説明

数値表示装置

【課題】6桁の有効数字で処理を行なうフィールド機器に関する数値を最大表示文字数12文字で表示する数値表示装置において、表示すべき数値に適した表示を行なえるようにする。
【解決手段】有効数字6桁の数値を最大表示文字数12文字で表示する数値表示装置であって、数値が、0以外で絶対値が0.0001未満であれば、数値を「0.0####E−00」形式に整形し、数値の絶対値が1000000以上であれば、数値を「0.0####E+00」形式に整形し、上記以外では、数値が整数であれば「#####0」形式の整数に整形し、整数以外であれば「#####0.########」形式の小数に整形する数値整形部と、数値整形部の整形結果を表示する表示部とを備えたことを特徴とする数値表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値表示装置に係り、特に、計測装置等のフィールド機器と接続して、フィールド機器に関する数値を表示する数値表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計測装置等のフィールド機器では、被計測物体の物性情報等を利用して演算を行なう場合がある。例えば、マルチバリアブル渦流量計や、マルチバリアブル差圧伝送器では、センサ信号と、被測定流体の物性情報を利用して流量演算を行なう。
【0003】
図5は、被計測物体の物性情報を利用して演算を行なう計測システムの従来の構成例を示すブロック図である。本図の例では、計測装置200と演算処理を行なう情報処理装置300とで計測システムを構成している。
【0004】
情報処理装置300は、例えば、汎用的なPC、専用装置等を用いて構成することができ、ユーザから操作を受け付ける操作受付部310、計測装置200と接続するためのインタフェース部320、各種の被計測物体の物性情報を記録した物性パラメータデータベース330、演算処理を行なう演算処理部340、表示する数値の整形を行なう数値整形部350、数値を表示する表示部360を備えている。数値整形部350と表示部360とで数値表示装置として機能する。
【0005】
ここで、計測装置200は、有効数字6桁の精度(単精度)を有しているものとする。物性パラメータデータベース330に記録されている物性情報は、高精度補正を行なうため、倍精度相当の有効桁数を有しているものとする。
【0006】
演算処理部340においては、物性情報の補間処理等の各種演算が行なわれ、これらの演算の精度を確保するために、6桁よりも桁数の多い倍精度で演算を行なっている。演算処理部340での演算結果は、数値整形部350においてフォーマットが整えられて表示部360に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−41021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、数値整形部350は、倍精度の演算処理部340での演算結果を、例えば、16桁程度の長さのフォーマットで表示部360に出力していた。ところが、表示部360における表示文字数は、情報処理装置300の設定に委ねられていたため、統一されていなかった。このため、表示文字数が少ない場合には、必要な情報が欠けて表示され、表示文字数が多い場合には、精度上不必要な桁まで表示されることになり、計測システムの操作性が低下するという問題があった。
【0009】
このため、表示文字数を固定化し、表示文字数内で必要な数値を表示することが考えられる。このとき、表示すべき数値範囲は広範囲であるため、計測システムの操作性を向上させる観点からは、それぞれの数値に適した表示形式で表示することが望ましい。
【0010】
本発明では、特に、6桁の有効数字で処理を行なうフィールド機器に関する数値を、最大表示文字数12文字で表示する数値表示装置を想定して、表示すべき数値に適した表示を行なえるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の数値表示装置は、有効数字6桁の数値を最大表示文字数12文字で表示する数値表示装置であって、前記数値が、0以外で絶対値が0.0001未満であれば、前記数値を「0.0####E−00」形式に整形し、前記数値の絶対値が1000000以上であれば、前記数値を「0.0####E+00」形式に整形し、上記以外では、前記数値が整数であれば「#####0」形式の整数に整形し、整数以外であれば「#####0.########」形式の小数に整形する数値整形部と、前記数値整形部の整形結果を表示する表示部とを備えたことを特徴とする数値表示装置。ただし、表示形式における「0」は、いずれかの数字を表示することを示し、「#」は、その桁に該当する数字がある場合には数字を表示し、該当する数字がない場合には何も表示しないことを示す。
【0012】
本発明によれば、12文字で6桁の有効桁数を、必要な数値が表示から欠けてしまうことなく表示することができるようになり、表示すべき数値に適した表示が行なわれることで、数値が認識しやすく操作性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、6桁の有効数字で処理を行なうフィールド機器に関する数値を最大表示文字数12文字で表示する数値表示装置において、表示すべき数値に適した表示を行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における計測システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】表示する数値に応じて表示形式を切り替える数値整形部のアルゴリズムを説明するフローチャートである。
【図3】表示すべき数値と整形される表示形式との対応関係を示す図である。
【図4】各表示形式の最大数/最小数を示す図である。
【図5】被計測物体の物性情報を利用して演算を行なう計測システムの従来の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における計測システムの構成例を示すブロック図である。本図の例では、計測装置200と演算処理を行なう情報処理装置100とで計測システムを構成している。
【0016】
情報処理装置100は、例えば、汎用的なPC、専用装置等を用いて構成することができ、ユーザから操作を受け付ける操作受付部110、計測装置200と接続するためのインタフェース部120、各種の被計測物体の物性情報を記録した物性パラメータデータベース130、演算処理を行なう演算処理部140、表示する数値の整形を行なう数値整形部150、数値を表示する表示部160を備えている。数値整形部150と表示部160とで、数値表示装置として機能する。
【0017】
計測装置200は、マルチバリアブル渦流量計や、マルチバリアブル差圧伝送器等の被計測物体の物性情報を利用する計測装置とすることができる。ただし、本発明は、計測装置のみならず、フィールド機器に関する数値を表示する数値表示装置に適用することができる。
【0018】
本実施形態において、計測装置200は、有効数字6桁の精度(単精度)を有しているものとする。物性パラメータデータベース130に記録されている物性情報は、高精度な補正を行なうため、倍精度相当の有効桁数を有しているものとする。
【0019】
また、表示部160は、数値の表示領域として12文字分の領域を備えているものとする。したがって、数値整形部150は、表示すべき数値をすべて12文字以内に整形する。整形する形式は、指数形式、小数形式、整数形式のいずれかとする。なお、指数形式は、指数部が負数の指数形式(小)と、指数部が正数の指数形式(大)とに区分される。
【0020】
このため、数値整形部150は、数値比較部151と指数形式整形部152と小数形式整形部153と整数形式整形部154とを備えている。すなわち、数値整形部150は、演算処理部140が算出した倍精度の表示すべき数値を、数値比較部151において所定の基準値範囲と比較し、その比較結果に応じて、指数形式整形部152、小数形式整形部153、整数形式整形部154のいずれかにおいて12文字以内の数値表示に整形する。なお、12文字には、マイナス符号、指数を示す「E」、プラスマイナスを含めた指数部の数値も含まれる。
【0021】
次に、表示する数値に応じて表示形式を切り替える数値整形部150のアルゴリズムについて図2のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
まず、数値整形部150は、演算処理部140が算出した倍精度の表示すべき数値を有効数字6桁で丸める(S101)。なお、表示すべき数値が無限大や非数である場合等は、それらを意味する決められた文字を表示することができる。
【0023】
次いで、この表示すべき数値が0かどうかを判断する(S102)。この結果、表示すべき数字が0の場合(S102:Yes)には、整数形式整形部154が「0」に整形する。すなわち、0は、「0.0」、「0.00000」等の表示ではなく、「0」とわかりやすく表示することで、操作性を向上させている。
【0024】
表示すべき数字が0でない場合(S102:No)には、表示すべき数値の絶対値が0.0001未満であるかどうかを判断する(S104)。この結果、表示すべき数値の絶対値が0.0001未満の場合(S104:Yes)の場合には、指数形式整形部152が指数形式(小)に整形する(S105)。
【0025】
ここで、指数形式(小)は、「0.0####E−00」形式で表示することを意味する。なお、表示形式における「0」は、いずれかの数字を表示することを示している。「#」は、その桁に該当する数字がある場合には数字を表示し、該当する数字がない場合には何も表示しないことを示している。
【0026】
これに符号の1文字を追加すると最大12文字となり、12文字で6桁の有効桁数を表示することができるようになり、数値が認識しやすく操作性が向上することになる。また、必要な数値が表示から欠けてしまうことも防ぐことができる。
【0027】
例えば、表示すべき数値が0.00000123000であれば、「1.23E−06」と表示され、表示すべき数値が−0.000123456であれば、「−1.23456E−04」と表示されることになる。
【0028】
表示すべき数値の絶対値が0.0001未満でない場合(S104:No)には、表示すべき数値の絶対値が1000000以上であるかどうかを判断する(S106)。この結果、表示すべき数値の絶対値が1000000以上の場合(S106:Yes)の場合には、指数形式整形部152が指数形式(大)に整形する(S107)。
【0029】
ここで、指数形式(大)は、「0.0####E+00」形式で表示することを意味する。これに符号の1文字を追加すると最大12文字となり、12文字で6桁の有効桁数を表示することができるようになり、数値が認識しやすく操作性が向上することになる。また、必要な数値が表示から欠けてしまうことも防ぐことができる。
【0030】
例えば、表示すべき数値が、−123456000であれば、「−1.23456E+08」と表示されることになる。
【0031】
表示すべき数値の絶対値が1000000以上でない場合(S106:No)には、表示すべき数値が整数であるかどうかを判断する(S108)。この結果、表示すべき数値が整数の場合(S108:Yes)の場合には、整数形式整形部154が、「#####0」の整数形式に整形する。
【0032】
すなわち、指数形式で表示しない範囲の数値で、整数の数値は、「−25」「25」「−123456」「123456」等のように、整数部分のみでわかりやすく表示することで、操作性を向上させている。
【0033】
表示すべき数値が整数でない場合(S108:No)には、小数形式整形部153が小数形式に整形する(S110)。ここで、小数形式は、「#####0.########」形式で表示することを意味する。
【0034】
例えば、表示すべき数値が12.3456であれば、「12.3456」と表示され、表示すべき数値が−12345.6であれば、「−12345.6」と表示されることになる。このように、指数形式で表示しない範囲の数値で、小数部分を含む数値は、小数表示を行なうことで6桁の有効桁数を表示することができるようになり、数値が認識しやすく操作性が向上することになる。
【0035】
以上のような処理を行なうことにより、表示すべき数値は図3に示すように整形される。すなわち、0以外で絶対値が0.0001未満であれば指数表示(小)で表示され、絶対値が1000000以上であれば指数表示(大)で表示される。それ以外の範囲では、整数であれば整数で表示され、整数以外であれば小数で表示される。
【0036】
これにより、6桁の有効数字を表示文字数12文字以内で、必要な情報を失うことなくわかりやすく表示することができるようになる。
【0037】
図4は、各表示形式の最大数/最小数を示す図である。本図に示すように、指数表示(大)の最小数は、1.00000E+06となり、指数表示(小)の最大数は、9.99999E−05となる。また、小数表示の最小数は0.000100001となり、最大数は、99999.9となる。また、整数表示の最大数は999999となる。
【符号の説明】
【0038】
100…情報処理装置、110…操作受付部、120…インタフェース部、130…物性パラメータデータベース、140…演算処理部、150…数値整形部、151…数値比較部、152…指数形式整形部、153…小数形式整形部、154…整数形式整形部、160…表示部、200…計測装置、300…情報処理装置、310…操作受付部、320…インタフェース部、330…物性パラメータデータベース、340…演算処理部、350…数値整形部、360…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効数字6桁の数値を最大表示文字数12文字で表示する数値表示装置であって、
前記数値が、0以外で絶対値が0.0001未満であれば、前記数値を「0.0####E−00」形式に整形し、
前記数値の絶対値が1000000以上であれば、前記数値を「0.0####E+00」形式に整形し、
上記以外では、前記数値が整数であれば「#####0」形式の整数に整形し、整数以外であれば「#####0.########」形式の小数に整形する数値整形部と、
前記数値整形部の整形結果を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする数値表示装置。ただし、表示形式における「0」は、いずれかの数字を表示することを示し、「#」は、その桁に該当する数字がある場合には数字を表示し、該当する数字がない場合には何も表示しないことを示す。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−122916(P2011−122916A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280355(P2009−280355)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】