説明

放電灯点灯装置

【課題】予熱回路,調光・保護禁止回路,入力電圧・リセット回路の機能・性能は同等のままで、これらの回路の共通化を図り、安価で小型の放電灯点灯装置を提供すること。
【解決手段】放電灯点灯装置は、調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12)と入力電圧検出・リセット回路(ダイオードD5)の少なくとも一つと予熱回路22とを1つのスイッチング素子(コンパレータ17)で制御するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータから高周波電圧を出力して放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放電灯点灯装置では、電源投入から所定時間だけ放電灯のフィラメントを予熱した後、放電灯を点灯させ、調光するようにしているのが普通である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−284070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような放電灯点灯装置では、電源投入から所定時間だけ放電灯を予熱する予熱回路の他に、電源投入から所定時間だけ放電灯の保護や調光を禁止する調光・保護禁止回路と、入力電圧が一定値以下になったときに放電灯の制御回路をリセットして初期状態にする入力電圧・リセット回路を設けることが考えられている。
【0004】
しかしながら、予熱回路,調光・保護禁止回路,入力電圧・リセット回路等を個別に構成すると、部品点数が多くなる為、コストアップにつながり、また、小型化できない等の問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、予熱回路,調光・保護禁止回路,入力電圧・リセット回路の機能・性能は同等のままで、これらの回路の共通化を図り、安価で小型の放電灯点灯装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、この発明は、高周波電圧を出力して放電灯を点灯させるインバータと、前記インバータに電源を供給するアクティブフィルタと、前記電源の投入時から所定時間だけ前記放電灯を前記インバータにより予熱状態に制御する予熱回路と、前記インバータの出力を制御して前記放電灯を調光する調光回路と、前記所定時間後に前記放電灯の保護動作をする保護回路と、前記所定時間の間だけ前記調光回路による調光の禁止及び前記保護回路による保護の禁止をさせる調光・保護禁止回路とを備える放電灯点灯装置において、前記電源の投入時に前記アクティブフィルタの制御動作を開始させる制御用電源と、前記制御用電源から前記インバータへの入力電圧が一定値以下になるのを検出して前記制御用電源をリセットする入力電圧検出・リセット回路を備えると共に、前記調光・保護禁止回路と前記入力電圧検出・リセット回路の少なくとも一つと前記予熱回路とを1つのスイッチング素子で制御する放電灯点灯装置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この構成によれば、調光・保護禁止回路,入力電圧・リセット回路の少なくとも一つと予熱回路の機能・性能は同等のままで、これらの回路の共通化を図り、安価で小型の放電灯点灯装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、1は図示しない交流電源(商用電源)に接続された機械的スイッチである。この機械的スイッチ1は、4つの出力端子T1〜T4を有する。尚、端子T1,T4は接続されている。そして、図示しない操作ボタンを最初に押すと、機械的スイッチ1の端子T1,T2がONさせられて、出力端子T1,T2間に交流電源が供給されるようになっている。
【0009】
尚、機械的スイッチ1は、図示しない操作ボタンを押す毎に全光,調光,保安球,消灯等の切り換えを順に行うことができるようになっている。この構成には周知の構成が採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0010】
また、機械的スイッチ1の出力端子T1,T2には整流器(整流回路)2が接続され、整流器2の出力側には整流された整流電圧の力率を改善するアクティブフィルタ(力率改善フィルタ)3が接続されている。更に、アクティブフィルタ3の出力側には所定の周波数の高周波電圧(高周波信号)を生成するインバータ4が接続され、インバータ4の出力側には蛍光灯等の負荷(放電灯)5が接続されている。
【0011】
この負荷5には、これに作用する電圧の異常を検出する負荷異常検出回路6が設けられている。この負荷異常検出回路6は、負荷5の両端間に直列に接続された複数の抵抗r1,r2,r3,r4と、抵抗r4と並列に接続されたコンデンサC1と、コンデンサC1と並列に且つ抵抗r4とr3との間にカソードが接続されたダイオードD1と、コンデンサC1とダイオードD1のカソードとの間に接続されたコンデンサC2と、ダイオードD1のカソード及びコンデンサC2にアノードが接続されたダイオードD2を有する。このダイオードD2のアノードには配線7,配線(グランドライン)8が接続され、配線7,8間には負荷異常検出回路6のコンデンサC3が接続されている。
【0012】
また、このコンデンサC3の両端間にはCRタイマー回路9が接続されている。このCRタイマー回路9は、コンデンサC3と並列に配線7,8間に接続されたコンデンサC4と、配線7の途中に位置させてコンデンサC3,C4の一端間に接続された抵抗r5を有する。
【0013】
インバータ4は、インバータ駆動用IC(インバータ駆動回路)10を介して駆動制御されるようになっている。このインバータ4は、アクティブフィルタ3で力率が改善された整流電圧を高周波電圧に変換する第1MOSFET(S1),第2MOSFET(S2)をスイッチング素子として有する。尚、このインバータ4には、周知の構成を採用できるので、その詳細な説明は省略する。また、インバータ駆動用IC10は、第1,第2の駆動パルス発生部D1,D2を有する。
【0014】
このインバータ4のグランドラインは配線4aを介して配線8に接続され、インバータ4の第1MOSFET(S1)のゲート(図示せず)は配線4bを介してインバータ駆動用IC10のMOSFET駆動電圧パルス発生部D1に接続され、インバータ4の第2MOSFET(S2)は配線4cを介してインバータ駆動用IC10のMOSFET駆動電圧パルス発生部D2に接続されている。また、インバータ駆動用IC10のグランドライン(図示せず)は、配線10fを介して配線4aに接続されている。
【0015】
また、配線8とインバータ駆動用IC10の周波数決定ポートPfとの間には、全光周波数決定用の抵抗r6が接続されていると共に、コンデンサC5,抵抗r7,r8が直列に接続されている。このコンデンサC5,抵抗r7,r8は抵抗r6と並列に設けられている。この抵抗r7,r8は予熱周波数決定に用いられる。
【0016】
また、10aはインバータ駆動用IC10の保護検出レベルを設定している閾値ポート、10bはインバータ駆動用IC10のVrefポートである。このVrefポート10bは、例えば、5V一定の直流電圧を出力するが、5V以外の電圧であっても良い。また、10cはインバータ駆動用IC10の保護検出ポートである。この保護検出ポート10cは配線7に接続されている。
【0017】
また、出力端子T3には、抵抗r9を介して調光切換回路11及び調光切換禁止回路(調光・保護禁止回路)12が接続されている。
【0018】
この調光切換回路11は、コンパレータ13と、CRタイマー回路14を有する。また、調光切換回路11は、抵抗r9と配線8との間に接続された抵抗r10と、抵抗r10及び配線8に接続されたコンデンサC6と、コンデンサC6とコンパレータ13のマイナス入力端子に接続された抵抗r11を有する。
【0019】
更に、調光切換回路11は、配線8に接続されたコンデンサC7を有する。このコンデンサC7は、ダイオードD3を介して調光切換回路11及び調光切換禁止回路12の配線12aに接続されている。また、コンパレータ13のプラス入力端子にはインバータ駆動用IC10のVref(5V一定)ポート10bが配線15を介して接続されている。このコンパレータ13の出力側は抵抗r14を介して抵抗r7,r8間に接続されている。この抵抗r14,r8は調光周波数決定に用いられる。
【0020】
また、アクティブフィルタ3と配線8との間には制御用電源としてのコンデンサC8が抵抗raを介して接続され、配線8,15間には抵抗r12,r13が配線8bを介して直列に接続されている。この配線8b(抵抗r12,r13間)には、保護検出レベルを設定している閾値ポート10aが配線10dを介して接続されている。
【0021】
また、調光切換禁止回路12の配線12aは、ダイオードD4及び配線16を介してインバータ駆動用IC10のIC電源10eに接続されている。この配線16と配線8との間には抵抗r15とコンデンサC9が直列に接続されている。
【0022】
また、調光切換禁止回路12は、配線(グランドライン)8,16から配線8c,17aを介して動作電圧が印加されるコンパレータ17と、このコンパレータ17のプラス入力端子にアノードが配線18を介して接続され且つ配線16にカソードが接続されたダイオード(リセット回路)D5を有する。このダイオードD5は、電源OFF時、機械的スイッチ1のOFF時にコンデンサC9の電荷を早期に放電させるのに用いられる。
【0023】
しかも、コンパレータ17のマイナス入力端子は配線19を介して配線15に接続されている。尚、配線18は配線20を介してコンデンサC9と抵抗r15との間に接続されている。また、配線8aにはダイオードD6のアノードが接続されている。
【0024】
更に、調光切換禁止回路12は、配線12aにアノードが接続され且つカソードがダイオードD6のカソードに配線21を介して接続されたダイオードD7と、インバータ駆動用IC10の保護検出ポート10cにアノードが接続され且つカソードが配線21に接続されたダイオードD8と、コンパレータ17の出力側及び配線21に接続された抵抗r16を有する。
【0025】
尚、調光切換禁止回路12の抵抗r16及びコンパレータ17と、ダイオードD5,D6,D7,コンデンサC9、抵抗r15等は予熱回路22を構成している。
【0026】
尚、上述したインバータ駆動用IC(インバータ駆動回路)10,調光切換回路11,調光切換禁止回路(調光・保護禁止回路)12,予熱回路22,ダイオード25等は、図3に示したように点灯制御シーケンス回路30を構成している。そして、この点灯制御シーケンス回路30は以下に説明するような点と制御シーケンスで負荷5の点灯制御を実行する。
[作用]
次に、このような構成の放電灯点灯装置の作用を図2のタイミングチャートを用いて説明する。
(1)予熱動作
機械的スイッチ1を図2(a)の時点t1でONさせると、出力端子T1,T2間に交流電圧が供給される。これにより、整流器2で交流電圧が整流され、整流された電圧がアクティブフィルタ3に入力される。
【0027】
これに伴い、アクティブフィルタ3は、整流器2で整流された電圧の力率を改善してインバータ4の第1MOSFET(S1),第2MOSFET(S2)に入力する。
【0028】
一方、時点t1でアクティブフィルタ3より抵抗raを介してプラス電圧をインバータ駆動用IC10のIC電源10eに入力する。これにより、インバータ駆動用IC10が時点t1で制御動作を開始する。
【0029】
この制御動作の開始により、インバータ駆動用IC10は、時点t1でVrefポート10bから直流電圧Vb(例えば、一定電圧5V)を出力する。このVrefポート10bからの直流電圧Vbはコンパレータ13のプラス入力端子及びコンパレータ17のマイナス入力端子に所定電圧として印加される。また、時点t1でVrefポート10bから直流電圧Vbが出力されると、この直流電圧Vbは、抵抗r12,r13で閾値電圧Vaとして分圧され閾値ポート10aに入力され、保護検出レベルを設定する。
【0030】
これに伴い、コンパレータ13からは時点t1で所定電圧Vdが出力され、この所定電圧Vdが抵抗r14を介して接続点Cに作用する一方、接続点Bの電圧が抵抗r8を介して接続点Cに作用する。この時、接続点Bとコンパレータ13の出力は同電位になるように設定されている。また、コンパレータ17の出力側はオープン状態であり、接続点Bの電圧は抵抗r8,r7,配線8a及びダイオードD6を介してコンパレータ17の出力側に作用する。
【0031】
そして、インバータ4による負荷5の予熱周波数f3は、接続点Bと配線8間の合成抵抗を流れる電流値を周波数決定ポートPfで検知することで、インバータ駆動用IC10により決定される。
【0032】
このようにしてインバータ駆動用IC10は、抵抗r7,r8の作用により予熱周波数f3を決定し、即ち周波数決定ポートPfで検出される接続点Bと配線8間の合成抵抗により予熱周波数f3を決定する。そして、インバータ駆動用IC10は、予熱周波数f3に基づいてMOSFET駆動電圧パルス発生部D1,MOSFET駆動電圧パルス発生部D2を制御する。これに伴い、MOSFET駆動電圧パルス発生部D1はインバータ4の第1MOSFET(S1)のゲートに予熱駆動パルス電圧を印加し、MOSFET駆動電圧パルス発生部D2はインバータ4の第2MOSFET(S2)のゲートに予熱駆動パルス電圧を印加する。これにより、インバータ4の第1MOSFET(S1)及び第2MOSFET(S2)は交互にオン・オフさせられる。このオン・オフによりインバータ4は、負荷5に予熱周波数の高周波電圧を印加して、負荷5の予熱を開始させる。
【0033】
また、時点t1で電源がONさせられると、接続点Eより抵抗r15を介してコンデンサC9に充電を開始する。これに伴い、コンデンサC9の充電電圧は、時点t1から時点t2まで徐々に上昇して時点t2で所定電圧Veになる。しかも、コンデンサC9の電圧が時点t2でVeになるまでの間、コンパレータ17の出力はロウレベルとなっていて予熱周波数を継続する。
(2)始動開始
また、上述したように、インバータ駆動用IC10は、時点t1でVrefポート10bから直流電圧(例えば、一定電圧5V)を出力し、閾値ポート10aから閾値電圧を出力している。そして、Vrefポート10bからの直流電圧(例えば、一定電圧5V)はコンパレータ13のプラス入力端子及びコンパレータ17のマイナス入力端子に所定電圧Vbとして印加される。
【0034】
しかも、接続点Eに作用する正電圧は、抵抗r15を介してコンデンサC9に印加され、コンデンサC9は時点t1で充電を開始する。この充電に伴い、コンパレータ17のプラス入力端子には、配線20を介してコンデンサC9の電圧が作用する。
【0035】
そして、コンデンサC9の充電電圧は、時点t1から時点t2まで徐々に上昇して時点t2で所定電圧Veになる。このとき(時間t2)でコンパレータ17の出力はハイレベルとなり、接続点Bの電圧が抵抗r7,r8を介してコンデンサC5を充電し始める。
【0036】
この後、コンパレータ17のプラス入力端子に作用する電圧は、時点t2を過ぎても時点t3まで徐々に上昇して、最終的には時点t3で接続点Eの電圧である所定電圧Vcと同じになる。
【0037】
一方、負荷5の始動が開始されると、負荷異常検出回路6は抵抗r1〜r3とr4で分圧された負荷5の高周波電圧をコンデンサC1,C2及びダイオードD1,D2により整流し、この整流された直流電圧によりコンデンサC3が充電される。そして、コンデンサC3が充電されると、所定時間経過後、即ち時点t2でCRタイマー回路9のコンデンサC4が充電されていく。
【0038】
この充電に伴い、インバータ駆動用IC10の保護検出ポート10cに入力される電圧Vgは時点t2から時点t3まで徐々に上昇する。このインバータ駆動用IC10は、検出している電圧Vgが時点t3で所定電圧Vg1まで上昇してVg2まで低下する。
【0039】
また、時間t2でコンパレータ17の出力電圧Vfがハイレベルとなり、接続点Cに作用する電圧が時点t2から時点t3まで徐々に上昇して所定電圧Vd′となると共に、接続点Dの電圧が時点t3でハイレベルの電圧Vf′となる。この時点t3では、接続点Cが電圧Vd′、接続点Dが電圧Vf′となって、抵抗r8,r7は機能しないので、接続点Bと配線8間は抵抗r6のみとなる。
【0040】
従って、インバータ駆動用IC10は、接続点Bと配線8間の抵抗r6のみを流れる電流値を周波数決定ポートPfで検出することにより、インバータ4による負荷5への周波数を全光点灯周波数f1に決定し、予熱モードから全光モードの始動を開始する。
【0041】
そして、インバータ駆動用IC10は、抵抗r6により決定された全光周波数に基づいてMOSFET駆動電圧パルス発生部D1,MOSFET駆動電圧パルス発生部D2を制御する。これに伴い、MOSFET駆動電圧パルス発生部D1はインバータ4の第1MOSFET(S1)のゲートに全光駆動パルス電圧を印加し、MOSFET駆動電圧パルス発生部D2はインバータ4の第2MOSFET(S2)のゲートに全光駆動パルス電圧を印加する。この際、インバータ4の第1MOSFET(S1)及び第2MOSFET(S2)は交互にオン・オフさせられる。このオン・オフによりインバータ4は、負荷5に全光点灯周波数の高周波電圧を印加して、負荷5を全光状態とさせる。
【0042】
即ち、インバータ駆動用IC10は、保護検出ポート10cが時点t2で電圧Vgの検出を開始する。この電圧Vgは、時点t3まで上昇した後、Vg2まで低下し、全光制御動作モードになる。これにより、インバータ駆動用IC10は、予熱周波数f1より発信周波数の小さい全光点灯周波数f1(f1<f2<f3)でインバータ4を作動制御し、負荷5を全光点灯させる。
(3)調光
また、図示しない調光操作部材の操作により接続点Aの電圧が時点t4で所定電圧Viになると、この所定電圧ViがCRタイマー回路14を介してコンパレータ13のマイナス入力端子に入力される。このコンパレータ13のマイナス入力端子に入力される電圧は、CRタイマー回路14の作用により時点t4から時点t5を過ぎるまで徐々に上昇し、時点t5で所定電圧Vh1となり、時点t5を過ぎた後に所定電圧Vh2となる。
【0043】
そして、コンパレータ13は、マイナス入力端子に入力される電圧が時点t5で所定電圧Vhになると出力をオフさせる。これにより、接続点Cの電圧が所定電圧Vd1′まで低下して、接続点Bと配線(グランドライン)8間の合成抵抗が変化し、この抵抗値をインバータ駆動用IC10が検知する。
【0044】
これによりインバータ駆動用IC10は、負荷5を点灯させる点灯周波数f3を全光点灯周波数f1より高く予熱周波数f3より低い調光周波数f2に切換設定する。これにより、インバータ4は調光周波数f2で負荷5を点灯制御する。
【0045】
これに伴い、インバータ駆動用IC10の保護検出ポート10cが検出している電圧Vgは、時点t5で僅かにVg3まで上昇させられる。
【0046】
尚、本実施例では、f1,f2,f3の関係をf1<f2<f3としているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
(4)リセット
そして、上述した動作中に、例えば周辺での大きな負荷の変動が発生して、負荷5の商用電源の電圧の変動が生じた場合や、停電等により商用電源の供給が停止された場合、抵抗r15とコンデンサC9からなるCRタイマ回路のコンデンサ9の電圧がダイオードD5を介して瞬時に放電される。
【0047】
これに伴い、制御用電源電圧が降下して、インバータ駆動用IC10が停止して、制御シーケンスが初期状態にリセットされ、負荷5の点灯制御が停止される。
【0048】
尚、機械的スイッチ1が時点t6でオフさせられた場合も、同様にして図3の点灯シーケンス回路30による点灯制御シーケンスが初期状態にリセットされ、負荷5の点灯制御が停止される。
(5)異常負荷の検出
また、上述の全光点灯の制御から時点t4で調光動作に移行する際、インバータ駆動用IC10の保護検出ポート10cが電圧Vgの検出を開始する。この電圧Vgは、負荷5が規定のもので異常が無ければ、図2(a)のように時点t3まで上昇した後、時点t3で設定電圧Vg2まで低下し、全光制御動作モードになる。
【0049】
しかし、図2(b)のように、保護検出ポート10cが時点t7とt8との間において設定電圧Vg2より大きな電圧を検出した場合には、インバータ駆動用ICはインバータ4に異常負荷が接続されていると判断する。この場合、インバータ駆動用ICは、インバータ4の制御を停止させる保護動作を実行する。
【0050】
以上説明した発明の実施例の放電灯点灯装置では、図1に示したように、調光切換禁止回路(調光・保護禁止回路)12,予熱回路22及びリセット回路(ダイオードD5)等を、個別に構成せずに一つの回路に組み込んでいる。図3は、図1の制御回路の要部を模式的に示したものである。このような放電灯点灯装置では、予熱回路,調光・保護禁止回路,入力電圧・リセット回路を機能別に別々の回路で構成した場合に比べて、部品点数が少なくなると共に、コスト低下でき、小型化できる。
【0051】
また、予熱回路22と調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12)の共通化には、予熱回路22をベースにした回路が用いられている。即ち、この共通化には、予熱回路22のスイッチング素子(コンパレータ17)を使用すると共に、予熱期間内では調光ポート(周波数決定ポートPf),保護検出ポート10cに入力される条件による制御を禁止するような回路を用いている。
【0052】
しかし、この期間だけ禁止では出力モードが調光状態で電源を投入した場合に、予熱直後に調光出力になると、負荷5の点灯状態が立ち消えしてしまう可能性、或いは、始動電圧による保護動作の可能性、放電灯負荷(負荷5)の点灯直後の不安定領域での保護動作の可能性等が残る。
【0053】
これを解決する手段として、保護検出ポート10c及び調光ポート(周波数決定ポートPf)への入力にそれぞれに時定数を持たせることで、予熱後所定時間は調光出力・保護動作をしないようにしている。
【0054】
また、入力(交流電源)電圧検出およびアクティブフィルタ3のリセット回路の共通化には、アクティブフィルタ3の入力電圧を検知するのではなく、インバータ駆動用回路の制御電圧の低下を検知することによって、アクティブフィルタ3の入力電圧を間接的に検出できるような回路を用いている。この回路によりアクティブフィルタ3の制御電圧に変動があった場合、図3の点灯シーケンス回路30のリセットを行うようにしている。尚、アクティブフィルタ3の制御用電源(コンデンサC8)はCRタイマー回路(抵抗r15及びコンデンサC9からなる回路)のコンデンサC9に比べ、時定数を持たせていないため、はるかに放電が早い。これを利用し、CRタイマー回路(抵抗r15及びコンデンサC9からなる回路)のコンデンサC9と制御用電源(コンデンサC8)間にダイオード(D5)を入れることにより、アクティブフィルタ3を容易にリセットできる。
【0055】
以上説明したように、この発明の実施の形態の放電灯点灯装置は、高周波電圧を出力して放電灯(負荷5)を点灯させるインバータ4と、前記インバータ4に電源を供給するアクティブフィルタ3と、前記電源の投入時から所定時間だけ前記放電灯(負荷5)を前記インバータにより予熱状態に制御する予熱回路22を備えている。また、放電灯点灯装置は、前記インバータ3の出力を制御して前記放電灯(負荷5)を調光する調光回路(調光切換回路11)と、前記所定時間後に前記放電灯(負荷5)の保護動作をする保護回路(インバータ駆動用IC10)と、前記所定時間の間だけ前記調光回路(調光切換回路11)による調光の禁止及び前記保護回路(インバータ駆動用IC10)による保護の禁止をさせる調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12)とを備えている。更に、放電灯点灯装置は、前記電源の投入時に前記アクティブフィルタ3の制御動作を開始させる制御用電源(コンデンサC8)と、前記制御用電源(コンデンサC8)から前記インバータ4への入力電圧が一定値以下になるのを検出して前記制御用電源(コンデンサC8)をリセットする入力電圧検出・リセット回路(ダイオードD5)を備えている。しかも、放電灯点灯装置は、前記調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12)と前記入力電圧検出・リセット回路(ダイオードD5)の少なくとも一つと前記予熱回路22とを1つのスイッチング素子(コンパレータ17)で制御するようになっている。
【0056】
この構成によれば、調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12),入力電圧・リセット回路(ダイオードD5)の少なくとも一つと予熱回路22の機能・性能は同等のままで、これらの回路の共通化を図り、安価で小型の放電灯点灯装置を提供することができる。
【0057】
また、この発明の実施の形態の放電灯点灯装置は、前記調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12)と前記予熱回路22とを1つのスイッチング素子で制御するようにできる。
【0058】
この構成によれば、予熱回路22,調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12)等の機能・性能は同等のままで、これらの回路の共通化を図り、安価で小型の放電灯点灯装置を提供することができる。
【0059】
更に、この発明の実施の形態の放電灯点灯装置は、前記入力電圧検出・リセット回路(ダイオードD5)と前記予熱回路22とを1つのスイッチング素子(コンパレータ17)で制御するようにできる。
【0060】
この構成によれば、予熱回路22,入力電圧・リセット回路(ダイオードD5)等の機能・性能は同等のままで、これらの回路の共通化を図り、安価で小型の放電灯点灯装置を提供することができる。
【0061】
また、この発明の実施の形態の放電灯点灯装置は、前記調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12)と前記入力電圧検出・リセット回路(ダイオードD5)及び前記予熱回路22を1つのスイッチング素子(コンパレータ17)で制御するようにできる。
【0062】
この構成によれば、予熱回路22,調光・保護禁止回路(調光切換禁止回路12),入力電圧・リセット回路(ダイオードD5)等の機能・性能は同等のままで、これらの回路の共通化を図り、安価で小型の放電灯点灯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明に係る放電灯点灯装置の制御回路図である。
【図2】(a)は図1の放電灯点灯装置のタイムチャート、(b)は図1の負荷が異常な場合の放電灯点灯装置のタイムチャートの部分説明図である。
【図3】図1の制御回路の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
3・・・アクティブフィルタ
4・・・インバータ
5・・・負荷(放電灯)
10・・・インバータ駆動用IC(保護回路)
11・・・調光切換回路(調光回路)
12・・・調光切換禁止回路(調光・保護禁止回路)
17・・・コンパレータ(スイッチング素子)
22・・・予熱回路
C8・・・コンデンサ(制御用電源)
D5・・・ダイオード(入力電圧検出・リセット回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電圧を出力して放電灯を点灯させるインバータと、
前記インバータに電源を供給するアクティブフィルタと、
前記電源の投入時から所定時間だけ前記放電灯を前記インバータにより予熱状態に制御する予熱回路と、
前記インバータの出力を制御して前記放電灯を調光する調光回路と、
前記所定時間後に前記放電灯の保護動作をする保護回路と、
前記所定時間の間だけ前記調光回路による調光の禁止及び前記保護回路による保護の禁止をさせる調光・保護禁止回路とを備える放電灯点灯装置において、
前記電源の投入時に前記アクティブフィルタの制御動作を開始させる制御用電源と、前記制御用電源から前記インバータへの入力電圧が一定値以下になるのを検出して前記制御用電源をリセットする入力電圧検出・リセット回路を備えると共に、
前記調光・保護禁止回路と前記入力電圧検出・リセット回路の少なくとも一つと前記予熱回路とを1つのスイッチング素子で制御することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放電灯点灯装置において、前記調光・保護禁止回路と前記予熱回路とを1つのスイッチング素子で制御することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放電灯点灯装置において、前記入力電圧検出・リセット回路と前記予熱回路とを1つのスイッチング素子で制御することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1に記載の放電灯点灯装置において、前記調光・保護禁止回路と前記入力電圧検出・リセット回路及び前記予熱回路を1つのスイッチング素子で制御することを特徴とする放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−99293(P2009−99293A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267502(P2007−267502)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000180450)四変テック株式会社 (55)
【Fターム(参考)】