説明

故障ドアの運転を停止させるための方法及び装置

本発明は、列車の故障ドア又は故障した可動踏台の運転を停止させるための方法及び装置に関する。この運転停止を容易にし且つ促進するためには、ドア制御に障害が発生した場合に、故障ドア(200)の運転停止が遠隔制御式で中央のドア監視装置により直接に、又は対応する故障していないドア(100)の制御装置(101)を介して間接的に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の故障ドア又は故障した可動踏台の運転を停止されるための装置に関する。
【0002】
一般に長距離列車、近郊列車及び地下鉄では、ドア監視装置によって、ドア及び可動踏台(以下、踏台だけの特別な構成に当たらない場合は、読みやすくするためにドアに関してのみ述べる。)の機能性及び作動状態に関する信号が、例えば牽引車両等の中央箇所の列車運転士又は機関士に伝達される。前記ドア監視装置は、ドアの作動状態延いては該当するドアのデータと共に故障の発生も知らせる。このような故障が発生した場合、この故障に対して責任のある従業員が故障したドアに向かい、このドアを手動でロックして、当該ドアのドア制御装置を停止させねばならない。これにより、100メートル、200メートル及びそれ以上の様々な汎用サイズの列車長さにおいて、特に列車運転間隔が詰まっていると、遅延及び運転障害に至る恐れがある。
【0003】
本発明の目的は、これらの不快で時間を浪費し且つ多くの場合は危険な仕事を省く方法若しくはドア制御装置を提供することにある。
【0004】
このために本発明では、ドア故障が発生した場合、故障したドアの運転停止が遠隔制御式で、中央のドア監視装置により直接に、又は対応する故障していないドアの制御装置を介して間接的に行われる。
【0005】
本発明による装置自体は簡単に構成されており且つ従来技術に基づき手動操作される緊急ロック用の操作装置にある。これはモータ、ソレノイド等であってよいが、重要なのは、その制御、即ち緊急ロック制御が、「固有の」ドアの制御とは無関係に行われるということである。それというのも、前記ドアは場合によっては故障してエラーを生ぜしめるからである。従って、列車全体を通走するデータバスシステムに対する独自の接続部を製作することが必要であり、このこと自体は何ら問題ではない。一般に、緊急ロックの操作終了時には、命令のかち合いを防止するために、ドアもドア制御装置から遮断され、このことは、緊急ロックの遠隔制御操作に際して同様に行われる。
【0006】
非常ドア操作用及び緊急ロック制御用のエネルギ供給手段を得ることも必要であるが、このことは場合によっては困難である。このような場合は、既にスペース上の理由から、故障遮断を近くに位置する、有利には対向位置するドアの通常のドア制御に付加することが有利である。理論的には空調制御等にも接続を行うことができるが、前記の対応関係が簡単で判りやすい。
【0007】
これにより、故障したドアを従来のように中央で認識して場所を限定するのみならず、運転を停止させ且つ制御から外すことが可能になる。
【0008】
ドアシステムの故障が「扉開放状態」の位置で発生した場合、運転停止にはドアの閉鎖過程の全体又は不足部分も含まれる。この問題をも解決するためには、本発明の構成ではドア制御装置が「固有の」ドアのドア駆動装置にだけ接続されているのではなく、以下で対応配置されたドアと呼ぶ少なくとも1つの別のドアのドア駆動装置にも接続されている。この場合は故障が発生すると、故障していないドアのドア制御装置が故障したドアの閉鎖運動を導入して、この故障したドアを制御する。
【0009】
本発明の別の構成では、運転停止されたドアが、乗客用の光学装置によって使用不可能であるということが見分けられ、これにより、少なくとも降車する乗客には、早めに別の出口を探す可能性が与えられる。
【0010】
更に別の構成では、特に既に現在ビデオ監視設備が装備されている車両において、このビデオ監視設備を正しい運転停止の判断のために、このために責任のある従業員が自ら故障したドアに行くことなしに利用することが規定されている。このようにして、例えば運転停止するなかでのドアの正しい閉鎖を監視することができる。
【0011】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0012】
図面には、鉄道車両における、スライド踏板102,202及び制御装置101,201を備えた2つのドア100,200が概略的に示されている。これらの、それ自体は同じ2つのドアを区別できるようにするためには、符号の百の位にそれぞれ「1」若しくは「2」を付す。2つのドアの同一部材は2桁の同一符号を有しており、ドアに対応配置されていない構成部材は通し番号の符号を有している。2つのドア制御装置101,201は、列車全体を通走するデータバス2に接続されており、このデータバス2は、例えば運転台の操作装置3にも接続されており、一般には空調管理、照明制御等に関するデータも伝達する。
【0013】
図面を見やすくするために、当該図面には様々なセンサ(挟込み防止、閉鎖最終位置の到達等)及び場合によっては存在するドア100,200の操作装置(通常開放、緊急開放等)は図示されていない。これらは本発明若しくは本発明の説明に影響を及ぼすものではない。
【0014】
データバス2は、ドア制御装置101,201と接続されており且つ(大抵は列車の左側/右側に応じて制御される)ドア開放のためのリリース命令、ドア閉鎖命令及びドア制御装置にアドレス指定されていないためにこのドア制御装置からは無視される照明や空調設備等に対する命令等の、中央の命令を伝達する。ドア制御装置は前記命令に反応して、それ自体はデータバス2を介して実行メッセージを伝達するか、若しくは認識した場合はエラーメッセージを伝達する。
【0015】
この場合、ドア200が故障したと仮定すると、本発明は中央制御装置3からデータバス2及び(故障していない)ドア制御装置101を介して、非常ロック203に作動命令を与えることを可能にし、これにより、ドア200は非常ロックされて、その制御装置201は遮断される。非常ロック203は、ドア制御装置201とはロジックに関してもエネルギ供給に関しても無関係なので、ドア100の故障については把握しない。
【0016】
ビデオ監視装置が存在する場合は、このビデオ監視装置もデータバス及び作動命令を介して別のことをせずに故障したドアに向けられて、中央制御装置のモニタに接続可能であり、これにより、ドア200の正常な閉鎖及びロックがコントロールされる。
【0017】
有利には、緊急ロック203の制御回路に、閉鎖若しくはロックを監視して、機能中のドア100の制御装置を介して中央に送る、複数のセンサ(図示せず)が設けられている。
【0018】
スライド踏板202は、全く同様にドア200と一緒に運転停止される。
【0019】
その他に、正常に機能しているドア200においてスライド踏板202の故障が認識される場合は、独自のスライド踏板故障処理手順を規定することが可能である。この場合、スライド踏板は予め規定された位置に位置固定されて、制御外にもたらされる。ドア自体は正常に機能し続ける。但し、このことはデータバス2に対するスライド踏板の独自の接続手段及び独自のエネルギ供給を必要とし、この場合、スライド踏板は固有のドアと同様に扱う必要がある。
【0020】
故障したドア200に対向位置するドア100のドア制御装置101を介した命令伝達に基づき本発明を説明した。データバス2への接続手段及び独自のエネルギ供給手段を備えた独自の制御装置も可能であり、最終的にどの方法をとるかは費用及び操作者の安全基本方針の問題であるということは明らかである。
【0021】
別の実施例では、故障したドアシステムのロック203だけでなく、扉の閉鎖過程及び場合によってはドア踏板の引込み又は折込み過程をも、近くの、例えば対向又は隣接して位置するドア100のドア制御装置101により導入若しくは制御することも可能である。このことは特に、ドアシステムの故障が、扉の開放状態又はまだ完全には閉じていない位置で発生した場合に必要とされる。この目的のためには、本発明による各ドアのドア駆動装置若しくは踏台駆動装置が、それぞれ対応する、つまり故障していないドア100のドア制御装置に接続されている。図面では、これらの接続手段は破線で概略的に示されている。
【0022】
このようにして、例えば列車若しくは車両においては、図示のように常に2つのドアをまとめておくことができる。勿論、複数のドアを図示の形式で1つのユニットにまとめることも考えられ、これにより、1つのドアのドア制御装置により複数のドアロックが制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】故障した一方のドアを、機能中の一方のドアの制御装置を介して運転停止させるための回路図を概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア故障が発生した場合に、故障ドア(200)の運転停止を遠隔制御式で、中央のドア監視装置により直接的に、又は対応する故障していないドア(100)の制御装置(101)を介して間接的に行うことを特徴とする、列車の故障ドア又は故障した可動踏台の運転を停止させるための方法。
【請求項2】
ドア故障がドアの開放位置で発生した場合に、故障ドア(200)の閉鎖過程を、対応する故障していないドア(100)の制御装置(101)を介して行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
運転停止されたドア(200)を、乗客用の光学装置によって使用不可であることを見分けられるようにする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
故障ドア(200)の正しい運転停止をビデオ監視設備により監視する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
列車の故障ドア又は故障した可動踏台をロックを用いて運転停止させるための装置において、前記ロック(203)が、中央のドア監視装置を介して直接に、又は対応する故障していないドア(100)の制御装置(101)を介して間接的に制御可能であることを特徴とする、列車の故障ドア又は故障した可動踏台をロックを用いて運転停止させるための装置。
【請求項6】
前記ドア(200)のドア駆動装置及び場合によっては踏台駆動装置が、対応する故障していないドア(100)の制御装置(101)に接続されている、請求項5記載の装置。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−502638(P2009−502638A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524418(P2008−524418)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007562
【国際公開番号】WO2007/014735
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(505275642)クノル−ブレムゼ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】KNORR−BREMSE G.m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Beethovengasse 43−45, A−2340 Moedling,Austria
【Fターム(参考)】