説明

散剤供給装置および薬剤分包装置

【課題】 散剤を分割するための時間を短縮することで、作業効率の低下を抑制し得る薬剤供給装置及び薬剤分包装置の提供。
【解決手段】 複数の散剤収納体からなる散剤収納体群を設け、振動を用いて各散剤収納体に散剤を落下させるためのフィーダを散剤収納体群の上側に配置し、散剤収納体群を水平面内で移動させつつフィーダから落下する散剤を各散剤収納体に均等に収納するようにした散剤供給装置であって、フィーダの供給口を、直線上に並んだ基準位置にある散剤収納体群における中心側の散剤収納体の上方に配置しており、散剤を落下供給させる際に散剤収納体群における最端部の散剤収納体を除く散剤収納体群の中心側にある散剤収納体から散剤の落下供給を開始する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散剤供給装置および薬剤分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤分包装置に用いられる散剤供給装置として、供給升(以下「V升」と称す)と、該V升から落下供給される散剤を分割して収納する複数の散剤収納体からなる散剤収納体群と、該各散剤収納体を支持してこれらを水平面内で往復動可能とする無端体とを有したものがある(例えば、特許文献1参照)。また、薬剤分包装置は、各散剤収納体に収納された散剤を一包ずつに分包する分包部を備えている。
【0003】
上記薬剤分包装置の散剤供給装置では、V升は、その固定板の下縁部に対して可動板の下縁部を接触させることで散剤の収納スペースを形成するものであり、収納スペースは仕切板によってその長さを調節可能とされている。すなわち散剤を分割する際は、処方箋に応じた分割数となるよう仕切板の位置を調節してから散剤を収納スペースに投入し、散剤をへらを用いて均し、一方で散剤収納体のうち、基準となる端部の散剤収納体が収納スペースの端部直下に位置するよう無端体を駆動して、散剤収納体群を移動する。そして、V升の可動板を回動して固定板から離間させることで、V升の収納スペースに収納された散剤を下方にある各散剤収納体に落下させて、収納スペースの散剤を散剤収納体に均等に収納するようにしている。
【0004】
各散剤収納体に散剤が収納された後は、左右幅方向略中央部に位置する散剤落下位置から全ての散剤収納体が一旦退避するように無端体を駆動させ、続いてその後無端体を逆方向に間欠移動させて、先端側に位置する散剤収納体から順に各散剤収納体を前記散剤落下位置に間欠移動させる。散剤落下位置に順次到着した散剤収納体毎の底部が開放されて散剤が落下することで、前記分包部で一包ずつに分包される。
【0005】
【特許文献1】特開平9−142402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように無端体を用いた薬剤供給装置では、分包作業の容易化あるいは効率化のために、V升の代わりに振動によって各散剤収納体に均等に散剤を収納するフィーダを用いることが考えられる。
【0007】
フィーダを用いた場合、端部の散剤収納体を使用すると、その移動方向外方に散剤が飛び散ってしまい、何れの散剤収納体にも回収されないことがある。このような場合では、散剤の分割精度が低下してしまう。
【0008】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、散剤の分割にフィーダを用いても散剤の分割精度の低下を抑制し得る薬剤供給装置及び薬剤分包装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の散剤供給装置は、複数の散剤収納体からなる散剤収納体群を設け、振動を用いて前記各散剤収納体に散剤を落下させるためのフィーダを前記散剤収納体群の上側に配置し、該散剤収納体群を水平面内で往復移動させつつ、前記フィーダから落下する散剤を各散剤収納体に均等に収納する散剤供給装置であって、散剤の分割数が散剤収納体の個数に比べて2以上少ない場合、散剤の分割数を構成する最も外側の各散剤収納体のさらに外側に少なくともひとつの散剤収納体を残すべく該散剤収納体をフィーダの散剤供給口の直下に至らせず該散剤収納体に落ちる散剤は前記最も外側の両散剤収納体にそれぞれ収納されている散剤とともに回収されることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、フィーダの駆動によって散剤供給口から散剤が落下し、往復移動している散剤収納体群の散剤収納体に散剤が収納される。そして散剤の分割数を構成する最も外側の両散剤収納体にそれぞれ収納されている散剤とともに、さらに外側にある散剤収納体に落ちた散剤は回収されることで、散剤の分割数を構成する散剤収納体に収納されている散剤の量と同量に分割することになり、フィーダを用いて散剤を分割する構成であっても、散剤の分割精度の低下が抑えられる。
【0011】
本発明の薬剤分包装置は、上記散剤供給装置を設け、散剤の分割数を構成する散剤収納体に収納した散剤を所定分量づつ分包袋内に封入する分包動作が実行されるよう構成し、散剤の分割数を構成する最も外側の各散剤収納体のさらにひとつ外側の散剤収納体に落ちる散剤を前記最も外側の両散剤収納体にそれぞれ収納されている散剤とともに回収して一包とすることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、フィーダの駆動によって散剤供給口から散剤が落下し、往復移動している散剤収納体群の散剤収納体に散剤が収納される。そして散剤の分割数を構成する最も外側の両散剤収納体にそれぞれ収納されている散剤とともに、さらに外側にある散剤収納体に落ちた散剤を回収して一包とすることで、散剤の分割数を構成する散剤収納体に収納されている散剤の量と同量に分割することになり、フィーダを用いて散剤を分割する構成であっても、散剤の分割精度の低下が抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の薬剤供給装置及び薬剤分包装置によれば、散剤の分割数を構成する最も外側の各散剤収納体のさらにひとつ外側の散剤収納体に落ちる散剤を最も外側の両散剤収納体にそれぞれ収納されている散剤とともに回収するようになるから、散剤の分割数を構成する散剤収納体に収納されている散剤の量と同量に分割することになり、フィーダを用いて散剤を分割する構成であっても、散剤の分割精度の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る薬剤分包装置を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態を示す薬剤分包装置の全体構成概略斜視図、図2は概略正面図、図3は分包部の概念斜視図、図4は薬剤分包装置の全体構成概略平面図、図5は全体構成概略側面図、図6は散剤収納体のひとつを拡大した斜視図、図7はV升と散剤収納体との関係を示す側面断面図である。
【0015】
図1および図2に示すように、薬剤分包装置1は直方体状(箱型)の本体2と、この本体2の上部を覆う上蓋3と本体2の前部を覆う前蓋4とが備えられている。また、本体2の上部に散剤供給装置5を設け、該散剤供給装置5の下方に分包部10が配設されている。該分包部10は、散剤供給装置5における散剤収納体群6を構成する散剤収納体6A,6B,6Cに収納した散剤7aを所定分量ずつ分包紙8(図3参照)に封入する分包動作を実行するものである。
【0016】
散剤供給装置5は、本体2の前方上部に設けられて前記散剤収納体6A,6B,6Cからなる散剤収納体群6と、該散剤収納体群6の上方で本体2の上部フレーム(図示せず)に取付けられて散剤収納体群6に散剤7aを落下供給するための散剤供給升(以下「V升」と称する)12と、該V升12に並設した振動フィーダ13(以下単に「フィーダ」と称する)と、図4および図5に示すように、前記散剤収納体群6の後方上部に配置された錠剤分包ユニット14と、錠剤分包ユニット14の下方に配置されたシュート15とを備える。散剤収納体群6は46個の散剤収納体から構成される。
【0017】
ここで、散剤収納体6Aは最も端部にある散剤収納体であり、散剤収納体6Bは中央の散剤収納体であり、散剤収納体6Cは散剤収納体6A,6B以外の散剤収納体である。すなわち、散剤収納体6Cは44個に設定している。
【0018】
図6および図7に示すように、隣合う散剤収納体は隔壁16を介して区画される二つの散剤収納室17,18を有する升体9を構成しており、下部に各散剤収納室17,18の一端縁を中心として可動可能な蓋部材20を有する。ここで各蓋部材20は、常時はマグネットの吸着力によって散剤収納室17,18の底部を閉じた状態にあり、散剤収納室17,18が所定の散剤落下位置に達すると、一側の係止突片21が図示しない蓋開閉機構に係合することにより各散剤収納室17,18の底部を開放するように作動する。
【0019】
要するに、この実施形態の場合、散剤収納室17,18を有する升体9が23個設けられて、前述のように散剤収納体群6は46個の散剤収納体から構成される。この個数は散剤7aの最大分割数よりも1つ多い数である。そして図2および図4に示すように、フィーダ13側の端部の散剤収納体6A(符号No.1)は他の散剤収納体6B,6Cに比べて左右方向の最大幅が大きく形成されている。さらに詳しくは、散剤収納体6Aの上部収納口6aの左右方向幅が、他の散剤収納体6B,6Cの上部収納口6b,6cに比べて広く設定されている。
【0020】
升体9は、不図示のプーリに架渡されたエンドレスベルト22(無端体の一例)にそれぞれの背面が支持固定されている。
【0021】
エンドレスベルト22は不図示のプーリの駆動によって平面視して横長の楕円軌道を水平面内で移動(回動)可能に構成されている。すなわちエンドレスベルト22はプーリに掛からない前後の直線部領域23,24とプーリに掛かる左右の湾曲部領域25,26とを形成するようになっている。エンドレスベルト22の直線部領域23,24は、散剤収納体群6(升体9)を直線状に整列させた長さ、あるいはそれよりもわずかに長く形成されている。
【0022】
V升12は全体の長さがエンドレスベルト22の直線部領域23(24)の略半分に設定されている。図7に示すように、V升12は、固定板27、可動板28、および仕切板30を有する。可動板28は、その下縁部28aが固定板27の下縁部27aに接離可能なように枢支軸31回りに回動自在とされている。
【0023】
固定板27と可動板28の下縁部27a,28aどうしが当接することで断面V形の散剤7aの収納スペース32が形成される。可動板28を枢支軸31回りに回動させるための不図示の駆動部が設けられている。仕切板30は、前記収納スペース32の長手方向の長さ、すなわち散剤7aの分割数を調節するべく固定板27(可動板28)に対して長手方向(左右幅方向)に移動自在に設けられて位置調節可能となっている。また、V升12は、散剤7aの分割数を処方箋に基づいて設定するための不図示の目盛を有している。
【0024】
散剤収納体群6は、V升12の下方の基準位置Yに配置することができるようになっている。ここで基準位置Yとは全ての散剤収納体6A,6B,6Cを直線状に整列させた位置、すなわち一端側および他端側の散剤収納体群6A,6Cが前方の直線部領域23上にあって、且つ湾曲部領域25,26の何れにも掛からない位置である。
【0025】
図2および図5に示すように、フィーダ13は、本体2に基台35を介して設けられており、振動子36(例えば圧電振動子が用いられる)によって左右幅方向に振動するものである。フィーダ13の上方に該フィーダ13に散剤7aを供給するための供給ホッパ37が配置されており、フィーダ13は供給ホッパ37から供給された散剤7aをその側方且つ下方に形成した散剤供給口38から供給するよう構成されている。そして、散剤収納体群6の基準位置Yでは、供給ホッパ37の散剤供給口38の真下に散剤収納体6B(符号No.23)が位置している。
【0026】
図4および図5に示すように、前記錠剤分包ユニット14は、上蓋3の上面のほぼ右半分を占めるように複数個(45個)配列される錠剤分割収納室40を備える。錠剤分割収納室40は底部に一斉に開閉できるシャッタ43を有し、通常はそのシャッタ43が閉じた状態を維持するようになっている。
【0027】
また、錠剤分包ユニット14は、錠剤分割収納室40の配列に合致するように複数の錠剤収納室44を有し、各錠剤収納室44の底部に一側を支点として開閉可能な蓋(図示せず)を備える構成とされている。こうして、錠剤分割収納室40のシャッタ43を開くとその錠剤分割収納室40内の錠剤7bが一斉に落下して錠剤収納室44内に受容れられるようになっている。また、図示しない蓋開閉機構により各錠剤収納室44の底部の蓋が開放してその錠剤収納室44内の錠剤7bが下方のシュート15の下部開口部15aへ向けて落下する。
【0028】
前記散剤収納室17,18の下方には不図示の散剤ホッパが配置され、散剤ホッパおよびシュート15の下部開口部15aは、分包部10で分包紙8へ薬剤(散剤7a,錠剤7b)を投入する供給ホッパ45(図3参照)に接続されるようになっている。供給ホッパ45は本体2の左右幅方向中心に位置するよう配置されている。供給ホッパ45は、その下部開口部15aが本体2の左右幅方向中心に配置されされている。特に、シュート15の下部開口部15aの下側には、該下部開口部15aに対してセンターカセット46が前後に往復動するように設けられており、センターカセット46の動きに伴って錠剤7bが供給ホッパ45に向けて供給される。
【0029】
図3に示すように、分包部10は、グラシンポリエチレン又はセロハンポリエチレン等からなる長尺の熱溶着性シート(分包紙8)が巻回されたロール体47から熱溶着性シートを間欠的に引出しつつ一包ずつ薬剤を分包するものである。なお、熱溶着性シートは予め二つ折りされた状態で巻回されている。分包部10はヒートシール装置48と、熱溶着性シートを挟持してロール体47から引出す駆動ローラ50とを有し、ロール体47から駆動ローラ50に至る途中では、熱溶着性シートはガイドバー51に案内される。ヒートシール装置48は熱溶着性シートをその前後両側から挟むよう一対のヒータ52,53を有し、各ヒータ52,53は幅方向シール部55と長手方向シール部56とを有している。
【0030】
次に、上記構成の薬剤分包装置1の使用方法および散剤7aの分割方法を説明する。先ず、この薬剤分包装置1では、V升12とフィーダ13とを有しているから、それぞれの使い分けが可能である。すなわち、V升12の可動板28の駆動部と、振動子36の駆動部とを選択的に駆動可能な構成を有している。
【0031】
また、薬剤分包装置1は、散剤収納体群6を水平面内で揺動する如く回動させるようにして、散剤収納体群6に散剤7aを収納する(振り撒く)ものである。換言すれば、エンドレスベルト22を駆動して散剤収納体群6を水平面内で一方向に移動させた際、該移動の方向と反対方向の端部の散剤収納体6A(または散剤収納体6C)をフィーダ13の散剤供給口38の直下に至らないようにし、続いて散剤収納体群6を水平面内で他方向に移動させることで、散剤7aを散剤収納体6B,6Cに落下させる動作を実行する。
【0032】
具体的に、V升12を用いて散剤7aを分割(分包)する場合で、例えば朝、昼、夕の1日3回、7日分で、合計21包(V升12の最大分割数)で散剤7aを分割しようとすれば、「21」を表示した目盛まで仕切板30を移動させ、処方箋に応じた量の散剤7aを、調節された長さの収納スペース32に投入して均す。この場合では、散剤収納体群6は基準位置Yに配置しておく。
【0033】
続いて、V升12の可動板28を回動させると可動板28の下縁部28aが固定板27の下縁部27aから前後方向に離間し、V升12の下部が開放されて散剤7aが自然落下する。これにより、V升12の下方にある21個の散剤収納体6Cに、それぞれ散剤7aが均等に分割されて収納される。続いて、プーリを駆動して、散剤7aを収納している端部の散剤収納体6Cが本体2の左右幅方向中心に来るよう散剤収納体群6を移動させて、端部の散剤収納体6Cの散剤収納室18が所定の散剤落下位置にあるようにする。
【0034】
そうすると、プーリが間欠的に回転駆動してエンドレスベルト22が間欠的に駆動し、散剤収納体群6が間欠的に送り動作され、各散剤収納室17(18)の底部が順次開放するように作動して散剤7aが供給ホッパ45に落下し、散剤7aは供給ホッパ45から熱溶着性シート(分包紙8内)に落下供給される。分包部10では、駆動ローラ50を間欠的に駆動させることで熱溶着性シートを間欠的に送り動作させつつ、ヒートシール装置48のヒータ52,53で熱溶着性シートを前後から挟んで必要部分をヒートシールしてヒートシール部Hを形成し、薬剤が封入された分包袋60を形成する。
【0035】
図8に示すように、フィーダ13を用いて散剤7aを分包するためにフィーダ13の駆動スイッチがオンされ〔ステップ1〕、一方で、例えば朝、昼、夕の1日2回、14日分で、合計28包(最大分割数より2包以上少ない)で散剤7aを分包する信号が入力されたら〔ステップ2〕、フィーダ13の駆動によりその上方の供給ホッパ37に投入されている散剤7aが、先ず散剤供給口38の直下にある(左右幅方向中心の)散剤収納体6Bに対して供給されることになる。そして、フィーダ13の駆動と同時にプーリを回転させることでエンドレスベルト22が駆動し、これにより散剤収納体群6が基準位置Yから移動し、散剤収納体群6に散剤7aを供給するようになる。この場合、平面視して散剤収納体群6が反時計回りに回動するようエンドレスベルト22が駆動され、符号No.9の散剤収納体6C(散剤収納体6Aから9個目の散剤収納体)がフィーダ13の散剤供給口38の直下に来るまで散剤収納体群6を水平面内で移動されることで、散剤7aが散剤収納体6Bから順次散剤収納体6A側に向けて振り撒かれるようになる。なお、最大分割数より2包以上少ない信号が入力されない場合は、最大分割数が入力されていることになるから、後述のように45包の分割である通常分割動作にはいる。
【0036】
符号No.9の散剤収納体6Cがフィーダ13の散剤供給口38の直下に到達したら〔ステップ3〕、続いてプーリを反転させる〔ステップ4〕ことで、今度はエンドレスベルト22が反転し、散剤収納体群6が平面視して時計回りに回動して、No.36の散剤収納体6Cをフィーダ13の散剤供給口38の直下に到達させる〔ステップ5〕。このようにすることで、No.9〜No.36までの散剤収納体6B,6C、合計28個の散剤収納体に散剤7aをほぼ均等に振り撒くようにする。
【0037】
なお、散剤7aの振り撒きの終了は散剤供給口38の下方に配置した不図示のセンサによって検出する。散剤7aが供給ホッパ37に残っている場合、すなわち散剤供給口38から散剤7aが落下し続けていれば、さらにプーリを反転させて散剤収納体群6を平面視して反時計回りに回動させる。
【0038】
また、上記のように散剤収納体群6を時計方向、反時計方向に回動(往復動)させると、複数回にわたって散剤7aが振り撒かれる散剤収納体が発生することになる。そしてフィーダ13の振動数が一定で散剤供給口38からの散剤7aの単位時間あたりの落下量が一定しており、エンドレスベルト22の移動速度が一定であれば、散剤7aが二回振り撒かれた散剤収納体には他の散剤収納体に比べて倍の量の散剤7aが収納されることになり、分割精度が低下してしまう。このような不都合を解消するために、この実施形態では、エンドレスベルト22の移動速度(プーリの回転速度)を調節することで散剤収納体群6の移動速度を調節する構成とし、散剤7aの供給量が散剤収納体毎に一定になるよう制御している。
【0039】
上記のように、散剤7aの供給(振り撒き)をフィーダ13の散剤供給口38の直下にある所定の(左右幅方向中心の)散剤収納体6Bから開始することで、散剤収納体群6を基準位置Yから水平面内で移動させて端部の散剤収納体6Aから順に散剤7aを供給する場合に比べて、端部の散剤収納体6Aをフィーダ13の散剤供給口38の直下に位置させるまでに必要な時間を省略することができ、散剤7aの分割作業を効率良く行うことができる。
【0040】
ところで、散剤7aのうち特に顆粒状のものは散剤収納体の縁などに当たると飛び散り易い。そこで、上記のように、端部の散剤収納体6Cを所定の散剤落下位置に移動させて、散剤7aを落下させる際、No.36の散剤収納体6CとともにNo.37の散剤収納体6Cの底部も開放する〔ステップ6〕ことで、No.36,No.37の散剤7aを1包分として回収する。
【0041】
このようにすることで、仮に散剤7aがNo.36の散剤収納体6Cの隣の散剤収納体6Cに飛び散った(こぼれ落ちた)としても回収できる。また、プーリを間欠駆動させる〔ステップ7〕ことで、散剤収納体群6を間欠駆動させてNo.9の散剤収納体6Cを散剤落下位置に移動させ、No.9の散剤収納体6Cの散剤7aを回収する際に底部を開放するとともに、No.8の散剤収納体6Cの底部も開放することで、No.8,No.9の散剤収納体6Cにおける散剤7aを1包分として回収する。以上のように制御装置によって駆動が制御されて、散剤7aが分包される。
【0042】
このように、最大分割数よりも2包以上少ない処方がなされた場合には、散剤7aの飛び散りやこぼれ落ちを考慮すれば、散剤収納体群6のうち分割に使用した範囲内での一方の端部の散剤収納体およびそれのさらに一つ外側隣の散剤収納体内に飛び散って入った散剤7aを、分割に使用した範囲内での一方の端部の散剤収納体内にある散剤7aとともに回収することで1包分とすることができる。また、散剤収納体群6のうち分割に使用した範囲内での他方の端部の散剤収納体、およびそれのさらに一つ外側隣の散剤収納体内に飛び散って入った散剤7aを、分割に使用した他方の端部の散剤収納体内にある散剤7aとともに回収することで1包分とすることができる。このようにすることにより、散剤7aの分割精度を確保することが可能となる。
【0043】
なお、プーリが間欠的に回転駆動してエンドレスベルト22が間欠的に駆動し、散剤収納体群6が間欠的に送り動作され、各散剤収納室17(18)の底部が開放するように作動して散剤7aが供給ホッパ45に落下し、散剤7aは供給ホッパ45から熱溶着性シート(分包紙8内)に落下供給される。分包部10では、駆動ローラ50を間欠的に駆動させることで熱溶着性シートを間欠的に送り動作させつつ、ヒートシール装置48のヒータ52,53で熱溶着性シートを前後から挟んで必要部分をヒートシールしてヒートシール部Hを形成し、薬剤が封入された分包袋60を形成する。
【0044】
フィーダ13を用いて散剤7aを分包する場合で、例えば朝、昼、夕の1日3回、15日分で、合計45包(最大分割数より1包少ない)で散剤7aを分包しようとすれば、必要な量の散剤7aをフィーダ13の上方の供給ホッパ37に投入し、フィーダ13を駆動する。そうすると、フィーダ13の散剤供給口38の直下にある(左右幅方向中心の)散剤収納体6Bに対して、先ず散剤7aが供給される。そして、フィーダ13の駆動と同時にプーリを駆動することでエンドレスベルト22を駆動して散剤収納体群6を基準位置Yから移動し、順次散剤収納体6A,6B,6Cに散剤7aを供給するようにする。この場合、散剤収納体群6が平面視して反時計回りに回動するようエンドレスベルト22を駆動し、端部の散剤収納体6Aがフィーダ13の散剤供給口38の直下に来るまで散剤収納体群6を水平面内で移動させることで、散剤7aを散剤収納体群6に振り撒く。
【0045】
続いてプーリを反転させることで、今度はエンドレスベルト22を反転させ、散剤収納体群6を平面視して時計回りに回動させて、反対の端部にある散剤収納体6C(No.46)のひとつ内側隣にある散剤収納体6C(No.45)がフィーダ13の散剤供給口38の直下に来るまで移動させることで、散剤収納体群6に散剤7aを振り撒く。なお、散剤7aの振り撒きの終了は散剤供給口38の下方に配置した不図示のセンサによって検出する。散剤7aが供給ホッパ37に残っている場合、すなわち散剤供給口38から散剤7aが落下し続けていれば、さらにプーリを反転させて散剤収納体群6を平面視して反時計回りに回動させる。
【0046】
なお、散剤7aのうち特に顆粒状のものは散剤収納体の縁などに当たると飛び散り易い。しかしながら、散剤収納体6Aは他の散剤収納体6B,6Cに比べて左右方向の最大幅を大きく形成しているから、仮に散剤7aが飛び散ったとしても回収され易い。したがって、端部の散剤収納体6Aのひとつ内側隣にある散剤収納体6C(No.2)から外側にこぼれた散剤7aは、端部の散剤収納体6Aに収納されることになる。そして、端部の散剤収納体6Aにこぼれ落ちて収納された散剤7aは、端部の散剤収納体6Aの底部を開放して散剤7aを落下させることで、散剤収納体6C(No.2)での収納分として扱うことで、1包分として回収できる。また、反対の端部にある散剤収納体6C(NO.46)のひとつ内側隣にある散剤収納体6C(No.45)がフィーダ13の散剤供給口38の直下に来るまで移動させるよう制御することで、反対の端部にある散剤収納体6C(NO.46)にこぼれ落ちた散剤7aは、双方の散剤収納体6C(No.45,46)の底部を開放して散剤7aを落下させることで1包分として精度よく回収できる。
【0047】
本発明では、例えば最大分割数が46包で、これよりも2包以上少ない処方がなされた場合、両端部の散剤収納体6A,6C側の散剤収納体、あるいは両端部の散剤収納体は用いないようにする。これは、次のような理由にもよる。すなわち、エンドレスベルト22は湾曲部領域25,26を有して、したがって散剤収納体も湾曲した軌跡を移動する。したがって、45包よりも2包以上少ない処方がなされた場合、両端部の散剤収納体6A,6C側の散剤収納体は用いず、可及的に中央側の散剤収納体を用いることで湾曲した軌跡を移動する散剤収納体の数を少なくするか無くすことになり、散剤7aの飛び散りを抑えて、分割精度を確保できるからである。
【0048】
また、上記のようにこの薬剤分包装置1では、処方箋に基づく散剤7aの処方量に応じてV升12とフィーダ13の使い分けをすることが可能である。ここで、薬剤分包装置1は45個の散剤収納体6A,6Bに対して21個の散剤収納体6A,6Bを用いるような処方が施された場合(散剤7aの処方量が少ない場合)に、フィーダ13を用いて散剤7aを供給すると、処方に応じた分割数に至るまでに散剤7aがフィーダ13から落下しきってしまうことが考えられ、分割精度が悪くなる。このような場合はで、V升12を用いて散剤7aを散剤収納体群6に供給するようにすれば、精度よく散剤7aを供給することが可能である。また散剤7aの処方量によってはV升12を用いて散剤7aを分割するほうが早いこともある。このような場合では、フィーダ13を用いて分割を行うのに比べて作業性が向上する。
【0049】
逆に、散剤7aの処方量が多い場合はフィーダ13を用いて分割を行えばその作業が楽であり、この場合はV升12を用いて分割を行う場合に比べて作業性が向上する。
【0050】
なお、V升12を使用するときはフィーダ13の駆動はできなようにしておき、フィーダ13を使用するときはV升12の駆動はできないようにしておくことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態を示す薬剤分包装置の全体構成概略斜視図。
【図2】同じく概略正面図。
【図3】同じく分包部の概念斜視図。
【図4】同じく薬剤分包装置の全体構成概略平面図。
【図5】同じく全体構成概略側面図。
【図6】同じく散剤収納体のひとつを拡大した斜視図。
【図7】同じくV升と散剤収納体との関係を示す側面断面図。
【図8】同じく制御フローチャート。
【符号の説明】
【0052】
1…薬剤分包装置、2…本体、5…散剤供給装置、6…散剤収納体群、6A,6B,6C…散剤収納体、7a…散剤、7b…錠剤、8…分包紙、10…分包部、12…V升、13…フィーダ、14…錠剤分包ユニット、15…シュート、15a…下部開口部、16…隔壁、17,18…散剤収納室、20…蓋部材、22…エンドレスベルト、23,24…直線部、25,26…湾曲部、27…固定板、27a…下縁部、28…可動板、28a…下縁部、30…仕切板、31…枢支軸、32…収納スペース、35…基台、36…振動子、37…供給ホッパ、38…散剤供給口、40…錠剤分割収納室、43…シャッタ、44…錠剤収納室、45…供給ホッパ、46…センターカセット、48…ヒートシール装置、50…駆動ローラ、Y…基準位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の散剤収納体からなる散剤収納体群を設け、振動を用いて前記各散剤収納体に散剤を落下させるためのフィーダを前記散剤収納体群の上側に配置し、該散剤収納体群を水平面内で往復移動させつつ、前記フィーダから落下する散剤を各散剤収納体に均等に収納する散剤供給装置であって、散剤の分割数が散剤収納体の個数に比べて2以上少ない場合、散剤の分割数を構成する最も外側の各散剤収納体のさらに外側に少なくともひとつの散剤収納体を残すべく該散剤収納体をフィーダの散剤供給口の直下に至らせず該散剤収納体に落ちる散剤は前記最も外側の両散剤収納体にそれぞれ収納されている散剤とともに回収されることを特徴とする散剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の散剤供給装置を設け、散剤の分割数を構成する散剤収納体に収納した散剤を所定分量づつ分包袋内に封入する分包動作が実行されるよう構成し、散剤の分割数を構成する最も外側の各散剤収納体のさらにひとつ外側の散剤収納体に落ちる散剤を前記最も外側の両散剤収納体にそれぞれ収納されている散剤とともに回収して一包とすることを特徴とする薬剤分包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−30949(P2007−30949A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219094(P2005−219094)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】