説明

断熱材、及び該断熱材を型枠として使用した床構造

【課題】火花が飛散しても不良品とならない断熱材、及び該断熱材を型枠として使用した床構造を提供する。
【解決手段】本発明に係る断熱材1は、ポリスチレン等のプラスチック発泡体2からなる断熱基材層12を設けると共に、該断熱基材層12の片面又は両面に、難燃性補強用シートとしてのフェノール系樹脂が含浸された樹脂含浸不織布10を積層して配置した構成である。かかる構成により、断熱材1に火花が飛散しても、前記難燃性補強用シートとしての樹脂含浸不織布10により断熱基材層12は溶融又は燃焼してしまうことがない。また、強度が増すため手で取り扱う際に当該断熱材1がひび割れたり破断してしまうことがない。また、該断熱材1を型枠として使用した床構造αは、該断熱材1上にコンクリートが打設されるため、コンクリート打設後に型枠の解体作業が不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築分野又は土木分野において用いられる断熱材、及び該断熱材を型枠として使用した床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の床部等に設置される断熱材は種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。このような断熱材としては、例えば、ポリスチレンフォーム材からなる断熱材層と、該断熱材層の下面に形成されたウレタン系樹脂材からなる接着層と、該接着層の下面に形成されたポリエステルフィルムからなる補強用シート層とからなる積層体の構成がよく知られている。ここで、前記断熱層を構成するポリスチレンフォーム材は、断熱性、強度および軽量性などに優れた特性を有することから断熱材の主材料として広く用いられている。また、接着層を介して配設される補強用シート層は、断熱材層の曲げ強度をさらに高めるために設けられている。そして、係る構成にあって、上記断熱材は、支保工、桟木、バタ建て込みによって構成される土台構造上に、前記補強用シート層を下向きに、断熱材層を上向きにして配設され、さらに、ポリスチレンフォームが露出した当該断熱材層上にコンクリートが打設される。このように、補強用シート層を下向きに、かつ断熱材層を上向きにして当該断熱材のポリスチレンフォーム露出面にコンクリートを打設するようにしたのは、ポリエステルフィルムからなる補強用シートとコンクリートとの接着が悪いためであり、前記断熱材層上にコンクリートとを配置することにより、相互が接着し、強固な床構造とすることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2007−138443号公報
【特許文献2】特開2006−45996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建築現場では溶接又は圧接作業時に火花が発生することがあるところ、かかる火花が上記断熱材の表面、又はポリエステルフィルム等からなる補強用シートの表面に飛散して当該断熱材の表面等が溶融又は燃焼してしまい、断熱材の見栄えを悪化させ、または致命的な欠損が生じて製品として使用不能となってしまうことがあった。このため、従来の建築現場においては、火花を断熱材表面に飛散させないように細心の注意を払って溶接又は圧接作業を行なったり、予め市販の防災シートを断熱材に被せて火花による溶融又は燃焼を防止したりしていた。しかし、溶接等の作業時に断熱材の管理について配慮したり、断熱材を使用するたびに一々防災シートを取って被せたりすることは煩雑で面倒であり、作業効率の著しい低下を招いてしまう問題が生じる。
【0005】
そこで本発明は、上記問題を解決することができる断熱材を提供することを目的とする。さらに、該断熱材を型枠として使用した床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プラスチック発泡体からなる断熱基材層と、該断熱基材層の片面又は両面に積層されている不燃又は難燃性シートとからなることを特徴とする断熱材である。
【0007】
かかる構成にあっては、例えば建築現場で溶接又は圧接作業時に火花が発生し、かかる火花が断熱材に飛散したとしても、該断熱材の片面又は両面には不燃又は難燃性シートからなる難燃材層が存在するため、難燃材層が形成された側において当該断熱材の主構成である断熱基材層には火花の影響が及ばない。特に断熱材の両面に不燃又は難燃性シートを積層した場合は、保管管理上、断熱材の配置向きに制限がない。なお、本断熱材は、難燃材層を備えた積層型の一体構造であるため、一々防災シートを覆い被せて当該断熱材を保護する煩雑な作業を必要としない。さらに、該不燃又は難燃性シートは、断熱材の強度を向上させる断熱材補強材としても機能し、当該断熱材の厚み方向の強度が向上し、広い面積の断熱材を運搬、又は取り付ける際に自重等による厚み方向に曲げモーメントが作用してもひび割れたり破断したりすることがない。以上より、本発明に係る不燃又は難燃性シートは、難燃性補強用シートとして機能することとなる。ところで、本発明に係る不燃又は難燃性シートとは、少なくとも難燃性としての性質を有するシートという意味であり、特にシートの性質が不燃性であるか難燃性であるかということは厳密に区分される必要はない。したがって、不燃又は難燃性シートからなる難燃材層は、少なくとも難燃性のある層であり、不燃性であっても勿論良い。
【0008】
また、前記不燃又は難燃性シートは、フェノール系樹脂が塗布及び/又は含浸された繊維シートであることが望ましい。フェノール系樹脂が塗布及び/又は含浸された繊維シートは、少なくとも難燃性の特性を有し、これにより、前記難燃材層を構成することができる。なお、繊維シートは、フェノール系樹脂が塗布されていても良いし、含浸されていても良いし、塗布及び含浸されていても良い。なお、フェノール系樹脂が塗布及び/又は含浸された繊維シートとコンクリートとは接着性が良いため、該フェノール系樹脂が塗布及び/又は含浸された繊維シートの上面には、直接コンクリートを打設することができる。
【0009】
さらに、前記フェノール系樹脂は、レゾルシノール系樹脂が望ましい。これにより、さらに安定した難燃材層を構成することができる。
【0010】
また、前記繊維シートに塗布及び/又は含浸されたフェノール系樹脂は、硬化行程の最終段階であるCステージまで硬化されている構成が望ましい。かかる構成とすることにより、難燃材層を確実に形成することができる。
【0011】
ここで、前記繊維シートの表面のうち断熱基材層と接着する接着面には、ホットメルト接着剤が塗布されていることが望ましい。かかる構成とすることにより、含浸及び/又は塗布された樹脂が完全硬化状態にあって当該繊維シートと断熱基材層との接着性が低下していたとしても、当該繊維シートを容易に断熱基材層の表面に接着することができる。
【0012】
また、前記不燃又は難燃性シートは、多孔質材に不燃又は難燃剤が添加された構成が提案される。かかる構成により、前記不燃又は難燃性シートは、断熱基材層を補強し、かつ火花に対して溶融等を防止する難燃性補強用シートとして機能することとなる。
【0013】
さらに、本発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の断熱材を型枠として使用した床構造であって、該断熱材の上側に配筋が設けられ、該断熱材上にコンクリートが打設されてなることを特徴とする。本発明の床構造は、上記断熱材を型枠として使用するため、コンクリート打設後、従来必須であった型枠解体作業を要しない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る断熱材は、断熱基材層の片面又は両面に不燃又は難燃性シートが積層されているため、断熱基材層が火花等により溶融又は燃焼してしまうことがない。また、当該断熱材の強度も向上する。これにより、防災シートを用いることなく断熱材の近くで溶接又は圧接作業することが可能となり、また、強度上、当該断熱材の取扱い性が向上するため、建築現場の作業効率を向上させ得る優れた効果がある。
【0015】
また、本発明に係る床構造は、断熱材を型枠として使用するため、コンクリート打設後に型枠を解体する必要がない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔不燃又は難燃性シート〕
本発明の要部に係る不燃又は難燃性シートは、フェノール系樹脂を塗布及び/又は含浸した繊維シートが提案される。なお、前記繊維シートとしては、不織布又は編織物が適宜選択される。
【0017】
〔繊維シート〕
繊維シートとしては、例えばケナフ繊維、麻繊維、ヤシ繊維、竹繊維、アバカ等の植物繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラ、蚕糸等の天然繊維、とうもろこし等のデンプンから得られる乳酸を原料とした生分解性繊維、レーヨン(人絹、スフ)、ポリノジック、キュプラ、アセテート、トリアセテート等のセルロース系人造繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、これらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維等の一種または二種以上繊維からなる繊維シート、あるいは上記繊維の全部または一部として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維等の融点が180℃以下の低融点繊維を使用した繊維シートが主なものである。上記繊維シートは、上記混合繊維のウェブのシートあるいはマットをニードルパンチングによって絡合する方法やスパンボンド法、あるいは繊維のウェブのシートあるいはマットが上記低融点繊維からなるか、あるいは上記低融点繊維が混合されている場合には上記シートあるいはマットを加熱して該低融点繊維を軟化せしめることによってバインダーとするか、あるいは上記シートまたはマットに合成樹脂バインダーを含浸あるいは混合して結着するか、あるいは上記混合繊維のウェブのシートまたはマットをニードルパンチングによって絡合した上で該低融点繊維を加熱軟化せしめてバインダーとするか、あるいは上記合成樹脂バインダーを含浸して結着する方法、更に上記混合繊維を編織する方法等によって製造される。
【0018】
〔フェノール系樹脂〕
フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とホルムアルデヒド及び/又はホルムアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。
【0019】
(フェノール系化合物)
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
【0020】
(一価フェノール)
上記一価フェノールとしては、フェノールや、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体、ナフトール等の多環式一価フェノールなどが挙げられ、これら一価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することが出来る。
【0021】
(多価フェノール)
上記多価フェノールとしては、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等が挙げられ、これら多価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することができる。多価フェノールのうち好ましいものは、レゾルシンまたはアルキルレゾルシンであり、特に好ましいものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速いアルキルレゾルシンである。
【0022】
アルキルレゾルシンとしては、例えば5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4,5−ジエチルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシン、4−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシン等がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
なお上記多価フェノールのうち、レゾルシンおよびアルキルレゾルシン等のレゾルシノール系化合物の一種または二種以上の混合物(エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物を含む)と、アルデヒド及び/又はアルデヒド供与体からなるレゾルシノール系樹脂は、本発明のフェノール系樹脂として使用されることが望ましい。
【0023】
(ホルムアルデヒド供与体)
本発明では上記フェノール系化合物とホルムアルデヒド及び/又はホルムアルデヒド供与体が縮合せしめられるが、上記ホルムアルデヒド供与体とは分解するとホルムアルデヒドを生成供与する化合物またはそれらの二種以上の混合物を意味する。このようなアルデヒド供与体としては例えばパラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン、テトラオキシメチレン等が例示される。本発明ではホルムアルデヒドとホルムアルデヒド供与体とを合わせて、以下ホルムアルデヒド類と云う。
【0024】
(フェノール系樹脂の製造)
上記フェノール系樹脂には二つの型があり、上記フェノール系化合物に対してホルムアルデヒド類を過剰にしてアルカリ触媒で反応することによって得られるレゾールと、ホルムアルデヒド類に対してフェノールを過剰にして酸触媒で反応することによって得られるノボラックとがあり、レゾールはフェノールとホルムアルデヒドが付加した種々のフェノールアルコールの混合物からなり、通常水溶液で提供され、ノボラックはフェノールアルコールに更にフェノールが縮合したジヒドロキシジフェニルメタン系の種々な誘導体からなり、通常粉末で提供される。
本発明に使用されるフェノール系樹脂にあっては、まず上記フェノール系化合物とホルムアルデヒド類とを縮合させて初期縮合物とし、該初期縮合物を繊維シートに付着させた後、硬化触媒及び/又は加熱によって樹脂化する。
上記縮合物を製造するには、一価フェノールとホルムアルデヒド類とを縮合させて一価フェノール単独初期縮合物としてもよいし、また一価フェノールと多価フェノールとの混合物とホルムアルデヒド類とを縮合させて一価フェノール−多価フェノール初期共縮合物としてもよい。上記初期縮合物を製造するには、一価フェノールと多価フェノールのどちらか一方または両方をあらかじめ初期縮合物としておいてもよい。
【0025】
本発明において、望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物(レゾルシノール系樹脂)である。上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期共縮合物)の水溶液の安定が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。また該水溶液をシート基材に含浸あるいは塗布させ、プレキュアして得られる繊維シートの安定性が良く、該繊維シートを長期間保存しても成形性を喪失しない。また更にアルキルレゾルシンはホルムアルデヒド類との反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる等の利点も有する。
上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物の望ましい製造方法は、まずフェノールとホルムアルデヒド類とを反応させてフェノール系樹脂初期縮合物を製造し、次いで該フェノール系樹脂初期縮合物にアルキルレゾルシンを添加し、所望なればホルムアルデヒド類を添加して反応せしめる方法である。
【0026】
例えば、上記一価フェノールおよび/または多価フェノールとホルムアルデヒド類との縮合では、通常一価フェノール1モルに対し、ホルムアルデヒド類0.2〜3モル、多価フェノール1モルに対し、ホルムアルデヒド類0.1〜0.8モルと、必要に応じて溶剤、第三成分とを添加し、液温55〜100℃で8〜20時間加熱反応させる。このときホルムアルデヒド類は、反応開始時に全量加えてもよいし、分割添加または連続滴下してもよい。
【0027】
更に本発明では、上記フェノール系樹脂として、所望なれば、尿素、チオ尿素、メラミン、チオメラミン、ジシアンジアミン、グアニジン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,6ジアミノ−1,3−ジアミンのアミノ系樹脂単量体及び/又は該アミノ系樹脂単量体からなる初期縮合体を添加してフェノール系化合物及び/又は初期縮合物と共縮合せしめてもよい。
【0028】
上記フェノール系樹脂の製造の際、必要に応じて反応前あるいは反応中あるいは反応後に、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機または有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸またはそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質を触媒またはpH調整剤として混合してもよい。
【0029】
本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物を含む)には、更に、上記ホルムアルデヒド類あるいはアルキロール化トリアゾン誘導体等の硬化剤を添加混合しても良い。
上記アルキロール化トリアゾン誘導体は尿素系化合物と、アミン類と、ホルムアルデヒド類との反応によって得られる。アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用される上記尿素系化合物として、尿素、チオ尿素、メチル尿素等のアルキル尿素、メチルチオ尿素等のアルキルチオ尿素、フェニル尿素、ナフチル尿素、ハロゲン化フェニル尿素、ニトロ化アルキル尿素等の単独または二種以上の混合物が例示される。特に望ましい尿素系化合物は尿素またはチオ尿素である。またアミン類としてメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン等の脂肪族アミン、ベンジルアミン、フルフリルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類のほか更にアンモニアが例示され、これらは単独でまたは二種以上の混合物として使用される。上記アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用されるホルムアルデヒド類はフェノール系樹脂の初期縮合物の製造に使用されるホルムアルデヒド類と同様なものである。
上記アルキロール化トリアゾン誘導体の合成には、通常、尿素系化合物1モルに対してアミン類および/またはアンモニアは0.1〜1.2モル、ホルムアルデヒド類は1.5〜4.0モルの割合で反応させる。上記反応の際、これらの添加順序は任意であるが、好ましい反応方法としては、まずホルムアルデヒド類の所要量を反応器に投入し、通常60℃以下の温度に保ちながらアミン類および/またはアンモニアの所要量を徐々に添加し、更に所要量の尿素系化合物を添加し、80〜90℃で2〜3時間攪拌加熱して反応せしめる方法がある。ホルムアルデヒド類としては通常37%ホルマリンが用いられるが、反応生成物の濃度をあげるためにその一部をパラホルムアルデヒドに置き換えても良い。またヘキサメチレンテトラミンを用いると、より高い固形分の反応生成物が得られる。尿素系化合物と、アミン類及び/又はアンモニアと、ホルムアルデヒド類との反応は通常水溶液で行われるが、水の一部または全部に代えてメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類の単独または二種以上の混合物が使用されても差し支えないし、またアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の水可溶性有機溶剤の単独または二種以上の混合物が添加使用出来る。上記硬化剤の添加量はホルムアルデヒド類の場合は本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜100質量部、アルキロール化トリアゾン誘導体の場合は上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜500質量部である。
【0030】
(フェノール系樹脂のスルホメチル化および/またはスルフィメチル化)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために、上記フェノール系樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化することが望ましい。
【0031】
(スルホメチル化剤)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルホメチル化剤としては、例えば、亜硫酸、重亜硫酸またはメタ重亜硫酸と、アルカリ金属またはトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモニウム等の第四級アミンもしくは第四級アンモニウムとを反応させて得られる水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒドとの反応によって得られるアルデヒド付加物が例示される。該アルデヒド付加物とは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒドと、上記水溶性亜硫酸塩とが付加反応したものであり、例えばホルムアルデヒドと亜硫酸塩からなるアルデヒド付加物は、ヒドロキシメタンスルホン酸塩である。
【0032】
(スルフィメチル化剤)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルフィメチル化剤としては、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート(ロンガリット)、ベンズアルデヒドナトリウムスルホキシラート等の脂肪族、芳香族アルデヒドのアルカリ金属スルホキシラート類、ナトリウムハイドロサルファイト、マグネシウムハイドロサルファイト等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハイドロサルファイト(亜ジチオン酸塩)類、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩等のヒドロキシアルカンスルフィン酸塩等が例示される。
【0033】
上記フェノール系樹脂初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する場合、該初期縮合物に任意の段階でスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤を添加して、フェノール系化合物および/または初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する。スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の添加は、縮合反応前、反応中、反応後のいずれの段階で行ってもよい。
【0034】
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の総添加量は、フェノール系化合物1モルに対して、通常0.001〜1.5モルである。0.001モル以下の場合はフェノール系樹脂の親水性が充分でなく、1.5モル以上の場合はフェノール系樹脂の耐水性が悪くなる。製造される初期縮合物の硬化性、硬化後の樹脂の物性等の性能を良好に保持するためには、0.01〜0.8モル程度とするのが好ましい。
【0035】
初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化するために添加されるスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤は、該初期縮合物のメチロール基および/または該初期縮合物の芳香環と反応して、該初期縮合物にスルホメチル基および/またはスルフィメチル基が導入される。
【0036】
このようにしてスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液は、酸性(pH1.0)〜アルカリ性の広い範囲で安定であり、酸性、中性およびアルカリ性のいずれの領域でも硬化することが出来る。特に、酸性側で硬化させると、残存メチロール基が減少し、硬化物が分解してホルムアルデヒドを発生するおそれがなくなる。
【0037】
本発明で使用する樹脂には、更に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材;天然ゴムまたはその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴム;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の有機充填材;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等の有機発泡剤;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体や発泡粒;顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、防炎剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、界面活性剤、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタール酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤等を添加、混合してもよい。
【0038】
なお、前記繊維シートにフェノール系樹脂(勿論、レゾルシノール系樹脂を含む)を塗布及び/又は含浸させる構成としては、液状樹脂あるいは樹脂溶液あるいは樹脂エマルジョンに繊維シートを浸漬するか、あるいはナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等によって塗布するか、或いは粉末の場合は上記繊維シート中に樹脂を混合してシート化する。さらに、前記樹脂組成物を含浸または混合した樹脂含浸繊維シート中の樹脂組成物量を調整するには、樹脂組成物含浸または塗布又は混合後、該繊維シートを絞りロールやプレス盤を使用して絞る。なお、繊維シートには、製法に係る条件設定によりフェノール系樹脂が、塗布されている場合もあるし、含浸されている場合もあるし、塗布及び含浸されている場合もある。
【0039】
〔その他の不燃又は難燃性シート〕
上記構成のほか、不燃又は難燃性シートとしては、前記繊維シートあるいはプラスチック発泡体等からなる多孔質材に難燃剤を添加したもの、金属性シート(金属箔)、炭素繊維シート、炭素繊維と種々の有機繊維とを含有する繊維シート、又は、セラミック繊維、ガラス繊維、又は金属繊維等の無機繊維シートが採用されうる。
ここで、プラスチック発泡体としては、例えば、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレンなどがある。
また、有機繊維としては、例えばポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、パルプ、木綿、羊毛、絹、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維等の一種又は二種以上の繊維がある。
また、不燃又は難燃剤としては、少なくとも難燃性を有するものが採用可能であり、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、無機系難燃剤、珪素系難燃剤、金属塩系難燃剤、弗素系難燃剤、膨張黒鉛等から選ばれる少なくとも1種類の難燃剤が例示される。
【0040】
上記ハロゲン系難燃剤としては、例えばハロゲン化ビスフェノール、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化ポリカーボネ−ト、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニレンエーテル等が挙げられ、好ましくは、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネ−ト、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンエーテル、ポリジブロムフェニレンエーテル、デカブロムジフェニルエーテルビスフェノール縮合物、含ハロゲンリン酸エステルおよび弗素系樹脂等が例示される。
【0041】
上記リン系難燃剤としては、例えば有機リン化合物、赤燐、無機系燐酸塩等が例示される。
【0042】
上記有機リン化合物としては、例えばホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等を挙げることができるが、具体的には、トリフェニルフォスフェート、メチルネオペンチルフォスファイト、ペンタエリスリトールジエチルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチルピロカテコールフォスファイト、ジピロカテコールハイポジフォスフェート、フェノキシプロポキシホスファゼン、ジフェノキシホスファゼン、フェノキシアミノホスファゼン、フェノキシフルオロアルキルホスファゼン等が例示されるが、芳香族系燐酸エステル単量体および縮合体が望ましい。
【0043】
上記赤燐としては、一般の赤燐の他に、その表面を予め、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜で被膜処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜で被膜処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被膜処理されたもの等が例示される。
【0044】
上記無機系リン酸塩としては、例えば燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0045】
上記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン系化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール化合物、ホスファゼン化合物およびジアゾ系化合物からなる少なくとも1種類以上が例示出来る。具体的には、メラミン、メラム、メレム、メロン、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタログアナミン、メラミン樹脂、BTレジン等を例示できるが、特に、メラミンシアヌレートが好ましい。
【0046】
上記無機系難燃剤としては、例えば、シリカ、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、塩基性炭酸マグネシウム、酸化スズの水和物、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ、アンチモン、SUS、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水和ガラス等が例示され、これらを単独、あるいは2種類以上併用して用いることができる。これらの中では、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイド、水和ガラスが好ましい。
【0047】
上記珪素系難燃剤としては、例えば、シリコーン化合物やシラン化合物等が例示される。
【0048】
上記前記シリコーン化合物としては、例えばポリジオルガノシロキサンであるシリコンオイル、またはSiO2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2等の構造単位を組み合わせてできるシリコーン樹脂を挙げることができる。なお、前記構造単位において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ベンジル基、ビニル基を示す。具体的には、ポリジメチルシロキサン樹脂、ポリメチルフェニルシロキサン樹脂、ポリジフェニルシロキサン樹脂、ポリメチルエチルシロキサン樹脂、ポリカルボシロキサンや、これらの混合物が例示出来る。これらのシリコーン系樹脂の数平均分子量は、200〜5000000の範囲のものが好ましく、形状としては、オイル状、ワニス状、ガム状、粉末状、ペレット状のいずれであっても良い。
【0049】
上記シラン系化合物としては、例えばポリアルキルシラン化合物、ポリカルボシラン化合物等が例示され、これらの中では、ポリメチルフェニルしラン、ポリジフェニルシラン、ポリフェニルシリン代表的である。なお、これらの化合物は、末端はOH基、アルキル基のいずれであっても良く、また環状構造を有していても良い。
【0050】
上記金属塩系難燃剤としては、例えばトリクロロベンゼンスルホン酸金属塩、パーフルオロブタンスルホン酸塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸金属塩等の有機スルホン酸金属塩、芳香族スルホンイミド金属塩、スチレン(共)重合体、ポリフェニレンエーテル等の芳香族基含有重合体の芳香環に、スルホン酸金属塩、硫酸金属塩、燐酸金属塩、ホウ酸金属塩が結合した、ポリスチレンスルホン酸アルカリ金属塩やポリフェニレンスルホン酸金属塩等の金属塩系難燃剤が例示される。なお、金属塩に使用される金属種としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Sn、Al、Sbが好適である。
【0051】
上記弗素系難燃剤としては、樹脂中に弗素原子を含有する樹脂であり、例えばポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロ/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が例示される。また、必要に応じて上記弗素モノマーと共重合可能なモノマーとを併用しても良い。なお、これら弗素系樹脂の平均分子量は、100000〜10000000のものが好ましい。
【0052】
上記膨張黒鉛としては、天然黒鉛を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸に浸漬し、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の酸化剤を添加して処理することによって得られるものであり、膨張開始温度が250℃〜300℃程度である。該膨張黒鉛の膨張容積は30〜300ml/g程度であり、粒径は300〜30メッシュ程度である。
【0053】
〔プラスチック発泡体からなる断熱基材層〕
プラスチック発泡体としては、例えば、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレンなどの熱可塑性プラスチックの発泡体があり、断熱材として採用される公知材料が例示される。
【0054】
〔断熱材の層構成〕
本発明に係る断熱材1は、図3に示すように、上記プラスチック発泡体2からなる断熱基材層12を備えている。さらにこの断熱基材層12の上下面(両面)には、接着層14が形成され、さらに該接着層14を介して難燃性補強用シート層15が積層状に配置されている。該難燃性補強用シート層15を形成する難燃性補強用シートにより、本発明に係る不燃又は難燃性シートが構成される。そしてさらに、後述するように、上面側の難燃性補強用シート層15上には、床用のコンクリートが打設される。
【0055】
ところで、前記難燃性補強用シート層15の難燃性補強用シートと断熱基材層12との接着は、公知の接着剤を用いて形成することができ、例えば、ホットメルト接着剤を使用してもよい。該ホットメルト接着剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系樹脂、または該ポリオレフィン系樹脂の変性物、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステル重合体、ポリアミド、ポリアミド共重合体、セルロース誘導体、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ビニルブロック共重合体、ブチラール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の単独又は二種以上の混合物が使用される。該ホットメルト接着剤を塗布する方法としては、公知の塗布方法が用いられる。例えば、粉末状(20〜500μm)の該ホットメルト接着剤をスキャタリング法、パウダードット法、ペーストドット法等により散粉させる方法、該粉末状のホットメルト接着剤を適当な増粘剤とともに水に分散せしめたホットメルト接着剤分散液をスプレー塗布する方法、あるいは溶融させた該ホットメルト接着剤をスプレーして吹付塗布する方法等がある。
また、液状接着剤を採用することも可能であり、液状接着剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物、あるいはトリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシナート、2−クロロ−1,4−フェニルジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシナート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,2’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ω−キシリレンジイソシアネート、ω’−キシリレンジイソシアネート等の多価イソシアネート、およびこれらの化合物とポリエチレンアジペート、ポリテトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオール、1,4−シスブテンジオール、1,5−ジヒドロキシエトキシナフタリン、1,4−ブチンジオール、ポリエステル、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレン)ポリオール、アクリルポリオール、ヒマシ油ダイマー、トール油ダイマー等の多価アルコールのアダクト等の多価イソシアネート、ウレタンプレポリマー等の合成樹脂液が使用される。
【0056】
〔床構造〕
以下、断熱材1が使用された床構造αについて、図1等に従って説明する。
図1は、本発明に係る床構造αを示しており、該床構造αは、立設された束等の支持部材8、及び該支持部材8によって水平状に支持される複数種の横架材7A〜7Dからなる床土台構造7を具備している。さらに、該床土台構造7上には、本発明に係る断熱材1が、図2に示すように予め所定面積の板材として切り出されて複数並べて敷き詰められる。さらに、該断熱材1上に配筋17が設けられ、次に、該配筋17を包含するように、前記断熱材1上にコンクリート18が打設されている。ここで、かかる床構造αにあっては、前記断熱材1がスラブ用の型枠兼用打込断熱パネルとして機能し、該断熱材1が型枠として使用されている。このため、本床構造αは、コンクリート18を打設した後に型枠解体作業を要しない。
【0057】
ここで、コンクリートとしては、例えばポルトランドセメント、ジェットセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等の一種または二種以上の混合物等のセメントと、骨材との混合物の酸化物を主体とするものが提案され得る。
【0058】
また、本実施例に係る断熱材1は、図3に示すように、ポリスチレンからなるプラスチック発泡体2により断熱基材層12が構成され、さらに該断熱基材層12の両面には、ホットメルト系の接着剤3からなる接着層14を介して、上記のフェノール系樹脂が含浸された樹脂含浸不織布(不燃又は難燃性シート)10が積層されている。この樹脂含浸不織布10は、難燃性補強用シートとして機能し、該樹脂含浸不織布10により、当該断熱材1の補強用難燃性シート層15が構成される。
【0059】
前記断熱材1は、次のような製法により製造される。
断熱基材層12を構成するプラスチック発泡体2と、難燃性補強用シート層15を構成する樹脂含浸不織布10とを公知のホットメルト接着剤粉末20(融点:150度以下、望ましくは80℃〜130℃)を用いて接着するにあたって、図5に示すように、まず、上下に配された一対の送り出しローラー25,25に樹脂含浸不織布10を巻束としてそれぞれ予め巻回させておく。なお、この樹脂含浸不織布10に係る含浸樹脂は、予め乾燥炉(図示省略)においてCステージ(完全硬化状態)または、それに近い程度まで硬化されている(プリグレグ)。さらに、ホットメルト接着剤粉末20を前記プラスチック発泡体2の表面上等に散布すると共に、該プラスチック発泡体2の両面に各巻束から引き出された樹脂含浸不織布10を積層して、該樹脂含浸不織布10とプラスチック発泡体2とを同時に上下の押圧ローラー30A,30Bで熱圧プレス成形する。該押圧ローラー30A,30B表面は、共に150℃〜180℃に設定されており、熱圧プレス成形時に該押圧ローラー30A,30Bによりプラスチック発泡体2の表面及び該ホットメルト接着剤粉末20が瞬間的に溶融し、これによりプラスチック発泡体2と樹脂含浸不織布10とが接着することとなる。なお、プラスチック発泡体2は、約100℃程度で発泡、溶融、変形を始める為、長時間100℃以上の温度を付与することはできない。そのため、押圧ローラー30A,30Bによる加熱時間は極々短時間に設定される。一方、樹脂含浸不織布10の樹脂は加熱時間に比例して硬度が向上し、かつ難燃性が向上するが、前記のように加熱時間に制限があるため、難燃性を確保すべく、上述のように、巻束としての樹脂含浸不織布10は予めCステージ(完全硬化状態)または、それに近い程度まで硬化されていることが望ましい。ところで、巻束としての樹脂含浸不織布10がCステージ(完全硬化状態)または、それに近い程度まで硬化されていると、熱圧プレス成形時におけるプラスチック発泡体2との接着不良が問題となるが、上述のようにホットメルト接着剤粉末20を採用することにより、上記接着不良の問題を解消することができる。
上記製法により、プラスチック発泡体2の上下に樹脂含浸不織布10(難燃性補強用シート)を形成した断熱材1を得ることが可能となる。なお、該断熱材1において、前記含浸樹脂がAステージ(硬化前状態)、又はBステージ(半硬化状態)であると、難燃性が所要レベルまで到達しない為、望ましくない。
【0060】
また、図4に示すように、プラスチック発泡体2の上面のみ(すなわち片面のみ)に樹脂含浸不織布10を積層する場合は、図6に示すように、該樹脂含浸不織布10の積層側である上側の押圧ロール30Aを約150℃〜180℃に加熱された状態とし、直接プラスチック発泡体2と接触する下側の押圧ロール30Bを室温とする。これにより、プラスチック発泡体2を変形させることなく、積層化することができる。
【0061】
なお、ホットメルトシートを接着に使用する場合には、例えば、Tダイにより押出されたホットメルトシートを上記プラスチック発泡体2にラミネートし、更に該プラスチック発泡体2に樹脂含浸不織布10を積層して熱圧プレス成形しても良い。また、予め樹脂含浸不織布の片面にホットメルト接着剤を塗布固着させておいても良い。ホットメルトシートやホットメルト接着剤粉末は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系樹脂(ポリオレフィン系樹脂の変性物を含む)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステル共重合体、ポリアミド、ポリアミド共重合体等の1種又は2種以上の混合物等の低融点樹脂を材料とすることができる。
【0062】
なお、断熱材1の実施例を以下に例示する。
(実施例1)
ポリエステル繊維からなるスパンボンド法による目付量80g/m2の不織布を繊維シートとして使用した。スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)40質量部、カーボンブラック(固形分:30質量%水分散溶液)1質量部、フッ素系撥水撥油剤(固形分:25質量%水溶液)2質量部、窒素、リン含有難燃剤(固形分:40質量%水分散溶液)5質量部、ワックス系内部離型剤(固形分:40質量%水分散溶液)0.5質量部、スノーテックス20(日産化学工業(株)製:SiO濃度20質量%水溶液、商品名)20質量部、水31.5質量部からなる混合液を調製した。該繊維シートに該混合液を該繊維シートに対して30質量%の塗布量になるようにロールにて塗布含浸させた。次にホットメルト接着剤としてポリアミド共重合体(融点:130℃、粒度:300から350μm)粉末を、該樹脂含浸繊維シートの片面に20g/mの塗布量で散布した後180℃で5分間乾燥させ、該スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物をCステージまで硬化させると同時に該ホットメルト接着剤を繊維シートに溶融固着させた難燃性繊維シートである樹脂含浸不織布(難燃性補強用シート)を得た。次に、断熱材として押出法によるポリスチレンフォーム(厚さ:30mm、密度:60kg/m)の片面に、樹脂含浸不織布のホットメルト接着剤が塗布してある面を重合し、上下の押圧ロール30A,30Bのうち重合面側に当接する押圧ロール30Aの表面温度を150℃とし、他方の押圧ロール30Bは加熱せず室温のままとし、僅かに圧着しながら前記押圧ロール30Aにより該樹脂含浸不織布の片面に塗布させたホットメルト接着剤を溶融し、ポリスチレンフォームに接着させた樹脂含浸不織布(難燃性補強用シート)が片面に接着された断熱材(A)を得た。
【0063】
(比較例1)
実施例1の押出法によるポリスチレンフォームに、厚さ0.05mmのポリエステルフィルムを補強材として用い、該ポリエステルフィルムの片面にウレタン系接着剤を50g/mの塗布量で塗布し、実施例1と同様の押圧ロール30A,30Bを用いて前記ポリスチレンフォームに接着させ、ポリエステルフィルムからなる補強用シートが片面に接着された断熱材(B)を得た。
【0064】
(比較例2)
実施例1で用いたポリスチレンフォーム自体を断熱材(C)とした。
【0065】
(性能試験)
実施例1及び比較例1,2を用い性能試験を行なった結果を表1に示す。
【0066】
【表1】


【0067】
(実施例2)
ポリエステル繊維からなるニードルパンチング法による目付量50g/m2の不織布を繊維シートとして使用した。スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)40質量部、カーボンブラック(固形分:30質量%水分散溶液)1質量部、フッ素系撥水撥油剤(固形分:25質量%水溶液)2質量部、窒素、リン含有難燃剤(固形分:40質量%水分散溶液)5質量部、スノーテックスC(日産化学工業(株)製:SiO濃度20質量%水溶液、商品名)30質量部、水22質量部からなる混合液を調製した。該繊維シートに該混合液を該繊維シートに対して20質量%の塗布量になるようにロールにて塗布含浸させた。次にホットメルト接着剤としてポリエステル共重合体(融点:135℃、粒度:60から70μm)40質量部、10%ポリビニルアルコール水溶液20質量部、水50質量部からなる混合液を、該樹脂含浸繊維シートの片面に固形分として20g/mの塗布量でスプレー塗布後180℃で7分間乾燥させ、該スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物をCステージまで硬化させると同時に該ホットメルト接着剤を繊維シートに溶融固着させた難燃性繊維シートである樹脂含浸不織布(難燃性補強用シート)を得た。次に、断熱材として押出法によるポリスチレンフォーム(厚さ:30mm、密度:60kg/m)の片面に、該樹脂含浸不織布がその片面に接着された断熱材を得た。この断熱材は、難燃性(◎)、強度(◎)であり、優れた性能を有していた。
【0068】
(実施例3)
ポリエステル・レーヨン繊維からなるケミカルボンド法による不織布(厚さ:1.0mm、目付量:150g/m2)を繊維シートとして使用した。メチル化トリメチロールメラミン樹脂(固形分:60質量%水溶液)20質量部、フッ素系撥水撥油剤(固形分:25質量%水溶液)1質量部、窒素、リン含有難燃剤(固形分:40質量%水分散溶液)3質量部、スノーテックスN(日産化学工業(株)製:SiO濃度20質量%水溶液、商品名)30質量部、水44.6質量部、および有機アミン系硬化剤1.4質量部からなる混合液を調製した。該繊維シートに該混合液を該繊維シートに対して10質量%の塗布量になるようにロールにて塗布含浸させた。次にホットメルト接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点:110℃、粒度:300から350μm)粉末を、該樹脂含浸繊維シートの片面に15g/mの塗布量で散布後170℃で6分間乾燥させ、該メチル化トリメチロールメラミン樹脂をCステージまで硬化させると同時に該ホットメルト接着剤を繊維シートに溶融固着させた難燃性繊維シートである樹脂含浸不織布(難燃性補強用シート)を得た。次に、断熱材として押出法によるポリスチレンフォーム(厚さ:30mm、密度:60kg/m)の片面に、該樹脂含浸不織布がその片面に接着された断熱材を得た。この断熱材は、難燃性(◎)、強度(◎)であり、優れた性能を有していた。
【0069】
(実施例4)
ポリエステル繊維からなるニードルパンチング法による目付量70g/m2の不織布を繊維シートとして使用した。フェノール−レゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)40質量部、カーボンブラック(固形分:30質量%水分散溶液)1質量部、フッ素系撥水撥油剤(固形分:25質量%水溶液)2質量部、窒素、リン含有難燃剤(固形分:40質量%水分散溶液)5質量部、スノーテックスS(日産化学工業(株)製:SiO濃度30質量%水溶液、商品名)20質量部、水32質量部からなる混合液を調製した。該繊維シートに該混合液を該繊維シートに対して25質量%の塗布量になるようにロールにて塗布含浸させた。次にホットメルト接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(融点:110℃、粒度:300から350μm)粉末を、該樹脂含浸繊維シートの片面に20g/mの塗布量で散布後170℃で6分間乾燥させ、該フェノール−レゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物をCステージまで硬化させると同時に該ホットメルト接着剤を繊維シートに溶融固着させた難燃性繊維シートである樹脂含浸不織布(難燃性補強用シート)を得た。次に、断熱材として押出法によるポリスチレンフォーム(厚さ:50mm、密度:60kg/m)の両面に、該樹脂含浸不織布のホットメルト接着剤が塗布された面を、重合しながら温度を150℃に設定した押圧ロール30A,30B(図5参照)で張り合わせ、両面に樹脂含浸不織布(難燃性補強用シート)が接着された断熱材を得た。この断熱材は、難燃性(◎)、強度(◎)が特に優れ、さらに両面に難燃性シートが貼着されているため取り扱い性が良い。さらに、補強用シートが従来の合成樹脂フィルムと異なり繊維状であるため、コンクリート打設時のセメントとの接着性が大変良く、非常に優れた断熱材である。
【0070】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の断熱材によれば、例えば建築現場において火花が発生して断熱材上に飛散したとしても、該断熱材は不良品とならないため、極めて有用であり、産業上利用可能である。また、本発明の床構造は、型枠の解体を要せず、作業効率が飛躍的に向上する点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】床構造αを示す概要斜視図である。
【図2】断熱材1の外観斜視図である。
【図3】難燃性補強用シートである樹脂含浸不織布10が上下面に形成された断熱材1の縦断側面図である。
【図4】難燃性補強用シートである樹脂含浸不織布10が下面のみに形成された断熱材1の縦断側面図である。
【図5】難燃性補強用シートである樹脂含浸不織布10が上下面に形成された断熱材1の製造過程を示す概略説明図である。
【図6】難燃性補強用シートである樹脂含浸不織布10が下面のみに形成された断熱材1の製造過程を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1 断熱材
2 プラスチック発泡体
10 樹脂含浸不織布(不燃又は難燃性シート)
12 断熱基材層
α 床構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック発泡体からなる断熱基材層と、該断熱基材層の片面又は両面に積層されている不燃又は難燃性シートとからなることを特徴とする断熱材。
【請求項2】
前記不燃又は難燃性シートは、フェノール系樹脂が塗布及び/又は含浸された繊維シートである請求項1記載の断熱材。
【請求項3】
前記フェノール系樹脂は、レゾルシノール系樹脂である請求項2記載の断熱材。
【請求項4】
前記繊維シートに塗布及び/又は含浸されたフェノール系樹脂は、硬化行程の最終段階であるCステージまで硬化されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の断熱材。
【請求項5】
前記繊維シートの表面のうち断熱基材層と接着する接着面に、ホットメルト接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項4記載の断熱材。
【請求項6】
前記不燃又は難燃性シートは、不燃又は難燃剤が添加された多孔質材である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の断熱材。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の断熱材を型枠として使用した床構造であって、該断熱材の上側に配筋が設けられていると共に、該断熱材上にコンクリートが打設されていることを特徴とする床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−35915(P2009−35915A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200410(P2007−200410)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)
【Fターム(参考)】