説明

断熱材保持金物

【課題】嵩張らず、しかも、管理や現場での施工を容易にすることができる床断熱材保持金物を提供する。
【解決手段】左右の大引1,1間に配置される床断熱材2を保持する断熱材保持金物5であって、左右の大引掛け部6,6と、床断熱材支持部7と、左右の立ち上がり連接部8,8とを備えて、「ひ」の字形形状をして床断熱材2を保持するようになされたものであり、左右の大引掛け部6,6と、床断熱材支持部7と、左右の立ち上がり連接部8,8とが一体に備えられ、長さ方向において非屈折状態に延ばされ、前記「ひ」の字形形状に屈折させることができるようになされている。屈折のため、強度劣弱部11,12…を備えさせておくとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材保持金物に関する。
【背景技術】
【0002】
左右の大引間に床断熱材が配置されると共に、大引の上に床板が根太レスで設置された床断熱構造において、左右の大引間に床断熱材を保持するため、左右の大引の上面側に掛けられる左右の大引掛け部と、床断熱材を下面側から支持する床断熱材支持部と、該床断熱材支持部を左右の大引断熱材おさえ部に連接する左右の立ち上がり連接部とを備え、「ひ」の字形形状をして上記の床断熱材を保持する床断熱材保持金物は、従来より知られている。
【特許文献1】特開2003−321929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような床断熱材保持金物では、該金物が、左右の大引掛け部と、床断熱材支持部と、左右の立ち上がり連接部とを含む一体物であると、運搬や保管、取扱いにおいて嵩張ってしまうという問題を生じる。
【0004】
また、該金物が複数の部品に分割されている場合は、各部品の管理や、現場での組立てに手間を要するという問題を生じる。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、嵩張らず、しかも、管理や現場での施工を容易にすることができる床断熱材保持金物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、左右の大引間に配置される床断熱材を保持する断熱材保持金物であって、
左右の大引の上面側に掛けられる左右の大引掛け部と、床断熱材を下面側から支持する床断熱材支持部と、該床断熱材支持部を左右の大引断熱材おさえ部に連接する左右の立ち上がり連接部とを備え、「ひ」の字形形状をして床断熱材を保持するようになされており、かつ、
左右の大引掛け部と、床断熱材支持部と、左右の立ち上がり連接部とが一体に備えられ、長さ方向において非屈折状態に延ばされ、前記「ひ」の字形形状に屈折させることができるようになされていることを特徴とする断熱材保持金物によって解決される。
【0007】
この断熱材保持金物では、施工に用いる前は、長さ方向において非屈折状態に延ばされた状態になっているので、それ一つでも嵩張らないし、多数の断熱材保持金物を嵩張らせることなく束にすることもできるし、しかも、左右の大引掛け部と、床断熱材支持部と、左右の立ち上がり連接部とを含む一体物であるので、金物の管理や現場での施工を容易にすることができる。
【0008】
上記の断熱材保持金物において、大引掛け部と立ち上がり連接部とを屈折させる第1強度劣弱部と、立ち上がり連接部と床断熱材支持部とを屈折させる第2強度劣弱部とが備えられているとよい。
【0009】
この場合は、長さ方向において非屈折状態に延ばされた断熱材保持金物を適正な位置で容易に「ひ」の字形形状にすることができ、非屈折状態から「ひ」の字形形状への切換えを容易にすることができる。
【0010】
また、各強度劣弱部に隣り合って寸法調整用の強度劣弱部が備えられている場合は、左右の大引間の寸法が異なる場合や、断熱材の厚さ寸法が異なる場合などにおいて、それらに少ない種類の断熱材保持金物で対応することなども可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の断熱材保持金物は、以上のとおりのものであるから、嵩張らず、しかも、管理や現場での施工を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態の断熱材保持金物5は、図2に示すように、鋼製大引などからなる左右の金属製大引1,1間にグラスウール等の床断熱材2が配置されると共に、大引1,1の上に合板等からなる床板4が根太レスで設置され、各大引1,1と床板4との間にポリスチレンフォームなどからなる大引断熱材3,3が介設された床断熱構造において、床断熱材2と大引断熱材3,3の保持に用いられるものである。
【0014】
即ち、該断熱材保持金物5は、図1(ロ)に示すように、左右の大引1の上面に設置される大引断熱材3の上面部を抑える大引掛け部としての左右の大引断熱材おさえ部6,6と、床断熱材2を下面側から支持する床断熱材支持部7と、該床断熱材支持部7を左右の大引断熱材おさえ部6に連接する左右の立ち上がり連接部8,8と、大引断熱材3,3の外側側面部に沿わせる位置決め部9とが一体に備えられ、全体が長さ方向において非屈折状態に延ばされたものからなっている。
【0015】
そして、大引断熱材おさえ部6と立ち上がり連接部8との境界部には溝やスリット孔などによる第1強度劣弱部11が設けられ、また、立ち上がり連接部8と床断熱材支持部7との境界部には同様の第2強度劣弱部12が設けられ、また、大引断熱材おさえ部6と位置決め部9との境界部には同様の第3強度劣弱部13が設けられ、これら各強度劣弱部11,12,13で断熱材保持金物5を「ひ」の字形形状に屈折させることにより、図1(イ)及び図2に示すように、床断熱構造の中で、大引断熱材3,3と床断熱材2とを保持することができるようになされている。なお、床断熱材支持部7の縁部には屈折加工が施されていて補強用のリブ7aが形成されている。
【0016】
上記の断熱材保持金物5では、施工に用いる前の部品段階では、図1(ロ)に示すように、長さ方向において非屈折状態に延ばされた状態になっているので、それ一つでも嵩張らないし、多数の断熱材保持金物を嵩張らせることなく束にすることもでき、しかも、左右の大引掛け部と、床断熱材支持部と、左右の立ち上がり連接部と、位置決め部を含む一体物であるので、金物5の管理や現場での施工を容易にすることができる。
【0017】
そして、施工においては、この非屈折状の断熱材保持金物5を、それに備えられている強度劣弱部11,12,13で屈折させて、図1(イ)に示すような「ひ」の字形形状に変形させ、図2(イ)(ロ)に示すように、大引1,1間にわたせば、大引断熱材3,3と床断熱材2とを保持した状態にすることができ、非屈折状の断熱材保持金物5は、強度劣弱部11,12,13が備えられていることで、現場において容易に「ひ」の字形形状にすることができる。
【0018】
なお、図1(ハ)に示す断熱材保持金物5は、他の例で、強度劣弱部が省略されており、強度劣弱部を設けなくても現場において容易に「ひ」の字形形状に変形加工することができる場合は、このように強度劣弱部の省略された断熱材保持金物に構成されていてもよい。
【0019】
また、図3において右側に示す断熱材保持金物5は、左右の大引1,1間の寸法が異なる場合と、床断熱材2の厚さ寸法が異なる場合とについて、左側に示すように3種類の床断熱材保持金物5,5,5を用いなくとも、右側に示すように同じ一種類の床断熱材保持金物5で対応できるようになされたもので、該右側の床断熱材保持金物5には、第1、第2、第3の強度劣弱部11,12,13に隣り合って寸法調整用の第1、第2、第3の強度劣弱部21,22,23が備えられている。もちろん、図1(ハ)に示す断熱材保持金物5においても、そのような使い方が可能である。
【0020】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、大引1が鋼製大引からなって、床板4が根太レスで大引断熱材3を介して大引1上に設置された床断熱構造用の断熱材保持金物、即ち位置決め部を備えた断熱材保持金物に構成されている場合を示したが、本発明の断熱材保持金物は、大引が木製等のそれ自体で断熱性能を保有する大引からなって、床板が、根太レスでかつ大引断熱材レスで大引上に設置される床断熱構造において大引間の床断熱材を保持する断熱材保持金物、即ち、大引断熱材おさえ部が大引掛け部で、位置決め部が省略された断熱材保持金物に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態の床断熱材保持金物を示すもので、図(イ)は強度劣弱部で屈折させた状態の斜視図、図(ロ)は非屈折状態の部品段階の床断熱材保持金物の斜視図、図(ハ)は非屈折状態の部品段階の床断熱材保持金物の他の例を示す斜視図である。
【図2】図(イ)は該床断熱材保持金物が用いられる床断熱構造の断面正面図、図(ロ)は同分解部である。
【図3】床断熱材保持金物の更に他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1…大引
2…床断熱材
5…床断熱材保持金物
6…大引断熱材おさえ部(大引掛け部)
7…床断熱材支持部
8…立ち上がり連接部
11…第1強度劣弱部
12…第2強度劣弱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の大引間に配置される床断熱材を保持する断熱材保持金物であって、
左右の大引の上面側に掛けられる左右の大引掛け部と、床断熱材を下面側から支持する床断熱材支持部と、該床断熱材支持部を左右の大引断熱材おさえ部に連接する左右の立ち上がり連接部とを備え、「ひ」の字形形状をして床断熱材を保持するようになされており、かつ、
左右の大引掛け部と、床断熱材支持部と、左右の立ち上がり連接部とが一体に備えられ、長さ方向において非屈折状態に延ばされ、前記「ひ」の字形形状に屈折させることができるようになされていることを特徴とする断熱材保持金物。
【請求項2】
大引掛け部と立ち上がり連接部とを屈折させる第1強度劣弱部と、立ち上がり連接部と床断熱材支持部とを屈折させる第2強度劣弱部とが備えられている請求項1に記載の断熱材保持金物。
【請求項3】
前記各強度劣弱部に隣り合って寸法調整用の強度劣弱部が備えられている請求項2に記載の断熱材保持金物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−285069(P2007−285069A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116209(P2006−116209)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】