されていることになる。
【0037】
力率改善回路PFCの出力電圧VDCは、スイッチング素子Q1、Q2の直列回路と、その駆動回路DRVと、キャパシタCd1と絶縁トランスT1と、共振インダクタLr1と共振キャパシタCr1からなるハーフブリッジインバータ回路HB1に供給される。インバータ回路HB1により直流電圧VDCは高周波電圧に変換され、蛍光ランプLamp1へ電力が供給される。
【0038】
インバータ回路HB1はインダクタLr1とキャパシタCr1からなるLC共振回路を備えており、ランプを始動させる際には、このLC共振回路の共振周波数近傍でスイッチングを行い、ランプ始動に必要な電圧を発生させている。また、インバータ回路HB1の出力は電気的に絶縁されており、高周波電圧によるノイズ放射や漏れ電流を低減する機能を備えている。
【0039】
インバータ回路HB1のスイッチング素子Q1,Q2は例えばMOSFETよりなり、逆方向の並列ダイオードを内蔵している。スイッチング素子Q1,Q2は高周波で交互にオン・オフされ、スイッチング素子Q1がオン、スイッチング素子Q2がオフのときは、直流電源VDCの正極→スイッチング素子Q1→キャパシタCd1→絶縁トランスT1の1次巻線→直流電圧VDCの負極の経路で電流が流れてキャパシタCd1が充電され、スイッチング素子Q1がオフ、スイッチング素子Q2がオンのときは、キャパシタCd1→スイッチング素子Q2→絶縁トランスT1の1次巻線→キャパシタCd1の経路で電流が流れてキャパシタCd1が放電される。これにより、絶縁トランスT1は高周波電圧により励磁され、その2次巻線には昇圧された高周波電圧が発生する。この昇圧された高周波電圧は、共振インダクタLr1と共振キャパシタCr1の直列共振回路に印加されて、共振作用により更に昇圧されて、共振キャパシタCr1の両端に得られた高周波の高電圧が放電ランプLamp1の両端に印加される。ここで、放電ランプLamp1は例えば冷陰極蛍光ランプ(CCFL)である。
【0040】
スイッチング素子Q1,Q2の発振周波数は、通常、共振周波数よりも高い周波数に設定されており、発振周波数が高くなると放電ランプLamp1の光出力が低下し、発振周波数が低くなると放電ランプLamp1の光出力が増加する。
【0041】
インバータ回路HB1は発振器OSC1を備え、電流Ioscで設定された周波数となるように、インバータのスイッチング素子Q1,Q2を駆動する信号を発生させている。発振器OSC1には基準電圧源が内蔵されており、その基準電圧源から抵抗Rf1〜Rf3を介して流れ出る電流Ioscにより発振周波数が決定される。なお、電流Ioscが増えると周波数が高くなり、電流Ioscが少なくなると周波数が低くなる制御となっている。
【0042】
本実施形態では、調光器Dimにより発振器OSC1の周波数が周期的に変更されている。すなわち、調光器DimはトランジスタスイッチQ10をオン・オフ制御し、スイッチQ10がオンのときには抵抗Rf1に抵抗Rf2が並列接続されることにより、発振周波数を決める電流Ioscを増加させてインバータ回路HB1の発振周波数を高くしてランプを消灯させ、スイッチQ10がオフのときには電流Ioscを減少させてインバータの発振周波数を始動周波数としてランプを再始動させている。これにより、点灯期間と消灯期間とが交互に切り換わる点滅点灯を液晶表示装置の映像更新周期に同期した低い周波数(例えば、120Hz)で繰り返すように動作する。
【0043】
そして、本発明に従って、抵抗Ra1,Ra2,Ra3,Ro1,Rf3と、キャパシタCa1,Ca2と、演算増幅器OP1と基準電圧Vref1からなるフィードフォワード制御回路FF1が設けられている。フィードフォワード制御回路FF1は、インバータ回路HB1の入力電圧に応じてインバータ回路HB1の発振周波数を制御する。
【0044】
また、インバータ回路HB1の出力に接続された蛍光ランプLamp1の一端には、フォトカプラPC1の入力と分流抵抗Rs1の並列回路が直列に接続され、ランプ電流の発生有無を検出し、非絶縁側に信号を伝達している。トランジスタQ9はフィードフォワード制御信号を切り替えるスイッチである。
【0045】
ランプ電流Ilaが発生するとフォトカプラPC1の入力端子にランプ電流の一部が入力され、フォトカプラPC1内の出力フォトトランジスタをオンさせる。トランジスタQ9のベース端子は抵抗Rb1を介して直流電源Vccに接続されており、フォトカプラPC1の出力がオフのときは、トランジスタQ9がオンするように設定されている。フォトカプラPC1の出力がオンとなると、トランジスタQ9のベース電流が無くなり、トランジスタQ9はオフする。したがって、ランプ電流発生時にはトランジスタQ9はオフし、ランプ電流がないときはトランジスタQ9はオンとなる。
【0046】
トランジスタQ9がオンしているときは、フィードフォワード制御信号VFF1を発振器OSC1へ反映させないようにする。トランジスタQ9がオフしているときは、フィードフォワード制御信号VFF1を抵抗Ro1とRf3を介して発振器OSC1へ伝達させる。
【0047】
図2は、各部の動作のタイミングを表すグラフである。図には上から、力率改善回路PFCの出力電圧VDCと、フィードフォワード制御回路出力VFF1と、調光器Dimの出力信号(トランジスタQ10の動作)と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、ランプ電流検出に応じて動作するトランジスタQ9の動作と、インバータ回路HB1の発振器OSC1の周波数設定値である電流Ioscが示されている。
【0048】
力率改善回路PFCの出力電圧VDCは、図2のように周期的に電圧が変動する所謂リップル電圧を含む。力率改善回路PFC内の平滑キャパシタCs1の容量を大きくすればリップル電圧を小さく出来るが、リップル電圧をゼロとするのは力率改善回路の原理的に困難である。このリップル電圧によってランプなど負荷回路の電力変化が発生して問題となる。
【0049】
したがって、別途DC−DCコンバータなどで電圧を安定化する必要があるが、DC−DCコンバータによる電力ロスが生じてしまう。そこで、インバータ回路HB1によってリップル電圧分を出力補正する制御を行うのである。フィードフォワード制御回路により、力率改善回路PFCの出力電圧VDCが高いときにはインバータ出力を少なくするように補正し、出力電圧VDCが低いときはインバータ出力を多くするように補正する。
【0050】
図1の回路では、力率改善回路PFCの出力電圧VDCの電圧変動成分を精度良く選択するために、抵抗Ra1〜Ra3とキャパシタCa1によるハイパスフィルタを用いて、100〜120Hzのリップル電圧を検出している。つまり、前記フィードフォワード制御回路FF1は、商用電源周波数の2倍の周波数近傍で利得のピークを持つように設計されている。力率改善回路PFCの直流出力の平均電圧は安定に制御することが出来る。よって直流成分についてはフィードフォワード制御する必要はないので、リップル電圧成分のみ制御するようにしているのである。なお、力率改善回路PFCを備えていない場合には、直流成分もフィードフォワード制御することで、同様な制御結果を得ることは可能である。
【0051】
また、演算増幅器OP1によって反転増幅を行い、フィードフォワード制御信号VFF1を生成している。
【0052】
ここで、抵抗Ra1〜Ra3とキャパシタCa1によるハイパスフィルタによって位相進みが発生する。この位相進みをそのまま制御に用いると新たな変動成分となるため、位相補正を行う必要がある。この補正については、フィードフォワード制御系全体の制御遅れ成分を考慮しながら、ローパスフィルタなどの遅れ成分を加え調整するが、この説明は省略する。
【0053】
演算増幅器OP1の出力電圧であるフィードフォワード制御信号VFF1は、抵抗Ro1とRf3を介して発振器OSC1の発振周波数制御用の電流Ioscを制御する。フィードフォワード制御信号VFF1が高いと電流Ioscは減少し、フィードフォワード制御信号VFF1が低いと電流Ioscは増加する。
【0054】
そしてランプが点灯しているとき、電流Ioscが減少するとインバータ回路HB1の動作周波数が低くなり、ランプ電流を制限しているインダクタLr1のインピーダンスが低下する。すなわちインバータ回路HB1の入力電圧が低くなったときは、インダクタLr1のインピーダンスを低下させ、ランプ電流が減少しないような補正制御が行われる。一方、インバータ回路HB1の入力電圧が高くなったときは、周波数制御用の電流Ioscが増加し、インバータ回路HB1の動作周波数が高くなり、インダクタLr1のインピーダンスが増加して、ランプ電流が増加しないような補正制御が行われる。
【0055】
ところで、ランプは点滅点灯している。図2のランプ電圧Vlaとランプ電流Ilaはその状態を示している。時間t1以前ではランプは消えており、ランプ電流Ilaは発生していない。
【0056】
時間t1となると、調光信号DimによりスイッチQ10がオフし、抵抗Rf2を流れていた電流が無くなり、電流Ioscが減少する。電流Ioscが減少すると、インバータの動作周波数は低くなり、LC共振周波数近傍でスイッチングが行われるので、ランプ電圧Vlaが上昇し、ランプに高電圧が印加される。
【0057】
ランプに高電圧が印加されると、時間t2の時点でランプは始動して放電が開始され、ランプ電流Ilaが発生する。インバータ回路HB1のインダクタLr1のインピーダンスを利用してランプは安定点灯される。
【0058】
時間t3となると調光信号DimはスイッチQ10をオンさせて、抵抗Rf2に再び電流を生じさせる。そして電流Ioscが増加してインバータ周波数が高くなり、インダクタLr1のインピーダンスを増加させる。その結果ランプが消える。
【0059】
その後、時間t4で調光器Dimは再びランプを始動させるタイミング信号を送出し、時間t1〜t3と同様な動作を繰り返す。この動作を繰り返すことによりランプは点滅点灯する。
【0060】
時間t1で調光器Dimによってランプを始動させる状態となり、その後時間t2でランプが点灯したとき、フォトカプラPC1の出力はオンとなり、トランジスタQ9はオフとなる。トランジスタQ9がオフとなると、フィードフォワード制御信号VFF1が抵抗Rf3を介して電流Ioscに反映されるようになる。
【0061】
なお、フォトカプラPC1とトランジスタQ9によるランプ電流Ilaの検出閾値は点灯時の1/2付近でも良いが、出来るだけ少ない電流で検出できるように設定する。そうすれば、始動の直後からフィードフォワード制御が行われるので、良好な制御特性が得られる。
【0062】
上記のようにランプ点灯とともにフィードフォワード制御を行えば、フィードバック制御よりも精度よくリップル電圧補正を行える。すなわちフィードバック制御では、ランプ点灯の瞬間で制御目標値までの収束安定時間が必要であり、この収束安定までは制御は不安定となり、この時点においてリップル電圧の変動影響を受けてしまう。一方、フィードフォワード制御ではフィードバック制御のような応答時間がないため、ランプ点灯の瞬間から安定した制御結果を得ることが可能である。
【0063】
また本例では、ランプの点灯期間以外はフィードフォワード制御が行われないので、ランプ消灯時の点灯回路の不安定動作を防止できる。すなわち、ちらつきとして問題となるのはランプが点灯している期間であるので、それ以外はフィードフォワード制御を解除すればよいのである。特にランプ始動にLC共振回路の共振電圧を用いる場合には、フィードフォワード制御が行われるとランプ電圧が大きく変化する問題があるので効果がある。
【0064】
本発明を用いれば、放電ランプを周期的に点滅させるバースト調光において、直流電源のリップル電圧に起因するちらつきを低減することが出来る。
【0065】
なお、本例は点灯と消灯の時間比率を制御して光出力を一定にする例であるが、点灯と調光点灯の時間比率を制御しても同様の効果がある。図1の回路で説明すると、スイッチング素子Q1,Q2が第1の発振周波数(共振周波数に比較的近い周波数)で交互にオンオフする点灯期間と、スイッチング素子Q1,Q2が第1の発振周波数よりも高い第2の発振周波数(共振周波数から遠いが消灯しない周波数)で交互にオンオフする調光点灯期間とが交互に切り換わる明暗点灯を液晶表示装置の映像更新周期に同期した低い周波数(例えば、120Hz)で繰り返すように動作させても良い。
【0066】
(実施形態2)
図3を参照すると、本発明の第2の実施の形態としての放電灯点灯回路が示されている。本放電灯点灯回路が実施形態1の回路と異なるのは、フィードフォワード制御回路のゲインのレベルを複数とする点である。
【0067】
図3では、フィードフォワード制御信号を切り替えるトランジスタQ9の代わりに、抵抗Rf5とスイッチSW2の直列回路と、抵抗Rf4とスイッチSW3の直列回路の並列回路を備えている。
【0068】
スイッチSW3はランプ電流検出回路のフォトカプラPC1に応答して動作し、実施形態1のトランジスタQ9と同様な動作を行う。スイッチSW2は、調光器Dimの信号に応じてON/OFFする。また、スイッチSW1もスイッチSW2と同じタイミングでON/OFFする。
【0069】
図4に、本実施形態の動作のタイミングを示す。図4には、スイッチSW1,SW2の動作と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、スイッチSW3の動作のタイミングが示されている。
【0070】
時間t1の時点で、スイッチSW1はOFFし、点灯回路の動作周波数はランプを始動させる周波数に変更される。そのとき同時にスイッチSW2もOFFする。スイッチSW3は未だONのままである。スイッチSW2がOFFとなるとフィードフォワード制御信号VFF1が周波数制御用の電流Ioscに反映されやすくなり、フィードフォワード制御回路のゲインが増加する。
【0071】
そして時間t2の時点でランプが始動し、ランプ電流が発生すると、フォトカプラPC1のフォトトランジスタがONする。そのフォトカプラPC1の信号を受けて、スイッチSW3はOFFする。スイッチSW3がOFFとなると、更にフィードフォワード制御信号VFF1が周波数制御用の電流Ioscに反映されやすくなり、フィードフォワード制御回路のゲインが最大となる。
【0072】
また、時間t3となると調光器Dimに応じてスイッチSW1がONし、点灯回路の動作周波数はランプを消灯させる周波数に変更される。同時にスイッチSW2とSW3もONする。
【0073】
その結果、フィードフォワード制御信号VFF1が周波数制御用の電流Ioscに反映されにくい状態となり、フィードフォワード制御回路のゲインが最小となる。したがって、ランプ点灯時にフィードフォワード制御のゲインを最大とし、ランプ消灯時には、フィードフォワード制御のゲインを最小とする動作を行う。
【0074】
また、ランプに高電圧を印加している動作状態では最大と最小の中間となるゲインとなるように制御動作を変更する。中間のゲインは、抵抗Rf5で設定される。すなわち、ランプを始動させる状態においても最適なフィードフォワード制御を設計することができ、始動電圧の変化による始動タイミングのばらつきを小さくすることが出来る。
【0075】
さらに、ランプ消灯期間でのリップル電圧によるランプ電圧変化を小さくするように抵抗Rf4を設定することも可能である。このようにすれば、ランプ消灯期間において放電ランプを微弱な放電状態に維持する場合において、立ち消えやちらつきを低減することが出来る。
【0076】
本発明を用いれば、放電ランプを周期的に点滅させるバースト調光において、直流電源のリップル電圧に起因するちらつきを低減することが出来る。
【0077】
以下の実施形態3〜7では、実施形態1または2で説明した詳細な構成及び動作の変形例として、ランプ電流の検出以外の手段によりフィードフォワード制御回路FF1の設定を変更する各種の手段について説明する。
【0078】
(実施形態3)
図5に実施形態3の構成図を示す。図には、力率改善回路PFCと、その出力に接続されたインバータ回路HB1と、インバータ回路HB1で駆動されるランプLamp1が示されている。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。検出器DET1はフィードフォワード制御設定変更回路FC1へ信号を送出している。本例は、ランプの点灯状態検出としてランプ電圧を検出する検出器DET1を備え、その信号によりフィードフォワード制御設定変更回路FC1を動作させることが特徴である。
【0079】
すなわち、インバータ回路HB1のLC共振回路のインダクタLr1の両端電圧を検知することにより、ランプLamp1が始動したかしていないかを判定する。インダクタLr1の両端電圧は、インバータ回路HB1の矩形波電圧成分が現れるものの、ランプ電圧Vlaに比例した電圧が発生しており、点灯状態を検知するには好適である。
【0080】
図6に動作のタイミングを示す。図には、調光器Dimの信号と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、検出器DET1の出力信号が示されている。
時間t1で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を始動周波数に設定する。それによりインバータ回路HB1の出力電圧は上昇し、ランプには高電圧が印加される。
【0081】
時間t2でランプが始動してランプ電流Ilaが発生する。またランプ始動に伴い、共振回路のQが低下するので、ランプ電圧Vlaが低くなる。
【0082】
時間t1からt2の区間ではランプ電圧Vlaが高いので検出器DET1の出力はLowである。時間t2でランプ電圧Vlaが低下し、検出器DET1の閾値Vth以下となると検出器DETはHighを出力する。
【0083】
時間t3で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を上昇させ、ランプLamp1を消灯させる。それに伴い検出器DET1の出力もLowとなる。したがって、検出器DET1の出力は、調光器DimのON期間中にランプ電圧Vlaが低い状態となるとHighを出力するようになっており、ランプ電流Ilaでランプ状態を検出するのと同様な機能を実現できる。
【0084】
本実施形態では、ランプ電流検出用のフォトカプラなどを用いずに、共振回路のインダクタに副巻線を設けることでランプ状態を正確に検知できるので、ちらつきの低減を安価に実現することが出来る。
【0085】
(実施形態4)
図7に実施形態4の構成図を示す。図には、実施形態3と同様に力率改善回路PFCと、インバータ回路HB1とランプLamp1が示されている。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。検出器DET2はフィードフォワード制御設定変更回路FC1へ信号を送出している。
【0086】
本実施形態は、ランプの点灯状態検出としてインバータ回路HB1への入力電流を検出する検出器DET2を備え、その信号によりフィードフォワード制御設定変更回路FC1を動作させることが特徴である。すなわち、インバータ回路HB1の入力電流が増加したのを検知することにより、ランプが始動したかしていないかを判定する。
【0087】
ランプに高電圧を与えている状態からランプが始動すると、ランプ電流が急速に発生して、インバータ回路の入力電流も増加するので、点灯状態を検知するには好適である。ランプ始動状態においてもインバータ回路の損失は若干増え、入力電流が増加するのでそれを考慮した検出閾値を設定すればよい。
【0088】
本実施形態では、ランプ電流検出用のフォトカプラなどを用いずにランプ状態を正確に検知できるので、ちらつきの低減を安価に実現することが出来る。
【0089】
(実施形態5)
図8に実施形態5の構成図を示す。図には、実施形態3と同様に力率改善回路PFCと、インバータ回路HB1とランプLamp1が示されている。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1とフィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。遅延タイマ回路Tim1は、調光器Dimの信号を入力し、フィードフォワード制御設定変更回路FC1へ切り替えタイミング信号を送出している。
【0090】
図9に動作のタイミングを示す。図には、調光器Dimの出力信号と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、遅延タイマ回路Tim1の出力信号Ts1が示されている。
【0091】
時間t1で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を始動周波数に設定する。それによりインバータ回路HB1の出力電圧は上昇し、ランプには高電圧が印加される。また、遅延タイマ回路Tim1は調光器Dimの信号を受け、タイマ動作を開始する。タイマ動作期間中は、出力Ts1はLowを維持する。しばらく時間が経過するとランプが始動してランプ電流が発生する。
【0092】
その後、遅延タイマ回路Tim1は所定の時間Tdでタイマ動作を完了し、出力Ts1をHighとする。遅延タイマ回路Tim1の出力Ts1の信号を受けて、フィードフォワード制御設定変更回路FC1は制御のゲインを増加させる動作を行う。
【0093】
本例は、調光器Dimの信号を基点として遅延タイマ回路Tim1を動作させ、所定時間Tdの経過後にフィードフォワード制御設定変更回路FC1を動作させることが特徴である。遅延タイマ回路Tim1の所定時間Tdは、ランプの始動する時間にあわせて設定される。その結果、ランプ点灯を検出することなく、フィードフォワードの動作条件を切り替えることが出来る。
【0094】
ランプの始動時間は、周囲温度や近接導体により多少の変化はあるが、短時間で繰り返し点灯と消灯を繰り返す場合では、それぞれの時間変化は少ない。そこで、あらかじめ始動にかかる時間を条件ごとに求めておけば、ランプ状態を検知することなく、フィードフォワード制御回路のゲインを適切に設定できる。
【0095】
遅延時間は、点灯の瞬間でちょうどタイムアップとなるような設定が最も効果があるが、多少短い時間としても効果はある。ちらつきの原因は瞬時始動の時間のばらつきであるが、この場合の始動時間はランプに与えた始動エネルギ量に関係しているので、一部の始動電圧が変動してもすぐには始動時間が変化しないからである。
【0096】
逆に遅延時間が多少長くなっても効果がある。この場合は、ランプ点灯後からタイマ回路の動作までの差分でちらつき成分が発生するが、時間差が全体の周期の1%未満であれば問題ないレベルとなる。
【0097】
なお、遅延タイマ回路Tim1は、一定時間のタイマ回路でもよいが、様々な点灯条件に合わせた時間設定が可能なマイクロプロセッサのタイマが好適である。
本実施形態によれば、タイマ回路を用いることで、ちらつき低減を安価に実現することが出来る。
【0098】
(実施形態6)
図10に実施形態6の構成図を示す。図には、実施形態3と同様に力率改善回路PFCと、インバータ回路HB1とランプLamp1が示されている。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。積分信号回路Int1は、調光器Dimの信号を入力し、フィードフォワード制御設定変更回路FC1へ信号Swp1を送出している。
【0099】
図11に動作のタイミングを示す。図には、調光器Dimの出力信号と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、積分信号回路Int1の出力信号Swp1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1の出力信号Ga1が示されている。
【0100】
時間t1で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を始動周波数に設定する。それによりインバータ回路HB1の出力電圧は上昇し、ランプには高電圧が印加される。
【0101】
また、積分信号回路Int1は調光器Dimの信号を受け、積分動作を開始する。積分動作期間中は、出力信号Swp1は積分結果を連続して出力する。積分信号回路Int1の出力信号Swp1を受けて、フィードフォワード制御設定変更回路FC1は制御のゲインを連続的に増加させる出力信号Ga1をフィードフォワード制御回路FF1に設定する動作を行う。
【0102】
しばらく時間が経過するとランプが始動してランプ電流が発生する。その後、積分信号回路Int1は所定のレベルまでの積分動作を完了し、出力信号Swp1は飽和する。積分信号回路Int1の出力信号Swp1により、フィードフォワード制御設定変更回路FC1の出力信号Ga1もゲイン設定値を最大値とする。
【0103】
本実施形態は、調光器Dimの信号を基点として積分信号回路Int1を動作させ、所定時間までの期間(t1〜t2)で連続的にフィードフォワード制御のゲインを可変させることが特徴である。積分信号回路Int1の積分速度は、ランプの始動する時間にあわせて設定される。その結果、ランプ点灯を検出することなく、フィードフォワードの動作条件を切り替えることが出来る。
【0104】
ランプの始動時間は、周囲温度や近接導体により多少の変化はあるが、短時間で繰り返し点灯と消灯を繰り返す場合では、それぞれの時間変化は少ない。そこで、あらかじめ始動にかかる時間を条件ごとに求めておけば、積分信号回路Int1の積分速度を様々な点灯条件に合わせて変更することで精度良く動作させることが出来る。
【0105】
本実施形態を用いれば、ちらつき低減を安価に実現することが出来る。
【0106】
(実施形態7)
図12に実施形態7の構成図を示す。図には、力率改善回路PFCと、インバータ回路HB1とランプLamp1が示されている。インバータ回路HB1は、入力電流検出器DET3と入力電流を一定とするようにインバータ発振周波数をフィードバック制御するフィードバック制御器FB1を備える。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。
【0107】
フィードフォワード制御設定変更回路FC1は、インバータ回路HB1のフィードバック制御器FB1の制御量Fs1を入力とし、フィードフォワードの動作条件切り替えタイミング信号Ts2をフィードフォワード制御回路FF1ヘ出力している。フィードフォワード制御回路FF1は、フィードバック制御器FB1ヘ補正信号Ad1を与える。調光器Dimはインバータ回路HB1のフィードバック制御器FB1と発振器OSC1に点灯と消灯のタイミング信号を与える。
【0108】
図13に動作のタイミングを示す。図には、調光器Dimの出力信号と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、フィードバック制御器FB1の制御出力Fs1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1の出力信号Ts2が示されている。
【0109】
時間t1で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を始動周波数に設定し、フィードバック制御器FB1に入力電流増加の指令信号を送出する。
【0110】
その結果、フィードバック制御器FB1の出力Fs1が上昇し、インバータ周波数が低くなり、ランプには高電圧が印加される。やがてランプは始動し、ランプ電流が発生すると、インバータ回路の入力電流も増加する。その結果、フィードバック制御器FB1は入力電流を所定の値とするように応答し、制御出力Fs1を低下してランプ出力を抑えるように動作する。
【0111】
時間t2の時点でフィードフォワード制御設定変更回路FC1はフィードバック制御器FB1の制御出力Fs1の立下りを検知し、フィードフォワード制御回路FF1へフィードフォワードの動作条件を切り替える信号Ts2を送出する。フィードフォワード制御回路FF1はフィードバック制御器FB1への補正信号Ad1の出力レベルを大きくする。
【0112】
本実施形態は、インバータ回路にフィードバック制御を備えるとき、そのフィードバック制御の制御出力値をもとにフィードフォワード制御設定変更回路FC1を動作させることが特徴である。また、入力電流を一定に制御する手段と組み合わせることにより、インバータ回路の入力電力を一定に制御することが出来る。
【0113】
(実施形態8)
図14は実施形態1〜7の放電灯点灯装置を用いた液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。液晶パネルLCPの背面(直下)にバックライトが配置されており、バックライトは、筐体22と、この上に設置された反射板23及び複数の蛍光ランプFL1〜FL4と、その上方に設置された拡散板25、プリズムシート等の光学シート26とから構成されている。また、筐体22の背面に蛍光ランプFL1〜FL4を点灯するインバータの基板21が設置されている。反射板23は各蛍光ランプFL1〜FL4の照射光を有効に前面に指向させるものである。拡散板25は蛍光ランプFL1〜FL4及び反射板23からの光を拡散させて前面への照明光の明るさ分布を平均化する機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施形態1の回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の動作波形図である。
【図3】本発明の実施形態2の回路図である。
【図4】本発明の実施形態2の動作波形図である。
【図5】本発明の実施形態3の回路図である。
【図6】本発明の実施形態3の動作波形図である。
【図7】本発明の実施形態4の回路図である。
【図8】本発明の実施形態5の回路図である。
【図9】本発明の実施形態5の動作波形図である。
【図10】本発明の実施形態6の回路図である。
【図11】本発明の実施形態6の動作波形図である。
【図12】本発明の実施形態7の回路図である。
【図13】本発明の実施形態7の動作波形図である。
【図14】本発明の実施形態8の液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0115】
PFC 力率改善回路
VDC 直流電圧
HB1 インバータ回路
OSC1 発振器
Dim 調光器
PC1 フォトカプラ(ランプ電流検出手段)
Lamp1 放電ランプ
FF1 フィードフォワード制御回路
FC1 フィードフォワード制御設定変更回路
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置などに用いられる蛍光ランプの点灯回路に関し、特に光のちらつき低減と回路の効率改善に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は一般的に冷陰極ランプなど蛍光ランプを複数点灯させたバックライト装置の光を用いて画像表示を行っている。そして蛍光ランプの点灯回路にはインバータ回路が一般的に用いられる。高周波でランプを点灯させることによりランプ発光効率が向上し、トランスなど電子部品の小型化が可能となっている。
【0003】
しかし、液晶表示装置においては普及に伴い更なる機器の高効率化が求められており、液晶表示装置の大部分の電力を消費するバックライト装置において高効率化は重要な課題となっている。この要請に応えるために放電灯点灯回路においては、ゼロ電圧スイッチングなどのソフトスイッチング手法を採用することでインバータ回路のスイッチング損失を低減したり、インバータ回路に入力する直流電源を高電圧化して昇圧トランスのロスを低減することが提案されている。
【0004】
しかしながら、バックライト装置の点灯回路の電力変換効率は、一般照明用の点灯回路と比べると低いものとなる。その理由は、一般照明用の点灯回路よりもちらつきを抑えるための電源の安定化を必要とすることと、ノイズや安全性の観点から絶縁回路が必要だからである。
【0005】
ちらつきに関しては、液晶表示装置をテレビのように動画表示に利用した場合は画像が随時更新されるので目立たないが、静止画の表示などを行った場合は、光源である蛍光ランプのちらつきがそのまま画面のちらつきとなって現れるので、問題である。
【0006】
さらにちらつきが問題となりやすい理由としては、液晶表示パネルの画像更新周波数との干渉が挙げられる。これは、商用電源の周波数が50Hzか60Hzであるのに対し、画像更新周波数もそれと近い周波数(60Hzから120Hz)であるため、光変動の周波数干渉が起こりやすいのである。
【0007】
たとえば、商用電源50Hzによってインバータの入力の直流電圧に100Hzのリップル電圧が生じているとする。このリップル電圧を除去せずにインバータ回路でランプを点灯させると光に100Hzの周波数成分で変動が生じる。一般照明用のインバータ回路のリップル電圧のレベルは10%以下である。この光を直視してもちらつきはほとんど感じない。これは光変化の周波数が100Hzと高いからである。
【0008】
しかし液晶フィルタを通過した光ではちらつきが発生する。つまり液晶フィルタで100Hzの光を画像更新周波数60Hzで変調すると、光には100Hzと60Hzの周波数成分の変動が混在し、その周波数差成分100Hz−60Hz=40Hzが生じてしまう。これがちらつきとして感じられるのである。個人差はあるが、光変動の周波数が50Hz以下となると数%程度の変動があってもちらつきは感じることとなる。よって、リップル電圧10%のちらつきは周波数が40Hzともなると大きいちらつきとなるのである。
【0009】
そこで一般的な液晶表示装置では、商用電源に起因する直流電源のリップル電圧を除去する安定化電源回路を備えている。その回路損失が発生するため、光への変換効率が低下するのである。
【0010】
点灯回路の効率改善とちらつきの低減を両立する方法として考えられるのは、インバータ回路に電源リップル除去機能を付加するということである。たとえばランプ電流をフィードバック制御すればよい。フィードバック制御を行えばランプ電流は略一定となり、リップル電圧による光の変動を除去できる。
【0011】
しかし実際には絶縁機能もインバータ回路に必要となるので、フィードバック制御は容易ではない。なぜならランプ電流は絶縁された2次側回路での検出となり、これを非絶縁である1次側スイッチング回路ヘ伝達する必要があり、その伝達回路を含めたフィードバック制御設計が困難だからである。
【0012】
そこで、もうひとつの手法として、フィードフォワード制御を行うことが考えられる。つまり、リップル電圧に応じてインバータ出力を増減させれば、その制御回路は非絶縁の1次側で構成することができるので、絶縁回路の設計は容易である。また、リップル電圧は比較的安定に発生するので、フィードフォワード制御には適している。
【0013】
この放電灯点灯装置のフィードフォワード制御についても従来から様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1(特開2002−330591号公報)では、インバータの入力電圧を検知し、電圧変動によるランプ電流変化を抑制するように、スイッチの駆動周波数またはスイッチオン時間比を変化させる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−330591号公報
【特許文献2】特開平7−272889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のフィードフォワード制御技術を用いた場合、液晶表示装置の画像表現が低下してしまう問題がある。従来技術はランプを連続的に点灯する場合には問題ないが、液晶表示装置で用いられるランプの点灯制御(バースト調光制御)のように点滅を繰り返す調光においてはちらつきが発生するのである。
【0015】
液晶表示装置には、一般的に冷陰極ランプなど放電ランプを点灯させて画像を表示させている。その放電ランプの調光の方法としては、ランプの点灯・消灯を周期的に繰り返してその時間比率を可変する調光手法(いわゆるバースト調光)が一般的に用いられている。
【0016】
例えば、特許文献2(特開平7−272889号公報)では、蛍光ランプに高周波電圧を印加する期間と印加しない期間を周期的に繰り返すことで、蛍光ランプの調光を行っている。このような調光では、光出力が点灯と消灯の時間比率から求まるので、ランプ電流を連続的に可変する方式に比ベて、光出力が直線的に変化する特徴がある。また、点滅することで液晶表示装置の動画ボケを改善することができるという利点もある。すなわち液晶表示装置においては、ランプをインパルス発光させることで鮮明な画像が得られるのである。
【0017】
従来技術では、ランプを急峻に点灯させたり消灯させたりすると、始動電圧が不安定となるという問題がある。これは、インバータ回路の始動時と点灯時で共振回路の特性が大きく異なることに起因する。一般的にインバータ回路では、ランプ電流の安定化と、ランプに高電圧を加えて始動させるためにLC共振回路を用いている。ランプが点灯した状態では、ランプが負荷抵抗として存在するためLC共振回路のQは低い。通常この状態において最良の結果となるようにフィードフォワード制御回路のゲインは設定されている。
【0018】
しかしランプが点灯していない状態では、負荷抵抗がない状態に等しいためLC共振回路は高いQとなっている。この状態では、インバータのスイッチング時間または動作周波数がわずかに変動してもランプ電圧が大きく変動する。したがって、フィードフォワードのゲインが高くなりすぎるので、電源リップルによりランプ始動電圧の変動が増加する。
【0019】
ランプを連続的に点灯させる場合においては、始動は起動時のみであるからランプ始動電圧が多少変動しても、とくに問題は無い。しかし、バースト調光では、このランプ始動の電圧の変動により、ランプが始動するタイミングがばらつくのである。すなわち共振電圧が高いとランプは早く始動し、逆に共振電圧が低いとランプの始動は遅くなる。
【0020】
ランプが早く始動すればランプ点灯時間が長くなり、ランプの光出力が多くなり、ランプが遅く始動すればランプ点灯時間が短くなり、ランプの光出力が少なくなるので、ちらつきが発生するのである。
【0021】
本発明は、このような従来技術の課題を解決すベくなされたものであり、液晶表示装置の蛍光ランプを点灯させるインバータ回路で電源変動に起因するちらつきを除去する制御を確実に行うことにより、液晶表示装置の画像表示性能を損なわずに安価で高効率な放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1の発明は、上記の課題を解決するために、図1に示すように、商用電源Vinを整流する整流器DBと、前記整流器DBの出力を平滑する少なくとも1つの平滑回路(力率改善回路PFC)と、前記平滑回路の出力VDCを入力して放電ランプLamp1を駆動する点灯回路(インバータ回路HB1)と、前記点灯回路に周期的にランプ点灯状態とランプ消灯または調光状態を繰り返すタイミング信号を与える点灯制御器Dimと、前記点灯回路の入力電圧VDCもしくは平滑回路の入力電圧を検知して点灯回路の出力を所望の値に制御するフィードフォワード制御回路FF1と、前記フィードフォワード制御回路FF1の制御利得または制御目標値を切り替える制御変更手段FC1を備え、前記制御変更手段FC1は前記点灯制御器Dimの出力信号または放電ランプLamp1の点灯状態に応じて前記フィードフォワード制御回路FF1を設定変更することを特徴とするものである。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記フィードフォワード制御回路FF1の設定変更は、放電ランプLamp1の電力増加方向で、前記フィードフォワード制御回路FF1の制御利得を増加させることを特徴とする。
【0024】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記フィードフォワード制御回路FF1の出力する制御量は、前記点灯回路の発振周波数であることを特徴とする。
【0025】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図1または図3に示すように、放電ランプLamp1の電流に応じて動作することを特徴とする。
【0026】
請求項5の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図5に示すように、放電ランプLamp1の電圧に応じて動作することを特徴とする。
【0027】
請求項6の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図7に示すように、前記点灯回路の入力電力に応じて動作することを特徴とする。
【0028】
請求項7の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図8に示すように、タイマ回路Tim1を備え、前記点灯制御器Dimの点灯タイミング信号を基準として、前記タイマ回路Tim1で設定された時間Td後に前記フィードフォワード制御回路FF1の設定を変更することを特徴とする。
【0029】
請求項8の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御変更手段FC1は、図10に示すように、積分回路Int1を備え、前記点灯制御器Dimの点灯タイミング信号を基準として、前記積分回路Int1は積分動作を開始し、その積分結果に応じて前記フィードフォワード制御回路FF1の設定を変更することを特徴とする。
【0030】
請求項9の発明は、請求項1〜3の発明において、図12に示すように、前記点灯回路(インバータ回路HB1)は、入力電流または入力電流に相当する電流を一定に制御するフィードバック制御回路FB1を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、図12に示すように、前記制御変更手段FC1は、前記フィードバック制御回路FB1の状態変数Fs1に応じて動作することを特徴とする。
【0032】
請求項11の発明は、請求項1〜10の発明において、前記フィードフォワード制御回路FF1は、商用電源周波数の2倍の周波数近傍で利得のピークを持つことを特徴とする。
【0033】
請求項12の発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の放電灯点灯装置と放電ランプを備えるバックライト装置である。
【発明の効果】
【0034】
本発明による放電灯点灯装置は、放電ランプの供給電力を一定に制御するフィードフォワード制御回路に放電ランプの点灯状態によってゲインを可変する手段を設けたものであり、放電ランプの実際の点灯状態に応じてフィードフォワード制御を行うことにより、ランプが点灯している期間でフィードフォワード制御のゲインが正確に設定され、安定した点灯制御が行われる。よって、フィードフォワード制御がランプ始動電圧の制御ヘ影響を与えないようにすることが可能となり、電源リップルによるちらつきを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(実施形態1)
本発明の上記および他の目的、特徴および利点を明確にすベく、以下添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明の一実施の形態としての放電灯点灯回路が示されている。本放電灯点灯回路は、商用電源Vinを整流する整流回路DBとその出力を昇圧して平滑する力率改善回路PFCを有する。
【0036】
力率改善回路PFCの構成は、周知の昇圧チョッパ回路であり、整流回路DBの整流出力端に並列接続された小容量のコンデンサCs2と、整流回路DBの整流出力端に接続されたインダクタL1とスイッチング素子Q3の直列回路と、スイッチング素子Q3の両端にダイオードD1を介して並列接続された平滑用の電解コンデンサCs1と、スイッチング素子Q3を高周波でオン・オフ制御するための発振部OSC4よりなる。その動作については周知であるので、詳しい説明は省略するが、スイッチング素子Q3が商用周波数よりも高周波でオン・オフされることにより、商用電源Vinからの入力電流の休止期間を少なくして、入力力率を改善するものである。平滑用の電解コンデンサCs1には昇圧された直流電圧が充電されるが、商用電源Vinの谷部ではコンデンサCs1への充電エネルギーが不足することになるから、商用電源Vinの2倍の周波数成分のリップル電圧が重畳することになる。商用電源Vinが100V、50Hzである場合には100Hzのリップル電圧が力率改善回路PFCの出力電圧VDCに重畳されていることになる。
【0037】
力率改善回路PFCの出力電圧VDCは、スイッチング素子Q1、Q2の直列回路と、その駆動回路DRVと、キャパシタCd1と絶縁トランスT1と、共振インダクタLr1と共振キャパシタCr1からなるハーフブリッジインバータ回路HB1に供給される。インバータ回路HB1により直流電圧VDCは高周波電圧に変換され、蛍光ランプLamp1へ電力が供給される。
【0038】
インバータ回路HB1はインダクタLr1とキャパシタCr1からなるLC共振回路を備えており、ランプを始動させる際には、このLC共振回路の共振周波数近傍でスイッチングを行い、ランプ始動に必要な電圧を発生させている。また、インバータ回路HB1の出力は電気的に絶縁されており、高周波電圧によるノイズ放射や漏れ電流を低減する機能を備えている。
【0039】
インバータ回路HB1のスイッチング素子Q1,Q2は例えばMOSFETよりなり、逆方向の並列ダイオードを内蔵している。スイッチング素子Q1,Q2は高周波で交互にオン・オフされ、スイッチング素子Q1がオン、スイッチング素子Q2がオフのときは、直流電源VDCの正極→スイッチング素子Q1→キャパシタCd1→絶縁トランスT1の1次巻線→直流電圧VDCの負極の経路で電流が流れてキャパシタCd1が充電され、スイッチング素子Q1がオフ、スイッチング素子Q2がオンのときは、キャパシタCd1→スイッチング素子Q2→絶縁トランスT1の1次巻線→キャパシタCd1の経路で電流が流れてキャパシタCd1が放電される。これにより、絶縁トランスT1は高周波電圧により励磁され、その2次巻線には昇圧された高周波電圧が発生する。この昇圧された高周波電圧は、共振インダクタLr1と共振キャパシタCr1の直列共振回路に印加されて、共振作用により更に昇圧されて、共振キャパシタCr1の両端に得られた高周波の高電圧が放電ランプLamp1の両端に印加される。ここで、放電ランプLamp1は例えば冷陰極蛍光ランプ(CCFL)である。
【0040】
スイッチング素子Q1,Q2の発振周波数は、通常、共振周波数よりも高い周波数に設定されており、発振周波数が高くなると放電ランプLamp1の光出力が低下し、発振周波数が低くなると放電ランプLamp1の光出力が増加する。
【0041】
インバータ回路HB1は発振器OSC1を備え、電流Ioscで設定された周波数となるように、インバータのスイッチング素子Q1,Q2を駆動する信号を発生させている。発振器OSC1には基準電圧源が内蔵されており、その基準電圧源から抵抗Rf1〜Rf3を介して流れ出る電流Ioscにより発振周波数が決定される。なお、電流Ioscが増えると周波数が高くなり、電流Ioscが少なくなると周波数が低くなる制御となっている。
【0042】
本実施形態では、調光器Dimにより発振器OSC1の周波数が周期的に変更されている。すなわち、調光器DimはトランジスタスイッチQ10をオン・オフ制御し、スイッチQ10がオンのときには抵抗Rf1に抵抗Rf2が並列接続されることにより、発振周波数を決める電流Ioscを増加させてインバータ回路HB1の発振周波数を高くしてランプを消灯させ、スイッチQ10がオフのときには電流Ioscを減少させてインバータの発振周波数を始動周波数としてランプを再始動させている。これにより、点灯期間と消灯期間とが交互に切り換わる点滅点灯を液晶表示装置の映像更新周期に同期した低い周波数(例えば、120Hz)で繰り返すように動作する。
【0043】
そして、本発明に従って、抵抗Ra1,Ra2,Ra3,Ro1,Rf3と、キャパシタCa1,Ca2と、演算増幅器OP1と基準電圧Vref1からなるフィードフォワード制御回路FF1が設けられている。フィードフォワード制御回路FF1は、インバータ回路HB1の入力電圧に応じてインバータ回路HB1の発振周波数を制御する。
【0044】
また、インバータ回路HB1の出力に接続された蛍光ランプLamp1の一端には、フォトカプラPC1の入力と分流抵抗Rs1の並列回路が直列に接続され、ランプ電流の発生有無を検出し、非絶縁側に信号を伝達している。トランジスタQ9はフィードフォワード制御信号を切り替えるスイッチである。
【0045】
ランプ電流Ilaが発生するとフォトカプラPC1の入力端子にランプ電流の一部が入力され、フォトカプラPC1内の出力フォトトランジスタをオンさせる。トランジスタQ9のベース端子は抵抗Rb1を介して直流電源Vccに接続されており、フォトカプラPC1の出力がオフのときは、トランジスタQ9がオンするように設定されている。フォトカプラPC1の出力がオンとなると、トランジスタQ9のベース電流が無くなり、トランジスタQ9はオフする。したがって、ランプ電流発生時にはトランジスタQ9はオフし、ランプ電流がないときはトランジスタQ9はオンとなる。
【0046】
トランジスタQ9がオンしているときは、フィードフォワード制御信号VFF1を発振器OSC1へ反映させないようにする。トランジスタQ9がオフしているときは、フィードフォワード制御信号VFF1を抵抗Ro1とRf3を介して発振器OSC1へ伝達させる。
【0047】
図2は、各部の動作のタイミングを表すグラフである。図には上から、力率改善回路PFCの出力電圧VDCと、フィードフォワード制御回路出力VFF1と、調光器Dimの出力信号(トランジスタQ10の動作)と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、ランプ電流検出に応じて動作するトランジスタQ9の動作と、インバータ回路HB1の発振器OSC1の周波数設定値である電流Ioscが示されている。
【0048】
力率改善回路PFCの出力電圧VDCは、図2のように周期的に電圧が変動する所謂リップル電圧を含む。力率改善回路PFC内の平滑キャパシタCs1の容量を大きくすればリップル電圧を小さく出来るが、リップル電圧をゼロとするのは力率改善回路の原理的に困難である。このリップル電圧によってランプなど負荷回路の電力変化が発生して問題となる。
【0049】
したがって、別途DC−DCコンバータなどで電圧を安定化する必要があるが、DC−DCコンバータによる電力ロスが生じてしまう。そこで、インバータ回路HB1によってリップル電圧分を出力補正する制御を行うのである。フィードフォワード制御回路により、力率改善回路PFCの出力電圧VDCが高いときにはインバータ出力を少なくするように補正し、出力電圧VDCが低いときはインバータ出力を多くするように補正する。
【0050】
図1の回路では、力率改善回路PFCの出力電圧VDCの電圧変動成分を精度良く選択するために、抵抗Ra1〜Ra3とキャパシタCa1によるハイパスフィルタを用いて、100〜120Hzのリップル電圧を検出している。つまり、前記フィードフォワード制御回路FF1は、商用電源周波数の2倍の周波数近傍で利得のピークを持つように設計されている。力率改善回路PFCの直流出力の平均電圧は安定に制御することが出来る。よって直流成分についてはフィードフォワード制御する必要はないので、リップル電圧成分のみ制御するようにしているのである。なお、力率改善回路PFCを備えていない場合には、直流成分もフィードフォワード制御することで、同様な制御結果を得ることは可能である。
【0051】
また、演算増幅器OP1によって反転増幅を行い、フィードフォワード制御信号VFF1を生成している。
【0052】
ここで、抵抗Ra1〜Ra3とキャパシタCa1によるハイパスフィルタによって位相進みが発生する。この位相進みをそのまま制御に用いると新たな変動成分となるため、位相補正を行う必要がある。この補正については、フィードフォワード制御系全体の制御遅れ成分を考慮しながら、ローパスフィルタなどの遅れ成分を加え調整するが、この説明は省略する。
【0053】
演算増幅器OP1の出力電圧であるフィードフォワード制御信号VFF1は、抵抗Ro1とRf3を介して発振器OSC1の発振周波数制御用の電流Ioscを制御する。フィードフォワード制御信号VFF1が高いと電流Ioscは減少し、フィードフォワード制御信号VFF1が低いと電流Ioscは増加する。
【0054】
そしてランプが点灯しているとき、電流Ioscが減少するとインバータ回路HB1の動作周波数が低くなり、ランプ電流を制限しているインダクタLr1のインピーダンスが低下する。すなわちインバータ回路HB1の入力電圧が低くなったときは、インダクタLr1のインピーダンスを低下させ、ランプ電流が減少しないような補正制御が行われる。一方、インバータ回路HB1の入力電圧が高くなったときは、周波数制御用の電流Ioscが増加し、インバータ回路HB1の動作周波数が高くなり、インダクタLr1のインピーダンスが増加して、ランプ電流が増加しないような補正制御が行われる。
【0055】
ところで、ランプは点滅点灯している。図2のランプ電圧Vlaとランプ電流Ilaはその状態を示している。時間t1以前ではランプは消えており、ランプ電流Ilaは発生していない。
【0056】
時間t1となると、調光信号DimによりスイッチQ10がオフし、抵抗Rf2を流れていた電流が無くなり、電流Ioscが減少する。電流Ioscが減少すると、インバータの動作周波数は低くなり、LC共振周波数近傍でスイッチングが行われるので、ランプ電圧Vlaが上昇し、ランプに高電圧が印加される。
【0057】
ランプに高電圧が印加されると、時間t2の時点でランプは始動して放電が開始され、ランプ電流Ilaが発生する。インバータ回路HB1のインダクタLr1のインピーダンスを利用してランプは安定点灯される。
【0058】
時間t3となると調光信号DimはスイッチQ10をオンさせて、抵抗Rf2に再び電流を生じさせる。そして電流Ioscが増加してインバータ周波数が高くなり、インダクタLr1のインピーダンスを増加させる。その結果ランプが消える。
【0059】
その後、時間t4で調光器Dimは再びランプを始動させるタイミング信号を送出し、時間t1〜t3と同様な動作を繰り返す。この動作を繰り返すことによりランプは点滅点灯する。
【0060】
時間t1で調光器Dimによってランプを始動させる状態となり、その後時間t2でランプが点灯したとき、フォトカプラPC1の出力はオンとなり、トランジスタQ9はオフとなる。トランジスタQ9がオフとなると、フィードフォワード制御信号VFF1が抵抗Rf3を介して電流Ioscに反映されるようになる。
【0061】
なお、フォトカプラPC1とトランジスタQ9によるランプ電流Ilaの検出閾値は点灯時の1/2付近でも良いが、出来るだけ少ない電流で検出できるように設定する。そうすれば、始動の直後からフィードフォワード制御が行われるので、良好な制御特性が得られる。
【0062】
上記のようにランプ点灯とともにフィードフォワード制御を行えば、フィードバック制御よりも精度よくリップル電圧補正を行える。すなわちフィードバック制御では、ランプ点灯の瞬間で制御目標値までの収束安定時間が必要であり、この収束安定までは制御は不安定となり、この時点においてリップル電圧の変動影響を受けてしまう。一方、フィードフォワード制御ではフィードバック制御のような応答時間がないため、ランプ点灯の瞬間から安定した制御結果を得ることが可能である。
【0063】
また本例では、ランプの点灯期間以外はフィードフォワード制御が行われないので、ランプ消灯時の点灯回路の不安定動作を防止できる。すなわち、ちらつきとして問題となるのはランプが点灯している期間であるので、それ以外はフィードフォワード制御を解除すればよいのである。特にランプ始動にLC共振回路の共振電圧を用いる場合には、フィードフォワード制御が行われるとランプ電圧が大きく変化する問題があるので効果がある。
【0064】
本発明を用いれば、放電ランプを周期的に点滅させるバースト調光において、直流電源のリップル電圧に起因するちらつきを低減することが出来る。
【0065】
なお、本例は点灯と消灯の時間比率を制御して光出力を一定にする例であるが、点灯と調光点灯の時間比率を制御しても同様の効果がある。図1の回路で説明すると、スイッチング素子Q1,Q2が第1の発振周波数(共振周波数に比較的近い周波数)で交互にオンオフする点灯期間と、スイッチング素子Q1,Q2が第1の発振周波数よりも高い第2の発振周波数(共振周波数から遠いが消灯しない周波数)で交互にオンオフする調光点灯期間とが交互に切り換わる明暗点灯を液晶表示装置の映像更新周期に同期した低い周波数(例えば、120Hz)で繰り返すように動作させても良い。
【0066】
(実施形態2)
図3を参照すると、本発明の第2の実施の形態としての放電灯点灯回路が示されている。本放電灯点灯回路が実施形態1の回路と異なるのは、フィードフォワード制御回路のゲインのレベルを複数とする点である。
【0067】
図3では、フィードフォワード制御信号を切り替えるトランジスタQ9の代わりに、抵抗Rf5とスイッチSW2の直列回路と、抵抗Rf4とスイッチSW3の直列回路の並列回路を備えている。
【0068】
スイッチSW3はランプ電流検出回路のフォトカプラPC1に応答して動作し、実施形態1のトランジスタQ9と同様な動作を行う。スイッチSW2は、調光器Dimの信号に応じてON/OFFする。また、スイッチSW1もスイッチSW2と同じタイミングでON/OFFする。
【0069】
図4に、本実施形態の動作のタイミングを示す。図4には、スイッチSW1,SW2の動作と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、スイッチSW3の動作のタイミングが示されている。
【0070】
時間t1の時点で、スイッチSW1はOFFし、点灯回路の動作周波数はランプを始動させる周波数に変更される。そのとき同時にスイッチSW2もOFFする。スイッチSW3は未だONのままである。スイッチSW2がOFFとなるとフィードフォワード制御信号VFF1が周波数制御用の電流Ioscに反映されやすくなり、フィードフォワード制御回路のゲインが増加する。
【0071】
そして時間t2の時点でランプが始動し、ランプ電流が発生すると、フォトカプラPC1のフォトトランジスタがONする。そのフォトカプラPC1の信号を受けて、スイッチSW3はOFFする。スイッチSW3がOFFとなると、更にフィードフォワード制御信号VFF1が周波数制御用の電流Ioscに反映されやすくなり、フィードフォワード制御回路のゲインが最大となる。
【0072】
また、時間t3となると調光器Dimに応じてスイッチSW1がONし、点灯回路の動作周波数はランプを消灯させる周波数に変更される。同時にスイッチSW2とSW3もONする。
【0073】
その結果、フィードフォワード制御信号VFF1が周波数制御用の電流Ioscに反映されにくい状態となり、フィードフォワード制御回路のゲインが最小となる。したがって、ランプ点灯時にフィードフォワード制御のゲインを最大とし、ランプ消灯時には、フィードフォワード制御のゲインを最小とする動作を行う。
【0074】
また、ランプに高電圧を印加している動作状態では最大と最小の中間となるゲインとなるように制御動作を変更する。中間のゲインは、抵抗Rf5で設定される。すなわち、ランプを始動させる状態においても最適なフィードフォワード制御を設計することができ、始動電圧の変化による始動タイミングのばらつきを小さくすることが出来る。
【0075】
さらに、ランプ消灯期間でのリップル電圧によるランプ電圧変化を小さくするように抵抗Rf4を設定することも可能である。このようにすれば、ランプ消灯期間において放電ランプを微弱な放電状態に維持する場合において、立ち消えやちらつきを低減することが出来る。
【0076】
本発明を用いれば、放電ランプを周期的に点滅させるバースト調光において、直流電源のリップル電圧に起因するちらつきを低減することが出来る。
【0077】
以下の実施形態3〜7では、実施形態1または2で説明した詳細な構成及び動作の変形例として、ランプ電流の検出以外の手段によりフィードフォワード制御回路FF1の設定を変更する各種の手段について説明する。
【0078】
(実施形態3)
図5に実施形態3の構成図を示す。図には、力率改善回路PFCと、その出力に接続されたインバータ回路HB1と、インバータ回路HB1で駆動されるランプLamp1が示されている。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。検出器DET1はフィードフォワード制御設定変更回路FC1へ信号を送出している。本例は、ランプの点灯状態検出としてランプ電圧を検出する検出器DET1を備え、その信号によりフィードフォワード制御設定変更回路FC1を動作させることが特徴である。
【0079】
すなわち、インバータ回路HB1のLC共振回路のインダクタLr1の両端電圧を検知することにより、ランプLamp1が始動したかしていないかを判定する。インダクタLr1の両端電圧は、インバータ回路HB1の矩形波電圧成分が現れるものの、ランプ電圧Vlaに比例した電圧が発生しており、点灯状態を検知するには好適である。
【0080】
図6に動作のタイミングを示す。図には、調光器Dimの信号と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、検出器DET1の出力信号が示されている。
時間t1で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を始動周波数に設定する。それによりインバータ回路HB1の出力電圧は上昇し、ランプには高電圧が印加される。
【0081】
時間t2でランプが始動してランプ電流Ilaが発生する。またランプ始動に伴い、共振回路のQが低下するので、ランプ電圧Vlaが低くなる。
【0082】
時間t1からt2の区間ではランプ電圧Vlaが高いので検出器DET1の出力はLowである。時間t2でランプ電圧Vlaが低下し、検出器DET1の閾値Vth以下となると検出器DETはHighを出力する。
【0083】
時間t3で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を上昇させ、ランプLamp1を消灯させる。それに伴い検出器DET1の出力もLowとなる。したがって、検出器DET1の出力は、調光器DimのON期間中にランプ電圧Vlaが低い状態となるとHighを出力するようになっており、ランプ電流Ilaでランプ状態を検出するのと同様な機能を実現できる。
【0084】
本実施形態では、ランプ電流検出用のフォトカプラなどを用いずに、共振回路のインダクタに副巻線を設けることでランプ状態を正確に検知できるので、ちらつきの低減を安価に実現することが出来る。
【0085】
(実施形態4)
図7に実施形態4の構成図を示す。図には、実施形態3と同様に力率改善回路PFCと、インバータ回路HB1とランプLamp1が示されている。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。検出器DET2はフィードフォワード制御設定変更回路FC1へ信号を送出している。
【0086】
本実施形態は、ランプの点灯状態検出としてインバータ回路HB1への入力電流を検出する検出器DET2を備え、その信号によりフィードフォワード制御設定変更回路FC1を動作させることが特徴である。すなわち、インバータ回路HB1の入力電流が増加したのを検知することにより、ランプが始動したかしていないかを判定する。
【0087】
ランプに高電圧を与えている状態からランプが始動すると、ランプ電流が急速に発生して、インバータ回路の入力電流も増加するので、点灯状態を検知するには好適である。ランプ始動状態においてもインバータ回路の損失は若干増え、入力電流が増加するのでそれを考慮した検出閾値を設定すればよい。
【0088】
本実施形態では、ランプ電流検出用のフォトカプラなどを用いずにランプ状態を正確に検知できるので、ちらつきの低減を安価に実現することが出来る。
【0089】
(実施形態5)
図8に実施形態5の構成図を示す。図には、実施形態3と同様に力率改善回路PFCと、インバータ回路HB1とランプLamp1が示されている。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1とフィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。遅延タイマ回路Tim1は、調光器Dimの信号を入力し、フィードフォワード制御設定変更回路FC1へ切り替えタイミング信号を送出している。
【0090】
図9に動作のタイミングを示す。図には、調光器Dimの出力信号と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、遅延タイマ回路Tim1の出力信号Ts1が示されている。
【0091】
時間t1で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を始動周波数に設定する。それによりインバータ回路HB1の出力電圧は上昇し、ランプには高電圧が印加される。また、遅延タイマ回路Tim1は調光器Dimの信号を受け、タイマ動作を開始する。タイマ動作期間中は、出力Ts1はLowを維持する。しばらく時間が経過するとランプが始動してランプ電流が発生する。
【0092】
その後、遅延タイマ回路Tim1は所定の時間Tdでタイマ動作を完了し、出力Ts1をHighとする。遅延タイマ回路Tim1の出力Ts1の信号を受けて、フィードフォワード制御設定変更回路FC1は制御のゲインを増加させる動作を行う。
【0093】
本例は、調光器Dimの信号を基点として遅延タイマ回路Tim1を動作させ、所定時間Tdの経過後にフィードフォワード制御設定変更回路FC1を動作させることが特徴である。遅延タイマ回路Tim1の所定時間Tdは、ランプの始動する時間にあわせて設定される。その結果、ランプ点灯を検出することなく、フィードフォワードの動作条件を切り替えることが出来る。
【0094】
ランプの始動時間は、周囲温度や近接導体により多少の変化はあるが、短時間で繰り返し点灯と消灯を繰り返す場合では、それぞれの時間変化は少ない。そこで、あらかじめ始動にかかる時間を条件ごとに求めておけば、ランプ状態を検知することなく、フィードフォワード制御回路のゲインを適切に設定できる。
【0095】
遅延時間は、点灯の瞬間でちょうどタイムアップとなるような設定が最も効果があるが、多少短い時間としても効果はある。ちらつきの原因は瞬時始動の時間のばらつきであるが、この場合の始動時間はランプに与えた始動エネルギ量に関係しているので、一部の始動電圧が変動してもすぐには始動時間が変化しないからである。
【0096】
逆に遅延時間が多少長くなっても効果がある。この場合は、ランプ点灯後からタイマ回路の動作までの差分でちらつき成分が発生するが、時間差が全体の周期の1%未満であれば問題ないレベルとなる。
【0097】
なお、遅延タイマ回路Tim1は、一定時間のタイマ回路でもよいが、様々な点灯条件に合わせた時間設定が可能なマイクロプロセッサのタイマが好適である。
本実施形態によれば、タイマ回路を用いることで、ちらつき低減を安価に実現することが出来る。
【0098】
(実施形態6)
図10に実施形態6の構成図を示す。図には、実施形態3と同様に力率改善回路PFCと、インバータ回路HB1とランプLamp1が示されている。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。積分信号回路Int1は、調光器Dimの信号を入力し、フィードフォワード制御設定変更回路FC1へ信号Swp1を送出している。
【0099】
図11に動作のタイミングを示す。図には、調光器Dimの出力信号と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、積分信号回路Int1の出力信号Swp1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1の出力信号Ga1が示されている。
【0100】
時間t1で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を始動周波数に設定する。それによりインバータ回路HB1の出力電圧は上昇し、ランプには高電圧が印加される。
【0101】
また、積分信号回路Int1は調光器Dimの信号を受け、積分動作を開始する。積分動作期間中は、出力信号Swp1は積分結果を連続して出力する。積分信号回路Int1の出力信号Swp1を受けて、フィードフォワード制御設定変更回路FC1は制御のゲインを連続的に増加させる出力信号Ga1をフィードフォワード制御回路FF1に設定する動作を行う。
【0102】
しばらく時間が経過するとランプが始動してランプ電流が発生する。その後、積分信号回路Int1は所定のレベルまでの積分動作を完了し、出力信号Swp1は飽和する。積分信号回路Int1の出力信号Swp1により、フィードフォワード制御設定変更回路FC1の出力信号Ga1もゲイン設定値を最大値とする。
【0103】
本実施形態は、調光器Dimの信号を基点として積分信号回路Int1を動作させ、所定時間までの期間(t1〜t2)で連続的にフィードフォワード制御のゲインを可変させることが特徴である。積分信号回路Int1の積分速度は、ランプの始動する時間にあわせて設定される。その結果、ランプ点灯を検出することなく、フィードフォワードの動作条件を切り替えることが出来る。
【0104】
ランプの始動時間は、周囲温度や近接導体により多少の変化はあるが、短時間で繰り返し点灯と消灯を繰り返す場合では、それぞれの時間変化は少ない。そこで、あらかじめ始動にかかる時間を条件ごとに求めておけば、積分信号回路Int1の積分速度を様々な点灯条件に合わせて変更することで精度良く動作させることが出来る。
【0105】
本実施形態を用いれば、ちらつき低減を安価に実現することが出来る。
【0106】
(実施形態7)
図12に実施形態7の構成図を示す。図には、力率改善回路PFCと、インバータ回路HB1とランプLamp1が示されている。インバータ回路HB1は、入力電流検出器DET3と入力電流を一定とするようにインバータ発振周波数をフィードバック制御するフィードバック制御器FB1を備える。そして、本発明に従って、フィードフォワード制御回路FF1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1が構成されている。
【0107】
フィードフォワード制御設定変更回路FC1は、インバータ回路HB1のフィードバック制御器FB1の制御量Fs1を入力とし、フィードフォワードの動作条件切り替えタイミング信号Ts2をフィードフォワード制御回路FF1ヘ出力している。フィードフォワード制御回路FF1は、フィードバック制御器FB1ヘ補正信号Ad1を与える。調光器Dimはインバータ回路HB1のフィードバック制御器FB1と発振器OSC1に点灯と消灯のタイミング信号を与える。
【0108】
図13に動作のタイミングを示す。図には、調光器Dimの出力信号と、ランプ電圧Vlaと、ランプ電流Ilaと、フィードバック制御器FB1の制御出力Fs1と、フィードフォワード制御設定変更回路FC1の出力信号Ts2が示されている。
【0109】
時間t1で調光器Dimはインバータ回路HB1の周波数を始動周波数に設定し、フィードバック制御器FB1に入力電流増加の指令信号を送出する。
【0110】
その結果、フィードバック制御器FB1の出力Fs1が上昇し、インバータ周波数が低くなり、ランプには高電圧が印加される。やがてランプは始動し、ランプ電流が発生すると、インバータ回路の入力電流も増加する。その結果、フィードバック制御器FB1は入力電流を所定の値とするように応答し、制御出力Fs1を低下してランプ出力を抑えるように動作する。
【0111】
時間t2の時点でフィードフォワード制御設定変更回路FC1はフィードバック制御器FB1の制御出力Fs1の立下りを検知し、フィードフォワード制御回路FF1へフィードフォワードの動作条件を切り替える信号Ts2を送出する。フィードフォワード制御回路FF1はフィードバック制御器FB1への補正信号Ad1の出力レベルを大きくする。
【0112】
本実施形態は、インバータ回路にフィードバック制御を備えるとき、そのフィードバック制御の制御出力値をもとにフィードフォワード制御設定変更回路FC1を動作させることが特徴である。また、入力電流を一定に制御する手段と組み合わせることにより、インバータ回路の入力電力を一定に制御することが出来る。
【0113】
(実施形態8)
図14は実施形態1〜7の放電灯点灯装置を用いた液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。液晶パネルLCPの背面(直下)にバックライトが配置されており、バックライトは、筐体22と、この上に設置された反射板23及び複数の蛍光ランプFL1〜FL4と、その上方に設置された拡散板25、プリズムシート等の光学シート26とから構成されている。また、筐体22の背面に蛍光ランプFL1〜FL4を点灯するインバータの基板21が設置されている。反射板23は各蛍光ランプFL1〜FL4の照射光を有効に前面に指向させるものである。拡散板25は蛍光ランプFL1〜FL4及び反射板23からの光を拡散させて前面への照明光の明るさ分布を平均化する機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施形態1の回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の動作波形図である。
【図3】本発明の実施形態2の回路図である。
【図4】本発明の実施形態2の動作波形図である。
【図5】本発明の実施形態3の回路図である。
【図6】本発明の実施形態3の動作波形図である。
【図7】本発明の実施形態4の回路図である。
【図8】本発明の実施形態5の回路図である。
【図9】本発明の実施形態5の動作波形図である。
【図10】本発明の実施形態6の回路図である。
【図11】本発明の実施形態6の動作波形図である。
【図12】本発明の実施形態7の回路図である。
【図13】本発明の実施形態7の動作波形図である。
【図14】本発明の実施形態8の液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0115】
PFC 力率改善回路
VDC 直流電圧
HB1 インバータ回路
OSC1 発振器
Dim 調光器
PC1 フォトカプラ(ランプ電流検出手段)
Lamp1 放電ランプ
FF1 フィードフォワード制御回路
FC1 フィードフォワード制御設定変更回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を整流する整流器と、
前記整流器の出力を平滑する少なくとも1つの平滑回路と、
前記平滑回路の出力を入力して放電ランプを駆動する点灯回路と、
前記点灯回路に周期的にランプ点灯状態とランプ消灯または調光状態を繰り返すタイミング信号を与える点灯制御器と、
前記点灯回路の入力電圧もしくは平滑回路の入力電圧を検知して点灯回路の出力を所望の値に制御するフィードフォワード制御回路と、
前記フィードフォワード制御回路の制御利得または制御目標値を切り替える制御変更手段を備え、
前記制御変更手段は前記点灯制御器の出力信号または放電ランプの点灯状態に応じて前記フィードフォワード制御回路を設定変更することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記フィードフォワード制御回路の設定変更は、放電ランプの電力増加方向で、前記フィードフォワード制御回路の制御利得を増加させることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記フィードフォワード制御回路の出力する制御量は、前記点灯回路の発振周波数であることを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記制御変更手段は、放電ランプの電流に応じて動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記制御変更手段は、放電ランプの電圧に応じて動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記制御変更手段は、前記点灯回路の入力電力に応じて動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記制御変更手段はタイマ回路を備え、前記点灯制御器の点灯タイミング信号を基準として、前記タイマ回路で設定された時間後に前記フィードフォワード制御回路の設定を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記制御変更手段は積分回路を備え、前記点灯制御器の点灯タイミング信号を基準として、前記積分回路は積分動作を開始し、その積分結果に応じて前記フィードフォワード制御回路の設定を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
前記点灯回路は、入力電流または入力電流に相当する電流を一定に制御するフィードバック制御回路を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項10】
前記制御変更手段は、前記フィードバック制御回路の状態変数に応じて動作することを特徴とする請求項9記載の放電灯点灯装置。
【請求項11】
前記フィードフォワード制御回路は、商用電源周波数の2倍の周波数近傍で利得のピークを持つことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の放電灯点灯装置と放電ランプを備えるバックライト装置。
【請求項1】
商用電源を整流する整流器と、
前記整流器の出力を平滑する少なくとも1つの平滑回路と、
前記平滑回路の出力を入力して放電ランプを駆動する点灯回路と、
前記点灯回路に周期的にランプ点灯状態とランプ消灯または調光状態を繰り返すタイミング信号を与える点灯制御器と、
前記点灯回路の入力電圧もしくは平滑回路の入力電圧を検知して点灯回路の出力を所望の値に制御するフィードフォワード制御回路と、
前記フィードフォワード制御回路の制御利得または制御目標値を切り替える制御変更手段を備え、
前記制御変更手段は前記点灯制御器の出力信号または放電ランプの点灯状態に応じて前記フィードフォワード制御回路を設定変更することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記フィードフォワード制御回路の設定変更は、放電ランプの電力増加方向で、前記フィードフォワード制御回路の制御利得を増加させることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記フィードフォワード制御回路の出力する制御量は、前記点灯回路の発振周波数であることを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記制御変更手段は、放電ランプの電流に応じて動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記制御変更手段は、放電ランプの電圧に応じて動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記制御変更手段は、前記点灯回路の入力電力に応じて動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記制御変更手段はタイマ回路を備え、前記点灯制御器の点灯タイミング信号を基準として、前記タイマ回路で設定された時間後に前記フィードフォワード制御回路の設定を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記制御変更手段は積分回路を備え、前記点灯制御器の点灯タイミング信号を基準として、前記積分回路は積分動作を開始し、その積分結果に応じて前記フィードフォワード制御回路の設定を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
前記点灯回路は、入力電流または入力電流に相当する電流を一定に制御するフィードバック制御回路を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項10】
前記制御変更手段は、前記フィードバック制御回路の状態変数に応じて動作することを特徴とする請求項9記載の放電灯点灯装置。
【請求項11】
前記フィードフォワード制御回路は、商用電源周波数の2倍の周波数近傍で利得のピークを持つことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の放電灯点灯装置と放電ランプを備えるバックライト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−21108(P2010−21108A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182896(P2008−182896)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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