説明

新規な干渉顔料

本発明は、(A)場合によっては、金属からなる層、(B)層(A)が存在する場合、層(A)と層(C)との間に位置する、金属、ケイ素(Si)及び酸素(O)からなる少なくとも一つの層、及び(C)場合によっては、層(B)の上の、SiOz(0.70≦z≦2.0)からなる層を含む顔料、その顔料を製造する方法ならびにインクジェット印刷における、織物を染色するための、コーティング、塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラス用のうわぐすりを着色するためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属及びSiOz(0.70≦z≦2.0、特に1.1≦z≦2.0)の焼成によって得られる少なくとも一つの層を含む(干渉)顔料、その顔料を製造する方法ならびにインクジェット印刷における、織物を染色するための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラス用のうわぐすりを着色するためのその使用に関する。
【0002】
WO93/19131は、二酸化チタン、1種以上のチタン亜酸化物及びチタン以外の1種以上の金属又は非金属の酸化物を含有し、コーティング層中の酸化チタンの濃度が、基材表面近くで最大であり、顔料表面に向けて徐々に低下する小板形の有色顔料を開示している。
【0003】
WO00/34395、WO00/69975及びWO02/31058は、輝きのある金属フレークであるSiOy1/Al/SiOy1(y1は約1〜約2である)を記載している。アルミニウム層の厚さは少なくとも約40nmであり、SiOy1層の厚さは少なくとも10nmである。
【0004】
WO03/68868は、SiOyフレークを製造する方法を記載している。SiOyフレークを、500〜1500℃、好ましくは500〜1000℃の炭素含有ガスにより、好ましくは酸素を排除しながら処理すると、SiOyフレーク上にSiC層を形成することができる。あるいはまた、SiOyフレークは、酸素含有雰囲気中で加熱することにより、SiO2フレークに転換することができる。SiO2フレークは、干渉顔料の基材として使用することができる。
【0005】
PCT/EP03/09296は、TiO2/SiOz(0.03≦z≦2.0)を焼成することによって得られる層を含む小板形の顔料ならびに塗料、織物、インクジェット印刷、化粧品、コーティング、プラスチック材料、印刷インク、セラミックスやガラス用のうわぐすり及びセキュリティ印刷におけるその使用を開示している。
【0006】
EP−A−803549は、(a)本質的に透明な材料又は金属反射材料からなるコア、及び(b)本質的に1種以上の酸化ケイ素(ケイ素に対する酸素のモル比は0.25〜0.95である)からなる少なくとも一つのコーティングを含む有色顔料を開示している。
【0007】
驚くことに、(A)金属からなる少なくとも一つの層及び(C)SiOz(0.70≦z≦2.0、特に1.1≦z≦2.0)からなる少なくとも一つの層を含む面平行な構造(フレーク)を非酸化性雰囲気中で焼成すると、(有色)顔料を得ることができるということがわかった。
【0008】
金属/SiOyを非酸化性雰囲気中で焼成することにより、層、すなわち層(B)又は複合層である層(B)/層(A)/層(B)が得られ、それによって屈折率の変化が生じるものと推測される。屈折率の変化は、SiOyによる金属の酸化に基づくものと推測される。たとえば、SiO及びアルミニウムを650℃で加熱することによってSi及びAl23が形成するということ、また、SiO及びチタンを900℃で加熱することによってケイ化チタンが形成するということが公知である(New J. Chem., 2001, 25, 994-998)。
【0009】
したがって、本発明は、
(A)場合によっては、金属からなる層、
(B)層(A)が存在する場合、層(A)と層(C)との間に位置する、金属、ケイ素(Si)及び酸素(O)からなる少なくとも一つの層、及び
(C)場合によっては、層(B)の上の、SiOz(0.70≦z≦2.0)からなる層
を含む顔料に関する。層(B)は、
(A)金属からなる層、及び
(C)金属層上の、SiOy(0.70≦y≦1.80)からなる層
を含む顔料を、非酸化性雰囲気中、600℃を超える温度で焼成することによって得られる。
【0010】
層(A)を含まない顔料が好ましい。すなわち、好ましくは、非酸化性雰囲気中での焼成の間に層(A)全体が層(B)に転換される。
【0011】
「SiOz(0.70≦z≦2.0)」とは、酸化ケイ素層の平均値でケイ素に対する酸素のモル比が0.70〜2.0であることをいう。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(化学分析用電子分光法)によって決定することができる。
【0012】
「SiOy(0.70≦y≦1.8)」とは、酸化ケイ素層の平均値でケイ素に対する酸素のモル比が0.70〜1.80であることをいう。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(化学分析用電子分光法)によって決定することができる。
【0013】
本発明にしたがって、「アルミニウム」は、アルミニウム及びアルミニウム合金を含む。アルミニウム合金は、たとえば、G. WassermannのUllmanns Enzyklopadie der Industriellen Chemie, 4. Auflage, Verlag Chemie, Weinheim, Band 7, S. 281 to 292に記載されている。特に適当なものは、WO00/12634の10〜12頁に記載されている、アルミニウムの他にケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、スズ、カドミウム、ビスマス、チタン、クロム及び/又は鉄を20重量%未満、好ましくは10重量%未満の量で含む耐食性アルミニウム合金である。
【0014】
耐光、耐候及び耐薬品安定性をさらに高めるため、少なくとも200℃、特に400℃を超える温度の酸素含有ガス、たとえば空気を使用して、SiOy層を、好ましくはばら材料の形態で、流動床中又は酸化性火炎に投入することにより、好ましくは500〜1000℃の範囲の温度で、酸化させてもよい。
【0015】
本発明のさらなる主題は、インクジェット印刷における(EP02405888)、織物を染色するための(EP02405889)、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品(PCT/EP03/09296)、セラミックス及びガラス用のうわぐすりを着色するための、またセキュリティ印刷における顔料の使用である。
【0016】
本発明の顔料は、一般に長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ20nm〜2μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有するコアを含み、それらの面の間の距離がコアの最短軸であり、さらなる層が、平行な面に被着されているがその側面には被着されていない、又は顔料の全面に被着されている粒子である。
【0017】
層(A)の金属は、原則的に、焼成工程でSiOyと反応して層(B)を形成するいかなる金属であってもよい。Ag、Al、Cu、Cr、Mo、Ni、Ti又はそれらの合金が好ましく、Alがもっとも好ましい。
【0018】
好ましくは、層(A)又は、層(A)が存在しないならば層(B)が、顔料のコアを形成する。層(A)がコアを形成するならば、さらなる層(B)及び/又は(C)は、顔料の一方の平行面だけに存在することもできるし、両方の平行面に存在することもできる(A/B/C又はC/B/A/B/C)。層(A)が存在せず、層(B)がコアを形成するならば、層(C)は、顔料の一方の平行面だけに存在することもできるし、両方の平行面に存在することもできる(B/C又はC/B/C)。層(A)が存在するならば、層(B)及び(C)は、好ましくは、コアの周囲に対称的な順序で配設される。コアの周囲に対称的な順序で配設された層(B)及び/又は(C)は、厚さが異なることもできるが、好ましくは厚さが同じである。
【0019】
Al/SiOy/Alフレークが非酸化性雰囲気中で焼成されるならば、(干渉顔料)のための以下の顔料及び/又は基材:
(A1)金属、特にアルミニウムからなる層、
(B)層(A1)と層(A2)との間に配設された、金属、Si及びOからなる層、及び
(A2)金属、特にアルミニウムからなる層、又は
(A1)金属、特にアルミニウムからなる層、
(B1)層(A1)と層(C)との間に配設された、金属、Si及びOからなる層、
(C)SiOyからなる層、
(B2)層(C)と層(A2)との間に配設された、金属、Si及びOからなる層、及び
(A2)金属、特にアルミニウムからなる層
を得ることができる。
【0020】
好ましい実施態様では、顔料は、
(C1)SiOyからなる層、
(B)層(C1)と層(C2)との間に配設された、金属、Si及びOからなる層、及び
(C2)SiOyからなる層
を含む。
【0021】
層(C1)及び(C2)のSiOy層を、少なくとも200℃、特に400℃を超える温度の酸素含有ガス、たとえば空気を使用して、好ましくはばら材料の形態で、流動床中又は酸化性火炎に投入することにより、好ましくは500〜1000℃の範囲の温度で、酸化させて、
(C1)SiOzからなる層、
(B)層(C1)と層(C2)との間に配設された、金属、Si及びOからなる層、及び
(C2)SiOzからなる層
を含む顔料を得ることもできる。
【0022】
この実施態様では、層(B)が好ましくは顔料のコアを形成し、(C1)及び(C2)はコアの平行面だけに存在する。
【0023】
さらなる好ましい実施態様では、顔料は、SiOy/金属/SiOyフレークを非酸化性雰囲気中で焼成することによって得ることができる、
(C1)SiOzからなる層、
(B1)層(C1)と層(A)との間に配設された、金属、Si及びOからなる層、
(A)金属、特にアルミニウムからなる層、
(B2)層(A)と層(C2)との間に配設された、金属、Si及びOからなる層、
及び
(C2)SiOzからなる層
を含む。
【0024】
この実施態様では、層(A)が好ましくは顔料のコアを形成し、(B1)、(B2)、(C1)及び(C2)はコアの平行面だけに存在する。
【0025】
上記顔料を高い屈折率の材料でコーティングすると、高い色の強さ及び色の純度を有する有色(干渉)顔料を得ることができる。
【0026】
したがって、さらなる実施態様で、本発明は、
(D1)高い屈折率の材料、特にTiO2の層、
(C1)SiOzからなる層、
(B)層(C1)と層(C2)との間に配設された、金属、Si及びOからなる層、
(C2)SiOzからなる層、及び
(D2)高い屈折率の材料、特にTiO2の層
(0.70≦z≦2.0、特に1.10≦z≦2.0、とりわけ1.40≦z≦2.0)
を含む有色(干渉)顔料に関する。
【0027】
この実施態様では、層(B)が好ましくは顔料のコアを形成し、(C1)及び(C2)はコアの平行面だけに存在する。高い屈折率の材料、特にTiO2の層(D2)は、層(C1)及び(C2)の上だけに存在することができるが、好ましくは、顔料の全面に存在する。
【0028】
本発明の一つの好ましい実施態様では、干渉顔料は、本明細書では約1.65を超える屈折率と定義される「高い」屈折率を有する材料及び、場合によっては、本明細書では約1.65以下の屈折率と定義される「低い」屈折率を有する材料を含む。使用することができる種々の(絶縁)材料としては、無機材料、たとえば金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属オキシハロゲン化物、金属硫化物、金属カルコゲニド、金属窒化物、金属オキシ窒化物、金属炭化物、それらの組み合わせなど及び有機絶縁材料がある。これらの材料は入手しやすく、物理もしくは化学蒸着法又は湿式ケミカルコーティング法によって容易に適用される。
【0029】
特に好ましい実施態様では、酸化ケイ素/金属基材に基づく干渉顔料は、酸化ケイ素/金属基材の全面に適用される「高い」屈折率、すなわち約1.65を超える、好ましくは約2.0を超える、もっとも好ましくは約2.2を超える屈折率を有する絶縁材料のさらなる層を含む。このような絶縁材料の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)、炭素、酸化インジウム(In23)、酸化インジウムスズ(ITO)、五酸化タンタル(Ta25)、酸化クロム(Cr23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ユーロピウム(Eu23)、酸化鉄、たとえば酸化鉄(II)/(III)(Fe34)及び酸化鉄(III)(Fe23)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd23)、酸化プラセオジム(Pr611)、酸化サマリウム(Sm23)、三酸化アンチモン(Sb23)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se23)、酸化スズ(SnO2)、三酸化タングステン(WO3)又はそれらの組み合わせである。絶縁材料は、好ましくは金属酸化物である。金属酸化物は、吸収性を有してもよいし有しなくてもよい、単独の酸化物又は酸化物の混合物、たとえばTiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン又はZnOであることが可能であり、TiO2が特に好ましい。
【0030】
TiO2層の上に低い屈折率の金属酸化物を適用することにより、より色が濃く、より透明である顔料を得ることが可能である。使用することができる適当な低屈折率絶縁材料の非限定的な例としては、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)及び金属フッ化物、たとえばフッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化ナトリウムアルミニウム(たとえばNa3AlF6又はNa5Al314)、フッ化ネオジム(NdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)、それらの組み合わせ又は約1.65以下の屈折率を有する他の低屈折率材料がある。たとえば、ジエン又はアルケン、たとえばアクリレート(たとえばメタクリレート)、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、それらの組み合わせなどをはじめとする有機モノマー及びポリマーを低屈折率材料として使用することができる。さらには、前記材料は、開示内容を引用例として本明細書に取り込む米国特許第5,877,895号に記載されている方法によって付着させることができる、蒸発させ、凝縮させ、架橋させた透明なアクリレート層を含む。SiO2、Al23、AlOOH、B23又はそれらの混合物が好ましい。SiO2がもっとも好ましい。
【0031】
金属酸化物層は、CVD(化学蒸着)によって適用することもできるし、湿式ケミカルコーティングによって適用することもできる。金属酸化物層は、水蒸気の存在(比較的低分子量の金属酸化物、たとえば磁鉄鉱)又は酸素及び場合によっては水蒸気の存在(たとえば酸化ニッケル及び酸化コバルト)における金属カルボニルの分解によって得ることができる。金属酸化物層は、特に、金属カルボニル(たとえば鉄ペンタカルボニル、クロムヘキサカルボニル、EP−A−45851)の酸化気相分解によって、金属アルコラート(たとえばチタン及びジルコニウムテトラ−n−及び−イソ−プロパノラート、DE−A−4140900)もしくは金属ハロゲン化物(たとえば四塩化チタン、EP−A−338428)の加水分解気相分解によって、オルガニルスズ化合物(特にアルキルスズ化合物、たとえばテトラブチルスズ及びテトラメチルスズ、DE−A−4403678)の酸化分解によって、又はEP−A−668329に記載されているオルガニルケイ素化合物(特にジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって適用され、コーティング作業は、流動床反応器で実施することが可能である(EP−A−045851及びEP−A−106235)。Al23層(B)は、好都合にも、他の方法では不活性ガス下で実施される(DE−A−19516181)、アルミニウムコーティングされた顔料の冷却の間の制御された酸化によって得ることができる。
【0032】
ホスフェート、クロメート及び/又はバナデート含有ならびにホスフェート及びSiO2含有金属酸化物層は、DE−A−4236332及びEP−A−678561に記載されている不動態化法にしたがって、金属の酸化ハロゲン化物(たとえばCrO2Cl2、VOCl3)、特にリンオキシハロゲン化物(たとえばPOCl3)、リン酸及び亜リン酸エステル(たとえば亜リン酸ジ−及びトリ−メチルならびにジ−及びトリ−エチル)ならびにアミノ基含有オルガニルケイ素化合物(たとえば3−アミノプロピル−トリエトキシ−及び−トリメトキシ−シラン)の加水分解又は酸化気相分解によって適用することができる。
【0033】
金属ジルコニウム、チタン、鉄及び亜鉛の酸化物、これらの金属の酸化水和物、チタン酸鉄、亜酸化チタン又はこれらの混合物の層が、好ましくは、湿式ケミカル法による沈殿によって適用され、場合によっては、金属酸化物を還元することが可能である。湿式ケミカルコーティングの場合、真珠光沢顔料の製造のために開発された湿式ケミカルコーティング法を使用することができる。これらは、たとえば、DE−A−1467468、DE−A−1959988、DE−A−2009566、DE−A−2214545、DE−A−2215191、DE−A−2244298、DE−A−2313331、DE−A−2522572、DE−A−3137808、DE−A−3137809、DE−A−3151343、DE−A−3151354、DE−A−3151355、DE−A−3211602及びDE−A−3235017、DE1959988、WO93/08237、WO98/53001及びWO03/6558に記載されている。
【0034】
高い屈折率の金属酸化物は、好ましくはTiO2及び/又は酸化鉄であり、低い屈折率の金属酸化物は、好ましくはSiO2である。TiO2の層はルチル又はアナタース型にあることができ、ルチル型が好ましい。TiO2層はまた、EP−A−735,114、DE−A−3433657、DE−A−4125134、EP−A−332071、EP−A−707,050又はWO93/19131に記載のようにして、公知の手段、たとえばアンモニア、水素、炭化水素蒸気もしくはそれらの混合物又は金属粉末によって還元することができる。
【0035】
コーティングのためには、基材粒子を水に懸濁させ、1種以上の加水分解性金属塩を、金属酸化物又は金属酸化水和物が副次的な沈殿を発生させることなく粒子上に直接沈殿するように選択される、加水分解に適したpHで加える。pHは通常、同時に塩基を計量供給することによって一定に維持される。そして、顔料を分別し、洗浄し、乾燥させ、場合によっては焼成するが、当該コーティングに対して焼成温度を最適化することが可能である。望むならば、個々のコーティングを適用したのち、顔料を分別し、乾燥させ、場合によっては焼成し、その後、さらなる層を沈殿させるために再懸濁させることもできる。
【0036】
金属酸化物層は、たとえば、DE−A−19501307に記載されている方法と同様にして、場合によっては有機溶媒及び塩基性触媒の存在で、ゾル−ゲル法による1種以上の金属酸エステルの制御された加水分解によって金属酸化物層を製造することによって得ることができる。適当な塩基性触媒は、たとえば、アミン、たとえばトリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン及びメトキシプロピルアミンである。有機溶媒は、水混和性有機溶媒、たとえばC1-4アルコール、特にイソプロパノールである。
【0037】
適当な金属酸エステルは、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム及びホウ素のアルキル及びアリールアルコラート、カルボキシレートならびにカルボキシル基又はアルキル基又はアリール基で置換されたアルキルアルコラート又はカルボキシレートから選択される。アルミン酸トリイソプロピル、チタン酸テトライソプロピル、ジルコン酸テトライソプロピル、オルトケイ酸テトラエチル及びホウ酸トリエチルの使用が好ましい。加えて、前述の金属のアセチルアセトネート及びアセトアセチルアセトネートを使用してもよい。このタイプの金属酸エステルの好ましい例は、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート及びアセトアセチルアルミン酸ジイソブチルオレイル又はジイソプロピルオレイルアセトアセチルアセトネートならびに金属酸エステルの混合物、たとえば混合アルミニウム/ケイ素金属酸エステルであるDynasil(登録商標)(Huls)である。
【0038】
高い屈折率を有する金属酸化物としては、二酸化チタンを使用することが好ましい。二酸化チタン層の適用には、US−B−3553001に記載されている方法が本発明の実施態様にしたがって使用される。
【0039】
約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にチタン塩水溶液をゆっくりと加え、同時に塩基、たとえばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することにより、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5の実質的に一定のpH値を維持する。沈殿したTiO2の所望の層厚さが達成されるとただちに、チタン塩溶液及び塩基の添加を止める。
【0040】
「滴定法」とも呼ばれるこの方法は、過剰なチタン塩を避けられるという事実によって際立つ。これは、水和TiO2による均一なコーティングに必要であり、コーティングされる粒子の利用可能な表面によって単位時間あたり吸収されることができる量だけを単位時間あたり加水分解のために供給することによって達成される。原則的に、アナタース型TiO2が出発顔料の表面に形成する。しかし、少量のSnO2を加えることにより、ルチル構造を形成させることも可能である。たとえば、WO93/08237に記載されているように、二酸化スズを付着させたのち二酸化チタンを沈殿させ、二酸化チタンでコーティングされた生成物を800〜900℃で焼成することができる。
【0041】
TiO2は、場合によっては、通常の手法:US−B−4,948,631(NH3、750〜850℃)、WO93/19131(H2、>900℃)又はDE−A−19843014(固形還元剤、たとえばケイ素、>600℃)によって還元することができる。
【0042】
場合によっては、二酸化チタン層の上にSiO2(保護)層を適用することができ、そのためには以下の方法を使用することができる。約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にソーダ水ガラス溶液を計量供給する。同時に10%塩酸を加えることによってpHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液を加えたのち、攪拌を30分間実施する。
【0043】
TiO2層の上に「低い」屈折率、すなわち約1.65未満の屈折率の金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23又はそれらの混合物、好ましくはSiO2を適用し、その層の上にさらなるFe23及び/又はTiO2層を適用することにより、より色が濃く、より透明である顔料を得ることが可能である。酸化ケイ素/金属基材及び高い屈折率の金属酸化物と低い屈折率の金属酸化物との交互の層を含むこのようなマルチコート干渉顔料は、WO98/53011及びWO99/20695に記載されている方法と同様にして調製することができる。
【0044】
加えて、さらなる層、たとえば色付きの金属酸化物もしくはベルリンブルー、遷移金属、たとえばFe、Cu、Ni、Co、Crの化合物又は有機化合物、たとえば染料もしくは染色レーキを適用することにより、顔料の粉末色を変えることが可能である。
【0045】
加えて、本発明の顔料はまた、難溶性で固着性の無機又は有機着色剤でコーティングすることができる。好ましいものは、染色レーキ、特にアルミニウム染色レーキの使用である。そのためには、水酸化アルミニウム層を沈殿させ、それを、第二の工程で、染色レーキを使用することによって染色する(DE−A−2429762及びDE2928287)。
【0046】
さらには、本発明の顔料はまた、錯塩顔料、特にシアノ鉄酸錯体のさらなるコーティングを有することができる(EP−A−141173及びDE−A−2313332)。
【0047】
耐候及び耐光安定性を高めるため、多層酸化ケイ素フレークを、応用分野に依存して、表面処理に付すことができる。有用な表面処理は、たとえば、DE−C−2215191、DE−A−3151354、DE−A−3235017、DE−A−3334598、DE−A−4030727、EP−A−649886、WO97/29059、WO99/57204及びUS−A−5,759,255に記載されている。前記表面処理はまた、顔料の取扱い、特に種々の適用媒体へのその練込みを容易にするかもしれない。
【0048】
高い屈折率を有する材料の層の代りに、半透明な金属層を適用することもできる。半透明な金属層に適当な金属は、たとえば、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au又はNiである。半透明な金属層は、通常5〜25nm、特に5〜15nmの厚さを有する。半透明な金属層は、PVDによって適用することができる。
【0049】
あるいはまた、金属層は、湿式ケミカルコーティング又は化学蒸着、たとえば金属カルボニルの気相蒸着によって得ることができる。基材を、金属化合物の存在で水性及び/又は有機溶媒含有媒体中に懸濁させ、還元剤の添加によって基材に付着させる。金属化合物は、たとえば硝酸銀又はニッケルアセチルアセトネートである(WO03/37993)。
【0050】
US−B−3,536,520によると、塩化ニッケルを金属化合物として使用し、次亜リン酸塩を還元剤として使用することができる。EP−A−353544によると、湿式ケミカルコーティングのための還元剤として以下の化合物を使用することができる。アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド)、ケトン(アセトン)、カルボン酸及びその塩(酒石酸、アスコルビン酸)、レダクトン(イソアスコルビン酸、トリオースレダクトン、レダクチン酸)及び還元糖(グルコース)。
【0051】
本発明のもう一つの好ましい実施態様では、上記好ましい実施態様の層(B)を層(B)/層(A)/層(B)の構造に換えることができ、その場合、層(B)ではなく層(B)/層(A)/層(B)が顔料のコアを形成する。
【0052】
上記実施態様でアルミニウムが金属として使用される場合、層(B)及び/又は、層(A)が存在する場合の層(A)及び(B)の厚さは、一般に5〜100nm、特に30〜60nmの範囲である。
【0053】
SiOz層(0.70≦z≦2.0)の厚さは一般に10〜1000nmである。SiOz層の好ましい厚さは所望の色に依存する。500nmを超えるSiOz層の厚さは艶消し色を生じさせる。
【0054】
TiO2層は、好ましくは、湿式ケミカル法によって付着させる。TiO2層の厚さは、一般に5〜200nm、特に10〜100nm、とりわけ20〜50nmである。本発明を、金属としてのアルミニウム及び高屈折率の材料としてのTiO2に基づき、さらに詳細に説明する。
【0055】
SiOyでコーティングされたAlフレークは、以下の工程:
a)(可動)支持体に分離剤を蒸着させて分離剤層を製造する工程、
b)分離剤層にSiOy(0.70≦y≦1.80)層を蒸着させる工程、
c)SiOy層にAl層を蒸着させる工程、
d)Al層にSiOy層を蒸着させる工程、
e)分離剤層を溶媒に溶解させる工程、及び
f)溶媒からSiOyを分離する工程
を含む方法(EP−B−990715)によって調製される。
【0056】
SiOy層は、SiとSiO2との混合物、SiOy又はそれらの混合物(SiとSiO2との重量比は、好ましくは0.15:1〜0.75:1の範囲である)を含む、特にSiとSiO2との化学量論的混合物を含む仕込み原料を入れた蒸発器から蒸着させる。SiO1.00-1.8層は、好ましくは、蒸発器中1300℃を超える温度でのSiとSiO2との混合物の反応によって発生した一酸化ケイ素蒸気から形成される。SiO0.70-0.99層は、好ましくは、ケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素を1300℃を超える温度で蒸発させることによって形成される。
【0057】
上記方法にしたがってSiOyでコーティングされたAlフレークは、高い面平行性及び平均厚さの±10%、特に±5%の範囲の既定厚さならびに低い反射性を有する。
【0058】
工程b)及びd)で、SiOy層は、SiとSiO2との混合物、SiOy又はそれらの混合物(SiとSiO2との重量比は、好ましくは0.15:1〜0.75:1の範囲である)を含む、特にSiとSiO2との化学量論的混合物を含む仕込み原料を入れた蒸発器から蒸着させる。工程e)は、有利には、工程a)及びb)での圧力よりも高く、かつ大気圧よりも低い圧力で実施される。この方法によって得られるSiOyでコーティングされたAlフレークは、好ましくは20〜2000nm、特に20〜500nm、もっとも好ましくは20〜200nmの範囲の厚さを有し、面平行な構造の表面積に対する厚さの比は好ましくは0.01μm-1未満であり、アスペクト比は少なくとも2:1である。酸化ケイ素/アルミニウムフレークは均一な形状ではない。それでも、簡潔に説明するため、フレークは「直径」を有するものとして参照する。酸化ケイ素/アルミニウムフレークは、高い面平行性及び平均厚さの±10%、特に±5%の範囲の既定厚さを有する。酸化ケイ素/アルミニウムフレークは、厚さが20〜2000nm、特に100〜350nmである。ここでは、フレークの直径が約1〜60μmの好ましい範囲、約5〜40μmのより好ましい範囲にあることが好ましい。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、約14〜400の好ましい範囲にある。
【0059】
工程b)及びd)の酸化ケイ素(SiOy)層は、好ましくは、蒸発器中1300℃を超える温度でのSiとSiO2との混合物の反応によって発生する一酸化ケイ素蒸気から形成される。SiO0.70-0.99層は、好ましくは、ケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素を1300℃を超える温度で蒸発させることによって形成される。
【0060】
工程a)及びb)の蒸着は、好ましくは<0.5Paの真空下で実施される。工程e)の分離剤層の溶解は、好ましくは1〜5×104Pa、特に600〜104Pa、とりわけ103〜5×103Paの範囲の圧力で実施される。
【0061】
工程a)で支持体に付着される分離剤は、ラッカー、ポリマー、たとえばUS−B−6,398,999に記載されているような(熱可塑性)ポリマー、特にアクリルもしくはスチレンポリマー又はそれらの混合物、有機溶媒又は水に可溶性であり、真空中で蒸発させることができる有機物質、たとえばアントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニル−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミド及びそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリン及びその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール又はこれらの物質の少なくとも2種の混合物であることができる。分離剤は、好ましくは、水溶性であり、真空中で蒸発可能である無機塩(たとえばDE−A−19844357を参照)、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウムアルミニウム及び四ホウ酸二ナトリウムである。
【0062】
可動支持体は、軸を中心に回転する1個以上の円板、円柱又は他の回転対称体からなることもできるし(WO01/25500を参照)、好ましくは、ポリマーコーティングを有しても有しなくてもよい1個以上の連続した金属ベルト又は1個以上のポリイミドもしくはポリエチレンテレフタレートベルトからなる(US−B−6,270,840)。
【0063】
工程f)は、洗い流しならびにその後のろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション及び/又は蒸発を含むことができる。しかし、SiOyの面平行な構造はまた、工程d)で溶媒とともに凍結させ、続いて凍結乾燥の処理に付してもよく、すると、三重点未満での昇華の結果として溶媒が分別され、乾燥したSiOyが個々の面平行な構造の形態で後に残る。
【0064】
超高真空下を除き、数10-2Paの工業的真空では、蒸発したSiOは常にSiOy(1≦y≦1.8、特に1.1≦y≦1.8)として凝縮する。理由は、高真空装置は、表面からのガス放出の結果として、蒸発温度で反応しやすいSiOと反応する痕跡量の水蒸気を常に含むからである。
【0065】
閉鎖されてループを形成するベルト形の支持体は、そのさらなる行程で、公知の構造形態の動的真空ロックチャンバ(US−B−6,270,840を参照)を通過して、1〜5×104Paの圧力、好ましくは600〜104Paの圧力、特に103〜5×103Paの圧力の領域に入り、そこで溶解浴に浸漬される。溶媒の温度は、その蒸気圧が指示された圧力範囲に入るように選択されるべきである。機械的支援により、分離剤層が急速に溶解し、生成物層がフレークに砕散し、その後、そのフレークが懸濁液の形態で溶媒中に存在する。ベルトは、そのさらなる行程で、乾燥させられ、なおもそれに付着する汚染物質が除去される。ベルトは、第二の群の動的真空ロックチャンバを通過して蒸発チャンバに戻り、そこで、分離剤及びSiOy/Al/SiOyの生成物層をコーティングする工程が繰り返される。
【0066】
そして、生成物構造ならびに溶媒及びその中に溶解した分離剤を含む、両方の場合に存在する懸濁液を、さらなる処理で、公知の技術にしたがって分離する。そのためには、まず、生成物構造を液中で濃縮し、新鮮な溶媒で数回すすいで、溶解した分離剤を洗い流す。そして、まだ湿潤している固体の形態の生成物を、ろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション又は蒸発によって分別する。
【0067】
そして、生成物を、液状媒体中で超音波処理によって又は高速攪拌器を使用する機械的手段によって、又は回転分級器を有するエアジェットミル中で破片を乾燥させたのち、又は粉砕もしく風ひによって所望の粒径にし、さらなる使用のために送り出すことができる。
【0068】
詳細には、塩、たとえばNaCl、続いて亜酸化ケイ素(SiOy)、アルミニウム及びSiOyの層を、蒸発器を経由して<0.5Paの真空下を通過させながら、連続金属ベルトであってもよい支持体に順次に付着させる。付着される塩の厚さはおよそ20〜100nm、好ましくは30〜60nmであり、SiOの厚さは、生成物の使用目的に依存して、10〜1000nmであり、アルミニウムの厚さは10〜100nmである。
【0069】
閉鎖されてループを形成するベルト形の支持体は、そのさらなる行程で、公知の構造形態の動的真空ロックチャンバ(US−B−6,270,840を参照)を通過して、1〜5×104Paの圧力、好ましくは600〜104Paの圧力、特に103〜5×103Paの圧力の領域に入り、そこで溶解浴に浸漬される。溶媒の温度は、その蒸気圧が指示された圧力範囲に入るように選択されるべきである。機械的支援により、分離剤層は急速に溶解し、生成物層はフレークに砕散し、その後、そのフレークが溶媒中で懸濁液の形態で存在する。ベルトは、そのさらなる行程で、乾燥させられ、なおもそれに付着する汚染物質を除かれる。ベルトは、第二の群の動的真空ロックチャンバを通過して蒸発チャンバに戻り、そこで、分離剤及びSiOの生成物層をコーティングする工程が繰り返される。
【0070】
そして、生成物構造ならびに溶媒及びその中に溶解した分離剤を含む、両方の場合に存在する懸濁液を、さらなる処理で、公知の技術にしたがって分離する。そのためには、まず、生成物構造を液中で濃縮し、新鮮な溶媒で数回すすいで、溶解した分離剤を洗い流す。そして、まだ湿潤している固体の形態の生成物を、ろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション又は蒸発によって分別する。
【0071】
そして、生成物を、超音波処理によって、又は液状媒体中で高速攪拌器を使用する機械的手段によって、又は回転分級器を有するエアジェットミル中で破片を乾燥させたのち、又は粉砕もしく風ひによって所望の粒径にし、さらなる使用のために送り出すことができる。
【0072】
大気圧で洗い流ししたのちの面平行な構造の分別は、固形分約50%まで濃縮しておいた懸濁液を凍結させ、それを公知の方法で約−10℃及び50Pa圧で凍結乾燥に付すことにより、穏やかな条件下で実施することができる。乾燥質が生成物として後に残り、それを、コーティング又は化学転換によってさらに処理する工程に付すことができる。
【0073】
したがって、本発明のさらなる態様は、(A)金属、特にアルミニウムからなる層、及び(C)SiOz(0.70≦z≦2.0、特に1.10≦z≦2.0、とりわけ1.40≦z≦2.0)からなる少なくとも一つの層を含む面平行な構造によって形成される。
【0074】
SiOyでコーティングされたAlフレークをさらに処理する場合、種々の変形が可能である。
変形(1):非酸化性雰囲気中で焼成し(→層(B))、酸素の存在で焼成し(SiOz→SiO2)、場合によっては、得られた顔料をTiO2でコーティングする(TiO2/SiOz/コア/SiOz/TiO2)。この場合、コアは、層(B)又は層(B)/層(A)/層(B)である。
【0075】
変形(2):非酸化性雰囲気中で焼成し(→層(B))、得られた顔料をTiO2でコーティングし(TiO2/SiOy/コア/SiOy/TiO2)、場合によっては、酸素の存在で焼成する(SiOy→SiO2)(TiO2/SiOz/コア/SiOz/TiO2)。
【0076】
変形(3):非酸化性雰囲気中で焼成し(→層(B))、得られた顔料をTiO2でコーティングし、非酸化性雰囲気中で焼成し(→層(E))(TiO2/層(E)/SiOy/コア/SiOy/層(E)/TiO2)、場合によっては、酸素の存在で焼成する(SiOy→SiOz)(TiO2/層(E)/SiOz/コア/SiOz/層(E)/TiO2)。
【0077】
変形(4):得られた顔料をTiO2でコーティングし、非酸化性雰囲気中で焼成し(→層(B)及び層(E))(TiO2/層(E)/SiOy/コア/SiOy/層(E)/TiO2)、場合によっては、酸素の存在で焼成する(SiOy→SiOz)(TiO2/層(E)/SiOz/コア/SiOz/層(E)/TiO2)。
【0078】
種々の変形を変形(1)及び(4)に基づいてさらに詳細に説明する。
【0079】
変形(1)(TiO2/SiOz/コア/SiOz/TiO2
TiO2コーティングされた金属小板を、非酸化性ガス雰囲気中600℃を超える、好ましくは700〜1100℃の範囲の温度で10分を超える時間、好ましくは数時間焼成する。焼成は、非酸化性ガス雰囲気、たとえばAr及び/又はHe、好ましくはAr中、場合によっては減圧、好ましくは700Torr(0.9333 105N/m2)未満の圧で実施する。
【0080】
そして、SiOyコーティングされた金属小板を酸化加熱処理に付すことができる。たとえば、空気又は他の酸素含有ガスを、200℃を超える、好ましくは400℃を超える、特に500〜1000℃の温度で、ばら材料の形態又は流動床中にある小板に通すと、SiOyがSiOzに酸化される。
【0081】
TiO2コーティングは、物理もしくは化学蒸着法又は湿式ケミカルコーティング法により、SiOyコーティングされた金属小板に容易に適用することができる。
【0082】
コーティングのためには、基材粒子を水に懸濁させ、1種以上の加水分解性チタン塩を、金属酸化物又は金属酸化物水和物が副次的な沈殿を発生させることなく粒子上に直接沈殿するように選択される、加水分解に適したpH値で加える。pHは通常、同時に塩基を計量供給することによって一定に維持される。そして、顔料を分別し、洗浄し、乾燥させ、場合によっては焼成する。当該コーティングに関して焼成温度を最適化することが可能である。望むならば、個々のコーティングを適用したのち、顔料を分別し、乾燥させ、場合によっては焼成して、さらなる層を沈殿させるために再懸濁させてもよい。
【0083】
金属酸化物層は、たとえば、DE−A−19501307に記載されている方法と同様にして、場合によっては有機溶媒及び塩基性触媒の存在で、ゾルゲル法による1種以上のチタン酸エステルの制御された加水分解によって酸化チタン層を製造することによって得ることができる。適当な塩基性触媒は、たとえば、アミン、たとえばトリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン及びメトキシプロピルアミンである。有機溶媒は、水混和性有機溶媒、たとえばC1-4アルコール、特にイソプロパノールである。
【0084】
適当なチタン酸エステルは、チタンのアルキル及びアリールアルコラート、カルボキシレートならびにカルボキシル基又はアルキル基又はアリール基で置換されたアルキルアルコラート又はカルボキシレートから選択される。チタン酸テトライソプロピルの使用が好ましい。加えて、チタンのアセチルアセトネート及びアセトアセチルアセトネートを使用してもよい。このタイプのチタン酸エステルの好ましい例はチタンアセチルアセトネートである。
【0085】
本発明の実施態様にしたがって、二酸化チタン層の適用には、US−B−3553001に記載されている方法が使用される。
【0086】
約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にチタン塩水溶液をゆっくりと加え、塩基、たとえばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液を同時に計量供給することにより、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5の実質的に一定のpH値を維持する。沈殿したTiO2の所望の層厚さが達成されるとただちに、チタン塩溶液及び塩基の添加を止める。
【0087】
「滴定法」とも呼ばれるこの方法は、過剰なチタン塩を避けられるという事実によって際立つ。これは、水和TiO2による均一なコーティングに必要であり、コーティングされる粒子の利用可能な表面によって単位時間あたり吸収されることができる量だけを単位時間あたり加水分解のために供給することによって達成される。原則的に、アナタース型TiO2が出発顔料の表面に形成する。しかし、少量のSnO2を加えることにより、ルチル型構造を形成させることも可能である。たとえば、WO93/08237に記載されているように、二酸化スズを付着させたのち二酸化チタンを沈殿させ、二酸化チタンでコーティングされた生成物を800〜900℃で焼成することができる。
【0088】
そして、生成物を、超音波処理によって、又は液状媒体中で高速攪拌器を使用する機械的手段によって、又は回転分級器を有するエアジェットミル中で破片を乾燥させたのち、又は粉砕もしく風ひによって所望の粒径にし、さらなる使用のために送り出すことができる。
【0089】
バインダー系への最適な適合を同時に生じさせるさらなるコーティングによって耐候性を高めることが可能である(EP−A−268918及びEP−A−632109)。
【0090】
変形(4)(TiO2/層(E)/SiOz/コア/SiOz/層(E)/TiO2
上記のように、SiOyコーティングされた金属小板をTiO2でコーティングしたのち、非酸化性雰囲気中で焼成する。このようにして、層(B)の他に、TiO2/SiOyの焼成によって形成されるさらなる層(E)が製造される。TiO2/SiOyを非酸化性雰囲気中で焼成することが、屈折率の変化を生じさせる中間層を製造すると推測される。しかし、中間層が連続層ではなく、むしろTiO2とSiOyとの界面の個々の領域だけが、屈折率の変化を生じさせる転換を受けるという可能性を排除することはできない。さらに、屈折率の変化はSiOyによるTiO2の還元のせいであると推測される。したがって、本発明の原理は、屈折率の変化を生じさせる中間層をSiOyによるTiO2の還元によって製造することに基づく。
TiO2+SiOy→SiOy+a+TiO2-a
【0091】
TiO2に代えて、1.5を超える屈折率を有し、SiOyによって還元することができる別の金属酸化物、たとえばFe23を使用してもよい。
【0092】
したがって、本発明のさらなる好ましい実施態様は、層構造TiO2/SiOz/コア/SiOz/TiO2を有し、コアが、層(B)又は層(B)/層(A)/層(B)で形成され、層(B)が、面平行な面だけに適用され、層(A)の側面には適用されず、SiOy層が、面平行な面だけに存在し、側面には存在せず、TiO2層が全面に適用されている顔料ならびに層構造TiO2/層(E)/SiOy/コア/SiOy/層(E)/TiO2を有し、コアが、層(B)又は層(B)/層(A)/層(B)で形成され、層(B)が、面平行な面だけに適用され、層(A)の側面には適用されず、SiOy層及び層(E)が、面平行な面だけに存在し、側面には存在せず、TiO2層が全面に適用されている顔料に関する。この実施態様では、層(A)は、好ましくはアルミニウムからなる。層(B)は、好ましくはアルミニウムに由来する。
【0093】
望むならば、たとえばUS−A−4,948,631、JP H4−20031、DE−A−19618562及びDE−A−19843014に記載されている通常の方法により、TiO2を亜酸化チタンに還元することもできる。
【0094】
TiO2層の上に「低い」屈折率、すなわち約1.65未満の屈折率の金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23又はそれらの混合物、好ましくはSiO2を適用し、その層の上にさらなるFe23及び/又はTiO2層を適用することにより、より色が濃く、より透明である顔料を得ることが可能である。酸化ケイ素基材及び高い屈折率の金属酸化物と低い屈折率の金属酸化物との交互の層を含むこのようなマルチコート干渉顔料は、WO98/53011及びWO99/20695に記載されている方法と同様にして調製することができる。
【0095】
場合によっては、二酸化チタン層の上にSiO2(保護)層を適用することができ、そのためには以下の方法を使用することができる。約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にソーダ水ガラス溶液を計量供給する。同時に10%塩酸を加えることによってpHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液を加えたのち、攪拌をさらに30分間実施する。
【0096】
加えて、さらなる層、たとえば色付きの金属酸化物もしくはベルリンブルー、遷移金属、たとえばFe、Cu、Ni、Co、Crの化合物又は有機化合物、たとえば染料もしくは染色レーキを適用することにより、顔料の粉末色を変えることが可能である。
【0097】
さらに、完成した顔料を、耐光、耐候及び耐薬品安定性を高める、又は顔料の取扱い、特に種々の媒体へのその練込みを容易にする後続のコーティング又は後続の処理に付すことが可能である。たとえば、DE−A−2215191、DE−A−3151354、DE−A−3235017、DE−A−3334598、DE−A−4030727、EP−A−649886、WO97/29059、WO99/57204及びUS−A−5,759,255に記載されている手順が後続の処理又は後続のコーティングとして適当である。
【0098】
加えて、本発明の顔料はまた、難溶性で固着性の無機又は有機着色剤でコーティングすることができる。好ましいものは、染色レーキ、特にアルミニウム染色レーキの使用である。そのためには、水酸化アルミニウム層を沈殿させ、それを、第二の工程で、染色レーキを使用することによって染色する(DE−A−2429762及びDE2928287)。
【0099】
さらには、本発明の顔料はまた、錯塩顔料、特にシアン鉄酸錯体のさらなるコーティングを有することができる(EP−A−141173及びDE−A−2313332)。
【0100】
変形(1)で記載したように、SiOyコーティングされたフレークを、非酸化性ガス雰囲気中600℃を超える、特に700〜1100℃の範囲の温度で10分を超える時間、好ましくは数時間焼成したのち、最高で約1500℃まで加熱可能な気密反応器の中で、好ましくはばら材料の形態で、有利には酸素を排除しながら、500〜1500℃、好ましくは500〜1000℃の、アルキン、たとえばアセチレン、アルケン、たとえばメタン、アルケン、芳香族化合物など及びそれらの混合物から選択される炭素含有ガス(場合によっては酸素含有化合物、たとえばアルデヒド、ケトン、水、一酸化炭素、二酸化炭素など又はそれらの混合物と混合している)と反応させることができる。反応を調質するために、不活性ガス、たとえばアルゴン又はヘリウムを炭素含有ガスと混合してもよい(WO03/68868)。
【0101】
約1Pa未満の圧力では反応は一般に進行が遅すぎるが、特に、炭素含有ガスの反応性が低めである場合又は炭素含有ガスが不活性ガスで高度に希釈されている場合、たとえばHIP(「熱間静水圧加圧」)システムで通常に使用されているように、約4000バールまでの圧力で作業することが全く可能である。
【0102】
このような炭化では、すべてのSiOyを反応させてSiCを形成することが可能である。好ましくは、SiOyの5〜90重量%が反応してSiCを形成する。SiOyをSiCに転換する工程の温度は、500〜1500℃、好ましくは500℃〜1000℃であり、工程時間は約1時間〜約24時間である。反応は、面平行な構造の表面から出発して起こり、したがって、鋭い遷移ではなく勾配を生じさせる。これは、この実施態様では、SiC含有層が、(SiOya及び(SiC)b(0≦a<1、0<b≦1、顔料の表面に近いところではbが1であり、aが0であり、SiOy基材との境界に近づくにつれSiCの量が0に近づく)からなることを意味する。SiOy構造は、このような反応がSiOy分子の一番上の層だけに限られないようにするのに十分な多孔性を有する。
【0103】
この変形方法によると、以下の層構造SiC/SiOy/コア/SiOy/SiCを有する顔料を得ることができ、それを、酸素の存在における焼成により、以下の層構造SiC/SiOz/コア/SiOz/SiCを有する顔料に転換することができる。この方法によって得られる顔料は新規であり、本発明のさらなる主題である。
【0104】
高い屈折率を有する金属酸化物の層の代りに、US−B−6,524,381の材料、たとえばダイヤモンド様炭素及び非晶質炭素を、たとえばUS−B−6,524,381に記載されているプラズマ支援真空法(振動コンベヤ、回転ドラムコータ、振動ドラムコータ及び自由落下チャンバを使用)により、SiOzコーティングされた金属基材に付着させることができる。
【0105】
したがって、本発明はまた、厚さ5〜150nm、特に20〜50nmの炭素層、特にダイヤモンド様炭素層を表面に有する酸化ケイ素/金属基材に基づく面平行な構造(顔料)に関する。
【0106】
たとえばUS−B−6,015,597に記載されている方法では、ダイヤモンド様ネットワーク(DLN)コーティングを、炭素含有ガス、たとえばアセチレン、メタン、ブタジエン及びそれらの混合物ならびに場合によってはArならびに場合によってはさらなる成分を含有するガスからプラズマ付着によって粒子に付着させる。付着は、減圧(大気圧に対して)及び制御された環境で起こる。炭素含有ガスに電場を印加することにより、反応室中に炭素富化されたプラズマを発生させる。コーティングする粒子を反応器中で容器に保持し、プラズマに隣接している間に攪拌する。プラズマ内の種が粒子表面に作用して共有結合を形成し、粒子の表面にDLNを生じさせる。
【0107】
「ダイヤモンド様ネットワーク」(DLN)とは、炭素で構成され、場合によっては、水素、窒素、酸素、フッ素、ケイ素、硫黄、チタン及び銅からなる群より選択される1種以上のさらなる成分を含む非晶質膜又はコーティングをいう。ダイヤモンド様ネットワークは炭素を約30〜100原子%含み、場合によって含まれるさらなる成分が残余を構成する。
【0108】
金属又は非金属の無機小板形の粒子又は顔料は、エフェクト顔料(特に金属エフェクト顔料又は干渉顔料)、すなわち、適用媒体に色を付与する他に、さらなる性質、たとえば色の角度依存性(フロップ)、ラスター(表面光沢ではない)又はテキスチャーを付与する顔料である。金属エフェクト顔料では、指向性顔料粒子で実質的に指向性の反射が起こる。干渉顔料の場合、色付与効果は、薄い高屈折層における光の干渉現象による。
【0109】
本発明の顔料は、すべての通例の目的に、たとえばポリマーの練込み着色、コーティング(自動車分野のためのものをはじめとする特殊効果仕上げ塗装を含む)及び印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、ブロンズ及びフレキソ印刷を含む)ならびに、たとえば、化粧品、インクジェット印刷、織物の染色、セラミックスやガラスのうわぐすりならびに紙及びプラスチックのレーザマーキングにおける用途で使用することができる。このような用途は、参考文献、たとえば「Industrielle Organische Pigmente」(W. Herbst and K. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York、全面改訂第二版1995)から公知である。
【0110】
本発明の顔料が干渉顔料(エフェクト顔料)である場合、本発明の顔料は、ゴニオクロマチックであり、鮮やかで高彩度の(光沢のある)色を生じさせる。したがって、これらの顔料は、従来の透明顔料、たとえば有機顔料、たとえばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノンなどとの組み合わせに非常に適し、透明顔料がエフェクト顔料と類似した色を有することが可能になる。しかし、たとえばEP−A−388932又はEP−A−402943と同様に、透明顔料の色とエフェクト顔料の色とが補色である場合に、特に興味深い組み合わせ効果が得られる。
【0111】
高分子量有機材料を着色するために本発明の顔料を使用すると、優れた結果を得ることができる。
【0112】
本発明の顔料又は顔料組成物を使用して着色することができる高分子量有機材料は、天然起源であっても合成起源であってもよい。高分子量有機材料は通常、約103〜108g/mol又はそれを超える分子量を有する。これらは、たとえば、天然樹脂、乾性油、ゴムもしくはカゼイン又はそれらから誘導される天然物質、たとえば塩素化ゴム、油改質アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、たとえばエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酪酸セルロースもしくはニトロセルロースであることができるが、特に、重合、重縮号又は重付加によって得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性樹脂)である。重合樹脂のクラスのうち、特にポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン及び置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合物ならびに前記モノマーの共重合物、たとえば特にABS又はEVAを挙げることができる。
【0113】
重付加樹脂及び重縮合樹脂の系のうち、たとえば、ホルムアルデヒドとフェノール類との縮合物、いわゆるフェノプラスト及びホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素又はメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト及び表面コーティング樹脂として使用されるポリエステル、飽和樹脂、たとえばアルキド樹脂又は不飽和樹脂、たとえばマレイン酸樹脂ならびに直鎖状ポリエステル及びポリアミド、ポリウレタン又はシリコーンを挙げることができる。
【0114】
前記高分子量化合物は、単独で存在してもよいし、混合物としてプラスチック素材又は溶融体の形態で存在してもよい。これらはまた、それらのモノマーの形態で存在することもできるし、重合状態で、コーティング又は印刷インクのための膜形成剤又はバインダー、たとえば煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂として溶解した形態で存在することもできる。
【0115】
意図する目的に依存して、本発明のエフェクト顔料又はエフェクト顔料組成物をトナーとして又は調製物の形態で使用することが有利であることがわかった。コンディショニング法又は意図する用途に依存して、高分子量有機材料、特にポリエチレンを着色するためのエフェクト顔料の使用に悪影響を及ぼさないという条件で、コンディショニング工程の前又は後で特定量のテキスチャー改善剤をエフェクト顔料に加えることが有利であるかもしれない。適当な薬剤は、特に、炭素原子を少なくとも18個含有する脂肪酸、たとえばステアリン酸もしくはベヘン酸又はそれらのアミドもしくは金属塩、特にマグネシウム塩及び可塑剤、ロウ、樹脂酸、たとえばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノール類又は脂肪族アルコール、たとえばステアリルアルコール又は炭素原子8〜22個を含有する脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、たとえば1,2−ドデカンジオールならびに変性松やにマレイン酸樹脂又はフマル酸松やに樹脂である。テキスチャー改善剤は、最終生成物に基づいて好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜15重量%の量で加えられる。
【0116】
本発明の(エフェクト)顔料は、着色される高分子量有機材料に着色有効量で加えることができる。高分子量有機材料と、高分子量有機材料に基づいて0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%の本発明の顔料とを含む着色された組成物が有利である。多くの場合、1〜20重量%、特に約10重量%の濃度を実践で使用することができる。
【0117】
高い濃度、たとえば30重量%を超える濃度は普通、比較的低い顔料含量を有する色付き材料を製造するための着色剤として使用することができる濃縮物(「マスタバッチ」)の形態にあるが、本発明の顔料は、通例の配合物中で異例に低い粘度を有するため、それでも十分に加工することができる。
【0118】
有機材料を着色するためには、本発明のエフェクト顔料を単独で使用してもよい。しかし、異なる色相又は色効果を達成するために、本発明のエフェクト顔料に加えて、所望の量の他の色付与成分、たとえば白、有色、黒又はエフェクト顔料を高分子量有機物質に加えることも可能である。有色顔料が本発明のエフェクト顔料と混合して使用される場合、合計量は、高分子量有機材料に基づいて好ましくは0.1〜10重量%である。
【0119】
本発明のエフェクト顔料と、別の色、特に補色の有色顔料との好ましい組み合わせによって特に高い角度依存呈色性が得られ、エフェクト顔料を使用して得られる着色と、有色顔料を使用して得られる着色とは、10°の計測角で20〜340、特に150〜210の色相差(△H*)を示す。
【0120】
好ましくは、本発明のエフェクト顔料は透明な有色顔料と組み合わされ、このとき、透明な有色顔料は、本発明のエフェクト顔料と同じ媒体中に存在することもできるし、隣接媒体中に存在することもできる。エフェクト顔料と有色顔料とが有利にも隣接媒体中に存在する構造の例は、多層エフェクトコーティングである。
【0121】
本発明の顔料による高分子量有機物質の着色は、たとえば、ロールミル又は混合もしくは粉砕装置を使用して、場合によってはマスタバッチの形態にある当該顔料を基材と混合することによって実施される。そして、着色された材料を、そのものは公知の方法、たとえば圧延、圧縮成形、押出し、コーティング、注型又は射出成形によって所望の最終形態にする。顔料の練込みの前又は後で、プラスチック工業で通例の添加物、たとえば可塑剤、充填剤又は安定剤を通例の量でポリマーに加えることができる。特に、非剛性の成形物を製造する、又はそれらの脆性を下げるためには、成形の前に可塑剤、たとえばリン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを高分子量化合物に加えることが望ましい。
【0122】
コーティング及び印刷インクを着色する場合、高分子量有機材料及び本発明のエフェクト顔料を、場合によっては通例の添加物、たとえば充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、同じ有機溶媒又は溶媒混合物中に微分散又は溶解させる。このとき、個々の成分を別々に溶解又は分散させることも可能であるし、いくつかの成分をいっしょに溶解又は分散させ、その後ではじめてすべての成分を合わせることも可能である。
【0123】
着色される高分子量有機材料への本発明のエフェクト顔料の分散及び本発明の顔料組成物の加工は、好ましくは、エフェクト顔料がより小さな部分に砕散しないよう比較的弱い剪断力しか発生しない条件に付されて実施される。
【0124】
本発明の顔料を0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量で含むプラスチック。コーティングの分野では、本発明の顔料は、0.1〜10重量%の量で使用される。たとえば、塗料及び凹版、オフセット又はスクリーン印刷のための印刷インクのためのバインダー系の着色においては、顔料は、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜15重量%の量で印刷インクに配合される。
【0125】
たとえばプラスチック、コーティング又は印刷インク、特にコーティング又は印刷インク、とりわけコーティングで得られる着色は、優れた性質、特に極めて高い彩度、抜群の堅ろう性及び高い角度依存呈色性によって際立つ。
【0126】
着色される高分子量有機材料がコーティングである場合、それは特に特殊コーティング、とりわけ自動車仕上げ塗装である。
【0127】
本発明のエフェクト顔料はまた、唇又は肌のメイクアップ及び髪又は爪の着色にも適している。
【0128】
したがって、本発明は、化粧品調製物又は配合物の全重量に基づいて、本発明の顔料、特にエフェクト顔料0.0001〜90重量%及び化粧品に適したキャリヤ材料10〜99.9999重量%を含む化粧品調製物又は配合物に関する。
【0129】
このような化粧品調製物又は配合物は、たとえば、リップスティック、ほお紅、ファンデーション、ネイルエナメル及びヘアシャンプーである。
【0130】
顔料は、単独で使用してもよいし、混合物の形態で使用してもよい。加えて、本発明の顔料を他の顔料及び/又は着色剤とともに、たとえば本明細書で先に記載したように又は化粧品調製物で公知であるように組み合わせて使用することが可能である。
【0131】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、好ましくは、本発明の顔料を、調製物の全重量に基づいて0.005〜50重量%の量で含有する。
【0132】
本発明の化粧品調製物及び配合物に適したキャリヤ材料としては、そのような組成物に使用される通例の物質がある。
【0133】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、たとえばスティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末又は溶液の形態であってもよい。これらは、たとえば、リップスティック、マスカラ剤、ほお紅、アイシャドー、ファンデーション、アイライナー、パウダー又はネイルエナメルである。
【0134】
調製物がスティック、たとえばリップスティック、アイシャドー、ほお紅又はファンデーションの形態にあるならば、調製物は、そのかなりの部分が、1種以上のロウ、たとえばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンロウ、蜜ロウ、カンデリラロウ、微晶質ロウ、カルナバロウ、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、石油ゼリー、25℃で固体であるモノ−、ジ−もしくはトリグリセリド又はそれらの脂肪エステル、シリコーンロウ、たとえばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサン及びポリ(ジメチルシロキシ)ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、マツ脂及びその誘導体、たとえばアビエチン酸グリコール及びアビエチン酸グリセロール、25℃で固体である水添油、糖グリセリドならびにカルシウム、マグネシウム、ジルコニウム及びアルミニウムのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラノリン脂肪酸塩、ステアリン酸塩及びジヒドロキシステアリン酸塩からなることができる脂肪成分からなる。
【0135】
脂肪成分はまた、少なくとも1種のロウと、少なくとも1種の油との混合物からなることもでき、その場合、たとえば以下の油が適当である。パラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、約310〜410℃の沸点を有する鉱油、シリコーン油、たとえばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀粒油、たとえば小麦胚芽油、イソプロピルラノレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコール及びポリアルコール、たとえばグリコール及びグリセロールのオクタノエート及びデカノエート、アルコール及びポリアルコール、たとえばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシルラウレート及びオクチルドデカノールのリシノレエート。
【0136】
スティックの形態のこのような調製物中の脂肪成分は一般に、調製物の全重量の99.91重量%までを構成することができる。
【0137】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、さらなる成分、たとえばグリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、無着色ポリマー、無機又は有機充填剤、防腐剤、UVフィルタ又は化粧品で通例である他の補助剤及び添加物、たとえば、天然又は合成もしくは部分的に合成のジ−もしくはトリグリセリド、鉱油、シリコーン油、ロウ、脂肪アルコール、Guerbetアルコールもしくはそのエステル、親油性機能的化粧品有効成分、たとえば日焼け止めフィルタ又はそれらの物質の混合物をさらに含むことができる。
【0138】
皮膚化粧品に適した親油性機能的化粧品有効成分、有効成分組成物又は有効成分抽出物は、経皮的又は局所的な適用に関して認可されている成分又は成分の混合物である。例として以下を挙げることができる。
【0139】
―皮膚表面及び毛髪に対して清浄作用を有する有効成分。これらには、皮膚を清浄するように働くすべての物質、たとえば油、石鹸、合成洗剤及び固形物質がある。
【0140】
―脱臭及び制汗作用を有する有効成分。これらには、アルミニウム塩又は亜鉛塩に基づく制汗剤、殺菌性又は静菌性脱臭物質、たとえばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコール及びカチオン性物質、たとえば第四級アンモニウム塩を含む脱臭剤ならびに吸臭剤、たとえばGrillocin(登録商標)(リシノール酸亜鉛と種々の添加物との組み合わせ)又はクエン酸トリエチル(場合によっては酸化防止剤、たとえばブチルヒドロキシトルエンと組み合わされている)又はイオン交換樹脂がある。
【0141】
―陽光に対する防護を提供する有効成分(UVフィルタ)。適当な有効成分は、陽光からのUV線を吸収し、それを熱に転換することができるフィルタ物質(日焼け止め)である。所望の作用に依存して、以下の光防護剤が好ましい。約280〜315nmの範囲の、日焼けを生じさせる高エネルギーUV線を選択的に吸収し、より長い、たとえば315〜400nmの波長範囲(UV−A範囲)を透過させる光防護剤(UV−B吸収剤)ならびにより長い315〜400nmのUV−A範囲の波長の放射線だけを吸収する光防護剤(UV−A吸収剤)。適当な光防護剤は、たとえば、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、1個以上の有機ケイ素基を含むポリマーUV吸収剤、ケイ皮酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びその塩、メンチルアントラニレート、ベンゾトリアゾール誘導体のクラスからの有機UV吸収剤及び/又は酸化アルミニウムもしくは二酸化ケイ素でコーティングされたTiO2、酸化亜鉛もしくは雲母から選択される無機マイクロ顔料である。
【0142】
―昆虫に対する有効成分(駆除剤)は、昆虫が皮膚に触れ、そこで活性化することを防ぐための薬剤である。昆虫を駆逐し、ゆっくりと揮発する。もっともよく使用される駆除剤はジエチルトルアミド(DEET)である。他の一般的な駆除剤は、たとえば、「Pflegekosmetik」(W. Raab and U. Kindl, Gustav-Fischer-Verlag Stuttgart/New York, 1991)の161頁に見られる。
【0143】
―化学的及び機械的な影響に対する防護のための有効成分。これらは、皮膚と外部の有害物質との間にバリヤを形成するすべての物質、たとえば、水溶液に対する防護のためのパラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL製品及びラノリン、有機溶媒の影響に対する防護のための膜形成剤、たとえばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコールもしくはセルロースエーテル又は皮膚に対する激しい機械的応力に対する防護のための「潤滑剤」としての、鉱油、植物油もしくはシリコーン油に基づく物質を含む。
【0144】
―保湿物質。たとえば以下の物質が水分調整剤(保湿剤)として使用される。乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸。
【0145】
―角質新生効果を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄及びレゾルシノール。
【0146】
―抗微生物剤、たとえばトリクロサン又は第四級アンモニウム化合物。
【0147】
―経皮的に適用することができる油性又は油溶性ビタミン又はビタミン誘導体、たとえばビタミンA(遊離酸又はその誘導体の形態のレチノール)、パンテノール、パントテン酸、葉酸及びそれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF、必須脂肪酸又はナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)。
【0148】
―ビタミンベースの胎盤抽出物、特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸及びビオチンを含む有効成分組成物、アミノ酸及び酵素ならびに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物。
【0149】
―ビフィズス族の細菌の不活性化及び壊変培養物から得られる皮膚修復複合体。
【0150】
―植物及び植物抽出物、たとえばアルニカ、アロエ、サルオガセ、ツタ、イラクサ、チョウセンニンジン、ヘナ、カミツレ、マリゴールド、ローズマリー、セージ、トクサ又はタイム。
【0151】
―動物抽出物、たとえばロイヤルゼリー、プロポリス、タンパク質又は胸腺抽出物。
【0152】
―経皮的に適用することができる化粧油:Miglyol 812タイプのニュートラルオイル、アプリコット核油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、落花生油、ガンマ−オリザノール、ローズヒップシード油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、クロフサスグリ種子油、ホホバ油、サクランボ種子油、サーモン油、アマニ油、コーンシード油、マカダミアナッツ油、アーモンド油、月見草油、ミンク油、オリーブ油、ピーカンナッツ油、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、ライスシード油、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、グレープシード油又は小麦胚芽油。
【0153】
スティック形態の調製物は、好ましくは無水であるが、特定の場合には、一般に化粧品調製物の全重量に基づいて40重量%を超えない一定量の水を含んでもよい。
【0154】
本発明の化粧品調製物及び配合物が半固形製品の形態、すなわち軟膏又はクリームの形態にあるならば、それも同じく無水であっても水性であってもよい。このような調製物及び配合物は、たとえば、マスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドー又は目の下のくまを手入れするための組成物である。
【0155】
他方、このような軟膏又はクリームが水性であるならば、それは特に、顔料とは別に脂肪相1〜98.8重量%、水相1〜98.8重量%及び乳化剤0.2〜30重量%を含む油中水型又は水中油型のエマルションである。
【0156】
このような軟膏及びクリームはまた、さらなる従来の添加物、たとえば香料、酸化防止剤、防腐剤、ゲル形成剤、UVフィルタ、着色剤、顔料、真珠光沢剤、無着色ポリマー及び無機又は有機充填剤を含むことができる。
【0157】
調製物が粉末の形態にあるならば、それは実質的にミネラルもしくは無機又は有機充填剤、たとえば滑石、カオリン、デンプン、ポリエチレン粉末又はポリアミド粉末及び補助剤、たとえばバインダー、着色剤などからなる。
【0158】
このような調製物も同じく、化粧品で従来から使用されている種々の補助剤、たとえば芳香剤、酸化防止剤、防腐剤などを含むことができる。
【0159】
本発明の化粧品調製物及び配合物がネイルエナメルであるならば、それは本質的に、溶媒系の溶液の形態のニトロセルロース及び天然又は合成のポリマーからなり、その溶液が他の補助剤、たとえば真珠光沢剤を含むことが可能である。
【0160】
その実施態様では、着色されたポリマーは約0.1〜5重量%の量で存在する。
【0161】
本発明の化粧品調製物及び配合物はまた、毛髪を着色するために使用することができ、その場合、化粧品工業で従来から使用されているベース物質及び本発明の顔料で構成されるシャンプー、クリーム又はゲルの形態で使用される。
【0162】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、従来の方法で、たとえば各成分を、場合によっては混合物が融解するよう加熱しながら、いっしょに混合又は攪拌することによって調製される。
【0163】
以下の実施例が本発明を説明するが、本発明の範囲を限定することはない。断りない限り、%及び部はそれぞれ重量%及び重量部である。
【0164】
実施例
実施例1
真空チャンバ中、約10-2Pa未満の圧力で、金属支持体に厚さ約50nmのNaCl層を蒸着させた。次いで、同じ圧力で、以下の層:SiO、Al及びSiOを順に付着させて、金属支持体上に以下の層構造:
SiO(270nm)/Al(40nm)/SiO(270nm)
を有するフィルムを形成した。
【0165】
続いて、分離剤を脱イオン水に溶解させると、不溶性である(SiO/Al/SiO)層がフレークに破散した。懸濁液を大気圧下でろ過によって濃縮し、脱イオン水で数回すすいで、存在するNa+及びCl-イオンを除去した。乾燥後、輝きのあるメタリック色を示すSiOyコーティングされたアルミニウムフレークが得られた。
【0166】
得られたSiOyコーティングされたアルミニウムフレークを、アルゴン雰囲気中、100℃/分の温度勾配で750℃、すなわちアルミニウムの融点を超える温度まで加熱した。得られたフレークは、艶消し緑/黄色を示し、部分的に透明であった。
【0167】
このようにして得られた顔料を湿式ケミカル法によってTiO2(20nm)でコーティングした。SiOyコーティングされたアルミニウムフレークを完全脱イオン水中に懸濁させ、75℃まで加熱した。この懸濁液にTiCl4水溶液を計量供給した。32%水酸化ナトリウム溶液によってpHを2.2で一定に維持した。この溶液を加えたのち、混合物を75℃でさらに約30分間攪拌した。このようにして得られた顔料は、輝きのある緑/黄色を特徴とし、視角に依存してカラーフロップを示した。
【0168】
耐光、耐候及び耐薬品安定性をさらに高めるため、顔料を、ばら材料の形態で、流動床中、200℃の空気を使用して酸化させてもよい。
【0169】
実施例2
真空チャンバ中、約10-2Pa未満の圧力で、ガラス支持体に以下の層:TiO2(50nm)、SiO(270nm)、Al(50nm)、SiO(270nm)及びTiO2(50nm)を順に昇華させた。一方の試料を参考試料(RS)として使用し、他方の試料(S)をアルゴン雰囲気中700℃で0.5時間加熱した。
【0170】
試料(S)及び参考試料(RS)の反射色(CIE−L**h)を、標準D65光源による照射で、10°、30°及び50°の観察角で測定した。
【0171】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)場合によっては、金属からなる層、
(B)層(A)が存在する場合、層(A)と層(C)との間に位置する、金属、ケイ素(Si)及び酸素(O)からなる少なくとも一つの層、及び
(C)場合によっては、層(B)の上の、SiOzからなる層
(0.70≦z≦2.0、特に1.10≦z≦2.0、とりわけ1.40≦z≦2.0)
を含む顔料。
【請求項2】
(B)金属、ケイ素(Si)及び酸素(O)からなる少なくとも一つの層、及び
(C)層(B)の上の、SiOzからなる少なくとも一つの層
(0.70≦z≦2.0、特に1.10≦z≦2.0、とりわけ1.40≦z≦2.0)
を含む、請求項1記載の顔料。
【請求項3】
(C1)SiOzからなる層、
(B)層(C1)と層(C2)との間に位置する、金属、ケイ素(Si)及び酸素(O)からなる少なくとも一つの層、
(C2)層(B)の上の、SiOzからなる少なくとも一つの層
(0.70≦z≦2.0、特に1.10≦z≦2.0、とりわけ1.40≦z≦2.0)
を含む、請求項1又は2記載の顔料。
【請求項4】
(D)高い屈折率を有する材料、特にTiO2、非晶質炭素、ダイヤモンド様炭素又は炭化ケイ素のさらなる層を含む、請求項3記載の顔料。
【請求項5】
(D1)高い屈折率を有する材料、特にTiO2の層、
(C1)SiOzからなる層、
(B)層(C1)と層(C2)との間に位置する、金属、ケイ素(Si)及び酸素(O)からなる少なくとも一つの層、
(C2)SiOzからなる層、及び
(D2)高い屈折率を有する材料、特にTiO2の層
(0.70≦z≦2.0、特に1.10≦z≦2.0、とりわけ1.40≦z≦2.0)
を含む、請求項4記載の顔料。
【請求項6】
金属が、Ag、Al、Cu、Cr、Mo、Ni、Ti又はそれらの合金から選択され、特にアルミニウムである、請求項1〜5のいずれか記載の顔料。
【請求項7】
以下の層構造:TiO2/SiOz/コア/SiOz/TiO2、SiC/SiOz/コア/SiOz/SiC又はC/SiOz/コア/SiOz/C
(コアは、層(B)又は層(B)/層(A)/層(B)で形成され、層(B)は、面平行な面に存在し、層(A)の側面には存在せず、SiOz層は、面平行な面だけに存在し、側面には存在せず、TiO2層は全面に適用され、0.70≦z≦2.0、特に1.10≦z≦2.0、とりわけ1.40≦z≦2.0)
を有する、請求項3記載の顔料。
【請求項8】
(A)金属からなる少なくとも一つの層、及び(C)SiOz(0.70≦z≦2.0、特に1.1≦z≦2.0)からなる少なくとも一つの層を含む面平行な構造(フレーク)を非酸化性雰囲気中で焼成し、場合によっては、得られたフレークをさらなる層でコーティングすることによって得られる顔料。
【請求項9】
(A)金属、特にアルミニウムからなる層、及び(C)SiOz(0.70≦z≦2.0、特に1.10≦z≦2.0、とりわけ1.40≦z≦2.0)からなる少なくとも一つの層を含む面平行な構造。
【請求項10】
インクジェット印刷における、織物を染色するための、コーティング、塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラス用のうわぐすりを着色するための、請求項1〜8のいずれか記載の顔料の使用。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか記載の顔料を含む組成物。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか記載の顔料を含む化粧品調製物、塗料、印刷インク又はコーティング。

【公表番号】特表2006−506518(P2006−506518A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506658(P2005−506658)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050777
【国際公開番号】WO2004/044060
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】