説明

新規なカリウムチャンネルブロッカー及びその使用

本発明は、細胞中のカリウムチャンネル活性、特にT細胞中に見られるKv1.3チャンネルの活性の調節において有用な化合物に関する。本発明は、多発性硬化症を含む自己免疫性及び炎症性疾患の治療又は予防におけるこれらの化合物の使用、これらの化合物を含む医薬組成物並びにその調製のための方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞におけるカリウムチャンネル活性、特にT細胞において見られるKv1.3チャンネルの活性の調節に有用な化合物に関する。本発明は、多発性硬化症を含む自己免疫性及び炎症性疾患の治療又は予防におけるこれらの化合物の使用、これらの化合物を含む医薬組成物並びにその調製のための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの自己免疫性及び慢性炎症性疾患は、免疫調節異常に関連している。全身性エリテマトーデス、I型真性糖尿病、慢性リウマチ性関節炎、多発性硬化症及び乾癬などの疾患は共通して、自己抗体及び自己反応性リンパ球の発現を有する。
【0003】
多発性硬化症は、若者における最も一般的な神経系の疾患である。若年成人の他のどんな神経系疾患より、医療的ケアのコストが高く、且つ収入を失うものと考えられる。
【0004】
多発性硬化症は神経のミエリン鞘に影響を及ぼす。ミエリンは、大部分の軸索を被覆し、跳躍伝導によって長距離にわたる迅速なシグナル伝導を可能にする絶縁性物質である。免疫系の抗体及び特異的細胞はミエリン被覆を攻撃すると考えられる。このプロセスによって炎症及び瘢痕化(硬化)がもたらされ、それは、粥腫(plaque)として知られる病斑の形成によってその領域の血管に損傷を与える。これらの粥腫は、マクロファージ及びT細胞によって浸潤されることを特徴とする。これは、結果として迅速なシグナル伝導の損失を伴う脱髄をもたらす。
【0005】
これらの自己免疫性及び炎症性疾患を治療するための可能性のある方法は、T細胞増殖を抑制し、その活性化を調節することによるものである。
【0006】
T細胞活性化の初期段階は、概念的に、プレ−Ca2+とポスト−Ca2+イベントに分けることができる(Cahalan and Chandy 1997、Curr.Opin.Biotechnol.8 749)。抗原によるT細胞受容体の関与に続く、チロシンキナーゼの活性化及びイノシトール1,4,5−三リン酸の生成は、Ca2+の流入と細胞質Ca2+濃度の上昇をもたらす。Ca2+の上昇は、ホスファターゼカルシニューリンを活性化させ、次いで、これは、細胞質的に局在化された転写因子(N−FAT)を脱リン酸化して、それが細胞核中で蓄積しインターロイキン−2遺伝子のプロモーターエレメントと結合できるようにする。タンパク質キナーゼC及びrasの活性化を伴う平行したイベントと一緒に、遺伝子転写は、リンホカイン分泌及びリンパ球増殖をもたらす。いくつかの遺伝子は持続するするCa2+シグナルを必要とし、他の遺伝子はCa2+の一時的上昇だけを必要とする。
【0007】
イオンチャンネルがTリンパ球のCa2+シグナルの基礎にある。Ca2+イオンは、ストア感受性Ca2+チャンネル又はカルシウム放出活性化Ca2+チャンネルと称されるチャンネルを通して原形質膜を横断する。2つの異なる種類のカリウムチャンネルが間接的にカルシウム流入の推進力を決定する。第1のチャンネルが電位依存性Kv1.3チャンネル(Cahalan1985、J.Physiol.385:197;Grissmer1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA87 9411;Verheugen1995、J.Gen.Physiol.105 765;Aiyar1996、J.Biol.Chem.271 31013;Cahalan及びChandy1997、Curr.Opin.BiotechnoL 8 749)であり、第2のチャンネルが中間コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャンネル、IKCa1(Grissmer1993、J.Gen.Physiol.102 601;Fanger1999 J.Biol.Chem.274 5746;Rauer 1999、J.Biol.Chem.274 21885;VanDorpe 1998、J.Biol.Chem.273 21542;Joiner 1997、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94 11013;Khanna 1999、J.Biol.Chem.274 14838;Lodgson1997、J.Biol.Chem.272 32723;Ghanshani1998、Genomics51 160)である。これらのカリウムチャンネルが開くと、もたらされるKの流出は膜を過分極化し、次いで、下流での活性化イベントに絶対的に必要とされるCa2+の流入を増進させる(Cahalan and Chandy1997、Curr.Opin.Biotechnol.8:749)。
【0008】
ヒトTリンパ球における支配的な電位依存性チャンネルは、Kv1.3、シェーカー関連遺伝子によってコード化される。Kv1.3は、分子レベル及び生理学的レベルで広範に特徴づけられており、主に静止Tリンパ球の静止膜電位を維持することによってTリンパ球増殖を制御するのに非常に重要な役割を果たす。このチャンネルの阻害は、細胞膜をCa2+の流入を低下させるのに十分脱分極させ、それによって下流の活性化イベントを防止する。
【0009】
したがって、選択的Kv1.3ブロッカーである化合物は、移植片拒絶反応の予防並びに自己免疫性及び炎症性疾患の治療のための免疫抑制剤としての潜在的な治療薬である。これらは、単独でも、また、相乗効果を実現し且つ/又は特にシクロスポリンの毒性を低減させるために選択的IKCa1ブロッカー又はシクロスポリンなどの他の免疫抑制剤と一緒に使用することができる。
【0010】
電位依存性K−チャンネルの電気生理学分野での開発は、Kv1.3チャンネルを阻害することによって多発性硬化症を治療し、また真性糖尿病も治療するケースで強化されている。多発性硬化症の患者からの自己反応性T細胞は、非常に高いレベルのKv1.3を示すことが見出された(Wulff、Hら(2003)J.Clin Invest.111(11)1703−1713)。Kv1.3の選択的ペプチドブロッカーであるShK−K22Dapは、この高いKv1.3表現型を有するT細胞の増殖を強く阻害する(Beeton、Cら(2001)PNAS98 13942−13947)。T細胞複製とKv1.3遮断の関連性は、Kv1.3チャンネルの活性のある比較的特異的な阻害剤である小分子、ソラレン誘導体の使用によっても示されている。この誘導体は、末梢血液T細胞より高くKv1.3T細胞の増殖を阻害する特異性を示している(Vennekampら(2004)Mol.Pharm.65 1364−1374)。
【0011】
Kv1.3チャンネルは糖尿病とも関連している。Kv1.3ノックアウトマウスによる研究によれば、インスリン感受性が高まることが分かっている。Kv1.3チャンネルの選択的阻害も高いインスリン感受性をもたらす(Xu、J.ら(2004)PNAS101(9)、3122−3117)。糖尿病も、非常に高レベルのKv1.3を発現する自己反応性T細胞に関連することがWulffによって示唆されている。(Wulff、H.ら(2003)Curr.Op.DDD.6 640−647)。
【0012】
現在、リンパ球増殖を阻害するが副作用もあるいくつかの非選択的カリウムチャンネルブロッカーが存在する。他のカリウムチャンネルは、心臓や脳を含む広範な組織中に存在しており、一般に、これらのチャンネルを遮断することは望ましくない。したがって、Kv1.3チャンネルの選択的阻害剤である化合物を提供又は特定することが有利である。
【0013】
米国特許第5,494,895号は、ヒトリンパ球中に存在するKv1.3チャンネルの選択的阻害剤及びプローブとして、また、免疫抑制剤としての39のアミノ酸のペプチド、サソリのペプチドマルガトキシンの使用を開示している。しかしこの化合物の使用にはその強力な毒性のため限界がある。
【0014】
国際特許出願公開番号WO97/16438及びWO09/716437並びに米国特許第6,051,590号は、免疫抑制剤としてのトリテルペン、コレオリド(correolide)及び関連化合物の使用を記載している。これらの化合物の免疫抑制剤となる潜在性が、子ブタでの遅延型過敏症(DTH)反応の減衰を示す実験により示されている。
【0015】
米国特許第6,077,680号は、イソギンチャク種から得られたDNA断片及びタンパク質、より具体的にはスチコダクチラヘリアンタス(Stichodactyla helianthus)からのShK毒素を記載している。ShK毒素はKv1.1、Kv1.3、Kv1.4及びKv1.6を遮断するが、突然変異体ShK−K22DAPはKv1.3を選択的に遮断することが分かっている。しかし、突然変異体は、臨床用途に必要な薬物動態学的プロファイルは示していない。最近報告されているShK類似物、ShK(L5)はKv1.3(K=69pM)に対してKv1.1より少なくとも100倍超の活性であり、さらに、Kv1ファミリーの他のどの関連メンバーに対しても少なくとも250倍の選択性を示している(Beetonら(2005)Mot.Pharm.67、1369−1381))。
【0016】
ヒト多発性硬化症のための動物モデルであるルイスラットで、ShK毒素とShK(L5)はどちらも、ミエリン抗原、MBP(ミエリン塩基性タンパク質)で慢性的に活性化されたT細胞を選択的に標的とすることによって、養子免疫伝達実験的自己免疫性脳脊髄炎を予防し且つ治療もすることが分かっている(Beetonら(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA98 13942;Beetonら(2005)Mot.Pharm.67、1369−1381)。同じこの研究は、脳炎誘発性ラットのT細胞が、Kv1.3チャンネルの高い発現(細胞当たり約1500)とIKCa1チャンネルの低い発現(細胞当たり約120)を特徴とする独特のチャンネル表現型を発現することも示している。このチャンネル表現型は、静止状態の急性的に活性化された細胞において見られるものと区別され、慢性的に活性化されたラットTリンパ球のための機能的に関連するマーカーとすることができる。
【0017】
Kv1.3のブロッカーである他の化合物には、ソラレン(Vennekampら(2004)Mot.Pharm.65、1365−1374及びWulffら、US2006/0079535)及び選択されたベンズアミド(Schalhoferら(2002)Biochem.41、7781−7794及びSchalhoferら(2003)Biochem.42、4733−4743)が含まれる。
【0018】
どちらも市販されている製品である、置換ベンゾフランであり、ある種の植物からの天然産物であるケリノン(Khellinone)と8−メトキシソラレン(8−MOP)は、Kv1.3チャンネルの活性の遮断を示すことが分かっている。
【化1】

【0019】
ケリノン、8−MOP及び4つのその二量体変異体が、American Physiological Society in Snowmass、Colorado(The Physiologist 42:A12(1999))の会議のポスター(要約番号1078)に記載されている。著者らは、2つの活性な単位をスペーサーと結合させて、活性が改善されるかどうかを試験している。二価の誘導体のいくつかは効果がなく、他のものはKv1.3チャンネルを遮断するが、加水分解に対するその極端な敏感さ(非常に劣る安定性)と高い親油性(臨床条件での低い溶解性)のため、治療的有用性には欠けるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、インビボでのカリウムチャンネル活性の調節によって利益を受ける病状の治療に有用な新規な部類化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、式(1)の化合物又はその塩を提供する
【化2】


{式中、
は、水素、ハロ、任意選択で置換された低級アルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R(Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’’’R’’’’、−NR’’’C(O)R’’’’及び−NR’’’R’’’’(R’’’及びR’’’’は水素、低級アルキル又はアリールから独立に選択される)から選択され;
は、ハロ、シアノ、任意選択で置換された低級アルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’’’R’’’’、−NR’’’C(O)R’’’’及び−NR’’’R’’’’(R’’’及びR’’’’は水素、低級アルキル又はアリールから独立に選択される)から選択され;
は、−C(O)R[Rは低級ハロアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリール、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、SR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’R’’、−NR’C(O)R’’及び−NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択される];−S(O)R’’’(mは1又は2であり、R’’’はNH、ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから独立に選択される);−SR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される);−C(OH)HR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される);任意選択で置換されたヘテロシクリル;任意選択で置換されたヘテロアリール;NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される);NR’C(O)R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される);及び−C(O)NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択され;
はXRであり、Xは−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−C≡C−又はNR’(R’は水素又は低級アルキルから選択される)であり、Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたC4〜7シクロアルケニル、−C(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及び−C(O)NR’R’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択され;
は、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)NRR’、−NRC(O)R’、−NRR’、SR、SOR、SOR及びSONRR’(Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択され、R’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される}。
【0022】
本発明の一態様では、式Iの化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は式Iの化合物若しくは薬学的に許容されるその塩を含む組成物を投与することによって、自己免疫性若しくは慢性の炎症性疾患の治療若しくは予防又は他人の臓器の移植の拒絶反応及び/又はそれに関連する苦痛の予防のための方法を提供する。
【0023】
他の態様では、本発明は、自己免疫性若しくは慢性の炎症性疾患の治療若しくは予防又は他人の臓器の移植の拒絶反応及び/又はそれに関連する苦痛の予防のための医薬品の製造における式Iの化合物又はその塩の使用を提供する。
【0024】
本発明の他の態様では、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩をT細胞に施すことによって、前記T細胞のカリウムイオンチャンネル活性を意図的に調節する方法を提供する。
【0025】
本発明のさらに他の態様では、免疫抑制剤として使用するための医薬組成物であって、有効量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩及び任意選択で担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
本発明の他の態様では、式Iの化合物又はその塩の調製方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、上記発明の概要で記載したような一般式Iの化合物が、カリウムイオンチャンネル、特にKv1.3チャンネルの阻害剤として有用な特性をもつことができるという発見にもとづくものである。そうした化合物は、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、I型真性糖尿病及び乾癬などの自己免疫性障害の治療のための免疫抑制剤として大きな潜在的可能性を有する。これらは、移植片拒絶反応及び心房細動(AF)などの心不整脈の治療又は予防においても有用である。
【0028】
本明細書で単独で又は組み合わせて用いられる「アルキル」という用語は、直鎖状又は分岐状飽和炭化水素基を指す。「C1〜12アルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子を含むそうした基を指し、「C1〜6アルキル」及び「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含むそうした基、例えばメチル(「Me」)、エチル(「Et」)、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどを指す。
【0029】
「アルキレン」という用語は、好ましくは1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する二価アルキル基を指す。そうしたアルキレン基の例には、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−及び−CH(CH)CH−)、ブチレン異性体(例えば、−CHCH−CH(CH)−及び−CHCHCHCH−などが含まれる。
【0030】
「C3〜7シクロアルキル」という用語は、3〜7個の炭素原子を有する非芳香族、飽和非芳香族炭素環を指す。例としてはシクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。
【0031】
「シクロアルキレン」という用語は、好ましくは3〜7個の炭素原子を有する二価シクロアルキル基を指す。
【0032】
「アルケニル」という用語は、1つ又は複数の二重結合、好ましくは1つ又は2つの二重結合を含む直鎖状又は分岐状炭化水素を指す。「C2〜12アルケニル」という用語は、2〜12個の炭素原子を含むそうした基を指す。アルケニルのサンプルには、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、1,3−ブタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル及び1,3,5−ヘキサトリエニルが含まれる。
【0033】
「アルケニレン」という用語は、好ましくは2〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する二価アルケニル基を指す。そのサンプルにはエテニレン(−CH=CH−)及びプロペニレン異性体(例えば、−CHCH=CH−及び−C(CH)=CH−)などが含まれる。
【0034】
「C4〜7シクロアルケニル」という用語は、4〜7個の炭素原子及び1つ又は複数の二重結合を有する非芳香族炭素環を指す。そのサンプルにはシクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、シクロヘキセニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル及び1,4−シクロヘキサジエニルが含まれる。
【0035】
「アルキニル」という用語は、1つ又は複数の三重結合、好ましくは1つ又は2つの三重結合を含む直鎖状又は分岐状炭化水素を指す。「C2〜12アルキニル」という用語は、2〜12個の炭素原子を含むそうした基を指す。そのサンプルには2−プロピニル及び2−若しくは3−ブチニルが含まれる。
【0036】
「アルキニレン」という用語は、好ましくは2〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する二価アルキニル基を指す。そのサンプルにはエチニレン(−C≡C−)、プロピニレン(−CH−C≡C−)などが含まれる。
【0037】
単独で又は組み合わせて用いられる「アルコキシ」という用語は、酸素結合(−O−)を介して共有結合した直鎖状又は分岐状アルキル基を指し、「C1〜6アルコキシ」及び「低級アルコキシ」という用語は、1〜6個の炭素原子を含むそうした基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシなどを指す。
【0038】
単独で又は組み合わせて用いられる「アルケニルオキシ」及び「アルキニルオキシ」という用語は、酸素結合(−O−)を介して結合している上記したアルケニル及びアルキニル基をそれぞれ指す。
【0039】
単独で又は組み合わせて用いられる場合、「芳香族」という用語は、単環式又は二環式のアリール環及び環系(芳香族炭化水素環又は環系)を指し、また、ヘテロアリール又は複素芳香環として知られる芳香族複素環又は環系も指す。好ましい芳香環は、任意選択で置換されたフェニル(「Ph」)環である。
【0040】
「アリール」という用語は、炭素環式(非複素環)の芳香環又は環系を指す。芳香環は単環の環系であっても二環の環系であってもよい。芳香環又は環系は一般に5〜10個の炭素原子を含む。適切なアリール基のサンプルには、これらに限定されないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどが含まれる。
【0041】
好ましいアリール基には、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル又はアントラセニルが含まれる。
【0042】
「ヘテロアリール」という用語は、環内に好ましくは2〜10個の炭素原子及び酸素、窒素及びイオウから選択される1〜4個のヘテロ原子からなる一価の芳香族炭素環基を指す。好ましくは、ヘテロ原子は窒素である。そうしたヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジル、ピロリル又はフリル)を有すること、また複数の縮合環(例えば、インドリジニル又はベンゾチエニル)を有することもできる。
【0043】
「ヘテロシクリル」という用語は、環内に単一の環又は複数の縮合環、好ましくは1〜8個の炭素原子及び窒素、イオウ、酸素、セレン又はリンから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する一価の飽和又は不飽和基を指す。
【0044】
5員単環ヘテロシクリル及びヘテロアリール基のサンプルには、フリル、チエニル、ピロリル、H−ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、(1,2,3及び1,2,4オキサジアゾリルを含む)チアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、トリアゾリル(1,2,3及び1,3,4トリアゾリルを含む)、テトラゾリル、チアジアゾリル(1,2,3及び1,3,4チアジアゾリルを含む)が含まれる。
【0045】
6員単環ヘテロシクリル及びヘテロアリール基のサンプルには、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラニル、ピラジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、1,3,5−トリチアニル及びトリアジニルが含まれる。上記複素環は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、フェニル、フェニルオキシ、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、アミノ、シアノ又はモノ若しくはジ(C1〜6アルキル)アミノなどの様々な置換基で任意選択で置換されていてよい。
【0046】
上記に参照したような複素環又はヘテロアリールは、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル及びアントラセニルなどの炭素環と縮合していてよい。
【0047】
8員、9員及び10員二環のヘテロシクリル並びにヘテロアリール基のサンプルには、1Hチエノ[2,3−c]ピラゾリル、チエノ[2,3−b]フリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、イソキノリニル、キノリニル、キノキサリニル、ウリジニル、プリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾトリアジニル、ナフチリジニル、プテリジニルなどが含まれる。これらの複素環は、例えば、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、シアノ、フェニル、フェニルオキシ、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、アミノ及びモノ又はジ(C1〜6アルキル)アミノで任意選択で置換されていてよい。
【0048】
いくつかの好ましい複素環及び複素芳香族基のサンプルには、(任意選択で置換された)イソオキサゾール、イソチアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール、キノリン、キノキサリン、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−5−オン、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1Hチエノ[2,3−c]ピラゾリル、チエノ[2,3−b]フリル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラゾリル、ウリジニル及びシトシニルが含まれる。これらの基は、例えばC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、フェニル、フェニルオキシ、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、シアノ又はモノ若しくはジ(C1〜6アルキル)アミノで任意選択で置換されていてよい。
【0049】
ヘテロアリール又は複素芳香環は、好ましくはイソオキサゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、フリル、ピラゾリル、ピリダジニル、チエニル並びにアリール縮合複素芳香環、例えばベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル及びベンゾイソオキサゾリルから選択される。
【0050】
ヘテロシクリル又は複素環は、好ましくはピロリジン、イミダゾリン、2−イミダゾリドン、2−ピロリドン、ピロリン−2−オン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、オキサゾリン、1,3−ジオキサン、1,4−ピペラジン、モルホリン及びチオモルホリンから選択される。
【0051】
「アリールアルキル」という用語は、上記したようなアルキル基で置換された、同じく上記したような炭素環式の芳香環又は環系を指す。別段の表示のない限り、アリール置換基は、置換基のアルキル部によって結合されている。同様に、「アリールC1〜12アルキル」、「アリールC2〜12アルケニル」及び「アリールC2〜12アルキニル」は、上記したようなC1〜12アルキル、C2〜12アルケニル又はC2〜12アルキニル基で置換された、上記したような炭素環式の芳香環又は環系を指す。
【0052】
「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基を指す。
【0053】
「ハロアルキル」基という用語は、アルキル基上の水素原子の1つ又は複数をハロゲンで置き換えたものである。顕著なサンプルは−CF及び−CHFである。
【0054】
「アリールオキシ」という用語は、酸素結合(−O−)を介して親構造と結合した上記したようなアリール基を指す。顕著なサンプルには、フェノキシ及び4−フルオロフェノキシが含まれる。同様に、「ヘテロアリールオキシ」という用語は、酸素基を介して親構造と結合した上記したようなヘテロアリール基を指す。顕著なサンプルには、ピラジニルオキシ及びピリミジニルオキシが含まれる。
【0055】
「任意選択で置換された」という用語は、ある基が、1つ又は複数の置換基を含むことができることを意味する。その基上の1個又は複数の水素原子は、ハロゲン、グアニジノ、ハロC1〜3アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHヘテロシクリル、−(CHヘテロアリール、−CS(O)1〜6アルキル、−C(Ph)、−CN、−OR、−O−(CH1〜6−R、−O−(CH1〜6−OR、−OC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)NR’R’’、−NR’R’’、−NRC(O)R’、−NRC(O)NR’R’’、−NRC(S)NR’R’’、−NRS(O)R’、−NRC(O)OR’、−C(NR)NR’R’’、−C(=NOR’)R、−C(=NOH)NR’R’’、−C(O)NR’R’’、−C(=NCN)−NR’R’’、−C(=NR)NR’R’’、−C(=NR’)SR’’、−NR’C(=NCN)SR’’、−CONRSOR’、−C(S)NR’R’’、−S(O)R、−SONR’R’’、−SONRC(O)R’、−OS(O)R、−PO(OR)及び−NOから独立に選択される置換基で置き換えられていてよい;
ここで、pは0〜6であり、qは0〜2であり、各R、R’及びR’’は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1〜6アルキルアリール、C1〜6アルキルヘテロアリール及びC1〜6アルキルヘテロシクリルから独立に選択され、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1〜6アルキルアリール、C1〜6アルキルヘテロアリール又はC1〜6アルキルヘテロシクリルはハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−COH、CF、CN、フェニル、NH及び−NOから選択される同じか又は異なる基の1〜6個で任意選択で置換されていてよいか;或いは、R’とR’’が同一窒素原子と結合している場合、それらは、それらが結合している原子と一緒に5〜7員の窒素含有複素環を形成していてよい。
【0056】
例えばアルキレン二価基の場合、「任意選択で置換された」という用語は、1個又は複数の飽和炭素原子が、ヘテロ原子又はヘテロ基、例えばO、S、NHなどと置き換わっていてよいことも表す。例えば、任意選択で置換されたアルキレン基は、−CHCHOCH−、−CH−O−CH−、−CHCHOCHCHOCHCH−、−CHCHNH−CH−、−CHNHCH−などの基で表すことができる。任意選択で置換されたアルキレンは、そのアルキレン鎖が、例えば、
【化3】


などのシクロアルキル部分によって介在されている状態も含む。別段の定義がされておらず、且つ、非芳香族炭素環式又は複素環化合物の環原子だけに関する限り、そうした化合物の環原子は、上記任意選択の置換基の代わりか又はそれに加えて、1つ又は2つの=O基で任意選択で置換されていてもよい。
【0057】
任意選択の置換基がアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリル基であるか又はそれらを含む場合、その基自体は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6ハロアルキル(特に−CF及び−CHF)、C1〜6ハロアルコキシ(−OCFなど)、−OH、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ベンゾイル、−NH、グアニジノ、−NHC1〜4アルキル、−N(C1〜4アルキル)、−CN、−NO、メルカプト、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルコキシカルボニル及びCOHから選択される同じか又は異なる置換基の1〜6個で任意選択で置換されていてよい。
【0058】
本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されるものが好ましいが、それらが、薬学的に許容される塩を調製するための中間体として有用であるため、薬学的に許容されない塩も本発明の範囲に含まれることを理解されよう。
【0059】
本発明の化合物及びその塩は、薬学的に許容される誘導体の形態で存在することができることを理解されよう。「薬学的に許容される誘導体」という用語は、本発明の化合物又はその塩の薬学的に許容されるエステル、プロドラッグ、溶媒和物及び水和物を含む。薬学的に許容される誘導体は、対象に投与されると、本発明の化合物又はその活性代謝物若しくは残基を提供できる(直接間接を問わず)任意の薬学的に許容される水和物又は任意の他の化合物若しくはプロドラッグを含むことができる。
【0060】
薬学的に許容される塩には、酸付加塩、塩基付加塩並びに第四級アミンの塩(例えば、アンモニウム及びグアニジニウム塩)及びピリジニウムの塩が含まれる。酸付加塩は、本発明の化合物と、これらに限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、クエン酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、サリチル酸、スルファミン酸又は酒石酸を含む薬学的に許容される無機又は有機酸から形成される。第4級アミン及びピリジニウムの対イオンには、クロリド、ブロミド、アイオダイド、サルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、シトレート、アセテート、マロネート、フマレート、スルファメート及びタートレートが含まれる。塩基付加塩には、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、アンモニウム及びアルキルアンモニウムなどの塩が含まれる。また、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチルのクロリド、ブロミド及びアイオダイドなどの低級アルキルハライド;ジメチル硫酸及びジエチル硫酸などのジアルキル硫酸;その他などの薬剤で四級化されていてもよい。そうした塩は、公知の方法で、例えば、適切な溶媒の存在下で化合物を適切な酸又は塩基で処理することによって作製することができる。
【0061】
本発明の化合物は、結晶形態であっても溶媒和物(例えば、水和物)として存在してもよく、そのどちらの形態も本発明の範囲内であるものとする。「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明においては、本発明の化合物)と溶媒によって形成される可変的な化学量論の複合体である。そうした溶媒は、溶質の生物学的活性を妨げるものであってはならない。溶媒は、サンプルとして、水、エタノール又は酢酸であってよい。溶媒和の方法は当業界で一般に知られている。
【0062】
「プロドラッグ」という用語はその最も広い意味で用いられ、インビボで本発明の化合物に転換されるこれらの誘導体を包含する。そうした誘導体は、当業者に容易に想起されるものであり、例えば、遊離ヒドロキシ基がエステル誘導体に転換されるか、又は環窒素原子がN−オキシドに転換される化合物を含む。エステル誘導体のサンプルには、アルキルエステル、リン酸エステル及びアミノ酸、好ましくはバリンから形成されるものが含まれる。本発明の化合物のプロドラッグである任意の化合物は本発明の範囲及び趣旨の範囲内である。
【0063】
「薬学的に許容されるエステル」という用語は、スルホン酸、ホスホン酸及びカルボン酸誘導体などの本発明の化合物の生物学的に許容されるエステルを含む。
【0064】
したがって、本発明の他の態様では、本発明の化合物又はその塩のプロドラッグ又は薬学的に許容されるエステルを提供する。
【0065】
本発明の化合物及びそのいくつかの誘導体は、少なくとも1つの不斉中心をもつことができ、したがって、2つ以上の立体異性体で存在することができることを理解されよう。本発明は、個別にこれらの形態のそれぞれ及びラセミ化合物を含むその混合物に拡大される。異性体は、分割剤を用いてクロマトグラフィー法で慣用的に分離することができる。或いは、個々の異性体を、キラル中間体を用いて不斉合成により調製することができる。その化合物が少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する場合、本発明に含まれる化合物のすべての異性体についてZ形態及びE形態で存在することができる。
【0066】
さらに、置換パターンに応じて、本発明の化合物は、互変異性体で存在することができる。したがって、本発明の化合物の可能なすべての互変異性体は本発明の範囲及び趣旨内に包含される。
【0067】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、一般式Iを参照して、以下の好ましい定義の1つ又は複数が適用される:
a)Rは、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール及び低級アルコキシから選択される。
b)Rは、任意選択で置換された低級アルキル、ハロ、シアノ、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたヘテロシクリルから選択され;
c)Rは、−C(O)−R[式中、Rは低級ハロアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリール又はNR’R’’(R’及びR’’は水素、低級アルキル又は任意選択で置換されたヘテロアリールから独立に選択される)である];−S(O)R’’’(mは1又は2であり、R’’’はNH、ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから独立に選択される);或いは、−C(OH)HR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたCC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択され;
d)Rは、OR[Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたC4〜7シクロアルケニル、−C(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及び−C(O)NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択される]である。好ましくは、Rは末端で置換されたC1〜10アルコキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ及び任意選択で置換されたシクロアルキルオキシから選択され;
e)Rは好ましくは、基−Y−L−R[式中:
Yは、単結合、−O−、−C(O)−、−S−、−NR’’’−、−C(O)NR’’’−又は−NR’’’C(O)−(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択され;
Lは、任意選択で置換されたC2〜6アルキレン、任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレン、任意選択で置換されたC2〜6アルケニレン及び任意選択で置換されたC2〜6アルキニレンから選択される長さが2〜6個の原子の二価リンカー基から選択され;
は、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、−NHR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及びSR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される]
によって定義される。
【0068】
一実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物又はその塩である
【化4】


{式中、
は、水素、ハロ、任意選択で置換された低級アルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’’’R’’’’、−NR’’’C(O)R’’’’及び−NR’’’R’’’’(R’’’及びR’’’’は水素、低級アルキル又はアリールから独立に選択される)から選択され;
は、ハロ、シアノ、任意選択で置換された低級アルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’’’R’’’’、−NR’’’C(O)R’’’’及び−NR’’’R’’’’(R’’’及びR’’’’は水素、低級アルキル又はアリールから独立に選択される)から選択され;
は、−C(O)R[Rは低級ハロアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリール、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、SR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’R’’、−NR’C(O)R’’及び−NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択される];−S(O)R’’’(mは1又は2であり、R’’’はNH、ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから独立に選択される);−SR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される);−C(OH)HR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される);任意選択で置換されたヘテロシクリル;任意選択で置換されたヘテロアリール;NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される);NR’C(O)R’’(R及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される);及び−C(O)NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択され;
はXRであり、Xは−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−C≡C−又はNR’(R’は水素又は低級アルキルから選択される)であり、Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたC4〜7シクロアルケニル、−C(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及び−C(O)NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択され;
Yは、単結合、−O−、−C(O)−、−S−、−NR’’’−、−C(O)NR’’’−又は−NR’’’C(O)−(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択され;
Lは、任意選択で置換されたC2〜6アルキレン、任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレン、任意選択で置換されたC2〜6アルケニレン及び任意選択で置換されたC2〜6アルキニレンから選択される長さが2〜6個の原子の二価リンカー基から選択され;
は、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、−NHR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及びSR’’’(は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される}。
【0069】
好ましい実施形態では、本発明は、式(Ia’)の化合物又はその塩を提供する
【化5】


{式中、
は、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール及び低級アルコキシから選択され;
は、任意選択で置換された低級アルキル、ハロ、シアノ、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたヘテロシクリルから選択され;
は、−C(O)−R[Rは低級ハロアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリール又はNR’R’’(R’及びR’’は水素、任意選択で置換されたヘテロアリール又は低級アルキルから独立に選択される)である];−S(O)R’’’(mは1又は2であり、R’’’は任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから独立に選択される);又は−C(OH)HR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択され;
は、末端で置換されたC1〜10アルコキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ又は任意選択で置換されたシクロアルキルオキシであり;
Yは、単結合、−O−、−C(O)−、−S−、−NR’’’−、−C(O)NR’’’−及び−NR’’’C(O)−(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択され;
Lは、任意選択で置換されたC2〜6アルキレン、任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレン、任意選択で置換されたC2〜6アルケニレン及び任意選択で置換されたC2〜6アルキニレンから選択される長さが2〜6個の原子の二価リンカー基から選択され;
は、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、−NHR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及びSR’’’(は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される}。
【0070】
本発明の他の好ましい実施形態では、一般式I、Ia及びIa’を参照して、以下の好ましい定義の1つ又は複数を適用することができる:
f)Rは、−Y−L−R[式中
YはO又は単結合であり;
Lは、任意選択で置換されたC2〜6アルキレン又は任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレンであり;
は、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、−NHR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及びSR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される]
で定義される。
g)Rは、水素、C−Cアルキル又はハロC2〜4アルキルであり;
h)Rは−C(O)C〜Cアルキル、−C(OH)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−C(O)NH(C〜Cアルキル)、−C(O)N(C〜Cアルキル)及び−C(O)ハロC2〜4アルキルから選択され;
i)Rは、末端で置換されたC1〜6アルキルオキシ(好ましくは、NH、ジアルキルアミノ、モノジアルキルアミノ、グアニジノ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ又は任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ)、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ又は任意選択で置換されたシクロアルキルオキシから選択される。
【0071】
本発明の他の好ましい実施形態では、一般式I、Ia及びIa’を参照して、以下の別の定義の1つ又は複数を適用することができる:
j)Rは、−Y−L−R(式中、YはOであり;Lは、任意選択で置換されたC2〜6アルキレン又は任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレンであり;Rは、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール又は任意選択で置換されたヘテロシクリルである)によって定義され;
k)Rは、NH、ジアルキルアミノ、モノジアルキルアミノ、グアニジノ、任意選択で置換されたアリール、及び任意選択で置換されたヘテロアリール;任意選択で置換されたヘテロシクリル;任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ;並びに任意選択で置換されたヘテロアリールオキシから選択される基で末端で置換されたC1〜4アルコキシから選択され;
l)Rは−C(O)C1〜3アルキル又は−C(OH)C1〜3アルキルであり;
m)RはC1〜4アルキル又はハロ(好ましくはクロロ)であり;
n)RはC1〜4アルキル(好ましくはメチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピル)、C3〜6シクロアルキル(好ましくはシクロプロピル)及びハロC1〜3アルキル(好ましくはCHF及びCF)から選択される。
【0072】
のより具体的な実施形態は:
【化6−1】


【化6−2】


【化6−3】


を含む。
【0073】
好ましくは、上記実施形態におけるC1〜4アルキレン基はC1〜3アルキレン基であり、より好ましくはエチレンである。
【0074】
のさらにより具体的な実施形態は:
【化7】


を含む。
【0075】
好ましくは、R(又は−Y−L−R)は、−O−任意選択で置換されたC2〜4アルキレン−任意選択で置換されたアリール、−O−任意選択で置換されたC2〜4アルキレン−任意選択で置換されたヘテロアリール、−O−任意選択で置換されたC2〜4アルキレン−任意選択で置換されたヘテロシクリル、−O−任意選択で置換された−C3〜6シクロアルキレン−任意選択で置換されたアリール、−O−任意選択で置換された−C3〜6シクロアルキレン−任意選択で置換されたヘテロアリール又は−O−任意選択で置換された−C3〜6シクロアルキレン−任意選択で置換されたヘテロシクリルである。
【0076】
2〜4アルキレン基の好ましい任意選択の置換基には、C1〜3アルキル、C3〜6シクロアルキル、ハロ、(好ましくはF)が含まれ、ここで、そのC2〜4アルキレン鎖はC3〜6シクロアルキル基によって介在されている。
【0077】
又は(−Y−L−R)のより具体的な実施形態は:
【化8】


を含む。
【0078】
最も好ましくは、R(又は−Y−L−R)は
【化9】


である。
【0079】
本発明は、可能な場合、本発明の上記実施形態の薬学的に許容されるエステル、溶媒和物及び/又はプロドラッグなどの塩又は薬学的に許容される誘導体も含む。
【0080】
本発明の他の態様では、治療有効量の薬学的に許容されるその誘導体を含む上記式I、Ia若しくはIa’の化合物又は薬学的に許容されるその塩の1つ若しくは複数及び任意選択で薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0081】
他の態様では、本発明は、Kv1.3イオンチャンネルブロッカーとして、より具体的には免疫抑制剤として使用するための医薬組成物であって、有効量の薬学的に許容されるその誘導体を含む式I、Ia若しくはIa’の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び任意選択で薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0082】
「組成物」という用語は、その中で活性成分(他の担体を用いるか用いないで)が担体によって取り囲まれるカプセル剤を提供するための活性成分と担体としてのカプセル化材料の処方物を含むものとする。
【0083】
医薬組成物又は処方物は、経口、経直腸、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、経膣若しくは非経口(筋肉内、皮下及び静脈内を含む)投与に適したもの、又は吸入若しくは吹送による投与に適した形態を含む。
【0084】
本発明の化合物は、慣用的なアジュバント、担体又は賦形剤と一緒に、医薬組成物形態及びその単位剤形にすることができ、そうした形態では、すべて経口使用のための錠剤若しくは充填カプセル剤などの固体、又は、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤若しくはそれを充てんしたカプセル剤などの液体として、経直腸投与のための坐剤の形態或いは非経口(皮下を含む)使用のための滅菌した注入可能な液剤の形態で使用することができる。
【0085】
そうした医薬組成物及びその単位剤形は、他の活性化合物又は原理を用いるか用いないで、慣用的な成分を慣用的な割合で含むことができ、そうした単位剤形は、用いられる所望の1日投与量範囲にみあった任意の適切な有効量の活性成分を含むことができる。したがって、錠剤当たり10mgの活性成分、より広くは0.1〜100mgを含む処方物は、適切な代表的単位剤形である。
【0086】
本発明の化合物は、様々な経口及び非経口剤形で投与することができる。以下の剤形が、活性成分として、本発明の化合物を含むことができ、また本発明の化合物の薬学的に許容される塩も含むことができることは当業者に明らかであろう。
【0087】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は固体であっても液体であってもよい。固体状の製剤には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び分注可能な顆粒剤が含まれる。固体担体は、賦形剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化材料としても作用することができる1つ又は複数の物質であってよい。
【0088】
散剤では、担体は微粉化された固体であり、これは微粉化された活性成分と混合される。
【0089】
錠剤においては、活性成分は、必要な結合能を適切な割合で有する担体と混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。
【0090】
散剤及び錠剤は好ましくは5又は10〜約70%の活性化合物を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどである。「製剤(preparation)」という用語は、活性化合物と担体としてのカプセル化材料の処方物を含み、担体(複数)を用いるか用いないで、その中で、活性成分が次いでそれと一緒になる1つの担体で取り囲まれたカプセル剤が提供される。同様に、カシェ剤及びロゼンジ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びロゼンジ剤は、経口投与に適した固体状物として使用することができる。
【0091】
坐剤を調製するためには、脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックス又はココアバターを最初に溶融し、撹拌しながら活性成分をその中に均一に分散させる。次いで溶融した均一混合物を好都合なサイズの鋳型に注入し、冷却して固化させる。
【0092】
経膣投与に適した処方物は、活性成分に加えて、当業界で適切であることが知られているような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤又はスプレー剤として提供することができる。
【0093】
液状製剤には、液剤、懸濁剤及び乳剤、例えば水溶液又は水−プロピレングリコール溶液が含まれる。例えば、非経口の注入用液状製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中の液剤として処方することができる。
【0094】
滅菌した液状組成物には、滅菌した液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる。活性成分は、滅菌水、滅菌有機溶媒又はその両方の混合液などの薬学的に許容される担体中に溶解するか又は懸濁することができる。
【0095】
したがって、本発明による化合物は、非経口投与用(例えば、注入法、例えばボーラス注入法又は持続注入法によって)に処方することができ、アンプル、薬剤充填済み注射器、少容量輸液又は添加保存剤を含む複数用量容器中の単位用量形態で存在することができる。組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁剤、液剤又は乳剤という形態をとることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散化剤などの処方剤を含むことができる。或いは、活性成分は、使用前に適切な媒体、例えば滅菌したパイロジェン除去水で構成するための滅菌固体の無菌単離法、又は溶液からの凍結乾燥法で得られる粉体形状であってよい。
【0096】
経口使用に適した水性液剤は、活性成分を水に溶解し、要望に応じて、適切な着色剤、香味剤、安定剤及び増粘剤を加えて調製することができる。
【0097】
経口使用に適した水性懸濁剤は、微粉化された活性成分を天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他の周知の薬剤などの粘性物質と一緒に水に分散させることによって作製することができる。
【0098】
経口投与のために、使用する直前に液状製剤に転換させることを目的とした固体状製剤も含むことができる。そうした液状物には、液剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。これらの製剤は、活性成分に加えて、着色剤、香味剤、安定剤、緩衝剤、人工甘味剤及び天然甘味剤、分散化剤、増粘剤、可溶化剤などを含むことができる。
【0099】
表皮への局所投与のためには、本発明による化合物を、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤又は経皮パッチ剤として処方することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加えて、水性又は油性の基剤で処方することができる。ローション剤は、水性又は油性の基剤で処方することができ、一般に1つ又は複数の乳化剤、安定剤、分散化剤、懸濁化剤、増粘剤又は着色剤も含む。
【0100】
口内への局所投与に適した処方物には、香味付けした基剤、通常スクロース及びアラビアゴム又はトラガント中に活性剤を含むロゼンジ剤;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性基剤中に活性成分を含む芳香錠並びに適切な液状担体中に活性成分を含むうがい薬が含まれる。
【0101】
液剤又は懸濁剤は、慣用的な手段、例えばドロッパー、ピペット又はスプレーで鼻腔に直接施される。処方物は単一用量の形態でも複数用量の形態でも提供することができる。ドロッパー又はピペットの後者のケースでは、これは、患者が適切な所定の容量の液剤又は懸濁剤を投与することによって実施することができる。スプレーの場合、これは、例えば計量型スプレーポンプで実施することができる。経鼻での送達及び保持を改善するため、本発明による化合物をシクロデキストリンでカプセル化するか、又は、鼻粘膜中での送達及び保持を向上させることが期待される他の薬剤で処方することができる。
【0102】
気道への投与は、活性成分が、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスなどの適切な噴射剤との加圧パックで提供されるエアゾール処方物によって実施することもできる。エアゾールは、レシチンなどの界面活性剤を好都合に含むこともできる。薬物の用量は、計量弁を設けることによって制御することができる。
【0103】
或いは、活性成分は、乾燥粉末、例えばラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末基剤中の化合物の混合粉体の形態で提供することができる。粉末担体は、鼻腔中でゲル剤を形成させるのが好都合である。粉末組成物は、単位用量形態、例えばカプセル剤若しくは例えばゼラチンのカートリッジ、又は粉末をそこから吸入器を用いて投与できるブリスターパック中に存在することができる。
【0104】
鼻腔内処方物を含む気道への投与を目的とした処方物では、化合物は一般に、例えば5〜10ミクロン又はそれ以下のオーダーの小さい粒径をもつことになる。そうした粒径は、当業界で公知の手段、例えば微粉化法で得ることができる。
【0105】
望むなら、活性成分の持続放出に適合させた処方物を用いることができる。
【0106】
医薬製剤は好ましくは単位剤形である。そうした形態では、製剤は適切な量の活性成分を含む単位用量に分割される。単位剤形は、パッケージ化された製剤であってよく、そのパッケージは、バイアル又はアンプル中にパケット化された錠剤、カプセル剤及び散剤などの離散量の製剤を含む。また、単位剤形はカプセル剤、錠剤、カシェ剤又はロゼンジ剤自体であってよく、或いは、パッケージ化された形態で、これらのいずれかが、適切な数存在するものであってよい。
【0107】
本発明は、化合物が単位剤形で存在する、担体の存在しない形の化合物を含む。
【0108】
投与される式I/Ia/Ia’の化合物の量は、化合物の活性及び治療を受ける疾患に応じて、一日当たり約10mg〜2000mgの範囲であってよい。
【0109】
鼻腔内投与のための液剤又は散剤、経口投与のための錠剤又はカプセル剤、及び静脈内投与のための液剤は好ましい組成物である。
【0110】
その組成物は、1つ若しくは複数の他の免疫抑制剤又は他の多発性硬化症治療薬をさらに含むことができる。例えば、組成物は、第2の免疫抑制剤又は他の多発性硬化症治療薬、例えばアザチオプリン、ブレキナールナトリウム、デオキシスパガリン、ミゾリビン、ミコフェノール酸モルホリノエステル、シクロスポリン、FK−506、ラパマイシン、インターフェロンβ−1b、インターフェロンβ−1a、酢酸グラチラマー、ナタリズマブ又はミトキサントロンを含むことができる。
【0111】
本発明の化合物は、臓器又は組織(心臓、腎臓、肝臓、肺、骨髄(bone marrow)、角膜、膵臓、小腸、四肢、筋肉、神経、骨髄(medulla ossium)、十二指腸、小腸、骨髄、皮膚、膵島細胞等異種移植を含む)の移植の拒絶反応、移植片対宿主疾患;リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、ネフローゼ症候群ループス(nephrotic syndrome lupus)、掌蹠膿疱症、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、ギランバレー症候群、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、若年発症又は発症早期(recent−onset)真性糖尿病、糖尿病性神経障害、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、病原微生物によって引き起こされる感染性疾患、炎症性及び過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管性浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増多症、紅斑性狼瘡、座瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病関連ブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー(dystrophia epithelialis corneae)、角膜白斑、眼類天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス等;花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息及び塵埃喘息、慢性又は難治性喘息、遅発型喘息及び気道過敏性、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患及び血栓症によって引き起こされる血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に伴う腸の病変及びロイコトリエンB媒介疾患、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、片頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性ネフロパシー、多発性筋炎、メニエール病、多発性神経炎、多発性神経炎、単発神経炎、神経根障害、甲状腺機能亢進症、バセドー氏病、赤芽球癆、再生不良性貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、骨粗しょう症、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光アレルギー性過敏症、皮膚T細胞リンパ腫、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎、心筋症、強皮症、ヴェーゲナー肉芽腫、脂肪過多症、好酸球性筋膜炎、歯肉、歯周組織、歯槽骨、歯のセメント質の損傷、糸球体腎炎、脱毛の防止又は毛芽(hair germination)の提供及び/又は発毛(hair generation)及び育毛(hair growth)の促進による男性型脱毛症又は老人性脱毛症;筋ジストロフィー;膿皮症及びセザリー症候群、シェーグレン症候群、アジソン病、保存、移植又は虚血性疾患、例えば血栓症及び心筋梗塞によって起こる器官の虚血再かん流傷害、内毒素性ショック、偽膜性大腸炎、薬物又は放射線によって引き起こされる大腸炎、阻血性急性腎不全、慢性腎不全、肺酸素又は薬物、例えばパラコート(paracort)やブレオマイシンによって引き起こされる中毒症、肺癌、肺気腫、白内障、鉄沈着症、網膜炎、色素変性症、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕、角膜のアルカリによるやけど;多形性紅斑皮膚炎(dermatitis erythema multiforme)、線状IgA水疱症及びセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵臓炎、環境汚染、加齢、発癌物質(carcinogenis)によって引き起こされる疾患、癌腫の転移及び高山病;ヒスタミン又はロイコトリエンC放出によって引き起こされる疾患;ベルジェ病、ベーチェット病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、部分的肝臓切除、急性肝臓壊死、毒素によって引き起こされる壊死、ウイルス性肝炎、ショック状態又は酸素欠乏症、B型ウイルス性肝炎、非A型−非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝硬変、肝不全、劇症肝炎、遅発性肝不全、慢性肝不全の急性増悪(“acute−on−chronic”liver failure)の治療又は予防的治療、化学治療効果の増大、サイトメガロウイルス感染症、HCMV感染症の活性及び抗炎症活性の予防又は治療において有用である。
【0112】
上記状態のいくつかのために、これらの化合物を、予防的に使用することも、また、急性症状の緩和のために使用することもできることは明らかである。
【0113】
本明細における「治療」又は同種のものへの言及は、そうした予防的治療並びに治療的処置を含むことを理解されたい。
【0114】
これらの化合物は多発性硬化症の治療において特に有用であると想定される。この慢性神経障害は中枢神経系の神経に影響を及ぼす。先に論じたように、体内の大部分の神経は通常、ミエリンと呼ばれる脂肪性の物質の保護鞘で絶縁されている。多発性硬化症は脱髄を引き起こし、そこでこの保護鞘は炎症を起こし最終的に破壊される。
【0115】
中枢神経系への攻撃に関与すると考えられる免疫系応答を調節するか又は変えることによって、症状を制御する従来の方法よりも、その疾患自体の原因を攻撃することができるはずである。
【0116】
疾患の性質がそうしたものであれば、患者の免疫系を過度に抑制することなく多発性硬化症を制御することが可能である。先に論じた慢性的に活性化されたヒトTリンパ球の研究にもとづいて、多発性硬化症は、Kv1.3チャンネルの高度の発現とIKCa1チャンネルの低い発現を特徴とするチャンネル表現型を有する慢性的に活性化されたT細胞によって生じると推測される。このチャンネル表現型が、静止し急性的に活性化された細胞に見られるものと異なるので、より特異性の少ない薬物による副作用をそれほど伴うことなく、多発性硬化症を制御するための有用な手段を提供することができる。
【0117】
したがって、本発明の他の態様では、自己免疫性又は慢性の炎症性疾患、他人の臓器の移植の拒絶反応及び/又はそれに関連する苦痛を予防又は治療する方法であって、式I、Ia若しくはIa’の化合物又はその塩或いはその化合物又はその塩を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0118】
したがって、本発明の好ましい形態では、薬学的に許容されるその誘導体を含む式I/Ia/Ia’の化合物若しくはその塩或いは式I、Ia若しくはIa’の化合物又はその塩若しくは薬学的に許容されるその誘導体を含む組成物を施し、Kv1.3チャンネルのブロッカー、好ましくはKv1.3チャンネル選択的チャンネルブロッカーを施すことによって、多発性硬化症を制御する手段を提供する。
【0119】
本発明の他の好ましい形態では、真性糖尿病を予防又は治療する方法であって、式I/Ia/Ia’の化合物又は薬学的に許容されるその誘導体を含む薬学的に許容されるその塩、或いはその化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は薬学的に許容されるその誘導体を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0120】
本発明の他の好ましい形態では、リウマチ性関節炎を予防又は治療する方法であって、式I/Ia/Ia’の化合物若しくは薬学的に許容されるその誘導体を含む薬学的に許容されるその塩或いはその化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は薬学的に許容されるその誘導体を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0121】
本発明の他の好ましい形態では、乾癬を予防又は治療する方法であって、式I/Ia/Ia’の化合物又は薬学的に許容されるその誘導体を含む薬学的に許容されるその塩、或いはその化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は薬学的に許容されるその誘導体を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0122】
本発明の他の好ましい形態では、心不整脈病を予防又は治療する方法であって、式I/Ia/Ia’の化合物又は薬学的に許容されるその誘導体を含む薬学的に許容されるその塩、或いはその化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は薬学的に許容されるその誘導体を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0123】
他の態様では、T細胞に式I、Ia若しくはIa’の化合物又は薬学的に許容されるその誘導体を含む薬学的に許容されるその塩或いはそれを含む組成物を施すことによって、T細胞のカリウムイオンチャンネル活性を調節する方法を提供する。好ましくは、本発明の化合物は、T細胞のカリウムイオンチャンネル活性を阻害する。
【0124】
好ましくは、式I、Ia又はIa’の化合物によって阻害されるカリウムチャンネル活性は、電位依存性カリウムチャンネル、例えば、Kv1.1〜Kv1.7である。より好ましくは、カリウムイオンチャンネル活性はT細胞の電位依存性カリウムチャンネル、Kv1.3である。好ましくは、その化合物はKv1.3チャンネルを選択的に阻害する。
【0125】
本発明の他の態様では、カリウムチャンネルによって、特にKv1.3チャンネルを遮断することによって媒介される病状の治療(治療的又は予防的)のための医薬品の製造における式I、Ia若しくはIa’の化合物又はその塩の使用を提供する。
【0126】
本発明のさらに他の態様では、薬学的に許容されるその誘導体を含む式I、Ia若しくはIa’の化合物又はその塩の製造方法を提供する。
【0127】
本発明の化合物は、標準的な芳香族(求電子的及び求核的)有機合成法を用いて、特異的に置換/官能化されたベンゼン類を構築することにより製造することができる。
【0128】
スキーム1に、発明のベンゾオキサゾールを調製するための基本手順を示す:
【化10】

【0129】
がMe以外である式I/Ia/Ia’の化合物は、C−5アセチル基の転換によって調製することができる。例えば、亜鉛の存在下(即ち、レフォルマトスキー(Reformatsky)条件下)でのこの基のα−ハロエステルとの反応により、β−ヒドロキシエステルを生成させ、次いで、適切に酸化してβ−カルボニルエステル(即ち、−C(O)−Rは−C(O)−CR’R’’−COR(R’及びR’’はH及び低級アルキルから独立に選択され、Rは低級アルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール又は任意選択で置換されたアリールアルキルである)である)を生成させることができる。或いは、フリーデルクラフツ反応において、塩化アセチル(AcCl)の代わりに、他の酸クロリド、例えばプロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、ペンタン酸クロリド等を用いることができる。さらに、本発明の他の化合物を、NaBH又は他の還元剤を用いてケトンを還元してアルコールを得ることによって作製することができる。
【0130】
また、C−5アセチル基を、例えばBrで最初にハロゲン化して−C(O)CHBrを生成させることによってRのための他の置換基を付加することもできる。ハロゲンを適切な求核基で置換して、Rが−CHOR及び−CHSR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)又は−CHNR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)である−C(O)Rを得ることができる。
【0131】
さらに、過剰の塩基及びハロゲンを用いて、アセチルメチル基を、トリハロゲン化し、ハロホルム反応によって切断してカルボン酸(即ち、RはOHである)を生成させることができる。当業界で公知の条件下で、カルボン酸をさらに転換させてエステル(RはORである)及びアミド(Rは−NR’R’’である)を生成させることができる。
【0132】
また、カルボニルに対してα位のメチル又はメチレン基カルボニル(例えば、RはCH又はCHCHである)を二酸化セレンで酸化させてαケトアルデヒド(即ち、Rは−C(O)Hである)及びα−ジケトン(即ち、Rは−C(O)CHである)をそれぞれ得ることができる。C−5アセチルを適切な塩基と反応させるのに加えて、生成したエノラートを適切なアシルハライド又はジアルキルカーボネートと反応させて、Rがそれぞれ−CHC(O)R及び−CHC(O)ORであり、Rが好ましくは低級アルキルである化合物を得ることができる。
【0133】
が−CNである式I/Ia/Ia’の化合物は、化合物1として市販の2,6−ジメトキシ−4−シアノフェノールを用いてスキーム1に示した合成経路で調製することができる。Rがヘテロシクリル/ヘテロアリールである式I/IaIa’の化合物は、スキーム2に示す合成経路で調製することができる。
【化11】

【0134】
上記スキームにおいて、以下の略語を使用した:
TFA トリフルオロ酢酸
TFAA トリフルオロ酢酸無水物
PMBCl パラメトキシベンジルクロリド
DMAP 4−(ジメチルアミノ)ピリジン
Aq 水性
TfO トリフルオロメタンスルホン酸無水物(triflic anhydride)
Hat 任意選択で置換されたヘテロシクリル又は任意選択で置換されたヘテロアリール
【0135】
他の変更は、生成物の置換基を付加するか、除去するか又は改変して新しい誘導体を生成させることである。これは、Larock R CによるComprehensive organic transformations:a guide to functional preparations、New York、VCH Publishers、Inc.1989に記載されているものなどの当業界でよく知られている、官能基相互変換のための標準的な手法を用いることによって実現することができる。
【0136】
可能な官能基相互変換のサンプルは:触媒としての金属シアン化物、例えばNaCNを用いるか用いないで、CHOH中でHNRR’と加熱することによる−COCHからの−C(O)NRR’;ピリジン中、例えばClC(O)R’を用いた−OHからの−OC(O)R;アルキルイソチオシアネート又はチオシアン酸を用いた−NHRからの−NR−C(S)NR’R’’;アルキルクロロホーメートを用いた−NHRからの−NRC(O)OR;イソシアネート、例えばHN=C=O又はRN=C=Oで処理することによる−NHRからの−NRC(O)NR’R’’;ピリジン中、ClC(O)R’で処理することによる−NHRからの−NRC(O)R’;HNROAcを用いてアルコール中で加熱することによる−C(NR’R’’)SR’’’からの−C(=NR)NR’R’’;不活性溶媒、例えばアセトン中でR−Iを用いた−C(S)NR’R’’からの−C(NR’R’’)SR;HNR’R’’を用いた−C(S)NHからの−C(S)NR’R’’(R’又はR’’は水素ではない);−C(=NR’R’’)−SRから、NHCNを用いて無水アルコールで加熱するか、或いはEtOH中、BrCN及びNaOEtで処理することによる−C(=NH)−NR’R’’からの−C(=NCN)−NR’R’’;(RS)C=NCNで処理することによる−NHR’からの−NR−C(=NCN)SR;ピリジン中で加熱してClSORで処理することによる−NHR’からの−NR’’SOR;ラヴェッソン試薬[2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド]で処理することによる−NR’C(O)Rからの−NR’C(S)R;トリフルオロメタンスルホン酸無水物及び塩基を用いた−NHRからの−NRSOCF、Na(Hg)及びHCl/EtOHを用いた−CH(NH)C(O)OR’からの−CH(NH)CHO;SOClで処理し、次いでCHで処理し、次いでHO/AgOで処理することによる−C(O)OHからの−CHC(O)OH;PhMgX/HXで処理し、次いで無水酢酸で処理し、次いでCrOで処理することによる−CHC(O)OCHからの−C(O)OH;R’’COHによるRC(O)R’からのR−OC(O)R’;Na/R’OHを用いた−C(O)OR’からの−CCHOH;チュガエフ反応による−CHCHOHからの−CHCH;クルチウス反応による−C(O)OHからの−NH;TsCl/塩基を用い、次いでHOを用いた−C(O)NHOHからの−NH;デスマーチンペルヨージナン試薬又はCrO/HSO水溶液/アセトンを用いることによる−CHCHOHCHRからの−CHC(O)CHR;CrOClを用いた−CCHからの−CCHO;SnCl/HClを用いた−CNからの−CHO;PClを用いた−C(O)NHRからの−CN;N/KOHを用いた−C(O)Rからの−CHR;mCPBAを用いた−SRからの−S(O)Rである。
【0137】
本発明をよりたやすく理解できるようにするために、以下の非限定的実施例を提供する。
【実施例】
【0138】
基本手順
基本手順A:2,6−ジメトキシフェノールのアルキル化
NaH(オイル中の60%分散液、1.2当量)を、無水DMF(1.0M)中の2,6−ジメトキシフェノール(1.0当量)の室温での撹拌溶液に加えた。反応混合物を0.25時間撹拌した後、無水DMF(5.0M)中のブルモアルカン(1.03当量)の溶液を加え、続いて室温で終夜撹拌した。混合物をNHCl(aq)(飽和)でクエンチし、EtOAcで抽出し、水で洗浄した。有機層を分離し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製した。
【0139】
基本手順B:塩化アセチルを用いたフリーデルクラフツ反応
置換ベンゼン(1.0当量)と塩化アセチル(1.1当量)の混合物を窒素下、室温で0.25時間撹拌し、次いでTiCl(1.10当量)を滴下した。暗褐色混合物を室温で0.5時間撹拌し、次いでNHCl(aq)(飽和)でクエンチし、EtOAcで抽出し、水で洗浄した。有機層を分離し、MgSOで脱水し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc)で精製した。溶液を真空下で濃縮してケトンを得た。
【0140】
基本手順C:メチルエーテル選択的脱メチル化
CHCl(1.0M、1.1当量)中のBClの溶液を、窒素下、0℃で無水CHCl(0.25M)中のメチルエーテル(1.0当量)の撹拌溶液に加えた。混合物を1〜2時間撹拌し、NHCl(aq)(飽和)でクエンチし、EtOAc(30mL)で抽出し、水で洗浄した。有機層を分離し、MgSOで脱水し、シリカゲルに通してフェノールを得た。
【0141】
基本手順D:フェノールのアルキル化
無水DMF中のフェノール(1.0当量、0.2M)、CsCO又はKCO(1.5当量)及びアルキル若しくはベンジルハライド又はメシラート(おおよそ1.2当量)の懸濁液を、TLCで判定して完了するまで(1〜5時間)N下、60℃で撹拌した。次いで反応混合物をEtOAcで希釈し、クエン酸(aq)(10%)か又はHCl(aq)(2M)で2回洗浄し、次いでブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、真空下で濃縮した。粗製残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製した。
【0142】
基本手順E:アミン及びN−複素環のアルキル化
無水ジメチルホルムアミド中のブロミド(0.2〜0.5M)の溶液にアミン又はN−複素環(3〜15当量)を加え、反応物を、TLCで反応が完了するまで(約5時間)N下、80〜90℃で撹拌した。反応物をNHCl(aq)(飽和)でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、次いでブラインで洗浄し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗製残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製した。
【0143】
基本手順F:アルキルクロリドを用いたフェノールのアルキル化
無水DMF又はDMSO(0.1Mのフェノール)中、100℃で5時間予め真空下で無水にした、フェノール(1.0当量)、KCO又はCsCO(2.0当量)及びNaI(0.30当量)の撹拌懸濁液にアルキルクロリド(2.0当量)を加え、反応物を60℃で16時間加熱した。続いて反応物を冷却し、EtOAcで希釈し、水で3回洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、真空下で濃縮し、粗製残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製した。
【0144】
(サンプル1i)
【化12】


1a) 3−アセチル−2,6−ジメトキシ−4−メチルフェニルアセテート:
塩化アセチル(26.6mL、0.373モル)中の3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシトルエン(10.63g、0.063モル)の撹拌溶液を40℃で0.5時間加熱した。LCMSにより、アセテート中間体へ完全に転換していることが示された。反応混合物を0℃に冷却し、DCM(100mL)を加えた。TiCl(7.6mL、0.069モル)を滴下し、反応混合物を室温に加温した。1.5時間後、LCMSにより、ビスアセチル化生成物へ完全に転換していることが示された。反応物を氷/HO(500mL)に注加してクエンチし、生成物をDCM(200mL)で抽出した。有機相をHO(2×100mL)で洗浄し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。生成物を、3:1ヘキサン/EtOAcから再結晶化させて表題化合物(11.1g、69%)を赤色/茶色結晶性固体として得た。
【化13】

【0145】
【化14】


1b) 1−(3−ヒドロキシ−2,4−ジメトキシ−6−メチル−5−ニトロフェニル)エタノン:
CHCl(28mL)とトリフルオロ無水酢酸(27.5mL、197.89ミリモル)の混合液中のサンプル1a)(14.28g、56.54ミリモル)の撹拌溶液に0℃で固体NHNO(5.04g、62.97ミリモル)を加え、反応混合物を2時間撹拌した。NHNOが溶解するにしたがって熱が放出された。LCMSによって2時間で1a)が完全に消費されていることが分かった。反応混合物を0℃に冷却し、NHCl(aq)(飽和、100mL)でクエンチした。有機層を分離し、MgSOで脱水した。溶液を真空下で濃縮して淡い油状物(pale oil)(10.59g)を得た。これを精製することなく次のステップで使用した。メタノール(30mL)中の粗製中間体(10.59g)の撹拌溶液にKCO(12.32g、89.14ミリモル)を加えた。反応物を室温で3時間撹拌した。過剰のKCOをろ過し、溶液を真空下で濃縮した。粗製物質をEtO(200mL)に再溶解し、HCl(2N、pH=2)で酸性化させた。相を分離させ、有機層をHO(2×100mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで脱水した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl)で精製して表題化合物(10.10g、2ステップで70%)を淡い油状物として得た。
【化15】

【0146】
【化16】


1c) 1−(2,4−ジメトキシ−6−メチル−5−ニトロ−3−(3−フェニルプロポキシ)フェニル)エタノン:
サンプル1b)(1.10g、4.3ミリモル)及び3−ブロモ−1−フェニルプロパン(0.73mL、4.7ミリモル)を、基本手順Aで説明したようにして反応させて表題化合物(1.60g、99%)をクリーム状の油状物として得た。
【化17】

【0147】
【化18】


1d) 1−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−6−メチル−5−ニトロ−3−(3−フェニルプロポキシ)フェニル)エタノン:
LiCl(600mg、14.0ミリモル)を無水DMF(6mL)中のサンプル1c)(1.0g、2.68ミリモル)の溶液に加えた。混合物を110℃で3時間(TLC)撹拌した。溶液を真空下で濃縮し、残留物をEtOAc(100mL)に溶解し、この溶液を水で洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、真空下で濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/ジエチルエーテル100:0、70:30)で精製して表題化合物(450mg、47%)を淡い油状物として得た。
【化19】

【0148】
【化20】


1e) 1−(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メトキシ−2−メチル−5−(3−フェニルプロポキシ)フェニル)エタノン:
EtOAc(30mL)中のサンプル1d)(360mg、1.00ミリモル)とPd/C(10%;150mg)の混合物を水素雰囲気下、室温で2時間(TLC)撹拌した。混合物をセライト(Celite)でろ過し、溶液を真空下で濃縮して粗生成物(291mg、88%)を淡緑色油状物として得た。これを精製することなく次のステップで使用した。
【化21】

【0149】
【化22】


1f) 5−アセチル−6−メトキシ−4−メチル−7−(3−フェニルプロポキシ)ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル1e)(258mg、0.78ミリモル)、無水DMF(4mL)及びトリエチルオルトホーメート(2mL、過剰)の溶液を60℃で0.5時間撹拌した。溶液を真空下で濃縮し、残留物をCHCl(15mL)に取り、水で洗浄し、MgSOで脱水して表題化合物(152mg、57%)を淡い油状物として得た。
【化23】

【0150】
【化24】


1g) 5−アセチル−6−ヒドロキシ−4−メチル−7−(3−フェニルプロポキシ)ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル1f)(120mg、0.35ミリモル)を、基本手順Cで説明したようにして反応させた。粗製残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl)で精製して表題化合物(92mg、80%)を淡い油状物として得た。
【化25】

【0151】
【化26】


1h) 5−アセチル−6−(2−ブロモエトキシ)−4−メチル−7−(3−フェニルプロポキシ)ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル1g)(70mg、0.16ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにしてジブロモエタン(200μL、過剰)と反応させて表題化合物(76mg、82%)を淡い油状物として得た。これを精製することなく次のステップで使用した。
【化27】

【0152】
【化28】


1i) 5−アセチル−4−メチル−6−(2−モルホリノエトキシ)−7−(3−フェニルプロポキシ)−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル1h)(70mg、0.16ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてモルホリンと反応させた。粗生成物を分取TLCで精製して表題化合物(11mg、15%)を淡い油状物として得た。
【化29】

【0153】
(サンプル2e)
【化30】


2a) 1−{3−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメトキシ−6−メチル−5−ニトロ−フェニル}−エタノン:
サンプル1b)(3.05g、12.0ミリモル)と1−(3−ブロモ−1−メチル−プロピル)−4−フルオロベンゼン(3.07g、13.3ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/ジエチルエーテル、1:4)で精製して表題化合物(4.05g、84%)を淡い油状物として得た。
【化31】

【0154】
【化32】


2b) 1−{3−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−4−ヒドロキシ−2−メトキシ−6−メチル−5−アミノ−フェニル}−エタノン
サンプル2a)(0.42g、1.03ミリモル)をサンプル1d)で説明したようにしてLiClで処理し、得られたo−ニトロフェノールを、サンプル1e)で説明したようにしてPd/Cの存在下、水素で処理した。粗生成物はさらに精製はしなかった。
【化33】

【0155】
【化34】


2c) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−メトキシ−4−メチルベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル2b)(446mg、1.23ミリモル)をサンプル1f)で説明したようにしてトリメチルオルトホーメートで処理した。得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc、9:1)で精製して表題化合物(269mg、59%)を油状物として得た。
【化35】

【0156】
【化36】


2d) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−ヒドロキシ−4−メチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル2c)(269mg、0.72ミリモル)を、基本手順Cで説明したようにして反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc9:1)で精製して表題化合物(152mg、59%)を得た。
【化37】

【0157】
【化38】


2e) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−4−メチル−6−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)ベンゾオキサゾール:
サンプル2d)(108mg、0.30ミリモル)を、基本手順Fで説明したようにして4−(2−クロロエチル)モルホリンと反応させて表題化合物(91mg、65%)を茶色の油状物として得た。
【化39】

【0158】
(サンプル3)
【化40】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−4−メチル−6−(2−ピリジン−2−イル−エトキシ)ベンゾオキサゾール:
サンプル2d)(111mg、0.31ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして2−(2−メシルエチル)ピリジンと反応させて表題化合物(51mg、36%)をオレンジ色/茶色の油状物として得た。
【化41】

【0159】
(サンプル4b)
【化42】


4a) 5−アセチル−6−(2−ブロモエトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−4−メチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル2d)(140mg、0.39ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにしてジブロモエタン(339μL、過剰)と反応させて表題化合物(173mg、95%)を淡黄色油状物として得た。これを精製することなく次のステップで使用した。
【化43】

【0160】
【化44】


4b) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−4−メチル−6−(2−N,N−ジメチルアミノ−エトキシ)ベンゾオキサゾール:
サンプル4a)(46mg、0.10ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてTHF中で2.0MのN,N−ジメチルアミンと反応させた。粗生成物を分取TLCで精製して表題化合物(16mg、32%)を淡い油状物として得た。
【化45】

【0161】
(サンプル5)
【化46】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−4−メチル−6−(2−N−イミダゾリル−エトキシ)ベンゾオキサゾール:
サンプル4a)(46mg、0.10ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてイミダゾール(68mg、1.0ミリモル)と反応させて表題化合物(40mg、89%)を黄色油状物として得た。
【化47】

【0162】
(サンプル6c)
【化48】


6a 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−メトキシ−2,4−ジメチルベンゾオキサゾール:
サンプル2b)(4.16g、11.5ミリモル)をサンプル1f)で説明したようにして処理した。但し、トリエチルオルトアセテート(22.13g、140ミリモル)を用いて90℃で3時間処理した。粗製残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO/ヘキサン、2:3)で精製して表題化合物(3.71g、83%)を油状物として得た。
【化49】

【0163】
【化50】


6b) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−ヒドロキシ−2,4−ジメチルベンゾオキサゾール:
サンプル6a)(312mg、0.81ミリモル)を、基本手順Cで説明したようにして反応させて表題化合物(300mg、100%)を得た。
【化51】

【0164】
【化52】


6c) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−6−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−ベンゾオキサゾール:
サンプル6b)(77mg、0.21ミリモル)を、基本手順F(室温で2.5日間)で説明したようにして2−(2−クロロエチル)モルホリンと反応させて表題化合物(45mg、47%)を黄色油状物として得た。
【化53】

【0165】
(サンプル7)
【化54】


5−アセチル−6−(2−ジメチルアミノエトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル6b)(65mg、0.18ミリモル)を、基本手順F(室温、1日間)で説明したようにして2−クロロエチルジメチルアミンと反応させて表題化合物(34mg、42%)を茶色の油状物として得た。
【化55】

【0166】
(サンプル8)
【化56】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−6−(2−ピリジン−2−イル−エトキシ)−ベンゾオキサゾール:
サンプル6b)(77mg、0.21ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして2−(2−メシルエチル)ピリジンと反応させて表題化合物(13mg、13%)を黄色油状物として得た。
【化57】

【0167】
(サンプル9)
【化58】


2−(2−(5−アセチル−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−2,4−ジメチルベンゾ[d]オキサゾール−6−イルオキシ)エチル)ピリジン1−オキシド:
酢酸(0.5mL)中のサンプル8)(24mg、0.05ミリモル)の室温での撹拌溶液に、H(30%水溶液)を加え、溶液を100℃で23時間加熱した。酢酸を真空下で除去し、茶色の油状物をNaHCO(20mL)とEtOAc(20mL)に分配させた。水相(pH=10)をEtOAc(2×10mL)で抽出した。一緒にした抽出物を脱水し(MgSO)、真空下で濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/EtO(1:4)→EtO→MeOH/DCM(1:19))で精製した。MeOH/DCM(1:19)を用いてカラムから溶出させて表題化合物(10mg、41%)を淡黄色油状物として得た。
【化59】

【0168】
(サンプル10b)
【化60】


10a) 5−アセチル−6−(2−ブロモエトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチルベンゾオキサゾール:
サンプル6b)(79mg、0.21ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにしてジブロモエタン(350μL、過剰)と反応させて表題化合物(76mg、82%)を淡い油状物として得た。これを精製することなく次のステップで使用した。
【化61】

【0169】
【化62】


10b) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−(2−イミダゾール−1−イル−エトキシ)−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(100mg、0.21ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてイミダゾール(153mg、2.25ミリモル)と反応させて表題化合物(40mg、41%)を黄色油状物として得た。
【化63】

【0170】
(サンプル11a及び11b)
【化64】


11a) 5−アセチル−6−[2−(5−アミノテトラゾール−2−イル)−エトキシ]−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール及び11b)5−アセチル−6−[2−(5−アミノ−テトラゾール−1−イル)−エトキシ]−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(100mg、0.21ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにして5−アミノテトラゾール(36mg、0.42ミリモル)と反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/EtOAc、7:3)で精製してサンプル11a)(26mg、29%)を淡い油状物として得た。さらに溶出させて(シリカゲル、CHCl/EtOAc 4:6)、サンプル11b)(23mg、21%)を淡い油状物として得た。
【化65】

【0171】
(サンプル12)
【化66】


1−(2−{5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール−6−イルオキシ}−エチル)−ピペリジン−4−オン:
サンプル10a)(120mg、0.25ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてピペリドン(15当量)と反応させて表題化合物(80mg、66%)を黄色油状物として得た。
【化67】

【0172】
(サンプル13)
【化68】


4−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−6−(2−チオモルホリン−4−イルエトキシ)−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(110mg、0.23ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてチオモルホリン(15当量)と反応させて表題化合物(82mg、72%)を黄色油状物として得た。
【化69】

【0173】
(サンプル14)
【化70】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−6−[2−(1−オキソ−チオモルホリン−4−イル)−エトキシ]−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(82mg、0.17ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして1−オキソチオモルホリンのトリフルオロ酢酸塩と反応させて表題化合物(16mg、18%)を黄色油状物として得た。
【化71】

【0174】
(サンプル15)
【化72】


5−アセチル−6−[2−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)−エトキシ]−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(142mg、0.30ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして1,1−ジオキソチオモルホリンのトリフルオロ酢酸塩と反応させて表題化合物(37mg、23%)を茶色の油状物として得た。
【化73】

【0175】
(サンプル16)
【化74】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−6−[2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)−エトキシ]−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(112mg、0.23ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにして2−メチルイミダゾール(210mg、2.55ミリモル)と反応させて表題化合物(86mg、78%)を薄茶色の油状物として得た。
【化75】

【0176】
(サンプル17a及び17b)
【化76】


5−アセチル−6−[2−(2,5−ジメチル−イミダゾール−1−イル)−エトキシ]−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール17a及び5−アセチル−6−[2−(2,4−ジメチル−イミダゾール−1−イル)−エトキシ]−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール17b:
サンプル10a)(98mg、0.20ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにして2,4−ジメチルイミダゾール(195mg、2.03ミリモル)と反応させて位置異性体17aと17bの1:4混合物を薄茶色の油状物(69mg、70%)として得た。
【化77】

【0177】
(サンプル18)
【化78】


5−アセチル−6−(2−シクロヘキシルアミノ−エトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(129mg、0.27ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてシクロヘキシルアミン(303mg、3.07ミリモル)と反応させて表題化合物(111mg、83%)を薄黄色油状物として得た。
【化79】

【0178】
(サンプル19)
【化80】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−[2−(4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−イル)−エトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(102mg、0.21ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにして4−メチルピペリジン−4−オル(4当量)のトリフルオロ酢酸塩と反応させて表題化合物(46mg、42%)を薄黄色油状物として得た。
【化81】

【0179】
(サンプル20)
【化82】


5−アセチル−6−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(110mg、0.23ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてジエチルアミン(15当量)と反応させて表題化合物(83mg、83%)を薄黄色油状物として得た。
【化83】

【0180】
(サンプル21)
【化84】


5−アセチル−6−(2−(4−アミノピリジン−1−イウム)エトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾ[d]オキサゾールクロリド:
サンプル10a)(98mg、0.21ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてp−アミノピリジン(5当量)と反応させて表題化合物(16mg、16%)を白色固体として得た。
【化85】

【0181】
(サンプル22b)
【化86】


22a) 5−アセチル−6−(2−(N−Boc−アミノ)エトキシ)−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−2,4−ジメチルベンゾ[d]オキサゾール:
トルエン(2mL)中のサンプル6b)(50mg、0.14ミリモル)、トリフェニルホスフィン(46mg、0.18ミリモル)及びtert−ブチルN−(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(29mg、0.18)の溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(34μL、0.18ミリモル)を加えた。1.5時間後、水(10mL)を加え、混合物をクロロホルム(50mL)で抽出した。有機相を脱水し(NaSO)、ろ過し、溶媒を真空下で除去した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(中性アルミナ、EtOAc/ヘキサン2:8)で精製して表題化合物(52mg、74%)を得た。
【化87】

【0182】
【化88】


22b) 5−アセチル−6−(2−アミニウムエトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾ[d]オキサゾールクロリド:
サンプル22a)(42mg、0.08ミリモル)を、塩化アセチル(4.2mL)をメタノール(15.8ml)に加えて調製した3MのHCl溶液(1mL)で処理した。反応混合物を0.5時間撹拌し、揮発分を除去して表題化合物(36mg、定量的)を得た。
【化89】

【0183】
(サンプル23)
【化90】


5−アセチル−6−(2−(N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウム)エトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾ[d]オキサゾールクロリド:
無水ジメチルホルムアミド(3ml)中のサンプル10a)(170mg、0.36ミリモル)の溶液にアジ化ナトリウムを加え、反応物を、TLC及びLCMSで反応が完了するまで(2時間)N雰囲気下、60℃で撹拌した。反応物をNHCl(aq)(飽和)でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、次いでブラインで洗浄し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗製残留物を酢酸エチル(20ml)に溶解し、続いて活性炭担持の10%Pdを加え、反応混合物を、Hガスのバルーン圧下で、TLC及びLCMSで反応が完了するまで(2時間)撹拌した。反応混合物を小さいセライト充填物を通してろ過して反応容器に入れた。トリエチルアミン(0.3mL)及び2−クロロ−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウム塩酸塩(192mg、1.42ミリモル)をろ液に加え室温で2時間撹拌した。反応物をNHCl(aq)(飽和)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、次いでブラインで洗浄し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗製物を分取TLC(シリカゲル、EtOAc/DCM1:1)で精製して表題化合物(22mg、12%)を薄茶色の油状物として得た。
【化91】

【0184】
(サンプル24b)
【化92】


24a) 5−アセチル−6−(2−(N,N’−ジ−Boc−グアニジノ)エトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾールトリフルオロアセテート:
トルエン(2mL)中のサンプル6b)(51mg、0.14ミリモル)、トリフェニルホスフィン(46mg、0.18ミリモル)及び1,3−ジ−Boc−2−(2−ヒドロキシエチル)グアニジノ(55mg、0.18ミリモル)の溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(34μL、0.18ミリモル)を加えた。24時間後、水(10mL)を加え、混合物をジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機相をNaSOで脱水し、ろ過し、真空下で濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(中性アルミナ、EtOAc/ヘキサン2:8)で精製して表題化合物(44mg、50%)を得た。
【化93】

【0185】
【化94】


24b) 5−アセチル−6−(2−(グアニジニウム)エトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾールトリフルオロアセテート:
サンプル24a)(44mg、0.07ミリモル)をトリフルオロ酢酸(1mL)及びDCM(1mL)で2時間処理した。揮発分を除去して表題化合物(38mg、定量的)を得た。
【化95】

【0186】
(サンプル25)
【化96】


5−アセチル−6−(2−(4−メチルピペリジン−1−イル)エトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル10a)(110mg、0.23ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてN−メチルピペリジン(450mg、4.5ミリモル)と反応させて表題化合物(90mg、76%)を黄色油状物として得た。
【化97】

【0187】
(サンプル26)
【化98】


5−アセチル−6−(2−(N−tertブチルアミノ)エトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル10a)(70mg、0.15ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてt−ブチルアミン(209mg、2.86ミリモル)と反応させて表題化合物(52mg、73%)を薄黄色油状物として得た。
【化99】

【0188】
(サンプル27)
【化100】


4−(1−ヒドロキシエチル)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2,4−ジメチル−6−(2−チオモルホリン−4−イルエトキシ)−ベンゾ[d]オキサゾール:
水素化ホウ素ナトリウム(3mg、0.092ミリモル)をエタノール(2mL)中のサンプル13)(42mg、0.084ミリモル)の溶液に加え、反応混合物を2時間還流加熱した。さらに水素化ホウ素ナトリウム(3mg、0.092ミリモル)を加え、反応混合物を2時間還流加熱した。反応混合物を真空下で濃縮し、得られた残留物を酢酸エチル/水に分配させた。有機分を水(2×10mL)で洗浄し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/CHCl、1:4)で精製して表題化合物(12mg、29%)を得た。
【化101】

【0189】
(サンプル28c)
【化102】


28a) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−メトキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
CHCl(1mL)中の四臭化炭素(2.3g、6.9ミリモル)の溶液を、CHCl(20mL)中のサンプル2b)(1g)、トリフルオロ酢酸(234μL、3.0ミリモル)、トリフェニルホスフィン(2.18g、8.3ミリモル)及びトリエチルアミン(1.92mL、13.9ミリモル)の溶液に加え、反応混合物を室温で6.5時間撹拌した。反応混合物をCHClと水に分配させた。有機分をMgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/CHCl、1:1)で精製して表題化合物(0.67g、55%)を得た。
【化103】

【0190】
【化104】


28b) 5−アセチル−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル28a)(670mg、1.52ミリモル)を、基本手順Cで説明したようにして反応させて表題化合物(659mg、100%)を得た。
【化105】

【0191】
【化106】


28c) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−4−メチル−6−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル28b)(106mg、0.25ミリモル)を、基本手順Fで説明したようにして2−(2−クロロエチル)モルホリンと反応させて表題化合物(19mg、14%)を茶色の油状物として得た。
【化107】

【0192】
(サンプル29)
【化108】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−4−メチル−6−(2−ピリジン−2−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
2−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジン(38mg、0.31ミリモル)、PPh(78mg、0.30ミリモル)及びジイソプロピルアゾジカルボキシレート(61mg、0.30ミリモル)を無水トルエン(3.5mL)中のサンプル28b)(99mg、0.23ミリモル)の溶液に室温で加えた。1時間後(LCMS)、反応混合物をDCMとHOに分配させ、水相をさらにDCMで抽出した。集めた有機分をNaSOで脱水し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/石油スピリット4:6)で精製して表題化合物(103mg、84%)を淡黄色油状物として得た。
【化109】

【0193】
(サンプル30c)
【化110】


30a) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−メトキシ−4−メチル−2−ジフルオロメチル−ベンゾ[d]オキサゾール
トルエン(20mL)中のサンプル2b)(593mg、1.64ミリモル)、ジフルオロ無水酢酸(0.612mL、4.92ミリモル)及びp−TsOH(165mg)の溶液を還流加熱した。2時間後(LCMS)、反応混合物を室温に冷却し、DCMとNaHCOに分配させ、水相をさらにDCMで抽出した。集めた有機分をMgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM)で精製して表題化合物(242mg、35%)を黄色油状物として得た。
【化111】

【0194】
【化112】


30b) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−ジフルオロメチル−ベンゾ[d]オキサゾール
サンプル30a)(267mg、0.634ミリモル)を、基本手順Cで説明したようにして反応させて表題化合物(256mg、99%)を得た(さらに精製することはせず)。
【化113】

【0195】
【化114】


30c) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−(2−モルフィン−4−イル−エトキシ)−4−メチル−2−ジフルオロメチル−ベンゾ[d]オキサゾール
サンプル30b)(50mg、0.122ミリモル)を、基本手順Fで説明したようにして4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(27mg、0.146ミリモル)と反応させて表題化合物(39mg、61%)を黄色油状物として得た。
【化115】

【0196】
(サンプル31b)
【化116】


31a) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−(2−ブロモエトキシ)−4−メチル−2−ジフルオロメチル−ベンゾ[d]オキサゾール
サンプル30b)(192mg、0.473ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにしてジブロモエタン(過剰)と反応させた。粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO/ヘキサン 3:7)で精製して表題化合物(217mg、89%)を淡黄色油状物として得た。
【化117】

【0197】
【化118】


31b) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−(2−(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)−エトキシ)−4−メチル−2−ジフルオロメチル−ベンゾ[d]オキサゾール
DMF中のサンプル31a)(56mg、109ミリモル)、NaH(13mg、0.327ミリモル)、3,3−ジフルオロピペリジン塩酸塩(52mg、0.327ミリモル)及びNaI(触媒)の溶液を65℃で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水とブラインで2回洗浄し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO/ヘキサン、2:3)で精製して表題化合物を透明な無色油状物(36mg、60%)として得た。
【化119】

【0198】
(サンプル32c)
【化120】


32a) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−イソプロピル−6−メトキシ−4−メチルベンゾ[d]オキサゾール:
トルエン(30mL)中のサンプル2b)(525mg、1.45ミリモル)、イソ酪酸無水物(0.654mL、4.35ミリモル)及びp−TsOH(100mg)の撹拌溶液を還流加熱した。48時間後、反応混合物を室温に冷却し、クロロホルムとNaHCOに分配させた。集めた有機分をMgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(中性アルミナ、EtOAc/ヘキサン5:95)で精製して表題化合物(476mg、79%)を油状物として得た。
【化121】

【0199】
【化122】


32b) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−ヒドロキシ−2−イソプロピル−4−メチルベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル32a)(260mg、0.63ミリモル)を、BCl(2.5当量)を用いて基本手順Cで説明したようにして反応させた。粗製残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン1:9)で精製して表題化合物(234mg、93%)を結晶性固体として得た。
【化123】

【0200】
【化124】


32c) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−イソプロピル−4−メチル−6−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル32b)(66mg、0.165ミリモル)を、基本手順Fで説明したようにして4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(41mg、0.223ミリモル)と反応させた。粗製残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン7:3)で精製して表題化合物(72mg、85%)を油状物として得た。
【化125】

【0201】
(サンプル33b)
【化126】


33a) 5−アセチル−6−(2−ブロモエトキシ)−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−イソプロピル−4−メチルベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル32b)(165mg、0.41ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにしてジブロモエタン(過剰)と反応させた。粗製残留物を真空下で濃縮して表題化合物(201mg、96%)を淡黄色油状物として得た。これをさらに精製することなく、続くステップで使用した。
【化127】

【0202】
【化128】


33b) 5−アセチル−6−[2−(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)エトキシ]−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−イソプロピル−4−メチルベンゾ[d]オキサゾール:
DMF中のサンプル33a)(109mg、0.215ミリモル)、炭酸ナトリウム(160mg、1.51ミリモル)、3,3−ジフルオロピペリジン塩酸塩(250mg、1.58ミリモル)及びNaI(触媒)の溶液を65℃で4日間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、エーテルで抽出した。集めた有機分をMgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン、2:8)で精製して表題化合物を透明な無色油状物(87mg、74%)として得た。
【化129】

【0203】
(サンプル34)
【化130】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−イソプロピル−4−メチル−6−[2−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)エトキシ]−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル33a)(94mg、0.186ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにして2−メチルイミダゾール(153mg、1.86ミリモル)と反応させた。粗製物質を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH/CHCl 5:95)で精製して表題化合物(74mg、79%)を油状物として得た。
【化131】

【0204】
(サンプル35d)
【化132】


35a) N−(3−アセチル−5−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−6−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−メチルフェニル)シクロプロパンカルボキサミド
EtOAc(16mL)中のサンプル2b)(739mg、2.04ミリモル)及びピリジン(197μL、2.45ミリモル)の撹拌溶液に室温でシクロプロパンカルボニルクロリド(186μL、2.04ミリモル)を加えた。1時間後(LCMS)、反応物をEtOAcで希釈し、HCl(2M水溶液)で2回洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、真空下で濃縮し、粗製残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO/DCM1:4)で精製して表題化合物(0.83)を得た。これは、対応するo−アシル化位置異性体(0.17):(0.7g、80%収率)で若干汚染されていた。
【化133】

【0205】
【化134】


35b) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−シクロプロピル−6−メトキシ−4−メチルベンゾ[d]オキサゾール:
クロロベンゼン(6mL)中のサンプル35a)(0.665g、1.55ミリモル)の溶液に室温でTFA(3滴)を加えた。混合物を終夜還流加熱した。溶液を室温に冷却し、真空下で濃縮し、残留物をDCMとNaHCOに分配させた。水相をDCMで2回抽出し、MgSOで脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO/ヘキサン1:1)で精製して表題化合物(454mg、71%)を得た。
【化135】

【0206】
【化136】


35c) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−シクロプロピル−6−ヒドロキシ−4−メチルベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル36b)(469mg、1.14ミリモル)を、基本手順Cで説明したようにして反応させて表題化合物(453mg、100%)を得た(さらに精製することはせず)。
【化137】

【0207】
【化138】


35d) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−シクロプロピル−4−メチル−6−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル35c)(54mg、0.135ミリモル)を、基本手順Fで説明したようにして4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(30mg、0.162ミリモル)と反応させて表題化合物(44mg、64%)を黄色油状物として得た。
【化139】

【0208】
(サンプル36b)
【化140】


36a) 5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−シクロプロピル−4−メチル−6−(2−ブロモエトキシ)−ベンゾ[d]オキサゾール:
サンプル35c)(209mg、0.526ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにしてジブロモエタン(過剰)と反応させた。粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO/ヘキサン1:1)で精製して表題化合物(180mg、68%)を淡黄色油状物として得た。
【化141】

【0209】
【化142】


36b) 5−アセチル−6−[2−(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)エトキシ]−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−2−イソプロピル−4−メチルベンゾ[d]オキサゾール:
DMF中のサンプル36a)(54mg、106ミリモル)、NaH(12mg、0.319ミリモル)、3,3−ジフルオロピペリジン塩酸塩(50mg、0.319ミリモル)及びNaI(触媒)の溶液を65℃で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水及びブラインで2回洗浄し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO/ヘキサン、1:1)で精製して表題化合物を透明な無色油状物(39mg、68%)として得た。
【化143】

【0210】
(サンプル37j)
【化144】


37a) 5−クロロ−1,2,3−トリメトキシベンゼン:
37%HCl:HO(75:25)中の3,4,5−トリメトキシアニリン(6.27g、34.2ミリモル)の撹拌懸濁液に0℃でHO中のNaNO(2.51g、36.4ミリモル)の溶液を滴下した。添加している間、温度を5℃以下に保持した。NaNOの添加が完了したら、37%HCl中のCuCl(4.41g、44.6ミリモル)の氷冷溶液を加え、溶液を室温に加温した。Nの発生が止まるまで、撹拌懸濁液を60℃に加温した。生成物をろ過し、冷HOで洗浄した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/石油スピリット3:17)で精製して表題化合物を白色固体(4.68g、67%)として得た。
【化145】

【0211】
【化146】


37b) 4−クロロ−2,6−ジメトキシフェノール:
無水DCM(40mL)中の37a)(4.67g、23.1ミリモル)の窒素下、0℃での撹拌溶液にBCl(DCM中に1M、24mL、24.0ミリモル)を滴下した。溶液を3.5時間かけて室温に加温した。HO(40mL)を加えて反応物をクエンチし、生成物をEtOAc(3×30mL)で抽出した。有機分を集め、NaSOで脱水し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/石油スピリット、2:8)で精製して表題化合物を白色固体(4.29g、98%)として得た。
【化147】

【0212】
【化148】


37c) 5−クロロ−1,3−ジメトキシ−2−(3−フェニルプロポキシ)ベンゼン:
サンプル37b)(4.30g、20.6ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして3−フェニルブロモプロパン(5.12g、25.7ミリモル)と反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット1:9)で精製して表題化合物(6.29g、90%)を無色油状物として得た。
【化149】

【0213】
【化150】


37d) 1−(6−クロロ−2,4−ジメトキシ−3−(3−フェニルプロポキシ)フェニル)エタノン:
サンプル37c)(2.57g、8.39ミリモル)を、TiClの代わりにSnCl(1MDCM)を用いて基本手順Bで説明したようにして反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット1:9)で精製して表題化合物(1.04g、35%)を淡黄色油状物として得た。
【化151】

【0214】
【化152】


37e) 1−(6−クロロ−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−3−(3−フェニルプロポキシ)フェニル)エタノン:
サンプル37d)(162.1mg、0.46ミリモル)を、基本手順Cで説明したようにして反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット3:17)で精製して表題化合物(136mg、88%)を得た。
【化153】

【0215】
【化154】


37f) 1−(2−クロロ−6−ヒドロキシ−4−メトキシ−3−ニトロ−5−(3−フェニルプロポキシ)フェニル)エタノン:
無水DCM(5mL)中のサンプル37e)(130.0mg、0.39ミリモル)及び酸性粘土担持のCu(NO(208mg、0.74ミリモル)の懸濁液を室温で3時間撹拌した。懸濁液をろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油スピリット1:9)で精製して表題化合物を黄色固体(54mg、37%)として得た。
【化155】

【0216】
【化156】


37g) 1−(2−クロロ−6−(2−クロロエトキシ)−4−メトキシ−3−ニトロ−5−(3−フェニルプロポキシ)フェニル)エタノン:
サンプル37f)(95mg、0.25ミリモル)及び1−ブロモ−2−クロロエタン(259mg、1.80ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット3:7)で精製して表題化合物(104mg、94%)を得た。
【化157】

【0217】
【化158】


37h) 1−(2−クロロ−6−(2−クロロエトキシ)−4−ヒドロキシ−3−ニトロ−5−(3−フェニルプロポキシ)フェニル)エタノン:
LiCl(59mg、1.40ミリモル)を、無水DMF(5mL)中のサンプル37g)(101mg、0.23ミリモル)の溶液に加えた。混合物を90℃で16時間(TLC)撹拌した。溶液を真空下で濃縮し、残留物をEtOAc(10mL)に溶解し、この溶液を水で洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、真空下で濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油スピリット3:17)で精製して表題化合物(87mg、87%)を得た。
【化159】

【0218】
【化160】


37i) 5−アセチル−4−クロロ−6−(2−クロロエトキシ)−7−(3−フェニルプロポキシ)−2−メチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
無水EtOH(5mL)中の窒素雰囲気下での37h)(46mg、0.11ミリモル)の撹拌溶液にSnCl.2HO(241mg、1.07ミリモル)を加えた。溶液を4時間還流加熱した。溶液を真空下で濃縮し、残留物をEtOAc(5mL)に溶解し、酒石酸カリウムナトリウム(1M、5mL)で処理した。混合物を、目視で層が分離されるまで50℃で加温した。有機層を分離し、水溶液をさらにEtOAc(2×5mL)で抽出した。有機分を集め、NaSOで脱水し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗製物質を無水DMF(3mL)に取り、この溶液にトリエチルオルトアセテート(3mL、過剰)を加えた。溶液を1時間還流撹拌した。溶液を真空下で濃縮し、残留物をCHCl(5mL)に取り、水で洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油スピリット3:18)で精製して表題化合物(30mg、64%)を得た。
【化161】

【0219】
【化162】


37j) 5−アセチル−4−クロロ−6−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)−2−メチル−7−(3−フェニルプロポキシ)ベンゾ[d]オキサゾール:
無水DMF(1mL)中のサンプル37i)(9.2mg、0.02ミリモル)の撹拌溶液に、N下でモルホリン(20μL、0.23ミリモル)及びNaI(15.1mg、0.10ミリモル)を加えた。溶液を60℃で24時間加熱した。続いて反応物を冷却し、EtOAc(5mL)で希釈し、水(3×2mL)で洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、メタノール/酢酸エチル/石油スピリット2:18:80)で精製して表題化合物(5mg、47%)を得た。
【化163】

【0220】
(サンプル38h)
【化164】


38a) 5−クロロ−2−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−1,3−ジメトキシベンゼン:
サンプル37b)(3.20g、17.0ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして1−(3−ブロモ−1−メチル−プロピル)−4−フルオロベンゼン(4.11g、17.8ミリモル)と反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット1:9)で精製して表題化合物(5.01g、96%)を無色油状物として得た。
【化165】

【0221】
【化166】


38b) 1−(6−クロロ−3−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−2,4−ジメトキシフェニル)エタノン:
TiClの代わりにSnCl(DCM中に1M)を用いて、サンプル38a)(6.98g、20.6ミリモル)を、基本手順Bで説明したようにして反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット1:9)で精製して表題化合物(4.47g、57%)を淡黄色油状物として得た。
【化167】

【0222】
【化168】


38c) 1−(6−クロロ−3−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)エタノン:
サンプル38b)(4.47g、11.7ミリモル)を、基本手順Cで説明したようにして反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット3:17)で精製して表題化合物(3.60g、84%)を得た。
【化169】

【0223】
【化170】


38d) 1−(2−クロロ−5−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−6−ヒドロキシ−4−メトキシ−3−ニトロフェニル)エタノン:
AcO(5mL)中のサンプル38c)(495mg、1.35ミリモル)の窒素下、0℃での撹拌溶液に、NHNO(108mg、1.35ミリモル)を加えた。溶液を24時間かけて室温に加温した。HO(20mL)を加えて反応物をクエンチし、生成物をEtOAc(3×10mL)で抽出した。有機分を集め、NaSOで脱水し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット、3:17)で精製して表題化合物を黄色油状物(132mg、24%)として得た。
【化171】

【0224】
【化172】


38e) 1−(2−クロロ−6−(2−クロロエトキシ)−5−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−4−メトキシ−3−ニトロフェニル)エタノン:
サンプル38d)(267mg、0.65ミリモル)及び1−ブロモ−2−クロロエタン(600μL、7.21ミリモル)を、基本手順Dで説明したようにして反応させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル/石油スピリット3:7)で精製して表題化合物(294mg、95%)を得た。
【化173】

【0225】
【化174】


38f) 1−(2−クロロ−6−(2−クロロエトキシ)−5−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)エタノン:
LiCl(223mg、5.27ミリモル)を、無水DMF(5mL)中のサンプル38e)(293mg、0.62ミリモル)の溶液に加えた。混合物を90℃で16時間(TLC)撹拌した。溶液を真空下で濃縮し、残留物をEtOAc(5mL)に溶解した。有機分を水で洗浄し、MgSOで脱水し、真空下で濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油スピリット2:8)で精製して表題化合物(242mg、85%)を得た。
【化175】

【0226】
【化176】


38g) 5−アセチル−4−クロロ−6−(2−クロロエトキシ)−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−2−メチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
無水EtOH(10mL)中の38f)(242mg、0.52ミリモル)の窒素下での撹拌溶液にSnCl.2HO(1.11g、4.92ミリモル)を加えた。溶液を4時間還流加熱した。溶液を真空下で濃縮し、残留物をEtOAc(10mL)に溶解し、酒石酸カリウムナトリウム(1M、10mL)で処理した。混合物を、目視で層が分離されるまで50℃で加温した。有機層を分離し、水溶液をさらにEtOAc(2×5mL)で抽出した。有機分を集め、NaSOで脱水し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗製物質を無水DMF(5mL)に取り、これにトリエチルオルトアセテート(5mL、過剰)を加えた。溶液を1時間還流撹拌した。溶液を真空下で濃縮し、残留物をCHCl(5mL)に取り、水で洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油スピリット2:8)で精製して表題化合物(151mg、64%)を得た。
【化177】

【0227】
【化178】


38h) 5−アセチル−4−クロロ−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−6−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)−2−メチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
無水DMF(5mL)中のサンプル38g)(60.8mg、0.13ミリモル)のN下での撹拌溶液に、モルホリン(110μL、1.26ミリモル)及びNaI(114mg、0.76ミリモル)を加えた。溶液を60℃で24時間加熱した。続いて反応物を冷却し、EtOAc(10mL)で希釈し、水(3×5mL)で洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、メタノール/酢酸エチル/石油スピリット2:18:80)で精製して表題化合物(33mg、51%)を得た。
【化179】

【0228】
(サンプル39)
【化180】


5−アセチル−4−クロロ−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−6−(2−(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)エトキシ)−2−メチル−ベンゾ[d]オキサゾール:
無水アセトン(3mL)中のサンプル38g)(97mg、0.21ミリモル)のN下での撹拌溶液に、NaI(352mg、2.35ミリモル)を加えた。溶液を3日間還流加熱した。続いて反応物を室温に冷却し、EtO(10mL)で希釈した。エーテル層を水(3×5mL)、ブライン(5mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗製物質を無水DMF(2mL)に溶解し、この溶液を、無水DMF(5mL)中の3,3−ジフルオロピペリジン塩酸塩(155mg、0.98ミリモル)、NaH(オイル中の60%分散液、38mg、0.93ミリモル)及びNaI(33mg、0.22ミリモル)の撹拌懸濁液に加えた。溶液を60℃で24時間加熱した。続いて反応物を冷却し、飽和NHCl(水溶液)で希釈し、生成物をEtO(3×5mL)で抽出した。抽出物を一緒にし、NaSOで脱水し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、メタノール/酢酸エチル/石油スピリット2:18:80)で精製して表題化合物(53mg、47%)を得た。
【化181】

【0229】
(サンプル40c)
【化182】


40a) 5−アセチル−2,4−ジメチル−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−6−[(N−Boc−ピペリジン−4−イル)オキシ]−ベンゾ[d]オキサゾール:
無水トルエン(3mL)中のサンプル6b)(106mg、0.28ミリモル)及びtert−ブチル4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(87mg、0.43ミリモル)の溶液に窒素下で、トリフェニルホスフィン(96mg、0.36ミリモル)及びジイソプロピルアゾジカルボキシレート(82mg、80μL、0.40ミリモル)を加えた。室温で4時間撹拌した後、HO(20mL)を加えて反応物をクエンチし、生成物をDCM(3×20mL)に抽出した。集めた抽出物をNaSOで脱水し、真空下で濃縮した。粗製物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1:1EtOAc/石油スピリット)で精製して出発原料と生成物の混合物を得た。次いで残留物をEtO(25mL)に取り、NaOH(1M、3×25mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、真空下で濃縮して114mg(74%)の表題化合物を得た。
【化183】

【0230】
【化184】


40b) 5−アセチル−2,4−ジメチル−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−6−[ピペリジン−4−イル]−ベンゾ[d]オキサゾール:
DCM(0.5mL)中のサンプル40a)(39mg、0.070ミリモル)の溶液を0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(0.5mL)を滴下した。溶液を0℃で0.08時間撹拌し、次いでEtOAc(20mL)で希釈してNaHCO(2×20mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、真空下で濃縮した。次いで生成物をDCM(20mL)に取り、NaOH(1M、20mL)で洗浄し、MgSOで脱水して真空下で濃縮した。粗製物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH/DCM、1:19〜1:1)で精製して表題化合物(22mg、68%)を透明な黄色油状物として得た。
【化185】

【0231】
【化186】


40c) 5−アセチル−2,4−ジメチル−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−6−[(1−シクロペンチルピペリジン−4−イル)オキシ]−ベンゾ[d]オキサゾール:
無水DMF(100μL)中のサンプル40b)(20mg、0.042ミリモル)の室温での溶液に、炭酸セシウム(21.5mg、0.066ミリモル)を加え、10分間撹拌した。ブロモシクロペンタン(9.4μL、0.083ミリモル)を加え、得られた混合物を室温で5日間撹拌した。完了したら、反応物を酢酸エチルで希釈し、有機層を水で洗浄した。有機層を分離し、脱水し(MgSO)、真空下で濃縮した。粗製残留物を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc)で精製して表題化合物(8.5mg、37%)を無色油状物として得た。
【化187】

【0232】
(サンプル41b)
【化188】


41a) 1−シクロペンチルアゼチジン−3−オル
無水アセトニトリル(10ml)中の1−クロロ−2,3−エポキシプロパン(784μL、10ミリモル)及びアミノシクロペンタン(988μL、10ミリモル)の溶液に、重炭酸ナトリウム(1.68g、20ミリモル)を加え、得られた混合物を反応が完了するまで(TLC、5時間)還流加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトでろ過した。ろ液を真空下で濃縮して油状の残留物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAC/MeOH、9:1)で精製して表題化合物(565mg、40%)を無色油状物として得た。
【化189】

【0233】
【化190】


41b) 5−アセチル−2,4−ジメチル−7−(3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ)−6−[(1−シクロペンチルアゼチジン−3−イル)オキシ]−ベンゾ[d]オキサゾール:
無水トルエン(5mL)中のサンプル6b)(100mg、0.16ミリモル)及びサンプル41a)(57mg、0.24ミリモル)の溶液に、ポリマーに結合させたトリフェニルホスフェン(70mg、0.21ミリモル)及びジイソプロピルアゾジカルボキシレート(45μL、0.23ミリモル)を逐次加え、得られた反応混合物を窒素下、40℃で4日間撹拌した。ポリマー結合トリフェニルホスフェンオキシドをろ過し、ろ液を真空下で濃縮した。粗製残留物を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc)で精製して表題化合物(17mg、22%)を得た。
【化191】

【0234】
(サンプル42)
【化192】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−[2−(ピペリジン−1−イル)−エトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
サンプル10a)(106mg、0.22ミリモル)を、基本手順Eで説明したようにしてピペリジン(189mg、2.22ミリモル)と反応させた。粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO)で精製して表題化合物(62mg、58%)を薄茶色の油状物として得た。
【化193】

【0235】
(サンプル43)
【化194】


5−アセチル−7−[3−(4−フルオロフェニル)ブトキシ]−6−[2−(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)−エトキシ]−2,4−ジメチル−ベンゾオキサゾール:
DMF中のサンプル10a)(102mg、0.21ミリモル)、NaH(26mg、0.64ミリモル)及び3,3−ジフルオロピペリジン塩酸塩(85mg、0.54ミリモル)の溶液を65℃で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水及びブラインで2回洗浄し、MgSOで脱水し、真空下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO/DCM、1:9)で精製して表題化合物を透明な無色油状物(55mg、51%)として得た。
【化195】

【0236】
生物学的活性
Kv1.3電流の遮断における生成化合物の有効性を、hKv1.3を安定して発現するCHO細胞についてアッセイした。細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、1mMピルビン酸Na、100単位/mlペニシリン、100Fg/mlストレプトマイシン及び500μg/ml G418(それらを淘汰圧下で保持するため)を添加したF12Kaighns培地中で増殖させた。Kv1.3電流を、パッチクランプ法のホールセル構造を用いて測定し、500msで誘発させて、電圧パルスを、30秒間隔で−80mVの保持電位から+40mVへ脱分極させた。細胞を、(mM):160NaCl、4.5KCl、2.5CaCl、1MgCl、10HEPES、pH7.4、290〜310mOsmを含むリンガー溶液中に連続的に浸した。内部(ピペット)溶液は(mM):134KF、2MgCl、10HEPES、10EGTA(pH7.2、290〜310mOsm)を含んだ。ピーク電流振幅が2nAを超えた場合、直列抵抗補償(60〜80%)をかけた。DMSOに最初に溶解した化合物を、浴溶液(最終DMSO濃度0.5%)中に希釈し、濃度を増加させて、記録チャンバーに直接かけた。各濃度間で定常状態での遮断がなされるのに十分な時間を与えた。
各化合物を、4つから5つの異なる濃度で3通り試験した。IC50値を、電流積分の平均規格化減少(normalised reduction)をヒルの式に当てはめて決定した。
【0237】
Kv1.3への結合を試験した本発明の化合物の範囲で、Kv1.3電流に対して半数効果を有する用量を以下の表1に示す。
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】


【表1−4】


【表1−5】


【表1−6】


【表1−7】


【表1−8】

【0238】
効力及び選択性のデータ
Kv1.3電流の阻害についてのIC50値を上記したようにして測定した。
Kv1.1及びKv1.5電流の阻害についてのIC50値を、hKv1.1及びhKv1.5で安定に形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いて上記方法で測定した。
(サンプル13)
Kv1.3<50nMでの効力
Kv1.1に対してKv1.3の選択性は:15倍、Kv1.5に対してKv1.3の選択性は:11倍。
(サンプル18)
Kv1.3<50nMでの効力
Kv1.1に対してKv1.3の選択性は:11倍、Kv1.5に対してKv1.3の選択性は:12倍。
(サンプル31b)
Kv1.3<50nMでの効力
Kv1.1に対してKv1.3の選択性は:21倍、Kv1.5に対してKv1.3の選択性は:29倍。
(サンプル42)
Kv1.3<50nMでの効力
Kv1.1に対してKv1.3の選択性は:25倍、Kv1.5に対してKv1.3の選択性は:24倍。
【0239】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈からの別段の要求がない限り、「含む(comprise)」という用語並びに「comprises」及び「comprising」などの変形体は、言及された整数若しくはステップ又は整数若しくはステップのグループを含むことを意味するものであって、他の任意の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップのグループを排除することを意味するものではないことを理解されよう。
【0240】
任意の従来の出版物(又はそれから得られる情報)又は公知である任意の事柄への本明細書における参照は、その従来の出版物(又はそれから得られる情報)又は公知の事柄が、本明細書が関係する活動の分野における共通する一般知識の一部を形成するということを、同意若しくは承認する又は何らかの形で示唆するものでなく、またそう取るべきでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその塩
【化1】


{式中、
は、水素、ハロ、任意選択で置換された低級アルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R(Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’’’R’’’’、−NR’’’C(O)R’’’’及び−NR’’’R’’’’(R’’’及びR’’’’は水素、低級アルキル又はアリールから独立に選択される)から選択され;
は、ハロ、シアノ、任意選択で置換された低級アルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’’’R’’’’、−NR’’’C(O)R’’’’及び−NR’’’R’’’’(R’’’及びR’’’’は水素、低級アルキル又はアリールから独立に選択される)から選択され;
は、−C(O)R[Rは低級ハロアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリール、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、SR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’R’’、−NR’C(O)R’’及び−NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択される];−S(O)R’’’(mは1又は2であり、R’’’はNH、ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから独立に選択される);−SR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される);−C(OH)HR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される);任意選択で置換されたヘテロシクリル;任意選択で置換されたヘテロアリール;NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される);NR’C(O)R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される);及び−C(O)NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択され;
はXRであり、Xは−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−C≡C−又はNR’(R’は水素又は低級アルキルから選択される)であり、Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたC4〜7シクロアルケニル、−C(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及び−C(O)NR’R’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択され;
は、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)NRR’、−NRC(O)R’、−NRR’、SR、SOR、SOR及びSONRR’(Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択され、R’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される}。
【請求項2】
が、水素、低級アルキル、低級ハロアルキル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール及び低級アルコキシから選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
が、任意選択で置換された低級アルキル、ハロ、シアノ、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたヘテロシクリルから選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
が、−C(O)−R[Rは低級ハロアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリール又はNR’R’’(R’及びR’’は水素、低級アルキル又は任意選択で置換されたヘテロアリールから独立に選択される)である];−S(O)R’’’(mは1又は2であり、R’’’はNH、ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから独立に選択される);又は−C(OH)HR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
がORであり、Rは、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたC4〜7シクロアルケニル、−C(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及び−C(O)NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
が、末端で置換されたC1〜10アルコキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ及び任意選択で置換されたシクロアルキルオキシから選択される、請求項5に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
が、基−Y−L−R[式中:
Yは、単結合、−O−、−C(O)−、−S−、−NR’’’−、−C(O)NR’’’−及び−NR’’’C(O)−(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択され;
Lは、任意選択で置換されたC2〜6アルキレン、任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレン、任意選択で置換されたC2〜6アルケニレン及び任意選択で置換されたC2〜6アルキニレンから選択される長さが2〜6個の原子の二価リンカー基から選択され;
は、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、−NHR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及びSR’’’(は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される]
によって定義される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
式(Ia)の化合物又はその塩
【化2】


{式中、
は、水素、ハロ、任意選択で置換された低級アルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’’’R’’’’、−NR’’’C(O)R’’’’及び−NR’’’R’’’’(R’’’及びR’’’’は水素、低級アルキル又はアリールから独立に選択される)から選択され;
は、ハロ、シアノ、任意選択で置換された低級アルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’’’R’’’’、−NR’’’C(O)R’’’’及び−NR’’’R’’’’(R’’’及びR’’’’は水素、低級アルキル又はアリールから独立に選択される)から選択され;
は、−C(O)R[Rは低級ハロアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリール、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、SR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)、−C(O)NR’R’’、−NR’C(O)R’’及び−NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択される];−S(O)R’’’(mは1又は2であり、R’’’はNH、ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから独立に選択される);−SR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される);−C(OH)HR(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される);任意選択で置換されたヘテロシクリル;任意選択で置換されたヘテロアリール;NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される);NR’C(O)R’’(R及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される);及び−C(O)NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択され;
はXRであり、Xは−O−、−S−、−CH−、−CH=CH−、−C≡C−又はNR’(R’は水素又は低級アルキルから選択される)であり、Rは任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたC4〜7シクロアルケニル、−C(O)R(Rは水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及び−C(O)NR’R’’(R’及びR’’は水素又は低級アルキルから独立に選択される)から選択され;
Yは、単結合、−O−、−C(O)−、−S−、−NR’’’−、−C(O)NR’’’−及び−NR’’’C(O)−(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択され;
Lは、任意選択で置換されたC2〜6アルキレン、任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレン、任意選択で置換されたC2〜6アルケニレン及び任意選択で置換されたC2〜6アルキニレンから選択される長さが2〜6個の原子の二価リンカー基から選択され;
は、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、−NHR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)及びSR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される}。
【請求項9】
YがO又は単結合であり;
Lが任意選択で置換されたC2〜6アルキレン又は任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレンであり;
が、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたアリールオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ、−NHR’’’(R’’’は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)又はSR’’’(は水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたC3〜7シクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたアリールから選択される)から選択される、請求項8に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
YがOであり、Lが任意選択で置換されたC2〜6アルキレン又は任意選択で置換されたC3〜6シクロアルキレンであり、Rが、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール又は任意選択で置換されたヘテロシクリルである、請求項9に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
が水素、C1〜4アルキル又はハロC2〜4アルキルである、請求項1から10までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項12】
が、C1〜4アルキル(好ましくはメチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピル)、C3〜6シクロアルキル(好ましくはシクロプロピル)、ハロC1〜3アルキル(好ましくはCHF及びCF)から選択される、請求項11に記載の化合物又はその塩。
【請求項13】
がC1〜4アルキル又はハロ(好ましくはクロロ)である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項14】
が、−C(O)C〜Cアルキル、−C(OH)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−C(O)NH(C〜Cアルキル)、−C(O)N(C〜Cアルキル)及び−C(O)ハロC2〜4アルキルから選択される、請求項1から13までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項15】
が−C(O)C1〜3アルキル又はC(OH)C1〜3アルキルである、請求項14に記載の化合物又はその塩。
【請求項16】
が、末端で置換されたC1〜6アルコキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ、任意選択で置換されたヘテロアリールオキシ及び任意選択で置換されたシクロアルキルオキシから選択される、請求項8から15までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項17】
が、NH、ジアルキルアミノ、モノジアルキルアミノ、グアニジノ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール及び任意選択で置換されたヘテロシクリル基;任意選択で置換されたヘテロシクリルオキシ;並びに任意選択で置換されたヘテロアリールオキシから選択される基で末端で置換されたC1〜4アルコキシから選択される、請求項16に記載の化合物又はその塩。
【請求項18】
が、
【化3−1】


【化3−2】


【化3−3】


から選択される、請求項1から17までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項19】
1〜4アルキレン基がエチレンである、請求項18に記載の化合物又はその塩。
【請求項20】
又は−Y−L−Rが、
【化4】


から選択される、請求項1から19までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項21】
又は−Y−L−Rが、
【化5】


である、請求項20に記載の化合物又はその塩。
【請求項22】
【化6−1】


【化6−2】


【化6−3】


【化6−4】


から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項23】
治療有効量の請求項1から22までのいずれか一項に記載の1つ若しくは複数の化合物又は薬学的に許容されるその塩(薬学的に許容されるその誘導体を含む)及び任意選択で薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
Kv1.3イオンチャンネルブロッカーとして、より具体的には免疫抑制剤として使用するための医薬組成物であって、有効量の請求項1から22までのいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩(薬学的に許容されるその誘導体を含む)及び任意選択で薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む上記医薬組成物。
【請求項25】
請求項1から22までのいずれか一項に記載の化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は式Iの化合物若しくは薬学的に許容されるその塩を含む組成物を投与することによって、自己免疫性若しくは慢性炎症性疾患を治療若しくは予防する、又は他人の臓器の移植の拒絶反応及び/又はそれに関連する苦痛を予防するための方法。
【請求項26】
自己免疫性又は慢性の炎症性疾患を治療若しくは予防する、又は他人の臓器の移植の拒絶反応及び/又はそれに関連する苦痛を予防するための医薬品の製造における、請求項1から22までのいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項27】
請求項1から22までのいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩をT細胞に施すことによって、前記T細胞のカリウムイオンチャンネル活性を意図的に調節する方法。
【請求項28】
有効量の請求項1から22までのいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び任意選択で担体又は賦形剤を含む、免疫抑制剤として使用するための医薬組成物。

【公表番号】特表2011−522843(P2011−522843A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512786(P2011−512786)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000739
【国際公開番号】WO2009/149508
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509106566)バイオノミクス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】