説明

新規な桂皮酸誘導体及びその製造方法並びにプロポリス発酵物

【課題】良好な抗癌作用を有する新規な桂皮酸誘導体及びその製造方法並びにプロポリス発酵物を提供する。
【解決手段】下記式に示す構造を有する化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば担子菌類の菌糸体によりプロポリス又はアルテピリンC(Artepillin C)を発酵処理した発酵物に含まれる新規な桂皮酸誘導体及びその製造方法並びにプロポリス発酵物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロポリスは、ミツバチにより集められた樹木の樹液、植物の新芽、浸出物等がミツロウ等と混ざり合ってできた膠状の物質であり、ミツバチはプロポリスで巣の補修等を行う。プロポリスは天然の抗菌成分、抗炎症剤、鎮痛剤等幅広い用途で外用や内服の形態で民間薬として長い間用いられてきた。近年、その様々な生理作用等を解明する研究が進み、また経口的摂取によっても様々な効果を発揮することがわかってきている。このため、例えば、抗菌、抗酸化、抗腫瘍、発癌抑制、免疫賦活等の効果、また生活習慣病やその他疾病の予防・改善・治療効果等を期待して、健康食品や機能性食品の原料として注目されており、その実用化も進みつつある。しかしながら、プロポリスは樹木の樹液や樹脂、起源植物となる種々の薬用植物、花粉、ミツロウ等様々な物質の混合物であると共に、プロポリスに含有される物質は十分解明されたとは言えず、むしろプロポリスに含まれる物質は解明又は同定されていないものの方が多いと考えられる。
【0003】
一口にプロポリスと言っても産地により含有成分が様々である。近年、多くの研究者により産地別プロポリスの成分に関する研究が進められており、ブラジル産プロポリスには桂皮酸誘導体の一つであるアルテピリンCが主成分として多く検出されると開示されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
これまでに、産地の異なるプロポリスをブレンドしたもので、アルテピリンCを成分の一つとして含有するプロポリス組成物が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。例えば、ケルセチン、p−クマール酸及びアルテピリンCを含有し、さらにクリシン、ガランギン又はカフェイン酸フェネチルエステルを含有するプロポリス組成物が挙げられている。
【0005】
プロポリス及びアガリクスの菌糸体にはいずれも抗癌作用及び抗菌作用があることが知られている。例えばこれまでに、アガリクス及びプロポリス並びにアマゾン酵素の三者を溶解する溶剤を用いて、それぞれのエキスを別々又は複合して抽出し、その一種類、二種類又は三種類を混合溶解化し、飲食料品に添加して保存を可能とする飲食料品が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2004-159563号公報(第1、2頁)
【特許文献2】特開平10−215838号公報(第1、2頁)
【非特許文献1】田澤茂実ら:生薬学雑誌、54(6),164−168,2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、野菜中心の栄養バランスのとれた食事から肉中心の食事となり、脂肪接種量が増えるなど食生活が欧米化し、癌患者が増加する中で、新たな抗癌剤の開発が望まれている。これまでに、プロポリス及びアガリクスのような担子菌類の菌糸体にそれぞれ抗癌作用があることは知られている。しかしながら、そのような抗癌作用のさらなる向上が求められ、そのような要求に応えるべく、プロポリスとアガリクスの組合せによる発酵食品が開発され、発酵による成分変化によって生じる新規な化合物の探索が続けられている。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、良好な抗癌作用を発揮させることができる新規な桂皮酸誘導体及びその製造方法並びにプロポリス発酵物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究の結果、アガリクスのような担子菌類の菌糸体を利用してプロポリス又はアルテピリンCを発酵処理した後、分離することによって良好な抗癌作用を有する新規な桂皮酸誘導体が得られることを見出した。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の新規な桂皮酸誘導体は、下記式(1)の構造を有する化合物であることを要旨とする。
【0010】
【化1】

請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の新規な桂皮酸誘導体を製造する方法であって、担子菌類の菌糸体をプロポリスに接種し、前記菌糸体によりプロポリスを発酵処理した後、式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体を分離することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の新規な桂皮酸誘導体を製造する方法であって、担子菌類の菌糸体をアルテピリンCに接種し、前記菌糸体によりアルテピリンCを発酵処理した後、式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体を分離することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明のプロポリス発酵物は、担子菌類の菌糸体によりプロポリスを発酵処理してなり、請求項1に記載の式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体を含有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の新規な桂皮酸誘導体によれば、式(1)の化合物が桂皮酸誘導体の基本骨格を有しており、良好な抗癌作用を発揮させることができる。
【0014】
請求項2及び請求項3に記載の発明の新規な桂皮酸誘導体を製造する方法によれば、担子菌類の菌糸体を利用してプロポリス又はアルテピリンCを発酵処理する。その後、新規な桂皮酸誘導体を分離するという簡単な操作により、容易に式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体を提供することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明のプロポリス発酵物によれば、プロポリス及び担子菌類の菌糸体が元来有している抗癌作用のある成分の他に、良好な抗癌作用のある新規な桂皮酸誘導体を含有している。従って、それらが相乗的に働くことで、プロポリス、担子菌類の菌糸体又は両者の混合物に比べて、飛躍的な抗癌作用を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の新規な桂皮酸誘導体は、下記式(1)で示される構造を有する化合物である。
【0017】
【化2】

式(1)の化合物は、IUPAC命名法では3−[3−ヒドロキシ−2−(1−メチルエチル)−7−(3−メチル−2−ブテニル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル]アクリル酸と命名でき、抗癌作用のある桂皮酸誘導体の基本骨格を有する構造的特徴がある。
【0018】
この新規な桂皮酸誘導体は、例えばプロポリス又はアルテピリンCを担子菌類の菌糸体により発酵処理した発酵物から分離して得られる化合物で、抗癌作用を有する。従って、前記新規な桂皮酸誘導体は、抗癌効果を目的として健康食品、機能性食品、及び医薬品等に利用できる。
【0019】
新規な桂皮酸誘導体の製造方法は特に制限されず、公知の化学的合成法によるものであってもよいし、発酵法によるものであってもよい。それらの方法のうち、担子菌類の菌糸体を利用してプロポリス又はアルテピリンCを発酵処理した後、新規な桂皮酸誘導体を分離する簡単な操作により、容易に得られることから、発酵法が好ましい。
【0020】
まず、担子菌類の菌糸体を利用したプロポリスからの新規な桂皮酸誘導体の製造方法について説明する。該製造方法は担子菌類の菌糸体をプロポリスに接種し、該菌糸体によりプロポリスを発酵処理した後、新規な桂皮酸誘導体を分離するものである。
【0021】
本実施形態の製造方法で用いられる担子菌類としては、ラッカーゼ活性を有するアガリクス、冬虫夏草、カバノアナタケ、霊芝などあらゆる種類のものが使用可能である。それらの中でも高いラッカーゼ活性により、最も効率的に新規な桂皮酸誘導体を得ることができることから、アガリクスを使用することが好ましい。なお、菌糸体は、担子菌類の子実体から採取して利用してもよいし、寄託機関等から入手して利用してもよい。
【0022】
上記のプロポリスとしては、プロポリス原塊を公知の抽出方法によって抽出したプロポリス抽出物が好適に使用される。プロポリス原塊は、ミツバチが樹木の特定部位、主として新芽や樹皮から採取したガム質、樹液、植物色素系の物質及び香油等の集合体に、ミツバチ自身の分泌物や蜂ロウ等を混合して作製した暗緑色や褐色から暗褐色を呈した粘着性のある樹脂状の固形天然物質である。プロポリス抽出物を得るために用いられるプロポリス原塊としては、ブラジルを含む南アメリカ諸国、中国や日本等のアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、オセアニア諸国等のあらゆる産地のものが使用可能である。それらの中でも桂皮酸誘導体であるアルテピリンCが2〜6質量%と豊富に含有されているブラジル産の原塊を使用することが好ましい。
【0023】
プロポリス抽出物としては、プロポリスの水抽出物、アルコール抽出物、含水アルコール抽出物、有機溶媒抽出物、超臨界抽出物、ミセル化抽出物等が挙げられる。これらの中でも高い抗癌作用を有する成分を容易、且つ多量に抽出可能であることから、プロポリスのアルコール抽出物を使用することが好ましい。なお、アルコール抽出物を調製するために用いられるアルコールは、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールであることが好ましい。また、有機溶媒抽出物を調製するために用いられる有機溶媒としては、アセトンやヘキサン等の公知の有機溶媒が使用可能である。
【0024】
本実施形態のプロポリスの発酵処理では、プロポリスの発酵処理の前に、担子菌類の菌糸体を前培養することにより、該担子菌類の菌糸体をあらかじめ活性化させておくことが好ましい。例えば、発酵処理の前に、担子菌類の胞子を前培養することにより、活性化された菌糸体を調製することができる。
【0025】
また、プロポリスの発酵処理では、担子菌類の菌糸体の培養に適した培地、培養温度、培養期間等の処理条件を適宜選択すればよい。発酵処理及び前培養では、担子菌類の菌糸体をより早く増殖させることが可能な培地を選択することが好ましい。このような培地には、通常、糖分、酵母エキス、ペプトン、塩類等が含有されている。なお、培地にはプロポリス抽出物を調製する際に用いられたアルコールや有機溶媒等が、菌糸体の培養を阻害しない程度の低濃度で含有されていても差し支えない。
【0026】
発酵処理を実施する時間、すなわち発酵時間は特に限定されないが、好ましくは0.5〜300時間、より好ましくは0.5〜150時間、さらに好ましくは3.5〜72時間である。発酵時間が0.5時間未満の場合、十分な量の新規な桂皮酸誘導体が得られないので好ましくない。逆に発酵時間が300時間を超える場合、発酵時間のわりに十分な量の新規な桂皮酸誘導体が得られず、効率が悪く、結果として製造コストも上昇するため好ましくない。
【0027】
発酵処理を実施する温度、すなわち発酵処理温度は特に限定されないが、好ましくは25〜60℃、より好ましくは30〜50℃、さらに好ましくは35〜45℃である。発酵処理温度が25℃未満の場合、酵素活性が低く反応が遅くなり、逆に60℃を超える場合、酵素が失活し反応が効率的でないため好ましくない。
【0028】
例えば、発酵処理時のプロポリスとして、プロポリス固形分20質量%のアルコール抽出液を使用する場合、発酵処理液中のプロポリス固形分の濃度は特に限定されないが、好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.05〜1.5質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。プロポリス固形分の濃度が0.05質量%未満の場合、菌糸体の栄養源としてプロポリス中の成分が全て利用されてしまう可能性があり、またこの発酵物を製品とする場合、製品中におけるプロポリス含量が低くなってしまうため好ましくない。逆に3質量%を超える場合、プロポリスの溶解性が悪くなると共に、アルコール濃度が濃くなることから、菌糸体の成長が悪く、ラッカーゼ活性も低下するため好ましくない。
【0029】
分離方法としては特に限定されず、例えば酢酸エチルなどの有機溶媒により抽出した後、ゲルろ過クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどの各種カラムクロマトグラフィーを適宜組合せることにより行われ、その場合常法に従って実施される。
【0030】
次に、担子菌類の菌糸体を利用したアルテピリンCからの新規な桂皮酸誘導体の製造方法について説明する。該製造方法は担子菌類の菌糸体をアルテピリンCに接種し、該菌糸体によりプロポリスを発酵処理した後、新規な桂皮酸誘導体を分離するものである。
【0031】
本実施形態の製造方法で用いられるアルテピリンCとしては特に限定されず、例えば、プロポリス由来であってもよく、プロポリスの起源植物であるキク科植物由来であってもよく、又は化学合成法によるものであってもよい。なお、前記キク科植物としては、ヨモギ属(例えば、Artemisia capillaris)或いはバッカリス属(例えば、Baccharis conferifolia)等が挙げられる。
【0032】
また、前記プロポリスとしては、上記同様、プロポリス抽出物が好適に使用され、プロポリス原塊の産地及び抽出法は特に限定されない。桂皮酸誘導体含量が多く、効率的に抽出可能であることから、ブラジル産の原塊をアルコール抽出したプロポリス抽出物が特に好ましい。さらに、担子菌類としては、上記同様、ラッカーゼ活性を有するアガリクス、冬虫夏草、カバノアナタケ、霊芝などあらゆる種類のものが使用可能である。
【0033】
この発酵処理では、上記同様、担子菌類の菌糸体の培養に適した培地、培養温度、培養期間等の処理条件を適宜選択すればよく、担子菌類の菌糸体をより早く増殖させることが可能な培地を選択することが好ましい。
【0034】
発酵処理を実施する時間、すなわち発酵時間は特に限定されないが、好ましくは0.1〜300時間、より好ましくは0.1〜150時間、さらに好ましくは6〜48時間である。発酵時間が0.1時間未満の場合、十分な量の新規な桂皮酸誘導体が得られないので好ましくない。逆に発酵時間が300時間を超える場合、発酵時間のわりに十分な量の新規な桂皮酸誘導体が得られず、効率が悪く、結果として製造コストも上昇するため好ましくない。
【0035】
発酵処理を実施する温度、すなわち発酵処理温度は特に限定されないが、好ましくは25〜60℃、より好ましくは30〜50℃、さらに好ましくは35〜45℃である。発酵処理温度が25℃未満の場合、酵素活性が低く反応が遅くなり、逆に60℃を超える場合、酵素が失活し反応が効率的でないため好ましくない。
【0036】
例えば、発酵処理時のアルテピリンCとして、アルテピリンC固形分20質量%のアルコール溶液を使用する場合、発酵処理液中のアルテピリンC固形分の濃度は特に限定されないが、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。アルテピリンC固形分の濃度が0.01質量%未満の場合、菌糸体の栄養源としてアルテピリンCが全て利用されてしまう可能性があり、またこの発酵物を製品とする場合、製品中におけるアルテピリンC含量が低くなってしまうため好ましくない。逆に5質量%を超える場合、アルテピリンCの溶解性が悪くなると共に、アルコール濃度が濃くなることから、菌糸体の成長が悪く、ラッカーゼ活性も低下するため好ましくない。
【0037】
分離方法としては、上記同様特に限定されず、例えば酢酸エチルなどの有機溶媒により抽出した後、ゲルろ過クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどの各種カラムクロマトグラフィーを適宜組合せることにより行われる。
【0038】
次に、プロポリス発酵物について説明する。
本実施形態のプロポリス発酵物は、担子菌類の菌糸体によりプロポリスを発酵処理してなり、上記新規な桂皮酸誘導体を含有している。プロポリス発酵物の形態は特に限定されず、発酵処理したままの液の形態であってもよいし、噴霧乾燥(スプレードライ)や凍結乾燥等の公知の乾燥処理を行った形態であってもよい。
【0039】
プロポリス発酵物は、プロポリス単独、担子菌類の菌糸体単独又はその両方でそれぞれ発揮される抗癌作用よりも、飛躍的に高い抗癌作用を発揮する。プロポリス発酵物によって発揮される抗癌作用は、癌細胞及び癌化しつつある異常細胞のいずれに対しても有効である。このため、プロポリス発酵物は、抗癌剤として、或いは癌予防剤として健康食品、機能性食品、医薬品等に利用できる。
【0040】
さて、本実施形態における作用について説明すると、新規な桂皮酸誘導体は、プロポリス又はアルテピリンCに担子菌類の菌糸体を接種して発酵処理した後、分離することにより得られる。得られた新規な桂皮酸誘導体は、抗癌作用のある桂皮酸誘導体の基本骨格を有すると共に、2つの水酸基と1つのカルボキシル基とを有している。このような構造的な特徴を有することにより、良好な抗癌作用を発揮させることができるものと推測される。
【0041】
また、プロポリスを担子菌類の菌糸体により発酵処理することで、プロポリス発酵物が得られる。該プロポリス発酵物は、プロポリス及び担子菌類の菌糸体が元来有している抗癌作用のある成分の他に、良好な抗癌作用のある新規な桂皮酸誘導体を含有している。それらの含有成分が相乗的に働くことで、飛躍的な抗癌作用を発揮させることができるものと考えられる。
【0042】
前記実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の新規な桂皮酸誘導体は、特に桂皮酸誘導体の基本骨格を有しており、良好な抗癌作用を発揮させることができる。
【0043】
・ 本実施形態の新規な桂皮酸誘導体の製造方法によれば、プロポリスがブラジル産のプロポリス原塊をアルコール抽出したものであり、桂皮酸誘導体を豊富に含有しているので、効率的に多量の新規な桂皮酸誘導体を提供することができる。また、本実施形態の製造方法によれば、担子菌類がアガリクスであり、高いラッカーゼ活性を有しているので、短時間で効率的に新規な桂皮酸誘導体を提供することができる。
【0044】
・ 本実施形態のプロポリス発酵物は、強い抗癌作用のあるアガリクスの菌糸体により抗癌作用のある桂皮酸誘導体が豊富なブラジル産プロポリスを発酵処理したものである。従って、強い抗癌作用のある成分が多量に含まれているので、他の担子菌類及びプロポリスを使用したものより、さらに飛躍的な抗癌作用を発揮させることができる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<プロポリスのエタノール抽出物の製造>
ブラジル産のプロポリス原塊1.2kgに95質量%エタノール溶液4Lを加え、常温で12時間エタノール抽出した後、珪藻土ろ過後に脱ロウすることにより、プロポリスのエタノール抽出物を得た。このエタノール抽出物を濃縮後、乳化剤(キラヤニンS−100丸善化成(株)製、キラヤ抽出物25質量%含有)を10質量%添加し、プロポリス固形分20質量%のエタノール抽出物を作製した。
【0046】
<プロポリス発酵物の製造>
(実施例1、アガリクス菌糸体によるプロポリス発酵物の製造1)
2.4g/Lの濃度のポリデキストロースブロス(PDB)培地(Difco社製)で培養したアガリクス菌糸体((有)ニューピアーズより子実体入手)を集菌し、乾燥させた。次に、乾燥菌糸体を1mlあたり0.0035gの濃度となるように0.24g/Lの濃度のPDB培地に懸濁することにより、アガリクス培養液を調製した。続いて、ミニシェーカー(IWAKI社製)を用いて、アガリクス培養液を25℃、100rpmで6日間振とうすることにより前培養した。次いで、上記プロポリス固形分20質量%のエタノール抽出物を、酵素処理液におけるプロポリス固形分の濃度が0.5質量%となるように添加し、40℃で3.5時間攪拌することにより、発酵処理を行った。発酵処理後のアガリクス懸濁液を凍結乾燥することによりプロポリス発酵物とした。
【0047】
(実施例2、アガリクス菌糸体によるプロポリス発酵物の製造2)
ポテトデキストロースアガー(PDA)(日水製薬(株)製)よりなる寒天培地を用いて、アガリクス菌糸体を25℃、暗所で2〜3時間培養した。その後、寒天培地上で増殖したアガリクス菌糸体を掻き取り、2.4g/Lの濃度のPDB培地50mlを入れたフラスコに添加し、5〜10日間静置することにより前培養した。次に、このフラスコ(乾燥菌糸体質量113mgに相当)内の培地をPYS培地(0.3質量%ポリペプトン、0.3質量%酵母エキス、1質量%ショ糖;いずれもナカライテクス(株)製)5Lに添加し、ミニジャーファーメンター(高崎科学機器(株)製)にて、通気量0.5L/分、攪拌速度100rpmの培養条件で10〜15日間通気培養(前培養)した。通気培養後の菌糸体を集菌後、0.24g/Lの濃度のPDB培地に懸濁してアガリクス懸濁液を調製した。さらに、該アガリクス懸濁液に上記プロポリス固形分20質量%のエタノール抽出物を、酵素処理液におけるプロポリス固形分の濃度が0.5質量%となるように添加し、40℃で72時間攪拌することにより、発酵処理を行った。発酵処理後のアガリクス懸濁液を凍結乾燥することによりプロポリス発酵物とした。
【0048】
<新規な桂皮酸誘導体の製造>
(実施例3、プロポリスのエタノール抽出物から新規な桂皮酸誘導体の製造)
上記実施例2の方法により、プロポリスのエタノール抽出物からプロポリス発酵物を製造した。該プロポリス発酵物を酢酸エチルにて抽出した後、濃縮し、抽出物5.6gを得た。その抽出物をまず、下記条件(a)でODSカラムクロマトグラフィーにより精製し、50容量%メタノール溶出画分を回収した後、濃縮することにより溶出物800mgを得た。次いで、その溶出物を下記条件(b)で分取高速液体クロマトグラフィー(略称分取HPLC)により精製し、リテンションタイム20分付近のピークを分画した後、濃縮することにより溶出物153mgを得た。最後にその溶出物を下記条件(c)で分取HPLCにより精製し、リテンションタイム35分付近のピークを分画した後、濃縮することにより新規な桂皮酸誘導体5.2mgを得た。該新規な桂皮酸誘導体の構造決定は、H−NMR、13C−NMR、異種核2次元NMRであるC−H COSY、同種核2次元NMRであるH−H COSY、遠隔C−H相関2次元NMRであるHMBC、メチル、メチレン、メチン、4級炭素の区別を測定するDEPT、MSスペクトルを測定することによって行った。
【0049】
それらの測定条件を以下に示し、測定結果を表1、表2、化3、及び図1に示す。なお、表1にプロポリス発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体のH−NMRのケミカルシフトの結果を、表2にプロポリス発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体の13C−NMRのケミカルシフトの結果を示す。さらに、〔化3〕に式(2)で示される新規な桂皮酸誘導体の構造式とH−NMR及び13C−NMRの帰属番号との関係を、図1にプロポリス発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体のMSスペクトルの結果を示す。
【0050】
条件(a)ODSカラムクロマトグラフィー
カラム:Chromatorex ODS−DM1020T、内径60mm、長さ300mm(富士シリシア化学(株)製)
溶出溶媒:水→水:メタノール(v/v)=70:30→50:50→20:80→メタノール
溶出方法:ステップワイズにて各溶媒500mlずつ溶出
条件(b)分取HPLC
カラム:Shiseido CAPCELLPAK ACR、内径10mm、長さ
250mm(資生堂(株)製)
溶出溶媒:水:メタノール:酢酸(v/v/v)=24:75:1
流速:6ml/min
検出:330nm
条件(c)分取HPLC
カラム:Shiseido CAPCELLPAK ACR、内径4.6mm、長
さ250mm((株)資生堂製)
溶出溶媒:水:メタノール:酢酸(v/v/v)=44:55:1
流速:1ml/min
検出:330nm
各種NMRスペクトル条件
装置:MERCURY 300 VX 300MHz(VARIAN社製)
溶媒:Methanol−d
MSスペクトル条件
装置:Applied Biosystems API365システム(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製)
イオン化法:ターボイオンスプレーポジティブ
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【化3】

次に、プロポリス中の主成分の一つであるアルテピリンCのみを発酵させたところ、実施例3に示したのと同様の新規な桂皮酸誘導体を得た。以下にその製造方法を示す。
【0054】
<プロポリスからアルテピリンCの分離>
固形分20質量%のブラジル産プロポリスエタノール抽出物51.5gを、下記条件(d)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、フラクション5〜10を回収した後、濃縮することにより溶出物13.4gを得た。次に、溶出物を下記条件(e)でODSカラムクロマトグラフィーにより精製し、フラクション20〜26を回収した後、濃縮することによりアルテピリンC濃縮物5.66gを得た。最後に、純度を向上させるために、アルテピリンC濃縮物を下記条件(f)で再度シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、フラクション1〜4を回収した後、濃縮してアルテピリンC3.8gを得た。
【0055】
条件(d)シリカゲルカラムクロマトグラフィー
カラム:PSQ60B、内径60mm、長さ100cm(富士シリシア(株)製)
溶出溶媒:クロロホルム:メタノール(v/v)=95:5
溶出:1フラクションあたり200mlの溶出
溶出確認:薄層クロマトグラフィープレート(略称TLCプレート)(Merck社製)
条件(e)ODSカラムクロマトグラフィー
カラム:Chromatorex ODS−DM1020T、内径40mm、長さ500mm(富士シリシア化学(株)製)
溶出溶媒:水:メタノール(v/v)=20:80
溶出:1フラクションあたり100mlの溶出
溶出確認:薄層クロマトグラフィープレート(略称TLCプレート)(Merck社製)
条件(f)シリカゲルカラムクロマトグラフィー
カラム:PSQ60B(富士シリシア(株)製)
溶出溶媒:クロロホルム→クロロホルム:メタノール(v/v)=99:1→98:2→95:5
溶出:1フラクションあたり100mlの溶出
溶出確認:薄層クロマトグラフィープレート(略称TLCプレート)(Merck社製)
(実施例4、アルテピリンCから新規な桂皮酸誘導体の製造)
<アガリクス菌糸体によるアルテピリンC発酵物の製造>
ポテトデキストロースアガー(PDA)(日水製薬(株)製)よりなる寒天培地を用いて、アガリクス菌糸体を25℃、暗所で2〜3週間培養した。その後、寒天培地上で増殖したアガリクス菌糸体を掻き取り、2.4g/Lの濃度のPDB培地50mLを入れたフラスコに添加し、25日間静置培養した。ラッカーゼ活性が200U/ml(基質としてのシリンガルダジンを含む反応溶液3mL(pH6.5、30℃)中で、530nmにおける吸光度を1分間に0.001増加させる酵素活性の量を1U(ユニット)とする。)となるように調製した。その後、上記アルテピリンCをエタノールに溶解した固形分20質量%のアルテピリンCエタノール溶液を、酵素処理反応系におけるアルテピリンC固形分の濃度が0.075質量%となるように添加し、40℃で48時間攪拌することにより発酵処理を行い、アルテピリンC発酵物を得た。なお、発酵処理の進行具合は、スタート時、6時間後、24時間後、48時間後の4点にてサンプリングして、そのサンプルのHPLCクロマトグラムを測定し、そのピーク面積の変化により確認した。その結果を表3に示す。
【0056】
【表3】

その結果、アルテピリンC発酵処理開始後、数時間で急激に減り(発酵処理開始後6時間でアルテピリンC残り19質量%)、それに対応して新規桂皮酸誘導体が増えることがわかった。
【0057】
<アルテピリンC発酵物から新規な桂皮酸誘導体の分離>
前記アルテピリンC発酵物を実施例3と同様な条件及び方法により精製し、新規な桂皮酸誘導体3.2mgを得た。実施例3と同一の化合物であることは、H−NMR、13C−NMR、HPLCのリテンションタイム及びUVスペクトルの分析結果が一致したことにより判断した。表4にアルテピリンC発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体のH−NMRのケミカルシフトの結果を、表5にアルテピリンC発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体の13C−NMRのケミカルシフトの結果を示す。さらに、図2(a)にプロポリス発酵物のHPLCのクロマトグラムのチャートを、(b)にアルテピリンC発酵物のHPLCのクロマトグラムのチャートを、図3(a)にプロポリス発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体のUVスペクトルを、(b)にアルテピリンC発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体のUVスペクトルを示す。なお、図2のピーク1は新規な桂皮酸誘導体のピークを表す。
【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

次に、新規な桂皮酸誘導体の効果を調べるために、癌細胞増殖抑制試験を行った。以下にその試験方法とその結果を示す。
【0060】
(実施例5、新規な桂皮酸誘導体の癌細胞増殖抑制作用)
白血病細胞株(HL60細胞)(Sigma社製)を10%FCS(Fetal Bovine Serumの略)含有RPI1640培地(Sigma社製)にて5%CO存在下、37℃で培養を行った。1×10cells/mlにて培養後、12〜24時間以内に50μg/mlの濃度となるように各試料を添加した。そしてさらに24時間培養した後、トリパンブルー染色(Shigma社製)により生細胞数をカウントした。試料を入れない細胞の生存率を100%とした時の各試料での生存率を評価した。なお、試料については10mg/mlでDMSOに溶解後、水にて使用濃度まで希釈した。また、測定は、新規な桂皮酸誘導体を始め、比較例として公知の桂皮酸誘導体であるアルテピリンC、ドゥルパニン及びバッカリンの3種を含め、計4種に関して行った。その結果を表6に示す。
【0061】
【表6】

その結果、新規な桂皮酸誘導体は、公知の桂皮酸誘導体であるアルテピリンC、ドゥルパニン及びバッカリンと同程度の癌細胞増殖抑制作用を示した。また、その作用は、アルテピリンCに次いで強いものであった。
【0062】
さらに次に、新規な桂皮酸誘導体を含有するプロポリス発酵物の抗癌作用について調べた。以下にその試験方法とその結果を示す。
(実施例6、プロポリス発酵物の抗癌作用)
ddY系マウスに継代されているSarcoma180細胞をマウス腹水より採取し、生理食塩水で目的の細胞濃度となるように調整した。次に、中部科学資材(株)より購入したddY系雄性マウス(6週齢)の背部に、Sarcoma180細胞を1×10細胞/マウスの移植量となるように皮下移植した。Sarcoma180細胞を移植したマウスを下記の5つの群に分けてそれぞれ投与した(一群が10匹ずつ)。
【0063】
第一群:生理食塩水
第二群:実施例1で集菌したアガリクス菌糸体の乾燥菌糸体を生理食塩水に懸濁したもの
第三群:プロポリスのエタノール抽出物を生理食塩水に懸濁したもの
第四群:前記乾燥菌糸体及びエタノール抽出物の混合物を生理食塩水に懸濁したもの
第五群:実施例1で得られたプロポリス発酵物を生理食塩水に懸濁したもの
投与は、表7に示したような投与量で、28日間連続腹腔内投与した。移植後28日目に各群のマウスから腫瘍を摘出し、その質量をそれぞれ測定した。その結果を表7に示す。なお、表7の#はp<0.1、*はp<0.05、**はp<0.01を表している。ここで、pはStudent’s paired t−testという統計手法により、統計学的に意味がある差を数字で表している。通常、p<0.05で有意差有りと言え、数字が小さいほうが有意差の度合いが大きいことを意味する。ここでの有意差の対象は生理食塩水投与群である。
【0064】
【表7】

その結果、アガリクス菌糸体投与群及びプロポリス発酵投与群では生理食塩水投与群と比較して、それぞれp<0.05及びp<0.01で有意に腫瘍質量が低下した。また、エタノール抽出物投与群及び混合物投与群では、生理食塩水投与群と比較して、いずれも腫瘍質量が低下する傾向が認められた(p<0.1)。これらの結果より、プロポリス発酵物は、エタノール抽出物、アガリクス菌糸体、及び両者の混合物よりも飛躍的に高い抗癌作用を有していることが確認された。
【0065】
なお、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
・ プロポリス原塊に担子菌類の菌糸体を直接接種することにより、発酵処理を実施することも可能である。
【0066】
・ 新規な桂皮酸誘導体を含有するプロポリス発酵物は、抗癌作用以外の抗菌、抗酸化、免疫賦活、また生活習慣病やその他疾病の予防・改善・治療効果等の生理作用も発揮し得るため、抗癌剤及び癌予防剤以外の効果を有する健康食品や医薬品に利用することが可能である。
【0067】
・ 式(1)の化合物のカルボキシル基又はヒドロキシル基は、反応性が高い。従って、式(1)中のカルボキシル基又はヒドロキシル基の水素が、例えばナトリウム、カリウムといったアルカリ金属、又はマグネシウム、カルシウムといったアルカリ土類金属などに置換された式(1)の化合物の誘導体として利用することができる。
【0068】
・ プロポリス発酵物とアルテピリンC発酵物とを混合して使用することもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記担子菌類はアガリクスであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の新規な桂皮酸誘導体の製造方法。このように構成した場合、アガリクスの高いラッカーゼ活性により、他の担子菌類の場合よりも、短時間で効率的に新規な桂皮酸誘導体を得ることができる。
【0069】
・ 前記プロポリスはアルテピリンCが2〜6質量%含有されているブラジル産のプロポリス原塊をアルコール抽出した物であることを特徴とする請求項2に記載の新規な桂皮酸誘導体の製造方法。このように構成した場合、桂皮酸含量が高く、且つ効率良く抽出可能であることから、他の産地のプロポリス原塊、別の抽出法によるときよりも、効率的に多量の新規な桂皮酸誘導体を得ることができる。
【0070】
・ 前記発酵処理において、発酵時間が3.5〜72時間、発酵処理温度が35〜45℃であることを特徴とする請求項2に記載の新規な桂皮酸誘導体の製造方法。このように構成した場合、容易に新規な桂皮酸誘導体が得られることに加え、発酵処理条件が適当であるので、効率的に新規な桂皮酸誘導体を得ることができる。
【0071】
・ 前記発酵処理において、発酵時間が6〜48時間、発酵処理温度が35〜45℃であることを特徴とする請求項3に記載の新規な桂皮酸誘導体の製造方法。このように構成した場合、発酵処理条件が適当であるので、効率的に新規な桂皮酸誘導体を得ることができる。
【0072】
・ 前記担子菌類はアガリクスで、前記プロポリスはアルテピリンCが2〜6質量%含有されているブラジル産のプロポリス原塊をアルコール抽出した物であることを特徴とする請求項4に記載のプロポリス発酵物。このように構成した場合、強い抗癌作用のある成分が多量に含まれているので、他の担子菌類及びプロポリスを使用したものより、さらに飛躍的な抗癌作用を発揮させることができる。
【0073】
・ 担子菌類の菌糸体によりアルテピリンCを発酵処理してなり、請求項1に記載の式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体を含有することを特徴とするアルテピリンC発酵物。このように構成した場合、アルテピリンC及び担子菌類の菌糸体が元来有している抗癌作用のある成分の他に、良好な抗癌作用のある新規な桂皮酸誘導体を含有している。従って、それらが相乗的に働くことで、プロポリス、担子菌類の菌糸体又は両者の混合物に比べて、飛躍的な抗癌作用を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例3のプロポリス発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体のMSスペクトルを示すチャート。
【図2】(a)は実施例2のプロポリス発酵物のHPLCクロマトグラムを示すチャート、(b)は実施例4のアルテピリンC発酵物のHPLCクロマトグラムを示すチャート。
【図3】(a)は実施例3のプロポリス発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体のUVスペクトルを示すチャート、(b)は実施例4のアルテピリンC発酵物から得られた新規な桂皮酸誘導体のUVスペクトルを示すチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体。
【化1】

【請求項2】
請求項1に記載の新規な桂皮酸誘導体を製造する方法であって、担子菌類の菌糸体をプロポリスに接種し、前記菌糸体によりプロポリスを発酵処理した後、式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体を分離することを特徴とする新規な桂皮酸誘導体の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の新規な桂皮酸誘導体を製造する方法であって、担子菌類の菌糸体をアルテピリンC(Artepillin C)に接種し、前記菌糸体によりアルテピリンCを発酵処理した後、式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体を分離することを特徴とする新規な桂皮酸誘導体の製造方法。
【請求項4】
担子菌類の菌糸体によりプロポリスを発酵処理してなり、請求項1に記載の式(1)で示される新規な桂皮酸誘導体を含有することを特徴とするプロポリス発酵物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−81(P2008−81A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173443(P2006−173443)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(591045471)アピ株式会社 (59)
【Fターム(参考)】