説明

新規なカテコール誘導体、それを含有する医薬組成物およびそれらの用途

【課題】 COMT阻害作用を有する新規な化合物を提供する。
【解決手段】 一般式(I):
【化1】


〔式中、RおよびRはそれぞれ水素、低級アシル、低級アルコキシカルボニル等であり;Rは低級アシル、置換されてもよいアリールカルボニル、低級アルコキシカルボニル等であり;Rは置換されてもよいヘテロアリール基であり、但し、該ヘテロアリール基は[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルでない〕で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩、それを含有する医薬組成物およびそれらの用途を提供する。本発明の化合物は優れたCOMT阻害作用を有するので、パーキンソン病等の治療または予防剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害作用を有する新規なカテコール誘導体、それを含有する医薬組成物およびそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病は中高年齢者に好発する進行性の神経変性疾患であり、高齢化社会の進展とともにその患者数が増加している。パーキンソン病は、安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害などの協調性運動機能障害を主症状とする疾患であり、その病因は中脳黒質ドパミン性神経細胞の変性による線条体ドパミンの欠乏に起因すると考えられている。このようなことから、パーキンソン病の治療薬として、L−ドパおよびドパミンレセプター刺激薬などが使用されている。
【0003】
L−ドパは、ドパミンの前駆物質であり、脳内でドパミンに代謝されて効果を示す薬剤であるが、血中半減期が非常に短い欠点を有する。そのため、L−ドパは、通常L−ドパの代謝酵素阻害剤である、末梢性芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤および/またはカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤とともに使用されている。カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(以下、COMTと称する)は、その補酵素であるS−アデノシル−L−メチオニンからカテコール基質へのメチル基の転送を触媒する酵素であり、この酵素を阻害することによりL−ドパから3−O−メチル−L−ドパへの代謝が阻害され、L−ドパの血中半減期が増加し、さらには血液脳関門を透過するL−ドパ量が増加することが知られている。このようにCOMT阻害剤は、L−ドパと一緒に投与することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させ、その作用時間を延長させることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
COMT阻害剤は、また、尿中ナトリウム排泄促進作用を有するので高血圧症の治療薬として有用であると期待されている(例えば、非特許文献2参照)。COMT阻害剤は、また、うつ病の治療薬として有用であると期待されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0005】
近年、種々のCOMT阻害剤が報告されている。今日まで知られている最も強力なCOMT阻害剤は、トルカポン(3,4−ジヒドロキシ−4’−メチル−5−ニトロベンゾフェノン,特許文献1参照)およびエンタカポン((E)−2−シアノ−N,N−ジエチル−3−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)アクリルアミド,特許文献2参照)であり、これら2剤がパーキンソン病患者に使用されている。しかしながら、トルカポンは、重篤な肝機能障害が認められたことから、厳重な肝機能の監視下での投与が必要とされている(例えば、非特許文献4参照)。また、エンタカポンは、トルカポンに比べて効果が弱く、さらに作用持続時間が短い問題点を有している(例えば、非特許文献5参照)。このようなことから、安全性が高く、強力なCOMT阻害作用を有する新規なCOMT阻害剤が望まれている。
【0006】
特許文献1は、COMT阻害作用を有する、一般式:
【化1】

(式中、Rは水素であり、Rは芳香族複素環式基である)で表される化合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第237929号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2200109号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Nutt J.G.ら,「Lancet」, 1998年, 351巻, 9111号, p.1221-1222
【非特許文献2】Eklof A.C.ら, 「Kidney Int.」, 1997年, 52巻, 3号, p.742-747
【非特許文献3】Moreau J.L.ら, 「Behav. Pharmacol.」, 1994年, 5巻, 3号, p.344-350
【非特許文献4】Benabou R.ら, 「Expert Opin. Drug Saf.」, 2003年, 2巻, 3号, p.263-267
【非特許文献5】Forsberg M.ら, 「J. Pharmacol. Exp. Ther.」, 2003年, 304巻, 2号, p.498-506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、強力なCOMT阻害作用を有し、好ましくは高い安全性を有する新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)で表されるカテコール誘導体が、優れたCOMT阻害作用を有し、さらには高い安全性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、一般式(I):
【化2】

〔式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基、アラルキルカルボニル基または−C(O)NR1112を表すか、あるいはRおよびRが一緒になって−C(O)−または低級アルキレン基を形成し;
は、以下のa)〜s):
a)ハロ低級アルキル基、
b)低級アシル基、
c)ハロ低級アルキルカルボニル基、
d)シクロアルキルカルボニル基、
e)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル低級アルコキシ基、水酸基、低級アルコキシカルボニル基、−C(O)NR1112およびシアノ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールカルボニル基、
f)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリールカルボニル基、
g)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキルカルボニル基、
h)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールオキシ低級アルキルカルボニル基、
i)低級アルコキシカルボニル基、
j)シクロアルキルオキシカルボニル基、
k)低級アルコキシ低級アルコキシカルボニル基、
l)カルボキシ基、
m)シアノ基、
n)−C(O)NR1112
o)−C(O)C(O)NR1112
p)低級アルキルスルホニル基、
q)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアリールスルホニル基、
r)−SONR1112、または
s)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり;
は、非置換もしくは以下からなる群:
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)シクロアルキル基、
d)ヘテロシクロアルキル基、
e)低級アルコキシ低級アルキル基、
f)アリールオキシ低級アルキル基、
g)低級アルコキシカルボニル低級アルキル基、および
h)ヒドロキシ低級アルキル基、
から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり、但し、該ヘテロアリール基は[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルでなく;
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、橋かけ環状炭化水素基、フェニル基またはアラルキル基を表すか、あるいはR11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環状アミノ基を形成する〕
で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩に関する。
【0012】
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、一般式(I)に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤に関する。
【0014】
また、本発明は、一般式(I)に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬に関する。
【0015】
また、本発明は、一般式(I)に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、パーキンソン病、うつ病または高血圧症の治療または予防剤に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化合物は、強力なCOMT阻害作用を有する。また、本発明の化合物は、肝への影響が軽微であり、高い安全性を有する。従って本発明の化合物は、パーキンソン病、うつ病、高血圧症の治療または予防剤として有用であり、特に本発明の化合物と、L−ドパとを組み合わせて使用することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させることができるので、パーキンソン病の治療または予防に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般式(I)で表される化合物において、下記の用語は、特に断らない限り、以下の意味を有する。
【0018】
本明細書において、「低級」との用語は、特に断らない限り、炭素数1〜6個を有することを意味する。
【0019】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。
【0020】
「低級アルキル基」とは、直鎖または分岐鎖状のC1−6アルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。R11およびR12においては、C1−4アルキルが好適であり、メチル基がさらに好適である。
【0021】
「ハロ低級アルキル基」とは、1〜3個の同種または異種のハロゲン原子で置換されたC1−6アルキル基を意味し、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられ、好適にはジフルオロメチル基またはトリフルオロメチル基である。
【0022】
「ヒドロキシ低級アルキル基」とは、ヒドロキシ−C1−6アルキル基を意味し、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1,1−ジメチルメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
【0023】
「低級アルコキシ基」とは、直鎖または分岐鎖状のC1−6アルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0024】
「シクロアルキル基」とは、3〜7員の飽和環状炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基が挙げられる。
【0025】
「ヘテロシクロアルキル基」とは、環内に−NH−、−O−または−S−を含有し、炭素原子を介して結合する4〜7員の飽和複素環基を意味し、例えば、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジン−2−イル基、ピロリジン−3−イル基、ピペリジン−2−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピペリジン−4−イル基などが挙げられる。
【0026】
「橋かけ環状炭化水素基」とは、炭素数7〜10個を有し、5〜7員環を有する橋かけ状の飽和環状炭化水素を意味し、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、アダマンタン−1−イル基などが挙げられる。
【0027】
「アリール基」とは、C6−10芳香族炭化水素を意味し、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられ、好適にはフェニル基である。
【0028】
「アラルキル基」とは、アリール−C1−6アルキル基を意味し、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0029】
「シクロアルキル低級アルコキシ基」とは、シクロアルキル−C1−6アルコキシ基を意味し、例えば、シクロプロピルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基、シクロへキシルメトキシ基などが挙げられる。
【0030】
「ヘテロアリール基」とは、1〜5個の炭素原子ならびにO、NおよびS原子からなる群から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員の単環式芳香族複素環、あるいは1〜9個の炭素原子ならびにO、NおよびS原子からなる群から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する8〜10員の二環式芳香族複素環を意味し、但し、これらの環は、隣接する酸素原子および/または硫黄原子を含まない。単環式芳香族複素環としては、例えば、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾールー2−イル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジルおよびピリダジニルなどが挙げられ、好適にはオキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリルまたは1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾールー2−イルである。二環式芳香族複素環としては、例えば、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリルなどが挙げられ、好適にはベンゾチアゾリルである。これらの複素環の全ての位置異性体が考えられる(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルなど)。
【0031】
「低級アルコキシ低級アルキル基」とは、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル基を意味し、例えば、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基などが挙げられ、好適にはメトキシメチル基または2−エトキシエチル基である。
【0032】
「アリールオキシ低級アルキル基」とは、アリールオキシ−C1−6アルキル基を意味し、例えば、フェノキシメチル基、1−フェノキシエチル基、2−フェノキシエチル基、1−メチル−1−フェノキシエチル基、3−フェノキシプロピル基、ナフチルオキシメチル基などが挙げられる。
【0033】
「低級アシル基」とは、(C1−6アルキル)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基などが挙げられる。
【0034】
「ハロ低級アルキルカルボニル基」とは、(ハロC1−6アルキル)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基などが挙げられる。
【0035】
「シクロアルキルカルボニル基」とは、(シクロアルキル)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロへキシルカルボニル基などを意味する。
【0036】
「アリールカルボニル基」とは、(アリール)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0037】
「ヘテロアリールカルボニル基」とは、(ヘテロアリール)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、2−フリルカルボニル基、2−チエニルカルボニル基、2−オキサゾリルカルボニル基、2−チアゾリルカルボニル基、5−イソキサゾリルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、3−ピリジルカルボニル基、4−ピリジルカルボニル基などが挙げられる。
【0038】
「アラルキルカルボニル基」とは、(アラルキル)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、ベンジルカルボニル基、2−フェニルエチルカルボニル基などが挙げられる。
【0039】
「アリールオキシ低級アルキルカルボニル基」とは、(アリールオキシC1−6アルキル)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、フェノキシメチルカルボニル基などが挙げられる。
【0040】
「低級アルコキシカルボニル基」とは、(C1−6アルコキシ)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0041】
「シクロアルキルオキシカルボニル基」とは、(シクロアルキル)−O−C(O)−で表される基を意味し、例えば、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基などを意味する。
【0042】
「低級アルコキシ低級アルコキシカルボニル基」とは、(C1−6アルコキシC1−6アルコキシ)−C(O)−で表される基を意味し、2−メトキシエトキシカルボニル基、2−エトキシエトキシカルボニル基、3−メトキシプロポキシカルボニル基などが挙げられる。
【0043】
「低級アルコキシカルボニル低級アルキル基」とは、(C1−6アルコキシ)−C(O)−C1−6アルキルで表される基を意味し、例えば、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(エトキシカルボニル)エチル基などが挙げられる。
【0044】
「低級アルキルスルホニル基」とは、(C1−6アルキル)−SO−で表される基を意味し、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ペンタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基などが挙げられ、好適にはメタンスルホニル基である。
【0045】
「アリールスルホニル基」とは、アリール−SO−で表される基を意味し、例えば、フェニルスルホニル基などが挙げられる。
【0046】
「環状アミノ基」とは、環内に−NH−、−O−または−S−を含んでもよい、5〜7員の飽和環状アミンを意味し、例えば、1−ピロリジル基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基などが挙げられる。当該環状アミノ基は、必要に応じて1〜2個の低級アルキル基で置換されてもよい。
【0047】
「低級アルキレン基」とは、2価の直鎖または分岐鎖状のC1−6飽和炭化水素鎖を意味する。当該低級アルキレン基の具体例として、例えば、−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−C(CH−などの基が挙げられ、好ましくは−CH(CH)−または−C(CH−である。
【0048】
本発明の一般式(I)で表される化合物において1つまたはそれ以上の不斉炭素原子が存在する場合、本発明は各々の不斉炭素原子がR配置の化合物、S配置の化合物、およびそれらの任意の組み合せの化合物のいずれも包含する。またそれらのラセミ化合物、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物が本発明の範囲に含まれる。本発明の一般式(I)で表される化合物において幾何学異性が存在する場合、本発明はその幾何学異性体のいずれも包含する。本発明の一般式(I)で表される化合物においてアトロプ異性体が存在する場合、本発明はそのアトロプ異性体のいずれも包含する。さらに本発明の一般式(I)で表される化合物には、水和物やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0049】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、塩の形態で存在することができる。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との酸付加塩、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との酸付加塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の無機塩基との塩、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、リジン等の有機塩基との塩を挙げることができる。
【0050】
本発明の一般式(I)で表される化合物のひとつの実施態様において、
およびRは、好ましくは、水素原子であり;あるいは
は、好ましくは以下のa)〜c):
a)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールカルボニル基、
b)低級アルコキシカルボニル基、または
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアリールスルホニル基である。
【0051】
本発明の好ましい実施態様では、
およびRは、好ましくは、水素原子である。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施態様では、
およびRは、好ましくは、水素原子であり、
が、以下のa)〜c):
a)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールカルボニル基、
b)低級アルコキシカルボニル基、または
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアリールスルホニル基である。
【0053】
本発明の好ましい実施態様の具体例は、以下からなる群から選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩である:
6−ベンゾチアゾール−2−イル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
3,4−ジヒドロキシ−6−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)−2−ニトロ安息香酸メチル;
3,4−ジヒドロキシ−6−(5−メチルオキサゾール−2−イル)−2−ニトロ安息香酸メチル;
3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ−6−チアゾール−2−イル安息香酸メチル;
3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ−6−オキサゾール−2−イル安息香酸メチル;
(6−ベンゾチアゾール−2−イル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロフェニル)フェニルメタノン;
1−(6−ベンゾチアゾール−2−イル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロフェニル)エタノン;および
3,4−ジヒドロキシ−6−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−2−ニトロ安息香酸メチル。
【0054】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、スキーム1から5に示す方法により製造することができる。
【0055】
【化3】

(式中、R、Rは前記と同義であり、Lは臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離基を表し、R10は低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基または−CONR1112を表し、Bnはベンジル基を表す。)
【0056】
工程1−1
化合物(X)と、トリブチルスズ誘導体(XI)とを、不活性溶媒中、金属触媒の存在下に縮合させることにより、化合物(XII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、トルエンなどが挙げられる。金属触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などが挙げられる。その反応温度は、通常、80℃〜200℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、5分〜24時間である。
【0057】
工程1−2
化合物(XII)のベンジル基を、不活性溶媒(例えば、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなど)中、水素雰囲気下、金属触媒(例えば、パラジウム炭素、酸化白金など)の存在下に除去することにより、フェノール誘導体(XIII)が得られる。その反応温度は、通常、室温〜80℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分〜12時間である。
また、この脱ベンジル化は、化合物(XII)を、不活性溶媒(例えば、塩化メチレン、トルエンなど)中、酸またはルイス酸(例えば、臭化水素、塩化アルミニウム、四塩化チタンなど)を用いて処理することによっても行うこともできる。その反応温度は、通常、0℃〜80℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常15分〜24時間である。
【0058】
工程1−3
フェノール誘導体(XIII)を、不活性溶媒中、ニトロ化剤を用いニトロ化することにより、ニトロフェノール誘導体(XIV)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、酢酸、テトラヒドロフラン、無水酢酸などが挙げられる。ニトロ化剤としては、例えば、硝酸、発煙硝酸、テトラフルオロホウ酸ニトロニウムなどが挙げられる。その反応温度は、通常、−40℃〜80℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜12時間である。また、本反応は必要に応じて、硫酸などの添加剤を加えて行ってもよい。
【0059】
工程1−4
ニトロフェノール誘導体(XIV)を、不活性溶媒中、脱メチル化剤を用いて脱メチル化することにより、化合物(Ia)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、酢酸エチル、ピリジン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。脱メチル化剤としては、例えば、塩化アルミニウム−ピリジン、三臭化ほう素などが挙げられる。その反応温度は、通常、−20℃〜120℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、1時間〜24時間である。
またこの脱メチル化は、ニトロフェノール誘導体(XIV)を、酢酸溶媒中、臭化水素酸またはヨウ化水素酸で処理することによっても行うことができる。その反応温度は、通常、20℃〜還流温度であり、反応時間は、使用する原料物質、反応温度などにより異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0060】
工程1−5
化合物(Ia)を、アシル化剤を用いてアシル化することにより、化合物(Ib)が得られる。このようなアシル化は、当業者には周知であり、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.H.Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」第4版に記載された方法に従って行うことができる。
【0061】
【化4】

(式中、R、Bnは前記と同義であり、R20はアリール、低級アルキル、ハロ低級アルキル、シクロアルキル、へテロアリールまたはアラルキルを表し、Xは塩素、臭素または−N(CH)OCHを表す。)
【0062】
工程2−1
化合物(XV)を不活性溶媒中、有機マグネシウム試薬と反応させ、その後N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と反応させることにより、アルデヒド誘導体(XVI)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランなどが挙げられる。有機マグネシウム試薬としてはイソプロピルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。その反応温度は通常−78℃〜10℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常15分〜2時間である。
【0063】
工程2−2
アルデヒド誘導体(XVI)を不活性溶媒中(テトラヒドロフランなど)、有機マグネシウム試薬(XVII)または有機リチウム試薬(XVIII)と反応させることにより、ベンジルアルコール誘導体(XIX)が得られる。その反応温度は通常−78℃〜10℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常15分〜2時間である。
【0064】
工程2−3
化合物(XV)を不活性溶媒中、有機マグネシウム試薬と反応させ、その後アルデヒド(XX)と反応させることにより、ベンジルアルコール誘導体(XIX)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランなどが挙げられる。有機マグネシウム試薬としてはイソプロピルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。その反応温度は通常−78℃〜10℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常15分〜2時間である。
【0065】
工程2−4
ベンジルアルコール誘導体(XIX)を適切な溶媒中、酸化剤を用いて酸化することによりケトン誘導体(XXI)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては、たとえば、塩化メチレン、アセトニトリルなどが挙げられる。酸化剤としては二酸化マンガン、三酸化硫黄ピリジン錯体−ジメチルスルホキシド、4−メチルモルホリン−N−オキシドなどが挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜30℃ であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、酸化剤、反応温度によって異なるが、通常15分〜3日である。
【0066】
工程2−5
化合物(XV)を不活性溶媒中、有機マグネシウム試薬と反応させ、その後、酸無水物(XXII)、または酸ハライド若しくはN−メトキシ−N−メチルアミド(XXIII)と反応させることにより、ケトン誘導体(XXI)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランなどが挙げられる。有機マグネシウム試薬としてはイソプロピルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。その反応温度は通常−78℃〜50℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常15分〜2時間である。
【0067】
以下、スキーム1の工程1−2〜工程1−4と同様にして、ケトン誘導体(XXI)から化合物(Ic)を合成することが出来る。
【0068】
【化5】

(式中、R、R11、R12、Bnは前記と同義であり、R30は低級アルキル、シクロアルキルまたは低級アルコキシ低級アルキルを表す。)
【0069】
工程3−1
化合物(XV)およびアルコール(XXII)を、不活性溶媒中、一酸化炭素雰囲気下、塩基、パラジウム触媒およびリン配位子の存在下に縮合させることにより、エステル誘導体(XXIII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、トルエンなどが挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。パラジウム触媒としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウムなどが挙げられる。配位子としては、例えば、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。その反応温度は、通常、80℃〜110℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0070】
工程3−2
アルデヒド誘導体(XVI)を不活性溶媒中、酸化剤を用いて酸化することによりカルボン酸誘導体(XXIV)が得られる。本反応に用いられる溶媒として、塩化メチレン、アセトニトリル、水、メタノールなどが挙げられる。酸化剤として、過マンガン酸カリウム、二酸化マンガン、亜塩素酸ナトリウム−過酸化水素、亜塩素酸ナトリウム−ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜80℃ であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、酸化剤、反応温度によって異なるが、通常15分〜3日である。また、本反応は必要に応じて、リン酸水素ナトリウム、硫酸などの添加剤を加えて行ってもよい。
【0071】
工程3−3
カルボン酸誘導体(XXIV)を不活性溶媒中、塩基の存在下、アルキルハライド(XXV)と反応させることにより、エステル誘導体(XXIII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。塩基としては、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸カリウムなどが挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜24時間である。
また、エステル誘導体(XXIII)は、カルボン酸誘導体(XXIV)およびアルコール(XXVI)を、不活性溶媒中(例えば、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、シアノリン酸ジエチル、アジ化ジフェニルホスホリルなど)の存在下に縮合させることによっても得ることができる。また、本反応は必要に応じて、トリエチルアミンなどの塩基を加えて行ってもよい。
【0072】
工程3−4
カルボン酸誘導体(XXIV)を、不活性溶媒中、(例えば、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなど)、縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、シアノリン酸ジエチル、アジ化ジフェニルホスホリルなど)の存在下にアミン(XXVII)と縮合させることにより、アミド誘導体(XXVIII)が得られる。その反応温度は通常−20℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分〜24時間である。また、本反応は必要に応じて、トリエチルアミンなどの添加剤を加えて行ってもよい。
【0073】
以下、スキーム1の工程1−2〜工程1−4と同様にして、化合物(XXIII)から化合物(Id)を合成することができる。同様にして化合物(XXVIII)から化合物(Ie)を合成することができる。
【0074】
【化6】

(式中、R、R11、R12、R30およびBnは前記と同義である。)
【0075】
工程4−1
化合物(XV)およびトリイソプロピルシランチオール(XXIX)を、不活性溶媒中、塩基、パラジウム触媒およびリン配位子の存在下に縮合させることにより、トリイソプロピルシリルフェニルチオエーテル誘導体(XXX)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシメタンなどが挙げられる。塩基としては、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムtert−ブトキシドなどが挙げられる。パラジウム触媒としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、酢酸パラジウムなどが挙げられる。配位子としては、例えば、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)などが挙げられる。その反応温度は、通常、60℃〜110℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0076】
工程4−2
トリイソプロピルシリルフェニルチオエーテル誘導体(XXX)を不活性溶媒(例えば、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)中、アルキルハライド(XXV)、塩基(例えば、フッ化セシウム、テトラブチルアンモニウムフルオリドなど)の存在下トリイソプロピルシリル基をアルキル基(R30)に変換することによりアルキルフェニルチオエーテル誘導体が得られる。その反応温度は通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜24時間である。
アルキルフェニルチオエーテル誘導体を、適切な溶媒中、酸化剤を用いて酸化することにより、スルホン誘導体(XXXI)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、アセトン、酢酸、水などが挙げられる。酸化剤としては、例えば、m−クロロ過安息香酸、オキソン(登録商標)、過酸化水素水、過ホウ酸ナトリウムなどが挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜80℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜24時間である。
【0077】
工程4−3
トリイソプロピルシリルフェニルチオエーテル誘導体(XXX)を不活性溶媒中(例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、塩化スルフリルおよび硝酸塩(例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸銀など)の存在下に反応させることにより、スルホニルクロリド誘導体が得られる。その反応温度は通常0℃〜40℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜5時間である。
スルホニルクロリド誘導体を、不活性溶媒中(例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、塩化メチレンなど)、塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下アミン(XXVII)と縮合させることにより、スルホンアミド誘導体(XXXII)が得られる。その反応温度は通常0℃〜40℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜5時間である。
【0078】
以下、スキーム1の工程1−2〜工程1−4と同様にして、化合物(XXXI)から化合物(If)を合成することができる。同様にして化合物(XXXII)から化合物(Ig)を合成することができる。
【0079】
【化7】

(式中、R、R11、R12、Bnは前記と同義であり、R31は低級アルキル、シクロアルキルを表す。)
【0080】
工程5−1
アルデヒド誘導体(XVI)を不活性溶媒中(例えば、アセトニトリル、塩化メチレン、ジエチルエーテルなど)、酢酸の存在下、イソシアニド(XXXIII)と縮合させることにより、エステル誘導体(XXXIV)が得られる。その反応温度は通常、20℃〜100℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜24時間である。また、本反応は必要に応じて、四塩化チタンなどの添加剤を加えて行ってもよい。
【0081】
工程5−2
エステル誘導体(XXXIV)を適切な溶媒中(例えば、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、水など)、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の存在下、加水分解することにより、アルコール誘導体(XXXV)が得られる。その反応温度は通常、20℃〜100℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜24時間である。
【0082】
工程5−3
アルコール誘導体(XXXV)を工程2−4と同様にして酸化することにより、ケトン誘導体(XXXVI)が得られる。
【0083】
以下、スキーム1の工程1−2〜工程1−4と同様にして、化合物(XXXVI)から化合物(Ih)を合成することができる。
【0084】
上記に示したスキームは、本発明の化合物またはその製造中間体を製造するための方法のいくつかの例示であり、当業者には容易に理解され得るようにこれらのスキームの様々な改変が可能である。
【0085】
本発明の一般式(I)で表される化合物、および当該化合物を製造するために使用される中間体は、必要に応じて、当該分野の当業者には周知の単離・精製手段である溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィーなどの操作を行うことにより、単離・精製することができる。
【0086】
このようにして製造される本発明の化合物は、優れたCOMT阻害作用を有するのでパーキンソン病の治療または予防薬として有用であり、好適にはL−ドパと組み合わせて使用される。また、本発明の化合物およびL−ドパと、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤とを組み合わせて使用してもよい。本発明のCOMT阻害剤と組み合わせて使用できる芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤としては、例えば、カルビドパ、ベンセラジドなどが挙げられる。
また、必要に応じて、COMT阻害剤およびL−ドパ以外のパーキンソン治療剤をさらに組み合わせて使用してもよい。このようなパーキンソン病治療薬としては、例えば、ドロキシドパ、メレボドパ、スレオドプス;ドパミンD受容体アゴニスト(例えば、カベルゴリン、メシル酸ブロモクリプチン、テルグリド、塩酸タリペキソール、塩酸ロピニロール、メシル酸ペルゴリド、塩酸プラミペキソール、ロチゴチンなど);抗コリン剤(例えば、プロフェナミン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸マザチコール、ピペリデン、塩酸ピロヘプチン、塩酸メチキセンなど);アデノシンA2A拮抗剤(例えば、イストラデフィリンなど);NMDA拮抗剤(例えば、ブジピンなど);モノアミンオキシダーゼB阻害剤(例えば、塩酸セレギリン、メシル酸ラサギリン、メシル酸サフィナミドなど);ゾニサミド;塩酸アマンタジンなどが挙げられる。
【0087】
本発明の化合物は、また、うつ病の治療または予防薬として有用である。本発明の化合物は、また、尿中ナトリウム排泄促進作用を有するので高血圧症の治療薬として有用である。
【0088】
本発明の一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物は、用法に応じ種々の剤型のものが使用される。このような剤型としては例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、液剤、軟膏剤、坐剤、貼付剤などを挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
【0089】
これらの医薬組成物は、その剤型に応じ製剤学的に公知の手法により、適切な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤などの医薬品添加物と適宜混合または希釈・溶解することにより調剤することができる。
【0090】
一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定されるが、経口投与の場合成人1日当たり約10mg〜約3000mgの範囲で、非経口投与の場合は、成人1日当たり約5mg〜約1000mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。
【0091】
本発明の一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬は、これらの有効成分を一緒に含有する製剤、またはこれらの有効成分の各々を別々に製剤化した製剤として投与することができる。別々に製剤化した場合、それらの製剤を別々にまたは同時に投与することができる。また、別々に製剤化した場合、それらの製剤を使用時に希釈剤などを用いて混合し、同時に投与することができる。
【0092】
本発明の一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬において、薬剤の配合比は、患者の年齢、性別、および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせなどにより、適宜選択することができる。
【0093】
本発明の内容を以下の参考例、実施例および試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0094】
参考例1−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒド
4−ベンジルオキシ−3−メトキシベンズアルデヒド(10g)、トリフルオロ酢酸銀(11.4g)および塩化メチレン(105mL)の混合物にヨウ素(13.1g)を室温下加えた。2時間撹拌した後、混合物をセライト(登録商標)層を通して濾過した。濾液を亜硫酸水素ナトリウム水溶液および食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をメタノール:水=4:1にて粉砕し、表題化合物(13.2g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.91(3H, s), 5.19(2H, s), 7.30-7.50(7H, m), 9.86(1H, s)
【0095】
参考例2−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒド(参考例1−1)(20g)、ジメチルスルホキシド(19mL)、濃硫酸(3mL)、水(30mL)およびアセトニトリル(181mL)の混合物に亜塩素酸ナトリウム(9.8g)および水(30mL)の混合物を加えた。室温で30分撹拌した後、混合物に水を加えた。不溶物を濾取し、表題化合物(20.3g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.88(3H, s), 5.15(2H, s), 7.31-7.46(6H, m), 7.56(1H, s)
【0096】
参考例3−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ−N−(2−オキソプロピル)ベンザミド
4−ベンジルオキシ−N−(2−ヒドロキシプロピル)−2−ヨード−5−メトキシベンズアミド(参考例5−2)(1.15g)、トリエチルアミン(0.9mL)およびジメチルスルホキシド(12mL)の混合物にスルファトリオキシドピリジン錯体(621mg)およびジメチルスルホキシド(12mL)の混合物を氷冷下加えた。室温で2時間撹拌した後、混合物に水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をヘキサン/酢酸エチルで粉砕し、表題化合物(596mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.28(3H, s), 3.87(3H, s), 4.35(2H, d, J=4.3Hz), 5.13(2H, s), 6.55-6.70(1H, m), 7.03(1H, s), 7.25-7.50(7H, m)
【0097】
参考例4−1
2−(4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシフェニル)−5−メチルオキサゾール
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ−N−(2−オキソプロピル)ベンザミド(参考例3−1)(572mg)、トルエン(13mL)およびオキシ塩化リン(0.364mL)の混合物を5時間還流下撹拌した。室温に冷却した後、混合物を氷水に注いだ。混合物を酢酸エチルにて抽出した。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:0%−20% 酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(114mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.35-2.45(3H, m), 3.91(3H, s), 5.15(2H, s), 6.85-6.95(1H, m), 7.30-7.50(7H, m)
【0098】
参考例5−1
N'−[(4−ベンジルオキシ−3−メトキシ−5−ヨードベンゾイル)オキシ]アセトアミジン
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸(870mg) およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に室温下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(518mg)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(420mg)を加えた。15分間撹拌した後、混合物にN−ヒドロキシアセトアミジン(839mg)およびトリエチルアミン(0.95mL)を加えた。3時間撹拌した後、混合物に水を加えた。不溶物を濾取し、表題化合物(961mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.81(3H, s), 3.82(3H, s), 5.17(2H, s), 6.40(2H, brs), 7.30-7.50(6H, m), 7.50-7.55(1H, m)
【0099】
参考例5−2
4−ベンジルオキシ−N−(2−ヒドロキシプロピル)−2−ヨード−5−メトキシベンズアミド
N−ヒドロキシアセトアミジンの代わりに1−アミノ−2−プロパノールを用い参考例5−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.28(3H, d, J=6.3Hz), 3.24-3.31(1H, m), 3.62-3.69(1H, m), 3.86(3H, s), 4.06-4.14(1H, m), 5.11(2H, s), 7.01(1H, s), 7.29-7.46(6H, m)
【0100】
参考例5−3
2−ベンゼンスルフィニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸N'−アセチルヒドラジド
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸およびN−ヒドロキシアセトアミジンの代わりに2−ベンゼンスルフィニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸(参考例11−4)および酢酸ヒドラジド を用い参考例5−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
【0101】
参考例6−1
5−(4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシフェニル)−3−メチル[1,2,4]オキサジアゾール
N'−[(4−ベンジルオキシ−3−メトキシ−5−ヨードベンゾイル)オキシ]アセトアミジン(参考例5−1)(961mg)およびテトラヒドロフラン(4mL)の混合物に室温下、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/L、テトラヒドロフラン溶液、6.6mL)を加えた。3日間撹拌した後、混合物に水を加えた。不溶物を濾取して表題化合物(480mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.49(3H, s), 3.92(3H, s), 5.17(2H, s), 7.30-7.30(7H, m)
【0102】
参考例7−1
5−(4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシフェニル)−3−メチルイソキサゾール
アセトンオキシム(302mg)およびテトラヒドロフラン(20mL)の混合物にアルゴン雰囲気氷例下、n−ブチルリチウム(1.65mol/L ヘキサン溶液、5mL)を加えた。室温で30分撹拌した後、混合物に4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸メチル(参考例12−3)(1.075g)を加えた。60℃で2時間撹拌した後、混合物に氷冷下、濃硫酸(2.15mL)を加えた。室温で15分撹拌した後、混合物に5mol/L水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加えた。混合物を1時間撹拌した。分取した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:5%−50% 酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(414mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.38(3H, s), 3.90(3H, s), 5.15(2H, s), 6.72(1H, s), 7.25-7.50(7H, m)
【0103】
参考例8−1
2−(4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシフェニル)ベンズチアゾール
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸(参考例2−1)(0.5g)、塩化チオニル(3.8mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)の混合物を80℃で2時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、クルードの4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンゾイルクロライドを得た。
クルードの4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンゾイルクロライド、2−アミノチオフェノール(0.15mL)およびN−メチルピロリジノン(10mL)の混合物を100℃で4時間撹拌した。室温に冷却後、混合物に水、酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:0%−50% 酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(375mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.93(3H, s), 5.18(2H, s), 7.30-7.60(9H, m), 7.93(1H, d, J=7.8Hz), 8.12(1H, d, J=8.1Hz)
【0104】
参考例9−1
5−ベンジルオキシ−4−メトキシ−2−(3−メチルイソキサゾール−5−イル)ベンズアルデヒド
5−(4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシフェニル)−3−メチルイソキサゾール(参考例7−1)(410mg)およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物に氷塩浴アルゴン雰囲気下、イソプロピルマグネシウムクロリド(2.0mol/L テトラヒドロフラン溶液、0.6mL)を加えた。0℃で1時間撹拌した後、N,N−ジメチルホルムアミド(0.485mL)を加えた。室温で7時間撹拌した後、混合物に水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびヘキサンで粉砕し表題化合物(310mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.39(3H, s), 4.00(3H, s), 5.24(2H, s), 6.29(1H, s), 7.10-7.20(1H, m), 7.25-7.50(5H, m), 7.60-7.64(1H, m), 10.17(1H, s)
【0105】
5−(4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシフェニル)−3−メチルイソキサゾールおよびN,N−ジメチルホルムアミドの代わりに対応するヨードベンゼンおよびN,N−ジメチルホルムアミド、酸無水物、酸塩化物、またはN−メトキシ−N−メチルアミドを用い参考例9−1と同様の方法により、参考例9−2〜参考例9−5を合成した。これらを表1に記した。
【0106】
【表1】

【0107】
参考例9−2〜参考例9−5の物性値を以下に示した。
【0108】
参考例9−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.03(3H, s), 5.28(2H, s), 7.27(1H, s), 7.31-7.58(7H, m), 7.69(1H, s), 7.95(1H, d, J=8.0Hz), 8.11(1H, d, J=8.0Hz), 10.51(1H, s)
【0109】
参考例9−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.25(3H, s), 3.99(3H, s), 5.24(2H, s), 7.17(1H, s), 7.20(1H, s), 7.30-7.54(7H, m), 7.92(1H, d, J=8.0Hz), 8.05(1H, d, J=8.0Hz)
【0110】
参考例9−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.04(3H, s), 5.21(2H, s), 7.11(1H, s), 7.20-7.51(11H, m), 7.67-7.71(2H, m), 7.74(1H, d, J=8.0Hz), 7.82(1H, d, J=8.0Hz)
【0111】
参考例9−5
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.50(3H, s), 4.03(3H, s), 5.27(2H, s), 7.30-7.50(5H, m), 7.55-7.60(1H, m), 7.65-7.70(1H, m), 10.80(1H, s)
【0112】
参考例10−1
5−ベンジルオキシ−4−メトキシ−2−チアゾール−2−イル安息香酸メチル
5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシ安息香酸メチル(参考例12−2)(1.2g)、2−トリブチルスタニルチアゾール(1.53g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(479mg)およびトルエン(10mL)の混合物を撹拌しながらマイクロ波を照射し、210℃で10分間加熱した。混合物を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:10%−100%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(910mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.71(3H, s), 3.95(3H, s), 5.22(2H, s), 7.10(1H, s), 7.30-7.49(7H, m), 7.85(1H, d, J=3.3Hz)
【0113】
参考例10−2
5−ベンジルオキシ−4−メトキシ−2−オキサゾール−2−イル安息香酸メチル
2−トリブチルスズチアゾールの代わりに2−トリブチルスズオキサゾールを用い参考例10−1と同様の方法により表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.79(3H, s), 3.96(3H, s), 5.21(2H, s), 7.24(1H, d, J=0.8Hz), 7.29(1H, s), 7.30-7.49(6H, m), 7.71(1H, d, J=0.8Hz)
【0114】
参考例11−1
2−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシ安息香酸
2−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(参考例9−2)(297mg)、りん酸二水素ナトリウム二水和物(494mg)、アセトニトリル(7.5mL)および水(1.5mL)の混合物に0℃で30%過酸化水素水(0.358mL)および亜塩素酸ナトリウム(286mg)を順次加えた。室温で5時間撹拌した後、混合物に1mol/L塩酸を加えた。不溶物を濾取し、表題化合物(251mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.03(3H, s), 5.30(2H, s), 7.20-7.65(8H, m), 7.85-8.00(1H, m), 8.00-8.10(1H, m), 8.17(1H, s)
【0115】
2−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒドの代わりに対応するアルデヒド(参考例9−1、参考例9−5、参考例16−1)を用い参考例11−1と同様の方法により、参考例11−2〜参考例11−4を合成した。これらを表2に記した。
【0116】
【表2】

【0117】
参考例11−2〜参考例11−4の物性値を以下に示した。
【0118】
参考例11−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.36(3H, s), 3.95(3H, s), 5.22(2H, s), 6.30(1H, s), 7.05-7.10(1H, m), 7.25-7.50(6H, m), 7.55-7.65(1H, m)
【0119】
参考例11−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.53(3H, s), 4.01(3H, s), 5.28(2H, s), 7.30-7.50(6H, m), 7.95-8.05(1H, m)
7.05-7.10(1H, m), 7.25-7.50(6H, m), 7.55-7.65(1H, m)
【0120】
参考例11−4
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.86(3H, s), 5.30-5.40(2H, m), 7.00-8.50(12H, m), 13.47(1H, brs)
【0121】
参考例12−1
2−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシ安息香酸メチル
2−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシ安息香酸(参考例11−1)(251mg)およびN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)の混合物にヨードメタン(0.06mL)および炭酸カリウム(133mg)を室温下加えた。1時間撹拌した後、混合物に水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:0%−30% 酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(196mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.69(3H, s), 3.96(3H, s), 5.24(2H, s), 7.17(1H, s), 7.30-7.60(8H, m), 7.85-7.95(1H, m), 8.00-8.15(1H, m)
【0122】
2−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシ安息香酸の代わりに対応するカルボン酸を用い参考例12−1と同様の方法により、参考例12−2〜参考例12−5を合成した。これらを表3に記した。
【0123】
【表3】

【0124】
参考例12−2〜参考例12−5の物性値を以下に示した。
【0125】
参考例12−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.89(3H, s), 3.91(3H, s), 5.13(2H, s), 7.12(1H, s), 7.30-7.46(5H, m), 7.49(1H, s)
【0126】
参考例12−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.89 (3H, s), 3.91 (3H, s), 5.15 (2H, s), 7.32-7.46 (7H, m)
【0127】
参考例12−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.36(3H, s), 3.79(3H, s), 3.94(3H, s), 5.21(2H, s), 6.24(1H, s), 7.05-7.10(1H, m), 7.25-7.50(6H, m)
【0128】
参考例12−5
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.48(3H, s), 3.81(3H, s), 3.96(3H, s), 5.23(2H, s), 7.20-7.25(1H, m), 7.30-7.50(6H, m)
【0129】
参考例13−1
5−ベンジルオキシ−4−メトキシ−2−(5−メチルオキサゾール−2−イル)安息香酸メチル
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(54mg)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(66mg)およびN,N−ジメチルホルムアミド(7mL)の混合物をアルゴン雰囲気下20分撹拌した。混合物に2−(4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシフェニル)−5−メチルオキサゾール(参考例4−1)(250mg)、メタノール(3mL)およびトリエチルアミン(0.248mL)を加えた。一酸化炭素雰囲気下に置換した後、混合物を90℃で終夜撹拌した。室温まで冷却した後、混合物に酢酸エチルおよびシリカゲルを加えた。混合物をセライト(登録商標)層に通した。濾液を1mol/L塩酸、水、食塩水で順次洗浄し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:0%−40% 酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(114mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.36(3H, d, J=1.0Hz), 3.79(3H, s), 3.96(3H, s), 5.20(2H, s), 6.80-6.90(1H, m), 7.26(1H, s), 7.30-7.55(6H, m)
【0130】
参考例14−1
6−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸メチル
2−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシ安息香酸メチル(参考例12−1)(196mg)および塩化メチレン(5mL)の混合物に四塩化チタン(0.107mL)を室温で加えた。15分間撹拌した後、混合物に1mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を1mol/L塩酸、食塩水で順次洗浄した後、減圧下濃縮した。残渣をヘキサン−酢酸エチルにて粉砕して、表題化合物(147mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.73(3H, s), 3.99(3H, s), 5.84(1H, s), 7.17(1H, s), 7.35-7.55(3H, m), 7.85-7.95(1H, m), 8.00-8.10(1H, m)
【0131】
2−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシ安息香酸メチルの代わりに対応するベンジルエーテルを用い参考例14−1と同様の方法により、参考例14−2〜参考例14−9を合成した。これらを表4に示した。
【0132】
【表4】

【0133】
参考例14−2〜参考例14−8の物性値を以下に示した。
【0134】
参考例14−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.35(3H, s), 3.81(3H, s), 3.97(3H, s), 5.91(1H, s), 6.24(1H, s), 7.05-7.10(1H, m), 7.40-7.50(1H, m)
【0135】
参考例14−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.35(3H, d, J=1.0Hz), 3.81(3H, s), 3.98(3H, s), 5.83(1H, s), 6.80-6.85(1H, m), 7.29(1H, s), 7.32(1H, s)
【0136】
参考例14−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.73(3H, s), 3.96(3H, s), 7.09(1H, s), 7.40(1H, d, J=3.4Hz), 7.42(1H, s), 7.84(1H, d, J=3.4Hz)
【0137】
参考例14−5
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.81(3H, s), 3.98(3H, s), 7.23(1H, d, J=0.8Hz), 7.29(1H, s), 7.37(1H, s), 7.71(1H, d, J=0.8Hz)
【0138】
参考例14−6
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.06(3H, s), 7.11(1H, s), 7.25-7.31(3H, m), 7.33-7.40(2H, m), 7.41(1H, s), 7.72-7.84(4H, m)
【0139】
参考例14−7
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.36(3H, s), 4.00(3H, s), 7.18(1H, s), 7.19(1H, s), 7.37-7.53(3H, m), 7.90(1H, d, J=7.9Hz), 8.04(1H, d, J=7.9Hz)
【0140】
参考例14−8
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.47(3H, s), 3.83(3H, s), 3.99(3H, s), 6.00(1H, s), 7.25-7.30(1H, m), 7.40-7.45(1H, m)
【0141】
参考例15−1
6−ベンゾチアゾール−2−イル−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−ニトロ安息香酸メチル
6−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸メチル(参考例14−1)(147mg)および塩化メチレン(35mL)の混合物に室温下、発煙硝酸(0.031mL)を加えた。15分間撹拌した後、混合物に水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をヘキサンおよび酢酸エチルで粉砕し、表題化合物(129mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.66(3H, s), 4.05(3H, s), 7.40-7.65(3H, m), 8.00-8.10(1H, m), 8.10-8.25(1H, m), 11.00-12.00(1H, br)
【0142】
6−ベンゾチアゾール−2−イル−5−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸メチルの代わりに対応するフェノールを用い参考例15−1と同様の方法により、参考例15−2〜参考例15−9を合成した。これらを表5に示した。
【0143】
【表5】

【0144】
参考例15−2〜参考例15−8の物性値を以下に示した。
【0145】
参考例15−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.35(3H, s), 3.93(3H, s), 4.03(3H, s), 6.30(1H, s), 7.48(1H, s), 10.60(1H, s)
【0146】
参考例15−3
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.36(3H, d, J=1.4Hz), 3.73(3H, s), 4.00(3H, s), 6.95-7.05(1H, m), 7.54(1H, s), 11.30-11.60(1H, br)
【0147】
参考例15−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.91(3H, s), 4.04(3H, s), 7.44(1H, d, J=3.3Hz), 7.53(1H, s), 7.89(1H, d, J=3.3Hz), 10.50(1H, s)
【0148】
参考例15−5
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.00(3H, s), 4.06(3H, s), 7.25-7.27(1H, m), 7.73(1H, d, J=0.8Hz), 7.79(1H, s)
【0149】
参考例15−6
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.12(3H, s), 7.30-7.50(5H, m), 7.73(1H, s), 7.75-7.87(4H, m)
【0150】
参考例15−7
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.23(3H, s), 4.06(3H, s), 7.50-7.60(3H, m), 8.02(1H, d, J=7.9Hz), 8.22(1H, d, J=7.9Hz), 11.54(1H, br)
【0151】
参考例15−8
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.46(3H, s), 4.01(3H, s), 4.07(3H, s), 7.77(1H, s), 10.75(1H, s)
【0152】
参考例16−1
4−ベンジルオキシ−5−メトキシ−2−フェニルスルファニルベンズアルデヒド
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(15mg)およびトルエン(1.2mL)の混合物をアルゴン雰囲気下10分撹拌した。混合物に4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒド(参考例1−1)(0.1g)、チオフェノール (33mg)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.093mL)を順次加えた。混合物を80℃で1時間撹拌した。室温まで冷却し、混合物にトルエン、フロリジル(登録商標)を加えた。1時間撹拌した後、混合物をセライト(登録商標)層に通した。濾液を減圧濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し、表題化合物(50mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.95(3H, s), 5.09(2H, s), 6.86(1H, s), 7.00-7.40(10H, m), 7.47(1H, s), 10.40(1H, s)
【0153】
参考例17−1
2−(2−ベンゼンスルフィニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシフェニル)−5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール
トリフェニルホスフィン(561mg)、四塩化炭素(1.05g)および塩化メチレン(8.6mL)の混合物を室温で20分間撹拌した。トリエチルアミン(0.477mL)および2−ベンゼンスルフィニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸N'−アセチルヒドラジド(参考例5−3)(376mg)を加えて、混合物を18時間撹拌した。混合物に酢酸エチルおよび2mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:50%−66%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(400mg)を得た。
【0154】
参考例18−1
2−(2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシフェニル)−5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール
2−(2−ベンゼンスルフィニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシフェニル)−5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール(参考例17−1)(400mg)および塩化メチレン(9.6mL)の混合物に、水冷撹拌下、m−クロロ過安息香酸(382mg)を加え、同温にて3時間撹拌した。混合物に酢酸エチルおよび1mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた。分取した有機層を、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:50%−66%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(250mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.58(3H, s), 3.94(3H, s), 5.33(2H, s), 7.15(1H, s), 7.30-7.70(10H, m), 7.76(1H, s)
【0155】
実施例1−1
6−ベンゾチアゾール−2−イル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル(化合物1−1)
6−ベンゾチアゾール−2−イル−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−ニトロ安息香酸メチル(参考例15−1)(128mg)および酢酸エチル(6mL)の混合物に塩化アルミニウム(149mg)およびピリジン(0.3mL)を加えた。還流下1.5時間撹拌した後、混合物を室温まで冷却し、混合物に1mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を1mol/L塩酸、水、食塩水で順次洗浄し、減圧下濃縮し表題化合物(100mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.66(3H, s), 7.41(1H, s), 7.45-7.60(2H, m), 7.95-8.05(1H, m), 8.10-8.20(1H, m)
【0156】
6−ベンゾチアゾール−2−イル−3−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−ニトロ安息香酸メチルの代わりに対応する3−ニトロベンゼン−1−メトキシ−2−オールを用い、実施例1−1と同様の方法により、化合物1−2〜化合物1−9を合成した。これらを表6に示した。
【0157】
【表6】

【0158】
化合物1−2〜化合物1−9の物性値を以下に示した。
【0159】
化合物1−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.27(3H, s), 3.69(3H, s), 6.54(1H, s), 7.21(1H, s), 11.31(1H, brs)
【0160】
化合物1−3
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.30-2.40(3H, m), 3.71(3H, s), 6.90-7.05(1H, m), 7.44(1H, s)
【0161】
化合物1−4
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.62(3H, s), 7.32(1H, s), 7.83(1H, d, J=3.2Hz), 7.89(1H, d, J=3.2Hz), 11.27(1H, br)
【0162】
化合物1−5
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.71(3H, s), 7.37(1H, d, J=0.8Hz), 7.47(1H, s), 8.22(1H, d, J=0.8Hz), 11.31(1H, br)
【0163】
化合物1−6
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.25-7.43(5H, m), 7.51(1H, s), 7.60-7.70(3H, m), 8.00(1H, d, J=7.8Hz)
【0164】
化合物1−7
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.25(3H, s), 7.44(1H, s), 7.48-7.60(2H, m), 8.00(1H, d, J=8.1Hz), 8.18(1H, d, J=8.1Hz), 11.22(1H, br)
【0165】
化合物1−8
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.40(3H, s), 3.73(3H, s), 7.50(1H, s), 11.60(1H, brs)
【0166】
化合物1−9
1H-NMR(MeOH-d4)δ ppm:2.55(3H, s), 7.08(1H, s), 7.30-7.80(3H, m), 7.80-8.00(2H, m)
【0167】
試験例1
ヒトCOMT阻害活性
1)組換えヒトCOMTの調製
(1)組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼの調製
完全長のヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(以下、COMT)をコードする、NCBI(National Center for Biotechnology Information)上に登録されている受入番号BC011935のDNA配列に基づき、配列番号1記載の組換えヒトCOMTをコードするDNA配列を増幅するために2つのオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。5’プライマーの配列を配列番号3に、3’プライマーの配列を配列番号4に示した。これらのプライマーは、所望のベクター中に該当PCR産物を挿入しやすくするために制限酵素部位(5’側はBamH I、3’側はEcoR I)を含んでいる。
配列番号3記載の5’プライマーおよび配列番号4記載の3’プライマーの各々を、TE緩衝液で希釈して15pmol/μL溶液とした。HO(PCR用, 34.8μL)、25mmol/L MgSO(2.0μL)、2mmol/L dNTPs(5.0μL)、10倍濃縮のDNAポリメラーゼ KOD plus緩衝液(5.0μL、東洋紡)を混合し、PCR反応用混合物を調製した。次いでヒト肝臓cDNA(5.0μL、Clontech)、更に各々のプライマー対(1μL、15pmol)を上記混合物に加え、最後に1.0μLのKOD plus(東洋紡)を加えた。その後、PCR反応を行った。PCR反応は94℃2分間の処置後、94℃15秒間、59℃30秒間、68℃1分間でこのサイクルを40サイクル行った。次いで68℃5分間、4℃10分間で終了した。
PCR産物をQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)にて精製した。所望のインサートDNAは同キットのEB緩衝液(30μL)で溶出した。
【0168】
(2)組換えヒトCOMTインサートDNAおよびpGEX−2Tベクターの二重消化
組換えヒトCOMTインサートDNA(1.5μg)に、10倍濃縮のEcoR I緩衝液(3.0μL、New England Biolab)、HO(11.1μL)、BamH I(1.5μL、15U、10U/μL)とEcoR I(1.0μL、15U、10U/μL)を加え混合した。その混合溶液を37℃で1.5時間加熱した。更にその溶液に10倍濃縮のローディング緩衝液を加えた。混合溶液を電気泳動にて分離し、当該消化断片を有するDNAを含むゲルの部分を切り出し、MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN)を使用して精製した。 pGEX−2TベクターDNA(1.5μg、Amersham)についても同様に二重消化を行い精製した。
【0169】
(3)ライゲーションと大腸菌JM109の形質転換
二重消化したpGEX−2Tベクター(2.0μL、50ng)およびインサートDNA(1.24μL、33.4ng)を、2倍濃縮のライゲーション緩衝液(3.24μL、Promega)に加えて混合した。次いで、T4リガーゼ(1.0μL、3U/μL、Promega)を混合溶液に加え、その混合物を25℃で1時間インキュベーションした。次に、大腸菌JM109(100μL)を0℃にて溶解し、リガーゼで反応させた上記混合溶液(5μL)をJM109懸濁液に加え、穏やかに混合し、0℃で30分間静置した。この混合物に強く振盪すること無しに42℃で40秒間の熱ショックを与え、0℃で10分間冷却した。次いで、450μLのSOC溶液を熱ショック後の溶液に加え37℃で1時間振盪した。振盪後、混合溶液の50μLと200μLを、LB−アンピシリン培地のプレート上(直径9cm、アンピシリン濃度100μg/mL)にそれぞれ播種し、37℃で16時間の静置培養を行った。その結果、プレート上にはコロニーが出現していた。
【0170】
(4)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドによるJM109形質転換後のコロニーセレクション
上記の静置培養後のプレートから適当数のコロニーを選択し、それらを滅菌爪楊枝にてLB−アンピシリン液体培地(各2mL、アンピシリン濃度100μg/mL)に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。それぞれから200μLを1.5mLマイクロチューブに分取し、フェノール抽出法によってプラスミドを抽出した。抽出されたプラスミドは、TE緩衝液に再溶解し、電気泳動に供した。検出されたバンドの泳動位置が、インサートDNAのないpGEX−2Tベクターのそれと近いものを一次陽性コロニーと判定し、以下の制限酵素二重消化による再確認を行った。
上記の一次陽性コロニー由来のDNA溶液(各7μL)を、10倍濃縮のEcoR I緩衝液(0.9μL、New England Biolab)と混和し、次いでBamH I(0.5μL、10U/μL) とEcoR I(0.5μL、15U/μL)を添加した。その溶液は、37℃で1時間加温した後、電気泳動を行った。およそ670bpの位置にバンドが検出された試料が由来するコロニーを、二次陽性コロニーと判定した。
【0171】
(5)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドの大腸菌JM109からの抽出と精製
(4)で二次陽性コロニーと判定された、GST融合組換えヒトCOMTプラスミドでの形質転換JM109の培養液は、一部(100μL)をグリセロールストックとし、残りの培養液は12000rpmで10分間遠心を行い、大腸菌ペレットを得た。得られた大腸菌ペレットから、QIAGEN Plasmid mini kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを精製した。その濃度はOD260nmによって決定され247ng/μLであった。常法に従い配列確認を行なったところ、配列番号2のDNA配列が所望の位置に挿入されていた。
【0172】
(6)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドDNAの大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)RPへの形質転換
(5)で精製され配列確認が終了したGST融合組換えヒトCOMTプラスミドDNA1μL(1ng/μL)を0℃で融解した大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)RP細胞懸濁液50μLに加え、(3)と同様に形質転換を行い、プレート培養を行った。
【0173】
(7)GST融合組換えヒトCOMTの発現
形質転換後の大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)RPのプレートからコロニーを拾い上げ、5mLのLB−アンピシリン培地(アンピシリン濃度100μg/mL)に投入し、37℃にて15時間振盪培養を行った。培養液の一部50μLをグリセロールストックとし、−80℃で保存した。使用時にこのグリセロールストックの一部を150mLのLB−アンピシリン培地(アンピシリン濃度100μg/mL)に植菌し、37℃にて16時間振盪培養を行った。この培養液を500mLずつ7本のLB−アンピシリン培地(アンピシリン濃度100μg/mL)で希釈し、20℃にて4.5時間振盪培養を行った。培養液の600nm吸光度が0.44となっていることを確認した後、各50μLのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(1mol/L)を添加し,20℃にて18時間振盪培養を行った。この培養液を9000rpmで20分間遠心して大腸菌ペレットを回収し,4gずつ4本に分けて使用時まで−80℃で凍結保存した。
【0174】
(8)GST融合組換えヒトCOMTのトロンビン処理
(7)から得られた大腸菌ペレットに40mLのBugBuster溶液(Novagen)、30μLのBenzonase(Novagen)および1μLのrLysozyme(Novagen)を添加し、15分間室温にて穏やかに撹拌しながら処理した。得られたライゼートを12000rpm、4℃、20分間遠心し、上澄み液を回収した。次いで、予めD−PBS(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline)にて平衡化し、D−PBSで50%に再懸濁させた、20mLのグルタチオン4BSepharose(レジンベッドボリューム10mL)を上記上澄み溶液に加え、得られた混合物を4℃にて1時間振盪した。振盪後の混合物をフィルターによりレジンと濾液に分別した。得られたレジンを30mLのD−PBSで5回洗浄し、30mLのトロンビン処理用緩衝液(150mmol/L NaCl、50mmol/L Tris−HCl、pH8.0、10%glycerol、2.5mmol/L CaCl、0.5% β−オクチル−D−グルコピラノシド)で3回洗浄した。次いで、レジンにトロンビン処理用緩衝液を加え30mLとし、トロンビン(アマシャムバイオサイエンス)30ユニットを加えた。レジン混合液を4℃で15時間穏やかに撹拌した後、レジンを濾過し、濾液として得られた組換えヒトCOMTの溶液を使用時まで−80℃で保管した。
【0175】
2)ヒトCOMT阻害作用の測定
ヒトCOMT阻害作用の測定は、Zurcher Gらの方法(J. Neurochem., 1982年, 38巻, P.191-195)を一部改変して実施した。1)で調製した組換えヒトCOMT(約1mg/mL)0.25μL、リン酸カリウム緩衝液(500mmol/L、pH7.6)40μL、塩化マグネシウム(100mmol/L)10μL、ジチオスレイトール(62.5mmol/L)10μL、アデノシンデアミナーゼ(2550ユニット/mL)0.5μLと試験化合物の混合物を37℃で5分間プレインキュベートした。対照サンプルは同様の方法で調製したが、試験化合物の代わりにジメチルスルホキシド(5μL)を加えた。[3H]-S-アデノシル-L-メチオニン(12.5mmol/L、1.2Ci/mol;アマシャムバイオサイエンス社製)20μLの添加後、カテコール基質(7mmol/L)25μLを加えることにより反応を開始した。反応混合液(終容量0.25mL)は、37℃で30分間インキュベートした。反応は氷冷した0.1g/Lのグアイアコールを含む1mol/L塩酸(0.25mL)を加えることで停止させた。シンチレーター(オプティフロー(登録商標)0;パッカード社製)2.5mLを加え、次いで1分間勢い良く振とうした後、パッカード社製液体シンチレーションカウンター(TRICARB 1900CA)で有機層に存在する放射活性を直接計数した。ブランクはカテコール基質の非存在下でインキュベートした(基質を反応停止後に加えた)。IC50値は酵素活性を50%阻害するのに要した濃度を示す。比較例として、トルカポンおよびエンタカポンを同様に試験した。これらの結果を表7に示した。
【0176】
【表7】

【0177】
試験例2
脱共役活性の測定
1)ラット肝臓由来ミトコンドリア画分の調製
ラット肝臓由来ミトコンドリア画分は、Nissinenらの方法(Eur. J. Pharmacol.,1997年,340巻,P.287-294)に従って得られた。すなわち、肝臓は4倍容量の氷冷したバッファーA(0.25 mol/Lショ糖,2 mmol/Lトリスヒドロキシメチルアミノメタン−塩酸 (pH6.8)及び0.1mmol/Lエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA))中にてホモジナイズした。粗ミトコンドリア画分は1000 ×g、10分間、4℃で遠心後上清として得た。この画分は8200×g、10分間、4℃で遠心して沈殿させ、再度同量のバッファーAに分散させ、同条件で遠心した。得られた沈殿物は10mgタンパク/mLとなるようバッファーAに再懸濁させてミトコンドリア画分とした。
2)脱共役活性の測定
脱共役活性の測定はHaasioらの方法(Eur. J. Pharmacol., 2002年, 453巻, P.21-26)に改変を加えて実施した。バッファーB(0.22 mol/Lマンニトール、0.05 mol/L ショ糖、5mmol/L 塩酸カリウム、5mmol/L リン酸二水素カリウム、1mmol/L EDTA、3mmol/L 塩化マグネシウム、及び0.01 mol/L 3−モルフォリノプロパンスルホン酸の混合液を水酸化カリウムでpH7.4に調整)150μLに対し、0.3 mmol/L 2,8−ジメチルフェノサフラニン(サフラニンO,バッファーBに溶解)20μL及びミトコンドリア画分8μLを混合し、暗所にて20分間室温で静置した。静置後、基底の膜ポテンシャルを得るためマイクロプレートリーダーで蛍光(励起波長 520 nm及び蛍光波長 570 nm)を測定した。0.1 mol/L コハク酸ナトリウム二塩基六水和物(バッファーBに溶解)20μLを添加し、6分後に蛍光を測定して最大膜ポテンシャルを得た。その後、試験化合物およびジメチルスルホキシドの混合物を2μLずつ添加し、直ちに混合して蛍光測定を開始した。最終の蛍光測定は、試験化合物添加10分後に行った。ジメチルスルホキシドのみの膜ポテンシャルの基底時及び最大の差を100%と設定し、これを50%低下させた濃度をEC50として表した。これらの結果を表8に示した。
【0178】
【表8】

【0179】
これらの試験の結果、本発明の化合物は、トルカポンまたはエンタカポンに比べて極めて軽微な肝毒性しか示さないことが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本発明の化合物は、優れたCOMT阻害作用を有するので、パーキンソン病、うつ病、高血圧症の治療または予防剤として有用である。特に本発明の化合物と、L−ドパとを組み合わせて使用することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させることができるので、パーキンソン病の治療および予防に好適である。
【配列表フリーテキスト】
【0181】
<配列番号1>
配列番号1は、組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼの配列である。
<配列番号2>
配列番号2は、配列番号1の組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼを発現するように配列番号3および4のプライマーを用いて増幅されたDNA配列である。
<配列番号3>
配列番号3は、配列番号2のDNAを増幅するために使用された5’プライマーの配列である。
<配列番号4>
配列番号4は、配列番号2のDNAを増幅するために使用された3’プライマーの配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基、アラルキルカルボニル基または−C(O)NR1112を表すか、あるいはRおよびRが一緒になって−C(O)−または低級アルキレン基を形成し;
は、以下のa)〜s):
a)ハロ低級アルキル基、
b)低級アシル基、
c)ハロ低級アルキルカルボニル基、
d)シクロアルキルカルボニル基、
e)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル低級アルコキシ基、水酸基、低級アルコキシカルボニル基、−C(O)NR1112およびシアノ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールカルボニル基、
f)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリールカルボニル基、
g)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキルカルボニル基、
h)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールオキシ低級アルキルカルボニル基、
i)低級アルコキシカルボニル基、
j)シクロアルキルオキシカルボニル基、
k)低級アルコキシ低級アルコキシカルボニル基、
l)カルボキシ基、
m)シアノ基、
n)−C(O)NR1112
o)−C(O)C(O)NR1112
p)低級アルキルスルホニル基、
q)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアリールスルホニル基、
r)−SONR1112、または
s)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり;
は、非置換もしくは以下からなる群:
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)シクロアルキル基、
d)ヘテロシクロアルキル基、
e)低級アルコキシ低級アルキル基、
f)アリールオキシ低級アルキル基、
g)低級アルコキシカルボニル低級アルキル基、および
h)ヒドロキシ低級アルキル基、
から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり、但し、該ヘテロアリール基は[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルでなく;
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、橋かけ環状炭化水素基、フェニル基またはアラルキル基を表すか、あるいはR11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環状アミノ基を形成する〕
で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
およびRが、水素原子である、請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
が、以下のa)〜c):
a)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールカルボニル基、
b)低級アルコキシカルボニル基、または
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアリールスルホニル基である、請求項2に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬。


【公開番号】特開2011−21010(P2011−21010A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137974(P2010−137974)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】