説明

新規なカチオン性酸化ベース、ケラチン繊維の酸化染色のためのその使用、染色組成物及び染色方法

【課題】 毒物学的欠点を持たず、色合いが望ましい強さで得られ、外的作用に対して優れた耐性を示し、ケラチン繊維の全長に渡って非選択的な染色を提供する。
【解決手段】 環式または非環式の少なくとも一の第四級アンモニウム単位を坦持する少なくとも一のカチオン基Zを有する新規なモノベンゼン酸化ベース、ケラチン繊維の酸化染色のためのその使用、これを含有する染色組成物及びこれを使用する酸化染色方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一のカチオン基Zを有する新規なモノベンゼン酸化ベースに関し、Zは、第四級脂肪鎖及び少なくとも一の第四級飽和環を有する脂肪鎖より選択されるものであって、また、ケラチン繊維の酸化染色のためのその使用、これを含有する染色組成物及びこれを使用する酸化染色方法に関する。
【0002】
ケラチン繊維、特にヒトの髪を、酸化染色前駆体、特に、オルト-またはパラ-フェニレンジアミン、オルト-またはパラ-アミノフェノール及び複素環化合物、例えばジアミノピラゾール誘導体等の一般的に酸化ベースと呼称される化合物を用いて染色することは既知の操作である。酸化染色前駆体、または酸化ベースは、無色または淡色の化合物であって、酸化生成物と混合されると酸化縮合の行程によって着色化合物及び染料を生成可能である。
【0003】
これらの酸化ベースによって得られる色合いが、カプラーまたは着色調整剤と混合されることによって異なることもまた既知であり、着色調整剤は、特に芳香族メタ-ジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール及び所定の複素環化合物より選択される。
酸化ベース及びカプラーに使用される分子が多様であることも、得られる着色の多様性の一因である。
【0004】
これらの酸化染料を用いて得られる、いわゆる“パーマネント”染色は、さらに一定数の要求を満たさねばならない。したがって、毒物学的欠点を持たず、色合いが望ましい強さで得られ、外的作用(光、悪天候、洗浄、パーマネント・ウェーブ、発汗、摩擦)に対して優れた耐性を示さねばならない。
染料はまた、白髪を被覆でき、最終的には出来る限り非選択的なものでなければならない。すなわち、実際のところ、毛先と毛根部では敏感化の程度(傷み具合)の異なる同一のケラチン繊維の全長に渡って、得られる色の違いをできる限り小さくしなければならない。
【特許文献1】米国特許5,139,532号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、米国特許5,139,532号において、ケラチン繊維を、通常標準的なパラフェニレンジアミン、すなわちカチオン基を有しない化合物を使用して得られるものよりも赤みの強い濃い色合いに酸化染色するために、所定のカチオンパラ-フェニレンジアミン誘導体、すなわち、より正確には、アミノ基の一つが第四級脂肪鎖によってモノ置換されてなるパラフェニレンジアミンを使用することが既に提案されている。しかしながら、先行特許に記載のパラフェニレンジアミンを使用しても、広範な色は得られず、さらにまた、得られる着色は、髪がさらされうる様々な形態の攻撃(光の作用、発汗、シャンプー等)に対する耐性の観点から必ずしも十分なものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに、出願人は、全く驚くべき、また予期せぬことに、下記の化学式(I)の所定の新規なモノベンゼン酸化ベースであって、少なくとも一のカチオン基Zを有し、Zが第四級脂肪鎖及び少なくとも一の第四級飽和環を有する脂肪鎖より選択されてなる化合物が、酸化染色前駆体としての使用に好適であるのみならず、広範な色を網羅し、ケラチン繊維がさらされうる様々な処理に対抗する優れた特性を有する強い発色を生じる染色組成物を得ることも可能にすることを見いだした。最後に、これらの組成物は、容易に合成可能であることが判っている。
これらの発見が、本発明の基礎を成す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第一の主題は、下記化学式(I)の新規な化合物及びその酸との付加塩である。
【化1】

上記式中、
・R、R及びRは、同一でも相違してもよく、水素原子;Z基;(C−C)アルキルカルボニル基;アミノ(C−C)アルキルカルボニル基;N-Z-アミノ(C−C)アルキルカルボニル基;N-(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル基;アミノ(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;N-Z-アミノ(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;カルボキシル基;(C−C)アルキルカルボキシル基;C−Cアルキルスルホニル基;アミノスルホニル基;N-Z-アミノスルホニル基;C−CN-アルキルアミノスルホニル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル基;C−Cアミノスルホニルアルキル基;C−CN-Z-アミノスルホニルアルキル基;N-(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;カルバミル基;N-(C−C)アルキルカルバミル基;N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル基;カルバミル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;C−Cアルキル基;C−Cモノヒドロキシアルキル基;C−Cポリヒドロキシアルキル基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基;ORまたはSR基;(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルキルカルボキシル、トリフルオロ(C−C)アルキルカルボニル、アミノ(C−C)アルキルカルボニル、N-Z-アミノ(C−C)アルキルカルボニル、N-(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル、N,N-ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル、カルバミル、N-(C−C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル、C−Cアルキルスルホニル、アミノスルホニル、N-Z-アミノスルホニル、C−CN-アルキルアミノスルホニル、N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、チオカルバミルまたはホルミル基、またはZ基で保護されたアミノ基;あるいはC−Cアミノアルキル基において、アミンがC−Cアルキル、C−Cモノヒドロキシアルキル、C−Cポリヒドロキシアルキル、C−Cアルキルカルボニル、カルバミル、N-(C−C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル、(C−C)アルキルスルホニル、ホルミル、トリフルオロ(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルキルカルボキシル及びチオカルバミル基から選択される1または2の同一または相違する基、またはZ基で置換されてなるものを表し;
・Rが、C−Cアルキル基;C−Cモノヒドロキシアルキル基;C−Cポリヒドロキシアルキル基;Z基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基;アリール基;ベンジル基;カルボキシ(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボキシ(C−C)アルキル基;シアノ(C−C)アルキル基;カルバミル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;C−Cトリフルオロアルキル基;C−Cアミノスルホニルアルキル基;C−CN-Z-アミノスルホニルアルキル基;N-(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルフィニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルホニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;C−Cアミノアルキル基;C−Cアミノアルキル基において、アミンがC−Cアルキル、C−Cモノヒドロキシアルキル、C−Cポリヒドロキシアルキル、(C−C)アルキルカルボニル、ホルミル、トリフルオロ(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルキルカルボキシル、カルバミル、N-(C−C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル、チオカルバミル及びC−Cアルキルスルホニル基から選択される1または2の同一または相違する基、またはZ基で置換されてなるものを表し;
・Aは、ヒドロキシル基を表し;
・R及びRは、同一でも相違しても良く、水素原子;C−Cアルキル基;C−Cモノヒドロキシアルキル基;C−Cポリヒドロキシアルキル基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基;アリール基;ベンジル基;シアノ(C−C)アルキル基;カルバミル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;チオカルバミル(C−C)アルキル基;C−Cトリフルオロアルキル基;C−Cスルホアルキル基;(C−C)アルキルカルボキシ(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルフィニル(C−C)アルキル基;C−Cアミノスルホニルアルキル基;C−CN-Z-アミノスルホニルアルキル基;N-(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;C−Cアミノアルキル基;C−Cアミノアルキル基において、アミンがC−Cアルキル、C−Cモノヒドロキシアルキル、C−Cポリヒドロキシアルキル、(C−C)アルキルカルボニル、カルバミル、N-(C−C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル、C−Cアルキルスルホニル、ホルミル、トリフルオロ(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルキルカルボキシル及びチオカルバミル基から選択される1または2の同一または相違する基、またはZ基で置換されてなるものを表し;
・Zは、下記の化学式(II):
【化2】

[・Bは、1から14の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキル鎖を表し、これは酸素、硫黄または窒素原子から選択される一以上の異種原子によって断裂可能であり、またこれは一以上のヒドロキシルまたはC−Cアルコキシ基によって置換可能であり、さらに一以上のケトン官能基を坦持可能な結合鎖であり;
・R、R及びRは、同一または相違し、C−Cアルキル基、C−Cモノヒドロキシアルキル基、C−Cポリヒドロキシアルキル基、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基、シアノ(C−C)アルキル基、アリール基、ベンジル基、カルバミル(C−C)アルキル基、トリ(C−C)アルキルシラン(C−C)アルキル基またはC−Cアミノアルキル基において、アミンが(C−C)アルキルカルボニル、カルバミルまたはC−Cアルキルスルホニル基によって保護され;R、R及びRのうち二つの基が、その結合する窒素原子と共に飽和の5員または6員の炭素環または一以上の異種原子を含む環、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環またはモルホリン環等を形成可能であり、前記環は、無置換であるか、またはハロゲン原子、ヒドロキシル基、C−Cアルキル基、C−Cモノヒドロキシアルキル基、C−Cポリヒドロキシアルキル基、ニトロ基、シアノ基、シアノ(C−C)アルキル基、C−Cアルコキシ基、トリ(C−C)アルキルシラン(C−C)アルキル基、アミド基、アルデヒド基、カルボキシル基、(C−C)アルキルカルボニル基、チオール基、C−Cチオアルキル基、C−Cアルキルチオ基、アミノ基、もしくは(C−C)アルキルカルボニル、カルバミルまたはC−Cアルキルスルホニル基で保護されたアミノ基で置換されていてもよくし;R、R及びRのうち一つが、第一の基Zと同一または相違してなる第二の基Zを表すことができ;
・Xが単価または二価のアニオンを表し、好ましくはハロゲン原子、例えば、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素、水酸化物塩、硫酸水素塩またはC−Cアルキルスルファート、例えばメチルスルファートまたはエチルスルファートより選択されることが好ましい;
・R10が、C−Cアルキル基;C−Cモノヒドロキシアルキル基;C−Cポリヒドロキシアルキル基;アリール基;ベンジル基;C−Cアミノアルキル基、C−Cアミノアルキル基において、アミンが(C−C)アルキルカルボニル、カルバミルまたはC−Cアルキルスルホニル基によって保護されてなるもの;カルボキシ(C−C)アルキル基;シアノ(C−C)アルキル基;カルバミル(C−C)アルキル基;C−Cトリフルオロアルキル基;トリ(C−C)アルキルシラン(C−C)アルキル基;C−Cスルホンアミドアルキル基;(C−C)アルキルカルボキシ(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルフィニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルホニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルケト(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルスルホンアミド(C−C)アルキル基を表し;
・xが、0または1の整数であって、下記の条件に従い:
・x=0の場合、結合鎖BがRからRを坦持する窒素原子に結合しており、
・x=1の場合、RからRの二つの基が、その結合する窒素原子と共に上記の飽和5員または6員環を形成し、結合鎖Bが前記飽和環の炭素原子に坦持されてなる]の基を表し;
・Z基の数が1以上であり;
・R、RまたはRのみが、Z基となることとし;
4-アミノ-2-フルオロ-N-(トリメチルアンモニオエチル)アニリン=ヨウダイド;4-アミノ-2-トリフルオロメチル-N-(トリメチルアンモニオエチル)アニリン=ヨウダイド;4-アミノ-2-シアノ-N-(トリメチルアンモニオエチル)アニリン=ヨウダイド;2-(4-アミノフェニルアミノ)エチルトリメチルアンモニウム=ヨウダイド;4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-(トリメチルアンモニオエチル)アニリン=クロライド、及びこれらの酸との付加塩を除外することとする。
【0008】
上記の通り、本発明による酸化染色組成物によって得られる着色は、強く、広範な色を網羅する。これらはさらにまた、様々な外部要因(光、悪天候、洗浄、パーマネント・ウェーブ、発汗、摩擦)の作用に対抗するこの上ない特性を有する。
【0009】
上記化学式(I)において、アルキル基及びアルコキシ基は、直鎖状または分枝状であってよい。
上記化学式(I)の化合物の中では、特に、
・[2-(2,5-ジアミノフェノキシ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド=モノハイドラート;
・N,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-アミノアニリン=ジクロライド;
・[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド;
・[2-(4-アミノフェニルアミノ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・{2-[(4-アミノフェニル)メチルアミノ]エチル}トリメチルアンモニウムクロライド;
・[3-(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド;
・[2-(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド;
・[4-(4-アミノ-2-メチルフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・[4-(4-アミノ-3-メチルフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・1-{[5-アミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェニルカルバモイル]-メチル}-1,4-ジメチル-1-ピペラジジウムクロライド;
及びこれらの酸との付加塩を挙げることができる。
【0010】
上記化学式(I)の化合物の中で、更に好ましいものとして、
・[2-(2,5-ジアミノフェノキシ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド=モノハイドラート;
・N,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-アミノアニリン=ジクロライド;
・[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・[2-(4-アミノフェニルアミノ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・{2-[(4-アミノフェニル)メチルアミノ]エチル}トリメチルアンモニウムクロライド;
・[3-(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド;
・[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド;
及びこれらの酸との付加塩を挙げることができる。
【0011】
本発明による化学式(I)の化合物は、当業者には良く知られた方法:
・対応するカチオン性ニトロ化合物(カチオン性パラ-ニトロアニリンまたはカチオン性パラ-ニトロフェノール)の還元により、または
・対応するカチオン性ニトロソ化合物(例えば、第三級アニリンまたは対応するフェノールのニトロソ化によって得られるもの)の還元により、または
・対応するカチオン性アゾ化合物の還元(還元断裂)により
容易に入手可能である。
【0012】
酸化可能化合物(酸化ベース)としての性質を合成化合物に与えるこの還元段階(第一級芳香族アミンの生成)は、続けて塩化を行っても行わなくともよいが、便宜上、合成の最終段階とするのが一般的である。
【0013】
この還元は、化学式(I)の化合物の調製につながる反応経路においてより早く実行可能であり、良く知られた方法によれば、(例えばアセチル化、ベンゼンスルホン化等の段階により)生成する第一級アミンを“保護”し、望ましい置換または変性(第四級化を含む)を行い、“脱保護(deprotecting)”(通常は酸性媒体中)によって終了することが必要である。
【0014】
同様に、フェノール官能基は、良く知られた方法によってベンジル基で(触媒還元による“脱保護”)、あるいはアセチルまたはメチル基で(酸性媒体中での“脱保護”)保護可能である。
合成が終了した際、本発明の化学式(I)の化合物は、必要に応じて当業者には良く知られた、例えば結晶化または蒸留によって回収可能である。
【0015】
本発明の別の主題は、本発明の化学式(I)の化合物の、ケラチン繊維、特にヒトの髪などのケラチン繊維の酸化染色のための酸化ベースとしての使用である。
本発明はまた、ケラチン繊維、特にヒトの髪などのケラチン繊維の酸化染色のための組成物に関し、これは酸化ベースとして染色に適当な媒体中に本発明による化学式(I)の少なくとも一の化合物を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の化学式(I)の化合物は、染色組成物全重量に対して約0.0005から12重量%を占めることが好ましく、約0.005から6重量%を占めることが更に好ましい。
【0017】
染色に適した媒体(または支持体)は、一般的に、水または、水と、水には十分溶解性でない化合物を溶解するための少なくとも一の有機溶媒からなる。有機溶媒としては、例えば、エタノール及びイソプロパノール等のC−C低級アルコール;グリセリン;グリコール及びグリコールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノエチルエーテル、並びにベンジルアルコールまたはフェノキシエタノール等の芳香族アルコール、類似生成物及びこれらの混合物を挙げることができる。
溶媒は、染色組成物全重量に対して約1から40重量%を占めることが好ましく、更に好ましくは、約5から30重量%を占める。
【0018】
本発明の染色組成物のpHは、一般的に3から12である。これは、ケラチン繊維の染色において従来より用いられる酸性化もしくはアルカリ性化剤を使用して、望ましい値に調整することができる。
酸性化剤の中では、例として、塩酸、オルトリン酸、硫酸等の無機もしくは有機酸、酢酸、酒石酸、クエン酸及び乳酸等のカルボン酸、及びスルホン酸を挙げることができる。
塩基性化剤の中では、例として、アンモニア水溶液、アルカリ性カーボナート、モノ-、ジ-及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン並びにその誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び下記の化学式(III)の化合物を挙げることができる。
【化3】

【0019】
上記式中、Wは、任意でヒドロキシル基もしくはC−Cアルキル基で置換されたプロピレン残基であり;R11、R12、R13及びR14は、同一でも相違してもよく、水素原子、C−Cアルキル基もしくはC−Cヒドロキシアルキル基を表す。
【0020】
本発明による染料組成物はまた、上記染料に加え、酸化染色において通常使用されているカプラーから選択可能な少なくとも一の付加的酸化ベースを含有可能であり、特に本発明の化学式(I)の化合物以外のパラフェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、本発明の化学式(I)の化合物以外のパラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール及び複素環ベースを挙げることができる。
【0021】
パラ-フェニレンジアミンの中では、例えば、パラフェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-n-プロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N-(β-メトキシエチル)アニリン及び仏国特許出願2,630,438号に記載のパラ-フェニレンジアミン及びこれらの酸との付加塩を特に挙げることができる。
【0022】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中では、例えば、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン及びN,N’-ビス(エチル)-N,N’-ビス(4’-アミノ-3’-メチルフェニル)エチレンジアミン、及びこれらの酸との付加塩を特に挙げることができる。
【0023】
パラ-アミノフェノールの中では、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール及び4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及びこれらの酸との付加塩を特に挙げることができる。
オルト-アミノフェノールの中では、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール及び5-アセタミド-2-アミノフェノール、及びこれらの酸との付加塩を特に挙げることができる。
複素環ベースの中では、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体を特に挙げることができる。
【0024】
これらの付加的な酸化ベースを使用する場合は、染料組成物全重量に対して、約0.0005から12重量%を占めることが好ましく、約0.005から6重量%を占めることが更に好ましい。
【0025】
本発明の酸化染色組成物はまた、少なくとも一のカプラー及び/または少なくとも一の直接染料を含有可能であり、特に色合いに変化を出すまたは、輝きを添えて色合いを豊かにする。
本発明の酸化染色組成物において使用可能な付加的なカプラーは、酸化染色において通常使用されているカプラーから選択可能であり、これらの中では特に、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール及び複素環カプラー、例えば、インドール誘導体及びインドレン誘導体、ピリジン誘導体及びピラゾロン及びこれらの酸との付加塩を挙げることができる。
【0026】
これらのカプラーは、特に、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、セサモル、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1H-3-メチルピラゾール-5-オン及び1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、及びこれらの酸との付加塩より選択可能である。
これらのカプラーが存在する場合は、染色組成物全重量に対して、約0.0001から10重量%を占めることが好ましく、約0.005から5重量%を占めることが更に好ましい。
【0027】
一般的に、本発明の染色組成物において使用可能な酸との付加塩(化学式(I)の化合物、付加的酸化ベース及びカプラー)は、特に、塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、ケイ皮酸塩、酒石酸塩、乳酸塩及び酢酸塩より選択される。
本発明の染色組成物はまた、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性もしくは双性イオン性界面活性剤もしくはこれらの混合物、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性もしくは双性イオン性ポリマーもしくはこれらの混合物、無機もしくは有機増粘剤、抗酸化剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、緩衝剤、分散剤、例えばシリコーンなどの調整剤、フィルム形成剤、防腐剤及びパール剤等の、従来より髪の染色のための組成物中に使用される様々な補助剤を含有可能である。
【0028】
言うまでもないが、当業者であれば、本発明の染色組成物に本来備わった有利な特性が、予期される添加によって損なわれることのないように、または本質的に損なわれることのないようにこれらの補足的な化合物を選択することができるであろう。
【0029】
本発明の染色組成物は、様々な形態、例えば液体、クリームもしくはゲルの形態、あるいは特に髪等のヒトのケラチン繊維の染色を行うのに適した他のあらゆる形態をとることができる。
【0030】
本発明はまた、ケラチン繊維、特に髪などのヒトのケラチン繊維の染色のための方法である。
この方法によれば、少なくとも一の上記の染色組成物を繊維に適用し、酸性、中性またはアルカリ性のpHにて、使用時に初めて染色組成物に添加される酸化剤または、分離方法で同時または連続的に適用される酸化組成物中に存在する酸化剤を使用して色が発色する。
【0031】
本発明の染色方法の特に好ましい実施態様によれば、上記染色組成物は、染色に適した媒体中に着色を行うに十分な量で存在する少なくとも一の酸化剤を含有する酸化組成物と、使用時に混合される。得られた混合物をケラチン繊維に適用し、約3から50分間、好ましくは約5から30分間そのままおいた後、繊維を濯ぎ、シャンプーで洗浄し、再度濯いで乾燥させる。
【0032】
酸化剤は、ケラチン繊維の酸化染色に従来より使用されている酸化剤より選択可能であり、これらの中では、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩及びペル塩、例えばペルボラート及びペルスルファートを挙げることができる。過酸化水素が特に好ましい。
【0033】
上記の酸化剤を含有する酸化組成物のpHは、染色組成物と混合した後に、ケラチン繊維に適用使用とする生じた組成物のpHが、約3から12、さらに好ましくは5から11となるような値である。これは通常ケラチン繊維の染色に使用される酸性化剤または塩基性化剤を上記のように使用して望ましい値に調節される。
【0034】
上記酸化組成物はまた、髪の染色のための組成物に従来より使用される上記のような様々な補助剤を含有可能である。
ケラチン繊維に最終的に適用される組成物は、多様な形態、例えば、液体、クリームもしくはゲルの形態、あるいは特に髪等のヒトのケラチン繊維の染色に適した他の形態等の、様々な形態をとることができる。
【0035】
本発明の別の主題は、第一の区画に上述の染色組成物を収容し、第二の区画に上述の酸化組成物を収容する、多区画装置もしくは多区画“キット”もしくは他のあらゆる多区画実装装置である。
【0036】
これらの装置には、髪への分配に望ましい混合状態を与える手段を装備可能であり、本出願人名義の仏国特許2,586,913号に記載の装置等が可能である。
以下の実施例は、本発明を限定することなく詳説することを目的とする。
【実施例】
【0037】
調製実施例:
(調製実施例1:[2-(2,5-ジアミノフェノキシ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムモノクロライド=ジヒドロクロライド=モノハイドラートの調製)
【化4】

a)[2-(2-アセチルアミノ-5-ニトロフェノキシ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムメチルスルファートの調製
酢酸エチル700ml中に溶解させたN-[2-(2-ジエチルアミノエトキシ)-4-ニトロフェニル]アセトアミド59.1g(0.2mol)の第四級化を、室温にて1時間攪拌しつつ、ジメチルスルファート20.9ml(0.22mol)を添加することにより行った。
第四級化化合物が沈殿した。
反応混合物を50℃で一時間加熱した。
結晶を濾過し、最小量の無水エタノールでペースト状にし(reimpasted)、五酸化リンを用いて真空中50℃にて乾燥させた。
融点141−145℃の暗黄色の結晶71.3gが得られ、C1627Sと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0038】
b)[2-(2-アセチルアミノ-5-ニトロフェノキシ)-エチル]ジエチルメチルアンモニウムメチルスルファートの還元
96°エタノール100ml、水10ml、亜鉛の微小粉末50g及び塩化アンモニウム1gの混合物を、アルコールの還流点に加熱した。前段階で調製された[2-(2-アセチルアミノ-5-ニトロフェノキシ)-エチル]ジエチルメチルアンモニウムメチルスルファート42.1g(0.1mol)を、加熱せずに還流を維持するように滴々と添加した。反応は発熱性であった。
添加の最後に、さらに10分間還流を続けた。
混合物を沸騰濾過し、減圧下で蒸発乾燥させた。
[2-(2-アセチルアミノフェノキシ)-エチル]ジエチルメチルアンモニウムメチルスルファートの暗黄色のオイル44.4gが得られた。
【0039】
c)[2-(2-アセチルアミノ-5-アミノフェノキシ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムメチルスルファートの脱アセチル化
前段階で得られた[2-(2-アセチルアミノ-5-アミノフェノキシ)-エチル]ジエチルメチルアンモニウム=メチルスルファート(43.9g)を、室温にて攪拌しつつ、5Nの無水塩化水素エタノール約100mlに溶解させた。
半時間後、白色結晶沈殿が現れた。
懸濁液をアルコールの還流点で1時間加熱し、陰イオン交換を完了させた。
粗製の生成物を冷却し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、水酸化カリウムを用いて真空中50℃にて乾燥させた。
110−120℃にて分解する(Kofler)白色結晶28.9gが得られ、C1326OCl・HOと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0040】
(調製実施例2:N,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-アミノアニリン=ジクロライド=ジヒドロクロライドの調製)
【化5】

a)N-(3-ジメチルアンモニオプロピル)-N’,N’-ジメチル-N-(4-ニトロフェニル)プロパン-1,3-ジアミンの調製
ジメチルスルホキシド200ml中、1-フルオロ-4-ニトロベンゼン28.2g(0.2mol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン39.4g(0.21mol)及び炭酸カリウム27.6g(0.2mol)を、攪拌しつつ2時間、沸騰した水浴中で加熱した。
混合物を冷却し、水400mlで希釈し、酢酸エチルで抽出した。
抽出物を水で数回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて乾燥させた。
所望のN-(3-ジメチルアンモニオプロピル)-N’,N’-ジメチル-N-(4-ニトロフェニル)プロパン-1,3-ジアミンの黄色オイルが61.6g得られた。
【0041】
b)N,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-ニトロアニリンメチルスルファートの調製
実施例1に記載の段階a)の操作を利用した。
前段階で得られたN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’,N’-ジメチル-N-(4-ニトロフェニル)プロパン-1,3-ジアミン61.6g(0.2mol)及びメチルスルファート42.1ml(0.44mol)から出発し、融点196℃(Kofler)のN,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-ニトロアニリンメチルスルファートの黄色結晶88.5gが得られ、C204010と算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0042】
C)N,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-ニトロアニリンメチルスルファートの還元
N,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-ニトロアニリンメチルスルファート78.5g(0.14mol)、5%パラジウムを坦持した活性炭(水50%含有)15g、イソプロパノール250ml及び水250mlをハイドロゲネーターに入れた。
水素圧約8バールにて、温度は徐々に70℃まで上昇させつつ還元を半時間行った。窒素雰囲気下で触媒を濾過して除き、濾液を塩酸水溶液に注いだ。
濾液を減圧下で蒸発させて乾燥させ、約5Nの無水塩化水素エタノール中で加熱し、陰イオン交換を完了させた。
真空中40℃にて、水酸化カリウムを用いて乾燥させた後、融点253−260℃(Kofler)の白色結晶51.4gが得られ、C1838Cl・1/2HOと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0043】
(調製実施例3:[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムモノクロライド=ジヒドロクロライドの調製)
【化6】

a)N1,N1-ジエチル-N4-(4-ニトロフェニル)-ペンタン-1,4-ジアミンの調製
1-フルオロ-4-ニトロベンゼン56.4g(0.4mol)、N1,N1-ジエチルペンタン-1,4-ジアミン79.1g(0.5mol)及び炭酸カリウム33.0g(0.24mol)を、攪拌しつつ5時間還流した。
油性懸濁物を冷却し、酢酸エチルで抽出した。
抽出物を水で数回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて乾燥させた。
N1,N1-ジエチル-N4-(4-ニトロフェニル)-ペンタン-1,4-ジアミンの黄色オイルが93.4gが得られ、C1525・1/2HOと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0044】
b)ジエチルメチル-[4-(4-ニトロフェニルアミノ)ペンチル]アンモニウムメチルスルファートの調製
実施例1、段階a)に記載の操作を利用した。
前段階で得られたN1,N1-ジエチル-N4-(4-ニトロフェニル)-ペンタン-1,4-ジアミン92.7g(0.331mol)及びメチルスルファート38.0ml(0.4mol)から出発し、ジエチルメチル-[4-(4-ニトロフェニルアミノ)ペンチル]アンモニウムメチルスルファートの橙色オイルが127.2gが得られ、C1731S・1/2HOと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0045】
c)ジエチルメチル-[4-(4-ニトロフェニルアミノ)ペンチル]アンモニウムメチルスルファート
実施例2、段階c)の操作を利用した。
前段階で得られたジエチルメチル-[4-(4-ニトロフェニルアミノ)ペンチル]アンモニウムメチルスルファート126.5g(0.312mol)から出発して、融点200−208℃(Kofler)の白色結晶62.5gが得られ、元素分析の結果はC1632Clと合致していた。
【0046】
(調製実施例4:{2-[(4-アミノフェニル)メチルアミノ]エチル}トリメチルアンモニウムモノクロライドジヒドロクロライドの調製)
【化7】

a)トリメチル-{2-[メチル-(4-ニトロフェニル)アミノ]エチル}アンモニウムメチルスルファートの調製
実施例1に記載の段階a)の操作を利用した。
前段階で得られたN,N,N’-トリメチル-N’-(4-ニトロフェニル)エタン-1,2-ジアミン57.0g(0.255mol)及びメチルスルファート35.4g(0.288mol)から出発し、融点182℃(Kofler)のトリメチル-{2-[メチル-(4-ニトロフェニル)アミノ]エチル}アンモニウムメチルスルファートの黄色結晶84.0gが得られ、C1323Sと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0047】
b)トリメチル-{2-[メチル-(4-ニトロフェニル)アミノ]エチル}アンモニウムメチルスルファートの還元
前段階で得られたトリメチル-{2-[メチル-(4-ニトロフェニル)アミノ]エチル}アンモニウムメチルスルファート69.9g(0.2mol)、5%パラジウムを坦持した活性炭(水50%含有)20g、イソプロパノール250ml及び水250mlをハイドロゲネーターに入れた。
水素圧約8バールにて、温度は徐々に70℃まで上昇させつつ還元を半時間行った。窒素雰囲気下で触媒を濾過して除き、濾液を塩酸水溶液に注いだ。
濾液を減圧下で蒸発させて乾燥させ、約5Nの無水塩化水素エタノール中で加熱し、陰イオン交換を完了させた。
真空中40℃にて、水酸化カリウムを用いて乾燥させた後、融点が260℃より高い(Kofler)の淡褐色結晶42.6gが得られ、C1224Cl・1/3HOと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0048】
(調製実施例5:[3(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムモノクロライドジヒドロクロライドの調製)
【化8】

a)トリメチル-[3-(4-ニトロフェニルアミノ)プロピル]アンモニウムメチルスルファートの調製
実施例1に記載の段階a)の操作を利用した。
N,N-ジメチル-N’-(4-ニトロフェニル)プロパン-1,3-ジアミン33.5g(0.15mol)及びメチルスルファート15.7g(0.165mol)から出発し、融点168℃(Kofler)のトリメチル-[3-(4-ニトロフェニルアミノ)プロピル]アンモニウムメチルスルファートの暗黄色結晶49.2gが得られ、C1323Sと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0049】
b)トリメチル-[3-(4-ニトロフェニルアミノ)プロピル]アンモニウムメチルスルファートの還元
実施例4、段階b)に記載の操作を利用した。
前段階で得られたトリメチル-[3-(4-ニトロフェニルアミノ)プロピル]アンモニウムメチルスルファート38.6g(0.1105mol)から出発し、248℃で分解(Kofler)する白色結晶25.6gが得られ、C1224Cl・1/2HO・1/2CHCHOHと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0050】
(調製実施例6:[2(4-アミノフェニルアミノ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムモノクロライドジヒドロクロライドの調製)
【化9】

a)ジエチルメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)エチル]アンモニウムメチルスルファートの調製
実施例1に記載の段階a)の操作を利用した。
N,N-ジエチル-N’-(4-ニトロフェニル)エタン-1,2-ジアミン21.5g(0.091mol)から出発し、融点118℃(Kofler)の暗黄色結晶21.0gが得られ、C1322Sと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0051】
b)ジエチルメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)エチル]アンモニウムメチルスルファートの還元
実施例1、段階b)に記載の操作を利用した。
ジエチルメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)エチル]アンモニウムメチルスルファート20.0g(0.055mol)から出発し、約5Nの無水塩化水素エタノール中で加熱して陰イオン交換を完了させた後、231℃で分解(Kofler)する白色結晶14.0gが得られ、C1326Cl・1/2HO・1/2CHCHOHと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0052】
(調製実施例7:[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムモノクロライド=ジヒドロクロライド=モノハイドラートの調製)
【化10】

a)[4-(4-ニトロフェニルアミノ)ペンチル]-ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライドの調製
前記調製実施例3の段階a)で得られたN1,N1-ジエチル-N4-(4-ニトロフェニル)ペンタン-1,4-ジアミン111.7g(0.40mol)を1-クロロエタノール222ml中の溶液として7時間還流した。
1-クロロエタノールを減圧下で蒸発させ、橙色オイルが無水エタノール200ml中に取り出された。
結晶化合物を濾過して除き、還流96°エタノールからの再結晶により精製した。
融点176℃(Kofler)の[4-(4-ニトロフェニルアミノ)ペンチル]-ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライドの暗黄色結晶が69.5gが得られ、C1730Clと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0053】
b)[4-(4-ニトロフェニルアミノ)ペンチル]-ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライドの還元
実施例2、段階c)に記載の操作を利用した。
前段階で得られた[4-(4-ニトロフェニルアミノ)ペンチル]-ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド66.6g(0.185mol)から出発し、融点181℃(Kofler)の[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライドジヒドロクロライドモノハイドラートの白色結晶が54.0gが得られ、C1734OCl・HOと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0054】
(調製実施例8:1-{[5-アミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェニルカルバモイル]メチル}-1,4-ジメチル-1-ピペラジニウムクロライドトリヒドロクロライドの調製)
【化11】

a)2-クロロ-N-[2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)5-ニトロフェニル]アセタミドの調製
2-(2-アミノ-4-ニトロフェニルアミノ)エタノール82.5g(0.418mol)をジメチルホルムアミド400mlに溶解し、炭酸カリウム34.6g(0.25mol)を添加した。
混合物を5℃に冷却し、温度を5から12℃に維持しつつクロロアセチルクロライド34.7ml(0.46mol)を滴々と添加した。
反応媒体をさらに1時間攪拌し、氷温水2lと36%塩酸100mlとの混合物に注いだ。
結晶沈殿物を濾過し、還流アセトニトリルからの再結晶により精製した。
206℃で溶解(Kofler)する2-クロロ-N-[2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-5-ニトロフェニル]アセタミドの黄色結晶77.7gが得られ、C1012Clと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0055】
b)1-{[2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-5-ニトロフェニルカルバモイル]メチル}-1,4-ジメチル-1-ピペラジニウムクロライドの調製
前段階で得られた2-クロロ-N-[2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)5-ニトロフェニル]アセタミド33.0g(0.12mol)及び1,4-ジメチルピペラジン27.4g(0.24mol)を、イソブタノール300ml中で3時間還流した。
混合物を室温まで放冷し、結晶化合物を濾過し、還流96°エタノールから再結晶した。
融点が260℃より高い(Kofler)の1-{[2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-5-ニトロフェニルカルバモイル]メチル}-1,4-ジメチル-1-ピペラジニウムクロライドの暗黄色結晶33.8gが得られ、元素分析の結果はC1626Clのものと合致した。
【0056】
c)1-{[2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-5-ニトロフェニルカルバモイル]メチル}-1,4-ジメチル-1-ピペラジニウムクロライドの還元
実施例2、段階c)の操作を利用した。
前段階で得られた1-{[2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-5-ニトロフェニルカルバモイル]メチル}-1,4-ジメチル-1-ピペラジニウムクロライド33.0g(0.085mol)から出発して、250−260℃で分解する(Kofler)1-{[5-アミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェニルカルバモイル]メチル}-1,4-ジメチル-1-ピペラジニウムクロライドトリヒドロクロライドの白色結晶29.3gが得られ、H NMRの結果は所望の生成物に合致した。
【0057】
(調製実施例9:[2-(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド=ジヒドロクロライド=エタノールの調製)
【化12】

a)トリメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)-プロピル]アンモニウムの調製
1-フルオロ-4-ニトロベンゼン141.1g(1mol)、N1,N1-ジメチルプロパン-1,4-ジアミン122.6g(1.2mol)及び炭酸カリウム82.8g(0.6mol)の混合物を、水400ml中で10時間還流した。
混合物を室温まで冷却し、水相を除去し酢酸エチル中に橙色のオイルを取り出した。
水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濾過及び減圧下で蒸発させて乾燥させ、融点が50℃より低い(Kofler)の橙色の結晶209.0gを得た。
【0058】
b)トリメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)-プロピル]アンモニウムメチルスルファートの調製
前段階で得られたトリメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)-プロピル]アンモニウム111.6g(0.5mol)を室温にて酢酸エチル1lに溶解させ、硫酸メチル57.1ml(0.6mol)を滴々と添加した。
混合物を1/2時間、攪拌しつつ60−65℃に加熱した。
結晶沈殿物を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空中45℃にて乾燥させた。
融点235℃のトリメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)-プロピル]アンモニウム=メチルスルファートの暗黄色結晶160.9gが得られ、C1323Sと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0059】
c)トリメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)-プロピル]アンモニウム=メチルスルファートの還元
実施例2、段階c)の操作を利用した。
前段階で得られたトリメチル-[2-(4-ニトロフェニルアミノ)-プロピル]アンモニウム=メチルスルファート104.8g(0.3mol)から出発して、260℃より高温で分解する(Kofler)[2-(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド=ジヒドロクロライド=エタノールの白色結晶72.0gが得られ、C1224Cl・COHと算出した元素分析の結果は下記の通りであった。

【0060】
応用実施例:
(実施例1−5:塩基性媒体中での染色)
下記の染色組成物を調製した(含量はグラム)。
【表1】

)共通染色支持体:
・96°エタノール 20.0g
・Protex社により
“Masquol DTPA”の名で市販の、
ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩 1.08g
・35%のA.M.を含有する水溶液としての
メタ亜硫酸水素ナトリウム 0.58gA.M.
・20%アンモニア水溶液 10g
【0061】
使用時に、上記の各染色組成物を、pH3の20体積過酸化水素水溶液(6重量%)と等量で混合した。
得られた各混合物を、90%の白髪を含有する、パーマネントウェーブのかかったまたはかかっていない白髪混じりの髪の房に30分間適用した。その後毛房を濯ぎ、標準的シャンプー洗浄し、濯ぎ及び乾燥させた。
得られた色合いを下記の表に示した。
【0062】
【表2】

【0063】
(実施例6−8:塩基性媒体中での染色)
下記の染色組成物を調製した(含量はグラム)。
【表3】

)共通染色支持体:
これは、上記染色実施例1から5に使用したものと同様である。
使用時に、上記の各染色組成物を、pH3の20体積過酸化水素水溶液(6重量%)と等量で混合した。
得られた各混合物を、90%の白髪を含有する、パーマネントウェーブのかかったまたはかかっていない白髪混じりの髪の房に30分間適用した。その後毛房を濯ぎ、標準的シャンプー洗浄し、濯ぎ及び乾燥させた。
得られた色合いを下記の表に示した。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式(I):
【化1】

[上記式中、
・R、R及びRは、同一でも相違してもよく、水素原子;Z基;(C−C)アルキルカルボニル基;アミノ(C−C)アルキルカルボニル基;N-Z-アミノ(C−C)アルキルカルボニル基;N-(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル基;アミノ(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;N-Z-アミノ(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;カルボキシル基;(C−C)アルキルカルボキシル基;C−Cアルキルスルホニル基;アミノスルホニル基;N-Z-アミノスルホニル基;C−CN-アルキルアミノスルホニル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル基;C−Cアミノスルホニルアルキル基;C−CN-Z-アミノスルホニルアルキル基;N-(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;カルバミル基;N-(C−C)アルキルカルバミル基;N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル基;カルバミル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;C−Cアルキル基;C−Cモノヒドロキシアルキル基;C−Cポリヒドロキシアルキル基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基;ORまたはSR基;(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルキルカルボキシル、トリフルオロ(C−C)アルキルカルボニル、アミノ(C−C)アルキルカルボニル、N-Z-アミノ(C−C)アルキルカルボニル、N-(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル、N,N-ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルカルボニル、カルバミル、N-(C−C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル、C−Cアルキルスルホニル、アミノスルホニル、N-Z-アミノスルホニル、C−CN-アルキルアミノスルホニル、N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル、チオカルバミルまたはホルミル基、またはZ基で保護されたアミノ基;あるいはC−Cアミノアルキル基において、アミンがC−Cアルキル、C−Cモノヒドロキシアルキル、C−Cポリヒドロキシアルキル、C−Cアルキルカルボニル、カルバミル、N-(C−C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル、(C−C)アルキルスルホニル、ホルミル、トリフルオロ(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルキルカルボキシル及びチオカルバミル基から選択される1または2の同一または相違する基、またはZ基で置換されてなるものを表し;
・Rが、C−Cアルキル基;C−Cモノヒドロキシアルキル基;C−Cポリヒドロキシアルキル基;Z基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基;アリール基;ベンジル基;カルボキシ(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボキシ(C−C)アルキル基;シアノ(C−C)アルキル基;カルバミル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;C−Cトリフルオロアルキル基;C−Cアミノスルホニルアルキル基;C−CN-Z-アミノスルホニルアルキル基;N-(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルフィニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルホニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;C−Cアミノアルキル基;C−Cアミノアルキル基において、アミンがC−Cアルキル、C−Cモノヒドロキシアルキル、C−Cポリヒドロキシアルキル、(C−C)アルキルカルボニル、ホルミル、トリフルオロ(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルキルカルボキシル、カルバミル、N-(C−C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル、チオカルバミル及びC−Cアルキルスルホニル基から選択される1または2の同一または相違する基、またはZ基で置換されてなるものを表し;
・Aは、ヒドロキシル基を表し;
・R及びRは、同一でも相違しても良く、水素原子;Z基;C−Cアルキル基;C−Cモノヒドロキシアルキル基;C−Cポリヒドロキシアルキル基;(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基;アリール基;ベンジル基;シアノ(C−C)アルキル基;カルバミル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;チオカルバミル(C−C)アルキル基;C−Cトリフルオロアルキル基;C−Cスルホアルキル基;(C−C)アルキルカルボキシ(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルフィニル(C−C)アルキル基;C−Cアミノスルホニルアルキル基;C−CN-Z-アミノスルホニルアルキル基;N-(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;N,N-ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル基;C−Cアミノアルキル基;C−Cアミノアルキル基において、アミンがC−Cアルキル、C−Cモノヒドロキシアルキル、C−Cポリヒドロキシアルキル、(C−C)アルキルカルボニル、カルバミル、N-(C−C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C−C)アルキルカルバミル、C−Cアルキルスルホニル、ホルミル、トリフルオロ(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルキルカルボキシル及びチオカルバミル基から選択される1または2の同一または相違する基、またはZ基で置換されてなるものを表し;
・Zは、下記の化学式(II):
【化2】

{・Bは、1から14の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキル鎖を表し、これは酸素、硫黄または窒素原子から選択される一以上の異種原子によって断裂可能であり、またこれは一以上のヒドロキシルまたはC−Cアルコキシ基によって置換可能であり、さらに一以上のケトン官能基を坦持可能な結合鎖であり;
・R、R及びRは、同一または相違し、C−Cアルキル基、C−Cモノヒドロキシアルキル基、C−Cポリヒドロキシアルキル基、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキル基、シアノ(C−C)アルキル基、アリール基、ベンジル基、カルバミル(C−C)アルキル基、トリ(C−C)アルキルシラン(C−C)アルキル基またはC−Cアミノアルキル基において、アミンが(C−C)アルキルカルボニル、カルバミルまたはC−Cアルキルスルホニル基によって保護され;R、R及びRのうち二つの基が、その結合する窒素原子と共に飽和の5員または6員の炭素環または一以上の異種原子を含む環を形成可能であり、前記環は、無置換であるか、またはハロゲン原子、ヒドロキシル基、C−Cアルキル基、C−Cモノヒドロキシアルキル基、C−Cポリヒドロキシアルキル基、ニトロ基、シアノ基、シアノ(C−C)アルキル基、C−Cアルコキシ基、トリ(C−C)アルキルシラン(C−C)アルキル基、アミド基、アルデヒド基、カルボキシル基、(C−C)アルキルカルボニル基、チオール基、C−Cチオアルキル基、C−Cアルキルチオ基、アミノ基、もしくは(C−C)アルキルカルボニル、カルバミルまたはC−Cアルキルスルホニル基で保護されたアミノ基で置換されていてもよく;R、R及びRのうち一つが、第一の基Zと同一または相違してなる第二の基Zを表すことができ;
・Xが単価または二価のアニオンを表し;
・R10が、C−Cアルキル基;C−Cモノヒドロキシアルキル基;C−Cポリヒドロキシアルキル基;アリール基;ベンジル基;C−Cアミノアルキル基、C−Cアミノアルキル基において、アミンが(C−C)アルキルカルボニル、カルバミルまたはC−Cアルキルスルホニル基によって保護されてなるもの;カルボキシ(C−C)アルキル基;シアノ(C−C)アルキル基;カルバミル(C−C)アルキル基;C−Cトリフルオロアルキル基;トリ(C−C)アルキルシラン(C−C)アルキル基;C−Cスルホンアミドアルキル基;(C−C)アルキルカルボキシ(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルフィニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルスルホニル(C−C)アルキル基;(C−C)アルキルケト(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルカルバミル(C−C)アルキル基;N-(C−C)アルキルスルホンアミド(C−C)アルキル基を表し;
・xが、0または1の整数であって、下記の条件に従い:
・x=0の場合、結合鎖BがRからRを坦持する窒素原子に結合しており、
・x=1の場合、RからRの二つの基が、その結合する窒素原子と共に上記の飽和5員または6員環を形成し、結合鎖Bが前記飽和環の炭素原子に坦持されてなる}の基を表し;
・Z基の数が1以上であると理解され;
、RまたはRのみが、Z基となることとし;
4-アミノ-2-フルオロ-N-(トリメチルアンモニオエチル)アニリン=ヨウダイド;4-アミノ-2-トリフルオロメチル-N-(トリメチルアンモニオエチル)アニリン=ヨウダイド;4-アミノ-2-シアノ-N-(トリメチルアンモニオエチル)アニリン=ヨウダイド;2-(4-アミノフェニルアミノ)エチルトリメチルアンモニウム=ヨウダイド;4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-(トリメチルアンモニオエチル)アニリン=クロライド、及びこれらの酸との付加塩を除外する]の化合物及びその酸との付加塩。
【請求項2】
が、ハロゲン原子、例えば塩素、臭素、フッ素またはヨウ素、水酸化物塩、硫酸水素塩及びC−Cアルキルスルファートを表すことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
・[2-(2,5-ジアミノフェノキシ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド=モノハイドラート;
・N,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-アミノアニリン=ジクロライド;
・[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド;
・[2-(4-アミノフェニルアミノ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・{2-[(4-アミノフェニル)メチルアミノ]エチル}トリメチルアンモニウムクロライド;
・[3-(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド;
・[2-(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド;
・[4-(4-アミノ-2-メチルフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・[4-(4-アミノ-3-メチルフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・1-{[5-アミノ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェニルカルバモイル]-メチル}-1,4-ジメチル-1-ピペラジジウムクロライド;
及びこれらの酸との付加塩より選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
・[2-(2,5-ジアミノフェノキシ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド=モノハイドラート;
・N,N-ビス(トリメチルアンモニオプロピル)-4-アミノアニリン=ジクロライド;
・[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・[2-(4-アミノフェニルアミノ)エチル]ジエチルメチルアンモニウムクロライド;
・{2-[(4-アミノフェニル)メチルアミノ]エチル}トリメチルアンモニウムクロライド;
・[3-(4-アミノフェニルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド;
・[4-(4-アミノフェニルアミノ)ペンチル]ジエチル-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライド;
及びこれらの酸との付加塩より選択されることを特徴とする請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に定義される化学式(I)の化合物の、ケラチン繊維、特にヒトの髪などのケラチン繊維の酸化染色のための酸化ベースとしての使用。
【請求項6】
ケラチン繊維、特にヒトの髪などのケラチン繊維の酸化染色のための組成物であって、染色に適した媒体中に請求項1から4のいずれか一項に定義される少なくとも一の化合物を酸化ベースとして含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
化学式(I)の化合物が、染色組成物全重量に対して0.0005から12重量%を占めることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
化学式(I)の化合物が、染色組成物全重量に対して約0.005から6重量%を占めることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
染色に適した媒体(または支持体)が、水または、C−C低級アルコール、グリセリン、グリコール及びグリコールエーテル、芳香族アルコール、類似生成物及びこれらの混合物より選択される少なくとも一の有機溶媒と水との混合物からなることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
pHが、3から12であることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
化学式(I)の化合物以外のパラフェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、化学式(I)の化合物以外のパラアミノフェノール、オルトアミノフェノール及び複素環ベースより選択される少なくとも一の付加的酸化ベースを含有することを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
付加的な酸化ベースが、染色組成物全重量に対して0.0005から12重量%を占めることを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも一のカプラー及び/または少なくとも一の直接染料を含有することを特徴とする請求項6から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
カプラーが、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール及び複素環カプラー、及びこれらの酸との付加塩より選択されることを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
カプラーが、染色組成物全重量に対して0.0001から10重量%を占めることを特徴とする請求項請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
酸との付加塩が、塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩及び酢酸塩より選択されることを特徴とする請求項6から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ケラチン繊維、特に髪などのヒトのケラチン繊維の酸化染色のための方法において、請求項6から16のいずれか一項に定義される少なくとも一の酸化染色組成物をこれら繊維に適用し、酸性、中性またはアルカリ性のpHにて、使用時に初めて染色組成物に添加される酸化剤または、分離方法で同時または連続的に適用される酸化組成物中に存在する酸化剤を使用して色を発色させることを特徴とする方法。
【請求項18】
酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩及びペル塩、例えばペルボラート及びペルスルファートより選択されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第一の区画には請求項6から16のいずれか一項に定義される染色組成物を収容し、第二の区画には酸化組成物を収容してなる多区画染色キットまたは多区画染色装置。

【公開番号】特開2006−22113(P2006−22113A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236926(P2005−236926)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【分割の表示】特願2001−187071(P2001−187071)の分割
【原出願日】平成10年7月13日(1998.7.13)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】