説明

散熱装置及びその散熱装置の製造方法

【課題】熱抵抗を低下させることができるとともに、生産コストを節減できる、組み立てが簡単な散熱装置及びそ散熱装置の製造方法を提供する。
【解決手段】散熱装置1は、散熱器11と、少なくとも1個のヒートパイプ12とを備える。散熱器11の吸熱部112を形成する端面113に、開口1141及び封鎖側1142を有する少なくとも1個の凹槽114を陥没状に設置する。そして、ヒートパイプ14の吸熱端121を、対応する凹槽114内に嵌めて設置し、ヒートパイプ14の散熱端122を、散熱器11の散熱部111に設けられた貫通孔に通して設置する。この場合、ヒートパイプ14の導熱面1212は、凹槽114の封鎖側1142に対応して密着され、ヒートパイプ14の吸熱面1211は、散熱器11の端面113に対してフラットになるように設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散熱装置及びその散熱装置製造方法に関し、特に製造コストを節減でき、熱抵抗を低下させることができる散熱装置及びその散熱装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートパイプは、現在、電子設備及び電子部品上に大量に使用されている熱伝導部品である。一般に、ヒートパイプ内部には、水、エタノール、アセトン等の流動性が良好で、気化熱が高く、沸点が低く、しかも化学的性質が安定している熱伝導媒介が充填されている。しかも、ヒートパイプの内壁面には、通常、細かい突起状を呈する多数の毛細構造が形成されている。
【0003】
実際の使用時には、ヒートパイプの一端の蒸発部分は、電子部品上に設置するヒートパイプ台に連接され、ヒートパイプの反対端の凝結部分には、多数の散熱フィンが設置される。
【0004】
このような散熱装置では、ヒートパイプの蒸発部分が熱を受けると、ヒートパイプ蒸発部分内の熱伝導媒介は気化し、大量の気化熱を吸収し、ヒートパイプ台の温度が低下する。その後、この熱伝導媒介は気体としてヒートパイプ凝結部分に拡散する。この熱伝導媒介は、ヒートパイプの内周面の各毛細構造上に密着し、凝結して液体となり、ヒートパイプ蒸発部分へと回流する。同時に、ヒートパイプの各散熱フィンにより、大量の液化熱が発散される。
【0005】
図1は、従来の散熱装置の立体分解図である。図1に示す従来の散熱装置3は、複数のフィンユニットにより構成する散熱器31と、ベース32と、少なくとも1個のヒートパイプ33とを組み合わせて構成される。
【0006】
散熱器31は、受熱部311と、散熱部312とを有している。受熱部311は、ベース32に密着させて設置する。この場合、ヒートパイプ33の一端は、受熱部311とベース32との間を通して設置し、このヒートパイプ33の反対側の他端は、散熱部312に設けられた貫通孔に挿通して設置する。
【0007】
このような散熱装置3は、ベース32と熱源4との接触を通して、熱源4が発生する熱を吸収する。この吸収した熱は、ベース32により散熱器31及びヒートパイプ33に伝えられ、ヒートパイプ33により散熱器31の散熱部312に伝導され、散熱、すなわち放熱される。
【0008】
従来の散熱装置3のベース32の用途として、一つには、散熱器31を固定して結合し、熱を散熱器31を構成するフィンの散熱部312に伝導して外へと散熱することである。
【0009】
もう一つは、散熱器31と組合せることにある。つまり、ヒートパイプ33は、円柱状に構成される管体で、熱源4と直接接触することができないため、ヒートパイプ33と熱源4との間にベース21を設置し、このベース32の片側に設けられた、少なくとも1個の凹槽(凹溝ともいう)321にヒートパイプ33を対応させて収容設置する。そして、その上から散熱器31を組合せる。このような構成により、ベース32と熱源4とが接触しているので、熱源4が発生する熱がベース32に吸収され、吸収された熱が散熱器31及びヒートパイプ33へと伝導することになる。
【0010】
また、ヒートパイプを備えた散熱装置の従来技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、放熱板及びヒートパイプの他に、電子素子の面接触する受熱壁部と、その受熱壁部の厚さ方向に隔離した状態で放熱板に面接触する放熱壁部とを有する金属薄板からなる枠状体を設け、この枠状体の受熱壁部に、ヒートパイプの一端部を熱受可能な状態に取り付けることにより、放熱を行うとともに、放熱構造の軽量化を図るヒートパイプ式放熱構造がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−35979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図1に示す従来の散熱装置は、散熱部品である散熱器31とベース21との組合せ時には、間隙が生じてしまうため、熱抵抗現象が発生する。そのため、ハンダにより溶接して接合し、熱抵抗を低下させるが、あまりにも多くの散熱部品を組合せるため、その散熱効率は相対的に低下する。
【0013】
しかも、多数組の散熱部品を結合して、共同で熱を伝導する方式では、散熱部品同士を組立てるために、いくつかのプロセスを経る必要があり、製造に時間がかかり、コストを引き上げてしまう。
【0014】
さらに、ベース32と散熱器31を組合せると、散熱装置3そのもの体積を拡大させてしまい、しかも重くなり、運搬と移動に不便である。また、散熱装置3は、体積が大きいため、散熱空間が限られている装置には設置することができない。
すなわち、従来の散熱装置は、コストが比較的高く、組み立てに時間がかかり、また、散熱空間が小さいところでは使用できず、熱伝導、及び散熱効率が低いといった問題点があった。
【0015】
また、特許文献1に記載の従来技術は、放熱構造の軽量化を図れるが、受熱壁部と放熱壁部とがその厚さ方向において隔離していることに伴って隙間部が形成されるため、限定された散熱空間を有する装置には有効な構成ではなく、また、熱伝導率、及び散熱効率を高くすることができず、さらには組み立てが繁雑である。
【0016】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、熱抵抗を低下させることができるとともに、生産コストを節減できる、組み立てが簡単な散熱装置及びそ散熱装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の散熱装置は、散熱部と吸熱部とを有する散熱器と、吸熱端と散熱端とを有する少なくとも1個のヒートパイプとを備えた散熱装置であって、前記散熱器の前記吸熱部は、端面を有し、この端面に、開口及び封鎖側を有する少なくとも1個の凹槽を陥没状に設置し、前記ヒートパイプの前記吸熱端は、吸熱面及び導熱面を有し、この吸熱面は、前記導熱面に近接するもので、前記ヒートパイプの吸熱端を、対応する前記凹槽内に嵌めて設置し、前記ヒートパイプの前記散熱端を、前記散熱器の前記散熱部に設けられた貫通孔に通して設置し、前記ヒートパイプの前記導熱面を、前記凹槽の前記封鎖側に対応して密着するとともに、前記ヒートパイプの前記吸熱面を、前記散熱器の前記端面に対してフラットになるように設置したことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の散熱装置の製造方法は、散熱装置の製造方法であって、少なくとも1個のヒートパイプを設け、このヒートパイプを湾曲させてU字形に形成し、このヒートパイプの少なくとも一端の片側を平面に成型するステップと、複数の散熱フィンを設け、これら各散熱フィンの片側に、少なくとも1個の凹槽を陥没状に設け、前記各散熱フィンの他端面には、少なくとも1個の孔口を設けるステップと、前記複数の各散熱フィンを相互に重ねて散熱器を構成するステップと、前記ヒートパイプの平面とした一端及び他端を、前記各散熱フィンの凹槽及び孔口位置にそれぞれ対応させて嵌めて設置し、前記ヒートパイプの平面を凹槽の相互に隣接する両側に対応させてフラットに揃え、前記散熱器に結合することにより散熱装置を構成するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の散熱装置及びその散熱装置の製造方法によれば、熱抵抗を低下させることができるとともに、生産コストを節減でき、組み立てを簡単に行うことができるといった利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の散熱装置の立体分解図。
【図2】本発明の第一実施例に係る散熱装置の立体分解図。
【図3】図2の散熱装置を組み立てた状態の側面図。
【図4】図3の散熱装置の斜視図。
【図5】第一実施例に係る散熱装置の製造方法を示すフローチャート。
【図6】本発明の第二実施例に係る散熱装置の製造方法を示すフローチャート。
【図7】本発明の第三実施例に係る散熱装置の製造方法を示すフローチャート。
【図8】本発明の第四実施例に係る散熱装置の製造方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0022】
(第一実施例)
図2は、本発明の第一実施例に係る散熱装置の立体分解図、図3は、図2の散熱装置を組み立てた状態の側面図、図4は、図3の散熱装置の斜視図である。
【0023】
図2〜図4に示すように、本実施例の散熱装置1は、散熱部111と吸熱部112とを有する散熱器11と、吸熱端121と散熱端122とを有する少なくとも1個のヒートパイプ12とを有して構成される。
【0024】
なお、本実施例では、4本のヒートパイプ12を設けたが、これに限定されるものではなく、必要に応じて数を減らしたり増やしたりしても良い。
【0025】
散熱器11の吸熱部112は、端面113を有している。この端面113には、4個の凹槽114が設けられている。これら凹槽114は、陥没状に形成された凹溝である。これら凹槽114は、開口1141と封鎖側1142とを有して構成される。
【0026】
開口1141及び封鎖側1142は、図4に示すように、ヒートパイプ12の長手方向に対して直交する方向の凹槽114の断面において、端面113に開口する部分が開口1141を形成し、この開口1141の反対側に位置する凹槽114の内部部分が封鎖側1142を形成している。
散熱器11の散熱部111は、吸熱部112と連接する、散熱器11の側面である。この散熱部111には、少なくとも1個の孔口1111が設けられている。この孔口1111は、ヒートパイプ12の長手方向に対して直交する方向に沿って散熱器11内に設けられた貫通孔の開口である。すなわち、散熱器11の両側の散熱部111に、孔口1111が設けられている。
【0027】
ヒートパイプ12の吸熱端121は、吸熱面1211と導熱面1212とを有して構成される。この吸熱面1211は、導熱面1212に延設されており、散熱器11の凹槽114内に対応して嵌入して設置される。また、ヒートパイプ12の導熱面1212は、凹槽114の封鎖側1142に対応して密着される。
【0028】
この場合、ヒートパイプ12の吸熱面1211は、図4に示すように、散熱器11の端面113の面にフラットに揃い、このヒートパイプ12の散熱端122は、散熱器11の散熱部111の挿通孔の孔口1111に通して設置される。
【0029】
なお、本実施例では、ヒートパイプ12の長手方向に対して直交する方向の前記凹槽114の断面において、凹槽の開口1141の長さは、前記封鎖側1142を形成する凹槽114の内径より小さくなるように形成される(図4参照)。
【0030】
散熱器11は、複数の散熱フィン2を相互に重なり合わせて構成される。この場合、各散熱フィン2は、上述したように4個の孔口1111が設けられており、重なり合わせることで、各孔口1111により貫通孔が形成される。
【0031】
また、凹槽114の形状は、ヒートパイプ12の長手方向に対して直交する方向の前記ヒートパイプ12の吸熱端121の断面形状と同じ形状である(図4参照)。
【0032】
次に、上記構成の散熱装置1の製造方法について図5を用いて説明する。図5は、第一実施例に係る散熱装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0033】
第一実施例に係る散熱装置1の製造方法は、図5に示すように、後述するステップA1、ステップA2、ステップA3、およびステップA4を含んでいる。
【0034】
すなわち、散熱装置1の製造方法において、ステップ1Aでは、少なくとも1個のヒートパイプ12を設け、このヒートパイプ12を湾曲させてU字形に形成し、このヒートパイプ12の少なくとも一端(吸熱端121など)の片側を、機械加工等により圧迫し、あるいはフライス加工方式により、平面(吸熱面1211など)に成型する。
【0035】
そして、ステップA2では、複数の散熱フィン2を設け、これら各散熱フィン2の片側(端面113など)に、少なくとも1個の凹槽114を陥没状に設け、前記各散熱フィン2の他端面(散熱部111など)には、少なくとも1個の孔口1111を設ける。
【0036】
次に、ステップA3では、前記複数の各散熱フィン2を相互に重ねて散熱器11を構成する。この場合、既に凹槽114及び孔口1111が設置された複数の散熱フィン2を相互に重ねて散熱器11を構成することになる。
【0037】
その後、ステップA4により、前記ヒートパイプ12の平面とした一端(吸熱端121)及び他端(散熱端122)を、前記各散熱フィン2の凹槽114及び孔口1111位置にそれぞれ対応させて嵌めて設置し、前記ヒートパイプ12の平面(吸熱面1211)を凹槽114の相互に隣接する両側(すなわち、端面113)に対応させてフラットに揃え、前記散熱器11に結合することにより散熱装置1を構成する。
【0038】
本実施例の散熱装置1は、上述したように、ヒートパイプ12の吸熱面1211を凹槽114の相互に隣接する両側、すなわち、端面113に対応させてフラットに揃え、散熱器11に結合しており、この散熱器11の端面113及びヒートパイプ12の吸熱面1211が熱源に直接接触することになる。すなわち、熱伝導率が向上し、かつ、散熱効率を向上できる。
【0039】
また、上述した散熱装置1の製造方法で説明したように、複数の散熱部品を製造あるいは組み立てることなく、簡単な製造工程で散熱部品を製造することができ、さらに、簡単な組み立て工程で散熱装置1を組み立てることができるので、散熱装置1の製造時間の短縮を行える。
【0040】
さらに、本実施例の散熱装置1は、従来技術におけるベース32(図1参照)用いずに構成できるので、その分従来技術よりも体積を小さくすることができ、散熱装置1の重量を軽くすることは勿論、散熱空間が限られている装置でも設置することが可能である。
【0041】
したがって、第一実施例によれば、熱抵抗を低下させることができるとともに、生産コストを節減でき、組み立てを簡単に行うことができる散熱装置及びその散熱装置の製造方法の実現が可能である。
【0042】
(第二実施例)
次に、本発明の第二実施例に係る散熱装置1の製造方法について図6を用いて説明する。図6は、第二実施例に係る散熱装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0043】
第二実施例に係る散熱装置の製造方法は、図6に示すように、後述するステップB1、ステップB2、およびステップB3を含んでいる。
【0044】
すなわち、散熱装置1の製造方法において、ステップB1では、少なくとも1個のヒートパイプ12を設け、このヒートパイプ12を湾曲させてU字形に形成し、このヒートパイプ12の少なくとも一端(吸熱端121など)の片側を、機械加工等により圧迫し、あるいはフライス加工方式により、平面(吸熱面1211など)に成型する。
【0045】
そして、ステップB2では、複数の散熱フィン2を設け、これら各散熱フィン2の片側(端面113など)に、少なくとも1個の凹槽114を陥没状に設け、前記各散熱フィン2の他端面(散熱部111など)には、少なくとも1個の孔口1111を設ける。
【0046】
その後、ステップB3により、前記各散熱フィン2の凹槽114及び孔口1111を、前記ヒートパイプ12の平面とした一端(吸熱端121)及び反対端(散熱端122)にそれぞれ対応させ、前記各散熱フィン2を一つ一つ前記ヒートパイプ12の両端(吸熱端121及び散熱端122)に嵌めて接続し、前記ヒートパイプ12の平面(吸熱面121)を前記凹槽114の相互に隣接する両側(すなわち、端面113)に対応させてフラットに揃え、前記各散熱フィン2と結合することにより散熱装置1を構成する。
【0047】
したがって、第二実施例によれば、前記ステップB3により、各散熱フィン2の凹槽114及び孔口1111を、ヒートパイプ12の平面とした吸熱端121及び散熱端122にそれぞれ対応させ、前記各散熱フィン2を一つ一つヒートパイプ12の吸熱端121及び散熱端122に嵌めて接続し、ヒートパイプ12の吸熱面121を前記凹槽114の相互に隣接する端面113に対応させてフラットに揃え、前記各散熱フィン2と結合するように製造した場合でも、前記第一実施例と同様の散熱装置1を構成することが可能となり、同様の効果が得られる。
【0048】
(第三実施例)
次に、本発明の第三実施例に係る散熱装置1の製造方法について図7を用いて説明する。図7は、第三実施例に係る散熱装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0049】
第三実施例に係る散熱装置の製造方法は、図7に示すように、後述するステップC1、ステップC2、ステップC3およびステップC4を含んでいる。
【0050】
すなわち、散熱装置1の製造方法において、ステップC1では、少なくとも1個のヒートパイプ12を設け、このヒートパイプ12を湾曲させてU字形に形成する。
【0051】
そして、ステップC2では、複数の散熱フィン2を設け、これら各散熱フィン2の片側(端面113など)に、少なくとも1個の凹槽114を陥没状に設け、各散熱フィン2の他端面(散熱部111など)には、少なくとも1個の孔口1111を設ける。
【0052】
次に、ステップC3では、ヒートパイプの両端(吸熱端121及び散熱端122)を、各散熱フィン2の凹槽114及び孔口1111位置にそれぞれ対応させ、前記各散熱フィン2を前記ヒートパイプ12の吸熱端121及び散熱端122に一つ一つ嵌めて設置して、散熱装置1を構成する。
【0053】
その後、ステップC4により、ヒートパイプ12を前記凹槽114の一端(吸熱端121)に通して設置し、機械加工等により圧迫し、あるいはフライス加工方式により、平面(吸熱面1211など)に成型する。これにより、前記平面(吸熱面1211)と前記散熱装置1の凹槽114を備える片側(端面113)とを相互にフラットに揃えることができる。
【0054】
したがって、第三実施例によれば、ステップC4により、ヒートパイプ12を前記凹槽114の一端(吸熱端121)に通して設置し、機械加工等により圧迫し、あるいはフライス加工方式により、平面(吸熱面1211など)に成型することで、前記平面(吸熱面1211)と前記散熱装置1の凹槽114を備える片側(端面113)とを相互にフラットに揃えるように製造した場合でも、前記第一実施例と同様の散熱装置1を構成することが可能となり、同様の効果が得られる。
【0055】
(第四実施例)
次に、本発明の第四実施例に係る散熱装置1の製造方法について図8を用いて説明する。図8は、第四実施例に係る散熱装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0056】
第四実施例に係る散熱装置の製造方法は、図8に示すように、後述するステップD1、ステップD2、ステップD3、ステップD4およびステップD5を含んでいる。
【0057】
すなわち、散熱装置1の製造方法において、ステップD1では、少なくとも1個のヒートパイプ12を設け、このヒートパイプ12を湾曲させてU字形に形成する。
【0058】
そして、ステップD2では、複数の散熱フィン2を設け、これら各散熱フィン2の片側(端面113など)に、少なくとも1個の凹槽114を陥没状に設け、各散熱フィン2の他端面(散熱部111など)には、少なくとも1個の孔口1111を設ける。
【0059】
次に、ステップD3では、前記複数の各散熱フィン2を相互に重ねて散熱器11を構成する。この場合、既に凹槽114及び孔口1111が設置された複数の散熱フィン2を相互に重ねて散熱器11を構成することになる。
【0060】
そして、ステップD4では、ヒートパイプの両端(吸熱端121及び散熱端122)を、各散熱フィン2の凹槽114及び孔口1111位置にそれぞれ対応させ、散熱器11と嵌めて組み合わせ、すなわち、接続することにより散熱装置1を構成する。
【0061】
最後に、ステップD5により、ヒートパイプ12を前記凹槽114の一端(吸熱端121)に通して設置し、機械加工等により圧迫し、あるいはフライス加工方式により、平面(吸熱面1211など)に成型する。これにより、前記平面(吸熱面1211)と前記散熱装置1の凹槽114を備える片側(端面113)とを相互にフラットに揃えることができる。
【0062】
したがって、第三実施例によれば、ステップD4により、ヒートパイプの両端(吸熱端121及び散熱端122)を、各散熱フィン2の凹槽114及び孔口1111位置にそれぞれ対応させ、散熱器11と嵌めて接続することにより散熱装置1を構成し、次に、ステップD5により、ヒートパイプ12を前記凹槽114の一端(吸熱端121)に通して設置し、機械加工等により圧迫し、あるいはフライス加工方式により、平面(吸熱面1211など)に成型することで、前記平面(吸熱面1211)と前記散熱装置1の凹槽114を備える片側(端面113)とを相互にフラットに揃えるように製造した場合でも、前記第一実施例と同様の散熱装置1を構成することが可能となり、同様の効果が得られる。
【0063】
なお、前記第一乃至第4実施例における散熱装置の製造方法において、必要に応じて各手順を入れ替えたり、あるいは組み合わせても良く、図5乃至図8に示す処理手順に限定されるものではない。
【0064】
本発明は、以上述べた実施例及び変形例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…散熱装置、
11…散熱器、
111…散熱部、
1111…孔口、
112…吸熱部、
113…端面、
114…凹槽、
1141…開口、
1142…封鎖側、
12…ヒートパイプ、
121…吸熱端、
1211…吸熱面、
1212…導熱面、
122…散熱端、
2…散熱フィン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散熱部と吸熱部とを有する散熱器と、吸熱端と散熱端とを有する少なくとも1個のヒートパイプとを備えた散熱装置であって、
前記散熱器の前記吸熱部は、端面を有し、この端面に、開口及び封鎖側を有する少なくとも1個の凹槽を陥没状に設置し、
前記ヒートパイプの前記吸熱端は、吸熱面及び導熱面を有し、この吸熱面は、前記導熱面に近接するもので、前記ヒートパイプの吸熱端を、対応する前記凹槽内に嵌めて設置し、
前記ヒートパイプの前記散熱端を、前記散熱器の前記散熱部に設けられた貫通孔に通して設置し、前記ヒートパイプの前記導熱面を、前記凹槽の前記封鎖側に対応して密着するとともに、前記ヒートパイプの前記吸熱面を、前記散熱器の前記端面に対してフラットになるように設置したことを特徴とする散熱装置。
【請求項2】
前記ヒートパイプの長手方向に対して直交する方向の前記凹槽の断面において、前記凹槽の開口の長さは、前記封鎖側を形成する凹槽の内径より小さいことを特徴とする請求項1に記載の散熱装置。
【請求項3】
前記散熱器は、複数の散熱フィンを相互に重なり合わせて構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の散熱装置。
【請求項4】
前記凹槽の形状は、前記ヒートパイプの長手方向に対して直交する方向の前記ヒートパイプの吸熱端の断面形状と同じ形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の散熱装置。
【請求項5】
散熱装置の製造方法であって、
少なくとも1個のヒートパイプを設け、このヒートパイプを湾曲させてU字形に形成し、このヒートパイプの少なくとも一端の片側を平面に成型するステップと、
複数の散熱フィンを設け、これら各散熱フィンの片側に、少なくとも1個の凹槽を陥没状に設け、前記各散熱フィンの他端面には、少なくとも1個の孔口を設けるステップと、
前記複数の各散熱フィンを相互に重ねて散熱器を構成するステップと、
前記ヒートパイプの平面とした一端及び他端を、前記各散熱フィンの凹槽及び孔口位置にそれぞれ対応させて嵌めて設置し、前記ヒートパイプの平面を凹槽の相互に隣接する両側に対応させてフラットに揃え、前記散熱器に結合することにより散熱装置を構成するステップと、
を含むことを特徴とする散熱装置の製造方法。
【請求項6】
散熱装置の製造方法であって、
少なくとも1個のヒートパイプを設け、このヒートパイプを湾曲させてU字形に形成し、このヒートパイプの少なくとも一端の片側を平面に成型するステップと、
複数の散熱フィンを設け、これら各散熱フィンの片側に、少なくとも1個の凹槽を陥没状に設け、前記各散熱フィンの他端面には、少なくとも1個の孔口を設けるステップと、
前記各散熱フィンの凹槽及び孔口を、前記ヒートパイプの平面とした一端及び反対端にそれぞれ対応させ、前記各散熱フィンを一つ一つ前記ヒートパイプの両端に嵌めて接続し、前記ヒートパイプの平面を前記凹槽の相互に隣接する両側に対応させてフラットに揃え、前記各散熱フィンと結合することにより散熱装置を構成するステップと、
を含むことを特徴とする散熱装置の製造方法。
【請求項7】
散熱装置の製造方法であって、
少なくとも1個のヒートパイプを設け、このヒートパイプを湾曲させてU字形に形成するステップと、
複数の散熱フィンを設け、これら各散熱フィンの片側に、少なくとも1個の凹槽を陥没状に設け、前記各散熱フィンの端面に少なくとも1個の孔口を設けるステップと、
前記ヒートパイプの両端を、前記各散熱フィンの凹槽及び孔口位置にそれぞれ対応させ、前記各散熱フィンを前記ヒートパイプの両端に一つ一つ嵌めて設置して、散熱装置を構成するステップと、
前記ヒートパイプを前記凹槽の一端に通して設置し、加工して平面に成型することにより、前記ヒートパイプと前記散熱装置の凹槽を備える片側とをフラットに揃えるように構成するステップと、
を含むことを特徴とする散熱装置の製造方法。
【請求項8】
散熱装置の製造方法であって、
少なくとも1個のヒートパイプを設け、このヒートパイプを湾曲させてU字形に形成するステップと、
複数の散熱フィンを設け、これら各散熱フィンの片側に、少なくとも1個の凹槽を陥没状に設け、前記各散熱フィンの端面に少なくとも1個の孔口を設けるステップと、
前記複数の各散熱フィンを相互に重ねて散熱器を構成するステップと、
前記ヒートパイプの両端を、前記各散熱フィンの凹槽及び孔口位置にそれぞれ対応させ、前記散熱器と嵌めて接続することにより散熱装置を構成するステップと、
前記ヒートパイプを前記凹槽の一端に通して設置し、加工して平面に成型することにより、前記ヒートパイプと該散熱装置の凹槽を備える片側とをフラットに揃えるように構成するステップと、
を含むことを特徴とする散熱装置の製造方法。



【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−13263(P2012−13263A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148112(P2010−148112)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(504115301)奇▲こう▼科技股▲ふん▼有限公司 (82)
【Fターム(参考)】