説明

散薬供給機構用端板ユニット及び散薬分配装置

【課題】固定端板と長尺可動板との間の隙間からの散薬の漏れ出しを有効に防止し得る端板ユニットの提供。
【解決手段】長尺固定板60と、長尺固定板60の長手方向に延び、長尺固定板60との共働下に閉塞位置及び開放位置をとり得るように、揺動可能とされた長尺可動板70と、長尺可動板70の一端部における端面と対向する内端面を有する端板180と、収容スペースの長手方向長さを調整し得るように、長手方向移動自在とされた仕切板ユニットとを備えた散薬供給装置に適用される端板ユニットであって、揺動自在に装着された補助板200を備え、補助板200は、長尺可動板70が閉塞位置に位置する際には長尺可動板70の内面及び長尺固定板60の内面とそれぞれ接合して収容スペースの長手方向一端部位置を画し、且つ、長尺可動板70が閉塞位置から開放位置へ移行される際には長尺可動板70に対して相対移動不能状態で回転軸回りに揺動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方から投入される散薬を一時的に保持収容すると共に、該保持した散薬を下方へ落下させるように構成された散薬供給機構に適用される端板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や薬局等の医療機関においては、処方箋に基づき、所定量の散薬を所定数に分包する作業が日常的に行われている。
斯かる分包作業の効率化を図る為に、従来から散薬分包装置が使用されている。
【0003】
該散薬分包装置は、上方から投入される所定量の散薬を一時的に保持収容し、且つ、該収容した散薬を下方へ落下させる散薬供給機構と、該散薬供給機構の下方に配設され、前記所定量の散薬を所定数に分割保持する散薬分割機構と、該散薬分割機構の下方に配設された包装機構とを備えている。
【0004】
詳しくは、前記散薬供給機構は、長手方向が互いに同一方向を向くように配設された長尺固定板及び長尺可動板を有している。前記長尺可動板は、前記長尺固定板との共働下に上方から投入される散薬の収容スペースを形成する閉塞位置と、該収容スペース内の散薬を下方へ落下させる開放位置とをとり得るように、前記長手方向に沿った枢支軸周り揺動可能とされている。
【0005】
斯かる構成を備えることにより、前記散薬供給機構は、前記長尺可動板を閉塞位置に位置させた状態で上方から散薬を投入し、該散薬の上面を均した後、前記長尺可動板を開放位置に位置させることで、後続する散薬分割機構に散薬を供給し得るようになっている。
【0006】
ところで、前記散薬供給機構には、分割数に応じて前記収容スペースの長手方向長さを調整可能とする為に、前記長尺固定板に対して長手方向移動自在とされた仕切板が備えられている。
【0007】
該仕切板は、前述の通り、前記収容スペースを仕切るものであるから、該収容スペースを画する長尺固定板及び長尺可動板の各内面に接合される必要があるが、その一方で、前記長尺可動板の揺動動作を阻害しないことも要求される。
【0008】
斯かる要望に応える為に、例えば、特許文献1には、仕切板に補助板を軸着してなる構成が提案されている。
該特許文献1に開示の構成は、閉塞位置にある長尺可動板の内面との間に逃げ面が画されるように仕切板を構成すると共に、該逃げ面を閉鎖するように前記補助板を仕切板に軸着しており、これにより、長尺可動板の揺動動作を妨げることなく、収容スペースを有効に仕切れるようになっている。
【0009】
このように、前記特許文献1の構成は有用ではあるが、その一方、下記点において問題を有していた。
即ち、前記仕切板及び前記補助板は、前述の通り、互いに相対移動可能とされているから、両者の当接部分に散薬が入り込む恐れがある。
この仕切板及び補助板の間に入り込んだ散薬は、後続する他の散薬分割作業時に混入して分量誤差の原因となる為、一処方毎に取り除くのが好ましい。
特に、異なる種類の散薬を連続して分割作業する際に、仕切板及び補助板の間に入り込んだ散薬が残留散薬として次段の散薬に混入すると調剤過誤が生じる。従って、該残留散薬は十分に除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公昭63−41282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記特許文献1の構成においては、仕切板及び補助板が軸着されている為、この入り込んだ散薬を取り除くのは非常に面倒であり、ユーザー側で対応できていないのが現状である。
又、前記特許文献1に開示の構成においては、前記仕切板及び前記補助板の軸着部分が散薬の収容スペースに臨んでいる。従って、該軸着部分にも散薬が入り込む恐れがある。
【0012】
さらに、前記従来の散薬供給機構においては、前記収容スペースの前記仕切板とは反対側の長手方向端部は前記長尺固定板の長手方向端部における端面と当接する固定端板によって画されている。
即ち、前記従来の構成においては、前記長尺可動板が閉塞位置から開放位置へ移行する際に、該長尺可動板の長手方向端部が前記固定端板に対して摺動するようになっている。
斯かる構成においては、前記長尺可動板の長手方向端部と前記固定端板との間に隙間が生じ易く、該隙間から薬剤が漏れ出す恐れがある。
【0013】
本発明は、固定端板と長尺可動板との間に生じ得る隙間からの散薬の漏れ出しを有効に防止し得る端板ユニットの提供を目的とする。
又、仕切板及び該仕切板に揺動自在とされた補助板を有する仕切板ユニットであって、可動板の揺動動作を阻害することなく、実質的な仕切り面積の拡大を図ることができると共に、仕切板と補助板との間に入り込んだ散薬を簡便に取り除くことができる仕切板ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記目的を達成する為に、長尺固定板と、前記長尺固定板の長手方向と同一方向に延びる長尺可動板であって、該長尺固定板との共働下に上方から投入される散薬の収容スペースを形成する閉塞位置及び該収容スペース内の散薬を下方へ落下させる開放位置をとり得るように、前記長手方向に沿った枢支軸周り揺動可能とされた長尺可動板と、前記長尺可動板の一端部における端面と対向する内端面を有する端板と、前記収容スペースの長手方向長さを調整し得るように、前記長手方向移動自在とされた仕切板ユニットとを備えた散薬供給装置に適用される端板ユニットであって、前記端板に前記長手方向に沿った回転軸周り揺動自在に装着された補助板を備え、前記補助板は、前記長尺可動板が閉塞位置に位置する際には該長尺可動板の内面及び前記長尺固定板の内面とそれぞれ接合して前記収容スペースの前記長手方向一端部位置を画し、且つ、前記長尺可動板が閉塞位置から開放位置へ移行される際には該長尺可動板に対して相対移動不能状態で前記回転軸回りに揺動される散薬供給機構用端板ユニットを提供する。
好ましくは、前記補助板は、前記端板に対して着脱可能とされる。
【0015】
一態様においては、前記端板は、前記収容スペースを向く前記内端面に前記回転軸と同軸上に配設された軸部又は軸受部の一方を有し、前記補助板は、前記端板の内端面と対向する外端面に配設された前記軸部又は軸受部の他方を有する。
【0016】
好ましくは、前記補助板は、閉塞位置に位置する長尺可動板の内面及び前記長尺固定板の内面の交差点から該長尺可動板の内面に沿って当接しつつ延びる第1側辺と、前記交差点から長尺固定板の内面に沿って当接しつつ延びる第2側辺と、該第2側辺の自由端部に連設された湾曲部であって、前記長尺固定板から離間する方向へ延びる湾曲部とを有し得る。
【0017】
さらに、本発明は、前記目的を達成する為に、前記何れかの構成に係る端板ユニットを備えた散薬供給機構と、該散薬供給機構の下方に配設された散薬分配機構とを備えた散薬分配装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係る端板ユニットは、端板に対して回転軸回り揺動自在に装着された補助板であって、長尺可動板が閉塞位置に位置する際には該長尺可動板の内面及び長尺固定板の内面とそれぞれ接合して収容スペースの長手方向一端部位置を画し、且つ、前記長尺可動板が閉塞位置から開放位置へ移行される際には該長尺可動板に対して相対移動不能状態で前記回転軸回りに揺動される補助板を備えている。
従って、固定設置された端板によって収納スペースの長手方向一端部位置を画していた従来構成においては生じる恐れのあった長尺可動板及び固定端板間の隙間からの散薬漏れ出しを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係る仕切板ユニットの一実施の形態が適用された散薬供給機構を備えた薬剤分包装置の斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1におけるII−II線断面図であって、本発明の一実施の形態に係る散薬供給機構の縦断面を示している。図2(b)は、図2(a)に示す散薬供給機構の概略平面図である。
【図3】図3(a)は、収容スペース側から視た仕切板本体の内側面図である。図3(b)は、外方から視た仕切板本体の外側面図である。図3(c)は、図3(b)におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4(a)は、収容スペース側から視た補助板の内側面図である。図4(b)は、外方から視た補助板の外側面図である。図4(c)は、図4(b)におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る端板ユニットの一実施の形態が適用された散薬供給機構の部分平面図である。
【図6】図6は、図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図7(a)は、図5及び図6に示す散薬供給機構における端板を収容スペース側から視た内側面図である。図7(b)は、図7(a)におけるVII−VII線断面図である。
【図8】図8(a)は、前記端板ユニットにおける補助板を収容スペース側から視た内側面図である。図8(b)は、図8(a)におけるVIII−VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
以下、本発明に係る仕切板ユニットの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係る仕切ユニット1が適用された散薬供給機構50を備えた薬剤分包装置100の斜視図である。
【0021】
前記薬剤分包装置100は、前記散薬供給機構50と、該散薬供給機構50の下方に配設された散薬分割機構(図示せず)と、該薬剤分割機構の下方に配設された包装機構とを備え、前記散薬供給機構に投入される散薬を所定数に均等分割すると共に、該均等分割された散薬をそれぞれ個別に包装し得るようになっている。
なお、図中90は、前記薬剤分包装置100に備えられる錠剤分割機構であり、該薬剤分包装置100は、散薬に加えて錠剤も分包し得るようになっている。
【0022】
図2(a)に、図1におけるII−II線断面図であって、本実施の形態に係る散薬供給機構50の縦断面図を示す。又、図2(b)に、前記散薬供給機構50の概略平面図を示す。
図1及び図2に示すように、前記散薬供給機構50は、長手方向が互いに同一方向を向くように配設された長尺固定板60及び長尺可動板70を有している。
【0023】
前記長尺固定板60は、前記薬剤分包装置100におけるフレーム等の固定部材に固定されている。
他方、前記長尺可動板70は、前記固定部材に前記長手方向に沿った枢支軸70a周り揺動可能に支持されている。
例えば、該長尺可動板70は、前記長手方向に沿って延びる本体部71と、該本体部71の両端部から直交する方向に延びる延在部72とを備えることができ、該延在部72に前記枢支軸70aを挿通させることができる。
【0024】
詳しくは、前記長尺可動板70は、前記枢支軸70a周りに、前記長尺固定板60との共働下に上方から投入される散薬の収容スペースSを形成する閉塞位置(図2(a)の実線)と、該収容スペースS内の散薬を下方へ落下させる開放位置(図2(b)の二点鎖線)とをとり得るように構成されている。
【0025】
即ち、該散薬供給機構50は、前記長尺可動板70を閉塞位置に位置させた状態において、該長尺可動板70と前記長尺固定板60とにより画される収容スペースS内に、上方から投入される散薬を一時的に収容し得るようになっている。そして、該収容スペースS内に投入された散薬の上面を均した後に、前記長尺可動板70を開放位置に位置させることで、下方に配設されている散薬分割機構に所定量の散薬を均一に供給し得るようになっている。
なお、前記散薬供給機構50は、前記長尺固定板60及び長尺可動板70に加えて、両者の長手方向端部間を閉塞する一対の端板80a,bを有している。
【0026】
前記散薬供給機構50には、さらに、前記収容スペースSの長手方向長さを調整する前記仕切板ユニット1が装着されている。
該仕切板ユニット1は、処方箋に応じて変動する分割数に対応可能とする為に、前記散薬供給機構50に装着される。
即ち、前記長尺固定板60,前記長尺可動板70,前記一対の端板の一方80a及び前記仕切板ユニット1によって前記収容スペースSが画されるようになっており、該仕切板ユニット1を長手方向に摺動させることで該収容スペースSの長さを調整し得るようになっている。
【0027】
詳しくは、前記仕切板ユニット1は、前記長尺固定板50に対して長手方向移動自在に装着され、前記収容スペースSの長手方向長さを調整する仕切板本体10と、前記仕切板本体10に前記長手方向に沿った回転軸20a周り揺動自在に装着された補助板20とを備えている。
【0028】
図3(a)及び(b)に、それぞれ、収容スペースS側から視た前記仕切板本体10の端面(内側面)、及び外方から視た該仕切板本体10の端面(外側面)を示す。又、図3(c)に、図3(b)におけるIII−III線断面図を示す。
【0029】
前記仕切板本体10は、ローラ等の摺動部材30(図2参照)を介して、前記長尺固定板60に長手方向移動自在に装着される。
詳しくは、該仕切板本体10は、図2及び図3に示すように、閉塞位置に位置する前記長尺可動板70の内面に沿って延びる第1接合面11aと、該第1接合面11aから延びる非接合面11bと、前記長尺固定板60の内面に沿って延びる第2接合面12とを有している。
【0030】
前記第1接合面11aは、閉塞位置に位置する前記長尺可動板70の内面のうち,最下端から所定距離までの間と接合するように構成されている。即ち、該第1接合面11aの長さP1は、前記長尺可動板70の内面幅Wよりも短くされている。
斯かる構成により、前記長尺可動板70が閉塞位置に位置する際に、前記非接合面11bと該長尺可動板70の内面との間には間隙が存在するようになっている。該間隙は、前記長尺可動板70を前記枢支軸70a周りに閉塞位置(図2(a)の実線)から開放位置(図2(a)の二点鎖線)へ揺動させる際に、該長尺可動板70と前記仕切板本体10とが抵触することを防止する。
【0031】
前記第2接合面12は、好ましくは、前記長尺固定板60の内面の幅方向全域に亘って延びるものとされる。即ち、好ましくは、第2接合面12の長さは、前記長尺固定板60の内面幅よりも長くされる。
【0032】
前記補助板20は、前記長尺可動板70が閉塞位置に位置する際の該長尺可動板70の内面と前記仕切板本体10の前記非接合面11bとの間の前記間隙の少なくとも一部を覆うように構成されており、これにより、実質的に仕切面積を向上させている。
本実施の形態においては、前記補助板20は、閉塞位置に位置する前記長尺可動板70の内面と前記長尺固定板60の内面との交差点から該長尺可動板70の内面に沿って延びる第3接合面21を有している。
該第3接合面21は前記第1接合面の長さP1よりも長い長さP3を有しており、これにより、P3−P1に対応した面積だけ実質的な仕切面積を向上させている。
なお、該補助板20は、前述の通り、前記仕切板本体10に対して前記回転軸20a周り揺動自在とされている為、該補助板20が前記長尺可動板70の揺動動作を妨げることもない。
【0033】
好ましくは、前記補助板20は、前記長尺可動板70が閉塞位置に位置されている際に前記長尺固定板60の内面に沿って延びる第4接合面22と、前記第3接合面21及び前記第4接合面22の上端部間に延びる上端面24とを有するものとされる。そして、前記上端面24と前記第4接合面22とは湾曲面29を介して連結される。
斯かる構成を備えることにより、前記長尺可動板70を閉塞位置から開放位置に揺動させる際に、前記補助板20が前記長尺固定板60と抵触することを有効に防止できる。
【0034】
斯かる構成の前記補助板20は、前記仕切板本体10に対して着脱可能とされており、これにより、前記種々の効果を奏しつつ、仕切板本体10と補助板20との間に入り込んだ散薬を容易に除去できるようになっている。
即ち、一の処方箋に基づき一の散薬の分割作業を行った後、他の処方箋に基づき他の散薬の分割作業を行う際に、前記一の散薬の一部が前記仕切板本体10と補助板20との間に入り込んでいると、該一の散薬が他の散薬に混入する恐れがある。
本実施の形態に係る仕切板ユニット1は、前記仕切板本体10と該仕切板本体10に揺動自在とされた前記補助板20とを着脱可能としており、これにより、該仕切板本体10と補助板20との間に入り込んだ散薬を容易に除去可能としている。
【0035】
以下、本実施の形態に係る仕切板ユニット1の前記仕切板本体10と前記補助板20との着脱構造について説明する。
図4(a)及び(b)に、それぞれ、収容スペースS側から視た前記補助板20の端面(内側面)、及び、反対側から視た前記補助板20の端面(外側面)を示す。又、図4(c)に、図4(b)におけるIV−IV線断面図を示す。
【0036】
図3に示すように、前記仕切板本体10には、前記収容スペースSを向く内側面13aと、該内側面13aとは反対方向を向く外側面13bとの間を連通する係入開口15が設けられている。
【0037】
本実施の形態において、前記係入開口15は、中心が前記回転軸20aとなる小径部16と、中心が該小径部16の中心から偏心された大径部17と、前記小径部16及び大径部17の間を連通する連通部18とを含んでいる。
前記連通部18は、前記小径部16の直径よりも幅狭とされている。
【0038】
他方、前記補助板20は、図4に示すように、収容スペースSを向く内側面23aとは反対の外方を向く外側面23bに係入突起25を有している。
該係入突起25は、前記外側面23bから外方へ延びる軸部26と、該軸部26からさらに外方へ延びる頭部27とを有している。
【0039】
前記軸部26は、前記連通部18の幅よりも大径で且つ前記小径部16よりも小径とされている。
又、前記頭部27は、前記軸部26と同心上に配設されており、前記小径部16より大径で且つ前記大径部17よりも小径とされている。
【0040】
斯かる構成を備えることで、前記補助板20の頭部27を前記仕切板本体10の大径部17に挿通させた状態で、該補助板20の軸部26を前記連通部18を介して前記小径部16へ移動させ、該補助板20の係入突起25を前記仕切板本体10の小径部16に位置合わせさせることにより、該補助板20を前記小径部16の中心周りに前記仕切板本体10に対し揺動自在に連結させることができる。
又、前記仕切板本体10に連結されている補助板20は、前記軸部26を前記連通部18を介して前記大径部17へ移動させることで、該仕切板本体10から極めて容易に取り外される。
【0041】
このように、本実施の形態に係る仕切板ユニット1は、前記仕切板本体10に揺動自在に連結された前記補助板20が、該仕切板本体10から脱離可能とされている。従って、仕切板本体10と補助板20との間に入り込んだ残留散薬を容易に除去させることができ、これにより、後続する散薬分割作業時における分量誤差や異種散薬の混入を有効に防止できる。
【0042】
さらに、本実施の形態において採用した仕切板本体10と補助板20との前記連結構造は、収容スペースSに臨んでいない。
即ち、本実施の形態においては、前記補助板20の外側面に形成した係入突起25と前記仕切板本体10に形成した係入開口15とにより両者を連結しており、前記補助板20の内側面23aには、前記仕切板本体10との連結構造が存在しない。
従って、従来の軸着構造のように、仕切板本体と補助板との連結構造部分に散薬が入り込むことはなく、これによっても残留散薬の混入を有効に防止できる。
【0043】
前記補助板20の内側面23a及び外側面23bの間の厚みがL1、前記軸部26の長さがL2、前記頭部27の厚みがL3とされる場合(図4(c)参照)、好ましくは、前記仕切板本体10には、内側面13aのうち前記補助板20の揺動領域に深さL1の凹所19aを形成することができる。
斯かる構成を備えることにより、仕切板本体10及び補助板20の連結時における収容スペースSを向く面の段差を可及的に防止できる。
【0044】
より好ましくは、前記仕切板本体10の外側面13bのうち,前記係入開口15を囲繞する領域に深さL3のざぐり部19bを形成すると共に、該係入開口15の厚みをL2とすることができる。
斯かる構成を備えることにより、仕切板本体10及び補助板20の連結体を、ほぼ全域に亘って均一な厚みとすることができる。
【0045】
なお、本実施の形態においては、前記仕切板ユニット1が散薬供給機構50に予め備えられた場合を例に説明したが、当然ながら、本発明に係る仕切板ユニット1を既存の散薬供給機構に適用することも可能である。
即ち、既存の散薬供給機構を備えた薬剤分配装置に対しては、該既存の散薬供給機構における仕切板を取り外し、本発明に係る仕切板ユニットを装着すれば良い。
【0046】
又、本実施の形態においては、前記仕切板本体10及び補助板20の双方が前記収容スペースSの長手方向端部を画するように構成したが、前記補助板20のみが該収容スペースSの長手方向端部を画するように構成することも可能である。
即ち、前記補助板20のみによって前記収容スペースSの長手方向端部を画し、前記仕切板本体10は該補助板20を支持する支持部材としてのみ作用するように構成することも可能である。
斯かる態様においては、前記仕切板本体10は、前記長手方向移動自在であり、且つ、前記補助板20を支持し得る限り、種々の形態を有し得る。
【0047】
実施の形態2.
以下、本発明に係る端板ユニットの一実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施の形態に係る端板ユニットが適用された散薬供給機構150の部分平面図である。又、図6は、図5におけるVI−VI線断面図である。
なお、本実施の形態において、前記実施の形態1におけると同一又は相当部材は同一符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
該散薬供給機構150は、前記実施の形態1における散薬供給機構50と実質的に同一構成を備えている。
即ち、該散薬供給機構150は、長尺固定板60と、前記長尺固定板60の長手方向と同一方向に延びる長尺可動板70であって、前記長手方向に沿った枢支軸周り揺動可能とされた長尺可動板70と、前記長尺固定板50の一端部近傍及び前記長尺可動板の対応する一端部近傍に位置する端板180と、前記長手方向摺動自在とされた仕切板ユニット(図示せず)とを備えている。
【0049】
前記端板180は、閉塞位置に位置する長尺可動板70(図6における実線)と長尺固定板60とにより形成される前記収容スペースSの長手方向一端側に位置している。
より詳しくは、前記端板180は、前記収容スペースSを向く内端面181が前記長尺可動板70の長手方向一端部における端面75と対向するように、配置されている。即ち、前記長尺可動板70は、長手方向一端部における端面75が前記端板180の内端面181に対向した状態で、閉塞位置及び開放位置をとり得るようになっている。
【0050】
本実施の形態に係る端板ユニットは、斯かる構成の散薬供給機構150に適用される。
具体的には、該端板ユニットは、前記端板180に前記長手方向に沿った回転軸200a周り揺動自在に装着された補助板200を備えている。
前記補助板200は、前記長尺可動板70が閉塞位置に位置する際には該長尺可動板70の内面及び前記長尺固定板60の内面とそれぞれ接合して前記収容スペースSの前記長手方向一端部位置を画定する閉塞状態をとり、且つ、前記長尺可動板70が閉塞位置から開放位置へ移行される際には該長尺可動板70に対して相対移動不能となるように前記回転軸200a回りに揺動されるようになっている(図6参照)。
【0051】
即ち、該補助板200は、前記長尺可動板70が閉塞位置に位置する際において前記収容スペースSの長手方向一端部位置を画しつつ、該長尺可動板70の閉塞位置から開放位置への揺動を許容し得るようになっており、これにより、以下の効果を奏する。
【0052】
前述の通り、従来の散薬供給機構においては、固定設置される端板によって収容スペースSの長手方向一端部位置が画されている。斯かる構成においては、長尺可動板が閉塞位置から開放位置へ移行する際に、該長尺可動板が端板に対して相対移動することになる。従って、組立誤差や経年使用によって該長尺可動板の端面と端板の内端面との間に隙間が生じ、該隙間から散薬が漏れ出る恐れがある。
【0053】
これに対し、本実施の形態においては、前記収容スペースSの長手方向一端部位置を画する前記補助板200が前記長尺可動板70に対して相対移動しないように構成されている。従って、長尺可動板70と端板180との間における隙間の発生を有効に防止でき、散薬の漏れ出しを抑えることができる。
【0054】
好ましくは、前記補助板200は、前記端板180に対して着脱自在に装着される。このように、該補助板200を端板180に対して着脱自在とすることにより、該補助板200と端板180との間に散薬が入り込んだとしても、斯かる散薬を簡便に除去することができる。
【0055】
図7(a)に、前記端板180を収容スペースS側から視た内側面図を示す。又、図7(b)に、図7(a)におけるVII−VII線断面図を示す。
さらに、図8(a)に、前記補助板200を収容スペースS側から視た内側面図を示す。又、図8(b)に、図8(a)におけるVIII−VIII線断面図を示す。
【0056】
図7及び図8に示すように、図示の形態においては、前記端板180は、前記内端面181における前記回転軸200aと同軸上に枢支軸185を有しており、且つ、前記補助板200は、前記端板180の内端面181と対向する外端面201に前記枢支軸185に軸支される軸受部205を有している。
そして、前記補助板200は、閉塞位置に位置する長尺可動板70の内面及び前記長尺固定板60の内面の交差点から該長尺可動板70の内面に沿って当接しつつ延びる第1側辺211と、前記交差点から長尺固定板60の内面に沿って当接しつつ延びる第2側辺212と、該第2側辺212の自由端部に連設された湾曲部213であって、前記長尺固定板60の内面から離間する方向へ延びる湾曲部213とを有している。
【0057】
斯かる構成を備えることにより、前記補助板200は、前記長尺可動板70が閉鎖位置に位置する際には前記収容スペースSの長手方向一端部位置を画しつつ、該長尺可動板70が閉鎖位置から開放位置へ移行する際には該長尺可動板70に対して相対移動せずに前記回転軸200a回りに揺動するようになっている。さらに、前記構成によれば、前記補助板200における収容スペースSを向く内端面202を平坦面とすることができる。
【0058】
より好ましくは、前記端板180の内端面181に凹部182を設け、前記枢支軸185の先端部が該端板180の内端面181と略同一又は該凹部182内に位置するように構成し得る。
斯かる構成を備えることにより、前記長尺可動板70が閉塞位置から開放位置へ移行する際の前記端板180に対する補助板200の揺動をスムースに行うことができる。
【0059】
さらに、前記枢支軸185は、前記凹部182の底面から延びる小径部185aと、該小径部185aの先端に位置する大径部185bとを有することができる。
そして、前記軸受部205は、前記補助板200における前記端板180の内端面181と対向する外端面201から外方へ延び前記大径部185bと係合する正面視略半円形の係合部205aと、該係合部205aの自由端部から径方向内方へ延びるフランジ部205bとを有し得る。
斯かる構成を備えることにより、前記端板180に対する補助板200の揺動をスムースに行いつつ、該補助板200を端板180から容易に取り外すことができる。
【0060】
尚、散薬供給機構用仕切板ユニットは、長手方向が互いに同一方向を向くように配設された長尺固定板及び長尺可動板を有し、該長尺可動板が、前記長尺固定板との共働下に上方から投入される散薬の収容スペースを形成する閉塞位置と、該収容スペース内の散薬を下方へ落下させる開放位置とをとり得るように、前記長手方向に沿った枢支軸周り揺動可能とされた散薬供給機構に適用される仕切板ユニットであって、前記収容スペースの長手方向長さを調整し得るように、前記長手方向移動自在とされた仕切板本体と、前記仕切板本体に前記長手方向に沿った回転軸周り揺動自在に装着された補助板とを備え、前記仕切板本体は、閉塞位置に位置する前記長尺可動板の内面に沿って延びる第1接合面であって、該長尺可動板の幅よりも短い第1接合面と、閉塞位置に位置する前記長尺可動板の内面との間に間隙が存するように前記第1接合面から延びる非接合面と、前記長尺固定板の内面に沿って延びる第2接合面とを有し、前記補助板は、閉塞位置に位置する前記長尺可動板の内面と前記仕切板本体の前記非接合面との間の前記間隙の少なくとも一部を覆うように構成され、且つ、前記仕切板本体に対して着脱可能とされていてもよい。
尚、前記仕切板本体は前記長尺固定板に対して長手方向移動自在に装着される。
【0061】
また、前記収容スペースは、前記長手方向に沿って視た際に略V字状を形成するものとしてもよい。
前記補助板は、閉塞位置に位置する前記長尺可動板の内面に沿って延びる第3接合面であって、前記第1接合面よりも長い第3接合面と、前記長尺可動板が閉塞位置に位置されている際に前記長尺固定板の内面に沿って延びる第4接合面と、前記第3接合面及び前記第4接合面の上端部間に延びる上端面とを有し、前記補助板の上端面と前記第4接合面とは湾曲面を介して連結されてもよい。
また、前記第1接合面,前記第2接合面,前記第3接合面及び前記第4接合面は、閉塞位置に位置する前記長尺可動板の内面と前記長尺固定板の内面との交差点から延びているものとしてもよい。
更に、前記仕切板本体の第2接合面は、前記長尺固定板の内面の幅方向全域に亘って延びるものとしてもよい。
【0062】
また、前記仕切板本体は、前記収容スペースの方向を向く内側面と、該内側面とは反対方向を向く外側面と、該内側面及び外側面の間を連通する係入開口とを備えてもよい。
前記係入開口は、小径部と、大径部と、該小径部及び大径部を連通する連通部であって、該小径部の直径よりも幅狭とされた連通部とを有してもよい。
斯かる一態様において、前記補助板は、前記収容スペースの方向を向く内側面と、前記仕切板本体の内側面と対向する外側面と、該外側面に設けられた係入突起とを備えてもよい。
前記係入突起は、前記外側面から延びた軸部であって、前記連通部の幅よりも大径で且つ前記小径部よりも小径の軸部と、該軸部から延びた頭部であって、前記小径部より大径で且つ前記大径部よりも小径の頭部とを有してもよい。
斯かる構成の前記補助板は、前記頭部を前記小径部に位置させることで前記仕切板本体に対し揺動自在に装着され、且つ、前記頭部を前記大径部に位置させることで前記仕切板本体から分離可能とされてもよい。
【0063】
前記一態様において、前記補助板は、前記内側面及び外側面間の厚みがL1、前記軸部の長さがL2、前記頭部の厚みがL3とされ、前記仕切板本体は、内側面のうち前記補助板の揺動領域に深さL1の凹所が形成され、且つ、外側面のうち前記係入開口を囲繞する領域に深さL3のざぐり部が形成されており、該係入開口の厚みがL2とすることができる。
【0064】
さらに、散薬供給機構用仕切板ユニットは、長手方向が互いに同一方向を向くように配設された長尺固定板及び長尺可動板を有し、該長尺可動板が、前記長尺固定板との共働下に上方から投入される散薬の収容スペースを形成する閉塞位置と、該収容スペース内の散薬を下方へ落下させる開放位置とをとり得るように、前記長手方向に沿った枢支軸周り揺動可能とされた散薬供給機構に適用される仕切板ユニットであって、前記長手方向移動自在とされた支持部材と、前記支持部材に前記長手方向に沿った回転軸周り揺動自在且つ着脱可能に装着された補助板とを備え、前記補助板は、前記長尺可動板が閉塞位置に位置する際には該長尺可動板の内面及び前記長尺固定板の内面とそれぞれ接合して前記収容スペースの長手方向端部を画定する閉塞状態をとり、且つ、前記長尺可動板が閉塞位置から開放位置へ移行される際には該長尺可動板に対して相対移動不能状態で前記回転軸回りに揺動されるように構成することもできる。
【0065】
さらに、散薬分配装置は、前記何れかの構成に係る仕切板ユニットが装着された散薬供給機構と、前記散薬供給機構の下方に配設された散薬分配機構とを備えてもよい。
又、薬剤分包装置は、前記散薬分配装置と、該散薬分配装置の下方に配設された包装機構とを備えてもよい。
【0066】
以上の仕切板ユニットによれば、仕切板本体に揺動自在とされた補助板を該仕切板本体に対して着脱可能としたので、可動板の揺動動作を阻害することなく、実質的な仕切り面積の拡大を図ることができると共に、仕切板本体と補助板との間に入り込んだ散薬を簡便に取り除くことができる。従って、後続する分割作業時における分量誤差や異種散薬の混入を極めて容易に防止できる。
【0067】
又、前記補助板の外側面に形成された係入突起と、前記仕切板本体に形成された係入開口とにより、両者を着脱可能且つ揺動自在に連結すれば、該補助板と仕切板本体との連結部分に散薬が入り込むことを有効に防止できる。
【符号の説明】
【0068】
1…仕切板ユニット、10…仕切板本体、11a…第1接合面、11b…非接合面、12…第2接合面、13a…内側面、13b…外側面、15…係入開口、16…小径部、17…大径部、18…連通部、19a…仕切板本体の内側面における凹所、19b…仕切板本体の外側面におけるざぐり部、20…補助板、21…第3接合面、22…第4接合面、24…上端面、25…係入突起、26…軸部、27…頭部、29…湾曲面、50…散薬供給機構、60…長尺固定板、70…長尺可動板、100…薬剤分包装置、150…散薬供給機構、180…端板、185…枢支軸、200…補助板、205…軸受部、211…第1側辺、212…第2側辺、213…湾曲部、S…収納スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺固定板と、前記長尺固定板の長手方向と同一方向に延びる長尺可動板であって、該長尺固定板との共働下に上方から投入される散薬の収容スペースを形成する閉塞位置及び該収容スペース内の散薬を下方へ落下させる開放位置をとり得るように、前記長手方向に沿った枢支軸周り揺動可能とされた長尺可動板と、前記長尺可動板の一端部における端面と対向する内端面を有する端板と、前記収容スペースの長手方向長さを調整し得るように、前記長手方向移動自在とされた仕切板ユニットとを備えた散薬供給装置に適用される端板ユニットであって、
前記端板に前記長手方向に沿った回転軸周り揺動自在に装着された補助板を備え、
前記補助板は、前記長尺可動板が閉塞位置に位置する際には該長尺可動板の内面及び前記長尺固定板の内面とそれぞれ接合して前記収容スペースの前記長手方向一端部位置を画し、且つ、前記長尺可動板が閉塞位置から開放位置へ移行される際には該長尺可動板に対して相対移動不能状態で前記回転軸回りに揺動されることを特徴とする散薬供給機構用端板ユニット。
【請求項2】
前記補助板は、前記端板に対して着脱可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の散薬供給機構用端板ユニット。
【請求項3】
前記端板は、前記収容スペースを向く前記内端面に前記回転軸と同軸上に配設された軸部又は軸受部の一方を有し、
前記補助板は、前記端板の内端面と対向する外端面に配設された前記軸部又は軸受部の他方を有していることを特徴とする請求項2に記載の散薬供給機構用端板ユニット。
【請求項4】
前記補助板は、閉塞位置に位置する長尺可動板の内面及び前記長尺固定板の内面の交差点から該長尺可動板の内面に沿って当接しつつ延びる第1側辺と、前記交差点から長尺固定板の内面に沿って当接しつつ延びる第2側辺と、該第2側辺の自由端部に連設された湾曲部であって、前記長尺固定板から離間する方向へ延びる湾曲部とを有していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の散薬供給機構用端板ユニット。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の端板ユニットが装着された散薬供給機構と、該散薬供給機構の下方に配設された散薬分配機構とを備えていることを特徴とする散薬分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−227343(P2009−227343A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126889(P2009−126889)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【分割の表示】特願2003−197349(P2003−197349)の分割
【原出願日】平成15年7月15日(2003.7.15)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】